説明

ルーフモール用キャップ及びその取付構造

【課題】車体側の設計に制限を設けることなく、部品点数がが少なく組立性が良いルーフモール用キャップ及びその取付構造の提供を目的とする。
【解決手段】車両のルーフに形成してある車両前後方向の溝部に取り付けてあるルーフモールは、一のルーフモールと他のルーフモールに分割してあり、このルーフモールを分割して形成してある溝開口部を塞ぐキャップであって、キャップ本体と、キャップ本体にスライド自在に取り付けたスライド係合体とを備え、キャップ本体は一のルーフモールの端末に係合する係合凹部を有し、スライド係合体は他のルーフモールにスライド係合するスライド係止部を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車等の車両のルーフモールの一部を開口してルーフラックやキャリア等の金具を取り付ける場合がある。
本発明は、そのようなルーフモールの開口部に取り付けるキャップ及びその取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフパネルとサイドパネルとの接合部には細長状の溝を車両前後方向に形成し、溝を上方から塞ぐ化粧用のルーフモールディンを取り付けるとともにその一部にルーフモールのない開口部を形成し、この溝にルーフラックやキャリア等の装着金具を取り付けることができ、ルーフラック等を装着しない場合には開口部を塞ぐ着脱自在のキャップを取り付ける技術は公知である。
実開昭63−126147号公報には、溝内にルーフパネルの縁部を折曲げて取付け部を形成し、キャップをこの取付け部に係止する技術を開示するが、車両ボディ側に取付け部を形成しなければならず、設計上制約が生じてしまう問題があった。
特開平9−109796号公報には、開口部に臨む一方のルーフモール端部にキャップの一端を嵌合させて、キャップの他端をスライド操作でもう一方のルーフモール端部に嵌合する技術を開示する。
しかし、部品点数が多く、組立工数も多かった。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−126147号公報
【特許文献2】特開平9−109796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記技術的課題に鑑みて、車体側の設計に制限を設けることなく、部品点数がが少なく組立性が良いルーフモール用キャップ及びその取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的要旨は、車両のルーフに形成してある車両前後方向の溝部に取り付けてあるルーフモールは、一のルーフモールと他のルーフモールに分割してあり、このルーフモールを分割して形成してある溝開口部を塞ぐキャップであって、キャップ本体と、キャップ本体にスライド自在に取り付けたスライド係合体とを備え、キャップ本体は一のルーフモールの端末に係合する係合凹部を有し、スライド係合体は他のルーフモールにスライド係合するスライド係止部を有していることを特徴とする。
【0006】
ここで、一のルーフモールと他のルーフモールに分割してあるとは、車両のルーフに設けたルーフモール取付溝部にルーフラック等のキャリアを取り付けるための開口部を形成するために車両前後方向に複数のルーフモールに分割、分離した場合に、この開口部を形成する一方を一のルーフモールと称し、他方を他のルーフモールと称する。
従って、ルーフモールは一箇所以上であれば分離数に制限はない。
【0007】
請求項2記載の発明の技術的要旨は、キャップ本体は係合凹部に加えて、他のルーフモールの側縁部に挟持係合する側縁挟持凹部を有していることを特徴とする。
【0008】
これにより、キャップ本体には一のルーフモールの長手方向端末に係合する係合凹部と他方のルーフモールの長手方向の側縁部に挟持係合する側縁挟持凹部を有することになる。
また、キャップを開口部に取り付ける場合にはスライド係合体を他のルーフモールに対して直交する方向にスライドして他のルーフモールの側部から係止し、スライド係合体を後退させて取り外すことになる。
【0009】
請求項3記載の発明の技術的要旨は、キャップ本体はさらに、ガイド穴を有し、スライド係合体は一対のスライド弾性片を有し、一対のスライド弾性片をガイド穴に嵌着し、スライド弾性片がガイド穴に沿ってスライドすることでスライド係合体をキャップ本体にスライド自在に取り付けてあることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、キャップ本体にスライド係合体をスライド自在に取り付ける手段の1つの具体例を示したものである。
【0011】
請求項4記載の発明の技術的要旨は、車両のルーフに形成してある車両前後方向の溝部に取り付けてあるルーフモールは、一のルーフモールと他のルーフモールに分割してあり、このルーフモールを分割して形成してある溝開口部を塞ぐキャップ取付構造であって、
キャップ本体と、キャップ本体にスライド自在に取り付けたスライド係合体とを備え、
キャップ本体は、一のルーフモールの端末に係合する係合凹部と他のルーフモールの側縁部に挟持係合する側縁挟持凹部とを有し、スライド係合体は、他のルーフモールにスライド係合するスライド係止部を有し、キャップ本体の係合凹部を一のルーフモールの端末に係合し、側縁挟持凹部を他のルーフモールの側縁部に挟持係合し、他のルーフモールの端部に形成したキャップ受け片にスライド係止部をスライド係合するものであることを特徴とする。
他のルーフモールに所定形状の縁部を設けるように形成したキャップ受け片にスライド係止部をスライド係合させるようにしたので、キャップ本体を一のルーフモールと他のルーフモールに係着した状態でスライド係合体のスライド操作によりキャップを開口部に固定又は取り外しが可能になる。
【0012】
請求項5記載の発明の技術的要旨は、キャップ本体はさらに、ガイド穴を有し、スライド係合体は一対のスライド弾性片を有し、一対のスライド弾性片をガイド穴に嵌着し、スライド弾性片がガイド穴に沿ってスライドすることで、他のルーフモールに形成したキャップ受け片にスライド係止部がスライド係合するものであることを特徴とする。
これにより、一対のスライド弾性片を相互に内側に撓ませるようにしてガイド穴に嵌着するだけでスライド係合体をキャップ本体に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るルーフモール用キャップにおいては、キャップの一端側を開口部を挟む一のルーフモールの開口側端部に係合し、開口部を挟む他のルーフモールに係合体をスライドさせてスライド係止部で係止することができるので、車両パネル等の車体側にキャップ取付用部品を設けずに、また、工具等を使用せずに開口部に簡単に固定、取り外しができる。
キャップは、スライド係合体にスライド弾性片を設けて、キャップ本体に設けたガイド穴にスライド係合体をスライド弾性片を撓ませ嵌め入れてスライド操作自在に取り付けるため、部品点数が少なく組立性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、車両のルーフパネル2とサイドパネル3との接続部に沿って車両の前後方向に形成した溝部4に取り付けてあるルーフラック等のキャリアの装着金具6付近を描いた、本発明に係るルーフモール用キャップの実施例とその取付構造の説明図を示す。
図1(a)はキャップ10をルーフモールを分割又は分離して形成した溝部4の開口部5に取り付けた状態を示し、図1(b)はキャップ10を開口部5から取り外した状態を示す。
溝部4はルーフパネル2とサイドパネル3の連結部分を車両前後方向の溝形に凹ませて形成してあり、車両前側に第1ルーフモール40を装着し、後ろ側に第2ルーフモール50を装着してある。
説明のため図1に示すように、キャップ10等は車両への取付状態で、第1ルーフモール側となる側を第1ルーフモール側、第2ルーフモール側となる側を第2ルーフモール側と称し、ルーフパネルのある側をルーフパネル側、サイドパネルのある側をサイドパネル側と称する。
従って、複数にルーフモールを分離した場合の一のルーフモールを第1ルーフモールとし、他のルーフモールを第2ルーフモールとして以下説明する。
この車両への取付方向は説明のためのものであり、車両のルーフパネルの両側縁に設けられている一方の溝部側についてのみ説明する。
従ってルーフモールは第1と第2とが逆に配置しあってもよく、ルーフパネルとサイドパネルに対するキャップ及びルーフモールの配置を限定するものではない。
第1ルーフモール40の開口側端部41と第2ルーフモール50の開口側端部51とで装着金具6を中に配する開口部5を形成する。
図4(a)はキャップ10を取り外した開口部5付近の平面図を示し、図4(b)はキャップ10を取り付けた開口部5付近の平面図を示す。
第1ルーフモール40の開口側端部41の切り口は、溝部4の長手方向と略直角方向としてある。
第2ルーフモール50の開口側端部51は、平面視L字状となる切欠部52を形成して、第1ルーフモール側に突出するキャップ受け片53を形成してある。
キャップ受け片53のルーフパネル2側は、後述するスライド係合体の係止部31に係合する受け縁53aを形成してある。
【0015】
キャップ10の表側の斜視図を図2(a)に示し、裏側の斜視図を図2(b)に示す。
キャップ10は、キャップ本体20とスライド係合体30とを備えていて、キャップ本体20にスライド係合体30を嵌め込んである。
キャップ本体20は板状のカバー部21を、図1に示すように第1ルーフモール40の開口側端部41から、開口部5と、第2ルーフモール50のキャップ受け片53と、第2ルーフモール50の開口側端部51に上方から覆い被せることが出来る形状としてある。
図2(b)に示すようにカバー部21には略中央を上下に貫通するガイド穴27を設けてあり、ガイド穴27にスライド係合体30を嵌め込み装着してある。
スライド係合体30は、スライド係合体30をスライド操作するためのスライドボタン部33を上部に有し、下部にはこのスライド操作で第2ルーフモール50のキャップ受け片53の下に差し込むスライド係止片32を有している。
スライド係合体30は、スライドボタン部33をルーフパネル側あるいはサイドパネル側に向けて指で押して、ルーフパネル側からサイドパネル側方向のスライド操作可能にガイド穴に取り付けてある。
このスライド係合体30のガイド穴27への装着構造は後述する。
【0016】
図2(a)のA−A線断面端面図を図3(a)に示す。
カバー部21の第1ルーフモール側の端部下面にはサイドパネル側より見てカバー部下面から垂下させた後に第1ルーフモール側に向けて断面略直角に折り曲げて突出させた突出挟持片22を配設してある。
この突出挟持片22とカバー部21の第1ルーフモール側端部で、サイドパネル側より見て第1ルーフモール側に開口する断面略コ字形の係合凹部23を形成している。
この係合凹部23は、図1(b)に示す第1ルーフモール40の開口部側端部41に嵌まるように形成してあり、キャップ10は、この係合凹部23を第1ルーフモール40の開口側端部41に嵌め、加えて、スライド係合体30のスライド係止片32がキャップ受け片53と干渉しないように、スライド係合体30をルーフパネル2側に後退させることで、開口部5に嵌着できる。
突出挟持片22には、その第1ルーフモール側に向かう突出方向の2条の平行な切り欠き22bを設けて、切り欠き22bの間は薄肉の薄肉部22cとして薄肉部22cの係合凹部23側の面に、突出挟持片22の突出方向に対して直角方向の食い込みリブ22aを突出させてある。
この食い込みリブ22aは、係合凹部23を第1ルーフモールの開口側端部41に嵌めた時に、薄肉部22cを撓ませてこの第1ルーフモール開口側端部41の下面に係合出来るように形成してある。
【0017】
カバー部21を図2(a)のB視方向から見た説明図を図3(b)に示す。
カバー部21の第2ルーフモール側端の、ルーフパネル側の縁部の下部には、図3(b)に示すようにカバー部21の裏面へ折り返す方向に側縁挟持片26を突出させて形成して、カバー部21との間に側縁挟持凹部25を形成してある。
この側縁挟持凹部25は、図1(a)に示すようにキャップ10を開口部5に取り付けた状態で、ルーフモール長手方向の車両後方側から見た取付状態の説明図を図3(c)に示すように第2ルーフモール50のルーフパネル側の縁部51aに嵌めて係合出来るように形成してある。
図1に示すようにキャップ10は、その第1ルーフモール側を係合凹部23を第1ルーフモール40の開口側端部41に嵌めて係合させ、その第2ルーフモール側を側縁挟持片26で図3(c)に示すように第2ルーフモール50のルーフパネル2側の縁部51aを引っかけて側縁挟持凹部25に嵌めて係合する。
スライド係合体30を第2ルーフモール50のキャップ受け片53の受け縁53aに向けてスライド操作して、スライド係止片32をキャップ受け片53の下に差しいれ、スライド係止片32とスライドボタン部33との間のスライド係止部31にキャップ受け片53を係合させて、キャップ10を開口部5に固定する。
キャップ10を開口部5に取り付けるために、第1ルーフモール40には、溝部長手方向に係合凹部23を係合させ、第2ルーフモール50には、側縁挟持凹部25及びスライド係合体のスライド係止部31を溝部長手方向と略直角方向に係合させてある。
側縁挟持凹部25、あるいはスライド係止部31が係着する、第2ルーフモール50のルーフパネル側の縁部51aと、キャップ受け片53の受け縁53aは、溝部長手方向に平行で所定長さを有している。
これにより、キャップ10は、第1ルーフモール40の開口側端部41に係合凹部23を嵌めた上で、側縁挟持凹部25が第2ルーフモール50のルーフパネル側縁部51aに係着出来、スライド係止部31がキャップ受け片53に係着出来る所定範囲に第1、第2ルーフモール40、50それぞれの開口側端部41、51が配設してあれば開口部5に装着出来る。
車両前後方向にルーフモールを分離して取付金具6を取り付けるための開口部5を形成する場合には、ルーフモールの分離間隔はルーフモールの組付誤差により大きく変動してしまう。
このため、例えばルーフモール端部に係止させるスライド係止部をルーフモール長手方向にスライドさせて、このルーフモール長手方向の組付誤差のバラツキを吸収させようとするとスライド操作範囲が大きくなってしまうが、このようにルーフモール端部側にキャップ受け片53をL字状に形成してルーフモール長手方向(溝部長手方向)と直角方向からスライド係止部31をキャップ受け片53に嵌めることで、キャップ受け片53の長さにてルーフモール長手方向の組付誤差のバラツキを吸収できる。
よってキャップ10は、第1、第2ルーフモール40、50の開口側端部41、51の取付位置のバラツキの影響を殆ど受けずに開口部5に装着出来る。
また、キャップ10は、スライド係合体30をスライド操作してスライド係止部31をキャップ受け片53に係着脱することで、簡単に開口部5に係着脱出来る。
この第1、第2ルーフモール40、50の開口側端部の取付位置のバラツキの影響を受けないキャップの取付構造は、キャップの車両前後方向の一端を第1ルーフモールの端部に係合できて、キャップに設けたスライド係止部が第2ルーフモールに対して略直角方向から係合できれば良く、例えばキャップ受け片を設ける代わりに第2ルーフモールにスライド係止部をその縁部に係合する孔等を設けても良い。
【0018】
スライド係合体のキャップ本体への装着構造について説明する。
図5はキャップ本体から取り外したスライド係合体の外観図で、それぞれ図2における、キャップ表側から見た外観図を図5(a)に示し、第1ルーフモール側から見た外観図を図5(b)に示し、サイドパネル側から見た外観図を図5(c)に示し、キャップ裏側からみた外観図を図5(d)に示す。
図6(a)はスライド係合体を外したガイド穴27部分をキャップ表側から見た説明図を示し、図6(b)はガイド穴27にスライド係合体30を嵌めてキャップ表側から見た説明図を示し、図6(c)はサイドパネル側からスライド係合体30を見て、カバー部21のガイド穴27より手前部分を取り除いた説明図を示す。
スライド係合体30は図5、図6(c)に示すように、指でスライド操作する平板形のスライドボタン部33を有している。
スライドボタン部33の表面には滑り止め33bが設けてあり、裏面には、ガイドピン33aを設けるとともに、ベース部30aを下垂させてある。
図6(b)はわかりやすくするためにスライドボタン部33の滑り止め33bは図示省略してある。
ベース部30aの下端には、サイドパネル側に向けて突出させたスライド係止片32と、図6(c)に示すようにスライド係合体30のガイド穴27への装着時に、ガイド穴27のスライド方向両側のガイド穴側壁部27aに摺動部34aを嵌着する一対のスライド弾性片34とを設けてある。
スライド係止片32は、スライドボタン部33の下面と平行に突出させて形成してあり、スライドボタン部33とベース部30aと合わせてスライド係止部31を形成している。
スライド係止片32の上面(凹部側)には、食い込みリブ32aが設けてある。
一対のスライド弾性片34は、先端部を断面略L形に切り欠いて形成してした摺動部34aを有する。
スライド弾性片34はベース部30a側方向に弾性変形で撓ませた状態で、図6(c)に示すように摺動部34aをガイド穴側壁部27aに嵌めることが出来るように形成してある。
ガイド穴27は、図6(a)に示すように略方形にカバー部を貫通して形成してあり、スライド係合体のスライド方向の、溝部長手方向と略直角方向の一対のガイド穴側壁部27aを有して、それぞれのガイド穴側壁部27aの略中間部分にはガイド穴27の中央へ向けて略半円形に突出させた位置保持突部27bを設けてある。
カバー部21には、スライドボタン部33裏面のガイドピン33aを嵌めて、スライド方向にガイドするガイド長孔27cを設けてある。
スライド係合体30は、スライド係止片32をサイドパネル側へ向けてベース部30aの下端側からガイド穴27に挿入し、スライド弾性片34をガイド穴側壁部27aに押し当てて撓ませつつ更に押し込む。
そして、図6(c)に示すようにスライドボタン部33の裏面がカバー部21にほぼ突き当たった位置で、図6(b)に示すようにガイドピン33aがガイド長孔27cに嵌まり、スライド弾性片の弾性復元力で、摺動部34aがガイド穴側壁部27aに当たり、ガイド穴27に装着する。
スライド係合体30は、このようにスライド弾性片34の摺動部34aを、ガイド穴27に嵌めるスナップ係合で、キャップ本体に装着する。
スライド係合体30は、スライドボタン部33を指でスライド方向に押し、摺動部34aをガイド穴側壁部27aに沿わせて摺動させることでスライド操作する。
ガイド穴側壁部27aに沿って摺動部34aを摺動させると、この摺動部34aが位置保持突部27bに突き当たるが、更にスライド移動させることで、摺動部34aをスライド弾性片34を弾性変形により撓ませて位置保持突部27bを乗り越えさせることが出来る。
スライド係合体30は、この位置保持突部27bにより摺動部34aの摺動が規制されることでスライド操作時以外のスライド移動を規制してある。
このように、スライド係合体30は、別部品を取り付けたり加工することなく、キャップ本体のガイド穴27にスライド弾性片34でスナップ係合させるだけで、ルーフパネル側とサイドパネル側のいずれかに位置保持可能で、スライド自在となっている。
【0019】
キャップの開口部への取付け手順について説明する。
図7は、キャップを開口部へ取り付ける手順の説明図を示す。
図8は、キャップを開口部へ取り付ける時のスライド係合体の状態説明図を示す。
図7は、図1に示す開口部5付近をサイドパネル側から見た第1、第2ルーフモール40、50とキャップ10と、装着金具6の外観を模式的に描いてある。
図8(a)、図8(b)、図8(c)はそれぞれキャップ取付状態に対応させた説明図で、わかりやすくするためにスライド係合体30部分をキャップ表側から見た説明図を左に配し、図6(c)と同様にカバー部21のガイド穴27よりサイドパネル側を取り除いた説明図を中央に配し、図6(b)におけるC−C線断面に対応した説明図を右に配してある。
図7(a)に示すように、第1ルーフモール40は開口部5に開口側端部41を臨ませてあり、第2ルーフモール50は図4(a)に示すL字形に切り欠くことで、第1ルーフモール40へ向けてキャップ受け片53を突出させ、このキャップ受け片53を有する開口側端部51を開口部5に臨ませてある。
キャップ10は、先ず図7(b)に示すように第1ルーフモール側の係合凹部23を第1ルーフモール40の開口側端部41にあてがって、そのまま開口部5に向けてカバー部21を被せていく。
カバー部21を開口部5に被せる時に、図3(b)に示す側縁挟持片26を図4(a)に示す第2ルーフモール50のルーフパネル側の縁部51aの下面に差し込み、側縁挟持片26とカバー部21との間に形成してある側縁挟持凹部25に、図3(c)に示すように第2ルーフモール50のルーフパネル側縁部51aを係着させ、図7(c)に示すようにキャップ10を開口部5に嵌める。
図7(b)、図7(c)に示すキャップ10の取付時には、スライド係合体30はスライド係止片32が第2ルーフモール50のキャップ受け片53と干渉しないよう、キャップ受け片53の反対側のルーフパネル2側へ図8(a)に示すように予めスライド後退しておく。
次に、スライド係合体30を、スライドボタン部33を操作してサイドパネル側のキャップ受け片53へ向けてスライド移動させる。
図8(a)の状態から、スライド係合体30をキャップ受け片53に向けて、図6に示すスライド弾性片34の摺動部34aをスライド移動させていくと、図6(a)に示す位置保持突部27bに摺動部34aが突き当たる。
さらに、スライド係合体のスライド操作をそのまま続けることで、摺動部34aを図8(b)に示すようにスライド弾性片34をベース部30a側へ撓ませて位置保持突部27bの頂部へ向けて乗りあがらせ、更にスライド係合体30のスライド操作を続けることで、図8(c)に示すように摺動部34aを位置保持突部27bを越えたサイドパネル側に移動させ、スライド係止部31に、カバー部21とともにキャップ受け片53を挟み係合させる。
これにより、図1(a)に示すようにキャップ10を開口部5に固定する。
装着金具6を使用する時のキャップの取り外しは、取付手順と逆の手順を行えば良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るルーフモール用キャップの実施例とその取付構造の説明図を示す。
【図2】本発明に係るルーフモール用キャップの実施例で(a)は表面側から見た斜視図を示し、(b)は裏面側から見た斜視図を示す。
【図3】(a)はA−A線断面端面図を示し、(b)はカバー部の第2ルーフモール側端部をB視方向から見た説明図を示し、(c)は側縁挟持凹部の第2ルーフモールの縁部の嵌合状態の説明図を示す。
【図4】(a)はキャップを取り外した開口部付近の説明図を示し、(b)はキャップを取り付けた開口部付近の説明図を示す。
【図5】スライド係合体の外観図を示す。
【図6】(a)はガイド穴部分をキャップ表側から見た説明図を示し、(b)はガイド穴にスライド係合体を嵌めてキャップ表側からみた説明図を示し、(c)はサイドパネル側からガイド穴より手前のカバー部を取り除いてスライド係合体付近を見た説明図を示す。
【図7】キャップを開口部へ取り付ける手順の説明図を示す。
【図8】キャップを開口部へ取り付ける時のスライド係合体状態の説明図を示す。
【符号の説明】
【0021】
2 ルーフパネル
3 サイドパネル
4 溝部
5 開口部
6 ルーフラック装着金具
10 キャップ
20 キャップ本体
21 カバー部
22 突出挟持片
22a 食い込みリブ
22b 切り欠き
22c 薄肉部
23 係合凹部
25 側縁挟持凹部
26 側縁挟持片
27 ガイド穴
27a ガイド穴側壁部
27b 位置保持突部
27c ガイド長孔
30 スライド係合体
30a ベース部
31 スライド係止部
32 スライド係止片
32a 食い込みリブ
33 スライドボタン部
33a ガイドピン
33b 滑り止め
34 スライド弾性片
34a スライド弾性片の摺動部
40 第1ルーフモール
41 第1ルーフモール開口側端部
50 第2ルーフモール
51 第2ルーフモール開口側端部
51a 第2ルーフモールルーフパネル側縁部
51b リップ
52 L字形切欠部
53 キャップ受け片
53a キャップ受け片受け縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成してある車両前後方向の溝部に取り付けてあるルーフモールは、一のルーフモールと他のルーフモールに分割してあり、このルーフモールを分割して形成してある溝開口部を塞ぐキャップであって、
キャップ本体と、キャップ本体にスライド自在に取り付けたスライド係合体とを備え、
キャップ本体は一のルーフモールの端末に係合する係合凹部を有し、
スライド係合体は他のルーフモールにスライド係合するスライド係止部を有していることを特徴とするルーフモール用キャップ。
【請求項2】
キャップ本体は係合凹部に加えて、他のルーフモールの側縁部に挟持係合する側縁挟持凹部を有していることを特徴とする請求項1記載のルーフモール用キャップ。
【請求項3】
キャップ本体はさらに、ガイド穴を有し、スライド係合体は一対のスライド弾性片を有し、一対のスライド弾性片をガイド穴に嵌着し、スライド弾性片がガイド穴に沿ってスライドすることでスライド係合体をキャップ本体にスライド自在に取り付けてあることを特徴とする請求項1又は2記載のルーフモール用キャップ。
【請求項4】
車両のルーフに形成してある車両前後方向の溝部に取り付けてあるルーフモールは、一のルーフモールと他のルーフモールに分割してあり、このルーフモールを分割して形成してある溝開口部を塞ぐキャップ取付構造であって、
キャップ本体と、キャップ本体にスライド自在に取り付けたスライド係合体とを備え、
キャップ本体は、一のルーフモールの端末に係合する係合凹部と他のルーフモールの側縁部に挟持係合する側縁挟持凹部とを有し、
スライド係合体は、他のルーフモールにスライド係合するスライド係止部を有し、
キャップ本体の係合凹部を一のルーフモールの端末に係合し、側縁挟持凹部を他のルーフモールの側縁部に挟持係合し、他のルーフモールに形成したキャップ受け片にスライド係止部をスライド係合するものであることを特徴とするルーフモール用キャップの取付構造。
【請求項5】
キャップ本体はさらに、ガイド穴を有し、スライド係合体は一対のスライド弾性片を有し、一対のスライド弾性片をガイド穴に嵌着し、スライド弾性片がガイド穴に沿ってスライドすることで、他のルーフモールに形成したキャップ受け片にスライド係止部がスライド係合するものであることを特徴とする請求項4記載のルーフモール用キャップの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−68846(P2008−68846A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251877(P2006−251877)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000240949)片山工業株式会社 (42)
【Fターム(参考)】