説明

ルーレットゲーム機

【課題】共有するモニターディスプレイを使用する際に自分のチップアイコンと他人のチップアイコンとを確実に区別することができるルーレットゲーム機を提供すること。
【解決手段】ベッティングボード26を表示する1台のモニターディスプレー13を複数のプレーコーナP1〜P4が共有して使用するようにした。その際に同じモニターディスプレー13上でカーソルHCは当該カーソルHCを使用するプレーヤのチップストックエリアTH1〜TH4に表示されるチップアイコンTIのみにアクセスでき、他のチップストックエリアTH1〜TH4のチップアイコンTIにはアクセスすることができないようになっている。これにより、他人のチップアイコンにアクセスして誤ってベットしまうことがなくなり、ゲーム進行に支障を来すような事態を避けることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーレットゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームセンターやショッピングセンターの一角に設置されているゲーム機としてメダルゲーム機がある。このメダルゲーム機には競馬ゲーム機、トランプゲーム機、ルーレットゲーム機などがある。各ゲーム機はいずれも専用メダルを使用して遊技する。
前記ルーレットゲーム機では、専用メダルを機械に投入し、各プレーコーナに設けられた数字選択ボタンを操作して、入賞しそうな番号と対応する数字ボタンを押す。すると、ルーレット盤が回転し、ボールがルーレット盤内を転がる。そして、ルーレット盤の回転が弱まり、ボールがルーレット盤内のいずれかの溝に収容保持されると、プレーヤの賭けた数字と、ボールが収容された数字とが一致(入賞)したか否かが判定される。
ここで同じ番号の溝に収容保持(当たり)されていると判定された際には、所定の倍率でメダルがプレーヤに払い戻しされる。そのため出願人は上記従来技術おけるルーレットゲーム機を改良したルーレットゲーム機を発明した(特許文献1)。この特許文献1のルーレットゲーム機では同じベッティングボードを他のプレーヤと共有し、他のプレーヤのベット状況が同じモニターディスプレイ上で目視できるものである。
【特許文献1】特開平2003−325726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このようにモニターディスプレイを共有したことによって他のプレーヤのカーソルが自陣(自分のチップストックエリア)内に侵入してしまい、そのためプレーヤは自分のカーソルが動いていると見間違えてしまい戸惑うことがある。また、自陣で他のプレーヤのカーソルと自分のカーソルとが交錯を生じてしまうとカーソルが見にくくベット動作に支障を来す場合がある。また、場合によっては他人が勝手に(あるいは間違えて)自分のチップアイコンをベッティングボード上に移動させてベットしてしまうような可能性もある。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、共有するモニターディスプレイを使用する際に自分のチップアイコンと他人のチップアイコンとを確実に区別することができるルーレットゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、各プレーコーナ毎に異なるチップアイコンを表示させるルーレット盤と、前記ルーレット盤に表示されている図形文字と同じ図形文字を表示する1台のモニターディスプレーと、前記モニターディスプレー上に移動可能に表示される複数のカーソルと、前記各カーソルをモニターディスプレー上の任意の位置へ移動させる前記プレーコーナ毎のカーソル移動手段と、前記カーソルの移動とともに前記チップアイコンを前記プレーコーナから移動させるようにするチップアイコン移動手段と、前記カーソルが移動した位置におけるモニターディスプレー上へ前記チップアイコンをチップマークとしてマーキング表示するマーキング手段とを備えたルーレットゲーム機において、前記モニターディスプレー上にはベッティングボードと、前記プレーコーナ毎に当該プレーヤのチップアイコンが表示されるチップストックエリアとが表示され、前記カーソルと一体的に前記モニターディスプレー上に移動した前記チップアイコンは、同ベッティングボード上のベット位置でマーキング手段によってチップマークとしてマーキング表示されるとともに、同カーソルは当該カーソルを使用するプレーヤの前記チップストックエリアに表示される前記チップアイコンのみにアクセスでき、他の同チップストックエリアの同チップアイコンにはアクセスできないことをその要旨とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記カーソルは手の形状に表示され、前記チップアイコンは同カーソルによって把持されるように表示されることをその要旨とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記カーソルは当該カーソルに対応するカーソル移動手段が配置された前記チップストックエリア以外のチップストックエリアには侵入できないことをその要旨とする。
【0005】
上記発明では各プレーヤはゲームを行う際にカーソル移動手段を操作してカーソルをモニターディスプレイ上の任意の位置にカーソルを移動させる。その際にカーソルによって自身のプレーコーナから所望のチップアイコンをカーソルとともにモニターディスプレイ上に移動させ、マーキング手段によってチップアイコンをチップマークとしてマーキング表示させる。チップアイコンはカーソルと一体的に移動する。モニターディスプレイにはベッティングボードと、チップストックエリアとが表示されており、プレーヤはモニターディスプレイ上にカーソルを自在に動かせるものの、自身のチップアイコン以外にはアクセスできない。アクセスできないとは自身のチップストックエリア以外のチップストックエリア内にあるチップアイコンを勝手にベッティングボード上に一体的に移動させることができないということである。
ここにカーソル形状は手の形状に表示されることがゲームの臨場感から好ましい。また、個々のカーソルは区別が容易なように色を変えたり、形状を変えたりすることが好ましい。更に、カーソルは単に他のチップストックエリアのチップアイコンにアクセスできないだけではなく他のチップストックエリア内に侵入できないことが好ましい。他人のカーソルが自身のチップストックエリア内にあると分かりにくく、また誤って隣のチップストックエリア内に侵入してしまうことで誰がどのカーソルを操作しているのか分からなくなってしまうことを防止するためでもある。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、共有する1台のモニターディスプレー上でカーソルを移動させ、各々希望の位置にベットできるようにした。これにより、各カーソルに対応するプレーヤは自分がどの図形文字を選択するのかを他のプレーヤや周囲のギャラリーに見せることができるとともに、他のプレーヤがどこにチップアイコンをベットするのかも見ることができる。また、他人のチップアイコンにアクセスして誤ってベットしまうことがなくなり、ゲーム進行に支障を来すような事態を避けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ルーレットゲーム機を構成する筐体11の上面にはルーレット盤12が設けられている。また、筐体11の上面にはモニターディスプレーが設けられている。モニターディスプレー13の前後左右4コーナ周辺は第1プレーコーナP1、第2プレーコーナP2、第3プレーコーナP3、第4プレーコーナP4となっている。各プレーコーナP1〜P4には、筐体11の上面に設けられたメダル投入口15、カーソル移動手段を構成するトラックボール16、ホールドボタン17、マーキング手段、チップアイコン移動手段を構成するプットボタン18、さらにメダル払出ボタン19がそれぞれ設けられている。また、各プレーコーナP1〜P4における筐体11の側面にはメダル払い出し口20がそれぞれ設けられている。
【0008】
図1及び図2に示すように、前記ルーレット12の枠体12aにはウイル23が回転可能に収容支持されている。ウイル23上面には凹状のボール収容溝24が多数形成されている。各ボール収容溝24の外方向におけるウイル23の上面には各ボール収容溝24と対応するように図形文字としての「0」、「00」、「1」〜「36」の数字N1が表示された表示部25が形成されている。前記枠体12aにはボール投入孔29が形成されている。ボール投入孔29には図示しないボール投入装置が連結され、ボール投入装置の駆動に伴い、前記ボール投入孔29からウイル23上にボールBが投入されるようになっている。
また、ルーレット盤12の下方には当たり判定装置(ここでは図示せず)が設置されている。当たり判定装置はボールBがどの数字N1のボール収容溝24に収容されたかを判定するための装置である。さらに、ウイル23の下方には図示しないボール回収装置が設置されている。このボール回収装置はゲーム終了後にウイル23上のボールBを回収する装置である。前記ボール投入装置、当たり判定装置、ボール回収装置については既に公知であることから、ここでの詳細な説明は省略する((特開平8−229190号公報、特開平8−229191号公報、特開平9−140857号公報、特開平9−276477号公報参照)いずれも本件出願人による出願である)。
【0009】
図1及び図3に示すように、前記モニターディスプレー13は液晶モニター(CRTモニターを使用してもよい)から構成されている。モニターディスプレー13にはベッティングボード26が表示されている。ベッティングボード26には前記ウイル23に表示された数字N1と同じ数字を含む図形文字としての複数の数字N2(文字も含む)がマス目状に配列表示されている。
また、ベッティングボード26の4コーナの外方向におけるモニターディスプレー13には各プレーコーナP1〜P4と対応するチップストックエリアTH1,TH2,TH3,TH4が表示されている。
【0010】
図1及び図3、図4に示すように、各チップストックエリアTH1〜TH4にはベットカウンタBC、入賞カウンタWC、クレジットカウンタCCがそれぞれ表示されている。ベットカウンタBCに表示される数字は1回のゲームで賭けられたメダルの枚数に相当するものであり、入賞カウンタWCに表示される数字はゲームを行って入賞した際に払い戻されるメダルの枚数に相当する数字である。また、クレジットカウンタCCに表示される数字は後述するメダル払出装置から払い出し可能なメダルの枚数に相当するものである。
前記各カウンタBC、WC、CCの右方にはチップカウンタTCが表示されている。チップカウンタTCの下部には「1の位」、「10の位」、「100の位」、「1000の位」が表示されている。各位(「1の位」〜「1000の位」)の表示部の上方にはチップアイコンTIが積み重ねられた状態で表示されるようになっている。例えば、「10の位」の表示部に8枚のチップアイコンTIが、また、「100の位」の表示部に3枚のチップアイコンTIが積み重ねられて表示されている場合には、そのプレーコーナには380枚の払い出し可能なメダルが貯留されていることとなる((3枚×100)+(8枚×10))。すなわち、クレジットカウンタCCに表示されている数字と、チップカウンタTCに表示されているチップアイコンTIの枚数とは一致している。
【0011】
図9に示すように、前記トラックボール16は筐体11の内部に設けられた支持台41、同支持台41の凹部42に回転自在に収容されたボール43及びX方向検出器45X、Y軸方向検出器45Y等より構成されている。前記X方向検出器45X及びY軸方向検出器45Yは、軸受け46に回転可能に支持されたシャフト47と同シャフト47と一体回転可能に支持された円盤48と、同円盤48を挟持するように配置された投光器49及び受光器50より構成されている。X軸方向検出器45Xのシャフト47の軸心は前後方向(図9(a)において上下方向)に延びている。一方、Y方向検出器45Yのシャフト47の軸心は左右方向に延びている。両方向検出器45X、45Yのシャフト47はそれぞれ前記ボール43に接触している。外力を加えてボール43を回転させることにより、各シャフト47はボール43に摺接しながら回転する。すなわち、ボール43を前後方向へ回転させた際にはY軸方向検出器45Yのシャフト47が回転し、ボール43を左右方向へ回転させた際にはX軸方向検出器45Xのシャフト47が回転するようになっている。また、ボール43を斜め方向(右斜め方向及び左斜め方向)へ回転させた際には、両軸方向検出器45X、45Yのシャフト47が共に回転するようになっている。
前記各軸方向検出器45X、45Yの円盤48には複数のスリット51が等間隔で開口形成されている。前記各受光器50は円盤48のスリット51より投光器49からの光を受光するようになっている。すなわち、シャフト47の回転時には、受光器50は投光器49からの光を間欠的に受光するようになっている。受光器50の信号は後述するコントローラCに出力されるようになっている。コントローラCは受光器50からの信号に基づき、各シャフト47の回転量、すなわち、ボール43の回転方向及び回転量を判別するようになっている。つまり、本実施の形態のトラックボール16はロータリエンコーダを使用してボール43の回転方向及び回転量を検出する。
【0012】
図3に示すように、前記モニターディスプレー13には各プレーコーナP1〜P4と対応するカーソルとしてのハンドカーソルHCが表示されている。このハンドカーソルHCは人の手の形態をしている。各ハンドカーソルHCは各プレーコーナP1〜P4別に表示色が異なっている(例えば、本実施の形態では、第1プレーコーナP1のハンドカーソルHCの色は赤、第2プレーコーナP2のハンドカーソルHCの色は緑、第3プレーコーナP3のハンドカーソルHCの色は青、第4プレーコーナP4のハンドカーソルHCの色は白となっている)。各プレーヤは自身のハンドカーソルHCを色により識別する。
各ハンドカーソルHCは前記トラックボール16のボール43を操作することでモニターディスプレー13上を自在に移動する。すなわち、ボール43を右方向に回転させるとハンドカーソルHCも右方向へ移動し、ボール43を前方向に回転させるとハンドカーソルHCも前方向へ移動する。
ハンドカーソルHCはモニターディスプレー13上をボール43を回転させることで自在に移動できるが、自身のチップストックエリアTH1〜TH4以外のチップストックエリアTH1〜TH4、つまり他のプレーヤのチップストックエリアTH1〜TH4には進入することができないよう制御されている。
【0013】
次に、ルーレットゲーム機の電気的構成について説明する。
図11に示すように、カーソル移動手段及びマーキング手段を構成するコントローラCには各プレーコーナP1〜P4のトラックボール16、ホールドボタン17、プットボタン18、メダル払出ボタン19、メダル払い出し装置30がそれぞれ接続されている。また、コントローラCにはモニターディスプレー13及び当たり判定装置31が接続されている。当たり判定装置31はウイル23のボール収容溝24に収容保持されたボールBの位置、すなわち、数字N1を検出してコントローラCに出力するようになっている。コントローラCは当たり判定装置31からの信号に基づいて当たり番号(ボールBが収容保持された数字N1)を判別するようになっている。
【0014】
コントローラCはトラックボール(受光器50)からの入力信号に基づき、ボール43の回転方向及び回転量を判別する。そして、コントローラCは判別したボール43の回転方向及び回転量に基づき、モニターディスプレー13にハンドカーソルHCを移動表示させる。
また、コントローラCは例えば図4(b)に示すように、チップストックエリアTH1(TH2〜TH4においても同様)のチップカウンタTC内において、ハンドカーソルHCが表示されている状態でホールドボタン17からON信号を入力した際(プレーヤによりホールドボタン17が押された際)には、ハンドカーソルHCにその直下に表示されていたチップアイコンTIを把持させた状態で表示させる。コントローラCはホールドボタン17からのON信号の入力回数(プレーヤがホールドボタン17を押した回数)に対応した枚数のチップアイコンTIをハンドカーソルHCに把持させた状態で表示するようになっている(図5参照)。
また、ハンドカーソルHCがチップアイコンTIを把持した状態からトラックボール16のボール43が回転された際には、チップアイコンTIを把持した状態でハンドカーソルHCを移動させる。そして、コントローラCはハンドカーソルHCがベッティングボード26上へ移動し(図7参照)、その状態でプットボタン18からON信号を入力した際(プレーヤによりプットボタン18が押された際)には、ハンドカーソルHCから把持していたチップアイコンTIを消去するとともに、ハンドカーソルHCと対応するベッティングボード26上にマークとしてのチップマークTMをマーキングするようになっている(図8参照)。本実施の形態では、チップマークTMに表示された模様は、各プレーコーナP1〜P4別で相違して表示される。図10は各プレーコーナP1〜P4のチップマークTMの模様を示す図であり、同図の(a)は第1プレーコーナP1のチップマークTM。(b)は第2プレーコーナP2のチップマークTM。(c)は第3プレーコーナP3のチップマーク。(d)は第4プレーコーナP4のチップマークTMである。
また、コントローラCはボール43の回転方向及び回転量からハンドカーソルHCが自身のチップストックエリアTH1〜TH4以外のチップストックエリアTH1〜TH4に侵入すると判断した場合には当該他のチップストックエリアTH1〜TH4の外郭位置に達した段階でチップストックエリアTH1〜TH4方向へのハンドカーソルHCの移動命令をキャンセルする。つまりハンドカーソルHCが当該他のチップストックエリアTH1〜TH4の外郭に達するとその位置で停止することとなる。
【0015】
次に、コントローラCの処理動作を図12のフローチャート図に基づいて説明する。
まず、コントローラCはステップ101において、ベットの入力を開始する。次のステップ102においてはウイル23上へボールBを投入する。ステップ103においては所定時間が経過したかを判別し、ここで、所定時間が経過したと判別した際にはステップ104においてベット入力を締め切り、ステップ105において当たり判定装置31からの出力信号に基づいて入賞数字を判別する。そして、ステップ106において、各チップストックエリアTH1〜TH4の各カウンタBC、WC、CCの表示を変更する。そして、コントローラCは一旦処理を終了し、再度ステップ101へ復帰する。
【0016】
次に上記ルーレットゲーム機をプレーする際の作用について説明する。
まず、メダル投入口15へメダルを投入する。すると、クレジットカウンタCCにはメダルを投入した枚数に対応する数字が表示される。ここで、今回メダルを投入した枚数を1235枚とする。従って、クレジットカウンタCCには図4(a)に示すように「1235」と表示される。なお、ハンドカーソルHCはゲーム開始前にはホームポジションとして、同図のチップストックエリアTH1(TH2〜TH4も同様)上部に待機表示されている。
次にトラックボール16のボール43を下方向へ回転させて、ハンドカーソルHCを下側、すなわち、チップアイコンTI側へ移動させる。そして、ハンドカーソルHCを、希望のチップアイコンTI上まで移動させ、プットボタン18を押す。今回は図4(b)の「10の位」のチップアイコンTI上にハンドカーソルHCを移動させたものとする。この状態でホールドボタン17を押すとハンドカーソルHCの表示がチップアイコンTIを把持した状態に変化する(図5(a)参照)。このとき、ホールドボタン17を押した回数に応じて、ハンドカーソルHCが把持するチップアイコンTIの枚数が変化する。ここではホールドボタン17を2回押したこととする。
従って、図5(a)に示すように、ハンドカーソルHCは「10の位」のチップアイコンTIを2枚把持した状態に変化する。ハンドカーソルHCに把持されたチップアイコンTIには把持したメダルの枚数と同数字が表示される。ここでは「10の位」のチップアイコンTIを2枚把持していることからハンドカーソルHCが把持したチップアイコンTIには「20」と表示される。また、ハンドカーソルHCがチップアイコンTIを把持したと同時に、チップカウンタTCに積み重なって表示されていたチップアイコンTI及びクレジットカウンタCCは減算表示される。
【0017】
さらに、多くのメダルをベットしたい場合、例えば、さらに100枚のメダルをベットしたい場合には、ボール43を左方向に回転させ、ハンドカーソルHCを左方向、すなわち、図5(b)に示すように、「100の位」のチップアイコンTI上に移動させる。そして、ホールドボタン17を1回押してハンドカーソルHCに「100の位」のチップアイコンTIを把持させる。このとき、図6に示すように、「ハンドカーソルHCが把持するチップアイコンTIには「120」と表示されるとともに、チップカウンタTCに積み重なって表示されていた「100の位」のチップアイコンTI及びクレジットカウンタCCは減算表示される。
【0018】
次にボール43を前方に回転させ、図7に示すように、ハンドカーソルHCをチップストックエリアTH1からベッティングボード26上に移動させる。そして、入賞しそうな数字N2上にハンドカーソルHCが把持するチップアイコンTIを移動させる。ここでは、「5」、「6」、「8」、「9」の4数字上に移動されている。予想数字が決定したら、プットボタン18を押すことにより、図8に示すように、前記「5」、「6」、「8」、「9」の4数字の中央部に所定模様のチップマークTMがマーキングされる。ここでマーキングされたチップマークTMには、前記チップアイコンTIに表示されていた数字と同数字(120)が表示される。また、チップマークTMのマーキングと同時に、ハンドカーソルHCからはチップアイコンTIが消去されるとともにベットカウンタBCにはチップマークTMに表示されていた数字と同数字が表示される。
【0019】
このとき、クレジットカウンタCCにまだ数字が表示されている場合、すなわち、まだ、残りのメダルが存在する場合には、上記動作を繰り返すことで、同じプレーコーナTH1(TH2〜TH4)において複数箇所にベット(マーキング)できるようになっている。この場合、ベットカウンタBCの数字はチップマークTMに表示されている数字の合計数字となる。これにより、プレーヤは複数箇所にベットしても、自身が今回のゲームで何枚のメダルをベットしたのかを一目で判別できる。ここで異なるプレーコーナ(ここでは第2プレーコーナP2と第4プレーコーナP4)が同じ数字上にベットした場合には、図8のA矢印にて示すように、チップマークTMの模様が2分割されて表示される。すなわち、チップマークTMの上半分が第2プレーコーナP2の模様に、下半分が第4プレーコーナP4の模様になって表示される。また、同じ数字上に3つのプレーコーナがベットした場合には、チップマークTMは均等に3分割されて表示され、また、同じ数字上に4つのプレーコーナがベットした場合には、チップマークTMは均等に4分割されて表示される。もちろん、この場合も分割された面に各プレーコーナP1〜P4に対応した模様で表示される。
【0020】
なお、ベッティングボード26上にチップマークTMが表示された後、そのチップマークTMの表示位置を変更する際は、ハンドカーソルHCを変更したいチップマークTM上まで移動させ、プットボタン18を押すことにより、チップマークTMはベッティングボード26上から消える。そして、その消えたチップマークTMはハンドカーソルHCに把持された状態に復帰するようになっている。
次に所定時間が経過するとウイル23上にボールBが投入される。そして、当たり判定が行われると、各プレーコーナP1〜P4のチップストックエリアTH1〜TH4の各カウンタBC、WC、CC、TCの表示が変更されるとともに、ベッティングボード26にマーキングされていたマークチップTMが消去される。その後、ハンドカーソルHCを新たな数字N2位置へ移動させ、前記と同様にプットボタン18を押すことで、チップマークTMの表示位置を変更することができる。
【0021】
以上、詳述したように本実施の形態では上記のようにルーレットゲーム機を構成したことにより次のような効果を得ることができる。
(1)本実施の形態では、1台のモニターディスプレー13にベッティングボード26を表示したとともに、各プレーコーナP1〜P4毎にそれぞれ設けられたトラックボール16を操作し、ベッティングボード26上でハンドカーソルHCを移動させて予想数字をベットできるようにした。
すなわち、本実施の形態では、1台のモニターディスプレー13を複数のプレーコーナP1〜P4が共有して使用するようにした。その結果、各プレーコーナP1〜P4のプレーヤは自分がどの数字N2にベットするのかを他のプレーヤや周囲のギャラリーに見せることができるとともに、他のプレーヤがどこにベットするのかもみることができる。これにより、他のプレーヤとの競争意識も高まり、従来技術のルーレットゲーム機よりも大幅に楽しくゲームをプレーすることができる。
(2)ハンドカーソルHCの色を各プレーコーナP1〜P4別に変えてモニターディスプレー13に表示するようにした。これにより、各プレーヤ及び周囲のギャラリーからも、どのプレーヤがどの数字N2にベットしようとしているのかを識別でき、ゲーム開始前からプレーヤ同士のかけひき等が向上され、より面白くルーレットゲームをプレーすることができる。
・ベットする数字N2を決定した後、その数字N2上にチップマークTMがマーキングされるようにした。これにより、数字決定後にハンドカーソルHCを別の位置へ移動させてもどこにベットしたのかをプレーヤ及び周囲のギャラリーも一目で識別でき、一層楽しく、より面白くルーレットゲームを行うことができる。
(3)各プレーコーナP1〜P4別にモニターディスプレー13に表示されるチップマークTMの模様を変えて外部から識別できるようにした。これにより、各プレーヤ及び周囲のギャラリーからも、どのプレーヤがどの数字N2にベットしたかを素早く確認でき、さらに一層楽しく、より面白くルーレットゲームをプレーすることができる。
(4)ハンドカーソルHCは当該ハンドカーソルHCを操作するプレーヤのチップストックエリアTH1〜TH4以外には侵入することができなくなっている。そのため他人のチップアイコンTIにアクセスすることはできず、また、自身のチップストックエリアTH1〜TH4内で他人のハンドカーソルHCと交錯してしまうこともなくどのハンドカーソルHCを操作しているのかわからなくなってしまうということがなく、ゲームが興ざめしてしまうようなことがない。
(5)他のプレーヤがいたずらをして自分のチップアイコンTIをベットしてしまうというゲーム上の支障が生じることがなく、各プレーヤは安心してゲームに専念できる。
【0022】
なお、本発明は次のように具体化してもよい。
・上記実施の形態ではハンドカーソルHCは自身のチップストックエリアTH1〜TH4以外には侵入できなかったが、侵入可能なように設定することも可能である。但し、その場合でも他人のチップアイコンTIにアクセスすることはできない。
・上記実施の形態では、プレーコーナP1〜P4を4コーナ設けて具体化したが、プレーコーナの数は2コーナ以上であればいくら設けて具体化してもよい。もちろん、その場合も各プレーコーナにはそれぞれトラックボール16や各ボタン17,18,19を設けることとなる。
・上記実施の形態では専用メダルを使用して遊技するルーレットゲーム機で具体化したが、硬貨を使用して遊技するものやお菓子や玩具等といった景品を払い出すタイプのルーレットゲーム機として具体化してもよい。
・上記実施の形態では、カーソル移動手段をロータリエンコーダを有するトラックボール16を使用して具体化したが、ジョイスティックを使用してカーソル移動手段を構成してもよい。
すなわち、図13に示すように、ジョイスティック51を構成する支持体52は筐体11に支持されている。支持体52にはレバー53が前後左右自在へ傾倒可能に支持されている。レバー53の上端には筐体11から突出するグリップ54が取着されている。レバー53の下端にはリング55が支持されている。また、支持体52には前記グリップ54を包囲するように前後左右にマイクロスイッチSW1,SW2,SW3,SW4が取着されている。
同図(b)に示すように、レバー53が中立状態の際には、リング55はいずれのマイクロスイッチSW1〜SW4にも接触しておらず、マイクロスイッチSW1〜SW4からはON信号は出力されない。この状態ではコントローラ(ここでは図示せず)はハンドカーソルHCを移動させない。例えば、レバー53を後方へ傾倒させた際には、同図(c)に示すように、リング55がマイクロスイッチSW1と接触し、マイクロスイッチSW1からコントローラへON信号が出力される。コントローラCはマイクロスイッチSW1からのみON信号を入力した際には、ハンドカーソルHCを後方に移動させる。また、例えばレバー53を右斜め前方へ傾倒させた際には、同図(d)に示すように、リング55がマイクロスイッチSW2,SW3と接触し、マイクロスイッチSW2,SW3からコントローラへON信号が出力される。コントローラCはマイクロスイッチSW2,SW3からのON信号を入力した際には、ハンドカーソルHCを右斜め前方に移動させる。
このように、レバー53、マイクロスイッチSW1〜SW4を備えたジョイスティック51を使用しても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、その他のジョイスティックとして投受光スイッチを備えたジョイスティックを使用してもよい。
・上記実施の形態では、カーソルとしてのハンドカーソルHCの表示を各プレーコーナP1〜P4別に色分けして外部から識別できるように具体化したが、全ハンドカーソルHCの形態を同一表示させて具体化してもよい。
・上記実施の形態では、カーソルとしてのハンドカーソルHCの表示を各プレーコーナP1〜P4別に色分けして外部から識別できるように具体化したが、色は同一色とし、形状をプレーコーナP1〜P4別に変えて具体化してもよい。例えば、それぞれのハンドカーソルHCにプレーコーナのナンバー(数字)を表示して、外部から各カーソルの識別ができるように具体化してもよい。
・上記実施の形態では、マークとしてのチップマークTMを各プレーコーナP1〜P4別に模様を変えて表示し、外部から識別できるように具体化したが、全プレーコーナP1〜P4のチップマークTMの模様は同一とし、色を変更して各プレーコーナP1〜P4のチップマークTMを識別できるように具体化してもよい。また、チップマークTMの形状を変えて具体化してもよい。
・上記実施の形態では、ルーレット盤12及びベッティングボード26に図形文字としての数字N1,N2を表示して具体化したが、数字N1,N2の代わりにマスコットキャラクタやアルファベット等を表示させて具体化してもよい。
【0023】
本発明の目的を達成するために上記実施の形態から把握できるその他の技術的思想について下記に付記として説明する。
(1)前記マークは仮想チップ(上記実施の形態ではチップアイコンTI)の形状として表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のルーレットゲーム機。
これによってよりゲームの臨場感が増す。
(2)前記マークは前記カーソルの移動に伴って一体的に移動可能であることを特徴とする請求項1〜3若しくは付記1のいずれかに記載のルーレットゲーム機。
(3)前記マークのクレジット値はクレジット値カウント手段(上記実施の形態ではホールドボタン17)を操作することによって同マーク上に表示されることを特徴とする請求項1〜3若しくは付記1又は2のいずれかに記載のルーレットゲーム機。
(4)前記カーソルは手の形状に表示され、前記マークは同カーソルによって把持されるように表示されることを特徴とする請求項1〜3若しくは付記1〜3のいずれかに記載のルーレットゲーム機。
これによってあたかも手でマーク(例えば仮想チップ)を持っているかのような表示となってよりゲームの臨場感が増す。
(5)前記マーキングされた異なるマークは、同一位置に配置される場合には前記ディスプレー上に合成された単一マークとして表示されることを特徴とする請求項1〜3若しくは付記1〜4のいずれかに記載のルーレットゲーム機。
これによって多数のプレーヤが同一場所にベットした場合のマークの見にくさが解消される。例えば上記実施の形態では図8のチップマークTM等がこれに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態のルーレットゲーム機の斜視図。
【図2】ルーレットゲーム盤の平面図。
【図3】ベッティングボード、チップストックエリアを表示したモニターディスプレーの平面図。
【図4】(a)はハンドカーソルがホームポジション位置にある状態のチップストックエリア周辺の平面図。(b)はチップアイコンを把持する寸前のチップアイコンとハンドカーソルの関係を示すチップストックエリア周辺の平面図。
【図5】(a)はハンドカーソルがチップアイコンを把持した状態のチップアイコンとハンドカーソルの関係を示すチップストックエリア周辺の平面図。(b)は(a)の状態から隣の位のチップアイコン上へ移動したハンドーソルとチップアイコンの関係を示すチップストックエリア周辺のプレーコーナの平面図。
【図6】図5の(a)とは異なる位のチップアイコンを把持したハンドーソルとチップアイコンの関係を示すチップストックエリア周辺の平面図。
【図7】ベッティングボード上にチップアイコンを把持したハンドカーソルが表示されている状態のモニターディスプレー及び各操作系の平面図。
【図8】第1プレーコーナ周辺のモニターディスプレー及び操作部材の平面図。
【図9】(a)はトラックボールの内部構造を示す模式的な平面図。(b)はトラックボールの内部構造を示す模式的な側面図。
【図10】(a)は第1プレーコーナのチップマーク。(b)は第2プレーコーナのチップマーク。(c)は第3プレーコーナのチップマーク。(d)は第4プレーコーナのチップマーク。
【図11】電気的な構成を示すブロック図。
【図12】コントローラの処理内容を示すフローチャート図。
【図13】(a)は別実施の形態におけるジョイスティックの模式的な側面図。(b)はジョイスティックのレバーが中立状態のマイクロスイッチとリングとの関係を示す平面図。(C)はジョイスティックのレバーが下方向に傾倒された状態のマイクロスイッチとリングとの関係を示す平面図。(d)はジョイスティックのレバーが右斜め前方向へ傾倒された状態のマイクロスイッチとリングとの関係を示す平面図。
【符号の説明】
【0025】
12…ルーレット盤、13…モニターディスプレー、16…カーソル移動手段を構成するトラックボール、18…マーキング手段を構成するプットボタン、HC…カーソルとしてのハンドカーソル、C…カーソル移動手段及びマーキング手段を構成するコントローラ、TI…マーク、仮想チップとしてのチップアイコン、N1…図形文字としての数字、N2…図形文字としての数字。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各プレーコーナ毎に異なるチップアイコンを表示させるルーレット盤と、
前記ルーレット盤に表示されている図形文字と同じ図形文字を表示する1台のモニターディスプレーと、
前記モニターディスプレー上に移動可能に表示される複数のカーソルと、
前記各カーソルをモニターディスプレー上の任意の位置へ移動させる前記プレーコーナ毎に設定されたカーソル移動手段と、
前記カーソルの移動とともに前記チップアイコンを前記プレーコーナから移動させるようにするチップアイコン移動手段と、
前記カーソルが移動した位置におけるモニターディスプレー上へ前記チップアイコンをチップマークとしてマーキング表示するマーキング手段とを備えたルーレットゲーム機において、
前記モニターディスプレー上にはベッティングボードと、前記プレーコーナ毎に当該プレーヤのチップアイコンが表示されるチップストックエリアとが表示され、前記カーソルと一体的に前記モニターディスプレー上に移動した前記チップアイコンは、同ベッティングボード上のベット位置でマーキング手段によってチップマークとしてマーキング表示されるとともに、
同カーソルは当該カーソルを使用するプレーヤの前記チップストックエリアに表示される前記チップアイコンのみにアクセスでき、他の同チップストックエリアの同チップアイコンにはアクセスできないことを特徴とするルーレットゲーム機。
【請求項2】
前記カーソルは手の形状に表示され、前記チップアイコンは同カーソルによって把持されるように表示されることを特徴とする請求項1に記載のルーレットゲーム機。
【請求項3】
前記カーソルは当該カーソルに対応するカーソル移動手段が配置された前記チップストックエリア以外のチップストックエリアには侵入できないことを特徴とする請求項1又は2に記載のルーレットゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−215785(P2007−215785A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40064(P2006−40064)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000207702)大平技研工業株式会社 (7)