説明

レギュレータ回路

【課題】 レギュレータ回路の保護機能が動作するタイミングを、レギュレータ回路等の状態に応じて変化させることができない。
【解決手段】 異なる短絡電流値が設定された複数の短絡保護回路32と、異なる最大出力電流値が設定された複数の最大出力電流制御回路31とを備える。そして、回路選択部30が、レギュレータ回路15や機器20の状態に応じて、電流制限回路16として用いる短絡保護回路と最大出力電流制御回路とを選択して、切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流定電圧源として用いられるレギュレータ回路に関し、特に、出力する電流を制限するレギュレータ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来のレギュレータ回路42を含むシステムの回路構成を示す回路図である。図10には、レギュレータ回路42の出力端に、負荷容量45、負荷抵抗46、およびレギュレータ回路42の電力供給先である機器47が接続されていることが例示されている。
【0003】
図11は、従来のレギュレータ回路47に入力される信号と出力する電圧と電流とを示す説明図である。図11には、レギュレータ回路が起動すると、突入電流が発生することが示されている。
【0004】
複数のレギュレータ回路を含むシステムにおいて、複数のレギュレータ回路が同時に起動すると突入電流のピークが重なり、レギュレータ回路に供給される電圧が低下したり、レギュレータ回路および出力負荷が過電流によって過熱したり故障したりする場合がある。
【0005】
そのような事態を避けるために、個々のレギュレータ回路の起動タイミングをずらすことによって突入電流のピークが重ならないようにする方法がある。しかし、それぞれのレギュレータ回路から電力供給を受けるそれぞれの負荷が同時に起動する必要がある場合などには、各レギュレータ回路の起動タイミングをずらすことができない。
【0006】
また、一般に、レギュレータ回路の突入電流の大きさは、電流供給能力に依存するため、レギュレータ回路の電流供給能力を下げて突入電流を減らす方法がある。しかし、電流供給能力を、負荷(図10に示す例では、機器47)が定常動作中に必要とする電流を供給する能力以下に下げることはできない。
【0007】
なお、負荷容量45、負荷抵抗46、または機器47のいずれかが故障して接地電位との短絡状態になると、レギュレータ回路42は大電流を出力し、過熱したり故障したりする場合がある。
【0008】
そのような場合に備え、一般に、レギュレータ回路は、出力電流が予め設定されている最大出力電流値に達すると出力電流を制限する最大出力電流制御機能や、出力端と接地電位との間のインピーダンスが低下して出力電圧が低下した場合に、予め設定されている短絡電流値まで出力電流を減少させる短絡保護機能を有する。図10に示す例では、電流制限回路43がそれらの機能を実現する。
【0009】
図12は、電流制限回路43が動作した場合の出力電圧−出力電流特性を示す説明図である。図12では、最大出力電流値がIm、短絡電流値がIsとして例示されている。レギュレータ回路42の電流制限回路43は、出力電流が最大出力電流値に達すると出力電圧を低下させ、出力電流を短絡電流値まで減少させる。
【0010】
また、レギュレータ回路42に、例えば、機器47としてバイブレータが接続され、バイブレータの動作開始や動作停止をレギュレータ回路42の動作開始や動作停止によって制御する場合、バイブレータの起動時にレギュレータ回路42に大負荷がかかり、その後定常状態に遷移する。ここで、レギュレータ回路42等を保護するために、定常状態に合わせて最大出力電流値や短絡電流値を小さく設定すると、大負荷がかかる起動時に電流制限回路43が動作してしまう。その結果、レギュレータ回路42が起動することができなかったり、バイブレータが動作開始しなかったりすることがある。
【0011】
すなわち、レギュレータ回路には、接続されている出力負荷の状態によって、大電流が要求されるときと微少な電流が要求されるときとがある。しかし、従来のレギュレータ回路では、最大出力電流値と短絡電流値とは一定であり、大電流が要求されるときと微少な電流が要求されるときとで、異なる最大出力電流値と短絡電流値とを設定することができない。すなわち、最大出力電流値と短絡電流値とを、レギュレータ回路や機器の状態に応じた最適値に設定することができないという問題がある。
【0012】
特許文献1には、入力された制御信号に応じて、過電流保護回路の動作点を変化させる電源装置が記載されている。
【0013】
特許文献2には、出力電圧に応じて、過電流保護機能が動作する短絡電流値を変化させる装置が記載されている。
【0014】
【特許文献1】特開平9−23644号公報 (段落0010〜0014、図1)
【特許文献2】特開平10−52032号公報 (段落0031〜0044、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、特許文献1に記載されている電源装置は、最大出力電流値と短絡電流値とを個別に設定することができない。
【0016】
また、特許文献2に記載されている装置は、接続されている負荷の状態に応じて、過電流保護機能が動作する短絡電流値を変化させることができない。
【0017】
そこで、本発明は、出力電流を制限する機能が動作するタイミングを切り替えるレギュレータ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によるレギュレータ回路は、接続された機器に電力を供給し、機器に出力する電流を制限する電流制限手段を備えたレギュレータ回路であって、電流制限手段は、機器に出力する電流が予め設定されている最大出力電流値に達すると、機器に出力する電圧を低下させる複数の最大出力電流制御手段と、制御信号にしたがって、複数の最大出力電流制御手段から一の最大出力電流制御手段を選択する回路選択手段とを含み、複数の最大出力電流制御手段には、それぞれ異なる最大出力電流値が予め設定されていることを特徴とする。
【0019】
回路選択手段は、CPUのレジスタ制御インタフェースに接続され、CPUが出力する制御信号にしたがって一の最大出力電流制御手段を選択してもよい。
【0020】
回路選択手段は、機器に出力される電圧を制御信号として、一の最大出力電流制御手段を選択してもよい。
【0021】
回路選択手段は、レギュレータ回路を起動させる信号を所定の時間遅延させる遅延回路を備え、信号を制御信号として、信号が入力されてから所定の時間経過後に一の最大出力電流制御手段を選択してもよい。
【0022】
本発明によるレギュレータ回路は、接続された機器に電力を供給し、機器に出力する電流を制限する電流制限手段を備えたレギュレータ回路であって、電流制御手段は、機器に出力する電圧が所定の電圧以下になると、機器に出力する電流を予め設定されている短絡電流値まで減少させる複数の短絡保護手段と、制御信号にしたがって、複数の短絡保護手段から一の短絡保護手段を選択する回路選択手段とを含み、複数の短絡保護手段には、それぞれ異なる短絡電流値が予め設定されていることを特徴とする。
【0023】
回路選択手段は、CPUのレジスタ制御インタフェースに接続され、CPUが出力する制御信号にしたがって一の短絡保護手段を選択してもよい。
【0024】
回路選択手段は、機器に出力する電圧を制御信号として、一の短絡保護手段を選択してもよい。
【0025】
回路選択手段は、レギュレータ回路を起動させる信号を所定の時間遅延させる遅延回路を備え、信号を制御信号として、信号が入力されてから所定の時間経過後に一の短絡保護手段を選択してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、回路選択手段が、制御信号にしたがって、複数の最大出力電流制御手段または複数の短絡保護手段から、一の最大出力電流制御手段または一の短絡保護手段を選択するため、レギュレータ回路や機器の状態に応じて電流制限手段が動作するタイミングを切り替えることができる。従って、最大出力電流値と短絡電流値とを、レギュレータ回路や機器の状態に応じた最適値に設定することができる。
【0027】
回路選択手段が、CPUのレジスタ制御にしたがって一の最大出力電流制御手段または一の短絡保護手段を選択するように構成されている場合には、CPUが最大出力電流制御手段または短絡保護手段を選択することができる。
【0028】
回路選択手段が、機器に出力する電圧に応じて一の最大出力電流制御手段または一の短絡保護手段を選択するように構成されている場合には、レギュレータ回路の外部から制御することなく、最大出力電流制御手段または短絡保護手段を選択させることができる。
【0029】
回路選択手段は、レギュレータ回路を起動させる信号が入力されてから所定の時間経過後に、一の最大出力電流制御手段または一の短絡保護手段を選択するように構成されている場合には、レギュレータ回路の外部から制御することなく、最大出力電流制御手段または短絡保護手段を選択させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
実施の形態1.
本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明によるレギュレータ回路15を含むシステムの第1の実施の形態の回路構成を示す回路図である。
【0031】
本発明のレギュレータ回路15を含むシステムの第1の実施の形態は、レギュレータ回路15、レギュレータ回路15の出力端に接続された負荷容量18、負荷抵抗19、機器20、およびレギュレータ回路15に電力を供給する電源11を含む。
【0032】
レギュレータ回路15は、演算増幅器(以下、オペアンプという。)1、トランジスタ2、オペアンプ1に基準電圧を入力する基準電圧入力部3、電源11に接続される電力入力端子12、レギュレータ回路15を起動させる起動制御入力端子13、機器20等に電力を供給する出力端子17、出力端子17が出力する電流に応じてレギュレータ回路15が出力する電流を制限する電流制限回路(電流制限手段)16、および電流制限回路16を制御する制御信号を入力する制御信号入力端子14を含む。
【0033】
図2は、電流制限回路16の一構成例を示すブロック図である。電流制限回路16は、短絡保護機能を実現する複数の短絡保護回路31、最大出力電流制御機能を実現する複数の最大出力電流制御回路(最大出力電流制御手段)32、および複数の短絡保護回路(短絡保護手段)のうちの1つと複数の最大出力電流制御回路のうちの1つとを選択する回路選択部(回路選択手段)30を含む。
【0034】
短絡保護回路31は、レギュレータ回路15の出力電圧が所定の値まで低下すると、短絡保護機能として、レギュレータ回路15が出力する電流を予め設定された短絡電流値まで減少させる。なお、各短絡保護回路には、異なる短絡電流値が設定されている。
【0035】
図3は、短絡保護回路31の回路構成を示す回路図である。図3には、電力入力端子12および出力端子17に接続されている短絡保護回路31が例示されているが、短絡保護機能を実現することができれば他の構成の回路であってもよい。
【0036】
最大出力電流制御回路32は、レギュレータ回路15が出力する電流が予め設定された最大出力電流値に達すると、最大出力電流制御機能として、レギュレータ回路15の出力電圧を低下させ、出力電流を減少させる。なお、各最大出力電流制御回路には、異なる最大出力電流値が設定されている。
【0037】
図4は、最大出力電流制御回路32の回路構成を示す回路図である。図4には、電力入力端子12に接続されている最大電流制御回路32が例示されているが、最大出力電流制御機能を実現することができれば他の構成の回路であってもよい。
【0038】
回路選択部30は、制御信号入力端子14に入力された制御信号に応じて、一の短絡保護回路31と一の最大出力電流制御回路32とを選択する。
【0039】
レギュレータ回路15は、起動制御入力端子13に起動信号が入力されると起動し、基準電圧入力部3は、基準電圧をオペアンプ1に入力する。
【0040】
オペアンプ1が出力端から電圧を出力すると、トランジスタ2のゲートに電圧がかかる。トランジスタ2は、ゲートにかかる電圧に応じて出力端子17から出力される電流を制御する。
【0041】
電流制限回路16は、トランジスタ2のゲートにかかる電圧(オペアンプ1の出力端から出力された電圧)を検出してその電圧を制御し、出力端子17が出力する電流を制限する。このとき、電流制限回路16の回路選択部30は、制御信号入力端子14に入力された制御信号に応じて、どの短絡保護回路31とどの最大出力電流制御回路32とを動作させるのかを選択し、切り替える。
【0042】
制御信号入力端子14に入力される制御信号は、例えば、I2C(Inter Integrated Circuit)や、3線式等のシリアルインタフェースを介して入力されるシリアル信号である。
【0043】
なお、第1の実施の形態では、電流制限回路16は、短絡保護回路31a、31b、最大出力電流制御回路32aおよび32bを含むものとする(図2参照)。回路選択部30は、制御信号に従って、短絡保護回路として短絡保護回路31aまたは31bのいずれかを選択し、最大出力電流制御回路として最大出力電流制御回路32aまたは32bのいずれかを選択し、選択した回路に切り替える。
【0044】
短絡保護回路31aには、短絡電流値としてIsaが設定され、短絡保護回路31bには、短絡電流値としてIsbが設定されている。また、最大出力電流制御回路32aには、最大出力電流値としてImaが設定され、最大出力電流制御回路32bには、最大出力電流値としてImbが設定されている。なお、ImaはImbよりも大きい値であり、IsaはIsbよりも大きい値である。
【0045】
図5は、電流制限回路16が動作した場合の出力電圧−出力電流特性を示す説明図である。図5には、回路選択部30が、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路32aとを選択すると、出力端子17が出力する電流がImaに達すると出力電圧が低下し、出力電流がIsaまで減少することが例示されている(図5では点線で示す。)。
【0046】
また、図5には、回路選択部30が、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路31bとを選択すると、出力端子17が出力する電流がImbに達すると出力電圧が低下し、出力電流がIsbまで減少することが例示されている(図5では実線で示す。)。
【0047】
次に、本発明の第1の実施の形態の動作について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の第1の実施の形態の動作を説明する説明図である。
【0048】
起動制御入力端子13にレギュレータ回路15に対して電力供給が開始され、制御信号入力端子14に、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路32bとを選択することを示す制御信号が入力されると(図6では、Lowレベル)、回路選択部30は、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路32bとを選択する。
【0049】
レギュレータ回路15は突入電流を発生し、突入電流は、出力端子17から出力されるが、電流制限回路16は、出力端子17が出力する電流がImbに達するまで動作しない。なお、出力端子17から出力される電流がImbに達すると電流制限回路16が動作し、突入電流のピークを抑制する。
【0050】
そして、レギュレータ回路15の起動が完了(突入電流の発生が終了したことをいう。)して機器20が定常状態に遷移し、制御信号入力端子14に、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路32aとを選択することを示す制御信号が入力されると(図6では、Hiレベル)、回路選択部30は、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路31aとを選択する。
【0051】
ここで、電流制限回路16は、出力端子17が出力する電流がImaに達すると動作し、出力電流をIsaまで減少させる。すなわち、電流制限回路16は、出力端子17が出力する電流が、Imbよりも大きいImaに達すると動作する。
【0052】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、レギュレータ回路15の起動時の突入電流のピークがImb以上になることを防ぐことができるという効果がある。
【0053】
また、この実施の形態によれば、回路選択部30が、レギュレータ回路15の状態や機器20の動作状態に応じた短絡保護電流値が設定されている短絡保護回路31と、最大出力電流値が設定されている最大出力電流制御回路32とをそれぞれ切り替えることができる。
【0054】
従って、起動時に突入電流を減らすために回路選択部30が短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路31bとを選択する場合だけでなく、種々の選択方法を実現することができる。例えば、バイブレータを駆動する場合には、短絡電流を大きくして確実にバイブレータを起動させ、その後、安全のために短絡電流を小さくすることが好ましい。そのような場合には、回路選択部30は、バイブレータの駆動開始時には短絡保護回路31aを選択し、その後、短絡保護回路31bを選択する。
【0055】
また、例えば、起動時には大きな短絡保護電流値が設定されている短絡保護回路31aと、大きな最大出力電流値が設定されている最大出力電流制御回路32aとを用いることにより、レギュレータ回路15や機器20が起動不能になることを防ぐようにすることもできる。そして、レギュレータ回路15および機器20が定常状態に遷移した後は、小さな短絡保護電流値が設定されている短絡保護回路31bと、小さな最大出力電流値が設定されている最大出力電流制御回路32bとを用いる。そのような使用方法では、機器20等の故障による接地電位への短絡時にレギュレータ回路15が出力する電流を小さくすることができ、レギュレータ回路15から過電流が出力されることを防ぎ、安全性を高めることができるという効果がある。
【0056】
なお、電流制限回路16は、動作条件の異なる3以上の短絡保護回路と最大出力電流制御回路とをそれぞれ備えていてもよく、回路選択部30は、3以上の短絡保護回路と最大出力電流制御回路とから、それぞれ一の短絡保護回路と最大出力電流制御回路とを選択して切り替えてもよい。そのように構成した場合には、よりレギュレータ回路15の状態や機器20の動作状態に応じた短絡保護電流値が設定されている短絡保護回路と、最大出力電流値が設定されている最大出力電流制御回路とに切り替えることができる。
【0057】
実施の形態2.
本発明の第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。図7は、本発明によるレギュレータ回路の第2の実施の形態の回路構成を示す回路図である。
【0058】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の各構成要素がCPU等の制御手段40によって制御される装置に搭載され、回路選択部30が制御手段40によって制御される点が第1の実施の形態と異なる。また、機器20も、制御手段40によって制御される。なお、第1の実施の形態と同様な各構成要素には図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0059】
回路選択部30は、制御手段40を実現するCPUのレジスタ用インタフェースに接続され、レジスタ制御で制御される。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態の動作について説明する。以下、第2の実施の形態において各構成要素が搭載されている装置は、携帯電話機であることを例に説明する。
【0061】
ユーザが携帯電話機の操作部(図示せず)を操作して、画像撮影機能の実行の指示を入力した場合、制御手段40は、画像撮影機能を実現する機器20(例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の光電変換素子)に電力を供給するレギュレータ回路15の起動制御入力端子13にレギュレータ回路15を起動させる電力を入力させ、回路選択部30に、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路32bとを選択させる。制御手段40は、機器20を起動させる。つまり、レギュレータ回路15および機器20の起動時には、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路32bとが選択される。
【0062】
そして、制御手段40は、機器20の画像撮影機能の起動後に、回路選択部30に、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路32aとを選択させる。
【0063】
また、ユーザが携帯電話機の操作部を操作して発信の指示を入力したり、着信したりした場合、制御手段40は、無線信号の送受信を行う機器20(例えば、無線通信モジュール)に電力を供給するレギュレータ回路15の起動制御入力端子13にレギュレータ回路15を起動させる電力を入力させ、回路選択部30に、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路32aとを選択させる。つまり、大電流が必要とされる通話時には、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路32aとが選択される。
【0064】
そして、制御手段40は、通話終了後に、回路選択部30に、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路32bとを選択させる。つまり、大電流が必要とされない待ち受け時には、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路32bとが選択される。
【0065】
また、着信時等にバイブレータを駆動する場合には、制御手段40は、バイブレータ駆動を実現する機器20に電力を供給するレギュレータ回路15の起動制御入力端子13にレギュレータ回路15を起動させる電力を入力させ、回路選択部30に、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路32aとを選択させるようにしてもよい。その場合には、大電流が必要とされるバイブレータの起動時には、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路32aとが選択される。
【0066】
そして、その場合には、制御手段40は、機器20が定常状態に遷移すると、回路選択部30に、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路32bとを選択させる。
【0067】
また、この実施の形態では、制御手段40がレジスタ制御で回路選択部30を制御する。一般に、制御手段40を実現するCPUとしての大規模なシステムLSIは、レジスタ制御用インタフェースを備えている。そのため、第1の実施の形態の効果に加え、CPUの端子の数を増加させ、パッケージサイズを増大させることなく回路選択部30を制御することができるという効果がある。
【0068】
なお、電流制限回路16は、動作条件の異なる3以上の短絡保護回路と最大出力電流制御回路とをそれぞれ備えていてもよい。また、制御手段40は、1ビット以上の情報によるレジスタ制御で回路選択部30を制御し、回路選択部30は、3以上の短絡保護回路と最大出力電流制御回路とから、それぞれ一の短絡保護回路と最大出力電流制御回路とを選択してもよい。そのように構成した場合には、よりレギュレータ回路15の状態や機器20の動作状態に応じた短絡保護電流値が設定されている短絡保護回路と、最大出力電流値が設定されている最大出力電流制御回路とに切り替えることができる。
【0069】
実施の形態3.
本発明の第3の実施の形態について、図面を参照して説明する。図8は、本発明によるレギュレータ回路の第3の実施の形態の回路構成を示す回路図である。
【0070】
本発明の第3の実施の形態は、回路選択部30が、レギュレータ回路15が出力する電圧に応じて短絡保護回路と最大出力電流制御回路とを選択する点が第1の実施の形態と異なる。そのため、第1の実施の形態と同様な構成要素には図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0071】
回路選択部30は、出力端子17に抵抗を介して接続され、レギュレータ回路15が出力する電圧を測定する。そして、測定した電圧に応じてレギュレータ回路15および機器20が起動時であるのか、または定常状態に遷移しているのかを判断する。
【0072】
回路選択部30は、起動時であると判断すると、例えば、短絡保護回路31bと最大出力電流制御回路32bとを選択する。その場合、回路選択部30は、定常状態に遷移していると判断すると、短絡保護回路31aと最大出力電流制御回路32aとを選択する。
【0073】
この実施の形態では、レギュレータ回路15に外部から制御信号を入力することなく短絡保護回路と最大出力電流制御回路とを切り替えることができるという効果がある。
【0074】
なお、以上に述べた各実施の形態では、回路選択部30は、短絡保護回路と最大出力電流制御回路とを同時に切り替えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、回路選択部30は、短絡保護回路と最大出力電流制御回路とを異なるタイミングで切り替えてもよいし、短絡保護回路と最大出力電流制御回路とのうち、いずれかの回路のみを選択してもよい。
【0075】
図9は、最大出力電流制御回路のみを選択した場合の出力電圧−出力電流特性を示す説明図である。図9には、出力電流がImに達して出力電圧が低下しても、出力電流を減少させない(図9の点線で示すようには出力電流を減少させない)。
【0076】
具体的には、例えば、機器20がバイブレータのように起動時に高負荷になる場合、突入電流によって短絡保護機能が動作することを防ぐため、回路選択部30は、最大出力電流制御回路のみを選択し、短絡保護回路を選択しなくてもよい。また、最大出力電流制御回路を切り替えずに、短絡保護回路のみを、より大きな短絡電流値が設定されている短絡保護回路に切り替えてもよい。
【0077】
また、電流供給能力の低いレギュレータ回路の場合、短絡電流値を最大出力電流値よりも小さく設定できない場合がある。そのような場合には、回路選択部30は、最大出力電流制御回路のみを切り替えてもよい。
【0078】
また、回路選択部30と起動制御入力端子13とを接続し、回路選択部30は、起動制御入力端子13に入力された信号の立ち上がり時間を所定の時間遅延させるCR遅延回路を備えていてもよい。そして、回路選択部30は、起動制御入力端子13に信号が入力されてから所定の遅延時間経過後に、例えば、短絡保護回路31bおよび最大出力電流制御回路32bから、短絡保護回路31aおよび最大出力電流制御回路32aに切り替えてもよい。
【0079】
なお、以上に述べた各実施の形態では、レギュレータ回路が1つの場合について説明したが、本発明を複数のレギュレータ回路を含むシステムに適用してもよい。本発明を複数のレギュレータ回路を含むシステムに適用した場合には、各レギュレータ回路の突入電流のピークを抑制することができるため、各レギュレータ回路に電力を供給している電源の電圧の低下を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、レギュレータ回路を搭載した携帯電話機等の電気機器に適用することができる。特に、複数のレギュレータ回路を搭載した電気機器に適用した場合に、より効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明によるレギュレータ回路を含むシステムの第1の実施の形態の回路構成を示す回路図である。
【図2】電流制限回路の一構成例を示すブロック図である。
【図3】短絡保護回路の回路構成を示す回路図である。
【図4】最大出力電流制御回路の回路構成を示す回路図である。
【図5】電流制限回路が動作した場合の出力電圧−出力電流特性を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の動作を説明する説明図である。
【図7】本発明によるレギュレータ回路の第2の実施の形態の回路構成を示す回路図である。
【図8】本発明によるレギュレータ回路の第3の実施の形態の回路構成を示す回路図である。
【図9】最大出力電流制御回路のみを選択した場合の出力電圧−出力電流特性を示す説明図である。
【図10】従来のレギュレータ回路を含むシステムの回路構成を示す回路図である。
【図11】従来のレギュレータ回路に入力される信号と出力する電圧と電流とを示す説明図である。
【図12】従来の電流制限回路が動作した場合の出力電圧−出力電流特性を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1 オペアンプ
2 トランジスタ
3 基準電圧入力部
11 電源
12 電力入力端子
13 起動制御入力端子
14 制御信号入力端子
15 レギュレータ回路
16 電流制限回路
17 出力端子
18 負荷容量
19 負荷抵抗
20 機器
30 回路選択部
31 短絡保護回路
32 最大出力電流制御回路
40 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された機器に電力を供給し、前記機器に出力する電流を制限する電流制限手段を備えたレギュレータ回路において、
前記電流制限手段は、前記機器に出力する電流が予め設定されている最大出力電流値に達すると、前記機器に出力する電圧を低下させる複数の最大出力電流制御手段と、
制御信号にしたがって、複数の最大出力電流制御手段から一の最大出力電流制御手段を選択する回路選択手段とを含み、
複数の最大出力電流制御手段には、それぞれ異なる最大出力電流値が予め設定されている
ことを特徴とするレギュレータ回路。
【請求項2】
回路選択手段は、CPUのレジスタ制御インタフェースに接続され、前記CPUが出力する制御信号にしたがって一の最大出力電流制御手段を選択する
請求項1記載のレギュレータ回路。
【請求項3】
回路選択手段は、機器に出力される電圧を制御信号として、一の最大出力電流制御手段を選択する
請求項1記載のレギュレータ回路。
【請求項4】
回路選択手段は、レギュレータ回路を起動させる信号を所定の時間遅延させる遅延回路を備え、前記信号を制御信号として、前記信号が入力されてから所定の時間経過後に一の最大出力電流制御手段を選択する
請求項1記載のレギュレータ回路。
【請求項5】
接続された機器に電力を供給し、前記機器に出力する電流を制限する電流制限手段を備えたレギュレータ回路において、
前記電流制御手段は、機器に出力する電圧が所定の電圧以下になると、前記機器に出力する電流を予め設定されている短絡電流値まで減少させる複数の短絡保護手段と、
制御信号にしたがって、複数の短絡保護手段から一の短絡保護手段を選択する回路選択手段とを含み、
複数の短絡保護手段には、それぞれ異なる短絡電流値が予め設定されている
ことを特徴とするレギュレータ回路。
【請求項6】
回路選択手段は、CPUのレジスタ制御インタフェースに接続され、前記CPUが出力する制御信号にしたがって一の短絡保護手段を選択する
請求項5記載のレギュレータ回路。
【請求項7】
回路選択手段は、機器に出力する電圧を制御信号として、一の短絡保護手段を選択する
請求項5記載のレギュレータ回路。
【請求項8】
回路選択手段は、レギュレータ回路を起動させる信号を所定の時間遅延させる遅延回路を備え、前記信号を制御信号として、前記信号が入力されてから所定の時間経過後に一の短絡保護手段を選択する
請求項5記載のレギュレータ回路。
【請求項9】
電流制限手段は、機器に出力する電流が予め設定されている最大出力電流値に達すると、前記機器に出力する電圧を低下させる複数の最大出力電流制御手段を含み、
回路選択手段は、制御信号にしたがって、複数の最大出力電流制御手段から一の最大出力電流制御手段を選択し、
複数の最大出力電流制御手段には、それぞれ異なる最大出力電流値が予め設定されている
請求項5から請求項8のうちのいずれか1項に記載のレギュレータ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−350874(P2006−350874A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178689(P2005−178689)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】