説明

レコードプレーヤ装置

【課題】 レコード盤をターンテーブルに載置して回転させピックアップ手段によって音声信号をピックアップさせる際に、その音声信号がノーマル演奏で得られるものとは異なり且つ熟練を必要とせずに意味のある音声信号を所望通りに得ることを目的とする。
【解決手段】
一定の回転の速さで回転されるとピックアップされる音声信号の音の高さが常に一定であるレコード盤14を載置して回転駆動するターンテーブル2及びターンテーブル2を回転駆動する回転出力モータ3を備え、更に、所望の高さの音を得るためのリクエスト信号を受けると、レコード盤14の回転する速度がリクエスト信号に対応した高さの音がピックアップ手段4にピックアップされるように、回転出力モータ3の回転の速度を制御する制御手段5を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来のレコードプレーヤ装置は、ターンテーブルに載置されたレコード盤を、例えば毎分当りに33回1/3、45回等のように一定の回転速度で回転させていた。
このレコードプレーヤ装置によるレコード盤の回転の際に、ピックアップ手段はレコード盤の溝部と相対的に摺動して記録されている音声信号がピックアップされることになる。つまり、レコードプレーヤ装置のレコード盤演奏が得られることになる。
【0002】
他方、レコードプレーヤ装置のターンテーブルの回転に演奏者が力を加えることによって本来の回転速度に対し演奏者が故意に回転の速さを変えたり、逆方向に回転させること等により、ノーマル演奏とは異なる音声信号をピックアップさせるという、所謂スクラッチ演奏方法が知られている。
【背景技術】
【0003】
レコードプレーヤ装置によってレコード盤から得られる音声信号は、上述したものが広く知られている。
これらのレコード盤の演奏つまり回転されているレコード盤から音声信号をピックアップする方法に対して、ターンテーブルを回転駆動する回転出力モータの出力そのものを制御することによって、通常の演奏による音声信号とは異なる音声信号を得るものとして、以下の文献に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−233201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開平9−233201号公報に示されたレコードプレーヤ装置では、毎分当りに33回1/3、45回等の通常のノーマル回転で得られる音声信号に対して異なった特異な音声信号がピックアップされることになる。
しかしながら、ここで得られる特異な音声信号は、ノーマル回転で得られる音声信号と異なっているというだけであって、音声上何らかの特定の意味を持った音声信号を得て結果的に演奏上で確実に意味を持つとは言えないという問題があった。
【0006】
又、特開平9−233201号公報に示されたレコードプレーヤ装置はスクラッチ演奏を行うことが可能とも考えられるが、回転出力モータの出力を制御することによってスクラッチ演奏を行うには多大な熟練を必要とする問題が考えられる。
【0007】
つまり、特開平9−233201号公報に示されたレコードプレーヤ装置によるレコード盤の演奏では、演奏上所望通りの音声信号或いは特定の音声信号を得ることはできなかった。又、他のレコードプレーヤ装置においても、スクラッチ演奏によるノーマル演奏とは異なった演奏で所望の演奏を行うには熟練が要求されていた。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、レコード盤をターンテーブルに載置して回転させピックアップ手段によって音声信号をピックアップする際に、その音声信号がノーマル演奏で得られる音声信号とは異なっていて且つ演奏上意味を持つ音声信号を熟練を必要とせずに所望通りに得ることが可能なレコードプレーヤ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、所望の高さの音を出力するように、レコード盤を載置し回転するターンテーブルの回転の速さを前記所望の高さの音に対応付けて回転するように構成したレコードプレーヤ装置である。
【0010】
その詳細な構成は、レコード盤を載置して回転するターンテーブルと、そのターンテーブルを所望の速度で回転させ得る回転出力モータと、前記ターンテーブルに載置されて回転されるレコード盤に摺動してそのレコード盤から音声信号をピックアップするピックアップ手段が備えられ、
一定の回転の速さで回転しているターンテーブルに載置され回転されている際にピックアップ手段でピックアップされる音の高さが常に一定であるレコード盤を、上記ターンテーブルに載置し、上記ピックアップ手段によってそのレコード盤から音声信号をピックアップする場合、所望の高さの音を得るためのリクエスト信号を受けると、上記ピックアップ手段に対するレコード盤の回転の速度が対応して前記所望の高さの音を上記ピックアップ手段がピックアップするように、上記回転出力モータの回転の速度を制御し得る制御手段が具備されてなるレコードプレーヤ装置である。
【0011】
斯かる構成のレコードプレーヤ装置は、所望の高さの音の出力の求めるリクエスト信号が入力されると、制御手段はピックアップ手段に対するレコード盤の回転の速度が対応して所望の高さの音をピックアップ手段がピックアップし得るように回転出力モータの回転の速度を制御する。
【0012】
又、リクエスト信号を出力する手段は具体的に、シーケンサ、鍵盤式の電子楽器、ピッチコントローラが挙げられる。
【0013】
つまり、シーケンサ及び鍵盤式の電子楽器からリクエスト信号を出力する場合にはピッチコントローラからの信号はディジタル信号であり、デコーダでアナログ信号に変換して制御手段にクエスト信号を送ることになる。
他方、ピッチコントローラからリクエスト信号を出力する場合にはピッチコントローラからの信号はアナログ信号であってスクラッチ演奏と同様に無段階であり、制御手段に直接にリクエスト信号を送ることが可能である。
【0014】
加えて、ピックアップ手段によってレコード盤からピックアップされた音声信号の音色を変換する手段が備えられた構成も挙げられる。
【0015】
斯かる構成により、一定の回転の速さで回転しているターンテーブルに載置され回転されている際にピックアップ手段でピックアップされる音の高さが常に一定であるレコード盤であっても、この発明のレコードプレーヤ装置で再生演奏を行うと所望の高さあって且つ複数の音色の音を出力させることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、所望の高さの音を得るためのリクエスト信号を受けると、ターンテーブルを回転駆動する回転出力モータの回転の速度を対応させる得る制御手段を具備して構成したことにより、一定の回転の速さで回転されている際にピックアップされる音の高さが常に一定であるレコード盤をターンテーブルに載置して演奏を行うと、リクエスト信号に基づいて前記レコード盤が対応する速度で回転されて、リクエスト信号に対応する高さの音の音声信号を出力させ得るレコードプレーヤ装置である。
【0017】
又、この発明は、所望の高さの音をリクエスト信号として出力する手段として、シーケンサ、鍵盤式の電子楽器等とすることにより、楽器演奏のように対応する高さの音の音声信号を出力させ得るレコードプレーヤ装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明を、図1及び図2に示す実施の形態例に基づき詳述する。しかし、この実施の形態例によって、この発明が限定されるものではない。
レコードプレーヤ装置1は、図1に示すように、ターンテーブル2と、回転出力モータ3と、ピックアップ手段4と、制御手段5と、鍵盤式の電子楽器である出力端子付きのキーボード6と、シーケンサ7と、デコーダ8と、ピッチコントローラ9と、VCA10と、増幅手段11と、スピーカ12と、切換えスイッチ13が備えられている。
尚、14は、レコード盤である。
【0019】
ターンテーブル2は、レコード盤14を載置して回転させるものである。
回転出力モータ3は、制御手段5からのドライバ信号に基づいてターンテーブル2を所望の速度で回転させるものである。
ターンテーブル2は、載置して演奏するレコード盤14の回転速度の制御が大きな意味を持つことから、出力させたい回転速度に誤差が生じないように、ターンテーブル2は回転出力モータ3にダイレクトドライブされる構成になっている。
又、回転出力モータ3には、制御目標の回転速度で回転してことを検出するためのタコメータ(図示省略)が備えられている。
【0020】
ピックアップ手段4は、その針部(図示省略)がターンテーブル2に載置されて回転されるレコード盤14の音溝に相対的に摺動し、レコード盤14から音声信号をピックアップするものである。
【0021】
制御手段5は、ピックアップ手段4がレコード盤14から所望の高さの音をピックアップするようにキーボード6、シーケンサ7及びピッチコントローラ9のいずれからリクエスト信号を受けると、そのリクエスト信号に対応する速度でターンテーブル2が回転されるように、回転出力モータ3の出力を制御するものである。
つまり、制御手段5は、キーボード6、シーケンサ7及びピッチコントローラ9のいずれからリクエスト信号を受けると、ピックアップ手段4に対するレコード盤14の相対的な回転摺動の速度がそのリクエスト信号の求めている高さの音になるように、その回転摺動の速度に対応する速度でターンテーブル2を回転するように回転出力モータ3の出力を制御するものである。
【0022】
制御手段5は詳細には、キーボード6を演奏操作することで鍵盤を押圧すると、各鍵盤からその鍵盤を特定するノートナンバーデータがデコーダ8に出力するが、ノートナンバーデータはその特定した鍵盤に対応する高さの音を出力するために必要とする回転出力モータ3の単位当りの回転数を示す値である。
制御手段5は、キーボード6を演奏操作していない場合はキーボード6からの信号は入力されないから、ターンテーブル2が規定回転数で回転するように回転出力モータ3の回転を制御する。
【0023】
尚、制御手段5の回転出力モータ3に対するドライブが所定通りに行われることを確保するために、制御手段5は、回転出力モータ3から出力される上記タコメータの周波数フィードバック信号を受けて、回転数誤差が最小になるようにドライブ電圧調整して回転出力モータ4の回転出力を制御するように構成されている。
【0024】
キーボード6、シーケンサ7及びピッチコントローラ9はいずれも、ピックアップ手段4がレコード盤14から所望の高さの音をピックアップするようにと、リクエスト信号を出力させるためのものである。
【0025】
キーボード6は具体的に出力端子(図示省略)から、鍵盤がピアノ等の鍵盤楽器と同様に配列されており且つそれぞれの鍵盤が他の鍵盤楽器と同様に対応した高さの音を指定しており、それぞれの鍵盤を押圧すると、つまり、所望の鍵盤を押圧して発生させるべき高さの音を指定する若しくはその押圧を解除すると、この指定に対応して音楽演奏をリアルタイムでMIDIデータを生成して出力する構成になっている。ものである。
【0026】
ここで、MIDIデータは、ステータスデータと、ノートナンバーのデータ及びベロシティのデータを含んで構成されている。
ステータスデータは、ノートオンを意味する「9」及びノートオフを意味する「8」に対して、チャンネル番号を意味する値が付加されて決定される「9n」及び「8n」で表現されている。
ノートナンバーのデータは、操作対象の鍵盤の番号を特定する番号である。
ベロシティのデータは、鍵盤を操作する際の押圧及び押圧解除の速さを意味する値である。
つまり、例えば西洋音楽の音階では、図2に示すように、「ド」の音の高さの音について鍵盤を押圧操作する場合は、ステータスデータは91で、ノートナンバーのデータは48と決められており、ベロシティのデータとして127が設定されている。
他方、「ド」の高さの音の押圧解除操作では、ステータスデータは81で、ノートナンバーのデータは48と決められており、ベロシティのデータとして127が設定されている。
【0027】
尚、キーボード6において、鍵盤の押圧による演奏入力情報がリアルタイムに変換されたMIDIデータは、各鍵盤を押圧したり放したりする動作によってノートオン/オフデータに変換して出力する出力信号と、各鍵盤には鍵盤番号がそれぞれ割当てられており、操作した鍵盤に対応したノートナンバーデータに変換して出力する出力信号と、鍵盤を押圧する早さ(強さ)をベロシティデータに変換して出力する出力信号を含んで構成されている。
【0028】
シーケンサ7は、電子楽器からの演奏情報であるMIDIデータを記録し、その記録したMIDIデータを再生つまり自動演奏を行うものである。
シーケンサ7は更に、演奏情報を直接に入力すると、演奏つまりMIDIデータの出力を行うことが可能な構成にもなっている。
【0029】
ピッチコントローラ9は、使用者がスライド操作することによってアナログ的に電圧変化を行い、この電圧変化をアナログのリクエスト信号として制御手段5に出力する構成になっている。
ピッチコントローラ9からのリクエスト信号はアナログ信号であることより、レコード演奏のスクラッチ演奏のように、操作者の操作能力や感性が極めて素直にリクエスト信号として生成することが可能になっている。
【0030】
ピッチコントローラ9の操作は、操作レバー(図示省略)が0位置においてターンテーブル2が規定回転数、例えば毎分33回転と1/3若しくは45回転を得、操作レバーを+にスライド操作するとターンテーブル2の回転が規定回転数よりも大きな回転数になるように、−にスライド操作するとターンテーブル2の回転が規定回転数よりも小さい回転数になるようにリクエスト信号が生成・出力される構成になっている。
【0031】
ピッチコントローラ9はここではスライド式に操作する構成になっているが、勿論、回転式に操作する構成であってもよい。
又、ピッチコントローラ9は、分解能の高いエンコーダを用いて操作上で無段階に近似させて恰もアナログ数値のように操作が可能な構成のものも挙げられる。
【0032】
デコーダ8は、キーボード6若しくはシーケンサ7からリクエスト信号であるMIDIデータを入力すると、レコードプレーヤ装置で演奏に必要とする、鍵盤の押圧・押圧解除に対応するノートオン・オフデータ、操作する鍵盤の位置に相当するノートナンバーデータ、鍵盤を押圧する速さ(強さ)に対応するベロシティデータをそれぞれ取出し、制御手段5及び音量制御手段であるVCA10にそれぞれが必要とするデータに変換して出力するものである。
ここで、キーボード6からリクエスト信号であるMIDIデータのノートオン・オフデータとは、鍵盤を押圧・押圧解除の操作することによって音量制御電圧出力スイッチが音量制御電圧の出力状態(ON−OFF)を制御するように対応付けるためのデータである。
【0033】
又、MIDIデータのノートナンバーデータとは操作対象の鍵盤を特定するためのデータである。
つまり、ノートナンバーデータは、キーボード6で各鍵盤を選択するとその選択した鍵盤に対応したデータを指定することになり、選択した鍵盤に対応する高さの音を得るためにピックアップ手段4に対するレコード盤14の摺動回転の速度が一義的に決まり、レコード盤14がその一義的に決まる速度で回転駆動されるように回転出力モータ3の目標回転数を決定するためのデータである。
【0034】
更に、ベロシティデータはキーボード6の各鍵盤を押圧する早さ又は強さについてのデータであって、VCA10に入力されると押圧操作した鍵盤が速く若しくは強く押圧された、又は、遅く若しくは弱く押圧されたかを判定してピックアップ手段4からの音声信号をその鍵盤操作の速・遅又は強・弱に対応付けて加工し、増幅手段11に出力するものである。
ベロシティデータは具体的に、キーボード6の鍵盤の操作の速・遅又は強・弱を、0V〜5Vの範囲で電圧を変化させて対応付け、VCA10に出力する構成になっている。
【0035】
増幅手段11は、VCA11からの信号を所望の大きさに整えてスピーカ12に出力するものである。
スピーカ12は、増幅手段11からの信号を音声に変換して出力するものである。
切換えスイッチ13は、デコーダ8に対して信号キーボード6及びシーケンサ7からのリクエスト信号を選択切換えするためのものである。
【0036】
レコード盤14は、規定回転数の毎分33回転1/3で回転すると、つまり、ターンテーブル2に載置されて毎分33回転1/3で回転されると、図2に示すように、音溝がピックアップ手段4の針部と摺動して周波数が523.25Hzの高さの音がピックアップされるものである。
尚、周波数が523.25Hzの高さの音は、西洋音楽の七音音階で「ド」の高さの音に対応する。
又、レコード盤14は、規定回転数の毎分45回転で回転するように構成されたものであってもよい。
【0037】
レコード盤14は更に、規定回転数の毎分33回転1/3に比して速い速度で回転されると、その回転速度に対応した高さの音がピックアップされるものである。 つまり、例えば図2に示すように、ターンテーブル2に載置されて規定回転数に比して25.992%増しの速度で回転されると、音溝がピックアップ手段4の針部と摺動して周波数が659.25Hzの高さの音がピックアップ手段4にピックアップされる。
尚、周波数が659.25Hzの高さの音は、西洋音楽の七音音階で「ミ」の高さの音に対応する。
【0038】
レコードプレーヤ装置1は、上述したように構成されている。
以下において、レコード盤14を用いて、レコードプレーヤ装置1の使用について説明する。
【0039】
使用者は、レコードプレーヤ装置1の電源のメインスイッチ(図示省略)をONとし、更に、レコード盤14をターンテーブル2に載置する。
ここで、レコードプレーヤ装置1を出力させると、回転出力モータ3は制御手段5から単位時間あたり規定回転数で回転する旨の制御信号を受けて、毎分当り33回転と1/3で回転する。
ターンテーブル2は、回転出力モータ3からの回転駆動力をダイレクトに受けて、規定回転数である毎分当り33回転と1/3で回転する。
【0040】
ここで、ターンテーブル2に載置されているレコード盤14も同様に、規定回転数の毎分当り33回転と1/3で回転する。
この時、レコード盤14の上記音溝はピックアップ手段4の上記針部と相対的に回転摺動し、ピックアップ手段4は周波数が523.25Hzの高さの音を音声信号をピックアップする。
【0041】
ピックアップ手段4は、ピックアップした音声信号をVCA10に送る。
VCA10は、ピックアップ手段4からの音声信号を入力されると、デコーダ8から制御信号を受けていないのでその儘で増幅手段11に出力するものである。
増幅手段11は、VCA11からの音声信号を入力すると所望の大きさに整えてスピーカ12に出力する。
スピーカ12は、増幅手段11からの音声信号を音声に変換して出力する。
ここで、スピーカ12から出力される音声は周波数が523.25Hzの高さの音であり、西洋音階で「ド」の音である。
【0042】
次に、使用者は、切換えスイッチ13を操作して、リクエスト信号がキーボード6から出力されるように選択する。
ここで、使用者は、キーボード6で「ド」、「ファ」及び「ラ」と四分音符の長さで演奏すると、つまり、キーボード6の「ド」、「ファ」及び「ラ」の鍵盤を四分音符の長さで押圧すると、キーボード6から、押圧した鍵盤に対応した音楽演奏データをリアルタイムでMIDIデータに変換しデコーダ8に出力する。
【0043】
デコーダ8は、キーボード6から「ド」、「ファ」及び「ラ」に係るリクエスト信号であるMIDIデータが入力されると、鍵盤「ド」、「ファ」及び「ラ」の押圧・押圧解除に対応するステータスデータと、「ド」、「ファ」及び「ラ」の鍵盤の番号を特定するノートナンバーのデータ及び鍵盤を押圧する速さ(強さ)を示すベロシティのデータをそれぞれ取出し、制御手段5及び音量制御手段であるVCA10にそれぞれが必要とするデータに変換して出力する。
【0044】
つまり、ステータスデータ、ノートナンバーのデータ及びベロシティのデータは、図2に示すように、鍵盤「ド」についてノートオンデータは91でノートオフデータは81で、ノートナンバーのデータは48で、ベロシティのデータは127である。
鍵盤「ファ」については、ノートオンデータは91でノートオフデータは81で、ノートナンバーのデータは53で、ベロシティのデータは127である。
鍵盤「ラ」については、ノートオンデータは91でノートオフデータは81で、ノートナンバーのデータは57で、ベロシティのデータは127である。
【0045】
制御手段5は、デコーダ8から四分音符の長さの「ド」、「ファ」及び「ラ」に対応するノートオンデータ・ノートオフデータ、ノートナンバーデータ、ベロシティデータを入力すると、回転出力モータ3に、四分音符に対応する時間長さだけ回転出力モータ3がそれぞれ規定回転数で、規定回転数に比して33.483%だけ速い毎分44.495回転で及び規定回転数に比して68.180%だけ速い毎分56.060回転で回転させるための制御信号を出力する。
ここで、回転出力モータ3は制御手段5からの斯かる内容の制御信号を受けて、四分音符に対応する時間長さだけ規定回転数である毎分33回転と1/3で、毎分44.495回転で及び毎分56.060回転でそれぞれ回転する。
【0046】
ターンテーブル2は、回転出力モータ3のこれらの回転に対応して毎分33回転と1/3で、毎分44.495回転で及び毎分56.060回転でそれぞれ回転駆動され、結果的にレコード盤14もピックアップ手段4に対して毎分33回転と1/3で、毎分44.495回転で及び毎分56.060回転でそれぞれ回転摺動する。
【0047】
ピックアップ手段4は、レコード盤14との相対的な毎分33回転と1/3で、毎分44.495回転で及び毎分56.060回転でそれぞれ回転回転摺動によって、四分音符の時間長さだけそれぞれ523.25Hz、698.45Hz及び880.00Hzの音声信号をピックアップし、VCA10に送る。
【0048】
VCA10は、ピックアップ手段4からの音声信号とデコーダ8からのベロシティのデータを受け取ると、音の強弱が加えられた音声信号に変換して増幅手段11に出力する。 つまり、ピックアップ手段4からの音声信号は一定の高さで一定の強さを示すものであるが、上記のベロシティのデータによってキーボード6を押圧操作した際の速さが対応して音の強弱として表現するように信号加工される。
【0049】
増幅手段11は、VCA10で加工された音声信号を受け取ると、使用者の所望に合わせた大きさにその音声信号を増幅し、スピーカ12に出力する。
スピーカ12は、増幅手段11で所望通りに増幅された音声信号を受け取ると、音声として出力する。
【0050】
ここで、使用者は、スピーカ12から、キーボード6で押圧操作した、つまり、指定した鍵盤に対応する音声を得ることになる。
つまり、レコードプレーヤ装置1レコード盤14によって、熟練を必要とせずに所望の高さの音を確実に得ることになる。
【0051】
他方、切換えスイッチ13を作用させてリクエスト信号をシーケンサ7から出力させる構成としてレコードプレーヤ装置1を作動させると、シーケンサ7から予め記録されているMIDIデータがデコーダ8に出力される。
ここで、デコーダ8は、キーボード6からリクエスト信号を入力した場合と同じように、リクエスト信号である再生演奏中のMIDIデータから音の高さに係る情報(データ)を制御手段5に送り、音の強弱に係る情報(データ)をVCA10に送る。
制御手段5は音の高さに係るデータを受け取ることによって、結果的にターンテーブル2に載置のレコード盤14を再生演奏で得られる音の高さに対応する回転速度で回転するように回転出力モータ3を制御する。
【0052】
ピックアップ手段4は、制御手段5で制御した回転速度で回転摺動するレコード盤14から音声信号をピックアップし、VCA10に出力する。
VCA10は、ピックアップ手段4からの音声信号とデコーダ8からの音の強弱に係るデータを受け取ると、それに対応する高さで且つそれに対応する強弱の音に加工し、音声信号として増幅手段11に出力する。
ここで、上記音声信号は、増幅手段11で所望通りに増幅され、スピーカ12からシーケンサ7で再生された音となって出力される。
【0053】
更に、リクエスト信号をピッチコントローラ9から出力する場合は、レコード盤14の回転速度を任意の連続した値で入力することができ、結果的に、スピーカ12からの出力である音声はピッチコントローラ9の操作レバー(図示省略)の位置に対応した高さの音声となる。
【0054】
上述したレコードプレーヤ装置1では、規定回転の速度が毎分33回転と1/3のレコード盤14を使用して説明しているが、規定回転の速度が別のもの、例えば毎分45回転のレコード盤であってもよい。
レコード盤の規定回転の速度が毎分45回転の場合について、リクエスト信号に基づき制御すべき回転の速度は、図2に示す通りである。
【0055】
尚、レコードプレーヤ装置1は、ピックアップ手段4、VCA10若しくはVCA10の後段に、レコード盤14からピックアップされる音声信号の波形を加工して音色を変化させるための電圧制御フィルタ(VCF)を付加させることによって、カットオフ周波数や、カットオフカーブを変化させて音色を変化させ得る構成とすることができる。
【0056】
又、回転出力モータ3の回転速度能力、制御手段8から回転出力モータ3への制御の追従性の能力に限界があるため、一定の音域に対しては所望の高さの音を得ることはできない。
このことに対して、レコードプレーヤ装置1は、デコーダ8に入力されたリクエスト信号が前記一定の音域の範囲を越えた場合には、デコーダ8はその一定範囲の内部にリクエスト信号における音階を変換して制御手段5に出力し、且つ、VCA10にその音階を変換した旨の連絡信号を出力させ、更に、VCA10がその連絡信号に対応して音階を元に戻す機能を付加することによって、リクエスト信号の音の高さが一定の音域の範囲を越えた場合に対しても対応できる構成が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施の形態例の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1に示す実施の形態例において、西洋音楽の七音階と鍵盤の位置、周波数、レコード盤の回転速度に対応する回転出力モータの回転速度、リクエスト信号のMIDIデータのの関係を説明する一覧表図である。
【符号の説明】
【0058】
1 レコードプレーヤ装置
2 ターンテーブル
3 回転出力モータ
4 ピックアップ手段
5 制御手段
6 鍵盤式の電子楽器としてのキーボード
7 シーケンサ
8 デコーダ
9 ピッチコントローラ
10 VCA


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコード盤を載置して回転するターンテーブルと、そのターンテーブルを所望の速度で回転させ得る回転出力モータと、前記ターンテーブルに載置されて回転されるレコード盤に摺動してそのレコード盤から音声信号をピックアップするピックアップ手段が備えられ、
一定の回転の速さで回転しているターンテーブルに載置され回転されている際にピックアップ手段でピックアップされる音の高さが常に一定であるレコード盤を、上記ターンテーブルに載置し、上記ピックアップ手段によってそのレコード盤から音声信号をピックアップする場合、所望の高さの音を得るためのリクエスト信号を受けると、上記ピックアップ手段に対するレコード盤の回転の速度が対応して前記所望の高さの音を上記ピックアップ手段がピックアップするように、上記回転出力モータの回転の速度を制御し得る制御手段が具備されてなるレコードプレーヤ装置。
【請求項2】
リクエスト信号を出力する手段が、シーケンサ、鍵盤式の電子楽器、ピッチコントローラである請求項1に記載のレコードプレーヤ装置。
【請求項3】
ピックアップ手段からの音声信号に音色を変換する手段が備えられてなる請求1及び請求項2に記載のレコードプレーヤ装置。

【図1】
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【図2】
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