説明

レシオメトリック試験ストリップおよび方法

本発明は一般に、患者が自身のナトリウムの食事摂取量をモニタするために使用する様に適合された、検査室設備または血液試料の採取の必要がない装置、システムおよび方法に関する。システムは尿中の分析物、特に、塩化物およびクレアチニンの濃度を測定するための試験ストリップを使用する。主に水和状態の変化に起因する変動を減少させるためにクレアチニン濃度により規格化した尿塩化物濃度は、被験体、特に塩分摂取量を注意深く制御しなければならない高血圧またはうっ血性心不全患者による塩分摂取量に対する好都合なモニタ代理として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般に、尿中の塩化物およびクレアチニンの濃度を同時に測定するための、検査室設備なしで、患者および医療関係者が使用するように適合された、システム、装置および方法、ならびに測定値を累積ナトリウム排出の代理測定値として使用し、血液試料を採取する必要がない方法に関する。そのように測定したナトリウムの排出量は、被験体、特に、高血圧または心不全などの状態を患う被験体において塩分摂取量(食事または他の方法による)をモニタするための間接的手段として有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
塩分摂取の、患者の血圧および血圧降下剤への応答性に対する影響は広く認知されているにもかかわらず、塩分摂取量は、実際の臨床では、直接、時間経過に対する摂取したもしくは投与された塩分量を測定することにより、または間接的に、所与の時間間隔で排出された塩分量を測定することにより、ほとんどモニタされていない。いずれか1つを実施するための従来の手段は、単純に、不正確すぎ、不都合すぎる。患者および医者が望むたびに塩分摂取量を評価することができる手段は実質的に、何百万もの高血圧患者の看護および自己管理を改善することができる。同様の利点が、塩分摂取量がさらに非常に重要であるうっ血性心不全患者の管理において得られる。
【0003】
塩分摂取量は、高血圧およびうっ血性心不全の制御、および制御の欠如において重要な因子である。6000万人のアメリカ人が高血圧であり、血圧が十分制御されているのはこのコホートの半分にすぎない。ほとんどの高血圧症では、血圧は塩分摂取量の増加に伴い増加し、摂取量の減少に伴い降下する。これは処置および未処置患者の両方に対しあてはまり、制御された、および制御されていない高血圧症の両方においてその関係が保たれる。塩分摂取量はまた、ほとんどのクラスの血圧降下剤に対する応答性に影響する。境界高血圧患者では、薬剤は、塩分摂取量の増加に伴い、任意である可能性が低くなる。確立された高血圧を患う患者は、そうでなければ必要とされるものより多くの薬剤を必要とする。そのため、医師は日常的に、患者に薬剤を減少させ、血圧をより良好に制御するための手段として塩分摂取量を減少するように忠告するが、患者も医者も、食事において実施した変化により実際に塩分摂取量が減少したかどうかを知る信頼できる、実際的な方法を有していない。
【0004】
塩分摂取量は、高血圧患者においてよりも、心不全患者(500万人を超えるアメリカ人の集団)の管理においてよりいっそう重要である。過剰な塩分摂取はしばしば、うっ血性心不全の管理に対し大きな障害となり、心不全のための入院および死亡率の原因となるが、にもかかわらず、塩分摂取量はモニタされないのでしばしば検出されない。
【0005】
患者の塩分摂取量を容易に、確実に知ることができると、開業医は、塩分摂取量が長期にわたり許容できないほど高いかどうかを知ることができ、そのような場合、食事の変更を再び強調することができる。これはまた、血圧降下剤を選択する際にも助けになり;医者は、塩分摂取量の高い患者に、特に、血圧が通常の用量に対し耐性がある場合、通常の利尿剤用量よりも高い用量を処方することができる。対照的に、試験結果から塩分摂取量が低いことが示された患者には、医者はより高い用量の利尿剤に進まないように、代わりに別の薬剤を追加もしくは増加させるように予め警告される。これらの段階は、抵抗性高血圧の制御に役立ち、所与の個体にとっては過剰である利尿剤用量の使用に関連する代謝的副作用を避けるのに役立つ。現在では「前高血圧症」と呼ばれる、「正常高値」血圧個体では、医者は、塩分制限を試すことを提案でき、塩分摂取量の減少および患者の血圧への影響の両方をモニタすることができ、このように、潜在的に血圧降下剤に対する必要性を避ける、または未然に防ぐことができる。
【0006】
多くの患者としては、薬剤を避ける、または最小に抑えることを望んでいる。最も重要な非薬理学的介入は、食事の変更を含み、塩分摂取量の制限は明らかに最も重要なものの1つである。塩分摂取量をモニタする好都合な手段は、そのような患者に、食べているものの影響を決定する、および最も悪い犯人を識別し、排除するのに必要なフィードバックを提供する。患者は、定期的に塩分摂取量をモニタすることができ、医者にフィードバックを提供し、これは治療に役立つと思われる。
【0007】
塩分制限の必要性は、全ての患者に対し同じではない。重篤な心不全患者では、塩分制限は、健康の回復と入院の反復と死亡との間で大きな違いが生じる。重篤な心不全患者では、ナトリウム制限およびどのようにしているかを測定する手段の重要性は、完全に救命となりうる。高血圧患者では、より少量の薬剤とより多量の薬剤との間、および制御された高血圧対非制御高血圧の間の差を意味することができる。
【0008】
望ましいナトリウム摂取量のレベルは、診断(心不全対高血圧)および状態重篤度(軽度対重度、制御対非制御)により変動する。大ざっぱに言えば、高血圧では、塩分制限の所望の目標は1日あたり<80mEqのナトリウム排出、または大体1日あたり2g(2000mg)のナトリウムである。心不全患者では、1日あたり30または40mEq(大体1日あたり1gのナトリウム)もの低さまでのより厳格な制限が必要となる場合がある。
【0009】
高い塩分摂取量を規定する特定の数値はない。1日あたり150mEq、大体3500mgのナトリウムを超える摂取は、米国平均であり、これより高い摂取量は高いと考えられる。1日あたり2000と3500mgの間(80と150mEqの間)にある値は中間と考えられる。塩分摂取量に対する特定の数値、または低、中または高摂取量の一般分類さえも提供するモニタリング法は著しく問題を改善すると思われる。
【0010】
しかしながら、当技術分野における現在の状況のいくつかの因子により、そのようなモニタリングが妨げられている。食事歴を獲得することは、時間がかかるおよび患者の塩分摂取量の報告が不正確で有名であるという両方に理由から、現実的な選択ではない。現在、最も広く使用されている代替物、および塩分摂取量をモニタするための現在の「ゴールドスタンダード」は、ナトリウム排出を測定するための24時間採尿である。しかしながら、この方法は最適ではない。定期的にモニタリングを繰り返すには不都合すぎる。不都合な点には、ボトルを一日中運ぶこと、毎回採尿することを覚えておくこと、および各採尿を医者または検査室に持って行くことが含まれる。また、24時間の採尿は、多くの患者が全ての尿を採取することに失敗するため、および採取は、1日での塩分摂取量に限定され、しばしば長期間にわたる平均塩分摂取量を示すものではないため、思ったほど正確ではない。代替方法である、一晩の採尿は、一晩の採取から評価される塩分排出はしばしば実質的に、24時間の採取から評価される塩分排出とは異なるため、および検体は依然として検査室に運搬しなければならないため、事実上臨床の実際では決して実施されない。
【0011】
近年、在宅グルコースモニタリングおよび在宅血圧モニタリングの使用の普及により、糖尿病および高血圧の管理が激変している。在宅モニタリングにより、患者はほとんど出費無しに、必要に応じて密にその進行を追跡することができる。自己モニタリングにより患者は自身の管理に関わり、処方された薬剤のコンプライアンスが改善される。グルコースおよび血圧測定は、現代技術により比較的安価てり、実行が簡単で、精度が高く、好都合で、非嫌悪的なものとなったため、日常的に、自己管理において使用されている。同様に改善された、塩分摂取量をモニタするためのシステムおよび方法が必要とされ、利尿剤の用量を調整する際、ならびに高血圧および心不全患者を治療する際に、特に、これらの状態が使用した薬剤に対応するものでない場合、医者に準備のできた情報が提供される。患者自身は、最小に抑えた出費および不便さで、自分自身の管理により関与するようになり、食事をよりよくモニタするために、そのようなシステムおよび方法を必要とする。
【発明の開示】
【0012】
発明の簡単な概要
本発明は特に、通常は食事摂取である過剰な塩分摂取により健康リスクが引き起こされる患者の治療に関する。高血圧または心不全患者がその例である。本発明は、尿中のクレアチニンおよび電解質、特に塩化物濃度を同時に測定し、測定値を比として表し、それから推論を引き出すことにより、患者が患者自身の塩分摂取量を間接的にモニタできるようにし、それらの過程は全て検査室設備または血液試料の採取を必要としない、システム、キットおよびシステム装置の使用法を提供する。医師もまた、検査室なしで測定することができる。
【0013】
1つの態様では、本発明は、被験体の体液中の物質、好ましくは被験体により内因的に産生された物質と反応することができる試薬がロードされた試験ストリップを企図し、その物質は腎糸球体による濾過を介して、排他的に、または少なくとも主に尿細管腔に入り、その後、血流に有意に再吸収されることはない。クレアチニンがその例である。便宜上、そのようなストリップは、以後、「濾過ストリップ」と呼んでもよい。濾過ストリップは、クレアチニンなどの分析物の尿濃度を測定し、水が血流から濾過される速度の指標を提供する。
【0014】
1つの態様では、試験ストリップには、化学的、電気化学的、または別の方法で、被験体の体液中の物質と反応することができる試薬がロードされており、この物質は、被験体により摂取され、または被験体に非経口で投与される。食事電解質はその例であり、ナトリウム、カリウム、とりわけ塩化物が含まれる。食事から直接生じる、または生じない可能性があるが、本発明をよりよく実現するためにモニタすると有利である場合がある水素イオンおよび重炭酸塩を含む他の電解質もまた、企図される。便宜上、そのようなストリップは以後、モニタされる分析物の尿濃度を測定するので、「モニタストリップ」と呼んでもよく、一方、濾過ストリップは単に、モニタストリップが獲得した値を規格化する手段を提供するだけである。
【0015】
濾過ストリップおよびモニタストリップに対する読み出しは独立して、全電磁スペクトルにわたり電位的であってもよく、または分光的であってもよいが、裸眼に頼る比色読み出しが最も好ましい。
【0016】
1つの態様では、示度におけるバックグラウンドノイズを制御するために、試薬をロードしていない試験ストリップを提供する。
【0017】
1つの態様では、読み出しを較正するために、ほとんどの被験体に対し生理学的範囲内にある濃度の分析物の標準溶液を提供する。
【0018】
1つの態様では、濾過ストリップおよびモニタストリップを、同時に使用するために組み合わせる。組み合わせ方法は本発明を限定しない。1つの態様では、ストリップを別々に使用する。この場合、時間経過が実質的に示度の比較可能性に影響しない限り、ストリップを連続して使用して、実用化してもよい。1つの態様では、ストリップを同時に、しかし、物理的に、互いに離して使用する。1つの態様では、試薬を互いに、本質的には混合物として、単一の保持支持マトリクス上で統合する。ストリップを読む際、個々の反応生成物のみが区別される。1つの態様では、必要とされるレシオメトリック情報が、1つの反応のみを追跡することにより推定できるように、分析物の1つの濃度が、別の分析物の反応に影響する(例えば、反応速度または生成物の正味の累積)。好ましい態様では、個々の試薬は単一の保持支持マトリクス上の別個の「チャネル」を占有するが、混合されないままである。チャネルは、疎水性バリア、異方性毛管現象を有するマトリクス材料の使用などを含むがそれらに限定されない、任意の手段により互いに分離されてもよい。1つの態様では、個々の試薬は、保持マトリクス上の別個のスポットのアレイ内に存在する。
【0019】
追加のストリップ、スポット、反応物セット(試薬および分析物)などを様々な様式で、本発明の範囲を変更せずに、上記態様に組み入れてもよいことが理解される。このように、例えば、対照ストリップ、参照標準ストリップ、1度に2つまたはそれ以上の分析物をモニタするためのストリップを追加してもよい。1つの態様では、分析物はマトリクス中に存在する希釈剤中で1回または複数回の希釈を受けてもよく、そのため、ストリップは1つまたは複数の分析物希釈で読み出しを報告することができる。
【0020】
1つの態様では、本発明は、(i)自身の物質の摂取量をモニタすることを希望する被験体、(ii)濾過ストリップ、および(iii)モニタストリップを提供する段階;濾過ストリップおよびモニタストリップの少なくとも一部を被験体の尿試料中に浸し、濾過ストリップおよびモニタストリップで誘導された変化(反応生成物の累積または反応物の消失)を読み取る段階を含む、物質の食事摂取量をモニタする方法を提供する。示度は、1日につき排出された濾過ストリップ分析物の量に対する適当な既報値により調整した比率として表す。結果は塩分摂取量の表示に変換する。計算は等差級数的に、または適当な表もしくはノモグラム中で比を調べることにより実施してもよい。各ストリップが、それらが使用される方法により、20mg/kg体重/日〜100mg/kg/日、より好ましくは10〜500mg/kg/日、最も好ましくは0mg/kg体重/日〜1500mg/kg/日の間の、少なくとも半定量的な摂取量の推定を可能にするようなダイナミックレンジを有することが好ましい。
【0021】
本発明の好ましい態様では、同じ尿試料中で少なくとも2つの物質の濃度を測定する試験ストリップ手段を提供する。
【0022】
最も好ましい態様では、モニタすべき対象物質は塩化物である。別の対象物質は、ナトリウム、カリウム、重炭酸、水素イオン(pH)およびカルシウムなどの二価カチオンである。
【0023】
定義
「分析物」は、混合物、懸濁液または溶液中での存在または量が、分析法により決定されることが求められる物質である。この場合、特に興味深い分析物は、それぞれ、水溶液、すなわち尿中に溶解された塩化物イオンおよびクレアチニン分子である。
【0024】
「異方性毛管現象」という用語は、一方向の毛管現象を有するが、直交する方向では有しない材料を示す。そのような材料のシート上におかれた水滴は、円形パターンに広がらずに、シート上に比較的狭い線を形成する。
【0025】
「血圧」は、血液が通る血管壁に血液により与えられる圧力である。この場合、用語はより特定的には、全身動脈血圧を示す。
【0026】
「血流」は身体の循環血液およびリンパを保持する体内のコンパートメントを示す。
【0027】
「体液」は体内で、細胞内(「細胞内液」)または細胞外(「細胞外液」)のいずれかで、見られる任意の液体、とりわけ、その量および組成が生理的過程による調節を受けやすい任意の体液を示す。
【0028】
「比色的」は、色の定性的または定量的評価、または色の変化が、視覚により、または機器の助けにより識別されもしくは評価されるかに関係なく、測定または分析の因子である、測定または分析の任意の手段を示す。より広い用語である「分光的」は比色的測定を含むが、機器のみが検出することができる可視スペクトルの外側の電磁エネルギーまで拡張する。
【0029】
「濃度」は、所与の量の別の物質と混合される物質の量を示す。とりわけ、この場合、この用語は、乾燥質量としてまたは質量作用の法則において使用されるような「化学的活性」として測定されるのかに関係なく、別の物質に溶解させたある物質の量を示す。
【0030】
本明細書で使用されるように、「制御された」は、医学的または他の介入がうまく症状を制御しているので、従来の試験では無症候性である疾患状態(例えば、高血圧)を示す。介入が行われていない場合、同じ疾患は「制御されていない」。典型的には、診断試験が存在する任意の制御されていない疾患はそのような試験により症候性であるが、必ずしもそうとは限らない。
【0031】
「累積排出」という用語または単に「排出」は、一定量の時間で尿中に排出される物質の総質量を示す。測定値の精度は、排出された全ての尿の完全な採取(典型的には「24時間採取」)、採取した体積の正確な測定、および採取した尿中の物質の濃度の正確な測定に依存する。
【0032】
「脱水」という用語は、一般に、体内の水の正常な量よりも低いことにより特徴づけられる状態を示す。ここでは、この用語はまた、「血液量減少」状態を示すために使用してもよい。厳密に言うと、血液量減少は、血流中の血液の体積が、特に、体内の他の流体コンパートメントの体積と関係なく、正常よりも低い状態である。
【0033】
「食事」は一般に、被験体が自発的に口から摂取する飲み物および食料品を示す。しかしながら、ここでは、「摂取」および「食事」は、「摂取」が非経口(腸のバイパス手術)または直腸投与、胃管などまで拡張することができるものの、同じ意味で使用してもよい。「食事塩分摂取」は、一般に、塩化物を示すが、他の塩もまた示してもよい。
【0034】
「食事歴」は典型的には、何をいつ食べたかの日誌を患者がつけることから作成される。摂取した食料品の構成について推測することにより、患者の特定の期間にわたる特定の物質の摂取を再構成することができる。
【0035】
本明細書では、「滴定用スティック(titration stick)」、「滴定スティック(titrator stick)」、「ストリップ」または「試験ストリップ」とも呼ばれる「デップスティック(dipstick)」は、マトリクス、すなわち、(1)デップスティックまたは試験ストリップとして構成され、(2)吸着、吸収、隔離または別の方法により、対象分析物の存在下で状態変化を受ける1つもしくは複数の要素を保持し、(3)分析物を、前記要素と相互作用させ、状態変化を引き起こすことができる任意の材料を含む。状態変化の測定値は、分析物の活性の「読み出し」を意味する。この場合、状態変化を受ける要素は、マトリクス中、またはマトリクス上で保持される化学試薬であることが好ましく、その後、そのような試薬は、試薬に接触する分析物に応答して反応し、読み取り可能な反応生成物が得られる。好ましいが、反応生成物は読み出しのために試験ストリップ上に保持される必要はない。好ましいものの、反応生成物は、読み出し時に試験ストリップ上に存在する必要はないが、溶液中、または「指示ストリップ」上に存在し、指示ストリップは、別個のストリップ、または複合ストリップの別の部分であってもよい。「読み取り可能な」反応生成物は、好ましくは、ある範囲内の特定の濃度または化学活性レベルで、比色的、電位的、および分光的を含むがそれらに限定されない、任意の手段により、検出されやすい生成物である。
【0036】
読み出しで尿試料中のクレアチニンのレベルまたは濃度を検出するために、本明細書で使用される装置は、「濾過ストリップ」と呼ばれ、読み出しで尿塩化物のレベルまたは濃度を検出するために使用される装置は、「モニタストリップ」と呼ばれる。モニタストリップは、それらを使用して「標準」(種類および量において尿の溶質に近似する溶質を有する液体中に溶解した予め決められた濃度の塩化物イオン)を測定することにより較正される。濾過ストリップでは、標準は予め決められた濃度のクレアチニンを含む。
【0037】
「利尿剤」は、尿の生成(「利尿」)を増加させる任意の作用物質である。用語は典型的には薬物を示すが、多くの他の因子および作用物質が、利尿を引き起こすことができるという点で利尿剤である。これらも本明細書の「利尿剤」の定義に入る。
【0038】
本明細書で使用されるように「二重デップスティック」は、単一の種に対し試験するデップスティックであるかのように取り扱われるように設計された装置において、少なくとも2つの異なる化学種の各々の分析のために必要とされる試薬の少なくとも1つを組み合わせたデップスティックである。二重デップスティックの1つのバリエーションは、存在する分析物を測定するための機能およびそのような分析物が存在しない時のバックグラウンドを測定するための機能を組み合わせている。
【0039】
「ドライケミストリー(dry chemistry)」または「固体化学」は必ずしも、水または他の溶媒が存在しないことを意味するわけでなく、試験を可能にする反応の少なくとも1つの段階が、溶液中での反応物に対する拡散経路が全ての方向で実質的に同じである空間では起こらない分析化学試験を示す。
【0040】
「電解質」は、溶融すると、または溶解すると、解離して自由イオンとなり、導電性媒質を生成する物質である。非公式では、およびこの場合、電解質を構成するイオン種の任意の1つもまた、電解質と呼ばれる可能性がある。
【0041】
「電位的」は、電位または電位変化に基づく測定である。電位的測定は、電流、抵抗もしくは電位またはそれらの変換として読み出してもよい。
【0042】
「内因性」という用語は、生物内で生じた、生物中で見出されるか、または生物から発する、任意のものを指す。
【0043】
「過剰塩分摂取量」は、所与の期間、汗、排便などで失われる塩分、および最小排出(男性で1日あたり約2.5〜4g)を超えて、摂取または投与された任意の塩分(特に、この場合塩化ナトリウム)量である。この発明の目的のために、「塩分摂取量」、「ナトリウム摂取量」、「塩分排出」、または「ナトリウム排出」との用語はそれぞれ、比は、塩またはナトリウムの摂取量または排出を表すには変換係数を必要とする無次元数であるという了解の下で、「塩化物対クレアチニン比」と、および互いに、同じ意味で使用してもよい。通常の算数、ソフトウエア、ルックアップ表、ノモグラム、または他の変換を行う方法が本発明の範囲内である。
【0044】
一般に、本明細書では、「排出」は物質の尿排出を示すが、文脈から認められる場合、その用語は、尿、糞便、汗、涙、唾液、粘液、皮脂、またはそうでないものの中かに関係なく、身体からの物質(典型的には、「廃棄物」)の放出を示す。
【0045】
一般に、本明細書では、「濾過」は糸球体濾過を示すが、媒質中に溶解または懸濁させた粒子(イオン、原子、分子、結晶、ポリマー、凝集物、生物体などである可能性がある)が、媒質を保持しないバリア内に保持されることにより媒質から分離される任意の過程も包含する。
【0046】
「糸球体濾過液」は、腎臓内の何千という「細尿管」の各々の頭部に位置する特別な内皮(「腎糸球体」)が血液細胞、タンパク質、および他の血液の有形成分に対するバリアとして機能するが、濾過液を構成する水、イオンおよび小分子は保持しない、濾過過程生成物である。
【0047】
「心不全」は通常、心臓が十分な量の血液を身体の他の器官にポンピングすることができない慢性状態を示す。ここで、この用語はとりわけ、腎臓のナトリウムおよび水を排出する能力を危うくする心不全を示す。この型の不全はしばしば「うっ血性心不全」と呼ばれるが、本明細書では、この用語は同じ意味で使用してもよい。
【0048】
「疎水性バリア」は、表面が水をはじく傾向のある構造を介入させることにより水を含む領域を分離する。
【0049】
高血圧症状は、慢性であれば、本明細書で使用されるように「高血圧」を規定する。この用語は、「動脈高血圧」と同義語であり、必ずしも病因が公知になっていない基礎症状を示す。
【0050】
本明細書で使用されるように「不活性マトリクス」は、マトリクス中で起きる、またはマトリクスと関連して起きる化学反応の読み出しに実質的に影響しないマトリクスを意味する。
【0051】
「摂取量指数」は、比率として表される、濾過ストリップおよびモニタストリップ上の物質濃度と共に、例えば、時間に伴う対象物質の実際の累積排出を獲得する繰り返される管理研究により誘導される、「ルックアップ」表として表すことができる経験的に獲得される関係である。
【0052】
「検査室」は、本明細書で言及した化学分析の実行を少なくとも可能にするが、その作動および維持のために熟練した人材を必要とする器具類を含む。
【0053】
本発明のデップスティックまたは試験ストリップに関しては、「ロードされた」という用語は、ストリップ上の所定の位置に、ストリップ上で起きる分析反応ための少なくとも1つの試薬を有する試験ストリップを示す。「アンロードされた」ストリップは、試薬が欠如している以外は同じである。
【0054】
「イヌリン」は自由に糸球体内皮を通過するが、いずれの分泌過程よっても細尿管腔には入らず、細尿管から血液中に再吸収されないオリゴ糖である。そのため、尿中のその濃度の血液中のその濃度に対する比を尿の体積流量の時間にかけると、糸球体濾過速度に密接に近似する。
【0055】
「規格化」は係数により数学的に調整されたデータを示し、係数化されたデータセットの要素は、係数化されていないデータセットの要素よりも、容易に比較される。「レシオメトリック」規格化は、2つの独立した変数が共通して第3の変数に依存する場合に通用し;2つの独立した変数の比は、第3の変数に起因する変動のないデータを生じる傾向がある。
【0056】
本明細書における「患者」はヒトまたは動物、とりわけ、家畜およびハズバンド動物(husbanded animal)を示す。「患者」および「被験体」という用語は同じ意味で使用される。
【0057】
化学反応は、反応中の反応物の消失(とりわけ、消失速度もしくは消失度)または反応の反応生成物の出現(出現速度もしくは出現度)を測定することにより「読み取られる」。測定は、反応物または反応生成物の予め決められた量または濃度である、「参照基準」により較正してもよい。
【0058】
「試薬」は化学物質であり、反応生成物をもたらす化学反応において反応物となる。
【0059】
「半定量的」測定は、純粋に「有無」の定性的測定である「検出」よりは上の測定を単に区別するものである。
【0060】
本明細書における「代理」は、実際に測定されていない別の化学活性または量の推定値を提供するために検出または測定される化学活性または量を示す。
【0061】
本明細書で使用されるように、「尿」は、腎臓内で糸球体濾過液または「推定尿」として形成され、何千という尿細管(「腎細尿管」)の腔(内側空洞)を通過し、そこで、水の多くが血流に戻され(すなわち、腎臓は水を「再捕捉」または「再吸収」する)、溶質(溶解イオンおよび分子)がどちらも追加され(「分泌」による)および再吸収により除去された水溶液を示す。「最終尿」は膀胱に入り、最終的に、排尿中に身体から出て行く。「尿試料」は濾過スティックおよびモニタスティックを効果的に使用することができるようにする十分な体積の最終尿の試料である。
【0062】
「尿塩化物」または「尿クレアチニン」などの用語は一般に、尿試料中の特定の物質の化学濃度を示す。しかしながら、本発明の目的のために、そのような用語は、文脈から認められる場合、尿体積中の物質の総質量を示してもよい。
【0063】
好ましい態様の詳細な説明
出願人は、主張した発明がどうして機能するのかについてのいずれの理論にも縛られずに、腎臓が血液中で循環するある特定の物質に関し、3つの異なる機能を増進すると考える。腎臓は、(1)通常、不変の速度で、本質的にタンパク質および細胞を含まない水および溶質の溶液を血液から濾過し、濾過された溶液は糸球体濾過液と呼ばれ;(2)分泌過程により糸球体濾過液に、ある特定の血液由来の溶質を添加し、(3)糸球体濾過液から、ある特定の溶質、および大部分の水を血流中に再吸収する。
【0064】
さらに、身体の細胞外および細胞内液は、無機塩、主に塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの平衡を維持しなければならないことは理解される。食事は、塩が溶解されている水のように、これらの塩の普通の供給源である。腎臓の濾過、分泌および再吸収機能は、口渇、食欲、および満腹と協調して、平衡を維持する。現代人および家畜は最小のナトリウム摂取のみを必要とするが、必要以上に摂取する傾向がある。幸いにも、腎臓は、糸球体濾過液からナトリウム(および水)を再捕捉するように自然に「調整」されているが、一般に、過剰に摂取したナトリウムを全て、時間とともに最終尿中に放棄することができる。
【0065】
単に濾過の結果として所与の体積の尿に達する任意の溶質の比較的低い尿濃度は、とりわけ、身体が一定速度でその溶質を産生している場合、腎臓が、比較的多量の水を最終尿に放棄していることのみを意味することができる。「比較的」という用語は、一連の被験体から採取した別の尿試料と比較することにより、または結果を正常値表と比較することにより、この文脈においてその意味を獲得する。いずれにしても、ナトリウムの尿濃度が同じ「水様」試料中で比例して低い場合、ナトリウム摂取はおそらく比較的一定である。ナトリウム濃度が過度に低い場合、ナトリウム摂取はおそらく減少している。ナトリウム濃度が低くない、または比較的高い場合、ナトリウム摂取はおそらく増加している。
【0066】
単に濾過の結果として所与の体積の尿に達する任意の溶質の比較的高い尿濃度は、とりわけ、身体が一定速度でその溶質を産生している場合、腎臓が、比較的脱水した状態に対応するように水を保存していることを意味する。そのような場合、ナトリウムの尿濃度は、過度に高くなる必要があり、明確にナトリウム排出の増加が示される(腎臓は時として、血液中の過剰の溶質を希釈するのではなく、循環系に正常量を回復させるために、水を保存または再捕捉する)。
【0067】
多くの物質が、主に濾過により尿に到達する。クレアチニンは被験体に注入する必要のない最も周知のものである。身体の筋肉はクレアチニンを構成的に、極めて一定の速度で生成する。多くの化学作用が、尿、血漿および他の体液中で定量的にクレアチニン濃度を測定するために導き出されている。試験ストリップフォーマットで使用することができる例示的な化学作用はPugiaらにより開発された。その化学作用は米国特許第5,374,561号において記述され、主張されている。CastおよびPugiaは、方法の改善について米国特許第6,001,656を与えられた。どちらの特許も、参照により全体が本明細書に組み入れられ、一部では濾過ストリップを作製および使用する際の指針を与える。第6,001,656号特許は、尿中のクレアチニンに対するアッセイ法を記述し、この場合、尿は、第二銅イオン、ヒドロペルオキシドおよび酸化染料を4-ヒドロキシ-2-メチルキノリンと共に含む試薬システムと接触させられる。4-ヒドロキシ-2-メチルキノリンは試薬システム中に10〜300mMの濃度で存在してもよく、ヒドロペルオキシドはジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシとすることができ、酸化染料は3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンとすることができる。本発明で使用してもよいクレアチニン活性を決定するための別の方法が、本明細書に組み入れられる下記米国特許に記述されている:米国特許第5,610,073号、同第5,702,955号同第5,733,787号、同第6,210,971号、および同第6,872,573号。
【0068】
好ましい態様における別の対象となる物質は塩化物である。米国特許第5,229,299号は、水性試料中の塩化物(および他のハロゲン化物)を決定するための固体試験装置を記述し、主張している。前記特許は参照により全体が本明細書に組み入れられ、モニタストリップを作製および使用する際の指針を与える。米国特許第5,229,299号は、ハロゲン化物イオンが存在すると測定可能な比色応答を示す、有効量の重クロム酸銀試薬を組み入れた多孔質マトリクスを使用して、ハロゲン化物イオンの存在および量に対しアルカリヒドロキシルイオンを含む流体を試験するための装置を記述しているが、改善点は、マトリクス中に、水酸化銀および他の酸化生成物の形成を実質的に阻止する有効量のカチオン物質を含み、この物質は、重クロム酸試薬システムにおける比色変化の測定を妨害する比色応答を、ハロゲン化物イオンが存在しても有さないことである。カチオン物質は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、鉛、ビスマス、鉄+2およびモリブデンの非ハロゲン水溶性塩からなる群より選択される。
【0069】
1つの態様では、本発明は、利便性のためだけでなく、レシオメトリック分析の精度を最大化するために、試料から全ての関連分析物を同時に獲得し、それらを同時に反応させる手段を提供する。この目的を達成する装置の一例は、参照により全体が本明細書に組み入れられている米国特許第5,710,372号に記述されている。固体装置は、不活性支持体上の複数の離された試験領域を含み、各試験領域は対象分析物と選択的に相互作用する試薬を含浸させた不活性マトリクスを含む。別の例は、米国特許第6,413,473号により提供されており、これもまた参照により全体が本明細書に組み入れられる。これらの特許の教示は、濾過ストリップおよびモニタストリップの組み合わせを作製するための指針を与えるために含まれる。
【0070】
本発明で使用が見出される固体装置の1つの態様を図7に示すが、これは例にすぎず、限定するものではない。装置50は図7Aでは断面で示されている。図7Bはトップダウン図を示す。疎水性バリア100は試薬ストリップ300と350を分離する。バリア100ならびに試薬ストリップ300および350は基材375により支持される。試薬ストリップは吸水性材料から作製される。試薬ストリップ300には、クレアチニンの検出のために必要とされる試薬がロードされる(「濾過ストリップ」)。試薬ストリップ350には塩化物イオンの検出のために必要とされる試薬がロードされる(「モニタストリップ」)。パネル200は濾過ストリップ300の読み出しを助けるための色参照チップ400を有する。パネル250はモニタストリップ350を読み取るための色参照チップ500を有する。装置または「デップスティック」50を尿試料中に浸し、各ストリップに染みこむと取り出す。予め決められた発色時間後、各反応の色を、段階カラーチップ400および500の助けにより評価する。
【0071】
患者が、希望する度に、低コストで、単純な尿試験により、塩分摂取量を決定できるようにするという目的を実現するために、本発明者らは分析化学における2つの最近の進歩を採用した。第1は、塩化物滴定ストリップである。塩化物の代わりに尿ナトリウムを測定すると、本発明の精度が改善されるが、本発明の主目的は簡便性である。現段階では、液体中のナトリウム濃度の測定は、臨床検査室などの分析検査室の外で実施するには適しておらず、確かに、ナトリウムデップスティックのようなものは存在しない。尿塩化物濃度は、安定な患者では、尿ナトリウム濃度に比較的密接に近似する傾向があることは周知である。しかしながら、本発明の目的のために、尿塩化物は尿ナトリウムに等価であるとは予測できない。任意の特定の機序説明に従わず、またはそれに頼らずに、本発明者らは、濾液が腎尿細管腔を通過するのに伴う、これらのイオンの各々の糸球体濾過液からの吸収およびそれらの糸球体濾過液中への分泌が、独立して調節されることから、そのような相違が起きる可能性があると考えている。これに関連して、血圧を実際に駆動するのは塩のナトリウムまたは塩化物成分のどちらであるかについては完全に確定していない(Boegehold MA, Kotchen TA. Importance of dietary chloride for salt sensitivity of blood pressure. Hypertension 1991; 17: Suppl I: I158-I161)。Morgan TO. The effect of potassium and bicarbonate ions on the rise in blood pressure caused by sodium chloride. Clin Sci 1982/63:407s-409s)。
【0072】
尿塩化物濃度を測定するために滴定スティックを使用すると、尿検体を塩化物試験のために検査室に運搬する必要がなく、望む度に塩化物濃度のために尿をサンプリングすることができる。しかしながら、塩化物濃度は、定期の採尿測定などの追加の測定がない限り、時間と共に排出される塩化物量についての情報は与えない。尿中で見られるほとんどの物質の濃度はかなり、被験体の水和状態によって変動する可能性があり、そのため、スポット試料でのみ濃度を測定しても、一日の総ナトリウム排出量も塩化物排出量も十分に反映されない。
【0073】
分析化学の第2の進歩、尿クレアチニン滴定スティックはこの問題を解決する可能性を有する。任意の個体内では、反復した24時間採尿から評価した総24時間クレアチニン排出は、24時間のクレアチニン排出はかなり一定であることを明確に示す。一方で、安定した患者では、クレアチニン濃度は、個体の水和状態にほとんど完全依存して、かなり変動する。中程度の脱水および尿排出の減少により、濃度はより高くなり、逆もまた同様である。これが、濃度測定のみでは、24時間のクレアチニン排出が十分反映されない理由である。しかしながら、クレアチニン排出は一定であるので、クレアチニン濃度は、尿体積を確実に反映し、体積測定のための代理として機能する。そのため、スポット尿試料中で尿ナトリウム濃度の尿クレアチニン濃度に対する比を評価すると、ナトリウム排出が効果的に測定される。尿クレアチニン濃度の好都合な測定と組み合わせた尿塩化物濃度を測定する好都合な手段はそのため、ナトリウムに対する不都合なアッセイ法および繰り返される24時間採尿における尿体積を測定する非現実的な要求にとって代わる。代わりに、望むたびに塩分排出量をサンプリングし、単一の24時間期間における塩分平衡についての情報に限定されない。
【0074】
特定の尿試料中のクレアチニン濃度を、尿試料中の分析物の濃度の知識を前提として、分析物の排出量を計算可能にする「規格化」係数として使用するという考えは、当技術分野でよく知られている。Mienieらの米国特許第5,559,036号は、(有機)代謝産物の総排出量を評価する方法を提供する。Gauntleyら(米国特許第4,159,193号)は特定の代謝産物、アミノレブリン酸に対するアプローチを使用する。Provonostら(米国特許第5,804,452号)は、「ドライケミストリー」技術において、膵アミラーゼ、ステロイドホルモンおよびそれらの代謝産物、ならびにその排出が骨吸収または骨沈着を明らかにするタンパク質の排出を評価する際の規格化係数としての使用を推奨した。Bransgroveら(WO 96/04554)は試験ストリップと共に使用し、カルシウムの排出量を決定している。Pugia, et al., Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem. 335:693, 1997)は、アルブミン排出を測定するためにクレアチニンおよびアルブミンに対する「二重デップスティック」を使用する。これらの著者は、デップスティック技術が、尿クレアチニンをアッセイするための従来のJaffe湿式化学法に勝ることを示した。
【0075】
Kell(WO 99/02983)は、尿クレアチニン濃度を、尿試料の比重と共に測定し、薬物スクリーニングのためのドナーに提供された試料の混和を検出する測定について教示する。この場合、クレアチニンは別の分析物を規格化するために使用しない。代わりに、逆を適用する:比重測定を使用して測定したクレアチニン値を規格化し、そのため、正常なクレアチニン値のデータベースと比較することができる。
【0076】
Flackら(Flack JM, Grimm RH Jr., Staffileno BA, Dnsc, Elmer P, Yunis C, Hedquist L, Dudley A. “New salt-sensitivity metrics: variability-adjusted blood pressure change and the urinary sodium-to-creatinine ratio.”Ethn Dis. 2002;12: 10-9)は、ナトリウム排出と血圧を相関させようとする試みで、Khawら(Khaw, K-T, Bingham, S., Welch, A., Luben, R., O’Brien, E., Wareham, N., and Day, N.“Blood pressure and urinary sodium in men and women: the Norfolk cohort of the European Prospective Investigation into Cancer (EPIC-Norfolk) Am.J.Clin. Nutr. 2004; 80:1397-1403)が疫学的研究において実施したように、ナトリウム/クレアチニン比を頼りにした。これらの著者は、集団研究において比率を使用した他のものについて言及した。ナトリウム/クレアチニン比を用いた研究に関するこれらの報告は、本発明にいくらかの妥当性を与えているが、等価の発明について記述していない:ナトリウム自体の測定では、これらの研究者は全て、必然的に、検査室に基づく装置を使用した。本発明の特徴は、その態様には検査室が不要なことである。
【0077】
ドライケミストリーによる塩化物測定は当技術分野で教示されている。米国特許第4,211,532号は、とりわけ牛乳中の塩化物イオンを測定するように適合された試験ストリップを開示している。米国特許第4,444,193号は、嚢胞性線維症(「CF」)患者の管理において使用するための皮膚パッチを提供する。パッチは、汗中の予め決められたレベルを超える塩化物を検出する(米国特許第6,042,543号における同様の、しかしながら改善されたCFパッチも参照されたい)。米国特許第4,650,768号は、銀塩およびカラゲナンを含浸させた多孔質マトリクスを含む装置を記述する。装置は、尿中の塩化物を検出するのに適していると言われている。しかしながら、クレアチニンと協同してまたは他の方法で、塩化物排出を測定するための装置を使用することについては示唆されていない。米国特許第4,744,952号は、尿および他の流体中のハロゲンイオン(塩化物を含む)の濃度を決定するための「試験紙」を記述している。また、試験をクレアチニン測定またはより信頼性の高いイヌリン測定のいずれかと組み合わせることと関連する概念は見出さすことができない。米国特許第5,229,299号は、反応副産物(例えば、酸化銀)により不明確にならない比色読み出しを有する塩化物試験ストリップを記述する。その企図された用途はセメント中の塩化物検出である。
【0078】
要約すると、今日の実際の診療では、塩分摂取量のモニリングは高血圧および心不全の管理において非常に臨床上重要であるが、簡単には実施されない。本発明は、簡単な手順でスポット尿から得られた塩化物/クレアチニン比を半定量的にモニタし、高血圧または心不全患者および彼等の医者が、塩分摂取量を評価し、効果的な食事調節を実施する際に希望する度に使用するデータを提供する信頼できる、好都合な様式を提供する方法においてシステムまたは装置を使用することによりこの問題を解決する。
【0079】
実施例
下記実施例は、本発明において試験ストリップをどのように使用してもよいかをさらに説明する。これらの実施例は本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない。
【0080】
実施例1
以下を実証するために、本発明者らは下記研究を実施した:
(1)塩化物滴定スティックによる尿塩化物濃度の測定は十分に、標準検査室技術による測定に近似する;
(2)検査室および滴定スティックの両方による尿塩化物濃度の測定は十分、尿ナトリウム濃度測定値に近似する;
(3)デップスティックによる尿クレアチニン濃度の測定は標準検査室技術による測定に十分近似する;
(4)滴定スティックによる塩化物/クレアチニン比の測定は、標準検査室技術によるこの比の測定に近似する;
(5)滴定スティックによる塩化物/クレアチニン比の測定は、標準検査室技術によるナトリウム/クレアチニン比の測定に十分近似する;
(6)滴定スティックによる測定に基づき、低、中、または高尿塩化物濃度を有するとして被験体を分類することは、標準検査室技術による尿塩化物の測定に基づく分類と一致する;ならびに
(7)滴定スティックによる測定に基づき、低、中、または高尿塩化物/クレアチニン比を有するとして被験体を分類することは、標準検査室技術による塩化物/クレアチニン比およびナトリウム/クレアチニン比の測定に基づく分類と一致する
【0081】
治験審査委員会(Institutional Review Board)の承認により、本発明者らは、安定した健康の高血圧者および正常血圧者を含む31の被験体からスポット尿検体を入手した。本発明者らは正常な、および低下しているが安定な腎機能を有する被験体を含んだ。被験体はWeill Medical College of Cornell UniversityのHypertension Centerで採用した。2つのアリコートを尿から調製した。1つは滴定スティックを用いて塩化物およびクレアチニンを測定するために維持し、もう一方は、塩化物、ナトリウムおよびクレアチニンの標準検査室測定のためにNew York Presbyterian Hospital Clinical Laboratoryに送った。検体は全て、検体が到着したその日に試験した。
【0082】
Quantab Chloride Titrator(商標)ストリップ(Hach Co, Loveland, CO)およびクレアチニン用のパッドを含むMicroalbustix(商標)ストリップ(Bayer Diagnostics, Elkhart, IN)を用いて滴定スティック測定を実施した。尿クレアチニンのための他の現在入手可能な試験ストリップは、クレアチニンのためのパッドを使用するMultistix PRO Urinalysis Strips(商標)またはClinitek 50(商標)尿化学アナライザ(Bayer Diagnostics, Elkhart, IN)である。
【0083】
Hach Quanatab(商標)試験ストリップに完全に染み込ませた場合、滴定装置の上部を横切る感湿ストリングは茶色になる。ストリップ上の0〜10の目盛りは、容易に読み取られる0.2のインクリメントに分けることができる。Hach Test Stripは半定量的であり、±10%まで正確である(Hach Company, Loveland, CO)。
【0084】
塩化物ストリップを、スポット尿試料を含む試験管に入れ、指標糸が茶色になり、反応の完了が示されるまで反応させた。番号を付けたQuantab(商標)目盛り上の柱の高さを読み取り、換算表を使用して、塩化物濃度に変換した。
【0085】
クレアチニンスティックを尿に浸し、その後、すぐに取り出し、過剰の尿をストリップから振り落とし、その後、スティックを60秒で、60秒での色を様々なクリアチニン濃度を示す色スペクトルと比較することにより読み取った。ストリップ上の色と最も厳密に一致した濃度をその後、記録した。
【0086】
塩化物およびクレアチニン濃度のデップスティック測定の塩化物、クレアチニン、およびナトリウムの検査室測定に対する関係を、Spearman相関係数により計算した。同様に、デップスティック塩化物対クレアチニン比を、検査室塩化物対クレアチニン比、ならびに検査室ナトリウム対クレアチニン比と比較した。二変量関係を示す散乱プロットを示す(デップスティック塩化物対検査室塩化物、図1;デップスティック塩化物対検査室ナトリウム、図2;検査室塩化物対検査室ナトリウム、図3;デップスティッククレアチニン対検査室クレアチニン、図4;塩化物-クレアチニンに対するデップスティック比対検査室比、図5;塩化物-クレアチニンに対するデップスティック比対ナトリウム-クレアチニンに対する検査室比、図6)。
【0087】
塩化物濃度および塩化物/クレアチニン比の検査室およびデップスティック測定を、三分位(低、中、高)に分類し、評価間の一致の程度を決定した。検査室および滴定スティック法の両方により同じ三分位に分類された被験体数をκ統計量により評価した。デップスティック塩化物-クレアチニン比対検査室ナトリウム-クレアチニン比により同じ三分位に分類された被験体数を同様に評価した。最終的に、塩化物濃度に基づく三分位への分類を塩化物/クレアチニン比に基づく分類と比較し、これらの2つの変数による分類により同様のまたは異なる結果が得られるかどうかを実証した。
【0088】
統計的有意性試験に対する両側確率レベルを報告する。分析はSPSS Version 13.0 (SPSS Inc., Chicago, Illinois)において実施した。
【0089】
デップスティックアッセイ法の精度
デップスティック塩化物濃度は、図1および2において示されるように、検査室塩化物濃度(r=0.98)および検査室ナトリウム濃度(r=0.93)(それぞれ、p<0.0001)の両方と非常に強く相関した。検査室塩化物およびナトリウム濃度はまた、互いに非常に強く相関した(図3;r=0.93、p<0.0001)。本発明者らはまた、デップスティッククレアチニン濃度と検査室クレアチニン濃度との間に強い相関を見出した(図4;r=0.94、p<0.0001)。デップスティック塩化物/クレアチニン比はまた、図5および6に示されるように、検査室塩化物/クレアチニン比(r=.83)および検査室ナトリウム/クレアチニン比(r=.82)(それぞれ、p<0.0001)の両方と強く相関した。
【0090】
半定量的カテゴリー間の一致の評価
デップスティックおよび検査室測定値の一致は、結果を三分位により分類する場合、非常に大きな意義があった。表1は、尿塩化物濃度では、2つの方法(デップスティックおよび検査室)の間には高い一致が存在し、被験体の87%(27/31)において2つの方法の間で一致が見られたことを示す。不一致が見られた4つの場合では、方法は1つのカテゴリが異なった。塩化物濃度が1つの方法では低く、もう一方の方法では高い場合はなかった。
【0091】
(表1)デップスティックにより測定した尿塩化物の三分位×検査室により測定した尿塩化物の三分位

κ=0.8、p<0.0001
【0092】
同様に、塩下物-クレアチニン比の低、中および高三分位への分類においては、方法間で極めて高い一致が見られた(p<0.001、表2)。また、不一致は1つのカテゴリのみに見られ、1つの方法で高い比を有するが、もう一方の方法では低い比を有する被験体はいない。表3は、デップスティックにより測定した塩化物-クレアチニン比と検査室により測定したナトリウム-クレアチニン比の間の同じ強い関係を示す。
【0093】
(表2)デップスティックにより測定した尿塩化物-クレアチニン比の三分位×検査室により測定した尿塩化物-クレアチニン比の三分位

κ=0.7、p<0.0001
【0094】
(表3)デップスティックにより測定した尿塩化物-クレアチニン比の三分位×検査室により測定した尿ナトリウム-クレアチニン比の三分位

κ=0.7、p<0.0001
【0095】
最後に、本発明者らは、塩化物および塩化物/クレアチニン比はどちらも塩化物濃度により直接変動するが、デップスティックにより測定した塩化物濃度は、デップスティック塩化物/クレアチニン比にほとんど関連せず(表4)、このように、塩化物/クレアチニン比は、塩化物濃度に重複していないことが実証された。
【0096】
(表4)デップスティックにより測定した尿塩化物-クレアチニン比の三分位×デップスティックにより測定した尿塩化物の三分位

κ=-0.07、p=0.71
【0097】
結果から、デップスティック法により評価した尿塩化物は検査室塩化物定量と極めて一致すること、および、確実に、尿塩化物の検査室測定に対し有効で好都合な代替物を提供することが示される。結果はまた、尿塩化物は尿ナトリウム濃度に密接に近似し、そのため、デップスティックが有効ではないナトリウム測定に対し、信頼できる代理としての役目を果たすことを示す。
【0098】
本発明者らはまた、デップスティック塩化物/クレアチニン比が検査室塩化物/クレアチニンおよびナトリウム/クレアチニン比に十分近似することを実証した。これにより、本発明者らが紹介しているデップスティック塩化物/クレアチニン比法は、ナトリウム/クレアチニン比の検査室測定の代替物を提供することが示唆される。
【0099】
本発明者らの研究では、塩化物/クレアチニン比による被験体の分類は、塩化物濃度単独による分類とは異なることが明らかである。塩化物濃度単独では、尿体積の変動の効果を計上しないが、塩化物/クレアチニン比は計上するので、これは予測されることである。
【0100】
実施例2
滴定スティック塩化物/クレアチニン比が十分ナトリウム排出に近似するかどうかを決定するために、尿試料を上記のように、患者のコホート(30被験体)から採取するが、各々から、24時間の採尿も獲得する。各24時間尿試料のアリコートを、「スポット」尿試料(各患者の24時間採取を実行する時に採取する)と共に、実施例1と同じ測定および分析にかける。スポット尿試料中のデップスティック塩化物/クレアチニン比と、24時間採尿アリコート中のナトリウム濃度から決定した24時間ナトリウム排出との相関を評価する。結果から、本発明のアプローチの能力は、食事塩分摂取量を測定するための「ゴールドスタンダード」に匹敵するものとすることができる。
【0101】
実施例3
滴定スティックにより測定した塩化物/クレアチニン比による塩分排出の在宅モニタリングの臨床関連を実証するために、3つの24時間採尿を30被験体から、少なくとも1週間あけて、3つの対応するスポット尿(24時間採取のアリコートではなく、24時間採尿を搬入する時に入手する別個のスポット尿)からデップスティックにより獲得した塩化物/クレアチニン比と共に入手する。3つのスポット尿から得られた平均デップスティック塩化物-クレアチニン比は、3つの24時間採取物中の平均ナトリウム量を予測する。結果は方法の検証を達成し、データベースの最初の集団を含み、使用者は、塩化物/クレアチニン比から総ナトリウム排出を読み取ることができる。
【0102】
実施例4
実施例3で実施した研究を、より大きな集団で反復し(N=300)、塩化物/クレアチニン比と血圧制御、必要とされる薬剤の数、必要とされる利尿剤用量および血漿レニンレベルなどの臨床パラメータとの関係を、年齢、性別、人種、および疾患状態により規定したサブグループで評価する。
【0103】
実施例5
方法の有効性を、患者(N=60)に在宅で試験ストリップ法を使用させることにより、実地で試験する。各被験体には、尿中の塩化物と反応する適当な数のストリップを含むキットを供給し、そのため、反応が終点に到達すると、被験体は視覚的に読み取ることができ、ここで、示度は、尿中の塩化物濃度の測定値である。キットはさらに、尿中のクレアチニンと反応する、対応する数の試験ストリップを含み、そのため、反応が終点に到達すると、被験体は視覚的に読み取ることができ、ここで、示度は、尿中のクレアチニン濃度の測定値である。キットはまた、採尿するための適した容器、塩分摂取値、血圧および他の関連事象を記録するための診療記録、ならびに自分の塩分摂取量をモニタしたいと望む被験体がキットを使用するための明白に表現された取扱説明書を含む。書かれた取扱説明書の他に、各被験体はトレーナーにより指導を受ける。各被験体はキットを使用して、自身の塩化物/クレアチニン比を、少なくとも1週間に1度、2か月の期間にわたりチェックおよび記録し、その間、血圧降下剤は一定のままとする。診療記録を使用してデップスティックの結果を記録する。塩分排出の傾向および血圧の変化を分析し、塩分摂取量を減少させる際の在宅モニタリングの有効性を証明する。
【0104】
試験の最初の読み出しは尿塩化物濃度および尿クレアチニン濃度である。被験体が自身の示度を、患者および医者が容易に理解する結果に変換することができるようにルックアップ表またはノモグラムを提供する。塩化物/クレアチニン比ならびに年齢、体重、人種および性別によるクレアチニン排出に対する既報値に基づき、その結果を24時間ナトリウム排出の誘導した推定値とする。豊富な、そのような既報値が存在し(Bingham et al., Ann. Clin. Biochem. 25:610-619, 1988; Knuiman et al., Hum. Nutr. Clin. Nutr. 40: 343-348, 1986;Kunkel et al., J. Am. Coll. Nutr. 10:308-314, 1991;Sugita et al., Ann. Clin. Biochem. 29: 523-528, 1992)、従来のノモグラムを構成するための基本が提供される。例として、限定されないが、示度が、塩化物で150mEq/リットル、クレアチニンで100mg/dLである被験体は、被験体の性別、人種および体重と一致するノモグラムまたは表を選択し、「塩化物」の下で「150」、「クレアチニン」の下で「100」を見出し、「1日あたりの排出されるナトリウムのミリグラム」および「1日あたりの排出されるナトリウムのミリ当量」を読み取る。この例で、ノモグラムにより解釈される塩化物/クレアチニン比から、1日あたり5000mgのナトリウムの結果が得られる。指導を受けた被験体は容易にこれを高いと認識し、自身の最近の食事歴を調べ、食事から排除すべき摂取食品を識別する。ナトリウムをミリ当量で患者の医師に報告すると、患者の処方利尿剤レジメンおよび食事についての決定が導き出される。
【0105】
実施例6
尿塩化物および尿クレアチニンデータを、下記のように24時間尿ナトリウム排出に対する推定値に変換する:
1.モニタストリップから決定されるように被験体の尿塩化物濃度を見出す。
2.濾過ストリップから決定されるように被験体の尿クレアチニン濃度を見出す。
3.当技術分野で公知の確立されたノモグラムから24時間クレアチニン排出を調べ(ノモグラムは人種、性別、体重、および年齢による値を示す)、濾過ストリップから決定された被験体の尿クレアチニン濃度で割ることにより24時間尿体積推定値を見出す:

4.同じ数のナトリウムイオンおよび塩化物イオンが排出されると仮定し、下記関係に従い、mg/日の塩化物をmg/日のナトリウムに変換する:
35.45gの塩化物は23.5gのナトリウムに等しい。
【0106】
臨床例:
50歳、160ポンドのアフリカ系アメリカ人男性:
推定クレアチニン排出(被験体の年齢、体重、人種および性別に対し既報の)=2000mg/日
モニタストリップ読み出し:塩化物=4000mg/リットル
濾過ストリップ読み出し:クレアチニン=1000mg/リットル
計算:
1.塩化物濃度:4000mg/リットル
2.推定24時間尿体積:(1日あたり2000mgクレアチニン)/(1リットルあたり1000mgクレアチニン)=2リットル
3.24時間塩化物排出:(4000mg/リットル)(2リットル)=8000mg塩化物
4.ミリ当量への変換:8000mg塩化物/35.45mg/mEq=224mEq塩化物
5.mgナトリウムへの変換(ナトリウム-塩化物等量仮定の使用):224mEqナトリウム×23.5mg/mEq=5264mgナトリウム
【図面の簡単な説明】
【0107】
発明の説明、特に実施例は、添付の図面と共に読むとよりよく理解されると思われる。図面は、記述したものをグラフ形態で示したものにすぎず、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。
【図1】デップスティックにより、および検査室内の特別な機器により測定した尿塩化物の間の関係を示す図である。
【図2】デップスティックにより測定した尿塩化物と検査室内の特別な機器により測定した尿ナトリウムの間の関係を示す図である。
【図3】検査室内の特別な機器により測定した尿塩化物と尿ナトリウムの間の関係を示す図である。
【図4】デップスティックにより、および検査室内の特別な機器により測定した尿クレアチニンの間の関係を示す図である。
【図5】デップスティックにより、および検査室内の特別な機器により測定した尿塩化物/クレアチニン比の間の関係を示す図である。
【図6】デップスティックにより測定した尿塩化物/クレアチニン比と、臨床検査室内の特別な機器により測定した尿ナトリウム/クレアチニン比との間の関係を示す図である。
【図7】試験ストリップ装置の1つの態様を示す。図7Aは断面図であり、図7Bは上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)モニタストリップと;
(ii)濾過ストリップと;
(iii)被験体の尿試料とを含む、
検査室設備なしで、被験体による塩分摂取量をモニタするためのシステム。
【請求項2】
モニタストリップの読み出しおよび濾過ストリップの読み出しを、患者による塩分摂取量値に変換するためのノモグラムをさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
読み出しが分光的である、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
分光読み出しが比色的である、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
比色読み出しが視覚的に評価可能である、請求項3記載のシステム。
【請求項6】
試薬がロードされていないモニタストリップおよび試薬がロードされていない濾過ストリップをさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
塩化物標準およびクレアチニン標準をさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
a)尿中の塩化物を検出することができる第1の試験ストリップ、尿中のクレアチニンを検出することができる第2の試験ストリップ、および患者の尿を提供する段階;
b)第1および第2の試験ストリップを該尿に導入し、第1および第2の値を獲得する段階;および
c)該第1および第2の値の比を計算し、それから塩分摂取量値を見出す段階
を含む、検査室設備なしで実施される、塩分摂取量をモニタする方法。
【請求項9】
尿が高血圧を有する疑いのある患者からのものである、請求項7記載の方法。
【請求項10】
患者が在宅で段階(b)を実施する、請求項7記載の方法。
【請求項11】
塩分摂取量値が、約0mg/kg体重/日超と約1500mg/kg体重/日未満の間である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
塩分摂取量値が約50mg/kg体重/日を超える場合、塩分摂取量の低下が示される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
第2の試験ストリップはキノリンを含む、請求項7記載の方法。
【請求項14】
第1の試験ストリップは、ハロゲン化物イオンの存在下で測定可能な比色応答を示す重クロム酸銀試薬を含む、請求項7記載の方法。
【請求項15】
a)単一の試験ストリップ上に存在する、尿中の塩化物を検出することができる第1の試験領域、および尿中のクレアチニンを検出することができる第2の試験領域、ならびに患者の尿を含む装置を提供する段階;
b)第1および第2の領域を尿に導入し、第1および第2の値を獲得する段階;ならびに
c)第1および第2の値の比を計算し、それから塩分摂取量値を見出す段階
を含む、検査室設備なしで塩分摂取量をモニタする方法。
【請求項16】
尿中の塩化物を検出することができる第1の試験領域、尿中のクレアチニンを検出することができる第2の試験領域を含む装置。
【請求項17】
第1および第2の領域が、単一の試験ストリップ上に存在する、請求項16記載の装置。
【請求項18】
第1および第2の領域が、疎水性バリアにより分離される、請求項16記載の装置。
【請求項19】
第1の試験領域が、ハロゲン化物イオンの存在下で測定可能な比色応答を示す重クロム酸銀試薬を含む、請求項16記載の装置。
【請求項20】
第2の試験領域がキノリンを含む、請求項16記載の装置。
【請求項21】
請求項16記載の試験装置および装置を作動させるための取扱説明書を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−547001(P2008−547001A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517011(P2008−517011)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/022962
【国際公開番号】WO2006/138292
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507408121)コーネル リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド (3)
【Fターム(参考)】