レシチン及び可塑剤の組成物及び方法
本発明はレシチンと可塑剤とを有する組成物に関する。このような組成物を生成する方法が更に開示される。本発明は更に、コーティング、インク及び化粧品等の分野で化合物を分散するための、分散剤としての新規の組成物の使用に関する。一実施形態においては、本発明の分散剤は顔料を分散するのに用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には分散剤に関する。本開示はレシチンと可塑剤とを含む組成物に関する。本開示は更に、レシチンと可塑剤とを含む組成物の調製及び使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レシチンは、例えば卵黄及びダイズといった動物及び植物組織に見られる液体物質である。レシチンは限定しないが、例えばホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、及びホスファチジルエタノールアミン(PE)といったリン脂質を含む多様な成分からなる。レシチンの両親媒性の特性によって、物質は様々な用途において有効な加工助剤、乳化剤、分散剤、及び/又は界面活性剤となる。
【0003】
例として、レシチンは、物質間の境界層の変更が所望される場合の用途に用いてもよい。不混和性の液相の存在時に、レシチンは界面表面張力を低減し、乳化剤として機能しうる。2以上の固相で用いられる場合に、レシチンは潤滑剤及び/又は離型剤として機能しうる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書中に開示の特定の実施形態はレシチンと可塑剤とを含む組成物に関する。別の実施形態においては、方法はレシチンを可塑剤と混合するステップを具える。他の実施形態においては、分散剤としての組成物の使用が開示される。
【0005】
本開示はこの概要に開示の実施形態に限定されず、請求項により規定されるように、本発明の精神及び範囲内にある変更をカバーすることが目的であると理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の特徴及び利点は添付の図面によってより良く理解できる。
【0007】
【図1】図1は、レシチンとジ(2−エチルヘキシル)アジパートとの様々な配合について粘度−温度特性を示すグラフである。
【図2】図2Aはレシチンとジ(2−エチルヘキシル)アジパートとの様々な配合での粘度及びアセトン不溶性に対する数値を示すグラフであり、図2Bは25℃で異なる可塑剤の存在下でのYelkin T(塑性粘度のあるレシチン)の粘度特性を示すグラフである。
【図3】図3は、従来の2の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について、様々な特性を比較したグラフである。
【図4】図4は、従来の2の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について、熱老化の安定後の様々な特性の変化を比較したグラフである。
【図5】図5は、従来の有機顔料を含む2の塗料の配合物、無機顔料を含む2の従来の塗料の配合物、本明細書中に開示の実施形態による有機顔料を含む2の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による無機顔料を含む2の塗料の配合物について、呈色強度の結果を比較したグラフである。
【図6】図6は、従来の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について様々な特性を比較したグラフである。
【図7】図7は、従来の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について、熱老化の安定後の特性の変化を比較したグラフである。
【図8】図8は、従来の青色有機顔料を含む塗料の配合物、従来の赤色無機顔料を含む塗料の配合物、本明細書中に開示の実施形態による青色有機顔料を含む2の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による赤色無機顔料を含む2の塗料の配合物について、呈色適合性の結果を比較したグラフである。
【図9】図9は、従来の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について、1ガロンあたりの重量及び粘度の数値を比較したグラフである。
【図10】図10は、従来の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について呈色適合性の結果を示したグラフである。
【図11】図11は、白色系塗料と混合した本明細書中に開示の実施形態によるカーボンブラック分散系を含む2の塗料を比較した、調合試験のパネルの写真である。
【図12】図12は、白色系塗料と混合した従来のカーボンブラック顔料の分散系配合物を含む塗料と、白色系塗料と混合した本明細書中に開示の実施形態によるカーボンブラック分散系を含む塗料とを比較した、調合試験のパネルの写真である。
【図13】図13は、白色系塗料に赤色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料を比較した調合試験のパネルの写真であり、その塗料において用いられる顔料は従来の分散系、及び本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図14】図14は、白色系塗料に赤色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料を比較した調合試験のパネルの写真であり、その塗料において用いられる顔料は従来の分散系、及び本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図15】図15は、カーボンブラック分散系と白色系塗料とを含む塗料についてCIE L*a*b*の明度値を比較したグラフであり、カーボンブラック顔料分散系は従来の顔料分散系と、本明細書中に開示の実施形態による様々な顔料分散系とを含む。
【図16】図16は、白色系塗料にフタロシアニン顔料分散系を含む塗料についてCIE L*a*b*の青色度の数値を比較したグラフであり、フタロシアニン顔料分散系は従来の顔料分散系と、本明細書中に開示の実施形態による顔料分散系とを含む。
【図17】図17は、白色系塗料に赤色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料についてCIE L*a*b*の赤色度の数値を比較したグラフであり、赤色の酸化物顔料の分散系は本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図18】図18は、白色系塗料に赤色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料についてCIE L*a*b*の赤色度の数値を比較したグラフであり、赤色の酸化物顔料の分散系は本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図19】図19は、白色系塗料に黄色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料についてCIE L*a*b*の黄色度の数値を比較したグラフであり、黄色の酸化物顔料の分散系は本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図20】図20は、昼白色系及び本明細書中に開示の実施形態による黄色の酸化鉄顔料の分散系で調製された塗料について不透明度の数値を比較したグラフである。
【図21】図21は、中間調系の白色塗料、及び本明細書中に開示の実施形態による黄色の酸化鉄顔料の分散系で調製された塗料について、CIE L*a*b*の黄色度の数値を比較したグラフであり、更に本明細書中に開示の実施形態による分散系について、顔料の分散剤の割合及び顔料の界面活性剤の割合が示されている。
【図22】図22は、Bayferrox130Mの赤色の酸化鉄顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図23】図23は、Mogul Eの黒色顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図24】図24は、Bayferrox3910の黄色の酸化鉄顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図25】図25は、Lansco5576−Cの青色顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図26】図26は、Monarch1100の黒色顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図27A】図27Aは、インク配合物中の樹脂分散系における青色顔料、及び半光沢ラテックスに添加された水分散系における青色顔料の青色度を例示する。
【図27B】図27Bは、樹脂及び水分散系における青色顔料の研磨の細密度を示す。
【図27C】図27Cは、インク配合物中の樹脂分散系、及び半光沢ラテックスに添加された水分散系における青色顔料の呈色強度を示す。
【図28】図28は、プラスチックフィルムに塗布されるように、塗布ロット(application rod)番号20を用いたインク配合物の薄膜構造を示す。第1のパネルは分散剤として実施例9の組成物を用いた薄膜構造を示し、第2のパネルは分散剤としてJeffsperseを用いた薄膜構造を示し、第3のパネルは分散剤としてEsperseを用いた薄膜構造を示す。
【図29】図29は、インク配合物中の樹脂分散系における、及び半光沢ラテックスに添加された水分散系における黒色顔料の研磨の細密度を示す。
【図30】図30は、インク配合物中の樹脂分散系における、及び半光沢ラテックスに添加された水分散系における黒色顔料の呈色強度を示す。
【図31】図31は、プラスチックフィルムに塗布されるように、塗布ロット番号30を用いたインク配合物の薄膜構造を例示する。第1のパネルは分散剤として実施例9の組成物を用い、第2のパネルは分散剤としてEsperseを用い、第3のパネルは分散剤としてJeffsperseを用いる。
【図32】図32Aは、異なる顔料濃度での3%の分散剤中の二酸化チタン顔料の分散系の粘度特性を示し、図32Bは、分散剤の濃度の変化を伴う二酸化チタンの分散系の粘度特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願においては、特許請求の範囲を含めて、動作の実施例にある、又は別途指示のある場合以外の、数量あるいは特徴を表す総ての数は、総ての例において、用語「約(about)」で修飾されると理解すべきである。従って、そうではないことを示さない限り、以下の記載で説明される任意の数値パラメータは、本開示による組成物及び方法で得られるのが求められる所望の特性に依存して変化しうる。最低限でも、かつ、等価な見解を特許請求の範囲に適用するのを限定しないように、本記載に述べている数値パラメータは少なくとも、報告済みの有効数字の数に照らして、かつ通常の多数の技術を適用することによって、解釈すべきである。
【0009】
全体及び一部において、本明細書中に引用によって組み込まれると言える任意の特許、刊行物又は他の開示資料は、組み込まれた資料が本明細書中で説明される現存する定義、記載、又は他の開示資料と矛盾しない範囲のみについて、本明細書中に組み込まれる。このように、かつ必要な範囲で、本明細書中で説明されるような開示は、引用によって本明細書中に組み込まれる任意の矛盾する資料を廃棄する。本明細書中に引用によって組み込まれると言えるが、本明細書中で説明される現存する定義、記載、又は他の開示資料と矛盾する任意の資料又はその一部分は、その組み込まれた資料と現存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲に対してのみ組み込まれる。
【0010】
本明細書で開示の実施形態は、レシチンと可塑剤とを含む組成物及び方法に関する。様々な実施形態においては、その組成物は:本開示の組成物の5ないし95重量パーセント、特定の実施形態においては70ないし95%の範囲の含量のレシチンと;本開示の組成物の5ないし95重量パーセント、特定の実施形態においては5ないし30%の範囲の含量の可塑剤と;の調合物である。
【0011】
レシチンと1以上の可塑剤との組合せで、特に水溶系において、従来のレシチンと比較して粘度が低減した組成物が得られることが見出された。レシチンを可塑剤と混合することは言わば、レシチンをトリグリセリドと混合することによって得られる粘度の低減と比較して有効である。この粘度の低減によって、水溶系及び非水溶系の双方において、分散剤としてのレシチンの適用性が増加しうる。本開示のレシチンと可塑剤との組成物は、例えば塗料、インク及び他のコーティングにおける顔料分散溶剤のような多数の用途に所望の粘度特性を提供するように設計してもよい。様々な実施形態においては、本開示のレシチンと可塑剤との組成物の粘度は3000センチポイズ未満である。様々な実施形態においては、本開示のレシチンと可塑剤との組成物の粘度は、2000センチポイズ未満、500センチポイズ未満、又は100センチポイズ未満である。本発明の組成物の粘度の低減によって、従来の分散剤の当量と比較して、本発明の等体積のレシチンと可塑剤との組成物により多くの顔料を分散できる点で、レシチンと可塑剤との組成物の顔料に対する充填容量は、従来の分散剤と比較して更に高くできる。
【0012】
本開示の組成物及び方法で用いるのに好適なレシチンは限定しないが、粗濾過されたレシチン、液体レシチン、脱油レシチン、化学及び/又は酵素修飾したレシチン、標準化したレシチン、ならびにその任意の調合物を含む。本開示で用いたレシチンの親水親油バランス(HLB)値は一般的に、レシチンを得て、レシチン生成物を生成するのに用いられる処理条件及び添加物に依存して、1.0ないし10.0の範囲となる傾向にある。例えば、粗濾過されたレシチンのHLB値は約4.0であり、油中水型の乳剤の形成に好適である。標準化したレシチンはHLB値が10.0ないし24.0の範囲にある共乳化剤を含み、HLB値が7.0ないし12.0であり、水中油型の乳剤に好適なレシチン組成物が得られる。任意のレシチン又はレシチンの組合せは、レシチンの初期HLB値に拘わらず本開示の組成物及び方法で用いるのに好適である。本開示の組成物及び方法に有用なレシチンは、親水親油バランス値が10.0ないし24.0、特定の実施形態においては10.0ないし18.0の範囲にある共乳化剤を含んでもよい。
【0013】
例えばレシチンといった乳化剤及び/又は界面活性剤の特性は、物質の親水親油バランス(HLB)値によって少なくとも部分的に予測できる。HLB値は両親媒性物質の油又は水に対する相対的な選好性の指標として機能し、HLB値が高くなるにつれて分子は親水性になり、HLB値が低くなるにつれて分子は疎水性になる。HLB値の説明は米国特許第6,677,327号に提供され、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる。HLBは更に:Griffin,“Classification of Surface−Active Agents by‘HLB’”,J.Soc.Cosmetic Chemists 1(1949);Griffin,“Calculation of HLB Values of Non−Ionic Surfactants”,J.Soc.Cosmetic Chemists 5(1954);Davies,“A quantitative kinetic theory of emulsion type,I.Physical chemistry of the emulsifying agent”,Gas/Liquid and Liquid/Liquid Interfaces,Proceedings of the 2d International Congress on Surface Activity(1957);及びSchick,“Nonionic Surfactants:Physical Chemistry”,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,pp.439−47(1987);に記載されており、その各々は全体が引用によって本明細書中に組み込まれる。
【0014】
様々な実施形態においては、本開示の組成物及び方法で用いられる可塑剤は、生物ベースの可塑剤、シトラート、アジパート、ペンタエリスリトールエステル、イソソルビドエステル、中鎖トリグリセリド、ポリグリセロールエステル、及びその任意の組合せからなる群から選択してもよい。生物由来の起源物質は石油化学的な資源から得られるのではなく、生物学的物質から得られる。生物由来の物質は、国際規格の放射性同位体分析法であるASTM D6866(ASTM International Radioisotope Standard Method D6866)を用いてその炭素同位体比によって石油由来の物質と区別できる。本明細書で用いられるように、用語「生物由来である(bio−derived)」とは例えば、農業、森林、植物、真菌、細菌、又は動物の供給材料といった、再生可能な生物学的供給材料によって取得又は合成されることである。
【0015】
多様な機関が生物由来の成分を決定するための認可条件を確立している。これらの方法は例えば、液体シンチレーション計数、加速器質量分析、又は高精度同位体比質量分析による生物由来の生成物と石油由来の生成物との間の同位体存在量の変動の測定を要求する。13C/12Cの炭素同位体比、又は14C/12Cの炭素同位体比といった炭素の同位体の同位体比は、高精度で同位体比質量分析を用いて決定できる。研究は、例えば光合成中の植物内部のCO2輸送といった生理学的プロセスによる同位体分別によって天然又は生物由来の化合物で特定の同位体比が得られることを示してきた。石油及び石油由来の生成物は、石油の生成時の異なる化学的プロセス及び同位体分別により、13C/12Cの炭素同位体比が異なっている。更に、不安定な14Cの炭素同位体の放射性崩壊により、生物由来の生成物における同位体比は、石油生成物と比較すると異なっている。生成物の生物由来の成分は国際規格の放射性同位体分析法であるASTM D6866によって検証できる。国際規格の放射性同位体分析法であるASTM D6866は、材料又は生成物における有機炭素全体の重量(質量)パーセントとして、材料又は生成物における生物由来の炭素含量に基づき材料の生物由来の成分を決定する。生物由来の生成物の炭素同位体比は、生物学由来の組成物の特徴である。
【0016】
生物由来の材料は、石油化学物質及び石油由来の生成物への依存を低減又は置換すると思われる魅力のある工業生産用の代替物を提供する。石油化学物質及び石油由来の生成物の生物学的資源由来の生成物及び/又は供給材料(すなわち、生物系生成物)との置換によって、多くの利点が得られる。例えば、生物学的資源由来の生成物及び/又は供給材料は一般的には再生可能な資源である。ほとんどの場合、生物由来の化学物質及びその化学物質から形成される生成物は、石油化学物質及び石油化学物質から形成される生成物よりも環境への負担が少ない。容易に抽出される石油化学物質の供給が枯渇し続けているため、石油化学生成物の経済性的側面によって、おそらくは余儀なく、石油化学物質及び石油由来の生成物の経費が生物系生成物と比較して高額となるであろう。更に、大衆が更に石油化学物質の供給に関心を持つ観点において、企業は再生可能な資源からの生物由来の生成物に付随する市場の利点によって利益を得ることができる。
【0017】
様々な実施形態においては、本開示の組成物及び方法で用いるのに好適な可塑剤は、限定しないがジ(2−エチルヘキシル)アジパート、ジオクチルアジパート、プロピレングリコールモノエステル、ブチルベンジルフタラート、ジ−n−ブチルマレアート、ジ−n−ブチルフタラート、ジエチレングリコールジベンゾアート、ジ(2−エチルヘキシル)フタラート、ジオクチルフタラート、ジエチルフタラート、ジイソブチルフタラート、ジイソデシルアジパート、ジイソデシルフタラート、ジイソヘプチルフタラート、ジイソノニルアジパート、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシラート、ジイソノニルフタラート、ジイソオクチルアジパート、ジイソオクチルフタラート、ジメンチルフタレート、ジ−n−ヘキシルフタラート、ジ−n−オクチルアジパート、ジ−n−オクチルフタラート、ジノニルフタラート、ジオクチルマレアート、ジオクチルセバカート、ジオクチルテレフタラート、ジオクチルアゼラート、ジプロピレングリコールジベンゾアート、ジ(2−プロピルヘプチル)フタラート、ジトリデシルアジパート、ジトリデシルフタラート、ジウンデシルフタラート、2−エチルヘキサノール、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ダイズ油、汎用フタラート、イソデシルアルコール、イソノニルアルコール、無水フタル酸、2−プロピルヘプタノール、ポリ塩化ビニル、トリクレシルホスファート、トリイソノニルトリメリタート、トリイソオクチルトリメリタート、トリメリト酸無水物、トリオクチルトリメリタート、トリフェニルホスファート、トリキシリルホスファート、ウンデシルドデシルフタラート、及びその任意の組合せを含む。様々な実施形態においては、可塑剤はジ(2−エチルヘキシル)アジパート(DEHA)を含む。
【0018】
本明細書中で用いられるように、用語「DEHA」はジ(2−エチルヘキシル)アジパートを含む。DEHAは更に、当該技術分野においてはジオクチルアジパート又は「DOA」である。本明細書中で用いられるように、特に指示しない限り、ジオクチルアジパート(DOA)はアジピン酸と直鎖状のn−オクタノールとのエステルである。
本明細書中に記載の様々な実施形態において、双方の部分が、単独で、同時に、又は他の可塑剤と組み合わせて、可塑剤として用いることができることに留意することは、更に重要である。
【0019】
様々な実施形態においては、本開示の組成物は更に1以上の共界面活性剤を含んでもよい。1以上の共界面活性剤は:1以上のカチオン性界面活性剤;1以上のアニオン性界面活性剤;1以上の非イオン性界面活性剤;又はカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤のうちの1以上の組合せ;を含んでもよい。様々な実施形態においては、共界面活性剤又は共界面活性剤の組合せの親水親油バランスは、10.0ないし24.0、いくつかの実施形態においては10.0ないし18.0の範囲であってもよい。様々な実施形態においては:レシチンは本開示の組成物のうちの5ないし95重量パーセント、いくつかの実施形態においては60ないし90%、他の実施形態においては80%ないし90%を構成してもよく;可塑剤は本開示の組成物のうちの1ないし20重量パーセント、いくつかの実施形態においては5%ないし15%、他の実施形態においては、5%ないし10%又は10%ないし15%を構成してもよく、共界面活性剤は、組成物のうちの2ないし20重量パーセント、いくつかの実施形態においては5%ないし15%、他の実施形態においては10%ないし15%を構成してもよい。
【0020】
本開示の組成物及び方法で用いるのに好適なアニオン性界面活性剤は限定しないが、直鎖脂肪酸のナトリウム及びカリウム塩、ポリオキシエチレン化された脂肪アルコールのカルボキシラート、直鎖アルキルベンゼンのスルホナート、αオレフィンのスルホナート、スルホン化脂肪酸のメチルエステル、アリールアルカンスルホナート、スルホスクシナートエステル、アルキルフェニルエーテル(ジ)スルホナート、アルキルナフタレンスルホナート、イセチオナート(isoethionate)、アルキルエーテルスルファート、硫酸化油、脂肪酸モノエタノールアミドのスルファート、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドのスルファート、脂肪族ホスファートエステル、ノニルフェノールホスファートエステル、サルコシナート、フッ化アニオン、油脂化学物質由来のアニオン性界面活性剤、及びその任意の組合せを含む。様々な実施形態においては、界面活性剤は例えば、リン酸エステルといったアニオン性界面活性剤を含む。
【0021】
本開示の組成物及び方法で用いるのに好適な非イオン性界面活性剤は限定しないが、ソルビタンモノステアラート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体、ポリオキシエチレンモノラウラート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレアート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアラート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレアート、ポリオキシエチレンジステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアラート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサステアラート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサオレアート、脂肪酸、トール油、ソルビトールのヘキサエステル、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化ダイズ油、ナタネ油のエトキシラート、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪アルコール、エトキシ化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレアート、グリセロールとポリエチレングリコールとを混合したエステル、アルコール、ポリグリセロールエステル、モノグリセリド、スクロースエステル、アルキルグリコシド、ポリソルベート、脂肪酸アルカノールアミド、ポリグリコールエーテル、その任意の誘導体、及びその任意の組合せを含む。様々な実施形態においては、界面活性剤は例えば脂肪酸のエトキシラートといった非イオン性界面活性剤を含む。
【0022】
本発明で用いるのに好適なカチオン性界面活性剤は限定しないが:脂肪族アミン塩;第一級、第二級、及び第三級アミンを含む脂肪族アルキルの第四級アミン;エステルアミン及び対応するエトキシ化エステルアミン;及びその任意の組合せ;を含む。
【0023】
様々な実施形態においては、本開示の組成物及び方法はレシチン、可塑剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤を含んでもよい。様々な実施形態においては、可塑剤はジ(2−エチルヘキシル)アジパートを含んでもよく、アニオン性界面活性剤はリン酸エステルを含んでもよく、非イオン性界面活性剤は脂肪酸のエトキシラートを含んでもよい。様々な実施形態においては、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤は1:9ないし9:1の範囲の重量比で本開示の組成物中に存在してもよい。アニオン性界面活性剤は本開示の組成物のうちの1ないし10重量パーセント、いくつかの実施形態においては3%ないし7%を構成してもよく;非イオン性界面活性剤は本開示の組成物のうちの1ないし10重量パーセント、いくつかの実施形態においては3%ないし7%を構成してもよい。様々な実施形態においては、本開示の組成物は、その組成物に3重量パーセントのアニオン性界面活性剤と7重量パーセントの非イオン性界面活性剤とを含む。
【0024】
レシチンと可塑剤との組合せによって、従来のレシチンと比較して粘度の低減した組成物が得られる。粘度の低減によって、例えば塗料、インク、及び他のコーティング組成物といった様々な用途における加工助剤、乳化剤、分散剤、及び/又は界面活性剤としての組成物の適用性が増加する。レシチンと可塑剤と界面活性剤とを含む実施形態は、水溶系における有用性が見出され、低粘度の組成物は水分散性であり、界面活性剤はレシチンと可塑剤との調合物の水での安定性を促進する。様々な実施形態においては、本開示の組成物でのアニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の組合せの使用によって更に、水溶系におけるレシチンと可塑剤との調合物の安定性が促進される。
【0025】
様々な実施形態においては、本開示の水分散性のレシチンと可塑剤との組成物は、限定しないがラテックス塗料を含む水性コーティングに有用性が見出されている。様々な実施形態においては、本開示の組成物は塗料又はインク配合物における顔料用の分散溶剤として用いてもよい。顔料は有機顔料、無機顔料、カーボンブラック顔料、又はその任意の組合せからなる群から選択してもよい。様々な実施形態においては、本開示の組成物によって、限定しないが研磨助剤、粉剤助剤、及び遊離助剤を含み、光沢度、着色剤、及び着色配合物における主要部の改善に寄与しうる顔料処理が都合よく促進される。本開示の組成物の粘度の低下によって、分散系における顔料及び他の粒子のコーティングの均一性が改善される。この状況においては特に、本開示の組成物によって、分散剤、湿潤剤、及び/又は安定剤の特性及び性能が改善される。
【0026】
他の様々な実施形態においては、本開示の組成物は磁性流体用途に用いてもよい。一実施形態においては、本開示の組成物は溶剤系における磁性粒子を安定化させるのに用いてもよく、限定しないが基油とエステル化合物との混合物を含む。本開示の組成物の潤滑剤及び分散剤の特性の改善によって、流体の粘度に悪影響を引き起こすことなく、磁性流体における懸濁粒子の凝集が低減する。
【0027】
本開示の組成物は更に、ナノテクノロジー用途で用いてもよい。一実施形態においては、本開示の組成物はナノ粒子懸濁液で分散剤、湿潤剤、可溶化剤、及び/又は安定剤として用いてもよい。本開示の組成物及び方法での更なる用途は限定しないが、ガラス繊維、コンクリート、セラミック、プラスチック、及び複合材料での使用を含む。本開示の組成物の更なる使用は限定しないが、繊維用助剤、皮革用最終加工剤、プラスチック配合剤、潤滑剤、油田掘削用の添加剤、皮膚軟化剤、塗膜形成剤、及び離型剤としての使用を含む。
【0028】
様々な用途における分散剤、湿潤剤、可溶化剤、及び/又は安定剤としての本開示の組成物の多数の機能性に加えて、本開示の組成物は更に揮発性有機化合物(VOC)が少ないか、あるいはそれを含まない。VOCの少ない塗料、インク、及び他の表面コーティングは石油系溶剤の代わりの担体として水を用いることができる。このように、有毒な排出物質のレベルが溶剤由来の表面コーティングよりも少ない。しかしながら、顔料及び他の着色剤の分散系は、石油性の系と比較して水性のコーティング系にするのが難しい。従って、本開示の組成物をVOCの低いコーティング配合物で用いて、所望されないVOCを組成物に提供することなく顔料及び着色剤の分散を改善できる。
【0029】
EPA規格に合致させるために、塗料、インク及び他の表面コーティングは1リットルにつき200グラムを超えるVOCを含んではならない。一般的には、VOCの少ない表面コーティングは通常50g/LのVOCのしきい値に合致する。例えば、Green Seal Standard(GS−11)マークを有する塗料は、50g/L未満(均一光沢について)又は150g/L未満(不均一光沢について)で認定される。EPA Reference Test Method24による5g/L以下の範囲でVOCを含む表面コーティングは、「Zero VOC」と称される。
【0030】
様々な実施形態においては、本明細書中で開示の組成物のVOCは、組成物1リットルにつき25グラム未満である。様々な実施形態においては、本明細書中で開示の組成物のVOCレベルは5g/L未満、1g/L未満、又は0.5g/L未満である。様々な実施形態においては、本明細書中で開示の組成物、はVOCの少ない生物由来の分散剤、湿潤剤、可溶化剤、及び/又は安定剤として用いてもよい。
【0031】
本明細書で開示の実施形態は更に、本開示の組成物の調製方法に関する。様々な実施形態においては、レシチンを周囲温度を超える温度に加熱し、可塑剤を高温でレシチンに添加し、可塑剤及びレシチンを互いに混合して、レシチンと可塑剤との調合物を形成する。調合物は周囲温度まで冷却する。得られた調合物の粘度はレシチン成分単体よりも低く、3000cP未満にできる。様々な実施形態においては、レシチンと可塑剤との調合物の粘度は2000cP未満、500cP未満、又は100cP未満にできる。他の様々な実施形態においては、1以上の共界面活性剤は、1以上の可塑剤と同時にレシチンに添加しても、その前に添加してもよい。1以上の共界面活性剤は代替的に、レシチンと1以上の可塑剤との調合物に添加してもよい。
【0032】
本明細書で開示の実施形態は更に、本開示の組成物を用いる方法に関する。様々な実施形態においては、本開示の組成物は、例えばコンクリート、セラミック、ガラス繊維、プラスチック、インク、塗料、又は他のコーティングといった配合物中の成分の分散又は湿潤を促進するのに用いられる。本開示の組成物は、例えば顔料といった少なくとも1の成分を分散又は湿潤するために配合物に混合される。様々な実施形態においては、本開示の組成物は様々な配合物で用いるためのVOCの少ない生物由来の添加剤を含む。
【0033】
本明細書中に例示されるように、本開示の組成物は、溶剤系及び水性の塗料、インク、及び他のコーティング系を調合するのに好適である。本開示の組成物の両親媒性の特性によって、有機顔料用及び無機顔料用の双方で良好な湿潤剤及び安定化剤として用いることができる。本開示の組成物は更に、様々な顔料濃度に好適である。様々な実施形態においては、本明細書中に例示されるように、本開示の組成物は塗料、インク及び他のコーティング系の配合時の、顔料分散処理において研磨助剤として添加される。
【0034】
様々な実施形態においては、本明細書中に例示されるように、本開示の組成物は、低い研磨粘度、高い顔料充填率、低い気泡性、高い呈色発生、及び迅速な分散/湿潤を呈するVOCの少ない分散剤として機能しうる。様々な実施形態においては、本開示の組成物はアルキルフェノールエトキシラートのない乳化剤の調合物を含んでもよい。
【0035】
[実施例]
以下の例示的で限定されない実施例は、本明細書中に提供される実施形態について更に説明するために提供される。当該技術分野の当業者は、これらの実施例の変形が本発明の範囲内で可能であることが分かるであろう。
【実施例1】
【0036】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)とジ(2−エチルヘキシル)アジパート(DEHA)(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)が以下の重量比(レシチン:DEHA)で調製された:95:5、90:10、85:15、80:20、70:30、60:40。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約60℃に加熱することによって調製した。粗製のレシチンが融解し始めると、DEHAを添加し、混合物を60℃で約1時間攪拌した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。
【実施例2】
【0037】
粘度−温度特性は実施例1で調製された総ての調合比について測定された。特性の結果は図1に示されている。調合物は更に粘度及びアセトン不溶性について分析した。分析結果は図2aに示される。粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)は、ジ(2−エチルヘキシル)アジパート(DEHA)(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)の他、ダイズ油(SBO)、MCT(Neobee(登録商標)1053、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)と称される中鎖トリグリセリド、及びDrewpol(登録商標)3−5−CC(米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)とともに、(90:10、80:20、70:30、及び60:40)といった様々な比率の調合物を生成するために用いた。これらの調合物の粘度は図2bに示されるように25℃で測定された。レシチンの粘度は塑性粘度であるために図示していない。
【実施例3】
【0038】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80%のレシチンと10%のDEHAと10%の脂肪酸のエトキシラートであった。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約50℃に加熱することによって調製した。粗製のレシチンが融解し始めると、DEHAと脂肪酸のエトキシラートとを添加し、混合物を60℃で約1時間攪拌した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であり、色彩が透明な琥珀色であり、粘度が25℃で約16ストークスであった。調合物は水分散性であった。
【実施例4】
【0039】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社から入手可能)との調合物が調製された。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約50℃に加熱し、90:10(レシチン:界面活性剤)の重量比で脂肪酸のエトキシラートを添加することによって調製し、中間調合物を形成した。中間調合物は50℃で約1時間、一定の攪拌下で90:10(中間調合物:DEHA)の重量比でDEHAと混合して、最終調合物を形成した。最終調合物は周囲温度で流動性の液体であり、色彩が透明な琥珀色であり、粘度が25℃で16.8ストークスであった。最終調合物は水分散性であった。
【実施例5】
【0040】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約50℃に加熱し、90:10(レシチン:DEHA)の重量比でDEHAを添加することによって調製し、中間調合物を形成した。中間調合物は50℃で約1時間、一定の攪拌下で90:10(中間調合物:界面活性剤)の重量比で脂肪酸のエトキシラートと混合して、最終調合物を形成した。最終調合物は周囲温度で流動性の液体であり、色彩が透明な琥珀色であり、粘度が25℃で12.8ストークスであった。最終調合物は水分散性であった。
【実施例6】
【0041】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と不飽和型のプロピレングリコールモノエステル(PGME、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)との調合物が調製された。調合物は90重量パーセントのレシチン及び10重量パーセントのPGMEであった。調合物はレシチンとPGMEとを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であり、粘度が25℃で約14.9ストークスであった。
【実施例7】
【0042】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのDEHA、及び10重量パーセントの界面活性剤であった。調合物はレシチンとDEHAと界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例8】
【0043】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、リン酸エステルの界面活性剤(Stepfac(商標)8170、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのDEHA、及び10重量パーセントの界面活性剤であった。調合物はレシチンとDEHAと界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例9】
【0044】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)と、リン酸エステルの界面活性剤(Stepfac(商標)8170,米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのDEHA、7重量パーセントの脂肪酸のエトキシラートの界面活性剤、及び3重量パーセントのリン酸エステルの界面活性剤であった。調合物はレシチンとDEHAと2の界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例10】
【0045】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と不飽和型のプロピレングリコールモノエステル(PGME、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのPGME、及び10重量パーセントの界面活性剤であった。調合物はレシチンとPGMEと界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例11】
【0046】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、不飽和型のプロピレングリコールモノエステル(PGME、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)と、リン酸エステルの界面活性剤(Stepfac(商標)8170、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのPGME、7重量パーセントの脂肪酸のエトキシラートの界面活性剤、及び3重量パーセントのリン酸エステルの界面活性剤であった。調合物はレシチンとPGMEと2の界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例12】
【0047】
つや消し白色の改良した水性塗料の配合物は、従来の分散剤及び従来の分散剤の調合物の代替品として水分散性のレシチンとDEHAとの調合物を組み込んで調製した。従来の分散剤及び調合物は比較のための基準として用いた。改良した塗料の配合物は、表1に示した標準の塗料の配合物における従来の分散剤(1:1の重量比でのE−Sperse100(商標)及びE−Sperse506(登録商標)、米国サウスカロライナ州グリーンヴィルのEthox Chemicals社)を実施例3及び9によって調製されたレシチンとDEHAとの調合物で代替することによって調製した。
【0048】
【表1】
【0049】
分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で30分間行われ、ダイヤル設定は、総ての配合物について2.5であり、例外として、実施例9でのレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、練り顔料の粘度が低く観測されたため、ダイヤル設定は2で分散された。様々な特性は、基準の塗料配合物であるE−Sperse100(商標)のみを含む配合物について、及び、従来のE−Sperse(商標)混合物を代替する実施例3のレシチンとDEHAとの調合物、又は実施例9のレシチンとDEHAとの調合物を含む改良した配合物について測定した。
【0050】
塗料の配合物の粘度は分散の約24時間後に測定した。塗料のサンプルはバードアプリケータ(Bird applicator)を用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布され、塗膜特性は薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後で測定した。熱老化安定試験は140℃で7日間、配合物について行った。2の市販の着色剤(Colortrend(登録商標)Phthalocyanine Blue、及びRed Iron Oxide、Evonik Industries社(デグッサ社))は更に、改良した塗料の配合物に対する色彩の許容性/適合性を評価するのに用いた。つや消し白色の改良した塗料の配合物は、99:1の重量比(塗料:着色剤)で着色剤と混合した。呈色特性(CIE L*a*b*系)はBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて決定した。結果は表2及び図3ないし5に示される。
【0051】
【表2】
【0052】
図3によると、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む、塗料の配合物の粘度、光沢度、及び不透明度は従来のE−Sperse(商標)の混合物を含む基準配合物の粘度及び光沢度とほぼ一致した。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む、塗料の配合物の粘度、光沢度、及び不透明度はE−Sperse100(商標)のみを含む配合物の粘度及び光沢度とほぼ一致した。レシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、レシチンとDEHAとの調合物の本来の帯黄色の呈色によって更に黄色の呈色を示す傾向にあった。
【0053】
図4によると、配合物を140℃で7日間曝露後に、従来のE−Sperse(商標)の塗料の配合物は、レシチンとDEHAとの調合物を含む改良した配合物よりも大きな粘度の増加と、小さな光沢度の変化とを呈示した。140℃で7日間の熱老化安定後に、レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は従来のE−Sperse(商標)の塗料の配合物よりも、粘度増加の低減と光沢度のわずかな減少を呈示した。レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、レシチンとDEHAとの調合物の本来の帯黄色の呈色によって、塗料の黄色の呈色を更に示した。
【0054】
図5は、2の市販の着色剤(Colortrend(登録商標)Phthalocyanine Blue(有機物)、及びRed Iron Oxide(無機物)、Evonik Industries社(デグッサ社))を有する塗料の配合物の呈色強度を例示する。青色の有機着色剤に対する絶対値の低さは有機着色剤と分散剤との間の良好な色彩の許容性/適合性を表わし、赤色の無機着色剤に対する絶対値の高さは無機着色剤と分散剤との間の良好な色彩の許容性/適合性を示す。従来のE−Sperse(商標)の混合物及びレシチンとDEHAとの調合物は、E−Sperse100(商標)の分散剤単体よりも有機着色剤及び無機着色剤で良好な呈色適合性を呈示した。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物は他の分散剤よりも有機着色剤との良好な適合性を呈示した。従来のE−Sperse(商標)の混合物及び実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物は、他の分散剤よりも無機着色剤との良好な適合性を呈示した。
【0055】
全体として、水性塗料の配合物における分散剤としてのレシチンとDEHAとの調合物の性能は基準の市販分散剤と遜色なかった。
【実施例13】
【0056】
改良した屋内用の半光沢性の水性白色塗料の配合物は、従来の分散剤の代替物として水分散性のレシチンとDEHAとの調合物を組み込んで調製した。従来の疎水性共重合体の高分子電解質の分散剤(Tamol(商標)165A、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのRohm and Haas社)は、表3に示した基準塗料の配合物の重量に対する重量(weight−for−weight)に基づいて、2のレシチンとDEHAとの調合物(実施例3及び実施例9)の各々で代替した。従来の分散剤は改良した配合物との比較のために基準として用いた。
【0057】
【表3】
【0058】
分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で15分間行われ、ダイヤル設定は、総ての配合物について2.25であった。様々な特性は、基準の塗料配合物について、及び、従来のTamol(商標)165Aを代替する実施例3のレシチンとDEHAとの調合物、又は実施例9のレシチンとDEHAとの調合物を含む改良した塗料の配合物について測定した。
【0059】
塗料の配合物の粘度は分散の約24時間後に測定した。塗料のサンプルはバードアプリケータ(Bird applicator)を用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布され、塗膜特性は薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後で測定した。熱老化安定試験は140℃で7日間、配合物について行った。2の市販の着色剤(Colortrend(登録商標)Phthalocyanine Blue、及びRed Iron Oxide、Evonik Industries社(デグッサ社))は更に、改良した塗料の配合物に対する色彩の許容性/適合性を評価するのに用いた。改良した高品質拡張型の白色塗料の配合物は、99:1の重量比(配合物:着色剤)で着色剤と混合した。CIE L*a*b*の呈色測定値はBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表4及び図6ないし8に示される。
【0060】
【表4】
【0061】
実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、Tamol(商標)165Aを含む基準配合物よりも練り顔料の粘度が低く、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物はTamol(商標)165Aを含む基準配合物よりも練り顔料の粘度が高かった。
【0062】
図6によると、レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物の粘度は、Tamol(商標)165Aを含む基準塗料の配合物の粘度よりも低かった。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物よりも高い粘度及び光沢度を呈示した。レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、レシチンとDEHAとの調合物の本来の帯黄色の呈色のため、更に黄色の呈色を示した。不透明度は総ての塗料の配合物にわたり遜色なかった。
【0063】
図7によると、配合物を140℃で7日間曝露後に、レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、Tamol(商標)165Aを含む基準塗料の配合物よりもわずかに高い粘度の増加と、良好な光沢度の安定性とわずかな塗料の黄色の呈色とを呈示した。
【0064】
図8は、塗料の配合物の着色剤(Colortrend(登録商標)Phthalocyanine Blue(有機物)、及びRed Iron Oxide(無機物)(Evonik Industries(デグッサ社))との呈色強度/適合性を例示する。青色の有機着色剤に対する絶対値の低さは有機着色剤と分散剤との間の良好な色彩の許容性/適合性を表わし、無機着色剤に対する絶対値の高さは無機着色剤と分散剤との間の良好な色彩の許容性/適合性を示す。レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、Tamol(商標)165Aを含む塗料の配合物よりも有機着色剤で良好な呈色適合性を呈示した。Tamol(商標)165Aを含む塗料の配合物は、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物と呈色適合性が等しく、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物よりも良好であった。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物よりも有機着色剤で良好な呈色適合性を呈示した。実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物よりも無機着色剤で良好な呈色適合性を呈示した。
【0065】
全体として、水性塗料の配合物における分散剤としてのレシチンとDEHAとの調合物の性能は従来のTamol(商標)165Aの市販分散剤と遜色なかった。
【実施例14】
【0066】
改良した水性の赤色の酸化鉄顔料の分散系配合物は、商業上入手可能な分散剤の代替物として水分散性のレシチンとDEHAとの調合物を組み込んで調製した。商業上入手可能な分散剤(R&R551(登録商標)、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)は、表5に示した分散系配合物の重量に対する重量に基づいて、2のレシチンとDEHAとの調合物(実施例3及び実施例9)の各々で代替して、改良した配合物を形成した。商業上入手可能な分散剤は改良した分散剤の配合物との比較のために基準として用いた。
【0067】
【表5】
【0068】
分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で45分間行われ、ダイヤル設定は、総ての配合物について3であった。様々な特性は、R&R551(登録商標)を含む基準配合物について、及び、R&R551(登録商標)を代替する実施例3のレシチンとDEHAとの調合物、又は実施例9のレシチンとDEHAとの調合物を含む改良した配合物について測定した。結果は表6及び図9及び10に示される。
【0069】
【表6】
【0070】
R&R551(登録商標)及び実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、図9で示した1ガロンあたりの重量(WPG)の測定値の低さに示されるように、分散処理中に気泡を生じた。実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、図16に示すWPGの測定値の高さに示されるように分散処理中にいかなる気泡も生じなかった。
【0071】
図10は、赤色の酸化鉄顔料の分散系の、屋内用で市販の半光沢性で中間調系の塗料との呈色適合性を例示する。絶対値の高さは着色剤と分散剤との間の良好な呈色適合性を表わす。実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物は、配合物における基準のR&R551(登録商標)の分散剤と遜色ない呈色適合性を呈示した。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物の呈色適合性は、R&R551(登録商標)、及び実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物の呈色適合性よりも低かった。
【実施例15】
【0072】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物におけるカーボンブラック顔料(Regal(登録商標)660R、米国マサチューセッツ州ビルリカのCabot社)の分散性を、基準分散剤としてE−Sperse100(商標)を含む配合物にカーボンブラックの分散性と比較した。分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で30分間行われ、ダイヤル設定は、総ての練り顔料の配合物について2.5であった。ガラスビーズが練り顔料の75重量パーセントで練り顔料の分散系に添加されて、許容可能な研磨の細密度で分散が達成された。分散系配合物は表7に示す(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。
【0073】
【表7】
【0074】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、良好な練り顔料の粘度及び研磨の細密度を呈示した。オクチルフェノールとエチレンオキシドとの縮合物の界面活性剤(Triton(登録商標)X−100、米国ミシガン州ミッドランドのDow Chemical社)を実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物(表8の配合物2)に添加した。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物、及びオクチルフェノールとエチレンオキシドとの縮合物の界面活性剤(Triton(商標)X−100)は、練り顔料の粘度の改善と、顔料充填率の改善を呈示した。
【0075】
顔料分散系配合物は市販の白色系塗料と調合されて、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、0.60%の顔料系塗料を生成した。展色用の塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は図11及び12に示される。
【0076】
図11及び12に示したように、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物及びTriton(商標)X−100の界面活性剤を含む分散剤の配合物は、界面活性剤のない実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物と比較して、呈色適合性の改善を呈示した。図12は、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物とTriton(商標)X−100とを含む分散剤の配合物、ならびにE−Sperse100(商標)の分散剤の配合物が遜色ない呈色適合性を呈示したことを例示する。
【実施例16】
【0077】
実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物と、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物とを含む配合物における、赤色の酸化鉄顔料(Copperas(登録商標)R4098、米国イリノイ州フェアヴューハイツのElementis/Rockwood社)の分散性を、基準としてE−Sperse100(商標)を含む配合物における赤色の酸化鉄顔料の分散性と比較した。分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で30分間行われ、ダイヤル設定は、総ての練り顔料の配合物について2.5であった。ガラスビーズが練り顔料の75重量パーセントで練り顔料の分散系に添加されて、許容可能な研磨の細密度で分散が達成された。分散系配合物は表8に示す(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。
【0078】
【表8】
【0079】
顔料分散系配合物は市販の白色系塗料と調合されて、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、2.0%の顔料系塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は図13及び14に示される。
【0080】
赤色の酸化鉄顔料は総ての3の分散剤の配合物で良好な分散を呈示した。図13は、E−Sperse100(商標)を含む分散系配合物、及び実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む分散系配合物が、基剤系塗料とのわずかな呈色適合性を呈示したことを例示する。図14は、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む分散系配合物が、基剤系塗料とともにE−Sperse100(商標)を含む分散系配合物よりも良好な呈色適合性を呈示したことを例示する。
【実施例17】
【0081】
表9に列挙した界面活性剤は、表10に示したカーボンブラック顔料の配合物で評価した(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で30分間行われ、ダイヤル設定は、総ての練り顔料の配合物について2.5であった。ガラスビーズは練り顔料の75重量パーセントで練り顔料の分散系に添加された。分散の研磨の細密度はHegmanゲージを用いて測定した。呈色適合性は、顔料分散系を市販の白色系塗料(PPG Ultra Interior Semigloss Midtone(中間調系)及びPPG Ultra Neutral Base(昼白色系:neutral base))と調合することによって評価した。
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、100gの基剤系塗料につき顔料が0.66gの塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3、5及び8分後に、塗布した塗料を円運動で約30秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表11及び図15に示される。
【0085】
【表11】
【0086】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物、及びTergitol(商標)L−62の界面活性剤(米国ミシガン州ミッドランドのDow Chemical社)を含む配合物は、CIE L*a*b*の明度値(L*)で示したような、分散系と中間調系との混合物について図15に公表した呈色適合性の点で、E−Sperse100(商標)の基準配合物、ならびに実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物、及びTriton(商標)X−100を含む配合物と性能がほぼ合致している(L*の数値が小さくなると、顔料系塗料の呈色が暗くなり、カーボンブラック顔料の良好な分散を示している)。
【0087】
Tergitol(商標)L−62とレシチンとDEHAとの調合物Fとの組合せは、研磨の細密度、呈色強度、安定性、及び不透明度の観察によって示されるように、E−Sperse100(商標)の配合物よりも良好な分散を呈示した(表11)。
【実施例18】
【0088】
Pigment Blue15:3(Hostaperm Blue B2G、スイス連邦ムンテンツのClariant社)を用いた顔料分散系は表12に示した配合物によって調製された(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。顔料分散系配合物は市販の昼白色系及び中間調系の塗料基剤と調合して、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、98gの基剤系塗料につき3.0gの顔料系塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表13及び図16に示される。
【0089】
【表12】
【0090】
【表13】
【0091】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む分散系の、表13に示したような不透明度及び透明度の数値の低さ、及び図16に示したようなCIE L*a*b*の青色度の数値(−b*)の低さは、E−Sperse(商標)の配合物よりも良好な顔料分散系を示している。
【実施例19】
【0092】
赤色の酸化鉄顔料(Copperas(商標)R4098、Rockwood Pigments社)を用いた顔料分散系は表14に示した配合物によって調製された(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。顔料分散系配合物は市販の昼白色系及び中間調系のラテックス塗料と調合して、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、98gの基剤系塗料につき2.0gの顔料系塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表15及び図17及び18に示される。
【0093】
【表14】
【0094】
【表15】
【0095】
図17に例示したように、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物、及び実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む双方の顔料分散系の呈色適合性は、Tergitol(商標)L−62があってもなくても同様であった。水及びガラスビーズの成分が低減し、分散時間が低減した分散系は、粘度の増加、CIE L*a*b*の赤色度の数値(+a*)の増加、及び10ミクロンの研磨の細密度の維持を呈示した。レシチンとDEHAとの調合物は表15に示すように、更なる界面活性剤があってもなくても容易に赤色の酸化鉄顔料を分散した。
【実施例20】
【0096】
黄色の酸化鉄顔料(YIO R2087、Rockwood Pigments社)を用いた顔料分散系は表16に示した配合物によって調製された(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。顔料分散系配合物は市販の昼白色系及び中間調系のラテックス塗料と調合して、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色ラテックス塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、98gの基剤系塗料につき2.0gの顔料系塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表17及び図19ないし21に示される。
【0097】
【表16】
【0098】
【表17】
【0099】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物及びTergitol(商標)L−62の含量の増加は、表16に示した配合物によって調製される分散系に用いられた。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物及びTergitol(商標)L−62の含量の増加は、図19及び21に示したCIE L*a*b*の黄色度の数値(+b*)の増加によって示されるように、中間調系及び昼白色系の双方で分散系の呈色生成を改善した。昼白色系での分散系の不透明度は更に、レシチンとDEHAとの調合物F及びTergitol(商標)L−62の量の増加とともに増加した(図20)。
【実施例21】
【0100】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、2の既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの配合物は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表18に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0101】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表18は、Elementis社のNuosperse系の分散剤及び米国BYK社のDisperbykを用いた、赤色酸化鉄(Bayferrox130M)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例3で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0102】
[表18:赤色の酸化鉄顔料の分散系]
【表18】
【0103】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Exterior Acrylic Latex Gloss Extra White−6500−47574と調合した。分散混合物は6ミルのバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。
【0104】
塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。表18の分散剤の塗料特性の概要は図22に示す。
【実施例22】
【0105】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、2の既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの顔料分散系は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表19に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0106】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表19は、Elementis社のNuosperse系の分散剤を用いたPigment Black7(Mogul E)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例9で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0107】
[表19:Pigment Black7であるMOGUL Eの顔料分散系]
【表19】
【0108】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Superpaint Exterior Acrylic latex Gloss Extra White−6500−47574と調合した。分散混合物は6ミルのバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。異なる分散剤を有する総ての塗料特性の概要は図23に示す。
【実施例23】
【0109】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、2の既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの配合物は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表20に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0110】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表20は、Elementis社のNuosperse系の分散剤及び米国BYK社のDisperbykを用いた、黄色酸化鉄(Bayferrox3910)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例3で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0111】
[表20:黄色の酸化鉄顔料の分散系]
【表20】
【0112】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Superpaint Exterior Acrylic latex Gloss Extra White−6500−47574と調合した。分散混合物は6ミルのバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。
【0113】
塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。表20の分散剤の塗料特性の概要は図24に示す。
【実施例24】
【0114】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、2の既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの配合物は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表21に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0115】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表21は、Elementis社のNuosperse系の分散剤及び米国BYK社のDisperbykを用いた、Pigment Blue15:3(Lansco5567C)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例9で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0116】
[表21:Lansco Pigment Blue15:3の顔料分散系]
【表21】
【0117】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Superpaint Exterior Acrylic Latex Gloss Extra White−6500−45754と調合した。分散混合物は6ミルのバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。
【0118】
塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。表21の分散剤の塗料特性の概要は図25に示す。
【実施例25】
【0119】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの配合物は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表22に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0120】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表22は、米国BYK社の分散剤Disperbykを用いた、pigment black7(Monarch1100)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例9で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0121】
[表22:Pigment Black7であるMonarch1100の顔料分散系]
【表22】
【0122】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Superpaint Exterior Acrylic Latex Gloss Extra White−6500−47574と調合した。分散混合物はバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。
【0123】
塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。表22の分散剤の塗料特性の概要は図26に示す。
【実施例26】
【0124】
この実施形態はインク用途のためといった、本発明の組成物が水及び樹脂に顔料を分散する能力を例示する。表23Aは水中の顔料分散系を例示し、表23Bは樹脂中のPigment Blue15:3(HostaspermB2G)の顔料分散系を例示する。
【0125】
[表23A:配合物−水中の青色の顔料分散系]
【表23A】
【0126】
[表23B:樹脂中の青色の顔料分散系]
【表23B】
【0127】
150グラムの顔料分散系は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして行った。分散速度は2000+/−10rpmで一定に維持し、75分間分散した。研磨の細密度はNPIRIつぶゲージを用いて決定した。
【0128】
顔料分散系は表24の配合物によって青色インクを生成するように完成させた。色素は3のインクサンプルについて同量の樹脂固形物成分及びPVCで14%であった。インクは塗布ロット番号20を用いてLenetaプラスチックフィルムに塗布して、顕微鏡を用いて薄膜の仕上がりを決定した。Aniloxの手動式プルーファーを用いて、色彩及び呈色強度のために、紙に塗布するのと同様にLeneta 3NT−31にインクを塗布した。色彩及び呈色強度はBYK−Gardner社のColor−guide 45/0を用いて決定した。
【0129】
[表24:白色の半光沢ラテックスでの3%色素の呈色強度]
【表24】
【0130】
顔料分散系は色彩及び呈色適合性のために、3%の色素で、100グラムのSherwin−Williams Superpaint Interior Semigloss Latex6405−12935とと調合した。色彩及び呈色強度はBYK−Gardner社のColor−guide 45/0を用いて決定した。
【0131】
実施例9の組成物の分散系は図27Aに示すように、インク配合物において、及び白色の半光沢ラテックスとの調合物において、呈色強度の改善を示し、図27Bに示す良好な分散によって生じうる。実施例9の組成物は更に、図27Cに示すように良好な呈色強度を示した。図27Aはインク用途における樹脂分散系、及び半光沢ラテックスにおける水分散系の青色度を示す。図27Bは、樹脂及び水分散系の研磨の細密度を示す。図27Cはレットダウンしたインクにおける樹脂分散系、及び半光沢ラテックスを有する水分散系の呈色強度を示す。
【0132】
図28は、塗布ロット番号20を用いてLenetaプラスチックフィルムに塗布した、インクの薄膜構造の顕微鏡写真を例示する。実施例9の組成物は完全な(亀裂のない)薄膜構造を示したが、Ethox及びHuntsmanの分散剤は、図28の顕微鏡写真に示す亀裂から明らかなように、低品質の薄膜構造を示した。
【実施例27】
【0133】
この実施形態においては、インク用途のためといった、本発明の組成物が水及び樹脂に顔料を分散する能力が示されている。表25Aは実施例9の組成物を用いた水における顔料分散系を例示し、表25Bは実施例9の組成物を用いた樹脂におけるPigment Black(Regal660R)の顔料分散系を例示する。
【0134】
150グラムの顔料分散系は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして行った。分散速度は2000+/−10rpmで一定に維持し、75分間分散した。研磨の細密度はNPIRIつぶゲージを用いて決定した。
【0135】
[表25A:水分散系中のカーボンブラック]
【表25A】
【0136】
[表25B:樹脂分散系中のカーボンブラック]
【表25B】
【0137】
表25Bの顔料分散系は表26に示した規格によって黒色インクを生成するように完成させた。色素は総ての3のインクサンプルについて同量の樹脂固形物成分及びPVCで14%であった。インクは塗布ロット番号20を用いてLenetaプラスチックフィルムに塗布して、顕微鏡を用いて薄膜の仕上がりを決定した。Aniloxの手動式プルーファーを用いて、色彩及び呈色強度のために、紙に塗布するのと同様にLeneta 3NT−31にインクを塗布した。色彩及び呈色強度はBYK−Gardner社のColor−guide 45/0を用いて決定した。
【0138】
顔料分散系は色彩及び呈色適合性のために、3%の色素で、100グラムのSherwin−Williams Superpaint Interior Semigloss Latex6405−12935とと調合した。色彩及び呈色強度はBYK−Gardner社のColor−guide 45/0を用いて決定した。
【0139】
[表26:カーボンブラックの樹脂分散系のためのレットダウンしたインク]
【表26】
【0140】
実施例9の組成物を用いて調製された分散系は、図29に例示したその研磨の細密度によって示されるように、Nuosperse及びHuntsmanの分散剤よりも良好な分散を示した。実施例9の組成物は更に、図30に示したような白色の半光沢ラテックスで調合した場合に、呈色強度の改善を示した。
【0141】
図31は、塗布ロット番号30を用いてLenetaプラスチックフィルムに塗布した、インクの薄膜構造の顕微鏡写真を例示する。実施例9の組成物は完全な(亀裂のない)薄膜構造を示したが、Ethox及びHuntsmanの分散剤は、顕微鏡写真に示す亀裂から明らかなように、低品質の薄膜構造を示した。呈色強度は、図31に示されるような薄膜構造の不完全性のため、Nuosperse及びHuntsmanについては決定できなかった。
【実施例28】
【0142】
80%の粗濾過されたレシチン(Yelkin T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、20%のポリグリセロールエステル(Drewpol3−5−CC、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan社)との調合物が調製された。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約50℃に加熱することによって調製した。レシチンが融解し始めると、ポリグリセロールエステル(HLBが3である)を添加した。調合物は約25℃の周囲温度に冷却し、粘度は約1000cpであると測定された。
【実施例29】
【0143】
図32A及び32Bは、溶剤としてグリセロールトリカプリラート/カプラート(GTCC)を、及び顔料として二酸化チタンを用いた分散剤として用いられた、実施例7の組成物の顔料分散系の性能を例示する。分散系は、二酸化チタンについては2000rpmで、酸化鉄については1200rpmで30分間、Cowlesブレードで高速分散を用いて行った。分散の細密度はHegmanつぶゲージを用いて得られた。顔料分散系の各々の粘度は、Brookfield粘度計を用いて測定した。
【0144】
本発明は特定の実施例、及び例示した実施形態、組成物、及びその使用によって記載してきた。しかしながら、様々な代替、変形又は例示した実施形態の任意の組合せが本発明の範囲を逸脱することなくなされうることは当該技術分野の当業者に理解されよう。従って、本発明は実施例及び例示的な実施形態の記載によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって限定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には分散剤に関する。本開示はレシチンと可塑剤とを含む組成物に関する。本開示は更に、レシチンと可塑剤とを含む組成物の調製及び使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レシチンは、例えば卵黄及びダイズといった動物及び植物組織に見られる液体物質である。レシチンは限定しないが、例えばホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、及びホスファチジルエタノールアミン(PE)といったリン脂質を含む多様な成分からなる。レシチンの両親媒性の特性によって、物質は様々な用途において有効な加工助剤、乳化剤、分散剤、及び/又は界面活性剤となる。
【0003】
例として、レシチンは、物質間の境界層の変更が所望される場合の用途に用いてもよい。不混和性の液相の存在時に、レシチンは界面表面張力を低減し、乳化剤として機能しうる。2以上の固相で用いられる場合に、レシチンは潤滑剤及び/又は離型剤として機能しうる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書中に開示の特定の実施形態はレシチンと可塑剤とを含む組成物に関する。別の実施形態においては、方法はレシチンを可塑剤と混合するステップを具える。他の実施形態においては、分散剤としての組成物の使用が開示される。
【0005】
本開示はこの概要に開示の実施形態に限定されず、請求項により規定されるように、本発明の精神及び範囲内にある変更をカバーすることが目的であると理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の特徴及び利点は添付の図面によってより良く理解できる。
【0007】
【図1】図1は、レシチンとジ(2−エチルヘキシル)アジパートとの様々な配合について粘度−温度特性を示すグラフである。
【図2】図2Aはレシチンとジ(2−エチルヘキシル)アジパートとの様々な配合での粘度及びアセトン不溶性に対する数値を示すグラフであり、図2Bは25℃で異なる可塑剤の存在下でのYelkin T(塑性粘度のあるレシチン)の粘度特性を示すグラフである。
【図3】図3は、従来の2の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について、様々な特性を比較したグラフである。
【図4】図4は、従来の2の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について、熱老化の安定後の様々な特性の変化を比較したグラフである。
【図5】図5は、従来の有機顔料を含む2の塗料の配合物、無機顔料を含む2の従来の塗料の配合物、本明細書中に開示の実施形態による有機顔料を含む2の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による無機顔料を含む2の塗料の配合物について、呈色強度の結果を比較したグラフである。
【図6】図6は、従来の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について様々な特性を比較したグラフである。
【図7】図7は、従来の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について、熱老化の安定後の特性の変化を比較したグラフである。
【図8】図8は、従来の青色有機顔料を含む塗料の配合物、従来の赤色無機顔料を含む塗料の配合物、本明細書中に開示の実施形態による青色有機顔料を含む2の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による赤色無機顔料を含む2の塗料の配合物について、呈色適合性の結果を比較したグラフである。
【図9】図9は、従来の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について、1ガロンあたりの重量及び粘度の数値を比較したグラフである。
【図10】図10は、従来の塗料の配合物、及び本明細書中に開示の実施形態による2の塗料の配合物について呈色適合性の結果を示したグラフである。
【図11】図11は、白色系塗料と混合した本明細書中に開示の実施形態によるカーボンブラック分散系を含む2の塗料を比較した、調合試験のパネルの写真である。
【図12】図12は、白色系塗料と混合した従来のカーボンブラック顔料の分散系配合物を含む塗料と、白色系塗料と混合した本明細書中に開示の実施形態によるカーボンブラック分散系を含む塗料とを比較した、調合試験のパネルの写真である。
【図13】図13は、白色系塗料に赤色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料を比較した調合試験のパネルの写真であり、その塗料において用いられる顔料は従来の分散系、及び本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図14】図14は、白色系塗料に赤色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料を比較した調合試験のパネルの写真であり、その塗料において用いられる顔料は従来の分散系、及び本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図15】図15は、カーボンブラック分散系と白色系塗料とを含む塗料についてCIE L*a*b*の明度値を比較したグラフであり、カーボンブラック顔料分散系は従来の顔料分散系と、本明細書中に開示の実施形態による様々な顔料分散系とを含む。
【図16】図16は、白色系塗料にフタロシアニン顔料分散系を含む塗料についてCIE L*a*b*の青色度の数値を比較したグラフであり、フタロシアニン顔料分散系は従来の顔料分散系と、本明細書中に開示の実施形態による顔料分散系とを含む。
【図17】図17は、白色系塗料に赤色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料についてCIE L*a*b*の赤色度の数値を比較したグラフであり、赤色の酸化物顔料の分散系は本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図18】図18は、白色系塗料に赤色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料についてCIE L*a*b*の赤色度の数値を比較したグラフであり、赤色の酸化物顔料の分散系は本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図19】図19は、白色系塗料に黄色の酸化鉄顔料の分散系を含む塗料についてCIE L*a*b*の黄色度の数値を比較したグラフであり、黄色の酸化物顔料の分散系は本明細書中に開示の実施形態による分散系である。
【図20】図20は、昼白色系及び本明細書中に開示の実施形態による黄色の酸化鉄顔料の分散系で調製された塗料について不透明度の数値を比較したグラフである。
【図21】図21は、中間調系の白色塗料、及び本明細書中に開示の実施形態による黄色の酸化鉄顔料の分散系で調製された塗料について、CIE L*a*b*の黄色度の数値を比較したグラフであり、更に本明細書中に開示の実施形態による分散系について、顔料の分散剤の割合及び顔料の界面活性剤の割合が示されている。
【図22】図22は、Bayferrox130Mの赤色の酸化鉄顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図23】図23は、Mogul Eの黒色顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図24】図24は、Bayferrox3910の黄色の酸化鉄顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図25】図25は、Lansco5576−Cの青色顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図26】図26は、Monarch1100の黒色顔料を有する本発明の組成物の一実施形態の光沢度、不透明度、色彩、呈色強度、経費、及び色彩調合といった塗膜特性の概要を示す。
【図27A】図27Aは、インク配合物中の樹脂分散系における青色顔料、及び半光沢ラテックスに添加された水分散系における青色顔料の青色度を例示する。
【図27B】図27Bは、樹脂及び水分散系における青色顔料の研磨の細密度を示す。
【図27C】図27Cは、インク配合物中の樹脂分散系、及び半光沢ラテックスに添加された水分散系における青色顔料の呈色強度を示す。
【図28】図28は、プラスチックフィルムに塗布されるように、塗布ロット(application rod)番号20を用いたインク配合物の薄膜構造を示す。第1のパネルは分散剤として実施例9の組成物を用いた薄膜構造を示し、第2のパネルは分散剤としてJeffsperseを用いた薄膜構造を示し、第3のパネルは分散剤としてEsperseを用いた薄膜構造を示す。
【図29】図29は、インク配合物中の樹脂分散系における、及び半光沢ラテックスに添加された水分散系における黒色顔料の研磨の細密度を示す。
【図30】図30は、インク配合物中の樹脂分散系における、及び半光沢ラテックスに添加された水分散系における黒色顔料の呈色強度を示す。
【図31】図31は、プラスチックフィルムに塗布されるように、塗布ロット番号30を用いたインク配合物の薄膜構造を例示する。第1のパネルは分散剤として実施例9の組成物を用い、第2のパネルは分散剤としてEsperseを用い、第3のパネルは分散剤としてJeffsperseを用いる。
【図32】図32Aは、異なる顔料濃度での3%の分散剤中の二酸化チタン顔料の分散系の粘度特性を示し、図32Bは、分散剤の濃度の変化を伴う二酸化チタンの分散系の粘度特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願においては、特許請求の範囲を含めて、動作の実施例にある、又は別途指示のある場合以外の、数量あるいは特徴を表す総ての数は、総ての例において、用語「約(about)」で修飾されると理解すべきである。従って、そうではないことを示さない限り、以下の記載で説明される任意の数値パラメータは、本開示による組成物及び方法で得られるのが求められる所望の特性に依存して変化しうる。最低限でも、かつ、等価な見解を特許請求の範囲に適用するのを限定しないように、本記載に述べている数値パラメータは少なくとも、報告済みの有効数字の数に照らして、かつ通常の多数の技術を適用することによって、解釈すべきである。
【0009】
全体及び一部において、本明細書中に引用によって組み込まれると言える任意の特許、刊行物又は他の開示資料は、組み込まれた資料が本明細書中で説明される現存する定義、記載、又は他の開示資料と矛盾しない範囲のみについて、本明細書中に組み込まれる。このように、かつ必要な範囲で、本明細書中で説明されるような開示は、引用によって本明細書中に組み込まれる任意の矛盾する資料を廃棄する。本明細書中に引用によって組み込まれると言えるが、本明細書中で説明される現存する定義、記載、又は他の開示資料と矛盾する任意の資料又はその一部分は、その組み込まれた資料と現存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲に対してのみ組み込まれる。
【0010】
本明細書で開示の実施形態は、レシチンと可塑剤とを含む組成物及び方法に関する。様々な実施形態においては、その組成物は:本開示の組成物の5ないし95重量パーセント、特定の実施形態においては70ないし95%の範囲の含量のレシチンと;本開示の組成物の5ないし95重量パーセント、特定の実施形態においては5ないし30%の範囲の含量の可塑剤と;の調合物である。
【0011】
レシチンと1以上の可塑剤との組合せで、特に水溶系において、従来のレシチンと比較して粘度が低減した組成物が得られることが見出された。レシチンを可塑剤と混合することは言わば、レシチンをトリグリセリドと混合することによって得られる粘度の低減と比較して有効である。この粘度の低減によって、水溶系及び非水溶系の双方において、分散剤としてのレシチンの適用性が増加しうる。本開示のレシチンと可塑剤との組成物は、例えば塗料、インク及び他のコーティングにおける顔料分散溶剤のような多数の用途に所望の粘度特性を提供するように設計してもよい。様々な実施形態においては、本開示のレシチンと可塑剤との組成物の粘度は3000センチポイズ未満である。様々な実施形態においては、本開示のレシチンと可塑剤との組成物の粘度は、2000センチポイズ未満、500センチポイズ未満、又は100センチポイズ未満である。本発明の組成物の粘度の低減によって、従来の分散剤の当量と比較して、本発明の等体積のレシチンと可塑剤との組成物により多くの顔料を分散できる点で、レシチンと可塑剤との組成物の顔料に対する充填容量は、従来の分散剤と比較して更に高くできる。
【0012】
本開示の組成物及び方法で用いるのに好適なレシチンは限定しないが、粗濾過されたレシチン、液体レシチン、脱油レシチン、化学及び/又は酵素修飾したレシチン、標準化したレシチン、ならびにその任意の調合物を含む。本開示で用いたレシチンの親水親油バランス(HLB)値は一般的に、レシチンを得て、レシチン生成物を生成するのに用いられる処理条件及び添加物に依存して、1.0ないし10.0の範囲となる傾向にある。例えば、粗濾過されたレシチンのHLB値は約4.0であり、油中水型の乳剤の形成に好適である。標準化したレシチンはHLB値が10.0ないし24.0の範囲にある共乳化剤を含み、HLB値が7.0ないし12.0であり、水中油型の乳剤に好適なレシチン組成物が得られる。任意のレシチン又はレシチンの組合せは、レシチンの初期HLB値に拘わらず本開示の組成物及び方法で用いるのに好適である。本開示の組成物及び方法に有用なレシチンは、親水親油バランス値が10.0ないし24.0、特定の実施形態においては10.0ないし18.0の範囲にある共乳化剤を含んでもよい。
【0013】
例えばレシチンといった乳化剤及び/又は界面活性剤の特性は、物質の親水親油バランス(HLB)値によって少なくとも部分的に予測できる。HLB値は両親媒性物質の油又は水に対する相対的な選好性の指標として機能し、HLB値が高くなるにつれて分子は親水性になり、HLB値が低くなるにつれて分子は疎水性になる。HLB値の説明は米国特許第6,677,327号に提供され、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる。HLBは更に:Griffin,“Classification of Surface−Active Agents by‘HLB’”,J.Soc.Cosmetic Chemists 1(1949);Griffin,“Calculation of HLB Values of Non−Ionic Surfactants”,J.Soc.Cosmetic Chemists 5(1954);Davies,“A quantitative kinetic theory of emulsion type,I.Physical chemistry of the emulsifying agent”,Gas/Liquid and Liquid/Liquid Interfaces,Proceedings of the 2d International Congress on Surface Activity(1957);及びSchick,“Nonionic Surfactants:Physical Chemistry”,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,pp.439−47(1987);に記載されており、その各々は全体が引用によって本明細書中に組み込まれる。
【0014】
様々な実施形態においては、本開示の組成物及び方法で用いられる可塑剤は、生物ベースの可塑剤、シトラート、アジパート、ペンタエリスリトールエステル、イソソルビドエステル、中鎖トリグリセリド、ポリグリセロールエステル、及びその任意の組合せからなる群から選択してもよい。生物由来の起源物質は石油化学的な資源から得られるのではなく、生物学的物質から得られる。生物由来の物質は、国際規格の放射性同位体分析法であるASTM D6866(ASTM International Radioisotope Standard Method D6866)を用いてその炭素同位体比によって石油由来の物質と区別できる。本明細書で用いられるように、用語「生物由来である(bio−derived)」とは例えば、農業、森林、植物、真菌、細菌、又は動物の供給材料といった、再生可能な生物学的供給材料によって取得又は合成されることである。
【0015】
多様な機関が生物由来の成分を決定するための認可条件を確立している。これらの方法は例えば、液体シンチレーション計数、加速器質量分析、又は高精度同位体比質量分析による生物由来の生成物と石油由来の生成物との間の同位体存在量の変動の測定を要求する。13C/12Cの炭素同位体比、又は14C/12Cの炭素同位体比といった炭素の同位体の同位体比は、高精度で同位体比質量分析を用いて決定できる。研究は、例えば光合成中の植物内部のCO2輸送といった生理学的プロセスによる同位体分別によって天然又は生物由来の化合物で特定の同位体比が得られることを示してきた。石油及び石油由来の生成物は、石油の生成時の異なる化学的プロセス及び同位体分別により、13C/12Cの炭素同位体比が異なっている。更に、不安定な14Cの炭素同位体の放射性崩壊により、生物由来の生成物における同位体比は、石油生成物と比較すると異なっている。生成物の生物由来の成分は国際規格の放射性同位体分析法であるASTM D6866によって検証できる。国際規格の放射性同位体分析法であるASTM D6866は、材料又は生成物における有機炭素全体の重量(質量)パーセントとして、材料又は生成物における生物由来の炭素含量に基づき材料の生物由来の成分を決定する。生物由来の生成物の炭素同位体比は、生物学由来の組成物の特徴である。
【0016】
生物由来の材料は、石油化学物質及び石油由来の生成物への依存を低減又は置換すると思われる魅力のある工業生産用の代替物を提供する。石油化学物質及び石油由来の生成物の生物学的資源由来の生成物及び/又は供給材料(すなわち、生物系生成物)との置換によって、多くの利点が得られる。例えば、生物学的資源由来の生成物及び/又は供給材料は一般的には再生可能な資源である。ほとんどの場合、生物由来の化学物質及びその化学物質から形成される生成物は、石油化学物質及び石油化学物質から形成される生成物よりも環境への負担が少ない。容易に抽出される石油化学物質の供給が枯渇し続けているため、石油化学生成物の経済性的側面によって、おそらくは余儀なく、石油化学物質及び石油由来の生成物の経費が生物系生成物と比較して高額となるであろう。更に、大衆が更に石油化学物質の供給に関心を持つ観点において、企業は再生可能な資源からの生物由来の生成物に付随する市場の利点によって利益を得ることができる。
【0017】
様々な実施形態においては、本開示の組成物及び方法で用いるのに好適な可塑剤は、限定しないがジ(2−エチルヘキシル)アジパート、ジオクチルアジパート、プロピレングリコールモノエステル、ブチルベンジルフタラート、ジ−n−ブチルマレアート、ジ−n−ブチルフタラート、ジエチレングリコールジベンゾアート、ジ(2−エチルヘキシル)フタラート、ジオクチルフタラート、ジエチルフタラート、ジイソブチルフタラート、ジイソデシルアジパート、ジイソデシルフタラート、ジイソヘプチルフタラート、ジイソノニルアジパート、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシラート、ジイソノニルフタラート、ジイソオクチルアジパート、ジイソオクチルフタラート、ジメンチルフタレート、ジ−n−ヘキシルフタラート、ジ−n−オクチルアジパート、ジ−n−オクチルフタラート、ジノニルフタラート、ジオクチルマレアート、ジオクチルセバカート、ジオクチルテレフタラート、ジオクチルアゼラート、ジプロピレングリコールジベンゾアート、ジ(2−プロピルヘプチル)フタラート、ジトリデシルアジパート、ジトリデシルフタラート、ジウンデシルフタラート、2−エチルヘキサノール、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ダイズ油、汎用フタラート、イソデシルアルコール、イソノニルアルコール、無水フタル酸、2−プロピルヘプタノール、ポリ塩化ビニル、トリクレシルホスファート、トリイソノニルトリメリタート、トリイソオクチルトリメリタート、トリメリト酸無水物、トリオクチルトリメリタート、トリフェニルホスファート、トリキシリルホスファート、ウンデシルドデシルフタラート、及びその任意の組合せを含む。様々な実施形態においては、可塑剤はジ(2−エチルヘキシル)アジパート(DEHA)を含む。
【0018】
本明細書中で用いられるように、用語「DEHA」はジ(2−エチルヘキシル)アジパートを含む。DEHAは更に、当該技術分野においてはジオクチルアジパート又は「DOA」である。本明細書中で用いられるように、特に指示しない限り、ジオクチルアジパート(DOA)はアジピン酸と直鎖状のn−オクタノールとのエステルである。
本明細書中に記載の様々な実施形態において、双方の部分が、単独で、同時に、又は他の可塑剤と組み合わせて、可塑剤として用いることができることに留意することは、更に重要である。
【0019】
様々な実施形態においては、本開示の組成物は更に1以上の共界面活性剤を含んでもよい。1以上の共界面活性剤は:1以上のカチオン性界面活性剤;1以上のアニオン性界面活性剤;1以上の非イオン性界面活性剤;又はカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤のうちの1以上の組合せ;を含んでもよい。様々な実施形態においては、共界面活性剤又は共界面活性剤の組合せの親水親油バランスは、10.0ないし24.0、いくつかの実施形態においては10.0ないし18.0の範囲であってもよい。様々な実施形態においては:レシチンは本開示の組成物のうちの5ないし95重量パーセント、いくつかの実施形態においては60ないし90%、他の実施形態においては80%ないし90%を構成してもよく;可塑剤は本開示の組成物のうちの1ないし20重量パーセント、いくつかの実施形態においては5%ないし15%、他の実施形態においては、5%ないし10%又は10%ないし15%を構成してもよく、共界面活性剤は、組成物のうちの2ないし20重量パーセント、いくつかの実施形態においては5%ないし15%、他の実施形態においては10%ないし15%を構成してもよい。
【0020】
本開示の組成物及び方法で用いるのに好適なアニオン性界面活性剤は限定しないが、直鎖脂肪酸のナトリウム及びカリウム塩、ポリオキシエチレン化された脂肪アルコールのカルボキシラート、直鎖アルキルベンゼンのスルホナート、αオレフィンのスルホナート、スルホン化脂肪酸のメチルエステル、アリールアルカンスルホナート、スルホスクシナートエステル、アルキルフェニルエーテル(ジ)スルホナート、アルキルナフタレンスルホナート、イセチオナート(isoethionate)、アルキルエーテルスルファート、硫酸化油、脂肪酸モノエタノールアミドのスルファート、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドのスルファート、脂肪族ホスファートエステル、ノニルフェノールホスファートエステル、サルコシナート、フッ化アニオン、油脂化学物質由来のアニオン性界面活性剤、及びその任意の組合せを含む。様々な実施形態においては、界面活性剤は例えば、リン酸エステルといったアニオン性界面活性剤を含む。
【0021】
本開示の組成物及び方法で用いるのに好適な非イオン性界面活性剤は限定しないが、ソルビタンモノステアラート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体、ポリオキシエチレンモノラウラート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレアート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアラート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレアート、ポリオキシエチレンジステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアラート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサステアラート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサオレアート、脂肪酸、トール油、ソルビトールのヘキサエステル、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化ダイズ油、ナタネ油のエトキシラート、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪アルコール、エトキシ化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレアート、グリセロールとポリエチレングリコールとを混合したエステル、アルコール、ポリグリセロールエステル、モノグリセリド、スクロースエステル、アルキルグリコシド、ポリソルベート、脂肪酸アルカノールアミド、ポリグリコールエーテル、その任意の誘導体、及びその任意の組合せを含む。様々な実施形態においては、界面活性剤は例えば脂肪酸のエトキシラートといった非イオン性界面活性剤を含む。
【0022】
本発明で用いるのに好適なカチオン性界面活性剤は限定しないが:脂肪族アミン塩;第一級、第二級、及び第三級アミンを含む脂肪族アルキルの第四級アミン;エステルアミン及び対応するエトキシ化エステルアミン;及びその任意の組合せ;を含む。
【0023】
様々な実施形態においては、本開示の組成物及び方法はレシチン、可塑剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤を含んでもよい。様々な実施形態においては、可塑剤はジ(2−エチルヘキシル)アジパートを含んでもよく、アニオン性界面活性剤はリン酸エステルを含んでもよく、非イオン性界面活性剤は脂肪酸のエトキシラートを含んでもよい。様々な実施形態においては、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤は1:9ないし9:1の範囲の重量比で本開示の組成物中に存在してもよい。アニオン性界面活性剤は本開示の組成物のうちの1ないし10重量パーセント、いくつかの実施形態においては3%ないし7%を構成してもよく;非イオン性界面活性剤は本開示の組成物のうちの1ないし10重量パーセント、いくつかの実施形態においては3%ないし7%を構成してもよい。様々な実施形態においては、本開示の組成物は、その組成物に3重量パーセントのアニオン性界面活性剤と7重量パーセントの非イオン性界面活性剤とを含む。
【0024】
レシチンと可塑剤との組合せによって、従来のレシチンと比較して粘度の低減した組成物が得られる。粘度の低減によって、例えば塗料、インク、及び他のコーティング組成物といった様々な用途における加工助剤、乳化剤、分散剤、及び/又は界面活性剤としての組成物の適用性が増加する。レシチンと可塑剤と界面活性剤とを含む実施形態は、水溶系における有用性が見出され、低粘度の組成物は水分散性であり、界面活性剤はレシチンと可塑剤との調合物の水での安定性を促進する。様々な実施形態においては、本開示の組成物でのアニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の組合せの使用によって更に、水溶系におけるレシチンと可塑剤との調合物の安定性が促進される。
【0025】
様々な実施形態においては、本開示の水分散性のレシチンと可塑剤との組成物は、限定しないがラテックス塗料を含む水性コーティングに有用性が見出されている。様々な実施形態においては、本開示の組成物は塗料又はインク配合物における顔料用の分散溶剤として用いてもよい。顔料は有機顔料、無機顔料、カーボンブラック顔料、又はその任意の組合せからなる群から選択してもよい。様々な実施形態においては、本開示の組成物によって、限定しないが研磨助剤、粉剤助剤、及び遊離助剤を含み、光沢度、着色剤、及び着色配合物における主要部の改善に寄与しうる顔料処理が都合よく促進される。本開示の組成物の粘度の低下によって、分散系における顔料及び他の粒子のコーティングの均一性が改善される。この状況においては特に、本開示の組成物によって、分散剤、湿潤剤、及び/又は安定剤の特性及び性能が改善される。
【0026】
他の様々な実施形態においては、本開示の組成物は磁性流体用途に用いてもよい。一実施形態においては、本開示の組成物は溶剤系における磁性粒子を安定化させるのに用いてもよく、限定しないが基油とエステル化合物との混合物を含む。本開示の組成物の潤滑剤及び分散剤の特性の改善によって、流体の粘度に悪影響を引き起こすことなく、磁性流体における懸濁粒子の凝集が低減する。
【0027】
本開示の組成物は更に、ナノテクノロジー用途で用いてもよい。一実施形態においては、本開示の組成物はナノ粒子懸濁液で分散剤、湿潤剤、可溶化剤、及び/又は安定剤として用いてもよい。本開示の組成物及び方法での更なる用途は限定しないが、ガラス繊維、コンクリート、セラミック、プラスチック、及び複合材料での使用を含む。本開示の組成物の更なる使用は限定しないが、繊維用助剤、皮革用最終加工剤、プラスチック配合剤、潤滑剤、油田掘削用の添加剤、皮膚軟化剤、塗膜形成剤、及び離型剤としての使用を含む。
【0028】
様々な用途における分散剤、湿潤剤、可溶化剤、及び/又は安定剤としての本開示の組成物の多数の機能性に加えて、本開示の組成物は更に揮発性有機化合物(VOC)が少ないか、あるいはそれを含まない。VOCの少ない塗料、インク、及び他の表面コーティングは石油系溶剤の代わりの担体として水を用いることができる。このように、有毒な排出物質のレベルが溶剤由来の表面コーティングよりも少ない。しかしながら、顔料及び他の着色剤の分散系は、石油性の系と比較して水性のコーティング系にするのが難しい。従って、本開示の組成物をVOCの低いコーティング配合物で用いて、所望されないVOCを組成物に提供することなく顔料及び着色剤の分散を改善できる。
【0029】
EPA規格に合致させるために、塗料、インク及び他の表面コーティングは1リットルにつき200グラムを超えるVOCを含んではならない。一般的には、VOCの少ない表面コーティングは通常50g/LのVOCのしきい値に合致する。例えば、Green Seal Standard(GS−11)マークを有する塗料は、50g/L未満(均一光沢について)又は150g/L未満(不均一光沢について)で認定される。EPA Reference Test Method24による5g/L以下の範囲でVOCを含む表面コーティングは、「Zero VOC」と称される。
【0030】
様々な実施形態においては、本明細書中で開示の組成物のVOCは、組成物1リットルにつき25グラム未満である。様々な実施形態においては、本明細書中で開示の組成物のVOCレベルは5g/L未満、1g/L未満、又は0.5g/L未満である。様々な実施形態においては、本明細書中で開示の組成物、はVOCの少ない生物由来の分散剤、湿潤剤、可溶化剤、及び/又は安定剤として用いてもよい。
【0031】
本明細書で開示の実施形態は更に、本開示の組成物の調製方法に関する。様々な実施形態においては、レシチンを周囲温度を超える温度に加熱し、可塑剤を高温でレシチンに添加し、可塑剤及びレシチンを互いに混合して、レシチンと可塑剤との調合物を形成する。調合物は周囲温度まで冷却する。得られた調合物の粘度はレシチン成分単体よりも低く、3000cP未満にできる。様々な実施形態においては、レシチンと可塑剤との調合物の粘度は2000cP未満、500cP未満、又は100cP未満にできる。他の様々な実施形態においては、1以上の共界面活性剤は、1以上の可塑剤と同時にレシチンに添加しても、その前に添加してもよい。1以上の共界面活性剤は代替的に、レシチンと1以上の可塑剤との調合物に添加してもよい。
【0032】
本明細書で開示の実施形態は更に、本開示の組成物を用いる方法に関する。様々な実施形態においては、本開示の組成物は、例えばコンクリート、セラミック、ガラス繊維、プラスチック、インク、塗料、又は他のコーティングといった配合物中の成分の分散又は湿潤を促進するのに用いられる。本開示の組成物は、例えば顔料といった少なくとも1の成分を分散又は湿潤するために配合物に混合される。様々な実施形態においては、本開示の組成物は様々な配合物で用いるためのVOCの少ない生物由来の添加剤を含む。
【0033】
本明細書中に例示されるように、本開示の組成物は、溶剤系及び水性の塗料、インク、及び他のコーティング系を調合するのに好適である。本開示の組成物の両親媒性の特性によって、有機顔料用及び無機顔料用の双方で良好な湿潤剤及び安定化剤として用いることができる。本開示の組成物は更に、様々な顔料濃度に好適である。様々な実施形態においては、本明細書中に例示されるように、本開示の組成物は塗料、インク及び他のコーティング系の配合時の、顔料分散処理において研磨助剤として添加される。
【0034】
様々な実施形態においては、本明細書中に例示されるように、本開示の組成物は、低い研磨粘度、高い顔料充填率、低い気泡性、高い呈色発生、及び迅速な分散/湿潤を呈するVOCの少ない分散剤として機能しうる。様々な実施形態においては、本開示の組成物はアルキルフェノールエトキシラートのない乳化剤の調合物を含んでもよい。
【0035】
[実施例]
以下の例示的で限定されない実施例は、本明細書中に提供される実施形態について更に説明するために提供される。当該技術分野の当業者は、これらの実施例の変形が本発明の範囲内で可能であることが分かるであろう。
【実施例1】
【0036】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)とジ(2−エチルヘキシル)アジパート(DEHA)(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)が以下の重量比(レシチン:DEHA)で調製された:95:5、90:10、85:15、80:20、70:30、60:40。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約60℃に加熱することによって調製した。粗製のレシチンが融解し始めると、DEHAを添加し、混合物を60℃で約1時間攪拌した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。
【実施例2】
【0037】
粘度−温度特性は実施例1で調製された総ての調合比について測定された。特性の結果は図1に示されている。調合物は更に粘度及びアセトン不溶性について分析した。分析結果は図2aに示される。粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)は、ジ(2−エチルヘキシル)アジパート(DEHA)(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)の他、ダイズ油(SBO)、MCT(Neobee(登録商標)1053、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)と称される中鎖トリグリセリド、及びDrewpol(登録商標)3−5−CC(米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)とともに、(90:10、80:20、70:30、及び60:40)といった様々な比率の調合物を生成するために用いた。これらの調合物の粘度は図2bに示されるように25℃で測定された。レシチンの粘度は塑性粘度であるために図示していない。
【実施例3】
【0038】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80%のレシチンと10%のDEHAと10%の脂肪酸のエトキシラートであった。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約50℃に加熱することによって調製した。粗製のレシチンが融解し始めると、DEHAと脂肪酸のエトキシラートとを添加し、混合物を60℃で約1時間攪拌した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であり、色彩が透明な琥珀色であり、粘度が25℃で約16ストークスであった。調合物は水分散性であった。
【実施例4】
【0039】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社から入手可能)との調合物が調製された。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約50℃に加熱し、90:10(レシチン:界面活性剤)の重量比で脂肪酸のエトキシラートを添加することによって調製し、中間調合物を形成した。中間調合物は50℃で約1時間、一定の攪拌下で90:10(中間調合物:DEHA)の重量比でDEHAと混合して、最終調合物を形成した。最終調合物は周囲温度で流動性の液体であり、色彩が透明な琥珀色であり、粘度が25℃で16.8ストークスであった。最終調合物は水分散性であった。
【実施例5】
【0040】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約50℃に加熱し、90:10(レシチン:DEHA)の重量比でDEHAを添加することによって調製し、中間調合物を形成した。中間調合物は50℃で約1時間、一定の攪拌下で90:10(中間調合物:界面活性剤)の重量比で脂肪酸のエトキシラートと混合して、最終調合物を形成した。最終調合物は周囲温度で流動性の液体であり、色彩が透明な琥珀色であり、粘度が25℃で12.8ストークスであった。最終調合物は水分散性であった。
【実施例6】
【0041】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と不飽和型のプロピレングリコールモノエステル(PGME、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)との調合物が調製された。調合物は90重量パーセントのレシチン及び10重量パーセントのPGMEであった。調合物はレシチンとPGMEとを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であり、粘度が25℃で約14.9ストークスであった。
【実施例7】
【0042】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのDEHA、及び10重量パーセントの界面活性剤であった。調合物はレシチンとDEHAと界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例8】
【0043】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、リン酸エステルの界面活性剤(Stepfac(商標)8170、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのDEHA、及び10重量パーセントの界面活性剤であった。調合物はレシチンとDEHAと界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例9】
【0044】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、DEHA(Plastomoll(登録商標)DOA、米国ニュージャージー州ノースマウントオリーブのBASF社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)と、リン酸エステルの界面活性剤(Stepfac(商標)8170,米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのDEHA、7重量パーセントの脂肪酸のエトキシラートの界面活性剤、及び3重量パーセントのリン酸エステルの界面活性剤であった。調合物はレシチンとDEHAと2の界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例10】
【0045】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と不飽和型のプロピレングリコールモノエステル(PGME、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのPGME、及び10重量パーセントの界面活性剤であった。調合物はレシチンとPGMEと界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例11】
【0046】
粗濾過されたレシチン(Yelkin(登録商標)T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、不飽和型のプロピレングリコールモノエステル(PGME、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、トール油脂肪酸のエトキシラートである界面活性剤(Ninex(登録商標)MT−610、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)と、リン酸エステルの界面活性剤(Stepfac(商標)8170、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan Company社)との調合物が調製された。調合物は80重量パーセントのレシチン、10重量パーセントのPGME、7重量パーセントの脂肪酸のエトキシラートの界面活性剤、及び3重量パーセントのリン酸エステルの界面活性剤であった。調合物はレシチンとPGMEと2の界面活性剤とを混合し、混合物を30ないし60分間、一定の攪拌下で50℃に加熱することによって調製した。調合物は周囲温度(約25℃)に冷却した。調合物は周囲温度で流動性の液体であった。調合物は水分散性であった。
【実施例12】
【0047】
つや消し白色の改良した水性塗料の配合物は、従来の分散剤及び従来の分散剤の調合物の代替品として水分散性のレシチンとDEHAとの調合物を組み込んで調製した。従来の分散剤及び調合物は比較のための基準として用いた。改良した塗料の配合物は、表1に示した標準の塗料の配合物における従来の分散剤(1:1の重量比でのE−Sperse100(商標)及びE−Sperse506(登録商標)、米国サウスカロライナ州グリーンヴィルのEthox Chemicals社)を実施例3及び9によって調製されたレシチンとDEHAとの調合物で代替することによって調製した。
【0048】
【表1】
【0049】
分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で30分間行われ、ダイヤル設定は、総ての配合物について2.5であり、例外として、実施例9でのレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、練り顔料の粘度が低く観測されたため、ダイヤル設定は2で分散された。様々な特性は、基準の塗料配合物であるE−Sperse100(商標)のみを含む配合物について、及び、従来のE−Sperse(商標)混合物を代替する実施例3のレシチンとDEHAとの調合物、又は実施例9のレシチンとDEHAとの調合物を含む改良した配合物について測定した。
【0050】
塗料の配合物の粘度は分散の約24時間後に測定した。塗料のサンプルはバードアプリケータ(Bird applicator)を用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布され、塗膜特性は薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後で測定した。熱老化安定試験は140℃で7日間、配合物について行った。2の市販の着色剤(Colortrend(登録商標)Phthalocyanine Blue、及びRed Iron Oxide、Evonik Industries社(デグッサ社))は更に、改良した塗料の配合物に対する色彩の許容性/適合性を評価するのに用いた。つや消し白色の改良した塗料の配合物は、99:1の重量比(塗料:着色剤)で着色剤と混合した。呈色特性(CIE L*a*b*系)はBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて決定した。結果は表2及び図3ないし5に示される。
【0051】
【表2】
【0052】
図3によると、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む、塗料の配合物の粘度、光沢度、及び不透明度は従来のE−Sperse(商標)の混合物を含む基準配合物の粘度及び光沢度とほぼ一致した。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む、塗料の配合物の粘度、光沢度、及び不透明度はE−Sperse100(商標)のみを含む配合物の粘度及び光沢度とほぼ一致した。レシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、レシチンとDEHAとの調合物の本来の帯黄色の呈色によって更に黄色の呈色を示す傾向にあった。
【0053】
図4によると、配合物を140℃で7日間曝露後に、従来のE−Sperse(商標)の塗料の配合物は、レシチンとDEHAとの調合物を含む改良した配合物よりも大きな粘度の増加と、小さな光沢度の変化とを呈示した。140℃で7日間の熱老化安定後に、レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は従来のE−Sperse(商標)の塗料の配合物よりも、粘度増加の低減と光沢度のわずかな減少を呈示した。レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、レシチンとDEHAとの調合物の本来の帯黄色の呈色によって、塗料の黄色の呈色を更に示した。
【0054】
図5は、2の市販の着色剤(Colortrend(登録商標)Phthalocyanine Blue(有機物)、及びRed Iron Oxide(無機物)、Evonik Industries社(デグッサ社))を有する塗料の配合物の呈色強度を例示する。青色の有機着色剤に対する絶対値の低さは有機着色剤と分散剤との間の良好な色彩の許容性/適合性を表わし、赤色の無機着色剤に対する絶対値の高さは無機着色剤と分散剤との間の良好な色彩の許容性/適合性を示す。従来のE−Sperse(商標)の混合物及びレシチンとDEHAとの調合物は、E−Sperse100(商標)の分散剤単体よりも有機着色剤及び無機着色剤で良好な呈色適合性を呈示した。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物は他の分散剤よりも有機着色剤との良好な適合性を呈示した。従来のE−Sperse(商標)の混合物及び実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物は、他の分散剤よりも無機着色剤との良好な適合性を呈示した。
【0055】
全体として、水性塗料の配合物における分散剤としてのレシチンとDEHAとの調合物の性能は基準の市販分散剤と遜色なかった。
【実施例13】
【0056】
改良した屋内用の半光沢性の水性白色塗料の配合物は、従来の分散剤の代替物として水分散性のレシチンとDEHAとの調合物を組み込んで調製した。従来の疎水性共重合体の高分子電解質の分散剤(Tamol(商標)165A、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのRohm and Haas社)は、表3に示した基準塗料の配合物の重量に対する重量(weight−for−weight)に基づいて、2のレシチンとDEHAとの調合物(実施例3及び実施例9)の各々で代替した。従来の分散剤は改良した配合物との比較のために基準として用いた。
【0057】
【表3】
【0058】
分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で15分間行われ、ダイヤル設定は、総ての配合物について2.25であった。様々な特性は、基準の塗料配合物について、及び、従来のTamol(商標)165Aを代替する実施例3のレシチンとDEHAとの調合物、又は実施例9のレシチンとDEHAとの調合物を含む改良した塗料の配合物について測定した。
【0059】
塗料の配合物の粘度は分散の約24時間後に測定した。塗料のサンプルはバードアプリケータ(Bird applicator)を用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布され、塗膜特性は薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後で測定した。熱老化安定試験は140℃で7日間、配合物について行った。2の市販の着色剤(Colortrend(登録商標)Phthalocyanine Blue、及びRed Iron Oxide、Evonik Industries社(デグッサ社))は更に、改良した塗料の配合物に対する色彩の許容性/適合性を評価するのに用いた。改良した高品質拡張型の白色塗料の配合物は、99:1の重量比(配合物:着色剤)で着色剤と混合した。CIE L*a*b*の呈色測定値はBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表4及び図6ないし8に示される。
【0060】
【表4】
【0061】
実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、Tamol(商標)165Aを含む基準配合物よりも練り顔料の粘度が低く、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物はTamol(商標)165Aを含む基準配合物よりも練り顔料の粘度が高かった。
【0062】
図6によると、レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物の粘度は、Tamol(商標)165Aを含む基準塗料の配合物の粘度よりも低かった。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物よりも高い粘度及び光沢度を呈示した。レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、レシチンとDEHAとの調合物の本来の帯黄色の呈色のため、更に黄色の呈色を示した。不透明度は総ての塗料の配合物にわたり遜色なかった。
【0063】
図7によると、配合物を140℃で7日間曝露後に、レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、Tamol(商標)165Aを含む基準塗料の配合物よりもわずかに高い粘度の増加と、良好な光沢度の安定性とわずかな塗料の黄色の呈色とを呈示した。
【0064】
図8は、塗料の配合物の着色剤(Colortrend(登録商標)Phthalocyanine Blue(有機物)、及びRed Iron Oxide(無機物)(Evonik Industries(デグッサ社))との呈色強度/適合性を例示する。青色の有機着色剤に対する絶対値の低さは有機着色剤と分散剤との間の良好な色彩の許容性/適合性を表わし、無機着色剤に対する絶対値の高さは無機着色剤と分散剤との間の良好な色彩の許容性/適合性を示す。レシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、Tamol(商標)165Aを含む塗料の配合物よりも有機着色剤で良好な呈色適合性を呈示した。Tamol(商標)165Aを含む塗料の配合物は、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物と呈色適合性が等しく、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物よりも良好であった。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物よりも有機着色剤で良好な呈色適合性を呈示した。実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む塗料の配合物は、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物よりも無機着色剤で良好な呈色適合性を呈示した。
【0065】
全体として、水性塗料の配合物における分散剤としてのレシチンとDEHAとの調合物の性能は従来のTamol(商標)165Aの市販分散剤と遜色なかった。
【実施例14】
【0066】
改良した水性の赤色の酸化鉄顔料の分散系配合物は、商業上入手可能な分散剤の代替物として水分散性のレシチンとDEHAとの調合物を組み込んで調製した。商業上入手可能な分散剤(R&R551(登録商標)、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)は、表5に示した分散系配合物の重量に対する重量に基づいて、2のレシチンとDEHAとの調合物(実施例3及び実施例9)の各々で代替して、改良した配合物を形成した。商業上入手可能な分散剤は改良した分散剤の配合物との比較のために基準として用いた。
【0067】
【表5】
【0068】
分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で45分間行われ、ダイヤル設定は、総ての配合物について3であった。様々な特性は、R&R551(登録商標)を含む基準配合物について、及び、R&R551(登録商標)を代替する実施例3のレシチンとDEHAとの調合物、又は実施例9のレシチンとDEHAとの調合物を含む改良した配合物について測定した。結果は表6及び図9及び10に示される。
【0069】
【表6】
【0070】
R&R551(登録商標)及び実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、図9で示した1ガロンあたりの重量(WPG)の測定値の低さに示されるように、分散処理中に気泡を生じた。実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、図16に示すWPGの測定値の高さに示されるように分散処理中にいかなる気泡も生じなかった。
【0071】
図10は、赤色の酸化鉄顔料の分散系の、屋内用で市販の半光沢性で中間調系の塗料との呈色適合性を例示する。絶対値の高さは着色剤と分散剤との間の良好な呈色適合性を表わす。実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物は、配合物における基準のR&R551(登録商標)の分散剤と遜色ない呈色適合性を呈示した。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物の呈色適合性は、R&R551(登録商標)、及び実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物の呈色適合性よりも低かった。
【実施例15】
【0072】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物におけるカーボンブラック顔料(Regal(登録商標)660R、米国マサチューセッツ州ビルリカのCabot社)の分散性を、基準分散剤としてE−Sperse100(商標)を含む配合物にカーボンブラックの分散性と比較した。分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で30分間行われ、ダイヤル設定は、総ての練り顔料の配合物について2.5であった。ガラスビーズが練り顔料の75重量パーセントで練り顔料の分散系に添加されて、許容可能な研磨の細密度で分散が達成された。分散系配合物は表7に示す(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。
【0073】
【表7】
【0074】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物は、良好な練り顔料の粘度及び研磨の細密度を呈示した。オクチルフェノールとエチレンオキシドとの縮合物の界面活性剤(Triton(登録商標)X−100、米国ミシガン州ミッドランドのDow Chemical社)を実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物(表8の配合物2)に添加した。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物、及びオクチルフェノールとエチレンオキシドとの縮合物の界面活性剤(Triton(商標)X−100)は、練り顔料の粘度の改善と、顔料充填率の改善を呈示した。
【0075】
顔料分散系配合物は市販の白色系塗料と調合されて、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、0.60%の顔料系塗料を生成した。展色用の塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は図11及び12に示される。
【0076】
図11及び12に示したように、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物及びTriton(商標)X−100の界面活性剤を含む分散剤の配合物は、界面活性剤のない実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む配合物と比較して、呈色適合性の改善を呈示した。図12は、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物とTriton(商標)X−100とを含む分散剤の配合物、ならびにE−Sperse100(商標)の分散剤の配合物が遜色ない呈色適合性を呈示したことを例示する。
【実施例16】
【0077】
実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物と、実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物とを含む配合物における、赤色の酸化鉄顔料(Copperas(登録商標)R4098、米国イリノイ州フェアヴューハイツのElementis/Rockwood社)の分散性を、基準としてE−Sperse100(商標)を含む配合物における赤色の酸化鉄顔料の分散性と比較した。分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で30分間行われ、ダイヤル設定は、総ての練り顔料の配合物について2.5であった。ガラスビーズが練り顔料の75重量パーセントで練り顔料の分散系に添加されて、許容可能な研磨の細密度で分散が達成された。分散系配合物は表8に示す(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。
【0078】
【表8】
【0079】
顔料分散系配合物は市販の白色系塗料と調合されて、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、2.0%の顔料系塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は図13及び14に示される。
【0080】
赤色の酸化鉄顔料は総ての3の分散剤の配合物で良好な分散を呈示した。図13は、E−Sperse100(商標)を含む分散系配合物、及び実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む分散系配合物が、基剤系塗料とのわずかな呈色適合性を呈示したことを例示する。図14は、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物を含む分散系配合物が、基剤系塗料とともにE−Sperse100(商標)を含む分散系配合物よりも良好な呈色適合性を呈示したことを例示する。
【実施例17】
【0081】
表9に列挙した界面活性剤は、表10に示したカーボンブラック顔料の配合物で評価した(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。分散は、Stir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)で30分間行われ、ダイヤル設定は、総ての練り顔料の配合物について2.5であった。ガラスビーズは練り顔料の75重量パーセントで練り顔料の分散系に添加された。分散の研磨の細密度はHegmanゲージを用いて測定した。呈色適合性は、顔料分散系を市販の白色系塗料(PPG Ultra Interior Semigloss Midtone(中間調系)及びPPG Ultra Neutral Base(昼白色系:neutral base))と調合することによって評価した。
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、100gの基剤系塗料につき顔料が0.66gの塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3、5及び8分後に、塗布した塗料を円運動で約30秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表11及び図15に示される。
【0085】
【表11】
【0086】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物、及びTergitol(商標)L−62の界面活性剤(米国ミシガン州ミッドランドのDow Chemical社)を含む配合物は、CIE L*a*b*の明度値(L*)で示したような、分散系と中間調系との混合物について図15に公表した呈色適合性の点で、E−Sperse100(商標)の基準配合物、ならびに実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物、及びTriton(商標)X−100を含む配合物と性能がほぼ合致している(L*の数値が小さくなると、顔料系塗料の呈色が暗くなり、カーボンブラック顔料の良好な分散を示している)。
【0087】
Tergitol(商標)L−62とレシチンとDEHAとの調合物Fとの組合せは、研磨の細密度、呈色強度、安定性、及び不透明度の観察によって示されるように、E−Sperse100(商標)の配合物よりも良好な分散を呈示した(表11)。
【実施例18】
【0088】
Pigment Blue15:3(Hostaperm Blue B2G、スイス連邦ムンテンツのClariant社)を用いた顔料分散系は表12に示した配合物によって調製された(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。顔料分散系配合物は市販の昼白色系及び中間調系の塗料基剤と調合して、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、98gの基剤系塗料につき3.0gの顔料系塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表13及び図16に示される。
【0089】
【表12】
【0090】
【表13】
【0091】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む分散系の、表13に示したような不透明度及び透明度の数値の低さ、及び図16に示したようなCIE L*a*b*の青色度の数値(−b*)の低さは、E−Sperse(商標)の配合物よりも良好な顔料分散系を示している。
【実施例19】
【0092】
赤色の酸化鉄顔料(Copperas(商標)R4098、Rockwood Pigments社)を用いた顔料分散系は表14に示した配合物によって調製された(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。顔料分散系配合物は市販の昼白色系及び中間調系のラテックス塗料と調合して、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色系塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、98gの基剤系塗料につき2.0gの顔料系塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表15及び図17及び18に示される。
【0093】
【表14】
【0094】
【表15】
【0095】
図17に例示したように、実施例3によるレシチンとDEHAとの調合物、及び実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物を含む双方の顔料分散系の呈色適合性は、Tergitol(商標)L−62があってもなくても同様であった。水及びガラスビーズの成分が低減し、分散時間が低減した分散系は、粘度の増加、CIE L*a*b*の赤色度の数値(+a*)の増加、及び10ミクロンの研磨の細密度の維持を呈示した。レシチンとDEHAとの調合物は表15に示すように、更なる界面活性剤があってもなくても容易に赤色の酸化鉄顔料を分散した。
【実施例20】
【0096】
黄色の酸化鉄顔料(YIO R2087、Rockwood Pigments社)を用いた顔料分散系は表16に示した配合物によって調製された(総ての数値は、特に指定のない限りは質量単位である)。顔料分散系配合物は市販の昼白色系及び中間調系のラテックス塗料と調合して、顔料分散系の呈色適合性を評価した。顔料分散系及び白色ラテックス塗料はStir−Pak(商標)混合システム(米国マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific社)において15分間、ダイヤル設定2.5で混合して、98gの基剤系塗料につき2.0gの顔料系塗料を生成した。塗料のサンプルはバードアプリケータを用いて6ミルで純白色のLeneta試験紙に塗布された。調合試験のサンプルは最初の塗布の3及び5分後に、塗布した塗料を円運動で約30ないし45秒間擦ることによって調製した。CIE L*a*b*の呈色測定値は、薄膜を周囲条件下で一晩乾燥した後でBYK Color−guide 45/0の色彩測定装置(米国メリーランド州コロンビアの米国BYK−Gardner社)を用いて撮影した。結果は表17及び図19ないし21に示される。
【0097】
【表16】
【0098】
【表17】
【0099】
実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物及びTergitol(商標)L−62の含量の増加は、表16に示した配合物によって調製される分散系に用いられた。実施例9によるレシチンとDEHAとの調合物及びTergitol(商標)L−62の含量の増加は、図19及び21に示したCIE L*a*b*の黄色度の数値(+b*)の増加によって示されるように、中間調系及び昼白色系の双方で分散系の呈色生成を改善した。昼白色系での分散系の不透明度は更に、レシチンとDEHAとの調合物F及びTergitol(商標)L−62の量の増加とともに増加した(図20)。
【実施例21】
【0100】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、2の既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの配合物は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表18に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0101】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表18は、Elementis社のNuosperse系の分散剤及び米国BYK社のDisperbykを用いた、赤色酸化鉄(Bayferrox130M)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例3で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0102】
[表18:赤色の酸化鉄顔料の分散系]
【表18】
【0103】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Exterior Acrylic Latex Gloss Extra White−6500−47574と調合した。分散混合物は6ミルのバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。
【0104】
塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。表18の分散剤の塗料特性の概要は図22に示す。
【実施例22】
【0105】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、2の既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの顔料分散系は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表19に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0106】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表19は、Elementis社のNuosperse系の分散剤を用いたPigment Black7(Mogul E)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例9で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0107】
[表19:Pigment Black7であるMOGUL Eの顔料分散系]
【表19】
【0108】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Superpaint Exterior Acrylic latex Gloss Extra White−6500−47574と調合した。分散混合物は6ミルのバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。異なる分散剤を有する総ての塗料特性の概要は図23に示す。
【実施例23】
【0109】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、2の既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの配合物は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表20に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0110】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表20は、Elementis社のNuosperse系の分散剤及び米国BYK社のDisperbykを用いた、黄色酸化鉄(Bayferrox3910)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例3で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0111】
[表20:黄色の酸化鉄顔料の分散系]
【表20】
【0112】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Superpaint Exterior Acrylic latex Gloss Extra White−6500−47574と調合した。分散混合物は6ミルのバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。
【0113】
塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。表20の分散剤の塗料特性の概要は図24に示す。
【実施例24】
【0114】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、2の既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの配合物は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表21に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0115】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表21は、Elementis社のNuosperse系の分散剤及び米国BYK社のDisperbykを用いた、Pigment Blue15:3(Lansco5567C)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例9で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0116】
[表21:Lansco Pigment Blue15:3の顔料分散系]
【表21】
【0117】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Superpaint Exterior Acrylic Latex Gloss Extra White−6500−45754と調合した。分散混合物は6ミルのバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。
【0118】
塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。表21の分散剤の塗料特性の概要は図25に示す。
【実施例25】
【0119】
別の実施形態においては、本発明の組成物を分散剤として用いて、既知の分散剤と比較した。この実施形態においては、150グラムの配合物は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして、表22に列挙したように調製した。分散速度は3のサンプルについて1500rpmで45分間一定に維持した。
【0120】
研磨の細密度はHegmanつぶゲージを用いて決定した。表22は、米国BYK社の分散剤Disperbykを用いた、pigment black7(Monarch1100)の顔料分散系配合物を例示し、本発明の実施例9で調製した分散剤の組成物と比較した。
【0121】
[表22:Pigment Black7であるMonarch1100の顔料分散系]
【表22】
【0122】
分散系は塗膜特性のために、Sherwin−Williams Superpaint Exterior Acrylic Latex Gloss Extra White−6500−47574と調合した。分散混合物はバードアプリケータを用いてPenopac Leneta試験紙に塗布され、光沢度についてはByk−Gardner社のMicro Tri−glossを用い、不透明度、色彩、及び呈色強度についてはByk−Gardner社のColor−guide 45/0を用いた。
【0123】
塗膜特性は通常の実験室条件の下で7日間乾燥させた後に評価した。調合測定法による呈色適合性は塗布後5分で得られた。表22の分散剤の塗料特性の概要は図26に示す。
【実施例26】
【0124】
この実施形態はインク用途のためといった、本発明の組成物が水及び樹脂に顔料を分散する能力を例示する。表23Aは水中の顔料分散系を例示し、表23Bは樹脂中のPigment Blue15:3(HostaspermB2G)の顔料分散系を例示する。
【0125】
[表23A:配合物−水中の青色の顔料分散系]
【表23A】
【0126】
[表23B:樹脂中の青色の顔料分散系]
【表23B】
【0127】
150グラムの顔料分散系は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして行った。分散速度は2000+/−10rpmで一定に維持し、75分間分散した。研磨の細密度はNPIRIつぶゲージを用いて決定した。
【0128】
顔料分散系は表24の配合物によって青色インクを生成するように完成させた。色素は3のインクサンプルについて同量の樹脂固形物成分及びPVCで14%であった。インクは塗布ロット番号20を用いてLenetaプラスチックフィルムに塗布して、顕微鏡を用いて薄膜の仕上がりを決定した。Aniloxの手動式プルーファーを用いて、色彩及び呈色強度のために、紙に塗布するのと同様にLeneta 3NT−31にインクを塗布した。色彩及び呈色強度はBYK−Gardner社のColor−guide 45/0を用いて決定した。
【0129】
[表24:白色の半光沢ラテックスでの3%色素の呈色強度]
【表24】
【0130】
顔料分散系は色彩及び呈色適合性のために、3%の色素で、100グラムのSherwin−Williams Superpaint Interior Semigloss Latex6405−12935とと調合した。色彩及び呈色強度はBYK−Gardner社のColor−guide 45/0を用いて決定した。
【0131】
実施例9の組成物の分散系は図27Aに示すように、インク配合物において、及び白色の半光沢ラテックスとの調合物において、呈色強度の改善を示し、図27Bに示す良好な分散によって生じうる。実施例9の組成物は更に、図27Cに示すように良好な呈色強度を示した。図27Aはインク用途における樹脂分散系、及び半光沢ラテックスにおける水分散系の青色度を示す。図27Bは、樹脂及び水分散系の研磨の細密度を示す。図27Cはレットダウンしたインクにおける樹脂分散系、及び半光沢ラテックスを有する水分散系の呈色強度を示す。
【0132】
図28は、塗布ロット番号20を用いてLenetaプラスチックフィルムに塗布した、インクの薄膜構造の顕微鏡写真を例示する。実施例9の組成物は完全な(亀裂のない)薄膜構造を示したが、Ethox及びHuntsmanの分散剤は、図28の顕微鏡写真に示す亀裂から明らかなように、低品質の薄膜構造を示した。
【実施例27】
【0133】
この実施形態においては、インク用途のためといった、本発明の組成物が水及び樹脂に顔料を分散する能力が示されている。表25Aは実施例9の組成物を用いた水における顔料分散系を例示し、表25Bは実施例9の組成物を用いた樹脂におけるPigment Black(Regal660R)の顔料分散系を例示する。
【0134】
150グラムの顔料分散系は、100グラムの研磨ビーズを有するCowlesブレードを用いて研磨機としてビーズ研磨をシュミレートして行った。分散速度は2000+/−10rpmで一定に維持し、75分間分散した。研磨の細密度はNPIRIつぶゲージを用いて決定した。
【0135】
[表25A:水分散系中のカーボンブラック]
【表25A】
【0136】
[表25B:樹脂分散系中のカーボンブラック]
【表25B】
【0137】
表25Bの顔料分散系は表26に示した規格によって黒色インクを生成するように完成させた。色素は総ての3のインクサンプルについて同量の樹脂固形物成分及びPVCで14%であった。インクは塗布ロット番号20を用いてLenetaプラスチックフィルムに塗布して、顕微鏡を用いて薄膜の仕上がりを決定した。Aniloxの手動式プルーファーを用いて、色彩及び呈色強度のために、紙に塗布するのと同様にLeneta 3NT−31にインクを塗布した。色彩及び呈色強度はBYK−Gardner社のColor−guide 45/0を用いて決定した。
【0138】
顔料分散系は色彩及び呈色適合性のために、3%の色素で、100グラムのSherwin−Williams Superpaint Interior Semigloss Latex6405−12935とと調合した。色彩及び呈色強度はBYK−Gardner社のColor−guide 45/0を用いて決定した。
【0139】
[表26:カーボンブラックの樹脂分散系のためのレットダウンしたインク]
【表26】
【0140】
実施例9の組成物を用いて調製された分散系は、図29に例示したその研磨の細密度によって示されるように、Nuosperse及びHuntsmanの分散剤よりも良好な分散を示した。実施例9の組成物は更に、図30に示したような白色の半光沢ラテックスで調合した場合に、呈色強度の改善を示した。
【0141】
図31は、塗布ロット番号30を用いてLenetaプラスチックフィルムに塗布した、インクの薄膜構造の顕微鏡写真を例示する。実施例9の組成物は完全な(亀裂のない)薄膜構造を示したが、Ethox及びHuntsmanの分散剤は、顕微鏡写真に示す亀裂から明らかなように、低品質の薄膜構造を示した。呈色強度は、図31に示されるような薄膜構造の不完全性のため、Nuosperse及びHuntsmanについては決定できなかった。
【実施例28】
【0142】
80%の粗濾過されたレシチン(Yelkin T、米国イリノイ州ディケーターのArcher Daniels Midland Company社)と、20%のポリグリセロールエステル(Drewpol3−5−CC、米国イリノイ州ノースフィールドのStepan社)との調合物が調製された。調合物はビーカー内のレシチンを、一定の攪拌下で約50℃に加熱することによって調製した。レシチンが融解し始めると、ポリグリセロールエステル(HLBが3である)を添加した。調合物は約25℃の周囲温度に冷却し、粘度は約1000cpであると測定された。
【実施例29】
【0143】
図32A及び32Bは、溶剤としてグリセロールトリカプリラート/カプラート(GTCC)を、及び顔料として二酸化チタンを用いた分散剤として用いられた、実施例7の組成物の顔料分散系の性能を例示する。分散系は、二酸化チタンについては2000rpmで、酸化鉄については1200rpmで30分間、Cowlesブレードで高速分散を用いて行った。分散の細密度はHegmanつぶゲージを用いて得られた。顔料分散系の各々の粘度は、Brookfield粘度計を用いて測定した。
【0144】
本発明は特定の実施例、及び例示した実施形態、組成物、及びその使用によって記載してきた。しかしながら、様々な代替、変形又は例示した実施形態の任意の組合せが本発明の範囲を逸脱することなくなされうることは当該技術分野の当業者に理解されよう。従って、本発明は実施例及び例示的な実施形態の記載によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシチンと可塑剤とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1の組成物において、前記可塑剤が生物ベースの可塑剤、シトラート、アジパート、ペンタエリスリトールエステル、イソソルビドエステル、プロピレングリコールモノエステル(PGME)、ブチルベンジルフタラート(BBP)、ジ−n−ブチルマレアート(DBM)、ジ−n−ブチルフタラート(DBP)、ジエチレングリコールジベンゾアート(DEGD)、ジ(2−エチルヘキシル)フタラート(DEHP)、ジオクチルフタラート(DOP)、ジエチルフタラート(DEP)、ジイソブチルフタラート(DIBP)、ジイソデシルアジパート(DIDA)、ジイソデシルフタラート(DIDP)、ジイソヘプチルフタラート(DIHP)、ジイソノニルアジパート(DINA)、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシラート(DINCH)、ジイソノニルフタラート(DINP)、ジイソオクチルアジパート(DIOA)、ジイソオクチルフタラート(DIOP)、ジメンチルフタレート(DMP)、ジ−n−ヘキシルフタラート(DnHP)、ジ−n−オクチルアジパート(DnOA)、ジ−n−オクチルフタラート(DnOP)、ジノニルフタラート(DNP)、ジオクチルアジパート(DOA)、ジ(2−エチルヘキシル)アジパート(DEHA)、ジオクチルマレアート(DOM)、ジオクチルセバカート(DOS)、ジオクチルテレフタラート(DOTP)、ジオクチルアゼラート(DOZ)、ジプロピレングリコールジベンゾアート(DPGB)、ジ(2−プロピルヘプチル)フタラート(DPHP)、ジトリデシルアジパート(DTDA)、ジトリデシルフタラート(DTDP)、ジウンデシルフタラート(DUP)、2−エチルヘキサノール(2−EH)、エポキシ化アマニ油(ELO)、エポキシ化ダイズ油(ESO)、汎用フタラート(GPP)、イソデシルアルコール(IDA)、イソノニルアルコール(INA)、無水フタル酸(PA)、2−プロピルヘプタノール(2−PH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、トリクレシルホスファート(TCP)、トリイソノニルトリメリタート(TINTM)、トリイソオクチルトリメリタート(TIOTM)、トリメリト酸無水物(TMA)、トリオクチルトリメリタート(TOTM)、トリフェニルホスファート(TPP)、トリキシリルホスファート(TXP)、ウンデシルドデシルフタラート(UDP)、ダイズ油、中鎖トリグリセリド、ポリグリセロールエステル、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の組成物において、前記レシチンが粗濾過されたレシチン、脱油レシチン、化学修飾したレシチン、酵素修飾したレシチン、標準化したレシチン、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物が、当該組成物中に5ないし95重量パーセントの前記レシチンと、前記組成物中に5ないし95重量パーセントの前記可塑剤とを含むことと特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物において、当該組成物が1g/L未満の揮発性有機化合物を含むことを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びその任意の組合せからなる群から選択される共界面活性剤を更に含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物において、前記共界面活性剤の親水親油バランスが10.0ないし24.0であることを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の組成物において、前記非イオン性界面活性剤がソルビタンモノステアラート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体、ポリオキシエチレンモノラウラート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレアート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアラート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレアート、ポリオキシエチレンジステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアラート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサステアラート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサオレアート、脂肪酸、トール油、ソルビトールのヘキサエステル、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化ダイズ油、エトキシ化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレアート、グリセロールとポリエチレングリコールとを混合したエステル、アルコール、ポリグリセロールエステル、モノグリセリド、スクロースエステル、その任意の誘導体、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか1項に記載の組成物において、前記アニオン性界面活性剤が直鎖脂肪酸のナトリウム及びカリウム塩、ポリオキシエチレン化された脂肪アルコールのカルボキシラート、直鎖アルキルベンゼンのスルホナート、αオレフィンのスルホナート、スルホン化脂肪酸のメチルエステル、アリールアルカンスルホナート、スルホスクシナートエステル、アルキルフェニルエーテル(ジ)スルホナート、アルキルナフタレンスルホナート、イセチオナート、アルキルエーテルスルファート、硫酸化油、脂肪酸モノエタノールアミドのスルファート、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドのスルファート、脂肪族ホスファートエステル、ノニルフェノールホスファートエステル、フッ化アニオン、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の組成物において、前記カチオン性界面活性剤が:脂肪族アミン塩;第一級、第二級、及び第三級アミンを含む脂肪族アルキルの第四級アミン;エステルアミン及び対応するエトキシ化エステルアミン;ならびにその任意の組合せ;からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれか1項に記載の組成物において、前記レシチンが前記組成物の5ないし95重量パーセントを構成し、前記可塑剤が前記組成物の1ないし20重量パーセントを構成し、界面活性剤が前記組成物の5ないし20重量パーセントを構成することを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の組成物において、当該組成物の粘度が2,000センチポイズ以下であることを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項6ないし12のいずれか1項に記載の組成物において、前記非イオン性界面活性剤及び前記イオン性界面活性剤の比率が1:9ないし9:1であることを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物が顔料を更に含むことを特徴とする組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物において、前記顔料が有機顔料、無機顔料、カーボンブラック顔料、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の組成物が樹脂を更に具えることを特徴とする組成物。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の組成物を含む生成物。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項に記載の組成物の分散助剤、研磨助剤、粘度降下剤、又はその任意の組合せとしての使用。
【請求項19】
請求項17に記載の生成物において、当該生成物の用途が塗料、インク、コーティング、磁性流体、コンクリート、セラミック、繊維用助剤、皮革の最終加工における助剤、プラスチック配合剤、潤滑剤、油田掘削用の添加剤、離型剤、及び化粧品からなる群から選択されることを特徴とする生成物。
【請求項20】
可塑剤とレシチンとを混合し、ひいては分散剤を生成するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法が、前記分散剤と顔料とを、当該顔料が分散するように混合するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20又は請求項21に記載の方法が、前記レシチンを加熱するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20ないし22のいずれか1項に記載の方法が、前記分散剤、前記顔料、又はその組合せと樹脂とを混合するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20ないし23のいずれか1項に記載の方法が、前記分散剤、前記顔料、又はその組合せと、インク基剤又は塗料基剤と混合するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20ないし24のいずれか1項に記載の方法において、前記レシチンと前記可塑剤とを混合するステップが、前レシチンとトリグリセリドとを混合するステップと比較して、更に有効な方法で前記レシチンの粘度を低減させることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記レシチンの粘度の低減によって、顔料に対する前記分散剤の充填容量が、従来の分散剤と比較して高くできることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項20ないし26のいずれか1項に記載の方法が、共界面活性剤を前記レシチン、前記可塑剤、又はその組合せに添加するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項20ないし27のいずれか1項に記載の方法によって生成される生成物。
【請求項29】
請求項28に記載の生成物を表面に塗布するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項1】
レシチンと可塑剤とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1の組成物において、前記可塑剤が生物ベースの可塑剤、シトラート、アジパート、ペンタエリスリトールエステル、イソソルビドエステル、プロピレングリコールモノエステル(PGME)、ブチルベンジルフタラート(BBP)、ジ−n−ブチルマレアート(DBM)、ジ−n−ブチルフタラート(DBP)、ジエチレングリコールジベンゾアート(DEGD)、ジ(2−エチルヘキシル)フタラート(DEHP)、ジオクチルフタラート(DOP)、ジエチルフタラート(DEP)、ジイソブチルフタラート(DIBP)、ジイソデシルアジパート(DIDA)、ジイソデシルフタラート(DIDP)、ジイソヘプチルフタラート(DIHP)、ジイソノニルアジパート(DINA)、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシラート(DINCH)、ジイソノニルフタラート(DINP)、ジイソオクチルアジパート(DIOA)、ジイソオクチルフタラート(DIOP)、ジメンチルフタレート(DMP)、ジ−n−ヘキシルフタラート(DnHP)、ジ−n−オクチルアジパート(DnOA)、ジ−n−オクチルフタラート(DnOP)、ジノニルフタラート(DNP)、ジオクチルアジパート(DOA)、ジ(2−エチルヘキシル)アジパート(DEHA)、ジオクチルマレアート(DOM)、ジオクチルセバカート(DOS)、ジオクチルテレフタラート(DOTP)、ジオクチルアゼラート(DOZ)、ジプロピレングリコールジベンゾアート(DPGB)、ジ(2−プロピルヘプチル)フタラート(DPHP)、ジトリデシルアジパート(DTDA)、ジトリデシルフタラート(DTDP)、ジウンデシルフタラート(DUP)、2−エチルヘキサノール(2−EH)、エポキシ化アマニ油(ELO)、エポキシ化ダイズ油(ESO)、汎用フタラート(GPP)、イソデシルアルコール(IDA)、イソノニルアルコール(INA)、無水フタル酸(PA)、2−プロピルヘプタノール(2−PH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、トリクレシルホスファート(TCP)、トリイソノニルトリメリタート(TINTM)、トリイソオクチルトリメリタート(TIOTM)、トリメリト酸無水物(TMA)、トリオクチルトリメリタート(TOTM)、トリフェニルホスファート(TPP)、トリキシリルホスファート(TXP)、ウンデシルドデシルフタラート(UDP)、ダイズ油、中鎖トリグリセリド、ポリグリセロールエステル、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の組成物において、前記レシチンが粗濾過されたレシチン、脱油レシチン、化学修飾したレシチン、酵素修飾したレシチン、標準化したレシチン、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物が、当該組成物中に5ないし95重量パーセントの前記レシチンと、前記組成物中に5ないし95重量パーセントの前記可塑剤とを含むことと特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物において、当該組成物が1g/L未満の揮発性有機化合物を含むことを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びその任意の組合せからなる群から選択される共界面活性剤を更に含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物において、前記共界面活性剤の親水親油バランスが10.0ないし24.0であることを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の組成物において、前記非イオン性界面活性剤がソルビタンモノステアラート、ロジンのポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンドデシルモノエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体、ポリオキシエチレンモノラウラート、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレアート、ポリオキシエチレンモノ(シス−9−オクタデセニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノステアラート、ポリオキシエチレンモノオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンジオレアート、ポリオキシエチレンジステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアラート、オレイン酸のポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサステアラート、ポリオキシエチレンモノテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサオレアート、脂肪酸、トール油、ソルビトールのヘキサエステル、エトキシ化ヒマシ油、エトキシ化ダイズ油、エトキシ化ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレアート、グリセロールとポリエチレングリコールとを混合したエステル、アルコール、ポリグリセロールエステル、モノグリセリド、スクロースエステル、その任意の誘導体、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか1項に記載の組成物において、前記アニオン性界面活性剤が直鎖脂肪酸のナトリウム及びカリウム塩、ポリオキシエチレン化された脂肪アルコールのカルボキシラート、直鎖アルキルベンゼンのスルホナート、αオレフィンのスルホナート、スルホン化脂肪酸のメチルエステル、アリールアルカンスルホナート、スルホスクシナートエステル、アルキルフェニルエーテル(ジ)スルホナート、アルキルナフタレンスルホナート、イセチオナート、アルキルエーテルスルファート、硫酸化油、脂肪酸モノエタノールアミドのスルファート、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドのスルファート、脂肪族ホスファートエステル、ノニルフェノールホスファートエステル、フッ化アニオン、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の組成物において、前記カチオン性界面活性剤が:脂肪族アミン塩;第一級、第二級、及び第三級アミンを含む脂肪族アルキルの第四級アミン;エステルアミン及び対応するエトキシ化エステルアミン;ならびにその任意の組合せ;からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれか1項に記載の組成物において、前記レシチンが前記組成物の5ないし95重量パーセントを構成し、前記可塑剤が前記組成物の1ないし20重量パーセントを構成し、界面活性剤が前記組成物の5ないし20重量パーセントを構成することを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の組成物において、当該組成物の粘度が2,000センチポイズ以下であることを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項6ないし12のいずれか1項に記載の組成物において、前記非イオン性界面活性剤及び前記イオン性界面活性剤の比率が1:9ないし9:1であることを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物が顔料を更に含むことを特徴とする組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物において、前記顔料が有機顔料、無機顔料、カーボンブラック顔料、及びその任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の組成物が樹脂を更に具えることを特徴とする組成物。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の組成物を含む生成物。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項に記載の組成物の分散助剤、研磨助剤、粘度降下剤、又はその任意の組合せとしての使用。
【請求項19】
請求項17に記載の生成物において、当該生成物の用途が塗料、インク、コーティング、磁性流体、コンクリート、セラミック、繊維用助剤、皮革の最終加工における助剤、プラスチック配合剤、潤滑剤、油田掘削用の添加剤、離型剤、及び化粧品からなる群から選択されることを特徴とする生成物。
【請求項20】
可塑剤とレシチンとを混合し、ひいては分散剤を生成するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法が、前記分散剤と顔料とを、当該顔料が分散するように混合するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20又は請求項21に記載の方法が、前記レシチンを加熱するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20ないし22のいずれか1項に記載の方法が、前記分散剤、前記顔料、又はその組合せと樹脂とを混合するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20ないし23のいずれか1項に記載の方法が、前記分散剤、前記顔料、又はその組合せと、インク基剤又は塗料基剤と混合するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20ないし24のいずれか1項に記載の方法において、前記レシチンと前記可塑剤とを混合するステップが、前レシチンとトリグリセリドとを混合するステップと比較して、更に有効な方法で前記レシチンの粘度を低減させることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記レシチンの粘度の低減によって、顔料に対する前記分散剤の充填容量が、従来の分散剤と比較して高くできることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項20ないし26のいずれか1項に記載の方法が、共界面活性剤を前記レシチン、前記可塑剤、又はその組合せに添加するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項20ないし27のいずれか1項に記載の方法によって生成される生成物。
【請求項29】
請求項28に記載の生成物を表面に塗布するステップを具えることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公表番号】特表2012−508796(P2012−508796A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535798(P2011−535798)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064171
【国際公開番号】WO2010/056833
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(591079443)アーチャー ダニエルズ ミッドランド カンパニー (7)
【氏名又は名称原語表記】ARCHER DANIELS MIDLANDCOMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064171
【国際公開番号】WO2010/056833
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(591079443)アーチャー ダニエルズ ミッドランド カンパニー (7)
【氏名又は名称原語表記】ARCHER DANIELS MIDLANDCOMPANY
【Fターム(参考)】
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