説明

レジスト下層膜材料、レジスト下層膜形成方法、パターン形成方法

【課題】 本発明は、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜、特には3層を有する多層レジスト膜のレジスト下層膜、又は、レジストパターンの側壁に直接珪素酸化膜を形成したり、レジストパターンに珪素酸化膜を形成してポジネガ反転を行う際に用いるレジスト下層膜であり、反射率を低減でき、エッチング耐性が高いレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成方法及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料であって、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位を、繰り返し単位として含有する重合体を含むものであることを特徴とするレジスト下層膜材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工に用いられる反射防止膜材料として有効なレジスト下層膜材料、レジスト下層膜形成方法、及びこれを用いた遠紫外線、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、軟X線(EUV、13.5nm)、電子線(EB)に好適なパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。特にフラッシュメモリー市場の拡大と記憶容量の増大化が微細化を牽引している。微細化における細線についてはArFリソグラフィーによる65nmノードのデバイスの量産が行われており、次世代のArF液浸リソグラフィーによる45nmノードの量産準備が進行中である。次世代の32nmノードとしては、水よりも高屈折率の液体と高屈折率レンズ、高屈折率レジスト膜を組み合わせた超高NAレンズによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィー、ArFリソグラフィーの2重露光(ダブルパターニングリソグラフィー)などが候補であり、検討が進められている。
【0003】
微細化の進行と共にフォトレジスト膜の薄膜化が進行し、薄膜のフォトレジストパターンを転写する為の多層膜プロセスが検討されている。
【0004】
多層膜プロセスとして、フォトレジスト膜(以下、レジスト上層膜ともいう)の下に珪素を含有するレジスト中間層膜、更にその下に有機膜のレジスト下層膜を積層する3層レジストプロセスが提案されている。一般的には珪素含有レジストより単層レジストの方が解像性に優れ、3層レジストプロセスでは高解像な単層レジストを露光イメージング層として用いることができる。レジスト中間層膜としては、スピンオングラス(SOG)膜が用いられている。
【0005】
反射防止効果を付与させた珪素含有層材料が、特許文献1に提案されている。一般的に単層の反射防止膜よりも多層の反射防止膜の方が反射防止効果は高く、光学材料の反射防止膜として広く工業的に用いられている。レジスト中間層膜とレジスト下層膜の両方に反射防止効果を付与させることによって高い反射防止効果を得ることができる。
【0006】
液浸リソグラフィーによって投影レンズのNAが1を越え、フォトレジスト膜、レジスト中間層膜、レジスト下層膜に入射する光の角度が一段と浅くなっている。これによって基板からの反射光の割合が増大している。
加工寸法の微細化に伴ってフォトレジスト膜の薄膜化が進行し、これによって珪素含有中間層膜の膜厚が薄膜化することによっても基板からの反射の割合が増大している。中間層膜だけに頼った反射防止が困難になってきており、中間層膜だけでなく、下層膜の光学特性の最適化によって反射を抑える必要が高くなってきている。
【0007】
NA1.35レンズを使った水液浸リソグラフィーの最高NAで到達できる解像度は40〜38nmであり、32nmには到達できない。そこで更にNAを高めるための高屈折率材料の開発が行われている。レンズのNAの限界を決めるのは投影レンズ、液体、レジスト膜の中で最小の屈折率である。水液浸の場合、投影レンズ(合成石英で屈折率1.5)、レジスト膜(従来のメタクリレート系で屈折率1.7)に比べて水の屈折率が最も低く、水の屈折率によって投影レンズのNAが決まっていた。最近、屈折率1.65の高透明な液体が開発されてきている。この場合、合成石英による投影レンズの屈折率が最も低く、屈折率の高い投影レンズ材料を開発する必要がある。LUAG(LuAl12)は屈折率が2以上であり、最も期待される材料ではあるが、複屈折率と吸収が大きい問題を持っている。また、屈折率1.8以上の投影レンズ材料が開発されたとしても屈折率1.65の液体ではNAは1.55止まりであり、32nmを解像できない。32nmを解像するには屈折率1.8以上の液体が必要である。吸収と屈折率がトレードオフの関係にあり、このような材料は未だ見つかっていない。液体の高屈折率化と高屈折率レンズの高透明性化の問題が解決できないために、高屈折率リソグラフィーの開発は中止に至った。
【0008】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。
例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法がある。
また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する方法がある。いずれの方法も2回のドライエッチングでハードマスクを加工する方法である。
【0009】
前述の方法では、ハードマスクを2回敷く必要があり、後者の方法ではハードマスクが1層で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。また、後者の方法では、トレンチパターンの形成にネガ型レジスト材料を使う方法がある。ネガ型レジスト材料であるとポジ型のパターンでラインを形成するのと同じ高コントラストの光を用いることができるが、ポジ型レジスト材料に比べてネガ型レジスト材料の方が溶解コントラストが低いために、ポジ型レジスト材料でラインを形成する場合とネガ型レジスト材料で同じ寸法のトレンチパターンを形成した場合とを比較するとネガ型レジスト材料を使った方が解像性が低い。
後者の方法で、ポジ型レジスト材料を用いて広いトレンチパターンを形成してから、基板を加熱してトレンチパターンをシュリンクさせるサーマルフロー法や、現像後のトレンチパターンの上に水溶性膜をコートしてから加熱してレジスト膜表面を架橋させることによってトレンチをシュリンクさせるRELACS法を適用させることも考えられるが、プロキシミティーバイアスが劣化するという欠点やプロセスが更に煩雑化し、スループットが低下する欠点が生じる。
【0010】
また、前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0011】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しない炭素4以上の高級アルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使うため解像性の劣化が生じる。
【0012】
ダブルパターニングにおいて最もクリティカルな問題となるのは、1回目のパターンと2回目のパターンの合わせ精度である。位置ずれの大きさがラインの寸法のバラツキとなるために、例えば32nmのラインを10%の精度で形成しようとすると3.2nm以内の合わせ精度が必要となる。現状のスキャナーの合わせ精度が8nm程度であるので、大幅な精度の向上が必要である。
【0013】
スキャナーの合わせ精度の問題や、1つのパターンを2つに分割することが困難であるという問題から、1回の露光でピッチを半分にする方法が検討されている。
ラインパターン両側の側壁に膜を付けてこれによってピッチを半分にする方法が提案されている(非特許文献1)。このような側壁プロセスとしては、第4回液浸シンポジウム(2007年) 講演番号;PR−01、題名;Implementation of immersion lithography to NAND/CMOS lithography to NAND/CMOS device manufacturing(非特許文献2)において、フォトレジスト膜下層のハードマスクとその側壁に付けた膜と膜の間のスペースに埋めこんだ膜とをエッチングパターンとして用いるスペーサースペース法と、フォトレジスト膜下層のハードマスク側壁に付けた膜をエッチングパターンとして用いるスペーサーライン法が提案されている。どちらの方法に於いてもレジスト下のハードマスクの側壁に付けた膜をエッチングマスクとして用いている。
【0014】
レジストラインがターゲット寸法からずれるとスペーサースペース法ではエッチングマスクとして用いるラインCDがまちまちになるし、スペーサーライン法ではライン位置のばらつきにつながる。どちらの方法に於いても側壁スペーサーの膜厚制御と現像後のレジストパターンの寸法制御の両方の高精度化が必要である。側壁スペーサー法はいずれの方法を用いても1回の露光でピッチを半分に出来るが、ラインの端点はドーナツ状になり、最も端のラインが不必要だったりすることがあるため、これを消去するための露光が必要であり、少なくとも2回の露光が必要である。しかしながら、この場合の2回目の露光に於いてピッチを半分にするための非常に高精度なアライメントは必要ない。
【0015】
一般的にハードマスクとしては、ポリシリコン、珪素酸化膜、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化チタン膜、アモルファスカーボン膜などが用いられる。これらの膜は、CVD法などで形成される。側壁パターンとしては、ハードマスクとその下の基板を加工するために、ハードマスクとは異なる材質が用いられる。
側壁スペーサー法は、ハードマスクの側壁だけに付けた膜を元にエッチングパターンとするために、ハードマスク上とスペーサーに付いた膜の除去を行わなければならない。スペーサースペース法では、スペース埋めこみ後に側壁パターンの除去が必要であり、スペーサーライン法では、ハードマスクの側壁にスペースパターンを形成後、ハードマスクだけを除去しなければならない。どちらもエッチング加工と膜の除去工程数が多く、スループットが低く、高価なプロセスである。
【0016】
気相成長(Chemical Vapor Deposition;CVD)法でレジストパターン上に珪素酸化膜を形成してホールパターン径を縮小する方法が提案されており、レジストパターンに直接珪素酸化膜を付ける検討が進んでいる。ALD(Atomic Layer Deposition)法はCVD法の一種であり、原子レベルの酸化珪素を積層させていく方法である。膜のコンフォーマル性、膜厚の均一性に優れ、サイドウォールスペーサー用の珪素酸化膜の形成に適していると考えられる。ALD法は100℃以下の低温で酸化膜を積層することができるために熱によるレジストパターンの変形を抑えることが出来る。ALD法の欠点はスループットが低いことであったが、大量のウェハーをバッチ処理することによって、1枚当たりの単位時間での処理能力が高くなってきている。これにより、レジストパターンの側壁に直接酸化膜スペーサーを形成するプロセスの検討が加速されている。
【0017】
レジストパターン上にレジストパターンを溶解させないアルコールや水に溶解させたシリコーン化合物を塗布し、エッチバックや化学的機械研磨(CMP)でレジストパターンの頭を出して、酸素ガスエッチングによってレジストパターンと下層の基板を加工する画像反転(イメージリバーサル)技術が提案されている。例えば、ポジレジストを用いてドットパターンや孤立ラインパターンを形成し、前記ポジネガ反転技術でホールパターンやトレンチパターンを形成する。ポジレジストを用いてホールパターンやトレンチパターンを形成するよりも光学コントラストに優れるドットパターンやラインパターンを形成して画像反転によってホールパターンやトレンチパターンを形成する方法は限界解像力や寸法均一性の観点で有利である。
【0018】
レジストパターンに直接サイドウォールスペーサー、又は、反転膜を形成する場合、これらの膜としては珪素酸化膜が用いられる。この場合、フォトレジスト幕の下層はエッチング加工の観点からは炭化水素膜が用いられる。3層レジストプロセスの場合は、前述の通り2層の反射防止膜によって反射を低減することが可能だが、レジストパターンに直接サイドウォールスペーサーを形成する場合あるいは、反転膜形成プロセスの場合ではフォトレジスト幕の下層の1層で反射防止をすることになる。炭化水素膜を2層にして反射防止を行うことも考えられるが、2回下層膜の塗布はスループットの観点から不利である。スループット向上、コスト削減の観点からは、1層のレジスト下層膜の塗布によって反射防効果を得ることが望ましい。
【0019】
ヒドロキシスチレンとアセナフチレンとの共重合体を含む下層膜材料は特許文献2、ヒドロキシスチレンとノルトリシクレンとの共重合体を含む下層膜材料は特許文献3に示されている。
これらの材料は、エッチング耐性が優れるが、n値は低く、k値は高く、1.3以上のNAを用いた液浸リソグラフィーにおける浅い入射角の光に対して十分な反射防止効果があるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第6506497号
【特許文献2】特開2005−250434号
【特許文献3】特開2004−205658号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】J. Vac. Sci. Technol. B 17(6)、 Nov/Dec 1999
【非特許文献2】第4回液浸シンポジウム(2007年) 講演番号;PR−01、題名;Implementation of immersion lithography to NAND/CMOS lithography to NAND/CMOS device manufacturing
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜、特には3層を有する多層レジスト膜のレジスト下層膜や、レジストパターンの側壁に直接珪素酸化膜を形成したり、レジストパターン上に珪素酸化膜を形成してポジネガ反転を行う際に用いるレジスト下層膜であり、反射率を低減でき、エッチング耐性が高いレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料、レジスト下層膜形成方法及びこれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、本発明によれば、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料であって、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位を、繰り返し単位として含有する重合体を含むものであることを特徴とするレジスト下層膜材料を提供する。
【0024】
このようなレジスト下層膜材料は、特に、短波長の露光に対して、優れた反射防止膜として機能し、フォトレジスト並の高いn値(屈折率)、k値(消光係数)を有し、更には基板加工におけるエッチング耐性に優れたレジスト下層膜を形成することができる。このようなレジスト下層膜材料を用いて得られるレジスト下層膜は、3層を有する多層レジスト膜のレジスト下層膜、又は、レジストパターンの側壁に直接珪素酸化膜を形成したり、レジストパターンに珪素酸化膜を形成してポジネガ反転プロセスを行う際のレジストパターン直下のレジスト下層膜として特に有用である。
【0025】
またこのとき、前記重合体は、下記一般式(1)で示される少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位を含有するものであることが好ましい。
【化1】

(上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜11のアルコキシメチル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数1〜12のアルコキシエチル基、及び、グリシジルエーテル基のいずれかであり、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の水素は酸不安定基、フッ素で置換されたアルキル基、及びフッ素で置換されたアシル基のいずれかで置換されていても良い。mは1〜5の整数、nは0〜3の整数である。aは0<a≦1.0の範囲である。)
【0026】
このように、前記重合体として、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を含有するもの、即ち、ベンゼン環へフッ素原子を導入したスチレン誘導体単位を含有するものが挙げられる。
【0027】
またこのとき、前記重合体は、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体と、アセナフチレン(誘導体)及び/又はノルボルナジエン(誘導体)とを共重合したものであることが好ましい。
【0028】
このように、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体に加え、更に、アセナフチレン(誘導体)、即ちアセナフチレン及びその誘導体、及び/又はノルボルナジエン(誘導体)、即ちノルボルナジエン及びその誘導体とを共重合させた重合体であれば、より容易に理想的な光学定数に調整し、エッチング耐性を向上させることができる。
【0029】
またこのとき、前記重合体は、下記一般式(2)で示されるものが挙げられる。
【化2】

(上記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜11のアルコキシメチル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数1〜12のアルコキシエチル基、及び、グリシジルエーテル基のいずれかであり、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の水素は酸不安定基、フッ素で置換されたアルキル基、及びフッ素で置換されたアシル基のいずれかで置換されていても良い。R、Rは水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、アセトキシメチル基、及びアルコキシメチル基のいずれかであり、カルボキシル基の水素は、フッ素原子又は酸素原子を含んでも良いアルキル基で置換されていても良い。mは1〜5の整数、nは0〜3の整数である。a、b1、b2はそれぞれ0<a<1.0、0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0<b1+b2<1.0の範囲である。)
【0030】
本発明のレジスト下層膜材料に含まれる重合体として、上記一般式(2)で示されるように、繰り返し単位aに加え、アセナフチレン(誘導体)単位b1及び/又はノルボルナジエン(誘導体)単位b2を更に含む重合体が挙げられる。
【0031】
またこのとき、前記重合体は、下記一般式(3)で示されるものであることが好ましい。
【化3】

(上記一般式(3)中、R、R、R、m、n、a、b1、b2は前述の通りであり、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アシル基、フッ素で置換されたアシル基、及び酸不安定基のいずれかである。)
【0032】
上記一般式(3)中の繰り返し単位aで示される置換又は非置換のヒドロキシ基を有するフッ素化スチレンの繰り返し単位を含有する重合体を含むものであれば、架橋密度が高くなり、エッチング耐性を更に向上させることができる。
【0033】
またこのとき、前記レジスト下層膜材料が、更に有機溶剤、酸発生剤、架橋剤のうちいずれか1つ以上を含有するものであることが好ましい。
【0034】
このように、レジスト下層膜材料が、更に有機溶剤、酸発生剤、架橋剤のうちいずれか1つ以上のものを含有するものであれば、該材料の基板等への塗布性を向上させたり、基板への塗布後にベーク等によりレジスト下層膜内での架橋反応を促進することができる。従って、このようなレジスト下層膜材料から得られたレジスト下層膜は、膜厚均一性がよく、レジスト上層膜とのインターミキシングのおそれが少なく、レジスト上層膜への低分子成分の拡散が少ないものとなる。
【0035】
また本発明では、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜の形成方法であって、基板上に前記本発明のレジスト下層膜材料をスピンコート法によりコーティングすることによってレジスト下層膜を形成することを特徴とするレジスト下層膜形成方法を提供する。
【0036】
このように、スピンコート法により本発明のレジスト下層膜材料を基板上にコーティングすることによって、優れた反射防止効果及びエッチング耐性を有し、更には膜厚均一性が良いレジスト下層膜を得ることができるために好ましい。
【0037】
また本発明では、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に前記のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上に珪素原子を含有するレジスト中間層膜材料を用いてレジスト中間層膜を形成し、該レジスト中間層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターンをエッチングマスクにして前記レジスト中間層膜をエッチングし、得られたレジスト中間層膜パターンをエッチングマスクにして前記レジスト下層膜をエッチングし、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0038】
また本発明では、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に前記のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターンをエッチングマスクにして前記レジスト下層膜をエッチングし、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0039】
本発明のレジスト下層膜材料は、このような珪素原子を含有するレジスト中間層膜(珪素含有中間層)を有する3層レジストプロセスのレジスト下層膜や2層レジストプロセスのレジスト下層膜を得るための材料として特に有用である。
【0040】
また本発明では、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に前記のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターン上にスピンコート法又はCVD法で珪素酸化膜を形成し、レジストパターン側壁の珪素酸化膜を残しつつ、エッチングによって少なくともレジストパターン上部とスペース部分の珪素酸化膜を除去し、エッチングによってレジストパターン側壁の珪素酸化膜をマスクにしてレジスト下層膜を加工し、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0041】
本発明のレジスト下層膜材料は、珪素含有中間層膜がない場合においても優れた反射防止効果を発揮する。従って、このようなフォトレジストパターンに直接サイドウォールスペーサーを形成する場合であっても、レジスト下層膜一層により反射防止効果が得られてレジスト下層膜上に直接形成されたフォトレジストパターン形状が良好となり、更に、スループット向上、コスト削減を達成することができるため好適に用いることができる。また、基板に対して優れたエッチング耐性を有するため、基板に良好なパターンを形成することができる。
【0042】
また本発明では、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に前記のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターン上に珪素酸化膜を形成し、レジストパターン間の珪素酸化膜を残しつつ、エッチングによって少なくともレジストパターン上部の珪素酸化膜を除去し、残ったレジストパターン間の珪素酸化膜をマスクにしてレジスト下層膜を加工し、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0043】
本発明のレジスト下層膜材料は、珪素含有中間層膜がない場合においても優れた反射防止効果を発揮する。従って、フォトレジストパターン上に珪素酸化膜(SiO膜)材料をスピンコートしてポジネガ反転を行う場合であっても、レジスト下層膜一層により反射防止効果が得られてレジスト下層膜上に直接形成されたフォトレジストパターン形状が良好となり、更に、スループット向上、コスト削減を達成することができるため好適に用いることができる。また、基板に対して優れたエッチング耐性を有するため、基板に良好なパターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、例えば上層膜が珪素を含有するものである多層レジストプロセス用、特には3層レジストプロセス用のレジスト下層膜材料、レジストパターンの側壁に直接珪素酸化膜を形成したり、レジストパターン上に珪素酸化膜を形成してポジネガ反転を行う際に用いるレジスト下層膜材料であって、特に短波長の露光に対して、優れた反射防止膜として機能し、即ちポリヒドロキシスチレン、クレゾールノボラック、ナフトールノボラックなどよりも透明性が高く、フォトレジスト並みの高いn値(屈折率)、k値(消光係数)を有し、更には基板加工におけるエッチング耐性に優れたレジスト下層膜材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】3層レジストプロセスにおける中間層膜(SiUL)のn値が1.7、k値が0.1で40nm膜厚、下層膜(CUL)のn値が1.6、k値を0〜1.0、膜厚を0〜200nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図2】3層レジストプロセスにおける中間層膜(SiUL)のn値が1.7、k値が0.1で40nm膜厚、下層膜(CUL)のk値が0.4、n値を1.0〜2.0、膜厚を0〜200nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図3】3層レジストプロセスにおける中間層膜(SiUL)のn値が1.7、k値が0.1で20nm膜厚、下層膜(CUL)のn値が1.6、k値を0〜1.0、膜厚を0〜200nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図4】3層レジストプロセスにおける中間層膜(SiUL)のn値が1.7、k値が0.1で20nm膜厚、下層膜(CUL)のk値が0.4、n値を1.0〜2.0、膜厚を0〜200nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図5】2層レジストプロセスにおける下層膜(CUL)のn値が1.3、k値が0〜1.2、膜厚を0〜150nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図6】2層レジストプロセスにおける下層膜(CUL)のn値が1.4、k値を0〜1.2、膜厚を0〜150nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図7】2層レジストプロセスにおける下層膜(CUL)のn値が1.5、k値を0〜1.2、膜厚を0〜150nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図8】2層レジストプロセスにおける下層膜(CUL)のn値が1.6、k値を0〜1.2、膜厚を0〜150nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図9】2層レジストプロセスにおける下層膜(CUL)のn値が1.7、k値を0〜1.2、膜厚を0〜150nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図10】2層レジストプロセスにおける下層膜(CUL)のn値が1.8、k値を0〜1.2、膜厚を0〜150nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図11】2層レジストプロセスにおける下層膜(CUL)のn値が1.9、k値を0〜1.2、膜厚を0〜150nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図12】2層レジストプロセスにおける下層膜(CUL)のn値が2.0、k値を0〜1.2、膜厚を0〜150nmの範囲で変化させたときの基板反射率の関係を示すグラフである。
【図13】2層レジストプロセスの説明図である。
【図14】レジストパターンの側壁に直接珪素酸化膜をつけるサイドウォールスペーサー法の説明図である。
【図15】レジストパターン間に珪素酸化膜をつけ、ポジネガ反転を行うイメージリバーサル法の説明図である。
【図16】3層レジストプロセスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、フッ素で置換されたスチレン類の繰り返し単位(少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位)を含有する重合体が、例えば波長193nmといった短波長の露光において、フォトレジスト並の高いn値、最適なk値を有し、かつエッチング耐性にも優れ、珪素含有中間層による3層レジストプロセスといった多層レジストプロセス、あるいはレジストパターンの側壁に珪素酸化膜を形成したり、レジストパターン上に珪素酸化膜を形成してポジネガ反転プロセス用レジスト下層膜として有望な材料であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0047】
ここで、図1にフォトレジスト膜100nmの下にn値1.7、k値0.1、膜厚40nmの珪素含有中間層膜(SiUL)、その下にn値1.6のレジスト下層膜(CUL)のk値と膜厚を変えたときの反射率を示す。光学条件としてはNAが1.35のArF液浸リソグラフィー、ダイポールのs偏光照明の44nmLSパターンである。k値が0.1〜0.4の広い範囲で反射率1%以下(Refrectivityが0.01以下)の領域が存在することがわかる。
図2に、レジスト下層膜のk値が0.4で屈折率nと膜厚を変えた場合の反射率を示す。nが1.5〜1.9の広い範囲で反射が1%以下になる領域が存在する。尚、その他の条件は図1の場合と同様である。
【0048】
図1の珪素含有中間層膜のn、k値で膜厚が20nmの場合を図3に示し、同様に、図2の珪素含有中間層膜のn、k値で膜厚が20nmの場合を図4に示す。パターンサイズの縮小に伴い、レジスト膜の薄膜化が進行しており、薄膜化したレジストパターンを加工するための珪素含有中間層の薄膜化が進行している。現在、珪素含有中間層膜は40nm付近の膜厚で使われているが、図1と図3の比較、および図2と図4の比較では、珪素含有中間層膜の薄膜化によって反射が増大し、反射を抑えるための下層膜の最適なn、k値の範囲が狭くなってきおり、特にn値の最適な範囲が狭くなってきていることが示されている。
【0049】
レジストパターンの側壁の珪素酸化膜パターンを形成し解像力を倍にするサイドウォールスペーサー法、あるいはパターン上に珪素酸化膜を形成しポジネガ反転を行うイメージリバーサル法では、レジスト直接の下層が炭化水素膜となる。炭化水素膜を多層にして反射防止効果を向上させることもできるが、炭化水素膜としては、1つの材料を1回の塗布で形成されることがコスト低減、スループット向上の観点からは好ましい。
【0050】
図5〜図12は1層の下層膜を想定し、投影レンズのNAが1.35のArF液浸リソグラフィー、ダイポールのs偏光照明の40nmLSの時の基板反射である。それぞれ下層膜の屈折率を1.3〜2.0の範囲で変更させたときの下層(CUL)の膜厚とk値を変えたときの下層膜からの反射率を示す。図1、2の3層レジストプロセスの場合では反射率が1%以下になる範囲が比較的広く存在していたのだが、1層の反射防止膜の場合では最適なn、k値と膜厚の範囲が狭い。例えば図1での3層レジスト膜の下層膜でn値が1.6の場合の反射率が1%以下になるk値、膜厚に比べると、図8の1層の下層膜での反射が1%以下になる領域は狭く、ほとんど1点に近い。1層の下層膜の場合、nが1.5以下では反射を1%にすることはできなくなり、1.7以上のnが必要である。
【0051】
下層膜は反射防止機能だけでなく、マスクにして被加工基板をエッチングするときの耐性も必要になるので、100nm以上の膜厚が必要である。屈折率が1.9や2.0と高くなると、反射が1%以下の時の膜厚が100nm未満になってくるので、好ましくない。よって最適なn値は1.7〜1.8の範囲である。また、この時の最適なk値は0.15〜0.25の範囲である。
【0052】
芳香族基同士が結合した縮合多環式炭化水素はエッチング耐性が向上するが、n値が低くなる。例えばポリビニルナフタレンのn値は1.2であり、フラーレンは1.3である。一方脂環式化合物のn値は比較的高く、ポリノルボルネンや水素添加したメタセシス開環重合したノルボルネンなどのn値は、約1.7であるが、これらのものはエッチング耐性が低い問題点がある。
【0053】
ベンゼン環は、波長193nmに吸収最大値、すなわちk値の最大値を持っている。4−ポリヒドロキシスチレンの屈折率n値の最大値は波長205nmに存在し、これより短波長側ではn値の値は下がって行き、波長193nmでは1.6程度である。k値は高い吸収のため、ほぼ1.0である。ポリシクロオレフィンは前述の通りn値が1.7でk値は0に近い。ポリシクロオレフィンとしては、ポリノルボルネン、ノルボルネン等のメタセシス開環重合(ROMP)、ノルボルネンと無水マレイン酸、ノルボルネンとマレイミドなどを挙げることができる。ノルボルネンの環を1つ増やしたトリシクロデセンやテトラシクロドデセンを用いることもできる。ポリシクロオレフィンとポリスチレン系を共重合したりブレンドしたりすることによってn値が1.6〜1.7、k値を0.15〜0.25の範囲内に調整してやることは可能である。しかしながら、n値が1.7以下なので目標値には届かない。これまで屈折率を高めるには硫黄原子を導入することが有効であるとされ、高屈折率液浸リソグラフィーレジスト用のベースポリマーとしては、硫黄原子を導入することが試みられてきた。しかしながら、硫黄原子を導入しても屈折率の増加は僅かである。
【0054】
ここで、4−ポリヒドロキシスチレンの波長205nmにおける最大ピークでのn値は2.1以上である。本発明者らは、このピークを短波長シフトしてやれば、波長193nmにおける屈折率を効率よく向上させることが可能であると考え、短波長シフトさせるためにはフッ素原子の導入、特にはベンゼン環へフッ素原子を導入したポリスチレン類が効果的であることを見出した。
【0055】
即ち、本発明のレジスト下層膜材料は、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料であって、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位を、繰り返し単位として含有する重合体を含むものであることを特徴とするレジスト下層膜材料である。
【0056】
特に、前記重合体は、下記一般式(1)で示される少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位を含有するものが好ましい。
【化4】

(上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜11のアルコキシメチル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数1〜12のアルコキシエチル基、及び、グリシジルエーテル基のいずれかであり、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の水素は酸不安定基、フッ素で置換されたアルキル基、及びフッ素で置換されたアシル基のいずれかで置換されていても良い。mは1〜5の整数、nは0〜3の整数である。aは0<a≦1.0の範囲である。)
【0057】
このような、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位、即ち、置換又は非置換のスチレンのベンゼン環がフッ素で置換された単位を、繰り返し単位として含有する重合体を含む本発明のレジスト下層膜材料から形成したレジスト下層膜は、珪素含有中間層膜を有する3層レジストプロセスといった多層レジストプロセス、あるいはレジストパターンの側壁に直接珪素酸化膜を形成したりレジストパターン間を珪素酸化膜で埋め込んでポジネガ反転を行うためのプロセスに特に有効な新規なレジスト下層膜である。特に、波長193nmといった短波長での露光において優れた反射防止効果を発揮し、かつ基板エッチングの条件におけるエッチング耐性に優れるものである。
【0058】
また、前記少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位のモノマーである少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体は、アセナフチレン(誘導体)及び/又はノルボルナジエン(誘導体)と共重合させることが好ましい。即ち、重合体が下記一般式(2)に示されるような、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位aに加え、アセナフチレン(誘導体)単位b1及び/又はノルトリシクレン(誘導体)単位b2を含んでいることによって理想的な光学定数に調整し、更にはエッチング耐性を向上させることもできる。
【化5】

(上記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜11のアルコキシメチル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数1〜12のアルコキシエチル基、及び、グリシジルエーテル基のいずれかであり、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の水素は酸不安定基、フッ素で置換されたアルキル基、及びフッ素で置換されたアシル基のいずれかで置換されていても良い。R、Rは水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、アセトキシメチル基、及びアルコキシメチル基のいずれかであり、カルボキシル基の水素は、フッ素原子又は酸素原子を含んでも良いアルキル基で置換されていても良い。mは1〜5の整数、nは0〜3の整数である。a、b1、b2はそれぞれ0<a<1.0、0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0<b1+b2<1.0の範囲である。)
【0059】
また、本発明のレジスト下層膜材料に含有される重合体は、下記一般式(3)で示されるものであることが好ましい。このような置換又は非置換のヒドロキシ基を有する繰り返し単位aを含有する重合体を含むことによって架橋密度が高くなり、エッチング耐性を向上させることができる。
【化6】

(上記一般式(3)中、R、R、R、m、n、a、b1、b2は前述の通りであり、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アシル基、フッ素で置換されたアシル基、及び酸不安定基のいずれかである。)
【0060】
一般式(1)中の繰り返し単位aの重合に用いられるモノマーとしては、下記式のものを挙げることが出来る。ここで、置換又は非置換のフッ素化ヒドロキシスチレンの合成方法については特許3804756号に記載されている。
【化7】

【0061】
【化8】

【0062】
上記式中、Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、フッ素原子を有していても良く、酸不安定基であっても良く、グリシジル基であっても良い。R、Rはそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、フッ素原子を有していても良く、酸不安定基であっても良い。
【0063】
上記一般式(1)中のRが炭素数1〜10のアルキル基の場合、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
がアシロキシ基の場合、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基が挙げられる。
がアルコキシカルボニル基の場合、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミロキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、メチルシクロペンチルオキシカルボニル基、メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基を挙げることが出来る。
【0064】
がヒドロキシ基とカルボキシル基であり、これらの水素が酸不安定基で置換されていても良い。この場合の酸不安定基としては、特開2010−13627号中(0058)〜(0084)段落記載のものを用いることができる。
フッ素で置換されたアルコキシ基(ヒドロキシ基の水素がフッ素で置換されたアルキル基で置換されている場合)としては、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロイソプロポキシ基、フッ素で置換されたアシロキシ基(ヒドロキシ基の水素がフッ素で置換されたアシル基で置換されている場合)としては、トリフルオロアセトキシ基、トリフルオロエチルカルボニルオキシ基、ペンタフルオロイソプロピルカルボニルオキシ基などを挙げることが出来る。
【0065】
これらの中で、置換又は非置換のヒドロキシ基やカルボキシル基を有するフルオロスチレン類が好ましく用いられる。ヒドロキシ基やカルボキシル基は架橋反応の基点となるため、ベーク後に架橋することによって膜の剛直性が増し、エッチング耐性が向上する。ヒドロキシ基やカルボキシル基は非置換でも置換されていても良い。250℃以上のベークによって置換基が脱離することによって架橋反応が進行するからである。
【0066】
上記一般式(1)〜(3)式においてベンゼン環におけるフッ素の置換位置は特に限定しないが、置換個数は1個よりも2個の方がn値が増加し、k値が低下するので好ましく用いられる。
【0067】
また、繰り返し単位aの割合(モル比)は好ましくは0.05≦a≦0.8、より好ましくは0.1≦a≦0.7の範囲である。一般式(2)又は一般式(3)のように、アセナフチレン(誘導体)を共重合させる場合は、繰り返し単位b1の割合(モル比)は、好ましくは0.1≦b1≦0.9、より好ましくは0.2≦b1≦0.85である。ノルボルナジエン(誘導体)を共重合させる場合は、繰り返し単位b2の割合(モル比)は、好ましくは0.1≦b2≦0.9、より好ましくは0.2≦b2≦0.85である。
また、上記一般式(1)〜(3)式中のnは、好ましくは1である。
【0068】
一般式(2)、(3)中の繰り返し単位b1、b2を得るためのモノマーは下記に例示することができる。b2のノルトリシクレン誘導体単位を得るためには、下記ノルボルナジエン化合物を用いる。
【化9】


(R、R12は水素原子、R〜R11、R13〜R14は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【0069】
これら本発明のレジスト下層膜材料に含まれる共重合体を合成するには、1つの方法としては、フッ素化スチレン類と、アセナフチレン類及び/又はノルボルナジエン類とを有機溶剤中、ラジカル開始剤あるいはカチオン重合開始剤を加え加熱重合を行う。ヒドロキシ基を含むモノマーのヒドロキシ基をアセチル基で置換させておき、得られた高分子化合物を有機溶剤中アルカリ加水分解を行い、アセチル基を脱保護することもできる。
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。カチオン重合開始剤としては、硫酸、燐酸、塩酸、硝酸、次亜塩素酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トシル酸などの酸、BF、AlCl、TiCl、SnClなどのフリーデルクラフツ触媒のほか、I、(CCClのようにカチオンを生成しやすい物質が使用される。
【0070】
反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0071】
繰り返し単位a、b1、b2以外にもビニル基を持つ炭素数10〜30の縮合炭化水素、具体的にはスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、ビニルフルオレン、ビニルフェナントレン、ビニルクリセン、ビニルナフタセン、ビニルペンタセン、ビニルアセナフテン、ビニルフルオレン等の繰り返し単位cを共重合することもできる。cの共重合割合(モル比)としては、0≦c≦0.5の範囲である。
【0072】
更には(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイミド類、ビニルピロリドン、ビニルエーテル類、ジビニルエーテル類、ジ(メタ)アクリレート類、ジビニルベンゼン類、ノルボルネン類、トリシクロデセン類、テトラシクロドデセン類、インデン類、ベンゾフラン類、ベンゾチオフェン類などの他のオレフィン化合物dと共重合させることもできる。dの共重合割合(モル比)としては、0≦d≦0.5の範囲である。
【0073】
本発明に係る重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、1,500〜200,000の範囲が好ましく、より好ましくは2,000〜100,000の範囲である。分子量分布は特に制限がなく、分画によって低分子体及び高分子体を除去し、分散度を小さくすることも可能であり、分子量、分散度が異なる2つ以上の一般式(1)〜(3)の重合体の混合、あるいは組成比の異なる2種以上の重合体を混合してもかまわない。
【0074】
本発明のレジスト下層膜材料に含まれる重合体、特には一般式(1)で示される繰り返し単位を有する共重合体の波長193nmにおける透明性を更に向上させるために、水素添加を行うことができる。好ましい水素添加の割合は、芳香族基の80モル%以下、より好ましくは60モル%以下である。
【0075】
本発明のレジスト下層膜材料用のベース樹脂は、上述したように、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体に加え、アセナフチレン誘導体及び/又はノルボルナジエン誘導体とを共重合してなる重合体を含むものとすることができるが、前述の反射防止膜材料として挙げられている従来のポリマーとブレンドすることもできる。
ポリアセナフチレンのガラス転移点は150℃以上であり、このもの単独ではビアホールなどの深いホールの埋め込み特性が劣る場合がある。ホールをボイドを発生させずに埋め込むためには、ガラス転移点の低いポリマーを用い、架橋温度よりも低い温度で熱フローさせながらホールの底にまで樹脂を埋め込む手法がとられる(例えば、特開2000−294504号公報参照)。ガラス転移点の低いポリマー、特にガラス転移点が180℃以下、とりわけ100〜170℃のポリマー、例えばアクリル誘導体、ビニルアルコール、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、スチレン誘導体、アリルベンゼン誘導体、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類から選ばれる1種あるいは2種以上の共重合ポリマー、メタセシス開環重合などによるポリマー、ノボラックレジン、ジシクロペンタジエンレジン、フェノール類の低核体、カリックスアレーン類、フラーレン類とブレンドすることによってガラス転移点を低下させ、ビアホールの埋め込み特性を向上させることができる。
【0076】
レジスト下層膜に要求される性能の一つとして、レジスト上層膜とのインターミキシングがないこと、レジスト上層膜ヘの低分子成分の拡散がないことが挙げられる(例えば、Proc. SPIE vol.2195、p225−229(1994)参照)。これらを防止するために、一般的にレジスト下層膜をスピンコート法などで基板に形成後、ベークで熱架橋するという方法がとられている。そのため、レジスト下層膜材料の成分として架橋剤を添加する方法、ポリマーに架橋性の置換基を導入する方法がある。ポリマーに架橋性の置換基を導入する方法としては、一般式(1)で示されるフッ素化されたヒドロキシスチレンのヒドロキシ基をグリシジルエーテル化する方法が挙げられる。
【0077】
本発明で使用可能な架橋剤の具体例を列挙すると、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基などの2重結合を含む化合物等を挙げることができる。これらは添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0078】
前記架橋剤の具体例のうち、エポキシ化合物を例示すると、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが例示される。メラミン化合物を具体的に例示すると、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。
【0079】
グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル化した化合物、又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。
【0080】
ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、アジド化合物としては、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジドが挙げられる。
【0081】
アルケニルエーテル基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどが挙げられる。
【0082】
本発明のレジスト下層膜材料に含まれる重合体、例えば一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体のヒドロキシ基がグリシジル基で置換されている場合は、ヒドロキシ基を含む化合物の添加が有効である。特に分子内に2個以上のヒドロキシ基を含む化合物が好ましい。ヒドロキシ基を含む化合物としては、例えば、ナフトールノボラック、m−及びp−クレゾールノボラック、ナフトール−ジシクロペンタジエンノボラック、m−及びp−クレゾール−ジシクロペンタジエンノボラック、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカン、ペンタエリトリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、4,4’,4’’−メチリデントリスシクロヘキサノール、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスシクロヘキサノール、[1,1’−ビシクロヘキシル]−4,4’−ジオール、メチレンビスシクロヘキサノール、デカヒドロナフタレン−2,6−ジオール、[1,1’−ビシクロヘキシル]−3,3’,4,4’−テトラヒドロキシなどのアルコール基含有化合物、ビスフェノール、メチレンビスフェノール、2,2’−メチレンビス[4−メチルフェノール]、4,4’−メチリデン−ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4’−(1−メチル−エチリデン)ビス[2−メチルフェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4’−オキシビスフェノール、4,4’−メチレンビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、4,4’−メチレンビス[2−メチルフェノール]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−(1,2−エタンジイル)ビスフェノール、4,4’−(ジエチルシリレン)ビスフェノール、4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4’’−メチリデントリスフェノール、4,4’−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’,4’’−エチリジントリス[2−メチルフェノール]、4,4’,4’’−エチリジントリスフェノール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、4,4’,4’’,4’’’−(1,2−エタンジイリデン)テトラキスフェノール、4,4’,4’’,4’’’−エタンジイリデン)テトラキス[2−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、4,4’,4’’,4’’’−(1,4−フェニレンジメチリジン)テトラキスフェノール、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)1,3−ベンゼンジオール、2,4’,4’’−メチリデントリスフェノール、4,4’,4’’’−(3−メチル−1−プロパニル−3−イリデン)トリスフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3−フロロフェニル)メチル]−4−フルオロフェノール、2,6−ビス[4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル]メチル]−4−フルオロフェノール、3,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、p−メチルカリックス[4]アレン、2,2’−メチレンビス[6−[(2,5/3,6−ジメチル−4/2−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス[6−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’,4’’,4’’’−テトラキス[(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリデン)]フェノール、6,6’−メチレンビス[4−(4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,2,3−ベンゼントリオール、3,3’,5,5’−テトラキス[(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−[(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール]などのフェノール低核体が挙げられる。
【0083】
本発明のレジスト下層膜材料における架橋剤の配合量は、ベースポリマー(全樹脂分)100部(質量部、以下同じ)に対して5〜50部が好ましく、特に10〜40部が好ましい。5部以上であればレジスト膜とミキシングを起こす恐れがなく、50部以下であれば反射防止効果が低下したり、架橋後の膜にひび割れが入る恐れがない。
【0084】
本発明のレジスト下層膜材料においては、熱などによる架橋反応を更に促進させるための酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。
【0085】
本発明のレジスト下層膜材料で使用される酸発生剤としては、
i.下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0086】
【化10】

(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。Kは非求核性対向イオンを表す。R101d、R101e、R101f、R101gは、R101a、R101b、R101cに水素原子を加えて示される。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は図中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を示す。)
【0087】
上記R101a、R101b、R101c、R101d、R101e、R101f、R101gは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。オキソアルケニル基としては、2−オキソ−4−シクロヘキセニル基、2−オキソ−4−プロペニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。Kの非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸、更には下記一般式K−1示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、K−2に示される、α、β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0088】
【化11】

一般式(K−1)、(K−2)中、R102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、アリーロキシ基である。R103は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基である。
【0089】
また、R101d、R101e、R101f、R101gが式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環は、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0090】
(P1a−1)と(P1a−2)は光酸発生剤、熱酸発生剤の両方の効果があるが、(P1a−3)は熱酸発生剤として作用する。
【0091】
【化12】

(式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。Kは非求核性対向イオンを表す。)
【0092】
上記R102a、R102bのアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bの2−オキソアルキル基としては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。Kは式(P1a−1)、(P1a−2)及び(P1a−3)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0093】
【化13】

(式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0094】
105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0095】
【化14】

(式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R105は(P2)式のものと同様である。)
【0096】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0097】
【化15】

(式中、R101a、R101bは前記と同様である。)
【0098】
【化16】

(式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0099】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0100】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0101】
酸発生剤は、具体的には、オニウム塩としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ピリジニウム、カンファースルホン酸トリエチルアンモニウム、カンファースルホン酸ピリジニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラフェニルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート、トリエチルアンモニウムノナフレート、トリブチルアンモニウムノナフレート、テトラエチルアンモニウムノナフレート、テトラブチルアンモニウムノナフレート、トリエチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルアンモニウムトリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチド等のオニウム塩を挙げることができる。
【0102】
ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体を挙げることができる。
【0103】
グリオキシム誘導体としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体を挙げることができる。
【0104】
ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体を挙げることができる。
【0105】
β−ケトスルホン誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン誘導体を挙げることができる。
【0106】
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン誘導体、ジシクロヘキシルジスルホン誘導体等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0107】
ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げることができる。
【0108】
スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。
【0109】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が挙げられる。
【0110】
特に、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0111】
酸発生剤の添加量は、ベースポリマー100部に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜40部である。0.1部より少ないと酸発生量が少なく、架橋反応が不十分な場合があり、50部を超えると上層レジストへ酸が移動することによるミキシング現象が起こる場合がある。
【0112】
更に、本発明のレジスト下層膜材料には、保存安定性を向上させるための塩基性化合物を配合することができる。
塩基性化合物は、保存中等に酸発生剤より微量に発生した酸が架橋反応を進行させるのを防ぐための、酸に対するクエンチャーの役割を果たす。
【0113】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0114】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0115】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0116】
芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0117】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0118】
アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0119】
塩基性化合物の配合量は全ベースポリマー100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部以上であれば配合効果が少なくなる恐れがなく、2部以下であれば熱で発生した酸を全てトラップして架橋しなくなる恐れがないために好ましい。
【0120】
本発明のレジスト下層膜材料において使用可能な有機溶剤としては、前記のベースポリマー、酸発生剤、架橋剤、その他添加剤等が溶解するものであれば特に制限はない。その具体例を列挙すると、シクロヘキサノン、メチル−2−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル,プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合使用できるが、これらに限定されるものではない。本発明のレジスト下層膜材料においては、これら有機溶剤の中でもジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びこれらの混合溶剤が好ましく使用される。
【0121】
有機溶剤の配合量は、全ベースポリマー100部に対して200〜10,000部が好ましく、特に300〜5,000部とすることが好ましい。
【0122】
更に、本発明は、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、前記本発明のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を基板上に形成し、該下層膜の上にフォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して、多層レジスト膜とし、該多層レジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してレジスト上層膜にレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにしてレジスト下層膜をエッチングし、更にパターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成する2層レジストプロセスを提供する。
【0123】
また、3層レジストプロセスとして、フォトレジスト下層膜材料を基板上に適用し、得られた下層膜の上に珪素原子を含有するレジスト中間層膜材料を適用し、該中間層膜材料の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を適用し、このレジスト上層膜のパターン回路領域に放射線を照射し、現像液で現像してレジストパターンを形成し、ドライエッチング装置でこのレジストパターン層をマスクにしてレジスト中間層膜を加工し、フォトレジストパターン層を除去後、上記加工したレジスト中間層膜をマスクにしてレジスト下層膜層、次いで基板を加工することもできる。
【0124】
以下、図13〜図16を参照して、本発明のパターン形成方法について更に詳しく説明する。
図13は2層レジストプロセスの説明図である。
被加工基板1は、図13に示したように、被加工層1aとベース層1bとで構成されている。基板1のベース層1bとしては、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α−Si)、p−Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層1aと異なる材質のものが用いられてもよい。被加工層1aとしては、Si、SiO、SiON、SiN、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nm厚さに形成し得る。
【0125】
まず、図13の2層レジストプロセスについて説明すると、レジスト下層膜2は、通常のフォトレジスト膜の形成方法と同様にスピンコート法などで基板1上に形成することが可能である。スピンコート法などでレジスト下層膜2を形成した後、有機溶剤を蒸発させ、レジスト上層膜3とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜300℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましい。なお、このレジスト下層膜2の厚さは適宜選定されるが、100〜20,000nm、特に150〜15,000nmとすることが好ましい。レジスト下層膜2を形成した後、その上にレジスト上層膜3を形成する(図13(A)参照)。
【0126】
この場合、このレジスト上層膜3を形成するためのフォトレジスト組成物としては公知のものを使用することができる。酸素ガスエッチング耐性等の点から、ベースポリマーとしてポリシルセスキオキサン誘導体又はビニルシラン誘導体等の珪素原子含有ポリマーを使用し、更に有機溶剤、酸発生剤、必要により塩基性化合物等を含むポジ型等のフォトレジスト組成物が使用される。なお、珪素原子含有ポリマーとしては、この種のレジスト組成物に用いられる公知のポリマーを使用することができる。
なお、レジスト上層膜3の厚さは特に制限されないが、30〜500nm、特に50〜400nmが好ましい。
【0127】
上記フォトレジスト組成物によりレジスト上層膜3を形成する場合、前記レジスト下層膜2を形成する場合と同様に、スピンコート法などが好ましく用いられる。レジスト上層膜3をスピンコート法などで形成後、プリベークを行うが、80〜180℃で、10〜300秒の範囲で行うのが好ましい。
その後、常法に従い、多層レジスト膜のパターン回路領域の露光を行い(図13(B)参照)、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターン3’を得る(図13(C)参照)。
【0128】
現像は、アルカリ水溶液を用いたパドル法、ディップ法などが用いられ、特にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%水溶液を用いたパドル法が好ましく用いられ、室温で10秒〜300秒の範囲で行われ、その後純水でリンスし、スピンドライあるいは窒素ブロー等によって乾燥される。
【0129】
次に、得られたレジストパターン3’をマスクにして酸素ガスを主体とするドライエッチングなどで、レジスト下層膜2のエッチングを行い、レジスト下層膜パターン2’を得る(図13(D)参照)。このエッチングは常法によって行うことができる。酸素ガスを主体とするドライエッチングの場合、酸素ガスに加えて、He、Arなどの不活性ガスや、CO、CO、NH、SO、N、NOガスを加えることも可能である。特に後者のガスはパターン側壁のアンダーカット防止のための側壁保護のために用いられる。
【0130】
次の基板1のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば基板がSiO、SiNであればフロン系ガスを主体としたエッチング、ポリシリコン(p−Si)やAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行い、基板にパターン1’を形成する(図13(E)参照)。本発明のレジスト下層膜は、これら基板のエッチング時のエッチング耐性に優れる特徴がある。この時、レジスト上層膜は必要に応じ、除去した後に基板のエッチングをしてもよいし、レジスト上層膜をそのまま残して基板のエッチングを行うこともできる。
【0131】
本発明は、レジストパターン(フォトレジストパターン)の側壁に直接SiO膜を形成するサイドウォールスペーサー法、又はフォトレジストパターン上にSiO膜材料をスピンコートしてポジネガ反転を行うイメージリバーサル方法で用いるレジスト下層膜のレジスト下層膜材料として有効である。これらの方法ではレジストの下層はレジスト下層膜の1層となりレジスト下層膜上に直接レジストパターンが形成されるが、本発明のレジスト下層膜材料を用いて形成したレジスト下層膜であれば、珪素含有中間層膜等がない場合においても優れた反射防止効果を発揮し、良好なレジストパターンを形成することができる。
【0132】
サイドウォールスペーサー法は、まず、上述した2層レジストプロセス(図13(A)〜(C))のように、基板1上に本発明のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜2を形成し、該レジスト下層膜2の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜3を形成して、前記レジスト上層膜3のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜3にレジストパターン3’を形成する。その後、図14に示すように、得られたレジストパターン3’上にスピンコート法又はCVD法で珪素酸化膜4を形成し(図14(A)、図14(B))、レジストパターン側壁の珪素酸化膜4aを残しつつ、エッチングによって少なくともレジストパターン上部4bの珪素酸化膜とスペース部分4cの珪素酸化膜を除去し(図14(C))、エッチングによってレジストパターン側壁の珪素酸化膜4aをマスクにしてレジスト下層膜2を加工してレジスト下層膜パターン2sを形成し(図14(D))、得られたレジスト下層膜パターン2sをエッチングマスクにして基板にパターン1sを形成する(図14(E))方法である。
【0133】
本発明のレジスト下層膜材料は、珪素含有中間層膜がない場合においても優れた反射防止効果を発揮する。従って、このようなフォトレジストパターンに直接サイドウォールスペーサーを形成する場合であっても、レジスト下層膜一層により反射防止効果が得られるため、用いるフォトレジストパターン形状が良好となり、更に、スループット向上、コスト削減を達成することができる。また、基板に対して優れたエッチング耐性を有するため、基板に良好なパターンを形成することができる。
【0134】
一方、ポジネガ反転を行うイメージリバーサル方法は、まず、上述した2層レジストプロセス(図13(A)〜(C))のように、基板1上に本発明のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜2を形成し、該レジスト下層膜2の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜3を形成して、前記レジスト上層膜3のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターン3’を形成する。次に、図15に示すように、得られたレジストパターン3’上に珪素酸化膜5を形成し(図15(A)、(B))、レジストパターン間の珪素酸化膜5aを残しつつ、エッチングによって少なくともレジストパターン上部5bの珪素酸化膜を除去し(図15(C))、残ったレジストパターン間の珪素酸化膜5aをマスクにしてレジスト下層膜を加工してレジスト下層膜パターン2pを形成し(図15(D))、得られたレジスト下層膜パターン2pをエッチングマスクにして基板にパターン1pを形成する方法である。
【0135】
本発明のレジスト下層膜材料は、珪素含有中間層膜がない場合においても優れた反射防止効果を発揮し、良好なフォトレジストパターンを得ることができる。従って、フォトレジストパターン上に珪素酸化膜(SiO膜)材料をスピンコートしてポジネガ反転を行う場合であっても、フォトレジストパターン形状が良好となり、更に、レジスト下層膜一層により反射防止効果が得られるため、スループット向上、コスト削減を達成することができる。また、基板に対して優れたエッチング耐性を有するため、基板に良好なパターンを形成することができる。
【0136】
3層レジストプロセスの場合は、図16に示したように、基板11上のレジスト下層膜12とレジスト上層膜13との間に珪素原子を含有するレジスト中間層膜14を介在させる(図16(A)参照)。この場合、レジスト中間層膜14を形成する材料としては、ポリシルセスキオキサンをベースとするシリコーンポリマーあるいはテトラオルソシリケートガラス(TEOS)のようなスピンコートによって作製される膜や、CVDで作製されるSiO、SiN、SiON膜を用いることができる。
このレジスト中間層膜14の厚さとしては、10〜1,000nmが好ましい。
なお、その他の構成は、図13の2層レジストプロセスの場合と同様である。
【0137】
次に、図13の場合と同様にしてレジストパターン13’を形成する(図16(B)参照)。
次いで、得られたレジストパターン13’をマスクにしてフロン系ガスを主体とするドライエッチングなどで、レジスト中間層膜14のエッチングを行いレジスト中間層膜パターン14’を得る(図16(C)参照)。このエッチングは常法によって行うことができる。フロン系ガスを主体とするドライエッチングの場合、CF、CHF、C、C、C10などを一般的に用いることができる。
【0138】
更に、レジスト中間層膜14をエッチングした後、O又はHを主体とするドライエッチングなどで、得られたレジスト中間層膜パターン14’をエッチングマスクとしてレジスト下層膜の12エッチングを行いレジスト下層膜パターン12’を得る(図16(D)参照)。この場合、O、Hガスに加えて、He、Arなどの不活性ガスや、CO、CO、NH、SO、N、NOガスを加えることも可能である。特に後者のガスはパターン側壁のアンダーカット防止のための側壁保護のために用いられる。
【0139】
次の基板11のエッチングも、常法によって行うことができ、図13の場合と同様に、例えば基板がSiO、SiNであればフロン系ガスを主体としたエッチング、ポリシリコン(p−Si)やAl、Wであれば塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行い、基板にパターン11’を形成する(図16(E)参照)。本発明のレジスト下層膜材料を用いて得られたレジスト下層膜は、これら基板のエッチング時のエッチング耐性に優れる特徴がある。この時、レジスト上層膜は必要に応じ、除去した後に基板のエッチングをしてもよいし、レジスト上層膜をそのまま残して基板のエッチングを行うこともできる。
【実施例】
【0140】
以下、合成例、比較合成例、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
なお、下記の例で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン基準の測定値である。
【0141】
(合成例1)
200mLのフラスコに2−フルオロ−4−アセトキシスチレン4.5g、アセナフチレンを11.4g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0142】
共重合組成比(モル比)
2−フルオロ−4−アセトキシスチレン:アセナフチレン=25:75
重量平均分子量(Mw)=6,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.86
この重合体をポリマー1とする。
【化17】

【0143】
(合成例2)
200mLのフラスコに2−フルオロ−4−tブトキシスチレン4.9g、アセナフチレンを11.4g、溶媒としてトルエンを20g添加した。 この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0144】
共重合組成比(モル比)
2−フルオロ−4−tブトキシスチレン:アセナフチレン=25:75
重量平均分子量(Mw)=7,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この重合体をポリマー2とする。
【化18】

【0145】
(合成例3)
200mLのフラスコに2、3−ジフルオロ−4−tブトキシスチレン6.4g、アセナフチレンを10.6g、溶媒としてトルエンを20g添加した。 この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0146】
共重合組成比(モル比)
2、3−ジフルオロ−4−tブトキシスチレン:アセナフチレン=30:70
重量平均分子量(Mw)=7,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この重合体をポリマー3とする。
【化19】

【0147】
(合成例4)
200mLのフラスコに2、6−ジフルオロ−4−tブトキシスチレン6.4g、5−アセトキシアセナフチレンを14.7g、溶媒としてトルエンを20g添加した。 この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C、H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0148】
共重合組成比(モル比)
2、6−ジフルオロ−4−tブトキシスチレン:5−アセトキシアセナフチレン=30:70
重量平均分子量(Mw)=7,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この重合体をポリマー4とする。
【化20】

【0149】
(合成例5)
200mLのフラスコに2,6−ジフルオロ−4−アセトキシスチレン5.9g、アセナフチレンを10.6g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0150】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−アセトキシスチレン:アセナフチレン=30:70
重量平均分子量(Mw)=6,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.77
この重合体をポリマー5とする。
【化21】

【0151】
(合成例6)
200mLのフラスコに2,6−ジフルオロシスチレン4.2g、5−ヒドロキシメチルアセナフチレンを12.7g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0152】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロスチレン:5−ヒドロキシメチルアセナフチレン=30:70
重量平均分子量(Mw)=6,400
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この重合体をポリマー6とする。
【化22】

【0153】
(合成例7)
200mLのフラスコに2,6−ジフルオロ−4−アセトキシスチレン5.9g、2,5−ノルボルナジエン6.4g、溶媒として1,2−ジクロロエタンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、重合開始剤としてトリフルオロホウ素を0.5g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール2.5L、水0.2Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0154】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−アセトキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン=30:70
重量平均分子量(Mw)=12,500
分子量分布(Mw/Mn)=2.25
この重合体をポリマー7とする。
【化23】

【0155】
(合成例8)
200mLのフラスコに2,6−ジフルオロ−4−アセトキシスチレン6.9g、2,5−ノルボルナジエン−2−アセトキシメチル11.4g、溶媒として1,2−ジクロロエタンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、重合開始剤としてトリフルオロホウ素を0.5g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール2.5L、水0.2Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0156】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−アセトキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−アセトキシメチル=30:70
重量平均分子量(Mw)=12,500
分子量分布(Mw/Mn)=2.25
この重合体をポリマー8とする。
【化24】

【0157】
(合成例9)
ポリマー5の10gをメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0158】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシスチレン:アセナフチレン=30:70
重量平均分子量(Mw)=6,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.77
この重合体をポリマー9とする。
【化25】

【0159】
(合成例10)
ポリマー8の10gをメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0160】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−ヒドロキシメチル=30:70
重量平均分子量(Mw)=12,200
分子量分布(Mw/Mn)=2.24
この重合体をポリマー10とする。
【化26】

【0161】
(合成例11)
200mLのフラスコに2,6−ジフルオロ−4−トリフルオロアセトキシスチレン7.6g、2,5−ノルボルナジエン−2−アセトキシメチル11.5g、溶媒として1,2−ジクロロエタンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、重合開始剤としてトリフルオロホウ素を0.5g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール2.5L、水0.2Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0162】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−トリフルオロアセトキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−アセトキシメチル=30:70
重量平均分子量(Mw)=9,500
分子量分布(Mw/Mn)=2.01
この重合体をポリマー11とする。
【化27】

【0163】
(合成例12)
200mLのフラスコに2,6−ジフルオロ−4−トリフルオロエチルカルボニルオキシスチレン8.0g、2,5−ノルボルナジエン−2−アセトキシメチル11.5g、溶媒として1,2−ジクロロエタンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、重合開始剤としてトリフルオロホウ素を0.5g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール2.5L、水0.2Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0164】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−トリフルオロエチルカルボニルオキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−アセトキシメチル=30:70
重量平均分子量(Mw)=9,500
分子量分布(Mw/Mn)=2.01
この重合体をポリマー12とする。
【化28】

【0165】
(合成例13)
200mLのフラスコに2、6−ジフルオロ−4−tブトキシカルボニルオキシスチレン7.7g、2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メトキシメチル12.6g、溶媒としてトルエンを20g添加した。 この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0166】
共重合組成比(モル比)
2、6−ジフルオロ−4−tブトキシカルボニルオキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メトキシメチル=30:70
重量平均分子量(Mw)=7,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.63
この重合体をポリマー13とする。
【化29】

【0167】
(合成例14)
200mLのフラスコに2、6−ジフルオロ−4−グリシジルエーテルスチレン6.4g、2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メトキシメチル12.6g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0168】
共重合組成比(モル比)
2、6−ジフルオロ−4−グリシジルエーテルスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メトキシメチル=30:70
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この重合体をポリマー14とする。
【化30】

【0169】
(合成例15)
200mLのフラスコに2,6−ジフルオロ−4−トリフルオロエチルカルボニルオキシスチレン8.0g、2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸トリフルオロエチル7.6g、アセナフチレン5.3g、溶媒としてトルエンを20g添加した。 この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0170】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−トリフルオロエチルカルボニルオキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸トリフルオロエチル:アセナフチレン=30:35:35
重量平均分子量(Mw)=7,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.65
この重合体をポリマー15とする。
【化31】

【0171】
(合成例16)
200mLのフラスコに2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシメチルスチレン5.1g、2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸トリフルオロエチル7.6g、アセナフチレン5.3g、溶媒としてトルエンを20g添加した。 この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0172】
共重合組成比(モル比)
2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシメチルスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸トリフルオロエチル:アセナフチレン=30:35:35
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この重合体をポリマー16とする。
【化32】

【0173】
(合成例17)
200mLのフラスコに2、3,5,6−テトラフルオロ−4−tブトキシスチレン7.4g、アセナフチレンを10.6g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0174】
共重合組成比(モル比)
2、3,5,6−テトラフルオロ−4−tブトキシスチレン:アセナフチレン=30:70
重量平均分子量(Mw)=9,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.80
この重合体をポリマー17とする。
【化33】

【0175】
(合成例18)
200mLのフラスコにペンタフルオロスチレン7.8g、2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メトキシメチル10.8g、溶媒としてトルエンを20g添加した。 この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0176】
共重合組成比(モル比)
ペンタフルオロスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メトキシメチル=40:60
重量平均分子量(Mw)=9,600
分子量分布(Mw/Mn)=2.03
この重合体をポリマー18とする。
【化34】

【0177】
(合成例19)
200mLのフラスコにペンタフルオロスチレン7.8g、5−アセトキシアセナフチレンを12.6g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0178】
共重合組成比(モル比)
ペンタフルオロスチレン:5−アセトキシアセナフチレン=40:60
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.99
この重合体をポリマー19とする。
【化35】

【0179】
(合成例20)
200mLのフラスコにペンタフルオロスチレン7.8g、2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メトキシメチル9.0g、1−ビニルピレン22.8g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0180】
共重合組成比(モル比)
ペンタフルオロスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メトキシメチル:1−ビニルピレン=40:50:10
重量平均分子量(Mw)=9,900
分子量分布(Mw/Mn)=2.22
この重合体をポリマー20とする。
【化36】

【0181】
(比較合成例1)
200mLのフラスコに4−アセトキシスチレン4.8g、アセナフチレンを10.6g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得、メタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0182】
共重合組成比(モル比)
4−ヒドロキシスチレン:アセナフチレン=30:70
重量平均分子量(Mw)=8,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この重合体を比較ポリマー1とする。
【化37】

【0183】
(比較合成例2)
200mLのフラスコに4−アセトキシスチレン4.8g、2,5−ノルボルナジエン6.4g、溶媒として1,2−ジクロロエタンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、重合開始剤としてトリフルオロホウ素を0.5g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール2.5L、水0.2Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得、メタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0184】
共重合組成比(モル比)
4−ヒドロキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン=30:70
重量平均分子量(Mw)=12,500
分子量分布(Mw/Mn)=2.25
この重合体を比較ポリマー2とする。
【化38】

【0185】
(比較合成例3)
200mLのフラスコに4−エトキシエトキシスチレン3.3g、メタクリル酸グリシジルエステルを11.4g、溶媒としてトルエンを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.5g加え、80℃まで昇温後、24時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール300mL、水50mLの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
【0186】
共重合組成比(モル比)
4−エトキシエトキシスチレン:メタクリル酸グリシジルエステル=20:80
重量平均分子量(Mw)=8,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.93
この重合体を比較ポリマー3とする。
【化39】

【0187】
レジスト下層膜材料の調製(UDL1〜25、比較UDL1〜3)
上記ポリマー1〜20で示される樹脂、比較ポリマー1〜3で示される樹脂、下記AG1〜3で示される酸発生剤、下記CR1,2で示される架橋剤を、FC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表1に示す割合で溶解させ、0.02μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによってレジスト下層膜材料(UDL1〜25、比較UDL1〜3)をそれぞれ調製した。
ポリマー1〜20:上記合成例1〜20で得たポリマー
比較ポリマー1〜3:比較合成例1〜3で得たポリマー
【0188】
酸発生剤:AG1,2、3(下記構造式参照)
【化40】

【0189】
架橋剤:CR1、2(下記構造式参照)
【化41】

【0190】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、
CyH(シクロヘキサノン)
【0191】
上記で調製したレジスト下層膜材料(UDL1〜25、比較UDL1〜3)の溶液をシリコン基板上に塗布して、300℃で60秒間ベークしてそれぞれ膜厚100nmのレジスト下層膜を形成した。
レジスト下層膜の形成後、J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおける屈折率(n,k)を求め、その結果を表1に示した。
【0192】
【表1】

【0193】
表1に示されるように、UDL1〜25、比較例UDL3では、レジスト下層膜の屈折率のn値が1.65〜1.8、k値が0.15〜0.38の範囲であり、特に100nm以上の膜厚で液浸リソグラフィーにおいても十分な反射防止効果を発揮できるだけの最適な屈折率(n)と消光係数(k)を有することがわかる。
【0194】
次いで、ドライエッチング耐性のテストを行った。まず、前記屈折率測定に用いたものと同じレジスト下層膜材料(UDL1〜25、比較UDL1〜3)を用いて同様の方法でレジスト下層膜を作製し、これらの下層膜のCF/CHF系ガスでのエッチング試験として下記(1)の条件で試験した。この場合、東京エレクトロン株式会社製ドライエッチング装置TE−8500Pを用い、エッチング前後のレジスト下層膜の膜厚差を測定した。結果を表2に示す。
(1)CF/CHF系ガスでのエッチング試験
エッチング条件は下記に示す通りである。
チャンバー圧力 40.0Pa
RFパワー 1,000W
ギヤップ 9mm
CHFガス流量 30ml/min
CFガス流量 30ml/min
Arガス流量 100ml/min
時間 60sec
【表2】

【0195】
レジスト上層膜材料・レジスト中間層膜材料の調製
以下の3層レジストプロセスパターンニング試験で用いるため、表3に示す組成でArF単層レジスト材料(ArF用SLレジスト)をFC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に下記表3に示す割合で溶解させ、0.02μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによってArF単層レジスト材料を調製した。
【表3】

【0196】
【化42】

【0197】
表4に示す組成でArF珪素含有中間層材料(SOG)をFC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表4に示す割合で溶解させ、0.02μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによってArF珪素含有中間層材料を調製した。
【0198】
【表4】

【化43】

【0199】
3層レジストプロセスパターニング試験(実施例1−1〜25、比較例1−1〜3)
レジスト下層膜材料の溶液(UDL1〜25、比較例UDL1〜3)を、膜厚50nmのSiO膜が形成された300mmSiウェハー基板上に塗布して、300℃で60秒間ベークして膜厚100nmのレジスト下層膜を形成した。
その上に前述のArF用珪素含有中間層材料溶液SOGを塗布して200℃で60秒間ベークして膜厚20nmのレジスト中間層膜(SOG膜)を形成し、その上に前述のArF用SLレジスト溶液を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚90nmのフォトレジスト層(レジスト上層膜)を形成した。
【0200】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、90℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、40nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。
【0201】
次いで、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いて、得られたレジストパターンをマスクにして珪素含有レジスト中間層膜のドライエッチングによる加工、得られた珪素含有レジスト中間層膜パターンをエッチングマスクにしてレジスト下層膜の加工、得られたレジスト下層膜パターンをマスクにしてSiO膜の加工を行った。
【0202】
エッチング条件は下記に示すとおりである。
レジストパターンのSOG膜への転写条件。
チャンバー圧力 10.0Pa
RFパワー 1,500W
CFガス流量 15sccm
ガス流量 75sccm
時間 15sec
【0203】
得られたSOG膜パターンのレジスト下層膜への転写条件。
チャンバー圧力 2.0Pa
RFパワー 500W
Arガス流量 75sccm
ガス流量 45sccm
時間 120sec
【0204】
得られたレジスト下層膜パターンのSiO膜への転写条件。
チャンバー圧力 2.0Pa
RFパワー 2,200W
12ガス流量 20sccm
ガス流量 10sccm
Arガス流量 300sccm
60sccm
時間 90sec
【0205】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−4700)にて観察し、形状を比較し、表5にまとめた。
【表5】

【0206】
2層レジストプロセスパターニング試験(実施例2−1〜25、比較例2−1〜3)
レジストパターンの側壁に直接SiO膜を形成するサイドウォールスペーサー法、あるいはレジストパターン上にSiO膜材料をスピンコートし、ポジネガ反転を行うイメージリバーサル法を想定し、レジスト下層膜上に直接レジストパターンを形成する実験を行った。
【0207】
レジスト下層膜材料の溶液(UDL−1〜25、比較例UDL−1〜3)を、膜厚50nmのSiO膜が形成された300mmSiウェハー基板上に塗布して、300℃で60秒間ベークして膜厚100nmの下層膜を形成した。
その上にArF用SLレジスト溶液を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚90nmのフォトレジスト層(レジスト上層膜)を形成した。
【0208】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、90℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、40nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得、パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−4700)にて観察し、形状を比較し、表6にまとめた。
【0209】
【表6】

【0210】
表2に示すように、本発明の下層膜のCF/CHFガスエッチングの速度は、比較例1、2と同等のエッチング速度であり、比較例3のエッチング速度よりも遅い。また、屈折率がフォトレジスト並みの1.7付近の高い値を有しているために反射防止効果が高く、珪素含有中間層膜が薄膜化されて反射が増大している場合においても、珪素含有中間層がない場合に於いても優れた反射防止効果を発揮する。表5に示すように、現像後のレジスト形状、酸素エッチング後、基板加工エッチング後の下層膜の形状も良好であり、表6に示すように珪素含有中間層が無く、下層膜上に直接フォトレジストパターンを形成した場合においても現像後のパターン形状が良好であることが認められた。
【0211】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0212】
1、11…被加工基板、 1a…被加工層、 1b…ベース層、 1’、1s、1p、11’…基板に形成されるパターン、 2、12…レジスト下層膜、 2’、2s、2p、12’…レジスト下層膜パターン、 3、13…レジスト上層膜、 3’、13’…レジストパターン、 4、5…珪素酸化膜、 4a…レジストパターン側壁の珪素酸化膜、 4b、5b…レジストパターン上部、 4c…スペース部分、 5a…レジストパターン間の珪素酸化膜、 14…レジスト中間層膜、 14’…レジスト中間層膜パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料であって、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位を、繰り返し単位として含有する重合体を含むものであることを特徴とするレジスト下層膜材料。
【請求項2】
前記重合体は、下記一般式(1)で示される少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体単位を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のレジスト下層膜材料。
【化1】

(上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜11のアルコキシメチル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数1〜12のアルコキシエチル基、及び、グリシジルエーテル基のいずれかであり、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の水素は酸不安定基、フッ素で置換されたアルキル基、及びフッ素で置換されたアシル基のいずれかで置換されていても良い。mは1〜5の整数、nは0〜3の整数である。aは0<a≦1.0の範囲である。)
【請求項3】
前記重合体は、少なくともフッ素原子を有するスチレン誘導体と、アセナフチレン(誘導体)及び/又はノルボルナジエン(誘導体)とを共重合したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト下層膜材料。
【請求項4】
前記重合体は、下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とする請求項3に記載のレジスト下層膜材料。
【化2】

(上記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜11のアルコキシメチル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数1〜12のアルコキシエチル基、及び、グリシジルエーテル基のいずれかであり、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の水素は酸不安定基、フッ素で置換されたアルキル基、及びフッ素で置換されたアシル基のいずれかで置換されていても良い。R、Rは水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、アセトキシメチル基、及びアルコキシメチル基のいずれかであり、カルボキシル基の水素は、フッ素原子又は酸素原子を含んでも良いアルキル基で置換されていても良い。mは1〜5の整数、nは0〜3の整数である。a、b1、b2はそれぞれ0<a<1.0、0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0<b1+b2<1.0の範囲である。)
【請求項5】
前記重合体は、下記一般式(3)で示されるものであることを特徴とする請求項4に記載のレジスト下層膜材料。
【化3】

(上記一般式(3)中、R、R、R、m、n、a、b1、b2は前述の通りであり、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アシル基、フッ素で置換されたアシル基、及び酸不安定基のいずれかである。)
【請求項6】
前記レジスト下層膜材料が、更に有機溶剤、酸発生剤、架橋剤のうちいずれか1つ以上を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のレジスト下層膜材料。
【請求項7】
リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜の形成方法であって、基板上に請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のレジスト下層膜材料をスピンコート法によりコーティングすることによってレジスト下層膜を形成することを特徴とするレジスト下層膜形成方法。
【請求項8】
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上に珪素原子を含有するレジスト中間層膜材料を用いてレジスト中間層膜を形成し、該レジスト中間層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターンをエッチングマスクにして前記レジスト中間層膜をエッチングし、得られたレジスト中間層膜パターンをエッチングマスクにして前記レジスト下層膜をエッチングし、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターンをエッチングマスクにして前記レジスト下層膜をエッチングし、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターン上にスピンコート法又はCVD法で珪素酸化膜を形成し、レジストパターン側壁の珪素酸化膜を残しつつ、エッチングによって少なくともレジストパターン上部とスペース部分の珪素酸化膜を除去し、エッチングによってレジストパターン側壁の珪素酸化膜をマスクにしてレジスト下層膜を加工し、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターン上に珪素酸化膜を形成し、レジストパターン間の珪素酸化膜を残しつつ、エッチングによって少なくともレジストパターン上部の珪素酸化膜を除去し、残ったレジストパターン間の珪素酸化膜をマスクにしてレジスト下層膜を加工し、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−63653(P2012−63653A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208775(P2010−208775)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】