説明

レジスト材料及びこれを用いたパターン形成方法

【解決手段】酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位と、マグネシウム、銅、亜鉛又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト材料。
【効果】本発明のレジスト材料は、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが大幅に高く、高感度で高解像性を有し、露光後のパターン形状が良好で、その上特に酸拡散速度を抑制し、ラインエッジラフネスが小さい特性を示す。従って、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクの微細パターン形成材料、EB、EUV露光用のパターン形成材料として好適なレジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料、特に電子ビーム(EB)露光及び真空紫外光(EUV)露光用化学増幅ポジ型レジスト材料、及びこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。特にフラッシュメモリー市場の拡大と記憶容量の増大化が微細化を牽引している。最先端の微細化技術としてはArFリソグラフィーによる65nmノードのデバイスの量産が行われており、次世代のArF液浸リソグラフィーによる45nmノードの量産準備が進行中である。次次世代の32nmノードとしては、水よりも高屈折率の液体と高屈折率レンズ、高屈折率レジスト膜を組み合わせた超高NAレンズによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィー、ArFリソグラフィーの2重露光(ダブルパターニングリソグラフィー)などが候補であり、検討が進められている。
【0003】
ところで、近年では加工寸法が最小線幅として50nmをきろうとしているが、加工寸法がそのように小さくなった場合には、現像液の表面張力に抗してパターンを維持する構造強度、基板への接着強度等の要因から、加工を行う基板の表面材質によってはレジスト膜厚は100nm以下にする必要がある場合があるが、従来高解像性化学増幅型レジスト膜を形成するために使用されてきたレジスト材料、例えば、アセタール系保護基を有するベース樹脂を用いた場合、化学増幅型レジスト膜の膜厚が150nmにおいてはラインエッジラフネスの悪化が大きな問題にならなかったにも拘わらず、膜厚が100nm以下になるとラインエッジラフネスが大幅に悪化してしまう問題が発生した。
【0004】
EBやX線などの非常に短波長な高エネルギー線においては、レジスト材料に用いられている炭化水素のような軽元素は吸収がほとんどなく、ポリヒドロキシスチレンベースのレジスト材料が検討されている。
EB用レジストは、実用的にはマスク描画用途に用いられてきた。近年、マスク製作技術が問題視されるようになってきた。露光に用いられる光がg線の時代から縮小投影露光装置が用いられており、その縮小倍率は1/5であったが、チップサイズの拡大と、投影レンズの大口径化と共に1/4倍率が用いられるようになってきたため、マスクの寸法ズレがウエハー上のパターンの寸法変化に与える影響が問題になっている。パターンの微細化と共に、マスクの寸法ズレの値よりもウエハー上の寸法ズレの方が大きくなってきていることが指摘されている。マスク寸法変化を分母、ウエハー上の寸法変化を分子として計算されたMask Error Enhancement Factor(MEEF)が求められている。45nm級のパターンでは、MEEFが4を超えることも珍しくない。縮小倍率が1/4でMEEFが4であれば、マスク製作において実質等倍マスクと同等の精度が必要であることが言える。
マスク製作用露光装置は線幅の精度を上げるため、レーザービームによる露光装置から電子ビーム(EB)による露光装置が用いられてきた。更にEBの電子銃における加速電圧を上げることによって、より一層の微細化が可能になることから、10keVから30keV、最近は50keVが主流であり、100keVの検討も進められている。
【0005】
ここで、加速電圧の上昇と共に、レジスト膜の低感度化が問題になってきた。加速電圧が向上すると、レジスト膜内での前方散乱の影響が小さくなるため、電子描画エネルギーのコントラストが向上して解像度や寸法制御性が向上するが、レジスト膜内を素抜けの状態で電子が通過するため、レジスト膜の感度が低下する。マスク露光機は直描の一筆書きで露光するため、レジスト膜の感度低下は生産性の低下につながり、好ましいことではない。高感度化の要求から、化学増幅型レジスト材料が検討されている。
【0006】
微細化の進行と共に、酸の拡散による像のぼけが問題になっている(非特許文献1:SPIE Vol.5039 p1(2003))。寸法サイズ45nm以降の微細パターンでの解像性を確保するためには、従来提案されている溶解コントラストの向上だけでなく、酸拡散の制御が重要であることが提案されている(非特許文献2:SPIE Vol.6520 p65203L−1 (2007))。しかしながら、化学増幅型レジスト材料は、酸の拡散によって感度とコントラストを上げているため、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)温度や時間を短くして酸拡散を極限まで抑えようとすると、感度とコントラストが著しく低下する。
【0007】
バルキーな酸が発生する酸発生剤を添加して酸拡散を抑えることは有効である。そこで、ポリマーに重合性オレフィンを有するオニウム塩の酸発生剤を共重合することが提案されている。特許文献1:特開2006−178317号公報、特許文献2:特開2009−237150号公報、特許文献3:特開2001−329228号公報等には、特定のスルホン酸を発生する重合性オレフィンを有するスルホニウム塩、ヨードニウム塩が提案されている。特許文献1には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【0008】
EB描画中のレジスト膜の帯電によって、描画位置がずれる問題が生じている。レジスト膜の帯電を防止するためにレジスト膜上に帯電防止膜を敷くことが提案されている。但しこの場合、帯電防止膜を塗ることによるプロセスのコストアップが問題になる。
【0009】
これまで半導体リソグラフィー用のフォトレジスト材料において、金属が導入されたレジスト材料を用いることは、半導体の動作不良が起きる可能性があるために不可能であった。しかしながら半導体以外の用途、例えばLCDのカラーフィルター用レジスト材料(特許文献2)として、共重合が可能なモノマーとして金属を含有した(メタ)アクリレートの使用が示されている。金属含有の(メタ)アクリレートは、船舶の防汚塗料として検討されている。特許文献3には、多くのアクリル酸亜鉛、アクリル酸銅、アクリル酸マグネシウム等が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−178317号公報
【特許文献2】特開2009−237150号公報
【特許文献3】特開2001−329228号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】SPIE Vol.5039 p1(2003)
【非特許文献2】SPIE Vol.6520 p65203L−1 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高解像度でありながら高感度であり、なおかつ露光後のパターン形状が良好でラインエッジラフネスが小さいレジスト材料、更には導電性の機能を有して描画中のチャージアップを防止する化学増幅ポジ型レジスト材料、及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
即ち、本発明は、下記レジスト材料及びこれを用いたパターン形成方法を提供する。
〔1〕
酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位と、マグネシウム、銅、亜鉛又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト材料。
〔2〕
下記一般式(1)で示される、酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位a1及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位a2と、マグネシウム、銅又は亜鉛の(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b1及び/又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b2とを有する高分子化合物を含むことを特徴とする〔1〕記載のレジスト材料。
【化1】

(式中、R1、R3、R5、R8はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。R2、R4は酸不安定基を表す。X1は単結合、エステル基,ラクトン環,フェニレン基又はナフチレン基のいずれか1種又は2種以上を有する炭素数1〜12の連結基、フェニレン基、又はナフチレン基である。X2は単結合、又はエステル基である。Y1、Y2、Y3は単結合、炭素数6〜12のアリーレン基、又は−C(=O)−O−R7−である。R7は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は炭素数6〜12のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、2重結合又は3重結合を有していてもよい。R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、又は炭素数2〜16のアルキニル基であり、これらがエーテル基、エステル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸エステル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カーボネート基、カルバメート基、チオール基、スルフィド基、チオケトン基、又は複素芳香族環を有していてもよい。また、
【化2】

であってもよい。Zはマグネシウム、銅又は亜鉛のいずれかである。0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1、0≦b1≦0.8、0≦b2≦0.8、0<b1+b2≦0.8の範囲である。)
〔3〕
繰り返し単位a1、a2、b1、b2に加えて、下記一般式(2)で示されるスルホニウム塩の繰り返し単位c1〜c3を有する高分子化合物を含むことを特徴とする〔2〕記載のレジスト材料。
【化3】

(式中、R120、R124、R128は水素原子又はメチル基、R121は単結合、フェニレン基、−O−R−、又は−C(=O)−Y−R−である。Yは酸素原子又はNH、Rは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数3〜10のアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R122、R123、R125、R126、R127、R129、R130、R131は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。A1は単結合、−A0−C(=O)−O−又は−A0−O−C(=O)−であり、A0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A2は水素原子又はCF3基である。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R132−、又は−C(=O)−Z1−R132−である。Z1は酸素原子又はNH、R132は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦c1≦0.3、0≦c2≦0.3、0≦c3≦0.3、0<c1+c2+c3≦0.3である。)
〔4〕
高分子化合物が、フェノール性水酸基、フェノール性水酸基以外のヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−G−(Gは硫黄原子又はNHである)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位が共重合されたものである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のレジスト材料。
〔5〕
前記レジスト材料が、化学増幅ポジ型レジスト材料であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のレジスト材料。
〔6〕
前記レジスト材料が、有機溶剤、溶解阻止剤、酸発生剤、塩基性化合物、及び界面活性剤のいずれか1つ以上を含有するものであることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のレジスト材料。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
〔8〕
前記高エネルギー線で露光する工程において、波長3〜15nmの真空紫外線を光源として用いることを特徴とする〔7〕に記載のパターン形成方法。
〔9〕
前記高エネルギー線で露光する工程において、加速電圧1〜150keVの加速電圧電子ビームを光源として用いることを特徴とする〔7〕に記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレジスト材料は、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが大幅に高く、高感度で高解像性を有し、露光後のパターン形状が良好で、その上特に酸拡散速度を抑制し、ラインエッジラフネスが小さい特性を示す。従って、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクの微細パターン形成材料、EB、EUV露光用のパターン形成材料として好適なレジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
上述のように、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が進むなか、高解像度でありながら高感度であり、なおかつ露光後のパターン形状が良好でラインエッジラフネスが小さいレジスト材料が求められていた。
【0016】
本発明者は、近年要望される高解像度、高感度でなおかつラインエッジラフネスの小さいレジスト材料を得るべく鋭意検討を重ねた結果、酸不安定基を有する繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸のマグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩又はセシウム塩の繰り返し単位を有するポリマー、好ましくは更に加えて重合性オレフィンを有するスルホニウム塩の繰り返し単位を有するポリマーをレジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として用いれば極めて有効であることを知見した。
【0017】
より具体的には、本発明者は、酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸のモノマー及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有するモノマーと、(メタ)アクリル酸、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸のマグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩又はセシウム塩を有するモノマーの共重合、好ましくは更に加えて重合性オレフィンを有するスルホニウム塩モノマーの共重合により得られるポリマーをレジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として用いることにより、酸拡散が抑えられて高解像度かつ高感度であり、露光後のパターン形状が良好でラインエッジラフネスが小さい特性を示し、EB描画中の帯電を防止し、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクの微細パターン形成材料として好適なレジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料が得られることを知見し、本発明を完成させたものである。
【0018】
即ち、本発明のレジスト材料は、酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位と、マグネシウム、銅、亜鉛又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位を共重合してなる高分子化合物を含むことを特徴とする。
【0019】
酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位と、マグネシウム、銅、亜鉛又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物は、下記一般式(1)で示すことができる。
【化4】

(式中、R1、R3、R5、R8はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。R2、R4は酸不安定基を表す。X1は単結合、エステル基,ラクトン環,フェニレン基又はナフチレン基のいずれか1種又は2種以上を有する炭素数1〜12の連結基、フェニレン基、又はナフチレン基である。X2は単結合、又はエステル基である。Y1、Y2、Y3は単結合、炭素数6〜12のアリーレン基、又は−C(=O)−O−R7−である。R7は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は炭素数6〜12のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、2重結合又は3重結合を有していてもよい。R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、又は炭素数2〜16のアルキニル基であり、これらがエーテル基、エステル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸エステル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カーボネート基、カルバメート基、チオール基、スルフィド基、チオケトン基、又は複素芳香族環を有していてもよく、
【化5】

であってもよい。Zはマグネシウム、銅又は亜鉛のいずれかである。0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1、0≦b1≦0.8、0≦b2≦0.8、0<b1+b2≦0.8の範囲である。)
【0020】
カルボン酸のマグネシウム、銅、亜鉛、セシウム塩は、カルボン酸よりも強酸のスルホン酸が存在するとイオン交換によりスルホン酸のマグネシウム、銅、亜鉛、セシウム塩となる。酸不安定基を脱保護させるための触媒となるスルホン酸と、カルボン酸のマグネシウム、銅、亜鉛、セシウムイオンがイオン交換を起こすことによってクエンチャーとして機能する。マグネシウム、銅、亜鉛は2価のプラスイオンなので1分子で2分子のスルホン酸をトラップでき、セシウムは1価のプラスイオンなので1分子で1分子のスルホン酸をトラップできるため、アミンクエンチャーなどよりも効果的に酸の拡散を抑えることができるのである。
マグネシウム、銅、亜鉛、セシウムのカルボン酸塩をレジスト材料として添加した場合でもクエンチャーとして機能する。しかしながら、ブレンドされたマグネシウム、銅、亜鉛、セシウムのカルボン酸塩はレジスト溶液中で凝集する。クエンチャーが凝集した部分は、そこだけ脱保護反応が進行しないためにブリッジ欠陥や、スカム等の欠陥を引き起こし、エッジラフネスが大きくなったりする。
マグネシウム、銅、亜鉛、セシウムのカルボン酸塩の凝集を防ぐためには、これをポリマーに結合させる方法が好ましい。マグネシウム、銅、亜鉛、セシウムのカルボン酸塩ポリマーに結合させるには、酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸のモノマー及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有するモノマーと共重合させる。
【0021】
一般式(1)中、繰り返し単位b1のカルボン酸のマグネシウム、銅、亜鉛塩を得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示される。
【化6】

【0022】
【化7】

【0023】
【化8】

【0024】
【化9】

【0025】
【化10】

【0026】
【化11】

【0027】
【化12】

【0028】
【化13】

【0029】
【化14】

【0030】
【化15】

【0031】
【化16】

【0032】
【化17】

【0033】
【化18】

【0034】
【化19】

ここで、R5、Zは前述の通りである。
【0035】
また、一般式(1)中、繰り返し単位b2のカルボン酸のセシウムイオンを得るためのモノマーとしては、下記に例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【化20】

ここで、R5は前述の通りである。
【0036】
マグネシウム、銅、亜鉛は通常2価であるので、2つのカルボン酸との塩を形成する。2つのカルボン酸の種類は同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも一方は重合性のオレフィンを有する(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸であることが必要である。もう一方のカルボン酸は重合性のオレフィンを有する必要はなく、上記に挙げられる組み合わせ以外であってもよい。
【0037】
更には、繰り返し単位a1、a2、b1、b2に加えて下記一般式(2)のスルホニウム塩の繰り返し単位c1〜c3を有していてもよい。
【化21】

(式中、R120、R124、R128は水素原子又はメチル基、R121は単結合、フェニレン基、−O−R−、又は−C(=O)−Y−R−である。Yは酸素原子又はNH、Rは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数3〜10のアルケニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R122、R123、R125、R126、R127、R129、R130、R131は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。A1は単結合、−A0−C(=O)−O−又は−A0−O−C(=O)−であり、A0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A2は水素原子又はCF3基である。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R132−、又は−C(=O)−Z1−R132−である。Z1は酸素原子又はNH、R132は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦c1≦0.3、0≦c2≦0.3、0≦c3≦0.3、0≦c1+c2+c3≦0.3である。)
【0038】
ポリマーに酸発生剤をバインドさせることによって酸拡散距離を縮め、エッジラフネスを低減させることができる。
なお、上記スルホニウム塩の繰り返し単位c1〜c3を共重合させた高分子化合物をベース樹脂として用いた場合は、後述する酸発生剤の配合を省略し得る。
【0039】
このような本発明のレジスト材料は、酸不安定基の繰り返し単位a1、a2、及びマグネシウム、銅、亜鉛を有する繰り返し単位b1及び/又はセシウムを有する繰り返し単位b2を有することで、酸の拡散を防止し、コントラストを向上させ、導電性が向上することにより描画中の帯電を防止し、特に短波長の高エネルギー線及び電子ビームによる露光の際にも、高解像度でラインエッジラフネスの小さい、良好な形状をもつ微細パターンを形成することができ、繰り返し単位c1、c2、c3に示すポリマー型の酸発生剤を有することで、これが露光時に酸を発生させることにより繰り返し単位a1、a2の酸脱離基を脱離させてレジスト露光部を現像液に溶解させるように変換することにより、極めて高精度なパターンを得ることができるものである。
【0040】
従って、本発明のレジスト材料は、特に、レジスト膜の溶解コントラストが高く、高解像性を有し、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、高感度で、露光後のパターン形状が良好であり、ラインエッジラフネスが小さい。従って、これらの優れた特性を有することから実用性が極めて高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効である。
また、以上のような本発明のレジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料の用途としては、例えば、半導体回路形成におけるリソグラフィーだけでなく、マスク回路パターンの形成、あるいはマイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド回路形成等にも応用することができる。
【0041】
本発明に係る高分子化合物に含まれる繰り返し単位のうち、上記一般式(1)中の繰り返し単位a1で表される酸不安定基を有する繰り返し単位は、カルボキシル基、特には(メタ)アクリレートの水酸基の水素原子を置換したものであり、これを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【0042】
【化22】

(式中、R1、R2は前述と同様である。)
【0043】
上記一般式(1)中の繰り返し単位a2で表される酸不安定基を有する繰り返し単位は、フェノール性水酸基、好ましくはヒドロキシスチレン、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートの水酸基の水素原子を置換したものであり、これを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【0044】
【化23】

(式中、R3、R4は前述と同様である。)
【0045】
2、R4で示される酸不安定基は種々選定されるが、同一でも異なっていてもよく、特に下記式(A−1)〜(A−3)で置換された基で示されるものが挙げられる。
【化24】

【0046】
式(A−1)において、R30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(A−3)で示される基を示し、三級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。a1は0〜6の整数である。
【0047】
式(A−2)において、R31、R32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0048】
【化25】

【0049】
31とR32、R31とR33、R32とR33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR31、R32、R33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0050】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0051】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化26】

【0052】
ここで、R37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、R38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
また、R39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
a1は上記の通りである。
【0053】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−69のものを例示することができる。
【化27】

【0054】
【化28】

【0055】
【化29】

【0056】
【化30】

【0057】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0058】
また、下記一般式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化31】

【0059】
式中、R40、R41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R40とR41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR40、R41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b1、d1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c1は1〜7の整数である。Aは、(c1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0060】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c1は好ましくは1〜3の整数である。
【0061】
一般式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−70〜(A−2)−77のものが挙げられる。
【化32】

【0062】
次に、式(A−3)においてR34、R35、R36は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R34とR35、R34とR36、R35とR36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
【0063】
式(A−3)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0064】
また、三級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化33】

【0065】
式(A−3)−1〜(A−3)−18中、R43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。R44、R46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。
【0066】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化34】

【0067】
式(A−3)−19、(A−3)−20中、R43は前述と同様、R47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。e1は1〜3の整数である。
【0068】
特に式(A−3)の酸不安定基としては、繰り返し単位a1として下記式(A−3)−21に示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【化35】

(式中、Rαは水素原子又はメチル基、Rc3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。Rc4〜Rc9及びRc12、Rc13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、Rc10、Rc11は水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。Rc4とRc5、Rc6とRc8、Rc6とRc9、Rc7とRc9、Rc7とRc13、Rc8とRc12、Rc10とRc11又はRc11とRc12は互いに環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またRc4とRc13、Rc10とRc13又はRc6とRc8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0069】
ここで、一般式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0070】
【化36】

【0071】
次に式(A−3)に示される酸不安定基としては、繰り返し単位a1として下記式(A−3)−22に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基を挙げることができる。
【化37】

(式中、Rαは前述の通りである。Rc14、Rc15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。又は、Rc14、Rc15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。Rc16はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。Rc17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0072】
フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーは下記に例示される。なお、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【0073】
【化38】

【0074】
【化39】

【0075】
繰り返し単位a1の酸不安定基R2としては、下記一般式(A−3)−23で示されるものであってもよい。
【化40】

(式中、R23-1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。m23は1〜4の整数である。)
【0076】
式(A−3)−23で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化41】

【0077】
繰り返し単位a1の酸不安定基R2は、下記一般式(A−3)−24で示される酸不安定基であってもよい。
【化42】

(式中、R24-1、R24-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、又は炭素数6〜10のアリール基である。R24-3、R24-4、R24-5、R24-6は水素原子、あるいはR24-3とR24-4、R24-4とR24-5、R24-5とR24-6が結合してベンゼン環を形成してもよい。m24、n24は1〜4の整数である。)
【0078】
式(A−3)−24で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化43】

【0079】
【化44】

【0080】
【化45】

【0081】
繰り返し単位a1の酸不安定基R2は、下記一般式(A−3)−25で示される酸不安定基であってもよい。
【化46】

(式中、R25-1は同一又は異種で、水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、m25が2以上の場合、R25-1同士が結合して炭素数2〜8の非芳香環を形成してもよく、円は炭素CAとCBとのエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基から選ばれる結合を表し、R25-2は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。円がエチレン基、プロピレン基のとき、R25-1が水素原子となることはない。m25、n25は1〜4の整数である。)
【0082】
式(A−3)−25で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化47】

【0083】
【化48】

【0084】
【化49】

【0085】
【化50】

【0086】
【化51】

【0087】
繰り返し単位a1の酸不安定基R2は、下記一般式(A−3)−26で示される酸不安定基であってもよい。
【化52】

(式中、R26-1、R26-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m26、n26は1〜4の整数である。)
【0088】
式(A−3)−26で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化53】

【0089】
【化54】

【0090】
繰り返し単位a1の酸不安定基R2は、下記一般式(A−3)−27で示される酸不安定基であってもよい。
【化55】

(式中、R27-1、R27-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m27、n27は1〜4の整数である。Jはメチレン基、エチレン基、ビニレン基、又は−CH2−S−である。)
【0091】
式(A−3)−27で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化56】

【0092】
【化57】

【0093】
【化58】

【0094】
繰り返し単位a1の酸不安定基R2は、下記一般式(A−3)−28で示される酸不安定基であってもよい。
【化59】

(式中、R28-1、R28-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m28、n28は1〜4の整数である。Kはカルボニル基、エーテル基、スルフィド基、−S(=O)−、又は−S(=O)2−である。)
【0095】
式(A−3)−28で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化60】

【0096】
【化61】

【0097】
【化62】

【0098】
【化63】

【0099】
【化64】

【0100】
上記一般式(2)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位c2、c3を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化65】

【0101】
【化66】

【0102】
【化67】

【0103】
【化68】

【0104】
【化69】

【0105】
【化70】

【0106】
本発明は、酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位a1及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位a2と、マグネシウム、銅又は亜鉛の(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b1及び/又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b2を共重合することを特徴とするが、更に、密着性基としてフェノール性水酸基を有する繰り返し単位dを共重合することができる。
【0107】
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位dを得るためのモノマーは、具体的には下記に示すことができる。
【化71】

【0108】
【化72】

【0109】
更には他の密着性基として、フェノール性水酸基以外のヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−G−(Gは硫黄原子又はNHである)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位eを共重合することができる。
【0110】
繰り返し単位eを得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【化73】

【0111】
【化74】

【0112】
【化75】

【0113】
【化76】

【0114】
【化77】

【0115】
【化78】

【0116】
【化79】

【0117】
【化80】

【0118】
【化81】

【0119】
【化82】

【0120】
ヒドロキシ基を有するモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基などの酸によって脱保護し易いアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0121】
更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体fを共重合することもでき、具体的には下記に例示することができる。
【0122】
【化83】

【0123】
上記繰り返し単位以外に共重合できる繰り返し単位gとしては、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダンなどが挙げられる。
【0124】
a1、a2、b、c1、c2、c3、d、e、f、gの共重合比率は、0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2≦0.9、0≦b1≦0.8、0≦b2≦0.8、0<b1+b2≦0.8、0≦c1≦0.35、0≦c2≦0.35、0≦c3≦0.35、0≦c1+c2+c3≦0.3、0≦d≦0.9、0≦e≦0.9、0≦f≦0.5、0≦g≦0.5であり、好ましくは0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、0≦b1≦0.6、0≦b2≦0.6、0.001≦b1+b2≦0.6、0≦c1≦0.34、0≦c2≦0.34、0≦c3≦0.34、0≦c1+c2+c3≦0.3、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8、0≦f≦0.4、0≦g≦0.4、更に好ましくは0≦a1≦0.75、0≦a2≦0.75、0.15≦a1+a2≦0.75、0≦b1≦0.5、0≦b2≦0.5、0.002≦b1+b2≦0.5、0≦c1≦0.3、0≦c2≦0.3、0≦c3≦0.3、0≦c1+c2+c3≦0.3、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7、0≦f≦0.3、0≦g≦0.3である。この場合、好ましくは0<d+e≦0.9、より好ましくは0<d+e≦0.8、更に好ましくは0<d+e≦0.7である。また、a1+a2+b+c1+c2+c3+d+e+f+g=1である。
【0125】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては、例えば繰り返し単位a1、a2、b、c1、c2、c3、d、e、f、gで示されるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加え、加熱重合を行い、共重合体の高分子化合物を得ることができる。
【0126】
重合時に使用する有機溶剤としてはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。
【0127】
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンの代わりにアセトキシスチレン、アセトキシビニルナフタレンを用い、重合後上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0128】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0129】
本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物は、それぞれ溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が1,000以上であれば、レジスト材料が耐熱性に優れるものとなり、500,000以下であれば、アルカリ溶解性が低下することもなく、パターン形成後に裾引き現象が生じることもない。
【0130】
更に、本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物においては、多成分共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0131】
本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物は、酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位a1及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位a2、マグネシウム、銅又は亜鉛の(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b1及び/又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b2を共重合することを特徴とするが、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。また、感度調整のために、マグネシウム、銅又は亜鉛の(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b1及び/又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b2を有するポリマーと、繰り返し単位b1及び/又は繰り返し単位b2を有さないポリマーとをブレンドすることもできる。
【0132】
本発明に係る高分子化合物は、特にポジ型レジスト材料のベース樹脂として好適で、このような高分子化合物をベース樹脂とし、これに有機溶剤、酸発生剤、溶解阻止剤、塩基性化合物、界面活性剤等を目的に応じ適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記高分子化合物が触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料とすることができ、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、より優れたエッチング耐性を示し、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、特に超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅ポジ型レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができると共に、諸特性が一層優れたものとなり極めて有用なものとなる。
また、ポジ型レジスト材料に溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。
更に、塩基性化合物を添加することによって、例えばレジスト膜中での酸の拡散速度を抑制し、解像度を一層向上させることができるし、界面活性剤を添加することによってレジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。
【0133】
本発明のレジスト材料には、上述のように、本発明のパターン形成方法に用いる化学増幅ポジ型レジスト材料を機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。
酸発生剤の具体例としては、例えば特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0134】
本発明のレジスト材料に配合することができる有機溶剤の具体例としては、例えば特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]、塩基性化合物(クエンチャー)としては段落[0146]〜[0164]、界面活性剤としては段落[0165]〜[0166]、溶解阻止剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]に記載されている。特開2008−239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。更に、必要に応じて任意成分としてアセチレンアルコール類を添加することもでき、アセチレンアルコール類の具体例としては特開2008−122932号公報の段落[0179]〜[0182]に記載されている。
これらのものは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0135】
なお、酸発生剤を配合する場合、その配合量はベース樹脂(上記高分子化合物)100質量部に対し0.1〜50質量部であることが好ましい。塩基性化合物(クエンチャー)を配合する場合、その配合量はベース樹脂100質量部に対し0.01〜20質量部、特に0.02〜15質量部であることが好ましい。溶解阻止剤を配合する場合、その配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜50質量部、特に1.0〜30質量部であることが好ましい。界面活性剤を配合する場合、その配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜10質量部、特に0.001〜5質量部であることが好ましい。
有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に200〜8,000質量部であることが好ましい。
【0136】
また、本発明は、前記レジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法を提供する。
この場合、前記高エネルギー線で露光する工程において、波長3〜15nmの真空紫外線(EUV)や加速電圧電子ビーム、特には加速電圧が1〜150keVの範囲の電子ビームを光源として用いることができる。
マグネシウム、銅、亜鉛は導電性の金属塩を形成しているために、EB描画中のレジスト膜の耐電を防止する効果がある。このため、レジスト膜の上に必ずしも帯電防止膜を形成しなくてもよい。マグネシウム、銅、亜鉛は波長13.5nmのEUV光に強い吸収がある。EUVで露光したときにマグネシウム、銅、亜鉛の外殻電子が励起され、酸発生剤に電子が移動し、酸の発生効率が高まり、レジストの感度が向上するメリットもある。
【0137】
本発明のレジスト材料、例えば有機溶剤と、上記一般式(1)で示される高分子化合物と、酸発生剤、塩基性化合物を含む化学増幅ポジ型レジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、特に限定されないが公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0138】
例えば、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板あるいは該基板上の被加工層(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)や、マスク回路製造用の基板あるいは該基板上の被加工層(Cr、CrO、CrON、MoSi、SiO2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間プリベークする。
【0139】
次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線、真空紫外線(軟X線:EUV)等の高エネルギー線から選ばれる光源で目的とするパターンを所定のマスクを通じてもしくは直接露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm2程度、特に10〜100mJ/cm2、又は0.1〜100μC/cm2程度、特に0.5〜50μC/cm2となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)する。
【0140】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒〜3分間、好ましくは5秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。
【0141】
なお、本発明のレジスト材料は、高エネルギー線の中でも電子線、真空紫外線(軟X線:EUV)、X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに最適である。特に、波長3〜15nmの真空紫外線や加速電圧100keV以下の加速電圧電子ビーム、特には加速電圧50keV以下の低加速電圧電子ビームを光源として用いれば、より微細なパターンを形成することができる。
【実施例】
【0142】
以下、合成例、比較合成例及び実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)は溶剤としてテトラヒドロフランを用いたGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
なお、下記合成例で使用したモノマー1〜4、PAGモノマー1〜5、密着性モノマー1,2は以下の通りである。
【化84】

【0143】
【化85】

【0144】
【化86】

【0145】
[合成例1]
2Lのフラスコに4−t−ブトキシスチレン5.3g、4−アセトキシスチレン7.0g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル5.6g、メタクリル酸マグネシウム0.4g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
4−t−ブトキシスチレン:4−ヒドロキシスチレン:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:メタクリル酸マグネシウム=0.30:0.43:0.25:0.02
重量平均分子量(Mw)=10,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.99
この高分子化合物をポリマー1とする。
【化87】

【0146】
[合成例2]
2Lのフラスコに4−t−アミロキシスチレン5.7g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル7.7g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル5.6g、メタクリル酸亜鉛0.5g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
4−t−アミロキシスチレン:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:メタクリル酸亜鉛=0.30:0.43:0.25:0.02
重量平均分子量(Mw)=10,200
分子量分布(Mw/Mn)=2.11
この高分子化合物をポリマー2とする。
【化88】

【0147】
[合成例3]
2Lのフラスコにモノマー1を9.8g、メタクリル酸6−ヒドロキシナフタレン−2−イル9.8g、メタクリル酸テトラヒドロ−2−オキソフラン−3−イル4.2g、アクリル酸銅0.5g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸6−ヒドロキシナフタレン−2−イル:メタクリル酸テトラヒドロ−2−オキソフラン−3−イル:アクリル酸銅=0.30:0.43:0.25:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,300
分子量分布(Mw/Mn)=2.06
この高分子化合物をポリマー3とする。
【化89】

【0148】
[合成例4]
2Lのフラスコにモノマー2を8.8g、メタクリル酸6−ヒドロキシナフタレン−2−イル9.1g、メタクリル酸テトラヒドロ−2−オキソフラン−3−イル5.1g、メタクリル酸2−ブテン酸マグネシウム0.4g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー2:メタクリル酸6−ヒドロキシナフタレン−2−イル:メタクリル酸テトラヒドロ−2−オキソフラン−3−イル:メタクリル酸2−ブテン酸マグネシウム=0.28:0.40:0.30:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.76
この高分子化合物をポリマー4とする。
【化90】

【0149】
[合成例5]
2Lのフラスコに4−t−アミロキシスチレン5.7g、4−アセトキシスチレン10.8g、アセナフチレン1.8g、メタクリル酸亜鉛0.7g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
4−t−アミロキシスチレン:4−ヒドロキシスチレン:アセナフチレン:メタクリル酸亜鉛=0.30:0.57:0.10:0.03
重量平均分子量(Mw)=8,200
分子量分布(Mw/Mn)=2.11
この高分子化合物をポリマー5とする。
【化91】

【0150】
[合成例6]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル10.7g、アクリル酸亜鉛0.4g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:アクリル酸亜鉛=0.30:0.20:0.48:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,400
分子量分布(Mw/Mn)=1.96
この高分子化合物をポリマー6とする。
【化92】

【0151】
[合成例7]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸5−ヒドロキシインダン−2−イル6.5g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー3を4.5g、メタクリル酸酢酸亜鉛0.4g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸5−ヒドロキシインダン−2−イル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3:メタクリル酸酢酸亜鉛=0.30:0.30:0.30:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この高分子化合物をポリマー7とする。
【化93】

【0152】
[合成例8]
2Lのフラスコに4−t−アミロキシスチレン7.6g、メタクリル酸5−ヒドロキシインダン−2−イル4.4g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー1を3.9g、メタクリル酸プロピオン酸亜鉛0.4g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
4−t−アミロキシスチレン:メタクリル酸5−ヒドロキシインダン−2−イル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー1:メタクリル酸プロピオン酸亜鉛=0.40:0.20:0.30:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.73
この高分子化合物をポリマー8とする。
【化94】

【0153】
[合成例9]
2Lのフラスコにモノマー3を6.5g、5−(メタクリロイルアミノ)−1−ナフトール4.5g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー2を4.6g、4−ビニル安息香酸シクロヘキシルカルボン酸亜鉛0.7g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー3:5−(メタクリロイルアミノ)−1−ナフトール:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー2:4−ビニル安息香酸シクロヘキシルカルボン酸亜鉛=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.97
この高分子化合物をポリマー9とする。
【化95】

【0154】
[合成例10]
2Lのフラスコにモノマー4を15.0g、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド3.5g、メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル6.7g、PAGモノマー3を4.5g、メタクリル酸1−アダマンタンカルボン酸亜鉛0.7g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー4:4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド:メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル:PAGモノマー3:メタクリル酸1−アダマンタンカルボン酸亜鉛=0.40:0.20:0.30:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.77
この高分子化合物をポリマー10とする。
【化96】

【0155】
[合成例11]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル5.5g、メタクリル酸4−tert−ブトキシフェニル3.5g、メタクリル酸5−ヒドロキシピリジル−6−イル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル7.4g、PAGモノマー3を5.6g、メタクリル酸2−ニトロピリジン−4−カルボン酸亜鉛0.6g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−tert−ブトキシフェニル:メタクリル酸5−ヒドロキシピリジル−6−イル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3:メタクリル酸2−ニトロピリジン−4−カルボン酸亜鉛=0.20:0.15:0.20:0.33:0.10:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.98
この高分子化合物をポリマー11とする。
【化97】

【0156】
[合成例12]
2Lのフラスコにメタクリル酸6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル6.9g、メタクリル酸4−ヒドロキシピリミジル−6−イル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル8.5g、PAGモノマー3を5.6g、メタクリル酸コール酸亜鉛を1.1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル:メタクリル酸4−ヒドロキシピリミジル−6−イル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3:メタクリル酸コール酸亜鉛=0.30:0.20:0.38:0.10:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.86
この高分子化合物をポリマー12とする。
【化98】

【0157】
[合成例13]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、密着性モノマー1を9.4g、PAGモノマー3を4.5g、メタクリル酸ナフタレン−1−カルボン酸亜鉛0.6g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:密着性モノマー1:PAGモノマー3:メタクリル酸ナフタレン−1−カルボン酸亜鉛=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この高分子化合物をポリマー13とする。
【化99】

【0158】
[合成例14]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、密着性モノマー2を8.7g、PAGモノマー3を4.5g、メタクリル酸フルオレン−9−カルボン酸亜鉛0.7g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:密着性モノマー2:PAGモノマー3:メタクリル酸フルオレン−9−カルボン酸亜鉛=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,800
分子量分布(Mw/Mn)=1.78
この高分子化合物をポリマー14とする。
【化100】

【0159】
[合成例15]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー4を4.5g、メタクリル酸4−カルボン酸ピリジンマグネシウム0.5g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー4:メタクリル酸4−カルボン酸ピリジンマグネシウム=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,700
分子量分布(Mw/Mn)=1.97
この高分子化合物をポリマー15とする。
【化101】

【0160】
[合成例16]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー5を4.6g、メタクリル酸4−カルボン酸−2−フルオロピリジンマグネシウム0.8g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー5:メタクリル酸4−カルボン酸−2−フルオロピリジンマグネシウム=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,700
分子量分布(Mw/Mn)=1.97
この高分子化合物をポリマー16とする。
【化102】

【0161】
[合成例17]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー3を4.5g、メタクリル酸フェニル−4−カルボン酸酢酸亜鉛0.7g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3:メタクリル酸フェニル−4−カルボン酸酢酸亜鉛=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.76
この高分子化合物をポリマー17とする。
【化103】

【0162】
[合成例18]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー3を4.5g、2−ビニル−6−ナフタレンカルボン酸酢酸亜鉛0.6g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3:2−ビニル−6−ナフタレンカルボン酸酢酸亜鉛=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この高分子化合物をポリマー18とする。
【化104】

【0163】
[合成例19]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー5を4.6g、メタクリル酸−1−アダマンタン−3−カルボン酸1−アダマンタンカルボン酸マグネシウム0.8g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー5:メタクリル酸−1−アダマンタン−3−カルボン酸1−アダマンタンカルボン酸マグネシウム=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=9,700
分子量分布(Mw/Mn)=1.97
この高分子化合物をポリマー19とする。
【化105】

【0164】
[合成例20]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー3を4.5g、メタクリル酸−1−ナフタレン−5−カルボン酸4−フルオロ−安息香酸亜鉛0.6g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3:メタクリル酸−1−ナフタレン−5−カルボン酸4−フルオロ−安息香酸亜鉛=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.64
この高分子化合物をポリマー20とする。
【化106】

【0165】
[合成例21]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー3を4.5g、メタクリル酸セシウム0.4g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3:メタクリル酸セシウム=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.67
この高分子化合物をポリマー21とする。
【化107】

【0166】
[合成例22]
2Lのフラスコにメタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル8.2g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル9.0g、PAGモノマー4を4.5g、4−ビニル安息香酸セシウム0.6g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー4:4−ビニル安息香酸セシウム=0.30:0.20:0.40:0.08:0.02
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.62
この高分子化合物をポリマー22とする。
【化108】

【0167】
[比較合成例1]
上記合成例と同様の方法で下記ポリマーを合成した。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル=0.30:0.40:0.30
重量平均分子量(Mw)=8,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この高分子化合物を比較ポリマー1とする。
【化109】

【0168】
[比較合成例2]
上記合成例と同様の方法で下記ポリマーを合成した。
共重合組成比(モル比)
4−t−アミロキシスチレン:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル=0.40:0.20:0.40
重量平均分子量(Mw)=8,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.89
この高分子化合物を比較ポリマー2とする。
【化110】

【0169】
[比較合成例3]
上記合成例と同様の方法で下記ポリマーを合成した。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー1=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.88
この高分子化合物を比較ポリマー3とする。
【化111】

【0170】
上記で合成した高分子化合物を用い、界面活性剤として3M社製界面活性剤のFC−4430を100ppmの濃度で溶解させた溶剤に表1,2に示される組成で所用成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してポジ型レジスト材料を調製した。
下記表中の各組成は次の通りである。
ポリマー1〜22:合成例1〜22
比較ポリマー1〜3:比較合成例1〜3
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
CyP(シクロペンタノン)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
酸発生剤:PAG1(下記構造式参照)
塩基性化合物:Amine1(下記構造式参照)
【化112】

【0171】
[実施例1−1〜23、比較例1−1〜4]
電子ビーム描画評価
得られたポジ型レジスト材料を直径6インチφのヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライム処理したSi基板上に、クリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上で110℃で60秒間プリベークして100nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)日立製作所製HL−800Dを用いてHV電圧50keVで真空チャンバー内描画を行った。
描画後、直ちにクリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてホットプレート上で表1に記載の温度で60秒間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ポジ型のパターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
100nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における、最小の寸法を解像力とし、100nmLSのエッジラフネス(LWR)をSEMで測定した。
レジスト組成とEB露光における感度、解像度の結果を表1,2に示す。
【0172】
【表1】

【0173】
【表2】

【0174】
[実施例2−1,2、比較例2−1]
EUV露光評価
得られたポジ型レジスト材料を直径4インチφのヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライム処理したSi基板上にスピンコートし、ホットプレート上で105℃で60秒間プリベークして40nmのレジスト膜を作製した。これに、EUVマイクロステッパー(NA0.3、ダイポール照明)で露光を行った。
描画後、直ちにホットプレート上で表3に記載の温度で60秒間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ポジ型のパターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
25nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における、最小の寸法を解像力とし、25nmLSのエッジラフネス(LWR)をSEMで測定した。
レジスト組成とEUV露光における感度、解像度の結果を表3に示す。
【0175】
【表3】

【0176】
表1,2及び表3の結果より、本発明のレジスト材料は、十分な解像力と適度な感度を有し、エッジラフネスも十分に小さいことがわかった。
一方、比較例のレジスト材料は、十分な解像力と感度を有しているものの、エッジラフネスは、本発明のレジスト材料に比べてかなり大きい結果となった。
即ち、本発明のレジスト材料のように、該レジスト材料を組成とする高分子化合物として、酸不安定基を有する繰り返し単位、ポリマー型のマグネシウム、銅、亜鉛、セシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位を共重合したものを含むものであれば、高解像度、高感度で、かつラインエッジラフネスも小さいため、超LSI用レジスト材料、マスクパターン形成材料等として非常に有効に用いることができると言える。
【0177】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位と、マグネシウム、銅、亜鉛又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト材料。
【請求項2】
下記一般式(1)で示される、酸不安定基で置換された(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位a1及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位a2と、マグネシウム、銅又は亜鉛の(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b1及び/又はセシウムの(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸又はビニルナフタレンカルボン酸の塩の繰り返し単位b2とを有する高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1記載のレジスト材料。
【化1】

(式中、R1、R3、R5、R8はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。R2、R4は酸不安定基を表す。X1は単結合、エステル基,ラクトン環,フェニレン基又はナフチレン基のいずれか1種又は2種以上を有する炭素数1〜12の連結基、フェニレン基、又はナフチレン基である。X2は単結合、又はエステル基である。Y1、Y2、Y3は単結合、炭素数6〜12のアリーレン基、又は−C(=O)−O−R7−である。R7は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は炭素数6〜12のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、2重結合又は3重結合を有していてもよい。R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、又は炭素数2〜16のアルキニル基であり、これらがエーテル基、エステル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸エステル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カーボネート基、カルバメート基、チオール基、スルフィド基、チオケトン基、又は複素芳香族環を有していてもよい。また、
【化2】

であってもよい。Zはマグネシウム、銅又は亜鉛のいずれかである。0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1、0≦b1≦0.8、0≦b2≦0.8、0<b1+b2≦0.8の範囲である。)
【請求項3】
繰り返し単位a1、a2、b1、b2に加えて、下記一般式(2)で示されるスルホニウム塩の繰り返し単位c1〜c3を有する高分子化合物を含むことを特徴とする請求項2記載のレジスト材料。
【化3】

(式中、R120、R124、R128は水素原子又はメチル基、R121は単結合、フェニレン基、−O−R−、又は−C(=O)−Y−R−である。Yは酸素原子又はNH、Rは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数3〜10のアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R122、R123、R125、R126、R127、R129、R130、R131は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。A1は単結合、−A0−C(=O)−O−又は−A0−O−C(=O)−であり、A0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A2は水素原子又はCF3基である。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R132−、又は−C(=O)−Z1−R132−である。Z1は酸素原子又はNH、R132は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦c1≦0.3、0≦c2≦0.3、0≦c3≦0.3、0<c1+c2+c3≦0.3である。)
【請求項4】
高分子化合物が、フェノール性水酸基、フェノール性水酸基以外のヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−G−(Gは硫黄原子又はNHである)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位が共重合されたものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレジスト材料。
【請求項5】
前記レジスト材料が、化学増幅ポジ型レジスト材料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレジスト材料。
【請求項6】
前記レジスト材料が、有機溶剤、溶解阻止剤、酸発生剤、塩基性化合物、及び界面活性剤のいずれか1つ以上を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレジスト材料。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
前記高エネルギー線で露光する工程において、波長3〜15nmの真空紫外線を光源として用いることを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記高エネルギー線で露光する工程において、加速電圧1〜150keVの加速電圧電子ビームを光源として用いることを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2012−181511(P2012−181511A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−20401(P2012−20401)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】