説明

レジスト組成物

【課題】解像性に優れるレジストパターンを製造可能なレジスト組成物を提供する。
【解決手段】酸に不安定な基を有し、かつ酸の作用により分解しアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂と、酸発生剤と、式(I)で表される化合物とを含有するレジスト組成物。[式(I)中、環Hは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の芳香族複素環を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、酸に不安定な基を有し、かつ酸の作用により分解しアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂と、酸発生剤と、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドとを含むレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−28247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレジスト組成物では、得られるパターンの解像度が必ずしも満足できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 酸に不安定な基を有し、かつ、酸の作用により分解しアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂と、酸発生剤と、式(I)で表される化合物とを含有するレジスト組成物。

[式(I)中、環Hは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の芳香族複素環を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。]
[2] (1)請求項1記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のレジスト組成物によれば、優れた解像度を有するパターンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のレジスト組成物は、酸に不安定な基を有し、かつ酸の作用により分解しアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある。)と、酸発生剤(B)と、式(I)で表される化合物(以下「化合物(I)」という場合がある。)とを含有する。

[式(I)中、環Hは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の芳香族複素環を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。]
さらに、本発明のレジスト組成物は、溶剤(D)を含むことが好ましい。
また、本発明のレジスト組成物は、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
【0008】
〈樹脂(A)〉
樹脂(A)は、酸に不安定な基を有し、かつ酸の作用により分解しアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂である。「酸の作用によりアルカリ可溶水溶液への溶解性が増大する」とは、「酸との接触前におけるアルカリ水溶液への溶解性と比べて、酸との接触後ににおけるアルカリ水溶液への溶解性が高い」ことを意味する。樹脂(A)は、レジスト組成物からレジストパターンを製造する際に用いる現像液に、常温で、不溶又は難溶であるが、酸の作用により溶解し得る樹脂であることが好ましい。このような樹脂は、酸に不安定な基を有するモノマー(以下「モノマー(a1)」という場合がある)を重合することによって製造できる。酸に不安定な基を有するモノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0009】
〈酸に不安定な基を有するモノマー(a1)〉
「酸に不安定な基」とは、脱離基を有し、酸と接触すると脱離基が脱離して、親水性基(例えばヒドロキシ基又はカルボキシ基)を生成する基を意味する。酸に不安定な基としては、例えば、式(1)で表される基(以下「酸に不安定な基(1)」という場合がある。)が挙げられる。
【0010】

【0011】
式(1)中、Ra1〜Ra3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基又は飽和脂環式炭化水素基を表すか、或いはRa1及びRa2は互いに結合して、これらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。*は結合手を表す。
【0012】
酸に不安定な基(1)としては、例えば式(1)中、Ra1〜Ra3がアルキル基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基である基、式(1)中、Ra1及びRa2が互いに結合して、これらが結合する炭素原子とともにアダマンタン環を形成し、かつRa3がアルキル基である基、式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基などが挙げられる。
【0013】
モノマー(a1)は、好ましくは、酸に不安定な基(1)と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸に不安定な基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーである。なお本明細書において「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0014】
酸に不安定な基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素基を有するものが好ましい。飽和脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有するモノマー(a1)を重合して得られる樹脂を使用すれば、レジストの解像度を向上させることができる。飽和脂環式炭化水素基は、単環式又は多環式のいずれでもよい。単環式の飽和脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基)などが挙げられる。多環式の飽和脂環式炭化水素基としては、ヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記式で表される基などの橋かけ環炭化水素基が挙げられる。
【0015】

【0016】
酸に不安定な基(1)と飽和脂環式炭化水素基とを有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、式(a1−1)又は式(a1−2)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−1)」及び「モノマー(a1−2)」という場合がある。)が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】

【0018】
[式(a1−1)及び式(a1−2)中、La1及びLa2は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0019】
a1及びLa2は、好ましくは、−O−又は−O−(CH2f1−CO−O−(前記f1は、1〜4の整数である)であり、より好ましくは−O−又は−O−CH2−CO−O−である。
【0020】
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7の脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルエチル基、プロピル基、1−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−プロピルブチル基、ペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。中でも、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基が好ましい。
a6及びRa7の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロヘプチル基、メチルシクロヘプチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基などが挙げられる。中でも、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基がより好ましい。
【0021】
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は、好ましくは0又は1、より好ましくは1である。
【0022】
モノマー(a1−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)で表されるモノマーが好ましく、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)で表されるモノマーがより好ましい。

【0023】
モノマー(a1−2)としては、例えば、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレートが好ましく、1−エチルシクロヘキサン−1−イルメタクリレートがより好ましい。
【0024】
樹脂(A)がモノマー(a1−1)及び/又はモノマー(a1−2)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、それぞれ、樹脂(A)の全単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0025】
酸に不安定な基(1)と炭素−炭素二重結合とを有するモノマーとしては、例えば、式(a1−3)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−3)」という場合がある。)が挙げられる。モノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する樹脂は、嵩高い構造を有するので、レジストパターンの解像度を向上させることができる。さらにモノマー(a1−3)は、樹脂の主鎖に剛直なノルボルナン環が導入されるため、レジストパターンのドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0026】

【0027】
式(a1−3)中、Ra9は、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、水素原子、カルボキシ基、シアノ基、又は−COORa13を表し、Ra13は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜8の飽和脂環式炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該飽和脂環式炭化水素基に含まれる水素原子はヒドロキシ基で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び該飽和脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
a10、Ra11及びRa12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜12の飽和脂環式炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該飽和脂環式炭化水素基の水素原子はヒドロキシ基等で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び該飽和脂環式炭化水素基の−CH−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。或いはRa10及びRa11は互いに結合して、これらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
【0028】
a9の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。Ra13としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基、又は2−オキソ−オキソラン−4−イル基などが挙げられる。
【0029】
a10〜Ra12としては、例えば、メチル基、エチル基、シクロへキシル基、メチルシクロへキシル基、ヒドロキシシクロへキシル基、オキソシクロへキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。Ra10、Ra11及びこれらが結合する炭素が形成する飽和脂環式炭化水素基としては、シクロへキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。
【0030】
モノマー(a1−3)としては、例えば、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルなどが挙げられる。
【0031】
樹脂(A)がモノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0032】
酸に不安定な基(1)と炭素−炭素二重結合とを有するモノマーとしては、式(a1−4)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−4)」という場合がある。)が挙げられる。

[式(a1−4)中、Ra32は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a33は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。
は0〜4の整数を表す。lが2以上の整数である場合、複数のRa33は同一であっても異なってもよい。
12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
a2は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる−CH−は−CO−、−O−、−S−、−SO−又は−N(R)−で置き換わっていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a3は、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基、該飽和脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。]
【0033】
ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基、等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
炭素数2〜4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
炭素数2〜4のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜12の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基、イソボルニル基等の炭素数3〜12の脂環式炭化水素基が挙げられる。
炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基等のアルカンジイル基が挙げられる。
炭素数3〜18の飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、アダマンタン−1−イル基、アダマンタン−2−イル基、イソボルニル基及び下記に示す基等が挙げられる。

炭素数6〜18の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基等が挙げられる。
【0034】
モノマー(a1−4)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。
【0035】

【0036】

【0037】

【0038】
樹脂(A)がモノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0039】
〈酸に不安定な基を有さないモノマー〉
樹脂(A)は、酸に不安定な基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)に由来する構造単位を有することが好ましい。酸安定モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
酸安定モノマーとしては、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するものが好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下「モノマー(a2)」という場合がある。)又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下「モノマー(a3)」という場合がある。)に由来する構造単位を有する樹脂を使用すれば、レジストパターンの解像度及びレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
【0041】
〈ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)〉
レジスト組成物をKrFエキシマレーザー露光(248nm)、電子線あるいはEUV光などの高エネルギー線露光に用いる場合、モノマー(a2)として、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2−0)(以下「モノマー(a2−0)」という場合がある。)を使用することが好ましい。ArFエキシマレーザー露光(193nm)などを用いる場合は、モノマー(a2)として、後述の式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(以下「モノマー(a2−1)」という場合がある。)を使用することが好ましい。モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
モノマー(a2−0)として、式(a2−0)で表されるモノマーが挙げられる。
【0043】

[式(a2−0)中、
a30は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基又は(メタ)クリロイルオキシ基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRは同一であっても異なってもよい。]
【0044】
ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基、等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
炭素数2〜4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
炭素数2〜4のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。
maは0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
【0045】
このようなフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーに由来する構造単位を有する樹脂は、フェノール性ヒドロキシ基を保護基で保護したモノマー及び共重合させるモノマーをラジカル重合した後、酸又は塩基で脱保護することによって製造することができる。モノマー(a1)に由来する構造単位を有する樹脂(A)の製造において、保護基で保護されたフェノール性ヒドロキシ基を脱保護する際には、該酸不安定基を著しく損なわないよう、塩基との接触により、脱保護することが好ましい。保護基としては、例えば、アセチル基等が好ましい。塩基としては、例えば、4−ジメチルアミノビリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、特開2010−204634号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが好ましい。
【0046】
樹脂(A)がモノマー(a2−0)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全単位に対して、通常5〜90モル%であり、好ましくは10〜85モル%であり、より好ましくは15〜80モル%である。
【0047】
モノマー(a2−1)として、式(a2−1)で表されるモノマーが挙げられる。
【0048】

【0049】
式(a2−1)中、La3は、−O−又は−O−(CH2k2−CO−O−を表し、k2は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0050】
a3は、好ましくは、−O−又は−O−(CH2f1−CO−O−(前記f1は、1〜4の整数である)であり、より好ましくは−O−である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0051】
モノマー(a2−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a2−1−1)〜式(a2−1−6)で表されるモノマーが好ましく、式(a2−1−1)〜式(a2−1−4)で表されるモノマーがより好ましく、式(a2−1−1)又は式(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。

【0052】
樹脂(A)がモノマー(a2−1)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全単位に対して、通常3〜40モル%であり、好ましくは5〜35モル%であり、より好ましくは5〜30モル%である。
【0053】
〈ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)〉
モノマー(a3)が有するラクトン環は、例えばβ−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、或いは単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環、及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
【0054】
モノマー(a3)は、好ましくは式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される(以下、「モノマー(a3−1)」、「モノマー(a3−2)」又は「モノマー(a3−3)」という場合がある。)。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】

【0056】
式(a3−1)〜式(a3−3)中、La4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−を表し、k3は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a18〜Ra20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a21は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。p1が2以上のとき、、複数のRa21は、互いに同一でも異なってもよい。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。q1が2以上のとき、複数のRa22は、互いに同一でも異なってもよく、r1が2以上のとき、複数のRa23は、互いに同一でも異なってもよい。
【0057】
a4〜La6としては、La3で説明したものが挙げられる。La4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2d1−CO−O−(前記d1は、1〜4の整数である)であることが好ましく、より好ましくは−O−である。
a18〜Ra20は、好ましくはメチル基である。
a21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0058】
モノマー(a3−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、式(a3−1−1)〜式(a3−1−4)、式(a3−2−1)〜式(a3−2−4)又は、式(a3−3−1)〜式(a3−3−4)で表されるモノマーが好ましく、式(a3−1−1)〜式(a3−1−2)又は式(a3−2−3)〜式(a3−2−4)で表されるモノマーがより好ましく、式(a3−1−1)又は式(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0059】

【0060】
樹脂(A)がモノマー(a3−1)、モノマー(a3−2)及びモノマー(a3−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位の含有量はそれぞれ、樹脂(A)の全単位に対して、通常5〜50モル%であり、好ましくは10〜45モル%であり、より好ましくは15〜40モル%である。
【0061】
〈その他の酸安定モノマー(a4)〉
その他の酸安定モノマー(a4)としては、例えば、式(a4−1)で表される無水マレイン酸、式(a4−2)で表される無水イタコン酸、又は式(a4−3)で表されるノルボルネン環を有する酸安定モノマー(以下「モノマー(a4−1)」、「モノマー(a4−2)」又は「モノマー(a4−3)」という場合がある。)などが挙げられる。
【0062】

【0063】
式(a4−3)中、Ra25及びRa26は、それぞれ独立に、水素原子、置換基(例えばヒドロキシ基)を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、シアノ基、カルボキシ基、又は−COORa27を表すか、或いはRa25及びRa26は互いに結合して−CO−O−CO−を形成する。
a27は、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の飽和脂環式炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該飽和脂環式炭化水素基の−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。但し、−COORa27が酸に不安定な基となるものは除く。
【0064】
a25及びRa26の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、などが挙げられる。Ra27の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜8より好ましくは1〜6であり、飽和脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは4〜36、より好ましくは4〜12である。Ra27としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基、2−オキソ−オキソラン−4−イル基などが挙げられる。
【0065】
モノマー(a4−3)としては、例えば2−ノルボルネン、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0066】
樹脂(A)がモノマー(a4−1)、モノマー(a4−2)及びモノマー(a4−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を有する場合、その含有量はそれぞれ、樹脂(A)の全単位に対して、通常2〜40モル%であり、好ましくは3〜30モル%であり、より好ましくは5〜20モル%である。
【0067】
樹脂(A)は、好ましくは、モノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体であり、より好ましくは、モノマー(a1)と、モノマー(a2)及びモノマー(a3)の少なくとも1種との共重合体である。
モノマー(a1)は、好ましくはモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)の少なくとも1種であり、より好ましくはモノマー(a1−1)である。
モノマー(a2)は、好ましくはモノマー(a2−1)である。
モノマー(a3)は、好ましくはモノマー(a3−1)及びモノマー(a3−2)の少なくとも1種である。
樹脂(A)は、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造できる。
【0068】
樹脂(A)がモノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である場合、モノマー(a1)に由来する構造単位は、樹脂(A)の全単位に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜60モル%である。
また、アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位を、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)100モル%に対して15モル%以上とすることが好ましい。アダマンチル基を有するモノマーの比率が増えると、レジストのドライエッチング耐性が向上する。該アダマンチル基を有するモノマーとしては、モノマー(a1−1)を使用することが好ましい。
【0069】
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは2,000以上、より好ましくは2,200以上、さらに好ましくは2,500以上、特に好ましくは3,000以上であり、好ましくは30,000以下、より好ましくは15,000以下、さらに好ましくは9,000以下、特に好ましくは6,000以下である。
【0070】
樹脂(A)の含有量は、組成物の固形分を基準に、80質量%以上99質量%以下であることが好ましい。なお本明細書において「組成物中の固形分」とは、溶剤(E)を除いた組成物成分の合計を意味する。組成物中の固形分、及びこれに対する樹脂(A)の含有量は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定できる。
【0071】
〈酸発生剤(B)〉
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とに分類される。非イオン系酸発生剤には、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が含まれる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等がある。
【0072】
酸発生剤(B)としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号や、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用できる。
【0073】
酸発生剤(B)は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)で表されるスルホン酸塩である。
【0074】

[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、単結合又は炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、前記2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−SO−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
【0075】
ペルフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。Q1及びQ2は、好ましくは、それぞれ独立に、ペルフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0076】
Yの脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、n−ヘプチル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0077】
Yの飽和脂環式炭化水素基としては、例えば式(Y1)〜式(Y11)で表される基が挙げられる。
Yの脂環式炭化水素基における−CH−が−O−、−SO−又は−CO−で置き換わった基は、例えば、環状エーテル基、環状ケトン基、スルトン環基又はラクトン環基が挙げられ、具体的には、式(Y12)〜式(Y26)で表される基が挙げられる。
【0078】

【0079】
中でも、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
【0080】
Yは、置換基を有していてもよい。Yの置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のヒドロキシ基含有脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基、或いは−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数13〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基或いはC6〜C18芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。前記脂肪族炭化水素基、前記飽和脂環式炭化水素基、前記芳香族炭化水素基及び前記アラルキル基等は、さらに置換基を有していてもよい。
【0081】
ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、樹脂(A)で説明したものなどが例示できる。
ヒドロキシ基含有脂肪族炭化水素基としては、例えばヒドロキシメチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。
アシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などが挙げられる。
【0082】
以下、置換基を有するYを例示する。

【0083】
Yは、好ましくは置換基(例えば、ヒドロキシ基、オキソ基、芳香族炭化水素基等)を有していてもよいアダマンチル基であり、より好ましくはアダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、トリルアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
【0084】
b1における2価の飽和炭化水素基としては、まず直鎖状アルカンジイル基、例えばメチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基が挙げられる。Lb1は、分枝鎖状アルカンジイル基でもよい。分枝鎖状アルカンジイル基としては、例えば、前記直鎖状アルカンジイル基に、炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を付け加えたものが挙げられる。環式の2価の飽和炭化水素基としては、シクロアルカンジイル基(例えばシクロヘキサンジイル基)、2価の橋かけ環炭化水素基(例えばアダマンタンジイル基)が挙げられる。Lb1はこれらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
【0085】
b1の−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。Lb1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−6)のいずれか、より好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれか、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−2)で表される。なお式(b1−1)〜式(b1−6)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、左側でC(Q1)(Q2)−と結合し、右側で−Yと結合する。以下の式(b1−1)〜式(b1−6)の具体例も同様である。
【0086】

【0087】
式(b1−1)、Lb2は、単結合、又は炭素数1〜15のアルカンジイル基を表す。
式(b1−2)中、Lb3は、単結合、又は炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、Lb4は、C1〜C13アルカンジイル基を表す。但しLb3及びLb4の炭素数上限は13以下である。
式(b1−3)中、Lb5は、炭素数1〜15のアルカンジイル基を表す。
式(b1−4)中、Lb6及びLb7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15のアルカンジイル基を表す。但しLb6及びLb7の炭素数上限は16以下である。
式(b1−5)中、Lb8は、炭素数1〜14のアルカンジイル基を表す。
式(b1−6)中、Lb9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11のアルカンジイル基を表す。但しLb6及びLb7の炭素数上限は12以下である。
これらの中でも式(b1−1)で表される2価の基が好ましく、Lb2が単結合又は−CH−である式(b1−1)で表される2価の基がより好ましい。
【0088】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0089】

【0090】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0091】

【0092】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0093】

【0094】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0095】

【0096】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0097】

【0098】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0099】

【0100】
式(B1)で表されるスルホン酸塩におけるスルホン酸アニオンは、式(b1−1)で表される2価の基を有するものが好ましく、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるものがより好ましい。以下の式においては、Q1、Q2及びLb2は、前記と同義であり、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。
該スルホン酸アニオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたアニオンが挙げられる。
【0101】

【0102】
なかでも、式(b1−1)で表される2価の基を有する以下のスルホン酸アニオンが好ましい。
【0103】

【0104】
式(B1)で表される塩の有機カチオンZ+としては、有機オニウムカチオン、例えば有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、有機ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
【0105】
式(B1)中のZ+は、好ましくは式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表されることが好ましい。
【0106】

【0107】
式(b2−1)中、Rb4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。前記脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又はC6〜C18芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基、又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0108】
式(b2−2)中、Rb7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
【0109】
式(b2−3)中、Rb9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素基を表す。Rb9とRb10とは互いに結合してイオウ原子を含む3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの環の−CH−は、−O−、−S−、−CO−で置き換わっていてもよい。
b11は、水素原子、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基或いは炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b12は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基或いは炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又はアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
b11とRb12とは互いに結合して、−CH−CO−を含む3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの環の−CH−は、−O−、−S−、−CO−で置き換わっていてもよい。
b9〜Rb11の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜12であり、脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜36、より好ましくは4〜12である。
【0110】
式(b2−4)中、Rb13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、−S−又は−O−を表す。
o2、p2、s2、及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、u2は0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のRb13は互いに同一でも異なってもよく、p2が2以上のとき、複数のRb14は互いに同一でも異なってもよく、q2が2以上のとき、複数のRb15は互いに同一でも異なってもよく、r2が2以上のとき、複数のRb16は互いに同一でも異なってもよく、s2が2以上のとき、複数のRb17は互いに同一でも異なってもよく、t2が2以上のとき、複数のRb18は互いに同一でも異なってもよい。
【0111】
脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基としては、上述したものを例示できる。好ましい脂肪族炭化水素基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、及び2−エチルヘキシル基である。好ましい脂環式炭化水素基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、及びイソボルニル基である。好ましい芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基である。置換基が芳香族炭化水素基である脂肪族炭化水素基(アラルキル基)としては、ベンジル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基などが挙げられる。
b9及びRb10が形成する環としては、例えばチオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環、1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
b11及びRb12が形成する環としては、例えばオキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環、オキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0112】
カチオン(b2−1)〜カチオン(b2−4)の中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、式(b2−1−1)で表されるカチオンがより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0)及びトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1かつRb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基)がさらに好ましい。
【0113】

【0114】
式(b2−1−1)中、Rb19〜Rb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜12であり、脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは4〜36である。
前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基或いは炭素数6〜18芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基、又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。v2が2以上のとき、複数のRb19は、互いに同一でも異なってもよく、w2が2以上のとき、複数のRb20は互いに同一でも異なってもよく、x2が2以上のとき、複数のRb21は互いに同一でも異なってもよい。
【0115】
式(b2−1−1)中のRb19〜Rb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、v2〜x2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
【0116】
カチオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンが挙げられる。
【0117】
式(B1)で表されるスルホン酸塩は、上述のスルホン酸アニオン及び有機カチオンの組合せである。上述のアニオンとカチオンとは任意に組み合わせることができるが、アニオン(b1−1−1)〜アニオン(b1−1−9)のいずれかとカチオン(b2−1−1)との組合せ、並びにアニオン(b1−1−3)〜アニオン(b1−1−5)のいずれかとカチオン(b2−3)との組合せが好ましい。
【0118】
好ましい式(B1)で表されるスルホン酸塩は、式(B1−1)〜式(B1−17)で表される塩であり、これらの中でもトリフェニルスルホニウムカチオン又はトリトリルスルホニウムカチオンを含む式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)又は式(B1−17)で表される塩がより好ましい。
【0119】

【0120】

【0121】

【0122】

【0123】
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。
【0124】
<化合物(I)>
化合物(I)は、式(I)で表される。

[式(I)中、環Hは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の芳香族複素環を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。]
【0125】
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、デシル基、ドデシル基、イコシル基等が挙げられる。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
【0126】
化合物(I)に含まれるカチオンとしては、式(IA−1)〜式(IA−7)で表されるカチオンが挙げられ、好ましくは式(IA−1)又は式(IA−7)で表されるカチオンである。

【0127】
環Hにおける炭素数3〜20の芳香族複素環としては、N、O及びSの少なくとも一つを含む芳香族複素環が好ましく、これらは単環でも、他の環との縮合環でもよい。
該芳香族複素環の具体例としては、例えばチオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、チアゾリン環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾリン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、テトラゾール環等の単環の芳香族複素環;インドール環、インダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、アクリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾトリアゾール環等の複素環とベンゼン環との縮合環;プリン環、ナフチリジン環、プテリジン環等の複数の複素環からなる縮合環などが挙げられる。
中でも、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、アクリジン環、インドール環、ベンズイミダゾール環、チオフェン環及びベンゾチオフェン環等の炭素数3〜13の芳香族複素環が好ましく、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、チオフェン環及びベンゾチオフェン環がより好ましく、ピリジン環及びキノリン環がさらに好ましい。
【0128】
環Hにおける炭素数3〜20の芳香族複素環は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜24の炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基及び炭素数1〜20のアシルオキシ基が挙げられる。
【0129】
炭素数1〜24の炭化水素基としては、炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜24脂環式炭化水素基、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基及びこれらを組合わせた基が挙げられる。
【0130】
炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基としては、前記アルキル基等が挙げられる。
炭素数3〜24の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
炭素数6〜24の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とを組合わせた基としては、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基;シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、アダマンタン−1−イルメチル基等のシクロアルキルアルキル基;等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とを組合わせた基としては、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基等のアルキル置換フェニル基;2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基、5−メチル−2−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、7−メチル−2−ナフチル基、8−メチル−2−ナフチル基等のアルキル置換ナフチル基;等が挙げられる。
【0131】
前記脂肪族炭化水素基、前記飽和脂環式炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、O、N、S等のヘテロ原子を含む複素環基、及びオキソ基(=O)等が挙げられる。
【0132】
炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。
【0133】
化合物(I)に含まれるアニオンとしては、式(IB)で表されるカチオンが好ましい。

[式(IB)中、環Hは、炭素数4〜11の含窒素芳香族複素環を表す。
aは、0又は1を表す。]
環Hとしては、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、アクリジン環、インドール環、ベンズイミダゾール環等が挙げられ、好ましくはピリジン環、キノリン環、イソキノリン環又はアクリジン環である。
【0134】
化合物(I)は、好ましくは、式(IC)で表される塩及び式(ID)で表される塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。

[式(IC)及び(ID)中、R11〜R14及びR21〜R24は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表す。
15及びR25は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜24の炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
mは、0〜4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR15は、互いに同一でも異なってもよい。
nは、0〜6の整数を表す。nが2以上のとき、複数のR25は、互いに同一でも異なってもよい。]
15及びR25は、ヒドロキシ基が好ましい。
mは、0又は1が好ましい。
nは、0又は1が好ましい。
【0135】
化合物(I)に含まれるアニオンとしては、式(IB−1)〜式(IB−57)で表されるカチオンが挙げられる。

【0136】

【0137】

【0138】

【0139】
化合物(I)としては、例えば、式(I−1)〜式(I−105)で表される化合物が挙げられ、式(I−46)〜式(I−60)で表される化合物及び式(I−91)〜式(I−105)で表される化合物が好ましく、式(I−46)〜式(I−60)で表される化合物がより好ましい。
【0140】
【表1】

【0141】

【0142】

【0143】
化合物(I)の含有量は、組成物の固形分を基準に、0.001〜10質量%、好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
【0144】
化合物(I)は、例えば、式(Ia)で表されるカルボン酸と式(Ib)で表される塩との中和反応によって製造することができる。

[式(Ia)及び式(Ib)中、環H、R、R、R及びRは、前記と同義である。]
【0145】
〈塩基性化合物(C)〉
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物(例えばアミン、含窒素複素環化合物やアンモニウム塩)(ただし、化合物(1)とは異なる)である。アミンは、脂肪族アミンでも、芳香族アミンでもよい。脂肪族アミンは、第一アミン、第二アミン及び第三アミンのいずれも使用できる。好ましい塩基性化合物(C)として、式(C2)で表される芳香族アミンが挙げられ、式(C2)で表されるアミンとしては、特に式(C2−1)で表されるアニリンが挙げられる。さらに、式(C2−2)で表されるアンモニウム塩等が挙げられる。
【0146】

【0147】
式(C2)中、Arc1は、芳香族炭化水素基を表す。Rc5及びRc6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキル基)、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基(好ましくはシクロアルキル基)又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アミノ基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜6程度であり、前記脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは5〜10程度であり、前記芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜10程度である。
【0148】
式(C2−1)中、Rc5及びRc6は、前記と同義である。
c7は、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキル基)、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基(好ましくはシクロアルキル基)又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、該アルコキシ基、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基の水素原子は、式(C2)におけるものと同様の置換基を有していてもよい。
m3は0〜3の整数を表す。m3が2以上のとき、複数のRc7は、互いに同一でも異なってもよい。Rc7の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の好ましい炭素数は、式(C2)におけるものと同じであり、Rc7のアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜6程度である。
【0149】
式(C2−2)中、Rc8’、Rc9’、Rc10’及びRc11’はそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキル基)、脂環式炭化水素基(好ましくはシクロアルキル基)又は芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基又は該芳香族炭化水素基の水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アミノ基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。前記脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8程度であり、前記脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数5〜10程度であり、前記芳香族炭化水素基は、好ましくは炭素数6〜10程度である。
【0150】
芳香族アミン(C2)としては、例えば1−ナフチルアミン及び2−ナフチルアミンなどが挙げられる。アニリン(C2−1)としては、例えばアニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。これらの中でもジイソプロピルアニリン(特に2,6−ジイソプロピルアニリン)が好ましい。アンモニウム塩(C2−2)としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドライド、テトラブチルアンモニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0151】
また塩基性化合物(C)としては、式(C3)〜式(C11)で表される化合物が挙げられる。
【0152】

[式(C3)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数5〜10の脂環式炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。]
【0153】

[式(C4)、式(C5)及び式(C6)中、Rc11、Rc12、Rc13及びRc14は、それぞれ独立に、Rc5と同じ意味を表す。
c15は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc15は、互いに同一でも異なってもよい。]
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0154】

[式(C7)及び式(C8)中、Rc16、Rc17、Rc18、Rc19及びRc22は、それぞれ独立に、Rc5と同じ意味を表す。
c20、Rc21及びRc23は、それぞれ独立に、Rc7と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上のとき、複数のRc20は互いに同一でも異なってもよく、p3が2以上のとき、複数のRc21は互いに同一でも異なってもよい。
c1は、炭素数1〜6のアルキレン基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0155】

[式(C9)及び式(C10)中、Rc24、Rc25及びRc26は、それぞれ独立に、Rc7と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。q3が2以上のとき、複数のRc24は互いに同一でも異なってもよく、r3が2以上のとき、複数のRc25は互いに同一でも異なってもよく、s3が2以上のとき、複数のRc26は互いに同一でも異なってもよい。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0156】
化合物(C3)としては、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミンエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0157】
化合物(C4)としては、例えばピペラジンなどが挙げられる。化合物(C5)としては、例えばモルホリンなどが挙げられる。化合物(C6)としては、例えばピペリジン、及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。化合物(C7)としては、例えば2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
【0158】
化合物(C8)としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。化合物(C9)としては、例えば、ピリジン、4−メチルピリジンなどが挙げられる。化合物(C10)としては、例えば、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミンなどが挙げられる。化合物(C11)としては、例えばビピリジンなどが挙げられる。
【0159】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0160】
塩基性化合物(C)の含有量は、レジスト組成物の固形分量を基準に、0.01〜1質量%であることが好ましい。
【0161】
〈溶剤(D)〉
溶剤(D)を含有することにより、薄膜のレジストパターンを製造することができる。溶剤(D)の含有量は、組成物中90質量%以上(好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上)、99.9質量%以下(好ましくは99質量%以下)である。溶剤(D)の含有量は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定できる。
【0162】
溶剤(D)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;などを挙げることができる。溶剤(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0163】
〈その他の成分(F)〉
その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料などを利用できる。
【0164】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)上述した本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から乾燥させて組成物層を得る工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含む。
【0165】
レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーターなど、通常、用いられる装置によって行うことができる。
【0166】
乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させること(いわゆるプリベーク)により行われるか、あるいは減圧装置を用いて行われ、乾燥された組成物層が形成される。この場合の乾燥温度は、例えば、50〜200℃程度が例示される。また、圧力は、1〜1.0×10Pa程度が例示される。
【0167】
得られた組成物層は、露光機を用いて露光する。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域又は真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。また、露光機は、電子線又は超紫外光(EUV)を照射するものであってもよい。本明細書において、これらの放射線を照射することを総称して「露光」という場合がある。
【0168】
露光後の組成物層は、脱保護基反応を促進するための加熱処理(いわゆるポストエクスポジャーベーク)が行われる。加熱温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、現像装置を用いて、通常、アルカリ現像液を利用して現像する。
ここで用いられるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水でリンスし、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0169】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザー露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザー露光用のレジスト組成物、電子線(EB)露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物として好適であり、特にEB露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物として好適である。
【実施例】
【0170】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
重量平均分子量は、以下の条件でポリスチレンを標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型)により求めた値である。
カラム:TSKgel G4000HXL + TSKgel G2000HXL + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
また、化合物の構造はNMR(ECA−500型;日本電子製)で確認した。
【0171】
以下のモノマーを用いて樹脂合成を実施した。

【0172】
樹脂A1の合成
フラスコに1,4−ジオキサン16.33部を加え、窒素置換し85℃まで昇温した。モノマー(A)9.14部、モノマー(G)15.00部、モノマー(D)3.07部、アゾビスイソブチロニトリル1.92部に1,4−ジオキサン24.49部を加えて溶液とし、1時間掛けて滴下した。滴下終了後85℃で6時間保温した。冷却後反応液をメタノール248部とイオン交換水106部の混合液に注いで重合物を沈殿ろ過した。得られたろ過物をメチルイソブチルケトンに溶解し、この有機液に1%のp−トルエンスルホン酸水溶液54.97部を投入し6時間攪拌した。イオン交換水54部を用いて水洗及び分液を3回繰り返した。その有機層をn−ヘプタン354部に注いで重合物を沈澱濾過した。重量平均分子量が約4.3×10の共重合体(樹脂A1)24.29部を得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。

【0173】
樹脂A2の合成
フラスコに1,4−ジオキサン92.81部を加え、窒素置換し85℃まで昇温した。モノマー(A)39.06部、モノマー(G)60.00部、モノマー(D)9.22部、モノマー(H)4.06部、モノマー(E)26.55部、アゾビスイソブチロニトリル11.53部に1,4−ジオキサン138.55部を加えて溶液とし、1時間掛けて滴下した。滴下終了後85℃で6時間保温した。冷却後反応液をメタノール1609部とイオン交換水402部の混合液に注いで重合物を沈殿ろ過した。得られたろ過物をメチルイソブチルケトン464.0に溶解し、この有機液に1%のp−トルエンスルホン酸水溶液312.46部を投入し6時間攪拌した。イオン交換水309部を用いて水洗及び分液を3回繰り返した。その有機層をn−ヘプタン2011部に注いで重合物を沈澱濾過した。重量平均分子量が約5.2×10の共重合体(樹脂A2)129.16部を得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有するものである。

【0174】
樹脂A3の合成
フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート19.59部を加え、窒素置換し75℃まで昇温した。モノマー(B)16.00部、モノマー(C)5.50部、モノマー(D)2.57部、モノマー(E)11.86部、モノマー(F)12.21部、アゾビスイソブチロニトリル0.72部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3.25部にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート57.76部を加えて溶液とし、1時間掛けて滴下した。滴下終了後75℃で5時間保温した。冷却後反応液をメタノール501部とイオン交換水125部の混合液に注いで重合物を沈殿ろ過した。得られたろ過物をメタノール313部の溶液に注いで重合物を沈澱濾過した。これを3回繰り返した。乾燥して重合物を得た。重量平均分子量が約5.8×10の共重合体(樹脂A3)39.10部を得た。この樹脂A3は、以下の構造単位を有するものである。

【0175】
化合物(I―46)の合成
ニコチン酸15.00部、メタノール225部を混ぜた中に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの39.3%メタノール溶液80.52部を加えた。室温で3時間撹拌した。この溶液を濃縮し41.20部の白い固体の化合物(I−46)を得た。
H−NMR(500.16MHz,DMSO−d)δ ppm:0.932(t,J=7.65Hz,12H),1.275−1.348(m,8H),1.539−1.571(m,8H)、3.133−3.177(m,8H)、7.254(q,J=3.80、1H),8.092(d,J=7.65、1H),8.433(d,J=3.05、1H),8.940(s,1H)
13C−NMR(125.77MHz,DMSO−d)δ ppm:13.446,19.199,23.089,57.563,122.401,135.831,136.061,148.885,150.558,166.760
【0176】
化合物(I―47)の合成
2−ヒドロキシニコチン酸20.00部、メタノール300部を混ぜた中に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの39.3%メタノール溶液94.92部を加えた。室温で3時間撹拌した。この溶液を濃縮し49.69部の化合物(I-47)を得た。
H−NMR(500.16MHz,DMSO−d)δ ppm:0.922(t,J=7.65Hz,12H),1.267−1.341(m,8H),1.538−1.600(m,8H)、3.164−3.198(m,8H)、6.621(q,j=4.55、1H),7.934(d,j=6.90、1H),7.997(d,j=5.35、1H)
13C−NMR(125.77MHz,DMSO−d)δ ppm:13.414,19.156,23.047,57.5320,112.915,114.536,138.059,150.119,168.758,169.668.
【0177】
化合物(I―52)の合成
キナルジン酸15.00部、メタノール225部を混ぜた中に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの39.3%メタノール溶液57.19部を加えた。室温で3時間撹拌した。この溶液を濃縮し37.44部の化合物(I-52)を得た。
H−NMR(500.16MHz,DMSO−d)δ ppm:0.916(t,J=7.65Hz,12H),1.287−1.345(m,8H),1.538−1.600(m,8H)、3.153−3.199(m,8H)、7.529(t,j=6.85、1H),7.696(t,j=6.85、1H),7.882(d,J=8.40、2H)、7.985(d、j=8.40、1H)、8.188(d、j=8.40、1H)
13C−NMR(125.77MHz,DMSO−d)δ ppm:13.436,19.199,23.089,57.553,121.460,125.822,127.338,127.432,128.740,129.273、134.911、146.960、159.700,168.496
【0178】
実施例及び比較例
表2に示すの各成分を表2に示す質量部で、下記に示す溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0179】
【表2】

【0180】
<樹脂>
A1〜A3:樹脂A1〜A3
<酸発生剤>
B1:

B2:

B3:

【0181】
<化合物(I)>
I―46:化合物(I―46)

I―47:化合物(I―47)

I―52:化合物(I―52)

【0182】
<塩基性化合物>
C1:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 400部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150部
γ−ブチロラクトン 5部
【0183】
レジスト組成物の電子線露光評価
シリコンウェハーを、ダイレクトホットプレート上にて、ヘキサメチルジシラザンを用いて90℃で60秒処理した上で、表2記載のレジスト組成物をプリベーク後の膜厚が0.04μmとなるようにスピンコートした。その後、ダイレクトホットプレート上にて、表2の「PB」欄記載の温度で60秒間プリベークして組成物層を形成した。こうして組成物層が形成されたそれぞれのウェハーに、電子線描画機〔(株)日立製作所製の「HL−800D 50keV」を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。露光後、ホットプレート上にて表2の「PEB」欄記載の温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行うことにより、レジストパターンを得た。
【0184】
解像度評価:得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、ラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。実効感度において、レジストパターンが50nm以下の線幅を解像しているものを○、50nmを超え55nm以下の線幅を解像しているものを△、55nmを超える線幅を解像しているものを×とした。結果を表3に示す。
【0185】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明のレジスト組成物によれば、優れた解像度を有するパターンを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸に不安定な基を有し、かつ酸の作用により分解しアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂と、酸発生剤と、式(I)で表される化合物とを含有するレジスト組成物。

[式(I)中、環Hは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の芳香族複素環を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。]
【請求項2】
(1)請求項1記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2013−92598(P2013−92598A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233616(P2011−233616)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】