レジスト膜形成装置、レジスト膜形成方法、金型原版製造方法
【課題】レジスト層から適正量の溶媒を揮発させて、露光後の正確なレジストパターンを実現するレジスト膜形成装置並びに方法を提供する。
【解決手段】基板を回転させながらレジスト4を滴下して回転延伸させ、基板2にレジスト4が塗布された試料を加熱する。このとき、計量部42により加熱されている試料の重量を計量する。そして、計量された試料の重量に基づいて、試料に塗布されたレジスト4から一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い基板2上にレジスト層Rnを成膜する工程を実行する。さらに、試料に成膜されたレジスト層Rn上にさらにレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、試料に複数のレジスト層を積層する。
【解決手段】基板を回転させながらレジスト4を滴下して回転延伸させ、基板2にレジスト4が塗布された試料を加熱する。このとき、計量部42により加熱されている試料の重量を計量する。そして、計量された試料の重量に基づいて、試料に塗布されたレジスト4から一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い基板2上にレジスト層Rnを成膜する工程を実行する。さらに、試料に成膜されたレジスト層Rn上にさらにレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、試料に複数のレジスト層を積層する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レジスト膜形成装置、レジスト膜形成方法、金型原版製造方法及び金型原版に関し、特にリソグラフィ技術を応用してレジスト膜に3次元のパターン加工を行い、そのパターンを元に金型原版の加工を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なリソグラフィの工程では、まず、スピンコーターで基板を回転(例えば3000rpm、20秒間)させて、基板上にレジストを均一に塗布する。次に、表面処理を施した平坦な金属プレート(ホットプレート)を使用してプリベークを行い、レジスト層内の溶媒(溶剤)を揮発させる。次に、DMD(デジタルミラーデバイス)等を搭載した露光装置によって所定パターンが形成されたマスクを介してレジスト層に光を照射する。次に、レジスト層が塗布された基板を現像液に浸し、レジスト層の露光されなかった部分を除去する。最後に、レジスト層内に浸透した現像液を揮発させる目的のためにポストベークを行う。
【0003】
ところで、3次元のリソグラフィ技術において、目的の物品の高さ方向の大きさ(例えば100μm)を大きくするためには、基板に厚膜のレジストを塗布する必要がある。この場合、図1に示すように、スピンコーター101を回転させながら基板102にレジスト103を塗布し、加熱した平坦な金属プレート(ホットプレート)を用いてプリベークを行う。この工程を繰り返すことによって、レジストの厚膜塗布が可能となる(図1右側参照)。図1の例では、基板102上に第1レジスト層R1から第20レジスト層R20が形成されている。
【0004】
このようにして形成した3次元形状のレジストパターンを利用して金型原版(マスター)を作成し、これを転写してレプリカを作成する。そして、レプリカを使って所望の部品を量産する。
【0005】
しかし、上述の方法を用いてレジストを繰り返し塗布した場合、図2に示すとおり、現像残りR´が発生してしまう。現像残りは、レジストの現像が不完全となって必要のない箇所にレジストが残る現象である。その原因として、最初に塗布したレジスト層が、その後のレジストの積層により過熱されてしまい、想定以上にレジスト層内の溶媒が揮発された結果、現像残りが発生することが考えられる。これに対し、最初に塗布したレジスト層に現像残りが発生することを抑えるために加熱を弱めた場合、最後に塗布したレジスト層(例えば第20レジスト層R20)が生乾き状態となってしまう。
【0006】
この問題を解決する手段としては、試料(基板)の周辺に土手を設けて、ヘラ状のスキージでレジストを擦り広げる方法が考えられる。しかし、この場合、加熱不足により、塗布した厚膜のレジスト層の中心部分で必要な溶媒の揮発が行われない。
【0007】
図3に、一例としてレジスト層内に9%を超える溶媒が残留した場合の露光後のぼけたパターンを示す。矩形状であるはずのレジストパターンP1の辺が歪んでおり、矩形の内部にもシワP1aのようなパターンが多数発生している。
【0008】
図4は、レジスト層内の溶媒が適正に揮発した場合の露光後のファインパターンを示している。全体としてレジスト層内の溶媒を適正なレベル(例えば9%以下)まで揮発した場合、図4に示すような、歪みのない矩形状のレジストパターンP2が得られる。
【0009】
ウェーハ上に正確なパターンの微細構造体を形成する技術として、例えば、特許文献1には、ウェーハ上に形成された微細構造体のパターンを崩壊させることなく乾燥処理を行えるようにした、微細構造体の処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−130685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
リソグラフィ技術を応用して、特に3次元形状を形成する際、高さ方向に従来の半導体やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で実施された範囲を大きく超える領域でのレジストの厚膜塗布が必要である。そのためには、各レジスト層の形成、積層の工程において、さらに精密な露光形状を必要とされる。
【0012】
本開示は、上記の状況を考慮してなされたものであり、レジスト層から適正量の溶媒を揮発させて、露光後の正確なレジストパターンを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一側面において、基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させ、基板にレジスト4塗布された試料を加熱する。このとき、計量部により加熱されている試料の重量を計量する。そして、計量された試料の重量に基づいて、試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い基板上にレジスト層を成膜する工程を実行する。さらに、試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、試料に複数のレジスト層を積層することにより厚膜のレジスト膜を形成する。
【0014】
本開示の一側面によれば、積層する各レジスト層の溶媒の揮発量を個別に管理しながら加熱を実行できるので、各レジスト層から適正量の溶媒を揮発させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一側面によれば、レジスト層の溶媒の揮発量を管理しながらレジスト層を積層することにより、各レジスト層から適正量の溶媒を揮発させて、露光後の正確なレジストパターンを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のリソグラフィ工程の概略を示す説明図である。
【図2】現像残りの説明図である。
【図3】レジスト層の溶媒の揮発量が不適切な場合におけるレジストパターンの一例を示す概略平面図である。
【図4】レジスト層の溶媒の揮発量が適切な場合におけるレジストパターンの一例を示す概略平面図である。
【図5】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法を利用した金型原版製造方法の概要を示す説明図である。
【図6】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成装置の構成例を示す説明図である。
【図7】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法を用いて生成された試料の膜厚測定箇所の例を示す平面図である。
【図8】本開示の一実施形態における試料の膜厚を測定した結果を示すグラフである。
【図9】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法のベーク時間と溶媒残量との関係の一例を示すグラフである。
【図10】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法により生成されたレジスト膜の一例を示す断面図である。
【図11】A〜Cは、従来の加工技術を用いて生成された金型原版の表面を撮影した写真例であり、Aは螺旋加工、Bはライン走査送り加工、Cは非球面加工旋盤によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示を実施するための形態の例(以下、「本例」ともいう)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0018】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.一実施形態(オーブン室:計量器を備える例)
2.その他
【0019】
<1.一実施形態>
以下、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法を利用した金型原版製造方法を説明する。
【0020】
[金型原版製造方法]
図5は、本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法を利用した金型原版製造方法の概要を示す説明図である。
本開示の一実施形態における金型原版製造方法には、大きく分けて、レジスト塗布工程、加熱工程、露光工程、現像工程及び転写工程があり、塗布工程と加熱工程を繰り返し行うことによって基板へのレジストの厚膜塗布を実現している。
【0021】
(レジスト塗布工程)
スピンコーター1を利用してガラスなどの基板2を水平面で回転(一例として1000rpm、20秒間)させながらレジスト4を滴下して回転延伸させ、試料上にレジストを均一に塗布する工程である。スピンコーター1は塗布部5の一要素である。
このレジスト塗布工程において、基板2の周囲もしくは基板2の上面かつ外周部に土手部3(壁)を設けることが望ましい。土手部3を設けることにより、塗布後に径方向に延伸したレジストの円周部が土手部3に接触及び係止され、レジストの厚膜塗布が可能となる。一例としてフッ素樹脂のポリ四フッ化エチレンである所謂テフロン(登録商標)を用いて、高さ0.6mmの土手部3を設ける。
【0022】
レジスト4は、パターン形成に必要な、光や電子線などの光量子に対して感光性を持つ材料であればよい。一例として、本例では、光、X線又は電子ビームの照射により、現像液に不溶性又は難溶性となり、現像後まで基板表面に残る特性を持つネガ型レジストを用いる。目的の形状に応じて逆の特性を持つポジ型レジストを適宜用いることも可能である。
【0023】
(加熱工程)
レジスト4が塗布された基板2、すなわち試料をオーブンなど箱型の加熱部6で加熱する工程(ベークとも呼ばれる)である。箱形の閉じた空間を持つ加熱部6で加熱することにより、熱せられた空気と試料から発生する蒸気を箱内に閉じ込め、レジスト層の過熱や溶剤の蒸発し過ぎを防止して、溶剤の揮発量の調節が容易になる。本例では、一つのレジスト層を100℃で5分間加熱する。
この加熱工程において、加熱されている試料の重量を計量する。そして、計量された試料の重量に基づいて、試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い、基板2上にレジスト層Rnを成膜する。この計量と計量結果に基づく制御を行うことが、本開示の大きな特徴である。計量方法については、図6を参照して後述する。
なお、この加熱工程においても、試料に土手部3が設けてあることにより、径方向に延伸したレジストの周縁部が土手部3に接触及び係止され、熱で流れだすことを防止し、レジストの厚膜塗布が可能となる。
【0024】
上記のレジスト塗布工程と加熱工程を所定回数繰り返して試料にレジスト層を積層し、基板2上に複数のレジスト層からなるレジスト膜Rを目的の厚さに形成する。
【0025】
(露光工程)
複数のレジスト層Rnが積層されてなるレジスト膜Rに、露光量の部分的な制御のために半透過部を持たせたマスクを介して光を照射する工程である。
例えば、DMD(デジタルミラーデバイス)等を搭載した露光装置によって、所定パターンが形成されたマスク7を介してレジスト層が積層されたレジスト膜Rに光源8の光を照射する。マスク7には、レジスト膜Rを3次元加工するために半透過部を有するグレートーンマスクあるいはハーフトーンマスクと呼ばれるものを使用する。
【0026】
(現像工程)
露光後の試料を現像してレジスト膜Rに、3次元の所定パターンを形成する工程である。
例えば、露光した試料を現像液に浸し、レジスト膜の露光されなかった部分を除去する。一般に、現像後に、レジスト膜R内に浸透した現像液をリンス液で洗い流す処理や、付着した現像液やリンス液を揮発させる目的のためにポストベークと呼ばれる加熱処理が行われることが多い。本開示においても、リンス液による洗浄やポストベークを行ってもよい。
【0027】
上記現像工程が終了すると、3次元の所定パターンを形成した金型原版が得られる。この金型原版の3次元の所定パターンを樹脂等に転写してレプリカ(金型)を作製する。
【0028】
[レジスト膜形成装置の構成例]
次に、金型原版製造工程におけるレジスト塗布工程及び加熱工程を実行し、レジスト膜を形成するレジスト膜形成装置について説明する。
図6は、本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成装置の構成例を示す説明図である。
本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成装置10は、レジストを塗布するスピンコーター室20、搬送室30、試料を加熱するオーブン室40の3つの空間から構成される。
【0029】
スピンコーター室20には、塗布部5として、スピンコーター1と、試料の上面からレジスト4を塗布するためのレジスト供給部(ノズル24)が具備されている。スピンコーター室20の下部にスピンコーター1(回転部の一例)の回転ステージがあり、回転ステージの上面には搬送トレイ22が配置されている。試料を搬送トレイ22に載置した状態で回転し、ノズル24よりレジスト4を滴下する。搬送トレイ22及び基板2の上面には、レジスト4の厚塗りを可能とするスピンカップ23が、スピンコーター1の回転によっても位置ずれしないよう設置されている。
【0030】
スピンカップ23は、土手部3と同機能を有し、一例として基板2と対向する側の底部が存在しない、円筒状(もしくは円錐状)の容器である。スピンカップ23の形状は、塗布中の排気やレジストの跳ね返り、後の加熱時に発生する蒸気の対流(加熱効率や品質)などを考慮してある。スピンカップ23は、基板2の上面に設けられ、円筒状の筒部(もしくは円錐状の円錐面)の下面が基板2の上面の外周部付近に位置している。
このスピンカップ23の下面には、接着剤23sが塗布されており、この下面と基板2の上面が密着している。それにより、試料とスピンカップ23との隙間からレジストが漏れ出ることを防止している。また、スピンカップの上面には蓋部が設けられ、この蓋部におけるレジスト4の滴の落下コースに当たる部分にレジスト滴通過用の穴23hが形成されている。
【0031】
スピンコーター室20とオーブン室40の中間には、搬送室30が設けられている。搬送室30内には、試料、スピンカップ23及び搬送トレイ22の3点を同時に搬送するための搬送部31が存在する。搬送部31は、搬送ロボット32を有し、搬送ロボット32の第1アーム33と第2アーム34を移動させて搬送トレイ22を、スピンコーター室20とオーブン室40間で搬送する。
【0032】
オーブン室40には、試料を加熱するための加熱部6を有する。本例では、一例として加熱部6にオーブンを適用している。オーブンは、熱せられた空気と試料から発生する蒸気をその内部に閉じ込め、レジスト層の過熱や溶剤の蒸発し過ぎを防止して、溶剤の揮発量の調節を容易にする。
加熱部6の下側には、試料に塗布したレジスト内の溶媒の揮発量を測定するために、試料の重量を計量する計量器42(計量部の一例)が設けられている。計量器42はその上面が水平となるように設置されている。さらに、加熱中に試料の水平が維持できるために計量器42の下側に、精密な水平度の維持を行う水平器43(水平度維持部の一例)が設けてある。
【0033】
スピンコーター室29と搬送室30、及び搬送室30とオーブン室40との間には、それぞれ仕切り部として、第1シャッター21及び第2シャッター41が存在する。
スピンコーター室20と搬送室30間にある第1シャッター21は、スピンコーター室20で塗布したレジストが搬送室30内の搬送ロボット32へ飛散することを防止するためのものである。
また、搬送室30とオーブン室40間にある第2シャッター41は、オーブン室40からの温風がスピンコーター室20へ流入することにより、スピンコーター室20内の試料が加熱されてレジストから溶媒が揮発するのを防止するために設けられている。
【0034】
レジスト膜形成装置10は、スピンコーター室20、搬送室30及びオーブン室40が備えるこれらの各設備の動作を制御するための制御装置50を備える。
制御装置50は、塗布部5のレジスト供給動作を制御する供給制御回路52、スピンコーター1の回転動作を制御する回転駆動回路53、第1及び第2シャッター21,41の開閉動作を制御する開閉駆動回路54、並びに搬送ロボット32の搬送動作を制御する搬送駆動回路55、加熱部6の加熱動作を制御する加熱制御回路56を備える。
また計量器42から入力されるアナログ信号の測定データをデジタル信号に変換して出力するアナログ−デジタル変換回路(以下、「ADC」と記す。)57、及びレジスト層から揮発する溶媒の許容量の閾値を記憶する不揮発性のメモリ素子58(記憶部の一例)を備える。なお、揮発性のメモリ素子を使用する場合は、制御装置50を稼動するたびに予め閾値をメモリ素子に記憶させる必要がある。メモリ素子58には、レジスト塗布条件、レジスト加熱条件、溶媒の揮発量の閾値などが記憶されている。
【0035】
さらに、これらの各回路52〜57やメモリ素子58に制御信号を出力したり、データの入出力を行ったりし、各回路52〜57やメモリ素子58の動作の制御及び演算を実行する制御部51を備える。制御部51は、例えばMPU(Micro-Processing Unit)などの演算処理装置が適用され、メモリ素子58に記憶されたプログラムやデータに基づいて、目的とする制御及び演算を実行する。
【0036】
[レジスト膜形成方法]
まず、スピンコーター室20において、スピンコーター1の回転ステージの上に設置された搬送トレイ22に基板2を配置する。
【0037】
制御部51は、監視員の手動入力による信号もしくはセンサ(図示略)から出力される信号を検出して、搬送トレイ22に基板2が配置されたことを確認した後、メモリ素子58に記憶されたプログラムに従って供給制御回路52に制御信号を出力する。供給制御回路の制御の下、レジスト供給部のノズル24から適量のレジスト4を供給する。ノズル24から供給されたレジスト4は、スピンカップ23の上面(蓋部)に形成されたレジスト供給用の穴23hを通過して、基板2に滴下される。
【0038】
基板2にレジスト4を滴下した後、制御部51は、回転駆動回路53に制御信号を出力し、スピンコーター1の回転ステージを回転させる。スピンコーター1の回転ステージを所定の回転数で数十秒間、例えば1000rpmで20秒間回転させる。基板2に滴下されたレジスト4は、回転の遠心力により径方向に延伸し、基板2上に第1のレジスト層が均一に塗布される(初回のレジスト塗布工程)。
【0039】
スピンコーター1の回転数が大きいほど、回転延伸後のレジスト層の膜厚が薄くなる。一般に、膜厚が薄いほど、加熱処理時の管理がしやすいとされる。一方、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法によれば、積層する各レジスト層の溶媒の揮発量を管理しながら加熱・成膜するので、従来よりも膜厚の薄いレジスト層でも均一性のよいレジスト層を成膜することができる。したがって、スピンコーター1の回転数を例えば1000rpmに下げ、一つのレジスト層の膜厚を厚くしてレジスト膜を構成するレジスト層の層数を少なく抑えられる。それゆえ、レジスト層の成膜工程(塗布工程、加熱工程)が減り、レジスト膜形成時間及び金型原版製造時間を短縮できる。
【0040】
第1層のレジスト層を塗布した後、制御部51は、スピンコーター1の回転を停止させ、開閉駆動回路54に制御信号を出力し、第1及び第2シャッター21,41を順次開ける。そして、搬送駆動回路55に制御信号を出力して搬送ロボット32を制御し、スピンコーター室20にある第1のレジスト層が塗布された基板2(試料)が載置された搬送トレイ22を、搬送室30を経由してオーブン室40へ搬送し、計量器42の上面に載置する。搬送ロボット32の第1及び第2アーム33,34が搬送室30側へ戻った後、第2シャッター41が閉じられる。このときスピンコーター室20への温風の流入を防止する目的で、第1シャッター21を第2シャッター41に優先して閉じるとよい。
【0041】
制御部51は、計量器42からの出力信号を検出するなどして、試料を載せた搬送トレイ22がオーブン室40の計量器42に配置されたことを確認した後、計量器42から加熱前(加熱直後)の試料の重量を測定したデータを取得する。その後、制御部51は、メモリ素子58に記憶されたプログラムに従って加熱制御回路56に制御信号を出力し、試料を一定温度で加熱する。計量器42は、試料の加熱中、試料の重量を測定したデータを、定期的にADC57を通じて制御部51へ供給する(初回の加熱工程)。なお、制御部51は、試料がオーブン室40へ搬送されるまでに、オーブン室40内の環境を加熱時と同じ状態にしておくとよい。
【0042】
制御部51は、加熱前の試料の重量と加熱中の試料の重量から、第1のレジスト層の溶媒の揮発量を随時計算し、その結果をメモリ素子58に記憶された第1のレジスト層の揮発量の閾値と比較する。
【0043】
第1のレジスト層の溶媒の揮発量が規定の溶媒の揮発量に達している場合、制御部51は、開閉駆動回路54及び搬送駆動回路55へ制御信号を出力し、第2シャッター41を開ける。そして、搬送ロボット32により試料が載置された搬送トレイ22を搬送室30へ搬送し、第2シャッター41を閉じる。次に、制御部51は、第1シャッター21を開けさせ、搬送トレイ22をスピンコーター室20へ再度搬送し、スピンコーター1の回転ステージの上に配置し、第1シャッター21を閉じる。
【0044】
制御部51は、供給制御回路52及び回転駆動回路53を制御し、試料すなわち基板2の第1のレジスト層の上に、さらに第2のレジスト層を均一に塗布する(2回目のレジスト塗布工程)。レジスト層を重ねても、試料上に固定されたスピンカップによって、レジストの厚膜塗布が可能となる。
【0045】
試料に第2のレジスト層を塗布後、制御部51は、開閉駆動回路54及び搬送駆動回路55を制御し、第2のレジスト層が塗布された試料が載置された搬送トレイ22をオーブン室40へ搬送し、上記の加熱処理を再度実行する(2回目の加熱処理)。
【0046】
そして、制御部51は、加熱前の試料の重量と加熱中の試料の重量から、第2のレジスト層の溶媒の揮発量を随時計算し、その結果をメモリ素子58に記憶された第2のレジスト層の揮発量の閾値と比較する。
【0047】
第2のレジスト層の溶媒の揮発量が規定の溶媒の揮発量に達している場合、制御部51は、試料を載せた搬送トレイ22をオーブン室40からスピンコーター室20へ搬送し、試料に第3のレジスト層の塗布を行う。また、第3のレジスト層を塗布後、試料を載せた搬送トレイ22をスピンコーター室20からオーブン室40へ搬送し、試料の加熱を行う。そして、制御部51は、加熱前の試料の重量と加熱中の試料の重量から、第3のレジスト層の溶媒の揮発量を随時計算し、その結果をメモリ素子58に記憶された第3のレジスト層の揮発量の閾値と比較し、比較結果に応じて次の制御を行う。このようなレジスト塗布工程と加熱工程を繰り返し実行することにより、目標の層数となるまで試料にレジスト層を積層し、レジストの溶媒の残存量が適量に調整された厚膜のレジスト膜Rを形成する(3回目以降のレジスト塗布工程及び加熱工程)。
【0048】
試料に厚膜のレジスト膜Rを形成した後、図5に示したように、複数のレジスト層が積層されてなるレジスト膜Rに、露光量の部分的な制御のために半透過部を持たせたマスク7を介して光を照射する(露光工程)。
【0049】
そして、露光後の試料を現像液に浸して現像する(現像工程)。現像が完了すると、レジスト膜Rに3次元の所定パターンを形成した金型原版が得られる。
【0050】
この3次元の所定パターンの構造を持つ金型原版を加熱し、それを樹脂等に押し当てて樹脂に3次元の所定パターンの構造を転写することでレプリカ(金型)を作製する。このレプリカを用いて成形品の生産を行う。
【0051】
[金型原版についての測定データ]
以下、本開示による方法で製造された金型原版についての測定データを元に、本開示の一実施形態による効果を説明する。
【0052】
図7は、ある試料についてレジスト膜の膜厚を測定した箇所を示している。図8は、その試料についてレジスト膜の膜厚を測定した結果を示すグラフである。
図7に示す試料61は、本開示のレジスト膜形成方法を用いてレジスト膜を形成した試料を、一例として矩形に切り出したものである。この例では、矩形の長手方向に沿った4箇所(地点1〜4)の膜厚を測定している。この測定データを、図8に示すように、横軸に測定箇所、縦軸に膜厚をとり、従来の手法による測定データとともにプロットした。
【0053】
図8に示すように、従来の手法(改善前:破線)では、測定箇所によってレジスト膜の膜厚に約78μmの差があったが、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法(改善後:実線)では、例えば500μm厚のレジスト膜の膜厚の差が約12μmと大幅に改善されている。これは、複数のレジスト層が積層されてなるレジスト膜の膜厚が、測定箇所に関わらずほぼ均一であることを示している。
【0054】
図9は、試料に対するベーク時間(分)と溶媒残量(%)の関係を示したグラフである。
ベーク時間は、レジスト層ごとの加熱時間を積算した時間である。図9の例では、あるレジストを用いてレジスト膜を形成したときの加熱処理の積算時間が40分を超えると、溶媒残量が9%以下に減少し、溶媒残りが発生しないという結果が得られた。
【0055】
図10は、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法により形成されたレジスト膜の一例の断面図である。
図10に示すように、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法によりを用いることにより、500μmの厚みを持つレジスト膜Rの膜厚を均一に形成することができている。
【0056】
図11A〜Cは、従来の加工技術(機械加工)を用いて生成された金型原版の表面を撮影した写真例であり、図11Aは螺旋加工による加工表面、図11Aはライン走査送りによる加工表面、図11Cは非球面加工旋盤を用いた加工表面を示している。
図11A〜図11Cの例では、いずれも金型原版表面に明部71と暗部72の繰り返しが出現していることから、表面が平坦ではないことがわかる。これに対し、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法によれば、図10に示すように厚膜(例えば500μm)であっても均一性の高いレジスト膜が形成されるので、試料(金型原版)の表面を精度よく平坦にすることができる。
【0057】
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、レジスト層の溶媒の揮発量を管理しながらレジスト層を積層することにより、各レジスト層において均一な溶媒の揮発量を確保できる。それゆえ、露光後のレジスト膜にクリアなパターン形成が実現され、また露光後の現像において現像残りが発生しない。したがって、従来(例えば100μm)と比較して、積層後のレジスト膜が厚膜(例えば500μm)であっても均一性及び品質の高いレジスト膜を形成できる。
また、オーブン室においてオーブン加熱を実施したことのより、最下層もしくはこれに近い層のレジスト層の過熱が抑制され、現像残りが発生せず、品質のよいレジスト膜を形成できる。
さらに、オーブン室内の加熱部の下側に、精密に水平度を維持する水平器を設置したことにより、加熱時に水平度を確保して、塗布後のレジストの面内均一性を良好にすることができる。
【0058】
<2.その他>
上述の一実施形態に係るレジスト膜形成方法において、複数のレジスト層を構成する各レジスト層の溶媒の揮発量の閾値を一定値としてもよいが、図1のように早い段階で成膜されたレジスト層は加熱機会が増え溶媒の揮発量が多くなる傾向にあることを反映して、レジスト層ごとに閾値を異ならせてもよい。一例として、早い段階で成膜されるレジスト層の溶媒の揮発量の閾値を小さく設定し、遅い段階で成膜されるレジスト層の溶媒の揮発量の閾値を順次大きくして目標とするレジスト膜全体の揮発量に近づける又は同じ値に設定する。このように、レジスト層ごとに段階的に揮発量の閾値を適切に設定した場合、レジスト層の加熱を個別に調整して残存する溶媒を適切な量に調整することができる。それゆえ、複数のレジスト層から形成したレジスト膜の現像残りの防止に繋がり、金型原版の品質向上が図られる。
【0059】
また、図6に示すレジスト膜形成装置においては、1室のスピンコーター室20と1室のオーブン室40を設け、搬送部31により搬送トレイ22がこれらの間を往復するように構成することによって、レジスト膜の厚膜化を実現している。さらに、積層する層分のスピンコーター室20とオーブン室40を設けて、シリアルな成膜工程(ライン工程)を実行するようにしてもよい。
【0060】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させる塗布部と、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱する加熱部と、
前記加熱部で加熱されている前記試料の重量を計量する計量部と、
前記計量部により計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで前記加熱部に加熱を行わせ前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行し、さらに、前記塗布部と前記加熱部を同様に制御して前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層する制御を行う制御部と、
を有するレジスト膜形成装置。
(2)
形成する前記レジスト膜のうち、最下層のレジスト層から最上層のレジスト層にかけて前記溶媒の揮発量の閾値を大きい値に設定し、前記制御部は、各レジスト層の溶媒の揮発量が対応する閾値に達するまで前記加熱部による加熱を行うよう制御する
前記(1)に記載のレジスト膜形成装置。
(3)
前記試料が前記加熱部で加熱されているときに前記試料の水平度を維持する水平度維持部、をさらに有する
前記(1)又は(2)に記載のレジスト膜形成装置。
(4)
前記加熱部は、閉じた空間に前記試料を閉じ込めて加熱する
前記(1)〜(3)のいずれかに記載のレジスト膜形成装置。
(5)
前記塗布部の回転ステージ上に配置されて前記試料を上面に載置する搬送トレイと、
前記塗布部と前記加熱部との間で前記試料を載置した状態の前記搬送トレイを搬送する搬送部と、をさらに有する
前記(1)〜(4)のいずれかに記載のレジスト膜形成装置。
(6)
前記基板の上面かつ外周部付近に円筒状の容器、が設けられる
前記(1)〜(5)のいずれかに記載のレジスト膜形成装置。
(7)
前記円筒状の容器の下面に粘着剤が塗布され、前記円筒状の容器の下面と前記基板の上面とが密着している
前記(6)に記載のレジスト膜形成装置。
(8)
前記塗布部が配置された空間と前記搬送部が配置された空間を仕切るための第1仕切り部と、
前記搬送部が配置された空間と前記加熱部が配置された空間を仕切るための第2仕切り部と、をさらに有し、
前記制御部は少なくとも、前記塗布部によるレジスト塗布中は第1仕切り部を閉じ、前記加熱部による加熱中は第2仕切り部を閉じるように制御する
前記(1)〜(7)のいずれかに記載のレジスト膜形成装置。
(9)
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させることと、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱することと、
加熱されている前記試料の重量を計量することと、
計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行することと、
さらに、前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層すること
を含むレジスト膜形成方法。
(10)
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させること、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱すること、
加熱されている前記試料の重量を計量すること、
計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行すること、
さらに、前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層すること、
前記複数のレジスト層からなるレジスト膜に、半透過部を有するマスクを介し光を照射して露光すること、
露光後の前記試料を現像して前記レジスト膜に所定パターンを形成すること、
を含む金型原版製造方法。
【0061】
なお、上述した一実施形態例における一連の処理は、ハードウェアにより実行することができるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種の機能を実行するためのプログラムをインストールしたコンピュータにより、実行可能である。例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに所望のソフトウェアを構成するプログラムをインストールして実行させればよい。
【0062】
また、上述した一実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給してもよい。また、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはMPU及びCPU等の演算制御装置)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、機能が実現されることは言うまでもない。
【0063】
この場合のプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0064】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現される。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行う。その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0065】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0066】
以上、本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、応用例を取り得ることは勿論である。
すなわち、上述した各実施形態の例は、本開示の好適な具体例であるため、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本開示の技術範囲は、各説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。例えば、以下の説明で挙げる使用材料とその使用量、処理時間、処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係も概略的なものである。
【符号の説明】
【0067】
1…スピンコーター、2…基板、3…土手部(壁)、4…レジスト、5…塗布部、6…加熱部、7…マスク、8…光源、10…レジスト膜形成装置、20…スピンコーター室、21…第1シャッター、22…搬送トレイ、23…スピンカップ、23h…穴、24…ノズル、30…搬送室、31…搬送部、32…搬送ロボット、33…第1アーム、34…第2アーム、40…オーブン室、41…第2シャッター、42…計量器、43…水平器、50…制御装置、51…制御部、52…供給制御回路、53…回転駆動回路、54…開閉駆動回路、55…搬送駆動回路、56…加熱制御回路、57…ADC、58…メモリ、71…明部、72…暗部
【技術分野】
【0001】
本開示は、レジスト膜形成装置、レジスト膜形成方法、金型原版製造方法及び金型原版に関し、特にリソグラフィ技術を応用してレジスト膜に3次元のパターン加工を行い、そのパターンを元に金型原版の加工を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なリソグラフィの工程では、まず、スピンコーターで基板を回転(例えば3000rpm、20秒間)させて、基板上にレジストを均一に塗布する。次に、表面処理を施した平坦な金属プレート(ホットプレート)を使用してプリベークを行い、レジスト層内の溶媒(溶剤)を揮発させる。次に、DMD(デジタルミラーデバイス)等を搭載した露光装置によって所定パターンが形成されたマスクを介してレジスト層に光を照射する。次に、レジスト層が塗布された基板を現像液に浸し、レジスト層の露光されなかった部分を除去する。最後に、レジスト層内に浸透した現像液を揮発させる目的のためにポストベークを行う。
【0003】
ところで、3次元のリソグラフィ技術において、目的の物品の高さ方向の大きさ(例えば100μm)を大きくするためには、基板に厚膜のレジストを塗布する必要がある。この場合、図1に示すように、スピンコーター101を回転させながら基板102にレジスト103を塗布し、加熱した平坦な金属プレート(ホットプレート)を用いてプリベークを行う。この工程を繰り返すことによって、レジストの厚膜塗布が可能となる(図1右側参照)。図1の例では、基板102上に第1レジスト層R1から第20レジスト層R20が形成されている。
【0004】
このようにして形成した3次元形状のレジストパターンを利用して金型原版(マスター)を作成し、これを転写してレプリカを作成する。そして、レプリカを使って所望の部品を量産する。
【0005】
しかし、上述の方法を用いてレジストを繰り返し塗布した場合、図2に示すとおり、現像残りR´が発生してしまう。現像残りは、レジストの現像が不完全となって必要のない箇所にレジストが残る現象である。その原因として、最初に塗布したレジスト層が、その後のレジストの積層により過熱されてしまい、想定以上にレジスト層内の溶媒が揮発された結果、現像残りが発生することが考えられる。これに対し、最初に塗布したレジスト層に現像残りが発生することを抑えるために加熱を弱めた場合、最後に塗布したレジスト層(例えば第20レジスト層R20)が生乾き状態となってしまう。
【0006】
この問題を解決する手段としては、試料(基板)の周辺に土手を設けて、ヘラ状のスキージでレジストを擦り広げる方法が考えられる。しかし、この場合、加熱不足により、塗布した厚膜のレジスト層の中心部分で必要な溶媒の揮発が行われない。
【0007】
図3に、一例としてレジスト層内に9%を超える溶媒が残留した場合の露光後のぼけたパターンを示す。矩形状であるはずのレジストパターンP1の辺が歪んでおり、矩形の内部にもシワP1aのようなパターンが多数発生している。
【0008】
図4は、レジスト層内の溶媒が適正に揮発した場合の露光後のファインパターンを示している。全体としてレジスト層内の溶媒を適正なレベル(例えば9%以下)まで揮発した場合、図4に示すような、歪みのない矩形状のレジストパターンP2が得られる。
【0009】
ウェーハ上に正確なパターンの微細構造体を形成する技術として、例えば、特許文献1には、ウェーハ上に形成された微細構造体のパターンを崩壊させることなく乾燥処理を行えるようにした、微細構造体の処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−130685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
リソグラフィ技術を応用して、特に3次元形状を形成する際、高さ方向に従来の半導体やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で実施された範囲を大きく超える領域でのレジストの厚膜塗布が必要である。そのためには、各レジスト層の形成、積層の工程において、さらに精密な露光形状を必要とされる。
【0012】
本開示は、上記の状況を考慮してなされたものであり、レジスト層から適正量の溶媒を揮発させて、露光後の正確なレジストパターンを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一側面において、基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させ、基板にレジスト4塗布された試料を加熱する。このとき、計量部により加熱されている試料の重量を計量する。そして、計量された試料の重量に基づいて、試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い基板上にレジスト層を成膜する工程を実行する。さらに、試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、試料に複数のレジスト層を積層することにより厚膜のレジスト膜を形成する。
【0014】
本開示の一側面によれば、積層する各レジスト層の溶媒の揮発量を個別に管理しながら加熱を実行できるので、各レジスト層から適正量の溶媒を揮発させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一側面によれば、レジスト層の溶媒の揮発量を管理しながらレジスト層を積層することにより、各レジスト層から適正量の溶媒を揮発させて、露光後の正確なレジストパターンを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のリソグラフィ工程の概略を示す説明図である。
【図2】現像残りの説明図である。
【図3】レジスト層の溶媒の揮発量が不適切な場合におけるレジストパターンの一例を示す概略平面図である。
【図4】レジスト層の溶媒の揮発量が適切な場合におけるレジストパターンの一例を示す概略平面図である。
【図5】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法を利用した金型原版製造方法の概要を示す説明図である。
【図6】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成装置の構成例を示す説明図である。
【図7】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法を用いて生成された試料の膜厚測定箇所の例を示す平面図である。
【図8】本開示の一実施形態における試料の膜厚を測定した結果を示すグラフである。
【図9】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法のベーク時間と溶媒残量との関係の一例を示すグラフである。
【図10】本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法により生成されたレジスト膜の一例を示す断面図である。
【図11】A〜Cは、従来の加工技術を用いて生成された金型原版の表面を撮影した写真例であり、Aは螺旋加工、Bはライン走査送り加工、Cは非球面加工旋盤によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示を実施するための形態の例(以下、「本例」ともいう)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0018】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.一実施形態(オーブン室:計量器を備える例)
2.その他
【0019】
<1.一実施形態>
以下、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法を利用した金型原版製造方法を説明する。
【0020】
[金型原版製造方法]
図5は、本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成方法を利用した金型原版製造方法の概要を示す説明図である。
本開示の一実施形態における金型原版製造方法には、大きく分けて、レジスト塗布工程、加熱工程、露光工程、現像工程及び転写工程があり、塗布工程と加熱工程を繰り返し行うことによって基板へのレジストの厚膜塗布を実現している。
【0021】
(レジスト塗布工程)
スピンコーター1を利用してガラスなどの基板2を水平面で回転(一例として1000rpm、20秒間)させながらレジスト4を滴下して回転延伸させ、試料上にレジストを均一に塗布する工程である。スピンコーター1は塗布部5の一要素である。
このレジスト塗布工程において、基板2の周囲もしくは基板2の上面かつ外周部に土手部3(壁)を設けることが望ましい。土手部3を設けることにより、塗布後に径方向に延伸したレジストの円周部が土手部3に接触及び係止され、レジストの厚膜塗布が可能となる。一例としてフッ素樹脂のポリ四フッ化エチレンである所謂テフロン(登録商標)を用いて、高さ0.6mmの土手部3を設ける。
【0022】
レジスト4は、パターン形成に必要な、光や電子線などの光量子に対して感光性を持つ材料であればよい。一例として、本例では、光、X線又は電子ビームの照射により、現像液に不溶性又は難溶性となり、現像後まで基板表面に残る特性を持つネガ型レジストを用いる。目的の形状に応じて逆の特性を持つポジ型レジストを適宜用いることも可能である。
【0023】
(加熱工程)
レジスト4が塗布された基板2、すなわち試料をオーブンなど箱型の加熱部6で加熱する工程(ベークとも呼ばれる)である。箱形の閉じた空間を持つ加熱部6で加熱することにより、熱せられた空気と試料から発生する蒸気を箱内に閉じ込め、レジスト層の過熱や溶剤の蒸発し過ぎを防止して、溶剤の揮発量の調節が容易になる。本例では、一つのレジスト層を100℃で5分間加熱する。
この加熱工程において、加熱されている試料の重量を計量する。そして、計量された試料の重量に基づいて、試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い、基板2上にレジスト層Rnを成膜する。この計量と計量結果に基づく制御を行うことが、本開示の大きな特徴である。計量方法については、図6を参照して後述する。
なお、この加熱工程においても、試料に土手部3が設けてあることにより、径方向に延伸したレジストの周縁部が土手部3に接触及び係止され、熱で流れだすことを防止し、レジストの厚膜塗布が可能となる。
【0024】
上記のレジスト塗布工程と加熱工程を所定回数繰り返して試料にレジスト層を積層し、基板2上に複数のレジスト層からなるレジスト膜Rを目的の厚さに形成する。
【0025】
(露光工程)
複数のレジスト層Rnが積層されてなるレジスト膜Rに、露光量の部分的な制御のために半透過部を持たせたマスクを介して光を照射する工程である。
例えば、DMD(デジタルミラーデバイス)等を搭載した露光装置によって、所定パターンが形成されたマスク7を介してレジスト層が積層されたレジスト膜Rに光源8の光を照射する。マスク7には、レジスト膜Rを3次元加工するために半透過部を有するグレートーンマスクあるいはハーフトーンマスクと呼ばれるものを使用する。
【0026】
(現像工程)
露光後の試料を現像してレジスト膜Rに、3次元の所定パターンを形成する工程である。
例えば、露光した試料を現像液に浸し、レジスト膜の露光されなかった部分を除去する。一般に、現像後に、レジスト膜R内に浸透した現像液をリンス液で洗い流す処理や、付着した現像液やリンス液を揮発させる目的のためにポストベークと呼ばれる加熱処理が行われることが多い。本開示においても、リンス液による洗浄やポストベークを行ってもよい。
【0027】
上記現像工程が終了すると、3次元の所定パターンを形成した金型原版が得られる。この金型原版の3次元の所定パターンを樹脂等に転写してレプリカ(金型)を作製する。
【0028】
[レジスト膜形成装置の構成例]
次に、金型原版製造工程におけるレジスト塗布工程及び加熱工程を実行し、レジスト膜を形成するレジスト膜形成装置について説明する。
図6は、本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成装置の構成例を示す説明図である。
本開示の一実施形態におけるレジスト膜形成装置10は、レジストを塗布するスピンコーター室20、搬送室30、試料を加熱するオーブン室40の3つの空間から構成される。
【0029】
スピンコーター室20には、塗布部5として、スピンコーター1と、試料の上面からレジスト4を塗布するためのレジスト供給部(ノズル24)が具備されている。スピンコーター室20の下部にスピンコーター1(回転部の一例)の回転ステージがあり、回転ステージの上面には搬送トレイ22が配置されている。試料を搬送トレイ22に載置した状態で回転し、ノズル24よりレジスト4を滴下する。搬送トレイ22及び基板2の上面には、レジスト4の厚塗りを可能とするスピンカップ23が、スピンコーター1の回転によっても位置ずれしないよう設置されている。
【0030】
スピンカップ23は、土手部3と同機能を有し、一例として基板2と対向する側の底部が存在しない、円筒状(もしくは円錐状)の容器である。スピンカップ23の形状は、塗布中の排気やレジストの跳ね返り、後の加熱時に発生する蒸気の対流(加熱効率や品質)などを考慮してある。スピンカップ23は、基板2の上面に設けられ、円筒状の筒部(もしくは円錐状の円錐面)の下面が基板2の上面の外周部付近に位置している。
このスピンカップ23の下面には、接着剤23sが塗布されており、この下面と基板2の上面が密着している。それにより、試料とスピンカップ23との隙間からレジストが漏れ出ることを防止している。また、スピンカップの上面には蓋部が設けられ、この蓋部におけるレジスト4の滴の落下コースに当たる部分にレジスト滴通過用の穴23hが形成されている。
【0031】
スピンコーター室20とオーブン室40の中間には、搬送室30が設けられている。搬送室30内には、試料、スピンカップ23及び搬送トレイ22の3点を同時に搬送するための搬送部31が存在する。搬送部31は、搬送ロボット32を有し、搬送ロボット32の第1アーム33と第2アーム34を移動させて搬送トレイ22を、スピンコーター室20とオーブン室40間で搬送する。
【0032】
オーブン室40には、試料を加熱するための加熱部6を有する。本例では、一例として加熱部6にオーブンを適用している。オーブンは、熱せられた空気と試料から発生する蒸気をその内部に閉じ込め、レジスト層の過熱や溶剤の蒸発し過ぎを防止して、溶剤の揮発量の調節を容易にする。
加熱部6の下側には、試料に塗布したレジスト内の溶媒の揮発量を測定するために、試料の重量を計量する計量器42(計量部の一例)が設けられている。計量器42はその上面が水平となるように設置されている。さらに、加熱中に試料の水平が維持できるために計量器42の下側に、精密な水平度の維持を行う水平器43(水平度維持部の一例)が設けてある。
【0033】
スピンコーター室29と搬送室30、及び搬送室30とオーブン室40との間には、それぞれ仕切り部として、第1シャッター21及び第2シャッター41が存在する。
スピンコーター室20と搬送室30間にある第1シャッター21は、スピンコーター室20で塗布したレジストが搬送室30内の搬送ロボット32へ飛散することを防止するためのものである。
また、搬送室30とオーブン室40間にある第2シャッター41は、オーブン室40からの温風がスピンコーター室20へ流入することにより、スピンコーター室20内の試料が加熱されてレジストから溶媒が揮発するのを防止するために設けられている。
【0034】
レジスト膜形成装置10は、スピンコーター室20、搬送室30及びオーブン室40が備えるこれらの各設備の動作を制御するための制御装置50を備える。
制御装置50は、塗布部5のレジスト供給動作を制御する供給制御回路52、スピンコーター1の回転動作を制御する回転駆動回路53、第1及び第2シャッター21,41の開閉動作を制御する開閉駆動回路54、並びに搬送ロボット32の搬送動作を制御する搬送駆動回路55、加熱部6の加熱動作を制御する加熱制御回路56を備える。
また計量器42から入力されるアナログ信号の測定データをデジタル信号に変換して出力するアナログ−デジタル変換回路(以下、「ADC」と記す。)57、及びレジスト層から揮発する溶媒の許容量の閾値を記憶する不揮発性のメモリ素子58(記憶部の一例)を備える。なお、揮発性のメモリ素子を使用する場合は、制御装置50を稼動するたびに予め閾値をメモリ素子に記憶させる必要がある。メモリ素子58には、レジスト塗布条件、レジスト加熱条件、溶媒の揮発量の閾値などが記憶されている。
【0035】
さらに、これらの各回路52〜57やメモリ素子58に制御信号を出力したり、データの入出力を行ったりし、各回路52〜57やメモリ素子58の動作の制御及び演算を実行する制御部51を備える。制御部51は、例えばMPU(Micro-Processing Unit)などの演算処理装置が適用され、メモリ素子58に記憶されたプログラムやデータに基づいて、目的とする制御及び演算を実行する。
【0036】
[レジスト膜形成方法]
まず、スピンコーター室20において、スピンコーター1の回転ステージの上に設置された搬送トレイ22に基板2を配置する。
【0037】
制御部51は、監視員の手動入力による信号もしくはセンサ(図示略)から出力される信号を検出して、搬送トレイ22に基板2が配置されたことを確認した後、メモリ素子58に記憶されたプログラムに従って供給制御回路52に制御信号を出力する。供給制御回路の制御の下、レジスト供給部のノズル24から適量のレジスト4を供給する。ノズル24から供給されたレジスト4は、スピンカップ23の上面(蓋部)に形成されたレジスト供給用の穴23hを通過して、基板2に滴下される。
【0038】
基板2にレジスト4を滴下した後、制御部51は、回転駆動回路53に制御信号を出力し、スピンコーター1の回転ステージを回転させる。スピンコーター1の回転ステージを所定の回転数で数十秒間、例えば1000rpmで20秒間回転させる。基板2に滴下されたレジスト4は、回転の遠心力により径方向に延伸し、基板2上に第1のレジスト層が均一に塗布される(初回のレジスト塗布工程)。
【0039】
スピンコーター1の回転数が大きいほど、回転延伸後のレジスト層の膜厚が薄くなる。一般に、膜厚が薄いほど、加熱処理時の管理がしやすいとされる。一方、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法によれば、積層する各レジスト層の溶媒の揮発量を管理しながら加熱・成膜するので、従来よりも膜厚の薄いレジスト層でも均一性のよいレジスト層を成膜することができる。したがって、スピンコーター1の回転数を例えば1000rpmに下げ、一つのレジスト層の膜厚を厚くしてレジスト膜を構成するレジスト層の層数を少なく抑えられる。それゆえ、レジスト層の成膜工程(塗布工程、加熱工程)が減り、レジスト膜形成時間及び金型原版製造時間を短縮できる。
【0040】
第1層のレジスト層を塗布した後、制御部51は、スピンコーター1の回転を停止させ、開閉駆動回路54に制御信号を出力し、第1及び第2シャッター21,41を順次開ける。そして、搬送駆動回路55に制御信号を出力して搬送ロボット32を制御し、スピンコーター室20にある第1のレジスト層が塗布された基板2(試料)が載置された搬送トレイ22を、搬送室30を経由してオーブン室40へ搬送し、計量器42の上面に載置する。搬送ロボット32の第1及び第2アーム33,34が搬送室30側へ戻った後、第2シャッター41が閉じられる。このときスピンコーター室20への温風の流入を防止する目的で、第1シャッター21を第2シャッター41に優先して閉じるとよい。
【0041】
制御部51は、計量器42からの出力信号を検出するなどして、試料を載せた搬送トレイ22がオーブン室40の計量器42に配置されたことを確認した後、計量器42から加熱前(加熱直後)の試料の重量を測定したデータを取得する。その後、制御部51は、メモリ素子58に記憶されたプログラムに従って加熱制御回路56に制御信号を出力し、試料を一定温度で加熱する。計量器42は、試料の加熱中、試料の重量を測定したデータを、定期的にADC57を通じて制御部51へ供給する(初回の加熱工程)。なお、制御部51は、試料がオーブン室40へ搬送されるまでに、オーブン室40内の環境を加熱時と同じ状態にしておくとよい。
【0042】
制御部51は、加熱前の試料の重量と加熱中の試料の重量から、第1のレジスト層の溶媒の揮発量を随時計算し、その結果をメモリ素子58に記憶された第1のレジスト層の揮発量の閾値と比較する。
【0043】
第1のレジスト層の溶媒の揮発量が規定の溶媒の揮発量に達している場合、制御部51は、開閉駆動回路54及び搬送駆動回路55へ制御信号を出力し、第2シャッター41を開ける。そして、搬送ロボット32により試料が載置された搬送トレイ22を搬送室30へ搬送し、第2シャッター41を閉じる。次に、制御部51は、第1シャッター21を開けさせ、搬送トレイ22をスピンコーター室20へ再度搬送し、スピンコーター1の回転ステージの上に配置し、第1シャッター21を閉じる。
【0044】
制御部51は、供給制御回路52及び回転駆動回路53を制御し、試料すなわち基板2の第1のレジスト層の上に、さらに第2のレジスト層を均一に塗布する(2回目のレジスト塗布工程)。レジスト層を重ねても、試料上に固定されたスピンカップによって、レジストの厚膜塗布が可能となる。
【0045】
試料に第2のレジスト層を塗布後、制御部51は、開閉駆動回路54及び搬送駆動回路55を制御し、第2のレジスト層が塗布された試料が載置された搬送トレイ22をオーブン室40へ搬送し、上記の加熱処理を再度実行する(2回目の加熱処理)。
【0046】
そして、制御部51は、加熱前の試料の重量と加熱中の試料の重量から、第2のレジスト層の溶媒の揮発量を随時計算し、その結果をメモリ素子58に記憶された第2のレジスト層の揮発量の閾値と比較する。
【0047】
第2のレジスト層の溶媒の揮発量が規定の溶媒の揮発量に達している場合、制御部51は、試料を載せた搬送トレイ22をオーブン室40からスピンコーター室20へ搬送し、試料に第3のレジスト層の塗布を行う。また、第3のレジスト層を塗布後、試料を載せた搬送トレイ22をスピンコーター室20からオーブン室40へ搬送し、試料の加熱を行う。そして、制御部51は、加熱前の試料の重量と加熱中の試料の重量から、第3のレジスト層の溶媒の揮発量を随時計算し、その結果をメモリ素子58に記憶された第3のレジスト層の揮発量の閾値と比較し、比較結果に応じて次の制御を行う。このようなレジスト塗布工程と加熱工程を繰り返し実行することにより、目標の層数となるまで試料にレジスト層を積層し、レジストの溶媒の残存量が適量に調整された厚膜のレジスト膜Rを形成する(3回目以降のレジスト塗布工程及び加熱工程)。
【0048】
試料に厚膜のレジスト膜Rを形成した後、図5に示したように、複数のレジスト層が積層されてなるレジスト膜Rに、露光量の部分的な制御のために半透過部を持たせたマスク7を介して光を照射する(露光工程)。
【0049】
そして、露光後の試料を現像液に浸して現像する(現像工程)。現像が完了すると、レジスト膜Rに3次元の所定パターンを形成した金型原版が得られる。
【0050】
この3次元の所定パターンの構造を持つ金型原版を加熱し、それを樹脂等に押し当てて樹脂に3次元の所定パターンの構造を転写することでレプリカ(金型)を作製する。このレプリカを用いて成形品の生産を行う。
【0051】
[金型原版についての測定データ]
以下、本開示による方法で製造された金型原版についての測定データを元に、本開示の一実施形態による効果を説明する。
【0052】
図7は、ある試料についてレジスト膜の膜厚を測定した箇所を示している。図8は、その試料についてレジスト膜の膜厚を測定した結果を示すグラフである。
図7に示す試料61は、本開示のレジスト膜形成方法を用いてレジスト膜を形成した試料を、一例として矩形に切り出したものである。この例では、矩形の長手方向に沿った4箇所(地点1〜4)の膜厚を測定している。この測定データを、図8に示すように、横軸に測定箇所、縦軸に膜厚をとり、従来の手法による測定データとともにプロットした。
【0053】
図8に示すように、従来の手法(改善前:破線)では、測定箇所によってレジスト膜の膜厚に約78μmの差があったが、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法(改善後:実線)では、例えば500μm厚のレジスト膜の膜厚の差が約12μmと大幅に改善されている。これは、複数のレジスト層が積層されてなるレジスト膜の膜厚が、測定箇所に関わらずほぼ均一であることを示している。
【0054】
図9は、試料に対するベーク時間(分)と溶媒残量(%)の関係を示したグラフである。
ベーク時間は、レジスト層ごとの加熱時間を積算した時間である。図9の例では、あるレジストを用いてレジスト膜を形成したときの加熱処理の積算時間が40分を超えると、溶媒残量が9%以下に減少し、溶媒残りが発生しないという結果が得られた。
【0055】
図10は、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法により形成されたレジスト膜の一例の断面図である。
図10に示すように、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法によりを用いることにより、500μmの厚みを持つレジスト膜Rの膜厚を均一に形成することができている。
【0056】
図11A〜Cは、従来の加工技術(機械加工)を用いて生成された金型原版の表面を撮影した写真例であり、図11Aは螺旋加工による加工表面、図11Aはライン走査送りによる加工表面、図11Cは非球面加工旋盤を用いた加工表面を示している。
図11A〜図11Cの例では、いずれも金型原版表面に明部71と暗部72の繰り返しが出現していることから、表面が平坦ではないことがわかる。これに対し、本開示の一実施形態に係るレジスト膜形成方法によれば、図10に示すように厚膜(例えば500μm)であっても均一性の高いレジスト膜が形成されるので、試料(金型原版)の表面を精度よく平坦にすることができる。
【0057】
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、レジスト層の溶媒の揮発量を管理しながらレジスト層を積層することにより、各レジスト層において均一な溶媒の揮発量を確保できる。それゆえ、露光後のレジスト膜にクリアなパターン形成が実現され、また露光後の現像において現像残りが発生しない。したがって、従来(例えば100μm)と比較して、積層後のレジスト膜が厚膜(例えば500μm)であっても均一性及び品質の高いレジスト膜を形成できる。
また、オーブン室においてオーブン加熱を実施したことのより、最下層もしくはこれに近い層のレジスト層の過熱が抑制され、現像残りが発生せず、品質のよいレジスト膜を形成できる。
さらに、オーブン室内の加熱部の下側に、精密に水平度を維持する水平器を設置したことにより、加熱時に水平度を確保して、塗布後のレジストの面内均一性を良好にすることができる。
【0058】
<2.その他>
上述の一実施形態に係るレジスト膜形成方法において、複数のレジスト層を構成する各レジスト層の溶媒の揮発量の閾値を一定値としてもよいが、図1のように早い段階で成膜されたレジスト層は加熱機会が増え溶媒の揮発量が多くなる傾向にあることを反映して、レジスト層ごとに閾値を異ならせてもよい。一例として、早い段階で成膜されるレジスト層の溶媒の揮発量の閾値を小さく設定し、遅い段階で成膜されるレジスト層の溶媒の揮発量の閾値を順次大きくして目標とするレジスト膜全体の揮発量に近づける又は同じ値に設定する。このように、レジスト層ごとに段階的に揮発量の閾値を適切に設定した場合、レジスト層の加熱を個別に調整して残存する溶媒を適切な量に調整することができる。それゆえ、複数のレジスト層から形成したレジスト膜の現像残りの防止に繋がり、金型原版の品質向上が図られる。
【0059】
また、図6に示すレジスト膜形成装置においては、1室のスピンコーター室20と1室のオーブン室40を設け、搬送部31により搬送トレイ22がこれらの間を往復するように構成することによって、レジスト膜の厚膜化を実現している。さらに、積層する層分のスピンコーター室20とオーブン室40を設けて、シリアルな成膜工程(ライン工程)を実行するようにしてもよい。
【0060】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させる塗布部と、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱する加熱部と、
前記加熱部で加熱されている前記試料の重量を計量する計量部と、
前記計量部により計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで前記加熱部に加熱を行わせ前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行し、さらに、前記塗布部と前記加熱部を同様に制御して前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層する制御を行う制御部と、
を有するレジスト膜形成装置。
(2)
形成する前記レジスト膜のうち、最下層のレジスト層から最上層のレジスト層にかけて前記溶媒の揮発量の閾値を大きい値に設定し、前記制御部は、各レジスト層の溶媒の揮発量が対応する閾値に達するまで前記加熱部による加熱を行うよう制御する
前記(1)に記載のレジスト膜形成装置。
(3)
前記試料が前記加熱部で加熱されているときに前記試料の水平度を維持する水平度維持部、をさらに有する
前記(1)又は(2)に記載のレジスト膜形成装置。
(4)
前記加熱部は、閉じた空間に前記試料を閉じ込めて加熱する
前記(1)〜(3)のいずれかに記載のレジスト膜形成装置。
(5)
前記塗布部の回転ステージ上に配置されて前記試料を上面に載置する搬送トレイと、
前記塗布部と前記加熱部との間で前記試料を載置した状態の前記搬送トレイを搬送する搬送部と、をさらに有する
前記(1)〜(4)のいずれかに記載のレジスト膜形成装置。
(6)
前記基板の上面かつ外周部付近に円筒状の容器、が設けられる
前記(1)〜(5)のいずれかに記載のレジスト膜形成装置。
(7)
前記円筒状の容器の下面に粘着剤が塗布され、前記円筒状の容器の下面と前記基板の上面とが密着している
前記(6)に記載のレジスト膜形成装置。
(8)
前記塗布部が配置された空間と前記搬送部が配置された空間を仕切るための第1仕切り部と、
前記搬送部が配置された空間と前記加熱部が配置された空間を仕切るための第2仕切り部と、をさらに有し、
前記制御部は少なくとも、前記塗布部によるレジスト塗布中は第1仕切り部を閉じ、前記加熱部による加熱中は第2仕切り部を閉じるように制御する
前記(1)〜(7)のいずれかに記載のレジスト膜形成装置。
(9)
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させることと、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱することと、
加熱されている前記試料の重量を計量することと、
計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行することと、
さらに、前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層すること
を含むレジスト膜形成方法。
(10)
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させること、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱すること、
加熱されている前記試料の重量を計量すること、
計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行すること、
さらに、前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層すること、
前記複数のレジスト層からなるレジスト膜に、半透過部を有するマスクを介し光を照射して露光すること、
露光後の前記試料を現像して前記レジスト膜に所定パターンを形成すること、
を含む金型原版製造方法。
【0061】
なお、上述した一実施形態例における一連の処理は、ハードウェアにより実行することができるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種の機能を実行するためのプログラムをインストールしたコンピュータにより、実行可能である。例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに所望のソフトウェアを構成するプログラムをインストールして実行させればよい。
【0062】
また、上述した一実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給してもよい。また、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはMPU及びCPU等の演算制御装置)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、機能が実現されることは言うまでもない。
【0063】
この場合のプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0064】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現される。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行う。その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0065】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0066】
以上、本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、応用例を取り得ることは勿論である。
すなわち、上述した各実施形態の例は、本開示の好適な具体例であるため、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本開示の技術範囲は、各説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。例えば、以下の説明で挙げる使用材料とその使用量、処理時間、処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係も概略的なものである。
【符号の説明】
【0067】
1…スピンコーター、2…基板、3…土手部(壁)、4…レジスト、5…塗布部、6…加熱部、7…マスク、8…光源、10…レジスト膜形成装置、20…スピンコーター室、21…第1シャッター、22…搬送トレイ、23…スピンカップ、23h…穴、24…ノズル、30…搬送室、31…搬送部、32…搬送ロボット、33…第1アーム、34…第2アーム、40…オーブン室、41…第2シャッター、42…計量器、43…水平器、50…制御装置、51…制御部、52…供給制御回路、53…回転駆動回路、54…開閉駆動回路、55…搬送駆動回路、56…加熱制御回路、57…ADC、58…メモリ、71…明部、72…暗部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させる塗布部と、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱する加熱部と、
前記加熱部で加熱されている前記試料の重量を計量する計量部と、
前記計量部により計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで前記加熱部に加熱を行わせ前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行し、さらに、前記塗布部と前記加熱部を同様に制御して前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層する制御を行う制御部と、
を有するレジスト膜形成装置。
【請求項2】
形成する前記レジスト膜のうち、最下層のレジスト層から最上層のレジスト層にかけて前記溶媒の揮発量の閾値を大きい値に設定し、前記制御部は、各レジスト層の溶媒の揮発量が対応する閾値に達するまで前記加熱部による加熱を行うよう制御する
請求項1に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項3】
前記試料が前記加熱部で加熱されているときに前記試料の水平度を維持する水平度維持部、をさらに有する
請求項2に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項4】
前記加熱部は、閉じた空間に前記試料を閉じ込めて加熱する
請求項3に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項5】
前記塗布部の回転ステージ上に配置されて前記試料を上面に載置する搬送トレイと、
前記塗布部と前記加熱部との間で前記試料を載置した状態の前記搬送トレイを搬送する搬送部と、をさらに有する
請求項4に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項6】
前記基板の上面かつ外周部付近に円筒状の容器、が設けられる
請求項5に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項7】
前記円筒状の容器の下面に粘着剤が塗布され、前記円筒状の容器の下面と前記基板の上面とが密着している
請求項6に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項8】
前記塗布部が配置された空間と前記搬送部が配置された空間を仕切るための第1仕切り部と、
前記搬送部が配置された空間と前記加熱部が配置された空間を仕切るための第2仕切り部と、をさらに有し、
前記制御部は少なくとも、前記塗布部によるレジスト塗布中は第1仕切り部を閉じ、前記加熱部による加熱中は第2仕切り部を閉じるように制御する
請求項1に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項9】
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させることと、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱することと、
加熱されている前記試料の重量を計量することと、
計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行することと、
さらに、前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層すること
を含むレジスト膜形成方法。
【請求項10】
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させること、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱すること、
加熱されている前記試料の重量を計量すること、
計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行すること、
さらに、前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層すること、
前記複数のレジスト層からなるレジスト膜に、半透過部を有するマスクを介し光を照射して露光すること、
露光後の前記試料を現像して前記レジスト膜に所定パターンを形成すること、
を含む金型原版製造方法。
【請求項1】
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させる塗布部と、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱する加熱部と、
前記加熱部で加熱されている前記試料の重量を計量する計量部と、
前記計量部により計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで前記加熱部に加熱を行わせ前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行し、さらに、前記塗布部と前記加熱部を同様に制御して前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層する制御を行う制御部と、
を有するレジスト膜形成装置。
【請求項2】
形成する前記レジスト膜のうち、最下層のレジスト層から最上層のレジスト層にかけて前記溶媒の揮発量の閾値を大きい値に設定し、前記制御部は、各レジスト層の溶媒の揮発量が対応する閾値に達するまで前記加熱部による加熱を行うよう制御する
請求項1に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項3】
前記試料が前記加熱部で加熱されているときに前記試料の水平度を維持する水平度維持部、をさらに有する
請求項2に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項4】
前記加熱部は、閉じた空間に前記試料を閉じ込めて加熱する
請求項3に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項5】
前記塗布部の回転ステージ上に配置されて前記試料を上面に載置する搬送トレイと、
前記塗布部と前記加熱部との間で前記試料を載置した状態の前記搬送トレイを搬送する搬送部と、をさらに有する
請求項4に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項6】
前記基板の上面かつ外周部付近に円筒状の容器、が設けられる
請求項5に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項7】
前記円筒状の容器の下面に粘着剤が塗布され、前記円筒状の容器の下面と前記基板の上面とが密着している
請求項6に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項8】
前記塗布部が配置された空間と前記搬送部が配置された空間を仕切るための第1仕切り部と、
前記搬送部が配置された空間と前記加熱部が配置された空間を仕切るための第2仕切り部と、をさらに有し、
前記制御部は少なくとも、前記塗布部によるレジスト塗布中は第1仕切り部を閉じ、前記加熱部による加熱中は第2仕切り部を閉じるように制御する
請求項1に記載のレジスト膜形成装置。
【請求項9】
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させることと、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱することと、
加熱されている前記試料の重量を計量することと、
計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行することと、
さらに、前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層すること
を含むレジスト膜形成方法。
【請求項10】
基板を回転させながらレジストを滴下して回転延伸させること、
前記基板に前記レジストが塗布された試料を加熱すること、
加熱されている前記試料の重量を計量すること、
計量された前記試料の重量に基づいて、前記試料に塗布されたレジストから一定量の溶媒が揮発するまで加熱を行い前記基板上にレジスト層を成膜する工程を実行すること、
さらに、前記試料に成膜されたレジスト層上に新たなレジスト層を成膜する工程を所定回数繰り返し実行し、前記試料に複数のレジスト層を積層すること、
前記複数のレジスト層からなるレジスト膜に、半透過部を有するマスクを介し光を照射して露光すること、
露光後の前記試料を現像して前記レジスト膜に所定パターンを形成すること、
を含む金型原版製造方法。
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図10】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−80732(P2013−80732A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218468(P2011−218468)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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