説明

レジンコンクリート

【課題】鉛の溶出を防止できるレジンコンクリートを提供する。
【解決手段】本発明に係るレジンコンクリートは、熱硬化性樹脂と、骨材と、充填剤とが配合されたレジンコンクリートにおいて、前記骨材に、ブラウン管のファンネルガラスのカレット材を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線遮蔽性に優れたレジンコンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは建造物、構造物またはコンクリート二次製品の成形材料として用いられている。特に、放射線を扱う施設や原子力発電所の建屋の材料、放射性廃棄物の処理等に利用する放射線遮蔽の材料として既にコンクリート製の防護材が用いられている。一方で、鉛は優れた放射線遮蔽性能を有することが知られている。このような鉛をコンクリートに適用する例として、ガンマ線の質量吸収係数が一定量以上を有するガラス球骨材をコンクリートの骨材として使用することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなセメントを用いたセメントコンクリートに鉛を含めた場合、経年劣化によって鉛が溶出し、環境への問題が懸念される。この点、特許文献1ではセメントコンクリートについての言及しかない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−309735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、放射線遮蔽性に優れ、鉛の溶出の心配がないレジンコンクリートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明では、熱硬化性樹脂と、骨材と、充填剤とが配合されたレジンコンクリートにおいて、前記骨材に、ブラウン管のファンネルガラスのカレット材を用いたことを特徴とするレジンコンクリートを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブラウン管のファンネルガラスのカレット材を骨材として使用するので、ファンネルガラスに含まれる鉛を放射線遮蔽物質として有効に活用できる。また、硫化水素などの酸および凍結融解による劣化がほとんどない熱硬化性樹脂を配合してレジンコンクリートとするため、セメントが配合されたセメントコンクリートに比べて鉛の溶出の心配がないレジンコンクリートを得ることができる。さらにはセメントコンクリートに比べて圧縮強度が約3倍、曲げ強度が4〜5倍のレジンコンクリートを得ることができる。このため、結果としてセメントコンクリートと同様の強度を得る場合には肉厚を薄くすることができるので、コンクリート全体としての軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ブラウン管の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るレジンコンクリートは、熱硬化性樹脂と、骨材と、充填剤とが配合されたものである。熱硬化性樹脂は、例えば不飽和ポリエステル樹脂である。充填剤は、例えばポリスチレン等の膨張剤、ナフテン酸コバルト等の促進剤等である。膨張剤は、コンクリートの収縮を防止するためのものである。促進剤は、コンクリートの硬化時間を調整するためのものである。このような硬化時間を調整するため、促進剤に対する触媒を適宜配合してもよい。また、補強材を配合してもよい。
【0010】
骨材には、ブラウン管のファンネルガラスのカレット材が用いられる。図1のブラウン管の概略断面図に示すように、ブラウン管1は、略円筒形状のネック部2の一方の端部から徐々に拡径するファンネル部3とを有するファンネルガラス4と、ファンネル部3の端部に形成されたパネルガラス5で形成されている。ファンネルガラス4には、視聴者を電磁波から守るために、鉛が10数%〜25%程度含まれている。ネック部2の他方の端部には電子銃6が配設されている。また、ネック部2とファンネル部3との境目におけるファンネルガラス4の外側には偏向ヨーク7が配設されている。また、パネルガラス5の内側には蛍光体8が配設されている。
【0011】
このようなブラウン管1では、電子銃6から放出された電子ビームが偏向ヨーク7に巻回されたコイル(不図示)による磁界で曲げられ、蛍光体8に衝突する(図1の矢印方向)。これにより、蛍光体8が発行して画像がパネルガラス5に表示される。
【0012】
本実施例におけるレジンコンクリートの骨材は、このようなブラウン管1のファンネルガラス4のみを用いる。すなわち、鉛を含むファンネルガラス4のみを用い、鉛を含まないパネルガラス5は用いない。本発明は骨材の原料としてパネルガラスではなくファンネルガラスに着目した点にも特徴がある。このようなファンネルガラス4を砕き、カレット状にしたファンネルガラスを骨材とするので、ファンネルガラス4に含まれる鉛を放射線遮蔽物質としてレジンコンクリートに有効に活用できる。
【0013】
骨材として使用するファンネルガラスのカレット材については、粒径が5〜20mm程度の粗骨材と、1〜5mm程度の細骨材と、1mm以下の微粉とを混合することにより、鉛を含有するファンネルガラスのカレット材が細密に充填された、放射線遮蔽性をより向上させたレジンコンリートが得られる。
【0014】
さらに、上記細骨材と微粉については、鉛の含有率の違いを利用して、それぞれ比重の大きいものを選別して使用することにより、さらに鉛の含有量を向上させたレジンコンクリートが得られる。
【0015】
また、アナログ放送の終了等に伴い、ブラウン管テレビがリサイクル品としてその供給が増加することが予想され、このようなリサイクル資源を有効に活用できる。また、鉛についてはバッテリー需要が高まっていることに伴い、世界的に品薄状態であるため、上記のようなブラウン管を利用することは資源的に、あるいは価格面でも有効である。
【0016】
すなわち、本発明は、廃材(リサイクル品)として増加が予想されるブラウン管に含まれる鉛を有効活用するとともに、レジンコンクリートとすることで種々の場面に適用でき、鉛が有する放射線遮蔽性能を最大限に引き出すことができる。
【符号の説明】
【0017】
1 ブラウン管
2 ネック部
3 ファンネル部
4 ファンネルガラス
5 パネルガラス
6 電子銃
7 偏向ヨーク
8 蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂と、
骨材と、
充填剤とが配合されたレジンコンクリートにおいて、
前記骨材に、ブラウン管のファンネルガラスのカレット材を用いたことを特徴とするレジンコンクリート。

【図1】
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【公開番号】特開2013−40065(P2013−40065A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176832(P2011−176832)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000227593)日之出水道機器株式会社 (21)
【Fターム(参考)】