説明

レスベラトロール組成物

レスベラトロールと、特にゼラチン、化工食用デンプンまたはリグニンスルホネートである保護コロイドとからなるか、またはそれらを含む組成物と、特に飲料である水性食品へのレスベラトロールの組み込みを安定させるためのそれらの使用と、このようにして得られた食品。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、レスベラトロールと、特にゼラチンまたは化工食用デンプンである保護コロイドとからなる、ならびにそれらを含む組成物に関する。本発明は、このような組成物を製造する方法、および健康補助食品および水性食品中、特に飲料中でのそれらの使用にさらに関する。本発明はまた、水または水溶液中でのレスベラトロールの溶解度または懸濁性を増大させるための保護コロイド、特にゼラチンまたは化工食用デンプンの使用にも関する。
【0002】
レスベラトロール、3,5,4’−トリヒドロキシスチルベンまたは5−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−エテニル]−1,3−ベンゼンジオールは、フィトアレキシンである。フィトアレキシンは、天然では幾種かの植物によって、細菌や真菌などの病原体による感染に対する防御として産生される。抗癌、抗ウィルス、神経保護抗老化、抗炎症性、および延命効果など、動物、特にヒトに対するレスベラトロール、特にトランスレスベラトロールのいくつかの有益な健康効果が報告されている。したがってレスベラトロールおよび適用形態に対する需要が絶えず増大している。これに関連して、水中、特に冷水中でのレスベラトロールの比較的低い溶解度は、そのいくつかの用途に対する制限要素であり、問題を引き起こす。
【0003】
この問題に対するいくつかの解決策、すなわちレスベラトロールの水溶性を増大させる解決策が提案され、記載されている。
【0004】
国際公開第2005/000258号パンフレットは、ポリカプロラクトンおよび可溶化ポリエチレングリコールからなり、例えば水溶液中のレスベラトロールのような生理学的活性成分を封入する、両親媒性ポリマーを含む自己組織化ナノ粒子を開示する。これらのナノ粒子は、皮膚への治療的および美容外用において有用である。
【0005】
国際公開第2007/146318号パンフレットは、それぞれ5〜300mg/lおよび15mg/l〜2.5g/l、好ましくはそれぞれ10〜30mg/lおよび50〜750mg/lの量のレスベラトロールと、安定剤としてビタミンA、CまたはEとを含む、ノンアルコールおよびアルコール小売り飲料を開示する。
【0006】
しかしなおも、水、特に冷水、または対応する水溶液へのレスベラトロールの溶解度または懸濁性を増大させるのに利用できる、追加的な生理学的適合性化合物を有する必要がある。レスベラトロールおよび保護コロイドからなる、またはそれらを含む組成物によって、この目的が達成されることが意外にも分かった。このような本発明の組成物は、以下「レスベラトロールCWS」と称される。
【0007】
「レスベラトロール」という用語は、トランスおよびシス立体配置レスベラトロールに関し、シス/トランス混合物を含む。特に好ましいのはトランスレスベラトロールであり、それは少量のシス異性体を含有してもよい。レスベラトロールはあらゆる起源であり得、例えば天然起源、すなわち天然原料から抽出、濃縮、精製または合成的に調製されていてもよい。天然原料は、レスベラトロールを産生、または過剰産生するように遺伝子操作されている動物、植物または微生物を含む。レスベラトロールは結晶性または非晶形であってもよく、その流動性を改善するように処理されていてもよい。食品および食事療法用途におけるその高純度および安全性の観点から、合成的に調製された、特に結晶形態のレスベラトロールが好ましい。他方では、例えばその他のフェノール化合物などの薬理学的に活性で有益な追加的構成要素を含有して、レスベラトロールの有益な効果を増大させ、または増強さえする、天然原料から濃縮精製された抽出物が好ましい。
【0008】
「保護コロイド」という用語は、ゼラチン(例えばブタ、畜牛、家禽また魚などのあらゆる起源からの)、植物ゴム(アラビアゴムまたはアカシアゴムなど)、および植物タンパク質(例えばダイズ、エンドウマメ、米、ルピナスからの)、リグニンスルホン酸(特に食品等級の)、および食品デンプン(あらゆる起源からの、好ましくは変性形態の)を包含する。化工食用デンプンの例および好ましい実施態様は、例えば、Capsul Sなどのいくつかの良く知られている商標の下に市販されるOSA(オクテニルコハク酸無水物)変性デンプンである。
【0009】
レスベラトロールおよび本発明の保護コロイドからなる、またはそれらを含む組成物中のレスベラトロールの重量は、1〜80%、2〜70%、3〜60%、4〜50%、および好ましくは、5〜20%の範囲である。
【0010】
組成物中の保護コロイドの重量は、20〜99%、30〜98%、40〜97%、50〜96%、および好ましくは80〜95%の範囲である。
【0011】
本発明の組成物中に場合により存在してもよい成分は、常態ではこのような組成物中に存在することが当業者に知られているものであり、主要構成要素に適合する、糖、人工甘味料、抗酸化剤、着色剤、着香剤、および調味料、PEG、カゼイン、ペクチン、発泡性粉末、賦形剤、およびアジュバントからなる群から選択されるが、これに限定されるものではない。
【0012】
組成物は、微小ビーズおよび顆粒をはじめとする水性懸濁液または乾燥粉末の形態であり得る。単純な粉末中では、主要構成要素であるレスベラトロールおよび保護コロイド、そして場合によってはさらなる構成要素が微粒子混合物として(「固体分散体」として)存在するのに対し、微小ビーズおよび顆粒の場合は、レスベラトロール粒子は保護コロイドで完全にまたは部分的に被覆され、またはその中に包埋される。所望ならば、粉末は、適切なアジュバントまたは賦形剤を使用して、またはそれらを使用せずに、最後に適切なガレヌス製剤形態、例えば錠剤にしてもよい。錠剤および適切な投薬単位をはじめとするこのようなガレヌス製剤形態は、当業者に良く知られている方法に従って作られる。
【0013】
微小ビーズおよび顆粒をはじめとする粉末の形態である組成物の好ましい粒径分布は次のとおりである。
少なくとも95%の粒子は500μm以下(好ましくは1000μm以下、より好ましくは850μm以下)のサイズを有し、最大でも35%の粒子は50μm以下(好ましくは100μm以下、より好ましくは150μm以下)のサイズを有する。
【0014】
本発明の別の好ましい実施態様では、粉末または好ましくは顆粒の形態である本発明の組成物の粒径分布は次のとおりである。
少なくとも95%の粒子は1500μm以下(好ましくは1000μm以下、より好ましくは850μm以下)のサイズを有し、最大でも35%の粒子は10μm以下(好ましくは20μm以下、より好ましくは50μm以下)のサイズを有する。
【0015】
微小ビーズおよび顆粒をはじめとする乾燥粉末の形態の場合、本発明に従った組成物はいくらかの水をなおも含有してもよく、好ましくは0.05〜0.7、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.2〜0.5の水分活性を有する。水分活性は、スイス国チューリッヒ(Zurich,Switzerland)のNovasina AGからのNovasina Thermoconstanter TH200を使用して測定される。
【0016】
本発明に従って、粉末または顆粒組成物中の水分含量が、それぞれ組成物総重量を基準にして0〜8重量%、好ましくは0〜6重量%の範囲であれば有利である。
【0017】
本発明の組成物中のレスベラトロールが結晶形態である場合、レスベラトロール結晶は以下の範囲のニードル寸法を有する。長さ(L):200〜800μm、好ましくは100〜400μm;厚さ(D):5〜100μm、および形状係数(L/D):5〜30。これらの寸法内の結晶は、粉砕前に得られる。当該技術分野でよく知られている適切なミルで内の粉砕によって、本発明の組成物中のレスベラトロール結晶の寸法を低下させ得る。より粒度の低い結晶性レスベラトロールを得るには、水または水/有機溶媒混合物中で実施し得る湿式粉砕がより推奨でき、有機溶媒は低級アルカノールまたは低級アルカン酸エステルであり、好ましくはそれぞれエタノールまたは酢酸エチルである。好ましくは、本発明の組成物中のレスベラトロール結晶のマルバーン(Malvern)粒度d50は、粉砕後に0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜2μmである。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、本発明の組成物を製造する方法に関する。
【0019】
[組成物の製造]
本発明の組成物は、例えば食用油、カロテノイド、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)、補酵素Q、PUFA、およびそれらのエステル、および溶解促進剤、安定剤または保護コロイドなどの疎水性/親油性構成要素を含む類似した組成物の製造について記載される、水性懸濁液、および顆粒および微小ビーズをはじめとする粉末の生成についてそれ自体が既知のあらゆる方法によって生成されてもよい。好ましい方法は、例えば欧州特許第0498824号明細書および欧州特許第1940249号明細書に記載されるような、水性懸濁液の流動床造粒、高剪断造粒、押し出し、噴霧乾燥、および湿式造粒である。
【0020】
本発明の粉末組成物を噴霧乾燥によって得るためには、保護コロイドを溶解できる溶媒または溶媒混合物中で、全構成要素のスラリーを調製することが都合よい。特に好ましい溶媒は水である。スラリーはそれぞれスラリー総重量を基準にして、好ましくは10〜70重量%、好ましくは25〜50重量%の固形分を有する。次にそれ自体が既知の様式で、スラリーを噴霧乾燥させる。水性スラリーまたは懸濁液を噴霧乾燥する代わりに、所望の濃度でレスベラトロールによって栄養強化された乳飲料の調製において、それらを直接使用し得る。
【0021】
したがって本発明の別の態様は、好ましくはそれぞれスラリー総重量を基準にして10〜70重量%、好ましくは25〜50重量%の固形分を有する全固体構成要素の好ましくは水性スラリーであるスラリーを調製するステップと、例えば流動床内での噴霧冷却と所望の含水量への乾燥によって、またはより高温での修正噴霧乾燥によって、それ自体が既知の様式でスラリーを乾燥するステップを含む、上述の組成物を製造する方法である。
【0022】
代案としては、スラリーをデンプン粉末上にスプレーし、得られた微小ビーズを例えば約60℃の比較的低温で乾燥させてもよい。
【0023】
スプレー造粒は、本発明の組成物を製造する特に好ましい方法である。
【0024】
造粒過程の終わりに顆粒を篩掛けして、サイズ毎に分画してもよい。粒度は本発明にとって厳密に決定的でないが、実用的な目的のためには、それは好ましくは50〜1500μm、より好ましくは100〜1000μm、最も好ましくは150〜850μmである。
【0025】
本発明の組成物を製造する代表的な方法は、次のとおりである。
60℃で脱イオン水に溶解することでマトリックスを調製し、保護コロイドおよび糖を添加する。溶解時間は一般に60分間である。次に抗酸化剤とレスベラトロール結晶を添加して撹拌する。しかし抗酸化剤はまた、湿式粉砕工程後でも添加し得る(下記参照)。場合により、油またはグリセリンのような幾種かのその他の添加剤、そしてパルミチン酸アスコルビル、ポリエチレングリコールまたはスクロエステルのような幾種かの界面活性剤を添加して混合物を撹拌する。次に撹拌される懸濁液をボールミル(湿式粉砕)に1〜6時間通過させる。粉砕工程後、レスベラトロールは前よりも低い平均粒度を有し、それは好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.1〜1μmである。次に可能ならば凝集させて顆粒を得る噴霧乾燥技術、あるいは例えば欧州特許第1940249号明細書で記載されるような、好ましくは粉末捕捉法の形態である微小ビーズ技術のどちらかを使用して、懸濁液を乾燥させることが好ましい。しかし好ましくは保存料を用いた安定化後に、懸濁液を本発明に従った組成物の液体形態として使用することもまた可能である。
【0026】
湿式粉砕工程後の粒度の精密な調節は、溶解動態学および生物学的利用能にとって重要であることが分かった。80℃の水中では、レスベラトロール結晶が完全に溶解して120mg/Lの濃度に達するのに15分間以上を要する。80℃で溶解したレスベラトロールは、次に室温で2、3日以内に結晶化して沈殿を形成する(下の実施例の前にある参考文献を参照されたい)。粉砕後、レスベラトロールCWSを80℃で1分間溶解する。80℃で1分間は、飲料を製造するための低温殺菌工程の標準条件である。この低温殺菌工程中のこのレスベラトロールの溶解は、飲料中のレスベラトロールの良好な物理的安定性を確実にする。
【0027】
本発明の組成物は、水溶液粘度が低い場合でさえ水溶液中のレスベラトロールのより高い懸濁性を提供し、したがってそれが水性食品、特に飲料により高い濃度で組み込めるようにして、より高い生物学的利用能と低い濁度とを達成する。本発明の組成物を使用することで、100mg/l以上のレスベラトロールを安定して水溶液、特に冷たい溶液に溶解または懸濁し得る。「冷たい」という用語はこの文脈では、例えば5℃〜25℃、好ましくは室温未満など、冷蔵庫温度から室温までの温度の溶液に関する。
【0028】
したがって本発明のさらなる態様は、レスベラトロールによる水性食品の安定した栄養強化を達成する、このような食品中での新しい組成物の応用である。これらの食品は、すなわち特に飲料および乳製品中でのレスベラトロールの分離または沈降分離を避けることが必須である製品を含む。本組成物を使用することで、少なくとも6ヶ月間そして9ヶ月以上、pH約2.5〜7の範囲にわたり、レスベラトロールを用いた水性食品、特に飲料の安定した栄養強化が達成される。飲料の場合、最終製品の低温殺菌はその安定性を著しく改善し得る。例えば炭酸水素塩などの発泡性粉末を構成する錠剤または粉末組成物は、摂取直前の飲料への添加として、最終使用者によって好まれる。
【0029】
飲料としては、炭酸を含み、着香され、および/または着色されていてもよい、非アルコールおよびアルコール飲料が挙げられる。例は、ミネラルウォーター、セルター(Sselters)、清涼飲料、エナジードリンク、コーラ飲料、コーヒー、茶、濃縮または希釈形態の果実および野菜ジュース、およびあらゆる種類のビールとワインである。乳製品の例は、濃縮物および粉乳、あらゆる種類のヨーグルト、および乳清をはじめとするあらゆる種類のミルクである。
【0030】
食品中のレスベラトロールの所望の濃度は広い範囲内で変動し得、常態では製品の性質次第で50mg/l〜1000mg/lの範囲である。それぞれの量の最適化は、当業者および専門家によって容易に見いだされ得る。
【0031】
したがって本発明はまた、本発明の組成物それ自体によって栄養強化された水性食品、それらを製造する方法、水性食品をレスベラトロールで安定して栄養強化するためのこれらの組成物の使用、本明細書で先に定義される保護コロイド、特にゼラチンおよび化工食用デンプンの本発明の組成物の製造における使用にも関する。
【0032】
本組成物の使用による、レスベラトロールを用いた水性食品の安定した栄養強化、またはレスベラトロールをこのような食品、特に飲料に安定して組み込む方法は、それ自体が既知の方法に従って達成される。組成物は、例えば低温殺菌前など、包装前の最終段階であるかまたはより早い段階であるかにかかわらず、その製造工程の適切な段階で食品に添加され、その中に分散されて均質懸濁液が形成する。次に生成物を既知の方法に従ってさらに処理してもよい。
【0033】
本発明を以下の実施例によってより詳細に記載し、例証する。
【0034】
[基準]
異なる濃度の未粉砕Resvida(商標)(レスベラトロール結晶)をミネラルウォーター(Arkina)に分散し、80℃で1分間低温殺菌した。水に懸濁されたトランスレスベラトロールを用いて、以下の結果を得た(分析はHPLCにより実施)。
【0035】
【表1】



【0036】
[実施例1]
330gの脱イオン水を60℃に加熱した。118.2gのフィッシュゼラチンおよび118.2gのスクロースを水に添加して60℃で1時間溶解した。次に3.6gのdl−α−トコフェロールおよび40gの結晶性レスベラトロール(マルバーン粒度d50が100〜300μm)を添加した。混合物を湿式ミル内で60℃、回転速度4000rpmで1時間粉砕した。粉砕後、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は0.1〜1μmであった。
【0037】
得られた懸濁液250gを流動化コーンスターチ中にスプレーした。得られた微小ビーズをレッチェ(Retsch)流動床内において60℃の減圧下(500mb)で30分間乾燥させた。
【0038】
最終製品は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 10.07%
フィッシュゼラチン 26.13%
スクロース 29.74%
dl−α−トコフェロール 0.91%
水 3.15%
デンプン 30.00%
【0039】
[実施例2]
432gの脱イオン水を60℃に加熱した。141.8gのフィッシュゼラチンおよび141.8gのスクロースを水に添加して60℃で1時間溶解した。次に4.3gのdl−α−トコフェロールおよび54gの結晶性レスベラトロール(マルバーン粒度d50が100〜130μm)を添加した。混合物を湿式ミル内で60℃、回転速度4000rpmで1時間粉砕した。粉砕後、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は0.1〜1μmであった。
【0040】
得られた懸濁液202gを流動化コーンスターチ中にスプレーした。得られた微小ビーズをレッチェ流動床内において30℃で2時間、そして40℃で1時間乾燥させた。
【0041】
最終製品は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 11.60%
フィッシュゼラチン 26.74%
スクロース 30.45%
dl−α−トコフェロール 0.92%
水 6.15%
デンプン 24.13%
【0042】
25℃、相対湿度60%(密封アルミパック)における3および12ヶ月後のレスベラトロールの保持率は、それぞれ99%および105%であり、40℃、75%相対湿度(密封アルミパック)における3および12ヶ月後の保持率はそれぞれ103%および104%であった。100%よりも高い値は測定方法に起因し、レスベラトロールのいかなる損失も測定されなかったことを意味する。
【0043】
[実施例3]
280gの脱イオン水を60℃に加熱した。141.8gのCapsul Sおよび141.8gのスクロースを水に添加して60℃で1時間溶解した。次に4.3gのdl−α−トコフェロールおよび54gの結晶性レスベラトロール(マルバーン粒度d50が100〜130μm)を添加した。混合物を湿式ミル内で60℃、回転速度4000rpmで1時間粉砕した。粉砕後、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は0.1〜1μmであった。脱イオン水を添加して固形分47.58%の懸濁液を得た。
【0044】
得られた懸濁液198.6gを流動化コーンスターチ中にスプレーした。得られた微小ビーズをレッチェ流動床内において40℃で20分間、そして50℃で10分間乾燥させた。
【0045】
最終製品は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 8.05%
Capsul S 18.99%
スクロース 21.13%
dl−α−トコフェロール 0.64%
水 6.11%
デンプン 45.08%
【0046】
25℃、相対湿度60%(密封アルミパック)における3および12ヶ月後のレスベラトロールの保持率は、それぞれ104%および103%であり、40℃、75%相対湿度(密封アルミパック)における3ヶ月後の保持率はそれぞれ103%および101%であった。100%よりも高い値は測定方法に起因し、レスベラトロールのいかなる損失も測定されなかったことを意味する。
【0047】
[実施例4]
400gの脱イオン水を60℃に加熱した。141.8gのフィッシュゼラチンおよび141.8gのスクロースを水に添加して60℃で1時間溶解した。次に8.6gのdl−α−トコフェロールおよび27gの結晶性レスベラトロール(マルバーン粒度d50が100〜130μm)を添加した。混合物を湿式ミル内で80〜90℃、回転速度4000rpmで4時間粉砕した。粉砕後、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は0.1〜1μmであった。
【0048】
水性懸濁液は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 3.75%
フィッシュゼラチン 17.31%
スクロース 19.72%
dl−α−トコフェロール 1.20%
水 58.02%
【0049】
得られた懸濁液209gを流動化コーンスターチ中にスプレーした。得られた微小ビーズを60℃で15分間乾燥させた。
【0050】
最終製品は以下の組成を有した。
レスベラトロール 6.25%
フィッシュゼラチン 28.80%
スクロース 32.80%
dl−α−トコフェロール 1.89%
水 6.12%
デンプン 24.05%
【0051】
[実施例5]
452gの脱イオン水を60℃に加熱した。141.8gのフィッシュゼラチンおよび141.8gのスクロースを水に添加して60℃で1時間溶解した。次に8.6gのdl−α−トコフェロール、31gの結晶性レスベラトロール(マルバーン粒度d50が100〜130μm)および50gのグリセロールを添加した。混合物を湿式ミル内で80〜90℃、回転速度4000rpmで4時間粉砕した。粉砕後、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は0.1〜1μmであった。得られた懸濁液の213gを流動化コーンスターチ中にスプレーした。得られた微小ビーズを60℃で15分間乾燥させた。
【0052】
最終製品は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 5.15%
フィッシュゼラチン 20.67%
スクロース 23.54%
dl−α−トコフェロール 1.43%
水 5.63%
デンプン 35.28%
【0053】
[実施例6]
550gの脱イオン水を60℃に加熱した。190gのフィッシュゼラチンおよび190gのスクロースを水に添加して60℃で1時間溶解した。次に4.5gのdl−α−トコフェロールおよび50gの結晶性レスベラトロール(マルバーン粒度d50が100〜130μm)を添加した。混合物を湿式ミル内で、60℃で3時間、そして80℃で1時間、回転速度4000rpmで粉砕した。粉砕後、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は0.1〜1μmであった。このようにして得られた懸濁液が「懸濁液1」である。
【0054】
300gの脱イオン水を251.5gの懸濁液1に添加した。得られた希釈懸濁液100gを吸気温180℃のビュッヒ(Buchi)ミニスプレードライヤー190内で噴霧乾燥した。
【0055】
最終製品は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 11.38%
フィッシュゼラチン 37.98%
スクロース 43.25%
dl−α−トコフェロール 1.02%
水 6.37%
【0056】
この粉末をミネラルウォーター(Arkina)に溶解し、80℃で1分間低温殺菌した。水に懸濁されたトランスレスベラトロールを用いて、以下の結果を得た(分析はHPLCにより実施)。
【0057】
【表2】



【0058】
2.3gのパルミチン酸アスコルビルを500gの懸濁液1に添加した。次に水酸化ナトリウムによってpHを7.2〜7.5に調節した。得られた懸濁液が「懸濁液2」である。次に507.8gの脱イオン水を245.5gの懸濁液2に添加した。得られた希釈懸濁液100gを吸気温180℃のビュッヒミニスプレードライヤー190内で噴霧乾燥した。
【0059】
最終製品は以下の組成を有した。
レスベラトロール 11.38%
フィッシュゼラチン 37.96%
スクロース 43.23%
dl−α−トコフェロール 1.02%
パルミチン酸アスコルビル 1.03%
水 5.38%
【0060】
2.3gのアスコルビン酸ナトリウムを250gの懸濁液2に添加した。このようにして得られた懸濁液が「懸濁液3」である。次に427gの脱イオン水を250gの懸濁液3に添加した。得られた希釈懸濁液の100gを吸気温180℃のビュッヒミニスプレードライヤー190内で噴霧乾燥した。
【0061】
最終製品は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 11.14%
フィッシュゼラチン 37.18%
スクロース 42.34%
dl−α−トコフェロール 1.00%
パルミチン酸アスコルビル 1.01%
アスコルビン酸ナトリウム 2.03%
水 5.29%
【0062】
[実施例7]
600gの脱イオン水を60℃に加熱した。280gのCapsul Sおよび120gのスクロースを水に添加して60℃で1時間溶解した。次に46.8gの結晶性レスベラトロールを添加した。生成物を330gのZrOビーズ(直径0.4mm)と共に、湿式ミル内で43〜46℃、回転速度4000rpmで2時間粉砕した。
【0063】
粉砕前、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は20〜40μmであった。粉砕後、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は0.1〜1μmであった。得られた懸濁液が懸濁液1である。
【0064】
307gの脱イオン水を928gの懸濁液1に添加した。得られた希釈懸濁液を吸気温150℃のNiro FSD−0.8 Minor内で噴霧乾燥した。
【0065】
最終製品は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 9.73%
Capsul S 58.20%
スクロース 24.93%
水 7.14%
【0066】
25℃、相対湿度60%(密封アルミパック)における3ヶ月後のレスベラトロールの保持率:99%。
【0067】
40℃、相対湿度75%(密封アルミパック)における3ヶ月後のレスベラトロールの保持率:100%。
【0068】
[実施例8]
600gの脱イオン水を60℃に加熱した。280gのカルシウムリグニンスルホネートおよび120gのスクロースを水に添加して60℃で1時間溶解した。次に46.8gのレスベラトロール結晶を添加した。生成物を330gのZrOビーズ(直径0.4mm)と共に湿式ミル内で40〜45℃、回転速度4000rpmで2時間粉砕した。
【0069】
粉砕前、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は20〜40μmであった。粉砕後、レスベラトロールのマルバーン粒度d50は0.1〜1μmであった。得られた懸濁液の960gを吸気温130℃のNiro FSD−0.8 Minor内で噴霧乾燥した。
【0070】
最終製品は以下の組成(w/w)を有した。
レスベラトロール 10.12%
カルシウムリグニンスルホネート 57.31%
スクロース 25.93%
水 6.64%
【0071】
以下の実施例は飲料中でのレスベラトロールCWSの使用を例証する。
【0072】
[実施例9]
【0073】
【表3】



【0074】
[調製]
− ソルビン酸カリウムを少量の水に溶解する。
− クエン酸溶液、乾燥ビタミンE15%CC、およびレスベラトロールCWSを添加する。
− 全成分が溶解するまで撹拌する。
− 糖を添加して再度撹拌し、水を添加して1Lにする。
− 適切なパッケージに充填して低温殺菌し、あるいは低温殺菌して無菌充填する。
【0075】
1ヶ月間にわたり沈殿または可視的な再結晶化は検出できなかった。CWS形態の代わりに結晶性レスベラトロールを使用すると、溶解できない沈殿が残った。
【0076】
[実施例10]
【0077】
【表4】



【0078】
[調製]
− ソルビン酸カリウムを水の一部に撹拌しながら溶解する。
− さらに撹拌しながらレスベラトロールCWSを添加する。
− 糖シロップ、アスコルビン酸、クエン酸溶液、水溶性香料、およびβ−カロテン溶液を相次いで撹拌しながら添加する(高速ミキサー不使用)。
− 瓶詰用シロップを1Lの飲料に希釈する。
− 適切なパッケージに充填して低温殺菌し、あるいは低温殺菌して無菌充填する。
【0079】
1ヶ月間にわたり沈殿または可視的な再結晶化は検出できない。CWS形態の代わりに結晶性レスベラトロールを使用すると、溶解できない沈殿が残る。
【0080】
[実施例11]
10%ジュースとレスベラトロールCWSを添加した飲料が次のようにして得られる。
【0081】
【表5】



【0082】
[調製]
− β−カロテン10%CWSを水に分散する。
− オレンジ濃縮物と香味油およびβ−カロテン分散体とを混合する。
− 混合物を高速ミキサーを用いて予備均質化し、高圧ホモジナイザーを使用して均質化する(1分間、150バール/100バール)。
【0083】
【表6】



【0084】
[調製]
− ソルビン酸カリウムを撹拌しながら水に溶解する。
− 糖シロップ、アスコルビン酸、クエン酸、ペクチン、香料/着色料エマルジョン、およびレスベラトロールCWSをソルビン酸カリウム溶液に相次いで撹拌しながら添加する(高速ミキサー不使用)。
− 220gの瓶詰用シロップを水で1000mlにする。
− 適切なパッケージに充填して低温殺菌し、あるいは低温殺菌して無菌充填する。
【0085】
[代案の調製法]
− レスベラトロール(CWS形態)を(瓶詰用シロップの代わりに)ジュース化合物に添加する。レスベラトロール(CWS形態)をオレンジ濃縮物、香味油およびβ−カロテン分散体に混合する。この場合、最終飲料中で同一濃度を得るために、レスベラトロール(CWS形態)の量を再計算しなくてはならないことに留意されたい。例えば:
【0086】
【表7】



【0087】
レスベラトロール(CWS形態)をジュース化合物に添加する場合、水の量を除いて(水を添加して1000mlにする)、その他の成分の量は変化しない。瓶詰用シロップ調製品は、レスベラトロール(CWS形態)の添加を除いて同一である。
【0088】
以下の実施例は、錠剤処方の調製においてレスベラトロールCWSをどのように使用し得るかを例証する。
【0089】
[実施例12]
[水分を含まない(Straight)錠剤]
実施例1に記載の422gのレスベラトロールCWS組成物のノンフレーバー錠剤、760gのアビセル(Avicel)pH 102(微結晶セルロース)、6gのポリプラスドンXL 10(クロスポビドンNF)、および4gのアエロジル(Aerosil)200(SiO)を1mm篩を通して篩掛けし、タンブラーミキサー内で10分間混合する。8gのステアリン酸Mgを前述の成分に添加して2分間混合する。単式錠剤機上で混合物を錠剤に圧縮する。
【0090】
打錠機:コルシュ(Korsch)XP1
パンチ:21×8.8mm
圧縮力:15〜20kN
【0091】
錠剤の特性解析
錠剤重量:1200mg
レスベラトロール含量:42mg
【0092】
[実施例13]
[総合ビタミン錠剤]
1.ビタミンB12、0.1%WS N 6.00g
2.乾燥ビタミンK、15%S 0.50g
3.チアミン硝酸塩 1.85g
4.リボフラビンTG 1.70g
5.乾燥ビタミンD3、タイプ100 CWS/AM 4.00g
6.マルトデキストリン上の1%研和ビオチン 3.00g
7.マルトデキストリン上の10%研和葉酸 4.00g
8.ピリドキシンHCI 2.44g
9.BetaTab 20%S 6.00g
10.乾燥ビタミンA酢酸塩500 6.00g
11.アスコルビン酸、90%顆粒化 67.00g
12.乾燥ビタミンE 75HP 40.00g
13.ナイアシンアミド 20.00g
14.カルシウムD−パントテン酸塩 10.90g
15.実施例2に記載のレスベラトロールCWS組成物 409.00g
16.ポリプラスドンXL 10(クロスポビドンNF) 7.00g
17.アエロジル200(SiO) 4.00g
18.アビセルpH102(微結晶セルロース) 348.61g
19.第二リン酸カルシウム 550.00g
20.ステアリン酸Mgを添加して1500.00gにする
【0093】
構成要素1〜10、16、および17を1mm篩を通して篩掛けし、タンブラーミキサー内で10分間混合する。次に構成要素11〜15および18〜19を篩掛けして添加し、その他の成分と共に10分間混合する。ステアリン酸Mgの添加後、混合粉体を再度2分間混合する。単式錠剤機上で混合物を錠剤に圧縮する。
【0094】
打錠機:コルシュ(Korsch)XP1
パンチ:22×9mm楕円形
圧縮力:15〜20kN
【0095】
錠剤の特性解析(錠剤重量:1500mg)
レスベラトロール 47mg
ビタミンB12 6μg
ビタミンK1 25μg
ビタミンB1 1.5mg
ビタミンB2 1.7mg
ビタミンD3 400IU
ビオチン 30μg
葉酸 400μg
ビタミンB6 2mg
β−カロテン 1.2mg
ビタミンA 3000IU
ビタミンC 60mg
ビタミンE 30IU
ナイアシンアミド 20mg
パントテン酸 10mg
【0096】
[実施例14]
[複合ビタミン発泡剤]
1.ビタミンB12 0.1%WS N 6.00g
2.乾燥ビタミンK、15%SD 0.50g
3.チアミン硝酸塩 1.85g
4.リボフラビン5−リン酸ナトリウム 1.95g
5.乾燥ビタミンD3、タイプ100 CWS/AM 2.00g
6.マルトデキストリン上の1%研和ビオチン 3.00g
7.マルトデキストリン上の10%研和葉酸 4.00g
8.ピリドキシンHCl 2.44g
9.BetaTab、20%S 6.00g
10.乾燥ビタミンAパルミチン酸塩、タイプ250CWS/F 6.66g
11.アスコルビン酸90%顆粒化 67.00g
12.乾燥ビタミンE、50%CWS/F 24.00g
13.ナイアシンアミド 20.00g
14.カルシウムD−パントテン酸塩 10.90g
15.実施例5に記載のレスベラトロールCWS組成物 240.00g
16.クエン酸微細顆粒 1600.00g
17.炭酸水素ナトリウム 800.00g
18.マンゴー香料 75.00g
19.アスパルテーム 45.00g
20.アセスルファム 15.00g
21.マンニトール 628.20g
22.ソルビトール 433.00g
23.PEG 7.50g
【0097】
構成要素1〜4および18〜20を1mm篩に通し、タンブラーミキサー内で15分間混合する。次に構成要素15を1mm篩に通し、構成要素16〜17および21〜23と共に上記混合物に添加し、再度15分間混合する。単式錠剤機上でこの混合物を圧縮して発泡剤にする。
【0098】
打錠機:コルシュ(Korsch)XP1
パンチ:25mm
圧縮力:40〜45kN
【0099】
錠剤の特性解析(錠剤重量4000mg)
レスベラトロール 12mg
ビタミンB12 6μg
ビタミンK1 25μg
ビタミンB1 1.5mg
ビタミンB2 1.43mg
ビタミンD3 200IU
ビオチン 30μg
葉酸 400μg
ビタミンB6 2mg
β−カロテン 1.2mg
ビタミンA 1666IU
ビタミンC 60mg
ビタミンE 12IU
ナイアシンアミド 20Mg
パントテン酸 10Ma

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レスベラトロールおよび保護コロイドからなり、またはそれらを含む組成物。
【請求項2】
前記保護コロイドがゼラチン、リグニンスルホネートまたは化工食用デンプンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
糖、人工甘味料、抗酸化剤、着香剤、PEG、発泡性粉末、賦形剤、およびアジュバントからなる群からの少なくとも1つの追加的構成要素を含有する、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
レスベラトロールが1〜80重量%、好ましくは5〜20重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記保護コロイドが20〜99重量%、好ましくは80〜95重量%の量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
水性懸濁液の形態または乾燥微粉砕状形態である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
微小ビーズまたは顆粒の形態である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物の製造における、保護コロイド、特にゼラチンまたは化工食用デンプンの使用。
【請求項9】
水性食品をレスベラトロールで安定して栄養強化するための請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
水性食品が飲料である、請求項9に記載の組成物の使用。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を食品の製造工程のあらゆる適切な段階で添加する工程により、およびそれ自体が既知の方法によって組成物を分布させて均質懸濁液を形成する工程により、レスベラトロールを水性食品中、特に飲料中に安定して組み込む方法。
【請求項12】
レスベラトロールが少なくとも6ヶ月間にわたり安定して懸濁される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物の形態であるレスベラトロールで安定して補われた水性食品。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物の形態であるレスベラトロールで安定して補われた飲料。

【公表番号】特表2012−516834(P2012−516834A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546721(P2011−546721)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000665
【国際公開番号】WO2010/089104
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】