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レセプターを活性化し得る融合ポリペプチド
説明

レセプターを活性化し得る融合ポリペプチド

【課題】活性化されるためにマルチマー化を必要とする標的レセプターを活性化し得るマルチマー融合ポリペプチドの提供。
【解決手段】(A)−M−(A’)を含む融合ポリペプチドであって、ここで、AおよびA’は、各々、標的レセプターを結合し得るポリペプチドである。本発明の融合ポリペプチドは、この標的レセプターを活性化するマルチマータンパク質を形成する。AおよびA’は、各々、標的レセプターに特異的な抗体由来の、抗体またはフラグメントであり得る。この抗体またはフラグメントは、同じかまたは異なる、この標的タンパク質を結合し得る、ScFvフラグメント、および/またはリガンドもしくはリガンドフラグメント、または誘導体であり得る。Mは、マルチマー化成分であり、xおよびyは、独立して、1〜10の間の数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、標的レセプターを活性化し得るマルチマー融合タンパク質、このような融合ポリペプチドを産生する方法、およびこの標的レセプターの活性化が所望される疾患または状態の処置、診断またはモニタリングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
可溶性Ephリガンドドメインをクラスター化して、それらの同族レセプターを活性化し得るマルチマーを作製することは、特許文献1に記載されている。特許文献2は、抗体を用いてエリスロポエチンレセプターを活性化する方法を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,747,033号明細書
【特許文献2】米国特許第6,319,499号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、活性化されるためにマルチマー化を必要とする標的レセプターを活性化し得るマルチマー融合ポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、標的レセプターの活性化が望ましい状態を処置するために有用であり、種々のインビトロおよびインビボでの診断用途および予後診断用途を有する。本発明のポリペプチドは、例えば、標的特異的抗体または天然のリガンドと比較して改善された標的レセプター活性化能力を示す、単一特異性(monospecific)または二重特異性(bispecific)のテトラマーであり得る。
【0005】
従って、第一の局面では、本発明は、単離された核酸分子を提供し、この核酸分子は、融合ポリペプチド(A)−M−(A’)をコードし、ここで、Aは、標的レセプターに特異的なポリペプチドであり、Mは、マルチマー化成分であり、A’は、Aと同じ標的レセプターに特異的なポリペプチドであり、そしてxおよびyは、独立して、1〜10の間の数である。
【0006】
第一の実施形態では、AおよびA’は、標的レセプターに特異的な、抗体または抗体フラグメントであり、そして標的レセプターに特異的な、同じ、抗体または抗体フラグメントである。別の実施形態では、AおよびA’は、同じ標的レセプターに特異的な、異なる、抗体または抗体フラグメントである。好ましくは、AおよびA’は、単鎖Fv(ScFv)フラグメントである。この融合ポリペプチドがヒト治療剤として意図される場合、本発明は、ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントを包含する。
【0007】
第二の実施形態では、AおよびA’は、同じ標的レセプターに特異的な、リガンドまたはリガンドフラグメントである。より特定の実施形態では、AおよびA’は、同じ標的レセプターに特異的な、異なる、リガンドまたはリガンドフラグメントである。別の特定の実施形態では、AおよびA’は、同じリガンドまたはリガンドフラグメントである。
【0008】
第三の実施形態では、Aは、標的レセプターに特異的な、抗体または抗体フラグメントであり、そしてA’は、同じ標的レセプターに特異的な、リガンドまたはリガンドフラグメントである。好ましい実施形態では、Aは、Tieレセプター(Tie−1またはTie−2)に対する、抗体または抗体フラグメントであり、A’は、Tieレセプターのフィブリノゲンドメインである。
【0009】
特定の実施形態では、Mは、別の融合ポリペプチド上のマルチマー化成分とマルチマー化して、融合ポリペプチドのマルチマーを形成する、マルチマー化成分である。好ましい実施形態では、Mは、IgGのFcドメインまたはIgGの重鎖である。IgGのFcドメインは、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびに各アイソタイプ群内の任意のアロタイプから選択され得る。
【0010】
第二の局面では、本発明は、(A)−M−(A’)を含む融合ポリペプチドを提供し、ここで、A、M、A’、xおよびyは、上記の通りである。
【0011】
第一の実施形態では、AおよびA’は、標的レセプターに特異的な、抗体または抗体フラグメントであり、そして標的レセプターに特異的な、同じ、抗体または抗体フラグメントである。別の実施形態では、AおよびA’は、同じ標的レセプターに特異的な、異なる、抗体または抗体フラグメントである。好ましくは、AおよびA’は、単鎖Fv(ScFv)フラグメントである。
【0012】
第二の実施形態では、AおよびA’は、同じ標的レセプターに特異的な、リガンドまたはリガンドフラグメントである。より特定の実施形態では、AおよびA’は、同じ標的レセプターに特異的な、同じかまたは異なる、リガンドまたはリガンドフラグメントである。
【0013】
第三の実施形態では、Aは、標的レセプターに特異的な、抗体または抗体フラグメントであり、そしてA’は、同じ標的レセプターに特異的な、リガンドまたはリガンドフラグメントである。
【0014】
第三の局面では、本発明は、本発明の2つの融合ポリペプチドを含む、活性化ダイマー融合ポリペプチド(例えば、上記で規定した通りの(A)−M−(A’)という2つのポリペプチドから形成されたダイマー)を提供する。抗体が2個以下のレセプターをクラスター形成する能力と比較して、本発明の活性化ダイマーは、4個以上のレセプターに結合してクラスターを形成して、レセプター活性化をもたらし得る。
【0015】
1つの実施形態では、本発明の融合ポリペプチドの成分は、互いに直接連結される。他の実施形態では、スペーサー配列は、1以上の成分の間に含まれ得、このスペーサー配列は、1以上の分子(例えば、アミノ酸)を含み得る。例えば、スペーサー配列は、ドメイン含有成分にもともと連結された1以上のアミノ酸を含み得る。スペーサー配列はまた、融合ポリペプチドの発現を増強するために用いられる配列を含んでもよく、制限部位を提供してもよく、成分ドメインに最適な三次構造および四次構造を形成させてもよく、そして/または成分ドメインによって成分とその標的レセプターとの相互作用を増強させてもよい。1つの実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、1以上の成分の間に1以上のペプチド配列を含み、このペプチド配列は、1〜25の間のアミノ酸である。さらなる実施形態は、シグナル配列を、本発明の融合ポリペプチドの開始部、すなわちアミノ末端に含み得る。このようなシグナル配列は、細胞にとってネイティブなものであっても、組換え体であってもまたは合成のものであってもよい。
【0016】
本発明の融合ポリペプチドの成分は、種々の配置で配置され得る。例えば、融合ポリペプチドの開始部、すなわちアミノ末端から記載すると、(A)−M−(A’)、(A)−(A’)−M、M−(A)−(A’)、(A’)−M−(A)、(A’)−(A)−M、M−(A’)−(A)、(A)−M−(A’)、(A)−(A’)−M、M−(A)−(A’)などであり、ここでx=1〜10であり、y=1〜10である。さらにより特定の実施形態では、x=1およびy=1、またはx=2およびy=2である。
【0017】
第四の局面では、本発明は、本発明の核酸配列を含むベクターを特徴とする。本発明はさらに、本発明の核酸を含む発現ベクターを特徴とし、ここでこの核酸分子は、発現制御配列に作動可能に連結されている。また提供されるのは、本発明の融合ポリペプチドの産生のための宿主−ベクター系であり、この系は、融合ポリペプチドの発現に適切な宿主細胞または宿主生物体に導入された本発明の発現ベクターを含み、このような細胞または生物体としては、トランスジェニック動物が挙げられるがそれには限定されない。
【0018】
第五の局面では、本発明は、本発明の融合ポリペプチドを産生する方法を特徴とし、この方法は、本発明の核酸配列を含むベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、この宿主細胞からのこのポリペプチドの発現に適切な条件下で培養する工程、およびこのようにして産生された融合ポリペプチドを回収する工程を包含する。
【0019】
第六の局面では、本発明は、標的レセプター関連疾患または標的レセプター関連状態の処置のための治療方法を特徴とし、この方法は、治療有効量の本発明の活性化ダイマーを、その必要のある被験体に投与する工程を包含し、ここでこの標的レセプターが活性化され、そしてこの疾患または状態は、改善または阻害される。
【0020】
したがって、第七の局面では、本発明は、本発明の活性化ダイマーを、薬学的に受容可能なキャリアとともに含む、薬学的組成物を特徴とする。このような薬学的組成物は、ダイマータンパク質またはコード核酸を含み得る。
【0021】
他の目的および利点は、次の詳細な説明の概観から明らかになる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
(A)−M−(A’)を含む融合ポリペプチドであって、ここで、成分Aおよび成分A’は、標的レセプターを結合し得るポリペプチドであり、成分Mは、マルチマー化成分であり、そしてxおよびyは、独立して、1〜10の間の数である、融合ポリペプチド。
(項目2)
AおよびA’が、各々、前記標的レセプターに特異的な抗体由来の、抗体またはフラグメントである、項目1に記載の融合ポリペプチド。
(項目3)
AおよびA’が、同じかまたは異なる、抗体または抗体フラグメントである、項目2に記載の融合ポリペプチド。
(項目4)
AおよびA’が、単鎖Fv(ScFv)フラグメントである、項目3に記載の融合ポリペプチド。
(項目5)
Aが、前記標的レセプターに特異的な抗体由来の、抗体またはフラグメントであり、そしてA’が、同じ標的レセプターを結合し得るリガンドまたはリガンドフラグメントである、項目1に記載の融合ポリペプチド。
(項目6)
Aが、Tieレセプターに対する抗体または抗体フラグメントであり、そしてA’が、Tieレセプターリガンドのフィブリノゲンドメインである、項目5に記載の融合ポリペプチド。
(項目7)
前記TieレセプターがヒトTieレセプターであり、Aがヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントであり、そしてA’がヒトAng−1またはAng−2のフィブリノゲンである、項目6に記載の融合ポリペプチド。
(項目8)
AおよびA’が、各々、同じ標的レセプターに結合し得る、リガンドまたはリガンドフラグメントである、項目1に記載の融合ポリペプチド。
(項目9)
前記マルチマー化成分が、IgGのFcドメイン、IgGの重鎖のFcドメイン、ならびに重鎖のC2定常領域およびC3定常領域からなる群より選択される、項目1〜8のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
(項目10)
前記標的レセプターが、活性化されるためにマルチマー化を必要とする、項目1に記載の融合ポリペプチド。
(項目11)
前記標的レセプターが、EPOレセプター、G−CSFレセプター、GM−CSFレセプター、GHレセプター、EGFレセプター、FGFレセプター、VEGFレセプター、PDGFレセプター、Ephファミリーレセプター、TGF−βレセプターファミリー、Tie−1およびTie−2からなる群より選択される、項目10に記載の融合ポリペプチド。
(項目12)
前記融合ポリペプチドの成分が、(A)−M−(A’)、(A)−(A’)−M、M−(A)−(A’)、(A’)−M−(A)、(A’)−(A)−M、M−(A’)−(A)、(A)−M−(A’)、(A)−(A’)−M、およびM−(A)−(A’)からなる群より選択される配置で配置される、項目1〜11のいずれかに記載の融合ポリペプチド。
(項目13)
項目1〜12のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドをコードする、単離された核酸。
(項目14)
項目13に記載の融合ポリペプチドのうちの2つによって形成される、ダイマー。
(項目15)
融合ポリペプチドを産生する方法であって、項目13に記載の核酸を含むベクターでトランスフェクトした宿主細胞を、該宿主細胞からのタンパク質の発現に適切な条件下で培養する工程、およびこのようにして産生された融合タンパク質を回収する工程を包含する、方法。
(項目16)
項目14に記載のダイマーおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
本方法を記載する前に、特定の方法および記載された実験条件は変化し得るので、本発明がこのような特定の方法、および記載された実験条件に限定されないことが理解されるべきである。本明細書中で用いられる用語が、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図しないこともまた理解されるべきである。なぜなら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。
【0023】
他に定義しない限り、本明細書中で用いられる全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載した方法および材料と類似または均等な任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法および材料がここで記載される。本明細書中で言及される全ての刊行物は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0024】
(定義)
本明細書中で用いられる場合、用語「標的レセプター関連状態または標的レセプター関連疾患」とは、一般に、特定の標的レセプターと関連した哺乳動物宿主(特に、ヒト宿主)の状態を包含する。従って、標的レセプター関連状態を処置することは、標的レセプター活性の減少を反映する症状を有するか、または疾患、状態もしくは処置のレジメンに応じてこのようなレベルの低下を有することが予想される、哺乳動物(特に、ヒト)の処置を包含する。標的レセプター関連状態または標的レセプター関連疾患を処置することは、ヒト被験体の処置を包含し、ここで、本発明の活性化ダイマーを用いた標的レセプターの活性化の促進は、標的レセプター関連状態または標的レセプター関連疾患から生じる望ましくない症状の改善をもたらす。本明細書中で用いられる場合、「標的レセプター関連状態」はまた、特定の標的レセプターの活性化を一時的に、または長期にわたって変更することが望ましい状態を包含する。
【0025】
(標的レセプター)
標的レセプターの例は、Ephファミリーのメンバー(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5、EphB6)、Tieレセプター(例えば、Tie−1またはTie−2)である。適切なリガンドまたはそのフラグメントとしては、エフリン(ephrin)(例えば、エフリン−A1、エフリン−A2、エフリン−A3、エフリン−A4、エフリン−A5、エフリン−B1、エフリン−B2、エフリン−B3)の可溶性ドメイン、およびアンジオポエチン(angiopoietin)(例えば、アンジオポエチン−1(ang−1)、ang−2、ang−3、および/またはang−4)のフィブリノゲンドメインが挙げられる。
【0026】
適切な標的レセプターは、マルチマー化された場合に活性化されるレセプターである。このクラスのレセプターとしては、内在性キナーゼドメインを保有するレセプターが挙げられるがこれに限定されない。このクラスの内在性キナーゼレセプターには、ホモダイマーを形成するレセプター、または同じレセプターのクラスターを形成するレセプター(例えば、Tie−1、Tie−2、EGFR、FGFR、TrkファミリーおよびEphファミリーのレセプター)、ならびにヘテロダイマーもしくはクラスターを形成するレセプター(例えば、VEGFレセプターであるVEGFR1、VEGFR2、PDGFレセプターであるPDGFRαおよびPDGFRβ、ならびにTGFファミリーのレセプター)がある。適切な標的レセプターとしてはまた、キナーゼが会合するレセプターのクラスが挙げられるがこれらに限定されない。これらのレセプターとしては、ホモダイマーまたはクラスターを形成するレセプター(例えば、成長ホルモンレセプター、EPORおよびG−CSFレセプターCD114)、ならびにヘテロダイマーまたはクラスターを形成するレセプター(例えば、GM−CSFレセプターであるGMRαおよびGMRβ)が挙げられる。
【0027】
(標的レセプター特異的抗体および標的レセプター特異的リガンド)
特定の実施形態では、本発明の活性化ダイマーは、選択された標的レセプターに対して作製された抗体から単離された1以上の免疫グロブリン結合ドメインを含む。用語「免疫グロブリン」または「抗体」とは、本明細書中で用いられる場合、抗原(本発明の場合、標的レセプターまたはその一部である)に特異的に結合して抗原を認識する、免疫グロブリン遺伝子由来のフレームワーク領域またはそのフラグメントを含む、哺乳動物(ヒトを包含する)ポリペプチドをいう。意図される活性化ダイマーが哺乳動物治療剤として用いられる場合、免疫グロブリン結合領域は、対応する哺乳動物免疫グロブリンに由来すべきである。活性化ダイマーが非治療用途(例えば、診断およびELISA)を意図される場合、免疫グロブリン結合領域は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、マウス)のいずれかに由来し得る。ヒト免疫グロブリン遺伝子または遺伝子フラグメントとしては、κ定常領域、λ定常領域、α定常領域、γ定常領域、δ定常領域、ε定常領域、およびμ定常領域、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、κまたはλのいずれかであると分類される。重鎖は、γ、μ、α、δまたはεと分類され、次いで、それぞれ、免疫グロブリンのクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを規定する。各IgGのクラス内には、異なるアイソタイプ(例えば、IgG、IgGなど)が存在する。代表的には、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性および親和性を決定する際に最も重要である。
【0028】
ヒトIgGの例示的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は、テトラマーを構成する。各テトラマーは、2つの同一のポリペプチド鎖対から構成され、各対は、1つの軽鎖(約25kD)および1つの重鎖(約50kD〜約70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識を主に担う、約100〜110またはそれより多くのアミノ酸からなる可変領域を規定する。用語「可変軽鎖」(V)および可変重鎖(V)とは、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖をいう。
【0029】
抗体は、インタクトな免疫グロブリン、または種々のペプチダーゼを用いた消化によって産生される充分に特徴付けられた多数のフラグメント(例えば、F(ab)’、Fab’など)として存在する。従って、用語「免疫グロブリン」または「抗体」はまた、本明細書中で用いられる場合、抗体全体の改変によって産生された抗体フラグメント、または組換えDNA方法論を用いて新規に合成された抗体フラグメント(例えば、単鎖Fv(ScFv)またはファージディスプレイライブラリーを用いて同定される抗体フラグメント)を包含する(例えば、McCaffertyら(1990)Nature 348:552−554を参照のこと)。さらに、本発明の融合ポリペプチドの標的レセプター結合ドメイン成分は、免疫グロブリンの重鎖可変領域(V)または軽鎖可変領域(V)、ならびにそれらの標的レセプター結合部分を包含する。このような可変領域を産生するための方法は、Reiterら(1999)J.Mol.Biol.290:685−698に記載される。
【0030】
抗体を調製するための方法は、当該分野で公知である。例えば、Kohler & Milstein(1975)Nature 256:495−497;Harlow & Lane(1988)Antibodies:a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Lab.,Cold Spring Harbor,NYを参照のこと。目的の抗体の重鎖をコードする遺伝子および軽鎖をコードする遺伝子は、細胞からクローニングされ得る(例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子は、ハイブリドーマからクローニングされて組換えモノクローナル抗体を産生するために用いられ得る)。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーもまた、ハイブリドーマまたは形質細胞から作製され得る。重鎖遺伝子産物および軽鎖遺伝子産物のランダム組合せは、異なる抗原特異性を有する抗体の大きなプールを生じる。単鎖抗体または組換え抗体の産生のための技術(米国特許第4,946,778号;米国特許第4,816,567号)は、本発明の融合ポリペプチド、活性化ダイマーおよび方法において用いられる抗体を産生するために適応され得る。また、トランスジェニックマウスまたは他の生物体(例えば、他の哺乳動物)は、ヒト抗体またはヒト化抗体を発現させるために用いられ得る。あるいは、ファージディスプレイ技術は、抗体、抗体フラグメント(例えば、可変ドメイン)および選択された抗原に特異的に結合するヘテロマーFabフラグメントを同定するために用いられ得る。ファージディスプレイは、本明細書中に記載される本発明に従って他の弱いバインダーと合わせた場合に強い結合活性化ダイマーを生じる、弱く結合する抗体またはそのフラグメントを、免疫していない動物から単離するために特に有用なものである。
【0031】
好ましい免疫グロブリン(抗体)のスクリーニングおよび選択は、当該分野で公知の種々の方法によって行われ得る。標的レセプターに特異的なモノクローナル抗体の存在についての最初のスクリーニングは、例えば、ELISAベースの方法またはファージディスプレイの使用によって行われ得る。第二のスクリーニングは、好ましくは、本発明の融合ポリペプチドの構築において使用するための所望のモノクローナル抗体を同定して選択するために行われる。第二のスクリーニングは、当該分野で公知の任意の適切な方法を用いて実施され得る。
【0032】
(核酸の構築および発現)
本発明の融合ポリペプチドの個々の成分は、当該分野で公知の分子生物学的方法を用いて、核酸分子から産生され得る。核酸分子は、適切な宿主細胞中に導入された場合に融合ポリペプチドを発現し得るベクター中に挿入される。適切な宿主細胞としては、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞が挙げられるがこれらに限定されない。DNAフラグメントをベクターに挿入するための当業者に公知の任意の方法を用いて、転写/翻訳制御シグナルの制御下で本発明の融合ポリペプチドをコードする発現ベクターを構築し得る。これらの方法は、インビトロ組換えDNAおよび合成技術およびインビボ組換えを包含し得る(Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory;Current Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,Greene Publ.Assoc.,Wilwy−Interscience,NYを参照のこと)。
【0033】
本発明の核酸分子の発現は、この分子が、組換えDNA分子で形質転換された宿主中で発現されるように、第二の核酸配列によって調節され得る。例えば、本発明の核酸分子の発現は、当該分野で公知の任意のプロモーター/エンハンサーエレメントによって制御され得る。
【0034】
(免疫グロブリン由来の成分)
核酸構築物は、抗標的レセプター抗体由来の結合ドメインをコードする領域を含む。一般に、このような結合ドメインは、V鎖可変領域またはV鎖可変領域に由来する。所望の結合特性を示す抗体の同定および選択の後、各抗体の重鎖および/または軽鎖の可変領域が単離され、増幅され、クローニングされ、そして配列決定される。アミノ酸をコードするおよび/もしくは制限部位を保有するヌクレオチド配列の付加、アミノ酸をコードするヌクレオチド配列の欠失、またはアミノ酸をコードするヌクレオチド配列の置換を含め、改変は、Vヌクレオチド配列およびVヌクレオチド配列に行われ得る。
【0035】
本発明は、ヒト化されているかまたはキメラである、抗体または抗体フラグメントを包含する。「ヒト化」形態またはキメラ形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、または非ヒト免疫グロブリン由来の、抗原結合に必要な最少配列を含むそれらのフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合サブ配列)である。これらは、キメラ抗体またはヒト化抗体の構築のための出発材料を提供するマウス抗体または他の非ヒト抗体と同じかまたは類似の結合特異性および親和性を有する。キメラ抗体は、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから(代表的には遺伝子操作によって)軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子が構築されている抗体である。例えば、マウスモノクローナル抗体由来の遺伝子の可変(V)セグメントは、ヒト定常(C)セグメント(例えば、IgG1およびIgG4)に連結され得る。ヒトアイソタイプIgG1が好ましい。従って、代表的なキメラ抗体は、マウス抗体由来のVドメインまたは抗原結合ドメインと、ヒト抗体由来のCドメインまたはエフェクタードメインからなるハイブリッドタンパク質である。ヒト化抗体は、実質的にヒト抗体(アクセプター抗体と称される)由来である可変領域フレームワーク残基および実質的にマウス抗体(ドナー免疫グロブリンと呼ばれる)由来である相補性決定領域(CDR領域)を有する。Queenら,Proc.Natl.Acad Sci.USA 86:10029−10033(1989)ならびにWO 90/07861、米国特許第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、同第5,530,101号および同第5,225,539号を参照のこと。存在する場合、定常領域もまた、実質的にまたは完全に、ヒト免疫グロブリン由来である。ヒト可変ドメインは通常、フレームワーク配列が、CDRが由来するマウス可変領域ドメインと高度の配列同一性を示す、ヒト抗体から選択される。重鎖可変領域フレームワーク残基および軽鎖可変領域フレームワーク残基は、同じかまたは異なるヒト抗体配列に由来し得る。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列であってもよく、またはいくつかのヒト抗体のコンセンサス配列であってもよい。WO 92/22653を参照のこと。ヒト可変領域フレームワーク残基由来の特定のアミノ酸配列は、CDRのコンホメーションおよび/または抗原への結合に対する可能な影響に基づいて、置換のために選択される。このような可能な影響の調査は、モデリング、特定の位置でのアミノ酸の特徴の検査、または特定のアミノ酸の置換もしくは変異誘発の影響の経験的観察による。例えば、マウス可変領域フレームワーク残基と選択されたヒト可変領域フレームワーク残基との間であるアミノ酸が異なる場合、このヒトフレームワークアミノ酸は、通常、そのアミノ酸が以下であると合理的に予想されるならば、マウス抗体由来の均等なフレームワークアミノ酸によって置換されるべきである:(1)抗原を直接、非共有結合的に結合する;(2)CDR領域に隣接する;(3)他の点でCDR領域と相互作用する(例えば、CDR領域の約6A内にある)、または(4)V−Vインターフェースに関与する。他の置換候補は、ヒト免疫グロブリンにとってその位置で普通ではない、アクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、マウスドナー抗体の均等な位置またはより代表的なヒト免疫グロブリンの均等な位置由来のアミノ酸で置換され得る。他の置換候補は、ヒト免疫グロブリンにとってその位置で普通ではない、アクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。ヒト化免疫グロブリンの可変領域フレームワークは、通常、ヒト可変領域フレームワーク配列またはこのような配列のコンセンサスに対して、少なくとも85%の配列同一性を示す。
【0036】
完全ヒト抗体は、当該分野で公知の任意の方法によって作製され得る。例えば、米国特許第6,596,541号は、完全ヒト抗体を作製する方法を記載する。手短に述べると、最初に、ヒト可変領域(VDJ/VJ)およびマウス定常領域を含むハイブリッド抗体を産生するトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作製する。これは、マウス可変領域(VDJ/VJ)遺伝子の、そのヒト対応物による直接インサイチュ置換によって達成される。次いで、このマウスは、ヒト抗原またはその免疫原性フラグメントに曝露される。得られるハイブリッド免疫グロブリン遺伝子座は、B細胞発達の間に天然の再配置プロセスを経て、所望の特異性を有するハイブリッド抗体を産生する。本発明の抗体は、上記の通りに選択される。その後、マウス定常領域を所望のヒト対応物で置換することにより、完全ヒト抗体が作製される。完全ヒト抗体はまた、重鎖遺伝子座および軽鎖遺伝子座についてのヒト導入遺伝子またはミニ染色体を発現する、マウスまたは他のトランスジェニック動物(例えば、ウシ)から単離され得る(Green(1999)J Immunol Methods.231:11−23およびIshidaら(2002)Cloning Stem Cells.4:91−102)。完全ヒト抗体はまた、このタンパク質が投与されたヒトから単離され得る。完全ヒト抗体はまた、免疫系がヒト幹細胞、ヒト脾細胞またはヒト末梢血細胞の移植によって再生されている、免疫無防備状態のマウスから単離され得る(Chamatら(1999)J Infect Dis.180:268−77)。目的のタンパク質に対する免疫応答を増強するために、ヒト抗体トランスジェニック動物において、目的のタンパク質をコードする遺伝子をノックアウトし得る。
【0037】
(レセプター結合ドメイン)
本発明に従って、核酸構築物は、標的レセプターリガンド由来の結合ドメインをコードする成分を含む。所望の結合特性を示す、リガンドの標的レセプター結合ドメインの同定後、このようなドメインをコードする核酸が、核酸構築物において用いられる。このような核酸は、アミノ酸をコードするかおよび/もしくは制限部位を保有するヌクレオチド配列の付加、アミノ酸をコードするヌクレオチド配列の欠失、またはアミノ酸をコードするヌクレオチド配列の置換を含め、改変され得る。
【0038】
本発明の核酸構築物は、当該分野で公知の方法により、発現ベクターまたはウイルスベクターに挿入され、ここで、この核酸分子は、発現制御配列に作動可能に連結される。また提供されるのは、適切な宿主細胞中に導入されている本発明の発現ベクターを含む、本発明の融合ポリペプチドおよび活性化ダイマーの産生のための宿主−ベクター系である。適切な宿主細胞は、細菌細胞(例えば、E.coli)、酵母細胞(例えば、Pichia pastoris)、昆虫細胞(例えば、Spodoptera frugiperda)、哺乳動物細胞(例えば、COS細胞、CHO細胞、293細胞、BHK細胞またはNS0細胞)であり得る。
【0039】
本発明はさらに、発現ベクターで形質転換された細胞をその融合ポリペプチドの産生を許容する条件下で増殖させ、そしてこの融合ポリペプチドから形成される活性化ダイマーを回収することによる、本発明の活性化ダイマーを産生するための方法を包含する。細胞はまた、本発明の核酸構築物を含む組換えウイルスで形質導入され得る。
【0040】
活性化ダイマーは、任意の技術によって精製され得、これはその後の安定なダイマーの形成を許容する。例えば、そして限定ではないが、活性化ダイマーは、細胞から、可溶性ポリペプチドまたは封入体のいずれかとして回収され得、封入体から、活性化ダイマーは、8M塩酸グアニジニウムおよび透析によって定量的に抽出され得る。活性化ダイマーをさらに精製するために、従来のイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーまたはゲルろ過が用いられ得る。活性化ダイマーはまた、真核生物細胞または原核生物細胞からの分泌後、馴化培地から回収され得る。
【0041】
(スクリーニング方法および検出方法)
本発明の活性化ダイマーはまた、標的レセプターを検出することおよび/または標的レセプターのレベルを測定することが所望される場合、インビトロまたはインビボでのスクリーニング方法において用いられ得る。スクリーニング方法は、当該分野で周知であり、そして無細胞アッセイ、細胞ベースのアッセイおよび動物アッセイを包含する。インビトロアッセイは、固体状態または可溶性のいずれかであり得る。標的レセプター検出は、標的レセプターに結合した活性化ダイマーを同定し得る標識または検出可能な基の使用を含め、当該分野で公知の多数の方法で達成され得る。検出可能な標識は、免疫アッセイの分野において十分に開発されており、そして一般に、本発明の活性化ダイマーを用いるアッセイに関連して用いられ得る。
【0042】
(治療方法)
本発明の活性化ダイマーがそれらのレセプターへの高親和性結合を示す能力によって、これらは、それらのレセプターを効率的に活性化するために治療的に有用となる。従って、特定の例では、標的レセプター(例えば、エフリン)についての内因性リガンドの効果を増加させることが所望され得る。例えば、神経系外傷の領域では、特定の状態は、エフリン応答性の増加から利益を獲得し得る。それゆえ、本明細書中に記載される組成物の使用によって、このような状態を罹患する患者におけるエフリンの結合親和性を増大させることが有益であり得る。
【0043】
本明細書中の本発明はさらに、Tie−2レセプターを発現する細胞、組織または器官に関与する障害を罹患する患者の処置のための治療剤として本明細書中に記載される活性化ダイマーの開発を提供する。このような分子は、ヒトもしくは動物の身体の処置方法において、または診断方法において、用いられ得る。
【0044】
Tie−2レセプターとして公知の標的レセプターは、内皮細胞に関連して同定されており、そして以前に実証されたように、このレセプターのアゴニスト(例えば、Tie−2リガンド1(Ang1))のブロッキングは、血管新生を防止することが示されている。従って、標的レセプターがTie−2である本発明の活性化ダイマーは、血管新生が示される疾患または障害における血管新生の誘導に有用であり得る。このような疾患または障害としては、創傷治癒、虚血および糖尿病が挙げられる。このリガンドは、動物モデルにおいて試験され得、そして他の薬剤(例えば、血管形成性である別の内皮細胞特異的因子である血管内皮増殖因子(VEGF))について記載される通りに、治療的に使用され得る。1994年7月26日発行のFerraraら、米国特許第5,332,671号。Ferraraらは、虚血性心筋層への血流を増強する際に、創傷治癒を増強する際に、そして新脈管形成(neoangiogenesis)が所望される他の治療場面における脈管形成因子の影響を実証するために用いられ得る、インビトロおよびインビボでの研究を記載する。本発明によれば、このようなTie−2特異的活性化ダイマーは、単独で、または1以上のさらなる薬学的に活性な化合物(例えば、VEGFまたは塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF))と組み合わせて用いられ得る。
【0045】
(投与方法)
因子(例えば、タンパク質または核酸)の治療送達について当該分野で公知の方法(例えば、細胞トランスフェクション、遺伝子治療、送達ビヒクルもしくは薬学的に受容可能なキャリアを用いた直接投与、本発明の活性化ダイマーをコードする核酸を含む組換え細胞を提供することによる間接的送達)は、被験体における標的レセプターを活性化するために、本発明の活性化ダイマーまたは活性化ダイマーをコードする核酸の治療送達のために用いられ得る。
【0046】
種々の送達系(例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、化合物を発現し得る組換え細胞、レセプター媒介エンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu,1987,J.Biol.Chem.262:4429−4432を参照のこと)、レトロウイルスベクターまたは他のベクターの一部としての核酸の構築など)が公知であり、そして本発明の活性化ダイマーを投与するために用いられ得る。導入方法は、腸内または非経口であり得、そして皮内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路、肺経路、鼻腔内経路、眼内経路、硬膜外経路および経口経路を包含するがこれらに限定されない。これらの化合物は、任意の便利な経路によって、例えば、注入もしくはボーラス注射によって、上皮内層もしくは粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)を通した吸収によって、投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。投与は、全身投与または局所投与であり得る。さらに、本発明の薬学的組成物を、脳室内注射および髄腔内投与を包含する任意の適切な経路によって中枢神経系に導入することが所望され得る;脳室内注射は、(例えば、Ommayaレザバのようなレザバに取り付けられた)脳室内カテーテルによって促進され得る。例えば、吸入器またはネブライザおよびエアゾール化剤を用いた処方物の使用によって、肺投与もまた用いられ得る。
【0047】
特定の実施形態では、本発明の薬学的組成物を、処置の必要な領域に局所的に投与することが所望され得る;これは、例えば、非限定的に、手術中の局所注入、表面塗布(topical application)、注射、カテーテル、または移植片により達成され得、この移植片は、膜(例えば、シラスティック(sialastic)膜)、繊維、または市販の皮膚代用品を含め、多孔性、非多孔性またはゲル状の材料である。
【0048】
別の実施形態では、この活性因子は、小胞(特に、リポソーム)内で送達され得る(Langer(1990)Science 249:1527−1533を参照のこと)。なお別の実施形態では、この活性因子は、徐放系内で送達され得る。1つの実施形態では、ポンプが用いられ得る(Langer(1990)前出を参照こと)。
【0049】
(薬学的組成物)
本発明はまた、本発明の活性化ダイマーおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を提供する。用語「薬学的に受容可能な」とは、連邦の統制機関もしくは州政府によって承認されるかまたは米国薬局方もしくは動物、より特定にはヒトにおいて使用するための他の一般的に認識される薬局方に列挙されることを意味する。用語「キャリア」とは、治療剤とともに投与される、希釈剤、佐剤、賦形剤、またはビヒクルをいう。このような薬学的キャリアは、無菌の液体(例えば、水および油(石油起源、動物起源、植物起源もしくは合成起源の油(例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)を含む))であり得る。適切な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米粉(rice,flour)、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、滑石、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール(propylene,glycol)、水、エタノールなどが挙げられる。この組成物はまた、所望の場合、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含み得る。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放処方物などの形態を採り得る。この組成物は、トリグリセリドのような伝統的結合剤およびキャリアを用いて、坐剤としても処方され得る。経口処方物は、標準的キャリア(例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど)を含み得る。適切な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載される。
【0050】
好ましい実施形態では、この組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合した薬学的組成物として、慣用的な手順に従って処方される。必要な場合、この組成物はまた、可溶化剤および注射部位での痛みを和らげるための局所麻酔剤(例えば、リドカイン)を含み得る。この組成物が注入によって投与されるべき場合、これは、無菌の薬学的グレードの水または生理食塩水を含む注入ビンに分配され得る。この組成物が注射によって投与される場合、成分が投与前に混合され得るように、注射用滅菌水または滅菌生理食塩水のアンプルが提供され得る。
【0051】
本発明の活性因子は、中性形態または塩の形態として処方され得る。薬学的に受容可能な塩としては、遊離アミノ基を用いて形成される塩(例えば、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などから誘導される塩)および遊離カルボキシル基を用いて形成される塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導される塩)が挙げられる。
【0052】
(キット)
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの活性化ダイマーが充填された1以上の容器を備える、薬学的パックまたは薬学的キットを提供する。必要に応じて、このような容器に関連して、医薬品または生物製剤の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定される形式の通知が存在し得、この通知は、(a)ヒトへの投与のための製造、使用もしくは販売の、当該機関による認可、(b)指示書、またはその両方を反映する。
【0053】
(トランスジェニック動物)
本発明は、本発明の融合ポリペプチドを発現するトランスジェニック非ヒト動物を包含する。トランスジェニック動物は、核酸を、(例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって)受精した卵母細胞の雄性前核に導入し、偽妊娠した雌性養母動物においてこの卵母細胞を発生させることによって生成され得る。発現ベクターにおいて有用な調節配列または他の配列のいずれかは、トランスジェニック配列の一部を形成し得る。組織特異的調節配列は、導入遺伝子に作動可能に連結されて、特定の細胞への導入遺伝子の発現を導き得る。本発明の融合ポリペプチドを発現するトランスジェニック非ヒト動物は、このような融合タンパク質を産生する手段としてを含め、種々の適用において有用である。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物をどのようにして作製して使用するかの完全な開示および説明を当業者に提供するために示され、発明者が発明と考えられている範囲を限定することを意図しない。用いられる数字(例えば、量、温度など)に関して、精度を確実にするために努力を行ったが、ある程度の実験誤差および実験偏差が考慮されるべきである。そうでないと示されない限り、部は、重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏の度であり、そして圧力は大気圧またはその付近である。
【0055】
(実施例1:抗Tie−2ハイブリドーマの生成)
5匹の8週齢Balb/cマウスに、精製ヒトTie−2−Fc(hTie2−Fc)を最初に免疫した;各マウスに、200μlの乳濁液(100μgの精製hTie2−Fcタンパク質および100μlのフロイント完全アジュバントを含む)を皮下注射した。最初の注射の15日後、各マウスは、200μlの乳濁液(100μlのPBSおよび100μlのフロイント不完全アジュバント中に100μgの精製hTie2−Fcを含む)の皮下注射を受けた。この注射を、この5匹のマウスについて、7日後に繰り返した。1匹のマウスを、hTie−2に対するハイブリドーマの作製のために用いた。4匹の残りのマウスの各々に、hTie2−Fcの最初の注射の6ヵ月後、200μlの乳濁液(各々、100μlのPBSおよび100μlのフロイント不完全アジュバント中に100μgの精製ラットTie−2−Fc(rTie2−Fc)を含む)の皮下注射を行った。11日後、rTie2−Fcに対するマウスの免疫応答を、各マウスについて、200μlの乳濁液(100μlのPBSおよび100μlのフロイント不完全アジュバント中に100μgの精製rTie2−Fcを含む)の皮下注射によって追加免疫(boost)した。マウス血清を、注射の3日後、尾静脈から収集し、次いで、rTie2−Fcに対する抗体力価をELISAにより決定した。最大の力価を有する2匹のマウスに、100μl PBS中の100μgの精製rTie2−Fcの尾静脈注射により、最後の追加免疫を与えた。このマウスを3日後に屠殺し、そしてそれらの脾細胞を、Sp2/0−Ag14細胞との融合のために収集した。
【0056】
ハイブリドーマを作製するために、マウス脾細胞を、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて、Sp2/0−Ag14骨髄腫細胞と融合させた。手短には、脾臓をマウスから無菌的に取り出した後、各脾臓の1つの先端部を切り開き、そして脾細胞を収集した。脾細胞をD−MEMで2回洗浄し、そして血球計算板を用いて細胞数を計数した。2×10個の脾細胞を、対数増殖期にある3×10個のSp2/0−Ag14細胞と合わせた。この細胞混合物を30mlのD−MEMでで洗浄した。37℃の1mlの50% PEGを、攪拌しながら細胞ペレットにゆっくりと添加した。D−MEMをこの混合物に添加して、体積を10mlにした。この細胞を400×gで10分間スピンダウン(spin down)した。上清の除去後、この細胞を、4.5g/Lグルコース、20% FCS、10% NCTC109培地、10%ハイブリドーマクローニング因子、1mMオキサロアセテート、2mMグルタミン、0.2単位/ml インスリンおよび3μM グリシンとともに60% D−MEMを含む20mlの増殖培地中にゆっくりと再懸濁した。この細胞を、各々100mlの増殖培地を含む2本のT225フラスコに移し、そして組織培養インキュベーター中に入れた。翌日、1×HATをこの培地に添加して、融合しなかった骨髄腫細胞を除去するように選択した。融合の9日後、培養物に新鮮な培地を補充した。ヒトIgGを、1mg/mlにてこの培養物に添加した。融合の10日後、2.6×10個の融合細胞を、室温にて、増殖培地中で、1μg/mlビオチン−rTie2−Fcで1時間、そして2.5μg/mlフィコエリトリン(PE)結合体化ストレプトアビジンで45分間、逐次染色した。コントロールとして、1×10個の融合細胞を、室温にて、2.5μg/ml PE−ストレプトアビジンで45分間染色した。これらの細胞を、各染色の後に、10mlのPBSで洗浄した。染色後、これらの細胞を、0.1% FCSを含むPBS中に再懸濁し、そしてMoFlo(Cytomation)におけるフローサイトメトリーによって分析した。ビオチンrTie2−FcおよびPE−ストレプトアビジンの両方で染色された細胞集団(総細胞の4%)は、未染色細胞およびPE−ストレプトアビジン単独で染色した細胞よりも高い蛍光を示した。この4%のゲートにおける細胞を、単一細胞を選別して1ウェルあたり200μlの増殖培地を含む2枚の96ウェルプレートに入れることによりクローン化した。これらの細胞を10日間培養し、その後、2セットの96ウェルプレートに分けた。1セットのプレートにおける細胞を、マウスIgG重鎖可変領域のRT−PCRのために処理し、その後、配列決定した。これらのクローンを14個のビンにグループ分けし、各ビンのメンバーは、重鎖可変領域において同一の配列を有した。各ビン中のハイブリドーマ細胞の馴化培地を、培養したラット大動脈内皮細胞(RAEC)におけるrTie−2のリン酸化を刺激する能力について試験した。
【0057】
2つのハイブリドーマB2およびA12A由来の抗体を、さらなる研究のために選択した。なぜなら、これらは、RAECにおけるTie−2のリン酸化において活性であり、BIAcore分析によって決定したところ、rTie−2に対する結合について競合しなかったからである。さらに、これらの抗体は、Tie−2の天然のリガンドであるアンジオポエチン−1(Ang1)およびアンジオポエチン−2(Ang2)の誘導体の結合をブロックしなかった。
【0058】
(実施例2:ScFv(B2およびA12A)の構築)
一般に、rTie−2に特異的な抗体を発現するハイブリドーマ由来の抗体可変領域を、マウス抗体可変領域遺伝子に特異的なプライマーを用いてRT−PCR産物のDNA配列を最初に決定し、次いでこの決定した配列に基づいて特異的プライマーを用いて、ScFvをコードするDNAフラグメントを増幅することによってクローニングした。これらのScFv DNAフラグメントをクローニングし、その結果、これらは、複数のプラスミドとカセット交換されて、活性化ダイマーの全ての組合せを生じ得た。例えば、1つの増幅されたScFvフラグメントは、N末端においてシグナル配列に、そしてC末端においてIgG Fcドメインについてのコード配列に融合され得るか、または、このフラグメントは、ScFvコード配列の3’末端が翻訳停止コドンを含むように、IgG Fcコード配列のC末端に融合され得る。
【0059】
B2ハイブリドーマは、RAECにおけるTie−2レセプターのリン酸化を誘導し得る抗体を発現することが見出された。総RNAを、promega SV96 Total RNA Isolation System(Promega)を用いてこのハイブリドーマから単離し、そして等モル量の5’プライマー(配列番号1〜7)および3’プライマー(配列番号8)を含むRatnerプライマーセット(Wangら(2000)J.Immunol.Methods 233:167)由来の重鎖プライマーとともにQiagen One−Step RT−PCR系(Qiagen)を用いて可変重鎖cDNAを合成した。同様に、軽鎖可変領域を、等モル量の軽鎖特異的プライマー(配列番号9および配列番号10)を用いてcDNAから増幅した。増幅された可変領域フラグメントをpCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてDNA配列を決定した。B2抗体についての決定した可変領域の配列に基づいて、可変重鎖配列(variable heavy sequence)を、pCR2.1−TOPOにクローニングした可変領域をテンプレートとして用い、そして5’プライマーおよび3’プライマー(配列番号19および配列番号20)の等モル量混合物を用いて、PCR増幅した。可変軽鎖配列(variable light sequence)を、類似のストラテジーを用いてPCR増幅した。pCR2.1−TOPOにクローニングした可変領域を、テンプレートとして用い、そして5’プライマーおよび3’プライマー(配列番号21および配列番号22)の等モル量混合物を用いた。これらの可変領域を、(G4S)3リンカーによって連結した;ScFv遺伝子をアセンブルし、そして等モル量の上記の特異的な可変重鎖および可変軽鎖のPCR産物ならびに5’B2重鎖プライマー(heavy primer)(配列番号19)および3’軽鎖プライマー(light primer)(配列番号22)の等モル量混合物を用いて、PCR増幅した。PCR産物をInvitrogen pCR2.1−TOPO(Invitrogen)にクローニングして、pRG1039を得た。配列を確認し、その後、744bpのAscI/SrfIをサブクローニングして、ヒトIgG1 Fcフラグメント(hFc)をコードするDNAのN末端にScFv遺伝子を融合させたか、または753bpのAscI/NotI制限フラグメントをサブクローニングして、hFcをコードするDNAのC末端に同じScFvを融合させた。
【0060】
A12Aハイブリドーマはまた、RAECにおけるTie−2レセプターのリン酸化を誘導し得る抗体を発現することが見出された。総RNAを、Quick Prep mRNA精製キット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてこのハイブリドーマから単離し、そして可変重鎖cDNAを、5’重鎖プライマー(配列番号11〜配列番号13)および3’プライマー(配列番号8)を含むWrightプライマーセット(Morrisonら(1995)Antibody Engineering,第2版,Borrebaeck,C.K.A.編,267−293)からの等モル量のプライマーとともにQiagen One−Step RT−PCR系を用いて合成した。同様に、軽鎖可変領域を、等モル量の5’重鎖プライマー(配列番号14〜配列番号18)および3’プライマー(配列番号10)を用いてcDNAから増幅した。増幅した可変領域フラグメントをpCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてDNA配列を決定した。
【0061】
A12A抗体についての決定した可変領域配列に基づいて、可変重鎖配列を、pCR2.1−TOPOにクローニングした可変領域をテンプレートとして用い、そして5’プライマーおよび3’プライマー(配列番号23および配列番号24)の等モル量混合物を用いて、PCR増幅した。可変軽鎖配列を、同様のストラテジーを用いてPCR増幅した。pCR2.1−TOPOにクローニングした可変領域をテンプレートとして用い、そして5’プライマーおよび3’プライマー(配列番号25および配列番号26)の等モル量混合物を用いた。これらの可変領域を、(GS)リンカーによって連結した;ScFv遺伝子をアセンブリし、そして上記の特異的な可変重鎖および可変軽鎖のPCR産物の等モル量混合物、ならびに5’A12A重鎖プライマー(配列番号23)および3’軽鎖プライマー(配列番号26)の等モル量混合物を用いてPCR増幅した。PCR産物をInvitrogen pCR2.1−TOPOにクローニングして、pRG1090を得た。この配列を確認し、その後、747bpのAscI/SrfIをサブクローニングして、hFcフラグメントをコードするDNAのN末端にScFv遺伝子を融合した。
【0062】
(実施例3:単一特異性活性化ダイマーおよび二重特異性活性化ダイマーの構築)
単一特異性および二重特異性の四価活性化ダイマーを構築するための一般的スキームは、B2またはA12AのいずれかのScFv遺伝子が、1セットの制限酵素で切断した場合はマウスROR1シグナル配列(配列番号27)とhFcをコードする遺伝子(GenBank登録番号X70421のヌクレオチド85〜765)との間に、または異なるセットの酵素で切断した場合はhFc遺伝子の後に、挿入される能力に基づいた。ScFv遺伝子のこの設計により、プラスミド内のScFvカセットの交換が可能になり、標準的な公知の方法を用いて、ScFvとhFcとの異なる組合せが得られた。全ての構築物は、ScFv遺伝子の5’末端への制限部位の操作の結果、シグナルペプチドの切断部位とScFv遺伝子の開始部との間に、必要に応じて3つのアミノ酸リンカー(スペーサー)を有する。同様に、hFc遺伝子のアミノ末端に対する融合は、3アミノ酸配列(Gly−Pro−Gly)によって促進され、そしてhFc遺伝子のカルボキシ末端への融合は、残基Gly−Ser−Gly−Ala−Pro(配列番号32)からなる8アミノ酸配列によって促進された。ScFv遺伝子における末端制限部位リンカーの結果、カルボキシ末端ScFvを有する全ての構築物は、アミノ酸Gly−Pro−Glyで終わる。
【0063】
2種類のscFvベースのキメラ分子を、ScFvベースの分子がrTie−2レセプターを活性化する能力を評価するために構築した。1種類の分子は、hFcのN末端およびC末端の両方に融合した1つのScFvを用い、その結果、rTie−2を結合し得る単一特異性四価分子が得られた。この分子は、4つのrTie−2分子を同時に結合し得ると予測された。プラスミドpTE586は、ScFvB2−Fc−ScFvB2(配列番号29)についての遺伝子をコードし、その分泌は、mROR1シグナルペプチドによって指向される。pTE586におけるScFvB2−Fc−ScFvB2の発現は、CHO細胞中にトランスフェクトされた場合、CMV−MIEプロモーターによって指向された。このタンパク質は、プロテインA−Sepaharoseアフィニティークロマトグラフィーによって容易に精製された。
【0064】
2つのScFvドメインが2つの異なる非競合抗rTie−2抗体由来であるScFv−Fc−ScFv分子の構築により、上記のScFvB2−Fc−ScFvB2とは対照的に、4つより多くのレセプターをクラスター形成し得る分子が得られる。ScFvB2−Fc−ScFvB2は、4つのみのレセプターをクラスター形成し得る。rTie−2に対するA12Aの結合をB2抗体の結合がブロックせず、A12A結合は、最初にB2の結合をブロックしないことが、BIAcore分析により決定された。その結果、これらの抗体から作製されたScFv分子は、4つより多くのレセプターをクラスター形成し得るはずである。二重特異性の四価ScFvベースの分子を構築するために、ScFvA12A遺伝子をScFvB2遺伝子と組み合わせて用いて、ScFvA12A−Fc−ScFvB2(配列番号28)を得た。CHO細胞中にトランスフェクトした場合、プラスミドpTE585は、ScFvA12A−Fc−ScFvB2についての遺伝子をコードし、そしてmROR1シグナルペプチドおよびCMV−MIEプロモーターを有する。ScFvB2−Fc−ScFvB2およびScFvA12A−Fc−ScFvB2は両方とも、CHO細胞中で発現し、そしてプロテインA−Sepharoseアフィニティークロマトグラフィーによって精製された。
【0065】
(実施例4:アッセイ)
rTie−2に対する抗体、およびこれらの抗体に関連するキメラ分子を、培養ラット大動脈内皮細胞においてそれらがTie−2のリン酸化を誘導する能力について評価した。継代3回目と6回目との間のコンフルエントなRAEC(Vec Technologies)を、0.2%ゼラチンでコーティングしたT−75フラスコにおいて、MCDB−131培地(Vec Technologies)中で増殖させた。細胞を、無血清DME−Hiグルコース培地(Irvine Scientific)中で2時間飢餓させ、その後、0.1% BSAおよびチャレンジ分子を含む1.5ml無血清DME−Hiグルコース培地中で37℃にて5分間インキュベーションした。次いで、チャレンジ培地を除去し、そして細胞を、10μg/mlロイペプチン、10μg/mlアプロチニン、および1mM PMSFを含む、20mM Tris(pH7.6)、150mM NaCl、50mM NaF、1mMオルトバナジン酸Na、5mMベンズアミジン、1mM EDTA、1% NP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS中で溶解した。溶解産物を、5μg抗Tie−2マウスモノクローナル抗体KP−m33、10μgビオチン化抗マウスIgG(Jackson Laboratories)、および100μlのニュートラアビジン(neutravidin)ビーズ(Pierce)とともに4℃にて16時間インキュベートすることにより、Tie−2を免疫沈降させた。ビーズを遠心分離により収集し、RIPA緩衝液で3回洗浄し、そして結合したタンパク質を、100℃にて5分間加熱することにより、10% β−メルカプトエタノールを含む40μlの5×Laemmli緩衝液を用いて溶出させた。4〜12%のTris/グリシンポリアクリルアミドゲル(Novex)でのSDS−ゲル電気泳動後、タンパク質をPVDFメンブレンに転写し、そしてマウス抗ホスホチロシン(anti−phophotyrosine)モノクローナル抗体4G10(Upstate)でプローブし、次いでヤギ抗マウスIgG−HRP結合体(Pierce)、続いてECL試薬(Amersham)を用いて検出した。RAECにおいてTie−2リン酸化を誘導する能力を、各活性化ダイマーについて決定した。活性を、FD1−Fc−FD1(BA1)(Tie−2の結合および活性化においてAng1と同等に活性であることが示されたキメラタンパク質(Davisら(2003)Nature Struct.Biol.10:38−44))を用いて得られる刺激のレベルとの比較により評価した(FD1またはFD2=それぞれ、Ang1またはAng2のヒトフィブリノゲンドメイン)。BA1を約0.5〜1.0μg/mlにおいて用いた場合、RAECにおけるTie−2の最大刺激(ECmax)が観察され、そして偽処理細胞におけるリン酸化レベルは低かった。同様に、ScFvB2−Fc−ScFvB2、ScFVA12A−Fc−ScFvB2、ScFvB2−Fc−FD1、およびScFvB2−Fc−FD2のECmaxは、約0.5〜1.0μg/mlであった。全ての場合、ScFvベースの分子は、ハイブリドーマ馴化培地から単離された関連のネイティブ抗体について観察されたよりも多くのリン酸化シグナルを誘導し得た。
【0066】
精製されたScFvB2−Fc−ScFvB2およびScFvA12A−Fc−ScFvB2を、rTie−2を結合してリン酸化を誘導する能力について特徴付けた。rTie−2に対する結合を、BIAcore分析により決定した。単一特異性活性化ダイマーおよび二重特異性活性化ダイマーの両方とも、FD1−Fc−FD1よりも有意に高いrTie−2親和性を有することが見出された。さらに、ScFvB2−Fc−ScFvB2およびScFVA12A−Fc−ScFvB2は両方とも、FD1−Fc−FD1に匹敵して、RAECにおいてrTie−2のリン酸化を刺激し得た。
【0067】
(実施例5:ScFv/リガンド活性化ダイマーの構築)
Tie−2特異的ScFvおよびFD1またはFD2の両方を含むように、二重特異性四価分子を構築した。このキメラ分子を、ScFvB2をコードする遺伝子をhFcのN末端に融合し、そしてAng1 FD(GenBank登録番号Q15389のPhe283〜Phe498)またはAng2 FD(GenBank登録番号O15123のPhe281〜Phe496)をコードする遺伝子をC末端に融合することにより作製した。プラスミドpTE514は、ScFvB2−Fc−FD1(配列番号30)についての遺伝子をコードする。そしてプラスミドpTE514は、mROR1シグナルペプチドおよびCMV−MIEプロモーターを含んでいた。プラスミドpTE614は、ScFvB2−Fc−FD2(配列番号31)についての遺伝子をコードする。そしてプラスミドpTE614は、mROR1シグナルペプチドおよびCMV−MIEプロモーターを含んでいた。ScFvB2−Fc−ScFvB2およびScFvA12A−Fc−ScFvB2と同様に、pTE514から発現されるタンパク質およびpTE614から発現されるタンパク質は、Gly−Ala−ProリンカーをmROR1シグナルペプチドとScFvB2との間に有し、Gly−Pro−GlyリンカーをN末端ScFvB2とhFcとの間に有し、そしてGly−Ser−Gly−Ala−Proリンカー(配列番号32)をhFcのC末端とAng FDのN末端との間に有した。ScFvB2−Fc−FD1およびScFvB2−Fc−FD2を両方とも、上記の通りに発現させて精製した。
【0068】
精製されたScFvB2−Fc−FD1およびScFvB2−Fc−FD2を、上記の通り、rTie−2を結合してリン酸化を誘導する能力について特徴付けた。BIAcore分析により決定したところ、キメラの活性化ダイマーScFvB2−Fc−FD1は、FD1−Fc−FD1(0.04nM)よりも有意に高いrTie−2親和性(2nM)を有することが見出された。さらに、ScFvB2−Fc−FD1およびScFvB2−Fc−FD2は両方とも、FD1−Fc−FD1と匹敵して、RAECにおけるrTie−2のリン酸化を刺激することができた。
【0069】
(実施例6:完全ヒト活性化ダイマーの構築)
二重特異性四価分子を、hTie−2に特異的なヒト抗体由来の2つのScFv、またはhTie−2に特異的なヒト抗体由来の1つのScFvおよびヒトFD1もしくはヒトFD2のいずれかを含む本発明のダイマー化融合構築物から形成する。hTie−2に特異的なヒトScFvを、当該分野で公知の方法により、そして上記の通りに、入手する。1つの実施形態では、ヒトScFvを、Reiterら(1999)J.Mol.Biol.290:685−698およびGillilandら(1996)Tissue Antigens 47(1):1−20に記載の通りに、組換えにより入手する。
【0070】
(実施例7:ScFv(1−1F11および2−1 G3)の構築)
抗rTie−2ハイブリドーマの産生に関する上記の手順に従って、抗rTie−1ハイブリドーマを生成した。手短に述べると、マウスを、精製したラットTie−1−Fcタンパク質およびフロイントアジュバントで3回免疫した。最大の抗Tie−1抗体力価を有するマウス由来の脾細胞を、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて、Sp2/0−Ag14骨髄腫細胞と融合させた。融合後、これらの細胞を、2本のT225フラスコ中で培養した。翌日、HATをこれらの培養物に添加した。融合の9日後、これらの培養物に、新鮮な培地を補充した。ヒトIgGを、1mg/mlでこれらの培養物に添加した。融合の10日後、HAT耐性細胞を、室温にて増殖培地中で、1μg/mlビオチン−ラットTie−1−Fcで1時間にわたって、そして2.5μg/mlフィコエリトリン(PE)結合体化ストレプトアビジンで45分間にわたって、逐次染色した。染色後、これらの細胞をフローサイトメトリーによって分析した。rTie1−Fcに結合した細胞を、単一細胞を96ウェルプレート中に選別することによりクローニングした。96ウェルプレート培養物を、選別の10日後に2セットに分けた。マウスIgG重鎖可変領域のRT−PCR、続いて配列決定を、1セットの96ウェルプレート培養物について行った。独特のIgG重鎖可変領域配列を有するクローンを同定し、そして抗rTie−1抗体の産生のために増幅(expand)した。抗体をrTie−1タンパク質の結合について試験し、2つのクローン1−1F11および1−2G3を、さらなる詳細な研究のために選択した。
【0071】
1−1F11ハイブリドーマは、RAECにおいてTie−1レセプターのリン酸化を誘導し得る抗体を発現することが見出された。メッセンジャーRNAを単離し、そして5’重鎖プライマー(配列番号35〜37)および3’プライマー(配列番号33)を含んでいたWrightプライマーセット(Morrisonら(1995)Antibody Engineering,第2版,Borrebaeck,C.K.A.編,267−293)からの重鎖プライマーを用いて、可変重鎖cDNAを上記の通りに合成した。同様に、軽鎖可変領域を、等モル量の5’軽鎖プライマー(配列番号38〜41)および3’プライマー(配列番号34)を用いて、cDNAから増幅した。増幅された可変領域フラグメントを、pCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてDNA配列を決定した。1−1F11抗体についての決定した可変領域配列に基づいて、可変重鎖配列を、pCR2.1−TOPOにクローニングした可変領域をテンプレートとして用い、そして5’プライマーおよび3’プライマー(配列番号42および配列番号43)の等モル量混合物を用いてPCR増幅した。可変軽鎖配列を、同様のストラテジーを用いてPCR増幅した。pCR2.1−TOPOにクローニングされた可変領域をテンプレートとして用い、そして5’プライマーおよび3’プライマー(配列番号44および配列番号45)の等モル量混合物を用いた。これらの可変領域を(GS)リンカーによって連結した;ScFv遺伝子をアセンブルし、そして上記の特異的な可変重鎖および可変軽鎖のPCR産物の等モル量混合物、ならびに5’重鎖プライマー(配列番号42)および3’軽鎖プライマー(配列番号45)の等モル量混合物を用いてPCR増幅した。PCR産物をInvitrogen pCR2.1−TOPO(Invitrogen)中にクローニングして、pRG1192を得た。配列を確認し、その後、747bpのAscI/SrfIをサブクローニングして、ヒトIgG1 Fcフラグメント(hFc)をコードするDNAのN末端にScFv遺伝子を融合させたか、または756bpのAscI/NotI制限フラグメントをサブクローニングして、hFcをコードするDNAのC末端に同じScFvを融合させた。
【0072】
2−1G3ハイブリドーマはまた、RAECにおけるTie−2レセプターのリン酸化を誘導し得る抗体を発現することが見出された。メッセンジャーRNAを単離し、そして可変重鎖cDNAを、5’重鎖プライマー(配列番号35〜配列番号37)および3’プライマー(配列番号33)を含むWrightプライマーセット(Morrisonら(1995)前出)からの等モル量のプライマーを用いて上記の通りに合成した。同様に、軽鎖可変領域を、等モル量の5’重鎖プライマー(配列番号38〜配列番号41)および3’プライマー(配列番号34)を用いてcDNAから増幅した。増幅した可変領域フラグメントをpCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてDNA配列を決定した。
【0073】
2−1G3抗体についての決定した可変領域配列に基づいて、可変重鎖配列を、pCR2.1−TOPOにクローニングした可変領域をテンプレートとして用い、そして5’プライマーおよび3’プライマー(配列番号46および配列番号47)の等モル量混合物を用いて、PCR増幅した。可変軽鎖配列を、同様のストラテジーを用いてPCR増幅した。pCR2.1−TOPOにクローニングした可変領域をテンプレートとして用い、そして5’プライマーおよび3’プライマー(配列番号48および配列番号49)の等モル量混合物を用いた。これらの可変領域を、(G4S)3リンカーによって連結した;ScFv遺伝子をアセンブリし、そして上記の特異的な可変重鎖および可変軽鎖のPCR産物の等モル量混合物、ならびに5’2−1G3重鎖プライマー(配列番号46)および3’軽鎖プライマー(配列番号49)の等モル量混合物を用いてPCR増幅した。PCR産物をInvitrogen pCR2.1−TOPO(Invitrogen)にクローニングして、pRG1198を得た。この配列を確認し、その後、738bpのAscI/SrfIをサブクローニングして、hFcフラグメントをコードするDNAのN末端にScFv遺伝子を融合したか、または747bpのAscI/NotI制限フラグメントをサブクローニングして、hFcをコードするDNAのC末端に同じScFvを融合した。
【0074】
(実施例8:単一特異性活性化ダイマーおよび二重特異性活性化ダイマーの構築)
2種類のScFvベースのキメラ分子を、ScFvベースの分子がrTie−1レセプターを活性化する能力を評価するために構築した。1種類の分子は、hFcのN末端およびC末端の両方に融合した1つのScFvを用い、その結果は、rTie−1を結合し得る単一特異性四価分子であった。この分子は、4つのrTie−1分子を同時に結合し得るはずである。プラスミドpTE778は、ScFv1−1F11−Fc−ScFv1−1F11(配列番号50)についての遺伝子をコードし、mROR1シグナルペプチドおよびCMV−MIEプロモーターを含む。このタンパク質を、上記の通りに発現させて精製した。
【0075】
2つのScFvドメインが2つの異なる非競合抗rTie−1抗体に由来するScFv−Fc−ScFv分子の構築は、上記のScFv1−1F11−Fc−ScFv1−1F11とは対照的に、4つより多くのレセプターをクラスター形成し得る分子を生じると予測される。ScFv1−1F11−Fc−ScFv1−1F11は、4つのみのレセプターをクラスター形成し得る。1−1F11抗体の結合はrTie−1に対する2−1G3の結合をブロックせず、1−1F11結合は、最初に2−1G3の結合をブロックしないことがBIAcore分析により決定された。その結果、これらの抗体から作製されたScFv分子は、4つより多くのレセプターをクラスター形成し得るはずである。二重特異性の四価ScFvベースの分子を構築するために、ScFv2−1G3遺伝子をScFv1−1F11遺伝子と組み合わせて用いて、ScFv2−1G3−Fc−ScFv1−1F11(配列番号51)を得た。両方の構築物を、上記の通りに発現させて精製した。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2013−31462(P2013−31462A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−252302(P2012−252302)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【分割の表示】特願2011−258048(P2011−258048)の分割
【原出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(597160510)リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】