説明

レチノイド、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物および半結晶性ポリマーを含有する化粧料組成物または皮膚科学的組成物

【課題】老化の皮膚に関する兆候を予防および/または処理するための活性剤の組合せを含む化粧料組成物又は皮膚科学的組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1のレチノイドまたはその誘導体、少なくとも1のアデノシンに基づく非ホスフェート化化合物、および1以上の結晶化可能側鎖を有する少なくとも1の半結晶性ポリマー(例えば飽和C10〜C30アルキル(メタ)アクリレートから選択されるもの)を含む少なくとも1の組合せを生理学的に許容可能な媒体中に含むことを特徴とする、化粧料組成物または皮膚科学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老化の皮膚に関する兆候に対処するための、特に、シワのある皮膚および/またはハリのない皮膚に対処するための、活性剤の組合せを含む化粧料組成物または皮膚科学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
若く見える皮膚をできるだけ長く保ちたいという願望は、女性の大半の心を奪い、また、男性にもだんだん影響を及ぼしている。したがって、この期待を満たすために、皮膚老化の兆候を予防しおよび/または処理することを目的とする化粧料組成物が開発されている。
【0003】
皮膚の老化は、皮膚外皮の種々の要素の長年にわたる漸次の変化の蓄積から生じる皮膚外皮のあらゆる変化によって定義される。
【0004】
その結果、特に、表皮のおよび真皮表皮接合部のおよび真皮中のハリがなくなる。これは、一方では、繊維芽細胞によるコラーゲンおよびエラスチン繊維産生における漸次の低下に関係する細胞外マトリックス(ECM)の全体的な減少により、他方では、特異的酵素によるこれらのマクロ分子の破壊の増加による。
【0005】
これらの生物学的現象はしたがって、皮膚において、かなりの物理的変化(引き締まりが低下する、ハリがなくなる)を誘発する。皮膚はその弾力を失い、容貌が緩む。皮下組織(脂肪および筋肉)の緩み(slackening)は、過剰の皮膚および下垂を招く。この緩みは、頬骨および頬の垂れ下がりや下瞼の引きずりを特徴とする。表面の物理的ストレスと関連して、シワが生じ、次いで際立ち、そしてより深くなる。さらに、日中、重力故の水の動きに応じて、シワがいくらか増加し、より目立つようになる。
【0006】
すなわち、顔面上に共存するシワの間で、裸眼では見えない小さい出発点から誘導され、時間とともに一緒になってシワを形成する、胚のようなシワ、時間とともにいくつかの筋のくぼみから生じる、より深い目立つシワ、および皮膚の厚さおよびその弾力の増加における一日にわたる低下から生じる可逆的なシワを区別することができる。
【0007】
すでに多数の化合物が抗シワ活性剤として同定され、老化の皮膚に関する兆候に対処するための、特に皮膚のシワを減少させおよび/または伸ばすための化粧料組成物において使用されている。
【0008】
例えば、レチノールは、特にその抗分化特性のために、抗シワ活性剤として一定の効力を有する。しかし、レチノールは、長期でしか作用しない活性剤である。さらに、化粧料における耐性を確実にするために、化粧料組成物に導入されるレチノールの量が制限され、それにより、その有効性が制限される。
【0009】
これらの不十分な点を部分的に補うために、レチノールと他の成分、特に、その抗シワ活性に関して認められている他の活性剤、例えば、TGK酵素に関するその「レチノール様」活性に関して知られているアデノシン、との組み合わせがすでに提案されている。
【0010】
すなわち、特開平10-007541は、酸化ストレスと関係する皮膚への影響、特にシワ、に対処するためのローションを提案しており、それは特にビタミンA(レチノール)およびアデノシンを含む。
【0011】
シワ、特に表情ジワ、に対処するための、および/または皮膚の収縮を除くための、および/または皮膚の緊張を和らげるための化粧料組成物におけるアデノシン誘導体の使用も、欧州特許出願EP1847547から知られている。レチノールおよびその誘導体などの種々の追加の化合物の添加が予見される。
【0012】
しかし、この種の組合せの有効性は、いつも即時とは限らない。言い換えると、それは一般に、シワの中期間または長期間の処理に相当するに過ぎないであろう。すなわち、これらの組成物の目に見える効果は、一定の適用時間後にのみ生じ、それは、数日乃至数週間の範囲であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的はまさに、この不十分な点を補うことであり、本発明は特に、皮膚のシワを減少させるおよび/またはシワを伸ばすことに関する目に見える効果の発現を促進することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
特に、第一の局面の1つによれば、本発明は、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも1のレチノイドまたはその誘導体、少なくとも1の、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物および1以上の結晶化可能側鎖を有する少なくとも1の半結晶性ポリマーを含有する少なくとも1の組合せを含む化粧料組成物または皮膚科学的組成物に関する。
【0015】
国際出願WO2007/141142は、半結晶性ポリマー、特に、1以上の結晶化可能鎖を有する半結晶性ポリマーを、少なくとも1の疎水性単位を含む2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマーと組み合わせて、O/Wエマルジョン中で使用することを記載している。そのような組合せは、有利には界面活性剤を含まない安定なO/Wエマルジョンの調製を可能にし、皮膚に栄養分を与えるために有益であるワックスなどの脂肪物質の存在によって付与される利点を、感触の良さ、容易な施与および施与時の新鮮な感触と調和させる。そのような組合せを含む化粧料組成物は、例えば、シワおよび皮膚老化の兆候を処理し、皮膚に潤いを与え、または敏感肌もしくは乾燥肌を処理するためのケア製品であり得る。しかし、この文献においては、1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーが本質的に、少なくとも1のレチノイドまたはその誘導体および少なくとも1の、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物と組み合わせて、化粧料組成物または皮膚科学的組成物の抗シワ効果を強化するために使用され得ることは決して予見されない。
【0016】
本発明者らは、本発明に従う活性剤の組合せが、シワのある皮膚またはハリのない皮膚と関係する皮膚老化の兆候に効果的に対処すること、特にシワを効果的に消すことを、即時に目に見える効果および短期、中期および長期間の強化された効果をともなって可能にすることに注目した。
【0017】
すなわち、本発明者らは、全ての予想に反して、1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーの存在が、特に本発明に従う所望の、シワを満たし、表面を新しくする効果、およびシワの目に見える認識をぼかすことを同時に可能にする内在のソフトフォーカス効果(陰影(haziness)、艶消し(mattness)など)に関して特に有利である組成物の構成を与えることを可能にすることに注目した。この結果、シワに対する本質的に即時のカモフラージュ効果が得られ、これは、レチノイドおよびアデノシンの組合せの抗シワ効果とともに現れることにより、既存の組成物に関して本発明に従う組成物の抗シワ効果を有意に強化することを可能にする。
【0018】
活性剤のそのような組合せは、皮膚のテクスチャーに対して有効に作用すること、およびより滑らかで、より均質で、より引き締まっており、緊張性をより多く有し、かつより弾力的である皮膚を特に提供することを特に可能にする。
【0019】
すなわち、別の局面によれば、本発明は、上述した組合せを皮膚老化の兆候を予防するおよび/または処理するために使用すること、特に化粧料に使用することに関する。
【0020】
皮膚老化の兆候は、特に、皮膚の引き締り、密度、弾力および緊張が低下すること、表皮が薄くなること、ハリがなくなること、皮膚および/または皮下組織がたるむこと、例えば下垂、ならびに小ジワやシワである。
【0021】
本発明に従う組成物は、老化の皮膚に関する兆候、特に上述した兆候、さらにはシワのある皮膚および/またはハリのない皮膚から選択される兆候、を予防および/または処理するために特に有利である。
【0022】
すなわち、さらに別の局面によれば、本発明は、シワのある皮膚および/またはハリのない皮膚を予防および/または処理するための、上述した組合せの使用に関する。
【0023】
そのような組合せは、上記で定義した、胚のようなおよび/または深いおよび/または可逆的なシワを減少させおよび/または伸ばすために特に有効である。
【0024】
関係するシワは、例えば、口および/または目の周りに半径方向にあるシワ、特にカラスの足跡、目の下および/または額にあるシワ、特に眉の間の空間の眉間にあるおよび/または額に水平にある「ライオン」しわ、鼻溝のシワ、および顔の下方部分の下垂であり得る。
【0025】
別の局面によれば、本発明は、皮膚、特にヒトの皮膚のための非治療的または化粧的処理法に向けられ、老化の皮膚に関する兆候、特にシワ、を予防および/または処理することを意図し、上記で定義した組合せおよび/または組成物を皮膚へ施与することを少なくとも含む。
【0026】
有利には、本発明に従う組成物は、シワが目立つところの顔および/または額の領域に施与されることが意図される。
【0027】
本発明の方法は、特に、皮膚老化の兆候を示す人、および特にシワのあるおよび/またはハリのない皮膚を有する人のために実行されることが意図される。
【0028】
本発明の1実施態様によれば、本発明に従う組合せが、第2の抗老化、特に抗シワ、活性剤とともに使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、レチノールとアデノシンの組合せの効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的のために、用語「抗シワ活性剤」は、シワのある皮膚の領域と接触させられたときに生物学的効果、例えば、ある特定の酵素の合成および/または活性における増加、を生じる天然起源のまたは合成の化合物を意味することが意図され、この効果は、シワおよび/または小ジワの出現を減少させるという結果を有する。
【0031】
本発明の文脈において使用され得る組成物は、化粧料組成物、薬剤組成物および/または皮膚科学的組成物であり、特に化粧料組成物である。
【0032】
本発明の目的のために、用語「化粧料組成物」は、魅力や満足感の点で、また、美容の目的のために、皮膚に効果をもたらすことができる組成物を示し、例えば皮膚を保護する、皮膚を良好な状態に保つ、皮膚の外観を修正する、および特に皮膚をより魅力的にするという意図を伴う。
【0033】
本発明の1変形によれば、組成物が特に、局所適用のための組成物である。
【0034】
レチノイド
本発明に従うレチノイドは、レチノール(ビタミンA)、レチナール(ビタミンAアルデヒド)、レチノイン酸(ビタミンA酸)、またはレチノールおよびC〜C20酸のエステル、例えばレチノールのプロピオネート、アセテート、リノリエートまたはパルミテート(レチニルパルミテート)であり得る。
【0035】
レチノイドの中でも、特に、レチノール、レチナール、レチノイン酸、特にオールトランスレチノイン酸および13−シスレチノイン酸、レチノール誘導体、例えばレチニルアセテート、プロピオネートまたはパルミテート、およびFR2570377、EP0199636、EP0325540およびEP0402072の特許出願に記載されたレチノイドが挙げられ得る。
【0036】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、レチノイドがレチノールまたはプロレチノールである。
【0037】
用語「レチノール」は、レチノールの全ての異性体を意味する。すなわち、オールトランスレチノール、13−シスレチノール、11−シスレチノール、9−シスレチノールおよび3,4−ジデヒドロレチノールである。
【0038】
プロレチノール化合物の代表として、特にレチニルパルミテート(レチノールのパルミテート)が挙げられ得る。
特に、BASF社によって販売されているものが適する。
【0039】
1実施態様によれば、レチノイドは、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して、約0.005〜5重量%、好ましくは約0.01〜2重量%、特に約0.05〜0.5重量%の割合で存在し得る。
【0040】
アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物
本発明の組成物は、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物(adenosine-based nonphosphated compound)を少なくとも1含む。
【0041】
この表現は、アデノシン自体およびその公知の非ホスフェート化誘導体の両方を意味することが意図される。
【0042】
アデノシンの非ホスフェート化誘導体の例として、アデノシン、2’−デオキシアデノシン、2’,3’−イソプロピリデンアデノシン、トヨカマイシン、1−メチルアデノシン、N−6−メチルアデノシン、アデノシンN−オキシド、6−メチルメルカプトプリンリボシド、および6−クロロプリンリボシドが挙げられ得る。
【0043】
他のアデノシン誘導体は、アデノシン受容体アゴニスト、例えばフェニルイソプロピルアデノシン(PIA)、1−メチルイソグアノシン、N−シクロヘキシルアデノシン(CHA),N−シクロペンチルアデノシン(CPA)、2−クロロ−N6−シクロペンチルアデノシン、2−クロロアデノシン、N−フェニルアデノシン、2−フェニルアミノアデノシン、MECA、N−フェネチルアデノシン、2−p−(2−カルボキシエチル)フェネチルアミノ−5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン(CGS−21680)、N−エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)、5’−(N−シクロプロピル)カルボキサミドアデノシン、DPMA(PD129,944)およびメロリフジルを含む。
【0044】
他のアデノシン誘導体は、細胞内アデノシン濃度を増加させる化合物、例えばエリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA)およびヨードツベルシジン、を含む。
【0045】
欧州特許出願EP1847547に記載されたアデノシン誘導体も、引用することにより組み入れられる。
【0046】
アデノシンのさらに別の誘導体は、その塩およびアルキルエステルを含む。
【0047】
アデノシンが本発明での使用に好ましい。特に、Pharma Waldhof社から粉末状で市販されている。
【0048】
本発明に従う組成物では、アデノシンベースの化合物が好ましくは、組成物の総重量に対して、0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0049】
1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマー
本発明に従う組成物は、好ましくはC10〜C30アルキル(メタ)アクリレートホモポリマーから選択される、1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーを少なくとも1含む。
【0050】
上述したように、そのようなポリマーの存在は、それが組成物に与えるところのテクスチャー付与効果の観点から特に有利である。事実、上記組成物は、それが適用されるところの皮膚に関して即時にシワを伸ばす効果を付与することを可能にする。
【0051】
このテクスチャー付与は、上記ポリマーがその中に配合されているところの組成物の脂肪相のレベルで特に行われる。
【0052】
本発明の目的のために、用語「ポリマー」は、少なくとも2の繰返し単位、好ましくは少なくとも3の繰返し単位、より特には少なくとも10の繰返し単位を含む化合物を意味することが意図される。
【0053】
本発明の目的のために、用語「半結晶性ポリマー」は、第一次の可逆的相変化のための温度、特に融点(固体−液体変化)、を有する、少なくとも1の結晶化可能なペンダント鎖を有するポリマーを意味することが意図される。
【0054】
用語「結晶化可能な鎖」は、少なくとも10の炭素原子を有する鎖を意味することが意図され、それが単独であるならば、上記温度が融点より上であるかないか、または下であるかないかに依存して、アモルファス状態から結晶状態へ可逆的に変化するであろう。本発明の目的のために、鎖は、ポリマーの主鎖に関してぶらさがっているまたは側にある原子群である。
【0055】
本発明に適する半結晶性ポリマーは、特に、皮膚の温度より上の融点を有し得る。
【0056】
1つの特定の実施態様によれば、本発明に適する、1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーは、80℃以下の融点、特に30℃〜70℃の範囲、特に40℃〜65℃、より特に42℃〜60℃、または44℃〜56℃、または44℃〜54℃、より特には50℃未満の融点を有し得る。
【0057】
この融点(Mp)は、任意の公知の方法によって、特に示差走査熱量計(DSC)によって測定され得る。
【0058】
本発明の1つの特定の実施態様によれば、ポリマーは、結晶化可能側鎖を有する少なくとも1のモノマーの重合から得られるホモポリマーから選択され得る。上記モノマーは、下記式:

[ここで、RはHまたはCHであり、RはC10〜C30アルキル基を表わし、XはOを表わす。]によって表わされ得る飽和C10〜C30アルキル(メタ)アクリレートから選択される。
【0059】
本発明の1つの特定の実施態様によれば、ポリマーは、飽和C10〜C30アルキル(メタ)アクリレートから選択される、結晶化可能鎖を有するモノマーの重合から誘導され、特に、C14〜C24アルキルアクリレートおよびC14〜C24アルキルメタアクリレートから選択される、結晶化可能鎖を有するモノマーの重合から得られるホモポリマーである。
【0060】
本発明に従う組成物において使用され得る半結晶性ポリマーの特別の例として、”Intelimer TM polymer” brochure, Landec IP22に記載されたLandec社製のIntelimer TM製品が挙げられ得る。これらのポリマーは、環境温度で固体状である。それらは結晶化可能側鎖を有し、飽和C14〜C24アルキルアクリレートまたはメタアクリレートホモポリマーに相当する。
【0061】
本発明に従う組成物に適する半結晶性ポリマーとして、ステアリルアクリレートホモポリマー、例えばLandec社からまたはAir Product and Chemicals社からIntelimer IPA 13-1の商品名で販売された製品、またはベヘニルアクリレートホモポリマー(Intelimer IPA-13.6)(INCI名:ポリC10-30アルキルアクリレート)も挙げられ得る。
【0062】
組成物のテクスチャー付与は、上記ポリマーの性質およびそれらのポリマーのそれぞれの濃度に従って有利に調整され得る。
【0063】
特に、半結晶性ポリマーの量は、係る組成物を皮膚へ適用したときに期待されるシワ伸ばしを付与するように調整される。
【0064】
本発明の1つの有利な実施態様によれば、本発明の組成物は、組成物の総重量に対して、上記で定義した、1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーを少なくとも0.6重量%、特に少なくとも1重量%含み得、より好ましくは1〜5%、さらにより好ましくは1〜3%含み得る。
【0065】
当業者は、本発明の組成物の要求される特性が実質的に影響されないように、上記ポリマーの量を調整する方法が分かるであろう。
【0066】
本発明の1つの特定の実施態様によれば、本発明に従う組成物は、レチノールまたはレチニルパルミテートを、アデノシンおよびC10〜C30(メタ)アクリレートホモポリマー、特にポリ(ステアリルアクリレート)、と組み合わせて含む。
【0067】
1つの変形実施態様によれば、本発明に従う組成物は、1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーとともに、テクスチャー付与特性に関して特に有用である少なくとも1の第二のポリマーを組み合わせてもよい。
【0068】
追加のポリマー
本発明の組成物は、上記で述べた1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーに加えて、アクリルポリマー、疎水的に変性されたポリサッカライドおよびポリオールの脂肪酸エステルから選択される追加のポリマーをも含み得る。好ましくは、上記追加のポリマーは、親水性である。
【0069】
アクリルポリマー
これらのアクリルポリマーは、親水性であってもなくてもよい。
【0070】
a.親水性アクリルポリマー
本発明によれば、用語「親水性アクリルポリマー」は、非両親媒性および非疎水性アクリルポリマーを特に意味することが意図される。
【0071】
本発明に従う上記親水性アクリルポリマーは、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS(商品名))または酸性アクリルポリマーのいずれかのアクリルポリマーである。
【0072】
この親水性アクリルポリマーの存在は、良好な安定性を示す組成物を得ることを特に可能にする。
【0073】
親水性アクリルポリマーのうち、特に以下のポリマーが挙げられ得る。
1) スルホン基を有する少なくとも1のモノマーを含むアクリルポリマー
第一の実施態様によれば、本発明に従って使用される親水性アクリルポリマーは、スルホン基を有する少なくとも1のモノマーを含む。
【0074】
本発明の組成物において使用される、スルホン基を有する少なくとも1のモノマーを含むポリマーは、有利には、水溶性または水分散性または水中に膨潤可能である。本発明に従って使用されるポリマーは、スルホン基を有する少なくとも1のエチレン性不飽和モノマーから得られ得るホモポリマーである。スルホン基は、遊離形であっても、または部分的にもしくは全体的に中和された形であってもよい。
【0075】
好ましくは、本発明に従うポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水性アンモニア)または有機塩基、例えばモノ−、ジ−またはトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N−メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリシン、およびこれらの化合物の混合物で部分的にまたは全体的に中和され得る。上記ポリマーは一般的に中和される。本発明では、用語「中和される」は、全体的にまたはほぼ全体的に中和されている、言い換えると、少なくとも90%の程度に中和されている、ポリマーを意味することが意図される。
【0076】
本発明の組成物中で使用されるポリマーは一般に、1,000〜20,000,000g/モル、好ましくは20,000〜5,000,000g/モル、さらにより好ましくは100,000〜1,500,000g/モルの数平均分子量を有する。
【0077】
本発明に従うこれらのポリマーは、架橋されていてもいなくてもよい。
【0078】
本発明の組成物中で使用されるポリマーの、スルホン基を有するモノマーは、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C〜C22)アルキルスルホン酸、N−(C〜C22)アルキル(メタ)アクリルアミド−(C〜C22)アルキルスルホン酸、例えばウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸、およびそれらの部分的にまたは全体的に中和された形、ならびにそれらの混合物から特に選択される。
【0079】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、スルホン基を有するモノマーは、(メタ)アクリルアミド(C〜C22)アルキルスルホン酸、例えばアクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−メタクリルアミドドデシルスルホン酸、2−アクリルアミド−2,6−ジメチル−3−ヘプタンスルホン酸、およびそれらの部分的にまたは全体的に中和された形、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0080】
特に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS(商品名))、およびその部分的にまたは全体的に中和された形が使用される。
【0081】
ポリマーが架橋されるとき、架橋剤は、遊離ラジカル重合によって得られたポリマーの架橋のために通常使用されるところのオレフィン性ポリ不飽和を含む化合物から選択され得る。
【0082】
架橋剤として、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖シリーズからのアルコールのアリルエーテル、または多価アルコールの他のアリルまたはビニルエーテル、およびリン酸および/またはビニルホスホン酸の誘導体のアリルエステル、またはこれらの化合物の混合物が挙げられ得る。
【0083】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレートまたはトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択される。架橋の程度は一般に、ポリマーに対して0.01〜10モル%、特に0.2〜2モル%である。
【0084】
スルホン基を有するモノマーのホモポリマーは、1以上の架橋剤で架橋され得る。
【0085】
これらのホモポリマーは一般に、架橋および中和され、下記工程を含む製造プロセスに従って得られ得る。
(a)モノマー、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、がt−ブタノールのまたは水とt−ブタノールとの溶液中に遊離形で分散または溶解される。
(b)(a)で得られたモノマーの溶液または分散物が、1以上の有機または無機塩基、好ましくはアンモニアNH、により、90%〜100%の範囲のポリマーのスルホン酸官能基の中和度を生じる量で中和される。
(c)架橋性モノマーが(b)で得られた溶液または分散物に添加される。
(d)慣用の遊離ラジカル重合が遊離ラジカル開始剤の存在下で、10〜150℃の範囲の温度で行われ、ポリマーがt−ブタノールに基づく溶液または分散物中に析出する。
【0086】
好ましいAMPSホモポリマーは一般に、ランダムに分布された下記a)およびb)を含むことを特徴とする。
a)90〜99.9重量%の、下記一般式(II)の単位:

[ここで、Xはプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンを示し、カチオンXの10モル%以下はプロトンHであり得る。]
b)0.01〜10重量%の、少なくとも2のオレフィン性二重結合を有する少なくとも1のモノマー起源の架橋性単位、ここで、重量%はポリマーの総重量に対する。
【0087】
特に好ましくは、本発明に従うホモポリマーは、98〜99.5重量%の式(II)の単位および0.2〜2重量%の架橋性単位を含む。
【0088】
この種のポリマーとして、特に、Clariant社によってHostacerin(商品名)AMPS(商品名)(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)の商品名で市販されている2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の架橋され中和されたホモポリマーが挙げられ得る。
【0089】
2) アクリルアミド/AMPSコポリマー
別の実施態様によれば、親水性アクリルポリマーが、(i)アクリルアミド(モノマー1)、(ii)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(モノマー2、以降、簡便のためにAMPSという)および(iii)オレフィン性ポリ不飽和を含む少なくとも1の化合物(モノマー3)、ここで架橋剤を構成する、の反応から誘導される単位で構成される架橋されたアニオン性コポリマーである。
【0090】
本発明の文脈において使用される架橋されたアニオン性コポリマーは、自体公知の生成物であり、その製造は、特に、欧州特許出願EP-A-0503853に記載されており、その内容は、本明細書において引用することにより完全に含められる。
【0091】
すなわち、上記コポリマーは、それらが構成されるところの3種類のコモノマーから、乳化重合として公知の方法により慣用的に得られ得る。
【0092】
本発明に従うコポリマーを製造するために架橋剤として使用される、オレフィン性ポリ不飽和を有するモノマーは、好ましくは、メチレンビスアクリルアミド、アリルスクロースおよびペンタエリスリトールから成る群から選択される。より好ましくは、メチレンビスアクリルアミドが使用される。
【0093】
好ましくは、オレフィン性ポリ不飽和を有する上記化合物は、モノマー単位の全体のモルに対して0.06〜1ミリモルの濃度でコポリマー中に存在する。
【0094】
アクリルアミドとAMPSとの間の、モル%で表わされる比は、好ましくは85/15〜15/85、有利には70/30〜30/70、より好ましくは65/35〜35/65、さらにより好ましくは60/40〜40/60である。さらに、AMPSは一般に、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または低分子量アミン、例えばトリエタノールアミンで、またはそれらの混合物により、少なくとも部分的に塩の形に中和される。
【0095】
本発明の実施において特に好ましい架橋されたコポリマーは、上述した欧州特許出願EP-A-0503853の実施例1で製造されたコポリマーに相当し、それは、次いで、逆のW/Oエマルジョンの形態にある。特に、このコポリマーは、60モル%のアクリルアミドおよび40モル%のAMPSのナトリウム塩から成り、メチレンビスアクリルアミドにより、モノマーの全混合物のモルに対して0.22ミリモルの割合で架橋されている。最終の逆のW/Oエマルジョン自体は、好ましくは、上記で定義した架橋されたコポリマーを約40重量%および約12.5のHLBを有するエトキシル化された脂肪アルコールを4重量%のオーダーで含む。
【0096】
本発明によれば、架橋されたコポリマーとして、特に、Seppic社によってSepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/Laureth7)またはSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の商品名で販売された製品が挙げられる。
【0097】
3) 他の親水性アクリルポリマー
本発明に従って使用され得る他の親水性アクリルポリマーとして下記が挙げられ得る。
アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーまたはそれらの塩、例えばNoveon社によってCarbopol 934、940、954、981および980の商品名で販売された製品、3V社からのSynthalen L(商品名)、Vanderbilt社によってDarvan No.7の商品名で販売されたポリ(メタクリル酸ナトリウム)、
グリセリルアクリレートポリマーおよび特にグリセリルアクリレートとアクリル酸とのコポリマー、例えばGuardian Laboratories社によってLubrajel MS、Lubrajel CG、Lubrajel DV、Lubrajel NP、Lubrajel OIl、Lubrajel Oil BG、Lubrajel PF、Lubrajel TWおよびLubrajel WAの商品名で販売された製品、好ましくはLubrajel MS、
アクリル酸塩/ビニルアルコールのコポリマー、例えばCognis社によってHydragen FNの商品名で販売された製品、および
それらの混合物。
【0098】
b.疎水性アクリルポリマー
そのようなポリマーは、上記で述べたAMPSから誘導され得る。これらのポリマーは、親水性部分および少なくとも1の脂肪鎖を有する疎水性部分の両方を含む。したがって、それらは両親媒性ポリマーである。
【0099】
そのようなポリマーの脂肪鎖は、7〜30の炭素原子、特に8〜22の炭素原子を含み得る。
【0100】
本発明に従う疎水性AMPSコポリマーは、50,000〜10,000,000、特に100,000〜8,000,000、より特に100,000〜7,000,000の範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0101】
本発明に従う疎水性AMPSコポリマーは、架橋されていてもいなくてもよい。
【0102】
適し得る架橋剤として、それらに制限されないが、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレートまたはトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が挙げられ得る。
【0103】
架橋の程度は、ポリマーに対して、0.01〜10モル%、特に0.2〜2モル%の範囲であり得る。
【0104】
本発明に適する両親媒性AMPSは、例えば、C〜C22であるN−モノアルキルアミンまたはジ−N−アルキルアミンとの反応によって修飾されたAMPSのランダム両親媒性ポリマー、例えば国際出願WO00/31154に記載されたもの、から選択され得る。
【0105】
これらのポリマーはまた、例えばアクリル酸、メタクリル酸またはそれらのアルキル置換された誘導体または、モノアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールとともに得られるそれらのエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン、イタコン酸またはマレイン酸、またはそれらの混合物から選択される他のエチレン性不飽和親水性モノマーを含み得る。
【0106】
本発明のポリマーは、AMPSおよび7〜30の炭素原子、特に8〜22の炭素原子、より特に12〜20の炭素原子を有する少なくとも1の疎水性部分を有する少なくとも1のエチレン性不飽和モノマーの両親媒性ポリマーから選択され得る。
【0107】
疎水性部分は、飽和または不飽和の、直鎖状アルキル基(例えばn−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、n−ドデシルまたはオレイル基)、分岐状アルキル基(例えば、イソステアリル基)、または環式アルキル基(例えば、シクロドデカンまたはアダマンタン基)であり得る。
【0108】
本発明のために適するポリマーは、例えば下記を有する1以上のエチレン性不飽和疎水性モノマーを含み得る。
フルオロまたはC〜C18のアルキルフルオロ基(例えば、式−(CH−(CF−CFの基)、
コレステリル基またはコレステロール誘導基(例えば、コレステリルヘキサノエート)、
芳香族多環式基、例えばナフタレンまたはピレン、
シリコーン基またはアルキルシリコーン基または他のアルキルフルオロシリコーン基。
【0109】
そのようなコポリマーは、例えば欧州特許出願EP-A-0750899、米国特許US-A-5089578およびYataro Morishimaによる以下の文献、「自己集合性両親媒性高分子電解質およびそのナノ構造(Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures)」、Chinese Journal of Polymer ScienceVol.18, N(40), (2000): 323-336、「蛍光および動的光散乱によって研究される、水中での2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムおよび非イオン性界面活性剤マクロモノマーのランダムコポリマーのミセル形成(Micelle formation of random copolymers of sodium2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a non-ionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering)」、Macromolecules 2000, Vol.33 N(10): 3694-3704、「高分子電解質に共有結合した非イオン性部分によって形成されたミセル網の溶液特性:レオロジー的挙動に対する塩の影響(Solution properties of micelle networks formed by non-ionic moieties covalently bound to an polyelectrolyte: salt effects on rheological behavior)」、Langmuir, 2000, Vol.16 N(12): 5324-5332、および「2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムおよび連合性マクロモノマーの刺激応答性両親媒性コポリマー(Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers)」、Polym. Preprint, Div. Polym. Chem. 1999, 40(2): 220-221に記載されている。また、Clariantの下記特許出願、EP-1069142、WO02/44224、WO02/44225、WO02/44227、WO02/44229、WO02/44230、WO02/44231、WO02/44267、WO02/44268、WO02/44269、WO02/44270、WO02/44271、WO02/43677、WO02/43686、WO02/43687、WO02/43688およびWO02/43689にも記載されている。
【0110】
本発明に適するエチレン性不飽和疎水性モノマーは、下記式(1)のアクリレートまたはアクリルアミドから選択され得る。

ここで、R27は水素原子または直鎖状もしくは分岐状のC〜Cアルキル基(好ましくはメチル)を示し、YはOまたはNHを示し、R28は7〜30の炭素原子、特に8〜22、より特に12〜20の炭素原子を有する脂肪鎖を有する疎水性基を示す。
【0111】
疎水性基R28は特に、飽和または不飽和のC〜C22直鎖状アルキル基(例えばn−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、n−ドデシルまたはオレイル基)、分岐状アルキル基(例えばイソステアリル基)、または環式アルキル基(例えば、シクロドデカンまたはアダマンタン基);C〜C18アルキルパーフルオロ基(例えば、式−(CH−(CF−CFの基);コレステリル基またはコレステロールエステル、例えばコレステリルヘキサノエート;および芳香族多環式基、例えばナフタレンまたはピレンから選択され得る。
【0112】
これらの基のうち、直鎖状および分岐状のアルキル基が特に使用されるであろう。
【0113】
本発明の1つの実施態様によれば、疎水性基R28はまた、少なくとも1のアルキレンオキシド単位、特にポリオキシアルキレン化された鎖を有し得る。
【0114】
ポリオキシアルキレン化された鎖は、エチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位から構成され得、特に、エチレンオキシド単位のみから構成され得る。
【0115】
オキシアルキレン化された単位のモル数は、一般に、1〜30モル、特に2〜25モル、より特に3〜20モルの範囲であり得る。
【0116】
本発明に適する両親媒性AMPSとして、下記が挙げられ得る。
ポリマーに関して15〜60重量%のAMPS単位および40〜85重量%のC〜C16アルキル(メタ)アクリルアミド単位またはC〜C16アルキル(メタ)アクリレート単位を含む架橋されたまたはされていない、中和されたまたはされていないコポリマー、例えば欧州特許出願EP-A-750899に記載されたもの、および
ポリマーに関して10〜90モル%のアクリルアミド単位、0.1〜10モル%のAMPS単位および5〜80モル%のn−(C〜C18)アルキルアクリルアミド単位を含む三元ポリマー、例えば米国特許US-A-5089578に記載されたもの。
【0117】
本発明に適する両親媒性ポリマーとして、全体的に中和されたAMPSとn−ドデシル、n−ヘキサデシルおよび/またはn−オクタデシルメタクリレートとのコポリマーおよびAMPSとn−ドデシルメタクリルアミドとの非架橋のまたは架橋されたコポリマーも挙げられ得る。
【0118】
下記を含むまたは下記で構成される架橋されたまたは非架橋の両親媒性コポリマーも挙げられ得る。
(a)下記式(2)の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)

ここで、Xはプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンであり得る、
(b)下記式(3)の単位

ここで、nおよびpは互いに独立して、モル数を示し、0〜30の範囲、特に1〜25、より特に3〜20の範囲であり、ただし、n+pは30以下、特に25未満、より特に20未満であり、
27は上記式(1)で示したものと同義であり、および
29はm個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを示し、mは7〜22、好ましくは12〜20である。
【0119】
式(2)において、カチオンXは特に、ナトリウムまたはアンモニウムを示し得る。
【0120】
式(3)のモノマーとして、下記が挙げられ得る。
(メタ)アクリル酸と8EOを有するポリオキシエチレン化C10〜C18脂肪アルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol C-080、
(メタ)アクリル酸と8EOを有するポリオキシエチレン化C11脂肪オキソアルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol UD-080、
(メタ)アクリル酸と7EOを有するポリオキシエチレン化C12〜C14脂肪アルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol LA-070、
(メタ)アクリル酸と11EOを有するポリオキシエチレン化C12〜C14脂肪アルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol LA-110、
(メタ)アクリル酸と8EOを有するポリオキシエチレン化C16〜C18脂肪アルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol T-080、
(メタ)アクリル酸と15EOを有するポリオキシエチレン化C16〜C18脂肪アルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol T-150、
(メタ)アクリル酸と11EOを有するポリオキシエチレン化C16〜C18脂肪アルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol T-110、
(メタ)アクリル酸と20EOを有するポリオキシエチレン化C16〜C18脂肪アルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol T-200、
(メタ)アクリル酸と25EOを有するポリオキシエチレン化C16〜C18脂肪アルコールとのエステル、例えばClariant社によって販売されたGenapol T-250、および
(メタ)アクリル酸と25EOを有するポリオキシエチレン化C18〜C22脂肪アルコールとおよび/または25EOを有するポリオキシエチレン化されたC16〜C18脂肪イソアルコールのエステル。
【0121】
特に下記が挙げられ得る。
i.p=0、n=7または25、R27がメチルを示し、R29がC12〜C14またはC16〜C18アルキルの混合物を表わす、非架橋ポリマー、および
ii.p=0、n=8または25、R27がメチルを示し、R29がC16〜C18アルキルの混合物を表わす、架橋ポリマー。
【0122】
これらのポリマーはEP1069142に記載され、合成されている。
【0123】
これらの特定の両親媒性ポリマーは、1以上の開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビス[2−アミノプロパン]ヒドロクロライド(ABAH)、有機パーオキシド、例えばジラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシドなど、無機パーオキシド化合物、例えば過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウム、または所望により還元剤の存在下でのH、の存在下での慣用の遊離ラジカル重合法に従って得られ得る。
【0124】
これらの両親媒性ポリマーは、それらが析出するところのt−ブタノール媒体中での遊離ラジカル重合によって得られ得る。
【0125】
t−ブタノール中での析出による重合を使用することにより、その使用のために特に好ましい、ポリマーの粒子サイズ分布を得ることができる。
【0126】
反応は、0〜150℃、特に10〜100℃の温度で、大気圧または減圧下で行われ得る。
【0127】
反応はまた、不活性雰囲気下、好ましくは窒素下で行われ得る。
【0128】
本発明に従うポリマーは、上述したような無機または有機塩基によって部分的にまたは完全に中和され得る。
【0129】
本発明に従う両親媒性ポリマー中の式(2)の単位および式(3)の単位のモル%濃度は、所望の化粧料用途、エマルジョン(O/OまたはW/O)の性質および所望の組成物のレオロジー特性に応じて変わり得る。それは、0.1〜99.9モル%の範囲であり得る。
【0130】
本発明に従う両親媒性ポリマー中の式(3)の単位のモル%は、好ましくは0.1〜50%、特に1〜25%、より特に3〜10%であり得る。
【0131】
本発明に従う両親媒性ポリマー中の式(3)の単位のモル%は、好ましくは50.1〜99.9%、特に60〜95%、より特に65〜90%であり得る。
【0132】
本発明のポリマー中のモノマーの分布は、例えば、交互、ブロック(マルチブロックを包含する)または任意の分布であり得る。
【0133】
例えば、これに限定されないが、Clariant社から市販されているAristoflex(商品名) HMSおよびAristoflex HMBが挙げられ得る。これら2つは、架橋されたポリマーに関する。
【0134】
Aristoflex HMSは、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で架橋された80/20AMPS/エトキシル化(25EO)セテアリールメタクリレートコポリマーの名称を有し、また、INCI名は、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレス−25メタクリレート架橋ポリマーである。
【0135】
Aristoflex HMBのINCI名は、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ベヘネス−25メタクリレート架橋ポリマーである。
【0136】
疎水性AMPSコポリマーとして、非架橋AMPSコポリマー(Aristoflex LNCまたはSNC)も使用され得る。これは、エマルジョン安定化の点でも有効である。他方、得られるテクスチャーは、特にウォータートランスフォーメーション(water transformation)効果の点から、元来よりも劣る(less original)。
【0137】
Aristoflex LNCのINCI名は、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ラウレス−7メタクリレートコポリマーである。
【0138】
Aristoflex SNCのINCI名は、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレス−8メタクリレートコポリマーである。
【0139】
本発明に従う組合せと組み合わせられ得るアクリルポリマーとして、中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマーも挙げられ得る。
【0140】
c.中和された架橋アクリルホモポリマーまたはコポリマー
本発明の組成物中に存在するこのポリマーの主な役割は、水性相のゲル化にある。
【0141】
あらゆる架橋されたアクリルホモポリマーまたはコポリマーが本発明に適する。ただし、それらは、少なくとも部分的に中和された形で使用される。
【0142】
使用の前におそらくすでに中和されたこれらの架橋アクリルポリマーとして、例えば下記が挙げられる。
共にCognis社によって販売された、Cosmedia SP(商品名)、すなわち90%の固体および10%の水を含む架橋されたポリ(アクリル酸ナトリウム)、またはCosmedia SPL(商品名)、すなわち約60%の固体、オイル(水素化ポリデセン)および界面活性剤(PPG−5 ラウレス−5)を含む逆エマルジョンとしてのポリ(アクリル酸ナトリウム)、
カルボポール
逆エマルジョンの形態であり、少なくとも1の極性油を含む、部分的に中和された、架橋ポリ(アクリル酸ナトリウム)、例えばBASF社によってLuvigel(商品名)EMの商品名で販売されたもの、および
それらの混合物。
【0143】
予め中和されていない、本発明に従う架橋アクリル酸ポリマーは、任意の適切な手段によって、特に水酸化ナトリウムを添加することによって、中和され得る。こうして、ポリ(アクリル酸ナトリウム)が得られる。ポリ(アクリル酸カリウム)も本発明に適する。
【0144】
実際、係るポリマーが非中和形態で販売されているならば、本発明の組成物中での使用の前に中和が行われ得る。他方、それらのいくつかは、中和が、出発物質において固有である。特にLuvigel EMおよびCosmedia SPおよびSPLの製品がそうであり、これらはすでに部分的に中和されている。
【0145】
例えばナトリウムまたはカリウム対イオンによる、中和の工程は、架橋酸性ポリマーにポリマーのゲル化特性およびしたがって組成物を安定化させる特性を付与するために必要である。上記架橋されたアクリルポリマーは、この中和工程中に対応するアクリレートポリマーに転化される。本発明に従う架橋アクリルポリマーのアクリルモノマーは、5〜80%の程度まで中和され得る。
【0146】
本発明の1つの特定の実施態様によれば、本発明に従う架橋されたアクリルポリマーは、イオン性モノマーを含み得る。イオン性モノマーとして、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタムおよびカルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えばヒドロキシエチルアクリレート、が使用され得る。しかし、本発明の文脈において、90%より多いアクリル酸モノマーを含む架橋されたアクリルポリマーが、または非イオン性モノマーを含まないものさえもが好ましい。
【0147】
1つの特定の実施態様によれば、架橋されたアクリル酸ホモポリマーまたはコポリマーは、逆エマルジョンと称される、W/Oエマルジョンの形態であってもよい。この逆エマルジョンは、例えば、逆乳化重合によって得られ得る。
【0148】
本発明の1つの特定の実施態様によれば、使用されるゲル化性ポリマーは、少なくとも1の極性油を含む逆エマルジョンの形態の、部分的に中和された架橋ポリ(アクリル酸ナトリウム)である。油として、脂肪酸エステルが挙げられ得る。これらの脂肪酸エステルの例は、脂肪酸のイソプロピルエステル、例えばパルミチン酸イソプロピルまたはミリステアリン酸イソプロピル、または脂肪酸の、特に少なくとも50重量%のカプリン酸および/またはカプリル酸を含む脂肪酸の混合物の、ポリグリセリドである。そのようなW/Oエマルジョンは、米国特許US6,197,283に記載され、上記文献は、引用することにより本明細書に組み入れられ得る。
【0149】
この実施態様によれば、油性相は、1以上の脂肪酸エステルで、またはジグリセリドおよびトリグリセリドを含むポリグリセリドとカプリル酸および/またはカプリン酸を好ましくは脂肪酸の総重量に対して少なくとも50重量%の割合で含む脂肪酸の混合物との混合物に基づく1以上の脂肪酸ポリグリセリドで構成され得る。
【0150】
本発明の1実施態様によれば、逆エマルジョンの油含量は、逆エマルジョンの総重量に対して15〜70重量%、特に20〜35重量%である。
【0151】
この点に関して、特に、Luvigel EMが挙げられる。その油性相は、C〜C10トリグリセリド、すなわちその脂肪酸がカプリン酸とカプリル酸との混合物であるもの、から構成される26%の油相を含む。
【0152】
さらに、W/Oエマルジョンは、0.25〜7重量%、好ましくは0.5〜5重量%の界面活性剤を含み得る。
【0153】
少なくとも部分的に中和された架橋アクリルポリマーは、逆エマルジョン中に、逆エマルジョンの総重量に対して20〜70重量%の範囲の、特に20〜65重量%、例えば20〜62重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0154】
特に、1実施態様によれば、架橋アクリルポリマーは、逆エマルジョン中に逆エマルジョンの総重量に対して20〜30重量%の範囲の含量で存在し得る。さらに別の実施態様によれば、架橋されたアクリルポリマーは、逆エマルジョン中に組成物の総重量に対して、50〜62重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0155】
本発明に従うポリマーは、下記で構成され得る。
a)35〜100重量%のイオン性モノマー、上記イオン性モノマーは5〜80%の程度に中和されている、
b)0〜65重量%の非イオン性モノマーおよび
c)a)およびb)に対して0.3〜1モル%の少なくとも1の、少なくとも2官能性であるモノマー。
【0156】
そのようなポリマーのW/O調製物において、油性相は、上述した1以上の脂肪酸エステルで構成され得る。
【0157】
アクリル酸の架橋は、当業者に公知の任意の方法にしたがって、特に米国特許US6,197,283の記載にしたがって、または使用され得る架橋剤に言及している米国特許US6,444,785の記載にしたがって得られ得る。
【0158】
これらのうち、水または油に可溶の、不飽和を有する化合物が挙げられる。そのような架橋剤は、特に、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルピロリドン、アルキル(メタ)アクリレート、トリアリルアミン、エチレングリコールジアクリレート(50EOまで)、2価または多価アルコールとの(メタ)アクリルエステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレートまたはペンタエリスリチルテトラアクリレート、である。
【0159】
1実施態様によれば、架橋剤が水溶性である。
【0160】
別の実施態様によれば、架橋剤がトリアリルアミンである。
【0161】
本発明に従うポリマーを含むW/Oエマルジョンの調製は、米国特許US6,444,785の開示に従って行われ得る。上記文献は、引用することにより本明細書に組み入れられる。この方法の目的は、レドックス開始剤系を用いる後処理により残留モノマーの含量を減少させることである。この方法によれば、W/Oエマルジョンの後処理は、本質的に下記を含むレドックス開始剤系の添加により行われる。
a)上記ポリマーの製造に使用されたモノマーの総量に対して0.001〜5重量%の、
a1)酸化剤ROOH、ここでRは水素、C〜Cアルキル基またはC〜C12アリール基を示す、および/または
a2)水性媒体中の過酸化水素を除く化合物、
b)上記ポリマーの製造に使用されたモノマーの総量に対して0.005〜5重量%の、
b1)α−ヒドロキシカルボニル化合物

ここで、上記基は互いに独立して下記意味を有する、
R2は水素または、所望により官能基を含みおよび/またはオレフィン性不飽和を含んでいてもよいC〜C12アルキル基であり、
R3は水素、OHまたは、所望により官能基を含みおよび/またはオレフィン性不飽和を含んでいてもよいC〜C12アルキル基であり、
R2およびR3は、ヘテロ原子および/または官能基を含んでいてもよくおよび/またはオレフィン性不飽和を含んでいてもよい環式構造を形成し得る、
および/または
b2)水性媒体中のそのようなα−ヒドロキシカルボニル化合物を除く化合物、
および
c)触媒量の、いくつかの原子価状態を有し得る多価金属イオン。
【0162】
疎水的に変性されたポリサッカライド
本発明によれば、用語「疎水的に変性されたポリサッカライド」は、疎水性の鎖で変性された、特にポリサッカライドの親水性主鎖に疎水性の鎖をグラフトさせることにより変性されたポリサッカライドを特に意味することが意図される。
【0163】
本発明によれば、用語「ポリサッカライド」は、イヌリン、セルロースおよびその誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、デンプンおよびアガー、並びにそれらの混合物を特に意味することが意図される。
【0164】
好ましくは、イヌリン、セルロースおよびその誘導体、およびそれらの混合物が使用されるであろう。本発明の組成物は、したがって、イヌリン、セルロースおよびその誘導体、デンプンおよびアガー、並びにそれらの混合物から選択される疎水的に変性されたポリサッカライドを含み得る。
【0165】
疎水的に変性されたイヌリン
第1の実施態様によれば、本発明において使用されるポリサッカライドは、フルクタン、特にイヌリンから選択される。
【0166】
フルクタンまたはフルクトサンは、一連の無水フルクトース単位を、所望によりフルクトース以外の1以上のサッカライド残基と組み合わせて含むオリゴサッカライドまたはポリサッカライドである。フルクタンは、直鎖状または分岐状であり得る。フルクタンは、植物または微生物源から直接得られる生成物であり得、またはその鎖長が、分別、合成または加水分解、特に酵素型のもの、によって変性(増加または減少)された生成物であり得る。フルクタンは一般に、2〜約1000、好ましくは2〜約60の重合度を有する。
【0167】
フルクタンの3つの群が識別され得る。第1の群はフルクトース単位が主にβ−2−1結合によって結合している生成物に相当する。それらは、本質的に直鎖状のフルクタン、例えばイヌリン、である。
【0168】
第2の群も、直鎖状のフルクトースに相当するが、フルクトース単位は本質的にβ−2−6結合によって結合している。これらの生成物はレバンである。
【0169】
第3の群は、混合フルクタン、すなわちβ−2−6およびβ−2−1結合を有するフルクタン、に相当する。それらは、本質的に分岐状のフルクタン、例えばグラミナン、である。
【0170】
本発明に従う組成物において使用されるフルクタンはイヌリンである。イヌリンは、例えば、チコリから、ダリアからまたはキクイモから得られ得る。好ましくは、本発明に従う組成物において使用されるイヌリンは、例えばチコリから得られる。
【0171】
本発明に従う組成物において使用されるポリサッカライド、特にイヌリン、は、疎水的に変性されている。特に、それらは、フルクタンの親水性主鎖に疎水性の鎖をグラフトさせることにより得られる。
【0172】
フルクタンの主鎖にグラフトされ得る疎水性の鎖は、特に、1〜50の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の炭化水素に基づく鎖、例えばアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールまたはアルキレン基、脂環式2価基またはオルガノポリシロキサン鎖であり得る。これらの炭化水素に基づくまたはオルガノポリシロキサンの鎖は、特に、1以上のエステル、アミド、ウレタン、カルバメート、チオカルバメート、ウレア、チオウレアおよび/またはスルホンアミド基、例えば、特に、メチレンジシクロヘキシルおよびイソホロン、または芳香族2価基、例えばフェニレン、を有し得る。
【0173】
本発明の組成物は、したがって、疎水的に変性されたポリサッカライドとして、1以上のエステル、アミド、ウレタン、カルバメート、チオカルバメート、ウレア、チオウレアおよび/またはスルホンアミド基、例えば、特に、メチレンジシクロヘキシルおよびイソホロン、または芳香族2価基、例えばフェニレン、を有する、1〜50の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の疎水性の鎖、例えばアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールまたはアルキレン基、脂環式2価基またはオルガノポリシロキサン鎖で変性されたイヌリンを含み得る。特に、イヌリンはチコリから得られる。
【0174】
特に、ポリサッカライド、特にイヌリン、は2〜約1000、好ましくは2〜約60の重合度およびフルクトース単位に基づいて2未満の置換度を有する。
【0175】
1つの好ましい実施態様によれば、疎水性の鎖は、式R−NH−CO−(ここで、Rは1〜22の炭素原子を有するアルキル基である)の少なくとも1のカルバメート基を有する。
【0176】
より好ましい実施態様によれば、疎水性の鎖はラウリルカルバメート基である。
【0177】
特に、本発明に従う組成物において使用され得る疎水的に変性されたイヌリンの非制限的例として、ステアロイルイヌリン、例えばEngelhard社によってLifidrem INSTの商品名で、およびCiba社によってRheopearl INSの商品名で販売されているもの;パルミトイルイヌリン;ウンデシレノイルイヌリン、例えばEngelhard社によってLifidrem INUKおよびLifidrem INUMの商品名で販売されているもの;およびイヌリンラウリルカルバメート、例えばOrafti社によってInutec SP1の商品名で販売されているもの、が挙げられ得る。
【0178】
特に、疎水的に変性されたポリサッカライドは、ラウリルカルバメートがグラフトされたイヌリン、特にラウリルイソシアネートとイヌリン、特にチコリ由来のイヌリン、との反応から誘導されるもの、である。これらの化合物の例として、Orafti社によってInutec SP1の商品名で販売されているものが特に挙げられ得る。
【0179】
疎水的に変性されたセルロース誘導体
本発明の別の実施態様によれば、疎水的に変性されたポリサッカライドが、疎水性の鎖、特に8〜30の炭素原子を有する疎水性基、で変性された(C〜C)ヒドロキシアルキルセルロースである。
【0180】
本発明に従う疎水的に変性されたセルロース誘導体は、1以上の脂肪族または芳香族の、飽和または不飽和の、直鎖状、分岐状または環式のC〜C30炭化水素に基づく鎖で置換されている。
【0181】
1つの実施態様によれば、使用される疎水性置換基は、C〜C30、好ましくはC10〜C22のアルキル、アリールアルキルまたはアルキルアリール基である。
【0182】
好ましくは、本発明に従う疎水性置換基が、C10〜C22、好ましくはC16〜C20の飽和アルキル鎖、例えばセチル(C16)、ステアリル(C18)またはベヘニル(C20)基である。
【0183】
1つの好ましい実施態様によれば、本発明に従う疎水性置換基が1以上のセチル基である。
【0184】
本発明に従う1以上の疎水性置換基を有するこれらのセルロース誘導体は、水中に1重量%のポリマーを含む溶液中で25℃で測定される粘度が、100〜100000mPa.s、好ましくは200〜20000mPa.sである。この粘度は、ブルックフィールドLVT粘度計を使用し、No.3スピンドルを用いて6rpmで慣用的に決定される。
【0185】
本発明の組成物において使用され得る1以上の疎水性置換基を有するセルロース誘導体として、好ましくは、Aqualon/Hercules社によってNatrosol Plus Grade 330CSおよびPolysurf 67 CS(INCI:セチルヒドロキシエチルセルロース)の商品名で販売されたセチルヒドロキシエチルセルロースが挙げられ得る。
【0186】
ポリオールの脂肪酸エステル
本発明によれば、用語「ポリオールの脂肪酸エステル」は、脂肪酸(または脂肪酸のポリマー)とポリオールとのエステルを意味することが意図される。ここで、上記脂肪酸はC〜C22、好ましくはC16〜C20のアルキル鎖を有し、上記ポリオールはグリセロール、ポリグリセロールおよびソルビタン、並びにそれらの混合物から選択される。脂肪酸は、ポリヒドロキシステアリン酸(12−ヒドロキシステアリン酸のポリマー)の場合のようにポリマー状であってもよい。
【0187】
1つの特定の実施態様によれば、ポリオールの脂肪酸エステルは、グリセロールのおよび/またはソルビタンのC16〜C20脂肪酸エステルおよびそれらの混合物である。
【0188】
16〜C20直鎖状または分岐状鎖を有する脂肪酸の例として、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸が挙げられ得る。C16〜C20脂肪酸ポリマーの例として、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)が挙げられ得る。
【0189】
好ましくは、ステアリン酸、イソステアリン酸、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)およびそれらの混合物が使用されるであろう。
【0190】
用語「ポリグリセロール」は、下記式の化合物を意味することが意図される。

ここで、縮合度nは1〜11、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜6の範囲である。
【0191】
1つの特定の実施態様によれば、ポリオールの脂肪酸エステルは、2〜10モル(単位)のポリオール、好ましくは2〜4モルのポリオール、特に2〜4単位のグリセロールまたはポリグリセロールの混合物(グリセロール、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−オリゴグリセロール)を含む。
【0192】
さらにより好ましくは、ポリオールの脂肪酸エステルが、4モル(または単位)のポリオール、特に4モル(または単位)のグリセロールを含む。
【0193】
1つの好ましい実施態様によれば、上記ポリオールの脂肪酸エステルは、さらに、脂肪酸の、2〜16の炭素原子、好ましくは8〜14の炭素原子を有するジカルボン酸、例えばアゼライン酸、セバシン酸またはドデカン二酸、好ましくはセバシン酸(C10)、の、およびポリオールのエステルである。
【0194】
本発明の組成物において使用され得るポリオールの脂肪酸エステルの例として、ポリオールのイソステアリン酸エステルおよびその混合物、特にグリセロールのおよび/またはソルビタンのイソステアリン酸エステル、例えばGoldschmidt社によってIsolan GI34の商品名で販売されたポリグリセロール化(4モル)イソステアレート(INCI名:ポリグリセリル−4イソステアレート)、Cognis社によってLameform TGIの商品名で販売されたポリグリセロール化(3モル)ジイソステアレート、Nihon emulsion社によってEmalex PGSAの商品名で販売されたポリグリセロール化(2モル)ジステアレート、Nihon Surfactant社によってNikkol decaglyn 1-ISの商品名で販売されたポリグリセロール化(10モル)モノイソステアレート(INCI名:ポリグリセリル−10イソステアレート)、Goldschmidt社によってIsolan GPSの商品名で販売されたポリグリセリル−4ジイソステアレートポリヒドロキシステアレートセバケート、ソルビタンイソステアレートおよびグリセリルイソステアレートの混合物、例えばICI社によってArlacel 986の商品名で販売された製品、Uniqema社によってArlacel 1690の商品名で販売されたソルビタンイソステアレートおよびポリグリセリルイソステアレート(3モル)の混合物、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0195】
本発明に従う好ましいポリグリセロールの脂肪酸エステルとして、Goldschmidt社によってIsolan GI34の商品名で販売されたポリグリセロール化(4モル)イソステアレート(INCI名:ポリグリセリル−4イソステアレート)、Goldschmidt社によってIsolan GPSの商品名で販売されたポリグリセリル−4ジイソステアレートポリヒドロキシステアレートセバケート、Uniqema社によってArlacel 1690の商品名で販売されたソルビタンイソステアレートおよびポリグリセリルイソステアレート(3モル)の混合物、およびそれらの混合物が特に挙げられ得る。
【0196】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、本発明に従うポリオールの脂肪酸エステルが、ポリグリセロールの混合物の(i)1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5単位のポリグリセロール(好ましくは4単位)を有するポリヒドロキシステアリン酸、(ii)2〜16の炭素原子、好ましくは4〜14の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の脂肪族ジカルボン酸(好ましくはセバシン酸)、および(iii)6〜22の炭素原子、好ましくは16〜20の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の脂肪酸(好ましくはイソステアリン酸)によるエステル化によって得られるポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)およびジカルボン酸のエステルである。
【0197】
有利には、ポリグリセロールの混合物のエステル化の程度が20〜40%、好ましくは40〜70%である。
【0198】
そのようなポリグリセロールのポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)エステルは、米国出願US2005/0031580に記載されている。
【0199】
1つの好ましい実施態様によれば、ポリオールの脂肪酸エステルは、ポリグリセロールの混合物の(i)2〜5単位のポリグリセロールを有するポリヒドロキシステアリン酸、(ii)4〜14の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の脂肪族ジカルボン酸、および(iii)16〜20の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の脂肪酸によるエステル化によって得られるポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)およびジカルボン酸のエステルである。
【0200】
好ましくは、ポリオールの脂肪酸エステルが、ポリグリセロールの混合物の(i)2〜5単位のポリグリセロール(好ましくは4単位)を有するポリ(ヒドロキシステアリン酸)、(ii)4〜14の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の脂肪族ジカルボン酸(好ましくはセバシン酸)、および(iii)16〜20の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の脂肪酸(好ましくはイソステアリン酸)によるエステル化によって得られるポリ(ヒドロキシステアリン酸)およびジカルボン酸のエステルである。
【0201】
ポリグリセロールのポリ(ヒドロキシステアリン酸)エステルの好ましい例として、下記式のポリグリセリル−4ジイソステアレートポリヒドロキシステアレートセバケートが挙げられ得る。

ここで、PHSはポリ(ヒドロキシステアリン酸)を示し、ISはイソステアリン酸を示す。
【0202】
そのような化合物は、米国出願US2005/0031580に従って製造され、Goldschmidt社(Degussa)によってIsolan GPSの商品名で販売されている。
【0203】
本発明の1つの特定の実施態様によれば、本発明に従う組成物は、少なくとも1の疎水性単位を有する2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマーに欠いている。
【0204】
補足の化粧料活性剤
1つの有利な実施態様によれば、本発明に従う組み合わせは、1以上の補足の化粧料活性剤と組み合わされ得る。
【0205】
これらの活性剤は、アデノシンおよびレチノール以外の抗シワ剤、UVスクリーニング剤、ビタミン、特にB3、B8、B12およびB9、モイスチャーライザー、落屑剤、抗老化活性剤、バリヤ機能を改善するための剤、脱色素剤、抗酸化剤、皮膚緩和剤、抗糖化剤、真皮および/または表皮マクロ分子の合成を刺激するおよび/またはそれらの分解を予防するための剤、繊維芽細胞またはケラチノサイトの増殖および/またはケラチノサイトの分化を刺激するための剤、角質膜の成熟を促進するための剤、NO−合成阻害剤、末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)アンタゴニスト、脂肪分泌腺の活性を増加するための剤、細胞の代謝におけるエネルギーを刺激するための剤、および鎮静剤から選択され得る。
【0206】
本発明に従う組成物は、脂性肌のケアまたは処理のための活性剤をも含み得る。
【0207】
本発明の1つの特定の変形によれば、本発明に従う組合せは、アデノシン、レチノールおよびそれらの誘導体以外の抗シワ活性剤、UVスクリーニング剤、落屑剤、抗酸化剤、真皮および/または表皮マクロ分子の合成を刺激するための剤、皮膚緩和剤、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1の活性剤とともに使用される。
【0208】
これらの補足の活性剤は、組成物の総重量に対して、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0209】
抗老化活性剤の例として、プロキシレン(Pro-Xylane)、すなわちモスビーン(Vigna aconitifolia)種子抽出物、例えばCognis社によってVitoptine LS9529およびVit-A-Like LS9737の商品名で販売されたもの、が特に挙げられる。
【0210】
他の抗シワ剤
本発明に従って使用され得る追加の抗シワ活性剤の例は、アスコルビン酸およびその誘導体、例えばマグネシウムアスコルビルホスフェートおよびアスコルビルグルコシド;トコフェロールおよびその誘導体、例えばトコフェリルアセテート;ニコチン酸およびその前駆体、例えばニコチンアミド;ユビキノン;グルタチオンおよびその前駆体、例えばL−2-オキソチアゾリジン−4−カルボン酸;C−グリコシド化合物およびその誘導体、特に以降に記載されるもの;植物の抽出物、特にクリスムムおよびオリーブ葉の抽出物;および植物性タンパク質およびその加水分解物、例えばコメまたは大豆タンパク加水分解物;藻の抽出物、特にラミナリア(laminaria)の抽出物;細菌抽出物;サポゲニン、例えばジオスゲニンおよび、サポゲニンを含むDioscorea植物、特に野生ヤムイモ、の抽出物;α−ヒドロキシ酸;β−ヒドロキシ酸、例えばサリチル酸および5−n−オクタノイルサリチル酸;オリゴペプチドおよび擬ジペプチドおよびそのアシル誘導体、特に、{2−[アセチル−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−3−メチル−ブチリルアミノ}酢酸およびSederma社によってMatrixyl 500 およびMatrixyl 3000の商品名で販売されたリポペプチド;リコペン;マンガン塩およびマグネシウム塩、特にグルコン酸マンガンおよびマグネシウム;およびそれらの混合物である。
【0211】
本発明の組成物は、抗老化剤としてヒアルロン酸ナトリウムが特に使用され得る。
【0212】
追加の抗シワ活性剤は、組成物の総重量に対して、少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%存在し得る。
【0213】
モイスチャーライザー
湿潤剤またはモイスチャーライザーとして、ウレアおよびその誘導体、特にNationalStarch社によって販売されたHydrovance(商品名)、モノサッカライド、例えばマンノース、ヒアルロン酸、AHA、BHA、アクリル酸ホモポリマー、例えばNOF社製のLipidure-HM(商品名)、β−グルカン及び特にMibelle-AG-Biochemistry社製のナトリウムカルボキシメチルβ−グルカン;ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセロール、例えばNOF社製のWilbride S-753L(商品名)、Nestle社によって販売されたローズムスクオイル;Engelhard Lyon社によってMarine Filling Sheresの商品名で販売された海洋起源のコラーゲンおよび硫酸コンドロイチンの球(アテロコラーゲン);ヒアルロン酸球、例えばEngelhard Lyon社によって販売されたもの、が挙げられ得る。
【0214】
UVスクリーニング剤
UVスクリーニング剤の非制限的例として、下記群が挙げられ得る。
アンスラニレート、特にメチルアンスラニレート;ベンゾフェノン、特にベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−12、および好ましくはベンゾフェノン−2(オキシベンゾン)、またはベンゾフェノン−4(BASF社製のUvinul MS40(商品名));ベンジリデンカンフル、特に3−ベンジリデンカンフル、ベンジリデンカンフルスルホン酸、カンフルベンズアルコニウムメトスルフェート、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンフル、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、および好ましくは4−メチルベンジリデンカンフル(Merck社製のEusolex 6300(商品名));および特にベンズイミダジレート(Haarmann and Reimer社製のNeo Heliopan AP(商品名))、またはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Merck社製のEusolex 232(商品名));ベンゾトリアゾール、特にドロメトリゾールトリシロキサン、またはメチレン[ビス(ベンゾトリアゾリル)(テトラメチルブチル)フェノール](Ciba社製のTinosorb M(商品名));シンナメート、特にシノキセート、DEAメトキシシンナメート、ジイソプロピルメチルシンナメート、グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート、イソプロピルメトキシシンナメート、イソアミルシンナメート、および好ましくはエトクリレン(BASF社製のUvinul N35(商品名))、オクチルメトキシシンナメート(Hoffmann La Roche社製のParsol MCX(商品名))またはオクトクリレン(BASF社製のUvinul 539(商品名));ジベンゾイルメタン、特にブチルメトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789(商品名));イミダゾリン、特にエチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリン;PABA、特にエチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、PABA、PEG−25PABA、および好ましくはジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(3V Sigma社製のUvasorb HEB(商品名))、エチルヘキシルトリアゾン(BASF社製のUvinul T150(商品名))、またはエチルPABA(ベンゾカイン);Mexoryl(商品名);サリチレート、特にジプロピレングリコールサリチレート、エチルヘキシルサリチレート、ホモサレート、またはTEAサリチレート;トリアジン、特にアニソトリアジン(Ciba社製のTinosorb S(商品名));ドロメトリゾールトリシロキサン、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、および酸化セリウム。これらは、コーティングされていてもいなくてもよい。
【0215】
好ましくは、シンナメートおよびサリチレート、ならびにそれらの混合物が使用される。
【0216】
スクリーニング剤の量は、所望の最終用途に依存する。例えば、それを含む組成物の総重量に対して、1〜30重量%、好ましくは2〜21重量%であり得る。
【0217】
落屑剤
好ましい落屑剤として、β−ヒドロキシ酸、特にサリチル酸およびその誘導体(5−n−オクタノイルサリチル酸を除く);ウレア;グリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸またはマンデル酸;4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−プロパンスルホン酸(HEPES);サフォラ・ジャポニカ(Saphora japonica)の抽出物;ハチミツ;N−アセチルグルコサミン;ナトリウムメチルグリシンジアセテート、α−ヒドロキシ酸(AHA)、β−ヒドロキシ酸(BHA)、およびそれらの混合物が挙げられるであろう。
【0218】
より好ましくは、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−プロパンスルホン酸(HEPES)が本発明の組合せとともに使用されるであろう。
【0219】
したがって、本発明に従う組成物は、組成物の総重量に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲の量で落屑剤を含み得る。
【0220】
脱色素剤
脱色素剤として、セラミド、ビタミンCおよびその誘導体、特にビタミンCG、CPおよび3−OエチルビタミンC、α−およびβ−アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸(kojic acid)、レゾルシノールおよびその誘導体、カルシウムD−パンテテインスルホネート、リポ酸、エラグ酸、ビタミンB3、フェニルエチルレゾルシノール、例えばSymrise社製のSymwhite 377(商品名)、Gattefosse社によって販売されたキーウィフルーツ(Actinidia chinensis)ジュース、牡丹(Paeonia suffructicosa)の根の抽出物、例えばIchimaru Pharcos 社によってBotanpi Liquid Bの商品名で販売された製品、ブラウンシュガー(Saccarum officinarum)の抽出物、例えばTaiyo Kagaku社によってMolasses Liquid の商品名で販売された糖蜜の抽出物、ウンデシレン酸およびウンデシレノイルフェニルアラニンの混合物、例えばSeppic社製のSepiwhite MSH(商品名)、が挙げられ得る。
【0221】
抗酸化剤
好ましい抗酸化剤として、トコフェロールおよびそのエステル、特にトコフェリルアセテート;EDTA、アスコルビン酸およびその誘導体、特にマグネシウムアスコルビルホスフェートおよびアスコルビルグルコシド;キレート剤、例えばBHT、BHA、N,N’-ビス(3,4,5−トリメトキシベンジル)エチレンジアミンおよびその塩、ならびにそれらの混合物が特に挙げられ得る。
【0222】
トコフェロールおよびそのエステルがより好ましく使用されるであろう。
【0223】
したがって、本発明に従う組成物は、組成物の総重量に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%の量で抗酸化剤を含み得る。
【0224】
皮膚緩和剤
好ましい皮膚緩和剤として、グルコン酸マンガン、野生ヤムイモ、クリスムム、グリシンおよびアルベリン(alverin)が特に挙げられ得る。
【0225】
本発明に従う組成物は、組成物の総重量に対して、0.0001〜5重量%、好ましくは0.001〜3重量%の量で皮膚緩和剤を含み得る。
【0226】
真皮および/または表皮マクロ分子の合成を刺激するためのおよび/またはそれらの分解を防止するための剤
真皮および/または表皮マクロ分子の合成を刺激するためのおよび/またはそれらの分解を防止するための好ましい剤として、植物から抽出されたペプチド、例えばBASF Beauty Care Solutions社によってPhytokineの商品名で販売された大豆加水分解物、Engelhard Lyon社によってCollaliftの商品名で販売された麦芽抽出物;Silab社製のNutripeptide(商品名)などの米ペプチド、または米ペプチドの抽出物、例えばPentapharm社製のColhibin(商品名)、マンヌロン酸メチルシラノール、例えばExsymol社によって販売されたAlgisium C(商品名);バクシニウム・ミルティルス(Vaccinium myrtillus)の抽出物、例えばフランス国特許出願FR-A-2814950に記載されたもの;Silab社によってStructurineの商品名で販売されたルピナスの抽出物、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0227】
本発明に従う組成物は、マクロ分子の合成を刺激する活性剤を、組成物の総重量に対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%の量で含み得る。
【0228】
本発明に従う組成物はまた、ミネラルに富むヴィシー(Vichy)水を、その強化作用、遊離ラジカル捕捉作用、および沈静作用のために、含み得る。
【0229】
生理学的に許容可能な媒体
本発明に従う組合せを含む組成物は、化粧料用途または薬剤用途、特に皮膚科学的用途のために意図され得る。好ましくは、本発明に従うこの組成物は、化粧料用途のために意図される。それは、生理学的に許容可能な媒体中で調製される。
【0230】
上記生理学的に許容可能な媒体は、好ましくは、化粧料としてまたは皮膚科学的に許容可能な媒体、すなわち不快な臭い、色または外観がなく、使用者に受け入れられないひりひり感(tingling)やつっぱり感(tautness)や発赤(redness)を生じない媒体である。
【0231】
用語「生理学的に許容可能な媒体」は、皮膚の場合には、ヒトのケラチン物質と相溶性である媒体を意味することが理解される。
【0232】
本発明に従う組成物は、化粧料および皮膚科学の分野において通常使用されるガレヌス製剤の形態のいずれかであり得る。
【0233】
それは特に、水性または水性−アルコール性の、所望によりゲル化された、溶液、所望により2相であるローションタイプの分散物、O/WまたはW/Oまたは多重エマルジョン、水性ゲル、水性相中のオイルの分散物、特に小球による分散物、上記小球はポリマー状粒子であり得、またはより良好にはイオン性および/または非イオン性の脂質小胞(lipid vesicle)であり得る、または他に粉末、血清、ペーストまたは可撓性スティックの形態であり得る。
【0234】
したがって、組成物は、予想される用途において通常使用される構成成分の全てを含み得る。
【0235】
特に、水、溶媒、鉱物、動物および/または植物起源の油、特に後述するもの、後述するワックス、特に顔料、フィラー、界面活性剤、ゲル化剤および保存剤が挙げられ得る。
【0236】
本発明の組成物は、有利には、吸収されると、引き締まった感触(firm and compact feel)を有し得る。それは、適用時には厚く、その後変化し、溶け込み、そしてみずみずしさ(freshness)を放ち得る。
【0237】
もちろん、当業者は、これまたはこれらの任意の追加の化合物および/またはその量を、本発明に従う化合物の有利な特性が、予想される添加によって損なわれないまたは実質的に損なわれないように選択することに注意するであろう。
【0238】
本発明に従う組成物は、有利には少なくとも1の液体脂肪相を含む。
【0239】
有利には、本発明に従う組成物は、エマルジョンの形態であり得る。
【0240】
本発明に従う組成物は、有利には、脂肪相中の水性相の分散(W/O)または水性相中の脂肪相の分散(O/W)によって得られるエマルジョンの形態、または乳液型の液体または半液体のコンシステンシーの形態、クリームまたはゲル型の柔らかい半固体または固体のコンシステンシーの形態、または多重エマルジョン(W/O/WまたはO/W/O)の形態であり得る。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0241】
この種の組成物は、顔および/またはボディのためのケアまたはメイクアップ製品の形態であり得、例えばクリーム形態でポット中に、または液体形態でチューブまたはポンプ式ボトル中に包装され得る。
【0242】
エマルジョンは一般に、両性、アニオン性、カチオン性または非イオン性の乳化剤から選択される少なくとも1の乳化剤を含む。それらは、単独でまたは混合物として使用される。乳化剤は、得られるべきエマルジョン(W/OまたはO/W)に応じて適宜選択される。乳化剤は一般に、組成物の総重量に対して、0.3〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲であり得る割合で組成物中に存在する。
【0243】
O/Wエマルジョンの場合には、乳化剤として、例えば非イオン性界面活性剤、および特にポリオールと例えば8〜24の炭素原子、より良好には12〜22の炭素原子を有する飽和または不飽和鎖を有する脂肪酸とのエステルおよびそのオキシアルキレン化された誘導体、すなわち、オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化された単位を有する誘導体、例えばC〜C24脂肪酸のグリセリルエステルおよびそのオキシアルキレン化誘導体;C〜C24脂肪酸のポリエチレングリコールエステルおよびそのオキシアルキレン化エステル;C〜C24脂肪酸のソルビトールエステルおよびそのオキシアルキレン化誘導体;C〜C24脂肪酸の糖(スクロース、グルコース、アルキルグルコース)エステルおよびそのオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールエーテル;C〜C24脂肪アルコールの糖エーテル、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0244】
本発明に従う組成物において使用され得る油の例として、下記が挙げられ得る。
動物起源の炭化水素ベース油、例えばパーヒドロスクアレン、
植物起源の炭化水素ベース油、例えば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、または例えばひまわり油、コーン油、大豆油、ゼニアオイ(marrow)油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ(arara)油、ひまわり油、ひまし油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されたもの、またはDynamit NobelによってMiglyol 810、812および818の商品名で販売されたもの、ホホバ油、シアバター油、
特に脂肪酸の、合成エステルおよびエーテル、例えば式RCOORおよびROR(ここで、Rは8〜29の炭素原子を有する脂肪酸の残基を表わし、Rは3〜30の炭素原子を有する分岐状のまたは分岐していない炭化水素ベースの鎖を表わす。)の油、例えばプルセリン油(purcellin oil)、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えば脂肪アルコールのイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレエート、トリイソセチルシトレート、ヘプタノエート、オクタノエートおよびデカノエート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールジイソノナノエート、およびペンタエリスリトールエステル、例えばペンタエリスリチルテトライソステアレート、
鉱物または合成起源の直鎖状または分岐状の炭化水素、例えば揮発性または不揮発性の液状パラフィン、およびその誘導体、イソヘキサデカン、イソドデカン、石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam油、
天然または合成の精油、例えばユーカリ油、ラバンジン(lavandin)油、ラベンダー油、ベチベルソウ油、リツェアクベバ(Litsea Cubeba)油、レモン油、ビャクダン(sandlewood)油、ローズマリー油、カモミール油、セイバリー(savory)油、ナツメグ油、シナモン油、ヒソップ油、キャラウェイ油、オレンジ油、ゲラニオール油、カデ油およびベルガモット油、
8〜26の炭素原子を有する脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、およびそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノル、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコール、
部分的に炭化水素ベースのおよび/またはシリコーンベースのフルオロ油、例えば特開平2−295912に記載されたもの、
シリコーン油、例えば直鎖状または環式のシリコーン鎖を有する揮発性または不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、それらは環境温度で液状またはペースト状である、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、例えばシクロヘキサシロキサンおよびシクロペンタシロキサン;アルキル、アルコキシまたはフェニル基をシリコーン鎖にぶらさがってまたは末端に有するポリジメチルシロキサン、これらの基は、2〜24の炭素原子を有する;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートおよびポリメチルフェニルシロキサン、および
それらの混合物。
【0245】
上記で挙げた油のリストにおける用語「炭化水素ベース油」は、炭素および水素原子を主として有し、所望によりエステル、エーテル、フルオロ、カルボン酸および/またはアルコール基を有する任意の油を意味することが意図される。
【0246】
油性相に存在し得る他の脂肪物質は、例えば8〜30の炭素原子を有するワックスおよび脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸である。
【0247】
本発明に従って使用され得るワックスとして、動物起源のワックス、例えば蜜蝋、鯨蝋、ラノリンワックスおよびラノリン誘導体、植物ワックス、例えばカルナウバワックス、カンデリラワックス、オウリキュリ(ouricury)ワックス、ジャパンワックス、ココアバターまたはコルクファイバーワックス(cork fibre wax)またはサトウキビワックス、鉱物ワックス、例えばパラフィンワックス、石油ゼリーワックス、リグナイト(lignite)ワックスまたは微結晶ワックスまたはオゾケライト、合成ワックス、中でも、ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックスおよびフィッシャー・トロプシュ合成によって得られたワックス、またはシリコーンワックス、25℃で固体の水素化油、例えば水素化ひまし油、水素化ホホバ油、水素化パーム油、水素化タロー油または水素化ココナツ油、および25℃で固体の脂肪エステル、例えばKoster Keunen社によってKester Wax K82Hの商品名で販売されたC20〜C40アルキルステアレート、が挙げられ得る。
【0248】
これらの脂肪物質は、所望の特性、例えばコンシステンシーおよびテクスチャー、を有する組成物を調製するために当業者によって種々のやり方で選択され得る。
【0249】
本発明に従う組成物は、揮発性油を含み得る。
【0250】
本発明の目的のために、用語「揮発性油」は、ケラチン物質と接触したとき、環境温度および大気圧下で1時間未満で蒸発することができる油を意味することが意図される。本発明の揮発性有機溶媒および揮発性油は、環境温度で液体であり、環境温度および大気圧下で、0.13〜40000Pa(10−3〜300mmHg)、特に1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)、より特に1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)のゼロでない蒸気圧を有する揮発性の有機溶媒および揮発性の化粧料用の油である。
【0251】
揮発性油として、特に、2〜6のケイ素原子を有する環式または直鎖状のシリコーン、例えばシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ブチルトリシロキサンおよびエチルトリシロキサンが挙げられ得る。また、分岐状の炭化水素、例えばイソドデカン、および揮発性パーフルオロアルカン、例えば、3M社によってPF 5050およびPF5060の商品名で販売された、ドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサン、およびパーフルオロモルホリン誘導体、例えば3M社によってPF 5052の商品名で販売された4−トリフルオロメチルパーフルオロモルホリン、も使用され得る。
【0252】
本発明に従う組成物中に存在する油性相の量は、例えば、組成物の総重量に対して、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%の範囲であり得る。
【0253】
本発明に従う組成物はまた、シリコーンエラストマー、例えば、Shin-Etsu社によってKSGの商品名で、Dow Corning社によってTrefil、BY29またはEPSXの商品名で、またはGrant Insudtries社によってGransilの商品名で販売されたもの、を含み得る。
【0254】
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1の色素、例えば顔料、蛍光剤、着色剤、効果を有する物質、およびそれらの混合物から選択されるもの、を含み得る。
【0255】
色素は、組成物の総重量に対して、0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜30重量%の範囲の量で存在し得る。
【0256】
本発明に従う組成物はまた、フィラーを、特に組成物の総重量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜30重量%の範囲の量で、含み得る。これらのフィラーは、無機または有機であり得、また結晶学的形状(例えばラメラ状、立方晶系、六方晶系、斜方晶系またはアモルファス)と関係なく、任意の形状、血小板形、球形または扁長形であり得る。シリカ、タルク、マイカ、カオリン、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、PTFE粉末、PMMA粉末、メチルシルセスキオキサン樹脂粉末(例えばGE Silicone社製のTospearl 145A)、シリコーン樹脂の中空半球粒子(例えばTakemoto Oil and Fat社製のNLK 500、NLK 506およびNLK 510)、硫酸バリウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、ガラスまたはセラミックミクロカプセル、8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導された金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムが挙げられ得る。
【0257】
本発明に従う組成物はまた、化粧料分野で通常使用される種々のアジュバント、例えば、金属イオン封鎖剤、芳香剤、および増粘剤およびゲル化剤を含み得る。これらの種々のアジュバントの量およびそれらの性質は、組成物の特性に有害でないように選択されるであろう。
【0258】
以下の実施例および図は、本発明を説明するのに役立つが、それらに限定するものではない。化合物は、場合に応じて、化学名またはCTFA名(国際化粧料成分辞典およびハンドブック)として記載される。
【実施例】
【0259】
実施例1:O/Wエマルジョンの形態のクリーム
この組成物は、特に顔および首のケアのために意図され、毎日適用され得る。
水性相A:
水 100%とする量
グリセロール 5%
アデノシン 0.1%
保存剤 0.4%
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.3%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%
架橋されたポリ(アクリル酸ナトリウム) 0.5%
スクロースモノジパルミトステアレート 1.5%
架橋されたアクリル酸/アルキルアクリレートポリマー 0.2%
【0260】
脂肪相B:
シアバター 2%
脂肪物質 2%
UVスクリーニング剤 15%
ステアリン酸 1.2%
ポリ(ステアリルアクリレート) 2%
【0261】
相C:
シクロヘキサシロキサン 5%
ジメチコーンおよびジメチコーン/ビニルジメチコーンの架橋ポリマー 3%
【0262】
相D:
フィラー 1%
【0263】
相E:
レチノール 0.07%
活性物質として表される
【0264】
手順
1 AおよびBを完全に均一になるまで別々に80℃で加熱する。
2 約75℃でターボミキサーを使用してAをBに添加する。
3 ホモジナイズする。
4 40℃に冷却し、ターボミキサーを使用してCを加える。
5 Dを加え、次いで25℃でEを加える。
【0265】
実施例2:O/Wエマルジョンの形態のクリーム
この組成物は、特に顔および首のケアのために意図され、毎日適用され得る。
水性相A:
水 100%とする量
グリセロール 7%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.08%
アデノシン 0.1%
保存剤 0.9%
トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されたエトキシル化AMPS/ステアリルメタクリレートコポリマー 0.8%
スクロースモノジパルミトステアレート 1.5%
アクリレートコポリマー 0.2%
架橋されたポリ(アクリル酸ナトリウム) 0.8%
溶媒 3%
加水分解されたヒアルロン酸 0.08%
【0266】
脂肪相B:
シアバター 4%
ポリ(ステアリルアクリレート) 2%
ステアリン酸 1.5%
漂白された蜜蝋 1%
エモリエント 10%
【0267】
相C:
シクロヘキサシロキサン 3.5%
ジメチコーンおよびジメチコーン/ビニルジメチコーンの架橋ポリマー 5%
【0268】
相D:
フィラー 2%
【0269】
相E:
レチニルパルミテート 0.165%
【0270】
相F:
ヴィシー水 3%
活性物質として表される
【0271】
手順
1 AおよびBを完全に均一になるまで別々に80℃に加熱する。
2 約75℃でターボミキサーを使用してAをBに添加する。
3 ホモジナイズする。
4 40℃に冷却し、ターボミキサーを使用してCを加える。
5 Dを加え、次いで25℃でEを、次いでFを加える。
【0272】
実施例3:レチノールとアデノシンの組合せの作用の相乗効果の例証
上記組合せの効果が、Realskin再生表皮モデルにおける表皮の分化および増殖に関して評価される。
【0273】
プロトコル
Realskin表皮が、活性剤の存在下または不存在下でD20からスタートしてインキュベートされた。
250μMのレチノール
10μMのアデノシン
250μMのレチノール+10μMのアデノシン
表皮が組織学的におよびフィラグリン(filaggrin)(表皮分化のマーカー)免疫ラベリングによってD27からスタートして分析される。
最近の分化マーカーであるフィラグリンは、ケラトヒアリン顆粒に含まれる高MWホスホタンパク質であるプロフィラグリンの分解生成物である。ケラチノサイトがコルネオサイトに変わるときに、ケラトヒアリン顆粒がばらばらになり、そしてプロフィラグリンが逐次タンパク質分解を受けてオリゴマーを放出し、次いでフィラグリンのモノマーを放出する。
結果を図1に示す。
【0274】
上記結果は、レチノールによって処理された皮膚に関しては分化が遅く(−36%)、アデノシンでは増加し(+11%)、組合せではレチノールの効果が強化された(−79%)ことを立証している。
したがってこの試験は、レチノールの活性がアデノシンによって強化されることを示し、観察された効果は、互いに別々に考慮されるレチノールおよびアデノシンのそれぞれの効果の和よりも有意に大きいので、相乗効果の立証である。
【0275】
実施例4:本発明に従う組成物の有効性の例証
この有効性は、2つの方法、すなわち化粧−臨床法(cosmeto-clinical method)およびクロマスフィア(chromasphere)による解析、にしたがって評価された。
1.化粧−臨床法
実施例1に従うがEDTAを含まない組成物の試験が、45〜65歳の、カラスの足跡のシワ/小ジワ、額、鼻溝、眉間のシワ/小ジワ、顔の下方部分の下垂および皮膚緊張問題を有する白色人種の50人の女性について行われた。
組成物が1日1回で8週間施与された。
【0276】
結果:臨床得点
皮膚科医が、T0、T28およびT56日において、種々の段階での下記のシワの状態に関する情報を与える図表集を使用して皮膚老化を評価した。
額のシワ、
目の下のシワ、
鼻溝のシワ、
顔の下方部分の下垂、および
カラスの足跡のシワ(>3を包含)。
上記シワの状態の変化の結果を時間の関数として下記表1に示す。
【0277】
【表1】

【0278】
これらの結果は、毎日使用して28日後に調査したパラメータの全ての低下に関する上記生成物の有意な効果を立証している。
【0279】
2.クロマスフィア
クロマスフィアは、拡散する、同質で再生可能な昼光型の照明(D65)を使用する、較正されたカラー写真を獲得するための方法である。Hitachi HVF22Fカメラおよび色カードと組み合わせて、色を測定するための照合(reference)道具である。それは、フランス国特許FR2929344に特に記載されている。
【0280】
プロトコル:試験された組成物:EDTAを含まない実施例1の組成物
方法:クロマスフィア(拡散光)
パラメータ:クロマスフィア画像上(視感度)
Raプロファイル(視感度を有するプロファイルの平均深さ)
Rzプロファイル(視感度を有するプロファイルの最大深さ)
ヒストグラム:Histos(ビストグラム(vistogram)を有する領域T−T0
実験計画:無作為化なし
:両側無処理
imm:左側無処理(L)/右側処理(R)
2months:両側処理
施与:毎日2ヶ月間
パネル:55歳以上について34モデル(パネル平均:66.4±6.3歳)
ゾーン:カラスの足跡、カラスの足跡のシワの図表集に関して>3.3の得点を包含
時間:T、Timm、T2months
【0281】
種々の分析によって得られたデータに関して、それらは、シワの明白な分布(シワの視感度)の計算を与える。値は、較正された再生可能な条件下、拡散光中で獲得された2D(.TIFF)カラー写真から計算される(慣用のクロマスフィア)。
シワの視感度は、「視感度(Visibility)」分析ソフトウェアを使用して慣用のクロマスフィアにおいて得られた写真に関して評価された。
「視感度(Visibility)」ソフトウェアは、色情報を灰色のレベルに変換した後、目の端からこめかみまで、画像領域にわたって分布された5つの垂直平行バンドの平均(Ra)および最大(Rz)見かけ粗さのパラメータを得ることを可能にする。これらの値に加えて、5つのバンド全てにわたる平均も計算される。
結果を下記表2および3に示す
【0282】
【表2】

【0283】
処理したゾーンに関して、試験された組成物は、クロマスフィアによるシワの視感度に関して有意な即時効果を誘発する。この効果は、最も深いレリーフ(Rz)および分析された全てのレリーフ(Ra)に関して測定される。有意な効果はまた、参照値「0」と比較される、ヒストグラムの領域における差に関して検出される。これは、平均面の周りの灰色のレベルにおける変化がTとTimmの間で減少したことを意味する。
【0284】
【表3】

【0285】
試験された組成物の長期効果として、シワの視感度における有意な低下が、最大粗さパラメータRz、平均粗さパラメータRaおよびTとT2monthsの間のヒストグラムパラメータHistosに関して検出される。
【0286】
実施例5及び6:組成物の抗シワ効果に対する1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーの影響
O/Wエマルジョンの形態のクリームの組成物の下記実施例は、組成物の抗シワ効果に対する1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーの影響を比較することを可能にする。
【0287】
【表4】

【0288】
手順
1 AおよびB1を完全に均一になるまで別々に80℃に加熱する。
2 約75℃でターボミキサーを使用してAをB1+B2に添加する。
3 ホモジナイズし、ターボミキサーを使用して40℃でC1を添加する。
4 次いでC2を30℃で添加する。
5 Dを加え、次いで25℃でEを窒素不活性を伴って加える。
【0289】
評価
得られたクリームが、観察された即時の化粧料効果に関して、6人の女性パネルについて評価される。
第1日に、本発明に従う実施例5の組成物の0.30mlの量が6人の女性の各々の顔の片側半分に、特に目の下のゾーンに施与される。
施与直後に写真を撮る。
翌日、比較実施例6の組成物の0.30mlの量が、6人の女性の各々について、第1日と同じ片側半分に施与される。
施与直後に写真を撮る。
顔の半分への組成物の施与は無作為である。すなわち、第1の人は、顔の選択された半分が顔の右半分であり、第2の人は、顔の選択された半分が顔の左半分である、等である。
顔の種々の半分について、実施例5の組成物および実施例6の組成物の施与後にそれぞれ撮影された写真が比較される。
【0290】
結果
調査の結果から、目の下のシワの減少が本発明に従う実施例5のクリームの施与後に観察される。これらのシワは、ずっと少なく目立つように見える。目の下のシワのそのような減少は、本発明の部分でない実施例6のクレームの施与後には観察されない。
【0291】
すなわち、1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーの存在は、上記ポリマーがない組成物に対して、本発明に従う組成物の抗シワ効果を有意に強化することを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のレチノイドまたはその誘導体、少なくとも1の、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物および、1以上の結晶化可能側鎖を有する少なくとも1の半結晶性ポリマーを含有する少なくとも1の組合せを生理学的に許容可能な媒体中に含むことを特徴とする、化粧料組成物または皮膚科学的組成物。
【請求項2】
レチノイドが、レチノール、レチナール、レチノイン酸およびレチノールとC〜C20酸とのエステルから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物の総重量に対して約0.005〜5重量%のレチノイドまたはその誘導体を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物がアデノシンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物の総重量に対して約0.0001〜5重量%の、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーが、結晶化可能側鎖を有する少なくとも1のモノマーの重合から得られるホモポリマーから選択され、上記モノマーが、下記式

[式中、RはHまたはCHであり、RはC10〜C30のアルキル基を表し、XはOを表す。]
によって表され得る飽和C10〜C30アルキル(メタ)アクリレートから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーが、C14〜C24アルキルアクリレートおよびC14〜C24アルキルメタクリレートから選択される、結晶化可能側鎖を有するモノマーの重合から得られるホモポリマーから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーが、ステアリルアクリレートのホモポリマーおよびベヘニルアクリレートのホモポリマーから選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の総重量に対して少なくとも0.6重量%の、1以上の結晶化可能側鎖を有する半結晶性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
レチノールまたはレチニルパルミテートを、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物およびC10〜C30アルキル(メタ)アクリレートホモポリマーと組み合わせて含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
アクリルポリマー、疎水的に変性されたポリサッカライドおよびポリオールの脂肪酸エステルから選択される少なくとも1の追加のポリマーをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
アデノシン、レチノールおよびそれらの誘導体以外の抗シワ活性剤、UVスクリーニング剤、落屑剤、抗酸化剤、モイスチュアーライザー、真皮および/または表皮マクロ分子の合成を刺激するための活性剤、皮膚緩和剤およびそれらの混合物から選択される少なくとも1の補助の化粧料活性剤を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1のレチノイドまたはその誘導体、少なくとも1の、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物および、1以上の結晶化可能側鎖を有する少なくとも1の半結晶性ポリマーを含有する組合せの使用を含む、皮膚老化の兆候を予防および/または処理するための、および/またはシワのある皮膚および/またはハリのない皮膚を予防および/または処理するための化粧方法。
【請求項14】
皮膚の欠点を減少させるおよび/または取り除くための、および/または比較的滑らかで、均質で、引き締まっており、緊張性があり、かつ弾力的である皮膚を得るための、請求項13記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1のレチノイドまたはその誘導体、少なくとも1の、アデノシンに基づく非ホスフェート化化合物および、1以上の結晶化可能側鎖を有する少なくとも1の半結晶性ポリマーを含有する組合せおよび/または少なくとも上記組合せを生理学的に許容可能な媒体中に含む組成物を皮膚に施与することを少なくとも含む、老化の皮膚に関する兆候を予防および/または処理することを意図する、皮膚のための非治療的または化粧的処理法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−163434(P2010−163434A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−5951(P2010−5951)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】