説明

レチノイン酸受容体アゴニスト剤

【課題】、レチノイン酸や、その構造類縁体とはその構造が全く異なり、且つレチノイン酸受容体アゴニストのシード化合物として従来知られていなかった化合物を含む生薬若しくはその抽出物または当該化合物を含むレチノイン酸受容体アゴニスト剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤はドクカツ、ソウハクヒ、ジコッピ及びカンゾウからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有する。特にドクカツのメタノール抽出液から単離された下記構造式(a)で示される化合物はレチノイン酸受容体アゴニスト剤としての効果に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は核内受容体の一種であるレチノイン酸受容体に結合活性を有する、レチノイン酸受容体アゴニスト剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンAの活性代謝物であるオールトランス型レチノイン酸は、レチノイン酸受容体(以下「RAR」ということがある)に結合して、細胞の増殖・分化、生体の恒常性維持、形態形成に係わる重要な役割を果たしているばかりでなく、免疫系におけるヘルパーT細胞(Th1/Th2 細胞)の活性化の制御、T細胞のホーミングの制御、制御性T細胞の誘導、さらには、動脈硬化の発症に関与する泡沫化細胞の機能調節などで重要な役割を果たしている。
【0003】
一方、オールトランス型レチノイン酸とcis−trans異性体の関係にある9-cis-レチノイン酸は、レチノイドX受容体(以下「RXR」ということがある)に結合し、RARを始め、PPARs、LXR、VDR、TR等とヘテロダイマーを形成し、数多くの細胞機能を調節していることが知られている。
【0004】
このため、レチノイン酸をリード化合物とし、その類縁体が数多く合成され、医薬として開発されてきた。例えば、レチノイン酸は臨床上、急性前骨髄球性白血病APLの分化誘導療法剤として用いられている。また、レチノイン酸をリード化合物とする数多くのレチノイン酸誘導体が化学合成され、皮膚の炎症性・増殖性疾患の治療に用いられている。
【0005】
しかし、レチノイン酸やレチノイン酸誘導体には、催奇形性、皮膚炎惹起、血中中性脂質上昇などの副作用の問題があった。このため、レチノイン酸やその誘導体に代わる、新たなRARリガンドが求められていた。
【0006】
ところで、核内受容体であるRARは、受容体とリガンドの一対一の厳格な特異性の下で遺伝子発現を調節しているのではなく、特異性のゆるい受容体とリガンド、そして、リクルートされるコレギュレーターの種類の相違により、リガンド依存的に特徴的な遺伝子発現が誘導される。また、RXRがリガンドに依存してヘテロダイマーを形成する核内受容体を選択し遺伝子発現を調節している。
【0007】
こうした性質から、レチノイン酸に代わる全く新しいRAR受容体やRXR受容体のリガンドの探索が行われ、提案されている(例えば特許文献1)。また、本発明者らも、レチノイン酸に代わるRAR受容体やRXR受容体のリガンドを漢方生薬から探索し、コウボク
の抽出物からレチノイドX受容体に対する特に強いアゴニスト活性を見出している。そしてさらには、その成分の化学同定も行い、マグノロール及びホノキオールが活性の高いRXRリガンドであることを見出した(特許文献2)。こうした生薬由来のリガンドは、天然物であることから人体親和性が高いと考えられ、人体に対する副作用が低いものと期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表平10−511950号公報
【特許文献2】特開2009−23961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、レチノイン酸や、その類縁体とはその構造が全く異なり、且つレチノイン酸受容体アゴニストのシード化合物として従来知られていなかった化合物を含む生薬若しくはその抽出物または当該化合物を含むレチノイン酸受容体アゴニスト剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、生活習慣病や慢性疾患の治療に多く用いられている厚生労働省監修の「一般用漢方処方の手引」に収められている漢方方剤に主に配合される生薬を対象とし、レチノイン酸受容体に対する作用を指標として当該受容体のアゴニスト剤となる生薬、その抽出物及びその成分化合物を探索した。
【0011】
その結果、ドクカツ、ソウハクヒ、ジコッピ及びカンゾウの抽出物が、レチノイン酸受容体のアゴニスト活性を有することを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第1の局面は、ドクカツ、ソウハクヒ、ジコッピ及びカンゾウからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有することを特徴とする。
【0012】
また、抽出を行う溶媒としては、アルコールが好適であった。このため、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第2の局面は、抽出物がアルコール抽出物又は含水アルコール抽出物であることとした。特に好ましいのはメタノール抽出物である。
【0013】
さらに、ドクカツのメタノール抽出物から単離された下記構造式(a)で表される化合物であるPimaradienoic Acidが、レチノイン酸受容体に対する、極めて強いアゴニスト活性を見出した。このため、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第3の局面は、下記構造式(a)で示される化合物を含有することを特徴とすることとした。
【0014】
【化1】

【0015】
第1発明の食品は、本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤の第1〜3の局面のいずれかのレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有することを特徴とする。この食品にはレチノイン酸受容体アゴニスト剤が含まれるため、レチノイン酸受容体を活性化する効果を有する。
【0016】
本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤は、漢方繁用生薬を原料として用いているため、人体親和性が高いと考えられ、人体に対する副作用が低いものと期待される。このため、経口薬として、食物アレルギーや関節リウマチ等への利用が考えられる。この他、外用剤として用いても良い。すなわち、第1発明の外用剤は、第1発明の第1〜3の局面のいずれかのレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有することを特徴とする。この外用剤にはレチノイン酸受容体アゴニスト剤が含まれるため、レチノイン酸受容体活性化の効果を有する。外用剤としては、化粧品、軟膏等が挙げられる。
【0017】
上述したように、ドクカツ、ソウハクヒ、ジコッピ及びカンゾウには、レチノイン酸受容体のアゴニスト活性を有する物質が含まれているため、これらの群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物からレチノイン酸受容体アゴニスト剤を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】RARアゴニスト活性の測定方法を示す工程図である。
【図2】生薬抽出物及びオールトランス型レチノイン酸のhRARα転写活性の測定結果を示すグラフである。
【図3】ドクカツのメタノール抽出物についての抽出操作を示す工程図である
【図4】脂性画分の酢酸エチル画分について、シリカゲルカラムによる単離操作について示す工程図である。
【図5】Pimaradienoic Acidについて、濃度を1μM、10μM及び100μMとした場合、及びRARアンタゴニストであるLE135を共存させた場合の、RARアゴニスト活性を調べた結果を示すグラフである。
【図6】RXRαにおけるPimaradienoic Acidの濃度による活性度の違いを示すグラフである。
【図7】RXRαを活性化するBexaroteneの濃度による活性度の違いを示すグラフである。
【図8】ピマール酸(PA)、Pimaradienoic Acid (PDA)及びオールトランス型レチノイン酸(ATRA)の濃度によるhRARa転写活性作用活性度の違いを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明において「レチノイン酸受容体アゴニスト剤」とは、レチノイン酸受容体を活性化し、これにより標的遺伝子の転写活性に影響を及ぼすものをいう。また、「レチノイドX受容体アゴニスト剤」とは、レチノイドX受容体を活性化し、これにより標的遺伝子の転写活性に影響を及ぼすものをいう。ここで、「製剤」とは、散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤などの固形剤、舐剤などの半固形剤、懸濁剤、酒精剤、乳剤、浸剤・煎剤などの液剤、その他製剤上許容される剤形をいう。
【0020】
第1発明はレチノイン酸受容体アゴニスト剤に関するものであり、ドクカツ、ソウハクヒ、ジコッピ及びカンゾウからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有する。
【0021】
生薬の抽出溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール及び含水低級アルコール及びプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール及び含水多価アルコール等のアルコール系有機溶媒及び含水アルコール系有機溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルメチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル、ジエチルエーテル、ジクロルメタン、クロロホルム、トリクロルエチレン、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の非アルコール系有機溶媒及び含水非アルコール系有機溶媒、並びに水を挙げることができる。これらの有機溶媒のうち、アルコールが好ましく、低級アルコールがさらに好ましく、メタノールが最も好ましい。
抽出操作は、冷浸、温浸、加熱還流、パーコレーション法などの常法でおこなうことができる。溶媒抽出に代えて、例えば水蒸気蒸留、超臨界抽出法により生薬抽出物を得てもよい。
【0022】
本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有する食品に用いる食品としては、例えば、パン、米、食肉、食肉加工品、野菜加工品、菓子類、飲料(アルコール飲料を含む。)等を挙げることができる。また、食品には栄養補助食品(サプリメントを含む。)も含まれる。栄養補助食品の場合、粉末、顆粒末、タブレット、ペースト、液体等の形状で提供することができる。食品への添加物として使用する場合、レチノイン酸受容体アゴニスト剤の添加量は、食品の用途等により異なる。例えば、治療的又は予防的効果が期待される用途においては、食品を摂取する者の病状、健康状態、年齢、性別、体重などを考慮して適宜決定することができる。
【0023】
レチノイン酸受容体アゴニスト剤に関する製剤化は常法により行うことができる。製剤化においては、製剤上許容される他の成分、例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水などを必要に応じて含有させることができる。賦形剤としては、乳糖、デンプン、ソルビトール、D−マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としては、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としては、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としては、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としては、プロピレングリコール、ジエチリン亜硫酸塩、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としては、フェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。
【0024】
レチノイン酸受容体アゴニスト剤中における有効成分、即ち生薬、生薬抽出物又下記構造式(a)、(b)で表される化合物は、その剤形による制限を受けないが、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等の剤形で適宜調製することができ、その含量は、通常これらの剤形により異なるが、所望の効果を達成できるように例えば約0.001重量%〜約100重量%とする。
【0025】
ドクカツのメタノール抽出物に含まれている上記構造式(a)で表される化合物の単離は、液―液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどの分離精製手段を用いておこなうことができる。
【実施例】
【0026】
以下実施例により本発明の構成をより詳細に説明する。
<各種生薬メタノール抽出物のRARリガンド活性>
厚生労働省監修の「一般用漢方処方の手引」に収められている漢方方剤210処方に主に配合される生薬から95種類を選択し、抽出の対象とした。これらは全て株式会社ツムラより購入した。
【0027】
(生薬メタノール抽出物の調製)
抽出条件については、レチノイン酸受容体に作用する化合物が脂溶性低分子化合物であること、多糖などの極性の高い物質の抽出を最小限とすること等を考慮し、抽出溶媒としてメチルアルコールを選択し、抽出操作を冷浸とし、以下のように、それぞれメチルアルコール抽出物を調製した。
即ち、各生薬10gに対しMeOH100mLを加え、一晩冷浸した。この操作を3回繰り返し、抽出液を濃縮乾固し、メチルアルコール抽出物とした。
【0028】
(ルシフェラーゼレポーターアッセイ法によるRARアゴニスト活性の測定)
上記のメチルアルコール抽出物について、ルシフェラーゼレポーターアッセイ法によってRARアゴニスト活性を測定した(図1参照)。以下にその詳細を述べる。
HEK293細胞をMEM培地で2日間培養した後、リン酸カルシウム法を用い、hRARα発現ベクター、RARE-ルシフェラーゼレポータープラスミド及びβ−ガラクトシダーゼ発現プラスミドをHEK293細胞に形質導入した。そして、さらに6時間経過後、上記のメチルアルコール抽出物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、添加し、最終濃度100μg/mLとなるようにした。そして、さらに54時間培養した後、ルシフェラーゼ活性及びβーガラクトシダーゼ活性を常法により測定した。
また、同様にしてオールトランスレチノイン酸(ATRA)をポジティブコントロールとし、DMSO終濃度1%として、10-6〜10-10Mとなるよう添加し、RARアゴニスト活性の測定を行った。
【0029】
hRARα転写活性の測定結果を図2に示す。この図から、ドクカツ、ソウハクヒ、ジコッピ及びカンゾウのメタノール抽出物は特にhRARα転写活性が高く、レチノイン酸受容体アゴニスト剤としての効果を有することが分かった。
【0030】
<ドクカツのメタノール抽出物からのRARリガンド活性成分の単離>
hRARα転写活性を調べた生薬の中で、最も活性値の高かったドクカツのメタノール抽出物について、図3に示すように、まずクロロホルム/メタノール/水の混合溶媒により脂溶性画分と水溶性画分とに分け、脂溶性画分及び水溶性画分を酢酸エチルによって抽出し、脂溶性画分の酢酸エチル画分、脂溶性画分の水溶性画分、水溶性画分の酢酸エチル画分及び水溶性画分の水溶性画分の4つの画分を得た。そして、これら4つ画分について前述したルシフェラーゼレポーターアッセイ法によってRARアゴニスト活性を測定した。その結果、脂溶性画分の酢酸エチル画分が最も高い活性を示した。
このため、さらに脂溶性画分の酢酸エチル画分について、図4に示すように、シリカゲルカラムにかけてフラクションに分離し、それぞれのフラクションをエバポレータで溶媒除去後、真空で乾固して得られた生薬抽出物のRARリガンド活性を、上記と同様の方法で測定した。
【0031】
そして、その中で最も活性が高かったフラクション乾固物を再度シリカゲルカラムにかけ、同様にRARリガンド活性を調べた。こうしたシリカゲルカラムによる分離操作を3回繰り返し、最後に最もRARリガンド活性値が高かったフラクション乾固物16.5mgを液体クロマトグラフィーで調べた結果ほぼ単一成分であることが分かった。そして、液体クロマトグラフィーで分離された物質の1H-NMR、及び13C-NMRを測定した結果、下記構造式に示される化合物であることが分かった。なお、この化合物はEuropean Journal of Pharmacology 601 179-185 (2008)に記載されているent-Pimara-8(14),15-gien-19-oic acid(Pimaradienoic Acid)である。
【0032】
【化2】

【0033】
上記のようにして単離されたPimaradienoic Acidについて、濃度を1μM、10μM及び100μMとした場合の、RARアゴニスト活性を調べた。さらに、溶媒であるDMSOを添加した場合のブランク試験及びRARアンタゴニストであるLE135を1μM、10μM及び100μM添加した場合のRARアゴニスト活性を調べた。結果を図5に示す。この図から、Pimaradienoic Acidは添加量を増やすほどRARの活性が高くなり、RARアンタゴニストであるLE135を共存させることによって、RARアゴニスト活性がなくなることが分かった。そしてこの結果から、Pimaradienoic AcidはRARアゴニストであることが分かった。
【0034】
さらに、本発明者らは、RXRαにおけるPimaradienoic Acidの濃度による活性度の違いを調べた(図6参照)。また、比較のためにRXRαを活性化するBexaroteneの濃度による活性度の違いを調べた(図7参照)。その結果、Pimaradienoic AcidはRXRαを活性化せず、PARを選択的に活性化するRARアゴニストであることが分かった。
【0035】
<ピマール酸のhRARa転写活性作用>
Pimaradienoic Acidとは立体異性体の関係にあるピマール酸(b)(下記化学式参照)について、上記と同様の方法によってhRARa転写活性作用を調べた。ピマール酸(b)は、Pimaradienoic Acid(a)におけるCOOH基とMe基の立体配置を逆にした化合物である。ピマール酸(b)は市販の試薬をそのまま試験に供した。また、Pimaradienoic Acid及びオールトランス型レチノイン酸についてもhRARa転写活性作用を調べた。
その結果、図8に示すように、ピマール酸(b)にはhRARa転写活性作用がないことが分かった(図8中PAはピマール酸(b)を示し、PDAはPimaradienoic Acidを示し、ATRAはオールトランス型レチノイン酸を示す。
【化3】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のレチノイン酸受容体アゴニスト剤を使用することにより、レチノイン酸受容体の活性化を介して、肥満・インスリン抵抗性の改善、関節リウマチ・食物アレルギーの予防、治療等の改善を図ることが期待できる。また、本発明が提供するレチノイン酸受容体アゴニストのシード化合物に基づき、従来のシード化合物であるレチノイン酸に基づき合成されてきたその構造類縁体とはその構造が全く異なり、新規な作用効果を有し且つ副作用の少ないレチノイン酸受容体アゴニストの構造類縁体の合成が期待できる。
【0037】
この発明は上記発明の実施形態に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドクカツ、ソウハクヒ、ジコッピ及びカンゾウからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物を含有することを特徴とするレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【請求項2】
前記抽出物がアルコール抽出物であることを特徴とする請求項1記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【請求項3】
下記構造式(a)で示される化合物を含有することを特徴とするレチノイン酸受容体アゴニスト剤。
【化1】

【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有する食品。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のレチノイン酸受容体アゴニスト剤を含有する外用剤。
【請求項6】
レチノイン酸受容体アゴニスト剤を製造するための、ドクカツ、ソウハクヒ、ジコッピ及びカンゾウからなる群より選択される一種又は二種以上の生薬又はその抽出物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−82163(P2012−82163A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229890(P2010−229890)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名:日本生薬学会 日本生薬学会第57回年会実行委員会、刊行物名:日本生薬学会第57回年会・第5回日中韓生薬学合同シンポジウム徳島2010講演要旨集、発行年月日:2010年9月15日
【出願人】(500175325)学校法人愛知学院 (6)
【Fターム(参考)】