説明

レドックスフロー電池およびその運転方法

【課題】電解液の温度、または、充電状態を調整するために、正極または負極の一方の電解液を他方の電解液に所望の量だけ混合させて、必要な電池容量を短時間で維持することができるレドックスフロー電池、及びその運転方法を提供する。
【解決手段】レドックスフロー電池1Aは、電池セル2、正極電解液が貯留される正極タンク31、負極電解液が貯留される負極タンク41、正極電解液循環路3、負極電解液循環路4を備える。両極タンク31,41には、供給管51が接続され、供給管51は、一端を、一方のタンクの液中に開口し、他端を、他方のタンクの気中に開口する。供給管51には、一方のタンクに貯留される電解液を他方のタンクに強制的に供給させる供給ポンプ61を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルに正極電解液及び負極電解液を供給して充放電を行うレドックスフロー電池およびその運転方法に関するものである。特に、電解液の温度の調整や充電状態の調整を行って、電池効率を高めることができるレドックスフロー電池およびその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レドックスフロー電池は、従来、負荷平準化や瞬低対策などとして利用されている。図23はレドックスフロー電池の動作原理を示す説明図である。この電池は、イオン交換膜からなる隔膜101で正極セル100Aと負極セル100Bとに分離されたセル100を備える。正極セル100A、負極セル100Bにはそれぞれ正極電極102と負極電極103とを内蔵している。
【0003】
正極セル100Aには、正極電極102に供給されると共に、正極電極102から排出される正極電解液を貯留する正極タンク104Aが電解液の循環路となる導管106Aを介して接続されている。負極セル100Bには、負極電極103に供給されると共に、負極電極103から排出される負極電解液を貯留する負極タンク104Bが電解液の循環路となる導管106Bを介して接続されている。
【0004】
各極電解液にはバナジウムイオンなど原子価が変化するイオンの水溶液を用い、ポンプ105A、105Bで電解液を循環させ、正極電極102、負極電極103におけるイオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。例えば、バナジウムイオンを含む電解液を用いた場合、セル内で充放電時に生じる反応は次の通りである。
【0005】
正極:V4+→V5++e-(充電) V4+←V5++e-(放電)
負極:V3++e-→V2+(充電) V3++e-←V2+(放電)
上記レドックスフロー電池では、充放電に伴って一方のタンク内の電解液量が変化し、電解液量が減少すると充電状態が低下してしまい、充電状態の低いセルに合わせて電池容量が決定され、電池容量が低下してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1や特許文献2に示すように、正極タンクと負極タンクとをタンク底部近くにおいて連通管で連通させ、この連通管にバルブを設ける構成としたものが提案されている。
【0007】
特許文献1の構成では、一方のタンクの充電状態が低下したとき、即ち、タンク内の電解液量が減少したときに、バルブを開いて、電解液量の多い他方のタンクから連通管を介して一方のタンクへ電解液を供給して双方のタンクの液面を一定にして、自己放電させることにより充電状態を均一にするようにしている。
【0008】
また、レドックスフロー電池における充放電反応は、電解液の温度の影響を受け、同温度が高いほど内部抵抗を低くできることから、大きな出力が得られ、電池容量が向上する。そこで、特許文献2の構成では、少なくともどちらか一方のタンクの電解液の温度が所定の温度よりも低くなったとき、バルブを開いて双方のタンクの電解液を混合させて電解液を自己放電させることにより、電解液の温度を上げるようにしている。
【0009】
特許文献2の構成によれば、運転開始時や外部から新たに電解液を補充する場合などで電解液の温度が低い場合でも、連通管を介して正極電解液と負極電解液とを混合して、自己放電反応により発熱させて電解液の温度を上昇させ、電池容量を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11-204124号公報
【特許文献2】特開2001-43884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、特許文献1および特許文献2の構成は、正極タンクと負極タンクとの液面差により、連通管を介して、液面の高いタンクから液面の低いタンクに電解液を流して、液面差で流れた電解液量により充電状態の調整や温度調整を行うようにしている。
【0012】
ところが、液面差による流量はさほど多くない。また、液面が同じ場合は拡散により電解液の充電状態が変わることが考えられるが、実際はほとんど拡散しない。そのため、特許文献1や特許文献2のような連通管を用いた構成では、充電状態の調整や温度調整を完全に行えなかったり、調整に長時間を要したりする問題があり、電池容量の向上が良好に行えなかった。
【0013】
また、電池モジュールを複数備えるレドックスフロー電池では、モジュール間において電解液の充電状態にばらつきがあると、モジュールごとに電池容量が異なってしまい、システム全体でみると有効に使用できない。
【0014】
例えば、充電時、電解液の充電状態が高いモジュールM1は、電解液の充電状態が低いモジュールM2よりも先に充電を終えてしまい、モジュールM2にまだ余裕があるにも拘らず、システム全体でみると充電完了となる。逆に、放電時、モジュールM2は、電解液の充電状態が低いため電池容量が小さいので、モジュールM1よりも先に放電を終えてしまい、モジュールM1にまだ余裕があるにも拘わらずシステム全体でみると放電完了となる。
【0015】
従って、電池モジュールを複数備えるレドックスフロー電池では、上記電池として機能するのに必要な容量を維持すると共に、モジュール間での充電状態の均一化を図ることが望まれているが、前記した特許文献では、この点について検討されていない。
【0016】
従って、本発明の主目的は、電解液の温度、または、充電状態を調整するために、正極または負極の一方の電解液を他方の電解液に所望の量だけ混合させて、必要な電池容量を短時間で維持することができるレドックスフロー電池およびその運転方法を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、電池モジュールを複数備えるレドックスフロー電池において、モジュール間の電解液の充電状態を均一化して、電池全体としての電池容量を向上できるレドックスフロー電池およびその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、電池内の正極電解液または負極電解液を液面差に関係なく、所望の量だけ電解液を混合することができる構成とすることにより上記目的を達成する。即ち、本発明は、正極電解液及び負極電解液が供給される電池セルと、正極電解液が貯留される正極タンクと、負極電解液が貯留される負極タンクと、正極電解液を電池セルに循環供給する正極電解液循環路と、負極電解液を電池セルに循環供給する負極電解液循環路とを備えるレドックスフロー電池にあって、以下の構成を備えるようにする。
【0019】
1つの構成として、一端を、一方のタンクの液中に開口させ、他端を、他方のタンクの気中に開口させる供給管と、供給管に設けられ、一方のタンクに貯留される電解液を他方のタンクに強制的に供給させる供給ポンプとを備える構成とすることができる。
【0020】
電池セルは、隔膜を介して正極セルと負極セルとを備える。電解液としては、起電力が高く、エネルギー密度が大きく、電解液が単一元素系であるため正極電解液と負極電解液とが混合しても充電によって再生することができるといった多くの利点を有しているバナジウムイオン溶液が好適である。各循環路は、電解液が接触しても短絡などの事故が生じないように絶縁材料にて形成されたパイプなどを利用するとよい。正極電解液循環路と負極電解液循環路には、タンクとセルとの間に循環用ポンプを具えるようにすることが好ましい。
【0021】
供給管は、一端を電解液を供給する側となる一方のタンクの液中に開口させ、他端を電解液が供給される側となる他方のタンクの気中、具体的には、タンク上部に形成されるガス空間内に開口させる。供給ポンプは、供給管の途中に設けるのであって、供給ポンプを駆動させたときに、供給管の一端から一方のタンク内の電解液を吸引して、供給管の他端から他方のタンク内の気中に電解液を排出する。
【0022】
このように、供給管と供給ポンプを備える構成とする場合、供給ポンプを駆動させることで、一方のタンクから他方のタンクへ電解液を所望量だけ強制的に供給して、他方のタンク内で正極電解液と負極電解液とを混合させて目的の温度まで電解液温度を上げる。また、供給ポンプを停止させることにより電解液が一方のタンクから他方のタンクに供給されるのを停止する。
【0023】
本発明によれば、各タンクの液面高さに差が無くても、一方のタンクから他方のタンクに強制的に所望量だけ電解液を供給できる。その結果、電解液温度を電解液の混合により所望の温度まで即座に上げることができ、温度調整および充電状態の調整が容易に行え、電池容量を最適な状態にすることができる。
【0024】
なお、供給管と供給ポンプを備える構成とする場合、各タンクに接続する供給管は2本備えるようにしてもよい。この場合、1本については、一端を、正極タンクの液中に開口させ、他端を、負極タンクの気中に開口させる。また、他の1本については、一端を、負極タンクの液中に開口させ、他端を、正極タンクの気中に開口させる。このように2本の供給管を備える構成とする場合には、正極タンクと負極タンクの何れの電解液についても電解液温度または充電状態の調整が可能となる。
【0025】
さらに、レドックスフロー電池を供給管と供給ポンプを備える構成とする場合、電解液の状態を調整したい側のタンクである他方のタンクの電解液温度を測定する温度測定手段を設けることが好ましい。温度測定手段としては、温度センサなどが挙げられる。
【0026】
温度測定手段は、電解液が流通或いは貯留される箇所に配置するのであって、例えば、正極タンク内または負極タンク内の電解液や、セルとタンク間を連結する配管内の電解液の温度を測定するように配置する。温度測定手段は、それぞれの循環路の少なくとも一箇所に配置するとよい。
【0027】
なお、レドックスフロー電池を正極タンクと負極タンクのそれぞれの電解液を調整するために2本の供給管を備える構成とする場合には、温度測定手段は、双方のタンクの電解液温度を測定するように設けるようにする。
【0028】
そして、温度測定手段を備えるレドックスフロー電池は、検出した他方のタンク側の電解液温度が規定温度より低い場合に、一方のタンクの電解液を他方側に流すように前記供給ポンプの駆動を制御する制御手段を備えるようにする。制御手段としてはコンピュータ、シーケンサ(プログラマブル・ロジック・コントローラ)などが挙げられる。
【0029】
供給ポンプと制御手段とは、電気信号を伝送する配線にて接続させて、制御手段から供給ポンプへ電気信号を出力できるようにする。そして、制御手段は、所望の電解液温度となるように混合量を求め、この混合量に基づき、供給ポンプの制御を行うようにしておく。
【0030】
次に、供給管と供給ポンプと温度測定手段を備えるレドックスフロー電池の運転方法について説明する。まず、他方のタンクの電解液温度を温度測定手段で測定する。温度測定手段では、タンク内の電解液の温度または電池セルとタンクとの間の配管内の電解液の温度を測定することが好ましい。その測定結果が規定温度より低い場合には、前記供給ポンプを駆動して、一方のタンクの電解液を他方のタンクの電解液に混合させて、他方のタンクの電解液温度が規定温度以上となるように調整する。
【0031】
上記温度測定手段は、測定結果(電気信号)を伝送する配線にて制御手段と接続させて、制御手段の信号受信部に温度測定手段からの電気信号が入力されるようにしておく。本発明では、温度測定手段からの信号を制御手段に入力して、測定温度に基づいて供給管に設けた供給ポンプを駆動させたり、停止させたりする動作を自動的に行う。
【0032】
例えば、正極タンクの液中に一端が開口する供給管と、負極タンクの液中に一端が開口する供給管とを備え、それぞれの供給管に供給ポンプを備えるレドックスフロー電池は、正極タンクの電解液と負極タンクの電解液の温度を温度測定手段で測定するようにする。そして、制御手段に以下のステップを行わせて、電解液の温度を制御することができる。
1. 温度測定手段にて正極電解液と負極電解液の温度を測定するステップ
2. それぞれの測定温度と予め決めておいた規定温度とを比較し、大小関係を判定するステップ
3. 前記測定温度が規定温度未満の場合、測定温度に基づいて、規定温度まで昇温させるのに必要な正極電解液または負極電解液の混合量を求めるステップ
4. 供給ポンプを駆動させて一方のタンクから混合が必要な他方のタンクへ正極電解液または負極電解液を求められた混合量だけ供給して混合させて電解液を昇温させるステップ
上記第二ステップを行うにあたり、所望の電解液温度を規定温度として予め制御手段の記憶部に設定しておく。規定温度としては、充放電反応が促進され反応が活発になり易くなり始める温度、具体的には、25〜45℃の範囲内が好ましい。また、制御手段は、記憶部から規定温度を呼び出して測定温度と比較し、両温度の大小関係を判定するようにしておく。具体的には、測定温度が規定温度を超える場合、判定手段が混合不要と判定するようにしておく。このとき、制御動作を終了するようにしてもよい。
【0033】
正極電解液と負極電解液とを混合させると、混合された側の電解液は自己放電により温度が上昇するが充電深度が低下するため、必要以上に多くの量を混合させることは好ましくない。そこで、混合量は、正極電解液と負極電解液とを混合した際にセルに維持させておきたい電圧(下限電圧)より下がらないように混合量を設定することが好ましい。
【0034】
具体的には、電解液の温度と、上記下限電圧を満たすことができる混合液量との関係を予め求めておき、制御手段の記憶部にこの関係値データを予め入力しておく。即ち、測定温度ごとに、セルが下限電圧になるまでにどの程度の液量を混合できるかを求め、測定温度ごとの混合可能な液量を制御手段に記憶させておく。そして、制御手段は、温度測定手段から得られた測定温度と記憶部から呼び出した関係値データとを照らし合わせて、混合量を求めるようにしておく。
【0035】
このように、電解液の温度を測定して、液温が規定温度より低くなったときに、電解液を所定量だけ混合して化学変化により発熱させるようにすると、電池容量を大きくできる状態に電解液を維持することができる。
【0036】
また、レドックスフロー電池を供給管と供給ポンプを備える構成とする場合、電解液の温度を測定するのではなく、正極電解液または負極電解液の充電状態を検知してもよい。この場合、充電検知手段を設けて充電状態を検知する。充電検知手段としては、電圧計が挙げられる。充電検知手段は、電解液が貯留されるセルの近くに配置して、セル内の電解液の電圧を測定することが好ましい。例えば、セルにモニターセルを接続して、このモニターセル内の電解液の電位を測る。
【0037】
そして、充電検知手段を設ける場合は、前記制御手段により、充電検知手段で検知した他方のタンク側電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、一方のタンクの電解液を他方のタンクに流すように前記供給ポンプを駆動させるように制御する。
【0038】
正極電解液と負極電解液とを混合させると、各極の電解液の充電深度が低下するため、セルの電圧が低下する。従って、正極電解液と負極電解液とを混合した際にセルに維持させておきたい電圧(下限電圧)を設定し、電解液の検知電圧値に対応した下限電圧を満たす混合液量の関係を求めおく。そして、制御手段に、前記下限電圧を満たすことができる混合液量(関係値データ)を予め入力しておく。制御手段は、検知電圧値ごとに、関係値データと照らし合わせて、電池セルの下限電圧を満たす混合液量を求め、この混合量に基づき、供給ポンプの制御を行うようにしておく。
【0039】
次に、供給管と供給ポンプと充電検知手段を備えるレドックスフロー電池の運転方法について説明する。まず、正極電解液または負極電解液の充電状態を充電検知手段で検知する。充電状態の検知は、正極セルまたは負極セルの電解液を検知することが好ましい。そして、その充電状態の検知により、他方のタンク側電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、前記供給ポンプを駆動して、一方のタンクの電解液を他方のタンクの電解液に混合させて、他方のタンクの電解液の充電値を低下させるように調整する。
【0040】
上記充電検知手段は、検知結果(電気信号)を伝送する配線で制御手段と接続させて、制御手段の信号受信部に充電検知手段からの電気信号を入力するようにしておく。そして、充電検知手段からの信号を制御手段に入力して、充電状態に基づいて供給管に設けた供給ポンプを駆動させたり、停止させたりする動作を自動的に行う。
【0041】
例えば、正極タンクの液中に一端を開口させる供給管と、負極タンクの液中に一端を開口させる供給管の2本を備え、それぞれの供給管に供給ポンプを備えるレドックスフロー電池の場合について説明する。このとき、正極セルの電解液と負極セルの電解液の充電状態を充電検知手段で検知するようにする。そして、制御手段に以下のステップを行わせて、電解液の充電状態を制御することができる。
1. 充電検知手段にて正極電解液及び負極電解液の充電状態(電解液の電圧)を測定するステップ
2. 検知した正極と負極の電解液電圧値のそれぞれを規定電圧値と比較し、大小関係を判定するステップ
3. 検知電圧値が規定電圧値より高い場合、検知電圧値に基づいて、電圧値の高い電解液を検知電圧値以下とするのに必要な正極電解液または負極電解液の混合量を求めるステップ
4. 供給ポンプを駆動させて、電圧値が低い側のタンクから混合が必要なタンクへ前記混合量の正極電解液または負極電解液を供給して電解液を混合させるステップ
このように、充電検知手段で電解液の充電状態を検知し、電解液の充電状態が規定電圧値より高くなったときに、充電値が高い電解液に充電値の低い電解液を所定量だけ混合して自己放電させるようにすると、電池セルの充電状態を自由に調整できる。
【0042】
また、供給ポンプは、制御手段により、駆動時から所定時間経過後に駆動を停止するように制御してもよい。具体的には、混合量ごとに、ポンプの運転時間、流通速度などのポンプの運転条件を設定しておき、制御手段の記憶部に予めこの運転条件を入力しておく。そして、制御手段は、決定した混合量に対応する運転条件を記憶部から呼び出し、この条件に基づいてポンプに制御信号を送って、駆動時から所定時間経過後に駆動を停止するようにしておく。なお、ポンプの運転時間は、タイマーを用いて行うことができる。
【0043】
このように供給ポンプを駆動制御することにより、電解液の流速、混合による充電状態の認識遅れなどによる影響を排除することができる。
【0044】
また、本発明レドックスフロー電池の他の構成として、各循環路においてタンクと電池セルとの間に設ける循環用ポンプと、一方のタンクの循環路と他方のタンクの循環路とを接続する供給管と、供給管に設けられ、流路を開閉する開閉手段とを備える構成としてもよい。
【0045】
供給管は、一端を、一方の循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続し、他端を、他方の循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続する。なお、本発明では、循環路は、電池セルに接続される配管と、循環用ポンプと、タンクとにより構成する。
【0046】
開閉手段としては、電気信号によって開閉動作を制御可能な構成を備えるもの、例えば、電動バルブやエアバルブが挙げられる。電動またはエアで駆動するバルブとすることにより、制御手段により自動でバルブの開閉動作が行える。
【0047】
循環用ポンプは、主としてタンク内の電解液をセルに送るために用いるのであるが、前記開閉手段を開いたときに、循環用ポンプを駆動する循環路から供給管を介して他方の循環路に電解液を供給するためにも用いる。
【0048】
さらに、供給管と開閉手段を備えるレドックスフロー電池とする場合は、供給管は、一端を、一方の循環路における電池セルの下流側配管に接続し、他端を、他方の循環路のタンクに接続することができる。また、供給管と開閉手段を備えるレドックスフロー電池とする場合、供給管は、一端を、一方のタンクの循環路における電池セルの上流側配管に接続し、他端を、他方のタンクの循環路における電池セルの下流側配管に接続することもできる。
【0049】
供給管を一方の循環路の上流側配管と他方の循環路の下流側配管とを接続する構成とする場合には、電池セルの手前の充電状態の低い液が他方の循環路に供給されてしまうが、流通抵抗の大きい電池セルを通過させることなく、他方の循環路に電解液を供給できるので、循環用ポンプの負担を少なくできる。
【0050】
また、供給管を一方の循環路の下流側配管と他方の循環路のタンクとを接続するように構成すれば、セルでの充放電が終了した液を他方の循環路に供給できるので、電池の運転中でも自由に供給管からの電解液の混合を行える。
【0051】
本発明レドックスフロー電池は、開閉手段を開くことで、一方の循環路から他方の循環路に供給管を介して電解液が供給されて電解液が混合され、開閉手段を閉じることで、電解液の混合が停止される。
【0052】
開閉手段を設ける構成とする場合も、各タンクの液面高さに差が無くても、一方のタンクから他方のタンクに強制的に所望量だけ電解液を供給できる。その結果、電解液の混合による電解液温度を所望の温度まで即座に上げることができ、温度調整および充電状態の調整が容易に行え、電池容量を最適な状態にすることができる。
【0053】
しかも、供給管にはバルブなどの開閉手段を設け、前記した供給ポンプで行った動作を既存の循環用ポンプで行うことにより、前記した供給ポンプを設ける構成の場合に比べて、コストの低廉化とシステムの簡素化、信頼性の向上が可能となる。
【0054】
なお、開閉手段を備える構成とする場合も、各タンクに接続する供給管は2本備えるようにしてもよい。この場合、1本については、一端を、正極の循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続し、他端を、負極の循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続する。他の1本については、一端を、負極の循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続し、他端を、正極の循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続する。
【0055】
さらに、供給管と開閉手段を備えるレドックスフロー電池の場合も、供給ポンプを備える場合と同様に、電解液の状態を調整したい側のタンクの電解液温度を測定する温度測定手段を設けることが好ましい。
【0056】
そして、温度測定手段を備える場合、レドックスフロー電池は、検出した電解液温度が規定温度より低い場合に、電解液温度の高い一方の循環路の電解液を他方の循環路に流すように開閉手段の開閉駆動と循環用ポンプの駆動を制御する制御手段を備えるようにする。
【0057】
開閉手段と循環用ポンプとは、制御手段に電気信号を伝送する配線にて接続させている。そして、制御手段から開閉手段および循環用ポンプへ電気信号を出力できるようにする。そして、制御手段は、所望の電解液温度となるように混合量を求め、この混合量に基づき、循環用ポンプの駆動制御と開閉手段の開閉制御を行うようにしておく。
【0058】
次に、供給管、循環用ポンプ、開閉手段、温度測定手段を備えるレドックスフロー電池の運転方法について説明する。まず、他方の循環路の電解液温度を温度測定手段で測定する。温度測定手段は、タンク内の電解液の温度または電池セルとタンクとの間の配管内における電解液の温度を測定することが好ましい。その測定結果が規定温度より低い場合には、一方の循環路に設ける循環用ポンプを駆動するとともに開閉手段を開いて、一方の循環路の電解液を他方の循環路の電解液に混合させて、他方のタンクの電解液温度が規定温度以上となるように調整する。
【0059】
そして、温度測定手段からの信号を制御手段に入力して、測定温度に基づいて循環用ポンプの駆動を制御するとともに、開閉手段を駆動させたり、停止させたりする動作を自動的に行う。例えば、2本の供給管と、それぞれの供給管に開閉手段を備えるレドックスフロー電池の場合について説明する。この場合、一方の供給管は、一端が正極電解液循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続され、他端が負極電解液循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続される。他方の供給管は、一端が負極電解液循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続され、他端が正極電解液循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続される。
【0060】
そして、正極タンクの電解液と負極タンクの電解液の温度を温度測定手段で測定し、制御手段に以下のステップを行わせて、電解液の温度を制御することができる。
1. 温度測定手段にて正極電解液と負極電解液の温度を測定するステップ
2. それぞれの測定温度と規定温度とを比較し、大小関係を判定するステップ
3. 前記測定温度が規定温度未満の場合、測定温度に基づいて、規定温度まで昇温させるのに必要な正極電解液または負極電解液の混合量を求めるステップ
4. 一方の循環用ポンプを駆動させるとともに、開閉手段を開いて一方の循環路から混合が必要な他方の循環路へ正極電解液または負極電解液を前記混合量だけ供給して電解液を混合させて昇温させるステップ
上記第二ステップを行うにあたっては、前記した供給ポンプを備えるレドックスフロー電池と同様の設定および制御を行う。このように、レドックスフロー電池が開閉手段および温度測定手段を備える構成とする場合も、電解液の温度を測定して、液温が規定温度より低くなったときに、電解液を所定量だけ混合して化学変化により発熱させて、電解液を電池容量が大きくできる状態に維持することができる。
【0061】
また、レドックスフロー電池が供給管と開閉手段を備える構成とする場合も、前記した供給ポンプを備える場合と同様に、温度測定手段を設けるのではなく、正極電解液または負極電解液の充電状態を検知する充電検知手段を設けるようにしてもよい。充電検知手段を設ける場合は、制御手段により、検知結果に基づいて、他方の循環路における電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、一方の循環路の電解液を他方のタンクに流すように循環用ポンプと開閉手段の駆動制御を行う。
【0062】
制御手段は、正極電解液と負極電解液とを混合した際に、規定電圧値以下となるように電解液の混合量を求め、この混合量に基づき、循環用ポンプの駆動制御と開閉手段の駆動制御を行うようにしておく。
【0063】
次に、循環用ポンプ、供給管、開閉手段、充電検知手段を備えるレドックスフロー電池の運転方法について説明する。まず、正極電解液または負極電解液の充電状態を充電検知手段で検知する。そして、その充電状態の検知により、他方の循環路における電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、一方の循環路の循環用ポンプを駆動するとともに、開閉手段を開いて、一方の循環路の電解液を他方の循環路の電解液に混合させて、他方の循環路における電解液の充電値を低下させるように調整する。この場合、充電検知手段からの信号を制御手段に入力して、充電状態に基づいて一方の循環用ポンプを駆動制御するとともに、供給管に設けた開閉手段を開閉する動作を自動的に行う。
【0064】
例えば、2本の供給管と、それぞれの供給管に開閉手段を備えるレドックスフロー電池の場合について説明する。この場合、一方の供給管は、一端が正極電解液循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続され、他端が負極電解液循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続される。他方の供給管は、一端が負極電解液循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続され、他端が正極電解液循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続される。
【0065】
そして、正極セルの電解液と負極セルの電解液の充電状態を充電検知手段で検知するようにする。そして、制御手段に以下のステップを行わせて、電解液の充電状態を制御することができる。
1. 充電検知手段にて正極電解液及び負極電解液の充電状態(電解液の電圧)を測定するステップ
2. 検知した正極と負極の電解液電圧値をそれぞれ規定電圧値と比較し、大小関係を判定するステップ
3. 検知電圧値が規定電圧値より高い場合、検知電圧値に基づいて、規定電圧値以下となるのに必要な正極電解液または負極電解液の混合量を求めるステップ
4. 電圧値が高いと判定された側の循環路と異なる循環路に設ける循環用ポンプを駆動するとともに、開閉手段を開いて、この異なる側の循環路から混合が必要な循環路へ正極電解液または負極電解液を前記混合量だけ供給して電解液を混合させるステップ
なお、開閉手段と充電検知手段を設ける構成とする場合も、制御手段では、前記した供給ポンプと充電検知手段を備える構成と同様の設定および制御を行う。このように構成する場合も、充電検知手段で電解液の充電状態を検知し、一方の循環路の電解液の充電状態が高くなったときに、充電値が高い電解液に所定量だけ反対側の循環路の電解液を混合して自己放電させ、電池の充電状態を自由に調整できる。
【0066】
また、開閉手段は、制御手段により、駆動時から所定時間経過後に駆動を停止するように制御してもよい。具体的には、混合量ごとに、循環用ポンプの運転時間、流通速度などのポンプの運転条件に基づき、開閉手段の開動作時間を設定しておき、制御手段の記憶部に予め循環用ポンプと開閉手段の運転条件を入力しておく。そして、制御手段は、決定した混合量に対応する運転条件を記憶部から呼び出し、この条件に基づいて循環用ポンプと開閉手段に制御信号を送って、駆動時から所定時間経過後に開閉手段を閉じるようにしておく。開閉手段の開動作時間の管理は、タイマを用いて行うことができる。
【0067】
このように開閉手段を駆動制御することにより、電解液の流速、混合による充電状態の認識遅れなどによる影響を排除することができる。さらに、上記した各構成では、正極タンク内と負極タンク内の電解液の液面よりも低い位置で両タンクを接続する連通管を備える構成とすることが好ましい。このように連通管を設けることにより、供給管から電解液が供給されてタンク内の液面が上昇しても、上昇した分を連通管から戻して液面調整が行える。
【0068】
さらに、連通管を設ける場合には、この連通管にバルブを設けることが好ましい。このようにバルブを設けることにより、供給管から電解液が供給されるときにのみ、バルブを開いて液面調整を行うことができるので、自己放電によるロスをできるだけ少なくすることができる。連通管にバルブを設ける場合には、バルブは、電動バルブやエアバルブにすることが好ましい。電動バルブやエアバルブにすることにより、全自動でバルブの開閉動作が行える。
【0069】
一方、レドックスフロー電池として、単一の電池モジュールでなく、複数の電池モジュールを直列に備える構成のものがある。この構成では、各電池モジュールの電解液の充電状態のばらつきが大きいと、電池全体として電池効率が低下する恐れがある。そこで、本発明は、電池モジュール間における電解液の充電状態のばらつきをなくすべく、以下の構成および運転方法を提案する。
【0070】
複数のモジュールを直列に接続するのであって、1つのモジュールを電池セルと、正極タンクと、負極タンクと、正極電解液を電池セルに循環供給する正極電解液循環路と、負極電解液を電池セルに循環供給する負極電解液循環路と、各循環路に設ける循環用ポンプとを備える構成とする。
【0071】
さらに、各モジュールは、一端を、一方の循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続し、他端を、他方の循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続する供給管を備える。供給管には、一方の循環路から他方の循環路への電解液の流入量を規制する規制手段を設ける。各モジュールには、充電状態を検知する充電検知手段を設ける。そして、充電検知手段による検知結果に基づいて、各モジュールの充電状態を均一に調整するように前記規制手段の駆動を制御する制御手段を備えるようにする。供給管に設ける規制手段は、前記した各構成のように、供給ポンプとしてもよいし、バルブなどの開閉手段としてもよい。
【0072】
本発明における複数のモジュールを備えるレドックスフロー電池の運転方法は、制御手段に以下のステップを行わせて、各モジュールの充電状態を均一にするように制御することを特徴とする。
【0073】
その運転方法は、各モジュールの充電状態を充電検知手段で検知し、その検知結果に基づいて、何れかのモジュールの充電状態が他のモジュールの充電状態より高い場合には、充電状態の高いモジュールにおける前記規制手段を駆動させて、一方の循環路の電解液を他方の循環路の電解液に混合させて、全てのモジュールの充電状態を均一にするように調整する。
【0074】
例えば、第一モジュールと第二モジュールを備えるレドックスフロー電池については、以下のように制御する。
1. 第一モジュールにおいて、第一正極側充電検知手段にて正極電解液の充電状態(電圧値)を検知し、第一負極側充電検知手段にて負極電解液の充電状態(電圧値)を検知するステップ
2. 第二モジュールにおいて、第二正極側充電検知手段にて正極電解液の充電状態を検知し、第二負極側充電検知手段にて負極電解液の充電状態を検知するステップ
3. 第一モジュールで検知した電圧値から、第一モジュール全体の充電状態を求めるステップ
4. 第二モジュールで検知した電圧値から、第二モジュール全体の充電状態を求めるステップ
5. 第一モジュールで求めた充電状態と、第二モジュールで求めた充電状態との差を演算するステップ
6. 前記充電状態の差が設定範囲内に含まれるか否かを判定するステップ
7. 前記充電状態の差が設定範囲外の場合、充電状態の高いモジュールについて、電圧値の高い循環路の電解液に電圧値が低い循環路の電解液を混合させた際に、電解液を混合させることにより得られるモジュール全体の充電状態が、充電状態の低いモジュールと同じ充電状態になるように、演算したモジュールの充電状態の値に基づいて正極電解液と負極電解液との混合量を求めるステップ
8. 前記混合量に基づき充電状態の高いモジュールにおいて、正極電解液と負極電解液とを混合させるステップ
上記運転方法を行うレドックスフロー電池の各モジュールの基本的構成は、上述した単一モジュールから成るレドックスフロー電池と同様にするとよい。そして、上記ステップを備える制御プログラムを入力した制御手段を具えておき、モジュール間における電解液の充電状態の調整の制御を行う。
【0075】
具体的には、第一ステップ、第二ステップを行うにあたり、上記単一の電池モジュールを備えるシステムと同様に、第一モジュールの各セル及び第二モジュールの各セルにセルの電圧を測定する電圧測定器などの充電検知手段をそれぞれ配置しておき、制御手段と各充電検知手段とを配線にて接続しておく。制御手段は、配線を介して、各充電検知手段からの検知結果(電気信号)がそれぞれ入力されるようにしておく。
【0076】
第三ステップ、第四ステップを行うにあたり、制御手段は、第一モジュールにおける各検知電圧値により第一モジュールでの充電状態を演算部で演算し、第二モジュールにおける各検知電圧値により第二モジュールでの充電状態を演算部で演算するようにしておく。
【0077】
第六ステップを行うにあたり、制御手段は、所望の充電状態の差の許容範囲を設定しておき、制御手段の記憶部に予め設定範囲を入力しておく。設定範囲としては、例えば、モジュール間における電解液の充電状態のばらつきとして許容できる範囲が挙げられる。そして、制御手段は、記憶部から設定範囲を呼び出して第五ステップで演算した充電状態の差と比較し、充電状態の差が設定範囲内か否かを判定するようにしておく。具体的には、充電状態の差が設定範囲内の場合、モジュール間のばらつきが小さいか或いはないため、判定手段が混合不要と判定するようにしておく。このとき、制御動作を終了するようにしてもよい。
【0078】
第七ステップを行うにあたり、制御手段は、充電状態の高いモジュールを選択し、このモジュールについて、充電検知手段から得られた充電状態の値と、記憶部から呼び出した液量データとを照らし合わせて、電解液を混合させることにより得られるモジュールの充電状態が、充電状態の低いモジュールと同じ充電状態になるように、正極電解液と負極電解液との混合量を求めるようにしておく。
【0079】
上記電池モジュールを複数備える場合も単一の電池モジュールを備える電池と同様に、上記規制手段の駆動の制御をタイマ手段などを用いて、自動的に一定時間駆動させるようにしておいてもよい。
【発明の効果】
【0080】
上記構成を備える本発明のレドックスフロー電池及び運転方法は、電解液の温度または充電状態の調整を簡単に、かつ、確実に制御することができ、電池容量の向上を図ることができる。また、複数の電池モジュールを備えるレドックスフロー電池の場合、モジュール間における電解液の充電状態のばらつきをも低減して、電池全体としての電池容量の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】供給管と供給ポンプとを具える形態1に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図2】形態1に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。
【図3】形態1に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】供給管と供給ポンプとを具える別の形態2に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。
【図5】形態2に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】供給管と供給ポンプとを具える別の形態3に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図7】供給管と供給ポンプと連通管とを具える形態4に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図8】供給管と供給ポンプとバルブを有する連通管とを具える形態5に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図9】供給管を具え、循環用ポンプを利用する形態6に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図10】形態6に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。
【図11】形態6に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。
【図12】供給管を具え、循環用ポンプを利用する別の形態7に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。
【図13】形態7に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。
【図14】供給管を具え、循環用ポンプを利用する別の形態8に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図15】供給管を2本具え、循環用ポンプを利用する形態9に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図16】供給管を2本具え、循環用ポンプを利用する別の形態10に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図17】供給管と連通管とを具え、循環用ポンプを利用する形態11に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図18】供給管とバルブを有する連通管とを具え、循環用ポンプを利用する形態12に係る電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図19】供給管を具え、循環用ポンプを利用する電池モジュールを複数備える形態13に係るレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図20】形態13に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。
【図21】形態13に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。
【図22】形態13に係るレドックスフロー電池の混合動作の手順を示すフローチャートである。
【図23】レドックスフロー電池の動作原理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下、実施の形態を説明する。
【0083】
(形態1)
図1は、電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。このレドックスフロー電池1Aは、電池セル2と、電池セル2に供給/排出される正極電解液を貯留する正極タンク31と、電池セル2に供給/排出される負極電解液を貯留する負極タンク41とを備える。電池セル2は、正極電解液を循環供給する正極電解液循環路3と、負極電解液を循環供給する負極電解液循環路4とを備える。
【0084】
正極電解液循環路3は、正極タンク31、電池セル2の正極セルと正極タンク31とを連結し、電池セル2に対して上流側に接続される上流側配管32、下流側に接続される下流側配管33、正極側循環用ポンプ34を備える。
【0085】
負極電解液循環路4は、負極タンク41、電池セル2の負極セルと負極タンク41とを連結し、電池セル2に対して上流側に接続される上流側配管42、下流側に接続される下流側配管43、負極側循環用ポンプ44とを備える。また、循環用ポンプ34,44は、電池セル2に電解液を容易に供給できるように、それぞれの上流側配管32,42に設けられている。
【0086】
電池セル2は、レドックスフロー電池用セルを複数積層させた積層体構造である。本例では、電池セル2の基本的構成は、図23に示すセル100と同様であり、イオン交換膜(隔膜)により正極セルと負極セルとに分離され、正極セルに正極電極、負極セルに負極電極を内蔵し、各電極にそれぞれ正極電解液、負極電解液が供給される。本例では、正極電解液にV5+を含む溶液、負極電解液にV2+を含む溶液を用いている。
【0087】
そして、本例では、正極タンク31の正極電解液を負極タンク41の負極電解液に混合できるように、一端を、正極タンク31の液中に開口し、他端を、負極タンク41の気中に開口する供給管51を備える。さらに、供給管51には、正極タンク31に貯留される正極電解液を負極タンク41内に強制的に供給させる供給ポンプ61を設けている。
【0088】
この構成により、通常運転時は、循環用ポンプ34,44を駆動し、供給ポンプ61の駆動を停止することで、電池セル2にそれぞれのタンク内の電解液を循環させることができる。また、電解液を混合させる時は、循環用ポンプ34,44を停止し、供給ポンプ61を駆動させることにより、正極タンク31から負極タンク41に正極電解液を供給して、電解液の混合を行うことができる。前記循環用ポンプ34,44と供給ポンプ61は、制御手段7に配線にて接続され、制御手段7からの電気信号により駆動制御される。
【0089】
また、本例では、負極電解液の温度に基づいて両極の電解液の混合を行うようにしている。図1に示すように、温度測定手段となる温度センサ71aを、負極電解液循環路4における下流側配管43の負極タンク41への入口側付近に配置して負極電解液の温度を測定するようにしている。なお、図1に示す例において温度センサ71aは、負極側の下流側配管43に配置しているが、負極タンク41に配置してもよい。さらに、下流側配管43及び負極タンク41の双方に温度センサを配置してもよい。また、本例では、図1に示すように、充電検知手段となる電圧計72aを、上流側配管42における電池セル2の負極セルへの入口側付近に配置して負極電解液の電圧を検知するようにしている。
【0090】
温度センサ71aと電圧計72aも制御手段7に配線にて接続され、温度センサ71aと電圧計72aで検出した結果を電気信号により制御手段7に入力するようにしている。制御手段7では、所望の電解液温度を規定温度として予め設定されており、この規定温度は、充放電反応が促進され反応が活発になり易くなり始める温度、具体的には、25〜45℃の範囲内の所定の温度としている。
【0091】
また、制御手段7は、前記規定温度を呼び出して測定温度と比較し、両温度の大小関係を判定するようになっている。具体的には、測定温度が規定温度以上の場合には混合不要と判定するようにしておく。制御手段7には、負極電解液の温度に応じた下限電圧を満たすことができる混合液量(関係値データ)を予め入力しておく。そして、制御手段7は、測定温度ごとに、関係値データと照らし合わせて、電池セル2の下限電圧を満たす混合液量を求める。
【0092】
本例では、温度センサ71aで測定した負極電解液の温度が規定温度より低い場合には、制御手段7により、供給ポンプ61を駆動させて、供給管51を介して正極タンク31の正極電解液を負極タンク41に供給する。このとき、測定温度に基づいて求められた正極電解液の混合量を混合させて、負極電解液の温度が規定温度以上となるように調整する。
【0093】
形態1に係る上記構成を備えるレドックスフロー電池において、負極電解液の温度の制御手順を具体的に説明する。図2は、形態1に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。この運転方法は、以下の手順で行う。
【0094】
即ち、温度センサ71aにて負極電解液温度A(℃)を測定して、制御手段7に測定結果を伝送し、予め制御手段7に入力されている規定温度X(℃)と測定温度A(℃)とを比較し、測定温度A(℃)が規定温度X(℃)より低い場合に電解液の混合を行う。測定温度A(℃)が規定温度X(℃)以上の場合には電解液を混合しない。
【0095】
電解液を混合する場合、電圧計72aにてセルの電圧a(V)を測定して、制御手段7に測定結果を伝送し、制御手段7に予め記憶させておいたセルの下限電圧未満とならないように、制御手段7に予め記憶させておいた電解液の温度と混合できる液量との関係値データから、測定温度A(℃)における混合量mを求めて、この混合量mに基づき電解液の混合を行う。
【0096】
本例では、供給ポンプ61の駆動により供給管51を介して電解液の混合を行う。この供給ポンプ61の駆動制御は、制御手段7において、予め記憶させておいた混合量ごとのポンプの運転条件からポンプの運転時間を算出し、算出された時間だけ供給ポンプ61を駆動させる。この供給ポンプ61の駆動により、正極タンク31の正極電解液を供給管51を介して負極タンク41に供給し、負極電解液への正極電解液の混合を行う。
【0097】
図3は、形態1に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。本例に示す制御手順は、所望のタイミングで電解液の混合を行う場合である。従って、例えば、運転開始時などの電解液温度の低下が予想される場合、以下の手順により電解液の混合を行うように制御手段に制御プログラムを入力しておく。
【0098】
具体的には、まず、温度センサ71aにより電解液の温度を測定し、温度センサ71aが測定した結果(電気信号)が制御手段7の信号受信部に入力されるようにする(ステップS1)。このとき、制御手段7は、入力された電気信号を温度A(℃)に読み替えて一時的に保存しておく。
【0099】
次に、制御手段7は、保存されている規定温度X(℃)を呼び出し(ステップS2)、測定温度A(℃)と規定温度X(℃)とを比較し、大小関係を判定する(ステップS3)。なお、ステップS2を行うにあたり、所望の電解液温度を設定し、制御手段に入力しておく。設定温度は、本例に示すレドックスフロー電池の場合、25〜45℃の範囲内の所定の温度とすることが好ましい。
【0100】
測定温度A(℃)が規定温度X(℃)以上の場合、制御手段7は、電解液の混合を不要と判定し(ステップS4)、制御を終える。一方、測定温度A(℃)が規定温度X(℃)未満の場合、制御手段7は、電解液の混合を必要と判定し、混合動作を開始する。
【0101】
具体的には、まず、制御手段7に、電圧計72aが測定した結果(電気信号)を入力する(ステップS5)。このとき、制御手段7は、入力された電気信号を電圧a(V)に読み替えて一時的に保存しておく。次に、制御手段7は、測定電圧a(V)を呼び出すとともに(ステップS6)、測定温度A(℃)を呼び出し(ステップS7)、制御手段7に保存されている電解液温度ごとに作成された電解液の混合量の関係値データから、測定温度A(℃)に対応した関係値データを呼び出す(ステップS8)。
【0102】
そして、制御手段7は、呼び出した関係値データを測定温度A(℃)に照らし合わせて、混合量mを決定する(ステップS9)。ステップS9を行うにあたり、正極電解液と負極電解液とを混合した際に設定下限電圧を維持できるように、測定電圧a(V)と測定温度A(℃)とから混合する電解液の液量の関係値データを制御手段に入力しておく。設定下限電圧は、任意に設定するとよく、例えば、非常時に要求される電池容量を維持できる電圧としてもよいし、放電末電圧としてもよい。
【0103】
次に、制御手段7は、決定した混合量mに基づき、混合させるのに必要なポンプの運転時間を算出する(ステップS10)。ステップS10を行うにあたり、混合量ごとに供給ポンプ61の運転条件を設定しておき、制御手段7に予め入力し、制御手段7は、この運転条件データから適切な運転時間を選択するようにしておく。
【0104】
そして、制御手段7は、供給ポンプ61の運転時間に基づき供給ポンプ61の駆動を制御する制御信号を供給ポンプ61に出力する(ステップS11)。この制御信号により、図1に示す供給ポンプ61は、算出された運転時間だけ駆動されて電解液の混合が行われ、算出運転時間経過後に供給ポンプ61の駆動が停止されることで混合動作が終了する。このとき、制御手段は、制御動作を終了する。
【0105】
形態1のレドックスフロー電池では、負極電解液温度に応じた正極電解液の混合量を決定し、この混合量を確実に負極電解液に混合させて、電池として機能するのに十分な容量を維持した状態で電解液の温度の制御を行うため、より効果的な電池容量の増大を図ることができる。
【0106】
(形態2)
上記形態1のレドックスフロー電池は、負極電解液の温度を測定し、電解液温度が規定温度より低い場合には、負極電解液に正極電解液を混合させるようにしたが、形態2では、負極電解液の充電状態を検知して、負極電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、正極電解液を負極電解液に混合させるレドックスフロー電池について説明する。
【0107】
本例は、図1に示す形態1と同じ構成をしており、負極電解液に正極電解液を混合させる制御方法が異なる。同じ構成部分については、説明を省略する。本例では、充電検知手段である電圧計72aで負極セルの充電状態を検知し、制御手段7により、充電検知結果に基づいて、負極電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、正極電解液を負極タンクに流すように供給ポンプ61の駆動制御を行う。
【0108】
制御手段7では、所望の規定充電値が予め設定されており、この規定充電値(規定電圧値)は、例えば、負極セルの充電状態の50%としている。また、制御手段7は、前記規定電圧値を呼び出して測定電圧値と比較し、両電圧値の大小関係を判定するようになっている。具体的には、測定電圧値が規定電圧値以下の場合には混合不要と判定するようにしておく。制御手段7には、負極電解液の充電状態(電圧値)に応じた混合液量(関係値データ)を予め入力しておく。そして、制御手段7は、測定電圧値ごとに、関係値データと照らし合わせて、混合液量を求める。
【0109】
本例では、電圧計72aで測定した負極電解液の電圧値が規定電圧値より高い場合には、制御手段7により、供給ポンプ61を駆動させて、供給管51を介して正極タンク31の正極電解液を負極タンク41の電解液に供給する。このとき、測定電圧値に基づいて求められた正極電解液の混合量を混合させて、負極セルにおける負極電解液の電圧値が規定電圧値以下となるように調整する。
【0110】
形態2に係る上記構成を備えるレドックスフロー電池において、負極電解液の充電状態の制御手順を具体的に説明する。図4は、形態2に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。この運転方法は、以下の手順で行う。
【0111】
即ち、電圧計72aにて負極セルの電圧a(V)を測定して、制御手段7に測定結果を伝送し、予め制御手段7に入力されている規定電圧値Y(V)と測定電圧a(V)とを比較し、測定電圧a(V)が規定電圧Y(V)より高い場合に電解液の混合を行う。測定電圧a(V)が規定電圧Y(V)以下の場合には電解液を混合しない。
【0112】
電解液を混合する場合、電圧計72aにて測定されたセルの電圧a(V)と、制御手段7に予め記憶させておいた負極セルの電圧と混合できる量との関係値データとから、測定電圧a(V)における混合量nを求めて、この混合量nに基づき電解液の混合を行う。
【0113】
本例も、供給ポンプ61の駆動により供給管51を介して電解液の混合を行う。この供給ポンプ61の駆動制御は、制御手段7において、予め記憶させておいた混合量ごとのポンプの運転条件からポンプの運転時間を算出し、算出された時間だけ供給ポンプ61を駆動させる。この供給ポンプ61の駆動により、正極タンク31の正極電解液を供給管51を介して負極タンク41に供給し、負極電解液への正極電解液の混合を行う。
【0114】
図5は、形態2に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。本例に示す制御手順は、所望のタイミングで電解液の混合を行う場合である。例えば、充電開始時に電解液の充電値が高い場合、以下の手順により電解液の混合を行うように制御手段に制御プログラムを入力しておく。
【0115】
具体的には、まず、電圧計72aにより負極セルの充電状態(電圧値)を測定し、測定した結果(電気信号)が制御手段7の信号受信部に入力されるようにする(ステップS1)。このとき、制御手段7は、入力された電気信号を電圧a(V)に読み替えて一時的に保存しておく。
【0116】
次に、制御手段7は、保存されている規定電圧値Y(V)を呼び出し(ステップS2)、測定電圧値a(V)と規定電圧値Y(V)とを比較し、大小関係を判定する(ステップS3)。なお、ステップS2を行うにあたり、所望の電解液の電圧値を設定し、制御手段に入力しておく。規定電圧値は、本例に示すレドックスフロー電池の場合、充電状態が50%超となる電圧値とすることが好ましい。
【0117】
測定電圧値a(V)が規定電圧値Y(V)以下の場合、制御手段7は、電解液の混合を不要と判定し(ステップS4)、制御を終える。一方、測定電圧値a(V)が規定電圧値Y(V)超の場合、制御手段7は、電解液の混合を必要と判定し、混合動作を開始する。
【0118】
具体的には、まず、制御手段7おいて、測定電圧a(V)を呼び出し(ステップS5)、制御手段7に保存されている電解液の電圧ごとに作成された電解液の混合量の関係値データから、測定電圧値a(V)に対応した関係値データを呼び出す(ステップS6)。そして、制御手段7は、呼び出した関係値データを測定電圧値a(V)に照らし合わせて、混合量nを決定する(ステップS7)。
【0119】
次に、制御手段7は、決定した混合量nに基づき、混合させるのに必要なポンプの運転時間を算出する(ステップS8)。ステップS8を行うにあたり、混合量ごとに供給ポンプ61の運転条件を設定しておき、制御手段7に予め入力し、制御手段7は、この運転条件データから適切な運転時間を選択するようにしておく。
【0120】
そして、制御手段7は、供給ポンプ61の運転時間に基づき供給ポンプ61の駆動を制御する制御信号を供給ポンプ61に出力する(ステップS9)。この制御信号により、供給ポンプ61は、算出された運転時間だけ駆動されて電解液の混合が行われ、算出運転時間経過後に供給ポンプ61の駆動が停止されることで混合動作が終了する。このとき、制御手段は、制御動作を終了する。
【0121】
形態2のレドックスフロー電池では、負極セルの充電状態に応じた正極電解液の混合量を決定し、この混合量を確実に負極電解液に混合させて、電池として機能するのに十分な容量を維持した状態で電解液の温度の制御を行うため、より効果的な電池容量の増大を図ることができる。
【0122】
(形態3)
上記形態1および形態2では、正極電解液を負極電解液に混合させるレドックスフロー電池について説明したが、図6の形態3に示すように、負極電解液を正極電解液に混合させるようにしてもよい。図6は、形態3に係るレドックスフロー電池の概略構成図である。図1と同一符号は同一物を示す。このレドックスフロー電池1Bは、基本的構成は図1の形態1に係るレドックスフロー電池1Aと同様であり、供給管の接続構造が異なる。図1と同じ構成部分については、説明を省略する。
【0123】
本例では、負極タンク41の負極電解液を正極タンク31の正極電解液に混合できるように、一端を、負極タンク41の液中に開口し、他端を、正極タンク31の気中に開口する供給管52を備える。さらに、供給管52には、負極タンク41に貯留される負極電解液を正極タンク31内に強制的に供給させる供給ポンプ62を設けている。
【0124】
この構成により、通常運転時は、循環用ポンプ34,44を駆動し、供給ポンプ62の駆動を停止することで、電池セル2にそれぞれのタンク内の電解液を循環させることができる。また、電解液を混合させる時は、循環用ポンプ34,44を停止し、供給ポンプ62を駆動させることにより、負極タンク41から正極タンク31に負極電解液を供給して、電解液の混合を行うことができる。
【0125】
本例では、図6に示すように、温度測定手段となる温度センサ71bを、正極電解液循環路3における下流側配管33の正極タンク31への入口側付近に配置して正極電解液の温度を測定するようにしている。なお、本例において温度センサ71bは、正極側の下流側配管33に配置しているが、正極タンク31に配置してもよい。さらに、下流側配管33及び正極タンク31の双方に温度センサを配置してもよい。
【0126】
また、本例では、図6に示すように、充電検知手段となる電圧計72bを、正極側の上流側配管32における電池セル2の正極セルへの入口側付近に配置して正極電解液の電圧を検知するようにしている。
【0127】
本例も、循環用ポンプ34,44、供給ポンプ62、温度センサ71b、電圧計72bを制御手段7に配線にて接続し、温度センサ71bと電圧計72bで検出した結果を電気信号により制御手段7に入力して、制御手段7からの電気信号により循環用ポンプ34,44、供給ポンプ62が駆動制御される。
【0128】
形態3のレドックスフロー電池の場合も、測定した温度を利用する形態1のように、正極電解液の温度を測定して、正極電解液の温度が規定温度より低い場合に、負極電解液を正極電解液に混合させるようにすることができる。また、形態3のレドックスフロー電池の場合、測定した充電状態を利用する形態2のように、正極電解液(正極セル)の充電状態(電圧値)を測定して、正極電解液の電圧値が規定電圧値より高い場合に、負極電解液を正極電解液に混合させるようにすることもできる。電解液の温度で電解液の混合を制御する場合は、形態1と同様の制御を行い、電解液の充電状態で電解液の混合を制御する場合は、形態2と同様の制御を行う。
【0129】
前記した形態1から形態3では、各タンクに接続される供給管は、1本だけ設けるようにしたが、それぞれのタンクを接続する供給管を2本設けるようにしてもよい。この場合、1本の供給管については、一端を、正極タンクの液中に開口し、他端を、負極タンクの気中に開口し、他の1本の供給管については、一端を、負極タンクの液中に開口し、他端を、正極タンクの気中に開口する。そして、各供給管には、一方のタンクから他方のタンクに電解液を強制的に供給させる供給ポンプを設ける。
【0130】
このように、2本の供給管を設ける構成とする場合には、双方のタンクの電解液の調整が行える。
【0131】
(形態4)
上記形態1から形態3のレドックスフロー電池の構成において、正極タンク内および負極タンク内の電解液の液面よりも低い位置で両タンクを接続する連通管を備えるようにしてもよい。
【0132】
例えば、図7の形態4のレドックスフロー電池について説明すると、本例のレドックスフロー電池1Cは、基本的構成は図1に示すレドックスフロー電池1Aと同様であり、供給管51とは別に連通管81を設けている点が異なる。図1と同じ構成部分については、説明を省略する。
【0133】
本例は、正極タンク31と負極タンク41を連結するように、これらタンクに上下方向同位置で連通管81が接続されている。さらに、この連通管81は、常に各タンクの液中に開口するように接続されている。この連通管81により、正極タンク31内と負極タンク41内とが連通され、各タンク内の液面が同一高さに維持される。
【0134】
このように連通管81を設けることにより、供給管51を介して正極タンク31から負極タンク41に電解液が供給されて負極タンク内の液面が上昇しようとしても、上昇した分を連通管81から正極タンク31に戻して液面調整が行える。
【0135】
本例では、供給管51を介して正極タンク31から負極タンク41に電解液を供給する構成について述べたが、形態3のように、供給管52を介して負極タンク41から正極タンク31に電解液を供給する構成にも適用できる。
【0136】
(形態5)
さらに、上記形態4の連通管を備えるレドックスフロー電池の構成において、この連通管にバルブを設けるようにしてもよい。例えば、図8の形態5のレドックスフロー電池について説明すると、本例のレドックスフロー電池1Dは、図7に示すレドックスフロー電池1Cにおいて、連通管81に連通用バルブ81aを設けている点が異なる。図7と同じ構成部分については、説明を省略する。
【0137】
本例は、連通管81に連通用バルブ81aが設けられており、図示していないが、この連通用バルブ81aを供給ポンプ61を駆動制御する制御手段を用いて、開閉駆動させるようになっている。
【0138】
この連通用バルブ81aは、供給ポンプ61を駆動させて、供給管51を介して正極タンク31から負極タンク41に電解液が供給されるときに、バルブを開いて液面調整を行うように駆動制御される。このように、連通用バルブ81aにより、電解液を混合させるときにのみ液面調整を行うことができるので、自己放電によるロスをできるだけ少なくすることができる。連通用バルブ81aは、制御手段により自動制御するため、電動バルブやエアバルブとする。
【0139】
(形態6)
上記形態1から形態5のレドックスフロー電池では、供給管と供給ポンプを備える構成とすることにより、正極または負極の電解液のうち、供給ポンプを駆動させて、一方の電解液を供給管を介して他方の電解液に混合させるようにした。
【0140】
形態6では、一方の循環路と他方の循環路とを接続する供給管を設け、この供給管に流路を開閉する開閉手段を設けて、各循環路に設ける循環用ポンプを利用することにより、電解液の調整を行うようにした。
【0141】
図9は、形態6に係るレドックスフロー電池の概略構成図である。図1と同一符号は同一物を示す。このレドックスフロー電池1Eは、基本的構成は図1に示すレドックスフロー電池1Aと同様であり、供給管の接続構造と、供給ポンプの代わりに開閉手段が設けられた点が異なる。図1と同じ構成部分については、説明を省略する。
【0142】
本例の供給管53は、図9に示すように、一端を、正極電解液循環路3における下流側配管33に接続し、他端を、負極タンク41の上部に接続して、下流側配管33を流れる正極電解液を負極タンク41の負極電解液に混合できるようにしている。さらに、供給管53には、電動バルブ91が設けられている。
【0143】
本例では、通常運転時は、電動バルブ91を閉じておいて、循環用ポンプ34,44を駆動することにより電池セル2にそれぞれのタンク内の電解液を循環させることができる。また、電解液を混合させる時は、循環用ポンプ34,44を駆動させながら、電動バルブ91を開くことにより、電池セル2にそれぞれのタンク内の電解液を循環させながら、下流側配管33を流れる正極電解液を負極タンク41に供給して、電解液の混合を行うことができる。前記循環用ポンプ34,44と電動バルブ91は、制御手段7に配線にて接続され、制御手段7からの電気信号により駆動制御される。
【0144】
また、本例では、負極電解液の温度に基づいて両極の電解液の混合を行うようにしている。図9に示すように、温度測定手段となる温度センサ71aを、負極電解液循環路4における下流側配管43の負極タンク41への入口側付近に配置して負極電解液の温度を測定するようにしている。なお本例も、温度センサ71aは、負極タンク41に配置してもよいし、下流側配管43及び負極タンク41の双方に温度センサを配置してもよい。また、本例も、図9に示すように、充電検知手段となる電圧計72aを、上流側配管42における電池セル2の負極セルへの入口側付近に配置して負極電解液の電圧を検知するようにしている。
【0145】
温度センサ71aと電圧計72aも制御手段7に配線にて接続され、温度センサ71aと電圧計72aで検出した結果を電気信号により制御手段7に入力するようにしている。制御手段7では、所望の電解液温度を規定温度として予め設定されており、この規定温度は、充放電反応が促進され反応が活発になり易くなり始める温度、具体的には、25〜45℃の範囲内の所定の温度としている。
【0146】
また、制御手段7は、前記規定温度を呼び出して測定温度と比較し、両温度の大小関係を判定するようになっている。具体的には、測定温度が規定温度以上の場合には混合不要と判定するようにしておく。
【0147】
制御手段7には、負極電解液の温度に応じた下限電圧を満たすことができる混合液量(関係値データ)を予め入力しておく。そして、制御手段7は、測定温度ごとに、関係値データと照らし合わせて、電池セル2の下限電圧を満たす混合液量を求める。
【0148】
本例では、温度センサ71aで測定した負極電解液の温度が規定温度より低い場合には、制御手段7により、電動バルブ91を開くように駆動させて、供給管53を介して正極側の下流側配管33を流れる正極電解液を負極タンク41に供給する。このとき、測定温度に基づいて求められた正極電解液の混合量を混合させて、負極電解液の温度が規定温度以上となるように調整する。
【0149】
形態6に係る上記構成を備えるレドックスフロー電池において、負極電解液の温度の制御手順を具体的に説明する。図10は、形態6に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。この運転方法は、以下の手順で行う。
【0150】
即ち、温度センサ71aにて負極電解液温度A(℃)を測定して、制御手段7に測定結果を伝送し、予め制御手段7に入力されている規定温度X(℃)と測定温度A(℃)とを比較し、測定温度A(℃)が規定温度X(℃)より低い場合に電解液の混合を行う。測定温度A(℃)が規定温度X(℃)以上の場合には電解液を混合しない。
【0151】
電解液を混合する場合、電圧計72aにてセルの電圧a(V)を測定して、制御手段7に測定結果を伝送し、制御手段7に予め記憶させておいたセルの下限電圧未満とならないように、制御手段7に予め記憶させておいた電解液の温度と混合できる液量との関係値データから、測定温度A(℃)における混合量mを求めて、この混合量mに基づき電解液の混合を行う。
【0152】
本例では、循環用ポンプ34,44を駆動しながら、電動バルブ91を開くことにより、供給管53を介して電解液の混合を行う。この電動バルブ91の駆動制御は、制御手段7により、予め記憶させておいた混合量ごとの循環用ポンプの運転条件から電動バルブ91の開動作時間を算出し、算出された時間だけ電動バルブ91を開いておくように駆動させる。この電動バルブ91の開動作により、正極側の下流側配管33を流れる正極電解液を供給管53を介して負極タンク41に供給し、負極電解液への正極電解液の混合を行う。
【0153】
図11は、形態6に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。本例に示す制御手順は、所望のタイミングで電解液の混合を行う場合である。従って、例えば、運転開始時などの電解液温度の低下が予想される場合、以下の手順により電解液の混合を行うように制御手段に制御プログラムを入力しておく。
【0154】
具体的には、まず、温度センサ71aにより電解液の温度を測定し、温度センサ71aが測定した結果(電気信号)が制御手段7の信号受信部に入力されるようにする(ステップS1)。このとき、制御手段7は、入力された電気信号を温度A(℃)に読み替えて一時的に保存しておく。
【0155】
次に、制御手段7は、保存されている規定温度X(℃)を呼び出し(ステップS2)、測定温度A(℃)と規定温度X(℃)とを比較し、大小関係を判定する(ステップS3)。なお、ステップS2を行うにあたり、所望の電解液温度を設定し、制御手段に入力しておく。設定温度は、本例に示すレドックスフロー電池の場合、25〜45℃の範囲内の所定の温度とすることが好ましい。
【0156】
測定温度A(℃)が規定温度X(℃)以上の場合、制御手段7は、電解液の混合を不要と判定し(ステップS4)、制御を終える。一方、測定温度A(℃)が規定温度X(℃)未満の場合、制御手段7は、電解液の混合を必要と判定し、混合動作を開始する。
【0157】
具体的には、まず、制御手段7に、電圧計72aが測定した結果(電気信号)を入力する(ステップS5)。このとき、制御手段7は、入力された電気信号を電圧a(V)に読み替えて一時的に保存しておく。次に、制御手段7は、測定電圧a(V)を呼び出すとともに(ステップS6)、測定温度A(℃)を呼び出し(ステップS7)、制御手段7に保存されている電解液温度ごとに作成された電解液の混合量の関係値データから、測定温度A(℃)に対応した関係値データを呼び出す(ステップS8)。
【0158】
そして、制御手段7は、呼び出した関係値データを測定温度A(℃)に照らし合わせて、混合量mを決定する(ステップS9)。ステップS9を行うにあたり、正極電解液と負極電解液とを混合した際に設定下限電圧を維持できるように、測定電圧a(V)と測定温度A(℃)とから混合する電解液の液量の関係値データを制御手段に入力しておく。設定下限電圧は、任意に設定するとよく、例えば、非常時に要求される電池容量を維持できる電圧としてもよいし、放電末電圧としてもよい。
【0159】
次に、制御手段7は、決定した混合量mと循環用ポンプのポンプ量とに基づき、混合させるのに必要な電動バルブ91の開動作時間を算出する(ステップS10)。ステップS10を行うにあたり、混合量ごとに電動バルブ91の開動作時間を設定しておき、制御手段7に予め入力し、制御手段7は、この開動作条件データから適切な動作時間を選択するようにしておく。
【0160】
そして、制御手段7は、電動バルブ91の動作を制御する制御信号を電動バルブ91に出力する(ステップS11)。この制御信号により、電動バルブ91は、算出された駆動時間だけ開動作されて電解液の混合が行われ、算出駆動時間経過後に電動バルブ91が閉鎖されることで混合動作が終了する。このとき、制御手段は、制御動作を終了する。
【0161】
形態6のレドックスフロー電池も、負極電解液温度に応じた正極電解液の混合量を決定し、この混合量を確実に負極電解液に混合させて、電池として機能するのに十分な容量を維持した状態で電解液の温度の制御を行うため、より効果的な電池容量の増大を図ることができる。
【0162】
(形態7)
上記形態6のレドックスフロー電池は、負極電解液の温度を測定し、電解液温度が規定温度より低い場合には、負極電解液に正極電解液を混合させるようにした。形態7では、負極電解液の充電状態を検知して、負極電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、正極電解液を負極電解液に混合させるレドックスフロー電池としている。
【0163】
本例は、図9に示す形態6と同じ構成をしており、負極電解液に正極電解液を混合させる制御方法が異なる。図6と同じ構成部分については、説明を省略する。本例では、充電検知手段である電圧計72aで負極セルの充電状態を検知し、制御手段7により、充電検知結果に基づいて、負極電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、正極電解液を負極タンクに流すように電動バルブ91の駆動制御を行う。
【0164】
制御手段7では、所望の規定充電値が予め設定されており、この規定充電値(規定電圧値)は、例えば、負極セルの充電状態の50%としている。また、制御手段7は、前記規定電圧値を呼び出して測定電圧値と比較し、両電圧値の大小関係を判定するようになっている。具体的には、測定電圧値が規定電圧値以下の場合には混合不要と判定するようにしておく。
【0165】
制御手段7には、負極電解液の充電状態(電圧値)に応じた混合液量(関係値データ)を予め入力しておく。そして、制御手段7は、測定電圧値ごとに、関係値データと照らし合わせて、混合液量を求める。
【0166】
本例では、電圧計72aで測定した負極電解液の電圧値が規定電圧値より高い場合には、制御手段7により、電動バルブ91を開くように駆動させて、供給管53を介して正極側の下流側配管33の正極電解液を負極タンク41に供給する。このとき、測定電圧値に基づいて求められた正極電解液の混合量を混合させて、負極セルにおける負極電解液の電圧値が規定電圧値以下となるように調整する。
【0167】
形態7に係る上記構成を備えるレドックスフロー電池において、負極電解液の充電状態の制御手順を具体的に説明する。図12は、形態7に係るレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。この運転方法は、以下の手順で行う。
【0168】
即ち、電圧計72aにて負極セルの電圧a(V)を測定して、制御手段7に測定結果を伝送し、予め制御手段7に入力されている規定電圧値Y(V)と測定電圧a(V)とを比較し、測定電圧a(V)が規定電圧Y(V)より高い場合に電解液の混合を行う。測定電圧a(V)が規定電圧Y(V)以下の場合には電解液を混合しない。
【0169】
電解液を混合する場合、電圧計72aにて測定されたセルの電圧a(V)と、制御手段7に予め記憶させておいた負極セルの電圧と混合できる量との関係値データとから、測定電圧a(V)における混合量nを求めて、この混合量nに基づき電解液の混合を行う。
【0170】
本例も、電動バルブ91の開動作により供給管53を介して電解液の混合を行う。この電動バルブ91の駆動制御は、制御手段7において、予め記憶させておいた混合量ごとに、循環用ポンプのポンプ量に基づいて電動バルブ91の開放時間を算出し、算出された時間だけ電動バルブ91を開く。この電動バルブ91の開放駆動により、正極側の下流側配管33を流れる正極電解液を供給管53を介して負極タンク41に供給し、負極電解液への正極電解液の混合を行う。
【0171】
図13は、形態7に係るレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。本例に示す制御手順は、所望のタイミングで電解液の混合を行う場合である。例えば、充電開始時に電解液の充電値が高い場合、以下の手順により電解液の混合を行うように制御手段に制御プログラムを入力しておく。
【0172】
具体的には、まず、電圧計72aにより負極セルの充電状態(電圧値)を測定し、測定した結果(電気信号)が制御手段7の信号受信部に入力されるようにする(ステップS1)。このとき、制御手段7は、入力された電気信号を電圧a(V)に読み替えて一時的に保存しておく。
【0173】
次に、制御手段7は、保存されている規定電圧値Y(V)を呼び出し(ステップS2)、測定電圧値a(V)と規定電圧値Y(V)とを比較し、大小関係を判定する(ステップS3)。なお、ステップS2を行うにあたり、所望の電解液の電圧値を設定し、制御手段に入力しておく。規定電圧値は、本例に示すレドックスフロー電池の場合、充電状態が50%超となる電圧値とすることが好ましい。
【0174】
測定電圧値a(V)が規定電圧値Y(V)以下の場合、制御手段7は、電解液の混合を不要と判定し(ステップS4)、制御を終える。一方、測定電圧値a(V)が規定電圧値Y(V)超の場合、制御手段7は、電解液の混合を必要と判定し、混合動作を開始する。
【0175】
具体的には、まず、制御手段7おいて、測定電圧a(V)を呼び出し(ステップS5)、制御手段7に保存されている電解液の電圧ごとに作成された電解液の混合量の関係値データから、測定電圧値a(V)に対応した関係値データを呼び出す(ステップS6)。そして、制御手段7は、呼び出した関係値データを測定電圧値a(V)に照らし合わせて、混合量nを決定する(ステップS7)。
【0176】
次に、制御手段7は、決定した混合量nと循環用ポンプのポンプ量に基づき、電動バルブ91の開放時間を算出する(ステップS8)。ステップS8を行うにあたり、混合量ごとに電動バルブ91の開放時間を設定しておき、制御手段7に予め入力し、制御手段7は、この開放時間のデータから適切な時間を選択するようにしておく。
【0177】
そして、制御手段7は、電動バルブ91の駆動を制御する制御信号を電動バルブ91に出力する(ステップS9)。この制御信号により、電動バルブ91は、算出された開放時間だけ開き、電解液の混合が行われ、算出時間経過後に電動バルブ91を閉じることで混合動作が終了する。このとき、制御手段は、制御動作を終了する。
【0178】
形態7のレドックスフロー電池では、負極セルの充電状態に応じた正極電解液の混合量を決定し、この混合量を確実に負極電解液に混合させて、電池として機能するのに十分な容量を維持した状態で電解液の温度の制御を行うため、より効果的な電池容量の増大を図ることができる。
【0179】
(形態8)
上記形態6および形態7では、正極電解液を負極電解液に混合させるレドックスフロー電池について説明したが、図14の形態8に示すように、負極電解液を正極電解液に混合させるようにしてもよい。図14は、形態8に係るレドックスフロー電池の概略構成図である。図1および図9と同一符号は同一物を示す。このレドックスフロー電池1Fは、基本的構成は図1および図9に示すレドックスフロー電池と同様であり、供給管の接続構造が異なる。図1および図9と同じ構成部分については、説明を省略する。
【0180】
本例では、負極側の下流側配管43を流れる負極電解液を正極タンク31の正極電解液に混合できるように、供給管54の一端を、負極電解液循環路4における下流側配管43に接続し、他端を、正極タンク31の上部に接続して下流側配管43を流れる負極電解液を正極タンク31の正極電解液に混合できるようにしている。さらに、供給管54には、電動バルブ92が設けられている。
【0181】
この構成により、通常運転時は、循環用ポンプ34,44を駆動し、電動バルブ92を閉じることで、電池セル2にそれぞれのタンク内の電解液を循環させることができる。また、電解液を混合させる時は、負極側の循環用ポンプ44を駆動しながら、電動バルブ92を開くように駆動させることにより、負極側の下流側配管43から正極タンク31に負極電解液を供給して、電解液の混合を行うことができる。
【0182】
本例では、図14に示すように、温度測定手段となる温度センサ71bを、正極電解液循環路3における下流側配管33の正極タンク31への入口側付近に配置して正極電解液の温度を測定するようにしている。なお、温度センサ71bは、正極タンク31に配置してもよいし、下流側配管33及び正極タンク31の双方に配置してもよい。また、本例では、図14に示すように、充電検知手段となる電圧計72bを、正極側の上流側配管32における電池セル2の正極セルへの入口側付近に配置して正極電解液の電圧を検知するようにしている。
【0183】
本例も、循環用ポンプ34,44、電動バルブ92、温度センサ71b、電圧計72bを制御手段7に配線にて接続し、温度センサ71bと電圧計72bで検出した結果を電気信号により制御手段7に入力して、制御手段7からの電気信号により循環用ポンプ34,44、電動バルブ92が駆動制御される。
【0184】
形態8のレドックスフロー電池の場合も、測定した温度を利用する形態6のように、正極電解液の温度を測定して、正極電解液の温度が規定温度より低い場合に、負極電解液を正極電解液に混合させるようにすることができる。また、形態8のレドックスフロー電池の場合、測定した充電状態を利用する形態7のように、正極電解液(正極セル)の充電状態(電圧値)を測定して、正極電解液の電圧値が規定電圧値より高い場合に、負極電解液を正極電解液に混合させるようにすることもできる。電解液の温度で電解液の混合を制御する場合は、形態6と同様の制御を行い、電解液の充電状態で電解液の混合を制御する場合は、形態7と同様の制御を行う。
【0185】
(形態9)
前記した形態6から形態8のレドックスフロー電池では、正極側電解液循環路と負極側電解液循環路とを接続する供給管は、1本だけ設けるようにしたが、供給管を2本設けるようにしてもよい。
【0186】
この場合、図15に示す形態9のレドックスフロー電池1Gのように、1本の供給管53については、一端を、正極電解液循環路3における下流側配管33に接続し、他端を、負極タンク41の上部に接続し、他の1本の供給管54については、一端を、負極電解液循環路4における下流側配管43に接続し、他端を、正極タンク31の上部に接続する。そして、各供給管53,54には、電動バルブ91,92を設ける。このように、2本の供給管53,54を設ける構成とする場合には、双方のタンクの電解液の調整が行える。
【0187】
(形態10)
前記した形態6から形態9のレドックスフロー電池では、正極側電解液循環路と負極側電解液循環路とを接続する供給管は、一端を、一方の電解液循環路における下流側配管に接続し、他端を、他方の電解液循環路におけるタンクの上部に接続したが、図16の形態10に示すようにしてもよい。
【0188】
図16の形態10のレドックスフロー電池1Hは、供給管を、一端が、一方の循環路における電池セルの上流側配管に接続し、他端を、他方の循環路における電池セルの下流側配管に接続する構成となっている。
【0189】
本例では、2本の供給管55,56を用いており、1本の供給管55については、一端を、正極電解液循環路3における上流側配管32に接続し、他端を、負極電解液循環路4における下流側配管43に接続している。また、他の1本の供給管56については、一端を、負極電解液循環路4における上流側配管42に接続し、他端を、正極電解液循環路3における下流側配管33に接続している。
【0190】
なお、本例のレドックスフロー電池1Hは、図1と同一符号は同一物を示し、基本的構成は図1に示すレドックスフロー電池と同様であり、供給管の接続構造が異なる。図1と同じ構成部分については、説明を省略する。
【0191】
本例によれば、電池セルを流れる電解液は流路抵抗が大きいが、電池セルに供給される前の流路抵抗の少ない上流側配管から他方の電解液循環路に電解液を送ることができるので、循環用ポンプの負担を少なくできる。
【0192】
形態10のレドックスフロー電池も、電解液の温度で電解液の混合を制御する場合は、形態6と同様の制御を行い、電解液の充電状態で電解液の混合を制御する場合は、形態7と同様の制御を行う。形態10のレドックスフロー電池は、例えば、正極電解液の温度を測定して、正極電解液の温度が規定温度より低い場合に、負極電解液を正極電解液に混合させるようにすることができる。また、形態10のレドックスフロー電池は、例えば、正極電解液(正極セル)の充電状態(電圧値)を測定して、正極電解液の電圧値が規定電圧値より高い場合に、負極電解液を正極電解液に混合させるようにすることもできる。
【0193】
なお、図16に示す形態10では、2本の供給管55,56を設けたが、正極側から負極側に電解液を供給する供給管だけを設けるようにすることもできるし、負極側から正極側に電解液を供給する供給管だけを設けることもできる。
【0194】
(形態11)
上記形態6から形態10のレドックスフロー電池の構成において、正極タンク内および負極タンク内の電解液の液面よりも低い位置で両タンクを接続する連通管を備えるようにしてもよい。
【0195】
例えば、図17の形態11のレドックスフロー電池について説明すると、本例のレドックスフロー電池1Jは、基本的構成は図9に示すレドックスフロー電池と同様であり、供給管とは別に連通管を設けている点が異なる。図9と同じ構成部分については、説明を省略する。
【0196】
本例は、正極タンク31と負極タンク41を連結するように、各タンクに上下方向同位置で連通管82が接続されている。さらに、この連通管82は、常に各タンクの液中に開口するように接続されている。この連通管82により、正極タンク31内と負極タンク41内とが連通され、各タンク内の液面が同一高さに維持される。
【0197】
このように連通管82を設けることにより、供給管53を介して正極側からから負極タンク41に電解液が供給されて負極タンク内の液面が上昇しようとしても、上昇した分を連通管82から正極タンク31に戻して液面調整が行える。本例では、供給管53を介して正極側から負極側に電解液を供給する構成について述べたが、供給管を介して負極側から正極側に電解液を供給する構成にも適用できる。
【0198】
(形態12)
さらに、上記形態11の連通管を備えるレドックスフロー電池の構成において、この連通管にバルブを設けるようにしてもよい。例えば、図18の形態12のレドックスフロー電池について説明すると、本例のレドックスフロー電池1Kは、図17に示すレドックスフロー電池において、連通管に連通用バルブを設けている点が異なる。図17と同じ構成部分については、説明を省略する。
【0199】
本例は、連通管82に連通用バルブ82aが設けられており、図示していないが、この連通用バルブ82aは電動バルブ91を駆動制御する制御手段を用いて、開閉駆動させるようになっている。
【0200】
この連通用バルブ82aは、電動バルブ91を開いて供給管53を介して正極側から負極側に電解液が供給されるときに、バルブを開いて液面調整を行うように駆動制御される。このように、連通用バルブ82aにより、電解液を混合させるときにのみ液面調整を行うことができるので、自己放電によるロスをできるだけ少なくすることができる。連通用バルブ82aは、制御手段により自動制御するため、電動バルブやエアバルブとする。
【0201】
(形態13)
上記各形態では、電池モジュールを一つ備えるレドックスフロー電池について説明したが、本例では、電池モジュールを二つ備えるシステムについて説明する。図19は、電池モジュールを二つ備えるレドックスフロー電池の概略構成図である。各モジュールについては、図15の形態9と同一構造をしており、同一符号は同一物を示し、同一物については説明を省略する。
【0202】
このレドックスフロー電池1Lは、各モジュールについての基本的構成は図15に示すレドックスフロー電池と同様であり、電池モジュールを二つ直列に備える点が異なるだけである。本例では、図15に示す電池モジュールと同様の構成の電池モジュールA及び電池モジュールBを用いており、各モジュールにはそれぞれ、電池セル2と、正極タンク31を含む正極電解液循環路3と、負極タンク41を含む負極電解液循環路4とを備える。
【0203】
さらに、各モジュールは、2本の供給管53,54を備え、それぞれの供給管53,54には、電動バルブ91,92が設けられている。これら電動バルブ91,92は、制御手段7に配線にて接続され、制御手段7からの電気信号により開閉動作が制御される。
【0204】
各モジュールの電池セル2には、正極セルと負極セルの充電状態を測定するための電圧計72a,72bが設けられている。これら電圧計72a,72bも制御手段7に配線にて接続され、電圧計72a,72bから制御手段7の信号受信部に測定結果が電気信号として入力される。
【0205】
各モジュールは、電動バルブ91,92を閉じている間は、循環用ポンプ34,44を駆動させて各タンクから電池セル2に電解液を供給する。また、電動バルブ91,92を開くことにより、供給管53,54を介して正負極の一方の電解液を他方の電解液に混合する。
【0206】
上記構成を備えるレドックスフロー電池において、モジュール間の充電状態のばらつきを制御する手順を具体的に説明する。図20は、本例にかかるレドックスフロー電池の運転方法の機能ブロック図である。この運転方法は、以下の手順で行う。即ち、各モジュールにおいてそれぞれ、電圧計にて各モジュールの正極セルと負極セルの電圧値を測定し、これら電圧値を制御手段に伝送し、これらの電圧値から各モジュールの充電状態A(%)、B(%)を求める演算を行うとともに、モジュール間の充電状態を比較する演算を行う。
【0207】
この充電状態を比較したときに、充電状態が等しいか否かを判定し、等しくない場合において、モジュールAの充電状態がモジュールBより小さい場合には、モジュールBにおいて電解液の混合を行い、モジュールBの充電状態がモジュールAより小さい場合には、モジュールAにおいて電解液の混合を行う。また、充電状態が等しい場合には、電解液を混合しない。
【0208】
電解液の混合を行う場合、該当するモジュールに以下の手順で電解液の混合を行わせる。まず、電圧計にてセルの電圧a(V)を測定して、制御手段に測定結果を伝送する。制御手段では、予め記憶させておいたセル電圧に対する混合液量との関係値データから、測定電圧a(V)に基づいて他のモジュールの充電状態に一致させることができる電解液の混合量nを求め、この混合量nに基づき電解液の混合を行う。
【0209】
なお、制御手段には、電池セルの充電状態に対して混合する液量ごとの混合後の充電状態(関係値データ)を予め入力しておく。そして、制御手段は、測定電圧値から得られた充電状態ごとに、関係値データと照らし合わせて混合量を求める。この混合量は、充電状態が他のモジュールの充電状態と同じとなるように求める。
【0210】
本例も、電動バルブの開動作により供給管を介して電解液の混合を行う。この電動バルブの駆動制御は、制御手段において求めた混合量を混合できるように、循環用ポンプのポンプ量に基づいて電動バルブの開放時間を算出し、算出された時間だけ電動バルブを開く。この電動バルブの開放駆動により、一方の循環路の下流側配管を流れる電解液を供給管を介して他方の循環路に供給して電解液の混合を行う。
【0211】
図21および図22は、電池モジュールを複数備えるレドックスフロー電池の運転方法の制御手順を示すフローチャートである。本例に示す制御手順は、所望のタイミングで、モジュール間の電解液の充電状態のばらつきを制御する場合である。
【0212】
まず、図21に示すように、各電圧計にてモジュール毎の正極セルと負極セルの電解液の電圧値を測定し、測定した結果(電気信号)が制御手段に入力される(ステップS20)。このとき、制御手段は、入力された各電気信号をそれぞれ電圧値に読み替えて一時的に保存しておく。
【0213】
次に、制御手段において、測定した電圧値に基づいてモジュールA,Bの充電状態A(%),B(%)を演算し(ステップS21)、モジュールA,B間の充電状態を比較する(ステップS22)。そして、制御手段は、モジュールA,Bの充電状態が等しいか否かを判定する(ステップS23)。
【0214】
モジュールA,Bの充電状態が等しい場合には、制御手段は、いずれのモジュールについても電解液の混合を不要と判定し(ステップS24)、制御を終える。一方、モジュールA,Bの充電状態が異なる場合には、制御手段は、いずれかのモジュールにおいて電解液の混合を必要と判定し、いずれのモジュールかを判定する。具体的には、モジュールAの電圧値がモジュールBの電圧値よりも小さいか否かを判定する(ステップS25)。モジュールAの電圧値がモジュールBの電圧値よりも小さい場合には、モジュールBについて混合動作を開始する(ステップS26)。一方、モジュールAの電圧値がモジュールBの電圧値より小さくない場合には、モジュールAについて混合動作を開始する(ステップS27)。
【0215】
図22は、混合動作の手順を示すフローチャートである。混合動作を行う場合、まず、制御手段は、電圧計により電池セル(正極セルと負極セル)の充電状態(電圧値)を測定し、測定した結果(電気信号)が制御手段の信号受信部に入力されるようにする(ステップS31)。このとき、制御手段は、入力された電気信号を電圧a(V)に読み替えて一時的に保存しておく。
【0216】
次に、制御手段は、測定電圧a(V)を呼び出し(ステップS32)、制御手段に保存されている電解液の電圧に対する混合量の関係値データから、測定電圧値a(V)に対応した関係値データを呼び出す(ステップS33)。そして、制御手段は、呼び出した関係値データを測定電圧値a(V)に照らし合わせて、混合量nを決定する(ステップS34)。
【0217】
次に、制御手段は、決定した混合量nと循環用ポンプのポンプ量に基づき、電動バルブの開放時間を算出する(ステップS35)。ステップS35を行うにあたり、混合量ごとに電動バルブの開放時間を設定しておき、制御手段に予め入力し、制御手段は、この開放時間のデータから適切な時間を選択するようにしておく。
【0218】
そして、制御手段は、電動バルブの駆動を制御する制御信号を電動バルブに出力する(ステップS36)。この制御信号により、電動バルブは、算出された開放時間だけ開いて電解液の混合が行われ、算出時間経過後に電動バルブを閉じることで混合動作が終了する。このとき、制御手段は、制御動作を終了する。
【0219】
上記構成を備えるレドックスフロー電池は、電池モジュール間において電解液の充電状態のばらつきを抑制することができるので、電池全体として電池効率を向上させることができる。なお、前記した複数のモジュールを備える形態では、2つのモジュールを備えるものについて説明したが、3つ以上のモジュールを備えるものに対しても本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0220】
本発明は、負荷平準化や瞬低対策などとして利用されているレドックスフロー電池の運転に利用することが好適である。
【符号の説明】
【0221】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1L レドックスフロー電池
2 電池セル
3 正極電解液循環路
31 正極タンク 32 上流側配管 33 下流側配管
34 循環用ポンプ
4 負極電解液循環路
41 負極タンク 42 上流側配管 43 下流側配管
44 循環用ポンプ
51,52,53,54,55,56 供給管
61,62 供給ポンプ
7 制御手段
71a,71b 温度センサ(温度測定手段)
72a,72b 電圧計(充電検知手段)
81,82 連通管 81a,82a 連通用バルブ
91,92 電動バルブ
100 セル 100A 正極セル 100B 負極セル
101 隔膜 102 正極電極 103 負極電極
104A 正極タンク 104B 負極タンク
105A,105B ポンプ 106A,106B 導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電解液及び負極電解液が供給される電池セルと、正極電解液が貯留される正極タンクと、負極電解液が貯留される負極タンクと、正極電解液を電池セルに循環供給する正極電解液循環路と、負極電解液を電池セルに循環供給する負極電解液循環路とを備えるレドックスフロー電池であって、
一端を、一方のタンクの液中に開口し、他端を、他方のタンクの気中に開口する供給管と、
供給管に設けられ、一方のタンクに貯留される電解液を他方のタンクに強制的に供給させる供給ポンプとを備えたことを特徴とするレドックスフロー電池。
【請求項2】
他方のタンク側の電解液温度を測定する温度測定手段と、検出した電解液温度が規定温度より低い場合には、一方のタンクの電解液を他方側に流すように前記供給ポンプの駆動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池。
【請求項3】
他方のタンク側電解液の充電状態を検知する充電検知手段と、充電検知手段で検知した他方のタンク側電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、一方のタンクの電解液を他方側に流すように前記供給ポンプを駆動させるように制御する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池。
【請求項4】
各タンク内の電解液の液面よりも低い位置で両タンクを接続する連通管を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
【請求項5】
電池セルと、正極タンクと、負極タンクと、正極電解液を電池セルに循環供給する正極電解液循環路と、負極電解液を電池セルに循環供給する負極電解液循環路と、各循環路に設ける循環用ポンプとを備える複数のモジュールを直列に接続し、
それぞれのモジュールに、
一端を、一方の循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続し、他端を、他方の循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続する供給管と、
供給管に設けられ、一方の循環路から他方の循環路への電解液の流入量を規制する規制手段と、
各モジュールの充電状態を検知する充電検知手段と、
充電検知手段による検知結果に基づいて、各モジュールの充電状態を均一に調整するように前記規制手段の駆動を制御する制御手段とを備えることを特徴とするレドックスフロー電池。
【請求項6】
レドックスフロー電池の運転方法であって、
電池は、
正極電解液及び負極電解液が供給される電池セルと、正極電解液が貯留される正極タンクと、負極電解液が貯留される負極タンクと、正極電解液を電池セルに循環供給する正極電解液循環路と、負極電解液を電池セルに循環供給する負極電解液循環路と、一端を、一方のタンクの液中に開口し、他端を、他方のタンクの上部に開口する供給管と、供給管に設けられ、一方のタンクに貯留される電解液を他方のタンクに強制的に供給させる供給ポンプとを備え、
他方のタンク側の電解液温度を温度測定手段で測定し、その測定結果が規定温度より低い場合には、前記供給ポンプを駆動して、一方のタンクの電解液を他方のタンクの電解液に混合させて、他方のタンクの電解液温度が規定温度以上となるように調整することを特徴とするレドックスフロー電池の運転方法。
【請求項7】
レドックスフロー電池の運転方法であって、
電池は、
正極電解液及び負極電解液が供給される電池セルと、正極電解液が貯留される正極タンクと、負極電解液が貯留される負極タンクと、正極電解液を電池セルに循環供給する正極電解液循環路と、負極電解液を電池セルに循環供給する負極電解液循環路と、一端を、一方のタンクの液中に開口し、他端を、他方のタンクの上部に開口する供給管と、供給管に設けられ、一方のタンクに貯留される電解液を他方のタンクに強制的に供給させる供給ポンプとを備え、
他方のタンク側電解液の充電状態を充電検知手段で検知し、他方のタンク側電解液の充電値が規定充電値より高い場合には、前記供給ポンプを駆動して、一方のタンクの電解液を他方のタンクの電解液に混合させて、他方のタンクの電解液の充電値を低下させるように調整することを特徴とするレドックスフロー電池の運転方法。
【請求項8】
前記供給ポンプは、駆動時から所定時間経過後に駆動を停止するように制御していることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のレドックスフロー電池の運転方法。
【請求項9】
電池セルと、正極タンクと、負極タンクとを有するモジュールを複数直列に接続し、各モジュールは、一端を、一方の循環路における循環用ポンプの下流側から電池セルを介したタンクまでの間に接続し、他端を、他方の循環路における電池セルの下流側からタンクまでの間に接続する供給管と、供給管に設けられ、一方の循環路から他方の循環路への流入量を規制する規制手段とを備えるレドックスフロー電池の運転方法であって、
各モジュールの充電状態を充電検知手段で検知し、その検知結果に基づいて、何れかのモジュールの充電状態が他のモジュールの充電状態より高い場合には、充電状態の高いモジュールにおける前記規制手段を駆動して、一方の循環路の電解液を他方の循環路の電解液に混合させて、全てのモジュールの充電状態を均一にするように調整することを特徴とするレドックスフロー電池の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−119283(P2011−119283A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59741(P2011−59741)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【分割の表示】特願2004−336722(P2004−336722)の分割
【原出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】