説明

レニンの活性に依存する疾患に有用なピロリジン誘導体

新規な3,4−ジ−、3,3,4−ジ−、3,4,4−トリ−および3,3,4,4−テトラ−置換ピロリジン化合物、温血動物の診断的および治療的処置に用いるための、とりわけレニンの不適当な活性に依存する疾患(=障害)の処置のためのこれらの化合物;レニンの不適当な活性に依存する疾患の処置用医薬製剤の製造のための、かかるクラスの化合物の使用;レニンの不適当な活性に依存する疾患の処置におけるかかるクラスの化合物の使用;前記置換ピロリジン化合物を含む医薬製剤、および/または前記置換ピロリジン化合物を投与することを含む処置方法、前記置換ピロリジン化合物の製造方法、ならびに新規な中間体およびそれらの合成のための部分的工程を記載する。置換ピロリジン化合物はとりわけ、式(I)
【化1】


〔式中、置換基は本明細書に記載されている〕
のものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(3,4−ジ−、3,3,4−トリ−、3,4,4−トリ−もしくは3,3,4,4−テトラ−)置換ピロリジン化合物、温血動物の診断的および治療的処置に用いるための、とりわけレニンの活性に依存する疾患(=障害)の処置のためのこれらの化合物;レニンの活性に依存する疾患の処置用医薬製剤の製造のための、かかるクラスの化合物の使用;レニンの活性に依存する疾患の処置におけるかかるクラスの化合物の使用;前記置換ピロリジン化合物を含む医薬製剤、および/または前記置換ピロリジン化合物を投与することを含む処置方法、前記置換ピロリジン化合物の製造方法、ならびに新規な中間体およびそれらの合成のための部分的工程に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明はとりわけ、式(I)
【化1】

〔式中、
は置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
は水素、アルコキシ、アルキル、ヒドロキシまたはハロゲンであり;
は水素またはアルキルであり;
は水素、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
XはCHまたはOであり;
Yは−(CO)−、−S(O)−または−C(O)O−であり;そして
Arは置換もしくは非置換単環もしくは二環式アリールまたは置換もしくは非置換単環もしくは二環式芳香族性ヘテロシクリルである〕
の化合物またはその塩を提供する。
【0003】
本発明の化合物は、天然酵素レニンに対する阻害活性を示す。したがって、式(I)の化合物は、とりわけ、高血圧、アテローム性動脈硬化症、不安定性冠症候群、鬱血性心不全、心臓肥大、心臓線維症、梗塞後心筋障害、不安定性冠症候群、拡張機能障害、慢性腎疾患、肝線維症、糖尿病の合併症、例えば網膜症、血管障害およびニューロパシー、冠状血管の疾患、血管形成後再狭窄、上昇した眼内圧、緑内障、異常な血管増殖、高アルドステロン症、認識機能障害、アルツハイマー病、認知症、不安状態および認識障害から選択される1個以上の障害または疾患の処置(この用語は予防も含む)に使用することができる。
【0004】
本発明の化合物、ならびにそれらの使用および合成、出発物質および中間体等を説明するために用いた様々な用語の定義を以下に列挙する。これらの定義は、本明細書において用いる1個、1個以上または全ての一般的表現または記号を置換して本発明の好ましい態様を得ることによって、個別にまたはより大きな群の一部として特定の例に限定されていない限り、好ましくはそれらが明細書に用いられている用語に適用される。
【0005】
「低級」または「C−C−」なる用語は、最大7個以下、とりわけ最大4個以下の炭素原子を有する基と定義され、当該基は分枝鎖(1回以上)または直鎖であり、そして末端もしくは非末端炭素を介して結合している。低級またはC−C−アルキルは、例えばn−ペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチル、あるいは好ましくはC−C−アルキル、とりわけメチル、エチル、n−プロピル、sec−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
【0006】
ハロまたはハロゲンは、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、最も好ましくはフルオロ、クロロまたはブロモである。明示的または黙示的に異なることが記載されていない限り、ハロは、アルキル、アルカノイル等のような基における(例えばトリフルオロメチル、トリフルオロアセチルの)1個以上のハロゲン置換基も意味する。
【0007】
置換もしくは非置換アリールは好ましくは、6から22個の炭素原子を有する単環もしくは多環式、とりわけ単環式、二環式、三環式アリール、とりわけフェニル、ナフチル、インデニルまたはフルオレニルであり、非置換であるか、または下記群から選択される1個以上、とりわけ1から3個の基で置換されている:
− 式−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−H
−アルキレンは結合アルキレンの代わりに結合が存在することを意味し、
rおよびsは互いに独立して0または1であり、XおよびYは存在するとき、互いに独立して−O−、−NV−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−NV−CO−;−CO−NV−;−NV−SO−、−SO−NV;−NV−CO−NV−、−NV−CO−O−、−O−CO−NV−、−NV−SO−NV−(ここで、Vは水素またはとりわけC−C−アルキルから選択される下記定義の置換もしくは非置換アルキルであるか、またはフェニル、ナフチル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルおよびハロ−C−C−アルキルである)である〕
の置換基;ここで、当該置換基−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−Hは好ましくは、C−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルもしくはtert−ブチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、例えば3−メトキシプロピルもしくは2−メトキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、例えばアミノメチル、(N−)モノ−もしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−O−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−CO−NH−C−C−アルキル;C−C−アルキル−NH−SO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−Cアルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、モノ− ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、N−モノ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−カルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシカルボニル、アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、(N−)モノ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイル、またはN−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノスルホニルである;
【0008】
− C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、フェニル、ナフチル、ヘテロシクリル、とりわけヘテロシクリルについて下記定義のとおり、好ましくはピロリル、フラニル、チエニル、ピリミジン−2,4−ジオン−1−、−3−もしくは−5−イルおよびベンゾ[1,3]−ジオキソリルから選択されるヘテロシクリル、フェニル−もしくはナフチル−もしくはヘテロシクリル−C−C−アルキル(ここで、ヘテロシクリルは下記定義のとおりであり、好ましくはピロリル、フラニル、チエニルおよびベンゾ[1,3]−ジオキソリルから選択される);例えばベンジルもしくはナフチルメチル、ハロ−C−C−アルキル、例えばトリフルオロメチル、フェニルオキシ−もしくはナフチルオキシ−C−C−アルキル、フェニル−C−C−アルコキシ−もしくはナフチル−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ジ−(ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、ベンゾイル−もしくはナフトイルアミノ−C−C−アルキル、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ−C−C−アルキル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、フェニル−C−C−アルコキシ(ここで、フェニルは非置換であるか、またはC−C−アルコキシおよび/またはハロで置換されている)、ハロ−C−C−アルコキシ、例えばトリフルオロメトキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、ベンゾイル−もしくはナフトイルオキシ、ハロ−C−C−アルキルチオ、例えばトリフルオロメチルチオ、フェニル−もしくはナフチルチオ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルチオ、ベンゾイル−もしくはナフトイルチオ、ニトロ、アミノ、ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、ベンゾイル−もしくはナフトイルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシル、C−C−アルキル−カルボニル、ハロ−C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、アミノ−C−C−アルキルカルボニル、(N−)モノ−もしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキルカルボニル、ハロ−C−C−アルコキシカルボニル、フェニル−もしくはナフチルオキシカルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノもしくはN,N−ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−)−アミノカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノカルボニル、シアノ、C−C−アルキレン(これは非置換であるか、または4個までのC−C−アルキル置換基で置換されており、アリール基の隣接する2個の環原子に結合している)、C−C−アルケニレンもしくは−アルキニレン(これはアリール基の隣接する2個の環原子と結合している)、スルフェニル、スルフィニル、C−C−アルキルスルフィニル、フェニル−もしくはナフチルスルフィニル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルフィニル、スルホニル、C−C−アルキルスルホニル、ハロ−C−C−アルキルスルホニル、ヒドロキシ−C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルスルホニル、アミノ−C−C−アルキルスルホニル、(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキルスルホニル、フェニル−もしくはナフチルスルホニル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニル、スルファモイルおよびN−モノもしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル、フェニル−、ナフチル、フェニル−C−C−アルキルおよび/またはナフチル−C−C−アルキル)−アミノスルホニル。
【0009】
置換もしくは非置換ヘテロシクリルは、好ましくは3から22個(より好ましくは3から14個)の環原子を有し、そして1個以上、好ましくは1から4個の、窒素(=N−、−NH−もしくは置換−NH−)、酸素、硫黄(−S−、S(=O)−もしくはS−(=O)−)から独立して選択されるヘテロ原子を有する、単環もしくは二環式、不飽和、部分飽和もしくは飽和環系(これは、非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの、好ましくはアリールについて上記の置換基およびオキソから独立して選択される)である。好ましくは、置換もしくは非置換ヘテロシクリルは下記群
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

(各場合において、NHが存在するとき、Hは各ヘテロシクリル部分と残りの分子を結合しているアスタリスクを有する結合で置換されていてもよく、および/またはHは置換基で置換されていてもよく、そして1個以上の置換基は記載のとおり存在し得る)
から選択される。
【0010】
置換もしくは非置換シクロアルキルは、単環もしくは多環式、より好ましくは単環式、C−C10−シクロアルキルであり、これは1個以上の二重(例えばシクロアルケニルにおいて)および/または三重結合(例えばシクロアルキニルにおいて)を含んでいてもよく、そして非置換であるか、または1個以上、例えば1から3個の、好ましくはアリールについて上記の置換基で置換されている。
【0011】
置換もしくは非置換アルキルは、直鎖または分枝鎖(1回または適当なとき、それ以上)C−C20−アルキル、より好ましくはC−C−アルキル{これは非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの上記置換もしくは非置換アリール、とりわけフェニルまたはナフチル(これは非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの上記置換もしくは非置換アリールから選択される基で置換されており、とりわけフェニルまたはナフチルは各々非置換であるか、または置換もしくは非置換アリールについて上記のとおり置換されている)で置換されている}、上記置換もしくは非置換ヘテロシクリル、とりわけピロリル、フラニル、チエニル、ピリミジン−2,4−ジオン−1−、−2−、−3−もしくは−5−イルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリル(これらは各々非置換であるか、または置換もしくは非置換ヘテロシクリルについて上記のとおり置換されている);上記置換もしくは非置換シクロアルキル、とりわけシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル(これらは各々非置換であるか、または置換もしくは非置換シクロアルキルについて上記のとおり置換されている);C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ハロ−C−C−アルコキシ、例えばトリフルオロメトキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ベンゾイル−もしくはナフトイルオキシ、C−C−アルキルチオ、ハロ−C−C−アルコチオ、例えばトリフルオロメチルチオ、ヒドロキシ−C−C−アルキルチオ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルチオ、フェニル−もしくはナフチルチオ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルチオ、C−C−アルカノイルチオ、ベンゾイル−もしくはナフトイルチオ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキルおよび/またはC−C−アルコキシ−C−C−アルキル)−アミノ、モノ−もしくはジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、ベンゾイル−もしくはナフトイルアミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシル、C−C−アルキル−カルボニル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチルオキシカルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノカルボニル、シアノ、C−C−アルケニレンもしくは−アルキニレン、C−C−アルキレンジオキシ、スルフェニル、(−S−OH)スルホニル(−S(=O)−OH)、C−C−アルキルスルフィニル(C−C−アルキル−S(=O)−)、フェニル−もしくはナフチルスルフィニル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルフィニル、スルホニル、C−C−アルキルスルホニル、フェニル−もしくはナフチルスルホニル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニル、スルファモイル、N−モノもしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル、フェニル−、ナフチル、フェニル−C−C−アルキルまたはナフチル−C−C−アルキル)−アミノスルホニル、N−モノ−、N’−モノ−、N,N−ジ−もしくはN,N,N’−トリ−(C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキルおよび/またはC−C−アルコキシ−C−C−アルキル)−アミノカルボニルアミノおよびN−モノ−、N’−モノ−、N,N−ジ−もしくはN,N,N’−トリ−(C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキルおよび/またはC−C−アルコキシ−C−C−アルキル)アミノスルホニルアミノである。置換もしくは非置換ヘテロシクリル−アルキル、置換もしくは非置換アリール−アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキル−アルキル−基が置換基として記載されているとき、置換もしくは非置換アルキルの定義は、置換もしくは非置換ヘテロシクリルに加えて、アリールまたはシクロアルキルは、アルキル置換基として少なくとも1個のさらなる異なる基(とりわけこの段落に記載のものから)を含む基に関する。
【0012】
置換もしくは非置換アルキルスルホニルにおいて、置換もしくは非置換アルキルは好ましくは、置換もしくは非置換アルキルについて上記定義のとおりである。
【0013】
置換もしくは非置換アリールスルホニルにおいて、置換もしくは非置換アリールは好ましくは、置換もしくは非置換アリールについて上記定義のとおりである。
【0014】
置換もしくは非置換ヘテロシクリルスルホニルにおいて、置換もしくは非置換ヘテロシクリルは好ましくは、置換もしくは非置換ヘテロシクリルについて上記定義のとおりである。
【0015】
置換もしくは非置換シクロアルキルスルホニルにおいて、置換もしくは非置換シクロアルキルは好ましくは、置換もしくは非置換シクロアルキルについて上記のとおりである。
【0016】
本明細書において、低級基および化合物は、例えば7個以下の炭素原子、好ましくは4個以下の炭素原子を有するものであると理解される。
【0017】
上記定義の全てにおいて、当業者が過度の実験または考察なしに認識し得る安定な化合物(例えば、医薬の製造に十分安定であり、例えば30秒以上の半減期を有するもの)のみが重要であり、したがって好ましくは本発明の特許請求の範囲に含まれ、そして化学的に適切な結合および置換、ならびに存在するとき、互変異性型が含まれることは言うまでもない。
【0018】
塩は、とりわけ式(I)の化合物の薬学的に許容される塩である。それらは、少なくとも部分的に、例えば4から10のpH範囲で水性溶液中に存在し得るか、または固体形態で単離され得る塩形成基、例えば塩基性または酸性基が存在するとき形成され得る。
【0019】
かかる塩は、例えば酸付加塩として、好ましくは有機酸もしくは無機酸で、塩基性窒素原子(例えばイミノまたはアミノ)を有する式(I)の化合物、とりわけその薬学的に許容される塩から形成させる。好適な無機酸は、例えばハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸である。好適な有機酸は、例えばカルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、またはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アミノ酸、例えばグルタミン酸もしくはアスパラギン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、安息香酸、メタン−もしくはエタン−スルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−もしくはN−プロピル−スルファミン酸、または他の有機プロトン酸、例えばアスコルビン酸である。
【0020】
負に荷電した基、例えばカルボキシまたはスルホが存在するとき、塩、例えば金属塩またはアンモニウム塩、例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩、またはアンモニアもしくは適当な有機アミン、例えば3級モノアミン、例えばトリエチルアミンもしくはトリ(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはヘテロ環式塩基、例えばN−エチル−ピペリジンもしくはN,N’−ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩を、塩基と形成することができる。
【0021】
同一分子に塩基性基および酸性基が存在するとき、式(I)の化合物は分子内塩を形成してもよい。
【0022】
単離または精製目的のために、薬学的に許容されない塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩を用いることも可能である。治療的使用のためには、薬学的に許容される塩または遊離化合物のみを用い(適当なとき、医薬製剤に含まれる)、したがってこれらが好ましい。
【0023】
例えば化合物または塩の精製または同定における中間体として使用され得るものを含む、遊離形およびそれらの塩形の化合物の密接な関係に鑑みて、本明細書における「化合物」および「中間体」、とりわけ式(I)の化合物についてのあらゆる言及は、その塩の1個以上、または遊離化合物とその1個以上の塩の混合物にも言及しているものと理解され、これらは各々、溶媒和物、代謝前駆体、例えば式(I)の化合物のエステルまたはアミド、またはこれらのいずれか1個以上の塩を、適当かつ便宜であるとき、明示的に異なることが記載されていない限り、含むことを意図する。異なる結晶形が得られることもあり、これらも含まれる。
【0024】
複数形を化合物、塩、医薬製剤、疾患、障害等について用いるとき、これは1個(好ましい)または1個以上の化合物、塩、医薬製剤、疾患、障害等を意味することを意図しており、単数形または不定冠詞(“a”、“an”)を用いるとき、これは複数形または好ましくは単数形を含むことを意味する。
【0025】
本発明の化合物は、置換基の選択に応じて2個以上の不斉中心を有する。好ましいC−3およびC−4不斉中心の絶対立体配置は、本明細書および特許請求の範囲を通じて維持される。しかし、あらゆる可能なジアステレオマー、エナンチオマーおよび幾何異性体、ならびにそれらの混合物、例えばラセミ体が本発明に含まれる。
【0026】
上記のとおり、本発明は式(I)の3,4−ジ置換ピロリジン誘導体、温血動物、とりわけヒトにおける疾患(=状態、障害)の、好ましくは(とりわけ不適当な)レニン活性に依存する疾患の(予防的および/または治療的)処置に用いるためのこれらの化合物、式(I)の化合物を含む医薬組成物、当該化合物または医薬製剤の製造方法、ならびに(とりわけ不適当な)レニン活性に依存する状態を処置する方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物またはその医薬組成物を投与することによる方法を提供する。
【0027】
「不適当な」レニン活性は、好ましくは、レニンが、ある種の状況(後記)で高すぎるレニン活性を示す、および/または例えばレニン活性によって本明細書に記載のレニン依存疾患もしくは障害を導くかまたはそれを助長する、その減少がある疾患に有利な効果を有する、温血動物、とりわけヒトの状態に関する。ここで、上記の「ある種の状態」は、例えば、脱制御、過剰発現、例えば遺伝子増幅もしくは染色体転移または異常遺伝子を発現するウイルスのような微生物による感染、例えば誤った基質特異性を導く異常活性、例えば正常な量で生産される超活性レニン、レニン活性生成物除去経路の低すぎる活性、高い基質濃度、血圧上昇を導く他のメカニズムのような相対的に高すぎるレニン活性を生み出す他の環境のための1種以上によって導かれる状況である。かかる不適当なレニン活性は、例えば正常よりも高い活性、またはさらに、正常な活性もしくは正常範囲よりも低いが、以前の、平衡したもしくは後のプロセス、例えばシグナル伝達、他のプロセスに対する制御効果、高い基質もしくは生成物濃度等のため、疾患または障害を直接的に導くかまたは間接的に支持する活性、および/またはあらゆる他の方法における疾患または障害の発生および/または存在を支持する活性を含み得る。不適当なレニンの活性は、障害または疾患を支持する平衡した他の機構に依存するかまたはせず、および/または予防または治療効果はレニンの阻害に加えて他の機構を含んでいても、含まなくともよい。したがって、「依存」は、「とりわけ依存」(とりわけ疾患または状態が実際にレニンのみに排他的に依存している場合)、好ましくは「主に依存」、より好ましくは「本質的に〜のみに依存」と理解される。
【0028】
不適当なレニンの活性に依存する疾患または障害が記載されるとき(例えば下記段落「使用」の定義において)、およびとりわけ式(I)の化合物が診断的または治療的処置、好ましくは不適当なレニンの活性に依存する疾患または障害の処置に用いるために言及されているとき、これは好ましくは、不適当な天然レニンの活性および/または1種以上の変化もしくは変異形態(その対立遺伝子または1核多形を含む)に依存するいずれか1種以上の疾患または障害を意味する。
【0029】
「使用」なる用語が(式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用またはその使用方法に関して)本明細書において(動詞または名詞として)言及されているとき、適当かつ便宜であるとき、異なることが記載されていない限り、これは(異なると示されておらず、または文脈において異なると理解されない限り)本発明の下記態様のいずれか1個以上をそれぞれ含む(異なると記載されていない限り):(とりわけ不適当な)レニンの活性に依存する疾患または障害の処置における使用、(とりわけ不適当な)レニンの活性に依存する疾患または障害の処置用医薬組成物の製造のための使用;(とりわけ不適当な)レニンの活性に依存する疾患または障害の処置における1種以上の式(I)の化合物の使用方法;(とりわけ不適当な)レニンの活性に依存する疾患または障害の処置のための、1種以上の式(I)の化合物を含む医薬製剤;および温血動物、とりわけヒトにおける疾患または障害、好ましくは(とりわけ不適当な)レニンの活性に依存する疾患の処置に用いるための1種以上の式(I)の化合物。
【0030】
「処置する」、「処置」または「療法」なる用語は、前記疾患または障害、とりわけ本明細書に記載の1種以上の疾患または障害の、予防的(例えば疾患または障害の発生の遅延または予防)または好ましくは治療的(限定されないが、予防、発症および/または進行の遅延、緩和、治癒、症状軽減、症状減少、患者状態の改善、レニン調節および/またはレニン阻害を含む)処置を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の好ましい態様
下記本発明の好ましい態様の群は排他的と見なすべきでなく、むしろ例えばより具体的な定義で一般的な表現または記号を置き換えるために、化合物群の一部を、適当に上記定義を用い、または排除して交換または入れ替えることができる。
【0032】
下記立体配置
【化7】

を有する式(IA)の化合物が極めて好ましい。
【0033】
下記立体配置
【化8】

を有する式(IB)の化合物が好ましい。
【0034】
下記立体配置
【化9】

を有する式(IC)の化合物が好ましい。
【0035】
下記立体配置
【化10】

を有する式(ID)の化合物が好ましい。
【0036】
下記立体配置
【化11】

を有する式(IE)の化合物が好ましい。
【0037】
下記立体配置
【化12】

を有する式(IF)の化合物が最も好ましい。
【0038】
式IA、IB、IC、ID、IEおよびIFの各々について、基R、R、R、R、R、X、YおよびArは上記または好ましくは後記定義のとおりである。
【0039】
式(I)の化合物(その塩を含む)に本明細書において言及するとき常に、式IA、IB、IC、ID、IEまたはIFが式(I)に置き換わることができ;または対応する中間体が好ましい。
【0040】
下記式(I)の基および記号の好ましい態様を、互いに独立して用いてより一般的な定義と置き換えることができ、したがって本発明のとりわけ好ましい態様を定義し、残りの定義を本明細書に定義の態様に定義のとおり広いままとすることができる。
【0041】
R1の好ましい定義
R1は好ましくは置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキルであり、好適な置換基にはO−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換、好ましくは置換フェニル、置換もしくは非置換、好ましくは置換ナフチル、置換もしくは非置換、好ましくは置換フェニル−もしくはナフチルオキシ、置換もしくは非置換、好ましくは置換フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、置換もしくは非置換、好ましくは置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換、好ましくは非置換シクロアルキル、ニトロ、アミノ、アミノ−C−C−アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−置換アミノカルボニル、カルボキシルおよびシアノが含まれる。より好ましくは、R1は非置換である。
【0042】
1つの態様において、R1は好ましくはC−C−アルキル、より好ましくはC−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル、最も好ましくはイソプロピルである。
【0043】
他の好ましい態様において、R1は好ましくはC−C10−シクロアルキル、より好ましくはC−C−シクロアルキル、より好ましくはC−、C−、C−もしくはC−シクロアルキル、最も好ましくはシクロプロピルである。
【0044】
最も好ましくは、R1はイソプロピルである。
【0045】
R2の好ましい定義
R2は好ましくは水素、ヒドロキシまたはハロゲン、より好ましくは水素またはヒドロキシル、最も好ましくは水素である。
【0046】
R3の好ましい定義
R3は好ましくは水素である。
【0047】
R2およびR3の1個は水素以外、例えばアルキル、ヒドロキシまたはハロゲン、好ましくはヒドロキシルであり、他方は好ましくは水素である。
【0048】
R4の好ましい定義
R4は好ましくは水素、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキルであり、好適な置換基にはO−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換、好ましくは置換フェニル、置換もしくは非置換、好ましくは置換ナフチル、置換もしくは非置換、好ましくは置換フェニル−もしくはナフチルオキシ、置換もしくは非置換、好ましくは置換フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、置換もしくは非置換、好ましくは置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換、好ましくは非置換シクロアルキル、ニトロ、アミノ、アミノ−C−C−アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−置換アミノカルボニル、カルボキシル、およびシアノが含まれる。より好ましくはR4は非置換である。
【0049】
1つの態様において、R4は好ましくは水素である。
【0050】
他の態様において、R4は好ましくはC−C−アルキル、より好ましくはC−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル、最も好ましくはメチルまたはイソプロピルである。
【0051】
他の好ましい態様において、R4は好ましくはC−C10−シクロアルキル、より好ましくはC−C−シクロアルキル、より好ましくはC−、C−、C−もしくはC−シクロアルキル、最も好ましくはシクロプロピルである。
【0052】
最も好ましくは、R4は水素である。
【0053】
YおよびR5の好ましい定義
1つの態様において、Yは好ましくは−S(O)−である。
【0054】
他の態様において、Yは好ましくは−C(O)O−である。
【0055】
R5は好ましくは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、非置換もしくは置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり、各々非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの下記群から選択される置換基で置換されている:
ハロ、フェニルまたはナフチル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキル−スルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)スルファモイルおよびシアノ。
【0056】
第1の態様において、R5は好ましくは置換もしくは非置換アルキルである。
【0057】
アルキルの好ましい例は、分枝鎖または直鎖C−C−アルキルであり、これは置換されているかまたは非置換であり得る。好ましい例には、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、より好ましくはメチル、エチル、イソプロピルまたはイソブチル、最も好ましくはメチルが含まれる。アルキル基は好ましくは置換されている。アルキル基が置換されているとき、これは好ましくは、モノ−、ジ−もしくはトリ−置換、より好ましくはモノ置換である。アルキル基の好適な置換基は、本明細書に定義のとおりであり、好ましくはハロ、フェニルまたはナフチル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキル−スルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)カルバモイルおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)スルファモイル;およびシアノ;より好ましくはハロ、フェニルまたはナフチル、少なくとも1個のO、NまたはSを含む5−10員単環もしくは二環式ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、およびシアノ;最も好ましくはフェニルまたはテトラヒドロピラニルである。フェニルおよびナフチルが置換基として言及されているとき、これらは置換され(モノ−、ジ−もしくはトリ−置換、好ましくはモノ置換)ていても、または非置換、好ましくは非置換であってもよい。好適なフェニル、ナフチルまたはヘテロシクリルの置換基には、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、カルボキシ−C−C−アルコキシ、アミノ−C−C−アルコキシ、N−C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシ、カルバモイル−C−C−アルキル、カルバモイル−C−C−アルコキシ、N−C−C−アルキルカルバモイル−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルオキシ−C−C−アルカノイル、C−C−アルコキシ−C−C−アルカノイル、カルボキシル、カルバモイルおよびN−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイルが含まれる。アルキルの置換基としてのヘテロシクリル基は好ましくは、第2の態様について下記のものと同じ好ましい意味を有する。
【0058】
第2の態様において、R5は好ましくは置換もしくは非置換ヘテロシクリルである。
【0059】
ヘテロシクリル基は好ましくは、単環もしくは二環式、より好ましくは二環式である。芳香環系または部分飽和環系が好ましく、とりわけ1個の環が芳香族性であり、他方が飽和または部分飽和、最も好ましくは飽和である。ヘテロシクリル基は好ましくは1、2または3、より好ましくは1または2、最も好ましくは2個のO、NまたはS、より好ましくはOまたはNから選択されるヘテロ原子を有する。環系は好ましくはオキソ基を含む。とりわけ好ましい例には、好ましくは窒素原子を含む5−10員単環もしくは二環式ヘテロシクリル、例えば二環式9または10員環、とりわけキノリル、イソキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−ベンゾオキサジニル、2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オニル、3,4−ジヒドロ−1H−キノリン−2−オニル、または4H−ベンゾ[1,4]チアジン−3−オニル;インドリル、1H−インダゾリル、ベンゾチオフェニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジルまたは3H−ベンゾオキサゾール−2−オニル;またはOもしくはN原子を含む5もしくは6員単環式環、例えばテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、フラニル、ピラニル、ピペリジニル、ピロリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピペラジニル、モルホリニル、ピリミジニルまたはピリジニル(ここで、各ヘテロシクリルは非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、カルボキシ−C−C−アルコキシ、アミノ−C−C−アルコキシ、N−C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシ、カルバモイル−C−C−アルキル、カルバモイル−C−C−アルコキシ、N−C−C−アルキルカルバモイル−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルオキシ−C−C−アルカノイル、C−C−アルコキシ−C−C−アルカノイル、カルボキシル、カルバモイルおよびN−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイル、より好ましくはC−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、カルバモイル−C−C−アルキル、N−C−C−アルキルカルバモイル−C−C−アルキル、N−C−C−ハロアルキルカルバモイル−C−C−アルキル、とりわけメチル、ペンチル、メトキシ−プロピル、メトキシ−ブチル、エトキシ−エチル、ヒドロキシ−ブチル、メトキシプロピルオキシ、F、CH−C(O)−NH−CHCH、NH−CO−CHCHCH、N(CHCH)−CO−CH、N(CHCF)−CO−CHから成る群から選択される置換基で独立して置換されている。ヘテロシクリル基は好ましくは、存在するときN上で置換されている。最も好ましくは、ヘテロシクリルは非置換である。
【0060】
第3の態様において、R5は好ましくは置換もしくは非置換アリールである。
【0061】
アリールの好ましい例は、フェニルまたはナフチル、より好ましくはフェニルを含む。アリール基が置換されているとき、これは好ましくはモノ−もしくはジ−置換されている。最も好ましくはアリールはジ−置換されている。好適な置換基は本明細書に定義のとおりであり、好ましくはC−C−アルキル、−O−C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、−O−ハロ−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、アミノ−C−C−アルキル、カルボキシル、シアノ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル−アミノ、N−C−C−アルカノイル−N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル−アミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、アミノ−C−C−アルコキシ、N−C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシ、カルバモイル−C−C−アルキル、N−C−C−アルキルカルバモイル−C−C−アルキル、N−C−C−ハロアルキルカルバモイル−C−C−アルキル、カルバモイル−C−C−アルコキシ、N−C−C−アルキルカルバモイル−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルオキシ−C−C−アルカノイル、C−C−アルコキシ−C−C−アルカノイル、カルバモイルおよびN−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイル、より好ましくはC−C−アルキル、−O−C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル−アミノ、N−C−C−アルカノイル−N− C−C−アルコキシ−C−C−アルキル−アミノ、とりわけメチル、O−メチル、Cl、Br、CN、メトキシプロピルオキシ、N(メトキシプロピル)−アミノ、N(アセチル)−アミノおよびN(メトキシプロピル)(アセチル)−アミノである。
【0062】
第4の態様において、R5は好ましくは置換もしくは非置換シクロアルキルである。
【0063】
シクロアルキルの好ましい例には、C−C10−シクロアルキル、より好ましくはC−C−シクロアルキル、より好ましくはC−、C−、C−もしくはC−シクロアルキルが含まれる。シクロアルキル基が置換されているとき、これは好ましくはモノ−もしくはジ−置換されている。最も好ましくはシクロアルキルは非置換である。好適な置換基は本明細書に定義のとおりであり、好ましくはC−C−アルキル、−O−C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、−O−ハロ−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、アミノ−C−C−アルキル、カルボキシル、シアノ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル−アミノ、N−C−C−アルカノイル−N− C−C−アルコキシ−C−C−アルキル−アミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、アミノ−C−C−アルコキシ、N−C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシ、カルバモイル−C−C−アルキル、N−C−C−アルキルカルバモイル−C−C−アルキル、N−C−C−ハロアルキルカルバモイル−C−C−アルキル、カルバモイル−C−C−アルコキシ、N−C−C−アルキルカルバモイル−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルオキシ−C−C−アルカノイル、C−C−アルコキシ−C−C−アルカノイル、カルバモイルおよびN−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイル、より好ましくはC−C−アルキル、−O−C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル−アミノ、N−C−C−アルカノイル−N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル−アミノ、とりわけメチル、O−メチル、Cl、Br、CN、メトキシプロピルオキシ、N(メトキシプロピル)−アミノ、N(アセチル)−アミノ、およびN(メトキシプロピル)(アセチル)−アミノである。
【0064】
第1および第2の態様、とりわけ第1の態様がとりわけ好ましい。
1つの好ましい態様において、R5は、非置換であるかまたは下記群から選択される1個以上、例えば3個までの置換基で置換されたC−C−アルキルである:
ハロ、フェニルまたはナフチル、O、NまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5−10員単環もしくは二環式ヘテロシクリル;ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキル−スルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)スルファモイルおよびシアノ。最も好ましくは、R5は非置換であるか、またはフェニルまたはテトラヒドロピラニルから成る群から選択される1個以上、例えば3個までの置換基で置換されたメチルである。
【0065】
他の好ましい態様において、R5は非置換であるか、または下記群から選択される1個以上、例えば3個までの置換基で置換されたヘテロシクリルである:ハロ、フェニルまたはナフチル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキル−スルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)スルファモイルおよびシアノ。最も好ましくは、R5はテトラヒドロピラニルである。
【0066】
好ましい態様において、Yは−(SO)−であり、R5は本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、好ましくはベンジルである。
【0067】
好ましい態様において、Yは−(C=O)O−であり、R5は本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、好ましくはベンジルまたはCH−テトラヒドロピラニルである。
【0068】
好ましい態様において、Yは−(C=O)O−であり、R5は本明細書に定義の置換もしくは非置換ヘテロシクリル、好ましくはテトラヒドロピラニルである。
【0069】
Xの好ましい定義
好ましい態様において、XはCHである。
【0070】
Arの好ましい定義
Arは好ましくは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換単環もしくは二環式芳香族性ヘテロシクリルであり、好適な置換基は、式−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−H
〔式中、C−アルキレンは結合アルキレンの代わりに結合が存在することを意味し、
rおよびsは互いに独立して0または1であり、XおよびYは存在するとき、互いに独立して−O−、−NV−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−NV−CO−;−CO−NV−;−NV−SO−、−SO−NV;−NV−CO−NV−、−NV−CO−O−、−O−CO−NV−、−NV−SO−NV−(ここで、Vは水素またはとりわけC−C−アルキルから選択される下記定義の置換もしくは非置換アルキルであるか、またはフェニル、ナフチル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルおよびハロ−C−C−アルキルである)である〕
の置換基から選択され;ここで、当該置換基−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−Hは好ましくは、C−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルもしくはtert−ブチル;ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、例えば3−メトキシプロピルまたは2−メトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、例えばアミノメチル、(N−)モノ−もしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−O−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−SO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−Cアルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、モノ− ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、N−モノ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−カルボニル、ハロ−C−C−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシカルボニル、アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、(N−)モノ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイルおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノスルホニルである。
【0071】
より好ましくは、Arはフェニル、ナフチル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、キノリニル、好ましくはフェニルまたはインドリル(ここで、各々非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの下記群から選択される置換基で置換されている)である:式−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−H
〔式中、C−アルキレンは結合アルキレンの代わりに結合が存在することを意味し、
rおよびsは互いに独立して0または1であり、XおよびYは存在するとき、互いに独立して−O−、−NV−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−NV−CO−;−CO−NV−;−NV−SO−、−SO−NV;−NV−CO−NV−、−NV−CO−O−、−O−CO−NV−、−NV−SO−NV−(ここで、Vは水素またはとりわけC−C−アルキルから選択される下記定義の置換もしくは非置換アルキルであるか、またはフェニル、ナフチル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルおよびハロ−C−C−アルキルである)である〕
の置換基;ここで、当該置換基−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−Hは好ましくは、C−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルもしくはtert−ブチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、例えば3−メトキシプロピルまたは2−メトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、例えばアミノメチル、(N−)モノ−もしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−O−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−SO−NH−C−C−アルキル;C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−Cアルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、モノ− ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、N−モノ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−カルボニル、ハロ−C−C−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシカルボニル、アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、(N−)モノ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイルおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノスルホニルである。
【0072】
第1の態様において、Arは置換もしくは非置換アリールである。
【0073】
アリール基の好ましい例は、フェニルおよびナフチル、より好ましくはフェニルである。アリール基が置換されているとき、これは好ましくはモノ−もしくはジ−置換されている。ナフチルは好ましくは、モノ置換されており、フェニルは好ましくはモノ−もしくはジ−置換、より好ましくはジ−置換されている。好適なアリール基の置換基は、下記定義のとおりである:
− 好ましくは式−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−H
〔式中、C−アルキレンは結合アルキレンの代わりに結合が存在することを意味し、
rおよびsは互いに独立して0または1であり、XおよびYは存在するとき、互いに独立して−O−、−NV−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−NV−CO−;−CO−NV−;−NV−SO−、−SO−NV;−NV−CO−NV−、−NV−CO−O−、−O−CO−NV−、−NV−SO−NV−(ここで、Vは水素またはとりわけC−C−アルキルから選択される下記定義の置換もしくは非置換アルキルであるか、またはフェニル、ナフチル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルおよびハロ−C−C−アルキルである)である〕
の置換基;ここで、当該置換基−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−Hは好ましくは、C−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルもしくはtert−ブチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、例えば3−メトキシプロピルもしくは2−メトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、例えばアミノメチル、(N−)モノ−もしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−O−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−SO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−Cアルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、モノ− ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、N−モノ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−カルボニル、ハロ−C−C−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシカルボニル、アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、(N−)モノ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイルまたはN−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノスルホニル;より好ましくは、−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−H(式中、rおよびsは0または1であり、そしてYおよびXは独立してO、NHまたはNH−CO−O−である)、ハロ−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、ニトロ、アミノ、アミノ−C−C−アルキル、カルボキシルおよびシアノである。−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−Hの好ましい例には、−(OもしくはNH)−C−C−アルキル、−C−C−アルキル、−(OもしくはNH)−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−C−C−アルキル、−(OもしくはNH)−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−H、−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−C−C−アルキル、−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−C−C−アルキル、または−C−C−アルキレン−NH−CO−O−C−C−アルキル;最も好ましくは−OMe、−OCOMe、−NH−ブチル、メチル、エチル、−C−NH−CO−OMe、−CHOCOMe、−OCOC、−OCOH、−COMe、−COMeおよび−NH−COMeが含まれる。
【0074】
最も好ましくは、アリール基は非置換であるか、またはOMeおよび/または−OCOMeで置換されている。
【0075】
第2の態様において、Arは置換もしくは非置換単環もしくは二環式芳香族性ヘテロシクリルである。
【0076】
ヘテロシクリル基は好ましくは、1、2または3、より好ましくは1または2個の、O、NまたはS、より好ましくはOまたはNから選択されるヘテロ原子を有する。とりわけ好ましい例には、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾフラニル、キノリニル、より好ましくはインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、キノリニル、最も好ましくはインドリルが含まれる。ヘテロシクリル基が置換されているとき、これは好ましくはモノ置換されている。ヘテロシクリル基の好適な置換基は、本明細書に定義のとおりであり、好ましくは−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−H(式中、rおよびsは0または1であり、そしてYおよびXは独立してO、NHまたはNH−CO−O−である)、ハロ−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、ニトロ、アミノ、アミノ−C−C−アルキル、カルボキシル、およびシアノである。−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−Hの好ましい例には、−(OもしくはNH)−C−C−アルキル、−C−C−アルキル、−(OもしくはNH)−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−C−C−アルキル、−(OもしくはNH)−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−H、−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−C−C−アルキル、−C−C−アルキレン−(OもしくはNH)−C−C−アルキル、または−C−C−アルキレン−NH−CO−O−C−C−アルキル;より好ましくは−OMe、−OCOMe、−NH−ブチル、メチル、エチル、−C−NH−CO−OMe、−CHOCOMe、−OCOC、−OCOH、−COMe、−COMeおよび−NH−COMe、より好ましくは−NH−プロピル、−COMeおよび−COMeである。
【0077】
最も好ましくは、ヘテロシクリル基は非置換であるか、またはMe、−COMeもしくは−COMeで置換されている。
【0078】
とりわけ好ましいArは、
【化13】

の基である。
【0079】
本発明の、とりわけ式(I)の化合物および/またはその塩の具体的な態様は、実施例に記載されている − したがって本発明は、極めて好ましい態様において、実施例に記載の化合物から選択される式(I)の化合物またはその塩、ならびにそれらの使用に関する。
【0080】
製造方法
式(I)の化合物またはその塩を、他の化合物について当業者に既知の原則における方法と同様に、すなわち新規な式(I)の化合物について当該方法は新規であり、少なくとも類似の方法、とりわけ本明細書の説明的実施例に記載の方法と同様または類似の方法で、またはその変更によって、好ましくは一般に下記方法によって製造する:
A) i)式II
【化14】

〔式中、R、R、R、XおよびArは本明細書において式(I)の化合物について定義のとおりであり、PGは保護基である〕
の酸をジフェニルリンアジドと、塩基、トリ−低級アルキルシリルエタノールの存在下で反応させて、式(III)
【化15】

〔式中、R、R、R、X、ArおよびPGは式(II)の化合物について定義のとおりであり、AlkはC1−4−アルキルである〕
の対応する保護アミノ化合物を得る工程;
【0081】
ii)続いてトリ−低級アルキルシリルエトキシ基を除去して、式IV
【化16】

〔式中、R、R、R、X、ArおよびPGは式(II)の化合物について定義のとおりである〕
のアミノ化合物を得る工程;
iii)式(IV)の化合物を式(V)
R5−Y−Z (V)
〔式中、RおよびYは本明細書において式(I)の化合物について与えられた意味を有し、Zは脱離基である〕
の化合物と反応させて、式(VII)
【化17】

〔式中、R、R、R、R、X、Y、ArおよびPGは式(II)または(V)の化合物それぞれについて定義のとおりである〕
の化合物を得る工程;および
iv)保護基PGを除去して、対応する式(I)(式中、R、R、R、R、X、YおよびArは請求項1〜17のいずれかに定義のとおりである)の化合物を得る工程;または
【0082】
B) i)式(VIII)
【化18】

〔式中、R、R、R、Yは本明細書において式(I)の化合物について定義のとおりであり、PGは保護基である〕
の化合物を酸化して式(IX)
【化19】

〔式中、R、R、R、YおよびPGは本明細書において定義のとおりである〕
の化合物を得る工程;
ii)式(IX)の化合物を式(X)
Ar−X−CHR−CH−Mg−Hal (X)
〔式中、R、ArおよびXは請求項1〜17のいずれかにおいて式(I)の化合物について定義のとおりであり、Halはハロである〕
の金属試薬と反応させて、保護基PGを除去し、対応する式(I)(R2がヒドロキシであり、R、R、R、X、YおよびArは本明細書に定義のとおりである)の化合物を得る工程;
【0083】
および所望により、(A)および(B)に記載の方法のいずれ1個以上に続いて、得られる式(I)の化合物またはその保護形態を、異なる式(I)の化合物に変換する工程、得られる塩形の式(I)の化合物を遊離化合物または異なる塩形に変換する工程、得られる遊離形の式(I)の化合物をその塩形に変換する工程;および/または、得られる式(I)の化合物の異性体の混合物を個々の異性体に分離する工程;
(ここで出発物質のいずれかにおいて、特定の保護基PGに加えて、さらなる保護基が存在していてもよく、そして保護基を適当な段階で除去して対応する式(I)の化合物またはその塩を得る)。
【0084】
好ましい反応条件
上記A)からB)の反応ならびに変形および変換について好ましい反応条件は、下記のとおりである:
A)において、式IIの化合物のジフェニルリンアジドでの処理は、好ましくは適当な溶媒中、例えばジオキサンまたはトルエン中で行う。さらに、塩基、例えば3級窒素塩基、好ましくはトリエチルアミンが存在する。典型的には、反応を高温、例えば還流下で進行させる。トリ−低級アルキルシリルエタノール、例えばトリメチルシリルエタノールを加え、混合物を好ましくは高温で、例えば還流下、撹拌して、式(III)の対応する保護アミノ化合物を得る。
【0085】
続くトリ−低級アルキルシリルエトキシ基の除去を、標準的な条件下で行う(後記一般的方法条件に記載の文献参照)。例えば、2−(トリメチルシリル)−エトキシカルボニルの除去を、例えば、テトラ−低級アルキルアンモニウムフルオライド、例えばテトラエチルアンモニウムフルオライドと、適当な溶媒または溶媒混合物、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、および/またはニトリル、例えばアセトニトリル中、好ましくは高温、例えば還流条件下で反応させて、行うことができる。
【0086】
A)における式(IV)の化合物と式(V)の化合物の反応を、好ましくは塩基、例えば3級窒素塩基、例えばトリエチルアミンの存在下、適当な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンおよび/または炭化水素、例えばトルエンの存在下、0℃から50℃の好ましい温度、例えば室温で行う。酸またはその反応性誘導体(ここで、酸反応性エステルの可能な反応性誘導体において(例えばヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ペンタフルオロフェニル、4−ニトロフェニルまたはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、酸ハロゲニド(例えば酸クロライドまたは酸ブロマイド)または反応性無水物(例えば低級アルカン酸との混合無水物、または対称性無水物(symmetric anhydride))が好ましい)と式(IV)のアミノ化合物の標準的な縮合反応を用いることも適当である。反応性炭酸誘導体をインサイチュで形成させることも可能である。反応を、好適な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、塩化メチレン、または当該溶媒の2種以上の混合物に化合物を溶解させ、適当な塩基、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、および式(II)の酸の反応性誘導体をインサイチュで形成したのであれば、インサイチュで式(III)の好ましい炭酸の反応性誘導体を形成する適当なカップリング剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBT);ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロライド(BOPCl);O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU);O−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’、N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU);(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)または1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド/ヒドロキシベンゾトリアゾール(EDCl/HOBT)を加えて行う。他の可能性のあるカップリング剤の概説のために、例えばKlauser; Bodansky, Synthesis 1972, 453-463参照のこと。反応混合物を好ましくは、約−20から50℃、とりわけ0℃から30℃、例えば室温で撹拌する。反応を好ましくは不活性ガス下、例えば窒素またはアルゴン下で行う。
【0087】
続く保護基、例えばPG、例えばtert−ブトキシカルボニル、ベンジルまたは2−(トリメチルシリル)−エトキシカルボニルの除去を、標準的条件下で行う(後記一般的方法条件に記載の文献参照)。例えば、tert−ブトキシカルボニルを酸、例えばTFAまたはハロゲン化水素酸、例えばHClの存在下、適当な溶媒、例えばエーテル、例えばジオキサン中、常套の温度、例えば室温で除去し、ベンジルの除去を、適当な溶媒、例えばトルエン中、高温、例えば80から110℃で、エチルクロロホルメートまたは2−トリメチルシリルエチル−クロロホルメートと反応させ、続いて得られたエトキシカルボニル基を塩基、例えばアルカリ金属ヒドロキシド、例えば水酸化カリウムの存在下、適当な溶媒中、例えばアルコール、例えばエタノール中、高温、例えば80から120℃で加水分解することによって行うことができ、そして、2−(トリメチルシリル)−エトキシカルボニルの除去を、例えばテトラ−低級アルキルアンモニウムフルオライド、例えばテトラエチルアンモニウムフルオライドと、適当な溶媒または溶媒混合物、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、および/またはニトリル、例えばアセトニトリル中、好ましくは高温、例えば還流条件下で反応させて行うことができる。
【0088】
B)における式(VIII)のヒドロキシ化合物の対応する式(IX)のオキソ化合物への酸化は、好ましくは適当な酸化剤、例えばDess-Martinペルヨージナンの存在下、適当な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン中、0℃から50℃、例えば室温の好ましい温度で行う。オキソ基のチオキソ基(=S)への所望による続く変換は、Lawesson試薬の存在下、または常套のチオネーション条件下で行うことができ、オキソの(置換もしくは非置換)イミノへの変換は、保護アンモニア(非置換イミノについて)または1級アミン(置換イミノについて)との常套のSchiff塩基形成条件下での反応でおこなうことができる。
【0089】
B)における式(X)の金属試薬と式(IX)の化合物のカップリングを、常套の反応条件下、例えばGrignardカップリング条件下、適当な溶媒、例えばエーテル、例えばジエチルエーテル中、−100から−50℃、例えば−80から−70℃の範囲の好ましい温度で行う。保護基の除去を、好ましくはA)に記載のとおり行う。
【0090】
所望による反応および変換
上記方法のいずれかまたは新たに保護基を導入した後直接得られた式(I)の化合物またはその保護形態(これは続いて変換のための出発物質として含まれ、そして特に記載が無い限り)、既知の方法によって、所望により保護基の除去後、他の式(I)の化合物に変換することができる。
【0091】
例えば、式(I)の化合物のアリール基の置換基として存在する低級アルコキシ(とりわけメトキシ)基を、例えば3臭化ホウ素と、適当な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素中、−100から−50℃、例えば−80から−70℃の範囲の好ましい温度で反応させて対応する式(I)のヒドロキシ化合物を得ることによって、対応するヒドロキシ置換基に変換することができる。
【0092】
式(I)の化合物の置換基として存在するシアノ基を、例えば触媒、例えば遷移金属触媒、例えばラネーニッケルの存在下、常套の条件下、例えばアルコール、例えばメタノール中、0℃から50℃の好ましい温度、例えば室温で水素化して対応する式(I)のアミノ化合物を得て、対応する式(I)の化合物を得ることによって、アミノメチル基に変換することができる。
【0093】
式(I)の化合物の置換基として存在するアミノ基を、例えば炭酸もしくはスルホン酸、またはその反応性誘導体、例えば対応するハロゲン酸、例えば塩素酸で、または対応する活性誘導体のインサイチュ形成下で、上記A)と同様の条件下でアシル化して、対応する式(I)のアシルアミノ化合物を得ることによってアシル(とりわけ低級アルカノイル)−アミノ基に変換することができる。
【0094】
式(I)の化合物の置換基として存在するアミノ基を、例えば対応するN,N−ジ−(C−C−アルキル)−もしくはN,N−ジ−(フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキル)−ハロゲニド、例えば−クロライドもしくは−ブロマイドでアルキル化して、または対応するオキソ化合物(前駆体として用いるC−C−アルキル含有化合物のメチレン基の1個が2個の水素原子に代えてオキソを担持する)と還元的アミノ化条件下で還元的アミノ化して、対応する式(I)の化合物を得ることによってN,N−ジ−(C−C−アルキル)−もしくはN,N−ジ−(フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキル)−アミノ基に変換することができる。この反応は好ましくは、還元的アミノ化の常套の条件下、例えば適当な還元(例えば水素化)剤、例えば触媒またはヒドリド錯体、例えばトリアセトキシホウ化水素ナトリウムもしくはシアノホウ化水素ナトリウムの存在下における水素の存在下、適当な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンまたは1,2,−ジクロロエタン、および所望により炭酸、例えば酢酸中で、−10℃から50℃、例えば0℃から室温の好ましい温度で行うことができる。
【0095】
式(I)の化合物の置換基として存在するニトロ基を、触媒、例えば例えば遷移金属触媒、例えばラネーニッケルの存在下、常套の条件下、例えばアルコール、例えばメタノール中、0℃から50℃の好ましい温度、例えば室温で水素化して対応する式(I)のアミノ化合物を得て、対応する式(I)の化合物を得ることによって、アミノ基に変換することができる。
【0096】
式(I)の化合物の置換基として存在するヒドロキシ基を、対応するハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アシル、例えばC−C−アルコキシ−C−C−アルキルクロライドもしくは−ブロマイド、C−C−アルキルクロライドもしくは−ブロマイド、またはフェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−クロライドもしくは−ブロマイドと、適当な常套の置換反応条件下、例えば塩基、例えばアルカリ金属カルボネート、例えば炭酸カリウム、または共塩基、例えばアルカリ金属ヒドリド、例えば水酸化ナトリウムの存在下、適当な溶媒、例えばアミド、例えばジメチルホルムアミド中、0から100℃、例えば室温から80℃の好ましい温度で反応させて、対応する式(I)の化合物を得ることによって、アルキル化またはアシル化ヒドロキシ基、例えばC−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシまたはフェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシに変換することができる。
【0097】
式(I)の化合物の置換基として存在するイミノ基、例えばN−ヘテロ環式基を含む式(I)の化合物の置換基の一部としての−NH−を、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルハロゲニド、例えばクロライドまたはブロマイドと、直前の段落に記載の条件下で反応させて、対応する式(I)の化合物を得ることによって、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルイミノ基に変換することができる。
【0098】
式(I)の化合物の置換基として存在するアミノ基を、対応する置換もしくは非置換アルカン、置換もしくは非置換シクロアルカン、置換もしくは非置換アリール−アルカン、置換もしくは非置換ヘテロシクリル−アルカン、メチレンに代えてケト基またはアルキル部分のメチルに代えてホルミル基を担持する置換もしくは非置換シクロアルキル−アルカンと、還元的アミノ化の常套の反応条件下、例えば上記B)(i)に記載のとおり反応させて;あるいは置換もしくは非置換アリールスルホニルハロゲニド、置換もしくは非置換アリールスルホニルハロゲニド、置換もしくは非置換ヘテロシクリルスルホニルハロゲニドまたは置換もしくは非置換シクロアルキルスルホニルハロゲニドと、常套の反応条件下、例えば3級アミン、例えばトリエチルアミンの存在下、適当な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン中、0℃から50℃の好ましい温度、例えば室温で反応させて;対応する式(I)の化合物を得ることによって、置換もしくは非置換アルキルアミノ(例えばC−C−アルキルアミノ、例えばイソプロピルアミノ)、置換もしくは非置換シクロアルキルアミノ(例えばシクロヘキシルアミノ)、置換もしくは非置換アリール−アルキルアミノ、置換もしくは非置換ヘテロシクリル−アルキルアミノ、置換もしくは非置換シクロアルキル−アルキルアミノ、アルキルオキシカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、置換もしくは非置換アルキルスルホニルアミノ、置換もしくは非置換アリールスルホニルアミノ(例えばC−C−アルキルフェニルスルホニル、例えばトシル)、置換もしくは非置換ヘテロシクリルスルホニルアミノまたは置換もしくは非置換シクロアルキルスルホニルアミノに変換することができる。
【0099】
少なくとも1個の塩形成基を有する式(I)の化合物の塩を、自体公知の方法で製造することができる。例えば、酸性基を有する式(I)の化合物の塩を、例えば当該化合物を金属化合物、例えば好適な有機カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば2−エチルヘキサン酸のナトリウム塩で、有機アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物、例えば対応するヒドロキシド、カルボネートまたは炭酸水素、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、対応するカルシウム化合物とのカルボネートまたは炭酸水素で、またはアンモニアもしくは適当な有機アミンで、化学量論量またはわずかに過剰の塩形成試薬を好ましくは使用して、処理して形成させることができる。式(I)の化合物の酸付加塩を、常套の方法で、例えば当該化合物を酸または好適なアニオン交換試薬で処理して得る。酸性および塩基性塩形成基、例えば遊離カルボキシ基および遊離アミノ基を含む式(I)の化合物の分子内塩を、例えば塩、例えば酸付加塩を等電点に、弱塩基で中和することによって、またはイオン交換剤で処理することによって形成させることができる。
【0100】
式(I)の化合物の塩を、常套の方法で遊離化合物に変換することができる;金属塩およびアンモニウム塩を例えば好適な酸で処理して、そして酸付加塩を例えば好適な塩基性試薬で処理して、変換することができる。いずれの場合も、好適なイオン交換剤を使用することができる。
【0101】
立体異性混合物、例えばジアステレオマー混合物を、それらの対応する異性体に、自体公知の方法で、適当な分離方法で分離することができる。ジアステレオマー混合物を例えば、分画結晶化、クロマトグラフィー、溶媒分配および同様の方法によって、それらの個々のジアステレオマーに分離することができる。この分離は、出発物質の1つのレベルで、または式(I)の化合物自体に行うことができる。エナンチオマーを、例えばエナンチオマー純粋なキラル酸との塩の形成によってジアステレオマー塩を形成させて、またはクロマトグラフィー、例えばキラルリガンドを有するクロマトグラフィー基質を用いたHPLCによって、分割することができる。
【0102】
中間体および最終生成物を、常套の方法に従って、例えばクロマトグラフ法、分配法、(再)結晶化等を用いて後処理および/または精製することができる。
【0103】
出発物質
式(I)の化合物の中間体を含む出発物質を、例えば当業者に既知の方法に従って、実施例に記載の方法に従って、または実施例に記載の方法と同様に製造することができ、および/またはそれらは既知であるか、または商業的に入手可能である。
【0104】
出発物質および中間体、ならびにそれらの合成の以下の記載において、R、R、R、R、R、X、Y、ArおよびPGは上記または各出発物質または中間体についての実施例に記載の意味を、特に直接または文脈による記載がない限り、有する。具体的な記載が無い限り、保護基を適当な段階で導入および除去して、対応する反応工程に望ましくない官能基を妨げることができる。使用する保護基、それらの導入および除去の方法は、本明細書に、例えば後記「一般的方法条件」に記載のとおりである。
【0105】
式(II)の化合物を、例えば式(XI)
PG−NH−CH−CHR3−CN (XI)
(式中、PGは保護基である)
の化合物と式(XII)
Ar−X−CHR1−CH=CR2−CH−Hal (XII)
(式中、Halはハロ、例えばブロモ、または異なる脱離基、例えばトシルである)
の化合物を、適当な塩基、例えばアルカリ金属ヒドロキシド、例えばNaOHおよび例えばベンジル−トリ−(N−ブチル)アンモニウムブロマイドの存在下、適当な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンおよび/または水中、10から50℃、例えば40℃の好ましい温度で反応させ、得られた式(XIII)
Ar−X−CHR1−CH=CR2−CH−N(PG)−CH−CHR3−CN (XIII)
(式中、置換基は本明細書に記載の意味を有する)
の化合物を、強塩基、例えば水酸化ナトリウムの存在下、適当な溶媒、例えばヘキサメチルホスホロアミド中、−10から40℃の好ましい温度で処理して、式(XIV)
【化20】

の化合物を得て、これを例えばハロゲン化水素酸、例えばHClの存在下、適当な溶媒、例えば酢酸、水またはそれらの混合物中、高温、例えば還流下で対応する式(II)の化合物に加水分解して、得ることができる。
【0106】
式(II)の出発物質を、式(XV)
Ar−X−CHR1−CH−CHO (XV)
の化合物と式XVI
【化21】

(式中、Raはエチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルであり、Alkは低級アルキルである)
の化合物を、強塩基、例えば水素化ナトリウムの存在下、例えばテトロヒドロフラン中、−10から40℃の好ましい温度で、またはヘキサメチルジシラザンカリウムおよびクラウンエーテル、例えば18−クラウン−6の存在下、例えばテトロヒドロフランおよび/またはトルエン中、低温、例えば−90から−70℃で反応させて式(XVII)
Ar−X−CHR1−CH−CH=CH−COOAlk (XVII)
の化合物を得て、当該化合物を次に式(XVIII)
(HC)Si−CH−N(PG)−CH−O−CH (XVIII)
(式中、PGは例えば式(II)の化合物について定義の保護基である)
の化合物と、酸、例えばトリフルオロ酢酸の存在下、適当な溶媒、例えばトルエン中、−10から40℃の好ましい温度で反応させて、式(XIX)
【化22】

の化合物を得て(所望により、保護基PGを異なる保護基で、例えばベンジルをtert−ブトキシカルボニルで置換してもよい)、次にAlk基を除去するために加水分解して、対応する遊離酸の式(II)の化合物を得ることによって、得ることもできる。
【0107】
上記全ての式において、存在するとき、中心ピロリジンおよびその3および4位での置換基は下記置換基の1種以上で存在していてよく、および/または対応する異性体の混合物を形成し、および/または個々の異性体に任意の段階で分離してもよい:
【化23】

(ここで、左の低級結合は上記式の中間体または出発物質、または式(I)の最終生成物においても左側に存在し、右の低級結合は右側に存在する)。
【0108】
一般的方法条件
下記のものは、一般的に全ての本明細書の方法に適用されるが、本明細書に具体的に記載の反応条件が好ましい:
【0109】
本明細書に記載のあらゆる反応において、適当または望まれるとき、具体的に記載されていなくとも、反応に参加することが意図されない官能基を保護するために保護基を用いることができ、それらを適当または所望の段階で導入および/または除去することができる。保護基の使用を含む反応は、したがって、保護および/または脱保護の具体的な記載が存在しない反応を本明細書において記載しているときであっても、可能なものとして含まれる。
【0110】
この開示の範囲内において、文脈が異なることを示していない限り、式(I)の具体的な所望の最終生成物の構成要素ではない容易に除去可能な基のみが、「保護基」を構成する。かかる保護基による官能基の保護、保護基それ自体、およびそれらの導入および除去に適した反応は、例えば標準的参考書、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999、“The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981、“Methoden der organischen Chemie” (Methods of Organic Chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974、H.-D. Jakubke and H. Jeschkeit, “Aminosaeuren, Peptide, Proteine” (Amino acids, Peptides, Proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982、およびJochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of Carbohydrates: Monosaccharides and Derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。保護基の特徴は、それらが容易に(すなわち望ましくない二次的反応を生じず)、例えば加溶媒分解、還元、光分解で、または生理的条件下で(例えば酵素的切断によって)除去され得ることである。
【0111】
全ての上記方法工程を、事態公知の反応条件下で、好ましくは具体的に記載のもので、溶媒または希釈剤なし、または通常はそれの存在下で(好ましくは溶媒または希釈剤は使用される試薬に対して不活性であり、それらを溶解させる)、触媒、縮合剤または中和剤、例えばイオン交換試薬、例えばH形態の例えばカチオン交換試薬なし、またはそれの存在下で、反応および/または反応物の性質に依存して、低温、常温または高温で、例えば約−100℃〜約190℃、例えば約−80℃〜約150℃、例えば−80〜−60℃、室温、−20〜40℃、または還流温度で、大気圧または加圧が適当であるとき密封容器内で、および/または不活性雰囲気下で、例えばアルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。
【0112】
いずれかの特定の反応に適している溶媒が選択され得る溶媒には、具体的に記載のもの、または例えば、水、エステル、例えば低級アルキル−低級アルカノエート、例えば酢酸エチル、エーテル、例えば脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、または環状エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、液体芳香族性炭化水素、例えばベンゼンまたはトルエン、アルコール、例えばメタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール、ニトリル、例えばアセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロホルム、酸アミド、例えばジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、塩基、例えばヘテロ環式窒素塩基、例えばピリジンまたはN−メチルピロリジン−2−オン、カルボン酸無水物、例えば低級アルカン酸無水物、例えば無水酢酸、環状、直鎖または分枝鎖炭化水素、例えばシクロヘキサン、ヘキサンまたはイソペンタン、あるいはそれらの溶媒の混合物、例えば水溶液が、方法の記載にそれ以外が記載されていない限り、含まれる。かかる溶媒混合物は、後処理において、例えばクロマトグラフィーまたは分配に用いることもできる。
【0113】
本発明はまた、方法の任意の段階で中間体として得られる化合物を出発物質として用いて、残りの方法工程を行うか、または出発物質を反応条件下で形成させるか、または誘導体の形態で、例えば保護形態もしくは塩の形態で用いる方法の形態、あるいは本発明によって得られる化合物を当該方法条件下で製造し、さらにインサイチュで進行させる方法に関する。本発明の方法において、好ましいと記載されている式(I)の化合物を得るために好ましくはこれらの出発物質を使用する。実施例に記載のものと同一または類似の反応条件が特に好ましい。
【0114】
医薬的使用、医薬製剤および方法
上記のとおり、本発明の化合物はレニン活性の阻害剤であり、したがって、高血圧、アテローム性動脈硬化症、不安定性冠症候群、鬱血性心不全、心臓肥大、心臓線維症、梗塞後心筋障害、不安定性冠症候群、拡張機能障害、慢性腎疾患、肝線維症、糖尿病の合併症、例えば網膜症、血管障害およびニューロパシー、冠状血管の疾患、血管形成後再狭窄、上昇した眼内圧、緑内障、異常な血管増殖、高アルドステロン症、認識機能障害、アルツハイマー病、認知症、不安状態および認識障害等の処置に使用することができる。
【0115】
本発明はさらに、治療上有効量の薬理学的に活性な本発明の化合物を、単独または1種以上の薬学的に許容される担体との組合せで含む医薬組成物を提供する。
【0116】
本発明の医薬組成物は、レニン活性を阻害するため、そして(とりわけ不適当な)レニン活性に関連する状態の処置のために、ヒトを含む哺乳類に経腸、例えば経口または直腸、経皮および非経腸投与するのに適したものである。かかる状態には、高血圧、アテローム性動脈硬化症、不安定性冠症候群、鬱血性心不全、心臓肥大、心臓線維症、梗塞後心筋障害、不安定性冠症候群、拡張機能障害、慢性腎疾患、肝線維症、糖尿病の合併症、例えば網膜症、血管障害およびニューロパシー、冠状血管の疾患、血管形成後再狭窄、上昇した眼内圧、緑内障、異常な血管増殖、高アルドステロン症、認識機能障害、アルツハイマー病、認知症、不安状態および認識障害等が含まれる。
【0117】
したがって、薬理学的に活性な本発明の化合物は、経腸または非経腸投与に適した賦形剤または担体との組合せまたは混合においてその有効量を含む医薬組成物の製造に使用することができる。有効成分を:
a)希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例えばシリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてまた、
c)結合剤、例えばアルミニウムシリケートマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;所望により
d)崩壊剤、例えばデンプン、寒天、アルギニン酸またはそのナトリウム塩;および/または
e)吸収剤、着色剤、風味剤および甘味剤
と共に含む錠剤およびゼラチンカプセル剤が好ましい。
【0118】
注射用組成物は好ましくは、水性等張溶液もしくは懸濁液であり、座薬は遊離には死亡エマルジョンまたは懸濁液から製造する。
【0119】
当該組成物を滅菌することができ、および/または保存剤、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤のようなアジュバント、溶解促進剤、浸透圧調節のための塩、および/またはバッファーを含み得る。さらに、それらは他の治療上有用な物質を含んでいてもよい。当該組成物を、常套の混合、造粒またはコーティング法に従ってそれぞれ製造することができ、それらは約0.1−75%、好ましくは約1−50%の有効成分を含む。
【0120】
経皮適用に適した製剤には、治療上有効量の本発明の化合物と担体が含まれる。有利な担体には、宿主の皮膚を通過する吸収を補助する吸収可能な薬理学的に許容される担体が含まれる。特徴的には、経皮デバイスは、裏打ち部材、所望により担体と共に化合物を含むリザーバー、所望により化合物を宿主の皮膚に制御されたおよび予め決定された速度で長期間にわたって送達するための速度制御バリア、およびデバイスを皮膚に接着させる手段を含むバンデージの形態である。
【0121】
したがって、本発明はレニン活性によって介在される状態、好ましくは、高血圧、アテローム性動脈硬化症、不安定性冠症候群、鬱血性心不全、心臓肥大、心臓線維症、梗塞後心筋障害、不安定性冠症候群、拡張機能障害、慢性腎疾患、肝線維症、糖尿病の合併症、例えば網膜症、血管障害およびニューロパシー、冠状血管の疾患、血管形成後再狭窄、上昇した眼内圧、緑内障、異常な血管増殖、高アルドステロン症、認識機能障害、アルツハイマー病、認知症、不安状態および認識障害の処置のための上記医薬組成物、ならびにそれらの使用を提供する。
【0122】
医薬組成物は治療上有効量の本明細書に定義の式(I)の化合物を、単独で、または他の治療薬剤の、例えば当該技術分野で報告されている各有効治療用量との組合せで含み得る。かかる治療薬剤には、以下のものが含まれる:
a)抗糖尿病剤、例えばインシュリン、インシュリン誘導体および模倣物;インシュリン分泌促進剤、例えばスルホニルウレア、例えばグリピジド、グリブリドおよびアマリール;インシュリン分泌促進スルホニルウレア受容体リガンド、例えばメグリチニド、例えばナテグリニドおよびレパグリニド;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)リガンド;プロテインチロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、例えばPTP−112;GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3)阻害剤、例えばSB−517955、SB−4195052、SB−216763、NN−57−05441およびNN−57−05445;RXRリガンド、例えばGW−0791およびAGN−194204;ナトリウム−依存性グルコースコトランスポーター阻害剤、例えばT−1095;グリコーゲンホスホリラーゼA阻害剤、例えばBAY R3401;ビグアニド、例えばメトホルミン;アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース;GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、GLP−1アナログ、例えばエキセンジン−4およびGLP−1模倣物;およびDPPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤、例えばLAF237;
【0123】
b)脂質低下薬、例えば3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリールコエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤、例えばロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびリバスタチン;スクアレンシンターゼ阻害剤;FXR(ファルネソイドX受容体)およびLXR(肝臓X受容体)リガンド;コレスチラミン;フィブラート;ニコチン酸およびアスピリン;
c)抗肥満剤、例えばオルリスタット;および
d)抗高血圧剤、例えばループ利尿薬、例えばエタクリン酸、フロセミドおよびトルセミド;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリノドプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリル;Na−K−ATPアーゼ膜ポンプの阻害剤、例えばジゴキシン;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;ACE/NEP阻害剤、例えばオマパトリラト、サンパトリラトおよびファシドトリル;アンギオテンシンIIアンタゴニスト、例えばカンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン、とりわけバルサルタン;β−アドレナリン受容体ブロッカー、例えばアセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール;強心剤、例えばジゴキシン、ドブタミンおよびミルリノン;カルシウムチャネルブロッカー、例えばアムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミル;アルドステロン受容体アンタゴニスト;およびアルドステロンシンターゼ阻害剤。
【0124】
他の具体的な抗糖尿病化合物は、Patel Mona in Expert Opin Investig Drugs, 2003, 12(4), 623-633の図1から7に記載されている(参照により本明細書の一部とする)。本発明の化合物を、他の有効成分と同一または異なる投与経路で別個に、または同じ医薬製剤において一緒に、同時、前または後に投与することができる。
【0125】
コード番号、一般名または商品名で同定される治療剤の構造を、標準的概説書“The Merck Index”の現行版から、またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から得ることができる。その対応する内容を、参照により本明細書の一部とする。
【0126】
したがって本発明は、治療上有効量の本発明の化合物を単独で、または治療上有効量の、好ましくは抗糖尿病剤、脂質低下剤、抗肥満剤または抗高血圧剤、最も好ましくは上記抗糖尿病剤、抗高血圧剤または脂質低下剤から選択される他の治療薬剤との組合せで含む、医薬組成物を提供する。
【0127】
本発明はさらに、医薬として使用するための上記医薬組成物に関する。
【0128】
本発明はさらに、(好ましくは不適当な)レニン活性によって介在される状態、好ましくは、高血圧、アテローム性動脈硬化症、不安定性冠症候群、鬱血性心不全、心臓肥大、心臓線維症、梗塞後心筋障害、不安定性冠症候群、拡張機能障害、慢性腎疾患、肝線維症、糖尿病の合併症、例えば網膜症、血管障害およびニューロパシー、冠状血管の疾患、血管形成後再狭窄、上昇した眼内圧、緑内障、異常な血管増殖、高アルドステロン症、認識機能障害、アルツハイマー病、認知症、不安状態および認識障害等の処置用医薬の製造のための、上記医薬組成物または組合せの使用に関する。
【0129】
したがって本発明は、医薬として使用するための式(I)の化合物、(とりわけ不適当な)レニンの活性によって介在される状態の予防および/または処置用医薬組成物の製造のための、式(I)の化合物の使用、ならびに(とりわけ不適当な)レニンの活性によって介在される状態に用いるための、式(I)の化合物またはその塩を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物に関する。
【0130】
本発明はさらに、(とりわけ不適当な)レニンの活性によって介在される状態の予防および/または処置方法であって、治療上有効量の本発明の化合物を、かかる処置を必要とする温血動物、とりわけヒトに投与することを含む方法を提供する。
【0131】
約50−70kgの哺乳類の単位用量は、約1mgから1000mg、有利には約5−600mgの有効成分が含まれ得る。活性化合物の治療上有効量は、温血動物(とりわけ哺乳類、よりとりわけヒト)の種、体重、年齢および個々の状態、投与形態および含まれる化合物に依存する。
【0132】
上記のとおり、本発明はまた、例えば本明細書に定義のいずれかの方法に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む治療組合せ剤、例えばキット、パーツのキットであって、好ましくは抗糖尿病剤、脂質低下剤、抗肥満剤または抗高血圧剤から選択される少なくとも他の治療薬剤を含む少なくとも1種の医薬組成物と同時に、または逐次的に用いるためのものを提供する。かかるキットはその投与のための指示書を含んでいてもよい。
【0133】
同様に本発明は、(i)本発明の式(I)の化合物を含む医薬組成物;および(ii)抗糖尿病剤、脂質低下剤、抗肥満剤または抗高血圧剤、またはその薬学的に許容される塩から選択される他の治療薬剤を、成分(i)と(ii)の別個の2個の単位の形態で含むパーツのキットを提供する。
【0134】
同様に本発明は、治療上有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の第2の薬剤物質(当該第2の薬剤物質は、好ましくは抗糖尿病剤、脂質低下剤、抗肥満剤または抗高血圧剤、例えば上記のものである)を、例えば同時または逐次的に、共投与することを含む上記方法を提供する。
【0135】
好ましくは、本発明の化合物を、それを必要とする哺乳類に投与する。
【0136】
好ましくは、本発明の化合物を(とりわけ不適当な)レニン活性の調節に応答する疾患の処置に使用する。
【0137】
好ましくは、(とりわけ不適当な)レニン活性に関連した状態は、高血圧、アテローム性動脈硬化症、不安定性冠症候群、鬱血性心不全、心臓肥大、心臓線維症、梗塞後心筋障害、不安定性冠症候群、拡張機能障害、慢性腎疾患、肝線維症、糖尿病の合併症、例えば網膜症、血管障害およびニューロパシー、冠状血管の疾患、血管形成後再狭窄、上昇した眼内圧、緑内障、異常な血管増殖、高アルドステロン症、認識機能障害、アルツハイマー病、認知症、不安状態および認識障害から選択される。
【0138】
最後に、本発明は、式(I)の化合物を治療上有効量の抗糖尿病剤、脂質低下剤、抗肥満剤または抗高血圧剤との組合せで投与することを含む方法または使用を提供する。
【0139】
究極的に、本発明は、本明細書に記載の医薬組成物の形態で式(I)の化合物を投与することを含む方法または使用を提供する。
【0140】
上記特徴を、有利には哺乳類、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、サルまたは単離臓器、組織もしくはその調製物を用いてインビトロおよびインビボ試験において示す。当該化合物はインビトロで、溶液、例えば好ましくは水溶液の形態で、およびインビボで、経腸、非経腸、有利には静脈内に、例えば懸濁液または水溶液として適用することができる。インビトロでの濃度レベルは、約10−3モルから10−10モル濃度の範囲である。治療上有効量は、インビボで、投与経路に依存して約0.001から500mg/kg、好ましくは約0.1から100mg/kgの範囲であり得る。
【0141】
上記のとおり、本発明の化合物は酵素阻害特性を有する。とりわけ、それらは天然酵素レニンの作用を阻害する。レニンは腎臓から血中に移動して、アンギオテンシノーゲンの切断に作用し、デカペプチドアンギオテンシンIを放出させ、これは肺、腎臓および他の臓器で切断されてオクタペプチドアンギオテンシンIIを形成する。オクタペプチドは動脈血管の収縮によって直接的に、そして副腎からナトリウムイオン保持ホルモンアルドステロンを遊離させて間接的に血圧を上昇させ、それと共に細胞外液体体積を増加させ、かかる増加はアンギオテンシンIIの作用に寄与し得る。レニン酵素活性の阻害剤は、アンギオテンシンIの形成の減少を導き、そして結果としてより少量のアンギオテンシンIIが生産される。活性ペプチドホルモンの低下した濃度は、レニン阻害剤の血圧低下作用の直接的な原因である。
【0142】
レニン阻害剤の作用を、とりわけ実験的に、インビトロ試験によって示すことができ、アンギオテンシンIの形成の減少が様々な系で測定される(ヒト血漿、精製ヒトレニンと合成もしくは天然レニン基質)。
【0143】
とりわけ、下記インビトロ試験を用いることができる:
組換えヒトレニン(チャイニーズハムスター卵巣細胞で発現、標準的な方法を用いて精製)を7.5nMの濃度で、様々な濃度の試験化合物と共に、1時間RTで、0.05M NaCl、0.5mM EDTAおよび0.05% CHAPSを含む0.1M Tris−HClバッファー、pH7.4中でインキュベートする。合成ペプチド基質Arg−Glu(EDANS)−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu−Val−Ile_His_Thr−Lys(DABCYL)−Arg9を最終濃度2μMで加え、蛍光の増加を励起波長350nmおよび放出波長500nmで、マイクロプレートスペクトロフルオロメーターで記録する。IC50値をレニン活性の阻害率から、試験化合物濃度の関数として計算する(Fluorescence Resonance Energy Transfer、FRET、アッセイ)。このアッセイにおいて式(I)の化合物は、好ましくは10nmから20μMの範囲のIC50値を示す。
【0144】
あるいは、組換えヒトレニン(チャイニーズハムスター卵巣細胞で発現、標準的な方法を用いて精製)を0.5nMの濃度で、様々な濃度の試験化合物と共に、2時間37℃で、0.05M NaCl、0.5mM EDTAおよび0.05% CHAPSを含む0.1M Tris−HClバッファー、pH7.4中でインキュベートする。合成ペプチド基質Arg−Glu(EDANS)−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu−Val−Ile_His_Thr−Lys(DABCYL)−Arg9を最終濃度4μMで加え、蛍光の増加を励起波長340nmおよび放出波長485nmで、マイクロプレートスペクトロフルオロメーターで記録する。IC50値をレニン活性の阻害率から、試験化合物濃度の関数として計算する(Fluorescence Resonance Energy Transfer、FRET、アッセイ)。このアッセイにおいて式(I)の化合物は、好ましくは10nmから20μMの範囲のIC50値を示す。
【0145】
他のアッセイにおいて、組換えヒトレニン(チャイニーズハムスター卵巣細胞で発現、標準的な方法を用いて精製)を含むヒト血漿0.8nMの濃度で、様々な濃度の試験化合物と共に、2時間37℃で、0.05M NaCl、0.5mM EDTAおよび0.025%(w/v)CHAPSを含む0.1M Tris−HClバッファー、pH7.4中でインキュベートする。合成ペプチド基質Ac−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu−Val−Ile−His−Asn−Lys−[DY−505−X5]を最終濃度2.5μMで加える。酵素反応を過剰のブロッキング阻害剤を加えて停止させる。反応生成物をキャピラリー電気泳動で分離させ、505nmの波長で分光光度測定によって定量する。IC50値をレニン活性の阻害率から、試験化合物濃度の関数として計算する。このアッセイにおいて式(I)の化合物は、好ましくは10nmから20μMの範囲のIC50値を示す。
【0146】
他のアッセイにおいて、組換えヒトレニン(チャイニーズハムスター卵巣細胞で発現、標準的な方法を用いて精製)を0.8nMの濃度で、様々な濃度の試験化合物と共に、2時間37℃で、0.05M NaCl、0.5mM EDTAおよび0.025%(w/v)CHAPSを含む0.1M Tris−HClバッファー、pH7.4中でインキュベートする。合成ペプチド基質Ac−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu−Val−Ile−His−Asn−Lys−[DY−505−X5]を最終濃度2.5μMで加える。酵素反応を過剰のブロッキング阻害剤を加えて停止させる。反応生成物をキャピラリー電気泳動で分離させ、505nmの波長で分光光度測定によって定量する。IC50値をレニン活性の阻害率から、試験化合物濃度の関数として計算する。このアッセイにおいて式(I)の化合物は、好ましくは10nmから20μMの範囲のIC50値を示す。
【0147】
塩不足動物において、レニン阻害剤は血圧の減少をもたらす。ヒトレニンは他の種のレニンとは異なる。ヒトレニンと霊長類レニンは酵素活性領域において実質的にホモログであるため、ヒトレニンの阻害剤を試験するために霊長類、例えばマーモセット(Callithrix jacchus)を用いることができる。とりわけ、下記インビボ試験を用いることができる:
化合物をインビボで、霊長類において、文献に記載のとおり試験することができる(例えば、Schnell CR et al. Measurement of blood pressure and heart rate by telemetry in conscious, unrestrained marmosets. Am J Physiol 264 (Heart Circ Physiol 33). 1993: 1509-1516;またはSchnell CR et al. Measurement of blood pressure, heart rate, body temperature, ECG and activity by telemetry in conscious, unrestrained marmosets. Proceedings of the fifth FELASA symposium: Welfare and Science. Eds BRIGHTON. 1993参照)。
【0148】
本発明の好ましい態様を代表している下記実施例を、本発明を説明するために、その範囲を限定することなく提供する。
【実施例】
【0149】
略語
Ac アセチル
AcOH 酢酸
DIBAL−H ジイソブチルアルミニウムヒドリド
4−DMAP 4−ジメチルアミノ−ピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMPU 1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニルホスホリルアジド
EDCI 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド
EtOAc 酢酸エチル
EtN トリエチルアミン
EtOH エタノール
Flow 流速
h 時間
HMPA ヘキサメチルホスホロアミド
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
iPrOH イソプロパノール
L リットル
KHMDS ヘキサメチルジシラザンカリウム
LC−MS 液体クロマトグラフィー/質量分析
LDA リチウムジイソプロピルアミン
Me メチル
MeI ヨウ化メチル
MeOH メタノール
MesCl メタンスルホニルクロライド
Min 分
mL ミリリットル
MS 質量分析
NMM 4−メチルモルホリン
NMR 核磁気共鳴
Pd/C パラジウム炭素
RT 室温
TEAF テトラエチルアンモニウムフルオライド
t−BuOK tert−ブトキシドカリウム
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
TMSE 2−(トリメチルシリル)エタノール
THF テトラヒドロフラン
RP 逆相
TLC 薄層クロマトグラフィー
保持時間
【0150】
商標
セライト =Celite(登録商標)(The Celite Corporation)=珪藻土を利用したフィルタリング手段
Nucleosil =Nucleosil(登録商標)、Machery & Nagel、Dueren, FRGのHPLC材料についての商標
【0151】
温度を摂氏度で測定する。特に記載がない限り、反応をRTで行う。
【0152】
TLC条件: TLCのR値を5×10cm TLCプレート、シリカゲルF254、Merck, Darmstadt, Germanyで測定する。
【0153】
式(I)の化合物を製造するための一般的な方法は、下記スキーム1および2に例示されており、実施例により詳細に説明されている。
【0154】
スキーム1
【化24】

【0155】
実施例1: (3S*,4R*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−3−イル)−カルバミン酸ベンジルエステル
【化25】

(3S*,4R*)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(250mg、0.393mmol)に、4M HClのジオキサン(0.98mL、3.90mmol)溶液を加え、撹拌を室温で一晩続ける。混合物を高真空下で一晩凍結乾燥させて、表題化合物をそのモノ塩酸塩として得る。TLC、R (CHCl/MeOH/濃NH 90:10:1)=0.70。RP−HPLC:t=5.28分(Nucleosil C18-HDカラム、10−100% CHCN/HO/5分、100% CHCN/3分、0.1% TFAを含むCHCNおよびHO、流速:1.5mL/分;カラム:4×70mm;粒度3μm)。MS: 537.4 [M+H]+.
【0156】
出発物質を、下記のとおりスキーム1およびスキーム2に従って製造する:
A. (S)−3−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−4−メチル−ペンタンニトリル
Helv. Chimica Acta 2003, 86, 2848-2870に記載のとおりに製造した4−((R)−2−ブロモメチル−3−メチル−ブチル)−1−メトキシ−2−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンゼン(30.5g、84.9mmol)のDMPU(450mL)溶液に、少量ずつNaCN(17.5g、357mmol)を撹拌下、加える。反応混合物を50℃に2時間温め、その後周囲温度に冷却した後水を加える。水層をEtOAcで抽出し、合併した有機を水で繰り返し洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離剤 グラジエント:ヘキサン/EtOAc 85:15から70:30)、表題化合物を無色油状物として得る。TLC、R(ヘキサン/EtOAc 3:1)=0.32。MS: 306.2 [M+H]+ および323.2 [M+18]+.
【0157】
B. (S)−3−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−4−メチル−ペンタナール
(S)−3−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−4−メチル−ペンタンニトリル(12.2g、39.9mmol)のトルエン(20mL)溶液に、−60℃に冷却下、1.7M DIBAL−H(32.9mL、55.9mmol)溶液を撹拌下で加える。−60℃で15分後、混合物をゆっくりと周囲温度に、撹拌下、一晩温める。混合物を0℃に冷却し、その後EtOAc(23mL)を滴下する。撹拌を1時間、室温で継続し、混合物を再度0℃に冷却し、その後飽和NHCl水溶液(108mL)を滴下し、さらに1時間後、2M HSO(108mL)およびジエチルエーテル(100mL)を加える。室温に1時間にわたって温めた後、層を分離させ、水相をジエチルエーテルで抽出する。合併した有機を飽和NaHCOおよび水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して(ヘキサン/EtOAc 3:1)、表題化合物を得る。TLC、R (ヘキサン/EtOAc 3:1)=0.35。MS: 326.2 [M+18]+.
【0158】
C. (R)−5−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−6−メチル−ヘプト−2−エン酸エチルエステル
トリエチル2−ホスホノアセテート(7.41g、33.1mmol)のTHF(20mL)溶液を、5分にわたって、tert−ブトキシドカリウム(3.09g、27.5mmol)のTHF(40mL)溶液に、アルゴン雰囲気下で滴下する。30分間室温で撹拌した後、(S)−3−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−4−メチル−ペンタナール(7.08g、13.8mmol)のTHF(20mL)溶液を滴下し、撹拌を30分間続ける。混合物を希釈水性NHCl溶液に注ぎ、水相をジエチルエーテルで抽出する。合併した有機を飽和水性NHClで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。粗物質をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して(ヘキサン/EtOAc 8:2)、表題化合物を無色油状物として得る。TLC、R (ヘキサン/EtOAc)=0.36。MS: 396.2 [M+18]+.
【0159】
D. (3S*,4S*)−1−ベンジル−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル
(R)−5−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−6−メチル−ヘプト−2−エン酸エチルエステル(5.13g、12.6mmol)のトルエン(50mL)溶液に、0℃に冷却下、アルゴン雰囲気下でN−メトキシ−N−(トリメチルシリルメチル)ベンジルアミン(3.82g、15.1mmol;Lancaster 19412)およびトリフルオロ酢酸(0.095mL、1.26mmol)のCHCl(0.5mL)溶液を滴下する。撹拌を0℃で30分間、および室温で一晩続ける。反応混合物に飽和水性NaHCO溶液を加え、水層をEtOAcで抽出し、合併した有機をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離剤 グラジエント:ヘキサン/EtOAc 3:1から2:1)、表題化合物をtrans立体配置のジアステレオマー混合物として得る。無色油状物。TLC、R (ヘキサン/EtOAc 3:1)=0.24。MS: 512.2 [M+H]+.
【0160】
E. (3S*,4S*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル
(3S*,4S*)−1−ベンジル−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル(5.05g、9.87mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボネート(2.59g、11.8mmol)の分析グレードEtOH(100mL)溶液を、18時間、触媒10% Pd/C(0.5g;Engelhard 4505)の存在下、25℃で大気圧下、水素化する。反応混合物をセライト(登録商標)で濾過し、合併した濾液を濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーで精製して(ヘキサン/EtOAc 3:1)、表題化合物をtrans立体配置のジアステレオマー1:1混合物として得る。無色油状物。TLC、R (ヘキサン/EtOAc 3:1)=0.31。MS: 522.1 [M+H]+; 539.1 [M+18]+.
【0161】
F. (3S*,4S*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1,3−diカルボン酸1−tert−ブチルエステル
(3S*,4S*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル(2.56g、4.91mmol)のEtOH 50mLおよび2M NaOH(12.3mL)溶液を50℃で一晩撹拌する。揮発物を真空下で除去し、残渣を水で希釈する。濃HClを加えて水相をpH1に酸性化し、CHClで抽出する。合併した有機を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して表題化合物を泡状物として得る。TLC、R(CHCl/MeOH/AcOH 90:10:1)=0.50。RP−HPLC:t=5.81分(Nucleosil C18-HD、5−100% CHCN/HO/6分、100% CHCN/1.5分、0.1% TFAを含むCHCNおよびHO、流速:1.0mL/分)。MS: 492.2 [M-H]+.
【0162】
H. (3S*,4R*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−3−(2−トリメチルsilanyl−エトキシカルボニルアミノ)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
(3S*,4S*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(2.20g、4.47mmol)のトルエン(70mL)溶液に、ジフェニルホスホリルアジド(1.54mL、7.13mmol;Fluka 72935)およびNEt(1.62mL、11.6mmol)を加え、反応混合物を4時間、還流温度で加熱する。その後、2−(トリメチルシリル)エタノール(1.27mL、8.91mmol)を加え、混合物を還流温度で一晩撹拌する。冷却後、揮発物を真空下で除去し、残渣をCHCl中に取る。有機層を水および塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮する。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して(ヘキサン/EtOAc 3:1)、表題化合物を無色油状物として得る。TLC、R(ヘキサン/EtOAc 3:1)=0.22。MS(陰イオンモード): 607.3 [M-H]+.
【0163】
I. (3S*,4R*)−3−アミノ−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
(3S*,4R*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシカルボニルアミノ)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.30g、2.14mmol)とテトラエチルアンモニウムフルオライド2水和物(0.79g、4.27mmol)のアセトニトリル(20mL)混合物を、撹拌下、60℃で一晩加熱する。揮発物を真空下で除去し、残渣をCHCl中に取り、その後有機層を飽和水性NaHCOおよび飽和NHClで洗浄する。有機をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮する。高真空下で濃縮し、表題化合物を立体配置のジアステレオマー約1:1混合物として得る。無色油状物。TLC、R(CHCl/MeOH 97:3)=0.23。RP−HPLC:t=4.98および5.06分(Nucleosil C18-HD、5−100% CHCN/HO/6分、100% CHCN/1.5分、0.1% TFAを含むCHCNおよびHO、流速:1.0mL/分)。MS: 465.2 [M+H]+.
【0164】
J. (3S*,4R*)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
(3S*,4R*)−3−アミノ−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(150mg、0.323mmol)、ベンジルクロロホルメート(55μL、0.39mmol)およびトリエチルアミン(54μL、0.39mmol)のCHCl(4mL)混合物を室温で一晩撹拌する。CHClで希釈後、有機層を1M 水性HCl(5mL)、飽和NaHCOおよび塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離剤 グラジエント:ヘキサン/EtOAc 8:2から7:3)、表題化合物を無色油状物として得る。TLC、R(ヘキサン/EtOAc 1:1)=0.65. RP−HPLC:t=6.49分(Nucleosil C18-HDカラム、5−100% CHCN/HO/6分、100% CHCN/1.5分、0.1% TFAを含むCHCNおよびHO、流速:1.0mL/分)。MS: 599.1 [M+H]+ .
【0165】
実施例2: N−((3S*,4R*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−3−イル)−C−フェニル−メタンスルホンアミド
【化26】

表題化合物を、実施例1に記載の方法によって、ジオキサン(0.74mL、2.94mmol)中(3S*,4R*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−3−フェニルメタンスルホニルアミノ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(182mg、0.294mmol)および4M HClから出発して製造する。高真空下で一晩凍結乾燥させた後、表題化合物をモノヒドロクロライド塩として得る。白色粉末。TLC、R (CHCl/MeOH/濃NH 90:10:1)=0.48。RP−HPLC:t=4.94分(Nucleosil C18-HDカラム、10−100% CHCN/HO/5分、100% CHCN/3分、0.1% TFAを含むCHCNおよびHO、流速:1.5mL/分;カラム:4×70mm;粒度3μm)。MS: 519.2 [M+H]+.
【0166】
出発物質を下記のとおり製造する(スキーム2):
A. (3S*,4R*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−3−フェニルメタンスルホニルアミノ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
(3S*,4R*)−3−アミノ−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(175mg、0.377mmol)、α−トルエンスルホニルクロライド(86mg、0.452mmol)およびトリエチルアミン(63μL、0.452mmol)のCHCl(4mL)混合物を室温で一晩撹拌する。CHClで希釈後、有機層を1M 水性HCl(5mL)、飽和NaHCOおよび塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離剤 グラジエント:ヘキサン/EtOAc 8:2から7:3)、表題化合物を無色油状物として得る。TLC、R(ヘキサン/EtOAc 1:1)=0.51。RP−HPLC:t=6.49分(Nucleosil C18-HDカラム、5−100% CHCN/HO/6分、100% CHCN/1.5分、0.1% TFAを含むCHCNおよびHO、流速:1.0mL/分)。MS: 619.0 [M+H]+ .
【0167】
スキーム2
【化27】

【0168】
実施例3: ((3S*,4R*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−3−イル)−カルバミン酸テトラヒドロピラン−4−イルメチルエステル
【化28】

表題化合物を、実施例1と同様の流れで、(3S*,4R*)−3−アミノ−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルから出発して製造した。MS: 507.2 [M+H]+.
【0169】
実施例4: ((3S*,4R*)−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−3−イル)−カルバミン酸 テトラヒドロ−ピラン−4−イルエステル
【化29】

表題化合物を、実施例1と同様の流れで、(3S*,4R*)−3−アミノ−4−{(R)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルから出発して製造した。MS: 493.3 [M+H]+ .
【0170】
製剤例1:軟カプセル剤
各々上記実施例の何れか1個に記載の式(I)の化合物の何れか1種の有効成分0.05gを含む5000個の軟ゼラチンカプセル剤を、下記のとおり製造する:
1. 組成
有効成分 250g
ラウログリコール 2リットル
製造方法:粉末の有効成分をラウログリコール(登録商標)(プロピレングリコールラウレート、Gattefosse S.A., Saint Priest, France)に懸濁し、湿潤粉砕機で粉砕して、粒度約1から3μmとした。混合物0.419g部を軟ゼラチンカプセルに、カプセル充填機を用いて導入する。
【0171】
製剤例2:式(I)の化合物を含む錠剤
有効成分として上記実施例の何れか1個に記載の式(I)の化合物のいずれか1種100mgを含む錠剤を、下記組成で、標準的な方法によって製造する:
組成
有効成分 100mg
結晶ラクトース 240mg
Avicel 80mg
PVPPXL 20mg
Aerosil 2mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
447mg
製造:有効成分を担体物質と混合し、打錠機(Korsch EKO、スタンプ径10mm)で圧縮する。
【0172】
Avicel(登録商標)は微結晶セルロース(FMC, Philadelphia, USA)である。PVPPXLは架橋ポリビニルピロリドン(BASF, Germany)である。Aerosil(登録商標)はシリコンジオキシド(Degussa, Germany)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
は置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
は水素、アルコキシ、アルキル、ヒドロキシまたはハロゲンであり;
は水素またはアルキルであり;
は水素、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
XはCHまたはOであり;
Yは−(CO)−、−S(O)−または−C(O)O−であり;そして
Arは置換もしくは非置換単環もしくは二環式アリールまたは置換もしくは非置換単環もしくは二環式芳香族性ヘテロシクリルである〕
の化合物またはその塩。
【請求項2】
が置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
が水素、アルコキシ、アルキル、ヒドロキシまたはハロゲンであり;
が水素またはアルキルであり;
が水素、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
が置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、非置換もしくは置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
XがCHまたはOであり;
Yが−(CO)−、−S(O)−または−C(O)O−であり;そして
Arが置換もしくは非置換単環もしくは二環式アリールまたは置換もしくは非置換単環もしくは二環式芳香族性ヘテロシクリルであり;
ここで、本請求項の上記各場合において、
置換もしくは非置換アリールが、6から22個の炭素原子を有する単環もしくは多環式、とりわけ単環式、二環式、三環式アリール、とりわけフェニル、ナフチル、インデニルまたはフルオレニルであり、そして非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個の、好ましくは下記群から独立して選択される基で置換されており:
− 式−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−H
〔式中、C−アルキレンは結合アルキレンの代わりに結合が存在することを意味し、
rおよびsは互いに独立して0または1であり、XおよびYは存在するとき、互いに独立して−O−、−NV−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−NV−CO−;−CO−NV−;−NV−SO−、−SO−NV;−NV−CO−NV−、−NV−CO−O−、−O−CO−NV−、−NV−SO−NV−(ここで、Vは水素またはとりわけC−C−アルキルから選択される置換もしくは非置換アルキルであるか、またはフェニル、ナフチル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルおよびハロ−C−C−アルキルである)である〕
の置換基{ここで、当該置換基−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−Hは好ましくは、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、(N−)モノ−もしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−O−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−SO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、N−モノ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−カルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシカルボニル、アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、(N−)モノ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイルおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノスルホニルである};
− C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、フェニル、ナフチル、シクロアルキル、好ましくはピロリル、フラニル、チエニル、ピリミジン−2,4−ジオン−1−、−3−もしくは−5−イルおよびベンゾ[1,3]−ジオキソリルから選択されるヘテロシクリル、フェニル−もしくはナフチル−もしくはヘテロシクリル−C−C−アルキル(ここで、ヘテロシクリルは好ましくは、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリミジン−2,4−ジオン−1−、−3−もしくは−5−イルおよびベンゾ[1,3]−ジオキソリル、例えばベンジルもしくはナフチルメチルから選択される)、ハロ−C−C−アルキル、フェニルオキシ−もしくはナフチルオキシ−C−C−アルキル、シクロアルキル−C−C−アルキル、ヘテロシクリル−C−C−アルキル、フェニル−C−C−アルコキシ−もしくはナフチル−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、シクロアルキル−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ヘテロシクリル−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ジ−(ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、モノ−もしくはジ−(ヘテロシクリル−、シクロアルキル−、ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、モノ−もしくはジ−(ヘテロシクリル−、シクロアルキル−、ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、ベンゾイル−もしくはナフトイルアミノ−C−C−アルキル、シクロアルキル−COアミノ−C−C−アルキル、ヘテロシクリル−COアミノ−C−C−アルキル、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ−C−C−アルキル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、シクロアルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、ヘテロシクリルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、シクロアルキル−C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、ヘテロシクリル−C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルキル、ハロ、ヒドロキシ、フェニル−C−C−アルコキシ(ここで、フェニルは非置換であるか、またはC−C−アルコキシおよび/またはハロで置換されている)、ハロ−C−C−アルコキシ、シクロアルキル−C−C−アルコキシ、ヘテロシクリル−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、シクロアルキル−C−C−アルキルオキシ、ヘテロシクリル−C−C−アルキルオキシ、ベンゾイル−もしくはナフトイルオキシ、ハロ−C−C−アルキルチオ、フェニル−もしくはナフチルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルチオ、シクロアルキル−C−C−アルキルチオ、ヘテロシクリル−C−C−アルキルチオ、ベンゾイル−もしくはナフトイルチオ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、モノ−もしくはジ−(ヘテロシクリル−、シクロアルキル−、ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、ベンゾイル−もしくはナフトイルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、シクロアルキルスルホニルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、ヘテロシクリル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシル、C−C−アルキル−カルボニル、ハロ−C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、アミノ−C−C−アルキルカルボニル、(N−)モノ−もしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキルカルボニル、N−モノもしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、ハロ−C−C−アルコキシカルボニル、フェニル−もしくはナフチルオキシカルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、N−モノもしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノもしくはN,N−ジ−(ヘテロシクリル−、シクロアルキル−、ナフチル−もしくは−フェニル−)−アミノカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(ヘテロシクリル−、シクロアルキル−、ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノカルボニル、シアノ、C−C−アルキレン(これは非置換であるか、または4個までのC−C−アルキル置換基で置換されており、アリール基の隣接する2個の環原子に結合している)、C−C−アルケニレンもしくは−アルキニレン(これはアリール基の隣接する2個の環原子と結合している)、スルフェニル、スルフィニル、C−C−アルキルスルフィニル、フェニル−もしくはナフチルスルフィニル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、シクロアルキルスルフィニル、ヘテロシクリルスルフィニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルフィニル、シクロアルキル−C−C−アルキルスルフィニル、ヘテロシクリル−C−C−アルキルスルフィニル、スルホニル、C−C−アルキルスルホニル、ハロ−C−C−アルキルスルホニル、ヒドロキシ−C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルスルホニル、アミノ−C−C−アルキルスルホニル、N−モノもしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキルスルホニル、フェニル−もしくはナフチルスルホニル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、シクロアルキルスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニル、シクロアルキル−C−C−アルキルスルホニル、ヘテロシクリル−C−C−アルキルスルフィニル、スルファモイルおよびN−モノもしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル、フェニル−、ナフチル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、フェニル−C−C−アルキルおよび/またはナフチル−C−C−アルキル、ヘテロシクリル−C−C−アルキル、シクロアルキル−C−C−アルキル)−アミノスルホニル;
置換もしくは非置換ヘテロシクリルが、好ましくは3から22個(より好ましくは3から14個)の環原子を有し、そして1個以上、好ましくは1から4個の、窒素(=N−、−NH−もしくは置換−NH−)、酸素、硫黄(−S−、S(=O)−もしくはS−(=O)−)から独立して選択されるヘテロ原子を有する、単環もしくは二環式、不飽和、部分飽和もしくは飽和環系{これは、非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの、好ましくはアリールについて上記の置換基およびオキソから独立して選択される、好ましくは下記群
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

(各場合において、NHが存在するとき、Hは各ヘテロシクリル部分と残りの分子を結合しているアスタリスクを有する結合で置換されていてもよく、および/またはHは置換基で置換されていてもよい)
の基から選択される置換基で置換されている}
であり、
置換もしくは非置換シクロアルキルが、単環もしくは多環式、より好ましくは単環式、C−C10−シクロアルキル(これは1個以上の二重(例えばシクロアルケニルにおいて)および/または三重結合(例えばシクロアルキニルにおいて)を含んでいてもよく、そして非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの、好ましくはアリールについて上記の置換基で置換されている)であり;
置換もしくは非置換アルキルが、直鎖または分枝鎖C−C20−アルキル、より好ましくはC−C−アルキル{これは非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの上記置換もしくは非置換アリール、とりわけフェニルまたはナフチル(これは非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの上記置換もしくは非置換アリールから選択される基で置換されており、とりわけフェニルまたはナフチルは各々非置換であるか、または置換もしくは非置換アリールについて上記のとおり置換されている)で置換されている}、上記置換もしくは非置換ヘテロシクリル、とりわけピロリル、フラニル、チエニル、ピリミジン−2,4−ジオン−1−、−2−、−3−もしくは−5−イルおよびベンゾ[1,3]ジオキソリル(これらは各々非置換であるか、または置換もしくは非置換ヘテロシクリルについて上記のとおり置換されている);上記置換もしくは非置換シクロアルキル、とりわけシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル(これらは各々非置換であるか、または置換もしくは非置換シクロアルキルについて上記のとおり置換されている);C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ハロ−C−C−アルコキシ、例えばトリフルオロメトキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ベンゾイル−もしくはナフトイルオキシ、C−C−アルキルチオ、ハロ−C−C−アルコチオ、例えばトリフルオロメチルチオ、ヒドロキシ−C−C−アルキルチオ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルチオ、フェニル−もしくはナフチルチオ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルチオ、C−C−アルカノイルチオ、ベンゾイル−もしくはナフトイルチオ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキルおよび/またはC−C−アルコキシ−C−C−アルキル)−アミノ、モノ−もしくはジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、ベンゾイル−もしくはナフトイルアミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシル、C−C−アルキル−カルボニル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチルオキシカルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(アルキル、ナフチル、フェニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ナフチル−、ヘテロシクリル−、シクロアルキル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノカルボニル、シアノ、C−C−アルケニレンもしくは−アルキニレン、C−C−アルキレンジオキシ、スルフェニル、スルフィニル、C−C−アルキルスルフィニル、フェニル−もしくはナフチルスルフィニル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、シクロアルキルスルフィニル、ヘテロシクリルスルフィニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルフィニル、シクロアルキル−C−C−アルキルスルフィニル、ヘテロシクリル−C−C−アルキルスルフィニル、スルホニル、C−C−アルキルスルホニル、フェニル−もしくはナフチルスルホニル(ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、または1個以上、とりわけ1から3個のC−C−アルキル基で置換されている)、シクロアルキルスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニル、シクロアルキル−C−C−アルキルスルホニル、ヘテロシクリル−C−C−アルキルスルホニル、スルファモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(アルキル、ナフチル、フェニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ナフチル−、ヘテロシクリル−、シクロアルキル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノスルホニル、N−モノ−、N’−モノ−、N,N−ジ−もしくはN,N,N’−トリ−(C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキルおよび/またはC−C−アルコキシ−C−C−アルキル)−アミノカルボニルアミノおよびN−モノ−、N’−モノ−、N,N−ジ−もしくはN,N,N’−トリ−(C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキルおよび/またはC−C−アルコキシ−C−C−アルキル)アミノスルホニルアミノである、
請求項1の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
がC−C−アルキルまたはC−C10−シクロアルキルである、請求項1または2の式(I)の化合物。
【請求項4】
およびRが互いに独立して水素である、請求項1から3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
が水素またはC−C10−シクロアルキルである、請求項1から4のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
が置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、非置換もしくは置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換シクロアルキル(ここで、これらは各々非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの下記群から選択される置換基で置換されている:
ハロ、フェニルまたはナフチル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキル−スルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)スルファモイルおよびシアノ)
である、請求項1から5のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
がC−C−アルキル(これは非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの下記群から選択される置換基で置換されている:
ハロ、フェニルまたはナフチル、O、NまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5−10員単環もしくは二環式ヘテロシクリル;ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキル−スルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)スルファモイルおよびシアノ)
である、請求項1から6のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
がメチル(これは非置換であるか、または1個以上、例えば3個までの、フェニルまたはテトラヒドロピラニルから選択される置換基で置換されている)である、請求項1から7のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
R5がヘテロシクリル(これは非置換であるか、または1から3個の、ハロ、フェニルまたはナフチル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキル−スルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)スルファモイルおよびシアノから成る群から選択される置換基で置換されている)である、請求項1から8のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
R5がテトラヒドロピラニル(これは非置換であるか、または1から3個の、ハロ、フェニルまたはナフチル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキル−スルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチルスルホニルアミノ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、フェニル−もしくはナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシ、ニトロ、カルボキシル、C−C−アルコキシ−カルボニル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル−、フェニル−、ナフチル−、フェニル−C−C−アルキル−もしくはナフチル−C−C−アルキル−)スルファモイルおよびシアノから成る群から選択される置換基で置換されている)である、請求項1から9のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
XがCHである、請求項1から10のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
Yが−S(O)−である、請求項1から11のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
Yが−C(O)O−である、請求項1から12のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
Arがフェニル、ナフチル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、キノリニル、好ましくはフェニルまたはインドリル(ここで、これらは各々非置換であるか、または下記群から選択される1個以上、例えば3個までの置換基で置換されている:
− 式−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−H
〔式中、C−アルキレンは結合アルキレンの代わりに結合が存在することを意味し、
rおよびsは互いに独立して0または1であり、XおよびYは存在するとき、互いに独立して−O−、−NV−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−NV−CO−;−CO−NV−;−NV−SO−、−SO−NV;−NV−CO−NV−、−NV−CO−O−、−O−CO−NV−、−NV−SO−NV−(ここで、Vは水素またはとりわけC−C−アルキルから選択される下記定義の置換もしくは非置換アルキルであるか、またはフェニル、ナフチル、フェニル−もしくはナフチル−C−C−アルキルおよびハロ−C−C−アルキルである)である〕
の置換基;ここで、当該置換基−(C−C−アルキレン)−(X)−(C−C−アルキレン)−(Y)−(C−C−アルキレン)−Hは好ましくは、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、(N−)モノ−もしくは(N,N−)ジ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル)−アミノ−C−C−アルキル、モノ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−O−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−CO−NH−C−C−アルキル、C−C−アルキル−NH−SO−NH−C−C−アルキル;C−C−アルコキシ、ヒドロキシ−C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−Cアルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、モノ−もしくはジ−(C−C−アルキル)−アミノ、モノ− ジ−(ナフチル−もしくはフェニル−C−C−アルキル)−アミノ、N−モノ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルコキシ−カルボニル、ハロ−C−C−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシカルボニル、アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、(N−)モノ−(C−C−アルキル)−アミノ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルコキシカルボニル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノカルボニル、N−C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルバモイルおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノスルホニルである)
である、請求項1から13のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
式(IA)
【化7】

〔式中、R、R、R、R、R、X、YおよびArは請求項1〜14のいずれかに定義のとおりである〕
を有する、請求項1〜14のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
式(IB)
【化8】

、式(IC)
【化9】

または式(ID)
【化10】

〔式中、R、R、R、R、R、X、YおよびArは請求項1〜15のいずれかに定義のとおりである〕
を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
温血動物の診断的または治療的処置に用いるための、請求項1〜16のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
レニンの活性に依存する疾患/傷害の処置における請求項17に記載の使用のための、請求項1〜17のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
レニンの活性に依存する疾患の処置用医薬組成物の製造のための、請求項1〜17のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項20】
レニンの活性に依存する疾患の処置のための、請求項1〜17のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および少なくとも1種の薬学的に許容される担体物質を含む医薬製剤。
【請求項22】
レニンの活性に依存する疾患を処置する方法であって、かかる処置を必要とする温血動物、とりわけヒトに、薬学的有効量の請求項1〜17のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項23】
請求項1〜17のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって
i)式II
【化11】

〔式中、R、R、R、XおよびArが請求項1〜17のいずれかにおいて式(I)の化合物について定義のとおりであり、PGは保護基である〕
の酸をジフェニルリンアジドと、塩基、トリ−低級アルキルシリルエタノールの存在下で反応させて、式(III)
【化12】

〔式中、R、R、R、X、ArおよびPGは式(II)の化合物について定義のとおりであり、AlkはC1−4−アルキルである〕
の対応する保護アミノ化合物を得る工程;
ii)続いてトリ−低級アルキルシリルエトキシ基を除去して、式IV
【化13】

〔式中、R、R、R、X、ArおよびPGは式(II)の化合物について定義のとおりである〕
のアミノ化合物を得る工程;
iii)式(IV)の化合物を式(V)
R5−Y−Z (V)
〔式中、RおよびYは請求項1〜17のいずれかにおいて式(I)の化合物について与えられた意味を有し、Zは脱離基である〕
の化合物と反応させて、式(VII)
【化14】

〔式中、R、R、R、R、X、Y、ArおよびPGは式(II)または(V)の化合物それぞれについて定義のとおりである〕
の化合物を得る工程;および
iv)保護基PGを除去して、対応する式(I)(式中、R、R、R、R、X、YおよびArは請求項1〜17のいずれかに定義のとおりである)の化合物を得る工程
を含む方法。
【請求項24】
R2がヒドロキシである、請求項1〜17のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって:
i)式(VIII)
【化15】

〔式中、R、R、R、Yは請求項1〜17のいずれかにおいて式(I)の化合物について定義のとおりであり、PGは保護基である〕
の化合物を酸化して式(IX)
【化16】

〔式中、R、R、R、YおよびPGは請求項1〜17のいずれかにおいて式(I)の化合物について定義のとおりであり、PGは保護基である〕
の化合物を得る工程;
ii)式(IX)の化合物を式(X)
Ar−X−CHR−CH−Mg−Hal (X)
〔式中、R、ArおよびXは請求項1〜17のいずれかにおいて式(I)の化合物について定義のとおりであり、Halはハロである〕
の金属試薬と反応させて、保護基PGを除去し、対応する式(I)(R、R、R、X、YおよびArは請求項1〜17のいずれかに定義のとおりである)の化合物を得る工程
を含む方法。
【請求項25】
所望により、
− 得られる式(I)の化合物またはその保護形態を、異なる式(I)の化合物に変換する工程;
− 得られる塩形の式(I)の化合物を遊離化合物または異なる塩形に変換する工程;
− 得られる遊離形の式(I)の化合物をその塩形に変換する工程;および/または
− 得られる式(I)の化合物の異性体の混合物を個々の異性体に分離する工程;
の1個以上を引き続き行なう、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
出発物質のいずれかにおいて、特定の保護基PGに加えて、さらなる保護基が存在していてもよく、そして保護基を適当な段階で除去して対応する式(I)の化合物またはその塩を得る、請求項23から25のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−539905(P2009−539905A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514690(P2009−514690)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005131
【国際公開番号】WO2007/144129
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】