説明

レニン阻害剤

本発明は、次の構造式:


によって表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤または薬学的に許容されるその塩を対象とする。本発明は、構造式(I)のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を含む薬剤組成物も対象とする。これらのアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を使用して、それを必要とする対象において1種または複数のアスパラギン酸プロテアーゼに拮抗する方法、および対象においてアスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される障害を治療する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2006年9月18日に出願された、米国仮出願第60/845,291号の利益を主張する。上記の出願の教示全体は、参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
レニン、β−セクレターゼ(BACE)、HIVプロテアーゼ、HTLVプロテアーゼおよびプラスメプシンIおよびIIを含めたアスパラギン酸プロテアーゼは、多くの疾患状態に関与する。高血圧において、アンジオテンシノーゲンのレニン触媒による開裂の産生物である高レベルのアンジオテンシンIが存在する。アミロイド前駆体タンパクへのBACE活性の産生物である高レベルのβアミロイドは、アルツハイマー病患者の脳に存在するアミロイド斑の原因であると広く考えられている。HIVウイルスおよびHTLVウイルスは、ウイルス成熟について、それらのそれぞれのアスパラギン酸プロテアーゼに依存する。熱帯熱マラリア原虫は、プラスメプシンIおよびIIを用いてヘモグロビンを分解する。
【0003】
レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)においては、生物活性ペプチドのアンジオテンシンII(AngII)は、2段階機構により産生される。高度に特異的なアスパラギン酸プロテアーゼのレニンは、アンジオテンシノーゲンを開裂してアンジオテンシンI(AngI)にし、これは、次いで、より特異的ではないアンジオテンシン変換酵素(ACE)によって、さらに処理されてAngIIになる。AngIIは、ATおよびATと呼ばれる少なくとも2つの受容体サブタイプに作用することが知られている。ATは、AngIIの既知の機能の大部分を伝えると考えられるが、ATの役割は、いまだ知られていない。
【0004】
RAASの調節は、心臓血管疾患の治療における大きな進歩を意味する(非特許文献1)。ACE阻害剤およびAT遮断薬は、高血圧の治療薬として受け入れられている(Berkenhager W.H.、Reid J.L.(編): Hypertension,Amsterdam,Elsevier Science Publishing Co、1996年、489〜519頁におけるWaeber B.ら、「The renin−angiotensin system: role in experimental and human hypertension」;Weber M.A.,Am.J.Hypertens.、1992年、5巻、247S頁)。さらに、ACE阻害剤は、腎臓保護(Rosenberg M.E.ら、Kidney International、1994年、45巻、403頁;Breyer J.A.ら、Kidney International、1994年、45巻、S156頁)のために、うっ血性心不全(Vaughan D.E.ら、Cardiovasc.Res.、1994年、28巻、159頁;Fouad−Tarazi F.ら、Am.J.Med.、1988年、84巻(Suppl.3A)、83頁)および心筋梗塞(Pfeffer M.A.ら、N Engl.J: Med、1992年、327巻、669頁)の予防に使用される。
【0005】
レニン阻害剤の開発の興味は、レニンの特異性に由来する(非特許文献2)。唯一公知のレニンの基質は、アンジオテンシノーゲンであり、唯一レニンによって(生理条件下で)処理され得る。対照的に、ACEは、AngIに加えてブラジキニンも開裂することができ、セリンプロテアーゼのキマーゼによって回避され得る(非特許文献3)。患者においては、ACEの阻害は、したがって、ブラジキニン蓄積をもたらし、咳(5〜20%)および潜在的に生命にかかわる血管運動神経性浮腫(0.1〜0.2%)を引き起こす(非特許文献4)。キマーゼは、ACE阻害剤によって阻害されない。したがって、AngIIの形成は、ACE阻害剤で治療される患者においてなお可能である。AT1受容体の遮断(例えば、ロサルタンによって)は、他方では、AngIIに対して他のAT受容体サブタイプを過剰に露出し、その濃度は、AT1受容体の遮断によって劇的に増加される。要約すれば、レニン阻害剤は、安全性に関してばかりでなく、さらに重要なことにはRAASの遮断におけるその効力に関してACE阻害剤およびAT遮断薬よりも優れていることが予想される。
【0006】
そのペプチド模倣性の特性が、不十分な経口活性(非特許文献2)を与えるために、レニン阻害剤については限定された臨床経験(非特許文献5;非特許文献6)しか生成されていない。数種の化合物の臨床開発は、製品の高コストと共に、この問題のために停止されている。1種の化合物のみ、臨床試験に入ったようである(非特許文献7;非特許文献8)。したがって、大規模に調製し得る、代謝的に安定で、経口投与可能かつ十分に可溶性のレニン阻害剤は、使用可能ではない。最近、高いインビトロ活性を示す最初の非ペプチドレニン阻害剤が記載された(非特許文献9;特許文献1;非特許文献10)。本発明は、非ペプチド性の低分子量のレニン阻害剤の予想外の確認に関する。組織のレニン−キマーゼ系が、活性化されて、腎臓、心臓および血管リモデリング、アテローム性動脈硬化、および再狭窄などの病態生理学的に改変された局所機能をもたらし得る、血圧調節の及ばない適応症において活性でかつ、経口で有効なレニン阻害剤を記載する。
【0007】
本明細書に引用される全ての文献は、参照により組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第97/09311号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Zaman,M.A.ら Nature Reviews Drug Discovery 2002年、1巻、621〜636頁
【非特許文献2】Kleinert H.D.、Cardiovasc.Drugs、1995年、9巻、645頁
【非特許文献3】Husain A.、J.、Hypertens.、1993年、11巻、1155頁
【非特許文献4】Israili Z.H.ら、Annals of Internal Medicine、1992年、117巻、234頁
【非特許文献5】Azizi M.ら、J.Hypertens.、1994年、12巻、419頁
【非特許文献6】Neutel J.M.ら、Am.Heart、1991年、122巻、1094頁
【非特許文献7】Rahuel J.ら、Chem.Biol.、2000年、7巻、493頁
【非特許文献8】Mealy N.E.,Drugs of the Future、2001年、26巻、1139頁
【非特許文献9】Oefner C.ら、Chem.Biol、1999年、6巻、127頁
【非特許文献10】Maerki H.P.ら、Il Farmaco、2001年、56巻、21頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であり、構造式(I):
【0011】
【化1】

によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
は、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
は、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、またはアルカンスルホニルであり;
nは、0、1、2、または3である。
【0012】
本発明の別の実施形態は、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であり、構造式(II):
【0013】
【化2】

によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩である。
【0014】
本発明の別の実施形態は、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であり、構造式(IIa):
【0015】
【化3】

によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩であり、ここで、該化合物は、少なくとも90%光学的に純粋である。
【0016】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される担体または希釈剤および本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤(例えば、構造式(I)、(II)、(IIa)によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩)を含む薬剤組成物である。上記薬剤組成物は、例えば、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される障害を阻害するための治療に使用される。
【0017】
本発明の別の実施形態は、このような治療を必要とする対象において1種または複数のアスパラギン酸プロテアーゼに拮抗する方法である。上記方法は、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤(例えば、構造式(I)、(II)、(IIa)によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩)の有効量を上記対象に投与することを含む。
【0018】
本発明の別の実施形態は、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される障害の治療方法である。上記方法は、対象に有効量の本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤(例えば、構造式(I)、(II)、(IIa)により表される化合物または薬学的に許容されるその塩)を投与することを含む。
【0019】
本発明の別の実施形態は、このような治療を必要とする対象における1種または複数のプロテアーゼに拮抗するための薬剤の製造のための、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤(例えば、構造式(I)、(II)、(IIa)により表される化合物または薬学的に許容されるその塩)の使用である。
【0020】
本発明の別の実施形態は、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される障害を治療するための薬剤の製造のための、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤(例えば、構造式(I)、(II)、(IIa)により表される化合物または薬学的に許容されるその塩)の使用である。
【0021】
本発明の別の実施形態は、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される障害の治療などの療法のための、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤(例えば、構造式(I)、(II)、(IIa)により表される化合物または薬学的に許容されるその塩)の使用である。構造式(I)の変項の値は、上記に記載されたとおりである。
【0022】
本発明の別の実施形態は、高血圧、うっ血性心不全、心臓肥大、心臓線維症、梗塞後心筋症、ネフロパシー、血管障害および神経障害、冠状血管の疾患、術後高血圧、血管形成術後の再狭窄、高眼圧、緑内障、異常な血管増殖、高アルドステロン症、不安状態、または認識障害を有する患者を治療するための、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤(例えば、構造式(I)、(II)、(IIa)により表される化合物または薬学的に許容されるその塩)の使用であり、ここで、構造式(I)の変項の値は、上記に記載されたとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】化合物7のパモ酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図2】化合物7の1mg/kg、3mg/kgまたは10mg/kgを処置したトランスジェニックラットの平均動脈圧の変化を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、構造式(I)により表されるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、または薬学的に許容されるその塩を対象とする。
【0025】
別の実施形態においては、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、構造式(Ia):
【0026】
【化4】

または薬学的に許容されるその塩により表される。
【0027】
構造式(I)および(Ia)における変項の値および特定の値は、次のとおり定義される。
【0028】
は、アルキル、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)またはシクロアルキルアルキル(例えば、シクロプロピル(C〜C)アルキル)であり;より具体的には、Rは、(C〜C)アルキルであり;さらにより具体的には、Rは、メチルであり;
は、Hまたはアルキルであり;より具体的には、Rは、Hまたは(C〜C)アルキルであり;さらにより具体的には、Rは、Hまたはメチルであり;
は、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、またはアルカンスルホニルであり;より具体的には、Rは、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシ、または(C〜C)アルカンスルホニルであり;さらにより具体的には、Rは、F、Cl、またはメチルであり;
nは、0、1、2、または3であり;より具体的には、nは、0、1、または2であり;さらにより具体的には、nは、1または2である。
【0029】
特定の実施形態においては、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、構造式(I)または(Ia)によって表され、ここで、Rは、(C〜C)アルキルであり;Rは、Hまたは(C〜C)アルキルであり;Rは、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシ、または(C〜C)アルカンスルホニルであり;nは、0、1、2、または3である。
【0030】
別の特定の実施形態においては、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、構造式(I)または(Ia)によって表され、ここで、Rは、メチルであり、Rは、Hまたはメチルであり;他の変項の値および特定の値は、式(I)および(Ia)について上記に定義されたとおりである。別の特定の実施形態においては、Rは、メチルであり、Rは、Hまたはメチルであり;Rは、F、Clまたはメチルであり;他の変項の値および特定の値は、式(I)および(Ia)について上記に定義されたとおりである。
【0031】
別の特定の実施形態においては、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、次の化合物またはその鏡像異性体もしくはジアステレオ異性体の1種である。同様に含まれるのは、次のものおよびその鏡像異性体またはジアステレオ異性体の全ての薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば、水和物)である。
【0032】
【表1−1】

【0033】
【表1−2】

【0034】
【表1−3】

本発明の別の実施形態は、構造式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)または(IIId)およびその塩(好ましくは、薬学的に許容される塩)によって表される、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の合成のための中間体を対象とする。
【0035】
【化5】

構造式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)においては、Eは、Hまたはアミン保護基である。アミン保護基には、当技術分野で知られるカルバメート、アミド、およびスルホンアミド保護基(T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」John Wiley & Sons,Inc.,New York 1999年)が含まれ、この全体の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。特定のアミン保護基には、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および1−[2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル](Teoc)が含まれる。より具体的には、アミン保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。Rの値および特定の値は、構造式(I)について記載されたとおりである。
【0036】
特定の実施形態においては、中間体は、次の化合物またはその鏡像異性体もしくはジアステレオ異性体のそれぞれである。次のものの全ての薬学的に許容される塩も含まれる。
【0037】
【表2】

任意の変項(例えば、R)が、化合物に2回以上出現する場合、それぞれの出現におけるその定義は、任意の他の出現から独立している。例えば、Rは、それぞれの出現について、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、およびアルカンスルホニルからなる群から独立に選択される。
【0038】
本発明の「アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤」が、挙げられるか、または構造により表される場合、薬学的に許容されるその塩も含まれる。
【0039】
単独または別の部分(シクロアルキルアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキルまたはアルコキシなどの)の一部の「アルキル」は、飽和脂肪族分枝または直鎖一価または二価炭化水素基を意味する。アルキルは、一般に、1から6個の炭素原子、典型的には、1から3個の炭素原子を有する。したがって、「(C〜C)アルキル」は、直鎖または分枝配列の1〜3個の炭素原子を有する基を意味する。「(C〜C)アルキル」には、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルが含まれる。
【0040】
単独または別の部分(シクロアルキルアルキルなどの)の一部の「シクロアルキル」は、飽和脂肪族環式一価炭化水素基を意味する。典型的には、シクロアルキルは、3から10個の炭素原子を有し、単環式、二環式または三環式である。三環式シクロアルキルは、縮合、または架橋することができる。典型的には、シクロアルキルは、C〜C単環式であり、より一般的には、シクロプロピルである。
【0041】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル基で置換されたアルキル基を意味する。
【0042】
「ハロアルキル」には、モノ、ポリ、およびパーハロアルキル基が含まれ、ここで、ハロゲンは、フッ素、塩素、および臭素から独立に選択される。
【0043】
「アルコキシ」は、酸素連結原子を介して結合したアルキル基を意味する。「(C〜C)アルコキシ」には、メトキシ、エトキシ、およびプロポキシが含まれる。
【0044】
「ハロアルコキシ」は、酸素リンカーを介して別の部分に結合しているハロアルキル基である。
【0045】
「アルカンスルホニル」は、
【0046】
【化6】

のリンカー基を介して結合したアルキル基である。「(C〜C)アルカンスルホニル」には、メタンスルホニル、エタンスルホニルおよびプロパンスルホニルが含まれる。
【0047】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤のいくつかは、種々の互変異性体で存在し得る。本発明は、構造的に表されていないものを含めて、全てのこのような形態を包含する。
【0048】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤のいくつかは、種々の立体異性体で存在し得る。立体異性体は、その立体配置においてのみ異なる化合物である。鏡像異性体は、最も一般的には、それらが、キラル中心として作用する非対称に置換された炭素原子を含むために、その鏡像が、重ね合わせることができない一対の立体異性体である。「鏡像異性体」は、互いの鏡像であり、重ね合わせすることができない一対の分子の一方を意味する。ジアステレオ異性体は、最も一般的には、それらが、2個以上の非対称に置換された炭素原子を含むために、鏡像として関連性のない立体異性体である。「R」および「S」は、1個または複数のキラル炭素原子の周りの置換基の配置を表す。キラル中心が、RまたはSとして定義されず、キラル中心における配置が、他の方法で定義されない場合、いずれかの配置が、存在し得るか、または両方の配置の混合物が存在する。
【0049】
「ラセミ化合物」または「ラセミ混合物」は、2つの鏡像異性体の等モル量の化合物を意味し、ここで、このような混合物は、光学活性を示さない、すなわち、それらは、偏光面を回転しない。
【0050】
「R」および「S」は、コア分子に関しての配置を表す。
【0051】
【化7】

を表し、ここで、示された鏡像異性体(例えば、
【0052】
【化8】

)は、少なくとも60%、70%、80%、90%、99%または99.9%光学的に純粋である。
【0053】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、異性体特異的な合成によってまたは異性体混合物から分割されて単一の異性体として調製し得る。通常の分割技術には、光学活性酸を使用して異性体対の各異性体の遊離塩基の塩を形成すること(次いで分別晶出および遊離塩基の再生成)、光学活性アミンを使用して異性体対の各異性体の酸形態の塩を形成すること(次いで、分別晶出および遊離酸の再生成)、光学的に純粋な酸、アミンまたはアルコールを使用して異性体対の各異性体のエステルまたはアミドを形成すること(次いで、クロマトグラフ分離およびキラル補助基の除去)、あるいは種々の公知のクロマトグラフ法を使用して出発原料または最終生成物のいずれかの異性体混合物を分割することが含まれる。
【0054】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の立体化学が、挙げられるか、または構造により表される場合、挙げられたまたは表された立体異性体は、他の立体異性体と比べて少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%または99.9重量%純粋である。単一の鏡像異性体が、挙げられるか、または構造により表される場合、挙げられたまたは表された鏡像異性体は、少なくとも60%、70%、80%、90%、99%または99.9%光学的に純粋である。重量%光学純度は、鏡像異性体の重量およびその光学異性体の重量に対する鏡像異性体の重量の比である。
【0055】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤が、挙げられるか、または立体化学が示されずに構造により示され、阻害剤が、少なくとも1つのキラル中心を有する場合、その名称または構造は、対応する光学異性体を含まない阻害剤の1つの鏡像異性体、阻害剤のラセミ混合物およびその対応する光学異性体に対して1つの鏡像異性体が豊富な混合物を包含することを理解されたい。
【0056】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤が、挙げられるか、または立体化学が示されずに構造により示され、少なくとも2つのキラル中心を有する場合、その名称または構造は、他のジアステレオ異性体を含まないジアステレオ異性体、他のジアステレオ異性体対を含まないジアステレオ異性体の対、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体対の混合物、1つのジアステレオ異性体が、他のジアステレオ異性体に対して豊富であるジアステレオ異性体の混合物および1つのジアステレオ異性体対が、他のジアステレオ異性体対に対して豊富であるジアステレオ異性体対の混合物を包含することを理解されたい。
【0057】
アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の化合物の薬学的に許容される塩は、本発明に含まれる。例えば、アミンまたは他の塩基性基を含むアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の酸性塩は、化合物を適切な有機または無機酸と反応させて、薬学的に許容される陰イオン塩形態を生じることによって得られる。陰イオン塩の例には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グリセプテート(glyceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、およびトリエチオジド塩が含まれる。
【0058】
カルボン酸または他の酸性官能基を含むアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の化合物の塩は、適切な塩基と反応することにより調製し得る。このような薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される陽イオンを提供する塩基と生成することができ、この塩基には、アルカリ金属塩(特に、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属塩(特に、カルシウムおよびマグネシウム)、アルミニウム塩およびアンモニウム塩、ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンジルピペリジン、デヒドロアビエチルアミン、N,N’−ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、コリジン、キニーネ、キノリン、およびリシンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸などの生理学的に許容される有機塩基から生成される塩が含まれる。
【0059】
本発明によれば、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤およびその合成中間体の化合物の薬学的に許容されない塩も含まれる。これらの塩(例えば、TFA塩)は、例えば、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤およびその合成中間体の化合物の精製および単離用に使用し得る。
【0060】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤が、挙げられるか、または構造により示される場合、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の溶媒和物(例えば、水和物)も含まれることを理解されたい。「溶媒和物」は、溶媒分子が、結晶化する間に結晶格子に組み込まれる結晶形態を指す。溶媒和物は、水またはエタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、およびEtOAcなどの非水性溶媒を含み得る。水が、結晶格子に組み込まれる溶媒分子である溶媒和物は、「水和物」と一般的に呼ばれる。水和物には、化学量論的水和物および様々な量の水を含む組成物が含まれる。
【0061】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤が、挙げられるか、または構造により示される場合、化合物またはその薬学的に許容される塩は、その溶媒和物を含めて、結晶形態、非結晶形態またはその混合物で存在し得ることを理解されたい。アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤または溶媒和物は、多形(すなわち、様々な結晶形態で出現する能力)も示し得る。これらの様々な結晶形態は、「多形」として一般的に知られている。挙げられるか、または構造で示される場合、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤およびその溶媒和物(例えば、水和物)には、全てのその多形も含まれることを理解されたい。多形は、同じ化学組成を有するが、結晶固体状態の充てん、幾何学的配置、および他の記述的性質が異なる。多形は、したがって、形状、密度、硬さ、変形性、安定性、および溶解特性などの様々な物理的性質を有し得る。多形は、一般的に、様々な融点、IRスペクトル、および粉末X線回折パターンを示し、これらは、同定に使用され得る。当業者は、様々な多形が、例えば、化合物を凝固させるのに使用される条件を変更または調節することによって生成され得ることを理解されよう。例えば、温度、圧力、または溶媒の変化は、様々な多形をもたらし得る。さらに、1つの多形は、特定の条件下で別の多形に自然発生的に変換し得る。
【0062】
関係する分子のいずれかにおける感受性または反応性基を保護することは、合成中に、必要であり、かつ/または望ましくあり得る。代表的な通常の保護基は、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts「Protective Groups in Organic Synthesis」John Wiley & Sons,Inc.,New York 1999年に記載されており、この文献の全体の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。保護基は、当技術分野で公知の方法を使用して付加および除去し得る。
【0063】
本発明の化合物は、アスパラギン酸プロテアーゼ産生物のレベルを減少させることが、疾患状態の治療に有効か、あるいは感染因子がアスパラギン酸プロテアーゼの活性に依存する感染症の治療に有効である障害または疾患の改善または治療に有用である。高血圧においては、アンジオテンシノーゲンのレニンにより触媒された開裂の産生物であるアンジオテンシンIの高濃度が存在する。したがって、本発明の化合物は、高血圧、(急性および慢性)うっ血性心不全などの心不全;左心室機能障害;心臓肥大;心臓線維症;心筋症(例えば、糖尿病性心筋症および梗塞後の心筋症);上室性および心室性不整脈;心房細動;心房粗動;有害な血管リモデリング;心筋梗塞およびその続発症;アテローム性動脈硬化;狭心症(不安定または安定にかかわらず);糖尿病性ネフロパシーなどの腎不全状態;糸球体腎炎;腎線維症;強皮症;糸球体硬化;微小血管合併症、例えば、糖尿病性網膜症;腎血管性高血圧;血管障害;神経障害;ネフロパシー、血管障害、網膜症および神経障害を含めた糖尿病に起因する合併症、冠状血管の疾患、タンパク尿、アルブミン尿、術後高血圧、代謝症候群、肥満、血管形成術後の再狭窄、高眼圧、緑内障、網膜症、異常な血管増殖およびリモデリングを含めた眼疾患および関連する異常、加齢性新生血管黄斑変性症などの血管形成に関連した疾患;高アルドステロン症、不安状態、および認識障害の治療に使用し得る(Fisher N.D.;Hollenberg N.K.Expert Opin.Investig.Drugs.2001年、10巻、417〜26頁)。
【0064】
よく特徴付けられたアスパラギン酸プロテアーゼβセクレターゼ(BACE)活性のアミロイド前駆体タンパクへの活性の産生物であるβアミロイドの高レベルは、アルツハイマー病患者の脳におけるアミロイド斑の発生および進行の原因であると広く考えられている。カンジダアルビカンスの分泌アスパラギン酸プロテアーゼは、その病原毒性と関係がある(Naglik,J.R.;Challacombe,S.J.;Hube,B.Microbiology and Molecular Biology Reviews 2003年、67巻、400〜428頁)。HIVウイルスおよびHTLVウイルスは、ウイルス成熟に関して、それらのそれぞれのアスパラギン酸プロテアーゼに依存する。熱帯熱マラリア原虫は、プラスメプシンIおよびIIを使用してヘモグロビンを分解する。
【0065】
本発明の薬剤組成物は、代わりに、または開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤に加えて、このような化合物または塩のプロドラッグまたは薬学的に活性な代謝産物および1種または複数の薬学的に許容される担体またはそのための希釈剤を含む。
【0066】
本発明には、それを必要とする対象に本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の有効量を投与することを含む、それを必要とする対象にアスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される障害を治療または改善するための治療方法が含まれる。
【0067】
投与方法には、併用形態において治療の過程で異なる時間にまたは同時に、本発明の化合物または組成物の有効量を投与することが含まれる。本発明の方法には、全ての既知の治療レジメンが含まれる。
【0068】
「有効量」は、対象において所望の生物学的反応を引き出す薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)の量を意味する。このような反応には、治療される疾患または障害の症状の軽減が含まれる。このような治療方法における開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の有効量は、約0.01mg/kg/日から約10mg/kg/日、好ましくは、約0.5mg/kg/日から5mg/kg/日である。
【0069】
本発明には、それを必要とする対象において、アスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される慢性障害または疾患または感染症を治療または改善するための組成物の調製のための、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の使用が含まれ、ここで、この組成物は、1種または複数の開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および任意選択の薬学的に許容される担体の混合物を含む。
【0070】
「薬学的に許容される担体」は、動物またはヒトに適切に投与された場合、有害反応を生じず、薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)用のビヒクルとして使用される、本発明の組成物の製剤化における使用のために十分に純粋で品質が高い化合物および組成物を意味する。
【0071】
「薬学的に許容される希釈剤」は、動物またはヒトに適切に投与された場合、有害反応を生じず、薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)用の希釈剤として使用される、本発明の組成物の製剤化における使用のために十分に純粋で品質が高い化合物および組成物を意味する。
【0072】
「アスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される障害または疾患」には、アスパラギン酸プロテアーゼの高度発現または過剰発現と関連する障害または疾患、およびこのような疾患を伴う状態が含まれる。
【0073】
本発明の一実施形態には、α遮断薬、β遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、利尿剤、ナトリウム排泄増加薬、塩分排泄剤、中枢性抗高血圧薬(centrally acting antiphypertensives)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、二重ACEおよび中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アルドステロン合成酵素阻害剤、アルドステロン受容体拮抗薬、またはエンドセリン受容体拮抗薬を含めた高血圧の治療用の1種または複数のさらなる薬剤との併用療法(米国特許第5,821,232号、米国特許第6,716,875号、米国特許第5,663,188号、Fossa,A.A.;DePasquale,M.J.;Ringer,L.J.;Winslow,R.L.「Synergistic effect on reduction in blood pressure with coadministration of a renin inhibitor or an angiotensin−converting enzyme inhibitor with an angiotensin II receptor antagonist」 Drug Development Research 1994年、33巻(4号)、422〜8頁を参照されたく、上記文献および特許は、参照により本明細書に組み込まれる)において本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を投与することが含まれる。
【0074】
α遮断薬には、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン、およびテラゾシンが含まれる。
【0075】
併用療法用のβ遮断薬は、アテノロール、ビソプロロール、メトプロロール、アセツトロール、エスモロール、セリプロロール、タリプロロール、アセブトロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロパノロール、ブプラノロール、ペンブトロール、メピンドロール、カルテオロール、ナドロール、カルベジロール、およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0076】
カルシウムチャンネル遮断薬には、ジヒドロピリジン(DHP)および非DHPが含まれる。好ましいDHPは、アムロジピン、フェロジピン、リヨシジン、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルピジン、ニルジピン、ニモジフィン、ニソルジピン、ニトレンジピン、およびニバルジピンならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。非DHPは、フルナリジン、プレニラミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミル、およびベラムピミルならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0077】
利尿剤は、例えば、アミロリド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロロチアジド、およびクロロサリドンから選択されるチアジド誘導体である。
【0078】
中枢性抗高血圧薬には、クロニジン、グアナベンズ、グアンファシンおよびメチルドーパが含まれる。
【0079】
ACE阻害剤には、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナザプリラート、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、ラミプリラート、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、およびゾフェノプリルが含まれる。好ましいACE阻害剤は、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、およびラミプリルである。
【0080】
二重ACE/NEP阻害剤は、例えば、オマパトリラート、ファシドトリル、およびファシドトリラートである。
【0081】
好ましいARBには、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタンが含まれる。
【0082】
好ましいアルデステロン合成酵素阻害剤は、アナストロゾール、ファドロゾール、およびエキセメスタンである。
【0083】
好ましいアルデステロン受容体拮抗薬は、スピロノラクトンおよびエプレレノンである。
【0084】
好ましいエンドセリン拮抗薬は、例えば、ボセンタン、エンラセンタン、アトラセンタン、ダルセンタン、シタキセンタン、およびテゾセンタンならびにそれらの薬学的に許容される塩である。
【0085】
本発明の一実施形態には、AIDS逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、他のHIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、侵入阻害剤(付着、補助受容体および融合阻害剤を含む)、アンチセンス薬、および免疫促進剤の処置のための1種または複数のさらなる薬剤との併用療法において、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤またはその組成物を投与することが含まれる。
【0086】
好ましい逆転写酵素阻害剤は、ジドブジン、ディダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、テノフォビル、およびエムトリシタビンである。
【0087】
好ましい非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は、ネビラピン、デラビリジン、およびエファビレンツである。
【0088】
好ましいHIVプロテアーゼ阻害剤は、サクイナビル、リトナビル、インディナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、およびフォスアンプレナビルである。
【0089】
好ましいHIVインテグラーゼ阻害剤は、L−870、810およびS−1360である。
【0090】
侵入阻害剤には、CD4受容体、CCR5受容体またはCXCR4受容体に結合する化合物が含まれる。侵入阻害剤の具体例には、エンフビルチド(gp41におけるHR2ドメインのペプチド模倣薬)およびシフルビチド(sifurvitide)が含まれる。
【0091】
好ましい付着および融合阻害剤は、エンフビルチドである。
【0092】
本発明の一実施形態には、タクリン、ドネペジル、リバスティグミン、ガランタミン、およびメマンチンを含めたアルツハイマー病の治療用の1種または複数のさらなる薬剤との併用療法において、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤またはその組成物を投与することが含まれる。
【0093】
本発明の一実施形態には、アルテミシニン、クロロキン、ハロファントリン、ヒドロキシクロロキン、メフロキン、プリマキン、プリメタミン、キニーネ、スルファドキシンを含めたマラリアの治療用の1種または複数のさらなる薬剤との併用療法において、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤またはその組成物を投与することが含まれる。
【0094】
併用療法には、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および前記他の薬剤の同時投与、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および他の薬剤の連続投与、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および他の薬剤を含む組成物の投与、またはアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および他の薬剤を含む別々の組成物の同時投与が含まれる。
【0095】
本発明は、1種または複数の開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および任意選択の薬学的に許容される担体を混合することを含む、組成物を作製するための方法をさらに含み;このような方法から得られる組成物を含み、これらの方法には、通常の製薬技術を含む。例えば、本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、製剤化の前にナノ粉砕(nanomill)することができる。本明細書に開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、磨砕、超微粉砕または当技術分野で知られる他の粒径削減方法によって調製することもできる。このような方法には、それだけには限らないが、米国特許第4,826,689号、5,145,684号、5,298,262号、5,302,401号、5,336,507号、5,340,564号、5,346,702号、5,352,459号、5,354,560号、5,384,124号、5,429,824号、5,503,723号、5,510,118号、5,518,187号、5,518,738号、5,534,270号、5,536,508号、5,552,160号、5,560,931号、5,560,932号、5,565,188号、5,569,448号、5,571,536号、5,573,783号、5,580,579号、5,585,108号、5,587,143号、5,591,456号、5,622,938号、5,662,883号、5,665,331号、5,718,919号、5,747,001号、PCT国際特許出願第93/25190号、第96/24336号、および第98/35666号に記載されたものが含まれ、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の薬剤組成物は、当業者に周知の技術および方法を使用して調製することができる。当技術分野で一般的に使用される方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)に記載されており、この全体の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
本発明の組成物には、眼内、経口、経鼻、経皮、閉鎖療法を用いるか用いない局所、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、および注射(腹腔内に、皮下に、筋内に、腫瘍内に、または非経口で)が含まれる。組成物は、眼内、経口、経鼻、舌下、非経口、もしくは直腸の、または吸入もしくは吹送による投与のための;錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、リポソーム、イオン交換樹脂、無菌点眼剤、または眼内送達デバイス(即時放出、持続放出(timed release)、もしくは徐放を促進するコンタクトレンズなどの)、非経口溶液または懸濁液、定量エアゾールまたは液体噴霧、ドロップ、アンプル、自己注射装置、または坐剤などの単位剤形であり得る。
【0097】
経口投与に適する本発明の組成物には、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル(それぞれ、即時放出、持続放出、および徐放製剤を含めて)、顆粒および粉末などの固体形態;ならびに、溶液、シロップ、エリキシル剤、乳濁液、および懸濁液などの液体形態が含まれる。眼内投与に有用な形態には、滅菌溶液または眼内送達デバイスが含まれる。非経口投与に有用な形態には、滅菌溶液、乳濁液、および懸濁液が含まれる。
【0098】
本発明の組成物を含む剤形は、治療および/または予防効果を提供するのに必要な有効量の薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を含む。組成物は、約5,000mgから約0.5mg(好ましくは、約1,000mgから約0.5mg)の開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤またはその塩形態を含むことができ、選択される投与の方法に適する任意の形態に構成することができる。本発明の組成物は、週1回または月1回投与に適する形態で投与することができる。例えば、薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)の不溶性塩は、筋肉内注射(例えば、デカン酸塩)用のデポ製剤を提供するように、または眼内投与用の溶液を提供するように適合させることができる。連日投与または間欠投与(post−periodic dosing)も使用することができ、ここで、組成物は、1日当たり約1から約5回投与することができる。
【0099】
経口投与に関しては、組成物は、好ましくは、例えば、1000から0.5ミリグラム、より具体的には500mgから5mgの薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を含む錠剤またはカプセルの形態である。用量は、治療される特定の患者(例えば、年齢、体重、治療食、投与の時間)、治療される状態の重篤性、使用される化合物、投与の方法、および製剤の強さに関連する要素に応じて変わる。
【0100】
経口組成物は、好ましくは、均一な組成物として製剤化され、ここで、薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)は、混合物全体に一様に分散されており、等量の開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を含む単位剤形に容易に再分割することができる。好ましくは、組成物は、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を、1種または複数の場合により存在する薬剤担体(デンプン、砂糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、流動促進剤、結合剤、および崩壊剤などの)、1種または複数の場合により存在する不活性薬剤賦形剤(水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存剤、着色剤、およびシロップなどの)、1種または複数の場合により存在する通常の錠剤化成分(コーンスターチ、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、および任意の様々なゴムなどの)、および任意選択の希釈剤(水などの)と混合することによって調製される。
【0101】
結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖(例えば、ブドウ糖およびβ乳糖)、トウモロコシ甘味料(corn sweetener)ならびに天然および合成ゴム(例えば、アラビアゴムおよびトラガカント)が含まれる。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、およびベントナイトが含まれる。
【0102】
錠剤およびカプセルは、有利な経口単位剤形を代表する。錠剤は、標準の技術を使用して糖衣をかけるか、またはフィルムコーティングすることができる。錠剤は、コーティングするか、または別の方法で混合して、持続性の、制御放出性の治療効果を提供することができる。剤形は、内部剤形および外部剤形成分を含むことができ、ここで、外部成分は、内部成分上の膜の形態である。2種の成分は、胃で崩壊に抵抗し内部成分が十二指腸にそのまま通ることを可能にする層(腸溶層などの)または放出を遅らせるかまたは持続する層によってさらに分離することができる。様々な腸溶および非腸溶層またはコーティング材料(ポリマー酸、セラック、アセチルアルコール、および酢酸セルロースまたはそれらの組合せなど)を使用することができる。
【0103】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、持続放出組成物によって投与することもでき、ここで、組成物は、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤および生物分解性の持続放出担体(例えば、ポリマー担体)または薬学的に許容される非生物分解性の持続放出担体(例えば、イオン交換担体)を含む。
【0104】
生物分解性および非生物分解性持続放出担体は、当技術分野で公知である。生物分解性担体は、薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を保持し、適切な環境(例えば、水性、酸性、塩基性など)でゆっくりと分解/溶解して薬物物質を放出する粒子またはマトリックスを形成するのに使用される。このような粒子は、体液中で分解/溶解してその中に薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を放出する。粒子は、好ましくは、ナノ粒子(例えば、直径が約1から500nm、好ましくは、直径が約50〜200nm、最も好ましくは、直径が約100nmの範囲の)である。持続放出組成物を調製する方法においては、持続放出担体および開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を、最初に、有機溶媒に溶解または分散する。得られる混合物を、任意選択の界面活性剤を含む水溶液に添加して乳濁液を生成する。有機溶媒を、次いで、乳濁液から蒸発させて、持続放出担体および開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を含む粒子のコロイド懸濁液を得る。
【0105】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、綿実油、ゴマ油、ココナッツ油または落花生油などの食用油と共に、水溶液、適切に着香したシロップ、水性または油性懸濁液、着香乳濁液などの液体形態中に、あるいはエリキシル剤または類似の薬剤ビヒクル中に経口または注射による投与用に混合することができる。水性懸濁液に適切な分散または懸濁化剤には、トラガカント、アラビアゴム、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン、およびゼラチンなどの合成および天然ゴムが含まれる。適切に着香した懸濁化または分散剤における液体形態も、合成および天然ゴムを含むことができる。非経口投与に関しては、滅菌懸濁液および溶液が望ましい。適切な保存剤を一般的に含む等張製剤は、静脈内投与が望ましい場合に使用される。
【0106】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、注射により非経口で投与することができる。非経口製剤は、適切な不活性液体担体に溶解された、または混合された薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)から構成され得る。許容される液体担体は、水性溶媒および溶解性または保存を促進するための他の任意選択の成分を一般的に含む。このような水性溶媒には、滅菌水、リンガー溶液、または等張食塩水が含まれる。他の任意選択の成分には、植物油(落花生油、綿実油、およびゴマ油などの)、および有機溶媒(ソルケタール、グリセロール、およびホルミルなどの)が含まれる。無菌の、不揮発性油は、溶媒または懸濁化剤として使用することができる。非経口製剤は、液体担体に薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を溶解または懸濁することによって調製され、それによって、最終単位剤形は、0.005から10重量%の薬物物質(すなわち、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)を含む。他の添加剤には、保存剤、等張化剤、可溶化剤、安定剤、および鎮痛剤が含まれる。注射懸濁液も調製することができ、この場合、適切な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。
【0107】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、適切な経鼻投与用ビヒクルを使用して経鼻投与することができる。
【0108】
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、適切な局所経皮ビヒクルまたは経皮パッチを使用して局所投与することもできる。
【0109】
眼内投与に関しては、組成物は、好ましくは、眼科用組成物の形態である。眼科用組成物は、好ましくは、点眼剤製剤として製剤化され、眼への投与を容易にする適切な容器、例えば、適切なピペットを備える点滴器に充てんされる。好ましくは、組成物は、無菌であり、精製水を使用する水性である。開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤に加えて、眼科用組成物は、1種または複数のa)ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの界面活性剤;b)一般的に、約0.05から約5.0%(wt/vol)の範囲の濃度のセルロース、セルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルポリマー、およびポリビニルピロリドンなどの増粘剤;c)(窒素を含み、場合によってはFeなどの遊離酸素吸収剤を含む容器中に組成物を貯蔵することの代わりとして、またはそれに加えて)約0.00005から約0.1%(wt/vol)の濃度のブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、またはブチル化ヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;d)約0.01から0.5%(wt/vol)の濃度のエタノール;ならびにe)等張剤、緩衝液、保存剤、および/またはpH制御剤などの他の賦形剤を含むことができる。眼科用組成物のpHは、望ましくは4から8の範囲内である。
【0110】
本発明は、例示のためであり制限のためではない実施例を参照することによってさらに定義される。
【0111】
本発明の代表的な化合物は、先に記載された一般的合成スキームにしたがって合成することができ、以下の実施例に例示される。スキームおよび実施例において使用される様々な出発原料を調製する方法は、当業者の知識の範囲に十分含まれる。
【0112】
以下の略語は、表示された意味を有する。
【0113】
【表3−1】

【0114】
【表3−2】

【0115】
【表3−3】

【実施例】
【0116】
(実施例1)
一般的合成スキーム
本発明の化合物は、次の構造:
【0117】
【化9】

により表されるピラン中間体を、
次の構造:
【0118】
【化10】

により表されるピペリジン中間体と、
次のスキーム:
【0119】
【化11】

に記載されたように、結合させることによって合成することができる。
【0120】
グルタミン酸エステルからのピラン中間体の調製
ピラン中間体は、次の合成スキーム:
【0121】
【化12】

を使用してグルタミン酸エステルから調製することもできる。
【0122】
ピログルタミン酸エステルからのピラン中間体の調製
ピラン中間体は、次の合成スキーム:
【0123】
【化13】

を使用してピログルタミン酸エステルから調製することができる。
【0124】
ピペリジン中間体の調製
ピペリジン中間体は、次の合成スキーム:
【0125】
【化14】

を使用して調製することができる。
【0126】
別法としてピペリジン中間体は、次の合成スキーム:
【0127】
【化15】

を使用して調製することができる。
【0128】
上記スキームによる開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の合成の具体的な条件は、実施例2〜11に提供される。
【0129】
(実施例2)
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0130】
【化16】

ステップ1.(R)−1−tert−ブチル3−エチルピペリジン−1,3−ジカルボキシレート
20Lの丸底フラスコに、(R)−エチルピペリジン−3−カルボキシレート酒石酸塩(2.6kg、8.47mol、1eq)およびCHCl(14L)を置いた。0℃において上記溶液に、TEA(2.137kg、21.17mol、2.5eq)を添加し、次いで(Boc)O(2.132kg、9.74mol、1.15eq)を一滴ずつ添加した。この混合物を、室温で終夜撹拌した。この混合物を、飽和クエン酸溶液(3×2.5L)、飽和NaHCO溶液(3×2.5L)およびブライン(2×2L)で洗浄した。有機相を、NaSO上で乾燥し、ろ過し、ろ液を蒸発して、無色油(2.2kg、収率100%)を得た。
【0131】
ステップ2.(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−3−カルボン酸
5LのMeOH中の(R)−1−tert−ブチル3−エチルピペリジン−1,3−ジカルボキシレート(2.2kg、8.469mol、1eq)の溶液に、0〜5℃において7.5Lの水中のLiOH(629.6g、15mol、1.77eq)の溶液を添加した。添加後、この混合物を、室温で終夜撹拌した。TLCによって出発原料が消費されたことが示された。飽和クエン酸溶液の添加により、この系のpHを7に調節した。大部分のメタノールを除去した。クエン酸によりpHを4〜5に調節した。この混合物を、5LのCHClで3回抽出し、有機層を合わせて、NaSO上で乾燥し、蒸発して、白色固体(1.775kg、92%)を得た。
【0132】
ステップ3.(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート
THF(1.2L)中の(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−3−カルボン酸(233g、1.2mol)の撹拌している溶液に、カルボニルジイミダゾール(230g、1.42mol)を添加した。この混合物を、氷水浴下で1h撹拌した。THF(900mL)中のトリエチルアミン(207mL、1.41mol)およびN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(138g、1.42mol)の懸濁液を添加した。反応混合物を、室温に温め、終夜撹拌した。TLCにより反応が完了したことが示された。溶媒を蒸発し、残渣を、CHCl(1.2L)に溶解し、0.5N塩酸溶液、炭酸ナトリウムの飽和溶液およびブラインで逐次洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発して、粗化合物(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(250g、91%)が得られ、これを精製することなく次ステップにおいて直接使用した。H NMR (400MHz,CDCl): 4.05−4.19 (m,2H),3.72 (s,3H),3.17 (s,3H),2.75−2.85 (m,2H),2.65 (t,1H),1.90 (d,1H),1.60−1.78 (m,2H),1.44 (s,9H)。
【0133】
ステップ4.(R)−tert−ブチル3−(3−クロロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下、−78℃において無水THF(500mL)中の1−ブロモ−3−クロロベンゼン(54.3g、0.286mol)の溶液に、ヘキサン(114mL、0.286mol)中の2.5M n−BuLiの溶液を一滴ずつ添加した。−78℃において1hr撹拌後、無水THF(300mL)中の(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(65.8g、0.242mol)の溶液を一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、室温に温め、2h撹拌した。TLCにより反応が完了したことが示された。この混合物を、飽和NHCl溶液(300mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して粗生成物(R)−tert−ブチル3−(3−クロロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(92g、100%)が得られ、これを精製することなく次ステップで即座に使用した。
【0134】
ステップ5.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下、−15℃において無水THF(300mL)中の(R)−tert−ブチル3−(3−クロロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(92g、0.286mol)の溶液に、トルエン(45mL、45mmol、0.15eq)中の1M R−CBS−オキサザボロリジンの溶液を一滴ずつ添加した。−15℃で1hr撹拌後、THF(33mL、0.33mol、1.1eq)中の10M BHの溶液を一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を−15℃で2h撹拌した。TLCにより出発原料が消費されたことが示された。メタノール(200mL)を、−15℃で注意深く一滴ずつ添加した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、AcOEt/ヘキサン(1:30→1:15)で溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色油(82g、HPLC、≧70%、比≧3:1)を得た。この混合物を、アルコールが全て溶解されるまで酢酸エチルに溶解し(約5mL/1g)、いくつかの結晶が出現するまで、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。この溶液を、ゆっくりと室温に冷却し、1〜2h静置した。先の溶液に、ヘキサン(約300mL)を添加し、次いで、ろ過し、結晶を、冷ヘキサンで洗浄し、さらに2回、再結晶化して純粋な異性体として(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た(32.5g、ee.≧99%、2段階で収率35%)。
【0135】
ステップ6.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(シアノメトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(32.5g、0.1mol)の溶液に、0℃においてNaH(12g、0.3mol)を添加した。この混合物を、室温で1h撹拌した。この混合物を、−40℃に冷却し、次いで、ブロモアセトニトリル(35.7g、0.3mol)を一滴ずつ添加した。この混合物を、−20℃で、さらに0.5h撹拌した。HPLCにより反応が、約30%完了したことが示された。NaHおよびブロモアセトニトリルの添加を、さらに2回繰り返した。HPLCにより反応が、約60%完了したことが示された。飽和NHClで、反応をクエンチした。この混合物をCHClで抽出した。有機層を、NaSO上で乾燥し、濃縮して、褐色油として粗生成物(36.8g)が得られ、これを精製することなく次ステップ用に使用した。
【0136】
ステップ7.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(シアノメトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(36.8g、0.10mol)を、無水THF(350mL)に溶解し、この溶液を、窒素雰囲気下で加熱還流した。THF中のBH.MeS(30mL、0.30mol)の溶液を、一滴ずつ添加し、終夜、還流下で撹拌を継続した。得られた溶液を室温に冷却した。泡立ちが止まるまで、一滴ずつ注意深くMeOHを添加して、反応をクエンチした。溶液の蒸発後、粗生成物が得られ(70g)、これを精製することなく次ステップ用に使用した。
【0137】
ステップ8.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(150mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(70g、粗製、0.1mol)およびDMAP(1.83g、15mmol、0.15eq)の溶液に、EtN(12.1g、15.8mL、120mmol)を添加した。得られた混合物を、氷水浴を使用して0〜5℃に冷却し、無水CHCl(100mL)中のクロロギ酸メチル(11.28g、120mmol、1.2eq)の溶液を一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、0〜5℃で3h撹拌した。TLCにより出発原料が消失したことが示された。水(80mL)を添加した。水層を、CHCl(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を、10%クエン酸(2×150mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して粗生成物が得られ、これを、分取HPLCで精製して(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)−メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10.7g、3段階の全収率は25%である)を得た。H NMR (400MHz,CDCl):1.12−1.40(m,4H),1.43(s,9H),1.64(m,2H),2.82(m,2H),3.25(m,2H),3.61(s,3H),3.74(m,1H),4.05(m,1H),4.16(m,1H),7.22 (m,1H),7.32 (m,3H)。
【0138】
ステップ9.メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10.7g、25mmol)を、20%(V/V)TFA/CHCl(150mL)の溶液に溶解した。この反応混合物を、室温で1h撹拌した。TLCにより反応が完了したことが示された。飽和炭酸水素ナトリウムの溶液を、一滴ずつ添加してpH8〜9に調節した。得られた混合物を、CHCl(3×200mL)で抽出し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(11.2g、100%)が得られ、これを精製することなく次ステップ用に直接使用した。
【0139】
別法として、(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレートは、次の手順で調製することができる。
【0140】
【化17】

ステップ1.(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート
(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−3−カルボン酸(25g、0.11mol、1.0equiv)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、(10.5g、0.14mol、1.25equiv)およびEDCI・HCl(26.3g、0.14mol、1.25equiv)ならびにジイソプロピルエチルアミン(48mL、0.28mol、2.5equiv)を、ジクロロメタン(400mL)に溶解し、rtで終夜撹拌した。この反応混合物を、EtOAcで希釈し、5%aq HCl(2×150mL)、飽和aq NaHCO(150mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥した。濃縮によって、透明油として(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(24.42g、82%)が得られた。粗生成物を、さらに精製することなく次ステップ用に使用した。MS ESI+ve m/z295(M+Na)。H NMR (CDCl) d 4.19−4.00 (m,2H),3.77 (m,3H),3.12 (s,3H),2.79 (m,2H),2.64 (m,1H),1.89 (m,1H),1.71−1.52 (m,2H),1.51−1.33 (m,10H)。
【0141】
ステップ2.(R)−tert−ブチル3−(3−クロロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下、−78℃において無水THF(550mL)中の1−ブロモ−3−クロロベンゼン(100g、0.52mol)の溶液に、ヘキサン(210mL、0.52mol)中の2.5M n−BuLiの溶液を一滴ずつ添加した。−78℃で1hr撹拌後、無水THF(500mL)中の(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(120g、0.44mol)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物をrtに温め、2hr撹拌した。この混合物を、飽和NHCl溶液(500mL)でクエンチし、EtOAc(3×400mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して粗製(R)−tert−ブチル3−(3−クロロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(178g)が得られ、これを精製することなく次ステップ用に即座に使用した。
【0142】
ステップ3.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下、−15℃において無水THF(600mL)中の(R)−tert−ブチル3−(3−クロロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(178g、0.55mol)の溶液に、トルエン(82mL、82mmol、0.15eq)中の1M CBS−オキサザボロリジンの溶液を一滴ずつ添加した。−15℃で1hr撹拌後、THF(60mL、0.60mol、1.1eq)中の10M BHの溶液を一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、−15℃で2hr撹拌した。メタノール(400mL)を、−15℃で注意深く一滴ずつ添加した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、AcOEt/ヘキサン(1:30→1:15)で溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色油(95g、HPLC純度≧70%、異性体比≧3:1)を得た。この混合物を、アルコールが完全に溶解(約5mL/1g)されるまでEtOAcに溶解し、いくつかの結晶が現れるまで、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。この溶液を、ゆっくりとrtに冷却し、1〜2hr静置した。上記溶液に、ヘキサン(約300mL)を添加し、次いで、ろ過し、結晶を、冷ヘキサンで洗浄し、AcOEt−ヘキサンから2回再結晶化して純粋な異性体(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(20g、ee≧99%)を得た。
【0143】
ステップ4.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
0〜5℃において無水DMF(50mL)中のNaH(7.44g、161mmol)の懸濁液に、無水DMF(100mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(17.45g、54mmol)の溶液を一滴ずつ添加し、この反応混合物を、rtにおいて1hr撹拌した。無水DMF(100mL)中のブロモ酢酸エチル(17.82g、11.87mL、107mmol)の溶液を、0〜5℃において上記混合物に一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、rtにおいて2〜3hr撹拌した。この反応混合物を、飽和水性NHClに注ぎ、EtOAc(1000mL)を添加した。有機層を、水(3×200mL)およびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(14g、64%収率)を得た。
【0144】
ステップ5.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
MeOH(200mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(14g、34mmol)の溶液に、NaBH(10.35g、272mmol)を少しずつ添加し、その間、温度は40℃未満であった。添加後、この混合物をrtで2〜3hr撹拌した。溶媒を真空中で除去して残渣が得られ、この残渣を、水とEtOAcの間で分割した。有機層を、HOおよびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、蒸発して、粗製(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(12.50g)が得られ、これを、精製することなく次ステップで使用した。
【0145】
ステップ6.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(150mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(12.50g、34mmol)の溶液に、−5〜0℃においてEtN(13.74g、18.3mL、136mmol、4eq)を添加した。次いで、無水CHCl(50mL)中のMsCl(7.75g、5.16mL、68mmol、2eq)の溶液を、同じ温度で一滴ずつ添加した。添加後、これを徐々にrtに温めた。反応完了後に、水(100mL)を添加した。水層を、CHCl(3×80mL)で抽出し、合わせた有機層を、10%クエン酸、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(15g)が得られ、これを、精製することなく次ステップで使用した。
【0146】
ステップ7.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(15g、34mmol)を、無水DMF(150mL)に溶解し、固体NaN(6.7g、102mmol、3eq)を添加し、この反応混合物を、終夜80℃に加熱した。この反応混合物を、rtに冷却し、次いで、EtOAc(500mL)を添加し、有機相を、水(3×100mL)およびブライン(2×80mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、粗製(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(13.3g)が得られ、これを、精製することなく次ステップ用に使用した。
【0147】
ステップ8.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(13.3g、33.8mmol)を、THF/HO(20:1、180mL/9mL)に溶解し、トリフェニルホスフィン(36.0g、135mmol)を少しずつ添加した。この反応混合物をrtで終夜撹拌した。溶媒を減圧下で除去して残渣が得られ、この残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10.4g、純度:HPLC=75%)を得た。
【0148】
ステップ9.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(120mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(7.7g、21mmol、HPLC=75%)およびDMAP(1.27g、10mmol、0.5eq)の溶液に、EtN(6.38g、8.45mL、63mmol)を添加した。得られた混合物を、氷水浴下で0〜5℃に冷却し、無水CHCl(50mL)中のクロロギ酸メチル(8.1mL、104.5mmol、5eq)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を0〜5℃で1〜2hr撹拌した。反応を水(80mL)でクエンチした。水層を、CHCl(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を、10%クエン酸(2×80mL)およびブラインで洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して粗生成物が得られ、これを、分取HPLCで精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(4.4g、HPLC≧98%、5段階の全収率は41%である)を得た。
【0149】
次の化合物は、上記に記載されたものと類似した次の手順にしたがって調製した。
1)ステップ2において(3,5−ジフルオロフェニル)リチウムを使用する(R)−tert−ブチル3−((R)−(3,5−ジフルオロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
別法として、(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレートは、次の手順により調製することができる。
【0150】
【化18】

ステップ1:(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノ−2−オキソエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)−ピペリジン−1−カルボキシレートの調製
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)メチル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.971g、2.36mmol)を、7M NH/MeOH(20mL)に溶解し、室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノ−2−オキソエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(902mg、100%)が得られ、これを、さらに精製することなく次ステップ用に使用した。MS ESI +ve m/z 383(M+H)
【0151】
ステップ2:(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)−ピペリジン−1−カルボキシレートの調製
0℃において無水トルエン(30mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノ−2−オキソエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(902mg、2.36mmol)の溶液に、Red−Al(登録商標)(トルエン中の65%溶液、1.4mL、7.07mmol)を10分間かけてゆっくりと添加した。添加後、この溶液を、室温で終夜撹拌した。この反応物を、0℃に冷却し、NaSO・10HOでクエンチした。得られた混合物を、2〜3h撹拌し、Celite(登録商標)を通してろ過し、THF(200mL)で洗浄した。ろ液を、乾燥し、濃縮して粗製(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(776mg、89%)を得た。MS ESI +ve m/z 369 (M+H)+。
【0152】
別法として、(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレートは、次の手順によって調製することもできる。
【0153】
【化19】

10ml(10vol)のPhCF中の(1.00g、3.07mmol)(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(98:2ジアステレオ異性体比)の溶液に、水中のNaOHの50重量%溶液の8.1ml(50eq)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.261g、0.25eq)、およびクロロエチルアミン塩酸塩(1.068g、3eq)を、順次に添加し、20hの間、50℃で撹拌した。HPLC分析によって、少量の不純物および約9%の出発原料アルコールを含む88%の変換が示された。反応を、RTに冷却すると層が分離した。層の完全な分離を確実にするために、10体積の水の添加が必要であった。有機層を保持し、10体積のブラインですすいだ。有機層を保持し、真空下で濃縮した。得られた残油を、10体積tert−ブチルメチルエーテル(TBME)に溶解し、この時点で、水中のクエン酸の20重量%溶液の10体積を添加した。(注意:酒石酸は同様に作用するが、HCl、シュウ酸、TsOHなどの酸は、NBocの脱保護をもたらす)。HPLC分析によって、所望のアミンの水層への完全な抽出が達成され、望ましくない出発アルコールは有機層中にあることが示され;TBME層を捨てた。望ましくない出発原料アルコールの除去を確実にするために、水層を、5体積のTBMEでもう一度すすいだ。有機TBME層を捨てた。水層を、水中の50重量%NaOHの2体積の添加によって、約13のpHにし、この時点で、10体積DCM(ジクロロメタン)を添加した。所望の生成物のDCM中への完全な抽出が達成された。有機抽出物を、10体積ブラインですすぎ(HPLCにより精製は検出されず)、NaSO上で乾燥し、濃縮して750mg(66%収率、97%純度)の所望の生成物(HPLC/MSおよびNMRにより確認された)を得た。
【0154】
別法として、(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレートは、次の方法によって調製することもできる。
【0155】
【化20】

(実施例3)
(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0156】
【化21】

ステップ1.(R)−tert−ブチル3−(5−フルオロ−2−メチルベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下、−78℃において無水THF(150mL)中の2−ブロモ−4−フルオロ−1−メチルベンゼン(10.6g、0.056mol)の溶液に、ヘキサン(22mL、0.056mol)中の2.5M n−BuLiの溶液を一滴ずつ添加した。−78℃で1hr撹拌後、無水THF(120mL)中の(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10g、0.037mol)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、rtに温め、2hr撹拌した。この混合物を、飽和NHCl(100mL)溶液でクエンチし、EtOAc(3×80mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、粗製(R)−tert−ブチル3−(5−フルオロ−2−メチルベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10.5g、収率8%)が得られ、これを、精製することなく次ステップで使用した。
【0157】
ステップ2.(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下、−15℃において無水THF(150mL)中の(R)−tert−ブチル3−(5−フルオロ−2−メチルベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10.5g、0.0336mol)の溶液に、トルエン(3mL、3mmol、0.09eq)中の1M R−CBS−オキサザボロリジンの溶液を一滴ずつ添加した。−15℃で1hr撹拌後、THF(17mL、0.0336mol、1eq)中の10M BHの溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、−15℃で2hr撹拌した。メタノール(80mL)を、−15℃で注意深く一滴ずつ添加した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、AcOEt/ヘキサン(1:30→1:15)で溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色油(95g、HPLC≧70%、比≧3:1)を得た。この混合物を、EtOAcの最小量に溶解し、結晶が現れるまで、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。この溶液をrtに冷却し、1〜2h静置した。この溶液に、ヘキサンを添加し、次いで、ろ過し、結晶を、冷ヘキサンで洗浄し、さらに2回再結晶化させて、純粋な異性体(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(3.2g、ee≧99%)を得た。H NMR (CDCl) d 7.1 (m,2H),6.85 (m,1H),4.7 (m,1H),2.3 (s,3H),1.45 (s,9H),1.25 (m,4H)。
【0158】
ステップ3.(R)−tert−ブチル3−((R)−(シアノメトキシ)(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
MeCN(20mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.2g、0.0037mol)の溶液に、NaH(0.27g、0.011mol)を0℃で添加した。この混合物を、1h撹拌し、次いで、−40℃に冷却し、ブロモアセトニトリル(1.3g、0.011mol)を少しずつ添加した。この混合物を−20℃で0.5時間撹拌した。反応をHOでクエンチした。この混合物を、CHClで抽出した。有機層を、NaSOで乾燥し、濃縮して標的分子(R)−tert−ブチル3−((R)−(シアノメトキシ)(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.2g、90%)を得た。
【0159】
ステップ4.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水THF(20ml)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(シアノメトキシ)(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.8g、0.005mol)の溶液を、窒素下で加熱還流した。THF中のBH.MeSの溶液を、一滴ずつ添加し、終夜、還流下で撹拌を続けた。得られた溶液をrtに冷却し、MeOHを、一滴ずつ添加して反応をクエンチした。溶液の蒸発後、粗生成物を、カラムクロマトグラフィーで精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.2g、収率66%)を得た。
【0160】
ステップ5.(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(45mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(3.1g、8.5mmol)およびDMAP(0.54g)の溶液に、EtN(2.58g、3.6mL)を添加した。得られた混合物を、氷水浴下0〜5℃に冷却し、無水CHCl(50mL)中のクロロギ酸メチル(4.0g、43mmol、5eq)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、0〜5℃で1〜2h撹拌した。反応を水(50mL)でクエンチした。水層を、CHCl(3×30mL)で抽出し、合わせた有機層を、10%クエン酸(2×50mL)およびブラインで洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得、これを、分取HPLCで精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(400mg、HPLC≧98%)を得た。H NMR (CDCl) d 7.2 (m,1H),7.1 (m,1H),6.9 (m,1H),4.4 (m,1H),4.1 (m,1H),3.7 (m,1H),3.6 (s,3H),3.2 (m,2H),2.9 (m,2H),2.3 (s,3H),1.75 (m,1H),1.6 (m,1H),1.4 (s,9H),1.25 (m,2H)。
【0161】
(実施例4)
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0162】
【化22】

ステップ1.(R)−tert−ブチル3−(3−クロロ−5−フルオロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート
でフラッシュした2L三首ボトル中で、Mg(26.5g、1.1mol)を50℃に温め、無水THF(1L)中の1−ブロモ−3−クロロ−5−フルオロベンゼン(157g、0.75mol)溶液を、一滴ずつ添加し、次いで、この混合物を、r.t.で2hr撹拌した。窒素下、−78℃で無水THF(1.1L)中の(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(120g、0.441mol)の溶液に、上記グリニャール試薬を一滴ずつ添加した。この反応混合物をrtに温め、2h撹拌した。この混合物を、飽和NHCl溶液(500mL)でクエンチし、EtOAc(3×400mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、(R)−tert−ブチル3−(3−クロロ−5−フルオロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(163g)が得られ、これを、さらに精製することなく即座に使用した。
【0163】
ステップ2.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
THF(47.7mL、0.477mol)中の10M HB.SMeおよびトルエン(72mL、0.072mol)中の1M R−CBS−オキサザボロリジンの混合物を、100mL無水THFに溶解し、−15℃に冷却した。400mL無水THF中の(R)−tert−ブチル3−(3−クロロ−5−フルオロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレートを、上記溶液に一滴ずつ添加し、−15℃で2hr撹拌した。反応をメタノール(500mL)でクエンチした。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、カラムクロマトグラフィーで精製した。生成物を、EtOAc/ヘキサンで3回再結晶化させて、(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(55g、0.156mol)を得た。H NMR (CDCl,400MHz) d 7.10 (s,1H),7.04−6.90 (dd,2H),4.46−4.30 (d,1H),4.05−2.40 (m,5H),1.74 (s,1H),1.60 (s,1H),1.53−1.31(m,11H),1.30−1.14 (m,1H)。
【0164】
ステップ3.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(シアノメトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
アセトニトリル(1.2L)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(55g、0.156mol)の溶液を、0℃に冷却し、NaH(19.2g、0.48mol、油中60%)を、少しずつ添加し、次いで、この混合物を、rtで1hr撹拌した。この混合物を、−20℃に冷却し、ブロモアセトニトリル(57.7g、0.48mol)を、一滴ずつ添加した。0.5hr後、さらなるNaH(19.2g、0.48mol、油中60%)およびブロモアセトニトリル(57.7g、0.48mol)を添加した。TLCによって、出発原料の80%が反応したことが示された。反応を、飽和NHCl溶液(200mL)でクエンチし、水(1L)を添加した。アセトニトリルを減圧下で除去し、CHCl(1L)を添加し、水層を、CHCl(3×500mL)で逆抽出し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、粗製(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(シアノメトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(90g)が得られ、これを、さらに精製することなく次ステップ用に使用した。
【0165】
ステップ4.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロ−5−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
保護下で無水THF(1.3L)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(シアノメトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(90g)の溶液を、加熱還流し、次いで、THF(70mL、0.7mol)中の10M HB.SMeを、一滴ずつ添加した。この混合物を、終夜、撹拌還流する。MeOH(500mL)で、反応をクエンチし、溶媒を真空中で除去し、残渣を、カラムクロマトグラフィーで精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロ−5−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(24g、0.062mol)を得た。
【0166】
ステップ5.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(300mL)およびEtN(31.4g、43mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−クロロ−5−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(24g、0.062mol)の溶液を、氷水浴中で0℃に冷却し、無水CHCl(100mL)中のクロロギ酸メチル(11.8g、0.124mol)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、0〜5℃で1〜2h撹拌した。水(200mL)を添加して反応をクエンチした。水層を、CHCl(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を、10%クエン酸(2×80mL)およびブラインで洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得、これを、カラムクロマトグラフィーで精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(19g、0.043mol)を得た。H NMR (CDOD) d 7.17(s,1H),7.16−7.08 (m,1H),7.07−7.00 (m,1H),4.20−4.00 (m,2H),3.90−3.78 (d,1H),3.61 (s,3H),3.28−3.20 (m,2H),2.92−2.68 (dd,2H),1.52−1.74 (m,2H),1.42 (s,9H),1.35−1.10 (m,3H),
(実施例5)
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0167】
【化23】

ステップ1.(R)−tert−ブチル3−(3−フルオロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水THF中(480mL)の1−ブロモ−3−フルオロ−ベンゼン(57.7g、0.33mol)の溶液を、窒素下、rtで一滴ずつMg(10.6g、0.44mol)に添加した。この混合物を、50〜60℃で1hr撹拌した。得られたグリニャール試薬を、次ステップ用に使用した。グリニャール試薬を、窒素下、−78℃で無水THF中(600mL)の(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(60g、0.22mol)の溶液に一滴ずつ添加した。添加後、混合物を、rtで1.5hr撹拌した。飽和NHCl溶液(300mL)で、混合物をクエンチし、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、粗製(R)−tert−ブチル3−(3−フルオロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(67.5g、100%)が得られ、これを、精製することなく、次ステップで即座に使用した。
【0168】
ステップ2.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下、−15℃でトルエン(33mL、33mmol、0.15eq)中の1M R−CBS−オキサザボロリジンおよびTHF(22mL、0.22mol、1.0eq)中の10M BHの溶液に、無水THF(300mL)中の(R)−tert−ブチル3−(3−フルオロベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(67.5g、0.22mol)の溶液を一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、rtで1hr撹拌した。メタノール(200mL)を、0℃で注意深く一滴ずつ添加した。溶媒を、減圧下で除去して、粗生成物を得た。この粗生成物を、アルコールが完全に溶解するまで(約5mL/1g)、EtOAcに溶解し、いくつかの結晶が現れるまで、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。上記溶液に、撹拌下で石油エーテル(約300mL)を添加し、これを、rtで2hr撹拌し、次いで、ろ過し、結晶を石油エーテルで洗浄し、再結晶化させて、純粋な(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(26g、39%)を得た。
【0169】
ステップ3.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
0〜5℃でTHF(400mL)中のNaH(4.8g、120mmol)の懸濁液に、無水THF(100mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(30.9g、100mmol)の溶液を、一滴ずつ添加し、この反応混合物を、rtで1hr撹拌した。無水THF(100mL)中のブロモ酢酸エチル(20.04g、13.40mL、120mmol)の溶液を、上記混合物に一滴ずつ添加し、この反応物を、3〜5hr加熱還流した。この反応混合物を、飽和水性NHCl中に注ぎ、次いで、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を、水(3×100mL)およびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮して、粗製(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(29.88g、76%)が得られ、これを、精製することなく次ステップ用に使用した。
【0170】
ステップ4.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
MeOH(300mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(29.88g、75.9mmol)の溶液に、NaBH(23g、605.2mmol)を少しずつ添加し、その間、温度は、40℃未満であった。添加後、この混合物を、rtで2〜3hr撹拌した。溶媒を真空中で除去して残渣を得、これを、水とEtOAcの間で分割した。有機層を、HOおよびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(11g、41%)を得た。
【0171】
ステップ5.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(140mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(11g、31.16mmol)の溶液に、−5〜0℃でEtN(12.60g、16.68mL、124.65mmol、4eq)を添加した。次いで、無水CHCl(40mL)中のMsCl(7.1g、4.72mL、62.32mmol、2eq)の溶液を、同じ温度で一滴ずつ添加した。添加後、これを、徐々にrtに温めた。水(100mL)を添加した。水層を、CHCl(3×80mL)で抽出し、合わせた有機層を、10%クエン酸、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(13.8g)が得られ、これを、精製することなく次ステップで使用した。
【0172】
ステップ6.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(13.8g、32mmol)を、無水DMF(150mL)に溶解し、固体NaN(6.1g、96mmol、3eq)を添加し、この反応混合物を、終夜、80℃に加熱した。この反応混合物をrtに冷却し、次いで、EtOAc(500mL)を添加し、有機相を、水(3×100mL)およびブライン(2×80mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して、粗製(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(12g)が得られ、これを、さらに精製することなく次ステップで使用した。
【0173】
ステップ7.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
MeOH(240ml)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(12g、31.75mmol)およびPd(OH)/C(1.2g)の懸濁液を、H下で1hr撹拌した。この混合物を、ろ過し、減圧下で蒸発して、所望の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10g)を得た。
【0174】
ステップ8.(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(150mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(3−フルオロフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10g、28.41mmol)およびDMAP(1.8g、14.21mmol、0.5eq)の溶液に、EtN(8.62g、11.42mL、85.23mmol)を添加した。得られた混合物を、氷水浴下で0〜5℃に冷却し、無水CHCl(60mL)中のクロロギ酸メチル(10.95mL、142.05mmol、5eq)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、0〜5℃で1〜2hr撹拌した。水(80mL)を添加して反応をクエンチした。水層を、CHCl(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を、10%クエン酸(2×80mL)およびブラインで洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して粗生成物が得られ、これを、シリカゲルで精製して(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−フルオロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(11.3g、97%)を得た。
【0175】
(実施例6)
(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0176】
【化24】

ステップ1.5−クロロ−2−メチルベンゼンアミン
2Lフラスコに、MeOH(1L)中の4−クロロ−1−メチル−2−ニトロベンゼン(60g、0.35mol)の溶液を装入し、ラネーNiを添加し、フラスコ中の空気を、Hで3回置換し、この混合物を、rtで3hr撹拌した。この溶液を、ろ過し、濃縮した。残渣を、CHCl(500mL)中に溶解し、この溶液を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒を除去して、5−クロロ−2−メチルベンゼンアミン(50g、0.35mol)を得た。H NMR (CDCl,400MHz) d 7.02−6.93 (d,2H),6.70−6.60 (d,2H),3.67 (s,2H),2.14 (s,3H)。
【0177】
ステップ2.2−ブロモ−4−クロロ−1−メチルベンゼン
5−クロロ−2−メチルベンゼンアミン(50g、0.355mol)を、HBr溶液(1.5M、100mL)に溶解し、0℃に冷却し、水(200mL)中のNaNO(27.6g、0.4mol)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この混合物を、1hr撹拌した。別のフラスコにおいて、CuBr(30g、0.21mol)を、HBr溶液(1.5M、30mL)に添加し、60℃に加熱し、次いで、この混合物を、上記溶液に添加した。この混合物を、1hr加熱還流し、次いでrtに冷却した。反応を、水(500mL)でクエンチし、水層を、CHClで3回抽出し、NaSO上で乾燥し、溶媒除去およびカラムクロマトグラフィーによる精製によって、2−ブロモ−4−クロロ−1−メチルベンゼン(53g、0.26mol)が得られた。H NMR (CDCl3,400MHz) d 7.53 (s,1H),7.20−7.10 (m,2H),2.36 (s,3H)。
【0178】
ステップ3.(R)−tert−ブチル3−(5−クロロ−2−メチルベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下、−78℃で無水THF(600mL)中の2−ブロモ−4−クロロ−1−メチルベンゼン(53g、0.26mol)の溶液に、ヘキサン中の2.5M n−BuLi(103mL、0.26mol)の溶液を一滴ずつ添加した。−78℃で1hr撹拌後、無水THF(300mL)中の(R)−tert−ブチル3−(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(67g、0.246mol)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物をrtに温め、2hr撹拌した。この混合物を、飽和NHCl溶液(500mL)でクエンチし、EtOAc(3×400mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して粗製(R)−tert−ブチル3−(5−クロロ−2−メチルベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレート(86g)が得られ、これを、精製することなく次ステップで即座に使用した。
【0179】
ステップ4.(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
THF(25.4mL、0.254mol)中の10M BH.MeSおよびトルエン(38mL、0.038mol)中の1M R−CBS−オキサザボロリジンの混合物を、100mL無水THFに溶解し、−15℃に冷却した。200mL無水THF中の(R)−tert−ブチル3−(5−クロロ−2−メチルベンゾイル)ピペリジン−1−カルボキシレートを、上記溶液に一滴ずつ添加し、−15℃で2hr撹拌した。反応をメタノール(300mL)でクエンチした。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、カラムクロマトグラフィーで精製して(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(32g)が得られ、これは、30%異性体を含んだ。
【0180】
ステップ5.(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
−25℃でDMF(70mL)およびTHF(70mL)の混合溶媒中のNaH(5.64g、0.141mol)の懸濁液に、無水THF(100mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(16g、47mmol)の溶液を、一滴ずつ添加し、この反応混合物をrtで1hr撹拌した。無水THF(70mL)中のブロモ酢酸エチル(15.6g、94mmol)の溶液を、−10〜−5℃で上記混合物に一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物をrtで2〜3hr撹拌した。飽和NHCl溶液(100mL)で、反応をクエンチし、EtOAc(500mL)を添加した。有機層を、水(5×50mL)およびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィーによって精製して(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(8g、18.8mmol)を得た。
【0181】
ステップ6.(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
MeOH(300mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(8g、18.8mmol)の溶液に、NaBH(5.6g、0.15mol)を少しずつ添加し、その間、温度は、40℃未満であった。添加後、この混合物を終夜撹拌した。溶媒を真空中で除去して残渣を得、これを、水とEtOAcの間で分割した。有機層を、HOおよびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、蒸発して粗製(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(7g)が得られ、これを、さらに精製することなく,ステップで使用した。
【0182】
ステップ7.(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(100mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−ヒドロキシエトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(7g、18.3mmol)の溶液に、−5〜0℃でEtN(54g、10mL、0.73mmol)を添加した。次いで、無水CHCl(50mL)中のMsCl(4.2g、36.5mmol)の溶液を、同じ温度で一滴ずつ添加した。添加後、これを徐々にrtに温めた。この反応混合物10%クエン酸溶液(30mL)、NaHCOおよびブラインで洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(8.4g)が得られ、これを、さらに精製することなく次ステップで使用した。
【0183】
ステップ8.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−(メチルスルホニルオキシ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(8.4g、18.3mmol)を、無水DMF(150mL)に溶解し、固体NaN(3.56g、54.8mmoL)を添加し、この反応混合物を、終夜60℃に加熱した。この反応混合物をrtに冷却し、EtOAc(500mL)で希釈し、有機相を、水(5×50mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(7g)を得た。
【0184】
ステップ9.(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アジドエトキシ)(5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(7g、17.1mmoL)を、EtOAc(300mL)に溶解し、0.8gのPd(OH)を添加し、容器中の空気を、3回Hで置換し、この反応物をrtで3hr撹拌した。この溶液を、ろ過し、濃縮して(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(6.2g)が得られ、これを、さらに精製することなく次ステップで使用した。
【0185】
ステップ10.(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
無水CHCl(70mL)中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(2−アミノエトキシ)(5−クロロ−2−メチルフェニル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(6.2g、16.2mmol)およびDMAP(0.2g、1.62mmol)の溶液に、EtN(8g、81mmol)を添加した。得られた混合物を、氷水浴中で0〜5℃に冷却し、無水CHCl(30mL)中のクロロギ酸メチル(3.1g、32.4mmol)の溶液を、一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、0〜5℃で1〜2hr撹拌した。反応を水でクエンチした。水相を、CHCl(3×30mL)で抽出し、合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して粗生成物が得られ、これを、最初にカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで、分取HPLCによって精製して、(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.5g)を得た。H NMR (CDOD,400MHz) d 7.30 (s,1H),7.20−7.10 (d,2H),4.81 (s,1H),4.46−4.30 (d,1H),4.29−4.15 (d,1H),3.95−3.83 (d,1H),3.62 (s,3H),3.30 (s,4H),2.90−2.65 (dd,2H),2.30 (s,3H),1.70 (s,1H),1.59 (s,1H),1.41 (s,9H),1.35−1.20 (m,3H)。
【0186】
(実施例7)
2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン
【0187】
【化25】

ステップ1.(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メトキシ−5−オキソペンタン酸
丸底フラスコに、EtN(303g、3mol)を、水(800ml)およびジオキサン(800ml)中のBocO(261.6g、1.2mol)および2−アミノ−ペンタン二酸5−メチルエステル(161g、1mol)の撹拌している溶液に一滴ずつ添加した。18hr後、この溶液を、石油エーテル(2×1000ml)で抽出し、水相を氷上で冷却し、10%クエン酸溶液のゆっくりとした添加によって注意深く酸性化してpH3にした。このウレタンを、次いで、EtOAc(3×1000ml)中に抽出し、合わせた抽出物を、ブラインで洗浄し、次いで、乾燥(NaSO)し、ろ過し、減圧下で濃縮して(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メトキシ−5−オキソペンタン酸(238g、91.2%)が得られ、これを、さらに精製することなく使用した。
【0188】
ステップ2.(S)−メチル4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−ヒドロキシペンタノエート
−10℃でTHF(500mL)中の(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メトキシ−5−オキソペンタン酸(35.2g、0.135mol)の撹拌している溶液に、N−メチルモルホリン(15mL、0.135mol)を添加し、次いでクロロギ酸エチル(14.72g、0.135mol)を添加した。10分後、NaBH(15.37g、0.405mol)を、一度に添加した。MeOH(1200mL)を、次いで、0℃で20分間かけて、一滴ずつ、この混合物に添加した。この溶液を、さらに20分撹拌し、次いで、1M KHSOで中和した。有機溶媒を除去し、水層を、EtOAc(3×500ml)で抽出した。合わせた有機相を、連続的に1M KHSO(300mL)、HO(300mL)、5%水性NaHCO(300mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)した。溶媒を蒸発して残渣を得、これを、カラムクロマトグラフィーで精製して所望の(S)−メチル4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−ヒドロキシペンタノエート(24g、72%)を得た。
【0189】
ステップ3.(S)−tert−ブチル4−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
(S)−メチル4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−ヒドロキシペンタノエート(24g、97.2mmol)およびイソプロペニルメチルエーテル(88.8g、854.6mmol)を、アセトン(2000mL)に溶解し、BF・EtO(0.82mL、5.84mmol)を、rtで添加した。この混合物を、rtで1hr撹拌した。反応を、EtN(11.6mL)の添加でクエンチした。この反応溶液を、水性飽和NaHCO(200mL)で洗浄し、蒸発し、(S)−tert−ブチル4−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(25.1g、90%)が、油として得られ、これを、さらに精製することなく次ステップで使用した。
【0190】
ステップ4.(S)−3−(3−(tert−ブトキシカルボニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−4−イル)プロパン酸
水酸化ナトリウム(195mL、HO中の4.0M、0.261mol、3.0eq)の水溶液を、(S)−tert−ブチル4−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(25.1g、0.087mol)の溶液に添加し、得られた混濁した反応混合物を、23℃で3.5hr撹拌した。この混合物を、減圧下で約50mLの体積に濃縮し、次いで、0.5M HCl(360ml)とEtOAc(2×360ml)の間で分割した。合わせた有機層を、NaSO上で乾燥し、ろ過した。ろ液を、減圧下で濃縮して(S)−3−(3−(tert−ブトキシカルボニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−4−イル)プロパン酸(21.6g、91%)が得られ、これを、さらに精製することなく使用した。
【0191】
ステップ5.(S)−tert−ブチル2,2−ジメチル−4−(3−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−3−オキソプロピル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート
2000mLフラスコに、(S)−3−(3−(tert−ブトキシカルボニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−4−イル)プロパン酸(21.6g、79mmol)および750mLの無水THFを装入した。この溶液を、0℃に冷却し、次いで、トリエチルアミン(23.94g、237mmol、3.0equiv)および塩化ピバロイル(9.76mL、79mmol、1.0equiv)を、順次添加した。この溶液を、0℃で4hr撹拌した。この時間の後、(R)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(13.26g、75.2mmol、0.95equiv)および無水LiCl(3.68g、86.4mmol、1.1equiv)を添加し、周囲温度に同時に温めながらこの反応物を13hr撹拌した。この時間の後、560mLの0.5M HClを添加し、この混合物を、分液漏斗に移し、層を分離した。水層を、EtOAc(3×370mL)で抽出し、合わせた有機層を、10% KCO(2×370mL)、およびブライン(2×370mL)で洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、蒸発した。粗材料を、ヘキサン中の0〜29% EtOAcで溶離するフラッシュクロマトグラフィーで精製した。これによって、透明シロップとして26.3g(81%)の(S)−tert−ブチル2,2−ジメチル−4−(3−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−3−オキソプロピル)オキサゾリジン−3−カルボキシレートを得た。
【0192】
ステップ6.(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−2−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−カルボニル)−5−オキソペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
0℃で、CHCl溶液(8.55mL、0.7eq)中の1.0M TiClを、CHCl(100mL)に添加し、次いで、ヘキサン溶液(4.28mL、0.35eq)中の1.0M TiCl(Oi−Pr)を添加し、5分撹拌し、DIPEA(2.87mL、1.35eq)を添加し、15分撹拌した。CHCl(50mL)中の(S)−tert−ブチル2,2−ジメチル−4−(3−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)−3−オキソプロピル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート(5.28g、12.22mmol)の溶液を添加した。この反応混合物を0℃で1hr撹拌した。この溶液に、t−ブチルアクリレート(2.22mL、1.25eq)を添加し、この混合物を、rtへ同時に温めながら、48hr撹拌した。この混合物を濃縮し、EtOAc(300mL)と1% HCl溶液(100mL)の間で分割した。有機層を、飽和NaHCO溶液(60mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥した。ろ過および濃縮後、残渣を、ISCO(120gカラム、ヘキサン中の0〜35% EtOAcグラジエント)で精製して、黄色みがかった固体として4.12g(60%)(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−2−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−カルボニル)−5−オキソペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレートを得た。MS ESI +ve m/z 583(M+Na)。
【0193】
ステップ7.(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−2−(ヒドロキシメチル)−5−オキソペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−2−((R)−4−メチル−2−オキソオキサゾリジン−3−カルボニル)−5−オキソペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(4.12g、7.36mmol)を、4:1のTHFおよびメタノール(200mL)中に溶解し、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(557mg、2eq)を、ゆっくりと添加した。10分後、この混合物を、ゆっくりとrtに温めた。この混合物をrtで2hr撹拌した。この混合物を濃縮し、EtOAc(300mL)に再溶解し、1% HCl溶液(100mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥した。ろ過および濃縮後、残渣を、ISCO(40gカラム、ヘキサン中の10〜65% EtOAcグラジエント、ニンヒドリン染料を用いる確認TLC)によって精製して、白色固体として2.86gの(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−2−(ヒドロキシメチル)−5−オキソペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレートを得た。MS ESI +m/v 410(M+Na)。
【0194】
ステップ8.(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−5−オキソ−2−(トシルオキシメチル)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
無水DCM(6mL)中の(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−2−(ヒドロキシメチル)−5−オキソペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(244mg、0.63mmol)の溶液に、ピリジン(2mL)および触媒量のDMAPを添加し、この溶液を0℃に冷却した。塩化トシル(360mg、1.88mmol)を添加し、rtで終夜撹拌した。この反応混合物をEtOAc(40mL)で希釈し、1N HCl(2×、50ml+20ml)で洗浄し、次いでHO、aq.NaHCO、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過した。溶媒の蒸発後、残渣を、ヘキサン中の0〜20% EtOAcで溶離するシリカゲルカラムによって精製して(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−5−オキソ−2−(トシルオキシメチル)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(317mg、収率93%)を得た。
【0195】
ステップ9.(S)−tert−ブチル4−((R)−5−ヒドロキシ−2−(トシルオキシメチル)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
下で、−78℃において無水DCM(8mL)中の(S)−tert−ブチル4−((R)−5−tert−ブトキシ−5−オキソ−2−(トシルオキシメチル)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(317mg、0.58mmol)の溶液に、DiBAlH(ヘキサン中の1M、1.75mL、1.75mmol)を一滴ずつ添加した。添加後、この反応混合物を、さらに30分撹拌した。MeOH(2mL)で、次いで50%ロッシェル塩aq溶液で反応をクエンチし、2hr撹拌した。得られた溶液を、DCM(3×20mL)で抽出し、合わせた有機相を濃縮し、THF/MeOH(10mL、4/1、v/v)に溶解し、0℃に冷却し、NaBH(11mg、0.29mmol)を添加し、この温度で30分撹拌した。反応を水性NHClでクエンチし、次いで、EtOAc(3×20mL)で抽出し、合わせた有機相を、HO、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して粗製(S)−tert−ブチル4−((R)−5−ヒドロキシ−2−(トシルオキシメチル)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(255mg、92%)を得た。これを、さらに精製することなく使用した。
【0196】
ステップ10.(S)−tert−ブチル2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート
下で0℃において無水DMF(8mL)中の(S)−tert−ブチル4−((R)−5−ヒドロキシ−2−(トシルオキシメチル)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(254mg、0.54mmol)の溶液に、NaH(43mg、1.08mmol)を添加した。この温度で1hr撹拌後、aq.NHClで反応をクエンチし、次いで、蒸発して乾燥させた。残渣をEtOAcおよびHOに溶解し、分離した水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を、HO,ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発した。残渣を、シリカゲルカラムで精製して(S)−tert−ブチル2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート(136mg、84%)を得た。
【0197】
(実施例8)
2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン
【0198】
【化26】

ステップ1.(2S,4R)−1−tert−ブチル2−エチル4−アリル−5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
無水THF(200mL)中のHMDSの溶液に、一滴ずつヘキサン(130mL)中の2.5M n−BuLiを添加し、この混合物を、−78℃で1hr撹拌した。−78℃で撹拌している無水THF中(1600mL)の(S)−1−tert−ブチル2−エチル5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(80g、0.311mol)の溶液に、THF中のリチウムヘキサメチルジシラジドを添加した。この反応混合物を−78℃で1hr撹拌後、THF(200mL)中の3−ブロモプロペン(38.47g、0.318mol)を添加し、撹拌を2hr続けた。−78℃で、飽和塩化アンモニウム溶液(600mL)で、この反応混合物をクエンチし、EtOAc(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を、NaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発して乾燥させた。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーで分離して(2S,4R)−1−tert−ブチル2−エチル4−アリル−5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(15g、16%)を得た。
【0199】
ステップ2.tert−ブチル(2S,4R)−1−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプト−6−エン−2−イルカルバメート
MeOH/HO(700/70mL)中の(2S,4R)−1−tert−ブチル2−エチル4−アリル−5−オキソピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(30g、0.1mol)の溶液に、NaBH(25g、0.66mol)を添加し、得られた混合物をrtで1hr撹拌し、飽和aq.NHCl(300mL)でクエンチした。有機溶媒を真空下で除去し、EtOAc(3×250mL)で抽出した。合わせた有機相を、ブライン(250mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発して粗製tert−ブチル(2S,4R)−1−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプト−6−エン−2−イルカルバメート(22g、85%)を得た。これを、さらに精製することなく次ステップで使用した。
【0200】
ステップ3.(S)−tert−ブチル4−((R)−2−(ヒドロキシメチル)ペント−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
アセトン(150mL)中のtert−ブチル(2S,4R)−1−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプト−6−エン−2−イルカルバメート(6.8g、26.2mmol)の溶液に、PTSA(0.45g、2.62mmol)を添加した。この反応混合物を−20℃に冷却し、次いで2,2−ジメトキシプロパン(4.1g、39.4mmol)を添加した。得られた混合物を、rtに温め1hr撹拌した。次いで、TEA(0.5mL)を添加し、さらに5分撹拌した。減圧下で溶媒を除去した。残渣をEtO(300mL)に溶解し、連続して1N HCl(80mL)、飽和aq.NaHCO(80mL)、ブライン(80mL)で洗浄し、乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して粗製(S)−tert−ブチル4−((R)−2−(ヒドロキシメチル)ペント−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(7.5g、96%)を得た。これを、さらに精製することなく使用した。
【0201】
ステップ4.(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)ペント−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
CHCl(200mL)中の(S)−tert−ブチル4−((R)−2−(ヒドロキシメチル)ペント−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(11.5g、38.4mmol)、イミダゾール(7.84g、115.2mmol)およびDMAP(234mg、1.92mmol)の溶液に、CHCl(100mL)のTBSCl(8.68g、57.6mmol)の溶液を、一滴ずつ添加した。この反応混合物をrtで終夜撹拌した。この反応物を水(100mL)で洗浄し、水層をCHCl(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(70mL)で洗浄し、次いでNaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して粗生成物を得、これを、カラムクロマトグラフィーで精製して(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)ペント−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(9g、57%)を得た。
【0202】
ステップ5.(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−ヒドロキシペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
THF(200mL)中の(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)ペント−4−エニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(26g、63mmol)の溶液を、氷浴中で冷却し、次いで、10M BH.SMe(6.3mL)を、一滴ずつ添加した。5hr撹拌後、10% NaOH溶液(32mL)を、次いで30% H(32mL)を注意深く添加した。この反応混合物をrtで16hr撹拌した。この反応混合物を、ジエチルエーテル(500mL)で希釈し、水層をジエチルエーテル(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して粗生成物を得、これを、カラムクロマトグラフィーで精製して(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−ヒドロキシペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(19.6g、72%)を得た。
【0203】
ステップ6.(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−(メチルスルホニルオキシ)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート
CHCl(400mL)中の(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−ヒドロキシペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(32g、74.2mmol)およびEtN(22.5g、226mmol)の溶液に、0〜5℃でCHCl(50mL)中のMsCl(10.1g、89mmol)の溶液を添加した。添加後、この反応混合物をrtに温め1hr撹拌した。この反応物を、水(200mL)で洗浄し、水層を、CHCl(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を、10%クエン酸(60mL)、飽和NaHCO(60mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)−5−(メチルスルホニルオキシ)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(37.7g、100%)が得られ、これを、精製することなく次ステップで使用した。
【0204】
ステップ7.(S)−tert−ブチル2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート
THF(1000mL)中の(S)−tert−ブチル4−((R)−2−((tert−ブチルジメチルシロキシ)メチル)−5−(メチルスルホニルオキシ)ペンチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(37.7g、74.2mmol)の溶液に、フッ化テトラエチルアンモニウム水和物(41g、185.5mmol)を少しずつ添加した。この反応混合物を、還流下で終夜撹拌した。この混合物を、EtOAc(1000mL)で希釈し、水(300mL)およびブライン(500mL)で洗浄した。有機相を、NaSO上で乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮して粗生成物を得、これを、カラムクロマトグラフィーで精製して、(S)−tert−ブチル2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート(12.0g、54%)を得た。
【0205】
(実施例9)
tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート
【0206】
【化27】

ステップ1.tert−ブチル(S)−1−ヒドロキシ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートの調製
MeOH(10mL)中の(S)−tert−ブチル2,2−ジメチル−4−(((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート(643mg、2.15mmol)の溶液に、p−TSA(37mg、0.22mmol)を添加し、次いで、この溶液を、rtで12hr撹拌した。TEA(2mL)を添加し、次いでBocO(46mg、0.21mmol)を添加した。添加後、この反応溶液を、さらに30分撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去して、粗生成物tert−ブチル(S)−1−ヒドロキシ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートを得た。これを、さらに精製することなく次ステップに使用した。MS ESI +ve m/z 260(M+1)。
【0207】
ステップ2.(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピル4−メチルベンゼンスルホネートの調製
上記粗生成物tert−ブチル(S)−1−ヒドロキシ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートを、無水DCM(22mL)に溶解した。この溶液に、ピリジン(2mL)およびTsCl(1.230g、6.45mmol)を添加した。rtで4hr撹拌後、別のバッチのピリジン(3mL)およびTsCl(0.700g、3.67mmol)を添加し、さらに12hr撹拌した。この反応混合物を、EtOAc(80mL)で希釈し、1N HCl(75mL)で洗浄し、次いでHO(2×30mL)、飽和aq.NaHCO、ブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られたスラリーを、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント系:ヘキサン中の0〜35%EtOAcで溶離する)で精製して、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピル4−メチルベンゼンスルホネートを得た(670mg、2段階の収率75%)。MS ESI +ve m/z 436(M+Na)。
【0208】
ステップ3.tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート
無水DMF中の(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピル4−メチルベンゼンスルホネート(132mg、0.32mmol)およびNaN(62mg、0.95mmol)の溶液を、N雰囲気下80℃に1.5hr加熱し、rtに冷却し、EtOAcで希釈し、HO(3×20mL)で洗浄し、次いでブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られたスラリーを、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント系:ヘキサン中の0〜30%EtOAcで溶離する)により精製して、tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートを得た(58mg、収率64%)。MS ESI +ve m/z 307(M+Na)。
【0209】
ステップ4:tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート
tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート(146mg、0.51mmol)の水素化を、2h、40psiのH下、MeOH(10mL)、10%Pd/C(25mg)中で実施した。ろ過後、114mgのtert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートを得た(収率86%)。MS ESI +ve m/z 259(M+H)。
(実施例10)
tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
【0210】
【化28】

ステップ1.tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
−78℃で無水THF(4mL)中のtert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート(30mg、0.11mmol)の溶液に、THF(253μL、0.25mmol)中の1.0M LHMDS溶液を添加し、次いで、この温度で30分撹拌した。この混合物に、MeI(125μL、0.22mmol)を添加し、次いで、温度を、0℃に温め、冷蔵庫中で12hr静置した。この反応混合物を、飽和aq.NHClでクエンチし、EtOAc(30mL)で抽出し、分離した有機相を、HO(2×10mL)、ブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られたスラリーを、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント系、ヘキサン中の0〜30% EtOAcで溶離する)により精製して、tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート(31mg、収率100%)を得た。MS ESI +ve m/z 321(M+Na)。
【0211】
ステップ2.tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート(62mg、0.51mmol)の水素化を、2h、40psiのH下、EtOAc(20mL)、10% Pd/C(15mg)中で実施した。ろ過後、52mgのtert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメートが得られた(収率91%)。MS ESI +ve m/z 273(M+H)。
【0212】
代替手順I:
別法として、tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートは、次の手順で調製することができる。
【0213】
【化29】

ステップ1.5−クロロ−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミド
【0214】
【化30】

室温でTHF(600mL)中の(1S,2S)−プソイドエフェドリン(60g、363.1mmol)の磁気的に撹拌された溶液に、トリエチルアミン(65.4mL、472mmol)を一度に添加した。得られた白色懸濁液を0℃に冷却した。THF(130mL)中の5−クロロペンタノイルクロリド(49mL、381mmol)の溶液を、添加漏斗を用い45分かけてこの混合物に一滴ずつ添加した。この混合物を、次いで、0℃で30分撹拌した。HO(40mL)を添加し、得られた混合物を、元の体積の約10%に濃縮した。得られた溶液を、HO/EtOAcの間で分割し、層を分離した。水層を、EtOAc(600mL)で抽出した。合わせた有機層を、飽和水性NaHCO、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、淡黄色油として粗生成物を得た。粗製アミドを、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;3×330gカラム;CHClから5%MeOH/CHCl)により精製して、透明、粘性油として生成物を得た。残余のMeOHを、トルエン(3×100mL)と共沸して除去し、5−クロロ−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミド(96.2g、339mmol、93%)を得た。LCMS (m/z=266.0)。
【0215】
ステップ2.(R)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペント−4−エンアミド
【0216】
【化31】

室温でTHF(700mL)中のLiCl(83g、1.96mol)の磁気的に撹拌された懸濁液に、ジイソプロピルアミン(104mL、736mmol)を一度に添加した。nBuLi(ヘキサン中の2.5M、281mL、703mmol)を、添加漏斗を用いて30分かけて一滴ずつ添加した。淡黄色混合物を、−78℃で20分撹拌し、次いで15分かけて0℃に温めた。この混合物を、次いで、−78℃に冷却し、THF(330mL)中の5−クロロ−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミド(92.8g、327mmol)を、添加漏斗を用いて30分かけて一滴ずつ添加した。この混合物を、−78℃で1h撹拌し、次いで、25分かけて0℃に温めた。臭化アリル(41.5mL、490mmol)を、次いで、注射器により2分かけてゆっくりと添加し、次いで、この反応物を、室温に温めた。この反応物を、室温で50分撹拌し、LC/MSによって完了を判断した。この混合物を、0℃に冷却し、飽和水性NaHCO(400mL)およびHO(200mL)を添加した。EtOAcを添加し、相を分離し、水相を、EtOAc(合計1500mL)で抽出した。有機層と合わせ、1N HCl(4×150mL)、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して橙色油として(R)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペント−4−エンアミド(101.2g、312mmol、95%)を得た。粗材料を、さらに精製することなく続けた。LC/MS(m/z=306.0)。
【0217】
ステップ3.(R)−2−(3−クロロプロピル)ペント−4−エン−1−オール
【0218】
【化32】

THF(600mL)中のジイソプロピルアミン(184mL、1.29mol)の磁気的に撹拌された溶液を、−78℃に冷却した。nBuLi(ヘキサン中の2.5M、482mL、1.21mol)を、添加漏斗を用いて35分かけて一滴ずつ添加した。混濁した混合物を、−78℃で15分撹拌し、次いで、0℃に15分温め、その間に、この溶液は透明な淡黄色になった。ボラン−アンモニア(90%、42g、1.24mol)を、四等分して1分間隔で添加した(注意:ガスの激しい発生)。この混濁した混合物を、20分かけて室温に温め、次いで、0℃に再冷却した。THF(300mL)中の(R)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1S,2S)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペント−4−エンアミド(100.2g、309mmol)を、添加漏斗を用いて10分かけて一滴ずつ添加した。この反応物を、室温に温め、2.5h撹拌した。この反応物を、−10℃に冷却し、HCl(3M、1500mL)でクエンチした。相を分離し、水相を、EtO(合計2000mL)で抽出した。合わせた有機層を、3N HCl、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、黄色油として粗生成物を得た。粗材料を、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;330gカラム;ヘキサンから30% EtOAc/ヘキサン)により精製して透明、粘性油として(R)−2−(3−クロロプロピル)ペント−4−エン−1−オール(32.6g、200mmol、65%)を得た。H NMR (400 MHz.CDCl) d 5.82 (m,1H),5.07 (m,2H),3.78 (m,1H),3.58 (d,J = 8.0 Hz,2H),3.54 (t,J = 8 Hz,2H),2.14 (m,2H),1.85 (m,2H),1.64 (m,1H),1.49 (m,1H)。
【0219】
ステップ4.(R)−3−アリル−テトラヒドロ−2H−ピラン
【0220】
【化33】

DMF(350mL)を、NaH(60%w/w、15g、0.376mmol)および磁気撹拌棒を入れた丸底フラスコに添加した。この懸濁液を、氷浴中で5〜10℃に冷却し、5分撹拌した。DMF(350mL)中の(R)−2−(3−クロロプロピル)ペント−4−エン−1−オール(30.6g、188mmol)の溶液を、25分かけて添加漏斗を用いて添加した。注意:ガス発生および発熱。得られたクリーム状の懸濁液を、30分撹拌した。この反応物を、室温に温め、得られたベージュ色の懸濁液を、2h撹拌し、その時に、TLCにより完了が判断された。この反応混合物を、0℃に冷却し、HO(250mL)およびHCl(3N、250mL)の添加でクエンチした。相を分離し、水相を、石油エーテル(4×250mL)で抽出した。合わせた有機層を、HO、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して黄色油として粗生成物を得た。粗材料を、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;120gカラム;ヘキサンから30% EtOAc/ヘキサン)により精製して、透明油として(R)−3−アリル−テトラヒドロ−2H−ピラン(19.8g、157mmol、83%)を得た。H NMR (400 MHz.CDCl) d 5.72−5.82 (m,1H),5.00−5.06 (m,2H),3.86−3.91 (m,2H),3.37 (m,1H),3.08 (t,J = 12 Hz,1H),1.85−1.98 (m,3H),1.59−1.69 (m,3H),1.15−1.21 (m,1H)。
【0221】
ステップ5.(R)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)アセトアルデヒド
【0222】
【化34】

室温でアセトニトリル(740mL)中の(R)−3−アリル−テトラヒドロ−2H−ピラン(18.7g、148mmol)の磁気的に撹拌された溶液に、RuCl・2H0(1.43g、5.92mmol)を一度に添加した。得られた濃褐色溶液を、室温で5分撹拌し、次いで、NaIO(69g、326mmol)を、一度に添加した。HOを、少量ずつ(10×8mL)、5分間隔で添加した。この反応物を、室温で30分撹拌し、その時、TLCにより完了が判断された。この反応混合物を、飽和水性Na(250mL)およびHO(1000mL)の添加でクエンチした。相を分離し、水相を、EtO(4×400mL)で抽出した。有機層と合わせて、HO、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、黄色油として粗生成物を得た。粗材料を、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;120gカラム;ヘキサンから40% EtOAc/ヘキサン)で精製して、黄色油として(R)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)アセトアルデヒドを得た(14.3g、111mmol、60%)。H NMR (400 MHz, CDCl) d 9.78 (t,J = 2,1H),3.84−3.88 (m,2H),3.40−3.47 (m,1H),3.17 (dd,J = 11.2,8.8 Hz,1H),2.31−2.41 (m,2H),2.21−2.28 (m,1H),1.88−1.93 (m,1H),1.61−1.72 (m,2H),1.29−1.33 (m,1H)。
【0223】
ステップ6.(R,E)−N−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチリデン)メタンアミン
【0224】
【化35】

室温でEtO(215mL)中の(R)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)アセトアルデヒド(11g、85.8mmol)の磁気的に撹拌された溶液に、MeNH(THF中の2M、215mL、429.2mmol)およびモレキュラーシーブ(4Å、粉末状、活性化、21.5g)を添加した。この反応物を、室温で1h撹拌した。得られた混合物を、次いで、ろ過し、減圧下で濃縮して、黄色油として(R,E)−N−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチリデン)メタンアミン(11.3g、80mmol、93%)を得た。粗材料を、さらに精製することなく続けた。H NMR (400 MHz, CDCl) d 7.67 (m,1H),3.86−3.91 (m,2H),3.36−3.43 (m,1H),3.29 (s,3H),3.13 (dd,J = 11.0,9.8 Hz,1H),1.95−2.14 (m,2H),1.86−1.91 (m,2H),1.62−1.68 (m,2H),1.21−1.30 (m,1H)。
【0225】
ステップ7.tert−ブチル(S)−1−シアノ−2−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチル(メチル)−カルバメート
【0226】
【化36】

2L丸底フラスコに、トルエン(400mL)、磁気撹拌棒、(R,E)−N−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチリデン)メタンアミン(11.3g、80.1mmol)および3−{(E)−[((1R,2R)−2−{[({(1S)−1−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−2,2−ジメチルプロピル}アミノ)カルボノチオイル)アミノ)シクロヘキシル)イミノ)メチル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル2,2−ジメチルプロパノエート(J.Am.Chem.Soc.、2002年、124巻、10012〜10014頁)(0.9g、1.6mmol)を装入した。この混合物を、−78℃に冷却し、トリメチルシランカルボニトリル(21.4mL、160.2mmol)を、添加漏斗を用いて15分かけて一滴ずつ添加した。イソプロピルアルコール(12.3mL、160.2mmol)を、次いで、10分かけて一滴ずつ添加した。この反応物を、−78℃で3h撹拌し、次いで、室温に温め1h撹拌した。ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカルボネート(35.0g、160.2mmol)を、次いで、添加し、得られた混合物を、室温で1h撹拌した。飽和水性NaHCO(400mL)およびEtOAc(300mL)の添加により、反応をクエンチした。層を分離し、水層を、EtOAc(100mL)で洗浄した。合わせた有機層を、NaSO上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗材料を、2部に分割し、それぞれを、フラッシュクロマトグラフィー(ISCO;120gカラム;30分かけて0%から10%EtOAc/ヘキサン、次いで10%EtOAc/ヘキサン47分、次いで2分かけて10%から20%EtOAc/ヘキサン次いで20%EtOAc/ヘキサン11分)で精製した。2つの精製されたバッチを、合わせて橙色油としてtert−ブチル(S)−1−シアノ−2−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチル(メチル)カルバメート(18.9g、70mmol、86%)を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) d 5.00 (brs,1H),3.83−3.90 (m,2H),3.42−3.48 (m,1H),3.19 (dd,J = 11.3,8.6,1H),2.92 (s,3H),1.85−1.95 (m,1H),1.60−1.82 (m,5H),1.50 (s,9H),1.28−1.33 (m,1H)。
【0227】
ステップ8.tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
【0228】
【化37】

tert−ブチル(S)−1−シアノ−2−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エチル(メチル)カルバメート(397mg、α−アミノ立体中心におけるジアステレオ異性体の4:1混合物)を、MeOH(15mL)中の4M NHの溶液に溶解し、次の設定:すなわち、周囲温度(14℃)、流速1.0mL/min、H圧 30気圧で、インライン式(in line)水素化装置(H−Cube)上のラネーニッケルカートリッジ(CatCart(登録商標)、50mm)を通した。この溶液を、生成物の溶液が装置に戻されるように再循環させた。30分後、TLC分析(1:9 MeOH/CHCl、KMnO染色)によって、出発原料の完全な変換が示された。60分の全反応時間後、溶液を蒸発して透明、バラ色の油として371mg(92%)のtert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートを得た。LC−MS (ELSD) m/e 273.6(M+H)+。
【0229】
代替手順II:
別法として、tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートは、次の手順によって調製することもできる。
【0230】
【化38】

ステップ1.(3R,7aS)−メチル6−(3−クロロプロピル)−5−オキソ−3−フェニル−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−6−カルボキシレート
アミナール(3R,7aS)−3−フェニル−ジヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−5(1H,3H,6H)−オン(35.77g、0.176mol、1.0equiv、粗製、[J.Org.Chem.1986年、51巻、3140頁])を、100mLのTHFに溶解し、この混合物を、熱電対、オーバーヘッドスターラー、還流冷却器および窒素入口を備えた1L三首フラスコ中で−10℃(氷/アセトン浴)に冷却した。NaNTMS(2.0M、193.6mL、0.387mol、2.2equiv)の溶液を、1hかけて滴下漏斗により添加し、その間、内部温度を−5から0℃の間に保った。濃い橙褐色の反応混合物を30分撹拌した。9mLのTHF中のクロロギ酸メチル(17.5g、14.3mL、0.185mol、1.05equiv)の溶液を、1hかけてシリンジポンプで添加した。添加を完了した後、この混合物を、0℃で1h撹拌し、次いで、LC/MSで試料分析した。これによって、1.28分において出発原料アミドの約90%のβ−ジカルボニル中間体への変換が示された。クロロギ酸メチル溶液(1.8mLのTHF中の1.75g、1.43mL、0.0185mol)の第二の部分を約10分かけて添加し、この混合物を、0℃で、さらに1時間撹拌した。この時間の後、出発原料アミドは消費された。1−ブロモ−3−クロロプロパン(69.3mL、111g、0.704mol、4.0equiv)を添加し、この混合物を、17h加熱還流した。この時間の後、LC/MSによって、所望のアルキル化化合物の形成が示された。この混合物を、周囲温度に冷却し、0.5M HClの添加によってクエンチした。約5℃の発熱が観測された。この混合物を、100mLのEtOAcを入れた分液漏斗に移し、層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、蒸発した。粗製(3R,7aS)−メチル6−(3−クロロプロピル)−5−オキソ−3−フェニル−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−6−カルボキシレート(62.05g、Cl(CHBrが混入している)を、さらに精製することなく次ステップで使用した。
【0231】
ステップ2.(3R,7aS)−6−(3−クロロプロピル)−5−オキソ−3−フェニル−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−6−カルボン酸
(3R,7aS)−メチル6−(3−クロロプロピル)−5−オキソ−3−フェニル−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−6−カルボキシレート(36.90g)を、300mLのTHFに溶解し、この混合物を0℃に冷却した。水(273mL、2.0M)中のLiOH.HO(22.97g、0.548mol、5.0equiv)の溶液を、約5℃に冷却し、上記THF溶液に添加した。この混合物を10℃で撹拌し、加水分解の進行をLC/MSでモニターした。3h後、メチルエステルは完全に消費された。EtOAc(100mL)を添加し、濃HCLを、pH<2になるまで添加した。この混合物を、分液漏斗に移し、層を分離した。水層を100mL EtOAcで抽出し、合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発した。(3R,7aS)−6−(3−クロロプロピル)−5−オキソ−3−フェニル−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−6−カルボン酸を、真空中の残余溶媒の除去後、黄褐色固体(32.65g、92%収率)として単離した。
【0232】
ステップ3.(3R,6R,7aS)−6−(3−クロロプロピル)−3−フェニル−ジヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−5(1H,3H,6H)−オン
(3R,7aS)−6−(3−クロロプロピル)−5−オキソ−3−フェニル−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−6−カルボン酸(32.65g、0.101mol)を、300mLの無水トルエン中でスラリーにした。この混合物の温度を、約1hかけて120℃に上げ、120℃で2h維持した。この時間の後、LC/MS分析によって、所望のアミドの形成が示された。この混合物を、周囲温度に冷却し、分液漏斗に移した。この混合物を、100mLの半飽和NaHCO溶液およびブラインで洗浄した。この処理の間に、いくらかの不溶性物質が界面で形成した。この物質を捨てた。トルエン溶液を、5gの活性炭(Norit、ニュートラル)とともに1h撹拌し、次いで、Celiteのパッドを通してろ過し、蒸発した。琥珀色のシロップを、終夜、真空ラインに置いた。これによって、26.7g(94%収率)の(3R,6R,7aS)−6−(3−クロロプロピル)−3−フェニル−ジヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−5(1H,3H,6H)−オンが得られた。
【0233】
ステップ4.(3R,5S)−3−(3−クロロプロピル)−5−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン
(3R,6R,7aS)−6−(3−クロロプロピル)−3−フェニル−ジヒドロピロロ[1,2−c]オキサゾール−5(1H,3H,6H)−オン(13.6g、47.9mmol、1.0equiv)を、THF(100mL):ギ酸(85%、62.5mL):HO(31mL)の混合物中に溶解し、この溶液を、40℃に3.5h加熱した。この時間の後、アミナールは消費され、所望のアルコールは、様々な量のギ酸エステルが混入している。この溶液を、浴槽温度を、25℃未満に保ちながら、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発した。1.9M LiOHの溶液を、pH>12が達成されるまで、残渣に添加し、この混合物を、20分間撹拌した。この時間の後、ギ酸エステルは観察されなかった。EtOAc(250mL)を添加し、この混合物を、分液漏斗に移した。層を分離し、水層を、4×50mLのEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を、NaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発した。ヘキサン(約200mL)を、残渣に添加し、2相混合物を、約40℃に加熱した。ヘキサンを、デカントして捨て、この手順を2回繰り返した。得られたシロップを、真空ライン上に置き、ここで、これは、固まってオフホワイトの固体(7.51g、82%収率)として(3R,5S)−3−(3−クロロプロピル)−5−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オンが得られた。さらなる0.80gの材料が、上記のNaClとの水溶液を飽和させ、4×50mLのCHClで抽出することによって得られる。
【0234】
ステップ5.((2S,4R)−4−(3−クロロプロピル)−5−オキソピロリジン−2−イル)メチル4−ニトロベンゼンスルホネート
(3R,5S)−3−(3−クロロプロピル)−5−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−オン(8.31g、43.4mmol、1.0equiv)、p−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(10.57g、47.7mmol、1.1equiv)およびDMAP(0.53g、4.4mmol、0.1equiv)を、500mL丸底フラスコに添加し、窒素下でTHF(100mL)に溶解した。トリエチルアミン(8.77g、12.1mL、86.7mmol、2.0equiv)を、注射器で添加し、得られた溶液を、周囲温度で17h撹拌した。この時間の後、所望のノシレートの完全な形成が、LC/MS分析によって観測された。この混合物を、50mLのEtOAcで希釈し、このアミンを、100mLの1.0M HClの添加によりクエンチした。層を分離し、有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発した。淡黄色固体を、エーテルで洗浄し、残余溶媒を真空中で除去した。これによって、14.02g(86%収率)の((2S,4R)−4−(3−クロロプロピル)−5−オキソピロリジン−2−イル)メチル4−ニトロベンゼンスルホネートが得られた。
【0235】
ステップ6.(3R,5S)−5−(アジドメチル)−3−(3−クロロプロピル)ピロリジン−2−オン
((2S,4R)−4−(3−クロロプロピル)−5−オキソピロリジン−2−イル)メチル4−ニトロベンゼンスルホネート(18.05g、45.2mmol)およびNaN(3.23g、49.7mmol、1.1equiv)を、100mLのDMF中で19h撹拌した。この時間の後、白色固体が形成し、LC/MS分析によって、所望のアジドの形成が示された。DMFを真空中で除去し、残渣を、EtOAc/HO(100+100mL)の間で分割した。この混合物を、分液漏斗に移し、層を分離した。水層を、100mLのさらなるEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発した。(3R,5S)−5−(アジドメチル)−3−(3−クロロプロピル)ピロリジン−2−オンが、淡黄色シロップ(9.08g、94%収率)として単離された。
【0236】
ステップ7.(3R,5S)−tert−ブチル5−(アジドメチル)−3−(3−クロロプロピル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート
(3R,5S)−5−(アジドメチル)−3−(3−クロロプロピル)ピロリジン−2−オン(9.08g、41.9mmol、1.0equiv)、Boc−無水物(11.43g、52.4mmol、1.25equiv)およびDMAP(1.28g、10.4mmol、0.25equiv)を、アセトニトリル(100mL)中に溶解し、この混合物を、周囲温度で3h撹拌した。この時間の後、所望のカルバメートが形成された。溶液を蒸発し、生成物を、ヘキサン中の0〜27%EtOAcで溶離するシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。これによって、無色シロップとして10.1g(67%収率)の(3R,5S)−tert−ブチル5−(アジドメチル)−3−(3−クロロプロピル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレートが得られた。
【0237】
ステップ8.tert−ブチル(2S,4R)−1−アジド−7−クロロ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプタン−2−イルカルバメート
(3R,5S)−tert−ブチル5−(アジドメチル)−3−(3−クロロプロピル)−2−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(10.11g、31.9mmol、10.equiv)を、200mLのMeOHに溶解した。固体NaBHを、反応温度を約27℃に維持する速度で、約1gの部分で添加した。続いての部分のNaBHは、先の添加が、完全に溶解した後に添加した。約3gのNaBH(約80mmol、2.5equiv)の3hにわたる添加の後、LC/MS分析によって、所望のアルコールへの>95%の変換が示された。残余の水素化物試薬は、混合物を0℃に冷却し、H発生が止むまで1.0M HClを注意深く添加することによってクエンチした。メタノールを真空中で除去し、混合物を、約200mLのEtOAcで希釈した。この混合物を、分液漏斗に移し、層を分離した。水層を、さらなるEtOAcで抽出し、合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、シリカのパッドを通してろ過し、蒸発した。これによって、約10gのtert−ブチル(2S,4R)−1−アジド−7−クロロ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプタン−2−イルカルバメートが得られ、これは、さらに精製することなく続いてのステップで使用するのに十分な純度を所持した。
【0238】
ステップ9.tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
tert−ブチル(2S,4R)−1−アジド−7−クロロ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプタン−2−イルカルバメート(1.59g、4.97mmol、1.0equiv)を、15mLのDMFに溶解し、この溶液を、0℃に冷却した。NaNTMS(1.0M、14.9mmol、3.0equiv)の溶液を、内部の反応物温度が5℃未満にとどまるような速度で、注射器により添加した。2h撹拌後、LC/MS分析によって、環化生成物の形成が示された。硫酸ジメチル(940mg、0.71mL、7.5mmol、1.5equiv)を添加し、反応混合物を、終夜、同時に周囲温度に温めながら撹拌した。LC/MS分析によって、所望のメチル化カルバメートの形成が示された。この反応物を、10% KCO溶液(約30mL)の添加によってクエンチし、この混合物を、0.5h撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、残渣を、EtOAc/水の間で分割した。層を分離し、有機層を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発した。生成物を、ヘキサン中の0〜7%EtOAcで溶離するシリカ(40g)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。これによって、無色液体として1.21g(82%収率)の所望のtert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートが得られた。
【0239】
ステップ10.tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート(2.1g、7.04mmol、1.0equiv)およびPd/C(10%、約200mg)を、フラスコに添加した。THF(30mL)を添加し、フラスコに、水素ガスのバルーンに接続されたガス入口を取り付けた。フラスコを、バルーンからのHで排気し置換した。これを2回繰り返し、反応混合物を、周囲温度で17h撹拌した。LC/MSによる分析によって、所望のアミンへの完全な変換が示された。触媒を、Celiteのパッドを通したろ過によって除去し、混合物を蒸発した。これによって、1.82g(94%)のtert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートが得られた。
【0240】
代替手順III:
別法として、tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートは、次の手順によって調製することができる。
【0241】
【化39】

代替手順IV:
別法として、tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートは、次の処理によっても調製することができ、ここで、キラル水素化触媒を、一連の水素化ステップで使用して鏡像異性的に濃縮された中間体を提供することができる。
【0242】
【化40】

例えば、ジヒドロピラン−アミンを形成するためのジヒドロピラン−エン−アミンの水素化は、[Rh(nbd)]BFおよびSL−M004−1(SL−M004−1:(αR,αR)−2,2’−ビス(α−N,N−ジメチル−アミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1’−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセン、Solvias,Inc.Fort Lee,NJより市販)から生成される触媒の1〜2mol%を使用し、約88〜110psiの水素圧を使用し、25℃で、メタノール中で達成することができる。テトラヒドロピラン−アミンを形成するためのジヒドロピラン−アミンの水素化は、約80バールの水素圧および[Rh(COD)]OSCFおよびSL−A109−2(溶媒:THF)または[Rh(nbd)]BFおよびSL−A109−2(溶媒:メタノール)(SL−A109−2:(S)−(6,6’−ジメトキシビフェニル−2,2’−ジイル)−ビス[ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]、Solvias,Inc.Fort Lee,NJから市販)から生成される4mol%の触媒量の触媒を使用し、50℃で達成することができる。
【0243】
(実施例11)
(S)−2−(3−クロロプロピル)ペント−4−エン−1−オール
【0244】
【化41】

ステップ1.5−クロロ−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミド
【0245】
【化42】

5−クロロ−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミドを、実施例10a、ステップ1に記載された方法にしたがって、5−クロロペンタノイルクロリド(7.8mL、60.4mmol)および(1R,2R)−プソイドエフェドリン(9.9g、60.4mmol)から調製した。
【0246】
ステップ2.(S)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペント−4−エンアミド
【0247】
【化43】

(S)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペント−4−エンアミドを、実施例10a、ステップ2に記載された方法にしたがって、5−クロロ−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペンタンアミド(17.7g、60.2mmol)から調製した。
【0248】
ステップ3.(S)−2−(3−クロロプロピル)ペント−4−エン−1−オール
【0249】
【化44】

(S)−2−(3−クロロプロピル)ペント−4−エン−1−オールを、実施例10a、ステップ3に記載された方法にしたがって、(S)−2−(3−クロロプロピル)−N−((1R,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)−N−メチルペント−4−エンアミド(18.2g、56.2mmol)から調製した。
【0250】
(実施例12)
tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(エチル)カルバメート
【0251】
【化45】

ステップ1.tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(エチル)カルバメート
無水DMF(50mL)中の粗製tert−ブチル(2S,4R)−1−アジド−7−クロロ−4−(ヒドロキシメチル)ヘプタン−2−イルカルバメート(3.20g、10.0mmol)の0℃の溶液に、NaH(鉱油中60%、2.0g、50.0mmol)を添加し、5分後に温度を室温に温め、さらに1.5h撹拌した。ヨウ化エチル(4.68g、2.4mL、30.0mmol)を、添加し、室温で終夜撹拌した。この反応物を、0℃で飽和aq.NHClでクエンチし、EA(70mL)で抽出し、分離された有機相を、HO(2×50mL)で洗浄し、引き続きブライン(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮して油が得られ、これを、シリカゲル上の酢酸エチル/ヘキサン(0〜20%)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーで精製して、1.8gのtert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(エチル)カルバメートを得た。MS ESI +ve m/z: 313 (M+H)
【0252】
ステップ2.tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(エチル)カルバメート
tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(エチル)カルバメートを、tert−ブチル(S)−1−アジド−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(エチル)カルバメートを用い、実施例10e、ステップ10に記載されたものと類似の手順を用いて調製した。
【0253】
(実施例13)
メチル2−((R)−((R)−1−((S)−2−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(3−クロロフェニル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物1)
【0254】
【化46】

ステップ1.メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート.TFA塩
DCM/TFA(24mL、3:1、v/v)の混合溶媒中の(R)−tert−ブチル3−((R)−(3−クロロフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(2.247g、5.26mmol)の溶液を、rtで30分撹拌した。溶媒を真空中で除去して、定量的な収量で2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートTFA塩を得た。MS ESI +ve m/z 327 (M+H)。
【0255】
ステップ2.(4−ニトロフェニル)(S)−2−(N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバメート
無水DCM(9mL)中のtert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート(20.8mg、0.081mmol)の溶液に、4−ニトロフェニルクロロホルメート(17.1mg、0.085mmol)を添加し、次いでTEA(12.2mg、17μL、0.12mmol)を添加した。得られた溶液を、rtで5分撹拌(LC−MSでモニターした)し、12mLに希釈した。カルバメート混合物溶液のアリコート(2mL)を、精製することなく次ステップ用に使用した。
【0256】
ステップ3.2−((R)−((R)−1−((S)−2−(Boc−アミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモリル)ピペリジン−3−イル)(3−クロロフェニル)メトキシ)エチルカルバメート
(4−ニトロフェニル)(S)−2−(N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバメート溶液(2mL、0.013mmol)に、2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートTFA塩(7.0mg、0.016mmol)を添加し、次いで過剰なTEA(0.3mL)を添加した。この混合物を、30分撹拌し、次いで、溶媒を真空中で除去した。得られた油を、分取HPLCで精製してメチル2−((R)−((R)−1−((S)−2−(Boc−アミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(3−クロロフェニル)メトキシ)エチルカルバメート5mg、収率63%を得た。MS ESI +ve m/z 611 (M+H)。
【0257】
ステップ4.メチル2−((R)−((R)−1−((S)−2−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(3−クロロフェニル)メトキシ)エチルカルバメートTFA塩
2−((R)−((R)−1−((S)−2−(Boc−アミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(3−クロロフェニル)メトキシ)エチルカルバメート(5mg、0.008mmol)を、DCM/TFA(3/1mL)に溶解した。この溶液を、30分撹拌し、濃縮した。粗混合物を、分取HPLCで精製して2−((R)−((R)−1−((S)−2−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(3−クロロフェニル)メトキシ)エチルカルバメートTFA塩(2.8mg、収率54%)を得た。H NMR (CDOD) d 7.36−7.32 (m,3H),7.23 (d,J = 7.6 Hz,1H),4.20 (br d,J = 13.6 Hz,1H),4.04 (d,J = 8.8 Hz,1H),3.89−3.78 (m,3H),3.64 (s,3H),3.48−3.42 (m,2H),3.37 (m,1H), 3.28−3.24 (m,5H),3.15 (dd,J = 10.8,9.2 Hz,1 H),2.92 (m,2H),1.97 (m,1H),1.78 (m,2H),1.68−1.54 (m,4H),1.45−1.07 (m,5H).MS ESI +ve m/z 511 (M+H)。
【0258】
次の化合物を、上記に記載されたものと類似の手順にしたがって調製し、それらのTFA塩として単離した。
1)ステップ2においてメチル2−((R)−(3−フルオロフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートのトリフルオロ酢酸塩を使用するメチル2−((R)−((R)−1−((S)−2−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(3−フルオロフェニル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物2)。
2)ステップ2においてメチル2−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートのトリフルオロ酢酸塩を使用するメチル2−((R)−((R)−1−((S)−2−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(3−クロロ−5−フルオロフェニル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物3)。
3)ステップ2においてメチル2−((R)−(3,5−ジフルオロフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートのトリフルオロ酢酸塩を使用するメチル2−((R)−((R)−1−((S)−2−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(3,5−ジフルオロフェニル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物4)。
4)ステップ2においてメチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートのトリフルオロ酢酸塩を使用するメチル2−((R)−((R)−1−((S)−2−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(5−クロロ−2−メチルフェニル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物5)。
5)ステップ2においてメチル2−((R)−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートのトリフルオロ酢酸塩を使用するメチル2−((R)−((R)−1−((S)−2−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物6)。
6)ステップ1においてtert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートを使用するメチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物7)。
7)ステップ1においてtert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメートおよびステップ2においてメチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートのトリフルオロ酢酸塩を使用するメチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物8)。
8)メチル2−((R)−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物9)。
9)メチル2−((R)−(3,5−ジフルオロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物10)。
10)メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(エチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物13)。
11)メチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−1−((S)−2−(エチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物12)。
【0259】
別法として、メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物7)は、次のプロセス(実施例14に記載されたものに類似の手順を使用して)によって調製し、そのTFA塩として単離することもできる。
【0260】
【化47】

(実施例14)
メチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(化合物11)
【0261】
【化48】

ステップ1.メチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート
(R)−tert−ブチル3−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)(2−(メトキシカルボニルアミノ)エトキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.0g、2.27mmol)を、20%(V/V)TFA/CHCl(20mL)の溶液に溶解した。この反応混合物を、室温で2h撹拌し、TLCによって出発原料が消失したことが示され、飽和炭酸水素ナトリウムの溶液を、一滴ずつ添加してpH=7〜8に調節した。得られた混合物を、CHCl(3×30mL)で抽出し、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮してメチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(780mg、100%)を得た。
【0262】
ステップ2.メチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−1−((S)−2−(Boc−メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート
50mLフラスコに、無水CHCl中に溶解したメチルtert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート(60mg、0.22mmol)を装入した。この溶液に、0℃でCDI(36mg、0.22mmol)およびDIEA(142mg、1.1mmol)を添加し、1h撹拌した。メチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートトリフルオロ酢酸塩(75mg、0.22mmol)を添加し、終夜撹拌した。この混合物を、濃縮して粗生成物を得た。残渣を、クロマトグラフィーにより精製して生成物(60mg、43%)を得た。
【0263】
ステップ3.メチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート
25mLフラスコに、メチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−1−((S)−2−(Boc−メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(60mg、0.094mmol)を装入した。20%TFA/CHCl溶液(8mL)を、添加し、0℃で0.5h撹拌した。この混合物を濃縮して残渣が得られ、これを、分取HPLCによって精製して所望の生成物メチル2−((R)−(5−クロロ−2−メチルフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(4.35mg、9%)がそのTFA塩として得られた。H−NMR (MeOD): 1.25 (m,2H),1.35−1.50 (m,4H),1.60−1.80 (m,3H),1.95 (m,2H),2.35 (s,3H),2.75 (s,3H),3.65 (s,3H),3.85 (m,4H),4.45 (d,1H),7.15 (m,2H),7.30 (s,1H)。
【0264】
以下は、本発明のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の例である。キラル中心における立体化学が、化合物名において定義されていない場合、これは、調製されたサンプルは、この中心における異性体の混合物を含んだことを表している。
【0265】
【表4−1】

【0266】
【表4−2】

【0267】
【表4−3】

【0268】
【表4−4】

カラム:Chromolith SpeedRod、RP−18e、50×4.6mm;移動相:A:0.01%TFA/水、B:0.01%TFA/CHCN;流速:1mL/分;グラジエント:
【0269】
【表5】

b.d−MeOHをH NMR溶媒として使用した
c.MeODをH NMR溶媒として使用した。
【0270】
(実施例15)
2:1メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)−エチルカルバメートパモ酸塩
ステップ1
IPA(50mL)中のメチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)−エチルカルバメート(8.27g、15.7mmol)の溶液に、パモ酸(3.12g、7.85mmol)を添加した。得られた混合物を、終夜40℃で加熱し、室温に冷却して10時間撹拌し、これにより黄色懸濁液が得られた。固体を、ろ過し、IPA(100mL)で洗浄し、真空下で乾燥して粗製2:1メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートパモ酸塩(10.9g、96%)が得られた。
【0271】
ステップ2
上記パモ酸塩(7.44g)を、溶解するまでエタノール(74mL)中で還流した。得られた溶液を、熱ろ過し、ゆっくりと室温に冷却し、終夜撹拌した。固体を、ろ過し、エタノール(25mL)で洗浄して、淡黄色結晶(5.52g、74%)として0.5eqパモ酸塩が得られた。m.p.:155.5〜156.5℃。
【0272】
ステップ3
再結晶化させたパモ酸塩結晶(7.85g)を、溶解するまでエタノール(70mL)中で還流し、熱ろ過し、室温に冷却し、終夜撹拌した。固体を、ろ過し、エタノール(20mL)で洗浄して、淡黄色微細結晶(6.99g、89%)が得られた。
【0273】
(実施例16)
2:1メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)−エチルカルバメートパモ酸塩
実施例15、ステップ3から得られた、再結晶化させたパモ酸塩結晶(0.19g)を、完全に溶解するまで60℃でメタノール(5mL)中で加熱した。この溶液を、次いで、室温に冷却し、2:1メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)−エチルカルバメートパモ酸塩結晶(約5mg)で播種した。得られた混合物を、48hrにわたり室温で撹拌した。固体を、ろ過し、真空下で乾燥して淡黄色微細結晶(53.0mg、28%)が得られた。
【0274】
粉末X線回折
実施例15に記載された手順により得られた2:1メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)−エチルカルバメートパモ酸塩の粉末X線回折パターンを、次の方法を使用して求めた。
サンプルを、次のパラメーターを用いて走査する。
走査範囲:2〜40度2θ
発生器出力:40kV、40mA
放射線源:Cu Ka
走査タイプ:連続
ステップ毎の時間:10秒
ステップサイズ:ステップ毎に0.017度2θ
サンプルローテーション:1s回転時間
入射ビーム光学:0.04ラジアン ソーラースリット(soller slit)、0.25度 発散スリット、10mm ビームマスク、0.5度 散乱線除去スリット
回折ビーム光学:固定スリット(X’celerator module)、0.04ラジアン ソーラースリット
検出器タイプ:Philips X’Celerator RTMS(Real Time Multi Strip)
2:1メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)−エチルカルバメートパモ酸塩の1バッチの粉末X線回折を図1に示す。
【0275】
(実施例17)
インビトロ活性研究
開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、酵素阻害性を有する。特に、それらは、天然酵素レニンの作用を阻害する。後者は、腎臓から血液に移行し、ここで、アンジオテンシノーゲンの開裂をもたらし、デカペプチドアンジオテンシンIを放出し、これは、血液、肺、腎臓および他の器官において、アンジオテンシン変換酵素により開裂されてオクタペプチドアンジオテンシンIIを形成する。このオクタペプチドは、直接的にその受容体に結合して動脈血管収縮を引き起こすことによって、および間接的に副腎からナトリウムイオン保持ホルモンアルドステロンを遊離させることによっての両方で血圧を増加させ、同時に細胞外流体量が増加する。この増加の原因は、アンジオテンシンIIの作用であり得る。レニンの酵素活性の阻害は、アンジオテンシンIの形成における減少をもたらす。結果として、より少量のアンジオテンシンIIが産生される。この活性ペプチドホルモンの濃度減少は、レニン阻害剤の血圧低下作用の直接原因である。
【0276】
インビトロでのレニン阻害剤の作用は、内部クエンチしたペプチド基質の蛍光における増加を測定する試験を用いて実験的に実証することができる。このペプチドの配列は、ヒトアンジオテンシノーゲンの配列に対応する。以下の試験プロトコルを使用した。全ての反応を、平底白色不透明マイクロタイタープレート中で実施した。192μLアッセイバッファー(50mM BES、150mM NaCl、0.25mg/mL ウシ血清アルブミン、pH7.0)中の400μMレニン基質(DABCYL−γ−Abu−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu−Val−Ile−His−Thr−EDANS)の4μLアリコートを、10μMから1nMの最終濃度の範囲の様々な濃度におけるDMSO中の試験化合物の4μLに添加した。次いで、アッセイバッファー中のトリプシン活性化組み換えヒトレニン(0.2〜2nMの最終酵素濃度)100μLを添加し、この溶液をピペッティングにより混合した。495nm(340nmにおける励起)における蛍光の増加を、Perkin−Elmer Fusionマイクロプレートリーダーを用いてrtで60〜360分間測定した。次いで、時間の関数としての蛍光増加のプロットの直線部の傾きを求め、この割合を、阻害されていない対照と比較した阻害%の算出用に使用する。次いで、阻害%の値を、阻害剤濃度の関数としてプロットし、IC50を4パラメーター方程式へのこのデータのフィットから求めた。IC50は、阻害剤を含まない対照サンプルに比較して、産生物の形成を50%だけ減少させる特定の阻害剤の濃度として定義される。インビトロ系においては、開示されたアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、約5×10−5Mから約10−12Mの最低濃度において阻害活性を表す。特定のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤は、約10−7Mから約10−12Mの最低濃度において阻害活性を表す(Wang G.T.らAnal.Biochem.1993年、210巻、351頁;Nakamura,N.らJ.Biochem.(Tokyo) 1991年、109巻、741頁;Murakami,K.らAnal Biochem.1981年、110巻、232頁)。
【0277】
ヒト血漿中のインビトロでのレニン阻害剤の作用も、化合物の存在下で観測される血漿レニン活性(PRA)レベルにおける減少によって、実験的に実証することができる。培養混合物は、95.5mM N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、pH7.0、8mM EDTA、0.1mM硫酸ネオマイシン、1mg/mLアジ化ナトリウム、1mMフッ化フェニルメタンスルホニル、2% DMSOおよび87.3%のEDTAで安定化させた両性混合ヒトプール血漿を250μLの最終量で含んだ。低いPRA(1ng/ml/hr未満)を有する血漿バッチについては、約2pMの組み換えヒトレニンを添加して3〜4ng/ml/hrのPRAを達成した。血漿中の内因性アンジオテンシノーゲンの開裂は、37℃で90分間行い、産生物アンジオテンシンIは、DiaSorin PRAキットを用いて競合ラジオイムノアッセイによって測定した。2% DMSOを含む阻害されていない培養物および2μMのイソバレリル−Phe−Nle−Sta−Ala−Sta−OHを含む完全に阻害された対照を、次いで、阻害剤のそれぞれの濃度についての阻害の%を導き、用量応答データを4パラメーターモデルに適合させるために使用し、これよりIC50値(50%阻害が起こるときの阻害剤の濃度として定義される)を求める。
【0278】
インビトロ酵素活性研究を、化合物1〜12について実施し、データを表1に示す。
【0279】
【表6】

(実施例18)
インビボ活性研究
レニン阻害剤の心臓および全身性血行力学的効率は、ナトリウム欠乏、正常血圧のカニクイザルにおいてインビボで評価することができる。動脈圧を、自由行動覚醒動物(freely moving, conscious animal)における遠隔計測でモニターする。
【0280】
カニクイザル(予想実施例):2.5から3.5kgの体重の6匹のオスの実験未使用のカニクイザルを、研究で使用する。実験の少なくとも4週前に、サルを、塩酸ケタミン(15mg/kg、筋肉内)および塩酸キシラジン(0.7mg/kg、筋肉内)で麻酔し、送信機(Model #TL11M2−D70−PCT,Data Sciences,St.Paul,MN)を腹腔中に移植する。圧力カテーテルを、大腿動脈を経由して下腹大動脈中に挿入する。双極電位リードを、リードII構成に設置した。動物を、一定温度(19〜25℃)、湿度(>40%)および照明条件(12h明暗サイクル)下で飼い、1日1回餌を与え、水を自由に入手できるようにする。動物を、実験の7日前にそれらに低ナトリウム飼料(0.026%、Expanded Primate Diet 829552 MP−VENaCl(P),Special Diet Services,Ltd.,UK)におくことによってナトリウム欠乏にさせ、フロセミド(3mg/kg、筋肉内、Aventis Pharmaceuticals)を、試験化合物の投与の−40hおよび−16hにおいて投与する。
【0281】
経口投与用には、レニン阻害剤を、幼児補給チューブによって10および30mg/kg(5mL/kg)の用量レベルにおいて0.5%メチルセルロース中に製剤化する。静脈内送達用には、シラスティックカテーテルを、大腿静脈を経由して後大静脈中に移植する。カテーテルを、束縛システムおよび回り継手によって送達ポンプに接続する。試験化合物(0.1から10mg/kgの用量レベル、5%デキストロースに製剤化)を、持続注入(1.67mL/kg/h)によって、またはボーラス注入法(2分で3.33mL/kg)によって投与する。
【0282】
動脈圧(収縮期、拡張期および平均)および体温を、Dataquest(商標)A.R.T.(Advanced Research Technology)ソフトウェアを用いて、それぞれ500Hzおよび50Hzにおいて継続的に記録する。心拍を、位相性血圧追跡(phasic blood pressure tracing)から導く。記録期間中、サルを、ストレスに続発する圧変化を避けるために人間の不存在下で別室に保つ。全てのデータを、平均±SEMとして表す。血圧へのレニン阻害剤の効果を、ビヒクル群と比較した用量および時間の因子を考慮してANOVAによって評価する。
【0283】
ダブルトランスジェニックラット:レニン阻害剤の効能を、ヒトレニンおよびヒトアンジオテンシノーゲンを発現するように操作されたダブルトランスジェニックラットにおいてインビボで評価することもできる(Bohlender J,Fukamizu A,Lippoldt A,Nomura T,Dietz R,Menard J,Murakami K,Luft FC,Ganten D.High human renin hypertension in transgenic rats.Hypertension 1997年、29巻、428〜434頁)。化合物7についてのインビボ活性を、以下の手順にしたがって行った。
【0284】
実験を、6週齢ダブルトランスジェニックラット(dTGR)において行った。このモデルは、先に詳しく記載した。簡潔に述べると、遺伝子組み換え動物を生成するのに使用されるヒトレニン構築物は、3.0kBの5’−プロモーター領域および1.2kBの3’付加配列を含む全体のゲノムヒトレニン遺伝子(10個のエクソンおよび9個のイントロン)を構成した。ヒトアンジオテンシノーゲン構築物は、1.3kBの5’−隣接配列および2.4kBの3’−隣接配列を含む全体のヒトアンジオテンシノーゲン遺伝子(5個のエクソンおよび4個のイントロン)を構成した。ラットは、RCC Ltd(Fuellinsdorf,Switzerland)から購入した。無線遠隔測定送信機は、4週齢において外科的に移植した。遠隔測定システムは、収縮期、平均、拡張期動脈圧(それぞれ、SAP、MAP、DAP)および心拍(HR)の24h記録を提供した。42日に開始し、動物を遠隔測定ケージに移した。24h遠隔測定値を得た。ラットに、次いで、続いて4日連続(43〜46日)で経口投与した。ラットを継続してモニターし、標準の0.3%ナトリウムラット固形飼料および飲用水を自由に利用できるようにした。
【0285】
化合物7についてのインビボトランスジェニックラットの活動(activity)を、表2に示す。表2に示されたとおり、化合物7は、3〜10mg/kgの用量においてトランスジェニックラットの血圧を低下させるのに有意な効果を示した。
【0286】
本発明が、その特定の実施形態を参照して詳しく示され記載されてきたが、添付された特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更が、その中でなされ得ることを当業者は理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式:
【化49】

によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
は、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
は、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、またはアルカンスルホニルであり;
nは、0、1、2、または3である]。
【請求項2】
が、(C〜C)アルキルであり;
が、Hまたは(C〜C)アルキルであり;
が、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシ、または(C〜C)アルカンスルホニルであり;
nが、0、1、2、または3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
次の構造式:
【化50】

によって表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物
[式中、
は、(C〜C)アルキルであり;
は、Hまたは(C〜C)アルキルであり;
は、F、Cl、Br、シアノ、ニトロ、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルコキシ、または(C〜C)アルカンスルホニルであり;
nは、0、1、2、または3である]。
【請求項4】
が、メチルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、Hまたはメチルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、F、Cl、またはメチルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
nが、1または2である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
【化51】

【化52】

から選択される構造式によって表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
【化53】

から選択される構造式によって表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
次の構造式:
【化54】

によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
次の構造式:
【化55】

によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩であって、ここで、該化合物は、少なくとも90%光学的に純粋である、化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
薬学的に許容される担体または希釈剤および請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む薬剤組成物。
【請求項13】
α遮断薬、β遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、利尿剤、ナトリウム排泄増加薬、塩分排泄剤、中枢性抗高血圧薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、二重アンジオテンシン変換酵素および中性エンドペプチダーゼ阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、二重アンジオテンシン受容体遮断薬およびエンドセリン受容体拮抗薬、アルドステロン合成酵素阻害剤、アルドステロン受容体拮抗薬、またはエンドセリン受容体拮抗薬をさらに含む、請求項12に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
拮抗を必要とする対象において1種または複数のアスパラギン酸プロテアーゼに拮抗する方法であって、該対象に請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項15】
前記アスパラギン酸プロテアーゼが、レニンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象においてアスパラギン酸プロテアーゼにより媒介される障害を治療する方法であって、該対象に請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項17】
前記障害が、高血圧、うっ血性心不全、心臓肥大、心臓線維症、梗塞後心筋症、ネフロパシー、血管障害および神経障害、冠状血管の疾患、術後高血圧、血管形成術後の再狭窄、高眼圧、緑内障、異常な血管増殖、高アルドステロン症、不安状態、または認識障害である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
α遮断薬、β遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、利尿剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、二重アンジオテンシン変換酵素および中性エンドペプチダーゼ阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、二重アンジオテンシン受容体遮断薬およびエンドセリン受容体拮抗薬、アルドステロン合成酵素阻害剤、アルドステロン受容体拮抗薬、ならびにエンドセリン受容体拮抗薬からなる群から選択される1種または複数のさらなる薬剤を投与することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記アスパラギン酸プロテアーゼが、β−セクレターゼである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記アスパラギン酸プロテアーゼが、プラスメプシンである、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記アスパラギン酸プロテアーゼが、HIVプロテアーゼである、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
【化56】

から選択される構造式によって表される化合物またはその塩
[式中、
は、Hまたはアルキルであり;
Eは、Hまたはアミン保護基である]。
【請求項23】
が、Hまたは(C〜C)アルキルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が、Hまたはメチルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート;
tert−ブチル(S)−1−アミノ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート;
tert−ブチル−1−アミノ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イルカルバメート;および
tert−ブチル−1−アミノ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−イル(メチル)カルバメート
からなる群から選択される、請求項22に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−503684(P2010−503684A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528331(P2009−528331)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/020164
【国際公開番号】WO2008/036247
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(507114738)ビテ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】