説明

レニン阻害剤

本発明は、構造(式I)を有する二置換ピペリジニルレニン阻害剤化合物、並びに心血管系イベント及び腎不全の治療におけるそれらの使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クレームされた発明は、メルク&Co.,Inc.とアクテリオン製薬との共同研究契約の範囲内の活動の成果により成されたものである。契約は、2003年12月4日になされた。この発明の分野は以下のとおりである。
【0002】
本発明は、一般式(I)の新規なレニン阻害剤に関する。本発明は、更にこの化合物の調製方法、1種以上の式(I)の化合物を含む医薬組成物、並びに、特に心血管系イベント及び腎不全におけるレニン阻害剤としてのその使用を含む関連する態様にも関する。
【背景技術】
【0003】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)において、生物活性アンジオテンシンII(Ang II)は、2段階のメカニズムによって産生される。極めて特異的な酵素であるレニンは、アンジオテンシノーゲンを切断してアンジオテンシンI(Ang I)とし、次いで、Ang Iは、特異的でないアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってAng IIに更に移る。Ang IIは、少なくとも2種類の受容体サブタイプAT及びATに作用することが知られている。ATは、Ang IIの公知の機能の大部分を伝達すると考えられるが、ATの役割はいまだ知られていない。
【0004】
RASの調節は、心臓血管疾患の治療における主要な進歩の代表である。ACE阻害剤及びAT遮断薬は、高血圧治療に承認されている(Waeber B.et al.,”The renin−angiotensin system:role in experimental and human hypertension”,in Birkenhager W.H.,Reid J.L.(eds):Hypertension,Amsterdam,Elsevier Science Publishing Co,1986,489−519;Weber M.A.,Am.J.Hypertens.,1992,5,247S)。また、ACE阻害剤は、腎臓保護(Rosenberg M.E.et al.,Kidney International,1994,45,403;Breyer J.A.et al.,Kidney International,1994,45,S156)に用いられ、うっ血性心不全(Vaughan D.E.et al.,Cardiovasc.Res.,1994,28,159;Fouad−Tarazi F.et al.,Am.J.Med.,1988,84(Suppl.3A),83)及び心筋梗塞(Pfeffer M.A.et al.,N.Engl.J.Med.,1992,327,669)の予防に用いられる。
【0005】
レニン阻害剤を開発する理論的根拠は、レニンの特異性である(Kleinert H.D.,Cardiovasc.Drugs,1995,9,645)。レニンに対して知られている唯一の基質はアンジオテンシノーゲンであり、これはレニンによってのみ生ずる(生理条件下で)。これに対し、ACEは、Ang Iに加えてブラジキニンも切断し得るものであり、セリンプロテアーゼであるキマーゼによって代替され得る(Husain A.,J.Hypertens.,1993,11,1155)。従って、患者において、ACEを阻害すると、ブラジキニンが蓄積し、咳(5−20%)及び生命にかかわるおそれがある血管神経性浮腫(0.1−0.2%)を引き起こす(Israili Z.H.et al.,Annals of Internal Medicine,1992,117,234)。キマーゼは、ACE阻害剤によって阻害されない。従ってACE阻害剤による治療を受けた患者においては、Ang IIが依然として形成され得る。一方、(例えば、ロサルタンによって)AT受容体を遮断すると、AT受容体の遮断によってその濃度がかなり増加したAng IIに、他のAT受容体サブタイプ(例えば、AT)が過度に曝露されることになる。要約すると、レニン阻害剤は、RASの遮断及び安全性の面での効力に関して、ACE阻害剤及びAT遮断薬とは異なる薬剤プロファイルを示すと予想される。
【0006】
レニン阻害剤のペプチド模倣性に起因する、不十分な経口活性のため(Kleinert H.D.,Cardiovasc.Drugs,1995,9,645)、レニン阻害剤を用いた臨床経験には限度がある(Azizi M.et al.,J.Hypertens.,1994,12,419;Neutel J.M.et al.,Am.Heart,1991,122,1094)。この問題に加えて製品の価格が高いため、いくつかの化合物の臨床開発は停止している。4個のキラル中心を含む唯一の化合物が臨床試験に入っている(Rahuel J.et al.,Chem.Biol.,2000,7,493;Mealy N.E.,Drugs of the Future,2001,26,1139)。従って、良好な経口生物学的利用能を有し、作用持続時間の長いレニン阻害剤が必要である。最近、インビトロでの高い活性を示す最初の非ペプチドレニン阻害剤が開示されている(Oefner C.et al.,Chem.Biol.,1999,6,127;特許出願WO97/09311;Marki H.P.et al.,Il Farmaco,2001,56,21)。しかし、これらの化合物の開発状況は知られていない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、非ペプチド性低分子量レニン阻害剤の同定に関する。組織のレニン−キマーゼ系を活性化して、腎臓、心臓及び血管の再構築、アテローム性動脈硬化症及びおそらくは再狭窄のような病態生理学的局所的機能を活性化する、血圧調節を越えた適応症に活性の、作用持続時間の長い経口活性レニン阻害剤を開示する。従って、本発明は、これらの非ペプチドレニン阻害剤を開示する。
【0008】
本発明で開示する化合物は、レニン阻害剤の新規構造クラスである。
発明の趣旨
【0009】
本発明は、特定の化合物、及びレニン系に関連することが知られている病状の治療を含む、レニン酵素の阻害におけるその使用に関する。本発明は、式I:
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、Xは、N又はCHであり;
Yは、O、CH又は結合であり;
は、
−(CH1−3OR、又は
−O(CH1−2ORであり;
は、
−(CH1−5OR
−O−(CH2−4OR
−C(O)R
−OR
−O(CH2−4O−(C−Cシクロアルキル)、ここでシクロアルキルは置換されていないか又はC−Cアルキル若しくはC−Cアルカノールで置換され、
−O(CH2−4NR、及び
【0012】
【化2】

【0013】
からなる群から選択され、そして
及びRは、独立して、置換されていないか又は−OH若しくはCFで置換されているC−Cアルキルである]
の化合物及び薬学的に許容されるその塩又はその光学異性体を含む。
【0014】
発明の詳細な記載
前記式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩は、レニン阻害剤である。この化合物は、レニンを阻害し、高血圧のような病状を治療するのに有用である。
【0015】
本発明の一実施態様においては、Rは、−(CHOCH、−(CHOCH又は−O(CHOCHであり、他の全ての変数は前記に定義した通りである。
【0016】
本発明の一実施態様においては、YはOであり、他の全ての変数は前記に定義した通りである。
【0017】
本発明の別の実施態様においては、Rは、
−(CHOR
−O−(CHOR
−C(O)R
−OR
−O(CHO−(C−Cシクロアルキル)、ここでシクロアルキルは置換されていないか又はC−Cアルキル若しくはC−Cアルカノールで置換され、
−O(CHNR、及び
【0018】
【化3】

【0019】
からなる群から選択され、他の全ての変数は前記に定義した通りである。
【0020】
別の実施態様においては、Rは、
−(CHOCH
−O(CHOCH
−C(O)CH
−OCHC(CHOH、
−O(CHOCHCF
−O(CHOCH
−O(CHN(CH
【0021】
【化4】

【0022】
からなる群から選択され、他の全ての変数は前記に定義した通りである。
【0023】
本発明の別の実施態様においては、R及びRは、独立して−CH、−CHCF及び−(CH)C(CHOHから選択され、他の全ての変数は前記に定義した通りである。
【0024】
式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩の特定の具体例には、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{6−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]ピリジン−3−イル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−N−[3−[2−(シクロプロピルオキシ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)−ベンジル]−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−{3−(3−メトキシプロピル)−5−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシ]ベンジル}ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−[3−{[1−(シアノメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−{[(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−[3−アセチル−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジ−クロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド、及び
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(2−メトキシエトキシ)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミドが含まれる。
【0025】
本発明は、薬学的に許容される担体と、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその結晶形若しくは水和物とを含む製剤をも包含する。好ましい実施態様は、第2の薬剤を更に含む式Iの化合物の医薬組成物である。
【0026】
本発明の化合物は、キラル中心、例えば、(2種類の立体異性体(R)及び(S)を与える)1個のキラル中心、又は(4種類までの立体異性体(R,R)、(S,S)、(R,S)及び(S,R)を与える)2個のキラル中心を有してもよい。本発明は、光学異性体の全て及びその混合物を含む。特に示さない限り、一種類の異性体についての言及は、可能な任意の異性体にも適用される。異性体組成を指定しないときには、常に可能な全ての異性体が含まれる。
【0027】
式Iの化合物の互変異性体も本発明の範囲内に含まれる。例えば、カルボニル−CHC(O)−基(ケト形)を含む化合物は、互変異性を起こしてヒドロキシル−CH=C(OH)−基(エノール形)を形成してもよい。ケト形及びエノール形のいずれもが本発明の範囲に包含される。
【0028】
また、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、Z型及びE型として存在してもよく、該化合物の全ての異性体が本発明に包含される。
【0029】
略語のリスト:
ABTS 2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)2NH
Ac アセチル
BSA ウシ血清アルブミン
DCM ジクロロメタン
DIBAL 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIBAL−H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DME ジメトキシエタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EIA 酵素免疫測定法
EtO ジエチルエーテル
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
NMR 核磁気共鳴
PBS リン酸緩衝食塩水
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0030】
本発明の方法の実施態様は、患者に投与する式Iの化合物が、化合物の前記実施態様、クラス及びサブクラスに定義された通りである、実施態様を含む。
【0031】
特段の記載がある場合を除き、本明細書で用いる場合、「アルキル」は、分枝鎖及び直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図し、特定の数の炭素原子を有し、全ての異性体を含む環式基シクロアルキルを含むことを意図する。「シクロアルキル」なる用語は、ヘテロ原子を含まない炭素環を意味する。シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが含まれる。アルキル基に対して一般に用いられる略語を本明細書を通して用い、例えば、メチルは「Me」又はCHと表してもよく、エチルは「Et」又はCHCHと表してもよく、プロピルは「Pr」又はCHCHCHと表してもよく、ブチルは「Bu」又はCHCHCHCHと表してもよく、例えば、「C1−6アルキル」(又は「C−Cアルキル」)は、指定の数の炭素原子を有する、全ての異性体を含む直鎖又は分枝鎖アルキル基を意味する。C1−6アルキルは、ヘキシルアルキル及びペンチルアルキル異性体の全て、n−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル並びにメチルを含む。「C1−4アルキル」は、n−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル並びにメチルを意味する。「アルキレン」なる用語は、特定の数の炭素及び2個の末端鎖結合を有する、全ての異性体を含む、分枝鎖及び直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。説明のために、「非置換A−Cアルキレン−B」なる用語は、A−CH−CH−CH−CH−Bを表す。「アルコキシ」なる用語は、酸素架橋を介して結合した、特定の数の炭素原子の直鎖又は分枝アルキル基を表す。変数Rの定義における「アルカノール」なる用語は、少なくとも1個のヒドロキシル置換基を有する特定の数の炭素原子の直鎖又は分岐鎖アルキル基、例えばエタノールを表わし、アルカンジオール類及びアルカントリオール類を含み、炭素−炭素結合によりシルクアルキル環に結合している。
【0032】
メチル基か末端の置換基を有する化合物の構造表現は、
【0033】
【化5】

【0034】
としてこのような末端を示し、これらは同等の意味を有する。
【0035】
特に示さない限り、「非置換」のみ又は「置換」のみの用語で、アルキル及びシクロアルキルは置換されていないか、又は各炭素原子上で1〜3個の置換基、−OH、−CF、C−Cアルキル又はC−Cアルカノールで置換されている。
【0036】
「ハロゲン」(又は「ハロ」)なる用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する(また、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)及びヨード(I)を意味する)。
【0037】
任意の変数が、本発明の化合物を示し記述する任意の構成要素中に又は任意の式中に1回を超えて出現する場合には、各出現に対するその定義は、他のすべての出現におけるその定義とは独立している。また、置換基及び/又は変数の組合せは、このような組合せによって安定な化合物となる場合にのみ許容される。
【0038】
薬学的に許容される塩としては、金属(無機)塩と有機塩の両方が挙げられ、その一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th Edition,pg.1418(1985)に提供されている。適切な塩の形態が、物理的及び化学的安定性、流動性、吸湿性及び溶解性に基づいて選択されることは当業者に周知である。当業者に理解されるように、薬学的に許容される塩には、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩のような無機酸の塩、又はリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩若しくはパモ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩のような有機酸の塩が含まれるが、これらに限定されない。同様に、薬学的に許容されるカチオンには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウム(特に、第二級アミンとのアンモニウム塩)が含まれるが、これらに限定されない。前記理由のため、本発明の好ましい塩には、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びアンモニウム塩が含まれる。式Iの化合物の結晶形、水和物及び溶媒和物も本発明の範囲に含まれる。
【0039】
式Iの化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与してもよい。「薬学的に許容される塩」なる用語は、親化合物の有効性を有し、生物学的にもその他の点でも望ましくないものではない(例えば、その受容者に対して、有毒でも有害でもない)塩を意味する。適切な塩には、例えば、本発明の化合物の溶液を、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又は安息香酸のような薬学的に許容される酸の溶液と混合して形成してもよい酸付加塩が挙げられる。本発明の化合物のうちいくつかは酸性部分(例えば、−COOH又はフェノール基)を有し、そのような場合には、薬学的に許容されるその適切な塩には、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム塩)が含まれてもよく、第四級アンモニウム塩のような適切な有機リガンドで形成された塩が含まれる。また、酸基(−COOH)又はアルコール基が存在する場合には、薬学的に許容されるエステルを用いて、化合物の溶解性又は加水分解性を修飾してもよい。
【0040】
本発明は、前記化合物をヒト又は動物に投与することを含む、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、収縮期高血圧、腎不全(renal insufficiency)、腎虚血、腎不全(renal failure)、腎線維症、心不全、心肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎仙痛;腎症、脈管障害及び神経障害のような糖尿病に起因する合併症、緑内障、眼圧上昇、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管又は心臓の手術後の合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安、認知障害、免疫抑制剤治療の合併症に関連する疾患、並びにレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られている他の疾患を治療及び/又は予防する方法に関する。
【0041】
別の実施態様においては、本発明は、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、腎症、脈管障害及び神経障害のような糖尿病に起因する合併症に関連する疾患を治療及び/又は予防する方法に関する。
【0042】
別の実施態様においては、本発明は、前記疾患を治療する方法と同様に、レニン−アンジオテンシン系の調節不全に関連する疾患を治療及び/又は予防する方法に関する。
【0043】
本発明は、前記疾患の治療及び/又は予防用医薬の調製のための式(I)の化合物の使用にも関する。
【0044】
式(I)の化合物又は前記医薬組成物は、ACE阻害薬、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、血管拡張剤、カルシウムアンタゴニスト、カリウム活性化物質、利尿薬、交感神経抑制薬、ベータ−アドレナリンアンタゴニスト、アルファ−アドレナリンアンタゴニスト又は前記疾患の予防若しくは治療に有用な他の薬物、を含む他の薬理学的活性物質と組み合わせてもよい。
【0045】
式Iの化合物に関して「投与」なる用語及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、治療又は予防を必要とする個体に、化合物又は化合物のプロドラッグを提供することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグを1種以上の他の活性薬剤(例えば、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ACE阻害剤又は血圧を降下させることが知られている他の活性薬剤のような薬剤)と組み合わせる場合には、「投与」及びその変形は、それぞれ化合物又はプロドラッグと、他の薬剤とを同時に又は異なる時間に与えることを含むと理解される。併用薬剤を同時に投与する場合には、単一の組成物として一緒に投与してもよく又は別個に投与してもよい。
【0046】
本明細書で用いられる場合、「組成物」なる用語は、特定の成分を指定された量で含む生成物、及び各特定の成分を指定された量で組み合わせて直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含することを意図する。
【0047】
「薬学的に許容される」は、医薬組成物の各成分が互いに適合性でなければならず、その受容者に対して無害でなければならないことを意味する。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「対象」なる用語は、治療、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「有効量」なる用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家によって求められる、組織、系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発する活性化合物又は薬剤の量を意味する。一実施態様においては、有効量は、治療すべき疾患又は病状の症候を軽減する「治療的有効量」である。別の実施態様においては、有効量は、予防すべき疾患又は病状の症候を予防する「予防的有効量」である。この用語は、本明細書においては、レニンを阻害し、それによって、求められる応答を誘発するのに十分な活性化合物の量(すなわち、「阻害有効量」)も含む。活性化合物(すなわち、活性成分)を塩として投与する場合には、活性成分量への言及は、化合物の遊離型(すなわち、非塩型)に対するものである。
【0050】
好ましい実施態様においては、この量は、1日あたり1mg〜1000mgを含む。特に好ましい実施態様においては、この量は、1日あたり1mg〜500mgを含む。更に好ましい実施態様においては、この量は、1日あたり1mg〜200mgを含む。
【0051】
本発明の方法(すなわち、レニンを阻害する方法)においては、塩の形態でもよい、式Iの化合物を、活性薬剤を薬剤作用部位と接触させる任意の手段によって投与してもよい。これらは、個々の治療薬として又は治療薬の組合せとして、薬剤に関連して使用可能な任意の従来の手段によって投与してもよい。これらは、単独で投与してもよいが、通常は、選択した投与経路及び標準的な薬学的プラクティスに基づいて選択される薬剤担体と一緒に投与される。本発明の化合物は、化合物の有効量と従来の無毒の薬学的に許容される担体、アジュバント及び媒体とを含む医薬組成物の単位用量の形で、例えば、経口、(皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術を含む)非経口投与してもよく、吸入噴霧又は直腸投与してもよい。経口投与に適切な液体製剤(例えば、懸濁剤、シロップ、エリキシル剤等)は、当該技術分野において公知の技術によって調製してもよく、水、グリコール、油、アルコールのような任意の通常の媒体を用いてもよい。経口投与に適切な固体製剤(例えば、散剤、丸剤、カプセル剤及び錠剤)は、当該技術分野において公知の技術によって調製してもよく、デンプン、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤のような固体賦形剤を用いてもよい。非経口組成物は、当該技術分野において公知の技術によって調製してもよく、通常は、担体として滅菌水を用い、溶解助剤のような他の成分を用いてもよい。注射液は、当該技術分野において公知の方法によって調製してもよく、担体には、食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコースとの混合物を含有する溶液を含む。更に本発明において用いられる医薬組成物の調製に用いるのに適した方法及び前記組成物に用いるのに適した成分は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,edited by A.R.Gennaro,Mack Publishing Co.,1990において開示されている。
【0052】
本発明の化合物は、説明のための下記の合成反応スキームに示した種々の方法によって合成してもよい。これらの化合物の調製に用いられる出発物質及び試薬は、一般に、Aldrich Chemical Co.のような供給業者から入手することができ、又は当業者に公知の方法によって、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons:New York,Volumes 1−21;R.C.LaRock,Comprehensive Organic Transformations,2.sup.nd edition Wiley−VCH,New York 1999;Comprehensive Organic Synthesis,B.Trost and I.Fleming(Eds.)vol.1−9 Pergamon,Oxford,1991;Comprehensive Heterocyclic Chemistry,A.R.Katritzky and C.W.Rees(Eds)Pergamon,Oxford 1984,vol.1−9;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,A.R.Katritzky and C.W.Rees(Eds)Pergamon,Oxford 1996,vol.1−11;及びOrganic Reactions,Wiley & Sons:New York,1991,Volumes 1−40のような参考文献に記載の手順に従って調製される。以下の合成反応スキーム及び実施例は、本発明の化合物が合成されるいくつかの方法の単なる例示であって、本願に含まれる開示を参照してこれらの合成反応スキームの種々の改変が実施可能であり、当業者に示唆される。
【0053】
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、必要に応じて濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない従来の技術によって、単離し、精製され得る。このような原料は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段を用いて特徴づけることができる。
【0054】
特に示さない限り、下記条件で実験手順を実施した。溶媒の蒸発はロータリーエバポレーターによって、減圧(600〜4000パスカル:4.5〜30mmHg)下、60℃以下の槽温度で行った。別に示さない限り、反応を典型的には窒素雰囲気下で室温で実施する。THF、DMF、EtO、DME、トルエンなどの無水溶媒は、市販の等級である。試薬は、市販の等級であり、更に精製しないで用いた。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル(230〜400メッシュ)を用いて実施する。反応過程を薄層クロマトグラフィー(TLC)又は核磁気共鳴(NMR)分光測定によって追跡し、示した反応時間は単に説明のためのものにすぎない。全最終生成物の構造及び純度を、TLC、質量分析法、H NMR及び高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって確認した。化学記号は、通常の意味を有する。下記略語も用いた:v(体積)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq.(当量)。別に示さない限り、下記の全ての変数は前述の意味を有する。
【0055】
本発明の化合物は、スキーム1に例示する一般的方法により調製され得る。例えば、トリフレートIIとボロン酸IIIとの間のパラジウム媒介スズキカップリングにより、α,β−不飽和エステルIVが得られ得る。IVにおけるアルケン基の還元は、マグネシウムのような還元剤を用いて実施され得る。得られた飽和ピペリジンVは、シス−及びトランスジアステレオマーの混合物として得られ、これは、ナトリウムエトキシドの存在下、エタノール中における還流によりトランス−ジアステレオマーVIに平衡化され得る。エステルVIのけん化及び得られた酸VIIとアミンVIIIとのカップリングによりピペリジンIXが得られる。アミノアミドIX上のR基は、更にRに官能基化され、ピペリジンXIを得る。最終的に、保護基の除去により、所望のピペリジンX及びXIIが得られ得る。X、Y、R及びRは前述の通りであり、Rは独立して前記Rとして定義される。スキームにおいて、IXの脱保護はXを形成し、IXにおけるRのXIにおけるRへの修飾は、独立して前記Rとして定義され、次いで脱保護によりXIIを形成する。
【0056】
【化6】

【0057】
トリフレートの調製(スキーム1中のII)
【0058】
【化7】

【0059】
トリフレート1
工程1:1−tert−ブチル3−エチル4−オキソピペリジン−1,3−ジカルボキシレート
0℃で、エチル4−オキソピペリジン−3−カルボキシレート塩酸塩(1当量)のtert−ブチルメチルエーテル中の溶液(0.85M)に、ジ−tert−ブチルジカルボネート(1.5当量)及び1N NaOH水溶液(1.5当量)を加えた。反応物を室温まで加温し、18時間撹拌した。反応物を10%HCl水溶液で中和し、エーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮し、標題の化合物を固体として得た。
【0060】
工程2:1−tert−ブチル−3−エチル−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−5,6−ジヒドロピリジン−1,3(2H)−ジカルボキシレート
0℃で、前記工程由来の1−tert−ブチル3−エチル4−オキソピペリジン−1,3−ジカルボキシレート(1当量)のTHF中の溶液(0.2M)に、NaH(1当量)を一部ずつ加えた。5分間撹拌した後、1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−メタンスルホンアミド(1.05当量)を加え、反応物を室温で20時間撹拌した。飽和NHCl水溶液で反応混合物の反応を停止し、エーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,ヘキサン中10%→15%EtOAc)により精製し、トリフレート1化合物を黄色の油状物質として得た。
【0061】
ボロン酸の調製(スキーム1中のIII)
【0062】
【化8】

【0063】
ボロン酸1
工程1:1,3−ジクロロ−2−(2−クロロエトキシ)−5−メチルベンゼン
4−ブロモフェノール(1当量)のジクロロエタン/水(4:1v/v,0.38M)中の溶液に、10N NaOH(5当量)及び触媒量のテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(2モル%)を加えた。反応物を16時間還流した。水層をジクロロエタンで抽出した。一緒にした有機抽出物を飽和NHCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下に濃縮した。残渣をヘプタンに懸濁し、濾過し、標題の化合物を白色固体として得た。
【0064】
工程2:2−[2−(4−ブロモフェノキシ)エトキシ]−1,3−ジクロロ−5−メチルベンゼン
前記工程由来の1,3−ジクロロ−2−(2−クロロエトキシ)−5−メチルベンゼン(1.05当量)及び炭酸カリウム(1.1当量)をDMFに溶解し(0.5M)、100℃に加熱した。2,6−ジクロロ−4−メチルフェノール(1当量)のDMF中の溶液を1時間かけて滴下して加えた(最終濃度0.38M)。反応物を100℃で2時間撹拌した。40℃まで冷却した後、等量の水を反応物に加えた。得られた沈殿物を濾過し、DMF及び水で幅広く洗浄した。固体を蒸気で3日間乾燥し、標題の化合物を得た。
【0065】
工程3:{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ボロン酸
−78℃で、前記工程由来の2−[2−(4−ブロモフェノキシ)エトキシ]−1,3−ジクロロ−5−メチルベンゼン(1当量)のTHF中の溶液(0.2M)に、nBuLi(1.1当量)を滴下して加えた(内部温度を−70℃未満に維持した)。30分間撹拌した後、ボロン酸トリイソプロピル(2当量)を滴下して加え(内部温度を−70℃に維持した)、反応物を1時間かけてゆっくりと室温まで加温した。溶媒を真空下に濃縮し、1N NaOHを慎重に加えた。15分間撹拌した後、水溶液をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。生成物を熱DCM/Hex(1:1v/v)中で撹拌し、濾過し、ボロン酸1化合物を白色固体として得た。
【0066】
ピペリジン酸の調製(スキーム1中のVII)
【0067】
【化9】

【0068】
ピペリジン酸1
工程1:1−tert−ブチル3−エチル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−5,6−ジヒドロピリジン−1,3(2H)−ジカルボキシレート
トリフレート1(1当量)及びボロン酸1(1当量)を2N NaCO/n−プロパノール水溶液(1:4v/v,0.2M)に溶解した。反応容器を脱気し、窒素ガスを流し入れた。Pd(dppf)Clジクロロメタン付加物(5モル%)を加え、反応物を80℃で5時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈した。得られた沈殿物をシリカのパッドで濾過し、追加のEtOAcで洗浄した。ろ液を真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,12.5%EtOAc/Hex)により精製し、標題の化合物を黄色の油状物質として得た。
【0069】
工程2:1−tert−ブチル3−エチル4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−ピペリジン−1,3−ジカルボキシレート
室温で、前記工程由来の1−tert−ブチル−3−エチル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−5,6−ジヒドロピリジン−1,3(2H)−ジカルボキシレート(1当量)のメタノール中の溶液(0.2M)に窒素雰囲気下、マグネシウムの削りくず(2当量)を加えた。反応物を、溶媒の穏やかな還流が達成されるまで激しく撹拌した。1時間撹拌した後、追加のマグネシウムの削りくず(1当量)を加えた。更に1.5時間後、追加のマグネシウムの削りくず(0.5当量)を加えた。更に2時間後、飽和NHCl水溶液で反応を停止した。水層をエーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、真空下に濃縮し、シス及びトランス異性体の1:1混合物を含む黄色の油状物質を得た。窒素雰囲気下、シス及びトランス異性体の混合物を無水エタノールに溶解した。ナトリウムエトキシドのエタノール中の溶液(1.2当量のナトリウムを無水エタノールに溶解することにより調製)を加え、反応物を4時間還流した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈し、飽和NHCl水溶液で反応を停止した。水層をエーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を、、水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,12.5%EtOAc/Hex)により精製し、標題の化合物を、トランス−ジアステレオマーのみを含む黄色の油状物質として得た。
【0070】
工程3:1−tert−ブチル3−エチル(3R,4S)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}ピペリジン−1,3−ジカルボキシレート
ラセミ体のトランス−1−tert−ブチル3−エチル4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−エトキシ]フェニル}−ピペリジン−1,3−ジカルボキシレートを、Chiral Pak AD分取用カラム(ヘキサン中15%EtOH)により分割し、2種の鏡像異性体を得た。1−tert−ブチル3−エチル(3R,4S)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}ピペリジン−1,3−ジカルボキシレートを、遅い鏡像異性体(保持時間=26.5分)として溶出した。
【0071】
工程4:(3R,4S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボン酸
1−tert−ブチル−3−エチル−(3R,4S)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}ピペリジン−1,3−ジカルボキシレート(1当量)のエタノール中の溶液(0.1M)に、10N NaOH水溶液(3当量)を加え、18時間還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をEtOAcで希釈し、1N HCl(pH<1になるまで)で反応を停止した。水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、真空下に濃縮し、ピペリジン酸1化合物を白色の泡状物質として得た。
【0072】
ピペリジン酸2
工程1:4−{4−[2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エトキシ]フェニル}−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル
−78℃で、4−[2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エトキシ]ブロモベンゼン(WO03/093267,7.95g,24ミリモル)のTHF(200mL)中の溶液にBuLi(ヘキサン中、1.6M,17.12mL,27.4ミリモル)を加えた。この溶液を−78℃で30分間撹拌し、次いで、ZnCl(THF中、1M,30mL,30ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温まで加温し、THF(20mL)中の4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(WO2004/002957,7.79g,20ミリモル)及びPd(PPh(0.69g,0.60ミリモル)を加えた。反応混合物を50℃で1時間加熱し、室温で16時間撹拌した。混合物を0℃まで冷却し、飽和NHCl水溶液を加えた。EtOAcを加え、有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。FC(EtOAc/ヘプタン2:8→1:0)による残渣の精製により、標題の化合物を得た(8.1g,82%)。LC−MS:t=1.23min,ES+:506.47。
【0073】
工程2:4−{4−[2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル
Arの存在下、化合物4−{4−[2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エトキシ]フェニル}−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(8.10g,17ミリモル)のMeOH(40mL)中の溶液にMg(1.40g,58ミリモル)を加えた。30℃未満の温度に維持しながら、混合物を1時間撹拌した。1M HCl水溶液(115mL,115ミリモル)を滴下して加え、混合物を1時間撹拌した。混合物をEtOAc(2回)で抽出した。一緒にした有機層を、水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。FC(EtOAc/ヘプタン2:1)による残渣の精製により、標題化合物の2:3トランス/シス混合物を得た(7.6g,93%)。LC−MS:t=1.23min,ES+=508.47。
【0074】
工程3:4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル
0℃で、Arの存在下、化合物4−{4−[2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(7.60g,15.4ミリモル)のTHF(150mL)中の溶液に、TBAF(4.86g,15.4ミリモル)を加えた。混合物を1時間撹拌した後、飽和NHCl水溶液(100mL)を加え、反応混合物をEtOAc(2回)で抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。FC(EtOAc/ヘプタン2:1→1:0)による残渣の精製により、標題の化合物を得た(5.06g,87%)。LC−MS:t=0.91min,ES+=380.30。
【0075】
工程4:4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル
化合物4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(5.50g,15ミリモル)、2,6−ジクロロ−p−クレゾール(3.08g,18ミリモル)、アゾジカルボン酸ジピペリジド(7.31g,29ミリモル)及びPBu(14mL,58ミリモル)のトルエン(150mL)中の混合物を50℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、濾過し、沈殿物をトルエンで洗浄した。ろ液をEtOAcで抽出し、水(2回)及び食塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。FC(EtOAc/ヘプタン0:1→1:9→2:8)による粗生成物の精製により、標題の化合物を無色の油状物質として得た(7.3g,90%)。LC−MS:t=1.18min,ES+=538.34。
【0076】
工程5:(rac.)−(3R*,4S*)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル
Arの存在下、化合物4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(0.21g,0.38ミリモル)のMeOH(2mL)中の溶液にNaOMe(6mg,0.11ミリモル)を加えた。混合物を70℃で3日間撹拌した。水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。標題の化合物(150mg,72%)は更に精製しなかった。LC−MS:t=1.18min,ES+=538.32。
【0077】
工程6:(rac.)−(3R*,4S*)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチル−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル
化合物(rac.)−(3R*,4S*)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(0.15g,0.27ミリモル)のMeOH(1mL)中の溶液に1M NaOH水溶液(1mL)を加えた。混合物を70℃で2時間撹拌した。水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。粗残渣をシリカゲルのパッドにより精製し、標題の化合物を得た(93mg,65%)。LC−MS:t=1.12min,ES+=524.24。
【0078】
工程7:(3R,4S)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチル−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル
化合物(rac.)−(3R*,4S*)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチル−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(4.46g,8.5ミリモル)を、本明細書で前述したようなキラルカラムを備えた分取用HPLCを用いて分離した。97%ヘキサン、3%エタノール及び0.1%TFAからなるアイソクラチックな溶出液を適用した。ピペリジン酸2化合物を得た(1.35g,30%)。分析用キラルHPLC(分取用として同じ溶出液):T=29.00分。Chiral Pak AD分取用カラム(HeX中20%EtOH+0.25%ギ酸)による分割により、2種の鏡像異性体を得た。より遅い鏡像異性体(保持時間=8.54分)として、(3R,4S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−{6−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]ピリジン−3−イル}ピペリジン−3−カルボン酸を溶出した。
【0079】
アミンの調製(スキーム1中のVIII)
【0080】
【化10】

【0081】
アミン1
工程1:3−ブロモ−5−ヒドロキシベンズアルデヒド
−10℃で、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,2.1当量)のトルエン溶液(1.6M)に、塩化n−ブチルマグネシウム(2.0M THF溶液,0.6当量)を加えた。反応混合物を−10℃で30分間撹拌し、−10℃で、3,5−ジブロモフェノール(1当量)のトルエン溶液(0.7M)を35分間かけて滴下して加えた。−10℃で更に30分間撹拌した後、反応混合物を−40℃まで冷却し、DMF(20当量)を20分間かけて滴下して加えた。次いで、反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、室温で1時間撹拌した。0℃で、10%HCl水溶液で慎重に反応を停止し、エーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を水及び食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。ろ液を真空下に濃縮し、黄色の固体を得た。エーテル/ヘキサン中での粗生成物の再結晶により標題の化合物をベージュ色の粉末として得た。
【0082】
工程2:3−ヒドロキシ−5−[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−1−イル]ベンズアルデヒド
前記工程由来の3−ブロモ−5−ヒドロキシベンズアルデヒド(1当量)及び2−[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−1−イル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(1当量)をDMF中で混合した(0.05M)。次いで、この溶液に、酢酸パラジウム(10モル%)、トリフェニルホスフィン(20モル%)及び炭酸ナトリウム(2M水溶液,4当量)を加えた。得られた懸濁液を80℃に加熱し、16時間撹拌した。10%HCl水溶液で反応混合物の反応を停止し、エーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を水、飽和NaHCO水溶液、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,20%→33%EtOAc/Hex)により精製し、標題の化合物を黄色の油状物質として得た。
【0083】
工程3:3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−5−[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−イル]−ベンズアルデヒド
前記工程由来の3−ヒドロキシ−5−[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−1−イル]ベンズアルデヒド(1当量)及びtert−ブチルクロロジメチルシラン(1当量)を、DMF中で混合した(0.5M)。次いで、この溶液に、イミダゾール(1.5当量)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。得られた溶液の反応を水で停止し、エーテル/ヘキサン(1:1v/v)で抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、SiOのプラグで濾過した。ろ液を真空下に濃縮し、標題の化合物を淡黄色の油状物質として得た。
【0084】
工程4:N−{3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−5−[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−1−イル]−ベンジル}シクロプロパンアミン
前記工程由来の3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−5−[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−イル]ベンズアルデヒド(1当量)のDCM中の溶液に、シクロプロパンアミン(2当量)及び硫酸マグネシウム(1.5当量)を加えた。得られた懸濁液を室温で12時間撹拌した。不溶物を濾過により取り除いた。真空下でのろ液の濃縮により、粗イミンを黄色の油状物質として得た。次いで、これをメタノール中に溶解し(0.3M)、次いで、0℃で、水素化ホウ素ナトリウム(1.5当量)を、5分間かけて一部ずつ加えた。反応混合物を1時間かけてゆっくりと室温まで加温し、室温で2時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液でゆっくりと反応物の反応を停止し、得られた混合物をエーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を、水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮し、標題の化合物を明るい黄色の油状物質として得た。
【0085】
工程5:N−[3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]シクロ−プロパンアミン
前記工程由来のN−{3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−5−[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−1−イル]−ベンジル}シクロプロパンアミン(1当量)のEtOAc中の溶液(0.04M)に、10%パラジウム活性炭(10モル%)を加えた。溶液を真空にし、水素で満たした。次いで、反応懸濁液を水素のバルーン雰囲気下に1.5時間撹拌した。反応物をDCMで希釈し、セライトのベッドで濾過した。更に、不溶物をEtOAc及びメタノールで洗浄した。真空下におけるろ液の濃縮により、標題の化合物アミン1を無色の油状物質として得た。
【0086】
アミン2
工程1:3−(ベンジルオキシ)−5−(メトキシカルボニル)安息香酸
0℃で、ジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(1当量)のDMF中の溶液(0.5M)に、NaH(1.2当量)を一部ずつ加え、0℃で30分間撹拌した。臭化ベンジル(1.2当量)を加え、反応物を室温で1.5時間撹拌した。次いで、水(1/7容量)で反応を停止し、得られた沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄した。ろ液をエーテルで希釈し、水及び食塩水で数回洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮して固体を得、これを濾過した沈殿物と一緒にし、ジメチル5−(ベンジルオキシ)イソフタレートを得た。次いで、この化合物をTHF/MeOH(2:1,0.5M)に溶解し、この溶液にKOH粉末を加えた。室温で18時間撹拌した後、反応物をエーテル/水の溶液に注ぎ入れた。2層を分離し、エーテル層を捨てた。水層を、3N HClを用いてpH<1に酸性化し、EtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮し、標題の化合物を白色固体として得た。
【0087】
工程2:メチル3−(ベンジルオキシ)−5−(ヒドロキシメチル)ベンゾエート
0℃で、前記工程由来の3−(ベンジルオキシ)−5−(メトキシカルボニル)安息香酸(1当量)のTHF中の溶液(0.2M)に、ボラン−ジメチルスルフィド(1.5当量)を加え、室温で18時間撹拌した。追加のボラン−ジメチルスルフィド(3当量)を加え、反応物を室温で更に2時間撹拌した。メタノールで反応をゆっくりと停止し、次いで、真空下に濃縮した。残渣をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液及び食塩水で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮して標題の化合物を得た。
【0088】
工程3:メチル3−(ベンジルオキシ)−5−ホルミルベンゾエート
−78℃で、DMSO(2.5当量)のDCM中の溶液に、塩化オキサリル(2.5当量)を加えた。−78℃で反応物を25分間撹拌し、前記工程由来のメチル3−(ベンジルオキシ)−5−(ヒドロキシメチル)ベンゾエート(1当量)のDCM中の溶液を加えた。5分後、トリエチルアミン(5当量)を加え、反応物を30分間かけて室温まで加温した。1N HCl水溶液で反応を停止し、DCMで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中10%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0089】
工程4:メチル3−(ベンジルオキシ)−5−[2−メトキシビニル]ベンゾエート
−78℃で、(メトキシメチル)(トリフェニル)ホスホニウムクロライド(1.5当量)のTHF中の溶液(0.1M)にn−BuLi(1.5当量)を滴下して加えた。反応物を−78℃で30分間撹拌し、次いで、前記工程由来のメチル3−(ベンジルオキシ)−5−ホルミルベンゾエート(1当量)のTHF中の溶液を加えた。室温で40分間撹拌した後、飽和NHCl水溶液で反応を停止した。水層をエーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中15%EtOAc)により精製し、E−及びZ−メチル3−(ベンジルオキシ)−5−[2−メトキシビニル]ベンゾエートの混合物を得た。
【0090】
工程5:メチル3−ヒドロキシ−5−(2−メトキシエチル)ベンゾエート
前記工程由来のメチル3−(ベンジルオキシ)−5−[2−メトキシビニル]ベンゾエート(1当量)のエタノール中の溶液に、10%パラジウム活性炭(5モル%)を加えた。反応容器を真空にし、水素で2回満たした。1時間後、追加の10%パラジウム活性炭(5モル%)を加え、反応物を18時間撹拌した。反応物をDCMで希釈し、セライトのパッドで濾過した。真空下における濃縮により、標題の化合物を油状物質として得た。
【0091】
工程6:メチル3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンゾエート
前記由来のメチル3−ヒドロキシ−5−(2−メトキシエチル)ベンゾエート(1当量)のDMF中の溶液(0.2M)に、CsCO(2当量)及び1−ブロモ−2−メトキシ−エタン(2当量)を加えた。反応物を80℃まで加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈し、水及び食塩水で広範囲に洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中25%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0092】
工程7:3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンズアルデヒド
−78℃で、前記工程由来のメチル3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンゾエート(1当量)のTHF中の溶液(0.1M)にDIBAL−H(3当量)を加えた。反応物を−50℃まで1時間加温し、次いで、0℃で更に30分間撹拌した。ロシェル塩水溶液及びEtOAcで反応を停止した。室温で1時間激しく撹拌した後、層を分離した。水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮し、[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)フェニル]メタノールを油状物質として得た。この中間体(1当量)をDCMに溶解し、−78℃で25分間予備混合したDMSO(2.5当量)及び塩化オキサリル(2.5当量)のDCM中の溶液に加えた。5分後、トリエチルアミン(5当量)を加え、反応物を室温まで30分間かけて加温した。1N HCl水溶液で反応を停止し、DCMで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中30%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0093】
工程8:N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンジル]シクロプロパンアミン
前記工程由来の3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンズアルデヒド(1当量)のDCM中の溶液(0.1M)に、シクロプロパンアミン(2当量)及び無水MgSO(1.5当量)を加えた。反応物を室温で18時間撹拌した。濾過及び真空下における濃縮により、対応するイミンを油状物質として得た。この油状物質をメタノールに溶解し(0.1M)、0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(1.5当量)を加えた。反応物を室温で1.5時間撹拌し、次いで、飽和NaHCO水溶液で反応を停止した。水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮し、標題の化合物アミン2を油状物質として得た。
【0094】
アミン3
工程1:メチル3,5−ジブロモベンゾエート
3,5−ジブロモ安息香酸(1当量)のエーテル中の溶液に、ジアゾメタンのエーテル中の溶液を、ガスの発生が止まるまで滴下して加えた。反応物を20分間撹拌し、真空下に濃縮し、標題の化合物を得た。
【0095】
工程2:メチル3,5−ビス[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−1−イル]ベンゾエート
前記工程由来のメチル3,5−ジブロモベンゾエート(1当量)のDMF中の溶液(0.2M)に、2−[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−1−イル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(2.1当量)、酢酸パラジウム(10モル%)、トリフェニルホスフィン(30モル%)及び2.0M炭酸ナトリウム水溶液(5当量)を加えた。反応物を80℃に加熱し、3時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈した。有機抽出物を水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中20%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0096】
工程3:メチル3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンゾエート
前記工程由来のメチル3,5−ビス[(1E)−3−メトキシプロパ−1−エン−1−イル]ベンゾエート(1当量)の還流トルエン中の溶液に、ベンゼンスルホノヒドラジド(5当量)を2時間かけ、5回に分けて加えた。反応物を還流して18時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈した。有機抽出物を1N HCl水溶液、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中20%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0097】
工程4:3,5−ビス(3−メトキシプロピル)安息香酸
前記工程由来のメチル3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンゾエート(1当量)のTHF/MeOH(2:1v/v,0.1M)の溶液に、2M NaOH水溶液(2当量)を加えた。室温で72時間撹拌した後、反応物をEtOAcで希釈した。有機抽出物を10%HCl水溶液、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0098】
工程5:N−シクロプロピル−3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンズアミド
前記工程由来の3,5−ビス(3−メトキシプロピル)安息香酸(1当量)のDCM中の溶液(0.1M)に、シクロプロパンアミン(1.3当量)、o−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(aka.HATU,1.5当量)及びトリエチルアミン(3当量)を加えた。室温で18時間撹拌した後、反応物をEtOAcで希釈した。有機抽出物を10%HCl水溶液、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中50%→70%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0099】
工程6:N−[3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンジル]シクロプロパンアミン
80℃で、前記工程由来のN−シクロプロピル−3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンズアミド(1当量)のTHF中の溶液(0.18M)に、ボラン−ジメチルスルフィド(10当量)を加えた。反応物を約半分の容量まで蒸留し、還流下に3時間加熱した。次いで、反応物を室温まで冷却し、10%HCl水溶液でゆっくりと反応を停止した。反応物を加熱し、再度還流し、45分間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をEtOAcで希釈し、NaOH水溶液で塩基性化した(pH>10)。有機抽出物を飽和NaHCO水溶液、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,3%EtNを含むHex中25%EtOAc)により精製し、標題の化合物アミン3を油状物質として得た。
【0100】
アミン4
工程1:3,5−ビス(2−メトキシエトキシ)ベンズアルデヒド
3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド(1当量)のDMF中の溶液(0.36M)に、炭酸セシウム(3当量)及び2−ブロモエチルメチルエーテル(5.1当量)を加えた。反応物を50℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物をEtOAc/エーテル(1:1v/v)で希釈し、飽和NHCl水溶液、水及び食塩水で洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中10%→75%EtOAc)により精製し、標題の化合物を黄色の油状物質として得た。
【0101】
工程2:N−[3,5−ビス(2−メトキシエトキシ)ベンジル]シクロプロパンアミン
前記工程由来の3,5−ビス(2−メトキシエトキシ)ベンズアルデヒド(1当量)のDCM中の溶液(0.1M)に、シクロプロパンアミン(2当量)及び無水MgSO(2当量)を加えた。反応物を室温で18時間撹拌した。濾過及び真空下における濃縮により、対応するイミンを油状物質として得た。この油状物質をメタノールに溶解し(0.1M)、0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(2当量)を加えた。反応物を室温で3時間撹拌し、次いで、1N NaOH水溶液で反応を停止した。水層をエーテルで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,3%EtNを含むHex中20%〜40%EtOAc)により精製し、標題の化合物アミン4を黄色の油状物質として得た。
【0102】
本発明の化合物を下記方法に従い調製した。
【0103】
実施例1
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド
【0104】
【化11】

【0105】
工程1:tert−ブチル(3R,4S)−3−{[[3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−5−(3−メトキシ−プロピル)ベンジル](シクロプロピル)アミノ]カルボニル}−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチル−フェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
(3R,4S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボン酸(ピペリジン酸1)(1当量)及びN−[3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]シクロ−プロパンアミン(アミン1)(1.8当量)のDCM中の溶液(0.15M)に、HATU(1.5当量)及びヒューニッヒ塩基(3当量)を加えた。室温で18時間撹拌した後、反応物をエーテルで希釈した。有機抽出物を1N HCl水溶液、水、食塩水で3回洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中20%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0106】
工程2:tert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−{[[3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル](シクロプロピル)アミノ]カルボニル}−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチル−フェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のTHF中の溶液(0.1M)に、1MテトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF中の溶液(1.3当量)を加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、真空下に濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中50%EtOAc)により精製し、標題の化合物を泡状物質として得た。
【0107】
工程3:tert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシ−プロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のDMF中の溶液(0.2M)に、炭酸セシウム(1.3当量)及び2−ブロモエチルメチルエーテル(1.6当量)を加えた。反応物を80℃に加熱し、3時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をEtOAcで希釈した。有機抽出物を水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中50%→65%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0108】
工程4:(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド
前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のDCM中の溶液(0.05M)に、ジオキサン中の4M HCl(10当量)を加え、室温で5時間撹拌した。反応物を真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,DCM中の5%[MeOH中、2M NH])により精製し、標題の化合物を無色の油状物質として得た。H NMR(アセトン d−6):δ7.28(s,2H),7.20(d,2H),6.84(d,2H),6.62(s,1H),6.48(s,1H),6.4(s,1H),4.47−4.25(m,6H),4.05(t,2H),3.71(t,2H),3.56(m,1H),3.38(s,3H),3.33(t,2H),3.28(s,3H),3.25(m,1H),3.11(m,2H),2.76(m,2H),2.55(t,2H),2.34(s,3H),2.32(m,1H),1.78(m,4H),0.77(m,3H),0.49(m,1H)。LRMS[M+H]=699.0
【0109】
実施例2
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{6−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]ピリジン−3−イル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド
【0110】
【化12】

【0111】
出発物質としてピペリジン酸2を代わりに用いて、実施例1の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(アセトン d−6):δ8.04(d,1H),7.62(d,1H),7.27(s,2H),6.70(d,1H),6.63(s,1H),6.48(s,1H),6.42(s,1H),4.60−4.70(m,2H),4.31−4.41(m,4H),4.05−4.10(m,2H),3.70−3.74(m,2H),3.63(t,1H),3.28−3.38(m,9H),3.11(m,2H),2.70−2.90(m,2H),2.50−2.60(t,2H),2.41−2.45(m,1H),2.33(s,3H),1.70−1.90(m,4H),0.4−0.9(m,4H)。LRMS[M+H]=700.0
【0112】
実施例3
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド
【0113】
【化13】

【0114】
工程1:tert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例1/工程2由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のDMF中の溶液に、炭酸カリウム(4.4当量)及び2−クロロ−N,N−ジメチルエタンアミン塩酸塩(2.5当量)を加えた。反応物を80℃に加熱し、4時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈した。有機抽出物を5%炭酸カリウム水溶液、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,DCM中2%→5%[MeOH中、2M NH])により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0115】
工程2:(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}−N−[3−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド
出発物質として、前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレートを代わりに用いて、実施例1/工程4の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(アセトン d−6):δ7.29(s,2H),7.20(d,2H),6.88(d,2H),6.61(s,1H),6.50(s,1H),6.39(s,1H),4.28−4.42(m,6H),4.00(t,2H),3.56(dt,1H),3.32(t,2H),3.28(s,3H),3.20(d,1H),3.02−3.14(m,2H),2.68−2.85(m,3H),2.66(t,2H),2.52(t,2H),2.29−2.34(m,3H),2.25(s,6H),1.69−1.81(m,4H),0.4−0.9(m,4H)。LRMS[M+H]=711.9
【0116】
実施例4
(3R,4S)−N−シクロプロピル−N−[3−[2−(シクロプロピルオキシ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)−ベンジル]−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド
【0117】
【化14】

【0118】
工程1:tert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−[2−(シクロプロピルオキシ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例1/工程2由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のDMF中の溶液(0.1M)に、(2−クロロエトキシ)シクロプロパン(3当量)及び炭酸セシウム(2当量)を加えた。反応物を100℃に加熱し、3時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈した。有機抽出物を水、食塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中35%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0119】
工程2:(3R,4S)−N−シクロプロピル−N−[3−[2−(シクロプロピルオキシ)エトキシ]−5−(3−メトキシ−プロピル)ベンジル]−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド
出発物質として、前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−[2−(シクロプロピルオキシ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレートを代わりに用いて、実施例1/工程4の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(アセトン d−6):δ7.29(s,2H),7.20(d,2H),6.84(d,2H),6.60(s,1H),6.48(s,1H),6.40(s,1H),4.30−4.45(m,5H),4.25(d,1H),4.02(t,2H),3.80(t,2H),3.53(dt,1H),3.00−3.42(m,9H),2.70−2.85(m,2H),2.53(t,2H),2.30−2.45(m,4H),1.70−1.85(m,4H),0.4−0.9(m,8H)。LRMS[M+H]=725.2
【0120】
実施例5
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−{3−(3−メトキシプロピル)−5−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシ]ベンジル}ピペリジン−3−カルボキサミド
【0121】
【化15】

【0122】
工程1:2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホネート
2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタノール(1当量)のDCM中の溶液(0.2M)に、塩化p−トルエンスルホニル(1.3当量)及びトリエチルアミン(1.5当量)を加えた。反応物を室温で18時間撹拌した。飽和NHCl水溶液で反応を停止し、DCMで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,ヘキサン中30%エーテル)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0123】
工程2:tert−ブチル(3R,4S)−3−[(シクロプロピル{3−(3−メトキシプロピル)−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)エトキシ]ベンジル}アミノ)カルボニル]−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例1/工程2由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のDMF中の溶液(0.1M)に、前記工程由来の2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エチル4−メチルベンゼンスルホネート(3当量)、炭酸セシウム(2当量)及びヨウ化ナトリウム(5モル%)を加えた。反応物を100℃に加熱し、2.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈した。有機抽出物を水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中40%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0124】
工程3:(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}−N−{3−(3−メトキシプロピル)−5−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシ]ベンジル}−ピペリジン−3−カルボキサミド
出発物質として、前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−[(シクロプロピル{3−(3−メトキシプロピル)−5−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシ]ベンジル}アミノ)カルボニル]−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレートを代わりに用いて、実施例1/工程4の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(アセトン d−6):δ7.30(s,2H),7.20(d,2H),6.85(d,2H),6.65(s,1H),6.50(s,1H),6.41(s,1H),4.35−4.45(m,5H),4.28(d,1H),4.00−4.18(m,6H),3.57(dt,1H),3.35(t,2H),3.29(s,3H),3.00−3.25(m,3H),2.70−2.85(m,2H),2.55(t,2H),2.30−2.40(m,4H),1.70−1.85(m,4H),0.4−0.9(m,4H)。LRMS[M+H]=768.6
【0125】
実施例6
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド
【0126】
【化16】

【0127】
工程1:tert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)−エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例1/工程2由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のDMF中の溶液(0.1M)に、炭酸セシウム(2.5当量)及び2,2−ジメチルオキシラン(15当量)を加えた。反応物を50℃で18時間撹拌し、次いで、更に2,2−ジメチルオキシラン(10当量)を加えた。反応物を80℃に加熱し、4.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈した。有機抽出物を、水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中45%→55%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0128】
工程2:(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}−N−[3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド
0℃で、tert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレートのアセトニトリル中の溶液(0.02M)にヨードトリメチルシラン(2当量)を加え、0℃で10分間撹拌した。飽和NaHCO水溶液で反応を停止し、EtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。残渣をTHFに溶解し(0.2M)、フッ化テトラブチルアンモニウム(2当量)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,DCM中7%[2M NH MeOH])により精製し、標題の化合物を無色の油状物質として得た。H NMR(アセトン d−6):δ7.30(s,2H),7.20(d,2H),6.85(d,2H),6.65(s,1H),6.55(s,1H),6.38(s,1H),4.30−4.45(m,6H),3.50−3.80(m,4H),3.00−3.48(m,8H),2.70−2.90(m,2H),2.55(t,2H),2.30−2.40(m,4H),1.70−1.85(m,4H),1.30(s,6H),0.4−0.9(m,4H)。LRMS[M+H]=713.2
【0129】
実施例7
(3R,4S)−N−[3−{[1−(シアノメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド
【0130】
【化17】

【0131】
工程1:[1−(シアノメチル)シクロプロピル]メチルメタンスルホネート
−40℃で、[1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]アセトニトリル(参考文献として組み入れられるWO2005/105749の実施例2/工程4に開示された手順に従って調製)(1当量)のDCM中の溶液に、トリエチルアミン(3当量)を、次いで、塩化メタンスルホニル(1.5当量)を加えた。反応物を1時間かけて−10℃に加温し、DCMで希釈し、飽和NaHCO水溶液で反応を停止した。水層をDCMで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中0%→50%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0132】
工程2:tert−ブチル(3R,4S)−3−{[[3−{[1−(シアノメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル](シクロプロピル)アミノ]カルボニル}−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例1/工程2由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のDMF中の溶液(0.1M)に、炭酸セシウム(2当量)及び前記工程由来の[1−(シアノメチル)シクロプロピル]メチルメタンスルホネート(2当量)を加えた。反応物を80℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応物をエーテルで希釈した。有機抽出物を、水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中0%→50%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0133】
工程3:(3R,4S)−N−[3−{[1−(シアノメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)−ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−ピペリジン−3−カルボキサミド
出発物質として、前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−{[[3−{[1−(シアノメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル](シクロプロピル)アミノ]カルボニル}−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレートを代わりに用いて、実施例1/工程4の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(アセトン d−6):δ7.30(s,2H),7.20(d,2H),6.45(d,2H),6.65(s,1H),6.55(s,1H),6.40(s,1H),4.30−4.45(m,6H),3.9(s,2H),3.55(dt,1H),3.00−3.45(m,8H),2.70−2.90(m,4H),2.55(t,2H),2.30−2.40(m,4H),1.70−1.85(m,4H),0.4−0.9(m,8H)。LRMS[M+H]=734.3
【0134】
実施例8
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−{[(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−ピペリジン−3−カルボキサミド
【0135】
【化18】

【0136】
工程1:エチル(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボキシレート
0℃で、エチル2−ホルミル−1−シクロプロパンカルボキシレート(1.5当量)のメタノール中の溶液(0.7M)に、水素化ホウ素ナトリウム(1.5当量)を30分かけて一部ずつ加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌し、次いで、氷浴中で冷却した。飽和NHCl水溶液を滴下して加え、混合物を1.5時間撹拌した。水を加え、水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮し、標題の化合物のラセミ混合物を透明な油状物質として得た。ラセミ体のトランス2−(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボキシレートを、Chiral Pak AD分取用カラム(10%EtOH/Hex)により精製し、2種類の鏡像異性体を得た。エチル(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボキシレートを、より早い鏡像異性体(保持時間=12.94分)として溶出した。
【0137】
工程2:tert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−{[(1R,2R)−2−(エトキシカルボニル)シクロ−プロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジ−クロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例1/工程2由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のトルエン中の溶液(0.1M)に、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(1.2当量)、前記工程由来のエチル(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボキシレート(2当量)及びトリ−n−ブチルホスフィン(1.2当量)を加えた。反応物を80℃に加熱し、18時間撹拌した。熱いうちに、反応物をEtOAc/水で希釈した。水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中40%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0138】
工程3:tert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−{[(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジ−クロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
−78℃で、前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−{[(1R,2R)−2−(エトキシカルボニル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}−カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のTHF中の溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(3当量)を加えた。反応物を−78℃で1時間撹拌し、次いで室温まで加温した。EtOAc及びロシェル塩の水溶液を加え、2層が分離するまで撹拌した。水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中60%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0139】
工程4:(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]−フェニル}−N−[3−{[(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシ−プロピル)ベンジル]−ピペリジン−3−カルボキサミド
出発物質として、前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−{[(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジ−クロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレートを代わりに用いて、実施例1/工程4の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状の化合物であった。H NMR(アセトン d−6):δ7.24(s,2H),7.16(d,2H),6.81(d,2H),6.56(s,1H),6.45(s,1H),6.34(s,1H),4.34(m,6H),3.86(m,1H),3.72(m,1H),3.54(m,1H),3.44(d,2H),3.3(m,3H),3.24(s,3H),3.2(m,1H),3.11(m,1H),3.06(m,1H),2.73(m,2H),2.5(t,2H),2.3(s,3H),2.29(m,1H),1.75(m,4H),1.15(m,1H),1.05(m,1H),0.75(m,3H),0.52(t,2H),0.42(m,1H)。LRMS[M+H]=725.2
【0140】
実施例9
(3R,4S)−N−[3−アセチル−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジ−クロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド
【0141】
【化19】

【0142】
工程1:tert−ブチル(3R,4S)−3−{[シクロプロピル(3−(3−メトキシプロピル)−5−{[(トリフルオロ−メチル)スルホニル]オキシ}ベンジル)アミノ]カルボニル}−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
0℃で、実施例1/工程2由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−({シクロプロピル[3−ヒドロキシ−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−アミノ}カルボニル)−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のDCM中の溶液(0.1M)に、トリエチルアミン(2.5当量)及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.2当量)を加えた。反応物を0℃で1時間撹拌し、次いで、飽和NaHCO水溶液で反応を停止した。水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,DCM中10%→30%EtOAc)により精製し、標題の化合物を無色の油状物質として得た。
【0143】
工程2:tert−ブチル(3R,4S)−3−{[[3−アセチル−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル](シクロプロピル)−アミノ]カルボニル}−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−{[シクロプロピル(3−(3−メトキシプロピル)−5−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}ベンジル)アミノ]カルボニル}−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレート(1当量)のジオキサン中の溶液(0.07M)に、トリブチル(1−エトキシビニル)スタンナン(1.2当量)、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(5モル%)及びLiCl(3当量)を加えた。反応物を加熱還流し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、飽和NaHCO水溶液で反応を停止した。水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下に濃縮した。残渣をTHFに溶解し(0.07M)、2M HCl水溶液(5当量)を加え、反応物を室温で30分間撹拌した。飽和NaHCO水溶液で反応を停止した。水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO,Hex中50%→60%EtOAc)により精製し、標題の化合物を油状物質として得た。
【0144】
工程3:(3R,4S)−N−[3−アセチル−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド
出発物質として、前記工程由来のtert−ブチル(3R,4S)−3−{[[3−アセチル−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル](シクロプロピル)−アミノ]カルボニル}−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシレートを代わりに用いて、実施例1/工程4の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(CDCl):δ7.62(s,1H),7.49(s,1H),7.16−7.10(m,4H),7.01(s,1H),6.74(d,2H),4.48(d,1H),4.38−4.25(m,5H),3.39−3.22(m,7H),3.18−2.85(m,3H),2.68(t,2H),2.58(s,3H),2.31,(s,3H),2.20−2.15(m,1H),1.96−1.81(m,4H),1.65−1.50(m,1H),0.99−0.89(m,1H),0.−0.69(m,2H),0.53−.46(m,1H)。LRMS[M+H]=667.2
【0145】
実施例10
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド
【0146】
【化20】

【0147】
出発物質として、N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンジル]シクロプロパンアミン(アミン2)を代わりに用いて、実施例1の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(アセトン d−6):δ7.29(s,2H),7.20(d,2H),6.84(d,2H),6.66(s,1H),6.50(s,1H),6.40(s,1H),4.30−4.45(m,5H),4.25(d,1H),4.04(t,2H),3.70(t,2H),3.48−3.60(m,3H),3.38(s,3H),3.28(s,3H),3.00−3.25(m,3H),2.68−2.85(m,4H),2.30−2.38(m,4H),1.68−1.80(m,2H),0.4−0.9(m,4H)。LRMS[M+H]=685.3
【0148】
実施例11
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド
【0149】
【化21】

【0150】
出発物質として、N−[3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンジル]シクロプロパンアミン(アミン3)を代わりに用いて、実施例1の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(アセトン d−6):δ7.29(s,2H),7.22(d,2H),6.87(s,1H),6.86(d,2H),6.63(s,2H),4.5(d,1H),4.39(m,4H),4.25(d,1H),3.58(m,1H),3.33(t,4H),3.28(s,6H),3.23(m,1H),3.11(m,2H),2.76(m,2H),2.56(t,4H),2.37(m,1H),2.35(s,3H),1.79(m,6H),0.75(m,3H),0.50(m,1H)。LRMS[M+H]=697.5
【0151】
実施例12
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(2−メトキシエトキシ)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド
【0152】
【化22】

【0153】
出発物質として、N−[3,5−ビス(2−メトキシエトキシ)ベンジル]シクロプロパンアミン(アミン4)を代わりに用いて、実施例1の記載に従って調製した。標題の化合物は無色の油状物質であった。H NMR(アセトン d−6):δ7.28(s,2H),7.18(d.2H),6.82(d,2H),6.33(s,1H),6.21−6.26(m,2H),4.30−4.40(m,6H),4.02(t,4H),3.70(t,4H),3.51(dt,1H),3.35(s,6H),3.00−3.24(m,3H),2.65−2.85(m,2H),2.30−2.35(m,4H),1.65−1.80(m,2H),0.4−0.9(m,4H)。LRMS[M+H]=701.3
【0154】
ヒト組換型レニンの阻害
酵素のインビトロアッセイを、384ウェルのポリプロピレンプレート(Nunc)中で実施した。アッセイバッファーは、1mM EDTA及び0.1%BSAを含むPBS(Gibco BRL)から構成されていた。反応混合物は、酵素混合物47.5μL/ウェル及びレニン阻害剤のDMSO溶液2.5μLで構成されていた。酵素混合物を予め4℃で混合し、そして、酵素混合物は下記成分からなる。
・ヒト組換型レニン(40pM)
・合成ヒトアンジオテンシン(1−14)(0.5μM)
・硫酸ヒドロキシキノリン(1mM)
次いで、混合物を37℃で3時間インキュベートした。反応プレートを氷水上に置いて、酵素反応を停止させた。
【0155】
酵素活性及びその阻害を測定するために、蓄積したAng Iを酵素免疫測定法(EIA)によって384ウェルプレート(Nunc)中で検出した。5μLの反応混合物又は標準検体を、Ang I及びウシ血清アルブミンの共有結合性複合体(Ang I−BSA)を予め塗布した免疫プレートに移した。0.01%Tween 20を含む上記Ang I抗体のアッセイバッファー75μLを添加し、プレートを4℃で一晩インキュベートした。
【0156】
最終濃度0.02NのHClで酵素反応を停止させることによって、他のプロトコールを用いることもできた。5μLの反応混合物又は標準検体を免疫プレートに移し、0.01%Tween 20を含む上記Ang I抗体のアッセイバッファー75μLを添加し、プレートを室温で4時間インキュベートした。
【0157】
プレートを、0.01%Tween 20を含むPBSで3回洗浄し、次いで抗ウサギ−ペルオキシダーゼ結合抗体(WA 934、Amersham)と一緒に室温で2時間インキュベートした。プレートを3回洗浄後、ペルオキシダーゼの基質であるABTS((2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)2NH)を加え、プレートを室温で60分間インキュベートした。プレートをマイクロプレートリーダーによって405nmで評価した。阻害率を各濃度ポイントについて計算し、酵素活性を50%阻害するレニン阻害濃度(IC50)を求めた。全試験化合物のIC50値は1□M未満であった。
【0158】
ヒト血漿中におけるレニンの阻害
酵素のインビトロアッセイを384ウェルのポリプロピレンプレート(Nunc)中で実施した。アッセイバッファーは、1mM EDTA及び0.1%BSAを含むPBS(Gibco BRL)から構成されていた。反応混合物は、ヒト血漿、酵素、Ang I抗体混合物80μL/ウェル及びレニン阻害剤のDMSO溶液5μLで構成されていた。ヒト血漿混合物を予め4℃で混合し、また、ヒト血漿混合物は、
・10名の正常ドナーから得られたヒト血漿
・ヒト組換型レニン(3pM)
・Ang I抗体
から構成されていた。次いで、混合物を37℃で2時間インキュベートした。
【0159】
酵素活性及びその阻害を測定するために、蓄積したAng Iを酵素免疫測定法(EIA)によって384ウェルプレート(Nunc)中で検出した。10μLの反応混合物又は標準検体を、Ang I及びウシ血清アルブミンの共有結合性複合体(Ang I−BSA)を予め塗布した免疫プレートに移した。アッセイバッファー70μLを加え、プレートを4℃で一晩インキュベートした。プレートを、0.01%Tween 20を含むPBSで3回洗浄し、次いで抗ウサギ−ペルオキシダーゼ結合抗体(WA 934、Amersham)と一緒に室温で2時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した後、ペルオキシダーゼ基質であるABTS((2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)2NH)を加え、プレートを室温で60分間インキュベートした。プレートをマイクロプレートリーダーによって405nmで評価した。阻害率を各濃度ポイントについて計算し、酵素活性を50%阻害するレニン阻害濃度(IC50)を求めた。全試験化合物のIC50値は10□M未満であった。
【0160】
インビボ動物モデル−メス性二重トランスジェニックラットをRCC Ltd、Fullingsdorf、Switzerlandから購入した。全ての動物を同一条件下で維持し、通常のラット固形飼料ペレット及び水を自由に摂取させた。ラットを最初にエナラプリル(1mg/kg/日)で2か月間処置した。エナラプリル処置を中止した後約2週間で、二重トランスジェニックラットは高血圧になり、160−170mmHgの範囲の平均動脈圧に達する。
【0161】
トランスミッター移植−ラットを、90mg/kgのケタミン(Ketamin)−HCl(Ketavet、Parke−Davis、Berlin FRG)及び10mg/kgのキシラジン(Rompun、Bayer、Leverkusen、FRG)の混合物で腹腔内麻酔した。圧力トランスミッターを無菌状態で腹腔内に移植し、検出カテーテルを下行大動脈中の腎動脈下に上流側に向けて配置した。トランスミッターを腹部筋系に縫合し、皮膚を閉じた。
【0162】
遠隔測定システム−遠隔測定装置をData Sciences(St.Paul、MN)から入手した。移植したセンサーは、真空に対する絶対動脈圧を測定する極めて安定な低コンダクタンスストレインゲージ圧力変換器に接続された体液充填カテーテル(直径0.7mm、長さ8cm;モデルTA11PA−C40)及び無線送信機とから構成されていた。カテーテルの先端には、血液の逆流を防止する粘ちゅう性ゲルが充填され、血栓形成を阻止する抗血栓性膜で被覆されていた。移植片(長さ=2.5cm、直径=1.2cm)は重量9gであり、典型的な電池寿命は6か月である。受信機プラットフォーム(RPC−1、Data Sciences)によって、無線信号を、専用パーソナルコンピュータ(Compaq、deskpro)に送られるデジタル化入力に接続した。周囲圧力基準(APR−1、Data Sciences)からの入力を用いて、動脈圧を較正した。収縮期、平均及び拡張期血圧を水銀のミリメートル(mmHg)で表した。
【0163】
血行動態測定−圧力トランスミッターを移植した二重トランスジェニックラットに経口胃管栄養法によって媒体又は10mg/kgの試験物質(n=6/群)を投与し、平均動脈圧を連続的に記録した。試験物質の効果を、処置群対対照群における平均動脈圧(MAP)の最大減少として表す。
【0164】
生物学的活性
【0165】
【化23−1】

【0166】
【化23−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、Xは、N又はCHであり;
Yは、O、CH又は結合であり;
は、
−(CH1−3OR、又は
−O(CH1−2ORであり;
は、
−(CH1−5OR
−O−(CH2−4OR
−C(O)R
−OR
−O(CH2−4O−(C−Cシクロアルキル)、ここでシクロアルキルは置換されていないか又はC−Cアルキル若しくはC−Cアルカノールで置換され、
−O(CH2−4NR
【化2】

からなる群から選択され;そして
及びRは、独立して、置換されていないか又は−OH若しくはCFで置換されているC−Cアルキルである)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくはその光学異性体。
【請求項2】
が、−(CHOCH、−(CHOCH又は−O(CHOCHである、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
Yが、Oである、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
が、
−(CHOR
−O−(CHOR
−C(O)R
−OR
−O(CHO−(C−Cシクロアルキル)、ここでシクロアルキルは置換されていないか又はC−Cアルキル若しくはC−Cアルカノールで置換され、
−O(CHNR、及び
【化3】

からなる群から選択される、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
が、
−(CHOCH
−O(CHOCH
−C(O)CH
−OCHC(CHOH、
−O(CHOCHCF
−O(CHOCH
−O(CHN(CH
【化4】

からなる群から選択される、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
及びRが、独立して−CH、−CHCF及び−(CH)C(CHOHからなる群から選択される、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{6−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]ピリジン−3−イル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−N−[3−[2−(シクロプロピルオキシ)エトキシ]−5−(3−メトキシプロピル)−ベンジル]−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−{3−(3−メトキシプロピル)−5−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシ]ベンジル}ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−[3−{[1−(シアノメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−{[(1R,2R)−2−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メトキシ}−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−[3−アセチル−5−(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジ−クロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}−N−[3−(2−メトキシエトキシ)−5−(2−メトキシエチル)ベンジル]ピペリジン−3−カルボキサミド、
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(3−メトキシプロピル)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミド、及び
(3R,4S)−N−[3,5−ビス(2−メトキシエトキシ)ベンジル]−N−シクロプロピル−4−{4−[2−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ)エトキシ]フェニル}ピペリジン−3−カルボキサミドからなる群から選択される、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の有効量と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項9】
高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎不全(renal insufficiency)、腎虚血、腎不全(renal failure)、腎線維症、心不全、心肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎仙痛;腎症、脈管障害及び神経障害のような糖尿病に起因する合併症、緑内障、眼圧上昇、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管又は心臓の手術後の合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安、認知障害、免疫抑制剤治療の合併症に関連する疾患、並びにレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られている他の疾患からなる群から選択される疾患の治療又は予防用医薬を製造するための、請求項1記載の化合物又は請求項8記載の組成物の使用。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物の薬学的に活性な量を患者に投与することを含む、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎不全(renal insufficiency)、腎虚血、腎不全(renal failure)、腎線維症、心不全、心肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎仙痛;腎症、脈管障害及び神経障害のような糖尿病に起因する合併症、緑内障、眼圧上昇、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管又は心臓の手術後の合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安、認知障害、免疫抑制剤治療の合併症に関連する疾患、並びにレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られている他の疾患からなる群から選択される疾患を治療又は予防する方法。

【公表番号】特表2010−510176(P2010−510176A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536568(P2009−536568)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【国際出願番号】PCT/CA2007/002044
【国際公開番号】WO2008/058387
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】