説明

レバースイッチ装置

【課題】良好な視認性及び緊急時におけるスイッチの良好な操作性を得ることができるレバースイッチ装置を提供する。
【解決手段】複数のスイッチ動作を実行するターンシグナルスイッチ7,9と、これらスイッチ7,9による複数のスイッチ動作と異なる複数のスイッチ動作を実行するワイパスイッチ11〜13と、スイッチ7,9を第1回動面L内での回動によって、またスイッチ11〜13を第2回動面M内での回動によってそれぞれスイッチ操作可能な操作レバー3とを備え、操作レバー3は、スイッチ7,9の使用状態において第1回動面Lに直交する第1回動軸3a、及びスイッチ11〜13の使用状態において第2回動面Mに直交する第2回動軸3b,3bを有し、第2回動軸3b,3bが第1回動軸3aを含む第3回動面N内で第3回動軸3c、3cを中心として回動可能に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバースイッチ装置に関し、特に自動車等のワイパのスイッチ動作やターンシグナルライトのスイッチ動作を操作レバーの操作によって実行するためのレバースイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、ウィンドウの汚れや雨滴等を払拭するワイパを動作させるためのワイパスイッチ、及びターンシグナルライトを点灯・消灯(点滅)して車両の車線方向を指示するためのターンシグナルスイッチを備えたレバースイッチ装置が装備されている。
【0003】
従来、この種のレバースイッチ装置には、ワイパスイッチを操作可能な第1操作レバーと、この第1操作レバーの操作面内でターンシグナルスイッチを操作可能な第2操作レバーとを備えたものがある(特許文献1)。
【0004】
第1操作レバーはステアリングコラムの左側に、また第2操作レバーはステアリングコラムの右側にそれぞれ配置されている。
【0005】
このように構成されたレバースイッチ装置においては、ワイパのスイッチ動作が第1操作レバーのレバー操作によって低速駆動状態又は高速駆動状態に切り換えることにより、またターンシグナルライトのスイッチ動作が第2操作レバーのレバー操作によってターンシグナルライトをOFF状態,左折指示状態又は右折指示状態に切り換えることによりそれぞれ行われる。
【0006】
また、従来のレバースイッチ装置には、ワイパスイッチを操作可能な操作ノブと、この操作ノブを回動可能に保持してターンシグナルスイッチを操作可能な操作レバーとを備えたものもある(特許文献2)。
【0007】
このように構成されたレバースイッチ装置においては、ワイパのスイッチ動作が操作ノブの回動操作によって低速駆動状態又は高速駆動状態に切り換えることにより、またターンシグナルライトのスイッチ動作が操作レバーのレバー操作によってターンシグナルライトをOFF状態,左折指示状態又は右折指示状態に切り換えることによりそれぞれ行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−306921号公報
【特許文献2】特開2005−332665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示す従来のレバースイッチ装置によると、ワイパスイッチを操作する第1操作レバー、及びターンシグナルスイッチを操作する第2操作レバーを備えているため、これら使用頻度の少ない第1操作レバー及び第2操作レバーが常に視認されることとなり、視認性が悪いという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に示す従来のレバースイッチ装置によると、ワイパスイッチがロータリスイッチであるため、その操作がターンシグナルスイッチのレバー操作と異なり、緊急時(例えば、走行中における自動車のフロントガラスに飛散した泥水等で運転者の視界が遮られ、緊急に視界を確保する必要が生じた場合)に迅速に対応することが困難となり、緊急時におけるワイパスイッチの操作性が悪いという問題があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、良好な視認性及び緊急時におけるスイッチの良好な操作性を得ることができるレバースイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、(1)〜(3)のレバースイッチ装置を提供する。
【0013】
(1)複数のスイッチ動作を実行する第1スイッチと、前記複数のスイッチ動作と異なる複数のスイッチ動作を実行する第2スイッチと、前記第1スイッチを第1回動面内での回動によって、また前記第2スイッチを第2回動面内での回動によってそれぞれスイッチ操作可能な操作レバーとを備え、前記操作レバーは、前記第1スイッチの使用状態において前記第1回動面に直交する第1回動軸、及び前記第2スイッチの使用状態において前記第2回動面に直交する第2回動軸を有し、前記第2回動軸が前記第1回動軸を含む第3回動面内で第3回動軸を中心として回動可能に配置されている。
【0014】
(2)上記(1)に記載のレバースイッチ装置において、前記操作レバーは、前記第2回動軸が前記第3回動面内で回動する場合に前記操作レバーの操作方向の動作に抵抗力を付与するための1対の抵抗力付与部材によって形成されている。
【0015】
(3)上記(1)に記載のレバースイッチ装置において、前記第1スイッチは、ターンシグナルライトを点灯・消灯するためのスイッチからなり、前記第2スイッチは、ワイパを動作させるためのスイッチからなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、良好な視認性及び緊急時におけるスイッチの良好な操作性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置を破断して示す正面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置を破断して示す下面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置を破断して示す側面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置のスイッチポジションを説明するために模式化して示す側面図。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置の装置筐体を説明するために示す正面図,下面図及び側面図。(a)は正面図を、(b)は下面図を、また(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図6】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置の装置蓋体を説明するために示す正面図,下面図及び側面図。(a)は正面図を、(b)は下面図を、また(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図7】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置における操作レバーのケース筐体を説明するために示す正面図,下面図及び側面図。(a)は正面図を、(b)は下面図を、また(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置における操作レバーのケース蓋体を説明するために示す正面図,下面図及び側面図。(a)は正面図を、(b)は下面図を、また(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図9】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置における第1スイッチの動作から第2スイッチの動作に移行する場合に用いられる節度面を説明するために示す正面図,下面図及び側面図である。(a)は正面図を、(b)は下面図を、また(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図10】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置における第2スイッチの機能を実行する場合に用いられる節度面を説明するために示す正面図,下面図及び側面図。(a)は正面図を、(b)は下面図を、また(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図11】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置における第1スイッチ及び第2スイッチの機能以外の機能を実行する場合に用いられる節度面を説明するために示す正面図,下面図及び側面図。(a)は正面図を、(b)は下面図を、また(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図12】本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置におけるスイッチの制御系を説明するために示すブロック図。
【図13】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置に第1スイッチのスイッチ動作と第2スイッチのスイッチ動作を説明するために示す正面図。(a)は第1スイッチのスイッチ動作を、また(b)は第2スイッチのスイッチ動作をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施の形態〕
(レバースイッチ装置の全体構成)
図1は、レバースイッチ装置を自動車の運転席(ステアリングホイール)側から見た状態を示す。図2は、レバースイッチ装置を下側から見た状態を示す。図3は、レバースイッチ装置を右側から見た状態を示す。図4は、操作レバーのスイッチポジションを示す。
【0019】
図1〜図3に示すように、レバースイッチ装置1は、初期のスイッチポジションSを含む複数のスイッチポジションS〜S12(図4に示す)を有する装置本体2と、この装置本体2のスイッチポジションS〜S11に操作可能な操作レバー3と、この操作レバー3の操作によって複数のスイッチ動作を実行する複数種のスイッチ4〜16(図12に示す)等とを備え、ステアリングシャフト(図示せず)の例えば右側に回動可能に配置されている。
【0020】
本実施の形態におけるレバースイッチ装置1は、モーメンタリ型のスイッチ装置であるため、操作レバー3がスイッチポジションS〜S12のいずれかのスイッチポジションに一旦到達すると、このスイッチポジションに対応する制御モードが継続して実行される。この実行は、その後に操作レバー3が他のスイッチポジションに回動操作されると、変更又は解除される。
【0021】
(装置本体2の構成)
図1〜図3に示すように、装置本体2は、装置筐体18及び装置蓋体19を有し、ステアリングコラム(図示せず)に取り付けられている。
【0022】
図4に示すように、スイッチポジションSは、操作レバー3がその操作解除によって常時復帰する「初期」ポジションである。
【0023】
スイッチポジションS12は、第1スイッチ6〜9の使用状態から第2スイッチ11〜14の使用状態への変更に伴い、操作レバー3の回動軸として第1回動軸3aから第2回動軸3b,3bに変更する場合に、第3回動面N内においてスイッチポジションSから矢印b方向(図2に示す)への操作レバー3の回動操作によって変位する「回動軸変更」ポジションである。
【0024】
スイッチポジションSは、第3回動面N内においてスイッチポジションSから矢印b方向(図2に示す)への操作レバー3の回動操作によって変位するヘッドライトの「パッシング」ポジションである。
【0025】
スイッチポジションSは、第3回動面N内においてスイッチポジションSから矢印b方向への操作レバー3の回動操作によってスイッチポジションSを介し変位するヘッドライトの「ハイビーム」ポジションである。
【0026】
スイッチポジションSは、第1回動面L内においてスイッチポジションSから矢印a方向(図1に示す)への操作レバー3の回動操作によって変位する左レーンチェンジライトの「左レーンチェンジ」ポジションである。
【0027】
スイッチポジションSは、第1回動面L内においてスイッチポジションSから矢印a方向への操作レバー3の回動操作によってスイッチポジションSを介し変位する左ターンシグナルライトの「左ターン」ポジションである。
【0028】
スイッチポジションSは、第1回動面L内においてスイッチポジションSから矢印a(図1に示す)方向への操作レバー3の回動操作によって変位する右レーンチェンジライトの「右レーンチェンジ」ポジションである。
【0029】
スイッチポジションSは、第1回動面L内においてスイッチポジションSから矢印a方向への操作レバー3の回動操作によってスイッチポジションSを介し変位する右ターンシグナルライトの「右ターン」ポジションである。
【0030】
スイッチポジションSは、第3回動面N内においてスイッチポジションSから矢印b方向への操作レバー3の操作によってスイッチポジションS12を介し変位するワイパの「ウォッシャー」ポジションに配置である。
【0031】
スイッチポジションSは、第2回動面M内においてスイッチポジションS12から矢印a方向への操作レバー3の操作によって変位するワイパの「Lo」ポジションである。
【0032】
スイッチポジションSは、第2回動面M内においてスイッチポジションS12から矢印a方向への操作レバー3の操作によってスイッチポジションSを介し変位するワイパの「Hi」ポジションである。
【0033】
スイッチポジションS10は、第2回動面M内においてスイッチポジションS12から矢印a方向への操作レバー3の操作によって変位するリヤワイパの「Lo」ポジションである。
【0034】
スイッチポジションS11は、第2回動面M内においてスイッチポジションS12から矢印a方向への操作レバー3の操作によってスイッチポジションS10を介し変位するリヤワイパの「Hi」ポジションである。
【0035】
図5(a)〜(c)はレバースイッチ装置1の装置筐体18を示す。図5(a)〜(c)に示すように、装置筐体18は、自動車(図示せず)の上下方向に所定の間隔をもって並列する1対の第1レバー移動規制片18a,18a、及びこれら第1レバー移動規制片18a,18aを介して互いに対向する1対の第2レバー移動規制片18b,18cを有し、全体が運転席(ステアリングホイール)側に開口する略四角形箱によって形成されている。装置筐体18には、操作レバー3を挿通させる切り欠き18dが設けられている。
【0036】
第1レバー移動規制片18a,18aは、第1回動面L(図2に示す)に平行な載置面(移動規制面)180a,180aを有し、装置筐体18の底面に配置され、全体が平面略長方形状の板部材によって形成されている。そして、第1レバー移動規制片18a,18aは、第3回動面N(図2に示す)内においてレバーケース20(図2に示す)のステアリングホイール側と反対の方向への操作レバー3の移動を規制するように構成されている。レバーケース20の詳細については後述する。
【0037】
第2レバー移動規制片18b,18cは、装置筐体18の底面に配置され、全体が操作レバー3(図1に示す)から離間する方向(装置筐体18の右側から左側)に向かって上る勾配をもつ平面略台形状の板部材によって形成されている。そして、第1レバー移動規制片18bは、操作レバー3の第1回動面(図2に示す)内でスイッチポジションSから矢印a方向への移動を規制し、かつ操作レバー3の第2回動面M(図2に示す)内でスイッチポジション12から矢印a方向への回動を許容するように構成されている。一方、第2レバー移動規制片18cは、操作レバー3の第1回動面内でスイッチポジションSから矢印a方向への移動を規制し、かつ操作レバー3の第2回動面内でスイッチポジション12から矢印a方向への回動を許容するように構成されている。
【0038】
装置筐体18の底面には、第2回動軸3b,3bのうち一方の第2回動軸3bと共に節度機構を構成する節度部材21が配置されている。
【0039】
一方の第2回動軸3b(図2に示す)は、スプリングaの弾撥力を受け、第3回動面N内で回動する操作レバー3の操作方向の動作に抵抗力を付与するための抵抗力付与部材としての節度ピース(可動ピース)によって形成されている。
【0040】
図6(a)〜(c)はレバースイッチ装置1の節度部材21を示す。節度部材21のピース側端部には、スイッチポジションS(図2に示す)とスイッチポジションS12との間における操作レバー3の回動操作によって第2回動軸3bから圧接力を受ける節度面21aと、レーンチェンジスイッチ6,8及びターンシグナルスイッチ7,9の使用状態において保持する凹部21bと、ワイパスイッチ11〜13及びフォグライトスイッチ14の使用状態において第2回動軸3bを第2回動面内で回動可能に保持する凹部21cと、ウォッシャースイッチ10の使用状態において第2回動軸3bを保持する凹部21dとが設けられている。
【0041】
装置筐体18(図5に示す)の片側側面には、節度ピース22(後述)と共に節度機構を構成する節度部材23が配置されている。
【0042】
図7(a)〜(c)はレバースイッチ装置1の節度部材23を示す。節度部材23のピース側端部には、スイッチポジションSで節度ピース22を保持する凹部23aと、スイッチポジションS,S11で節度ピース22を保持する凹部23b,23cと、スイッチポジションS12とスイッチポジションSとの間及びスイッチポジションS12とスイッチポジションS11との間における操作レバー3の回動操作によって節度ピース22から圧接力を受ける節度面23d,23dと、これら節度面23d,23d間における操作レバー3の回動操作によってスイッチポジションS12で節度ピース22を保持する凹部23eと、この凹部23eと凹部23aとの間における操作レバー3の回動操作によって節度ピース22から圧接力を受ける節度面23fが設けられている。
【0043】
節度ピース22(図3に示す)は、スプリングbの弾撥力を受け、第3価移動面N内で回動する操作レバー3の操作方向の動作に抵抗力を付与するための抵抗力付与部材として機能するように構成されている。
【0044】
装置筐体18(図2に示す)の前方端面及び後方端面には、第3回動軸3c,3cと共に節度機構を構成する節度部材24,24が配置されている。
【0045】
第3回動軸3c,3cは、スプリングc,cの弾撥力を受け、第2回動面M内で回動する操作レバー3の操作方向の動作に抵抗力を付与するための抵抗力付与部材としての節度ピースによって形成されている。
【0046】
図8(a)〜(c)はレバースイッチ装置1の節度部材24を示す。節度部材24には、スイッチポジションS12とスイッチポジションSとの間及びスイッチポジションS12とスイッチポジションS11との間における操作レバー3の回動操作によって回動軸3c,3cから圧接力を受ける節度面24a,24aと、これら節度面24a,24aにおけるスイッチポジションS,S12で節度ピース22を保持する凹部24bとが設けられている。
【0047】
図9(a)〜(c)はレバースイッチ装置の装置蓋体を示す。図9(a)〜(c)に示すように、装置蓋体19は、自動車の上下方向に所定の間隔をもって並列する1対の第3レバー移動規制片19a,19aを有し、全体が自動車の前方に開口する略四角形箱によって形成されている。そして、装置筐体18の開口部を閉塞するように構成されている。
【0048】
装置蓋体19の天井面には、第2回動軸3b,3b(図2に示す)のうち他方の第2回動軸3bと共に節度機構を構成する節度部材25が配置されている。
【0049】
他方の回動軸3bは、スプリングdの弾撥力を受け、第3回動面N内で回動する操作レバー3の操作方向の動作に抵抗力を付与するための抵抗力付与部材としての節度ピース(可動ピース)によって形成されている。
【0050】
節度部材25は、節度部材21と略同一の構成であるため、各部位の符号を節度部材21の各部位の符号に対応して付し(例えば、節度部材25の節度面には節度部材21の節度面21aに対応して25aを、また節度部材25の凹部には節度部材21の凹部21b,21cに対応して25b,25cをそれぞれ付す。)、その説明は省略する。
【0051】
また、装置蓋体19の天井面には、第3レバー移動規制片19a,19aの並列方向と直交する方向に2分する領域うち操作レバー3(図2に示す)から遠い側の領域に位置する回路基板26が取り付けられている。
【0052】
回路基板26には、運転席前方に開口する凹孔26a、この凹孔26a外でスイッチポジションS〜S11に対応する固定コンタクト11a〜14a、及びスイッチポジションSに対応する固定コンタクト10aが設けられている。
【0053】
次に、レバーケース20につき、図2,図10,図11を用いて説明する。レバーケース20は、図2に示すように、ケース筐体27及びケース蓋体28からなり、装置本体2(節度部材21,25)に第2回動軸3b,3bを介して第2回動面M内で、また第3回動軸3c,3cを介して第3回動面N内でそれぞれ回動可能に配置されている。
【0054】
図10(a)〜(c)はレバーケース20のケース筐体27を示す。図10(a)〜(c)に示すように、ケース筐体27は、一方の第2回動軸3bの一部を収容する第1収容部27a、及び第3回動軸3c,3cの一部を収容する第2収容部27b,27bを有し、全体がステアリングホイール側に開口する略四角形箱によって形成されている。
【0055】
ケース筐体27には、片側側方に開口し、かつ操作レバー3を挿通させるレバー挿通孔27cが設けられている。また、ケース筐体27には、ディマ・パッシングスイッチ5の使用状態において操作レバー3の矢印b方向への回動を規制する移動規制部27d(図2に示す)が設けられている。
【0056】
ケース筐体27の底部には、第1回動軸3aを回転可能に支持する支持孔27eが設けられている。ケース筐体27の内側面には、ターンシグナルスイッチ7,8及びレーンチェンジライトスイッチ9,10の使用状態において節度ピース29(図2に示す)と共に節度機構を構成する節度部材30が配置されている。
【0057】
節度部材30のピース側端部には、スイッチポジションSとスイッチポジションSとの間及びスイッチポジションSとスイッチポジションSとの間における操作レバー3の回動操作によって節度ピース29から圧接力を受ける節度面30a,30a、及びこれら節度面30a,30a間に介在してスイッチポジションSで節度ピース29を保持する凹部30bが設けられている。
【0058】
節度ピース29は、スプリングeの弾撥力を受け、第1回動面L内で回動する操作レバー3の操作方向の動作に抵抗力を付与するための抵抗力付与部材として機能するように構成されている。
【0059】
図11(a)〜(c)はレバーケース20(図2に示す)のケース蓋体28を示す。図11(a)〜(c)に示すように、ケース蓋体28は、他方の第2回動軸3bの一部を収容する収容部28aを有し、全体がステアリングホイール側と反対の方向に開口する略四角形箱によって形成されている。そして、ケース筐体27の開口部を閉塞するように構成されている。
【0060】
ケース蓋体28の内面には、ターンシグナルスイッチ7,8の固定コンタクト7a,8a、レーンチェンジライトスイッチ9,10の固定コンタクト9a,10a、ディマ・パッシングスイッチ4,5の固定コンタクト4a,5a、及びライトスイッチ15,16の固定コンタクト15a,16aを有する回路基板31が配置されている。
【0061】
ケース蓋体28の外面には、固定コンタクト11a〜14aに対応する可動コンタクト32を保持する保持面33aを有するコンタクト保持部33が設けられている。コンタクト保持部33の保持面33aは、スイッチポジションSとスイッチポジションS12との間で操作する操作レバー3の操作回動角に対応する傾斜角をもつ傾斜面で形成されている。
【0062】
(操作レバー3の構成)
操作レバー3は、図1〜図3に示すように、第1回動軸3a及び第4回動軸3d,3d(一方のみ図示)を有し、レバーケース20に可動ブラケット35を介して第1回動軸3aの回りに第1回動面L内で、可動ブラケット35に第4回動軸3d,3dの回りに第4回動面(第3回動面Nと平行な面)内でそれぞれ回動可能に配置され、かつ装置筐体16の切り欠き18d及びケース筐体27のレバー挿通孔27cに挿通されている。
【0063】
また、操作レバー3は、第2回動軸3b,3b及び第3回動軸3c,3cを有し、装置本体2にレバーケース20を介して第2回動軸3b,3bの回りに第2回動面M内で、第3回動軸3c,3cの回りに第3回動面M内でそれぞれ回動可能に配置されている。
【0064】
操作レバー3の操作側端部には、ライトスイッチ15,16を操作可能な操作ノブ36が回動操作可能に保持されている。操作レバー3の操作側端部と反対側の端部には、その操作力をディマ・パッシングスイッチ4,5の使用状態において可動コンタクト37に自動車幅方向(矢印s,s方向)の進退力として伝達するレバー操作力伝達部材38が固定されている。
【0065】
操作ノブ36には、操作レバー3を挿通するノブ軸36aが一体に設けられている。ノブ軸36aの先端部(操作ノブ36と反対側の端部)には、操作ノブ36の操作力を可動コンタクト39に自動車上下方向(矢印t,t方向)に伝達するノブ操作力伝達部材360aが一体に設けられている。
【0066】
可動ブラケット35は、操作レバー3の先端部(レバー操作側端部とは反対側の端部)を挿入可能な空間35aを内部に有し、レバーケース20のケース筐体27に第1回動軸3aを介して回動可能に配置されている。
【0067】
可動ブラケット35には、レーンチェンジライトスイッチ6,8の固定コンタクト6a,8a及びターンシグナルスイッチ7,9の固定コンタクト7a,9aに対応する可動コンタクト40が配置されている。可動ブラケット35の上方には、ケース蓋体28の内面に回路基板31を介して対向する固定ブラケット41が配置されている。
【0068】
固定ブラケット41は、ディマ・パッシングスイッチ4,5の可動コンタクト37を矢印s,s方向に進退可能に案内する第1案内部41a、及びライトスイッチ15,16の可動コンタクト39を矢印t,t方向に進退可能に案内する第2案内部41bを有し、レバーケース20内に収容され、かつケース筐体27に固定されている。
【0069】
固定ブラケット40には、ディマ・パッシングスイッチ4,5の固定コンタクト4a,5aに対応する可動コンタクト37が配置されている。
【0070】
可動コンタクト37には、レーンチェンジライトスイッチ6,8及びターンシグナルスイッチ7,9の使用状態においてレバー操作力伝達部材38を逃がす貫通孔37aが設けられている。
【0071】
(スイッチ4〜15の構成)
図12はスイッチ4〜16の制御系を示す。図12に示すように、スイッチ4は、固定コンタクト4a及び可動コンタクト37を有する第1ディマ・パッシングスイッチからなり、制御部42を介してディマパッシング機構43に接続されている。そして、スイッチ4は、ライトスイッチ15のON動作時に操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によってヘッドライト52をハイビーム状態で点灯するように構成されている。
【0072】
スイッチ5は、固定コンタクト5a及び可動コンタクト37を有する第2ディマ・パッシングスイッチからなり、制御部42を介してディマパッシング機構43に接続されている。そして、スイッチ5は、ライトスイッチ15のON動作又はOFF動作時に操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によってヘッドライト52を一時的にハイビーム状態で点灯するように構成されている。
【0073】
スイッチ6は、固定コンタクト6a及び可動コンタクト40を有する左レーンチェンジライトスイッチからなり、制御部42を介して左レーンチェンジライト44に接続されている。そして、スイッチ6は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によって左レーンチェンジライト44を点灯するように構成されている。
【0074】
スイッチ7は、固定コンタクト7a及び可動コンタクト40を有する第1スイッチとしての左ターンシグナルライトスイッチからなり、制御部42を介して左ターンシグナルライト45に接続されている。そして、スイッチ7は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によって左ターンシグナルライト45を点灯するように構成されている。
【0075】
スイッチ8は、固定コンタクト8a及び可動コンタクト40を有する右レーンチェンジライトスイッチからなり、制御部42を介して右レーンチェンジライト46に接続されている。そして、スイッチ8は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によって右レーンチェンジシグナルライト46を点灯するように構成されている。
【0076】
スイッチ9は、固定コンタクト9a及び可動コンタクト40を有する第1スイッチとしての右ターンシグナルスイッチからなり、制御部42を介して右ターンシグナルライト47に接続されている。そして、スイッチ9は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によって右ターンシグナルライト47を点灯するように構成されている。
【0077】
スイッチ10は、固定コンタクト10a及び可動コンタクト32を有するウォッシャースイッチからなり、制御部42を介してウォッシャー機構48に接続されている。そして、スイッチ10は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によってウォッシャー機構48を駆動するように構成されている。
【0078】
スイッチ11は、固定コンタクト11a及び可動コンタクト32を有する第2スイッチとしての低速駆動用ワイパスイッチからなり、制御部42を介してワイパ駆動機構49に接続されている。そして、スイッチ11は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によってワイパ駆動機構49を低速駆動するように構成されている。
【0079】
スイッチ12は、固定コンタクト12a及び可動コンタクト32を有する第2スイッチとしての高速駆動用ワイパスイッチからなり、制御部42を介してワイパ駆動機構49に接続されている。そして、スイッチ12は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によってワイパ駆動機構49を高速駆動するように構成されている。
【0080】
スイッチ13は、固定コンタクト13a及び可動コンタクト32を有するリヤワイパスイッチからなり、制御部42を介してリヤワイパ駆動機構50に接続されている。そして、スイッチ13は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によってリヤワイパ駆動機構50を駆動するように構成されている。
【0081】
スイッチ14は、固定コンタクト14a及び可動コンタクト32を有するフォグライトスイッチからなり、制御部42を介してフォグライト51に接続されている。そして、スイッチ14は、操作レバー3のレバー操作によるスイッチON動作によってフォグライト51を点灯するように構成されている。
【0082】
スイッチ15は、固定コンタクト15a及び可動コンタクト39を有するヘッドライトスイッチからなり、制御部42を介してヘッドライト52に接続されている。そして、スイッチ15は、操作ノブ36のノブ操作によるスイッチON動作によってヘッドライト52を点灯するように構成されている。
【0083】
スイッチ16は、固定コンタクト16a及び可動コンタクト38を有するスモールライトスイッチからなり、制御部42を介してスモールライト53に接続されている。そして、スイッチ16は、操作ノブ36のノブ操作によるスイッチON動作によってスモールライト53を点灯するように構成されている。
【0084】
〔レバースイッチ装置の動作〕
次に、本発明の実施の形態に係るレバースイッチ装置の動作につき、図13(a)及び(b)を用いて説明する。図13(a)はレバースイッチ装置の第1スイッチ(ターンシグナルスイッチ)の使用状態を、また図13(b)はレバースイッチ装置の第2スイッチ(ワイパスイッチ)の使用状態を示す。
【0085】
「ターンシグナルスイッチの動作」
ターンシグナルスイッチ7,9の動作は、図13(a)に示すように節度部材21,25の凹部21b,25bに第2回動軸3b,3bを保持し、操作レバー3を矢印a,a(図1に示す)方向に第1回動面L内で回動操作することにより行われる。
【0086】
この場合、操作レバー3を矢印a方向に第1回動面L内で回動操作してスイッチポジションSに配置すると、可動コンタクト40が固定コンタクト7aに接触して導通する。これにより、左ターンシグナルスイッチ7がスイッチON状態となり、左ターンシグナルライト45が点灯する。
【0087】
一方、操作レバー3を矢印a方向に第1回動面L内で回動操作してスイッチポジションSに配置すると、可動コンタクト40が固定コンタクト9aに接触して導通する。これにより、右ターンシグナルスイッチ8がスイッチON状態となり、右ターンシグナルライト48が点灯する。
【0088】
「ワイパスイッチの動作」
ワイパスイッチ11,12の動作は、図13(b)に示すように操作レバー3(第2回動軸3b,3b)を第3回動面N(図3に示す)内で第3回動軸3c,3cの回りに回動操作して節度部材21,25の凹部21c,25cに保持した後、操作レバー3を矢印a,a方向に第2回動面M内で回動操作することにより行われる。
【0089】
この場合、操作レバー3を矢印a方向に第2回動面M内で回動操作してスイッチポジションSに配置すると、可動コンタクト32が固定コンタクト11aに接触して導通する。これにより、低速駆動用ワイパスイッチ11がスイッチON状態となり、ワイパ駆動機構49が低速で駆動する。
【0090】
一方、操作レバー3を矢印a方向に第2回動面M内で回動操作してスイッチポジションSに配置すると、可動コンタクト32が固定コンタクト12aに接触して導通する。これにより、高速駆動用ワイパスイッチ12がスイッチON状態となり、ワイパ駆動機構49が高速で駆動する。
【0091】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0092】
ターンシグナルスイッチ7,9及びワイパスイッチ11〜13等のスイッチ操作が単一の操作レバー3によって実行することができ、良好な視認性及び緊急時におけるスイッチの良好な操作性を得ることができる。
【0093】
以上、本発明のレバースイッチ装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0094】
(1)本実施の形態では、自動車の座席側から見てレバースイッチ装置1がステアリングホイールの右側に配置されている場合(右ハンドル車)について説明したが、本発明はこれに限定されず、左ハンドル車の場合にはステアリングホイールの左側にレバースイッチ装置を配置してもよい。
【0095】
(2)本実施の形態では、自動車に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の車両にも本実施の形態の場合と同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1…レバースイッチ装置、2…装置本体、3…操作レバー、3a…第1回動軸、3b…第2回動軸、3c…第3回動軸、3d…第4回動軸、4…第1ディマ・パッシングスイッチ、4a…固定コンタクト、5…第2ディマ・パッシングスイッチ、5a…固定コンタクト、6…左レーンチェンジライトスイッチ、6a…固定コンタクト、7…左ターンシグナルスイッチ、7a…固定コンタクト、8…右レーンチェンジスイッチ、8a…固定コンタクト、9…右ターンシグナルスイッチ、9a…固定コンタクト、10…ウォッシャースイッチ、10a…固定コンタクト、11…低速駆動用ワイパスイッチ、11a…固定コンタクト、12…高速駆動用ワイパスイッチ、12a…固定コンタクト、13…リヤワイパスイッチ、13a…固定コンタクト、14…フォグライトスイッチ、14a…固定コンタクト、15…ヘッドライトスイッチ、15a…固定コンタクト、16…スモールライトスイッチ、16a…固定コンタクト、18…装置筐体、18a…第1レバー移動規制片、18b…第2レバー移動規制片、18d…切り欠き、180a…載置面、20…レバーケース、21…節度部材、21a…節度面、21b〜21d…凹部、22…節度ピース、23…節度部材、23a〜23c凹部、23d…節度面、23e…凹部、24…節度部材、24a…節度面、24b…凹部、25…節度部材、25a〜25c…凹部、25d…節度面、25e…凹部、26…回路基板、26a…凹孔、27…ケース筐体、27a…第1収容部、27b…第2収容部、27c…レバー挿通孔、27d…移動規制部材、27e…支持孔、28…ケース蓋体、28a…収容部、29…節度ピース、30…節度部材、30a…節度面、30b…凹部、31…回路基板、32…可動コンタクト、33…コンタクト保持部、33a…保持面、35…可動ブラケット、35a…空間、36…操作ノブ、36a…ノブ軸、360a…ノブ操作力伝達部材、37…可動コンタクト、37a…貫通孔、38…レバー操作力伝達部材、39…可動コンタクト、41…固定ブラケット、42…制御部、43…ディマ・パッシング機構、44…左レーンチェンジライト、45…左ターンシグナルライト、46…右レーンチェンジライト、47…右ターンシグナルライト、48…ウォッシャー機構、49…ワイパ駆動機構、50…リヤワイパ駆動機構、51…フォグライト、52…ヘッドライト、53…スモールライト、a〜e…スプリング、S〜S12…スイッチポジション、L…第1回動面、M…第2回動面、N…第3回動面、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチ動作を実行する第1スイッチと、
前記複数のスイッチ動作と異なる複数のスイッチ動作を実行する第2スイッチと、
前記第1スイッチを第1回動面内での回動によって、また前記第2スイッチを第2回動面内での回動によってそれぞれスイッチ操作可能な操作レバーとを備え、
前記操作レバーは、前記第1スイッチの使用状態において前記第1回動面に直交する第1回動軸、及び前記第2スイッチの使用状態において前記第2回動面に直交する第2回動軸を有し、前記第2回動軸が前記第1回動軸を含む第3回動面内で第3回動軸を中心として回動可能に配置されている
レバースイッチ装置。
【請求項2】
前記操作レバーは、前記第2回動軸が前記第3回動面内で回動する場合に前記操作レバーの操作方向の動作に抵抗力を付与するための1対の抵抗力付与部材によって形成されている請求項1に記載のレバースイッチ装置。
【請求項3】
前記第1スイッチは、ターンシグナルライトを点灯・消灯するためのスイッチからなり、
前記第2スイッチは、ワイパを動作させるためのスイッチからなる請求項1に記載のレバースイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−233457(P2011−233457A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104943(P2010−104943)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】