説明

レプチンアンタゴニストおよびレプチン定量測定方法

本発明は、特異的抗体または融合蛋白、特に、特異的抗体Aまたはレプチン受容体(レプチン−R)もしくはレプチン結合蛋白(レプチン−BP)に向けられた融合蛋白、ならびに、これらの抗体または融合蛋白の、定量分析、治療目的、および治療薬調製での使用にも関する。更に、本発明は、本発明による特異的抗体または融合蛋白を使用することにより、可溶化もしくは懸濁化レプチン結合蛋白サンプル中のレプチンの定量方法、ならびに、この抗体または融合蛋白を含有する診断薬および(診断)キットにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特異的抗体もしくは融合蛋白、特に、レプチン受容体(レプチン−R)もしくはレプチン結合蛋白(レプチン−BP)に向かう特異的抗体Aもしくは融合蛋白、ならびに、これらの抗体もしくは融合蛋白の、定量分析、治療目的、および治療薬調製での使用に関する。更に、本発明は、本発明による特異的抗体もしくは融合蛋白を使用することによる、可溶化もしくは懸濁化レプチン結合蛋白サンプル中のレプチンの定量方法、ならびに、この抗体もしくは融合蛋白を含有する診断薬および(診断)キットに関する。
【背景技術】
【0002】
レプチン(Leptin。ギリシア語レプトス leptos=薄い に由来)は蛋白ホルモンであり、当初、肥満細胞(アジポサイト)により分離された。1994年、レプチン(Zhangら、1994年、Nature、372、425)が、肥満遺伝子(ob遺伝子)遺伝子産物として発見され、分子量およそ16kDaを有し、146アミノ酸により形成されていた。エネルギー代謝において、重要な役割を演じる(Friedmanら、1998年、Nature、395、763〜770)。エネルギー代謝に関する関連性から離れて、免疫応答細胞調節(Lordら、1998年、Nature、394、6696)もしくは造血細胞(Sierra−Honigmannら、1998年、Science、281、1683〜1686)に対する寄与が、思春期の許容的誘導機能(Quintonら、1999年、J.Clin.Endocrinol.Metab.84(7)、2336〜41)同様、この間に記述されている。レプチンは強く、糖尿および慢性心疾患(CHF)とも関連してきた(E.M.El−BindaryおよびA.Z.Darwish、Volume7、No4/5、2001年7月〜9月、697〜706参照)。
【0003】
マウス(ob/obマウス)において、レプチン遺伝子(ob/obマウス)の欠損は、ひどい体重オーバーに至る(アジポジタス、脂肪過多)。ob/obマウスへのレプチン投与が、摂食抑制および最終的に体重減少を誘導するとの事実のために、レプチンは食欲抑制剤として、何らかの重要性を持たれた。とにかく、状況は遙かにより複雑である。
【0004】
レプチンの効果は、レプチン受容体(レプチン−R)を介して媒介され(Tartagliaら、1995年、Cell、83(7)、1263〜71)、こうして、細胞内シグナルカスケードを活性化させる。レプチン受容体は、サイトカイン受容体スーパーファミリーの所謂クラスIに属する。このファミリーの多くの受容体では、これはレプチン受容体に関する場合もであるが、レプチン受容体の細胞外部分が、レプチン結合蛋白として血中を循環する。
【0005】
レプチン受容体の欠陥が、ヒトにおける体重オーバー(オーバーウェイト)の問題の原因として同定された(Clementら、1998年、Nature、392、398〜401)。逆に、神経性食欲不振(食欲消失)を患っている患者が恐らく、彼らの脂肪量の減少に関連して、レプチン濃度(レベル)を上昇させている。これゆえ、血中もしくは血清サンプル中レプチン濃度の決定は、過食疾患もしくは極端な肥満に横たわっている原因の分類に関する重要な診断ツールとなる。
【0006】
上記のように、El−BindaryおよびDarwish(2001)は強く、レプチンを糖尿病および慢性心不全(CHF)と関連付けた。El−BindaryおよびDarwish(2001)は、CHFを患っている患者において、TNF−α、レプチン濃度、およびインシュリンの相互作用を調べた。CHFは、幾つかの代謝および内分泌の機能における障害に関連した複雑な症候群を構成する。進行段階のCHFに見られる体重減少および悪液質が、これを患っている患者における予後不良を構成するとの証拠が、蓄積されている。特に、血漿レプチン濃度の上昇が、後期心不全と関連した消耗を暗示していると仮定される。加えて、慢性心不全は、高インシュリン血症状態により特徴付けられ(Swanら、Journal of the American College of Cardiology、1997、30:527〜32)、この状態では、筋と脂肪組織との両方の衝撃的な減少が見られ、これらの患者における顕在的な心悪液質に至っていく(ClelandおよびClark、European heart journal、1998、19:1421〜2参照)。最近の注目はこれゆえ、CHFにおけるサイトカイン活性に焦点が当てられている。El−BindaryおよびDarwish(2001)によれば、後期CHFにおいて、TNF−αの顕著な上昇が見られる。明らかに、循環TNF−α濃度は、CHFの進行した患者において上昇している。仮定だが、TNF−αは、CHFの進行した場合に起きる心代償不全の進行に寄与するかも知れない。この結果もまた、TNF−αと血漿レプチン濃度との間の相関を明らかにする。TNF−αは直接、脂肪細胞に作用して、脂質静的因子たるレプチンの産生を増加させるかも知れず、ここでは、血清レプチン濃度が、TNF−α制御下にあるように見える。このため、後期CHFにおいて、インシュリン濃度の顕著な上昇およびTNF−αとの相関がある。El−BindaryおよびDarwish(2001)は、該後期疾患において、血漿レプチンとインシュリン濃度との間のプラスの相関に関しての証拠も見出した。血漿レプチンの増加および関連したインシュリンの増加が、悪液質を引き起こしているもう1つ別の要因であると考えられた。血漿TNF−α、レプチン、およびインシュリン濃度の増加、ならびに、後期心不全におけるこれらの間の正の相関が、進行段階のCHFの多くの悪循環のうちの1つを構成するかも知れない。
【0007】
エネルギー代謝疾患、特に神経性食欲不振(食欲消失)のような摂食疾患がより頻繁に観察されるので、レプチンの機能を抑制、阻害、もしくはブロックさえすることがある効果的なレプチンアンタゴニストの同定が、主要な興味および経済的な意義を持たれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これゆえ、本発明の第1の課題は、レプチン−Rおよびレプチン−BPのアンタゴニストを提供することである。このようなアンタゴニストは、糖尿、悪液質、肥満、慢性心不全(CHF)等のような、過剰レプチン濃度と関連した疾患および/または症状の処置において、ならびに、このような疾患用医薬品および/または治療法開発および準備において、適切なことがある。
【0009】
適切なレプチンアンタゴニスト(上記のような)を使用して、レプチン制御メカニズムおよび特異的効果が、レプチン受容体の選択的阻害および/またはレプチン結合蛋白からのレプチン追い出しによるin vitro試験に付され得る。
【0010】
上記に鑑みて、サンプルおよび特に生理的体液−例えば血液のような−におけるレプチンの定量的算出は、治療処置への前提条件であり、重要な診断ツールである。多くの例えばホルモンもしくは他の伝達物質(リガンド)が特異的に、それらの膜受容体に結合し、その細胞外ドメイン(単数もしくは複数)が頻繁に、該液に可溶化もしくは懸濁化される。これにより、算出されるべきリガンドから構成された、例えばレプチン(リガンド)とレプチン結合蛋白との複合体が形成され、これが、該サンプル中の遊離リガンド濃度に影響する(減少させる)。この問題を避けるために標識リガンドが使用され、該サンプルに加えられる。にも関わらず、該結合蛋白はこの溶液中で該標識リガンドに結合することがあり、このために該リガンドを、該サンプル中で検出できない。これゆえ、該結合蛋白は、定量的リガンド測定および診断に干渉してしまう。
【0011】
一般的に、所謂イムノ(免疫、免役)アッセイが、レプチン濃度分析用に使用される。これは、分析物との特異的抗体の相互作用の原則に基づいている。あるいは、競合アッセイが使用され(放射イムノアッセイ、RIAのような)、ここでは、標識レプチンが、サンプル中に存在しているレプチンと、抗体上の結合部位を巡って競合し、こうして、求められるべき該分析物の濃度に反比例しているシグナルを発生させていく。しかしながら、近頃、サンドウィッチイムノアッセイが最も頻繁に使用され、ここでは、免疫された特異的抗体が分析物に結合し(<<捕捉抗体>>)、引き続いて第2の、該分析物の異なるエピトープに向けられた標識抗体が該分析物に結合し、次いで不動化される。これがシグナルを発し、これが結合した分析物量に比例する。この測定法の最もよく知られた例が<<酵素結合イムノ収着剤アッセイ>>(ELISA)であり、比色終点を有する。シグナル生成に関する他の可能性としては、放射能、化学発光、もしくは(時間解像)蛍光がある。
【0012】
上述の全てのアッセイ法は、例えばホルモンリガンド−この場合レプチン−に向けられた抗体と、分析されるべきサンプル中の該ホルモンリガンドとの間での、高度に親和性な特異的結合の原則に基づいている。
【0013】
血清もしくは血液中のレプチン測定における干渉の主な原因は、高度に親和性のレプチン結合蛋白、つまり、ヒト血清中のレプチン受容体の、可溶な細胞外部分の存在である。該測定結果へのこのレプチン結合蛋白の効果が、誤って高いかもしくは誤って低い値を招くことがあり、常に、使用されるアッセイのタイプ(競合アッセイもしくはサンドウィッチアッセイ)に依っている。該競合アッセイは一方で、標識レプチン(所謂<<トレーサー>>として)がレプチン結合蛋白により結合されることがあり、こうして、溶液から除去されていき、結果的に、誤って高い濃度を与えている。他方、レプチン結合蛋白は立体的に、血清サンプル由来のレプチン分子とのその特異的抗体の相互作用をブッロクすることもあり、こうして、競合アッセイにおいて、誤って低い濃度をもたらすこともある。対照的に、抗体とホルモンとの間の相互作用のこの立体的な閉鎖は一般的に、サンドウィッチアッセイにおける誤って低い結果を誘発するが、これは、より少ないホルモンもしくはより少ない検出抗体が結合するものだからである。この干渉により引き起こされる測定結果における誤差は、血中レプチン濃度の変化と関連したある生理的もしくは病理的条件存在下に、特に関連するようになる。
【0014】
レプチン−BPはサンプル中でレプチンに結合し、こうして該サンプル中での遊離レプチン量を減少させるので、生理的レプチン濃度の算出が定まらないことはあり得ない。このように、可溶なレプチン結合蛋白の存在により、体液レプチン濃度に関する全実験データは、レプチンとレプチン結合蛋白との間の干渉によるバイアスがかかっている。
【0015】
肥満、糖尿、および/または慢性心不全(CHF)等のような疾患に関する標準化可能な診断方法もしくは治療処置を開発するために、レプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白に結合する、選択的、特異的、および効果的な物質もしくは分子を求める必要性がある。今日まで、選択的、特異的、および効果的にレプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白に結合するのは、僅かな物質もしくは分子しか知られていない。選択性および特異性は、定量および定性算出のための前提条件である。Gonzalesら(Gonzalesら、2003、Mol Hum Reprod 9(3)、151〜8)は例えば、ポリクローナル抗体に関して報告し、これはある程度、レプチンの効果を阻害するように思える。しかしながら、このようなポリクローナル抗体は再産生され得ず、ヒト化され得ず、限られた量でしか利用できない。
【0016】
一方で、測定の不正確さを避ける代わりの解決策は、旋律性(methodic)抽出方法に関し、本来の測定方法自体の前に、例えばレプチン結合蛋白を除くために実施される。いずれにせよ、これは使用される方法に関して意図的になされた努力をほのめかしており、同時に、誤って導かれた結果に至ることがある。全く、今日まで、分析されるべきサンプル中の可溶なレプチン結合蛋白を除去する困難さに対する満足な技術的解決状態はない。
【0017】
これゆえ、本発明の第2の課題は、レプチン結合蛋白を含有しているサンプルのリガンド濃度またはそのリガンドを有しているレプチン受容体のリガンド濃度、例えばレプチンの、信頼できる結果を得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題は本発明により解決され、テスト方法、特に(体液)レプチンの算出に関するアッセイを、レプチン結合蛋白による干渉により誤るほどにより感受性ではなくすことである。このような方法は中でも、糖尿、悪液質、肥満、慢性心不全(CHF)等のような、過剰レプチン濃度と関連した疾患および/または症状の診断に、適切なことがある。
【0019】
本発明の発明者らは、分子−抗体の形である−を同定し提供することにおいて成功したが、これは本質的に、レプチン受容体(レプチン−R)へのレプチンの結合を特異的に防ぎ、レプチン結合蛋白に結合したレプチンを、このレプチン結合蛋白(レプチン−BP)から追い出す。
【0020】
これゆえ、本発明は、レプチン受容体(レプチン−R)および/またはレプチン結合蛋白(レプチン−BP)に対する抗体Aを提供し、レプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白のそのリガンド、つまりレプチンとの相互作用を基本的に抑え、好ましくは防ぐことを特徴とする。
【0021】
本発明の意味内での「レプチン結合蛋白」もしくは「結合蛋白」(両方ともレプチン−BPとされる)または「レプチン受容体」(レプチン−R)は、高親和性で(特異的に)、サンプル中の算出されるべきレプチンに結合できる全ての蛋白を含む。レプチン結合蛋白は通常可溶性であるか、もしくは、サンプル中に懸濁して存在する。レプチン結合蛋白は通常体液サンプル中、例えば血清に、レプチン受容体細胞外部分として見出される。いずれにせよ、細胞膜近くに位置していることもある。このようなレプチン結合蛋白もしくは結合蛋白またはレプチン受容体の、ヒトでの配列に関する例は、配列O95214、P48357、およびO15243(ソース:Swiss−Prot/TrEMBL)である。好ましくは、これらはヒト起源のレプチン結合蛋白もしくは結合蛋白またはレプチン受容体であるが、本発明は、他の全ての脊椎動物、特に、ラット、マウス、ブタ、ウマ、ウシのような哺乳類の、対応している蛋白も含む。このような配列の例は、O02671、Q9MYL0、P48356、Q62959、O89013、Q9JLS8(ソース:Swiss−Prot/TrEMBL)である。好ましくは、該レプチン結合蛋白は、生理的レプチン結合蛋白であり、液体、好ましくは体液中に可溶化もしくは懸濁化される。
【0022】
本発明によれば、用語「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、特にポリクローナル単一特異的抗体(つまり、異なる可変領域を有するが、全ての特異的エピトープを認識する抗体)、ならびに、キメラ抗体、(抗−)抗イディオタイプ抗体(本発明の抗体に関する)、および遺伝子操作抗体を含み、これらは全て、結合しているかもしくは可溶な形で存在し、もし適切ならば、<<マーカー>>(例えば、蛍光マーカー、金マーカー、酵素の組み合わせ)により標識されてもよい。本発明の意味での用語「抗体」は典型的に、上述した抗体の全長抗体を言う。本願の意味での「全長」(モノクローナル)抗体は、上述した本発明の抗体の、その全長の形でのいずれでもあってよい。本発明の全長抗体は典型的に、その重鎖のドメインとその軽鎖との両方を含む。本発明の抗体の重鎖は、その定常領域および可変重(V)イムノグロブリン(免疫グロブリン)ドメインのドメインC1、C2、もしくはC3を包含する。本発明の抗体の軽鎖は、可変軽イムノグロブリンドメイン(V)および定常軽イムノグロブリンドメイン(C)を包含する。抗体は、上述したドメインもしくは抗体領域を全て含有しておらず、本発明の意味では、抗体断片である。本発明による抗体断片が更に、以下に定義される。
【0023】
こうして本発明による抗体から離れて、本発明による抗体は、他の(蛋白)−構成成分を含有している融合蛋白の部分としても、提供されてよい。本発明の抗体もしくはこれの断片を含有している融合蛋白が、以下に定義される。上述した実施形態全てが、本発明の抗体Aの範囲に収まる。
【0024】
本発明による抗体は、以下のイムノグロブリンクラスの内の1つに帰属されることがある。
IgG、IgM、IgE、IgA、GILD、もし適用可能ならば、IgGもしくはこれの混合物のサブクラスのような、上述したクラスのサブクラス
IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3、もしくはIgGMのようなIgGおよびそのサブクラスが、好ましい。IgGサブタイプIgG1/kもしくはIgG2b/kが、特に好ましい。
【0025】
本発明の意味での抗体は更に、蛋白、または、脊椎動物によりもしくは人工産生方法により生産可能な他の構造であり、これらは高親和性で、抗体、つまりもう1つ別の分子、好ましくは上述したイムノグロブリンもしくはポリクローナル単一特異的抗体のもモノもしくはポリクローナル(一部)構造の決められた表面コンホメーション(エピトープ)に結合する。典型的には、このような抗体はイムノグロブリンの少なくとも可変部を含有し、場合によっては、イムノグロブリン定常ドメインの少なくとも1つのドメインをも含有する。
【0026】
本願の意味での「ポリクローナル抗体」は典型的に、抗体分子の不均一な混合物であり、適切な抗原、つまり本発明の抗体Aのリガンド、好ましくはレプチン−BPおよび/またはレプチン−Rにより免疫された動物血清から生産される。
【0027】
「モノクローナル抗体」は、基本的に均一な抗体集団を含有し、特異的に抗体に向かい、基本的には抗体はここでは、類似のエピトープ結合部位を示す。単一特異性を有する異なる抗体の変異体が、上記したイムノグロブリンクラスに属することがある。
【0028】
これらは、異なる主要なクラスもしくはサブクラスの混合物であってもよく、好ましくは、IgG抗体の均一混合物からなる。この均一性は、更なる精製ステップ(イムノ(免疫)沈降、クロマトグラフィー、例えばIgGに向かう抗体を使用して)によって達成されてもよい。
【0029】
モノクローナル抗体は、当業界において知られている方法を使用して、得られてもよい(例えば、KoehlerおよびMilstein、Nature、256、495〜397(1975);米国特許第4,376,110号明細書;Ausuebelら、HarlowおよびLane<<Antikoerper>>:Laboratory Manual、Cold Spring、Harbor Laboratory(1988);Ausubelら(eds)、1998、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York)。上述した文献は本明細書において、その全体を援用される。「モノクローナル」は特に、人工構築物産生を意味するべく意図され、ここでは、抗体産生細胞(B細胞)が、不死化ガン細胞(ハイブリドーマ)と融合され、ハイブリドーマ細胞を創出していく。特異的抗体は、全て独占的に1エピトープに向かうが、この細胞により産生される。ハイブリドーマ細胞クローンは、本発明によるモノクローナル抗体を産生するが、in vitroにおいて培養される。
【0030】
本発明による「遺伝子操作抗体」は、上述した出版物に記載の方法を使用して産生されてもよい。
【0031】
本発明による「キメラ抗体」は、異なる構成を含有する分子であり、異なる動物種に由来する(例えば、モノクローナルマウス抗体由来の可変領域およびヒトイムノグロブリンの定常領域を持っている抗体)。キメラ抗体は好ましくは一方で、免疫原性の抑制に使用され、もし投与されればもう一方で、収率増加用、例えば、ネズミモノクローナル抗体の収率を、ハイブリドーマ細胞株からの産生速度よりも速くするが、これらも、ヒトにおけるより高い免疫原性と関連している。これゆえ、ヒト/ネズミキメラ抗体が、好ましく使用される。キメラ抗体およびこれの産生方法は、当業界において知られている方法である(Cabillyら、Proc.Natl.Sci.USA 81:3273〜3277(1984);Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851〜6855(1984);Boulianneら、Nature 312、643〜646(1984);Cabillyら、EP−A−125023;Neubergerら、Nature 314:268〜270(1985);Taniguchiら、EP−A−171496;Morrionら、EP−A−173494;Neubergerら、WO86/01533;Kudoら、EP−A−184187;Sahaganら、J.Immunol.137:1066〜1074(1986);Robinsonら、WO87/02671;Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439〜3443(1987);Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214218(1987);Betterら、Science 240:1041〜1043(1998);ならびに、HarlowおよびLane、Antikoerper:A Laboratory Manual、上に引用したとおり)。これらの文献も、開示されていることに関してその全体を、本発明に援用される。
【0032】
本発明による「抗イディオタイプ抗体」とは、決定基(determinant)を認識する抗体であり、これは一般的に、本発明による抗体、例えば抗レプチン結合蛋白抗体の抗原結合部位と関連している。抗イディオタイプ抗体は、モノクローナル抗体の起源と同じ種および同じ遺伝子型の動物(例えば、あるマウスの1系統)の免疫を通して産生され得、これに対して、本発明による抗イディオタイプ抗体が標的とされる。この免疫された動物は、この免疫抗体のイディオタイプ決定基を、抗体産生を通して認識するものであり、これは該イディオタイプ決定基に向かう(つまり、本発明による抗イディオタイプ抗体に対して。米国特許第4,699,880号明細書)。本発明による抗イディオタイプ抗体は、免疫原として使用されてもよく、もう1つ別の動物において免疫応答を誘発し、そこで所謂抗−抗イディオタイプ抗体産生を誘導する。該抗−抗イディオタイプ抗体は、その抗イディオタイプ反応を引き起こしたそのエピトープのデザインに関して、その本来のモノクローナル抗体と同一であってもよいが、必ずしもというわけではない。このことは、同一の特異性の抗体を発現させる他のクローンの同定を、モノクローナル抗体のイディオタイプ決定基に向かう抗体の使用と共に、可能にする。
【0033】
例えば、BALB/cマウスのようなそれぞれの動物において、抗イディオタイプ抗体結合を誘導するために、モノクローナル抗体で、生理的リガンドの生理的結合蛋白、例えばレプチン結合蛋白に向かい、体液に可溶化もしくは懸濁化されたものが、使用され得る。このような免疫されたマウスの脾臓から採取された細胞が使用されて、抗イディオタイプハイブリドーマ細胞株を産生でき、これは、抗イディオタイプモノクローナル抗体を分泌する。更に、抗イディオタイプモノクローナル抗体は、培地(KLH、<<鍵穴リンペット(limpet)ヘモシアニン>>)にもカップリングさせてよく、引き続いて、BALB/cマウスの更なる免疫に使用されてよい。これらのマウスの血清は抗−抗イディオタイプ抗体を含有し、これは、本来のモノクローナル抗体の結合性を呈し、生理的リガンドの体液に可溶化もしくは懸濁化された生理的結合蛋白特異的である(以下の好ましい例を参照)。これゆえ、該抗イディオタイプモノクローナル抗体は、これ自体のイディオタイプエピトープ、つまり<<イディオトープ>>を持ち、試験されるべきエピトープ構造と類似の構造により特徴付けられる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の抗体は、レプチン受容体細胞外ドメイン、特にレプチン結合蛋白に向かう。より好ましい実施形態では、本発明による抗体Aは、レプチン結合蛋白上のレプチン結合部位に向かい、これにはそのリガンド(例えばレプチン)が結合する。更に、該リガンドは、好ましくはレプチンである。この文脈では、文言「レプチン結合蛋白上のレプチン結合部位に向かう抗体」とは、結合エピトープとしての該抗体が特異的に、高親和性で、該レプチン結合蛋白上の該リガンド(例えばレプチン)の該結合部位に結合することを意味する。
【0035】
更に、本発明の抗体は、2重特異性(bispecific)であってもよく、つまり、2つのパラトープ(paratope)を有する異なるエピトープ(epitope)、好ましくは同一の蛋白もしくはペプチドの2つの異なるエピトープを認識してもよい(上記参照)。結局、両方のパラトープは構造的に異なってもよいが、尚同一エピトープもしくは少なくともこれらエピトープの重複領域に結合してもよい。
【0036】
もう1つ別の実施形態によれば、本発明による抗体Aがヒト化され、ヒトレプチン受容体もしくはヒトレプチン結合蛋白に向かう。抗体のヒト化は、当業界において知られており、膨大な標準的な方法により実施され得る。これゆえ、ヒト抗体もしくはヒト化抗体は、本発明による抗体としても理解される。
【0037】
本発明による抗体の「断片」も、本発明範囲に含まれる。「本願による抗体断片」は典型的に、本願の抗体の如何なる断片をも含んでよく、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体の断片でよい。本発明の抗体断片はこれゆえ、例えば、本発明の抗体重鎖定常領域、例えば、C1、C2、もしくはC3、可変重鎖(V)イムノグロブリンドメイン、可変軽鎖イムノグロブリンドメイン(V)、もしくは定常軽鎖イムノグロブリンドメイン(C)を含んでもよい。この定常重鎖イムノグロブリンドメインは典型的にF断片であり、C3ドメインおよび/またはC2ドメインおよび/またはC1ドメインを含んでいる。該可変軽鎖イムノグロブリンドメインは好ましくはFab断片であり、Vドメインを含んでいる。抗原に相補的な1カ所もしくは2カ所の結合部位を提示している全ての短縮もしくは修飾抗体断片も範囲に含まれ、該抗体に対応している結合部位を有する抗体部分のようなものであり、軽鎖および重鎖から構成され、F、Fab、もしくはF(ab’)断片もしくは単鎖抗体断片(scF)のようなものである。F、Fab、もしくはF(ab’)のような短縮2本鎖断片が、好ましい。FabおよびF(ab’)断片は、例えばそのままの抗体には存在しているF断片を持たず、これゆえ、血液循環中をより速く運ばれることがあり、そのままの抗体よりも比較的、非特異的組織結合を示さない。この文脈では、本発明による抗体のFabおよびF(ab’)断片が、本発明の方法において、提示される本発明の意味において使用され得ることが、強調される。このような断片は典型的に、例えばパパイン(Fab断片産生に関して)もしくはペプシン(F(ab’)断片産生に関して)のような酵素を使用しながら、蛋白分解開裂により、あるいは、化学的酸化により、あるいは、抗体遺伝子の遺伝子操作により、産生される。
【0038】
更に、本発明の抗体断片は典型的に、本発明の抗体に、機能的に相同である。
【0039】
本発明の意味での「機能的に相同」とは、本発明の抗体断片、変異体等が、好ましくは特異的に、レプチン−R配列もしくはレプチン−BP配列を認識することを意味する。より好ましくは、本発明の抗体の機能的相同体が特異的に、レプチン−Rもしくはレプチン−BPのエピトープを認識する。尚より好ましくは、本発明の抗体の該機能的相同体が特異的に、レプチン−Rもしくはレプチン−BPのレプチン結合部位を認識する。本発明の抗体の機能的相同体とは、この相同体がレプチンを、レプチン−Rもしくはレプチン−BPへの結合から追い出せる(レプチン−Rもしくはレプチン−BPへの結合に置き換わり得る)ことを意味する。
【0040】
本発明の抗体の「機能的相同体」は、本発明の全長抗体と比較した場合、レプチン−Rもしくはレプチン−BPへの親和性の増加もしくは低下した抗体、および/または、レプチンを、レプチン−Rもしくはレプチン−BPへの結合から追い出せる能力の増加もしくは低下した抗体を包含するとも解される。本発明のこのような高親和性抗体は好ましくは、配列番号5によりコード化されているアミノ酸配列を含むかもしくは配列番号5によりコード化されているアミノ酸配列からなり、または、アミノ酸配列番号6を含む。調節された活性を有するこのような抗体が、異なる生物学的特性を喚起してもよい。更に、当業者は、それぞれの場合において必要に応じて、特異的親和性を有する抗体を選択してもよい。
【0041】
より好ましい実施形態において、本発明による抗体断片は、配列番号2、4、5、もしくは7から選択される核酸配列によりコード化されている蛋白配列を含むかもしくはからなる。あるいは、このような断片は、配列番号1、2、3、4、6、もしくは8から選択される蛋白配列を含むかもしくはからなる。
【0042】
特定の実施形態において、本発明による抗体Aは、抗体ZMC2である。ZMC2はモノクローナル抗体であり、ヒトレプチン結合蛋白上のヒトレプチン結合部位に向かい、本発明の枠内において、その課題解決に向けて、最適化されたものである。モノクローナル抗体ZMC2は本願出願人により、培養可能な形で寄託されており、2003年9月25日付けでエントリーされ、寄託番号DSM ACC 2618として、参照コード<<ZMC2>>と共に本寄託者により帰属され、ブダペスト条約の規定に従い、BraunschweigのDSMZ(Deutsche Sammlung fuer Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)にある。
【0043】
上述した本発明の抗体のいずれの「変異体」も、特に、本発明の抗体ZMC2の変異体も、本発明により目論まれる。抗体の変異体、特に、ZMC2の変異体は、本発明の意味において典型的に、該抗体全体のアミノ酸配列の少なくとも1、2、もしくはこれ以上のアミノ酸、好ましくは1〜5、1〜10、1〜15、もしくは1〜20のアミノ酸が、本発明の全長抗体アミノ酸配列、つまりZMC2に関して変更、つまり、欠損、置換、もしくは付加された配列を含む。本発明の抗体の変異体、特にZMC2の変異体は、好ましくは、本発明の全長非変更抗体、特にZMC2に、機能的に相同である。
【0044】
「融合蛋白」も、本発明により提供される。本発明による「融合蛋白」は典型的に、部分Iおよび部分IIを含み、ここで部分Iは、本発明による如何なる抗体もしくは抗体断片であってもよく、部分IIとしての他の(蛋白)−構成分に融合している。典型的には、このような融合蛋白の部分Iが、全長抗体を提示する。あるいは、このような融合蛋白の部分Iが、上述した本発明の抗体断片のいずれか、好ましくはVもしくはVを含んでもよい。本発明の融合蛋白の部分IIとしての(蛋白)−構成分が典型的に、本発明による抗体もしくは抗体断片のいずれか、または、如何なるペプチドもしくは蛋白をも含み、他の蛋白、例えばレプチン−Rおよび/またはレプチン−BPリガンド、好ましくはレプチンまたはレプチンの断片もしくは変異体との相互作用を形成していく。部分IIとしての構成分を使用するのが好ましく、これは特異的に、標的とされるべき細胞を、本発明の融合蛋白により認識させる。標的とされるべき細胞は典型的に、脂肪細胞、結合組織細胞、および他のレプチン結合細胞である。本発明の融合蛋白において使用されるようなレプチン断片は、好ましくは短縮レプチン分子であり、尚レプチン−Rもしくはレプチン−BPのレプチン結合部位に結合できるものである。本発明の融合蛋白において使用されるようなレプチン変異体は、好ましくは全長レプチン分子であり、1カ所以上のアミノ酸置換を含んでいるが、尚レプチン−Rもしくはレプチン−BPのレプチン結合部位に結合できるものである。これゆえ、本発明の融合蛋白は、好ましくは「2重特異的」であり、つまり、2つの標的分子に結合でき、これによって、部分Iが標的分子Iに特異的になり、部分IIが標的分子IIに特異的になる。もし本発明の融合蛋白が例えばレプチンを、該融合蛋白の部分IIとして含めば、所謂<<スーパーアンタゴニスト>>として振る舞うかも知れない。これは、レプチンがダイマーとしてそれに結合するとの事実による。引き続いて、部分Iとしての本発明の抗体(もしくはこれの断片。両者とも、アンタゴニストとして振る舞う)と、部分IIとしてのレプチン(もしくはこれの断片、もしくは高親和性レプチン分子)とからなる融合蛋白は、融合蛋白がより強い強度およびより良好な特性で、レプチン−Rもしくはレプチン−BPに結合するのを可能にし、レプチンを、このような本発明の抗体よりも遙かにより効率的に、レプチン−Rもしくはレプチン−BPへの結合から追い出すのを可能にする。
【0045】
融合蛋白の構成分として(部分IもしくはIIとして)の本発明の抗体は典型的に、酵素的開裂方法、蛋白合成、もしくは組み換え方法を使用して提供されるが、これらは生化学もしくは分子生物学者によって知らされたような方法である。
【0046】
本発明の融合蛋白は、部分Iとして本発明の抗体(もしくはこれの断片。両者とも、アンタゴニストとして振る舞う)および部分IIとして第2の抗体を含んでもよい。あるいは、本発明の融合蛋白は、部分Iとして本発明の抗体(もしくはこれの断片。両者とも、アンタゴニストとして振る舞う)および部分IIとして本発明の抗体のscFv断片を含んでもよい。このような融合蛋白が潜在的に該抗体を、特定タイプの細胞に標的化させることを可能にし、例えばこれにより、2重特異的融合蛋白を得る。好ましくは、該2重特異的融合蛋白は第1の特異性として、レプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白に向かい、部分IIによる第2の特異性として、細胞表面蛋白に向かう。ZMC2のような本発明の抗体は、CD4−Fabのような抗体に結合されてもよく、例えばCD4(もしくは、CD1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、CD25、CD44等)に向かう。例えば、特定の免疫細胞の細胞表面蛋白を認識している抗体は、本発明の融合蛋白が特異的に、免疫細胞に結合するのを可能にする。この場合、両者のFabの親和性が変えられ得、好ましい効果を得る。例えば、2重特異性抗体としての高親和性CD4−Fabがこの時、CD4細胞を標的とできる。
【0047】
本発明の融合蛋白の部分IおよびIIは任意に、リンカー配列により結合されてもよい。好ましくは、該リンカーは、約5〜40アミノ酸長、より好ましくは5〜30アミノ酸長、最も好ましくは5〜20アミノ酸長を含む。また好ましくは、該リンカーは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%の、グリシン残基を含む。
【0048】
特に好ましい実施形態において、本発明の融合蛋白は、核酸配列番号7によりコード化されている蛋白配列または蛋白配列番号8を含むかもしくはからなる。
【0049】
更に、本発明の抗体、これの断片、もしくは本発明による融合蛋白は更に、共有結合した(もしくは非共有結合)分子もしくは基を持ってもよく、例えば、蛍光マーカーもしくは他のマーカー、例えば金標識、もしくは特異的エピトープであり、これらは第3の分子により認識され得る。
【0050】
本明細書において開示される本発明の発明特定事項は、上の意味での本発明の抗体の混合物(組成物)でもあり、例えば、モノクローナル抗体の混合物、もしくは、モノクローナル抗体の抗体断片との混合物、抗イディオタイプ抗体の混合物等である。
【0051】
本発明のもう1つ別の実施形態は、好ましくは定量的に、例えば可溶化もしくは懸濁化された形の結合蛋白のリガンドを含有しているサンプル中の該リガンドを、算出する方法であり、ここでは少なくとも1種の抗体Aもしくは本発明による融合蛋白が、算出されるべき該サンプルに加えられる(ステップa)。本発明の方法(ステップa)は後に、第2のステップ(ステップb)を伴ってもよく、該サンプル中の該リガンドを算出していく。
【0052】
本発明の方法に使用されるような「抗体A」は、上に与えられたように定義される。
【0053】
本発明の方法によれば、抗体Aもしくは本発明の融合蛋白がそのリガンド、例えばレプチンの、該サンプル中濃度定量算出前もしくは途中に、好ましくは前に、該サンプルに加えられてもよく、および/または、該サンプルと共にインキュベートされてもよい。
【0054】
本発明による抗体Aは、精確に高親和性で、該リガンドが結合するレプチン結合蛋白の部位に結合するものが、特に好ましい。本発明の分子、例えば抗体Aもしくは本発明の融合蛋白の結合のために、該リガンド(レプチン)の該レプチン結合蛋白からの追い出しが起き、同時に該リガンドの結合を防ぐ。この追い出しは明らかに、加えられる抗体Aもしくは本発明の融合蛋白量の増加に依っているものである。これゆえ、該レプチン結合蛋白濃度のモル当量を越えた抗体Aもしくは主要な過剰分の本発明の融合蛋白が、本発明の方法を実施するのに、最も好ましい。
【0055】
該リガンド(例えばレプチン)は、この追い出しを通して「解放」され、引き続き、該レプチン結合蛋白の結合活性による立体的阻害なく、定量測定され得る。
【0056】
本発明の方法において使用される場合の「リガンド」は典型的に、高親和性でレプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白に結合する全化合物を含み、これらの濃度測定を特異的アッセイにおいて可能にし、全化合物が例えば、医療目的でも算出される。例えば、ホルモンのような伝達物質(messenger substances)、伝達物質(transmitters)、例えば神経伝達物質、細胞外シグナルペプチドもしくは蛋白、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン(リンパ球)等が、本発明の意味での化合物である。レプチンが、本発明の好ましいリガンドである。本発明の意味でのリガンドは、<<生理的リガンド>>であってもよい。このような「生理的リガンド」は典型的に、上記の意味合いでのリガンドであり、脊椎動物体内、特に体液に見出され、外から加えられたものではない。対応して、これは生理的レプチン結合蛋白にも適用可能であり、ここではこれは、該生理的リガンドのレプチン結合蛋白でもあり、当然、生理的条件下に見出される。
【0057】
本発明の意味合いでの「サンプル」は典型的に、テストされるべき如何なるタイプの溶液、特に、例えば、血液、リンパ、血清、尿、液のような医療関連物質の溶液としても解されるものであり、加工された形でもあり、サンプルの取り扱いのために調製される。同様に、もし本発明の方法において算出されるべきサンプルが液体、好ましくは体液、より好ましくはヒト体液、特に血液もしくはヒト血液を含有すれば、好ましい。
【0058】
「体液」は、脊椎動物、特に哺乳類、特にヒトの体から得られる各液体として解されるべきものである。ヒトの場合、これは例えば血液、尿、もしくはリンパが考えられるが、ヒト細胞からの細胞質調製品も考えられる。
【0059】
本発明の意味での用語「可溶化もしくは懸濁化された形で」は、レプチン結合蛋白もしくはそのリガンドの如何なる形の溶液としても解されるべきであり、溶液媒体におけるより広い意味合いにおけるものである。これは例えば、該レプチン結合蛋白が正に沈澱しようとしているところか、もしくは、既に沈澱している状況も、これがまだ該溶液の構成分である限り、包含する。
【0060】
本発明の方法の文脈における「定量的算出」とは、サンプルに溶解した分析物量を算出することに関して当業者に知られた如何なる方法としても、解されるべきものである。これは明確に、例えば現在通用している標準を用いるクロマトグラフ法を使用しての定量化、特に、抗体とリガンド(抗原)との間の高親和性相互作用を使用しての、例えばサンドウィッチアッセイのような、ELISAフォーマットでもある競合アッセイもしくは結合アッセイを介しての定量化も包含する。本発明特有の利点は、本明細書において開示されているようなサンプルに対して特異的アンタゴニスト抗体もしくは本発明の融合蛋白を添加していくことが、実際全て知られた、特に市販のテストキットもしくはテスト系と、それぞれの分析物(リガンド)の定量分析のために、如何なる努力もなく組み合わされ得るとの事実である。
【0061】
本発明の方法においては、好ましくは、抗体Aもしくは本発明の融合蛋白が、定量的算出前もしくは途中に、好ましくは前に加えられ、および/または、該サンプルと共にインキュベートされる。
【0062】
テストされるべきサンプルは典型的に、抗体Aもしくは本発明の融合蛋白と共にインキュベートされる。用語「インキュベート」とは、本明細書において使用される場合、反応条件として解され、ここではその反応相手、換言すれば、抗体Aもしくは本発明の融合蛋白とレプチン結合蛋白とがお互いと、反応するようにされる。典型的には、抗体Aもしくは本発明の融合蛋白が、レプチン結合蛋白およびレプチンを含有しているサンプルに対して加えられる。インキュベートは一般的に、限られた時間実施され、この場合、例えば、6、12、18、もしくは24時間である。用語「インキュベート」はまず、例えば(例えば、市販のテストキットを用いた)定量測定開始前の、6、12、18、もしくは24時間の、リガンド(レプチン)検出用に抗体Bを使用しての前段階として解されなくてはならない。
【0063】
本発明による方法のもう1つ別の好ましい実施形態においては、該レプチン結合蛋白が、該リガンドの生理的な相手である。
【0064】
本発明による方法は、該リガンドおよび/または該レプチン結合蛋白が外部から(外来で)加えられている場合、例えば、レプチンの、リガンドとしての患者もしくはテスト人物への注射もしくは他の取り込み後も、有用である。
【0065】
本発明の方法は、「結合蛋白」のいずれのリガンドをも測定するのに使用され得る。結合蛋白は、他の蛋白と相互作用している蛋白である。結合蛋白のある1例は、レプチン結合蛋白つまりレプチン受容体であり、レプチンと相互作用している。該結合蛋白は、本発明による方法において使用される場合、好ましくは可溶性であり、より好ましくは可溶な(レプチン−)受容体である。
【0066】
本発明による方法の好ましい実施形態においては、「結合蛋白」により結合された場合の該リガンドは、ペプチド化合物および/またはホルモン、好ましくはペプチドホルモン、特にレプチン、あるいは、ホルモン結合蛋白である。用語「ペプチド」とはここでは、その構成分が優先的に、ペプチド結合(R1−NH−C(O)−R2のような)により、一緒に結合されている如何なる化合物をも含むと解される。
【0067】
ホルモン結合蛋白は、もし本発明に方法におけるリガンドとして使用される場合、好ましくは親和性のホルモンを結合させる結合蛋白である(下記参照)。本明細書における「ホルモン」とは、化学的伝達物質として解されるべきであり、これはこれの合成および遊離の部位からとある距離を置いて、作用する。ホルモンは好ましくは、内分泌腺、例えば、下垂体、生殖腺、もしくは上生体により産生される。例は、成長ホルモンもしくは黄体形成ホルモン(LTH)、インシュリン、メラトニン、グルカゴン、ガストリン、アンジオテンシン、サンブスタンスP、インターロイキン、バソプレッシン、エンドルフィン、エンケファリン、リラクシン、心房ナトリウム排泄増加因子、もしくはレプチンもである。
【0068】
本発明による方法の特に好ましい実施形態において、このような方法において使用されるリガンドがヒトレプチンであり、前記レプチン結合蛋白がヒトレプチン結合蛋白である。更に、抗体Aもしくは本発明の融合蛋白は好ましくは、該レプチン結合蛋白上のレプチン結合部位に向けられる。
【0069】
更に、もし本発明の方法による結合蛋白のリガンドが定量的に算出されるのであれば、更なる抗体B、好ましくはモノクローナル抗体Bを加えるのが好ましい。このような「抗体B」、好ましくは「モノクローナル抗体B」は典型的に、抗リガンド抗体、つまり、本発明による如何なるリガンドにも向かうがレプチン−Rもしくはレプチン−BPには向かわない抗体である。もし本発明の方法における定量的算出が、競合的結合テスト、好ましくは<<ラジオ(放射)イムノアッセイ>>(RIA)を使用して実施されれば、有利である。同様に、算出されるべき該リガンド濃度に依るシグナルを読み取っていくことにより、好ましくは酵素とリンクした免疫吸着剤アッセイ(ELISA)および/または調和したサンドウィッチアッセイを使用しながら、該リガンド濃度を定量的に算出するのが、典型的には好ましい。
【0070】
本発明による方法のもう1つ別の好ましい実施形態において、算出されるべきサンプルからのレプチン結合蛋白の分離が全く、定量的算出前に影響を受けない。特に、このことは、開示される本発明に関しては、その定量分析前のサンプルからレプチン結合蛋白を抽出することは必要とされないことを意味し、リガンド濃度算出のための技術常識の方法とは対照的である。当業界においては実際、抽出の各々の形が実施され、ここでは算出されるべきリガンド−例えばホルモンのような−が該サンプル中に留まる一方、該結合蛋白が該サンプルから分離され、例えば沈澱、および/または、算出されている分子量除外限界を有する濾過、例えばアフィニティークロマトグラフィーもしくはHPLCのようなクロマトグラフ法、決定されているリガンドサイズでの透析等による。精確には、好ましくは本発明による方法を使用している間に、このステップは回避され得る。抗体Aもしくは本発明の融合蛋白の選択のために、抗体A/本発明の融合蛋白も、抗体A/本発明の融合蛋白とレプチン結合蛋白とから形成された複合体も、算出されるべきリガンドに結合できない。これゆえ、該サンプルにおいて算出はもはや、リガンド/結合蛋白相互作用により干渉も失敗もされず、該複合体レプチン結合蛋白が該サンプル中に留まるとしてもである。しかしながら、定量測定用の抗親和性抗体Bの使用は干渉せず、これは、抗体A/本発明の融合蛋白、レプチン結合蛋白、もしくは両者により形成された複合体に結合せず、このリガンド自体に独占的に結合するからである。
【0071】
この利点は特に、本発明による特に好ましい、および、好ましい方法において観察され、ここでは、抗体A/本発明の融合蛋白が添加に引き続き、抗体Aのモル濃度が該レプチン結合蛋白のモル濃度に等しいか好ましくはこれより高く、好ましくは少なくとも50%高く、より好ましくは少なくとも2倍高く、より好ましくは少なくとも3倍高く、特に少なくとも4倍、該レプチン結合蛋白濃度よりも高くなるように加えられる。
【0072】
精確には、該レプチン結合蛋白に対して過剰量の抗体A/本発明の融合蛋白のこの添加が特に好ましく、これは、充分に過剰な抗体A/本発明の融合蛋白の存在下に、全リガンドが完全に該レプチン結合蛋白から追い出され、これゆえ、測定可能になるからである。該レプチン結合蛋白は定量的に複合体化されるので、リガンド濃度に応じてこれ以上干渉することはない。
【0073】
干渉現象なく、該リガンドの定量測定を提供するために、サンプルに加えられるべき正しく充分な量の抗体Aもしくは本発明の融合蛋白が、簡単な1次的なテストによって、専門家によって算出され得る。最適な添加は、該サンプル中のレプチン結合蛋白量に依存し、結局、使用される定量テスト系もしくは算出されるべきリガンド量に依る。
【0074】
本発明の好ましい実施形態において、リガンドは、抗体Bを使用して定量的に算出され、これはそのリガンドに向かうものであり、好ましくはモノクローナル抗体Bであり、ヒト血液を含有しているサンプル中にある。この中では、該リガンドおよびレプチン結合蛋白は好ましくは、可溶化もしくは懸濁化された形で含有され、抗体A/本発明の融合蛋白は、該レプチン結合蛋白上のリガンド結合部位に向かう。好ましくは、この載せられたモノクローナル抗体ZMC2が、抗体Aとして、算出されるべき該サンプルに、レプチン結合蛋白量に比較して有意に過剰量で、該リガンドの定量的算出前もしくは途中に、好ましくはステップbの前に加えられる(定量的算出、抗体Bを加えてインキュベートしていくことによる)。
【0075】
好ましくは、本発明による方法において使用される場合のリガンドは、レプチンである。
【0076】
本発明の方法は典型的に、レプチンとの該レプチン結合蛋白の干渉を、高度に過剰量の特異的な、好ましくは、モノクローナル抗体A、もしくは、本発明の融合蛋白を、算出されるべきサンプルに加えていくことにより、妨げる。抗体Aもしくは本発明の融合蛋白は、該レプチン結合蛋白に向かうものである。本発明の方法において使用される場合の抗体Aは、好ましくは、前記モノクローナル抗体ZMC2である。これは、レプチン分子そのものと同一の結合部位において精確に、該レプチン結合蛋白分子に結合するという特に好ましいその特性のために、選択されてきた。もし過剰量の抗体Aが加えられれば、レプチン分子そのものの該レプチン結合蛋白への結合からの追い出しに至る。レプチンが「解放」され、次いで、レプチン結合蛋白による立体的ブロックを誘導することなく、レプチンに関する如何なるイムノアッセイによっても、測定されてよい。「抗レプチン結合蛋白抗体」(抗体A)これ自体もしくは本発明の融合蛋白これ自体は、レプチン(リガンド)測定に使用される「抗レプチン抗体」(抗体B)には干渉しないので、サンプルからの抗体A/本発明の融合蛋白と、レプチン結合蛋白とからなる複合体の除去は、無関係である。実際、例えば、レプチン追い出し特性を有する特別な抗レプチン結合蛋白抗体ZMC2、もしくは、本発明の融合蛋白が、分析前に該サンプルに加えられる。ZMC2と共にインキュベートした後、リガンドの算出が、それぞれの製造者のガイドラインに従って行われる。
【0077】
本発明のもう1つ別の実施形態は、少なくとも1種の本発明の抗体Aおよび/または少なくとも1種の本発明の融合蛋白を含有している医薬品もしくはワクチンに関する。好ましくは、医薬品もしくはワクチンが開示され、これは、本発明による少なくとも1種の抗体Aまたは本発明の融合蛋白、ならびに任意に、添加剤および/またはアジュバントを含有する。結局、更なる活性物質が、本発明による医薬品もしくはワクチン中に存在してもよいことになる。
【0078】
本発明による少なくとも1種の抗体Aおよび/または本発明の融合蛋白を含有している医薬品もしくはワクチンは例えば、過剰レプチン濃度処置に適している。本発明の抗体は、好ましくは完全に、全てのレプチン受容体結合部位を阻害することがある。結果として、レプチンはレプチン受容体に結合できず、および/または、レプチン結合蛋白に結合される治療用抗体A/本発明の融合蛋白により、その結合部位から追い出される。
【0079】
更なる実施形態によれば、抗体A/本発明による融合蛋白、または、少なくとも1種の本発明の抗体A/本発明の融合蛋白を含有している医薬品もしくはワクチンが、レプチンアンタゴニストとして治療用に使用されてもよく、または、ヒトレプチンの生理的効果を阻害する医薬品調製に使用されてもよい。該生理的効果は、レプチン結合受容体のレプチン結合部位へのその結合のために、抗体A/本発明による融合蛋白によりブロックされる。
【0080】
1種以上の本発明による抗体A(もし適用できれば、更なるアジュバントもしくは添加剤)および/または本発明の融合蛋白を含有している医薬品もしくはワクチンはこれゆえ、生理的ではない上昇したレプチン濃度を示している疾患、疾病、もしくは病状のいずれにおいても、治療目的で使用され得る。このことは暗に、本発明によるこのような本発明の抗体A/融合蛋白、少なくとも1種の抗体Aを含有している医薬品もしくはワクチンの、これら全ての疾病、疾患、もしくは病理の処置(もしくは、該処置用の医薬品調製)への使用も意味し、これらに関しては、過剰レプチン濃度が精神病学的であり、例えば、拒食症もしくは悪液質のようなエネルギー代謝疾患、病理学的摂食疾病である。本発明の抗体Aもしくは本発明の融合蛋白、抗体Aを含有している医薬品もしくはワクチンも、TH1により媒介される疾患の処置において使用されてよく、多発硬化、糖尿、1型糖尿病、慢性心不全(CHF)、TNFにより媒介される疾患、自己免疫結腸炎、リューマチ性関節炎、全身狼瘡エリテマトーデス、および移植時の拒絶を包含しており、天然起源の制御/抑制T細胞による増加した増殖の制御、ならびに、これらに関連した疾患、および、MAPK/ERK1−2、AKT、p−27−kip1シグナル伝達経路に関連した疾患の処置のためである。
【0081】
更に、レプチン値と自己免疫疾患の素性との相関をドキュメントする実験結果がある。
【0082】
本発明の抗体A、抗体Aもしくは本発明の融合蛋白を含有している医薬品もしくはワクチンは、レプチンの免疫効果をブロックするのに使用されてもよい。本発明の抗体A、融合蛋白、抗体Aもしくは融合蛋白を含有している医薬品もしくはワクチンはこれゆえ、免疫治療に使用されてもよい。
【0083】
本発明による少なくとも1種の抗体A、本発明の融合蛋白、それぞれの本発明の医薬品もしくはワクチンの投与により、病態生理学的に上昇した細胞外レプチン濃度の効果が、その血清濃度を低下させることなく、ブロックされ得る。これゆえ、本発明の医薬品もしくはワクチンを、神経性拒食症のような疾患の処置および異なる段階の悪液質においても使用するのが非常に有用であり、確実である。インシュリン依存性糖尿病の場合のレプチン過剰分泌が種々の後遺症の原因とされるが、本発明によるレプチンアンタゴニスト、または、少なくとも1種の抗体Aを含有している医薬品もしくはワクチンにより、処置されてもよい。
【0084】
適切な場合、過剰レプチン濃度により影響を受ける患者の治療処置は、このような医薬品もしくは活性物質と組み合わせて実施されてもよく、レプチン分泌を減少させる。
【0085】
本発明による医薬品もしくはワクチン、本発明の抗体A、もしくは本発明の融合蛋白が特に好ましく、または、自己免疫疾患同様、免疫系の望まれない活性化と関連している病状の処置用医薬品調製に供されてもよい。自己免疫疾患は例えば、多発硬化(MS)、リューマチ性関節炎、糖尿、1型糖尿病、全身狼瘡エリテマトーデス(SLE)、慢性多発関節炎、バセドー氏病、自己免疫の形の慢性肝炎、潰瘍性大腸炎、I型アレルギー疾患、II型アレルギー疾患、III型アレルギー疾患、IV型アレルギー疾患、線維筋炎、脱毛症、ベヒテレフ病、クローン病、重症筋無力症、神経皮膚炎、リューマチ性多発筋痛、進行性全身性硬化(PSS)、乾癬、ライター症候群、リューマチ性関節炎、脈管炎等から選択されてよい。
【0086】
特定の実施形態では、本発明による医薬品、本発明の抗体A、もしくは本発明の融合蛋白が使用され、もしくは、レプチンの末梢での効果をブロックするのに供されてもよい。「末梢」効果は、レプチンによる効果を、レプチン受容体をブロックすることを介して間接に阻害することにより、誘発される。対照的に、「中枢」でのレプチン阻害は、治療化合物のレプチンとの直接の相互作用による。レプチンは末梢では、例えば免疫系において作用し、一方、中枢での効果は、中枢制御器官、例えば海馬へのその結合に基づく。レプチンの海馬への結合は、体重制御効果に至る。ある免疫疾患の処置のために、レプチンのその受容体との相互作用が阻害されるようにされ、一方、体の他の部分(例えば海馬)におけるレプチン濃度が変わらず保持されるようにされ、重篤な体重減少/体重増加を避ける。
【0087】
技術常識における過剰レプチン処置は、例えば抗レプチン抗体を投与していくことにより、体内レプチン濃度を低下させる。投与時、もし抗レプチン抗体が陽性(+)であれば、患者の免疫疾患への効果が達成されることがある。しかしながら、例えば海馬における遊離レプチン濃度の減少による体重増加のような、同時の副作用が現れることがある。本発明のアンタゴニストは、技術常識における抗レプチン抗体により誘導される該副作用を避けるようにすることができる。本明細書において開示されるような、本発明による抗レプチン受容体抗体による治療は、患者のレプチン濃度を、ある組織のレプチン受容体を選択的にブロックすることにより抑制せず、他の組織のレプチン応答性を変えてしまうことがない(海馬における「中枢」効果)。例として、ZMC2のような本発明の抗体Aを使用しながら、体重への影響を持つことなく、免疫応答を防ぐことがあり、つまり、本発明の抗体A、例えばZMC2、もしくは、本発明の融合蛋白を用いる処置期間中、体重の顕著な変化がない。
【0088】
典型的に、本発明による医薬品もしくはワクチンにおいて使用されるような本発明の抗体Aもしくは本発明の融合蛋白は、凍結乾燥粉末として利用可能にされるものであり、0.5mg〜100mgの本発明の抗体A、そして更に、例えば、グリシン、マンニトール、および/またはリン酸ナトリウム1水和物のような添加剤を含有している。この凍結乾燥粉末は適切な水溶液として提供され、引き続いて、例えば皮下に、1日1回もしくは数回、投与される。
【0089】
原則として、本発明による医薬品は、液体投薬の形として投与されてもよく、特に、注射溶液の形である。適切な添加剤および/またはアジュバントは例えば、溶液もしくは稀釈液、安定化剤、懸濁を媒介するもの、緩衝剤物質、保存剤、ならびに、着色料、拡張剤、および/またはバインダーである。これらアジュバントの選択は、投与されるべき量同様、該医薬品が、非経口、血管内、静脈内、腹腔内、もしくは筋肉内に投与されるようにされるのかどうかに依る。懸濁および溶液の形の調製品は、乾燥した調製品同様、容易な再構築を可能にし、全ての非経口での適用に適している。
【0090】
本発明のもう1つ別の実施形態は、本発明による少なくとも1種の抗体もしくは融合蛋白、ならびに適切な場合、添加剤および/またはアジュバントを含有している診断薬である。「診断薬」は例えば、決定されている疾患の診断に有用なことがある調製品もしくはアジュバントとして解されるべきである。
【0091】
本発明の更なる実施形態は、本発明による少なくとも1種の抗体Aもしくは融合蛋白を含有している少なくとも1つの第1の調製品を、互いに区別できるように含有しているキットであり、抗原/抗体反応に基づいた、使用のために準備されたテストアッセイを操作させるものであり、このテストにおける抗原として働くリガンドの定量的算出のためである。
【0092】
キットは、パッケージの形の、異なる構成分の共役した形として解されるべきである。この場合、これは特に診断キットであり、リガンドの定量分析に必要とされる異なる構成分を含有する。
【0093】
第1の調製品が、抗体Aもしくは融合蛋白を含有し、これは、好ましくはヒトの、レプチン結合蛋白上の該リガンド、好ましくはレプチン、特に好ましくはヒトレプチンの結合部位に向かうものであるキットが好ましく、および/または、第1の調製品とは別に、抗原/抗体反応に基づいた、リガンドの定量的算出のための使用のために準備された操作テストアッセイ、較正のための調製品も含有する。
【0094】
特に好ましい実施形態は、本発明によるキットであり、ここでは第1の調製品が、抗体ZMC2(担持されている、上記参照)および/または較正のための該調製品および/または抗体Bを、使用のために準備された閉じられた操作テストアッセイ中に含有し、ここで該テストアッセイは、リガンドの定量的算出のための抗原/抗体反応に基づいており、ここで抗体B、好ましくはモノクローナル抗体Bが、該リガンドに向かうものである。
【0095】
好ましくは、該リガンドがレプチンであり、抗体Bが、分子量16kDaを有するレプチン主要アイソフォームに向かうものである。
【0096】
本発明の更なる実施形態は、生理的レプチン結合蛋白の生理的リガンド、好ましくはレプチンの、算出、好ましくは定量的算出のための、少なくとも1種の抗体の使用である。
【0097】
本発明の更なる発明特定事項は、本発明による抗体、つまりレプチン結合蛋白に向かう抗体を調製する方法であり、これは更にリガンドに向かうものであり、以下のステップを含んでいる。
(a)組み換え産生されたレプチン結合蛋白を用いた、動物の免疫
(b)該動物からの、免疫細胞の単離
(c)ミエローマ細胞株との、ハイブリドーマ細胞培養に対しての融合
(d)該レプチン結合蛋白への高い特異性を有するクローンの選別
該免疫は、マウス、ウサギ、ブタ、ウマ等のような、このような目的に適している全動物を用いて実施され得る。レプチン結合蛋白に向かう抗体を産生するこのようなクローンを、本発明のクローンから分離するために(例えば、特に該レプチン結合蛋白のリガンド結合部位に向かう抗体を産生するもの)、適切な培地(例えば、マイクロタイタープレートのウェル、ポリスチロールのビーズ、プラスチックのチューブ)が各々、1種の(選別されていない)抗レプチン捕捉抗体で、方法のステップ(e)においてコーティングされる。もう1つ別の方法たる方法(f)では、該レプチン結合蛋白、そして引き続いてそのリガンド(レプチン)が加えられる。これにより該リガンドは好ましく標識されるべきであり(例えば、ビオチン化、標識(放射能標識、蛍光マーカー、酵素マーカー(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)等)を使用して)、あるいは、それぞれの抗リガンド抗体を使用して検出可能であるべきであり、こうして、捕捉抗体によりコーティングされた受容物(recipient)中で、該レプチン結合蛋白に結合する該リガンドの特性が試験され得る。このように、代わりの方法は例えば、放射能、化学蛍光、色測定による方法、または、酵素反応である。洗浄ステップ後、該リガンド添加後にシグナルを示さない「ウェル」もしくは「ビース」が、同定され得る。この場合、該捕捉抗体は、該リガンド結合部位をブロックする。こうして、該結合部位はもはや、該リガンド結合に使えなくなり、これは、該捕捉抗体が該リガンドに干渉するからである。
【0098】
最後に、本発明による抗体Aもしくは融合蛋白は、競合的結合アッセイを実施していくことにより、同定され得る。上記したように、コーティングプロセスがここでは必要とされるが、本方法では、各ウェル(例えば、マイクロタイタープレートの)が、特異的に該リガンド結合部位を認識しない抗レプチン結合蛋白抗体でコーティングされる。該レプチン結合蛋白添加後、潜在的に興味ある抗体もしくは融合蛋白(各々、特異的に該リガンド結合部位を認識しているという特性を有する)が、標識リガンドを有する上記各ウェルに加えられる。該リガンド結合部位に特異的な抗体の濃度が上昇するに連れ、該ウェル中の該リガンドのシグナル強度が減少する。本方法は、レプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白に向かう本発明の抗体の選別に使用されてもよい。
【0099】
ハイブリドーマ細胞を使用することに対する代案として、所謂「ファージディスプレイ」法(Morphosys or Cambridge Antibody Technologies)が、潜在的に本発明の抗体を生成させ、上記したようにこれを選別するために使用されてもよい。
【0100】
以下のセクションでは、本発明が実施例により、より詳細に記載されるが、本発明範囲をこれら実施例に限定するものではない。
【実施例】
【0101】
実施例1:
抗体Aの産生(レプチン−BPに向けて)
20匹より多いBalb/cマウスが繰り返し、一般的に知られた方法に従って組み換え産生されたレプチン−BPを用いて免疫された(Titermax(登録商標)の説明書参照)。レプチン−BPに対して高い力価が達成されたら、脾臓がこれらの動物から取り出され、KoehlerおよびMilsteinにより記載された方法に従って(”予定された特異性の抗体を分泌している融合細胞の連続培養”、Nature、1975年8月7日、256(5517)、495〜7)、ハイブリドーマ細胞が、マウスミエローマ細胞株との融合により、産生された。やはり一般的に知られた方法に従って(稀釈度を限定、該ハイブリドーマ細胞培養上清の、標識抗原を用いたスクリーニング)、これらのクローンが選択され、レプチン−BPへの高い親和性および特異性を有するモノクローナル抗体を産生した。
【0102】
選択された該クローンの大部分は、レプチン−BP分子上のレプチン結合部位外部の、このようなエピトープに向かった。該結合部位内のエピトープに向かう本発明による抗体Aを選択するためにまず、該結合部位外部でレプチン−BPに結合する多くの抗体のうちの1つが、使用された。捕捉抗体のような、レプチン−BPに対する全モノクローナル抗体(できるだけ多く)を、例えば、マイクロタイタープレート(高度に吸着性の表面を有するポリスチロールのプレート)上の、別々の各ウェルにおいて適用していくことによって、同定された(あるいは、例えば、コーティングされたポリスチロールのビーズ、コーティングされたプラスチックのチューブ等のような他の方法も、使用されてよい)。引き続き、組み換えレプチン−BPが加えられ、これはこれらコーティングの抗体に結合する−多くは未だ知られていない並びによる(このホルモンの受容体の相互作用部位内もしくは外の各エピトープに従って結合していく)。仕上げに、標識(我々の場合ビオチン化)レプチンが加えられ、これが今や、自由に接近可能な結合部位を保有するレプチン−BP分子に、独占的に結合することがある(つまり、これらコーティングの抗体が、レプチン結合に干渉しない場合)。結合した抗体の決定が、ストレプタビジン−ユーロピウムの添加により実施され、これはビオチン化レプチンに結合し、蛍光測定器で測られ得る(増強溶液添加後、蛍光を時間で解像)。あるいは、このステップも、類似の方法(放射能、酵素反応/色測定法、もしくは化学発光)を使用して、威力を発揮してもよい。
【0103】
該結合部位に向かう抗体を見付けるために、該レプチン結合に干渉しない抗レプチン−BP抗体によりコーティングされたマイクロタイタープレートが、上記方法に従って選択された。レプチン−BPの添加が、レプチン−BP分子の整った結合を惹起し、つまり、自由に接近できるレプチン結合部位を与える。引き続き、ビオチン化レプチン、同時に、他の全ての抗レプチン−BPモノクローナル抗体(もう1度、該マイクロタイタープレートのウェル中の各抗体)が加えられた。もし抗体がこの時該結合部位に向かえば、濃度依存的に、ビオチン化レプチン結合をブロックする筈である。これは、その信号強度の減少により、検出可能である(我々の場合の検出方法は再び、ストレプタビジン−ユーロピウム蛍光の時間解像)。確認のために、逆の実験により、レプチン−BPに向かうビオチン化抗体の、非標識レプチンを加えていくことによる追い出しが、実施された。これは、もし該ビオチン化抗体が該非標識レプチンと該受容体結合部位での結合を巡って競合すれば、つまり、もしmAbsエピトープがレプチン/レプチン受容体相互作用部位に位置していれば、あり得ることである。
【0104】
実施例2:
本発明による抗体の有効性の証明、ならびに、レプチン結合蛋白への干渉存在下での一般的な定量測定法の向上との関連
レプチン結合蛋白が、レプチン結合部位を自由に接近可能にするように、マイクロタイタープレート上で不動化された。これは、レプチン結合蛋白に向けられた他の抗体を使用して実施され、これらは、このホルモンの受容体の相互作用部位内ではなく外において結合する。引き続き、標識(ビオチン化)レプチンが加えられた。次いで、本発明の抗体ZMC2の濃度が上昇していく緩衝溶液が、インキュベート溶液に加えられる。インキュベート時間2時間後、不動化レプチン結合蛋白に結合した標識レプチン量が、ビオチンに特異的に結合する蛍光色素の添加により測定された。ZMC2濃度を上昇させていくと、ビオチン化レプチン結合が減り、こうして、ZMC2の追い出し効果を与えた。
【0105】
更に、レプチン受容体の機能面でのブロックが、細胞培養アッセイにおいて、ZMC2を使用して証明された。このために、HEK293細胞が一過的に、ヒトレプチン受容体およびSTAT3−ルシフェラーゼ−レポーターを用いてトランスフェクションされた。この構築体は、レプチンにより引き起こされた細胞内シグナルカスケードの活性化の、視覚化もしくは測定を可能にする。
【0106】
図1に示されるように、レプチンの該細胞培養への添加は、該ルシフェラーゼ活性の7〜8倍の上昇を惹起する(レプチンを全く含有していないコントロールと比較)。本発明の抗体ZMC2を調製品に加えていくと(5μg/mL)、コントロールの抗体(無関係な特異性を有する抗体、この場合、KLHに対する)とは対照的に、この活性化を妨げる。
【0107】
実施例3:
ZMC2抗体の、ヒトレプチン−Rへの、ELISA上での結合
ZMC2抗体の、ヒトレプチン−Rへの結合を検出していくために、ELISAプレートが、組み換えヒトレプチン−R(200ng/ウェル)でコーティングされ、異なる濃度のZMC2抗体(1000、333、111、37、12.3、4.1、1.3、0.45、0.15、0.05、0.016、0.005、0.0018、0.0006ng/mL)が加えられた。ZMC2抗体の、レプチン−Rへの結合が引き続き、ビオチン化2次抗体を使用して検出され、次いで、SAV−HRPおよびシグナル(結果的に得られた色のOD)が、450nmにおいて測定された。結果として、ZMC2抗体が、ヒトレプチン−Rに用量依存的に結合し、対応しているバーによるプロット(柱状グラフ)から得られるとおりである(図6参照)。
【0108】
実施例4:
ZMC2抗体の、ヒトレプチン−Rへの結合特異性
ZMC2抗体の、ヒトレプチン−Rへの、(過剰)レプチン存在下での競合結合実験用に、ELISAプレートが、組み換えヒトレプチン−R(200ng/ウェル)でコーティングされた。異なる濃度のレプチン(10000、1000、100、10、1、0.1ng/mL)がウェルに、ZMC2抗体存在下もしくは非存在下に、加えられた。ZMC2がもし加えられる場合、濃度10ng/mLで存在させた。ZMC2抗体の結合が次いで引き続き、ビオチン化2次抗体を使用して検出され、次いで、SAV−HRPおよびシグナル(結果的に得られた色のOD)が、450nmにおいて測定された。図7から得られるように、大過剰のレプチンのみが、ZMC2抗体の、ヒトレプチン−Rへの結合を追い出し得る。従って、ZMC2抗体の、レプチン−Rへの結合は、高度に特異的である。
【0109】
実施例5:
ルシフェラーゼ活性の、レプチン刺激に対する応答における、用量応答
ルシフェラーゼ活性の、レプチン刺激に対する応答における、用量応答を検出するために、HEK293細胞が一過的に、レプチンRbとSTAT3−ルシフェラーゼ−レポーターとの構築体を用いてトランスフェクションされ、種々の用量のレプチンを用いて2時間刺激された。2時間後、培地が、レプチンを全く含有していない新鮮培地により置き換えられ、培養が更に4時間接種され、その後、細胞が溶かし出された。引き続き、ルシフェラーゼ活性が測定され、β−ガラクトシダーゼに関して較正され、トランスフェクションのコントロールとして使用された。結果が、図8に示される。示された値は、非刺激細胞を何倍上回る誘導かを表現する。該誘導は用量依存的であり、約50〜1000ng/mLのレプチンにおいて、最大に到達する。
【0110】
実施例6:
ZMC2抗体の、レプチンシグナル伝達への阻害効果に関する用量応答
ZMC2抗体の、レプチンシグナル伝達への阻害効果に関する用量応答を得るために、HEK293細胞が一過的に、レプチンRbとSTAT3−ルシフェラーゼ−レポーターとの構築体を用いてトランスフェクションされ、レプチン(5ng/mL)を用いて2時間刺激された。異なる用量のZMC2抗体(10、5、1、0.5、および0.1μg/mL、レプチンが含有される場合)が培養に加えられ、30分後、レプチン(0ng/mL、ZMC2が全く含有されない場合、12.5ng/mL、ZMC2が含有される場合)が培養に加えられた。ルシフェラーゼ活性が引き続き測定され、β−ガラクトシダーゼに関して較正された。結果が図9に、バーによるプロットとして示され、非刺激細胞を何倍上回る誘導かとして表現されている。結果として、ZMC2抗体は用量応答性で、レプチンシグナル伝達への阻害効果を実証した。
【0111】
実施例7:
ZMC2抗体の、マウスレプチン−Rへの結合
ELISAプレートが、組み換えマウスレプチン−R(200ng/ウェル)でコーティングされ、異なる濃度のZMC2抗体、レプチン、成長ホルモン、もしくはこれらの組み合わせ(ng/mL)が、加えられた。ZMC2抗体の結合が、ビオチン化2次抗体を使用して検出され、次いで、SAV−HRPおよび結果的に得られた色のODが、450nmにおいて測定された。結果が図10に、バーによるプロットとして示される。該プロットから得られるように、ZMC2抗体は、マウスレプチン−Rに用量依存的に結合し、この結合は、高用量においてのみ、レプチンにより追い出され得る。
【0112】
実施例8:
TNF−α産生の、レプチン活性化ヒト単球における、ZMC2によるブロック
この実験用に、TNF−α産生が、レプチン活性化ヒト単球により誘導された。TNF−α産生誘導後、ZMC2(10および5ng/mL)が、レプチン存在下(250ng/mL)もしくは非存在下に、該単球に加えられた。結果が、図11に示される。図11において分かるように、ZMC2は、レプチン活性化ヒト単球によるTNF−α産生をブロックできる。Y軸は、TNF−αを発現している単球%を示す(%++(CD−14+およびTNF−α+)単球)。
【0113】
実施例9:
ヒトPBLの、自家ヒト血清中での、okt3による刺激(抗CD3実験)
ヒトPBLの、自家ヒト血清中での、okt3(最適用量100ng/mL)による刺激を測定するために、細胞が、ZMC2ab存在下に(0、0.1、1、および10μg/mL)、外来レプチン存在下(100ng/mL)もしくは非存在下に、接種された。細胞が60分後に採取され、最大限のDNA合成を行わせた。その増殖が測定され(cpm)、図12Aにおいて見ることができる。PBLの増殖を増加させるZMC2の効果が少しあり、これはレプチンにより抑制される。増殖のこの増加は、レプチンにより反転され得、これは以降の実験において見られるとおりである。ZMC2はこうして、アンタゴニストとして作用する。更に、レプチン存在下でのヒトでの抗CD3刺激に対する応答は、PBL中での内因性/記憶細胞の相対割合に依存していると考えられ、より多くの内因性細胞が存在していれば、レプチンに対する応答における増殖の増加分がより大きくなると考えられ、あるいは、より多くの記憶細胞が存在していれば、レプチンにより誘導される増殖の阻害分がより大きくなると考えられる(IFN−g分泌が、記憶細胞増殖抑制にも関わらず増加しているが)。
【0114】
図12B、C、およびDにおいて、okt3(最適用量100ng/mL)による、ヒトPBLの、自家ヒト血清中での、異なる用量のレプチン(10および100ng/mL)を用いた刺激、ならびに、より多くの点でのZMC2mAbの用量応答(0.0001、0.001、0.01、0.1、1、10、100μg/mL)が、示される。分かるとおり、曲線には2相あり、ZMC2を用いた処置後の増殖の増加への僅かな傾向を有しており(図12B)、再びレプチンにより抑制されている。ドナー2と共に、実験が同様に実施され、つまり、R&Dシステムズからのアゴニスト性抗レプチン受容体ab(抗ObR2、図12C)およびR&Dシステムズからのもう1つ別の抗ヒトレプチン処理(抗ObR2、図12D)であった。抗ObR2がZMC2と同様に、増殖を増加させ、抗レプチンが低用量において、該増殖を増加させ、レプチンにより反転される。ここで、内因性/記憶細胞の混合集団への効果が研究され、ここではレプチンが、記憶細胞増殖を制御している血清中に存在している。ブロック性abZMC2の添加が僅かに増殖を増加させ、レプチン添加時に反転され得る。このように、ZMC2はアンタゴニスト抗体として作用しており、一方、抗ObR2はアゴニスト抗体として作用する。
【0115】
実施例10:
延長増殖実験
ZMC2の効果をより良く定めるために、増殖実験がより長期間に亘り実施され、細胞が細胞周期のより後の相にある場合、増殖の増加分がより見えるようになるかどうかを見た。これゆえ、増殖は4日(96時間)に測定され、驚くべきことに、ZMC2abが尚、増殖を刺激し、ここでは−混合T細胞集団における全体での応答を見ると−レプチンの添加が増殖を抑制して以来、ZMC2がアンタゴニストとして作用するようになった(図13参照)。ZMC2の特異性が更に、レプチンの添加が増殖を抑制するとの事実により、測定され得る。
【0116】
実施例11:
ob/obおよびob/+マウスでの食物取り込み実験:3群のマウス
ob/obおよびob/+マウスでの食物取り込み実験用に、全ての雌が採用された。ob/obの場合、マウスが体重維持のために、つまり、よくありがちなように、体重を減らさないだけでなく、体重を増加させるためにも、低用量レプチンを用いて処理された。通常、体重の1グラムが2日毎に、典型的にこれらマウスに餌付けされる。本実験における処理は、100μg/日ip+Recレプチン0.5μg/グラム体重、5日間であった。図14Aにおいて分かるように、体重変化の%曲線は、レプチン単独を用いた処置の間は平坦であり、該処理が有効であったことを指し示している。abにより妨げられている代わりに、体重が僅かに、体重に変化がないのではなく、増加した。比較実験では、異種接合体マウス(図14B参照)が使用されたが、これは、正常マウスよりも低いレプチンを示すからである。該異種接合体マウスが、同用量のab単独を用いて、平行して処理された。非処理マウスは、体重をずっと増加させる傾向を示した(ob/obマウスに関してよりも、強くなかった)。ab処理マウスは体重に関しては同様であったが、やめた後、体重がコントロールよりも増加した。
【0117】
正常マウス(B6)からの脾臓細胞の増殖
正常マウス(B6)からの脾臓細胞の増殖が、抗CD3を用いて、マウス(2C11と呼ばれる)用量応答(0.0001、0.001、0.01、0.1、1、10、100μg/mL)に関して、FCS2%存在下に刺激された。図14Cにおいて見られるように、明確な阻害が、10〜100μg/mLにおいて得られる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】実施例2における試験結果を示す。該結果は、本発明の抗体の添加が、レプチンがレプチン受容体を介して媒介する影響を消失させるかもしくは無効にすることがあることを証明する。
【図2】図2Aは、ZMC2/Fab軽鎖(訂正されている)蛋白配列を示す。図2Bは、pComb3/ZMC2,Fabベクター(vector、軽鎖)のオープン・リーディング・フレームのヌクレオチド配列、ならびに、それがコード化しているZMC2/Fab軽鎖の蛋白配列への翻訳を描く(図2Aも参照)。開始および終始(Stop)コドンが太字で指し示され、制限部位に下線が引かれ、プライマー(primer)配列に2重下線が引かれている。pComb3/ZMC2,Fabベクター配列が、イタリック文字(斜字体)で指し示されている。
【図3】図3Aは、ZMC2/Fab重鎖−His蛋白配列を描く。図3Bは、pComb3/ZMC2,Fab−Hisベクター(vector、重鎖)のオープン・リーディング・フレームのヌクレオチド配列、ならびに、それがコード化しているZMC2/Fab重鎖−His重鎖の蛋白配列への翻訳を示す(図3A参照)。開始および終始(Stop)コドンが太字で指し示され、制限部位に下線が引かれ、プライマー(primer)配列に2重下線が引かれている。pComb3/ZMC2,Fabベクター配列が、イタリック文字(斜字体)で指し示されている。Hisタグ(tag)が、点線(..........)により指し示される。
【図4】図4Aは、高親和性クローンZMC2ScFv(1C3)ヌクレオチド配列を開示する。そのV配列が、太字で指し示される。そのV配列が、2重下線を施されている。その間のリンカーが、通常の文字で指し示される。ベクター配列が、イタリック体で指し示される。そのE−タグが、点線により指し示される。制限部位(SfiIおよびNotI)が、下線を施され、プライマー配列が、2重下線を施されている。図4Bは、図4Aに示されるような高親和性クローンZMC2ScFv(1C3)ヌクレオチド配列によりコード化される、翻訳蛋白配列を示す。Vから該E−タグ末端までの配列が、開示される。
【図5】図5Aは、ZMC2重鎖−レプチン構築体のヌクレオチド配列を描く。1203塩基対(bp)のヌクレオチド配列が開示され、ここで、開始および終始コドンが太字で指し示され、制限部位に下線が施されている。ZMC2重鎖が、点線(..........)により指し示され、その(GS)リンカーが、2重下線を施されている。レプチン配列が、鎖線(_ _ _ _ _)で指し示され、ベクターが、イタリック体で指し示される。Hisタグが、1点鎖線(_ . _ . _ . _ . _)により指し示される。図5Bは、ZMC2重鎖−レプチン構築体の、翻訳蛋白配列を示す(図5A参照)。ZMC2重鎖が、点線(..........)により指し示され、その(GS)リンカーが、2重下線を施されている。レプチン配列が、1重線で指し示され、ベクターが、イタリック体で指し示される。そのhisタグが、1点鎖線(_ . _ . _ . _ . _)により指し示される。
【図6】ZMC2抗体の、ヒトレプチン−Rへの、ELISA上での結合を例示する。図6は明確に、ZMC2抗体が、ヒトレプチン−Rに、用量依存的に結合することを示す(実施例3参照)。
【図7】バーによるプロットを示し、ZMC2抗体の、ヒトレプチン−Rへの、(過剰)レプチン存在下での競合結合実験結果を指し示している。x軸上では、異なる濃度のレプチン(ng/mL)が指し示され(10000、1000、100、10、1、および0.1ng/mL)、ZMC2は濃度10ng/mLである。y軸が、450nm(OD450nm)での吸光を示す。分かるように、ZMC2の、ヒトレプチン−Rへの結合が明らかに、非常に強い。大過剰なレプチンのみが、ZMC2抗体の、ヒトレプチン−Rへの結合を追い出し得る(実施例4参照)。
【図8】HEK293細胞におけるレプチン刺激に対する応答におけるルシフェラーゼ活性の用量応答の、バーによるプロットを示す。これゆえ、HEK293細胞は一過的に、Ob−RbおよびSTAT3−ルシフェラーゼ・レポーター構築体によりトランスフェクションされ、種々の用量のレプチンにより2時間刺激された。次いで、ルシフェラーゼ活性が測定され、β−ガラクトシダーゼに関して較正された。x軸上では、異なる濃度のレプチン(ng/mL)が指し示される(1、5、10、20、50、100、250、1000ng/mL)。y軸が、非刺激細胞に対する、何倍かの誘導の程度を示す。図8から得られるように、レプチンを用いたHEK293細胞誘導が最大水準に到達し、これにより、殆ど更なる刺激は観察されない(実施例5参照)。
【図9】バーによるプロットにより、ZMC2抗体の、レプチンシグナル伝達における阻害効果に関する用量応答を例示する。HEK293細胞は一過的に、レプチン−RおよびSTAT3−ルシフェラーゼ・レポーター構築体によりトランスフェクションされ、レプチン(5ng/mL)により2時間刺激された。x軸上では、異なる用量のZMC2抗体(μg/mL、x軸参照)が培養に加えられ、ルシフェラーゼ活性が測定され、β−ガラクトシダーゼに関して較正された。その結果が、非刺激細胞を上回る、何倍かの誘導として表現される。x軸上では、異なる濃度のレプチン(ng/mL)(0、12.5、および100ng/mL)およびZMC2(10、5、1、0.5、および0.1ng/mL)が指し示される。図9から得られるように、ZMC2抗体が、レプチンシグナル伝達への用量応答性阻害効果を実証した(実施例6参照)。
【図10】ZMC2抗体の、マウスレプチン−Rへの結合の、バーによるプロットを示す。ZMC2抗体の結合は、SAV−HRPに伴われるビオチン化2次抗体を使用して検出された。結果的に得られた色のODが、450nmにおいて測定された。x軸上では、異なる濃度のレプチン(ng/mL)およびZMC2(ng/mL)が指し示される。図10において分かるかも知れないが、ZMC2抗体が、マウスレプチン−Rに用量依存的に結合し、その結合は、高濃度でのレプチンのみにより、追い出され得る(実施例7参照)。
【図11】バーによるプロットにより、レプチンにより活性化されたヒト単球におけるTNF−α産生の、ZMC2抗体によるブロックを例示する。ヒト単球が、PBS、レプチン(250ng/mL)、ZMC2(10ng/mL)+レプチン、およびZMC2(5ng/mL)+レプチン存在下に、培養された。Y軸が、TNF−αを発現している単球%を示す(実施例8参照)。
【図12】図12Aは増殖アッセイを描き、okt3(最適用量100ng/mL)による、ヒトPBLの、自家ヒト血清における、異なる濃度のZMC2ab存在下での刺激を示している。図12Aにおいて、外来レプチン(100ng/mL)存在下もしくは非存在下でのZMC2が示される(0.01から、0.1、1、および10μg/mL)。図12Aにおいて分かるかも知れないが、ZMC2がPBL増殖を増加させ、レプチンにより抑制される少しの効果がある(実施例9参照)。図12Bは、okt3(最適用量100ng/mL)による、ヒトPBLの、自家ヒト血清における、異なる用量のレプチンを用いた刺激を示し、ZMC2mAb用量応答に関するより多くの点が示される(0、0.005、0.05、0.5、5、50μg/mL)。図12B中の曲線は2相あり、ZMC2を用いた処理後、増殖の増加への僅かな傾向があり、再び、レプチンにより抑制されている(実施例9参照)。図12C〜Dは、ドナーと共に実施された比較実験を示し(図12AおよびBに関して示されたのと同じアッセイで)、R&Dシステムズからのアゴニストの抗レプチン受容体abと、R&Dシステムズからのもう1つ別の抗ヒトレプチン処理とを用いた。該アゴニストの抗ObR2抗体は、アンタゴニストのZMC2と同様に増殖を増加させ、低用量での該抗レプチンが、該増殖を増加させた。該増殖が次いでレプチンにより、ZMC2を使用している場合反転され、一方、抗ObR2を用いて、尚刺激される。内因性/記憶細胞混合集団において、血清中に存在するレプチンを用いて、記憶細胞増殖を制御しつつ、ブロッカーabZMC2の添加がこうして僅かに、次いで反転され得る増殖を増加させる。こうして、ZMC2が、アンタゴニスト抗体として作用している(実施例9参照)。
【図13】図12において開示されたものと同様な増殖アッセイからの結果のプロットを示すが、より長い時間期間に延長された(増殖4日(96時間))。図13は、okt3(最適用量100ng/mL)による、ヒトPBLの、自家ヒト血清における、異なる用量のレプチンを用いた刺激を示し、ZMC2mAb用量応答に関するより多くの点が示される(0、0.005、0.05、0.5、5、50μg/mL)。ZMC2抗体が増殖を刺激し、次いで明確に、レプチン添加により反転される。こうして、ZMC2は明確に、該混合T細胞集団における応答全体に関して、レプチン−Rに対するアンタゴニストとして反応する(実施例10参照)。
【図14】図14A〜Cは、ob/obおよびob/+マウスにおける食物取り込み実験のプロットを示し(実施例11参照)、3つのマウス群が選択され、全て雌であった。これらマウスが最初に、低用量レプチンを用いて処理され、その体重を一定に保つようにした。該処理は5日間、ipにより、100μg/日+Recレプチン0.5μg/グラム体重であった。図14Aにおいて、体重変化%は、レプチン単独での処置の間は平らであり、その代わり、ZMC2により妨げられており、該体重は、体重変化がなかったこともしくは極めて少ししか減少しなかったことを考えれば、僅かに増加した。異種接合体に関しては(図14B、実施例11参照)平行して処理され、基本的に同様の結果を示す。同一用量のZMC2単独を用いると、非処置マウスが僅かに、該時間期間に亘って、体重を増加させる。比較実験において(図14C、実施例9参照)、正常マウス(B6)からの脾臓細胞の増殖が、マウス(2C11と呼ばれる)に関しての抗CD3を用いて、FCS2%存在下に、用量応答性で刺激された(0.0001、0.001、0.01、0.1、1、10、100μg/mL)。図14Cにおいて分かるように、明確な阻害が、10〜100μg/mLにおいて得られる。
【図15】ゲル電気泳動写真を表示する。該ゲル上で適用されたサンプルは、抗CD3刺激実験から、自己免疫腹臥NODマウスからのT細胞を用いて、得られた。該ゲルから得られることがあるように、ERK1/2のリン酸化が、レプチン−Rをブロックする抗体により、抑制される。
【図16】pComb3/ZMC2Fab−Hisクローンのプラスミドマップを示す。
【図17】組み換えFabZMC2精製の間のウェスタン・ブロット実験の結果を示す。該ウェスタン・ブロットから得られるように、組み換えFabZMC2が、溶液分画中に発現され、該ブロットが、Kappa軽鎖の正しいサイズの蛋白を示す。
【図18】組み換えHis−タグFabZMC2精製の間のウェスタン・ブロット実験の結果を示す。該ウェスタン・ブロットから得られるように、His−タグFabZMC2が、コバルトカラムで精製され得る。
【図19】精製FabZMC2抗体の、ポリアクリルアミドゲル Coomassie Blue染色を示す。
【図20】図20Aは、ZMC2および組み換え発現FabZMC2の、ヒトレプチンへの結合実験の、バーによるプロットを示す。y軸が、450nmでの吸光度(OD450nm)を示す。図20Bは、組み換えFabZMC2の、レプチン誘導SIE活性への効果を示す。図20Aから得られるように、ZMC2に関して、組み換えFabZMC2(rFab)および化学的に調製されたFabZMC2(cFab)が、レプチンのシグナル伝達をブロックする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白に向かう抗体Aであって、リガンドとのレプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白の相互作用を実質的に抑え、好ましくは防ぐことを特徴とする、抗体A。
【請求項2】
レプチン受容体の細胞外ドメイン、特に、レプチン結合蛋白に向かうことを特徴とする、請求項1に記載の抗体A。
【請求項3】
前記リガンドの、レプチン結合蛋白上の結合部位において結合することを特徴とする、請求項1または2に記載の抗体A。
【請求項4】
前記リガンドがレプチンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体A。
【請求項5】
前記レプチン結合蛋白が、液体、好ましくは体液に可溶化もしくは懸濁化された生理的レプチン結合蛋白であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体A。
【請求項6】
モノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体A。
【請求項7】
前記抗体Aが、抗体ZMC2であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗体A。
【請求項8】
前記抗体がヒト化され、ヒトレプチン受容体もしくはヒトレプチン結合蛋白に向かうことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗体A。
【請求項9】
前記抗体が、配列番号(SEQ ID NO):1、2、3、4、6、もしくは8から選択される蛋白配列のいずれかから選択される配列を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗体A。
【請求項10】
前記抗体が、配列番号(SEQ ID NO):2、4、5、もしくは7から選択される核酸配列によりコード化される蛋白配列を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗体A。
【請求項11】
前記抗体が、レプチンの中枢作用に影響を与えることなく、レプチンの末梢作用をブロックできることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗体A。
【請求項12】
F(ab’)断片もしくは単鎖抗体(scFv)または抗体断片であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗体A断片。
【請求項13】
医薬品としての、請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗体A、または、請求項12に記載の抗体A断片。
【請求項14】
部分Iとして、請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗体、もしくは、請求項12に記載の抗体A断片を含有し、部分IIとして、抗体、抗体断片、もしくはペプチド、好ましくはレプチンを含有する、融合蛋白。
【請求項15】
前記融合蛋白が、部分Iと部分IIとの間にリンカーを含有することを特徴とする、請求項14に記載の融合蛋白。
【請求項16】
前記リンカーが、約5〜40アミノ酸、より好ましくは5〜30アミノ酸、最も好ましくは5〜20アミノ酸長を含むことを特徴とする、請求項15に記載の融合蛋白。
【請求項17】
前記リンカーが、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%のグリシン残基を含有することを特徴とする、請求項15または16に記載の融合蛋白。
【請求項18】
前記融合蛋白が2重特異的であることを特徴とする、請求項14〜17のいずれか1項に記載の融合蛋白。
【請求項19】
前記2重特異的融合蛋白が、第1の特異性としてレプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白に向かい、第2の特異性として細胞表面蛋白に向かうことを特徴とする、請求項18に記載の融合蛋白。
【請求項20】
前記融合蛋白が、核酸配列配列番号(SEQ ID NO):7によりコード化されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項14〜19のいずれか1項に記載の融合蛋白。
【請求項21】
前記融合蛋白が、アミノ酸配列配列番号(SEQ ID NO):8を含むことを特徴とする、請求項14〜19のいずれか1項に記載の融合蛋白。
【請求項22】
リガンドならびにレプチン受容体および/またはレプチン結合蛋白を、可溶化もしくは懸濁化された形態で含有しているサンプル中の、結合蛋白/受容体の該リガンドの定量的算出方法であって、請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体A、請求項12に記載の抗体A断片、および/または、請求項14〜21のいずれか1項に記載の融合蛋白が、算出されるべき該サンプルに加えられることを特徴とする、方法。
【請求項23】
少なくとも1種の抗体Aが、前記定量的算出前もしくは途中に、好ましくは前に加えられ、および/または、該サンプルと共にインキュベートされることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記サンプルが、液体、好ましくは体液、より好ましくはヒト体液、例えば血液を含有することを特徴とする、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
結合蛋白/受容体の前記リガンドが、レプチン結合蛋白および/またはレプチン受容体のリガンドであることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記レプチン結合蛋白が可溶性であり、好ましくは前記レプチン受容体および/またはホルモン結合蛋白の可溶性部分であり、特に可溶性ホルモン結合蛋白であることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記リガンドの定量的算出が、抗原としての該リガンドの、抗体B、好ましくはモノクローナル抗体Bへの結合を使用して実施されることを特徴とする、請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記定量的算出が、競合結合試験、好ましくはラジオイムノアッセイ(RIA)を使用して実施されることを特徴とする、請求項22〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記定量的算出が、算出されるべきリガンドの濃度の関数として増加していく読み取り用パラメーターの測定により、好ましくは酵素とリンクした免疫吸着剤アッセイ(ELISA)および/またはサンドウィッチアッセイを使用して実施されることを特徴とする、請求項22〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記レプチン結合蛋白が、定量的算出前に、算出されるべきサンプルから分離されないことを特徴とする、請求項22〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1種の抗体Aが前記サンプル中に、前記レプチン結合蛋白よりも高濃度、好ましくは少なくとも50%より高い濃度、より好ましくは少なくとも100%の濃度、更により好ましくは少なくとも200%より高い濃度、最も好ましくは少なくとも400%より高い濃度で存在するよう、少なくとも1種の抗体Aが加えられることを特徴とする、請求項22〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記リガンドがレプチンであることを特徴とする、請求項22〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体A、請求項12に記載の抗体断片、もしくは、請求項14〜21のいずれか1項に記載の融合蛋白、適切な場合更に、活性物質、ならびに更に、添加剤および/またはアジュバントを含有する、医薬品。
【請求項34】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体A、請求項12に記載の抗体断片、もしくは、請求項14〜21のいずれか1項に記載の融合蛋白、ならびに適切な場合、アジュバントを含有する、診断薬。
【請求項35】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体A、請求項12に記載の抗体断片、もしくは、請求項14〜21のいずれか1項に記載の融合蛋白、ならびに、抗原/抗体反応に基づいた、リガンドの定量的算出のための使用のために準備された1つの操作テストアッセイを、互いに区別できるように含有する、キット。
【請求項36】
第1の調製品が、抗体ZMC2および/または較正のための調製品および/または抗体Bを、使用のために準備された前記操作テストアッセイ中に含有し、ここで該テストアッセイが、リガンドの定量的算出のための抗原/抗体反応に基づいており、ここで抗体Bが該リガンドに向かうことを特徴とする、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記リガンドがレプチンであり、抗体Bが、分子量16kDaを有するレプチン主要アイソフォームに向かうことを特徴とする、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
抗体Bが、モノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項35〜37のいずれか1項に記載のキット。
【請求項39】
前記モノクローナル抗体Bが、レプチンに向かうことを特徴とする、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
生理的レプチン結合蛋白も含有する生理的溶液中のリガンドの算出、好ましくは定量的算出のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体A、請求項12に記載の抗体断片、もしくは、請求項14〜21のいずれか1項に記載の融合蛋白の、使用。
【請求項41】
多発硬化(MS)、リューマチ性関節炎、糖尿、1型糖尿病、全身狼瘡エリテマトーデス(SLE)、慢性多発関節炎、バセドー氏病、自己免疫の形の慢性肝炎、潰瘍性大腸炎、I型アレルギー疾患、II型アレルギー疾患、III型アレルギー疾患、IV型アレルギー疾患、線維筋炎、脱毛症、ベヒテレフ病、クローン病、重症筋無力症、神経皮膚炎、リューマチ性多発筋痛、進行性全身性硬化(PSS)、乾癬、ライター症候群、リューマチ性関節炎、脈管炎、多発硬化、糖尿、1型糖尿病、慢性心不全(CHF)、TNFにより媒介される疾患、自己免疫結腸炎、リューマチ性関節炎、全身狼瘡エリテマトーデス、および移植時の拒絶を包含するTH1により媒介される疾患用、天然起源の制御/抑制T細胞による増加した増殖の制御用、ならびに、これらに関連した疾患、および、MAPK/ERK1−2、AKT、p−27−kip1シグナル伝達経路に関連した疾患の処置用、レプチンの免疫作用のブロック用、あるいは免疫療法用医薬品を調製するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体A、請求項12に記載の抗体断片、もしくは、請求項14〜21のいずれか1項に記載の融合蛋白の、使用。
【請求項42】
多発硬化(MS)、リューマチ性関節炎、糖尿、1型糖尿病、全身狼瘡エリテマトーデス(SLE)、慢性多発関節炎、バセドー氏病、自己免疫の形の慢性肝炎、潰瘍性大腸炎、I型アレルギー疾患、II型アレルギー疾患、III型アレルギー疾患、IV型アレルギー疾患、線維筋炎、脱毛症、ベヒテレフ病、クローン病、重症筋無力症、神経皮膚炎、リューマチ性多発筋痛、進行性全身性硬化(PSS)、乾癬、ライター症候群、リューマチ性関節炎、脈管炎、多発硬化、糖尿、1型糖尿病、慢性心不全(CHF)、TNFにより媒介される疾患、自己免疫結腸炎、リューマチ性関節炎、全身狼瘡エリテマトーデス、および移植時の拒絶を包含するTH1により媒介される疾患から選択される、過剰レプチン濃度による疾患、変化、もしくは病態生理、エネルギー代謝の変化、特に神経性食欲不振のような摂食疾患、および悪液質、ならびに、免疫系の変化、特に、免疫系の望まれない活性化および自己免疫疾患の処置用、天然起源の制御/抑制T細胞による増加した増殖の制御用、ならびに、これらに関連した疾患、および、MAPK/ERK1−2、AKT、p−27−kip1シグナル伝達経路に関連した疾患の処置用、レプチンの免疫作用のブロック用、あるいは免疫療法用医薬品を調製するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体A、請求項12に記載の抗体断片、もしくは、請求項14〜21のいずれか1項に記載の融合蛋白、または、請求項33に記載の医薬品の、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−536212(P2007−536212A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540307(P2006−540307)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013043
【国際公開番号】WO2005/049655
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504351817)ルートヴィヒ マクシミリアン ウニヴェルジテート (3)
【出願人】(500085769)ユニヴァーシティー オヴ シェフィールド (7)
【Fターム(参考)】