説明

レプチン受容体修飾因子模倣剤としての新しいピリジン誘導体

【化1】


本発明は、新しい式(I)の化合物、これらの化合物を含んでなる医薬組成物、並びにこれらの化合物の、体重増加、2型糖尿病及び脂質異常症に伴う症状に対する医薬の調製におけるレプチン受容体修飾因子模倣剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、新しいピリジン誘導体、これらの化合物を含んでなる医薬組成物並びに体重増加、2型糖尿病及び脂質異常症に伴う症状に対する医薬の調製におけるレプチン受容体修飾因子模倣剤としてのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症の有病率は、先進世界において増加している。典型的には、治療の第一線は、彼らの食事の脂肪含有率を減少し、そして彼らの身体活動性を増加することのような食事及び生活態度の助言を患者に提案することである。然しながら、ある患者は、前述の食事及び生活態度の変化を適用することから得られる有益な結果を維持するために、更に薬物療法を受ける必要がある。
【0003】
レプチンは、脂肪細胞中で合成されるホルモンであり、食物摂取及び体重を減少するために視床下部中で作用することが信じられている(例えば、Bryson,J.M.(2000)Diabetes,Obesity and Metabolism 2:83−89を参照されたい)。
【0004】
肥満体のヒトにおいて、脳脊髄液中のレプチンの循環レプチンとの比が減少していることが示されている(Koistinen et al.,(1998)Eur.J.Clin.Invest.28:894−897)。これは、脳へのレプチン運搬の能力が、肥満状態において欠損していることを示唆している。実際に、肥満症の動物モデル(NZOマウス及びKoletskyラット)において、レプチン運搬の欠損が、減少した脳のレプチン含有量をもたらすことを示している(Kastin,A.J.(1999)Peptides 20:1449−1453;Banks,W.A.et al.,(2002)Brain Res.950:130−136)。食餌誘発性肥満体の齧歯類に関係する研究において(ヒトの肥満に更に密接に似ていると信じられる齧歯類モデル、例えば、Van Heek et al.(1997)J.Clin.Invest.99:385−390を参照されたい)、末梢的に投与された過剰のレプチンが、食物摂取及び体重を減少することにおいて無効であり、一方脳に直接注射されたレプチンは、食物摂取及び体重を減少することにおいて有効であることが示されている。過剰の循環レプチンを持つ肥満体のヒトにおいて、シグナル伝達系が、レプチン受容体の連続した刺激に対して脱感作されることも更に示されている(Mantzoros,C.S.(1999)Ann.Intern.Med.130:671−680)。
【0005】
Amgenは、組換えメチオニルヒトレプチンによる臨床治験を行っている。これらの治験からの結果は、高い血漿濃度のレプチンの存在にもかかわらず雑多であり、体重の損失は変化し、そして試験された患者のコホート中の平均体重の減少は比較的小さかった(Obesity Strategic Perspective,Datamonitor,2001)。
【0006】
レプチン遺伝子コード配列の発見以来、活性な断片を見出すことに対する幾つかの試みが文献中に報告されている。一つの例は、Samson et al.(1996)Endocrinol.137:5182−5185によるものであり、これは、N−末端における活性な断片を記載している(22から56まで)。この配列は、ICVに注射された場合、食物摂取を減少することが示され、一方C−末端で採取された配列は、いずれの影響も有しないことを示した。レプチン断片は、更に国際特許出願WO97/46585中にも開示されている。
【0007】
配列のC−末端部を調査した他の報告は、116−130断片による黄体形成ホルモン産生の可能性のある刺激(Gonzalez et al.,(1999)Neuroendocrinology 70:213−220)、及びGHRH投与後のGH産生に対する影響(126−140断片)(Hanew(2003)Eur.J.Endocrin.149:407−412)を報告していた。
【0008】
レプチンは、最近炎症に伴っている。循環レプチンのレベルが、細菌感染及び炎症において上昇することが報告されている(Otero,M et al.(2005)FEBS Lett.579:295−301及びその中の参考文献を参照されたい)。レプチンは、更に炎症細胞からの前炎症性サイトカインTNF及びIL−6の放出を向上することによって炎症を増加するためにも作用することができる(Zarkesh−Esfahani,H.et al.(2001)J.Immunol.167:4593−4599)。これらの薬剤は、同様にインスリン受容体シグナル伝達の効力を減少することによる肥満症患者において普通にみられるインスリン抵抗性に寄与することができる(Lyon,C.J.et al.(2003)Endocrinol.44:2195−2200)。持続性の軽度の炎症は、肥満症に伴うと信じられている(インスリン抵抗性及びII型糖尿病の存在及び非存在において)(Browning et al.(2004)Metabolism 53:899−903,Inflammatory markers elevated in blood of obese women;Mangge et al.(2004)Exp.Clin.Endocrinol.Diabetes 112:378−382,Juvenile obesity correlates with serum inflammatory marker C−reactive protein;Maachi et al.(2004)Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.28:993−997,Systemic low grade inflammation in obese people)。レプチンは、マクロファージ及び内皮障害への脂質取込みを促進し、従って動脈硬化性プラークの形成を促進することによって、更にアテローム発生の過程にも関係している(Lyon,C.J.et al.(2003)Endocrinol.144:2195−2200を参照されたい)。
【0009】
レプチンは、更に脂肪組織の成長に関係する過程である新しい血管の形成(血管新生)を促進することが示されている(Bouloumie A,et al.(1998)Circ.Res.83:1059−1066)。血管新生は、更に糖尿病性網膜症にも関係している(Suganami,E.et al.(2004)Diabetes.53:2443−2448)。
【0010】
血管新生は、更に異常な腫瘍細胞を養う新しい血管の成長にも関係していると信じられている。上昇したレプチンレベルは、多くの癌、特にヒトの乳房、前立腺及び胃腸癌に伴う(Somasundar P.et al.(2004)J.Surg.Res.116:337−349)。
【0011】
レプチン受容体アゴニストは、更に創傷治癒を促進するための医薬の製造おいて使用することもできる(Gorden,P.and Gavrilova,O.(2003)Current Opinion in Pharmacology 3:655−659)。
【0012】
更に、脳の上昇したレプチンシグナル伝達が、鬱病性疾患の治療のための方法を与えることができることが示されている(Lu,Xin−Yun et al.(2006)PNAS 103:1593−1598)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許出願WO97/46585。
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Bryson,J.M.(2000)Diabetes,Obesity and Metabolism 2:83−89
【非特許文献2】Koistinen et al.,(1998)Eur.J.Clin.Invest.28:894−897
【非特許文献3】Kastin,A.J.(1999)Peptides 20:1449−1453
【非特許文献4】Banks,W.A.et al.,(2002)Brain Res.950:130−136
【非特許文献5】Van Heek et al.(1997)J.Clin.Invest.99:385−390
【非特許文献6】Mantzoros,C.S.(1999)Ann.Intern.Med.130:671−680
【非特許文献7】Obesity Strategic Perspective,Datamonitor,2001
【非特許文献8】Samson et al.(1996)Endocrinol.137:5182−5185
【非特許文献9】Gonzalez et al.,(1999)Neuroendocrinology 70:213−220
【非特許文献10】Hanew(2003)Eur.J.Endocrin.149:407−412
【非特許文献11】Otero,M et al.(2005)FEBS Lett.579:295−301 and references therein
【非特許文献12】Zarkesh−Esfahani,H.et al.(2001)J.Immunol.167:4593−4599
【非特許文献13】Lyon,C.J.et al.(2003)Endocrinol.44:2195−2200
【非特許文献14】Browning et al.(2004)Metabolism 53:899−903,Inflammatory markers elevated in blood of obese women
【非特許文献15】Mangge et al.(2004)Exp.Clin.Endocrinol.Diabetes 112:378−382,Juvenile obesity correlates with serum inflammatory marker C−reactive protein
【非特許文献16】Maachi et al.(2004)Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.28:993−997,Systemic low grade inflammation in obese people
【非特許文献17】Lyon,C.J.et al.(2003)Endocrinol.144:2195−2200
【非特許文献18】Bouloumie A,et al.(1998)Circ.Res.83:1059−1066
【非特許文献19】Suganami,E.et al.(2004)Diabetes.53:2443−2448
【非特許文献20】Somasundar P.et al.(2004)J.Surg.Res.116:337−349
【非特許文献21】Gorden,P.and Gavrilova,O.(2003)Current Opinion in Pharmacology 3:655−659
【非特許文献22】Lu,Xin−Yun et al.(2006)PNAS 103:1593−1598。
【発明の概要】
【0015】
式(I)の化合物が、齧歯類の体重及び食物摂取を減少することにおいて有効であることが驚くべきことに見出された。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、式Iの化合物が、レプチン受容体のシグナル伝達を調節することが提案される。
【0016】
ある態様において、レプチン受容体アゴニスト様の特性を持つ化合物は、レプチンのシグナル伝達に関連する疾患、並びに肥満症のような体重増加に伴う症状の治療のために有用であることができる。本発明人等は、低分子のCNS浸透性レプチン模倣剤が、制約された脳への取込み系をバイパスすることが可能であるものであると仮定する。更に、この状況がヒトの肥満症状を反映すると仮定した場合、本発明人等は、比較的長い作用の時間を持つCNS浸透性レプチノイド(leptinoid)が、肥満症状及びその付随する合併症、特に(制約するものではないが)糖尿病のための有効な療法となるものであると信じる。
【0017】
他の態様において、レプチン受容体アゴニスト様特性を持つ化合物は、炎症、アテローマ性動脈硬化症、糖尿病性網膜症及び腎症の治療のために有用であることができる。
第1の側面において、本開示は、以下の式(I):
【0018】
【化1】

【0019】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体又は光学異性体に関し、式中:
それぞれのRは、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシ、ハロゲン、シアノ及びCFから独立に選択され;
は、C1−6−アルキル(ヒドロキシ、ハロゲン及びシアノから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよい)又は−[C(R4A)(R4B)]−Rであり;
は、水素、C1−4−アルキル又はフルオロ−C1−4−アルキルであり;
4A及びR4Bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4−アルキル、フルオロ−C1−4−アルキル及びヒドロキシ−C1−4−アルキルからそれぞれ独立に選択され;
は、C3−8−シクロアルキル、C6−10−アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF及びC1−4−アルキルから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよく;
mは、0、1又は2であり;そして
nは、0、1、2、3又は4であり;
但し、前記化合物が:
・ビス(2−クロロエチル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル:
・ジメチルカルバミン酸(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)メチル;
・プロピルカルバミン酸(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)メチル;
・メチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・イソプロピルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(5−クロロ−2−メトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2−メトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2,6−ジメチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2,4,6−トリメチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2−メチル−5−ニトロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3−エチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2,4−ジメチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3,4,5−トリメトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・シクロヘキシル(メチル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・ピリジン−3−イルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(4−メトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2,6−ジクロロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・シクロヘキシルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・ピリジン−4−イルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(4−フルオロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(2−クロロフェニル)メチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3−ニトロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3,5−ジメトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(4−メチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3−クロロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(4−クロロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・フェニルカルバミン酸(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)メチル;
・フェニルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・フェニルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;及び
・(3,4−ジメトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
からは選択されないことを条件とする。
【0020】
好ましい態様において、Rは、C1−6−アルキルであり、これは、ヒドロキシ、ハロゲン及びシアノから選択される一つ又はそれより多い置換基で、更に好ましくはヒドロキシで置換されている。なお更に好ましい態様において、Rは、2−ヒドロキシエチル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル又は1−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブチルである。
【0021】
もう一つの好ましい態様において、Rは、−[C(R4A)(R4B)]−Rであり、式中、Rは、フェニル、C3−6−シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、インダニル又はイソオキサゾリルであり、そしてヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF又はC1−4−アルキルから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよい。更に好ましい態様において、Rは、シクロプロピル、シクロペンチル、1−ヒドロキシシクロヘキシル、2−テトラ−ヒドロフラニル、3−テトラ−ヒドロフラニル、2−ヒドロキシ−1H−インデン−1−イル又は3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イルである。
【0022】
mは、好ましくは0又は1である。
mが1である場合、R4A及びR4Bは、好ましくは水素、メチル及びヒドロキシメチルから独立に選択される。
【0023】
は、好ましくは水素又はメチルである。
本開示による具体的な好ましい化合物は:
・ジメチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(2S)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2−ヒドロキシエチル)メチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(1R)−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(1R)−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・シクロペンチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)メチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(1R,2S)−2,3−ジヒドロ−2−ヒドロキシ−1H−インデン−1−イルカルバミン酸(ピリジン−4−イル)メチル;
・[(1S)−1−フェニルエチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(1R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(1−メチル−1−フェニルエチル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・tert−ブチルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・シクロペンチルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・(シクロプロピルメチル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;及び
・(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
からなる群から選択されるものである。
【0024】
本発明の開示のもう一つの側面は、治療において使用するための式(I)の化合物である。
更なる側面において、本発明は、本明細書中に記載される疾患又は症状のいずれもの治療或いは予防において使用するための式(I)の化合物に関する。
【0025】
なお更なる側面において、本発明は、本明細書中に記載される疾患又は症状のいずれもの治療或いは予防のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用に関する。
ある態様において、前記の化合物は、レプチン受容体による選択的作用によって予防、治療、又は改善される症状の治療又は予防のために使用することができる。
【0026】
ある態様において、式(I)の化合物は、体重増加に伴う症状(特に、代謝症状)の治療又は予防のために使用することができる。体重増加に伴う症状は、肥満症又は過体重の患者において増加した発生率を有する疾病、疾患、或いは他の症状を含む。例は:リポジストロフィー、HIVリポジストロフィー、糖尿病(2型)、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、脂質異常症、脂肪肝、過食症、高血圧症、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に伴う皮膚疾患、黄斑変性症を含む。ある態様において、本発明の化合物は、更に患者の体重減少を維持するための医薬の製造において使用することができる。
【0027】
ある態様において、レプチン受容体アゴニスト模倣剤である式(I)の化合物は、更に創傷治癒を促進するためにも使用することができる。
ある態様において、レプチン受容体アゴニスト模倣剤である式(I)の化合物は、更に循環レプチンの濃度の減少、並びに免疫及び生殖系の結果としての機能不全を起こす症状の治療又は予防のためにも使用することができる。このような症状及び機能不全の例は、重度の体重減少、月経困難症、無月経症、女性不妊症、免疫不全症及び低テストステロンレベルに伴う症状を含む。
【0028】
ある態様において、レプチン受容体アゴニスト模倣剤である式(I)の化合物は、レプチン欠乏、或いはレプチン又はレプチン受容体の変異の結果として起こる症状の治療又は予防のためにも更に使用することができる。
【0029】
ある他の態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模倣剤である式(I)の化合物は、炎症性症状又は疾病の治療又は予防のために、肥満症及び過剰の血漿レプチンに伴う軽度の炎症並びにアテローム性動脈硬化症を含む肥満症に伴う他の合併症を減少することにおいて、そして代謝症候群及び糖尿病においてみられるインスリン抵抗性の修正のために使用することができる。
【0030】
ある態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模倣剤である式(I)の化合物は:癌(白血病、リンパ腫、細胞腫、大腸癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、肝細胞細胞腫、腎臓癌、黒色腫、肝臓、肺、乳房、及び前立腺転移、等のような);自己免疫性疾病(器官移植拒絶、紅斑性狼瘡、移植片対宿主拒絶、同種移植片拒絶、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、糖尿病に導く膵島の破壊及び糖尿病の炎症性後遺症を含むI型糖尿病のような);自己免疫性障害(多発性硬化症、ギランバレー症候群、重症筋無力症を含む);不良な組織潅流及び炎症に伴う心血管の症状(アテローム、アテローマ性動脈硬化症、脳卒中、虚血−再灌流損傷、跛行、脊髄損傷、鬱血性心不全、血管炎、出血性ショック、くも膜下出血後の血管攣縮、心血管事故後の血管攣縮、胸膜炎、心膜炎、糖尿病の心血管合併症のような);虚血−再灌流損傷、虚血及び随伴炎症、血管形成術及び炎症性動脈瘤後の再狭窄;癲癇、神経変性(アルツハイマー病を含む)、関節炎(リウマチ様関節炎、骨関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎のような)、線維症(例えば肺、皮膚及び肝臓の)、多発性硬化症、敗血症、敗血症性ショック、脳炎、感染性関節炎、ヤーリッシュ−ヘルクスハイマー反応、帯状疱疹、毒素ショック、脳性マラリア、ライム病、内毒素ショック、グラム陰性ショック、出血性ショック、肝炎(組織損傷及びウイルス感染の両方から起こる)、深部静脈血栓症、痛風;呼吸困難に伴う症状(例えば慢性閉塞性肺炎、妨害及び閉塞された気道、気管支収縮、肺血管収縮、妨害された呼吸、慢性肺炎症性疾病、珪肺、肺サルコイドーシス(sarcosis)、嚢胞性線維症、肺性高血圧症、肺血管狭窄、肺気腫、気管支アレルギー及び/又は炎症、喘息、枯草病、鼻炎、春季カタル及び成人呼吸促迫症候群);皮膚の炎症に伴う症状(乾癬、湿疹、潰瘍、接触性皮膚炎を含む);大腸の炎症に伴う症状(クローン病、潰瘍性大腸炎及びピレシス(pyresis)、過敏性大腸症候群、炎症性大腸炎を含む);HIV(特にHIV感染)、脳性マラリア、細菌性髄膜炎、骨粗鬆症及び他の骨再吸収疾患、骨関節炎、子宮内膜症からの不妊症、感染による発熱及び筋肉痛、並びに過剰の抗炎症性細胞(好中球、好酸球、マクロファージ及びT細胞を含む)活性によって仲介される他の症状によって起こされる、又はそれに伴う炎症の治療或いは予防のために使用することができる。
【0031】
ある態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模倣剤である式(I)の化合物は、1又は2型糖尿病の大若しくは微小血管の合併症、網膜症、腎症、自立神経性腎症、或いは虚血又はアテローム性動脈硬化症によって起こされる血管の損傷の治療又は予防のために使用することができる。
【0032】
ある態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模倣剤である式(I)の化合物は、血管新生を阻害するために使用することができる。血管新生を阻害する化合物は、肥満症又は肥満症に伴う合併症の治療或いは予防のために使用することができる。血管新生を阻害する化合物は、炎症性糖尿病の網膜症、或いは腫瘍の成長、特に乳房、前立腺又は胃腸癌に伴う合併症の治療或いは予防のために使用することができる。
【0033】
更なる側面において、本開示は、本明細書中に記載されるいずれもの疾患又は症状の治療或いは予防のための方法に関し、これは、患者(例えば、それを必要とする患者、例えば、哺乳動物)に有効な量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0034】
本明細書中に記載される方法は、患者が特別に記述された治療を必要とすると確認されたものを含む。このような治療を必要とする患者の確認は、患者又は医療専門家の判定であることができ、そして主観的(例えば所見)又は客観的(例えば試験又は診断法によって測定可能)であることができる。
【0035】
他の側面において、本明細書中の方法は、更に治療管理に対する患者の反応をモニターすることを含んでなるものを含む。このようなモニタリングは、治療管理の標識又は指標としての患者の組織、体液、検体、細胞、タンパク質、化学標識、遺伝子物質、等の定期的試料採取を含むことができる。他の方法において、患者は、このような治療に対する適合性の関連する標識又は指標に対する評価によって、このような治療の必要性に関して予備選別又は確認される。
【0036】
一つの態様において、本発明は、治療の進行をモニターする方法を提供する。この方法は、本明細書中に記載される疾患又はその症状に罹った又はそれに敏感な患者において診断標識(マーカー)(例えば、本明細書中の化合物によって修飾された本明細書中に記載されたいずれもの標的又は細胞種)又は診断測定(例えば、スクリーニング、アッセイ)のレベルを決定する段階を含み、ここにおいて、患者は、疾病又はその症状を治療するために十分な治療的量の本明細書中の化合物を投与されている。この方法で決定されるマーカーのレベルは、健康な正常な対照又は他の罹病した患者のいずれかにおけるマーカーの既知のレベルと比較して、患者の疾病の状態を確立することができる。好ましい態様において、患者のマーカーの第2のレベルは、第1のレベルの決定より後の時点で決定され、そして二つのレベルは、疾病の経過又は治療の有効性をモニターするために比較される。ある好ましい態様において、患者のマーカーの治療前レベルは、本発明による治療の開始前に決定される;次いでこのマーカーの治療前レベルは、治療開始後の患者のマーカーのレベルと比較して、治療の有効性を決定することができる。
【0037】
ある方法の態様において、患者のマーカーのレベル又はマーカーの活性は、少なくとも一回決定される。マーカーレベルの、例えば以前に、或いは同じ患者、もう一人の患者、又は正常な対象からその後に得られたマーカーレベルのもう一つの測定値との比較は、本開示による治療が所望の効果を有するか否かを決定することにおいて有用であり、そしてこれによって投与量レベルが適当であるように調節することを可能にすることができる。マーカーレベルの決定は、当技術において既知の又は本明細書中に記載されるいずれもの適した試料採取/発現アッセイ法を使用して行うことができる。好ましくは、組織又は体液の試料が、先ず患者から取出される。適した試料の例は、血液、尿、組織、口又は頬細胞、及び毛根を含有する毛髪の試料を含む。他の適した試料は、当業者にとって既知であるものである。試料中のタンパク質レベル及び/又はmRNAレベル(例えば、マーカーレベル)の決定は、制約されるものではないが、酵素免疫アッセイ、ELISA、放射線標識/アッセイ技術、染色/化学発光法、リアルタイムPCR、等を含む当技術において既知のいずれもの適した技術を使用して行うことができる。
【0038】
ある態様において、式(I)の化合物が、中枢神経系に浸透することが可能であれば好都合である。他の態様において、式(I)の化合物が、CNSに浸透することが可能でなければ好都合である。一般的に、これらの化合物がCNSに浸透することができれば、レプチン受容体アゴニスト模倣剤である化合物は、肥満症、インスリン抵抗性、又は糖尿病(特に対糖能障害)の治療又は予防のために特に有用であることができることが予想される。当業者は、化合物がCNSに浸透することができるか否かを、容易に決定することができる。使用することができる適した方法は、生物学的方法の節に記載されている。
【0039】
レプチン受容体の反応は、いずれもの適した方法で測定することができる。In vitroでは、これは、レプチン受容体のシグナル伝達を測定することによって行うことができる。例えば、レプチン又は本発明の化合物のレプチン受容体への結合に反応する、Akt、STAT3、STAT5、MAPK、shp2又はレプチン受容体のリン酸化を測定することができる。Akt、STAT3、STAT5、MAPK、shp2又はレプチン受容体のリン酸化の程度は、例えばウェスタンブロッティング又はELISAによって決定することができる。別の方法として、STATレポーターアッセイ、例えばSTAT誘発ルシフェラーゼ発現を使用することができる。レプチン受容体を発現している細胞系を、このようなアッセイのために使用することができる。In vivoにおいて、レプチン受容体の反応は、レプチン又は式(I)の化合物の投与後の食物摂取及び体重の減少を決定することによって測定することができる。
【0040】
以下の生物学的方法は、式(I)の化合物が、レプチン受容体アゴニスト模倣剤であるか、又はレプチン受容体アンタゴニスト模倣剤であるかを決定するために使用することができるアッセイ及び方法を説明する。
【0041】
式(I)の化合物は、他の治療剤と共に、又はそれを伴わずに投与することができる。例えば、炎症を軽減することが所望される場合、化合物は、抗炎症剤(例えば、メトトレキセート、スルファサラジン及びサイトカイン不活性化薬剤、ステロイド、NSAID、カンナビノイド、タキキニン修飾因子、又はブラジキニン修飾因子のような疾病を改変する抗リウマチ剤)と共に投与することができる。抗腫瘍性効果を得ることが所望される場合、化合物は、細胞障害性薬剤(例えば、メトトレキセート、シクロフォスファミド)又は他の抗腫瘍性薬物と共に投与することができる。
【0042】
式(I)の化合物は、受容体置換研究又は受容体画像化のような、in vitro又はin vivoの適用のために放射線標識(例えばトリチウム又は放射性ヨウ素で)することができる。
【0043】
定義
以下の定義は、本明細書及び付属する特許請求の範囲を通して適用されるものである。
他に記述されるか又は示されない限り、用語“C1−6−アルキル”は、1ないし4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基を意味する。前記C1−6−アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル及びt−ブチル、並びに直鎖及び分枝鎖のペンチル及びヘキシルを含む。“C1−6−アルキル”の範囲の部分のために、C1−5−アルキル、C1−4−アルキル、C1−3−アルキル、C1−2−アルキル、C2−6−アルキル、C2−5−アルキル、C2−4−アルキル、C2−3−アルキル、C3−6−アルキル、C3−5−アルキル、C3−4−アルキル、C4−6−アルキル、C4−5−アルキル及びC5−6−アルキルのようなその全ての下位群が意図されている。他に記述されるか又は示されない限り、用語“ヒドロキシ−C1−4−アルキル”は、OHで置換されたその水素原子を有する直鎖又は分枝鎖のC1−4−アルキルを意味する。前記のヒドロキシ−C1−4−アルキルの例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル及び2−ヒドロキシプロピルを含む。他に記述されるか又は示されない限り、用語“フルオロ−C1−4−アルキル”は、一つ又はそれより多いフッ素原子によって置換された直鎖又は分枝鎖のC1−4−アルキルを意味する。前記のフルオロ−C1−4−アルキルの例は、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルを意味する。
【0044】
他に記述されるか又は示されない限り、用語“C1−4−アルコキシ”は、1ないし4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基を意味する。前記のC1−4−アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ及びt−ブトキシを含む。“C1−4−アルコキシ”の範囲の部分のために、C1−3−アルコキシ、C1−2−アルコキシ、C2−4−アルコキシ、C2−3−アルコキシ、C3−4−アルコキシのようなその全ての下位群が意図されている。
【0045】
他に記述されるか又は示されない限り、用語“C3−8−シクロアルキル”は、3ないし8個の炭素原子を有する単環又は二環式の飽和の炭化水素環系を意味する。二環式環系は、縮合又は架橋のいずれかであることができる。架橋シクロアルキル環系において、単環式環の二つの非隣接炭素原子は、一つないし三つの更なる炭素原子間のアルキレン橋によって連結されている。C3−8−シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル、並びにビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル及びビシクロ[3.2.1]オクチルを含む。“C3−8−シクロアルキル”の範囲の部分のために、C3−7−シクロアルキル、C3−6−シクロアルキル、C3−5−シクロアルキル、、C3−4−シクロアルキル、C4−8−シクロアルキル、C4−7−シクロアルキル、C4−6−シクロアルキル、C4−5−シクロアルキル、C5−8−シクロアルキル、C5−7−シクロアルキル、C5−6−シクロアルキル、C6−8−シクロアルキル及びC6−7−シクロアルキルのようなそのすべての下位群が意図されている。
【0046】
他に記述されるか又は示されない限り、用語“C6−10−アリール”は、6ないし10個の炭素原子を含んでなる単環又は二環の炭化水素環系であり、そしてここにおいて、少なくとも一つの環は芳香族環である。C6−10−アリールの例は、フェニル、インデニル、2,3−ジヒドロインデニル(インダニル)、1−ナフチル、2−ナフチル又は1,2,3,4−テトラヒドロナフチルを含む。
【0047】
他に記述されるか又は示されない限り、用語“ヘテロシクリル”は、少なくとも一つのO、N、又はSのような異種原子を伴い、そして残りの環の原子が炭素である、3ないし8個の環の原子を有する安定な完全に飽和、又は部分的に不飽和の単環又は二環式環系を指す。ヘテロシクリルの例は、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、アゼピニル、アゼチジニル、ピロリジニル、モルホリニル、イミダゾリニル、チオモルホリニル、ピラニル、ジオキサニル、ピペラジニル、並びに1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン及びアザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エンを含む。存在する場合、硫黄原子は酸化された形態(即ち、S=O又はO=S=O)であることができる。酸化された形態で硫黄を含有する例示的な複素環基は、チオモルホリン−1,1−ジオキシドである。
【0048】
他に記述されるか又は示されない限り、用語“ヘテロアリール”は、5ないし10個の環の原子を有する単環又は二環の異種芳香族環系を指し、ここにおいて、一つ又はそれより多い環の原子は、窒素、硫黄又は酸素のような炭素以外である。一つの環のみが芳香族である必要があり、そして前記のヘテロアリール分子は、分子の残りの部分にいずれもの環中の炭素又は窒素原子を経由して連結していることができる。ヘテロアリールの例は、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、キナゾリニル、インドリル、イソインドリル、1,3−ジヒドロ−イソインドリル、ピラゾリル、ピリダジニル、キノリニル、キノキサリニル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,4−ベンゾジオキシニル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリニル、イソインドリニル及びクロマニルを含む。
【0049】
“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
“ヒドロキシ”は、−OHラジカルを指す。
“ニトロ”は、−NOラジカルを指す。
【0050】
“シアノ”は、−CNラジカルを指す。
“所望による”又は“所望により”は、その後に記載される現象又は状況が、起こることができるか、或いは起こる必要がなく、そして記載は、現象又は状況が起こる事例及びそれが起こらない事例を含むことを意味する。
【0051】
用語“哺乳動物”は、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、ヤギ、及びウマ、サル、イヌ、ネコを含む生物を、そして好ましくはヒトを含む。患者は、ヒト又は非ヒトの動物、特にイヌのようなの飼い慣らされた動物の患者であることができる。
【0052】
“医薬的に受容可能”は、医薬組成物を調製することにおいて有用であること、即ち、一般的に安全で非毒性であり、そして生物学的に又は他の点のいずれでも望ましいことを意味し、そして獣医学の使用、並びにヒトの医薬的使用のために有用であることを含む。
【0053】
“治療”は、本明細書中で使用される場合、指名された疾患又は症状の予防、或いはそれが確定した後の疾患の改善又は排除を含む。
“有効な量”は、治療される患者に対して治療的効果(例えば、疾病、疾患、或いはその症状又は徴候の治療、制御、改善、予防、発症の遅延、又は発症の危険度の減少)を与える化合物の量を指す。治療的効果は、客観的(即ち、幾つかの試験又は標識によって測定可能)又は主観的(即ち、患者が効果の指標を与えるか又はそれを感じる)であることができる。
【0054】
“プロドラッグ”は、生理学的条件下で、又は加溶媒分解によって式(I)の生物学的に活性な化合物に転換することができる化合物を指す。プロドラッグは、それを必要とする患者に投与された時点で不活性であるが、しかしin vivoで活性な式(I)の化合物に転換することができる。プロドラッグは、典型的にはin vivoで急速に転換されて、例えば血液中の加水分解によって親化合物を得る。プロドラッグ化合物は、通常哺乳類生物中の溶解性、組織適合性又は遅延放出の利益を提供する(Silverman,R.B.,The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,2nd Ed.,Elsevier Academic Press(2004),pp.498−549を参照されたい)。プロドラッグは、式(I)の化合物中に存在するヒドロキシ、アミノ又はメルカプト基のような官能基を、修飾が、日常的処置又はin vivoのいずれかで親化合物に開裂されるような方法で、修飾することによって調製することができる。プロドラッグの例は、制約されるものではないが、ヒドロキシ官能基の酢酸、ギ酸及びコハク酸誘導体、又はアミノ官能基のフェニルカルバミン酸誘導体を含む。
【0055】
本明細書及び付属する特許請求の範囲を通して、与えられる化学式又は名称は、更に全てのその塩、水和物、溶媒和物、N−オキシド及びプロドラッグの形態を包含するものである。更に、与えられる化学式又は名称は、その全ての互変異性体及び立体異性体の形態を包含するものである。立体異性体は、鏡像異性体及びジアステレオ異性体を含む。鏡像異性体は、その純粋な形態で、或いは二つの鏡像異性体のラセミの(等量)又は不均等な混合物として存在することができる。ジアステレオ異性体は、その純粋な形態で、又はジアステレオ異性体の混合物として存在することができる。ジアステレオ異性体は、更に幾何異性体を含み、これは、これらの純粋なcis又はtransの形態で、或いはこれらの混合物として存在することができる。
【0056】
式(I)の化合物は、そのままで、又は適当な場合、その薬理学的に受容可能な塩(酸又は塩基付加塩)として使用することができる。以下に記述される薬理学的に受容可能な付加塩は、化合物が形成することが可能な、治療的に活性な非毒性の酸及び塩基付加塩の形態を含んでなることを意味する。塩基性の特質を有する化合物は、塩基の形態を、適当な酸で処理することによって、その医薬的に受容可能な酸付加塩に転換することができる。例示的な酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸のような無機酸;及びギ酸、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、グルコール酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸ン、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸、安息香酸、アスコルビン酸等のような有機酸を含む。例示的な塩基付加塩の形態は、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩、及び例えば、アンモニア、アルキルアミン、ベンザチン、並びに例えばアルギニン及びリシンのようなアミノ酸のような医薬的に受容可能なアミンとの塩である。用語、付加塩は、本明細書中で使用される場合、更に化合物及びその塩が形成することが可能な、例えば、水和物、アルコール和物等のような溶媒和物を含んでなる。
【0057】
組成物
臨床使用のために、式(I)の化合物は、各種の投与の方法のために医薬製剤に処方される。化合物が、生理学的に受容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤と一緒に投与することができることは認識されるものである。医薬組成物は、いずれもの適した経路によって、好ましくは経口、直腸、鼻腔、局所(頬側及び舌下を含む)、舌下、経皮、クモ膜下腔内、粘膜経由又は非経口投与(皮下、筋肉内、静脈内及び皮膚内を含む)によって投与することができる。
【0058】
他の製剤は、単位剤形、例えば錠剤及び持続放出カプセル、並びにリポソーム中で都合よく与えることができ、そして薬学の分野において公知のいずれもの方法によって調製することができる。医薬製剤は、活性物質、又は医薬的に受容可能なその塩を、慣用的な医薬的に受容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と混合することによって通常調製される。賦形剤の例は、水、ゼラチン、アラビアゴム、ラクトース、微結晶セルロース、デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、等である。このような製剤は、更に他の薬理学的に活性な薬剤、並びに安定剤、湿潤剤、乳化剤、芳香剤、緩衝剤、等のような慣用的な添加剤を含有することもできる。通常、活性化合物の量は、製剤の0.1−95重量%間、好ましくは非経口使用の製剤において0.2−20重量%間、そして更に好ましくは経口投与のための製剤において1−50重量%間である。
【0059】
製剤は、更に顆粒化、圧縮、マイクロカプセル化、噴霧被覆、等のような既知の方法によって調製することができる。製剤は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、シロップ、懸濁液、座薬又は注射の剤形に、慣用的な方法によって調製することができる。液体の製剤は、活性物質を、水又は他の適したベヒクル中に溶解或いは懸濁することによって調製することができる。錠剤及び顆粒は、慣用的な方法で被覆することができる。治療的に有効な血漿濃度を長時間維持するために、化合物は、徐放製剤中に組込むことができる。
【0060】
具体的な化合物の投与の投与量レベル及び頻度は、使用される具体的な化合物の効力、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与の方法及び時間、排出の速度、薬物の組合せ、治療される症状の重篤度、並びに患者が受けている治療を含む各種の因子によって変化するものである。日量は、例えば、体重のkg当たり約0.001mgないし約100mgの範囲の投与量で、例えばそれぞれ約0.01mgないし約25mgで、一回又は複数回投与される。通常このような投与は、経口的に与えられるが、非経口投与も更に選択することができる。
【0061】
本発明の化合物の調製
上記の式(I)の化合物は、慣用的な方法によって、又はそれと類似して調製することができる。中央のウレタン連結基の形成が、式(I)の化合物の調製中の重要な合成工程である。多数の活性化試薬、例えばアルコールのクロロギ酸塩を形成するためのホスゲン、又はイミダゾールカルボン酸塩を形成するためのカルボニルジイミダゾール(CDI)をウレタン連結基の形成に使用することができる。典型的には、式(I)の化合物に組込まれるウレタン連結基は、炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)を活性剤として使用して、又はアルコールのイソシアン酸塩中間体との縮合によって合成されている。本発明の実施例による中間体及び化合物の調製は、特に以下のスキーム1及び2によって例示することができる。本明細書中のスキーム中の構造中の可変基の定義は、本明細書中に記載された式中の対応する位置のものと同一基準である。
【0062】
【化2】

【0063】
[式中、R、R、R及びnは、式(I)において定義したとおりである。]
式(I)の化合物は、僅かな合成工程のみで容易に調製することができる。式(II)の(ピリジン−4−イル)メタノール誘導体の、炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)による、塩基(NMMのような)の存在中の、非プロトン性溶媒(DCMのような)中の活性化は、対応する式(III)の炭酸塩をもたらす。(III)の適当なアミン(IV)による、塩基(DIPEAのような)、そして次いで活性化剤(DMAPのような)の存在中の、非プロトン性溶媒(DMFのような)中の処理は、式(I)の所望の化合物の形成をもたらす。この方法を、スキーム1に示す。
【0064】
ウレタンの形成は、典型的には二工程の方法であるが、これは、更にワンポット反応において、活性化された中間体のin situにおける形成によって行うこともできる。
【0065】
【化3】

【0066】
別の方法として、RがHである式(I)の化合物は、式(II)の(ピリジン−4−イル)メタノール誘導体の、式(V)の適当なイソシアン酸塩との、適した溶媒(DCMのような)中の縮合によって、スキーム2に示すように、単一工程で得ることができる。
【0067】
式(I)の化合物を調製するために必要な出発物質は、商業的に入手可能であるか、又は当技術において既知の方法によって調製することができるかのいずれかである。
以下の実験の節中で記載される方法は、本発明の化合物を、遊離塩基の形態で又は酸付加塩として得るために行うことができる。医薬的に受容可能な酸付加塩は、遊離塩基を適した有機溶媒中に溶解し、そして塩基化合物から酸付加塩を調製するための慣用的な方法によって、溶液を酸で処理することによって得ることができる。付加塩を形成する酸の例は上述してある。
【0068】
式(I)の化合物は、一つ又はそれより多いキラル炭素原子を保有することができ、そして従ってこれらは、光学異性体の形態で、例えば、純粋な光学異性体、又は鏡像異性体の混合物(ラセミ体)、或いはジアステレオ異性体を含有する混合物として得ることができる。純粋な鏡像異性体を得るための光学異性体の混合物の分離は、当技術において公知であり、そして例えば、光学的に活性な(キラル)酸による塩の分別結晶化又はキラルカラムのクロマトグラフ的分離によって達成することができる。
【0069】
本明細書中に記載される合成経路において使用される化学薬品は、例えば、溶媒、試薬、触媒、並びに保護基及び脱保護基試薬を含むことができる。保護基の例は、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジル及びトリチル(トリフェニルメチル)である。先に記載した方法は、更に、最終的に化合物の合成を可能にするために、適した保護基を加える又は除去する工程を、具体的に本明細書中に記載した工程の前又は後のいずれかに、付加的に含むことができる。更に、各種の合成工程を、所望の化合物を得るために別の配列又は順序で行うことができる。出願可能な化合物を合成することにおいて有用な合成化学の転換及び保護基の方法論(保護及び脱保護)は、当技術において既知であり、そして例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley and Sons(1999);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);and L.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)及びこれらのその後の版中に記載されているものを含む。
【0070】
以下の略語が使用されている:
aq 水性
Boc tert−ブトキシカルボニル
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルミアミド
ES エレクトロスプレー
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HPLC 高性能液体クロマトグラフィー
ICV 脳室内
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分光法
M モル
[MH]プロトン化分子イオン
NEtトリエチルアミン
NMM N−メチルモルホリン
RP 逆相
sat. 飽和
tert 第三
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン。
【0071】
開示の態様は、付属する図面を参照して、以下の実施例中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、それぞれ暗期及び明期中のマウスの体重増加及び体重減少を例示する略図である。グラフは、24時間にわたる比較的小さい体重変化に対する大きい夜間の体重増加を例示する。
【図2】図2は、暗期の始まり及び明期の始まり間(午後−午前)のマウスの体重に対する実施例11の影響を示す。
【図3】図3は、暗期の始まり及び明期の始まり間(午後−午前)のマウスの体重に対する実施例15の影響を示す。
【図4】図4は、暗期の始まり及び明期の始まり間(午後−午前)のマウスの体重に対する実施例18の影響を示す。
【図5】図5は、レプチンに対するJEG−3細胞による[H]チミジン組込みにおける濃度依存の増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本明細書中の可変基のいずれもの定義における化学基のリストの記述は、任意の単一の基または列挙された基の組合せとしてのそのような可変基の定義を含む。実施態様の記述は、任意の単一の態様またはいずれもの他の態様もしくはそれらの一部との組合せを含む。
【0074】
開示内容は、以下の非限定的な実施例によりさらに説明される。後述の具体例はあくまで例示として解釈されるべきであり、開示内容の残余についていかなる形においても限定的に解釈されるべきでない。さらなる修飾なしに、当業者は本明細書の開示に従って、本開示をその最大限度まで利用可能であると考えられる。本明細書で引用された文献や出版物はその全体が援用される。
【0075】
実施例及び中間体化合物
実験方法
全ての試薬は商用級であり、そして他に規定しない限り、受領したままで更なる精製無しに使用した。商業的に入手可能な無水の溶媒を、不活性雰囲気下で行われる反応のために使用した。他に規定しない限り、全てのその他の場合には試薬級溶媒を使用した。分析用LCMSは、Agilent 1100HPLC装置に接続されたWatersのZQ質量分光器で行った。分析用HPLCは、Agilent 1100装置で行った。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、Agilent HPLC装置に接続されたAgilent MSD−TOFで得た。分析中に、較正を二つの質量によって点検し、そして必要な場合自動的に補正した。スペクトルは、正のエレクトロスプレー法で取得した。取得した質量の範囲は、m/zで100−1100であった。質量ピークのプロファイル検出を使用した。正常相クロマトグラフィーは、20gのStrata SI−1シリカのギガチューブを備えたFlash Master Personal装置で行った。逆相クロマトグラフィーは、Merck LiChoprep(登録商標)RP−18(40−63μm)の460×26mmカラムを備えたGilson装置で、30mL/分で、水中の0%から100%迄のメタノールの勾配で行った。分離用HPLCは、Phenomenex Hydro RPの150×20mmを備えたGilson装置で、20 mL/分で、水中の0%から100%までのアセトニトリルの勾配で行った。化合物は、ACD 6.0.を使用して自動的に命名した。
【0076】
分析用HPLC及びLCMSデータは:
システムA:Phenomenex Synergi Hydro RP、(150×4.6mm、4μm)、HO(+0.1%TFA)中の5−100%のCHCN(+0.085%TFA)の勾配、1.5mL/分、勾配時間7分、200−300nm、30 ℃;又は
システムB:Phenomenex Synergi Hydro RP、(150×4.6mm、4μm)、HO(+0.1%TFA)中の0−20%CHCN(+0.085%TFA)の勾配、1.5mL/分、勾配時間7分、200−300nm、30℃; 又は
システムC:Phenomenex Synergi Hydro RP、(150×4.6mm、4μm)、HO(+0.1%HCOH)中の5−100%CHCNの勾配、1.0mL/分、勾配時間8分、30℃;又は
システムD:Phenomenex Synergi Hydro RP、(150×4.6mm、4μm)、HO(+0.1%HCOH)中の0−20%CHCNの勾配、1.0mL/分、勾配時間8分、30℃;又は
システムE:Phenomenex Synergi Hydro RP、(150×4.6mm、4μm)、HO(+0.1%TFA)中の5−100%CHCN(+0.085%TFA)の勾配、1.0mL/分、勾配時間8分、30℃;又は
システムF:Phenomenex Synergi Hydro RP、(30×4.6mm、4μm)、HO(+0.1%TFA)中の5−100%CHCN(+0.085%TFA)の勾配、1.5mL/分、勾配時間1.75分、30℃;
により得た。
【0077】
中間体1
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル
【0078】
【化4】

【0079】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチルを、Veber,D.F.,J.Org.Chem.1977,42,3286−3288)によって記載されている方法によって調製した。
【0080】
中間体2
炭酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル4−ニトロフェニル
【0081】
【化5】

【0082】
(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メタノール(9.14g、66.7mmol;Katz,R.B.;Mistry,J.;Mitchell,M.B.;Synthetic Communications,1989,19,317−325によって記載されている方法により調製した)のDCM(40mL)中の懸濁液を、続いてNMM(7.34mL)を、炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)(20.3g、66.7mmol)のDCM(200mL)中の溶液に加えた。反応混合物を一晩撹拌し、飽和NaHCO水溶液(5×100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮して、オレンジ色の固体を得た。これをEtOAc(約25mL)から再結晶させて、炭酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル4−ニトロフェニル(11.5g、57%)を、オフホワイト色の固体として得た。得られた濾液を濃縮し、そして得られた残渣をEtOAc(15mL)及びヘプタン(<1mL)から再結晶させて、炭酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル4−ニトロフェニル(4.76g、24%)をオフホワイト色の固体として得た(合計収率81%)。
【0083】
実施例1
ジメチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩
【0084】
【化6】

【0085】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;274mg、1.00mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、DIPEA(182μL、1.05mmol)、ジメチルアミン(THF中の2M溶液、525μL、1.05mmol)及びDMAP(30mg、触媒量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から5%迄のMeOHによる勾配溶出)によって精製した。残渣をMeOH(1.0mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(0.50mL、1.0mmol)で処理し、そして真空中で乾燥して、ジメチルカルバミン酸(ピリジン−4−イル)メチル塩酸塩(133mg、61%)を、白色の固体として得た。
分析用HPLC:純度99.8%(システムA、R=2.85分);分析用LCMS:純度100%(システムC、R=3.43分)、ES:180.8[MH];HRMS C12に対する計算値:180.0899、実測値180.0900。
【0086】
実施例2
[(2S)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩
【0087】
【化7】

【0088】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;274mg、1.00mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、DIPEA(182μL、1.05mmol)、(S)(テトラヒドロフラン−2−イル)メタンアミン(108μL、1.05mmol)及びDMAP(30mg、触媒量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から5%迄のMeOHによる勾配溶出)によって精製した。残渣をMeOH(1.0mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(0.50mL、1.0mmol)で処理し、そして真空中で乾燥して、[(2S)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩(110mg、41%)を、オフホワイト色の固体として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=3.07分);分析用LCMS:純度99%(システムC、R=3.56分)、ES:236.8[MH];HRMS C1216に対する計算値:236.1160実測値236.1166。
【0089】
実施例3
(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩
【0090】
【化8】

【0091】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;274mg、1.0mmol)のDMF(10mL)中の溶液に、DMAP(122mg、1.0mmol)及びエタノールアミン(62mg、1.0mmol)を加えた。反応混合物を48時間撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(EtOAcで溶出)で、次いでイオン交換クロマトグラフィー(10gのStrata−SCX、MeOHで、次いでMeOH中の1%NHで溶出)によって精製した。残渣をMeOH(1.0mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(0.50mL、1.0mmol)で処理し、そして真空中で乾燥して、(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩(24mg、10%)を、白色の粉末として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムB、R=5.48分);分析用LCMS:純度100%(システムE、R=4.24分)、ES:196.9[MH];HRMS C12に対する計算値:196.0848、実測値196.0850。
【0092】
実施例4
(2−ヒドロキシエチル)メチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩
【0093】
【化9】

【0094】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;439mg、1.6mmol)のDMF(10mL)中の溶液に、2−(メチルアミノ)エタノール(150μL、1.87mmol)、DIPEA(300μL、1.72mmol)及びDMAP(10mg、触媒量)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を1MのNaCO水溶液(25mL)中に溶解し、そしてEtOAc(3×25mL)で抽出した。混合した有機相を乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から10%迄のMeOHによる勾配溶出)で、そして次いで分離用HPLC(水中の0%から40%迄のアセトニトリルによる勾配溶出)によって精製した。残渣をDCM(5mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(1mL)で処理し、そして真空中で乾燥して、(2−ヒドロキシエチル)メチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩(191mg、48%)を、白色の固体として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=2.55分);分析用LCMS:純度100%(システムD、R=5.40分)、ES:211.0[MH];HRMS C1014に対する計算値:210.1004、実測値210.1007。
【0095】
実施例5
[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル
【0096】
【化10】

【0097】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;411mg、1.5mmol)、(R)−(−)−2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール(155mg、1.5mmol)及びDMAP(183mg、1.5mmol)のDMF(10mL)中の溶液を、一晩撹拌した。DMFを真空中で除去した。残渣をEtOAc中に取込み、そして水(×2)、NaCO水溶液(×4)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。所望の生成物をEtOから結晶させ、逆相クロマトグラフィーによって更に精製し、そして次いで真空中で濃縮して、[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル(70mg、20%)を、白色の結晶質の固体として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=3.13分);分析用LCMS:純度99%(システムC、R=3.71分)、ES:239.0[MH]
【0098】
実施例6
[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル
【0099】
【化11】

【0100】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;411mg、1.5mmol)及び(R)−ロイシノール(176mg、1.5mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、DMAP(183mg、1.5mmol)を加え、そして24時間撹拌したまま放置した。DMFを真空中で除去した。残渣をEtOAc中に取込み、そして水、NaSO水溶液(×8)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(10gのRediSepカラム、20mL/分、DCM中の0%から5%迄のMeOHにより勾配溶出)によって精製し、そして真空中で乾燥して、[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル(75mg、20%)を、白色の結晶質の固体として得た。
分析用HPLC:純度99%(システムA、R=3.54分);分析用LCMS:純度>99%(システムC、R=4.07分)、ES:253.0[MH];HRMS C1320に対する計算値:252.1474、実測値252.1481。
【0101】
実施例7
シクロペンチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル
【0102】
【化12】

【0103】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;2.74g、10mmol)のDMF(30mL)中の溶液に、DIPEA(1.75mL、10mmol)、シクロペンチルアミン(0.99mL、10mmol)を、続いてDMAP(50mg、触媒量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、そして次いで真空中で乾燥した。残渣をEtOAc(150mL)中に溶解し、そして飽和KHCO水溶液(6×150mL)、食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(40gのBiotage、DCM中の0%から5%迄のMeOHによる勾配溶出)によって精製した。不純な画分を混合し、そして正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から5%迄のMeOHによる勾配溶出)によって再精製した。両方のカラムからの純粋な画分を混合し、エーテルから結晶させ、そして真空中で乾燥して、シクロペンチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル(1.08g、49%)を、白色の固体として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=3.73分);分析用LCMS:純度99.3%(システムC、R=4.44分)、ES:220.9[MH];HRMS C1216に対する計算値:220.1212、実測値220.1214。
【0104】
実施例8
(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル
【0105】
【化13】

【0106】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;274mg、1.0mmol)及びDMAP(122mg、1.0mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、(R)−テトラヒドロフラン−3−アミントルエンスルホン酸塩(259mg、1.0mmol)及びDIPEA(174μL、1.0mmol)のDMF(5mL)中の溶液を加えた。反応混合物を24時間撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を、正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から2%迄のMeOHによる勾配溶出)によって精製し、そして真空中で乾燥して、(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル(68mg、31%)を、オフホワイト色の固体として得た。
分析用HPLC:純度>99%(システムA、R=2.72分);分析用LCMS:純度100%(システムC、R=3.32分)、ES:222.8[MH];HRMS C1114に対して:222.1004、実測値222.1007。
【0107】
実施例9
[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)メチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル
【0108】
【化14】

【0109】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;274mg、1.0mmol)及びDMAP(122mg、1.0mmol)のDMF(10mL)中の溶液に、DIPEA(175μL、1.0mmol)及び1−アミノメチルシクロヘキサノール塩酸塩(166mg、1.0mmol)のDMF(10mL)中の溶液を加えた。反応混合物を18時間撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣をEtOAc中に取込み、そして1MのNaCO水溶液で洗浄して、p−ニトロフェノールを除去し、乾燥(NaSO)し、そして真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(EtOAcで溶出)によって精製し、そして真空中で乾燥して、[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)メチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル(195mg、74%)を、明るい褐色の油状物として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=3.54分);分析用LCMS:純度99%(システムC、R=4.18分)、ES:265.0[MH];HRMS C1420に対する計算値:264.1474、実測値264.1479。
【0110】
実施例10
(1R,2S)−2,3−ジヒドロ−2−ヒドロキシ−1H−インデン−1−イルカルバミン酸(ピリジン−4−イル)メチル塩酸塩
【0111】
【化15】

【0112】
(1R,2S)−(+)−cis−1−アミノ−2−インダノール(149mg、1.0mmol)、炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;274mg、1.0mmol)及びDIPEA(354μL、2.0mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、DMAP(触媒量)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣をEtOAc(50mL)中に溶解し、そして1MのNaCO水溶液(5×30mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から3%迄のMeOHによる勾配溶出)によって精製した。残渣をDCM(30mL)中に溶解し、そして過剰のEtO中の2MのHClを加えた。得られた沈殿物を濾過によって収集し、そして真空中で乾燥して、(1R,2S)−2,3−ジヒドロ−2−ヒドロキシ−1H−インデン−1−イルカルバミン酸(ピリジン−4−イル)メチル塩酸塩(70mg、22%)を、白色の固体として得た。
分析用HPLC:純度97.1%(システムA、R=5.61分);分析用LCMS:純度100%(システムC、R=4.07分)、ES:285.0[MH].HRMS C1616に対する計算値:284.1161、実測値284.1164。
【0113】
実施例11
フェニルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル
【0114】
【化16】

【0115】
(ピリジン−4−イル)メタノール(545mg、5.0mmol)のDCM(10mL)中の撹拌された溶液に、イソシアン酸フェニル(596mg、5.0mmol)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、水(20mL)で洗浄し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(ICNシリカ(18−32、60Å)で充填された250×25mmのカラム、30mL/分、DCM中の0から5%迄のMeOHによる勾配溶出)によって精製した。残渣をEtO中に取込み、そして白色の結晶質の固体が形成した。結晶を濾過によって収集し、そして真空中で乾燥して、フェニルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル(477mg、42%)を、白色の結晶質の固体として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=3.95分);分析用LCMS:純度100%(システムE、R=5.70分)、ES:229.3[MH];HRMS C1312に対する計算値:228.0899、実測値228.0901。
【0116】
実施例12
[(1S)−1−フェニルエチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩
【0117】
【化17】

【0118】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;274mg、1.0mmol)、(S)−1−メチルベンジルアミン(122mg、1.0mmol)及びDMAP(122mg、1.0mmol)を、DMF(10mL)中に溶解した。反応混合物を20時間撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣をEtOAc中に取込み、そして1MのNaCO水溶液で洗浄して、p−ニトロフェノールを除去し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(EtOAcで溶出)で、そして次いで逆相クロマトグラフィーによって精製した。残渣をDCM(4mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(2.0mL、4.0mmol)で処理し、そして真空中で乾燥して、[(1S)−1−フェニルエチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル塩酸塩(136mg、46%)を、白色の固体として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=4.11分);分析用LCMS:純度100%(システムC、R=4.68分)、ES:257.0[MH];HRMS C1516に対する計算値:256.1212、実測値256.1216。
【0119】
実施例13
[(1R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル
【0120】
【化18】

【0121】
(R)−フェニルグリシノール(1.54g、11.2mmol)のDMF(75mL)中の溶液に、DIPEA(2.6mL、15.0mmol)、炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル(中間体1;2.98g、10.9mmol)を、そして次いでDMAP(60mg、触媒量)を加えた。反応混合物を18時間撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣をEtOAc(150mL)中に溶解し、1MのNaCO水溶液(5×100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から5%迄のMeOHによる勾配溶出)によって精製し、そして真空中で乾燥して、[(1R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル(1.92g、68%)を、白色の粉末として得た。
分析用HPLC:純度99.4%(システムA、R=3.47分);分析用LCMS:純度99%(システムC、R=3.97分)、ES:272.7[MH];HRMS C1516に対する計算値:272.1161、実測値272.1168。
【0122】
実施例14
(1−メチル−1−フェニルエチル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩
【0123】
【化19】

【0124】
炭酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル4−ニトロフェニル(中間体2;615mg、2.0mmol)のDMF(6mL)中の溶液に、DIPEA(350μL、2.0mmol)、1,1−ジメチルベンジルアミン(277mg、2.0mmol)を、そして次いでDMAP(10mg、触媒量)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から10%迄のMeOHによる勾配溶出)によって、続いて逆相クロマトグラフィーによって精製した。残渣をEtO(5mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(1.0mL、2.0mmol)で処理し、そして真空中で乾燥して、(1−メチル−1−フェニルエチル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩(284mg、42%)を、白色の粉末として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=4.64分);分析用LCMS:純度100%(システムC、R=5.52分)、ES:299.4[MH]
【0125】
実施例15
tert−ブチルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩
【0126】
【化20】

【0127】
炭酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル4−ニトロフェニル(中間体2;616mg、2.0mmol)、tert−ブチルアミン(500μL、4.8mmol)、DIPEA(400μL、2.3mmol)及びDMAP(10mg、触媒量)を、DMF(5mL)中に溶解し、そして一晩撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣をEtOAc(30mL)中に溶解し、1MのNaCO水溶液(4×30mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。粗製の生成物を逆相クロマトグラフィー(水中の0%から100%迄のMeOH、それぞれの溶媒に1%のギ酸を含む)によって精製した。残渣をDCM(5mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(1.0mL、2.0mmol)で処理し、そして真空中で乾燥して、tert−ブチルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩を、白色の粉末(298mg、54%)として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=4.08分);分析用LCMS:純度100%(システムC、R=4.33分)、ES:237.2[MH];HRMS C1320に対する計算値:236.1525、実測値236.1533。
【0128】
実施例16
シクロペンチルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩
【0129】
【化21】

【0130】
炭酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル4−ニトロフェニル(中間体2;537mg、1.78mmol)のDMF(6mL)中の撹拌された溶液に、DIPEA(320μL、1.84mmol)、シクロペンチルアミン(175μL、1.78mmol)を、そして次いでDMAP(10mg、触媒量)を加えた。反応混合物を5日間撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から10%迄のMeOHによる勾配溶出)によって、続いて逆相クロマトグラフィーによって精製した。残渣をEtO(5mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(1.0mL、2.0mmol)で処理し、そして真空中で乾燥して、シクロペンチルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩(280mg、55%)を、白色の固体として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA,R=4.10分);分析用LCMS:純度100%(システムC、R=5.05分)、ES:249.2[MH];HRMS C1420に対する計算値:248.1525、実測値248.1533。
【0131】
実施例17
(シクロプロピルメチル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩
【0132】
【化22】

【0133】
炭酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル4−ニトロフェニル(中間体2;575mg、1.9mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、シクロプロピルメタンアミン(440μL、4.7mmol)、DIPEA(400μL、2.3mmol)及びDMAP(10mg、触媒量)を加えた。反応混合物を3日間撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣をEtOAc(25mL)中に溶解し、1MのNaCO水溶液(4×25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(水中の0%から100%迄のMeOHによる勾配溶出、それぞれの溶媒中に1%のギ酸を含む)によって精製した。残渣をDCM(5mL)中に溶解し、EtO中の2MのHCl(1.0mL、2.0mmol)で処理し、そして真空中で乾燥して、(シクロプロピルメチル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩(302mg、59%)を、白色の粉末として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=3.77分);分析用LCMS:純度99.4%(システムC、R=4.13分)、ES:235.5[MH];HRMS C1318に対する計算値:234.1368、実測値234.1371。
【0134】
実施例18
(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩
【0135】
【化23】

【0136】
炭酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル4−ニトロフェニル(中間体2;235mg、0.78mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、DIPEA(400μL、2.3mmol)、(R)−テトラヒドロフラン−3−アミントルエンスルホン酸塩(221mg、0.85mmol)及びDMAP(10mg、触媒量)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣をEtOAc(25mL)中に溶解し、1MのNaCO水溶液(5×25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、そして真空中で濃縮した。残渣をDCM(5mL)中に溶解し、そしてEtO中の2MのHCl(0.5mL、1.0mmol)で処理して、沈殿物を得た。溶媒をデカンテーションによって除去し、そして沈殿物を真空中で乾燥して、(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩(102mg、46%)を、白色の固体として得た。
分析用HPLC:純度99.3%(システムA、R=3.03分);分析用LCMS:純度100%(システムE、R=4.59分)、ES:251.4[MH];HRMS C1318に対する計算値:250.1317、実測値250.1330。
【0137】
実施例19
(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩
【0138】
【化24】

【0139】
(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メタノール(274mg、2.0mmol;Katz,R.B.;Mistry,J.;Mitchell,M.B.;Synthetic Communications,1989,19,317−325によって記載されている方法によって調製)のDCM(10mL)中の撹拌された溶液に、4−イソシアナト−3,5−ジメチルイソオキサゾール(276mg、2.0mmol)を加えた。一晩室温で撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮した。残渣を正常相クロマトグラフィー(DCM中の0%から5%迄のMeOHによる勾配溶出)によって精製した。残渣をEtO中に溶解し、ジオキサン中の2MのHCl(1.0mL、2.0mmol)で処理し、そして次いで真空中で濃縮した。残渣を水中に取込み、そして真空中で乾燥して、(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル塩酸塩(250mg、40%)を、白色の結晶質の固体として得た。
分析用HPLC:純度100%(システムA、R=3.35分);分析用LCMS:純度100%(システムE、R=5.07分)、ES:276.4[MH];HRMS C1417に対する計算値:275.1270、実測値275.1279。
【0140】
生物学的試験
オスのC57bl/6マウスにおける一晩の体重変化の測定
このモデルは、有効領域を最大化するために、午後−午前間の体重増加に対する化合物の影響を研究する。典型的には、図1に示すように、マウスは、暗期中に約1gの体重を得て、そして次いで明期中にこの体重増加の殆どを失う。いずれもの24時間間の体重差は非常に小さいが、一方暗期の始まり及び明期の始まり(午後−午前)間の体重差は最大である。
【0141】
暗期中の体重変化を測定することは重要である。マウスに二日連続して活性化合物を投与し、そして体重の変化を最初の投与後の48時間記録した場合、有意な影響は観察されない。然しながら、暗期中の体重変化のみが考慮された場合、有意な、そして強い影響が見られる。これは、マウスが、暗期中の体重増加の不足を相殺するために明期中にリバウンドするためである。非常に活性な長時間継続性の化合物は、更にこのリバウンドを減少し、そして48時間中の体重を減少する。
【0142】
C57bl\6のオスのマウスにおける連続した日中の体重変化
暗期の始まり及び明期の始まり間(午後−午前)の体重差は、2日の連続した午後及び午後間に測定された体重差より大きい。従って、午後−午前の差に対する化合物の影響を、有効な領域を最大にするために研究した。
【0143】
C57bl/6マウスをグループにし(ケージ当たり5匹)、そして順化のために5日間放置した。一回の腹腔内的に(ip)投与される投与量(60mg/kg)を、暗期の直前に与えた。化合物は、水溶性であるか、又は3%迄のクレモフォア中に溶解されるか(この場合ベヒクルは、更にクレモフォアを含有していた)のいずれかであった。pHを、化合物の特質によって最低5.5から最大8迄で調節した。
図2−4に示すように、式(I)の化合物は、マウスの体重を減少するために有用である。
【0144】
非組換え系におけるレプチンアッセイ
組換え系(例えばObRbで形質移入されたHEK293細胞)においては十分に特徴づけされているが、レプチンが、STST3リン酸化において非常に顕著な増加を誘発する場合、これらの系は、レプチン受容体に対する試験化合物の活性の正確な測定値を得ることにしばしば失敗している。これは、受容体の過剰発現(並びに、レプチンのその受容体との会合によって誘発されるシグナル伝達経路の異なった部分に作用する異なった薬物に対する可能性)が、殆どの場合試験される薬物の活性の非存在においてもたらされるように見受けられる。
【0145】
非組換え系におけるレプチン受容体の発現は、しばしば変動し、そしてシグナルの安定性が実験の範囲に留まる系を確認することに注意を払わなければならない。このような系を使用して、レプチン受容体アンタゴニスト模倣剤は、レプチンに対するその作用を評価することによって確認することができる(以下を参照されたい)。
【0146】
レプチンは、主として脂肪細胞中で産生されるが、しかしヒトにおいて、レプチンをコードするmRNAは、更に胎盤中にも存在する。ここで、レプチンは、微小血管中で重要な増殖性の役割を演じることができる。この仮定を天然の細胞系において使用することに対する可能性を評価した。
【0147】
JEG−3プロトコル
JEG−3細胞(絨毛癌細胞系)において、レプチンは、増殖を3倍まで刺激することが可能である(Biol.Reprod.(2007)76:203−10)。レプチンは、更にJEG−3細胞における[H]−チミジン組込みの濃度依存性増加を起こす(図5、100nMにおいて最大効果(EC50=2.1nM))。細胞によって組込まれた放射能は、その増殖活性の指標であり、そして液体シンチレーションベータカウンターにより毎分のカウント数(CPM)で測定される。
【0148】
この発見は、化合物が、細胞増殖におけるレプチンの影響を再現するか(レプチン受容体アゴニスト模倣剤)(即ち、与えられた化合物は、細胞により組込まれる[H]−チミジンの増加を起こすものである)、又はレプチンにより仲介される[H]−チミジン組込みの増加を防止することによってレプチンの影響を阻害する(アンタゴニスト的影響)かのいずれかが可能であるか否かの試験に適用することができる。
【0149】
この方法は、非組換え系を使用する利益を有し、そして妥当な再現性及び堅固さを有する。
脳浸透の測定
試験種(齧歯類)に、研究中の基質のボーラス投与を、通常静脈内(IV)又は経口(PO)経路により与える。適当な時点で血液試料を採取し、そして得られた血漿を抽出し、そして基質濃度及び、適当な場合、代謝産物濃度に対して分析する。同時点で、もう一つのグループの動物を犠牲にし、脳を単離し、そして脳表面を清浄にする。次いで脳試料をホモジナイズし、抽出し、そして基質濃度及び、適当な場合、代謝産物濃度に対して分析する。別の方法として、試験種の一つ又はそれより多い脳の領域に微小透析のプローブを移植し、そしてその後の分析のために適当な時点で試料を収集する。この方法は、細胞外基質濃度のみを測定する利益を有する。次いで血漿及び脳の濃度を比較し、そして個々の時点において平均した濃度の比較、又は濃度−時間プロットの曲線下面積(AUC)の計算のいずれかによって比を計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体又は光学異性体であって、式中:
それぞれのRは、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシ、ハロゲン、シアノ及びCFから独立に選択され;
は、C1−6−アルキル(ヒドロキシ、ハロゲン及びシアノから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよい)又は−[C(R4A)(R4B)]−Rであり;
は、水素、C1−4−アルキル又はフルオロ−C1−4−アルキルであり;
4A及びR4Bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4−アルキル、フルオロ−C1−4−アルキル及びヒドロキシ−C1−4−アルキルからそれぞれ独立に選択され;
は、C3−8−シクロアルキル、C6−10−アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF及びC1−4−アルキルから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよく;
mは、0、1又は2であり;そして
nは、0、1、2、3又は4であるが;
但し、前記化合物が:
・ビス(2−クロロエチル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル:
・ジメチルカルバミン酸(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)メチル;
・プロピルカルバミン酸(2,6−ジクロロピリジン−4−イルメチル;
・メチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・イソプロピルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(5−クロロ−2−メトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2−メトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2,6−ジメチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2,4,6−トリメチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2−メチル−5−ニトロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3−エチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2,4−ジメチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3,4,5−トリメトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・シクロヘキシル(メチル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・ピリジン−3−イルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(4−メトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2,6−ジクロロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・シクロヘキシルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・ピリジン−4−イルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(4−フルオロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(2−クロロフェニル)メチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3−ニトロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3,5−ジメトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(4−メチルフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3−クロロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(4−クロロフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・フェニルカルバミン酸(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)メチル;
・フェニルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・フェニルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;及び
・(3,4−ジメトキシフェニル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル
からは選択されないことを条件とする、前記の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体又は光学異性体。
【請求項2】
が、所望により置換されていてもよいC1−6−アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、−[C(R4A)(R4B)]−Rであり、そしてここにおいて、mが、0又は1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
・ジメチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(2S)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(2−ヒドロキシエチル)メチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(1R)−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(1R)−(ヒドロキシメチル)−3−メチルブチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・シクロペンチルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルカルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)メチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(1R,2S)−2,3−ジヒドロ−2−ヒドロキシ−1H−インデン−1−イルカルバミン酸(ピリジン−4−イル)メチル;
・[(1S)−1−フェニルエチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・[(1R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]カルバミン酸ピリジン−4−イルメチル;
・(1−メチル−1−フェニルエチル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・tert−ブチルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・シクロペンチルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・(シクロプロピルメチル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
・(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルカルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;及び
・(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)カルバミン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
活性成分として、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物を、医薬的に受容可能な希釈剤又は担体との組み合わせで含有する医薬製剤。
【請求項6】
治療において使用するための、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
レプチン受容体による選択的作用によって予防、治療、若しくは改善される症状又は疾病の治療或いは予防において使用するための、以下の式(I):
【化2】

[式中:
それぞれのRは、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシ、ハロゲン、シアノ及びCFから独立に選択され;
は、C1−6−アルキル(ヒドロキシ、ハロゲン及びシアノから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよい)又は−[C(R4A)(R4B)]−Rであり;
は、水素、C1−4−アルキル又はフルオロ−C1−4−アルキルであり;
4A及びR4Bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4−アルキル、フルオロ−C1−4−アルキル及びヒドロキシ−C1−4−アルキルからそれぞれ独立に選択され;
は、C3−8−シクロアルキル、C6−10−アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF及びC1−4−アルキルから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよく;
mは、0、1又は2であり;そして
nは、0、1、2、3又は4である]
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体又は光学異性体。
【請求項8】
体重増加に伴う症状又は疾病の治療或いは予防において使用するための、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記症状又は疾病が、肥満症、2型糖尿病、リポジストロフィー、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、脂質異常症、脂肪肝、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に伴う皮膚疾患又は黄斑変性症である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
重度の体重減少、月経困難症、無月経症、女性不妊症又は免疫不全症の治療又は予防、或いは創傷治癒の処置において使用するための、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
炎症性症状又は疾病、肥満症及び過剰の血漿レプチンに伴う軽度の炎症、アテローマ性動脈硬化症、1型又は2型糖尿病の大又は微小血管合併症、網膜症、腎症、自律神経障害、又は虚血若しくはアテローマ性動脈硬化症によって起こされる血管損傷の治療或いは予防において使用するための、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
血管新生の阻害において使用するための、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
レプチン受容体を介する選択的作用によって予防、治療、若しくは改善される症状又は疾病の治療或いは予防のための医薬の製造における、以下の式(I):
【化3】

[式中:
それぞれのRは、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシ、ハロゲン、シアノ及びCFから独立に選択され;
は、C1−6−アルキル(ヒドロキシ、ハロゲン及びシアノから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよい)又は−[C(R4A)(R4B)]−Rであり;
は、水素、C1−4−アルキル又はフルオロ−C1−4−アルキルであり;
4A及びR4Bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4−アルキル、フルオロ−C1−4−アルキル及びヒドロキシ−C1−4−アルキルからそれぞれ独立に選択され;
は、C3−8−シクロアルキル、C6−10−アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF及びC1−4−アルキルから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよく;
mは、0、1又は2であり;そして
nは、0、1、2、3又は4である]
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体又は光学異性体の使用。
【請求項14】
体重増加に伴う症状又は疾病の治療或いは予防のための、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記症状又は疾病が、肥満症、2型糖尿病、リポジストロフィー、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、脂質異常症、脂肪肝、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に伴う皮膚疾患又は黄斑変性症である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
重度の体重減少、月経困難症、無月経症、女性不妊症又は免疫不全症の治療又は予防、或いは創傷治癒の処置のための、請求項13に記載の使用。
【請求項17】
炎症性症状又は疾病、肥満症及び過剰の血漿レプチンに伴う軽度の炎症、アテローマ性動脈硬化症、1型又は2型糖尿病の大又は微小血管合併症、網膜症、腎症、自律神経障害、又は虚血若しくはアテローマ性動脈硬化症によって起こされる血管損傷の治療或いは予防のための、請求項13に記載の使用。
【請求項18】
血管新生の阻害のための、請求項13に記載の使用。
【請求項19】
レプチン受容体を介する選択的作用によって予防、治療、若しくは改善される症状又は疾病の治療或いは予防のための方法であって、それを必要とするヒトを含む動物に、有効な量の以下の式(I):
【化4】

[式中:
それぞれのRは、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシ、ハロゲン、シアノ及びCFから独立に選択され;
は、C1−6−アルキル(ヒドロキシ、ハロゲン及びシアノから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよい)又は−[C(R4A)(R4B)]−Rであり;
は、水素、C1−4−アルキル又はフルオロ−C1−4−アルキルであり;
4A及びR4Bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4−アルキル、フルオロ−C1−4−アルキル及びヒドロキシ−C1−4−アルキルからそれぞれ独立に選択され;
は、C3−8−シクロアルキル、C6−10−アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF及びC1−4−アルキルから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されていてもよく;
mは、0、1又は2であり;そして
nは、0、1、2、3又は4である]
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体又は光学異性体を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項20】
体重増加に伴う症状又は疾病の治療或いは予防のための、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記症状又は疾病が、肥満症、2型糖尿病、リポジストロフィー、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、脂質異常症、脂肪肝、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に伴う皮膚疾患又は黄斑変性症である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
重度の体重減少、月経困難症、無月経症、女性不妊症又は免疫不全症の治療又は予防、或いは創傷治癒の処置のための、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
炎症性症状又は疾病、肥満症及び過剰の血漿レプチンに伴う軽度の炎症、アテローマ性動脈硬化症、1型又は2型糖尿病の大又は微小血管合併症、網膜症、腎症、自律神経障害、又は虚血若しくはアテローマ性動脈硬化症によって起こされる血管損傷の治療或いは予防のための、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
血管新生の阻害のための、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−522007(P2011−522007A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512130(P2011−512130)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056884
【国際公開番号】WO2009/147216
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】