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レプリカフィルム貼着装置及びレプリカフィルム貼着方法
説明

レプリカフィルム貼着装置及びレプリカフィルム貼着方法

【課題】作業員の技量にかかわらず効率良くレプリカフィルムを貼着可能なレプリカフィルム貼着装置及びレプリカフィルム貼着方法を提供する。
【解決手段】レプリカフィルム貼着装置1は、弾性体からなるローラ2と、ローラ2に巻き付けられたレプリカフィルム4と、ローラ2を転動可能に支持する取手6と、溶剤11を被検体8の表面に滴下するノズル10と、一端が取手6に、他端がノズル10にそれぞれ接続されたフレキシブルアーム12と、を備えている。取手6は、ローラ2を回動可能に支持する支持部6bと、支持部6bに接続され、操作者が把持可能な把持部6aとから構成されている。把持部6aを軽く押し潰すことにより、把持部6aの内部容積が減少して把持部6a内の圧力が上昇するため、把持部6a内の溶剤11をチューブ13及びフレキシブルアーム12を介してノズル10に供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物を構成する構成部材の表面性状をレプリカフィルムに転写させて構成部材の表面性状を観察する際に、レプリカフィルムを構成部材の表面に貼着するレプリカフィルム貼着装置及びレプリカフィルム貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所等の各種プラント設備を構成する配管等の構成部材(例えば、炭素鋼やステンレス鋼)の表面性状(凹凸や割れや付着物等の形態や分布等)を検査する場合には、構成部材の検査対象箇所の表面性状をレプリカフィルムに転写して複製し、当該レプリカフィルムを顕微鏡等で観察している。
【0003】
具体的には、図10に示すように、人間が検査対象箇所9の表面に酢酸メチルやアセトン等の溶剤11を滴下し、溶剤11が揮発してしまう前に検査対象箇所9にレプリカフィルム4を手作業で貼着する。そして、レプリカフィルム4の採取面を溶解させて検査対象箇所9の表面性状に沿うように変形させ、所要時間(約1分)放置することでレプリカフィルム4の採取面を乾燥させて当該採取面に検査対象箇所9の表面性状を転写する。その後、レプリカフィルム4を検査対象箇所9から剥がして、検査対象箇所9の表面性状のレプリカを採取する。検査対象箇所9に貼着するレプリカフィルム4は、薄い(約30μm)ため、カール等の変形を起こしやすく取り扱いが難しい。
【0004】
また、特許文献1には、レプリカフィルムを作成しながら検査対象箇所の表面性状を複製するレプリカ取得装置が開示されている。このレプリカ取得装置は、ローラと、当該ローラと検査対象箇所との間にレプリカフィルムの材料を供給するノズルと、を備えている。このレプリカ取得装置では、検査対象箇所に対向する位置にローラを配置し、その後、レプリカフィルムの材料を滴下しながらローラでその材料を拡げてレプリカフィルムを作成しつつ、レプリカフィルムを検査対象箇所に貼着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−139410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した人間が検査対象箇所の表面に溶剤を滴下した後、検査対象箇所にレプリカフィルムを貼着する方法の場合、溶剤の入った容器を一方の手で持つとともに、レプリカフィルムを他方の手で持ちながら作業を行うため、作業効率が非常に悪いという問題点があった。
また、レプリカフィルムを貼着する際に、検査対象箇所とレプリカフィルムとの間にゴミや空気が入ると正確なレプリカを採取できないため、レプリカフィルムの貼着作業は訓練を受けた作業員でないと行う事ができなかった。
また、特許文献1には、レプリカフィルムを貼着する方法については記載されていない。
【0007】
そこで、本発明は係る従来技術の問題点に鑑み、作業員の技量にかかわらず効率良くレプリカフィルムを貼着可能なレプリカフィルム貼着装置及びレプリカフィルム貼着方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した問題を解決する本発明に係るレプリカフィルム貼着装置は、構造物を構成する構成部材の表面性状をレプリカフィルムに転写させて前記構成部材の表面性状を観察する際に、当該レプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着するレプリカフィルム貼着装置であって、
前記レプリカフィルムの長さよりも長い周長を有するとともに、周面がレプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着させるための溶剤に対する耐性を有するローラと、
前記ローラの周面に巻き付けられた前記レプリカフィルムと、
前記溶剤を前記ローラの進行方向前方の前記構成部材の表面に供給する溶剤供給手段と、を備え、
前記ローラを前記進行方向に転動させながら、前記構成部材の表面に前記溶剤を供給して、前記レプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記レプリカフィルム貼着装置によれば、構成部材の表面上にローラを転動させながら、構成部材の検査対象箇所に溶剤を供給した後、直ちにローラに巻き付けられたレプリカフィルムを貼着することができるので、作業効率を向上させることができる。
また、溶液を供給すると、直ちにレプリカフィルムを貼着するので、検査対象箇所とレプリカフィルムとの間にゴミや空気が入ることがなく、作業のやり直しを防止することができる。
さらに、ローラを構成部材の表面に沿って転動させるだけなので、作業員の技量にかかわらず、レプリカフィルムを失敗することなく、構成部材の表面に貼着することができる。
【0010】
また、前記溶剤供給手段は、
前記ローラの周面から離間した位置に配置され、前記溶剤を前記構成部材の表面に供給するノズルと、
前記溶剤を貯留する貯留部と、
一端が前記貯留部に、他端が前記ノズルにそれぞれ接続され、前記貯留部内の溶剤を前記ノズルに送給する溶剤供給路と、を備えていてもよい。
【0011】
このように、溶剤供給手段は、貯留部と、溶剤供給路と、ノズルとを備えているため、貯留部から溶剤供給路及びノズルを介して溶剤を構成部材の表面に供給することができる。また、ノズルを備えているため、構成部材の検査対象箇所に正確に溶剤を供給することができる。
【0012】
また、前記ローラを転動可能に支持する支持部と、当該支持部に接続されるとともに、操作者が把持可能に構成された把持部とを更に備え、
前記貯留部の少なくとも一部が前記把持部の内部に形成されており、前記溶剤供給路の一端が前記把持部内の前記貯留部に接続されていてもよい。
【0013】
このように、把持部の内部に貯留部の少なくとも一部が形成されているため、把持部から溶剤を供給することができる。
また、貯留部をすべて把持部の内部に設けた場合、貯留部のスペースを削減することができるため、レプリカフィルム貼着装置を小型化することができる。
さらに、把持部を片手で把持することにより、貼着作業を片手だけで行う事ができる。従来、即ち両手で貼着作業を行っていた際は、容易に近づけない場所に検査対象箇所が存在すると、レプリカフィルムを貼着することができなかった。しかしながら、本発明によれば、片手だけで貼着作業を行うことができるため、片手でレプリカフィルム貼着装置を把持した状態で当該片手を伸ばすことにより、検査可能となる。
【0014】
また、前記ローラの周面に設けられ、変形自在な中空状の袋体と、
一端が袋体に、他端が前記貯留部にそれぞれ接続され、前記袋体の変形により生じる加圧流体を前記貯留部へ送給する加圧流体供給路と、を備え、
前記袋体の変形により生じる加圧流体が前記加圧流体供給路を介して前記貯留部内に送給されて、前記貯留部内の圧力が上昇することにより、前記貯留部内の溶剤が前記溶剤供給路を介して前記ノズルへと供給されてもよい。
【0015】
このように、ローラの周面に袋体が設けられているため、構成部材の表面上にローラを転動させることにより、袋体を変形することができる。袋体の変形により生じる加圧流体が加圧流体供給路を介して貯留部内に送給されて、貯留部内の圧力が上昇することにより、貯留部内の溶剤が前記溶剤供給路を介してノズルへと供給される。したがって、レプリカフィルムを貼着する位置が目視できない場所でも、溶剤を正確なタイミングで供給して、レプリカフィルムを正確に貼着することができる。
なお、袋体内に封入する流体は、気体又は液体の何れを用いても良い。特に、液体を用いる場合には、溶剤を用いることが好ましい。
【0016】
また、前記把持部は、中空棒状に形成されており、
前記把持部の内部に、軸方向に摺動可能に収容されたピストンと、
前記ピストンによって画成されるとともに、前記溶剤が充満された溶剤室と、
前記ピストンを押圧して前記ピストンを前記把持部の軸方向に摺動させる押圧手段と、を備え、前記溶剤室は前記貯留部の一部を構成しており、
前記押圧手段により前記ピストンを前記溶剤室側へ押圧することにより、前記溶剤室内の溶剤が前記溶剤供給路を介して前記ノズルへと供給されてもよい。
【0017】
このように、把持部の内部に設けられた押圧手段で、把持部の内部に形成された溶剤室を押圧することにより、溶剤室内の溶剤をノズルに供給することができる。また、押圧手段を手動で操作することにより、操作者が溶剤の供給量を調整することができる。
【0018】
また、前記ローラの周面には、周方向に沿って所定の角度ごとに、前記レプリカフィルムの端部を差込み可能な切欠部が形成されており、
前記切欠部に前記レプリカフィルムの端部を差込むことにより、前記レプリカフィルムは前記ローラに巻き付けられていてもよい。
【0019】
このように、ローラの周面には、切欠部が形成されているため、レプリカフィルムの端部を差込むことで、レプリカフィルムをローラに巻き付けることができる。これにより、レプリカフィルムがローラから離れないように手で押さえる必要がなくなる。
【0020】
また、前記把持部は、前記軸方向と直交する横断方向に収縮変形可能であることとしてもよい。
【0021】
このように、把持部は、横断方向に収縮変形可能なので、把持部を手で軽く押し潰すことにより溶剤室内の溶剤を検査対象箇所に供給することができる。これにより、操作者が溶剤の供給量を調整することができる。
【0022】
上述した問題を解決する本発明に係るレプリカフィルム貼着方法は、構造物を構成する構成部材の表面性状をレプリカフィルムに転写させて前記構成部材の表面性状を観察する際に、当該レプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着するレプリカフィルムの貼着方法であって、
前記レプリカフィルムの長さよりも長い周長を有するとともに、周面がレプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着させるための溶剤に対する耐性を有するローラと、前記ローラの周面に巻き付けられた前記レプリカフィルムと、前記溶剤を前記ローラの進行方向前方の前記構成部材の表面に供給する溶剤供給手段と、を備えたレプリカフィルム貼着装置を用いて、前記ローラを前記進行方向に転動させながら、前記ローラよりも前記進行方向前方の前記構成部材の表面に前記溶剤を供給して、前記レプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着することを特徴とする。
【0023】
上記レプリカフィルム貼着方法によれば、構成部材の表面上にローラを転動させながら、構成部材の検査対象箇所に溶剤を供給した後、直ちにローラに巻き付けられたレプリカフィルムを貼着することができるので、作業効率を向上させることができる。
また、溶液を供給すると、直ちにレプリカフィルムを貼着するので、検査対象箇所とレプリカフィルムとの間にゴミや空気が入ることがなく、作業のやり直しを防止することができる。
さらに、ローラを構成部材の表面に沿って転動させるだけなので、作業員の技量にかかわらず、レプリカフィルムを失敗することなく、構成部材の表面に貼着することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、持ち運びが容易で、作業員の技量にかかわらず効率良くレプリカフィルムを貼着可能なレプリカフィルム貼着装置及びレプリカフィルム貼着方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置の斜視図である。
【図2】取手の断面図である。
【図3】レプリカフィルム貼着装置でレプリカフィルムを貼着している状態を示す図である。
【図4】レプリカフィルム貼着装置でレプリカフィルムを貼着している状態を示す図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置の斜視図である。
【図6】レプリカフィルム貼着装置でレプリカフィルムを貼着している状態を示す図である。
【図7】レプリカフィルム貼着装置でレプリカフィルムを貼着している状態を示す図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置の平面図である。
【図9】本発明の第三実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置の一部断面図である。
【図10】従来のレプリカフィルムを貼着する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0027】
図1は、本発明の第一実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置の斜視図である。また、図2は、取手の断面図である。そして、図3及び図4は、レプリカフィルム貼着装置でレプリカフィルムを貼着している状態を示す図である。
図1〜図4に示すように、本実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置1は、弾性体からなるローラ2と、ローラ2に巻き付けられたレプリカフィルム4と、ローラ2を転動可能に支持する取手6と、溶剤11を被検体8の表面に滴下するノズル10と、一端が取手6に、他端がノズル10にそれぞれ接続されたフレキシブルアーム12と、を備えている。
【0028】
ローラ2は、帯状のレプリカフィルム4の長さよりも長い周長を有している。これにより、レプリカフィルム4を重ねることなく、ローラ2に巻き付けることができる。また、ローラ2は、その周面が溶剤11に対する耐性を有している。本実施形態では、ローラ2の材料として、溶剤11に対する耐性を有し、且つ弾性体であるブチルゴムを用いた。なお、ローラ2の材料はこれに限定されるものではなく、溶剤11として用いられる酢酸メチルやアセトン等の有機溶剤に対する耐性を有する材料であればよい。さらに、弾性を有するものが好ましく、例えば、シリコーンゴムやチオコールを用いてもよい。
【0029】
ローラ2の周面には、周方向に沿って所定の角度ごとに、レプリカフィルム4の端部を差込み可能な切欠部14、16が2箇所、形成されている。切欠部14、16は、ローラ2の回転軸2aに沿って形成されている。各切欠部14、16内にアセチル系の樹脂からなる帯状のレプリカフィルム4の端部をそれぞれ差込むことにより、ローラ2の周面にレプリカフィルム4を巻き付けることができる。
本実施形態では、図3及び図4に示すように、切欠部14は、切欠部16よりも90°、ローラ回転方向に形成されている。即ち切欠部14、16間の角度が90°となるように形成したが、この角度に限定されるものではなく、レプリカフィルム4やローラ2の周長によって適宜、決定される。また、本実施形態では、切欠部14、16を2箇所形成したが、この数に限定されるものではなく、1箇所以上形成されていればよい。
【0030】
また、図1に示すように、取手6は、ローラ2を回動可能に支持する支持部6bと、支持部6bに接続され、操作者が把持可能な把持部6aとから構成されている。
取手6の把持部6aは、図2に示すように、ボトル形状を有しており、把持部6aの中にはレプリカフィルム4を軟化させるための酢酸メチルやアセトン等の溶剤11が貯留されている。把持部6aは、耐薬品性を有し、且つ横断方向に変形可能なフッ素樹脂から構成されている。
把持部6a内には、フレキシブルアーム12に連通するチューブ13が設けられている。チューブ13のフレキシブルアーム12と反対側の端部は溶剤11内に配置されている。
把持部6aを軽く押し潰すことにより、把持部6aの内部容積が減少して把持部6a内の圧力が上昇するため、把持部6a内の溶剤11をチューブ13及びフレキシブルアーム12を介してノズル10に供給することができる。
【0031】
再び、図1に示すように、ノズル10は、ローラ2の進行方向前方で、且つローラ2の周面から離間した位置に配置されている。これにより、取手6の把持部6aから供給された溶剤11をローラ2の進行方向前方の被検体8の表面に滴下させることができる。
【0032】
フレキシブルアーム12は、中空形状を有しており、取手6の把持部6a内の溶剤11をノズル10に送給することができる。また、フレキシブルアーム12は、屈曲変形自在なので、ノズル10を所望の位置で支持することができる。
【0033】
フレキシブルアーム12と取手6との接続部分に第1逆止弁18が介在している。第1逆止弁18は、把持部6a内の圧力が所定値以上になると、溶剤11が把持部6a側からフレキシブルアーム12側へ流れることを許可する機能を有する。また、第1逆止弁18は、溶剤11や空気がフレキシブルアーム12側から把持部6a側へ流れることを防止する機能も有する。これにより、溶剤11を検査対象箇所9に滴下した後に、ノズル10及びフレキシブルアーム12内に空気が入ることを防止できる。したがって、次の溶剤供給時に、ノズル10から溶剤11のみを供給することができる。即ちノズル10から溶剤11が出ずに空気だけが出ることを防止できる。
【0034】
また、取手6の上部には、第2逆止弁20が設けられている。第2逆止弁20は、把持部6a内の圧力が大気圧以下になると、大気が取手6内へ流入することを許可する機能を有する。また、第2逆止弁20は、溶剤11及び把持部6a内の空気や溶剤11が把持部6a外へ流出することを防止する機能も有する。これにより、第1逆止弁18を介してフレキシブルアーム12側へ溶剤11を供給した後に、第2逆止弁20を介して把持部6a内に大気を流入させることができる。したがって、溶剤11の減少により変形していた把持部6aの形状を元に戻すことができる。
【0035】
上述した構成からなるレプリカフィルム貼着装置1を用いたレプリカフィルム4の貼着方法について以下で説明する。
【0036】
まず、ローラ2にレプリカフィルム4を巻き付けたレプリカフィルム貼着装置1を被検体8の表面上に載置する。そして、図3に示すように、切欠部16に差し込まれているレプリカフィルム4の端部を切欠部16から外して被検体8の表面に当接させる。
【0037】
次に、被検体8の表面上にローラ2を転動させながら、ノズル10が検査対象箇所9の直上付近に到達したら、取手6の把持部6aを軽く押し潰して、検査対象箇所9に溶剤11を滴下する。
【0038】
続いて、図4に示すように、溶剤11が揮発してしまう前にローラ2を被検体8に押し付けながら進行方向に転動させる。即ち、ローラ2でレプリカフィルム4を検査対象箇所9に密着させるとともに、溶剤11を検査対象箇所9全体に拡げる。このように、ローラ2でレプリカフィルム4を被検体8に押圧することにより、レプリカフィルム4を被検体8に貼着することができる。
レプリカフィルム貼着装置1を被検体8上に載置してから、レプリカフィルム4を貼着するまでの作業は、片手で行う事ができる。
【0039】
レプリカフィルム4を検査対象箇所9に押し付けると、溶剤11によりレプリカフィルム4の接触面が溶解して、検査対象箇所9の表面性状に沿うように変形する。押し付けた状態を所定時間(約1分)保持し、溶剤11が乾燥したら、レプリカフィルム4を被検体8から剥がすことで、レプリカフィルム4の接触面に検査対象箇所9の表面性状を転写してレプリカを採取することができる。
【0040】
上述したように、本実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置1によれば、被検体8の表面上にローラ2を転動させながら、被検体8の検査対象箇所9に溶剤11を滴下した後、直ちにレプリカフィルム4を貼着することができるので、被検体8とレプリカフィルム4との間にゴミや空気が入ることがない。また、貼着作業を片手で行う事ができるため、作業効率が向上する。そして、貼着作業は作業員の技量にかかわらず失敗なく行う事ができる。
【0041】
また、取手6の把持部6aとフレキシブルアーム12との間に第1逆止弁18が設けられているため、溶剤11を検査対象箇所9に滴下した後に、ノズル10及びフレキシブルアーム12内に空気が入ることを防止できる。したがって、次の溶剤供給時に、ノズル10から溶剤11のみを供給することができる。即ちノズル10から溶剤11が出ずに空気だけがでることを防止できる。
【0042】
そして、取手6の把持部6aは横断方向に変形可能なので、把持部6aを軽く押し潰すことにより溶剤11をノズル10に送給することができる。溶剤11の供給は、作業員の意思で行う事ができるため、溶剤11の供給タイミングを調整することができる。そして、溶剤11が取手6の把持部6a内に貯留されているため、レプリカフィルム貼着装置1を小型化することができる。
【0043】
また、取手6の把持部6aに第2逆止弁20が設けられているため、溶剤11をフレキシブルアーム12側に供給した後に、第2逆止弁20を介して把持部6a内に大気を流入させることができる。これにより、溶剤11の減少により変形していた把持部6aの形状を元に戻すことができる。
【0044】
さらに、ローラ2の周面には、2つの切欠部14、16が形成されているため、レプリカフィルム4の端部を各切欠部14、16に差込むことで、レプリカフィルム4をローラ2に巻き付けることができる。これにより、レプリカフィルム4がローラ2から離れないように手で押さえる必要がなくなる。
【0045】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。第二実施形態のレプリカフィルム貼着装置は、ローラ2に袋体を設けたものである。
【0046】
図5は、本発明の第二実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置の斜視図である。また、図6及び図7は、レプリカフィルム貼着装置でレプリカフィルムを貼着している状態を示す図である。
図5〜図7に示すように、本実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置21は、ローラ2の周面に設けられた複数の袋体22を備えている。
各袋体22は、袋状のゴムから形成されており、内部が中空で変形自在である。また、袋体22は、図6及び図7に示すように、切欠部14に対してローラ2の周方向に180°離間した位置に設けられている。このように、袋体22は、切欠部14に対して180°離間した位置に設けられているため、貼着作業時に袋体22を目視できなくても切欠部14の位置を確認することにより、袋体22の位置を推定することができる。これにより、溶剤11の供給されるタイミングを概ね把握することができる。
【0047】
また、図5〜図7に示すように、レプリカフィルム貼着装置21は、袋体22と把持部6aとを連通して、袋体22内の加圧流体を把持部6aに送給する加圧流体供給路24を備えている。
加圧流体供給路24は、ローラ2内に設けられたローラ内連通管25と、当該ローラ内連通管25にスイベル継手27を介して接続され、取手6の支持部6bに沿って設けられた外部連通管29とを備えている。
ローラ内連通管25は、一端側が2つに分岐されて各袋体22に接続され、他端がローラ2の軸方向側面から突出するように配置されている。ローラ内連通管25の他端は、スイベル継手27に接続されている。即ちローラ内連通管25は、スイベル継手27を介して外部連通管29に対して回転自在に接続されている。
また、外部連通管29の端部は、取手6の把持部6aを貫通し、把持部6a内に設けられている。
【0048】
加圧流体供給路24は、袋体22の圧縮により生じた圧縮空気を把持部6aへ送給する。袋体22が押し潰されると、袋体22内の圧縮空気が加圧流体供給路24を介して把持部6a内に供給されて、把持部6a内の圧力が上昇する。把持部6a内の圧力の上昇によって、溶剤11がフレキシブルアーム12へ押し出され、ノズル10を介して被検体8の表面に溶剤11を供給することができる。
【0049】
加圧流体供給路24の外部連通管29の途中には、第3逆止弁26が設けられている。第3逆止弁26は、加圧流体供給路24内の圧力が大気圧以下になると、大気が加圧流体供給路24へ流入することを許可する機能を有する。また、第3逆止弁26は、加圧流体供給路24内の圧縮空気が加圧流体供給路24の途中から外部へ流出することを防止する機能も有する。これにより、袋体22内で生じた圧縮空気を把持部6a内へ供給することができる。さらに、加圧流体供給後、加圧流体供給路24内に大気が流入することにより、再び袋体22を膨らますことができる。
【0050】
また、加圧流体供給路24の他端には第4逆止弁28が接続されている。第4逆止弁28は、加圧流体供給路24内の圧力が所定値以上になると、加圧流体供給路24内の圧縮空気が把持部6a側へ流れることを許可する機能を有する。また、第4逆止弁28は、把持部6a側から袋体22側へ溶剤11が流入することを防止する機能も有する。これにより、圧縮空気を供給した後に、加圧流体供給路24内に溶剤11が流入することを防止できる。
【0051】
上述した構成からなるレプリカフィルム貼着装置21を用いたレプリカフィルの貼着方法について以下で説明する。
【0052】
まず、第一実施形態と同様に、ローラ2にレプリカフィルム4を巻き付けたレプリカフィルム貼着装置21を被検体8の表面上に載置する。そして、切欠部16に差し込まれているレプリカフィルム4の端部を切欠部16から外して被検体8の表面に当接させる。
【0053】
次に、図6に示すように、被検体8の表面上にローラ2を転動させて袋体22を押し潰すと、袋体22内の空気が圧縮されて加圧流体供給路24を介して把持部6a内に供給されるとともに、把持部6a内の溶剤11がフレキシブルアーム12へ押し出され、ノズル10の先端から被検体8の検査対象箇所9に溶剤11が滴下される。このとき、検査対象箇所9に滴下された溶剤11の量が少ない場合には、第一実施形態と同様に、取手6の把持部6aを軽く押し潰すと、ノズル10の先端から被検体8の検査対象箇所9に溶剤11を滴下できる。
【0054】
続いて、図7に示すように、溶剤11が揮発してしまう前にローラ2を被検体8に押し付けながら、ローラ2を進行方向に転動させる。このようにしてローラ2でレプリカフィルム4を被検体8に押圧することにより、被検体8の検査対象箇所9とレプリカフィルム4との間にゴミや空気を介在させることなく、レプリカフィルム4を貼着することができる。
【0055】
上述したように、本実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置21によれば、ローラ2の周面に袋体22が設けられているため、被検体8の表面上にローラ2を転動させることにより、自動的に溶剤11を被検体8の検査対象箇所9に滴下することができる。このとき、溶剤11の量が少ない場合には、取手6の把持部6aを軽く押し潰すことで、更に溶剤11を供給することができる。なお、本実施形態でも上述した第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、本実施形態においては、袋体22内に封入する流体として空気を用いた場合について説明したが、空気に限定されるものではなく、窒素等を用いてもよい。また、気体に限定されるものではなく、液体を用いてもよい。液体を用いる場合には、溶剤を用いることが好ましい。
【0057】
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図8は、本発明の第三実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置の平面図である。また、図9は、本発明の第三実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置の一部断面図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置31の取手33の把持部33aには、レバー46の操作により溶剤11を供給可能な溶剤供給機構32が設けられている。
【0058】
溶剤供給機構32は、中空棒状の把持部33aの内周面に当接しながら把持部33a内を摺動可能なピストン34と、把持部33a内に、ローラ2とは反対側(以下、後端側という)の端部に設けられたバネ36と、を備えている。また、バネ36の一端を固定する固定材38と、バネ36の他端側に設けられてバネ36を伸縮させる可動材40と、一端がピストン34に、他端が可動材40に接続された連結材42と、を更に備えている。さらに、連結材42の突起部44に係合して連結材42を移動させるためのレバー46と、を備えている。
また、把持部33a内のローラ側端部には、ピストン34によって画成され、溶剤11が充満された溶剤室50が形成されている。溶剤室50は、第5逆止弁51を介して溶剤11を貯留するタンク48と接続されている。
【0059】
第5逆止弁51は、溶剤室50内の圧力が所定圧以下になると、タンク48内の溶剤11が溶剤室50内へ流入することを許可する機能を有する。また、第5逆止弁51は、溶剤11がタンク48へ流出することを防止する機能も有する。これにより、溶剤室50内の溶剤11をフレキシブルアーム12側へ供給した後に、溶剤11をタンク48から供給することができる。したがって、溶剤室50内を溶剤11で充満した状態を維持することができる。また、溶剤室50からタンク48へ溶剤11が逆流することを防止できる。
【0060】
図9の矢印A方向にレバー46を回動させると、連結材42がローラ2側に向かって(図中矢印B方向へ)移動するとともに、ピストン34が溶剤室50を押圧する。これにより、溶剤室50内の圧力が上昇して、溶剤室50内の溶剤11がチューブ13及びフレキシブルアーム12を介してノズル10へと供給される。
【0061】
その後、レバー46の操作を止めると、バネ36の付勢力により連結材42が後端側へ移動するとともに、ピストン34も後端側へ移動して溶剤11の供給を停止することができる。このとき、溶剤室50内の圧力が低下するため、第5逆止弁が開いてタンク48内から溶剤11が溶剤室50内へ供給される。
【0062】
取手33の把持部33aの上面には、レバー46上端部の移動量を確認するための目印52が複数記されている。目印52間は等間隔に記されている。レバー46の操作により、レバー46の上端部が1目盛分移動すると、予め設定された所定量の溶剤11が検査対象箇所9に滴下される。
【0063】
レプリカフィルム貼着装置31の取手33は、ローラ2の進行方向側の端部を囲う略コの字型のガード部54を備えている。ガード部54の両端はローラ2の回転軸2aに接続されており、回転軸2aを中心に回動する(図中矢印C参照)ことができる。ガード部54にはノズル10が固定されており、ガード部54を回動させることにより、ノズル10の位置を変更することができる。
【0064】
上述したように、本実施形態に係るレプリカフィルム貼着装置31によれば、レバー46の操作により溶剤11を供給することができる。また、把持部33aに目印52が記されているため、レバー46上端部の移動量を確認することにより、溶剤11の供給量を調整することができる。
また、ガード部54を備えているため、被検体8の検査対象箇所9付近にケーブル等が存在していても、ケーブル等がレプリカフィルム4に接触することを防止できる。さらに、ガード部54を回動させることにより、ノズル10を所望の位置に容易に配置することができる。なお、本実施形態でも上述した第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 レプリカフィルム貼着装置
2 ローラ
2a 回転軸
4 レプリカフィルム
6 取手
6a 把持部
6b 支持部
8 被検体
9 検査対象箇所
10 ノズル
11 溶剤
12 フレキシブルアーム
13 チューブ
14 切欠部
16 切欠部
18 第1逆止弁
20 第2逆止弁
21 レプリカフィルム貼着装置
22 袋体
24 加圧流体供給路
25 ローラ内連通管
26 第3逆止弁
27 スイベル継手
28 第4逆止弁
29 外部連通管
31 レプリカフィルム貼着装置
32 溶剤供給機構
33 取手
33a 把持部
34 ピストン
36 バネ
38 固定材
40 可動材
42 連結材
44 突起部
46 レバー
48 タンク
50 溶剤室
52 目印
54 ガード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を構成する構成部材の表面性状をレプリカフィルムに転写させて前記構成部材の表面性状を観察する際に、当該レプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着するレプリカフィルム貼着装置であって、
前記レプリカフィルムの長さよりも長い周長を有するとともに、周面がレプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着させるための溶剤に対する耐性を有するローラと、
前記ローラの周面に巻き付けられた前記レプリカフィルムと、
前記溶剤を前記ローラの進行方向前方の前記構成部材の表面に供給する溶剤供給手段と、を備え、
前記ローラを前記進行方向に転動させながら、前記構成部材の表面に前記溶剤を供給して、前記レプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着するように構成されていることを特徴とするレプリカフィルム貼着装置。
【請求項2】
前記溶剤供給手段は、
前記ローラの周面から離間した位置に配置され、前記溶剤を前記構成部材の表面に供給するノズルと、
前記溶剤を貯留する貯留部と、
一端が前記貯留部に、他端が前記ノズルにそれぞれ接続され、前記貯留部内の溶剤を前記ノズルに送給する溶剤供給路と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のレプリカフィルム貼着装置。
【請求項3】
前記ローラを転動可能に支持する支持部と、当該支持部に接続されるとともに、操作者が把持可能に構成された把持部とを更に備え、
前記貯留部の少なくとも一部が前記把持部の内部に形成されており、前記溶剤供給路の一端が前記把持部内の前記貯留部に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のレプリカフィルム貼着装置。
【請求項4】
前記ローラの周面に設けられ、変形自在な中空状の袋体と、
一端が袋体に、他端が前記貯留部にそれぞれ接続され、前記袋体の変形により生じる加圧流体を前記貯留部へ送給する加圧流体供給路と、を備え、
前記袋体の変形により生じる加圧流体が前記加圧流体供給路を介して前記貯留部内に送給されて、前記貯留部内の圧力が上昇することにより、前記貯留部内の溶剤が前記溶剤供給路を介して前記ノズルへと供給されることを特徴とする請求項2又は3に記載のレプリカフィルム貼着装置。
【請求項5】
前記把持部は、中空棒状に形成されており、
前記把持部の内部に、軸方向に摺動可能に収容されたピストンと、
前記ピストンによって画成されるとともに、前記溶剤が充満された溶剤室と、
前記ピストンを押圧して前記ピストンを前記把持部の軸方向に摺動させる押圧手段と、を備え、前記溶剤室は前記貯留部の一部を構成しており、
前記押圧手段により前記ピストンを前記溶剤室側へ押圧することにより、前記溶剤室内の溶剤が前記溶剤供給路を介して前記ノズルへと供給されることを特徴とする請求項3に記載のレプリカフィルム貼着装置。
【請求項6】
前記ローラの周面には、周方向に沿って所定の角度ごとに、前記レプリカフィルムの端部を差込み可能な切欠部が形成されており、
前記切欠部に前記レプリカフィルムの端部を差込むことにより、前記レプリカフィルムは前記ローラに巻き付けられていることを特徴とする請求項1〜5のうち何れか一項に記載のレプリカフィルム貼着装置。
【請求項7】
前記把持部は、前記軸方向と直交する横断方向に収縮変形可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載のレプリカフィルム貼着装置。
【請求項8】
構造物を構成する構成部材の表面性状をレプリカフィルムに転写させて前記構成部材の表面性状を観察する際に、当該レプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着するレプリカフィルムの貼着方法であって、
前記レプリカフィルムの長さよりも長い周長を有するとともに、周面がレプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着させるための溶剤に対する耐性を有するローラと、前記ローラの周面に巻き付けられた前記レプリカフィルムと、前記溶剤を前記ローラの進行方向前方の前記構成部材の表面に供給する溶剤供給手段と、を備えたレプリカフィルム貼着装置を用いて、前記ローラを前記進行方向に転動させながら、前記ローラよりも前記進行方向前方の前記構成部材の表面に前記溶剤を供給して、前記レプリカフィルムを前記構成部材の表面に貼着することを特徴とするレプリカフィルム貼着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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