説明

レベラー化合物

【課題】たとえば半導体装置およびプリント回路基板のような基体の、種々のサイズの開口を、実質的に空隙なく充填することができ、さらに密集した非常に小さい開口の領域と開口のない領域とを、段高さの差が1μm未満であるように平坦にメッキできる平滑化剤を提供する。
【解決手段】電解液に加える平滑化剤は、重合単位としてエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーを含むポリマー平滑化剤で、さらに重合単位として(メタ)アクリレートモノマーおよびエチレン性不飽和架橋剤を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、電解金属メッキ組成物の分野に関係する。詳細には、本発明は、銅電気メッキ組成物の分野に関係する。
【背景技術】
【0002】
金属層が、様々な目的で様々な基体にメッキされている。銅は、多くの電子装置の製造において使用されている。物品に金属、例えば銅などを電気メッキするための方法は、一般的に、メッキ液中の二つの電極間に電流を通すことを含み、これらの電極のうちの一方がメッキされるべき物品である(典型的には陰極)。典型的な酸性銅電気メッキ液は、溶解された銅(通常は硫酸銅)、その浴に導電性を付与するのに充分な量の酸性電解質(例えば硫酸など)、および銅堆積物の質を改善するための一以上の添加剤を含む。かかる添加剤は、光沢剤、レベラー、界面活性剤および抑制剤を包含する。
【0003】
不規則な表面的特徴を有する基体をメッキするときに、特有の問題を生じる場合がある。電気メッキの過程で、電圧降下変動が、典型的には、不規則な表面に沿って存在し、これは、むらのある金属堆積物をもたらし得る。メッキの不規則性は、電圧降下変動が比較的際立っている場所で、即ち、表面の不規則性がかなりのレベルである場所で悪化する。その結果、このような表面凹凸上では、オーバープレーティングと呼ばれる厚めの金属堆積物が観測される。実質的に一様な厚みの金属層を達成することは、メッキされた物品、例えば電子装置などの製造における困難な工程であることが多い。基体表面に実質的に一様な、または平滑な金属層をもたらすため、金属メッキ浴、特に銅メッキ浴に平滑化剤が使用されることが多い。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1069211A2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電解堆積金属層(例えば銅)の純度は、電子装置のサイズが小さい場合に重要になる。狭い相互接続線における高レベルの不純物は、金属の固有抵抗を増大させ、並びに、早期のエレクトロマイグレーション故障により、装置の有用寿命を減少させる。従って、本産業における趨勢は、堆積物の固有抵抗を低減し、且つ、より長いエレクトロマイグレーション寿命を促進させるべく、狭い相互接続線内に高純度の銅堆積物をもたらす金属メッキ浴、特に銅電気メッキ浴を目指している。
【0005】
ストレス起因空隙形成(stress−induced−voiding)がデュアルダマシン構造における銅堆積物において生じ、そこでは、広い金属線につながるビアの下で空隙が形成される。このような空隙形成は、その装置の故障をもたらす。一つの理論によれば、このような空隙形成の成立は、銅が適切にアニールされなかったときに銅堆積物中に生じる空間に起因するものと考えられる。このような空隙形成がどのようにして生じるのかにかかわらず、広い金属線で比較的高純度の銅を使用することは、このような空隙形成の発生を悪化させる。この産業界においては、ストレス起因空隙を形成しない銅堆積物に対するニーズが存在する。
【0006】
欧州特許出願公開第1069211A2号は、平滑化剤を含有する銅電気メッキ浴を開示している。ポリアクリルアミドをはじめとする様々な平滑化剤が開示されている。しかし、この特許出願は、ストレス起因ボイドの問題を扱っていない。
【0007】
驚くべきことに、金属層の電気メッキの過程において、金属堆積物中に、例えば銅金属線中に不純物を選択的に組み入れ可能であることが判明した。特に、広い金属線中へのこのような不純物の選択的な組み入れは、このような金属線につながったビアの下でのストレス起因空隙の形成を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの実施態様においては、本発明は、金属イオンのソース、電解質、並びに重合単位としてエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーを含んだポリマー平滑化剤を含む組成物を提供する。かかる組成物は、任意に、一以上のそれぞれ促進剤、抑制剤、ハロゲン化物イオンのソースおよび結晶微粒化剤(garain refiner)を含むことができる。また、本発明により、重合単位として1〜70重量%のエチレン性不飽和架橋剤、5〜80重量%のエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーおよび5〜80重量%の(メタ)アクリレートモノマーを含む特定のポリマー平滑化剤も提供される。他のポリマー平滑化剤は、重合単位として5〜90重量%のエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーおよび10〜95重量%の(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0009】
更なる実施態様においては、本発明は、基体上に金属の層を堆積させる方法を提供し、この方法は、基体を上記の組成物と接触させる工程;およびその基体に金属層が堆積する時間の間、電流密度を加える工程;を含む。上述の時間的な期間は、所望の厚みの金属層を堆積させるのに充分な時間である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、実質的に平坦な金属堆積物をもたらすのに有用である。また、本発明は、不純物を所望のレベルで金属堆積物中に組み入れるのにも有用である。特に、本発明は、電子装置、例えば集積回路の製造に有用であり、より詳細には、集積回路の製造における広い金属線の堆積に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書全体を通じ、使用されている場合、以下の省略記号は以下の意味を有するものとする:nm=ナノメートル;g/L=1リットル当たりのグラム;重量%=重量百分率;mA/cm=1平方センチメートル当たりのミリアンペア;μm=ミクロン=マイクロメートル;ppm=百万分の一、mL/L=ミリリットル/リットル;℃=摂氏温度;sec.=秒;msec.=ミリ秒;g=グラム;DC=直流;およびÅ=オングストローム。
【0012】
本明細書全体を通じ、使用されている場合、「フィーチャー」は基体上の形状を表す。「開口」は凹所のフィーチャー、例えばビアおよびトレンチを表す。本明細書全体を通じ、使用されている場合、「メッキ」という用語は、基体への金属堆積を表す。「欠陥」は、例えば突起およびピットなどの金属層の表面欠陥、並びに例えば空隙などの金属層内の欠陥を表す。「広い金属線」は、1μmより広い幅を有する金属線を表す。「層」および「皮膜」という用語は互換可能に使用され、文脈が他を明確に示していない限り、金属堆積物を表す。
【0013】
「アルキル」という用語は、直鎖状、分枝状および環状のアルキルを包含する。「(メタ)アクリル」という用語は、アクリルおよびメタクリルの両方を包含し、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を包含する。同様に、「(メタ)アクリルアミド」という用語は、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの両方を表す。本明細書で使用する場合、「(メタ)アクリレートモノマー」という用語は、すべての種類の(メタ)アクリル、(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドモノマーを包含する。「ポリマー」および「高分子」は、ポリマーおよびオリゴマーを表し、ホモポリマーおよびコポリマーを包含する。「オリゴマー」および「オリゴマーの」という用語は、ダイマー、トリマー、テトラマーなどを表す。「モノマー」は、重合することができる任意のエチレン的またはアセチレン的に不飽和な化合物を表す。かかるモノマーは、一以上の二重結合または三重結合を含んでいてよい。重合することができる二以上の二重結合または三重結合を含んだモノマーは「架橋剤」と呼ばれる。「架橋剤」および「橋架け剤」という用語は互換可能に使用される。
【0014】
「促進剤」は、電気メッキの過程において金属のメッキ速度を増大させる有機添加剤を表す。「抑制剤」は、金属のメッキ速度を抑制する有機添加剤を表す。「レベラー」は、実質的に平坦な金属層をもたらすことができる有機添加剤を表す。「レベラー」および「平滑化剤」という用語は、本明細書全体を通じ、互換可能に使用される。「ハロゲン化物」という用語は、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物を表す。
【0015】
すべての百分率および比率は、他に指示されていない限り、重量による割合である。すべての範囲は、境界値を含み、及びかかる数字による範囲が合計して100%になるべく拘束されていることが明らかな場合を除き、任意の順番で組合せ可能である。
【0016】
広範囲にわたる様々な金属電気メッキ浴を本発明とともに使用することができる。金属電気メッキ浴は、典型的には、金属イオンのソース;電解質;および重合単位としてエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーを含んだポリマー平滑化剤;を含む。任意に、電気メッキ浴は、一以上の促進剤、抑制剤、ハロゲン化物イオンのソース、結晶微粒化剤およびそれらの混合物を含んでいてよい。また、他の添加剤も本電気メッキ浴において好適に使用することができる。
【0017】
金属イオンの典型的なソースは、電気メッキ浴に可溶性のあらゆる金属化合物である。好適な金属化合物としては、これらに限定するものではないが、無機および有機の金属塩、例えば金属硫酸塩、銅過硫酸塩、金属ハロゲン化物、塩素酸金属塩、過塩素酸金属塩、アルカンスルホン酸金属塩、例えばメタンスルホン酸金属塩など、アルカノールスルホン酸金属塩、アリールスルホン酸金属塩、フルオロホウ酸金属塩、金属硝酸塩、金属酢酸塩、金属クエン酸塩および金属グルコン酸塩が挙げられる。例示的な金属としては、これらに限定されないが、銅、スズ、銀、金、ビスマス、ニッケル、亜鉛、イリジウムおよびアンチモンが挙げられる。一つの実施態様では、金属イオンのソースは銅イオンのソースである。更なる実施態様では、金属イオンのソースは硫酸銅である。同じ金属または異なる金属を含有する金属化合物の混合物も使用することができる。金属の例示的な混合物としては、これらに限定するものではないが、銅−スズ、銅−スズ−ビスマス、スズ−ビスマス、スズ−銅−銀、スズ−銀、および銅−銀が挙げられる。かかる金属化合物の混合物は金属合金の堆積物をもたらす。かかる金属イオンのソースは、一般的に、商業的に入手することができる。
【0018】
これらの金属イオンのソースは、比較的広い濃度範囲において、本電気メッキ浴中で使用することができる。典型的には、金属イオンソースは、メッキ浴中において1g/L〜100g/Lの金属イオンの量を提供するのに充分な量で存在する。より典型的には、金属イオンのソースは、メッキ浴中において10g/L〜80g/Lの金属イオンを提供する。
【0019】
電解質はアルカリ性であってもよいし、または酸性であってもよく、典型的には酸性である。金属化合物と適合する任意の酸を本発明において使用することができる。好適な酸としては、これらに限定するものではないが:硫酸、酢酸、フルオロホウ酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸、アルカンスルホン酸およびアリールスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸およびベンゼンスルホン酸、ならびにハロゲン化酸、例えばトリフルオロメチルスルホン酸およびハロ酢酸、例えばトリフルオロ酢酸;が挙げられる。典型的には、酸は、硫酸、アルカンスルホン酸またはアリールスルホン酸である。酸の混合物も使用することができる。一般的に、これらの酸は、電気メッキ浴に導電性を付与するのに充分な量で存在する。本発明の酸性電解質のpHは7未満の値を有しており、典型的には2未満である。例示的なアルカリ性電気メッキ浴は、電解質としてピロリン酸塩を使用するが、他の電解質も使用することができる。当業者であれば、この電解質のpHは、必要な場合、任意の好適な方法により調節され得ることを認識する。
【0020】
本電気メッキ浴で使用される酸性電解質の合計量は、0〜200g/Lであってよく、典型的には0〜120g/Lであるが、特定の用途では、もっと多量の酸、例えば225g/Lまでなどの量の酸、更には300g/Lもの量の酸を使用することもできる。当業者であれば、金属イオンのソースとして金属硫酸塩、アルカンスルホン酸金属塩またはアリールスルホン酸金属塩を使用することにより、何ら酸を加えることなく、酸性の電解質を得られることを認識する。
【0021】
一般的に、本金属電気メッキ浴は水も含む。水は、広範囲にわたる量で存在することができる。任意の種類の水を使用することができ、例えば蒸留水、脱イオン水または水道水などを使用することができる。
【0022】
本発明のポリマー平滑化剤は、重合単位としてエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーを含む。このような平滑化剤は、重合単位として架橋剤を更に含んでよい。任意に、平滑化剤は、重合単位として(メタ)アクリレートモノマーを更に含むことができる。一つの更なる実施態様では、本平滑化剤はイオウ含有基を含む。
【0023】
本発明に有用な、エチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーおよびそれらのチオ類似体としては、これらに限定されないが:ビニルピリジン、例えば2−ビニルピリジンまたは4−ビニルピリジン;低級アルキル(C−C)置換N−ビニルピリジン、例えば2−メチル5−ビニル−ピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニル−ピリジン、および2−メチル−3−エチル−ビニルピリジン;メチル置換キノリンおよびイソキノリン;N−ビニルカプロラクタム;N−ビニルブチロラクタム;N−ビニルピロリドン;ビニルイミダゾール;N−ビニルカルバゾール;N−ビニル−スクシンイミド;(メタ)アクリロニトリル;o−、m−、またはp−アミノスチレン;マレイミド;N−ビニル−オキサゾリドン;N,N−ジメチルアミノエチル−ビニル−エーテル;エチル−2−シアノアクリレート;ビニルアセトニトリル;N−ビニルフタルイミド;N−ビニル−ピロリドン、例えばN−ビニル−チオ−ピロリドン、3−メチル−1−ビニル−ピロリドン、4−メチル−1−ビニル−ピロリドン、5−メチル−1−ビニル−ピロリドン、3−エチル−1−ビニル−ピロリドン、3−ブチル−1−ビニル−ピロリドン、3,3−ジメチル1−ビニル−ピロリドン、4,5−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、5,5−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、3,3,5−トリメチル−1−ビニル−ピロリドン、4−エチル−1−ビニル−ピロリドン、5−メチル−5−エチル−1−ビニル−ピロリドンおよび3,4,5−トリメチル−1−ビニル−ピロリドンなど;ビニルピロール;ビニルアニリン;ならびにビニルピペリジン;が挙げられる。一つの実施態様では、エチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーは芳香族である。
【0024】
本発明に有用な、好適な架橋剤としては、ジ−、トリ−、テトラ−、またはそれより高次のエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。本発明に有用な架橋剤の例としては、これらに限定するものではないが:トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート、2,2−ジメチルプロパン1,3−ジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコール600ジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)およびそれらの混合物が挙げられる。エチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式架橋剤は、本ポリマー平滑化剤におけるエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーとして使用することもできる。
【0025】
本発明のポリマー平滑化剤は、任意に、追加のモノマー、例えば、これらに限定するものではないが:(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル芳香族モノマー、置換エチレンモノマー、およびそれらの混合物などを含んでよい。一つの実施態様では、本ポリマー平滑化剤は、重合単位として(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0026】
好適なアルキル(メタ)アクリレートとしては、これらに限定されないが、(C−C24)アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートの例としては、これらに限定するものではないが:メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
本発明に有用な(メタ)アクリレートモノマーアクリルアミドおよびアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、任意に置換されていてもよい。好適な置換(メタ)アクリレートモノマーとしては、これらに限定するものではないが:ヒドロキシ(C−C)アルキル(メタ)アクリレート、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレート;ジアルキルアミノ(C−C)−アルキル(メタ)アクリレート、例えばジメチルアミノエチルメタクリレートおよびジメチルアミノエチルアクリレート;ジアルキルアミノ(C−C)アルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミドおよびN,N−ジメチル−アミノプロピルメタクリルアミド;(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート;(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート;およびそれらの混合物;が挙げられる。
【0028】
本発明に有用なビニル芳香族モノマーとしては、これらに限定するものではないが:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、およびそれらの混合物が挙げられる。ビニル芳香族モノマーは置換されていてよく、その場合、一以上の水素が、一以上の置換基、例えば、これらに限定するものではないが、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、およびアミノなどで置換される。
【0029】
他の好適なモノマーとしては、アルキレンオキシドモノマー、特にアルキレンオキシド含有(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。例示的なアルキレンオキシドモノマーとしては、これらに限定するものではないが、ポリ(プロピレンオキシド)モノマー、ポリ(エチレンオキシド)モノマー、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)モノマー、ポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)4−ノニルフェノールエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレン/エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物が挙げられる。本発明に有用なポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)モノマーは線状コポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーであり得る。かかるモノマーは、典型的には、約1〜約50、好適には約2〜約50の重合度を有している。アルキレンオキシドモノマーも含有する本発明の平滑化剤は、抑制剤としても機能することができる。
【0030】
一つの実施態様では、本発明の平滑化剤は、任意にイオウ含有基を含んでいてよい。かかるイオウ含有基は、エチレン性不飽和イオウ含有モノマーの重合単位として存在していてよく、または重合連鎖移動剤の一部として組み込まれていてもよい。好適な重合連鎖移動剤はアルキルメルカプタンを含む。
【0031】
本発明の平滑化剤はコポリマーまたはホモポリマーであってよく、及びより典型的にはコポリマーである。一般的に、本ポリマー平滑化剤は、重合単位として1重量%〜100重量%の窒素含有ヘテロ環式モノマーを含み、より典型的には5重量%〜90重量%、より一層典型的には10重量%〜75重量%の窒素含有ヘテロ環式モノマーを含む。かかる平滑化剤は、一般的に、重合単位として、窒素含有ヘテロ環式モノマーではない、0〜99重量%のモノマーを含む。典型的には、かかる非窒素含有ヘテロ環式モノマーは、平滑化剤における重合単位として10重量%〜95重量%の量で存在し、より典型的には25重量%〜90重量%の量で存在する。ポリマー平滑化剤の分子量は、典型的には1,000〜1,000,000の範囲であり、好適には5,000〜500,000、より好適には10,000〜100,000の範囲である。これらの材料の多分散性は1〜20、好適には1.001〜15、より好適には1.001〜10の範囲である。
【0032】
ポリマー平滑化剤は、当技術分野において既知の様々な方法により調製することができる。例えば、かかる平滑化剤は、溶液重合により調製することができ、例えば米国特許第6,903,175号(Goreら)および第5,863,996号(Graham)に開示されている方法などにより調製することができ、または乳化重合によりより調製することができ、、例えば米国特許第6,420,441号(Gallagherら)および第6,787,601号(Lamolaら)に開示されている方法などにより調製することができる。
【0033】
溶液重合される平滑化剤は、非水性溶媒中において調製される。このような重合に好適な溶媒は当業者に広く知られている。かかる溶媒の例としては、これらに限定するものではないが:炭化水素、例えばアルカン、フッ素化炭化水素および芳香族炭化水素など、エーテル、ケトン、エステル、アルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられる。特に好適な溶媒としては、ドデカン、メシチレン、キシレン、ジフェニルエーテル、ガンマ−ブチロラクトン、エチルラクタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、カプロラクトン、2−ヘパタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、デカノールおよびtert−ブタノールが挙げられる。
【0034】
溶液重合される平滑化剤は、初めに溶媒ヒール(heel)または代替的に溶媒とモノマー混合物の幾分かの部分との混合物を、スターラー、温度計および還流冷却器を備えた反応容器に充填することにより調製することができる。このモノマー混合物は、典型的には、モノマー(場合によって橋架け剤を含む)、開始剤および必要に応じて連鎖移動剤から構成される。この溶媒または溶媒/モノマー混合物ヒールが、窒素雰囲気生成装置下において攪拌しながら、55℃〜125℃の温度に加熱される。このヒール充填が重合を開始させるのに充分な温度に達した後、モノマー混合物またはモノマー混合物残部が、反応を所望の反応温度に維持しながら、15分間〜4時間の期間にわたってこの反応容器に充填される。モノマー混合物の添加が完了した後、溶媒中における一連の追加のアリコートの開始剤がこの反応に投入される。典型的には、開始剤が反応に投入された後、次の開始剤量を加える前に、反応が生じるのを可能にする保持期間が続く。典型的には三回の開始剤添加が行われる。最後の開始剤量が加えられた後、そのバッチは、すべての開始剤を完全に分解し、反応を完結させるため、30分間〜4時間の間、保持される。一つの代替的な方法は、初めに溶媒と一部のモノマー混合物との両方を反応容器に充填することである。
【0035】
本発明に有用なエマルションポリマーは、初めに水およびモノマーエマルションの幾分かを、スターラー、温度計および還流冷却器を備えた反応容器に充填することにより調製することができる。典型的には、このモノマーエマルションは、モノマー、界面活性剤、開始剤および必要に応じて連鎖移動剤から構成される。モノマーエマルションの最初の充填が、窒素雰囲気生成装置下において攪拌しながら、55℃〜125℃の温度に加熱される。シード充填が重合を開始させるのに充分な温度に達した後、モノマーエマルションまたはモノマーエマルションの残部が、反応を所望の反応温度に維持しながら、15分〜4時間の期間にわたってこの反応容器に充填される。モノマーエマルションの添加が完了した後、水中における一連の追加のアリコートの開始剤がこの反応に投入される。典型的には、開始剤が反応に投入された後、次の開始剤量を加える前に、反応が生じるのを可能にする保持期間が続く。典型的には三回の開始剤添加が行われる。最後の開始剤量が加えられた後、そのバッチは、すべての開始剤を完全に分解し、反応を完結させるため、30分間〜4時間の間、保持される。
【0036】
代替的に、この乳化重合をバッチプロセスで実施することもできる。このようなバッチプロセスでは、エマルションポリマーは、水、モノマー、界面活性剤、開始剤および必要に応じて連鎖移動剤を窒素雰囲気生成装置下で攪拌しながら反応容器に充填することにより調製される。このモノマーエマルションが、重合を実行すべく、55℃〜125℃の温度に加熱される。この温度で30分〜4時間経過した後、一連の追加のアリコートの開始剤がこの反応容器に充填される。典型的には、開始剤が反応容器に充填された後、次の量の開始剤を加える前に、反応が生じるのを可能にする保持期間が続く。典型的には三回の開始剤添加が行われる。最後の開始剤量が加えられた後、そのバッチは、すべての開始剤を完全に分解し、反応を完結させるため、30分間〜4時間の間、保持される。
【0037】
平滑化剤は、アニオン重合またはフリーラジカル重合を用いて調製することができる。一つの実施態様では、重合はフリーラジカル重合である。フリーラジカル重合に有用な開始剤としては、これらに限定するものではないが、ペルオキシエステル、例えばtert−ブチルペルオクトエート、ジアルキルペルオキシドおよびアルキルヒドロペルオキシド、例えばベンゾイルペルオキシド、tert−アミルペルオキシピバレートおよびクメンヒドロペルオキシド、ペルスルフェート、アゾ開始剤、例えばアゾイソブチルニトリルおよび2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、ならびにレドックス開始剤が挙げられる。かかるフリーラジカル開始剤が使用される場合、開始剤の一部が末端基としてポリマーに組み入れられる。使用されるフリーラジカル開始剤の量は、典型的には、全モノマー重量に基づき、0.05重量%〜10重量%である。一より多くの重合開始剤を使用してよいことが認識される。
【0038】
場合によって、連鎖移動剤が、本ポリマー平滑化剤を調製するため、重合反応において任意に使用され得る。好適な連鎖移動剤としては、これらに限定するものではないが、アルキルメルカプタン、例えばドデシルメルカプタン、および活性水素を伴う芳香族炭化水素、例えばトルエンが挙げられる。任意的なかかる連鎖移動剤は、典型的には、モノマー原料に加えられる。
【0039】
ポリマー平滑化剤を調製するために橋架け剤が使用されるときには、溶液重合または乳化重合のいずれかである重合反応が完了すると、その反応混合物は、複数の架橋されたポリマー粒子を含む。かかる粒子は、溶液中で使用されてよく、または任意の好適な手段により単離されてもよい。これらのポリマー粒子は、典型的には、0.5nm〜1000nmの平均粒子サイズを有する。一つの実施態様では、平滑化剤は架橋されたポリマーである。
【0040】
本金属電気メッキ浴において使用されるポリマー平滑化剤の量は、選択される具体的な平滑化剤、電気メッキ浴中における金属イオンの濃度、使用される具体的な電解質、電解質の濃度および加えられる電流密度に依存する。一般的に、電気メッキ浴中における平滑化剤の合計量は、メッキ浴の合計重量に基づき、0.5ppm〜10,000ppmであるが、それよりもっと多い量または少ない量を使用することもできる。典型的には、平滑化剤の合計量は、1ppm〜5000ppmであり、より典型的には5ppm〜1000ppmである。
【0041】
広範囲にわたる様々な促進剤を本金属電気メッキ浴で使用することができる。かかる促進剤は、単独で使用されてよく、または2以上の混合物として使用されてもよい。一つの実施態様においては、本電気メッキ浴が銅電気メッキ浴である場合、促進剤は、ジスルフィド含有促進剤である。一般的に、ジスルフィド含有促進剤は、5000以下の分子量、より典型的には1000以下の分子量を有している。スルホン酸基も有するジスルフィド含有促進剤が一般的に好適であり、特に、式R’−S−S−R−SOX(式中、Rは、任意に置換されたアルキル、場合によって置換されていてもよいヘテロアルキル、場合によって置換されていてもよいアリール基、または場合によって置換されていてもよいヘテロ脂環式基であり;Xは、水素または例えばナトリウムまたはカリウムをはじめとする対イオンであり;並びにR’は、水素または有機残基、例えば式−R−SOXの基もしくはもっと大きな化合物の置換基である)の基を含む化合物が好適である。アルキル基は、典型的には1個〜16個の炭素を有し、より典型的には1個〜12個の炭素を有する。ヘテロアルキル基は、その連鎖に一以上のヘテロ(N、OまたはS)原子を有し、且つ、典型的には1個〜16個の炭素、より典型的には1個〜12個の炭素を有する。炭素環式アリール基としては、これらに限定するものではないが、フェニルおよびナフチルが挙げられる。ヘテロ芳香族基も好適なアリール基であり、典型的には1個〜3個の一以上のN、OおよびS原子および1個〜3個の分離または縮合した環を含み、例えばクマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、オキシジゾリル、トリアゾール、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチアゾールを含む。ヘテロ脂環式基は、典型的には1個〜3個の一以上のN、OおよびS原子および1個〜3個の分離または縮合した環を有し、例えばテトラヒドロフラニル、チエニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノおよびピロリンジニルを含む。置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロ脂環式基の置換基としては、例えばCアルコキシ;Cアルキル;ハロゲン;シアノ;およびニトロが挙げられる。
【0042】
より詳細には、有用なジスルフィド含有促進剤は以下の式のものを含む:XOS−R−S−S−R−SOXおよびXOS−Ar−S−S−Ar−SOX(式中、Rは、場合によって置換されていてもよいアルキル基であり、典型的には1個〜6個の炭素原子、より典型的には1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;Arは、場合によって置換されていてもよいアリール基、例えば場合によって置換されていてもよいフェニルまたはナフチルなどであり;およびXは、水素または好適な対イオン、例えばナトリウムまたはカリウムである)。例示的なジスルフィド含有促進剤としては、これらに限定されないが、ビス−スルホプロピルジスルフィドおよびビス−ナトリウム−スルホプロピルジスルフィドが挙げられる。
【0043】
別の実施態様では、ジスルフィド基を含んでいない促進剤が使用され得る。かかる促進剤は、これらに限定されないが、イオウ含有促進剤を含み、一以上のイオウ原子を含有し、チオール、メルカプタン、スルフィドおよび有機スルホン酸であってよい。一つの実施態様では、このような促進剤化合物は、式XOS−R−SH(式中、Rは、場合によって置換されていてもよいアルキル基であり、典型的には1個〜6個の炭素原子、より典型的には1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;及びXは、水素または好適な対イオン、例えばナトリウムまたはカリウムである)を有している。例示的なイオウ含有促進剤としては、これらに限定されないが、N,N−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホプロピル)エステル;3−メルカプト−プロピルスルホン酸−(3−スルホプロピル)エステル;3−メルカプト−プロピルスルホン酸(ナトリウム塩);3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(カリウム塩)を伴う炭酸−ジチオ−o−エチルエステル−s−エステル;3−(ベンズチアゾリル−s−チオ)プロピルスルホン酸(ナトリウム塩);ピリジニウムプロピルスルホベタイン;1−ナトリウム−3−メルカプトプロパン−1−スルホネート;米国特許第3,778,357号に開示されているスルホアルキルスルフィド化合物;ジアルキルアミノ−チオシ−メチル−チオアルカンスルホン酸のペルオキシド酸化生成物;および上述のものの組合せが挙げられる。他の好適な促進剤が米国特許第3,770,598号;第4,374,709号;第4,376,685号;第4,555,315号;および第4,673,469号に記載されている。
【0044】
使用する場合には、任意の上述の促進剤は、具体的な金属メッキ浴、選択される具体的な促進剤および使用されるメッキプロセスに依存して、広範囲にわたる様々な量で使用することができる。かかる促進剤の量の選択は、充分に当業者の能力の範囲内である。典型的には、この促進剤は0.1ppm〜3000ppmの量で存在する。ジスルフィド含有促進剤が新たに調製された銅電気メッキ浴で使用されるときには、かかる促進剤の量は、典型的には0.1ppm〜1000ppmである。より典型的には、ジスルフィド含有促進剤化合物は、0.5ppm〜300ppmの量で存在し、より一層典型的には1ppm〜100ppm、更に一層典型的には2ppm〜50ppmの量で存在する。促進剤の混合物が使用される場合、それぞれの促進剤は、ジスルフィド含有促進剤に対して説明されている量で使用され得る。
【0045】
任意の抑制剤が本電気メッキ浴で任意に使用され得る。好適な抑制剤はポリマー材料を含み、好適にはヘテロ原子置換を有するポリマー材料、特に酸素結合を有するポリマー材料を含む。典型的には、抑制剤はポリエーテル、例えば、これらに限定するものではないが、式R−O−(CXYCX’Y’O)nH(式中、Rは、水素、2個〜20個の炭素を含有するアリール、アルキルまたはアルケニル基であり;X、Y、X’およびY’は、それぞれ独立して、水素、アルキル、例えばメチル、エチルまたはプロピル、アリール、例えばフェニル、ならびにアラルキル、例えばベンジルであり;及びnは5〜100,000の整数である)のポリエーテルである。一つの実施態様では、X、Y、X’およびY’のうちの一以上が水素である。一つより多くの抑制剤が使用されてよい。
【0046】
好適な抑制剤としては、これらに限定するものではないが:アミン、例えばエトキシル化アミン;ポリオキシアルキレンアミンおよびアルカノールアミン;アミド;ポリ−グリコール型湿潤剤、例えばポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコールおよびポリオキシアルキレングリコールなど;高分子量ポリエーテル;ポリエチレンオキシド、例えば1,000〜100,000の範囲の分子量を有するもの;ポリオキシアルキレンブロックコポリマー;アルキルポリエーテルスルホネート;錯化抑制剤、例えばアルコキシル化ジアミンなど;および第二銅または第一銅イオンに対する錯化剤、例えばクエン酸、エデト酸、酒石酸、カリウムナトリウム酒石酸塩、アセトニトリル、クプレインおよびピリジン;が挙げられる。
【0047】
特に有用な抑制剤としては、これらに限定するものではないが:エチレンオキシド/プロピレンオキシド(「EO/PO」)ブロックコポリマーまたはランダムコポリマー;12モルのエチレンオキシド(「EO」)を有するエトキシル化ポリスチレン化フェノール、5モルのEOを有するエトキシル化ブタノール、16モルのEOを有するエトキシル化ブタノール、8モルのEOを有するエトキシル化ブタノール、12モルのEOを有するエトキシル化オクタノール、13モルのEOを有するエトキシル化ベータ−ナフトール、10モルのEOを有するエトキシル化ビスフェノールA、30モルのEOを有するエトキシル化スルフェート化ビスフェノールA、および8モルのEOを有するエトキシル化ビスフェノールA;が挙げられる。
【0048】
一般的に、抑制剤は、広範囲にわたる様々な量で加えら得る。かかる量の選択は、充分に当業者の能力の範囲内である。銅メッキ浴に対しては、場合によって使用される任意の抑制剤は、典型的には、銅層の充分な沿面成長をもたらす量で存在する。好適には、抑制剤の量は、本金属電気メッキ浴中において、0.001g/L〜10g/L、より典型的には0.1g/L〜2.0g/Lである。
【0049】
場合によってハロゲン化物イオンが本金属電気メッキ浴に加えられてよい。金属メッキ浴が銅メッキ浴であるときには、ハロゲン化物イオンが存在するのが好適である。塩化物および臭化物が好適なハロゲン化物イオンであり、塩化物がより好適である。ハロゲン化物イオンの混合物を使用することもできる。広範囲にわたるハロゲン化物イオン濃度(ハロゲン化物イオンが使用される場合)を好適に使用することができ、本メッキ浴中において、例えば0(ハロゲン化物イオンが使用されない場合)〜100ppmのハロゲン化物イオン、より好適には25ppm〜75ppmのハロゲン化物イオンを使用することができる。かかるハロゲン化物は、対応するハロゲン化水素酸または任意の好適な塩として加えられ得る。このようなハロゲン化物イオンのソースは、一般的に、商業的に入手可能であり、且つさらに精製するなく使用することができる。
【0050】
本発明の電気メッキ浴は、任意の順番で成分を混ぜ合わせることにより調製され得る。一つの実施態様では、例えば金属化合物、水、電解質、および場合によってハロゲン化物イオンのソースをはじめとする無機成分を最初に浴容器に加え、この後、ポリマー平滑化剤、ならびに場合によって任意の他の有機添加剤、例えば促進剤および抑制剤などが加えられる。
【0051】
本発明のメッキ浴は、10℃〜65℃、またはそれ以上の任意の温度で使用することができる。典型的には、本メッキ浴の温度は、10℃〜45℃、より典型的には15℃〜35℃である。
【0052】
一般的に、本金属電気メッキ浴は、使用中、攪拌される。任意の好適な攪拌方法を本発明と共に使用することができ、かかる方法は当技術分野において広く知られている。好適な攪拌方法は、これらに限定するものではないが、空気散布、ワークピース攪拌(work piece agitation)、衝突(impingement)などを含む。本発明が、例えばウェーハをはじめとする集積回路基板をメッキするために使用されるときには、ウェーハを、例えば1分間当たり1回転〜250回転(「RPM」)で回転させ、メッキ液を、例えばポンピングまたは吹き掛けすることなどにより、回転しているウェーハと接触させてもよい。あるいは、メッキ浴の流れが所望の金属堆積物をもたらすのに充分であるときには、ウェーハを回転させる必要はない。
【0053】
基体は、基体を本発明の金属メッキ浴と接触させ、その基体上に金属層が堆積する時間の間、電流密度を加えることにより電気メッキされる。基体は、典型的には陰極として機能する。メッキ浴は陽極を含み、この陽極は可溶性であってよく、または不溶性であってもよい。電位は典型的には陰極に加えられる。充分な電流密度が加えられ、基体上に所望の厚みを有する金属層、例えば銅層などを堆積させるのに充分な時間の間、メッキが実行される。電子装置上に銅をメッキする場合、好適な電流密度は、これらに限定するものではないが、1mA/cm〜250mA/cmの範囲を包含する。典型的には、電流密度は、本発明が集積回路の製造において銅を堆積させるために使用されるときには、1mA/cm〜75mA/cmの範囲である。堆積させるべき具体的の金属、およびメッキされる具体的の基体、選択される架橋されたポリマー平滑化剤、並びに当業者にとって既知の他の考慮すべき事項に依存して、他の電流密度も有用であり得る。かかる電流密度の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0054】
本発明は、金属層、特に銅層を、様々な基体上に、特に様々なサイズの開口を有する基体上に堆積させるのに有用である。従って、本発明は、金属層、例えば銅層を基体上に堆積させる方法を提供し、この方法は:メッキさせるべき基体を銅メッキ浴を用いて銅と接触させる工程;および、次いで、基体上に銅層を堆積させるのに充分な時間の間、電流密度を加える工程を含み、ここで、銅メッキ浴は、銅イオンのソース、酸性電解質、および重合単位としてエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーを含むポリマー平滑化剤を含む。例えば、本発明は、小さな直径のビア、トレンチまたは他の開口を伴う集積回路基板、例えば半導体装置上に銅を堆積させるのに特に好適である。一つの実施態様では、半導体装置が本発明によりメッキされる。かかる半導体装置には、これらに限定するものではないが、集積回路の製造において使用されるウェーハが包含される。
【0055】
金属、特に銅が、本発明により、金属堆積物内に空隙を実質的に形成することなく、開口部に堆積される。「実質的に空隙を形成することなく」という用語は、メッキされた開口部のうちの95%より多くに空隙がないことを意味する。メッキされた開口部には空隙がないことが好適である。
【0056】
本発明のプロセスを概して半導体製造に言及しながら説明してきたが、本発明は、本質的に水平または平坦な銅堆積物が望まれている場合や、実質的に空隙のない金属充填フィーチャーが望まれている場合などのあらゆる電解プロセスにおいて有用であり得ることが認識される。このようなプロセスはプリント配線基板および集積回路製造を包含する。例えば、本メッキ浴は、プリント配線基板のビア、パッドまたはトレースをメッキするのに有用であり得、並びにウェーハのバンプメッキに有用であり得る。他の好適なプロセスとしては、好適な基体がリードフレームおよびインターコネクトを含む場合のパッケージングおよびインターコネクト製造が挙げられる。
【0057】
本発明の一つの利点は、オーバープレーティング、特にマウンディングが低減されることである。かかるオーバープレーティングの低減は、特に半導体製造において、続く化学的−機械的研磨プロセス過程で、金属、例えば銅などの除去に費やす時間および労力が少なくて済むことを意味している。本発明の更なる利点は、抑制された局部めっきを実質的に伴うことなく、単一の基体内における広範囲にわたる種々の開口サイズを充填できることである。従って、本発明は、様々な開口サイズ、例えば0.01μm(もしくはそれ以下)から100μmまたはそれ以上などの開口サイズを有する基体内の種々の開口を実質的に充填するのに特に好適である。本平滑化剤は、単一の基体内における広範囲にわたる種々のフィーチャーサイズ(例えば0.18μmおよび2μmのトレンチ)上に、本メッキ浴を用いて水平な金属堆積物をもたらす。例えば、密集した0.18μmのフィーチャー上の1500Å以下のマウンディングおよび2μmの開口上の2000Å以下のディッシングを有する堆積物を本発明により得ることができる。
【0058】
別の利点は、本電気メッキ浴が、原子間力顕微鏡で測定したときに、従来の平滑化剤に比べ、表面粗さが少なく、反射率がより高い金属堆積物をもたらすことである。例えば、本メッキ浴から堆積される銅の層は、7nm以下の算術平均粗さ(「Ra」)、好適には6nmより小さい算術平均粗さを有する。かかる銅層は、典型的には、約9nm以下の二乗平均平方根粗さ(「Rs」)を有する。更に、これらの銅層は、低いZ値、例えば150以下、典型的には125以下、より典型的には100以下のZ値も有する。「Z値」は、調べた10個の最高地点および10個の最低地点における平均値のnm単位での高さの差である。Z値が低ければ低いほど、その銅層の表面はそれだけ一様性が高くなる。銅メッキ浴中における本平滑化剤の濃度が高くなると、堆積する銅層の粗さを増大させ、即ち、Z値が増大する傾向がある。
【0059】
電子装置、例えば半導体装置、半導体パッケージおよびプリント回路基板は、本発明により、実質的に平坦な銅層を有し、且つ、実質的に付加欠陥のない充填されたフィーチャーを有する状態で形成される。「実質的に平坦な」銅層という用語は、段高さ、即ち、密集した非常に小さい開口の領域と、開口のない若しくは実質的に開口のない領域との間の差が1μm未満、好適には0.75μm未満、より好適には0.6μm未満、更に一層好適には0.1μm未満であることを意味する。「実質的に付加欠陥のない」とは、本平滑化剤が、このような平滑化剤を含んでいない対照メッキ浴と比べたときに、充填された開口における欠陥(例えば空隙)の個数またはサイズを増大させないことを表す。本平滑化剤の更なる利点は、実質的に平坦な金属層を一様でないサイズの種々の開口を有する基体上に堆積させることができ、これらの開口には付加された空隙が実質的に存在しないことである。「一様でないサイズの種々の開口」とは、同一の基体内の様々なサイズを有する開口を表す。
【0060】
本発明の更なる利点は、堆積させるときに、様々な不純物を金属層に、特には銅層に、選択的に組み込むことができることである。本平滑化剤の特有の利点は、堆積される銅の最初の1000Åまで、更には最初の1500Åまでは、その銅層で不純物のドーピングが殆ど観測され得ないことである。これにより、集積回路製造で使用されるデュアルダマシンプロセスにおいて、非常に純度の高い銅堆積物(15ppm以下の平均合計不純物)でのビアの充填(「ギャップ充填」)が可能になる。最初の1000Åくらいの後、典型的には、広い金属線を充填するため、電流密度が増大される。このとき、不純物は、50ppm以上の合計平均不純物量で、かかる広い金属線の銅堆積物中に組み入れられる。従って、本発明は、狭い線(ビア)の制限されたドーピングおよび広い線の制御されたドーピングをもたらし、狭い金属線における低減された固有抵抗およびこれらの狭い金属線の下での広い金属線における低減された空隙形成を有する配線構造を提供する。本発明により組成物が提供され、この組成物は、銅イオンのソース、電解質および平滑化剤を含み、前述の平滑化剤は、基体の130nm未満の開口中に第一の銅堆積物をもたらし、且つ、130nmより大きい開口に第二の銅堆積物をもたらすことができ、前述の第一の銅堆積物は20ppm未満の合計不純物を有しており、及び前述の第二の銅堆積物は50ppmより多くの合計不純物を有している。更に、基体上に銅を堆積させる方法が提供され、この方法は:130nm未満の開口および130nmより大きい開口を有する基体を、銅イオンのソース、電解質および平滑化剤を含むメッキ浴と接触させる工程;および直流を用いて前述の基体に電位を加え所望の厚みの銅層を堆積させる工程;を含み、ここで、130nm未満の開口に堆積される銅は20ppm未満の合計不純物を有し、130nmより大きい開口に堆積される銅は50ppmより多くの合計不純物を有する。
【0061】
堆積されたときに、即ちアニーリング前に銅層に組み込まれるこのような不純物の平均量の範囲は、各不純物、例えば塩化物、イオウ、炭素、酸素および窒素に対し、1ppm〜500ppmであり得る。アニーリング前における不純物の平均量の合計は、10,000ppm、更にはそれ以上であってよい。一つの実施態様では、不純物の平均量のかかる合計は、1ppm〜5000ppm、より典型的には1ppm〜1000ppmの範囲であり得る。不純物レベルは、イオン注入標準物質との比較において、単位面積当たりのイオン濃度値を提供する二次イオン質量分析法(「SIMS」)により決定される。平均不純物値は、各不純物に対する各データポイントでのSIMS分析から得られたppm値を総和し、次いで、評価される銅層の深さ(nm単位)でのデータポイント合計数で割ることにより得られる。銅堆積物の深さ全体にわたる平均不純物レベルは、個々の値よりもずっと低い。例えば、SIMS分析による塩化物イオンの不純物レベルは、ある与えられた単位面積では200ppmの最大値を示し得るが、銅堆積物全体では、平均塩化物イオン不純物レベルは僅か5ppmであり得る。
【0062】
集積回路製造においては、銅層は、典型的にはアニールされる。かかるアニーリング工程の過程で、特定の不純物、例えばイオウおよび酸素が典型的には低減される。本発明により堆積された銅層は、アニーリング後、典型的には1ppm〜1000ppmの範囲の平均合計不純物を有し、より典型的には1ppm〜700ppm、更に一層典型的には1ppm〜500ppmの範囲の平均合計不純物を有する。
【0063】
金属堆積物の不純物レベルは、金属メッキ浴中における本平滑化剤の濃度、本ポリマー平滑化剤を調製するために使用した具体的な窒素含有ヘテロ環式モノマー、本平滑化剤の分子量および本ポリマー平滑化剤における窒素含有ヘテロ環式モノマー単位の量に関係する。金属メッキ浴中における本平滑化剤の濃度を高くすると、金属堆積物中の平均不純物レベルが増大する結果をもたらす。同様に、本平滑化剤の濃度を低くすると、金属堆積物中の平均不純物レベルが減少する結果をもたらす。本平滑化剤の分子量および本ポリマー平滑化剤における窒素モノマーのレベルのいずれかまたは両方を増大させると、金属堆積物中に組み込まれる不純物のレベルが増大する。従って、金属メッキ浴中における本ポリマー平滑化剤の望ましい濃度を選択することにより、または適切な量の架橋剤または分子量を有するポリマー平滑化剤を選択することにより、金属堆積物中における不純物の所望の平均レベルを達成することができる。
【0064】
代替的に、金属堆積物中における不純物の所望の平均量は、本発明の平滑化剤と従来の平滑化剤との混合物を使用することにより達成することもできる。本平滑化剤との混ぜ合わせに使用され得る例示的な平滑化剤は、金属メッキ浴において使用するための任意の好適な平滑化剤である。一つの実施態様では、かかる従来の平滑化剤は、アミンまたは環状アミン、例えばイミダゾールと、エポキシド、例えばエピクロロヒドリンまたはブタンジオールジグリシジルエーテルとの反応生成物である。混合物で使用する場合、本架橋された平滑化剤および従来(即ち、非架橋性)の平滑化剤は、任意の好適な重量比、例えば1:99〜99:1の比で存在していてよい。かかる平滑化剤の混合物を使用することにより更なる利点がもたらされ、そこでは、堆積された皮膜への望ましいレベルの不純物組み込みを達成しながら、堆積された銅表面の粗さを低減することができ、即ち、Z値を低くすることができる。混ぜ合わせて使用するのに好適な追加の平滑化剤は、米国特許第4,038,161号および第6,610,192号に開示されている平滑化剤を含む。架橋されたポリマー平滑化剤の混合物が使用される場合、これらは広範囲の重量比、例えば1:99〜99:1の比で存在し得る。
【0065】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例証することを期待したものである。
【実施例】
【0066】
実施例1
氷浴中で冷却されている容器内においてブチルアクリレート(「BA」、40重量%)、アクリル酸(「AA」、10重量%)、ビニルイミダゾール(「VI」、40重量%)、トリメチロールプロパントリアクリレート(「TMPTA」、10重量%)およびペルオキシド開始剤(tert−アミルペルオキシピバレート)を混合することにより、架橋されたポリマー平滑化剤を調製した。次いで、この混合物を、溶媒としてイソプロパノールアルコールを含有する加熱された反応器にポンプ注入した。反応は、約2時間の間、80℃に制御された。この後、イソプロパノールアルコールを真空蒸発により除去し、生成物を水で洗うことにより、適切な標準物質に対するゲル浸透クロマトグラフィーに基づき77,000のおおよその重量平均分子量(「Mw」)および1400の数平均分子量(「Mn」)を有する架橋されたポリマー(BA/AA/VI/TMPTA)の約33%の水溶液を得た。
【0067】
実施例2
以下のモノマーおよび量を使用した点を除き、実施例1の手順を繰り返した:ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」、50重量%)、VI(40重量%)およびTMPTA(10重量%)。
【0068】
実施例3〜4
以下のモノマーの比を用いて、実施例2の手順を繰り返した。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例5〜17
示されている比で以下のモノマーを使用し、架橋性ポリマー平滑化剤を生成することが期待されている点を除き、実施例1の手順を繰り返す。
【0071】
【表2】

【0072】
上の表の省略記号は以下の意味を有している:HPMA=ヒドロキシプロピルメタクリレート;MA=メチルアクリレート;EHA=エチルヘキシルアクリレート;HEA=ヒドロキシエチルアクリレート;MAA=メタクリル酸;VMor=ビニルモルホリン;VP=2−ビニルピリジン;VPy=ビニルピロール;VPip=ビニルピペリジン;MVP=メチルビニルピリジン;DEGDMA=ジエチレングリコールジメタクリレート;DVB=ジビニルベンゼン;EGDMA=エチレングリコールジメタクリレート;TMPTMA=トリメチロールプロパントリメタクリレート;ALMA=アリルメタクリレート;およびDVP=ジビニルピリジン。
【0073】
実施例18
硫酸銅(40g/Lの銅イオン)、硫酸(10g/L)、塩酸(50mg/Lの塩化物イオン)、ジスルフィド含有スルホン酸促進剤(10mL/L)、EO/POコポリマー抑制剤(5mL/L)、実施例1から得られた平滑化剤(3mL/L)および水を組み合わせることにより、銅メッキ浴を調製した。促進剤は、スルホン酸基を有し、1000未満の分子量を有するジスルフィド化合物であった。抑制剤は、5,000未満の分子量を有するEO/POコポリマーであった。
【0074】
回転しているウェーハ(200RPM)を25℃において上述のメッキ浴と接触させることにより、開口を有するウェーハ基体上に銅の層を電気メッキした。銅メッキは、直流および以下の3段波形を用いて果たされた:7mA/cm、続いてフィーチャーに充填するための10mA/cm、次いで59mA/cm。銅の堆積後、ウェーハをすすぎ、乾燥させた。銅は約1μm堆積された。次いで、この銅堆積物を二次イオン質量分析法(「SIMS」)により合計不純物レベルについて分析したところ、不純物として酸素、窒素、塩素、イオウおよび炭素を含んでいることが判明した。深さ4000Åにおけるこの銅堆積物中の不純物(C、N、O、S、Cl)の平均量は以下の通りであった:Cl=380ppm;S=80ppm;C=310ppm;N=10ppmおよびO=15ppm。この深さにおける平均不純物の合計量は795ppmであった。最初の1000Åの銅の堆積後における不純物の平均量は、Cl=1ppm、S=1ppm、C=6ppmおよびN=5ppmであり、最初の1000Åの堆積での平均合計不純物レベルは13ppmであった。
【0075】
実施例19〜20
使用される平滑化剤の量を増やした点を除き、実施例18の手順を繰り返した。実施例17では4mL/Lの平滑化剤を使用し、実施例18では5mL/Lの平滑化剤を使用した。4000Åにおける不純物の平均量を決定した。その値が以下の表に報告されている。
【0076】
【表3】

【0077】
上のデータは、銅メッキ浴中における架橋されたポリマー平滑化剤の濃度を高くすると、銅堆積物中における不純物の合計平均量も増大することを明らかに示している。
【0078】
実施例21〜26
実施例1から得られた平滑化剤の量を変えた点を除き、実施例18の手順を繰り返した。特定の試料では平滑化剤の混合物が使用された。1μmの銅堆積物中における平均不純物(Cl、S、C、NおよびO)のおおよその合計量を実施例16の手順により決定した。その結果が以下の表に報告されている。「平滑化剤1」は実施例1から得られた平滑化剤である。「平滑化剤2」は、約4000の重量平均分子量を有する、イミダゾールとブタンジオールジグリシジルエーテルとの1:1の反応生成物である。
【0079】
【表4】

【0080】
上のデータは、銅メッキ浴中における本平滑化剤の量を少なくすることにより、銅堆積物中における平均合計不純物レベルのレベル低減をもたらすことを明らかに示している。また、本平滑化剤と他の平滑化剤とを混ぜ合わせることにより、所望の不純物レベルを得ることができる。
【0081】
実施例27〜28
以下の表に掲載されているモノマーおよび量を使用した点を除き、実施例1の手順を繰り返した。分子量も報告されている。
【0082】
【表5】

【0083】
実施例29
40g/Lの銅イオン(硫酸銅から)、10g/Lの硫酸、50ppmの塩化物イオン、10mL/Lのジスルフィド含有スルホン酸促進剤、5mL/LのEO/POコポリマー抑制剤、水、および実施例1、27または28から得られた平滑化剤を含有する銅メッキ浴を調製した。60mA/cmの電流密度にランピングするDC波形を用いて、ブランケットウェーハに銅をメッキした。銅の堆積後、ウェーハをすすぎ、乾燥させた。銅は約1μmの厚みで堆積された。メッキされた銅皮膜を原子間力顕微鏡を用いて分析し、表面粗さを評価した。これらの結果が以下の表に報告されている。
【0084】
【表6】

【0085】
これらの銅メッキ浴は、密集した0.18μmの開口部および離れた2.0μmの線を有するウェーハに銅を堆積させるためにも使用された。それぞれの試料において、これらの開口部および線が銅で充填され、実質的に平坦な銅表面が観測された。以下の如く、密集した開口部上に僅かなマウンディングが観測された:試料A:1300Å;試料B:1080Å;および試料C:630Å。以下の如く、離れた広い線上に僅かなディッシングが観測された:試料A:1430Å;試料B:1740Å;および試料C:1960Å。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオンのソース;電解質;および重合単位としてエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーを含むポリマー平滑化剤;を含む組成物。
【請求項2】
金属が銅である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ポリマー平滑化剤が、重合単位として(メタ)アクリレートモノマーを更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
平滑化剤が、重合単位として架橋剤を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
エチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマーが芳香族である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
平滑化剤が、重合単位として、1〜70重量%のエチレン性不飽和架橋剤、5〜80重量%のエチレン性不飽和窒素含有ヘテロ環式モノマー、および5〜80重量%の(メタ)アクリレートモノマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
架橋されたポリマーではない平滑化剤を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
基体を請求項1記載の組成物と接触させる工程;および基体上に金属層が堆積する時間の間、電流密度を適用する工程;を含む、基体上に金属を堆積させる方法。
【請求項9】
基体が電子装置である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
銅イオンのソース、電解質および平滑化剤を含む組成物であって、平滑化剤は、基体の130nm未満の開口部中に第一の銅堆積物を提供することができ、且つ、130nmより大きい開口部中に第二の銅堆積物を提供することができ、第一の銅堆積物が20ppm未満の合計不純物を有し、第二の銅堆積物が50ppmより多くの合計不純物を有する、組成物。
【請求項11】
130nm未満の開口部および130nmより大きい開口部を有する基体を、銅イオンのソース、電解質および平滑化剤を含むメッキ浴と接触させる工程;および、直流を用いて該基体に電位を適用し所望の厚さの銅層を堆積させる工程;を含む、基体上に銅を堆積させる方法であって、130nm未満の開口部中に堆積される銅が20ppm未満の合計不純物を有し、130nmより大きい開口部中に堆積される銅が50ppmより多い合計不純物を有する、方法。

【公開番号】特開2007−146285(P2007−146285A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−267131(P2006−267131)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】