説明

レベリング装置および方法

基板表面をパターニングするための対象物、例えば走査プローブチップのアレイをレベリングする装置が提供される。装置は、対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を有する該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と;該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリとを含み得る。該装置を組み込んだ器具およびキット、ならびに該装置および該器具を製造する方法および使用する方法も提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により全体が本明細書に組み入れられる、2009年7月17日に出願された米国仮出願第61/226,579号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
小規模製造は現代経済の重要な局面である。例えば、マイクロコンタクトプリンティング、ナノインプリントリソグラフィ、Dip-Pen Nanolithographyディップペンナノリソグラフィ(登録商標)(DPN(登録商標))プリンティングなどの方法をマイクロスケールおよびナノスケール構造物やパターンを作るために使用することができる。マイクロコンタクトプリンティングおよびナノインプリントリソグラフィについては、例えば、CM.Sotomayor Torres,Alternative Lithography: Unleashing the Potentials of Nanotechnology(Nanostructure Science and Technology),2003(非特許文献1)を参照されたい。また、例えば、米国特許第6,380,101号(特許文献1)、同第6,518,189号(特許文献2)、同第6,818,959号(特許文献3)、同第7,442,316号(特許文献4)、および同第7,665,983号(特許文献5)を参照されたい。DPN(登録商標)プリンティングについては、例えば、Mirkinらの米国特許第6,635,311号(特許文献6)およびMirkinらの米国特許第6,827,979号(特許文献7)を参照されたい。DPN(登録商標)プリンティングも含め、直接書込み方法は、パターンを基板表面に直接に描画するか、または埋め込むことができるので有用である。DPN(登録商標)の一態様では、例えば、1つまた複数の超微細走査プローブ、すなわち原子間力顕微鏡チップを使って、材料がチップ(またはチップのアレイ)から基板に転写される。DPN(登録商標)は、単一の機器上で並列に動作する、一次元および二次元のチップアレイを含む、多数のチップとともに使用することができる。例えば、Mirkinらの米国特許出願公開第2008/0105042号(特許文献8)を参照されたい。上述の小規模製造方法のすべてにおいて、軟質構造、硬質構造、有機的構造、無機的構造、生物学的構造を含む様々な構造を基板表面上に様々な規則的または不規則なパターンで形成するようにパターニングを行うことができる。
【0003】
重要な進歩にもかかわらず、より高品質のパターンと使いやすさを提供する装置およびパターニング器具を提供する必要がある。例えば、スタンプ(マイクロコンタクトプリンティングの場合)、金型(ナノインプリントリソグラフィの場合)、またはチップ(DPNの場合)が、パターニングされる基板の表面に対して平行な向きに揃わない場合には、結果として低質なパターニングをもたらすことがある。しかしながら、多数のスタンプ/金型突起またはチップのレベリング(leveling)および位置揃えは工学的な難題である。その他の難題には、レベリングプロセス中のスタンプ、金型またはチップを観察すること、レベリングが達成されたことを示すユーザフィードバックを提供すること、ならびにパターニング中および/またはパターニング後、すなわち、表面との接触が断たれた後に平行な向きを維持することが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,380,101号
【特許文献2】米国特許第6,518,189号
【特許文献3】米国特許第6,818,959号
【特許文献4】米国特許第7,442,316号
【特許文献5】米国特許第7,665,983号
【特許文献6】米国特許第6,635,311号
【特許文献7】米国特許第6,827,979号
【特許文献8】米国特許出願公開第2008/0105042号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】CM.Sotomayor Torres,Alternative Lithography: Unleashing the Potentials of Nanotechnology(Nanostructure Science and Technology),2003
【発明の概要】
【0006】
概要
本明細書において、レベリング装置、このような装置を組み込んだ器具、キット、装置を使用する方法および製造する方法が提供される。
【0007】
一態様は、対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリとを含む装置を提供する。
【0008】
別の態様は、超微細チップのアレイと基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した該アレイを取り付けるよう適合した支持構造体と、ボールおよびボールを収容するよう成形されたくぼみを含む磁気継手部材を含み、支持構造体に取り付けられた、少なくとも一つの磁気たわみ継手アセンブリとを含み、磁気たわみ継手アセンブリが、該対象物と該表面との接触時に該アレイを該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した装置を提供する。
【0009】
別の態様は、対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、支持構造体に取り付けられた複数のたわみ継手アセンブリとを含み、複数の継手アセンブリが、支持構造体に平行な第1の軸に沿って配置された、第1のたわみ継手アセンブリと、第1の軸に沿って、かつ第1のたわみ継手アセンブリに対向して配置された、第2のたわみ継手アセンブリと、支持構造体に平行で第1の軸に垂直な第2の軸に沿って配置された、第3のたわみ継手アセンブリと、第2の軸に沿って、かつ第3のたわみ継手アセンブリに対向して配置された、第四のたわみ継手アセンブリとを含むとともに、複数のたわみ継手アセンブリが、対象物と基板表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した装置を提供する。
【0010】
別の態様は、超微細チップのアレイと基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した該アレイを取り付けるよう適合した支持構造体と、支持構造体に取り付けられ、該支持構造体に平行な第1の軸に沿って配置された、第1の磁気たわみ継手アセンブリと、支持構造体に取り付けられ、第1の軸に沿って、かつ第1の磁気たわみ継手アセンブリに対向して配置された、第2の磁気たわみ継手アセンブリと、支持構造体の上方に配置され、第1の磁気たわみ継手アセンブリおよび第2の磁気たわみ継手アセンブリに取り付けられた中間構造体と、中間構造体に取り付けられ、支持構造体に平行で第1の軸に垂直な第2の軸に沿って配置された、第3の磁気たわみ継手アセンブリと、中間構造体に取り付けられ、第2の軸に沿って、かつ第3の磁気たわみ継手アセンブリに対向して配置された、第四の磁気たわみ継手アセンブリと、中間構造体の上方に配置され、第3の磁気たわみ継手アセンブリおよび第四の磁気たわみ継手アセンブリに取り付けられた上部構造体とを含み、各磁気たわみ継手アセンブリが、ボールと、ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む継手部材とを含んでおり、ボールまたは継手部材が磁性であり、磁気たわみ継手アセンブリが、該アレイと該表面との接触時に該アレイを該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した装置を提供する。
【0011】
別の態様は、パターニング機器と、パターニング機器に取り付けられた装置とを含み、さらに装置が、対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリとを含む器具を提供する。
【0012】
別の態様は、対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリとを含む装置を設ける工程;対象物を支持構造体に取り付ける工程;取り付けられた対象物を基板に接触させる工程;および該対象物を該表面に対して平行な向きにさせる工程を含む方法を提供する。
【0013】
別の態様は、対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリとを含む装置を設ける工程;対象物を支持構造体に取り付ける工程;突起の少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程;およびインク組成物を突起から表面に転写する工程を含む方法を提供する。
【0014】
別の態様は、対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む対象物の支持構造体への取付けを容易にするよう適合した取付け具を提供する。
【0015】
別の態様は、複数のカンチレバー上に配置された複数の突起を基板表面に接触させる工程;複数のカンチレバーをたわませる工程;複数の突起と基板表面との表面接触を示す光学的変化を観察する工程;および支持構造体に取り付けられた少なくとも一つのたわみ継手アセンブリを使用して複数の突起をさらにレベリングする工程を含む方法を提供する。
【0016】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点は、多数のパターニング用突起を有する対象物も含め、基板表面をパターニングするための対象物を最小限の労力と最小限の時間でレベリングできることである。
【0017】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点は、基板表面をパターニングするためのレベリングされた対象物を用いて、より優れたパターニング結果を達成できることである。
【0018】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点は、レベリングプロセス中に、基板表面をパターニングするための対象物を観察できることである。
【0019】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点は、レベリングが達成されたというフィードバックを提供できることである。
【0020】
少なくとも一つの態様の少なくとも一つの利点は、基板表面との接触が断たれた後、基板表面をパターニングするための対象物の水平面の向きを維持できることである。
【0021】
装置の自己レベリング局面による、少なくとも一つの態様の少なくとも一つの追加の利点は、人的な測定/干渉の必要性を低減させたことによってプロセスの一部またはプロセス全体が自動化できることである。エラーおよび主観性という人的要素の影響を減らすことによって、より正確かつ精密なレベリングプロセスをもたらすことができる。プロセスを自動化させることができるので、スループット、使いやすさ、および全体的な動作速度を劇的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
添付の図面は例示的な態様を提供する。
【図1】基板表面をパターニングするための対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、支持構造体に取り付けられたたわみ継手アセンブリとを含む、レベリング装置の例示的な態様である。
【図2】図2Aは、基板表面をパターニングするための対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、支持構造体に取り付けられたたわみ継手アセンブリと、たわみ継手アセンブリに取り付けられた取付け構造体とを含むレベリング装置、および装置に接続された合図システムの例示的な態様の側面図である。図2Bは、図2Aに示す装置の上面図である。
【図3】基板表面をパターニングするための対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、第1の対のたわみ継手アセンブリと、第1の対のたわみ継手アセンブリに取り付けられた中間構造体と、第2の対のたわみ継手アセンブリと、第2の対のたわみ継手アセンブリに取り付けられた上部構造体とを含む、レベリング装置の分解された例示的な態様の図である。
【図4】図4Aは、図3に示す組み立てられた装置の上面斜視図である。図4Bは、図3に示す組み立てられた装置の底面斜視図である。図4Cは、組み立てられ、取り付けられて使用中の装置の写真である。
【図5】基板表面をパターニングするための対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、支持構造体に取り付けられた複数のたわみ継手アセンブリと、複数のたわみ継手アセンブリに取り付けられた中間構造体および上部構造体と、上部構造体に取り付けられた取付け構造体とを含む、レベリング装置の組み立てられた例示的な態様の図である。
【図6】支持構造体への対象物の取付けを容易にするよう適合した取付け具の例示的な態様である。
【図7A】多重2D-DPNの概略図である。
【図7B】多重タンパク質プリンティング用ラピッドプロトタイピングプラットホームの理想的概略図である。
【図8A】自己レベリングハンドルに取り付けられた二次元ナノPrintArrayの上面図である。
【図8B】二次元ナノPrintArrayの底面図である。
【図8C】チップおよびカンチレバーの配置ならびにピッチと、ビューポートの配置およびサイズを示す、チップおよびカンチレバーの光学顕微鏡像である。
【図8D】チップおよびカンチレバーの移動の自由を可能にする下部構造を示す、チップおよびカンチレバーのSEM像である。
【図8E】ビューポートの正面のカンチレバーの拡大SEM像である。
【図8F】カンチレバーの移動の自由のSEM像である。
【図9A】すべてのチップを触れさせる最小許容平面性で接触する直前の二次元ナノPrintArrayの概略図である。
【図9B】すべてのチップが接触しているが、装置の右側のスタンドオフ(standoff)も基板に触れていることを示し、φは最良の平面性とその後のパターニング同質性を達成するために最小限にされる必要がある。
【図10A】ビューポートを通して見たときの二次元ナノPrintArrayカンチレバーの光学像である。チップは、接触する直前に基板上方1μmのところに浮いている。ピラミッド状チップの内部の赤橙色屈折光の「蝶の羽」構成は基板接触を示す変化をまだ遂げていない。
【図10B】カンチレバーが完全にたわんで、隅部のスタンドオフが均一に触れていることを示す。「蝶の羽」は形状、色、および強度を相応に変化させている。
【図11A】粗い自己レベリング直後にビューポート1b、2b、3bで行われた接触点測定値を示すNLP 2000のソフトウェアインタフェースを示す。「レベリング実行」コマンドを使用すると、システムがφxyステージを調整して平面的不揃いを補正する。
【図11B】補償後に直ちに再測定された接触点測定値を示す。0.002°の勾配およびΔZ=600nmは、装置がこれらの方法で測定可能とされるのと同じくらい平面的であったことを意味する±100nmのカンチレバーたわみ検出限界に相当する。
【図12】図11の印刷条件から生成された同質のcm2領域のパターンからの暗視野顕微鏡像である。ドットは2秒の滞留時間で3μmピッチであり、SiO2基板上の15nm厚の金の構造物である。
【図12E】NLP 2000のソフトウェアで生成されたパターン設計を示す。
【図13A】平方センチメートル全体にわたって6%未満の特徴寸法標準偏差でパターン同質性を示しているタイル状明視野顕微鏡像を示す。
【図13B】「DPN DPN」結果の一様性を示している拡大された領域を示す。
【図13C】ソフトウェア設計からのパターンを示す。
【図14】ビューポートの絶対Z位置が変わらないままであることと、絶対Z位置の互いの関係が自己レベリング動作の間一定のままであることを示す、2個の自己レベリング具安定度データ集合を含む。これにより、磁石の強度が自己レベリング後に装置の平面的な向きを維持することが確認される。(A)装置#1はビューポート範囲によって示されるような特有の角度分解能を有する。これは、球形の磁気ボールとその動的マウントとの間の特有の材料界面に起因する。(B)#2については、少し異なる角度分解能と材料界面が見られるが、両方とも十分に合理的な作用限界の範囲内である。
【図15】それぞれ自己レベリングプロセス中の装置および対象物の斜視図である。
【図16】それぞれ己レベリングプロセス中の装置および対象物の斜視図である。
【図17】それぞれ突起(ピラミッド)から「蝶の羽」光回折挙動を調べることによって最初の接触点を決定するプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
序論
本出願で引用されたすべての参照文献はその全体が参照により組み入れられる。
【0024】
2009年7月17日に出願された優先権主張米国仮出願第61/226,579号は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。Haaheimらの論文「Self-Leveling Two-Dimensional Probe Arrays for Dip Pen Nanolithography,」Scanning,32,49-59(2010)も、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0025】
「取り付ける」という用語は、例えば、接合する、合体させる、接続する、結び付ける、挿入する、掛ける、保持する、添え付ける、付着させる、締結する、縛る、のり付けする、固定する、ボルトで留める、ねじで留める、リベットで留める、はんだ付けする、溶接する、押し付ける、およびその他の同様の用語を含めることができる。さらに、「取り付ける」は、直接に取り付け合わされる対象物、および互いに間接に、例えば、別個の構成部品を介して取り付けられる対象物を包含することができる。
【0026】
本明細書において、例えば、二次元ナノPrintArrayなどの印刷装置用の自己レベリング具が記載および明示される。例えば、55,000チップのアレイは、例えば、ナノパターニング用のNanoInkのNLP 2000機器上に取り付けられたとき、ユーザによる操作をほとんどまたは全く必要とせずに、ほんの数秒で基板に対して、例えば、0.1°未満の平面性を達成することができる。追加の精密レベリングのルーチンは、この平面性を、例えば、基板に対して0.002°未満まで、例えば、表面積の1cm2にわたって600nm未満のZ差まで向上させることができる。同質性が高いエッチレジストナノ構造は、自己レベリングされたチップアレイ、例えば、DPNペンから製造することができる。
【0027】
自己レベリングプロセスは、従来の方法よりも概ね高速、容易、および正確になると考えられる。このことは、プロセスを自動ナノ製造向けにさせている。平面的な不揃いは、代表的な態様によれば、例えば、0.002°未満になることができ、その値は従来の結果よりも優れていると考えられる。優れた平面性は、一様なパターニング結果と相互に関連しており、結果として1cm2にわたって同質のナノ構造をもたらす。このことも、従来報告されたなかで最良の値であると考えられる6%の特徴寸法標準偏差によって定量化された従来の結果よりも優れていると考えられる。
【0028】
本明細書において開示された代表的な態様では、自己レベリングジンバル装置は、(1)正確な接地検出による正確なZ配置、および(2)非常に正確なレベリングによるカンチレバーたわみの小さな差異を通して、同質の結果を達成することができる。
【0029】
レベリング装置は、支持構造体と、支持構造体に取り付けられた少なくとも一つのたわみ継手アセンブリとを含むことができる。
【0030】
支持構造体
支持構造体は、基板上にパターンを形成するための複数の突起を有する対象物を取り付けるよう適合させることができる。支持構造体は、インク組成物を複数の突起上に配置する器具に取り付けられるようさらに適合させることができる。支持構造体は、支持構造体に取り付けられた対象物を観察するための一つまたは複数の開口を含むことができる。支持構造体の形状および寸法は様々であってもよい。支持構造体の非制限的な例が後述され、図示されている。同様に、支持構造体を形成するために使用される材料も様々であってもよく、実際には、任意の硬質材料が使用されてもよい。適当な材料には、以下に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、プラスチック、セラミックスなどが含まれる。
【0031】
支持構造体および対象物は、単体として機能し、一部品または一体のユニットとして空間内を移動するように、取り付け合わせることができる。マウントは、軟質のマウントではなく、硬質のマウントであることも可能である。
【0032】
たわみ継手アセンブリ
たわみ継手アセンブリは、支持構造体に取り付けられた対象物を、対象物と表面との接触時に表面に対して平行な向きにさせるよう適合させることができる。「たわみ継手アセンブリ」とは、一つまたは複数の方向で屈曲可能な継手を構成する構成部品のアセンブリを意味する。ほんの一例として、たわみ継手アセンブリには、回転継手アセンブリやピボット継手アセンブリが含まれる。このようなたわみ継手アセンブリは、回転運動を介して多方向に屈曲することが可能である。たわみ継手アセンブリは、支持構造体に取り付けられた対象物に、表面との接触が断たれた後、表面に対して平行な向きを維持させるようさらに適合させてもよい。
【0033】
取り付けられた対象物を表面に対して平行な向きにしかつこれを維持させる、たわみ継手アセンブリの能力は、少なくとも一部は、たわみ継手アセンブリの動摩擦係数と静摩擦係数によって影響される。開示されたたわみ継手アセンブリは、取り付けられた対象物を、対象物と表面との接触時に自由に移動させて平行な向きにさせるのに十分低い動摩擦係数によって特徴づけられてもよい。たわみ継手アセンブリは、表面との接触が断たれた後に、動きに抵抗して、対象物に平行な向きを維持させるのに十分高い静摩擦係数によってさらに特徴づけられてもよい。動摩擦および静摩擦係数は、たわみ継手アセンブリの構成部品に使用される材料の選択のみならず、それら材料の表面特性(例えば、表面粗さ)にも依存する。表面粗さに関して、「粗い」材料は、マイクロスケールおよびナノスケールでは、ギヤの歯であるかのように考えられる表面特徴を有する。レベリングプロセスの間、支持構造体に取り付けられた対象物は、たわみ継手アセンブリの様々な「ギヤ」位置への滑り込みに相当する不連続の平面的位置をとることができる。たわみ継手アセンブリの構成部品用に任意の硬質材料が使用されてもよい。適当な材料には、以下に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、プラスチック、セラミックスなどが含まれる。
【0034】
たわみ継手アセンブリは、様々な構成部品から形成することができる。ほんの一例として、たわみ継手アセンブリは、ボールと、ボールに取り付けられた継手部材を含むことができ、継手部材は、ボールが継手部材に寄り掛かるとボールを収容するよう成形されたくぼみを有する。様々な継手部材が使用されてもよい。一例として、継手部材は、一対のロッドの上に置かれたボールを収容するのに十分な間隔だけ離された一対のロッドを含んでもよい。別の一例として、継手部材は、内部にあるボールを収容する中空部を有するソケットを含んでいてもよい。ソケットの中空部は、凹面形状、直線溝形状、三角溝形状を含むがこれらに限定されない様々な形状を呈することができる。さらに別の一例として、継手部材は、三角形の中心上に置かれたボールを収容するのに十分な間隔だけ離された3個のボールによる三角形配置を含んでもよい。すべての例において、たわみ継手アセンブリは、ボールが継手部材のくぼみ内で回転する際に、たわみ継手アセンブリに取り付けられた対象物の可動域を提供する。
【0035】
たわみ継手アセンブリは、アセンブリの構成部品の少なくとも一つが磁性であるような磁気継手アセンブリであることが可能である。たわみ継手アセンブリがボールと継手部材を含むそのような態様の場合、ボール、継手部材、または両方が磁性であってもよい。材料が磁石である限り、様々な材料が使用されてもよい。適当な材料には、ウルトラハイプル(ultra-high pull)、ネオジム、ニッケルめっき磁石が含まれる。このような磁石は市販されている。たわみ継手アセンブリの一方の構成部品が磁石であるとき、他方の構成部品は、鋼を含むがこれに限定されない、磁石に吸引されることができる材料から構成することができる。
【0036】
開示された装置は、1個のたわみ継手アセンブリまたは複数のたわみ継手アセンブリを含むことがある。たわみ継手アセンブリは、接着剤、膠、または磁石を含むがこれら限定されない、様々な公知の手段によって支持構造体に取り付けられてもよい。
【0037】
例示的なたわみ継手アセンブリは、さらに後述され、図示されている。
【0038】
支持構造体に取り付けられる対象物
支持構造体に取り付けられる対象物は、対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む。パターンはマイクロスケールまたはナノスケールのパターンであることができる。「マイクロスケール」とは、パターンが、例えば、ミクロンのオーダー、例えば、1、10、100μmなどの寸法を有する特徴を含むことを意味する。「ナノスケール」とは、パターンが、例えば、ナノメートルのオーダー、例えば、1、10、100nmなどの寸法を有する特徴を含むことを意味する。パターンは、様々な不規則または規則的な向きで配置されたドット、線、および円を含むことができる。例示的な対象物には、マイクロコンタクトプリンティングで使用されるポリマースタンプを含むスタンプ、およびナノインプリントリソグラフィで使用される金型が含まれる。このようなスタンプおよび金型は当技術分野において公知である。対象物は、Hongらの「A micromachined elastomeric tip array for contact printing with variable dot size and density,」J.Micromech.Microeng: 18(2008)に記載されているもののようなエラストマーチップアレイであってもよい。
【0039】
別の非限定的な例示的な対象物は、超微細チップおよび/または走査プローブチップのアレイである。アレイは、一次元のチップアレイまたは高密度チップアレイを含む、二次元のチップアレイであってもよい。例えば、Mirkinらの米国特許第6,635,311号および第6,827,979号、Mirkinらの米国特許出願公開第2008/0105042号、ならびにHaaheimらの米国特許出願公開第2008/0309688号を参照されたい。NanoInk(イリノイ州Skokie)によって販売されているDPN 5000、NLP 2000、NSCRIPTOR(商標)およびその他のナノリソグラフィ機器も参照されたい。チップは中実または中空であることが可能で、例えば、100nm未満のチップ半径を有することができる。チップは、カンチレバー構造の端部に形成されることができるが、そうである必要はない。カンチレバーはホルダーに取り付けることができる。ホルダーは、チップを観察するのに適合した一つまたは複数のビューポートを含んでもよい。ビューポートは、例えば、Haaheimらの米国特許出願公開第2008/0309688号に記載されているように、様々な形状、サイズ、構成を有することがある。この参照文献は、ビューポートを作る方法も記載している。ホルダーは、チップをホルダーの下面に押し付けることを防ぐのに役立つ一つまたは複数のエッジスタンドオフスペーサー(edge standoff spacer)も含んでもよい。再び、例えば、Haaheimらの米国特許出願公開第2008/0309688号を参照されたい。
【0040】
チップのポリマーペンアレイが、例えば、Mirkinらの国際公開公報第2009/132,321号(PCT/US2009/041738)に記載されている。
【0041】
対象物、支持構造体、対象物に取り付けられたその他の装置、および基板は、ピエゾ抵抗器ナノポジショナー(piezoresistor nanopositioner)のようなナノポジショナー(nanopositioner)とともに動くよう適合させることができる。動きは、x、y、およびz方向のほかに、回転運動もあり得る。例えば、米国特許出願公開第2009/0023607号およびT.R.HicksらのThe Nanopositioning Book,Moving and Measuring to Better than a Nanometre, 2000を参照されたい。
【0042】
対象物は、様々な公知の取付け手段を介して支持構造体に取り付けられてもよい。ほんの一例として、接着剤、膠、または磁石が、対象物を支持構造体に取り付けるために使用されてもよい。
【0043】
取付け具
対象物の支持構造体への取付けを容易にするよう適合した別個の取付け具も使用することができる。対象物を支持構造体に取り付けるために接着剤、膠、または同様の取付け手段を使用する際に、取付け具は有用になることができる。取付け具は、取付けプロセス中に対象物の取付け面を露出させたままにしながら対象物を固定位置に保持するよう適合したキャビティを含むことができる。取付け具は、対象物の取付け面上に置かれた支持構造体を収容するよう適合した溝をさらに含むことができる。取付け具は、取付けプロセス中に支持構造体を対象物の取付け面上の固定位置に保持するよう適合したクリップ部材をさらに含むことができる。取付け具の全体的な形状および寸法は限定されておらず、取付け具を使用して一緒に取り付けられる対象物と支持構造体の形状および寸法によって変わり得る。同様に、取付け具を形成するために使用される材料が様々であってもよい。その他の類似の材料もあり得るが、本明細書において記載された金属およびプラスチックのいずれかが使用されてもよい。取付け具の非限定的な例が後述され、図示されている。
【0044】
他の構成部品
装置は様々なほかの構成部品を含むことができる。ほんの一例として、装置は、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリに取り付けられた取付け構造体を含むことができる。取付け構造体はパターニング機器に取り付けられるよう適合させることができる。取付け構造体の形状および寸法は様々であってもよい。取付け構造体の非限定的な例が後述され、図示されている。同様に、支持構造体を形成するために使用される材料も様々であってもよい。適当な材料には、以下に限定されないが、銅などが含まれる。取付け構造体は、接着剤、膠、およびねじを含むがこれらに限定されない様々な方法で、たわみ継手アセンブリおよびパターニング機器に取り付けられてもよい。
【0045】
装置は、取り付けられた対象物の、表面に対する向きを合図する合図システムをさらに含むことができる。例えば、合図システムは、取り付けられた対象物が、表面に対する平行な向きにされたときに合図するよう適合させてもよい。合図システムの非限定的な例が後述され、図示されている。
【0046】
さらなる態様
レベリング装置の一態様を図1に示す。図1に示すように、装置100は、対象物104を取り付けるよう適合した支持構造体102と、支持構造体に取り付けられたたわみ継手アセンブリ106とを含む。図1に示す支持構造体102はブロックであるが、その他の形状が使用されてもよい。例えば、走査プローブチップ、カンチレバー上に配置されたチップ、カンチレバー上に配置されていないチップ、および/またはエラストマーチップなどのチップアレイを含む、上述の対象物のいずれかが支持構造体に取り付けられてもよい。開示された装置は、このような対象物を取り付けるよう適合しているが、対象物自体を含む必要はない。図1に示すように、たわみ継手アセンブリ106は、ボール108と、ボールに取り付けられた継手部材110を含む。しかしながら、その他のたわみ継手アセンブリも可能である。継手部材110は、一端に、継手部材に寄り掛かるボールを収容するよう成形されたくぼみを含む。図1において、たわみ継手アセンブリは磁気継手アセンブリである。ボールまたは継手部材のどちらが磁性であってもよいが、図1では、継手部材110が磁石であり、ボール108が鋼球である。これにより、継手部材とボールとは磁力を介して取り付けられ、たわみ継手アセンブリは、ボール108が継手部材110のくぼみ内で回転する際に様々な方向に屈曲することができる。ボール108は接着剤で支持構造体102に取り付けられている。しかしながら、その他の取付け手段も可能である。これにより、たわみ継手アセンブリのいかなる屈曲であっても、ボールに取り付けられた支持構造体および支持構造体に取り付けられた対象物の動きがもたらされる。
【0047】
図2Aおよび図2Bは、レベリング装置の別の態様を示す。図2Aに示すように、装置200は、対象物204を取り付けるよう適合した支持構造体202と、支持構造体に取り付けられたたわみ継手アセンブリ206とを含む。装置は、たわみ継手アセンブリ206の継手部材に取り付けられた取付け構造体212をさらに含む。取付け構造体は、取付け構造体の一端においてヒンジ部材216を介してパターニング機器(図示せず)のプラットホーム214に取り付けられるよう適合している。図2Bは、支持構造体202、対象物204、たわみ継手アセンブリ206、および取付け構造体212を含む装置の上面図を示す。図2Bは、この態様では、取付け構造体が梁の形状であることをより明確に示しているが、その他の形状も可能である。同様に、取付け構造体は、ヒンジ部材216のほかに、他の手段を介してパターニング機器に取り付けられてもよい。
【0048】
図2Aおよび図2Bは、また、レベリング装置が、装置に取り付けられた対象物が平行な向きにされたときに合図する合図システムと一体化していることを示している。合図システムは電気回路を含む。電気回路は、正極端子217および負極端子218によって表された電源、電源に電気的に接続された光源(図示せず)、電源に電気的に接続された取付け構造体212、ならびに電源に電気的に接続され、取付け構造体の他端を支持するよう適合した支持部材220によって形成されている。様々な公知の電源および光源が使用されてもよい。ほんの一例として、光源としてLEDが使用されてもよい。支持部材が取付け構造体の端部を支持することができる限り、支持部材の形状および寸法は様々であってもよい。支持部材および取付け構造体の組成は、合図システムの電気回路を形成するためには導電材料が望ましいが、同様に様々であってもよい。
【0049】
平行な向きが達成されたときに合図するためおよび、関連する定量的な情報を提供するための他の合図システムも可能である。このような合図システムは、本明細書において開示されたいずれの装置とでも一体化させることができる。一例として、合図システムはたわみ測定手段を含むことができる。このような合図システムと一体化された装置は、装置に接続された剛性のアームを含むことができる。アームは装置から外方に突出するよう適合することができる。アームは、装置が負荷を受けたときに装置の動きを測定するようさらに適合させることができる。例えば、アームは、動きを測定するためのデジタルエンコーダや容量センサなどのたわみ測定装置に接続することができる。装置が基板の表面と接触し、装置に取り付けられた対象物上の突起がたわんでアームに対して上方への力を加え始めたとき、アームの非常に小さなたわみを測定することができる。
【0050】
別の例として、合図システムは、ひずみゲージ測定手段を含むことができる。このような合図システムと一体化された装置には、装置と基板とが接触したときに印加された力を測定して接地点を定量化するよう適合したひずみゲージを接続させることができる。あるいは、装置は、装置が接触する基板に接続された圧力センサを含むことができる。圧力センサは、装置に取り付けられた対象物上の突起が基板に力を加え始める時間および場所に関する情報を提供するよう適合させることができる。
【0051】
ここで、レベリングプロセスを図2Aおよび図2Bに関連して説明する。取り付けられた対象物204は、対象物の下に配置された基板(図示せず)と接触状態にされてもよい。対象物と基板の表面との接触は、装置(従って、取り付けられた対象物)を基板に向かって下降させることまたは基板を装置に向かって上昇させることによって等、様々な方法で達成されてもよい。ほんの一例として、基板がパターニング機器の可動ステージに取り付けられてもよい。基板と取り付けられた対象物とが接触すると、たわみ継手アセンブリ206のボールが継手部材のくぼみ内で回転することにより、取り付けられた対象物を基板に対して平行な向きにすることができる。これにより、装置は、たわみ継手アセンブリによって提供される動きの自由、ならびに取り付けられた対象物および基板が接触時に互いに及ぼし合う力によってレベリングが達成されることを意味する「自己レベリング」が可能になる。
【0052】
ここで、合図プロセスを同じく図2Aおよび図2Bに関連して説明する。取り付けられた対象物を平行な向きにする前は、取付け構造体212が支持部材220の上に載り、接触状態にある。この構成では、電源217、218、取付け構造体212、支持部材220、および光源の間に閉じた電気回路が形成され、それによって光源が「点灯」される。取り付けられた対象物を基板に対して平行な向きにした後、基板および対象物の互いに逆方向の任意のさらなる垂直運動があれば、取付け構造体が支持部材から離昇される。この「離昇」は電気回路を開き、それによって光源が「消灯」される。これにより、光源は、対象物が基板に対して平行な向きにされたという合図を提供する。
【0053】
レベリング装置の別の態様を図3に示す。装置300は、対象物304を取り付けるよう適合した支持構造体302と、支持構造体に取り付けられた複数のたわみ継手アセンブリ306、308、310、および312を含む。周囲にたわみ継手アセンブリが配置される中心軸を定めることができる。2本の軸を中心軸と垂直をなすように定めることができ、これら2本の軸は互いに垂直であり、たわみ継手アセンブリの位置を明確にするために使用することができる。加えて、2つの垂直な平面が中心軸を通り抜けることができ、たわみ継手アセンブリはこれら平面上に存在することができる。第1のたわみ継手アセンブリ306は、支持構造体302に平行な第1の軸に沿って配置されており、第2のたわみ継手アセンブリ308は、この第1の軸に沿って第1のたわみ継手アセンブリ306の反対側に配置されている。第3のたわみ継手アセンブリ310は、支持構造体302に平行で第1の軸に垂直な第2の軸に沿って配置されており、第4のたわみ継手アセンブリ312は、この第2の軸に沿って第3のたわみ継手アセンブリ310の反対側に配置されている。図2と同様に、図3のたわみ継手アセンブリのそれぞれが、ボールと、中にボールを収容するよう成形されたくぼみを有する継手部材とを含む。しかしながら、その他のたわみ継手アセンブリも可能である。図3は、この態様において、継手部材がソケットであり、第2および第4のたわみ継手アセンブリ308、312のソケットが2つの対向する長い側部と2つの対向する短い側部とを有することを示している。しかしながら、その他のタイプの継手部材も可能である。図3に示す第2のたわみ継手アセンブリ308の継手部材の形状は、取り付けられた対象物304の、第2の軸を中心とする回転を容易にする一方で、取り付けられた対象物の第1の軸を中心とする回転を制限することができる。同様に、図3に示す第4のたわみ継手アセンブリ312の継手部材の形状は、取り付けられた対象物の第1の軸を中心とする回転を容易にする一方で、対象物の第2の軸を中心とする回転を制限することができる。
【0054】
図3のたわみ継手アセンブリは磁気継手アセンブリであってもよい。ボールまたは継手部材のどちらかが磁性であってもよいが、図3では、ボールが磁性であり、継手アセンブリは、磁石に吸引される材料、例えば、鋼材から形成されている。これにより、上述したように、継手部材とボールとは磁力を介して取り付けられ、たわみ継手アセンブリは、ボールがそれぞれの継手部材のくぼみ内で回転する際に様々な方向に屈曲することができる。第1および第2のたわみ継手アセンブリ306、308のボールは接着剤で支持構造体302に取り付けることができる。しかしながら、その他の取付け手段も可能である。
【0055】
図3に示すように、装置は、支持構造体302の上方に配置されて第1および第2のたわみ継手アセンブリ306、308に取り付けられた中間構造体314をさらに含むことができる。装置は、中間構造体314の上方に配置されて第3および第4のたわみ継手アセンブリ310、312に取り付けられた上部構造体316をさらに含むことができる。支持構造体302、中間構造体314、ならびに上部構造体316の形状および寸法が様々であってもよい。図3および図4Aに示すように、これらの構造体は相補的な形状を有することができる。特に、中間構造体314は、支持構造体302の少なくとも一部および上部構造体316にぴったりと合ってそれらを収容し、完全に組み立てられたときにこれらの構造体が「入れ子」にされるように成形することができる。図3に示す支持構造体302および中間構造体314の特定の形状もまた、対象物の第1の軸を中心とする回転を制限しながら、対象物の、(上述の)第2の軸を中心とする回転を容易にすることができる。同様に、図3および図4Aに示すように、上部構造体316は、中間構造体314の少なくとも一部の中にはまり、完全に組み立てられたときに上部構造体および中間構造体が「入れ子」にされるように成形することができる。図3に示す中間構造体314および上部構造体316の特定の形状もまた、取り付けられた対象物の第2の軸を中心とする回転を制限しながら、対象物の第1の軸を中心とする回転を容易にすることができる。第3および第4のたわみ継手アセンブリ310、312のボールは接着剤で中間構造体314に取り付けることができる。しかしながら、その他の取付け手段も可能である。
【0056】
図3は、装置が中間構造体314を第1および第2のたわみ継手アセンブリ306、308に取り付けるための、ならびに上部構造体316を第3および第4のたわみ継手アセンブリ310、312に取り付けるための追加の機構、態様、または手段を含み得ることも示している。これらの取付け態様は、磁石318〜324(318、320、322、324)であってもよいが、その他の取付け態様も可能である。図3に示すように、第1および第2の磁石318、320は、支持構造体302と中間構造体314との間に配置することができる。第1および第2の磁石318、320は、接着剤を含め、様々な手段を介して中間構造体314に取り付けることができる。第1および第2の磁石318、320は、その後、磁力を介して第1および第2のたわみ継手アセンブリ306、308の継手部材にそれぞれ取り付けることができる。同様に、第3および第4の磁石310、324は、中間構造体314と上部構造体316との間に配置することができる。第3および第4の磁石322、324は、接着剤を含め、様々な手段を介して上部構造体316に取り付けることができる。第3および第4の磁石322、324は、その後、磁力を介して第3および第4のたわみ継手アセンブリ310、312の継手部材にそれぞれ取り付けることができる。
【0057】
図3は、磁石318〜324(318、320、322、324)とたわみ継手アセンブリ306〜312(306、308、310、312)とが磁石、継手部材、およびボールを含む「サンドウィッチ」式構造を形成していることを示している。図では、ボールも磁性である。代わりのサンドウィッチ構造は磁石、ボール、および継手部材である。このような構造においては、継手部材が磁性になるであろう。これにより、ボールとして、磁気ボールよりも滑らかになるよう機械加工可能な従来の鋼製ボールベアリングが可能になるだろう。上述したように、たわみ継手アセンブリの構造の滑らかさは、少なくともアセンブリの静摩擦係数に影響を及ぼし、より滑らかなボールが、より小さな「歯」をもつ「ギヤ」と低い静摩擦係数を提供する。
【0058】
図3に示すように、支持構造体302、中間構造体314、および上部構造体316は、支持構造体に取り付けられた対象物304を観察するのに適合した中央開口326をそれぞれ含んでもよい。後述されるように、この特徴は、対象物が基板に対して平行な向きにされたときに合図する合図システムの一部として有用になることができる。
【0059】
上述したように、支持構造体302は、インク組成物を複数の突起上に配置する器具に取り付けられるようさらに適合させることができる。図3に示すように、支持構造体302は一対の磁石328、330を含むことができる。これらの磁石は、基板に対してレベリングされる対象物の複数の突起上にインク組成物を配置する器具も含め、様々な構造に支持構造体を(例えば、装置300から隠される際に)取り付けるために使用されてもよい。対象物が走査プローブチップなどのチップのアレイである場合、支持構造体は、チップを蒸気コーティングするための器具に磁石328、330を介して取り付けることができる。チップは、例えば、リン脂質を使った液体コーティングでコーティングすることもできる。
【0060】
図4A〜4Cは、図3に示す組み立てられた装置の様々な斜視図を示す。図4Aは、対象物404を取り付けるよう適合した支持構造体402、中間構造体414、および上部構造体416を含む装置400の上面の斜視図を示す。中間構造体414は、第2のたわみ継手アセンブリ408を示すように部分的に透けて見えるよう図示されている。第1、第3、および第4のたわみ継手アセンブリの一部だけが図示されている(符号なし)。図4Bは、対象物404を取り付けるよう適合した支持構造体402、中間構造体414、および上部構造体416を含む装置400の底面の斜視図を示す。図4Bは、対象物404が対象物上の一つまたは複数の突起(図示せず)を観察するのに適合した複数のビューポート434を含むことも示している。後述するように、この特徴は、対象物が基板に対して平行な向きにされたときに合図する合図システムの一部として有用になることができる。
【0061】
上述したように、レベリング装置はパターニング機器に取り付けられるよう適合した取付け構造体を含むことができる。このような装置500を図5に示す。取付け構造体536は、他の形状もあり得るが、開口540を有する片持ち梁構造または梁構造538を有する。図5は、装置500の支持構造体502、中間構造体514、および上部構造体516も示す。
【0062】
一部の代表的な態様では、ジンバルデザインは、内部観察領域を観測自由にしたままで、例えば二次元ナノPrintArrayのような、チップアレイなどの対象物の外周をただ塞ぐだけである。有利なことに、これにより、ビューポートたわみ測定が、有用な形の平面性の実証をもたらすことができる。このデザインは、二軸デザインまたは単一ボールのデザインと異なる。
【0063】
レベリングプロセス
ここで、レベリングプロセスを図3に関連して説明する。取り付けられた対象物304は、対象物の下に配置された基板(図示せず)と接触状態にされてもよい。対象物と基板の表面との接触は、図2に関連して上述したように、様々な方法で達成されてもよい。ほんの一例として、基板がパターニング機器の可動ステージに取り付けられて、装置300上の取り付けられた対象物304に向かって上昇させられてもよい。基板と取り付けられた対象物とが接触すると、たわみ継手アセンブリのボールがそれぞれの継手部材のくぼみ内で回転する。上述したように、支持構造体302、中間構造体314、上部構造体316、ならびに第2および第4のたわみ継手アセンブリ308、312の継手部材の特定の形状が、支持構造体に平行な第1の軸および支持構造体に平行で第1の軸に垂直な第2の軸を中心とする、取り付けられた対象物304の回転を可能にする。この移動の自由により、取り付けられた対象物304が接触時に基板に対して平行な向きになることが可能になる。
【0064】
レベリング装置は、装置に取り付けられた対象物が平行な向きにされたときに合図する合図システムと一体化させることもできる。上述したように、装置は一つまたは複数の開口を含むことができ、装置に取り付けられた対象物は、一つまたは複数のビューポートを含むことができる。開口およびビューポートは、対象物上の一つまたは複数の突起を観察するのに適合している。図3は、装置300が支持構造体302、中間構造体314、および上部構造体316のそれぞれに開口326を有することを示している。図4Bは、取り付けられた対象物404を備えた装置400が複数のビューポート434を有することを示している。このような装置用の合図システムは、開口およびビューポートを通した観察を容易にするための、顕微鏡などの、光学装置をさらに含むことができる。システムは、さらなるズーム能力のためのカメラ、ならびに表示能力のためのコンピュータおよび画像処理ソフトウェアを含むこともできる。例えば、Haaheimらの米国特許出願公開第2008/0309688号を参照されたい。
【0065】
ここで、カンチレバー上に配置された、取り付けられた走査プローブチップのアレイのための、上記合図システムを使用した例示的な合図プロセスを説明する。しかしながら、以下の説明がカンチレバー上に配置された走査プローブチップのアレイに限定されず、むしろ本明細書において記述された支持構造体に取り付けられるべき対象物および同様の対象物のいずれにも当てはまることは強調されるべきである。取り付けられたアレイが平行な向きを達成する前は、ビューポートを通して観察したカンチレバーおよび走査プローブチップのアレイは焦点がぼやけて見える。加えて、ビューポートを通過してカンチレバーに達する光がカンチレバーに反射することができる。反射光は、特定の色および強度を有し、カンチレバーのたわみ状態の指標を提供することができる。取り付けられたアレイが基板と接触して、アレイが基板に対して平行な向きに移行するにつれて、チップが基板と接触し、カンチレバーが上方に反らされる。チップが基板と接触して、カンチレバーがたわむにつれて、チップに焦点が合わされ、カンチレバー梁からの光の反射が変化し、その結果色および/または強度の対応する変化がもたらされる。基板および対象物の互いに逆方向の任意のさらなる垂直運動があると、光反射のさらなる変化とチップの焦点外しを引き起こすことができる。したがって、チップおよび/またはカンチレバーの(3つの異なるXY位置での)結像が、対象物が基板に対して平行な向きにされたという合図を提供する。
【0066】
本明細書において記載された対象物、装置、およびアセンブリはジンバルとして機能させることが可能である。
【0067】
上述の装置のいずれも、器具およびキットに組み込むことが可能である。装置の使用は、機器、ソフトウェア、コンピュータ、および外部ハードウェアによって制御することができる。
【0068】
取付け具
上述したように、開示された対象物のいずれかの、開示された支持構造体のいずれかへの取付けも容易にするよう適合した別個の取付け具も提供される。取付け具600の例示的な態様を図6に示す。取付け具600は、対象物604の支持構造体606への取付けを容易にするよう適合している。取付け具600は、取付けプロセス中に、対象物604の取付け面610を露出させたままにしながら、対象物604を固定位置に保持するよう適合したキャビティ608を含む。キャビティ608は、対象物604の端縁の少なくとも一部に沿って対象物604を支持するよう適合したリップ612を含む。対象物の取付け面610とは反対側の表面上の複数の突起(図示せず)が、取付けプロセス中、キャビティ608内に突出する。これは、取付けプロセス中の突起の取扱いと損傷を避けるのに有用になることができる。取付け具600は、対象物604の取付け面610上に置かれた支持構造体606の一面を収容するよう成形された溝614をさらに含む。取付け具600は、取付けプロセス中に支持構造体606を対象物604の取付け面610上の固定位置に保持するクリップ部材616をさらに含むことができる。クリップ部材616の形状および寸法は、クリップ部材が対象物604上の支持構造体606と接触すること、および支持構造体を所定位置に保持することができる限り、限定されない。クリップ部材はばね効果を含むことができる。
【0069】
ここで、例示的な取付けプロセスを図6に関連して説明する。対象物604は、キャビティ608のリップ612上に置くことができる。接着剤、膠、またはその他の取付け手段を対象物604の取付け面610に適用することができる。次に、支持構造体606を取付け面610上に置くことができる。接着剤または膠または同様の取付け手段が使用される場合、接着剤または膠が固まるかまたは乾く間、クリップ616が支持構造体606上まで下降され、支持構造体を対象物604の取付け面610に押し付けることができる。
【0070】
これまで述べてきたように、本明細書において提供された装置および構成部品の寸法は様々であってもよい。ある場合には、装置(例えば、レベリング装置、取付け具など)およびそれらの装置の構成部品(例えば、対象物、支持構造体、中間構造体、上部構造体、たわみ継手アセンブリ、継手部材、取付け構造体など)の寸法をセンチメートル、ミリメートル、またはさらにより小さいオーダーで非常に小さくすることができる。屈曲して動く能力を有する装置および構成部品の小規模製造が特に課題になり得る。ほんの一例として、本明細書における装置のいずれも、最大寸法がおよそ10cm以下になることができる。これには、最大寸法がおよそ5cm、2cm、1cm、または0.5cmである態様が含まれる。しかしながら、より大きい寸法およびより小さい寸法も可能である。別の非限定的な例として、本明細書における構成部品のいずれも、最大寸法がおよそ5cm以下になることができる。これには、最大寸法がおよそ5cm、2cm、1cm、0.5cm、または1mmである態様が含まれる。しかしながら、より大きい寸法およびより小さい寸法も可能である。
【0071】
器具
別の局面において、開示された装置を組み込んだ器具が提供される。一部の態様では、器具は、パターニング機器および上記装置のいずれかをも含むことができ、装置はパターニング機器に取り付けられる。マイクロコンタクトプリンティングおよびナノインプリントリソグラフィ用の市販の機器を含むが、それらに限定されない様々なパターニング機器が使用されてもよい。パターニング機器は、パターニングに適合した走査プローブ機器も含むことができる。このような走査プローブ機器には、走査型トンネル顕微鏡、原子間力顕微鏡、および近接場光学走査顕微鏡が含まれるが、それらに限定されずそのすべてが市販されている。その他の走査プローブ機器には、イリノイ州SkokieのNanoInk,Inc.から市販されているDPN 5000、NLP 2000、およびNSCRIPTORシステムが含まれる。
【0072】
別の考え得るパターニング機器は、Rozhokらの米国特許出願公開第2009/0023607号に記載されている。このような機器は、少なくとも5つのナノポジショニングステージを有する少なくとも一つの多軸アセンブリと、少なくとも一つの走査プローブチップアセンブリと、少なくとも一つの観察アセンブリと、少なくとも一つのコントローラーとを含むことができ、走査プローブチップアセンブリおよび多軸アセンブリは、走査プローブチップアセンブリから多軸アセンブリによって配置された基板への材料の送達に適合している。ナノポジショニングステージ、多軸アセンブリ、走査プローブチップアセンブリ、観察アセンブリ、およびコントローラーは、Rozhokらの米国特許出願公開第2009/0023607号に記載されている。
【0073】
上記パターニング機器のいずれにも、例えば、温度、湿度、およびガス含有量を制御するために、環境室を含ませることができる。
【0074】
キット
本明細書において記載された構成部品および装置の一つまたは複数を有用なキットに組み込むことができる。キットは、キットの使用法に関する一つまたは複数の取扱説明書をさらに含むことができる。キットは、例えば、既存の市販のパターニング機器などのパターニング機器とともに機能するよう適合させることができる。
【0075】
方法
別の局面において、レベリング方法やパターニング方法を含め、開示された装置および器具のいずれかを使用する方法が提供される。レベリング方法の一態様では、方法は、本明細書において開示された装置のいずれかを設ける工程、開示された対象物のいずれかを装置の支持構造体に取り付ける工程、取り付けられた対象物を基板に接触させる工程、および対象物を基板表面に対して平行な向きにさせる工程を含むことができる。取り付けられた対象物を接触させる工程は、上述したように、例えば、装置および取り付けられた対象物を基板に向かって移動させるか、または基板を装置および取り付けられた対象物に向かって移動させることによって達成することができる。対象物を平行な向きにさせる工程は、たわみ継手アセンブリが屈曲して、これにより、取り付けられた対象物が、取り付けられた対象物および基板によって互いに反対方向に及ぼされる力に応じて移動するときに達成される。
【0076】
レベリング方法は追加の工程を含むことができる。ほんの一例として、方法は、平行な向きにされたことを上記合図システムのいずれかを使用することによって確認する工程を含むことができる。別の例として、方法は、取り付けられた対象物と基板表面との接触を断つ工程を含むことができ、接触が断たれた後は、取り付けられた対象物の平行な向きが維持される。
【0077】
パターニング方法の一態様では、方法は、本明細書において開示された装置のいずれかを設ける工程、開示された対象物のいずれかを装置の支持構造体に取り付ける工程、対象物の突起の少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程、およびインク組成物を突起から基板の表面に転写する工程を含むことができる。インク組成物は公知であり、有機化合物および無機材料、化学物質、生体物質、非反応物質および反応物質、分子化合物および粒子、ナノ粒子、自己組織化単分子膜を形成する材料、可溶性化合物、ポリマー、セラミックス、金属、磁性材料、金属酸化物、主族元素、化合物および材料の混合物、導電性ポリマー、核酸物質、RNA、DNA、PNA、タンパク質およびペプチドを含む生体分子、抗体、酵素、脂質、炭水化物、ならびにウイルスなどの有機体さえ含む。チオールおよび硫化物を含む硫黄含有化合物も使用することができる。本明細書において列挙された参照文献のいずれも、使用されてもよい他のインク組成物を記載している。例えば、溶液浸漬や真空蒸着を含め、突起にインク組成物を供給する方法が公知である。例えば、Cruchon-Dupeyratらの米国特許出願公開第2005/0035983号を参照されたい。インク組成物を突起から基板に転写するためのパラメータ、例えば、滞留時間、パターニング率、および環境条件も公知である。パターンは、ドット、線、円、またはその他の特徴を含むことができる。例えば、本明細書において提供された参照文献ならびにMirkinらの米国特許出願公開第2002/0063212号および第2002/0122873号のいずれかを参照されたい。
【0078】
レベリング方法およびパターニング方法は組み合わせることができる。一態様では、上述したレベリング方法のいずれも、対象物の突起の少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程をさらに含むことができる。突起の少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程は、取り付けられた対象物を基板に接触させて、対象物を平行な向きにさせる前または後に、行うことができる。換言すれば、取り付けられた対象物をレベリングする前または後に、突起をインク組成物でコーティングすることができる。一部の態様では、取り付けられた対象物をレベリングする前に、突起がコーティングされる。突起がコーティングされ、取り付けられた対象物がレベリングされた後に、方法は、インク組成物を突起から基板表面に転写する工程を含むことができる。
【0079】
用途
本明細書において記載された装置および器具は、生物学的用途、薬学的用途、マイクロスケールおよびナノスケール構造物の製造を含め、様々な用途に使用することができる。製造用途には、MEMSおよびNEMSの形成が含まれる。頭字語「MEMS」は、マイクロ電気機械システム、マイクロ電気光学システム、マイクロ電磁システム、マイクロ流体システムなどのすべてのマイクロシステムを包含することができる。MEMSには、ナノ電気機械システムNEMSも含めることができる。これらおよびその他の用途は、Haaheimらの米国特許出願公開第2008/0309688号を含め、本明細書において提供された参照文献のいずれかに記載されている。
【0080】
生物学的用途の場合、幹細胞増殖も含め、細胞増殖は、本明細書において記載された装置および機器で製造されたアレイを使用して制御することができる。タンパク質アレイ、核酸アレイ、ならびに脂質およびリン脂質アレイも製造することができる。
【0081】
製造方法および組立て方法
本明細書において記載された構成部品および装置を製造して組み立てるために、当技術分野で公知の方法を使用することができる。これには、構成部品および装置を市販の計装と適合させることが含まれる。追加の非限定的な態様が図7〜図17に記載されている。
【0082】
図7(A)は多重2D-DPNの基本概念を示しており、すべてのチップが同時に同じ形状を描くが、各チップがそれぞれ異なるインクを装填されることができる。小さい水メニスカスは、周囲条件でチップと基板との間に形成可能で、拡散インク(例えば、アルカンチオール)のクラス間で拡散用の展色剤であるメニスカスを表すことが示されている。図7(B)は、この考えを、特別仕様の分析キットを作るためのラピッドプロトタイピングプラットホームを想定した、タンパク質の多重印刷に限定している。
【0083】
この概念、すなわち、制御された一様な接触は、2D-DPNの最適化に関して重要である。単一のチップまたは一次元アレイを備えた従来のDPNは、カンチレバーに反射して光検出器に跳ね返るレーザーを用いて力フィードバックで実施され、基板に対する一定の印加力(すなわち、カンチレバーたわみ)を促進ことができる。AFMにおける機械的増幅という性質のために、力フィードバックで達成可能なカンチレバーたわみの範囲は必然的に光検出器の寸法によって制約され、このカンチレバーたわみ範囲は通常2μm未満である。対照的に、2D-DPNは、力フィードバックなしで実施することができ、Zアクチュエーターが基板に対して一定の高さに設定される。力フィードバック条件の範囲内では、DPNは効果的に力から独立しており、パターンが最小たわみと最大たわみとの間でほぼ等しく形成される。しかしながら、極度のチップたわみの状況(例えば、10μm超)では、自己組織化単分子膜(SAM)の歪んだ特徴や非標準的な形成を含め、異常なパターニング挙動が観測された。これは、2D-DPNで一様かつ同質のパターンを形成するための2つの非常に重要な動作条件、すなわち、(1)二次元アレイの全体的なZ位置が基板に対して入念に制御されなければならないこと(すなわち、カンチレバーたわみ平均)、および(2)カンチレバーたわみのばらつきが最小限でなければならないこと(すなわち、アレイ-基板平面性に直接関連するカンチレバーたわみ差異)を暗示している。一態様では、NLP 2000の改良形光学機器は#1をより達成しやすくし、自己レベリング具は、#2の達成しやすさを向上させると同時に、かつてない平面性を可能にする。
【0084】
二次元ナノPrintArrayそれ自体に始まり、図8(A)は、プラスチックのハンドルに取り付けられたシリコンチップの上面図を示す。ハンドルはx軸に沿って対称であり、中央の大きな切開部は、チップのビューポートにとって最大の受光と観察範囲を可能にする。ビューポートは「Y」字に配置されており、「Y」の脚のいずれからも測定を行って基板との3つの接触点を定めることができるようになっている。図8(A)は、二次元ナノPrintArrayを自己レベリング具の残部に付着させるために使用される、はめ込みの球形のボール磁石も示す。利便性、保管、および輸送のため、装置をいかなる透磁性材料にも安全に付着させることができるように、平らなディスク磁石がハンドルの外側部分に設けられており、装置はその左側で透磁性金属錫の下面から懸架された状態で示されている。図8(B)は、同じ組立ての下方からの斜視図を提供しており、ビューポートの「Y」構成がチップの上面を通過して来る光のごく小さなスリットとして見える。図8(C)は、内側の3つのビューポート(1a、2a、3a)を明示している。この向きでは、(例えば、ODTのようなアルカンチオールでコーティングされた)被覆チップが観察者に向けられており、カンチレバー実装密度がチップの20×90μmピッチの配置に従って示されている。
【0085】
ビューポート幅は同時に13本の隣接したカンチレバーの1列を観察することを可能にし、これは、Zでの基板に対する、ならびにXおよびYでの基板を横切るナビゲーションを大いに支援する。窒化ケイ素(SiN)カンチレバーは、シリコンハンドルウエハの緑黄色の背景の前で緑色に見え、SiNのピンクの領域はハンドルに対するアンカーを提供する。この配置は図8(D)で明確に見えており、SiNカンチレバー列が金熱圧着を介してシリコンハンドルウエハの隆起部に付着されている。カンチレバーの下の領域は、最大限のカンチレバーたわみを与えるためにエッチングで除去されている。図8(E)が260μmの広いビューポート開口の前のカンチレバー群を拡大させている一方、図8(F)は各カンチレバーの高いカール(curl)およびその下のエッチング除去領域のせいで各カンチレバーに利用可能な大きいFOT(一般に15〜20μm)を示している。中実のSiNスタンドオフ(高さ4μm)が装置の外側隅部に位置しており、カンチレバーが常に完全にたわんだ状態になるのを防止する。すべてのチップは、標準的な酸化物先鋭化加工に従って製造することができ、約15nm(先端半径)のチップ先鋭度になる。
【0086】
カンチレバーに利用可能なFOTは、チップのすべてを基板に接触させる最小許容平面性を直接に規定する。図9(A)は、表面と接触する直前の最小角度(φ)のときのアレイの概略図を示す。アレイの最も高い部分と最も低い部分との差(DZ)は、最も高いチップと最も低いチップとの差19.5μmと同じである。アレイが基板に向かって移動すると、最左のチップがかろうじて表面に触れるまで、右側のチップ群が図示の左に移動する順序でたわみ始める。これは最右のスタンドオフが触れるのと同時に起きる。
【0087】
図9(B)は、FOTの大きいカンチレバーがレベリングプロセスをより寛容にする理由を示す。図9(B)は、また、アレイ全体でのカンチレバーたわみの差異を最小限にするためには、φを最小限にして、装置を可能な限り平面的にすることが必要であることを示している。平面性は自己レベリング具を使って達成される。動作概念は、直交する2本の回転軸(φx、φy)を有する自己レベリング具が物理的に遭遇するいかなるものの平面性にも対応することであり、これは、二次元ナノPrintArrayの場合、4つのSiN隅部スタンドオフが基板と接触するときに行われる。図3は、構成部品のすべてが組み合わされる様子を示した。自己レベリング具は3つの主要構成部品、すなわち、硬質のプローブホルダー具に付着される上部マウント、中間ジンバル、および二次元ナノPrintArrayにのり付けされる下部ハンドルを含む。中間と上部との間に2つの接触点があり、固定された球形の磁気ボールが、二点動的マウントを介して、ともに透磁性で背後に磁石が取り付けられた倒立円錐体と溝とに付着している。同様に、ハンドルと中間との間にも2つの同等の動的マウント接触点がある。ハンドルに固定された球形のボールはそのマウント内でφxに沿って自由回転し、中間体に固定されたボールはφyに沿って自由回転する。(この自己レベリング具がカンチレバーおよびチップのセンチメートル四方のアレイのみに機能的に限定されないことに留意されたい。そのデザインの普遍性は、様々な小規模装置のレベリング動作を可能にする。)磁力は、スタンドオフが接地した際にφxy回転補正を可能にして基板の平面性に合致させるのに十分弱いが、その正確な平面的な向きを以後のすべての動作の間保持するのに十分強いように較正されている。図4(A)は、装置が実際に組み立てられた場合の透視概略図を示し、図4(B)は、誇張されたビューポートが示された下面からの同じアセンブリを示す。図4(C)は、実際に取り付けられた際の本物の装置を示しており、二次元ナノPrintArrayおよびそのハンドルが、可動域を説明するために意図的にφxに沿って前方に傾けられている。
【0088】
この点から、レベリングプロセスは単純である。すなわち、ビューポートを通してカンチレバーを観察し、装置の最初の隅部に接するまで基板をZにおいて上方へ運び、その後、カンチレバーが完全にたわむと自らレベリングする。カンチレバーたわみ挙動は図10(AおよびB)で見られ、カンチレバーは表面接触を示す劇的な光学変化を遂げる。このたわみの最大化は、スタンドオフのすべてと接触することに相関しており、そのとき、装置は自らレベリングする。これは「粗レベリング」工程とみなされる。しかしながら、「粗レベリング」は相対的な用語になる可能性がある。図11(A)は、「粗水平の」状況の代表的な概略図を示す。この場合、図10(AおよびB)に示すたわみ挙動に従ったビューポート(1b、2b、3b)での接触点が決定される。注目すべきことに、システムの光学部品の透明度は、ユーザが接触点を±100nm以内まで決定することを可能にするので、ユーザは、「粗レベリング」が実際にどの程度であったかを知ることができる。
【0089】
精度を可能にするいくつかの光学的指標があり、最も有名なものでは、ピラミッド状チップ内部の赤橙色屈折光の「蝶の羽」構成(図10(A))が、チップの位置が(Z、チップ、または傾きにおいて)変化するとすぐに劇的に形状および色を変える。カンチレバー本体の外見上の色および強度も変化するであろう。これらの測定の容易さと明瞭さにより、ユーザは、これらのインク付けチップとの表面接触時間を最小限にすることができる。あるいは、装置を犠牲基板領域でレベリングした後に、指定のクリーンなパターニング領域まで1cm平行移動させることができる。常に、測定は、予期された光学的指標が特定のビューポートで現れたか否かに注意を払いながら、Zステージを急速に作動および後退させることによって行われる。図1(A)において、これらの接触点測定は、装置の平面性を表現する3個のz座標(-539.0、-539.1、および-537.4)の集合をもたらしており、ソフトウェアは、装置寸法を用いて対応する「勾配」(φ)およびΔZを計算する。図11(A)は、粗自己レベリング直後になされたこれらの測定を示しており、勾配0.0381およびΔZ=9.8μmの場合、「粗水平」結果は実際に非常に良い。その結果は、チップのすべてが接触している可能性を示す、ΔZがカンチレバーFOTの範囲内に入っている(ΔZ=9.8μm<FOT=19.5μm)従来の方法を用いて得ることができた最良のものと同じくらい優れているだけでなく、チップたわみの極限(10μm)も下まわっている。要望があれば、すぐにパターニングを開始して、比較的同質の結果を達成することができたであろう。
【0090】
しかしながら、この状況は必然的に「精密レベリング」工程に役立つ。図11(A)からの測定z座標を使って、システムはφxyステージを自動的に調整して、測定されたわずかなずれを補正することができる(「レベリングを実行」)。図11(B)は、精密レベリング工程の直後に測定された結果を示し、0.002°の勾配およびΔZ=600nmは±100nmのカンチレバーたわみ検出限界に相当する。装置は、これらの方法で測定可能とされるのと同じくらい平面的であった。スケール比較のため、10,000μmの装置幅にわたるΔZ=0.6μmは、フットボールフィールドの長さにわたるΔZの5mmと等しい。
【0091】
カンチレバーたわみのばらつきが最小限にされると(すなわち、装置が極めて水平であると)、その場合、一つのビューポートでカンチレバーたわみを観察して基板に対するアレイの全体的なZ位置を較正することは簡単明快であった。(最初の接触点を超えて2μmのカンチレバーたわみが最適になることができる。)同質パターニングのための2つの重要な動作条件を満たしたので、その後の結果は期待された同質性を裏付けた(図12および図13)。図12(A〜D)は、ソフトウェア設計入力(図12(E))によって要求されたとおりに、センチメートル四方パターン全体の四隅から得られた暗視野顕微鏡像を表示している。ドット滞留時間は2秒であり、ドットピッチは3μmであった。暗視野像は、四隅の間で強い一様性を有する、SiO2基板上の15nm厚の金の構造物を示している。
【0092】
5×5アレイの左下隅の大きなスポットは、パターニングを開始する前に数秒間基板に滞留することによって形成された。図13(A)は、サンプルを通じた一貫性を示すためにタイル状にまとめて表示された56個の明視野顕微鏡像を用いて、平方センチメートル全体にわたる全体的な一様性を証明している。より以前の研究(例えば、2006年Salaitaら)では、センチメートル四方のサンプルを通じて16%の特徴寸法標準偏差が測定された。現在の研究(図13(A))は、56個すべての画像タイルからなされた測定値を用いて、センチメートル四方サンプルを通じて5.4%の特徴寸法標準偏差を示している。パターン全体の中央部分が図13(B)に拡大されており、図13(C)からの「DPN DPN」デザインに基づく新しいパターンを明らかにしている。(各ドットのための滞留時間は20秒であった。)55,000チップからの印刷におけるこの同質性のレベルは適切なレベリング技術なしには達成することが極めて難しい。自己レベリング具はそれを高速かつ容易にする。
【0093】
図14(AおよびB)は、多数のリソグラフィ実行にわたって自己レベリング具の到達した平面性を維持する能力を示す。自己レベリング具#1の安定性テストが図14(A)に示されており、正確に較正された磁石の強さの直接的な結果である。磁石が弱すぎた場合には、装置が試み1〜8で平面的な一貫性を維持することはできなかったであろう。この実験において、最初の4つの試みは、アレイを基板と接触させること、ビューポート(1b、2b、3b)に関して接触点を測定すること、100μm後退すること、および繰り返すことを必要とした。試み5〜8は、アレイを基板と接触させること、カンチレバー完全たわみを超えて20μm移動すること、およびその後に100μm後退することを必要とした。測定されたビューポート位置の一貫性は、自己レベリング具が、その後のカンチレバーたわみ量にかかわらず、非常に安定した向きをとることを意味している。しかしながら、ビューポート接触点間の相違は、それ自体、自己レベリング具の角度分解能の間接的な測定であり、ひいては、球形の磁気ボールとその動的マウントとの間の材料界面を表す。
【0094】
試み9〜11は、精密レベリング工程の開始を示しており、期待された最小のΔZ(0.5μm)をもたらす。図14(B)は、第2の装置、すなわち、自己レベリング具#2を用いた同じ挙動を示している。この装置は、上述の粗レベリングの結果(ΔZ約8〜12μm)および同様の平面的な向きの安定性を示す。一回の精密レベリングの反復でΔZ=0.6μmが達成される。図14(B)に見られるわずかに異なるビューポート広がりは、通常の許容差の範囲内にある機械加工および研磨のばらつきによるわずかに異なるボール‐マウント材料界面に起因する。
【0095】
図15A〜図15Cは、自己レベリングプロセス中の装置および対象物の斜視図を示す写真である。磁石の強度および表面材料は、組立てに望ましい範囲の剛性を与え、図14Aおよび図14Bに示す繰返し可能な挙動を可能にする。
【0096】
図16A〜図16Cは、自己レベリングプロセス中の装置および対象物の斜視の写真である。
【0097】
図17A〜図17Cは、突起(ピラミッド)から「蝶の羽」光回折挙動を調べることによって最初の接触点を決定するプロセスを示す。
【0098】
したがって、装置をレベリングする所要時間を大きく最小限にして、レベリング手順を単純化するとともに、従来達成可能であったよりもはるかに優れた共平面性を提供する、2D-DPNパターニング用の自己レベリング具の様々な態様が示されている。精密レベリングのルーチンは、基板に対する0.002°未満の不揃い、すなわち、表面積の1cm2にわたって600nm未満のZ差をもたらすことができる。平面性の程度は同質性に直接的に相関し、その同質性が広領域にわたるパターニング品質を決定する。この方法の容易さと精度は、上述した二次元ナノパターニング用途の3つのカテゴリー、すなわち、(1)エッチレジスト技術を介して高速かつ柔軟にナノ構造(例えば、Au、Si)を生成すること、(2)生体分子(例えば、タンパク質、ウイルス、細胞接着複合体)、または無機物(例えば、CNT、量子ドット)用の化学向けアセンブリおよびパターニングテンプレート、ならびに(3)生体物質を直接書き込むこと、に対するアクセスを高める。リン脂質およびアルカンチオールの両方が、メチル、ヒドロキシル、アミン、カルボキシルを含むチオール官能基を用いてパターニングされている。したがって、特定のテンプレート必要条件向けに調整された官能基で、ほんの数分間で何億もの化学的に調整されたナノ構造を作ることができる。
【0099】
現在まで、様々な材料をセンチメートル四方領域にわたるDPNの分解能(14nm)で柔軟にパターニングすることは非常に難しいか、またはできていない。基本的に、これは、単一ペンのDPNの分解能で、同時に多数(例えば、55,000個)の複製を生成しながら、様々な分子による柔軟な直接書込みを可能にする。タイルプロセスの速度、容易さ、および精度を高めることにより、自己レベリング方法論は実際的なナノ製造を可能にする助けとなる。
【0100】
材料および方法
市販されている(NanoInk,Inc.)二次元ナノPrintArray装置が使用された。パターニング前に、二次元チップアレイは、65℃で60分および0.1℃/分で100分間冷却という3回のコーティングサイクルに従ってODTで蒸気コーティングされた。パターニングは、カンチレバーたわみ挙動の光学像を撮影するために使用されたNLP 2000(NanoInk,Inc.)で行われた。パターニングは周囲条件(22℃、相対湿度30%)で行われた。パターニング後、公開された方法(例えば、2006年Salaitaら)に従って、基板がエッチングされ、金属ナノ構造が形成された。走査電子顕微鏡像は、Hitachi S4800 SEM、東京、日本を用いて得られる。明視野および暗視野光学像は、ニューヨーク州ThonrwoodのZeiss Axio-Imager ZIMを用いて得られる。
【0101】
参照文献
以下の参照文献は、本明細書において記載された様々な態様の実践をさらに可能にし、その全体が参照により組み入れられる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、
該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリと
を備える、装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが、前記表面との接触が断たれた後に前記平行な向きを維持するようさらに適合した、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記対象物が超微細チップのアレイである、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが、動摩擦係数および静摩擦係数によって特徴づけられ、かつさらに、該動摩擦係数が、前記対象物と前記表面との接触時に該対象物を移動させて前記平行な向きにさせるのに十分に低く、該静摩擦係数が、該表面との接触が断たれた後に該対象物に該平行な向きを維持させるのに十分に高い、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含む、磁気継手アセンブリであり、
該ボールまたは該継手部材が磁性である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含む、磁気継手アセンブリであり、
該継手部材が磁性である、請求項2記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含み、
該継手部材がソケットである、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリに取り付けられた取付け構造体をさらに含み、該取付け構造体が、パターニング機器に取り付けられるよう適合した、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリに取り付けられた取付け構造体をさらに含み、該取付け構造体が、走査プローブ機器に取り付けられるよう適合した、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記装置に接続された合図システムをさらに含み、該合図システムが、前記平行な向きが達成されたときに合図するよう適合した、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記合図システムが、
電源と、
該電源に電気的に接続された光源と、
前記たわみ継手アセンブリに取り付けられかつ該電源に電気的に接続された取付け構造体であって、該取付け構造体の一端においてヒンジ部材を介してパターニング機器に取り付けられるよう適合した、該取付け構造体と、
該電源に電気的に接続され、該取付け構造体の他端を支持するよう適合した、支持部材と
を含む電気回路を含む、請求項11記載の装置。
【請求項13】
超微細チップのアレイと基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した該アレイを取り付けるよう適合した支持構造体と、
ボール、および
ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む磁気継手部材
を含み、該支持構造体に取り付けられた、少なくとも一つの磁気たわみ継手アセンブリと
を含み、該磁気たわみ継手アセンブリが、該対象物と該表面との接触時に該アレイを該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが、前記表面との接触が断たれた後に前記平行な向きを維持するよう適合した、請求項13記載の装置。
【請求項15】
対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、
該支持構造体に平行な第1の軸に沿って配置された、第1のたわみ継手アセンブリ、
第1の軸に沿って、かつ第1のたわみ継手アセンブリに対向して配置された、第2のたわみ継手アセンブリ、
該支持構造体に平行で第1の軸に垂直な第2の軸に沿って配置された、第3のたわみ継手アセンブリ、および
第2の軸に沿って、かつ第3のたわみ継手アセンブリに対向して配置された、第4のたわみ継手アセンブリ
を含み、該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、複数のたわみ継手アセンブリと
を含む、装置。
【請求項16】
前記複数のたわみ継手アセンブリが、前記表面との接触が断たれた後に前記平行な向きを維持するようさらに適合した、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記対象物が走査プローブチップのアレイである、請求項15記載の装置。
【請求項18】
前記たわみ継手アセンブリの一つまたは複数が、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含む、請求項15記載の装置。
【請求項19】
前記たわみ継手アセンブリの一つまたは複数が、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含む、磁気たわみ継手アセンブリであり、
該ボールまたは該継手部材が磁性である、請求項15記載の装置。
【請求項20】
前記たわみ継手アセンブリの一つまたは複数が、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含む、磁気たわみ継手アセンブリであり、
該ボールが磁性である、請求項15記載の装置。
【請求項21】
前記たわみ継手アセンブリの一つまたは複数が、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含む、磁気たわみ継手アセンブリであり、
該継手部材が磁性である、請求項15記載の装置。
【請求項22】
前記たわみ継手アセンブリのそれぞれが、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含み、
該継手部材がソケットである、請求項15記載の装置。
【請求項23】
前記たわみ継手アセンブリのそれぞれが、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含み、
第1および第3のたわみ継手アセンブリの該継手部材がソケットであり、さらに第2および第4のたわみ継手アセンブリの該継手部材が、2つの対向する長い側部と2つの対向する短い側部とを有するソケットである、請求項15記載の装置。
【請求項24】
前記支持構造体の上方に配置され、第1のたわみ継手アセンブリおよび第2のたわみ継手アセンブリに取り付けられた中間構造体と、
該中間構造体の上方に配置され、第3のたわみ継手アセンブリおよび第4のたわみ継手アセンブリに取り付けられた上部構造体と
をさらに含む、請求項15記載の装置。
【請求項25】
前記支持構造体および前記中間構造体の形状が、前記対象物の第2の軸を中心とする回転を可能にするが、該対象物の第1の軸を中心とする回転を制限するよう作用し、かつ該中間構造体および前記上部構造体の形状が、該対象物の第1の軸を中心とする回転を可能にするが、該対象物の第2の軸を中心とする回転を制限する、請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記支持構造体と前記中間構造体との間に配置された第1の磁石および第2の磁石と、該中間構造体と前記上部構造体との間に配置された第3の磁石および第4の磁石とをさらに含み、第1の磁石が第1のたわみアセンブリに取り付けられ、第2の磁石が第2のたわみアセンブリに取り付けられ、第3の磁石が第3のたわみアセンブリに取り付けられ、第4の磁石が第4のたわみアセンブリに取り付けられている、請求項24記載の装置。
【請求項27】
前記支持構造体、前記中間構造体、および前記上部構造体それぞれが、前記対象物を見るのに適合した中央開口を含む、請求項24記載の装置。
【請求項28】
前記上部構造体に取り付けられた取付け構造体をさらに含み、該取付け構造体が、パターニング機器に取り付けられるよう適合した、請求項24記載の装置。
【請求項29】
前記上部構造体に取り付けられた取付け構造体をさらに含み、該取付け構造体が、走査プローブ機器に取り付けられるよう適合した、請求項24記載の装置。
【請求項30】
前記支持構造体が前記複数の突起をコーティングするための器具に取り付けられるよう適合した、請求項15記載の装置。
【請求項31】
前記支持構造体が、該支持構造体を前記複数の突起をコーティングするための前記器具に取り付けるための一つまたは複数の磁石を含む、請求項15記載の装置。
【請求項32】
超微細チップのアレイと基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した該アレイを取り付けるよう適合した支持構造体と、
該支持構造体に取り付けられ、該支持構造体に平行な第1の軸に沿って配置された、第1の磁気たわみ継手アセンブリと、
該支持構造体に取り付けられ、第1の軸に沿って、かつ第1の磁気たわみ継手アセンブリに対向して配置された、第2の磁気たわみ継手アセンブリと、
該支持構造体の上方に配置され、第1の磁気たわみ継手アセンブリおよび第2の磁気たわみ継手アセンブリに取り付けられた、中間構造体と、
該中間構造体に取り付けられ、該支持構造体に平行で第1の軸に垂直な第2の軸に沿って配置された、第3の磁気たわみ継手アセンブリと、
該中間構造体に取り付けられ、第2の軸に沿って、かつ第3の磁気たわみ継手アセンブリに対向して配置された、第4の磁気たわみ継手アセンブリと、
該中間構造体の上方に配置され、第3の磁気たわみ継手アセンブリおよび第4の磁気たわみ継手アセンブリに取り付けられた上部構造体と
を含み、各磁気たわみ継手アセンブリが、
ボールと、
該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む継手部材と
を含み、該ボールまたは該継手部材が磁性であり、かつさらに、
該磁気たわみ継手アセンブリが、該アレイと該表面との接触時に該アレイを該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、装置。
【請求項33】
前記磁気たわみ継手アセンブリが、前記表面との接触が断たれた後に前記平行な向きを維持するようさらに適合した、請求項32記載の装置。
【請求項34】
パターニング機器と、該パターニング機器に取り付けられた装置とを含み、さらに該装置が、
対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、
該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリと
を含む、器具。
【請求項35】
前記対象物が走査プローブチップのアレイである、請求項34記載の装置。
【請求項36】
前記パターニング機器が走査プローブ機器である、請求項34記載の装置。
【請求項37】
前記パターニング機器が、
少なくとも5つのナノポジショニングステージを含む少なくとも一つの多軸アセンブリと、
少なくとも一つの走査プローブチップアセンブリと、
少なくとも一つの観察アセンブリと、
少なくとも一つのコントローラーと
を含み、該走査プローブチップアセンブリおよび該多軸アセンブリが、走査プローブチップアセンブリから基板への材料の送達に適合し、該基板が多軸アセンブリによって配置された、請求項34記載の装置。
【請求項38】
走査プローブ機器と、該走査プローブ機器に取り付けられた請求項13記載の装置とを含む、器具。
【請求項39】
走査プローブ機器と、該走査プローブ機器に取り付けられた請求項15記載の装置とを含む、器具。
【請求項40】
走査プローブ機器と、該走査プローブ機器に取り付けられた請求項32記載の装置とを含む、器具。
【請求項41】
対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、
該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリと
を含む装置を設ける工程;
該対象物を該支持構造体に取り付ける工程;
取り付けられた該対象物を該基板と接触させる工程;および
該対象物を該表面に対して平行な向きにさせる工程
を含む、方法。
【請求項42】
前記対象物と前記表面との接触を断つ工程をさらに含み、接触が断たれた後は、前記平行な向きが維持される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記突起の少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
前記突起の少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程と、該インク組成物を該突起から前記表面に転写する工程をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
前記対象物が走査プローブチップのアレイである、請求項41記載の方法。
【請求項46】
請求項13記載の装置を設ける工程;
前記アレイを前記支持構造体に取り付ける工程;
取り付けられた該アレイを前記基板に接触させる工程;および
該アレイを前記表面に対して平行な向きにさせる工程
を含む、方法。
【請求項47】
請求項15記載の装置を設ける工程;
前記アレイを前記支持構造体に取り付ける工程;
取り付けられた該アレイを前記基板に接触させる工程;および
該アレイを前記表面に対して平行な向きにさせる工程
を含む、方法。
【請求項48】
請求項32記載の装置を設ける工程;
前記アレイを前記支持構造体に取り付ける工程;
取り付けられた該アレイを前記基板に接触させる工程;および
該アレイを前記表面に対して平行な向きにさせる工程
を含む、方法。
【請求項49】
対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物を取り付けるよう適合した支持構造体と、
該支持構造体に取り付けられ、該対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリと
を含む装置を設ける工程;
該対象物を該支持構造体に取り付ける工程;
該突起の少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程;および
該インク組成物を該突起から該表面に転写する工程
を含む、方法。
【請求項50】
前記対象物が走査プローブチップのアレイである、請求項49記載の方法。
【請求項51】
請求項13記載の装置を設ける工程;
前記アレイを前記支持構造体に取り付ける工程;
前記走査プローブチップの少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程;および
該インク組成物を該走査プローブチップから前記表面に転写する工程
を含む、方法。
【請求項52】
請求項15記載の装置を設ける工程;
前記アレイを前記支持構造体に取り付ける工程;
前記走査プローブチップの少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程;および
該インク組成物を該走査プローブチップから前記表面に転写する工程
を含む、方法。
【請求項53】
請求項32記載の装置を設ける工程;
前記アレイを前記支持構造体に取り付ける工程;
前記走査プローブチップの少なくともいくつかにインク組成物を供給する工程;および
該インク組成物を該走査プローブチップから前記表面に転写する工程
を含む、方法。
【請求項54】
対象物と基板の表面との接触時に該表面にパターンを形成するよう適合した複数の突起を含む該対象物の支持構造体への取付けを容易にするよう適合した、取付け具。
【請求項55】
前記対象物の前記支持構造体への接着取付けを容易にするよう適合した、請求項54記載の取付け具。
【請求項56】
前記支持構造体に取り付けられ、前記対象物と該表面との接触時に該対象物を該表面に対して平行な向きにさせるよう適合した、少なくとも一つのたわみ継手アセンブリを含む装置に接続されるよう、該支持構造体が適合した、請求項54記載の取付け具。
【請求項57】
前記対象物が走査プローブチップのアレイである、請求項54記載の取付け具。
【請求項58】
取付けプロセス中に前記対象物の取付け面を露出させたままにしながら該対象物を固定位置に保持するよう適合したキャビティを含む、請求項54記載の取付け具。
【請求項59】
取付けプロセス中に前記対象物の取付け面を露出させたままにしながら該対象物を固定位置に保持するよう適合したキャビティを含み、かつさらに、該キャビティが、該対象物を該対象物の端縁の少なくとも一部に沿って支持するよう適合したリップを含む、請求項54記載の取付け具。
【請求項60】
前記対象物の取付け面上に置かれた前記支持構造体の一面を収容するよう成形された溝を含む、請求項54記載の取付け具。
【請求項61】
前記支持構造体を前記対象物の取付け面上の固定位置に保持するよう適合したクリップ部材を含む、請求項54記載の取付け具。
【請求項62】
取付けプロセス中に前記対象物の取付け面を露出させたままにしながら該対象物を固定位置に保持するよう適合したキャビティと、
該対象物の取付け面上に置かれた該支持構造体の一面を収容するよう成形された溝と、
該支持構造体を該対象物の取付け面上の固定位置に保持するよう適合したクリップ部材と
を含む、請求項54記載の取付け具。
【請求項63】
請求項54記載の取付け具を設ける工程;および
該取付け具を使用して対象物を支持構造体に取り付ける工程
を含む、方法。
【請求項64】
接着剤または膠を対象物の取付け面に塗布する工程をさらに含む、請求項63記載の方法。
【請求項65】
請求項1記載の装置を含む、キット。
【請求項66】
支持構造体、対象物、および少なくとも一つのたわみ継手アセンブリを含み、複数の突起が複数のカンチレバー上に配置された、請求項1記載の装置を設ける工程;
該複数の突起を基板表面に接触させる工程;
該複数のカンチレバーをたわませる工程;
該複数の突起と該基板表面との表面接触を示す光学的変化を観察する工程;ならびに
該支持構造体に取り付けられた少なくとも一つのたわみ継手アセンブリを使用して該複数の突起をさらにレベリングする工程
を含む、方法。
【請求項67】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが動摩擦係数および静摩擦係数によって特徴づけられ、該動摩擦係数が、前記複数の突起と前記基板表面との接触時に該複数の突起を移動させて前記平行な向きにさせるのに十分に低く、該静摩擦係数が、該基板表面との接触が断たれた後に該複数の突起に該平行な向きを維持させるのに十分に高い、請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも一つのたわみ継手アセンブリが、
ボールと、
該ボールに取り付けられた、該ボールを収容するよう成形されたくぼみを含む、継手部材と
を含み、
前記さらにレベリングする工程が、該くぼみ内で該ボールを回転させることを含む、請求項66記載の方法。
【請求項69】
前記ボールまたは前記継手部材の少なくとも一方が磁性である、請求項68記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−533891(P2012−533891A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520826(P2012−520826)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/042352
【国際公開番号】WO2011/009094
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(508311352)ナノインク インコーポレーティッド (16)
【Fターム(参考)】