説明

レベルジャッキ

【課題】地震等による転倒防止を図ったレベルジャッキを提供する。
【解決手段】レベルジャッキLは、下方に開口部を有する凹形状の座1と、この座1に取り付けられ、上方に向かって突出した雄ネジ部2aを設けた雄ネジ体2とを備えたレベルジャッキLであって、座1の裏面側の凹所内に吸着パッド3を取り付けたものである。また、座1の外周縁部の部位に略平坦な面1bが形成され、該平坦な面1bの下に吸着パッド3が位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベルジャッキに係り、特に、地震等による転倒防止を図ったレベルジャッキに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高さ位置を調整するレベルジャッキにあっては、機器、家具等の本体にレベルジャッキを取り付け、本体の高さ調整を行っている。
このレベルジャッキにあっては、下部に滑り止め用のゴムを備えたものがあり、水平方向の揺れに対しては、滑り止め用のゴムの摩擦抵抗により本体の移動を阻止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、垂直方向の地震等の揺れに対しては、上記の滑り止め用のゴムでは、対応できず、本体が容易に転倒するという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたもので、地震等による転倒防止を図ったレベルジャッキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のレベルジャッキは、下方に開口部を有する凹形状の座と、この座に取り付けられ、上方に向かって突出した雄ネジ部を設けた雄ネジ体とを備えたレベルジャッキであって、前記座の裏面側の凹所内に吸着パッドを取り付けたものである。
【0006】
また、請求項2記載のレベルジャッキは、請求項1記載のレベルジャッキにおいて、座の外周縁部の部位に略平坦な面が形成され、該平坦な面の下に吸着パッドが位置しているものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のレベルジャッキによれば、雄ネジ体に作用する荷重により、雄ネジ体と一体となった座が降下し、座に取り付けられた吸着パッドが載置面に押さえ付けられ、該吸着パッドが扁平状に変形して載置面に密着して吸着するため、地震等による転倒防止を図ることができる。
【0008】
また、請求項2記載のレベルジャッキによれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、座の外周縁部の部位に略平坦な面が形成され、該平坦な面の下に吸着パッドが位置しているため、吸着パッドが扁平状に変形して載置面に密着して吸着する際、座の平坦な面全体で吸着パッドを押さえ、吸着パッドの負圧状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、本発明の一実施例のレベルジャッキの概略的断面図であり、図1(b)は、図1(a)のレベルジャッキの雄ネジ体に矢印方向から荷重が作用した状態の概略的断面図である。
【図2】図2は、図1(a)のレベルジャッキを分解して示す概略的分解図である。
【図3】図3は、図1(a)のレベルジャッキを本体に取り付けた状態の概略的正面図である。
【図4】図4は、図3の4−4線による概略的断面図である。
【図5】図5は、図3の一部を分解して示す概略的一部分解図である。
【図6】図6は、図3に取り付けられたレベルジャッキで本体のレベルが調整され、吸着パッドが扁平状に変形して載置面に吸着した状態の概略的断面図である。
【図7】図7は、図1(a)のレベルジャッキと異なる他の実施例のレベルジャッキの概略的断面図である。
【図8】図8は、図7のレベルジャッキを分解して示す概略的分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例のレベルジャッキを図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すLはレベルジャッキで、レベルジャッキLは、機器、家具等の本体100(図3、図4、図5及び図6参照)に取り付けられ、高さ位置を調整するために、使用されるものである。
レベルジャッキLは、下方に開口部を有する凹形状の座1と、この座1に取り付けられ、上方に向かって突出した雄ネジ部2aを備えた雄ネジ体2と、座1の裏面側の凹所内に取り付けられた吸着パッド3とを有している。
【0011】
座1は、図1及び図2に示すように、下方に開口部を有する凹形状で、例えば、略逆さ椀形状をなし、中央に取付穴1a、吸着パッド3の上に位置する座1の外周縁部の部位に略平坦な面1bが形成されている。
雄ネジ体2は、略棒状体で外周に雄ネジ部2aを備え、一端に取付穴1aの縁部に係止する膨出した係止部2b、係止部2bの中央に穴部2c、穴部2cの先端に雌ねじ部2dがそれぞれ設けられている。
吸着パッド3は、基部3a、基部3aの下端から広がるように形成したスカート部3bを有し、基部3aの上から下に向かう方向の荷重が作用すると、載置面4に当接したスカート部3bは扁平状に変形し、載置面4に密着して吸着するようになっている。
そして、雄ネジ体2の他端2eを取付穴1aを貫通させ、貫通した雄ネジ体2の雄ネジ部2aにナット5を螺合させ、雄ネジ体2を座1に取り付けるようにしている。
また、基部3aを穴部2cに挿入し、ビス6の先端のネジ部を雌ねじ部2dに螺合させて、吸着パッド3を座1に取り付けるようにしている。
【0012】
従って、上述したレベルジャッキLによれば、基部3aの上から下に向かう方向の荷重、つまり、雄ネジ体2に作用する荷重(例えば、後述するレベルジャッキLが取り付けられた本体100の自重)により、雄ネジ体2と一体となった座1が降下し、座1に取り付けられた吸着パッド3が載置面4に押さえ付けられ、該吸着パッド3が扁平状に変形して載置面4に密着して吸着するため、地震等による転倒防止を図ることができる。
特に、座1の外周縁部の部位に略平坦な面1bが形成され、該平坦な面1bの下に吸着パッド3が位置しているため、吸着パッド3が扁平状に変形して載置面4に密着して吸着する際、座1の平坦な面1b全体で吸着パッド3を押さえ、吸着パッド3の負圧状態を保持することができる[図1(b)参照]。
【0013】
次に示す実施例は、レベルジャッキLを機器、家具等の本体100に取り付けた場合について説明する(図3乃至図6参照)。
本体100の底部にレベルジャッキL、キャスターCが複数取り付けられ,載置面4の所定位置まで移動できるように、レベルジャッキLの最下位置にある吸着パッド3は載置面4に接触しないように、載置面4より上方にある。なお、レベルジャッキLは、取付部材7に設けた穴7aにレベルジャッキLの雄ネジ体2を通し、穴7aの上と下に設けたナット8、9で挟持して、本体100に取り付けられている。
雄ネジ体2の雄ネジ部2aに螺合するナット9を図示しない工具を使って、吸着パッド3が扁平状に変形し、載置面4に密着して吸着する位置まで降下させ、その後、適宜の高さ位置になるように調整する。該調整後、雄ネジ体2の雄ネジ部2aに螺合するナット8を取付部材7に対して締め付けるようにして、高さ位置の調整を完了する。
【0014】
上述した図1及び図2記載のレベルジャッキLの雄ネジ体2は、回転できる状態で支持されていないが、本願発明にあっては、これに限らず、レベルジャッキLの雄ネジ体2を回転できる状態で支持するようにしても良い。
即ち、図7及び図8に示すように、レベルジャッキLは、下方に開口部を有する凹形状、例えば、略逆さ椀形状の座1と、この座1の上側に取り付けられ、上方に向かって突出した雄ネジ部2aを備えた雄ネジ体2と、座1の裏面側の凹所内に取り付けられた吸着パッド3とを有している。
図7及び図8に示す10は中間部材で、中間部材10の一端10aは取付穴1aより突出させる大きさで、突出した側面にネジ部10bを有している。中間部材10の他端10cは段部10dを介して膨出している。中間部材10の中央部には、中間部材10の他端10cから中間部材10の一端10aに向かって貫通する貫通孔10e、貫通孔10eの中間部材10の一端10aに近い側には、雌ねじ10fが形成されている。
5’はナットで、ナット5’は貫通孔を有し、該貫通孔は、小径開口部5a’と大径開口部5b’とを有し、大径開口部 5b’の側壁には、雌ねじが形成されている。
その結果、ビス6の先端のネジ部を吸着パッド3を介して雌ねじ10fに螺合し、中間部材10のネジ部10bを雄ネジ体2を介して大径開口部5b’の側壁に形成した雌ねじに螺合して、座1の上に雄ネジ体2を、座1の下に吸着パッド3を、それぞれ取り付けることができる。
このように形成されたレベルジャッキLにあっても、図5及び図6記載の取付部材7に取り付けることができる。特に、取付部材7の穴7aの側面に図7記載の雄ネジ部2aに螺合する雌ねじ(図示せず)を設ければ、雄ネジ体2を図示しない工具を使って、回転させれば、レベルジャッキLを所定の高さ位置に調整することができる。
【符号の説明】
【0015】
L レベルジャッキ
1 座
2 雄ネジ体
2a 雄ネジ部
2 吸着パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に開口部を有する凹形状の座と、この座に取り付けられ、上方に向かって突出した雄ネジ部を設けた雄ネジ体とを備えたレベルジャッキであって、
前記座の裏面側の凹所内に吸着パッドを取り付けた
ことを特徴とするレベルジャッキ。
【請求項2】
座の外周縁部の部位に略平坦な面が形成され、該平坦な面の下に吸着パッドが位置している
ことを特徴とする請求項1記載のレベルジャッキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−218819(P2012−218819A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82433(P2011−82433)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(398061485)株式会社大長鉄工 (2)