説明

レベルセンサ用ホコリ除去装置

【課題】容器の内壁に付着するホコリを容器外部から除去することによってレベルセンサの誤動作を防止するレベルセンサ用ホコリ除去装置を提供する。また、ホコリ除去装置を有するレベルセンサを提供する。
【解決手段】レベルセンサ用ホコリ除去装置は、容器の内側にある内容物の水準を検知するレベルセンサと共に用いられる。ホコリ除去装置は容器の外部に配置して容器の内側壁面に付着したホコリを静電界を発生させて内側壁面から除去する。ホコリ除去装置は、容器の外部で、レベルセンサの光束の部分に光を透過させ静電界を発生させる透明電極を、または光束の周囲に静電界を発生させる電極を有する。容器の内側壁面に付着したホコリを検知するホコリ検知器をさらに設けてもよく、また、レベルセンサをホコリ検知器として利用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内側にある内容物(対象物)の水準(レベル)を検知するレベルセンサ用のホコリ除去装置に関し、特に、容器の内側壁面に付着した内容物の微粉末や微粒子等(本明細書では、対象物の破片、微粉末、微粒子、ホコリ等を総称して単にホコリという)を容器の外部から操作して除去するレベルセンサ用ホコリ除去装置に関する。
【0002】
また、本発明は、容器の内側にある内容物の水準を検知するレベルセンサであって、容器の内側壁面に付着した内容物の微粉末や微粒子を容器の外部から操作して除去するレベルセンサ用ホコリ除去装置を有するレベルセンサに関する。
【背景技術】
【0003】
図7は従来例のレベルセンサの誤動作の状況を説明するための図であり、図7aは反射型レベルセンサの消費時の状態を示し、図7bは反射型レベルセンサの投入時の状態を示し、図7cは透過型レベルセンサを示す。
【0004】
図7aにおいて、内容物14を収容する容器10は、例えば、透明または半透明の覗き窓(図示せず)を壁10aに設けている。容器10の覗き窓に対向するように、レベルセンサ12(反射型)が覗き窓を通して容器10内の内容物14のレベルを検知するように配置されており、この反射型レベルセンサ12は、容器10内の内容物14に向かって投光し、内容物14に当たって反射した光を受光するようになっている。
【0005】
図7bは、図7aが内容物の消費時の状態を示すのに対して、内容物の投入時の状態を示す点で異なっており、容器の構成、レベルセンサの構成、それらの配置は同じである。
【0006】
図7cにおいて、透過型レベルセンサは、投光器12aと受光器12bからなる。投光器12から容器10の覗き窓を通して投光し、反対側の覗き窓を通して受光するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常の正常動作時では(例えば、ホコリが容器10の壁10aの内側に付着してない状態では)、従来例の反射型レベルセンサ12は、容器10内の内容物14がレベルセンサ12の検知レベルにあるとき、投光がこの内容物14に当たり、反射して受光されるので、内容物「有」の出力信号を出す。
【0008】
また、従来例の透過型レベルセンサ12(12a、12b)は、容器10内の内容物14がレベルセンサ12の検知レベルにあるとき、投光器12aからの投光がこの内容物14に当たり、受光器12bには透過光が受光されないので、内容物「有」の出力信号を出す。
【0009】
しかし、図7aに示すように、反射型レベルセンサ12の場合、容器10の中の内容物(検知対象物)が内容物の消費時に減少する時、容器10の壁10aの内側にホコリ16が付着していると、ホコリ16からの反射光をレベルセンサ12が受光することによって、レベルセンサ12は誤動作して、実際は対象物が無いのに「有」と言う誤信号を出力する問題がある。この結果、内容物がないにも拘わらず内容物の消費動作を継続することになる。
【0010】
図7bに示すように、反射型レベルセンサ12の場合、容器10の中の内容物(検知対象物)が内容物の投入時に増加する時、容器10の壁10aの内側にホコリ16が付着していると、ホコリ16からの反射光をレベルセンサ12が受光することによって、レベルセンサ12は誤動作して、実際は対象物が無いのに「有」と言う誤信号を出力する問題がある。この結果、内容物がないにも拘わらず内容物の投入動作を停止することになる。
【0011】
図7cに示すように、透過型レベルセンサの場合も、容器10の壁10aの内側にホコリ16が付着していると、投光器12aの透過光がホコリ16に当たり、受光器12bは透過光を受光しないことによって、レベルセンサ12は誤動作して、実際は対象物が無いのに「有」と言う誤信号を出力する問題がある。この結果、内容物の消費動作を継続したり、内容物がないにも拘わらず内容物の投入動作を停止することになる。
【0012】
従来例のレベルセンサはこの種の誤動作を回避することができなかった。そのため、容器の中に内容物が無いのに「有」という誤信号を出し、前述のようにシステムを撹乱していた。
【0013】
したがって、本発明の目的は、容器の内壁に付着するホコリを容器外部から除去することによってレベルセンサの誤動作を防止するレベルセンサ用ホコリ除去装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、ホコリ除去装置を有するレベルセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の目的を達成するために、本発明のレベルセンサ用ホコリ除去装置は、容器の内側にある内容物の水準を検知するレベルセンサと共に用いられるレベルセンサ用ホコリ除去装置において、容器の内側壁面に付着したホコリを静電界を発生させて内側壁面から除去するホコリ除去装置を容器の外部に配置したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のレベルセンサは、容器の内側にある内容物の水準を検知するレベルセンサにおいて、容器の内側壁面に付着したホコリを除去するように容器の外部に配置したレベルセンサ用ホコリ除去装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レベルセンサのホコリ付着による誤動作を防止できる。このため、例えば、材料供給が停止し、機械が停止してしまうなどの異常を抑制でき、機械の自動(無人)運転を可能にし、非常停止が減るので生産性が向上し、異常時に出る不良品の削減にも寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のレベルセンサ用ホコリ除去装置は、容器の内側にある内容物の水準を検知するレベルセンサと共に用いられる。ホコリ除去装置は容器の外部に配置して容器の内側壁面に付着したホコリを静電界を発生させて内側壁面から除去する。ホコリ除去装置は、容器の外部で、レベルセンサの光束の部分に光を透過させ静電界を発生させる透明電極を、または光束の周囲に静電界を発生させる電極を有する。容器の内側壁面に付着したホコリを検知するホコリ検知器をさらに設けてもよく、また、レベルセンサをホコリ検知器として利用してもよい。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
次に、本発明の実施例を説明する。図1は、本発明のレベルセンサ用ホコリ除去装置の実施例を説明するための拡大図である。図1において、容器10の壁にはガラスまたはプラスチックの覗き窓10bがあり、その壁の内側に水準(レベル)検知の内容物(対象物)が収納されている。この図では、対象物の破片や微粒子等(総称して単にホコリという)(符号16で示す)が覗き窓10bの内側壁面に付着している。外側にはレベルセンサ12(この実施例では、反射型レベルセンサ)が覗き窓10bを通して投光し、内容物に当たり反射した光を受光するように配置されて内部の対象物の水準を検知している。
【0020】
内部のホコリ16は絶えず衝突を繰り返しているので静電気を持っている。覗き窓10bの内壁も対象物が絶えず衝突するので、静電気を帯びている。両者の帯電の極性は+と−があり、場所によってこれらが入り混じっている。極性の違うホコリ16と内壁の間に静電引力が働き、ホコリ16は吸着されている。覗き窓10bの外壁にはレベルセンサ12の光束の部分または周囲にホコリ除去装置20の電極20aが配置されている。この電極20aにはホコリ除去装置20の電源20cから高電圧が印加されている。
【0021】
高電圧は図示するように、+と−の極性が交互に供給される。電圧は覗き窓10bの材料や厚さなど構造により異なるが、最低1KV以上は必要で5KVから7KVが最適である。また、これ以上の高電圧では漏電や感電の可能性があるので危険である。電極の極性切り替えの周期は、ホコリの種類やホコリ飛散の状況により異なるが0.1秒から1.0秒が好ましい。
【0022】
次に、動作を説明すると、覗き窓10bの外部にあるホコリ除去装置20の電極20aに+の高電圧を印加すると、ホコリ除去装置20の電極20a近傍の内側内壁に吸着している+に帯電しているホコリ16aが静電斥力で、実線の矢印で示すように、飛散する。−の高電圧を印加すると、ホコリ除去装置20の電極20a近傍の内側内壁に吸着している−に帯電しているホコリ16bが静電斥力で、破線の矢印で示すように、飛散する。
【0023】
ホコリ除去装置20の透明電極20bは光束の部分に配置できるが、不透明電極の場合は、光束の周囲にホコリ除去装置20の電極20aを配置する。この間隔が小さければ、電極にはさまれる(囲まれる)部分、すなわちレベルセンサの光束部分も同様に電界による斥力が働くので、矢印で示すように、飛散させることができ、光束を遮ることなくホコリ除去ができる。このように交互に+と−の高電圧を印加することにより、全てのホコリを除去することができる。
【0024】
これで光束は内壁に吸着したホコリ16(16a、16b)により遮られることもなく内部の検知対象物を照射でき、正確な水準検知が行える。
【0025】
図2は、レベルセンサ用ホコリ除去装置の使用状況を示す図である。ホコリ除去装置20の電極20aに電圧が印加されると、ホコリ16が矢印で示すように飛散する。レベルセンサ12の光束はホコリ16に反射されることなく、内部に侵入し対象物14の有無を検知する。
(実施例2)
図3は、レベルセンサ用ホコリ除去装置に加えてホコリセンサを有する場合を示す図である。ホコリ除去装置20は高電圧を用いるので、外部のホコリを吸引し、時間と共に汚れる。この問題を軽減するために、不要時は電極に高電圧を印加しないようにするとよい。
【0026】
この実施例では、レベルセンサ12の他にホコリセンサ22(投光器22a、受光器22b)を有し、内部のホコリ16を検知したら、このホコリ除去装置20を動作させホコリ16を除去する。ホコリ16が壁に付着していない時には電源20c(図2参照)または電極20aをOFFでき外部からのホコリ吸引を減らすことができる。ホコリ吸引が減れば、装置の掃除も少なくできる。
【0027】
図4は独立したホコリ検知器を持つ場合の動作のフローチャートを示す。この場合は、ホコリ検知器を別に用意しなければならないので、設備費用がかかるが、市販のレベルセンサがそのまま使えると言うメリットもある。動作は単純で、ホコリ検知器がホコリを検知した時(ステップS1)、ホコリ除去(ステップS2)を行う。ホコリ16を検知しないときは、常時、ホコリ除去装置20の電源20cをOFFにしたり、ホコリ除去装置20の電極20aをOFFにすると良い。
【0028】
図5はレベルセンサがホコリ検知器を兼ねる場合の動作のフローチャートを示す。この場合は、別のホコリ検知器が必要なく、設備費用を削減できる。レベルセンサ12が対象物を検知したら(ステップS10)、ホコリ付着の可能性があるため、ホコリ除去動作をする(ステップS11)。その後、再び対象物検知を行い(ステップS12)、対象物が無くなったか判断する。対象物が無くなれば「ホコリと対象物は無し」の信号を出力する(ステップS14)。対象物があれば、「対象物あり」の信号を出力する(ステップS13)。
【0029】
ホコリを検知しないときは、常時、ホコリ除去装置20の電源20cをOFFにしたり、ホコリ除去装置20の電極20cをOFFにすると良い。
【0030】
図6はホコリ除去装置の具体的な適用例を示す。プラスチック成型機に樹脂ペレットを供給する装置30であり、樹脂ペレットを吸引し、ある水準まで溜まると停止し、水準を割り込むと再び吸引する。このとき、レベルセンサ12が使われるが、仮に覗き窓にホコリが付着すると、誤動作する。このホコリを除去するために本装置が有効である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のレベルセンサ用ホコリ除去装置の実施例を説明するための拡大図である。
【図2】レベルセンサ用ホコリ除去装置の使用状況を示す図である。
【図3】レベルセンサ用ホコリ除去装置に加えてホコリ検知器を有する場合を示す図である。
【図4】独立したホコリ検知器を持つ場合の動作のフローチャートを示す。
【図5】図5はレベルセンサがホコリ検知器を兼ねる場合の動作のフローチャートを示す。
【図6】ホコリ除去装置の具体的な適用例を示す。
【図7】従来例のレベルセンサの誤動作の状況を説明するための図であり、図7aは反射型レベルセンサの消費時の状態を示し、図7bは反射型レベルセンサの投入時の状態を示し、図7cは透過型レベルセンサを示す。
【符号の説明】
【0032】
10 容器
10a 容器の壁
10b 覗き窓
12 レベルセンサ
14 内容物
16 ホコリ(内容物の破片、微粉末、微粒子、ホコリ等)
20 ホコリ除去装置
20a ホコリ除去装置の電極
20b ホコリ除去装置の透明電極
20c ホコリ除去装置の電源
22(22a、22b) ホコリセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内側にある内容物の水準を検知するレベルセンサと共に用いられるレベルセンサ用ホコリ除去装置において、容器の内側壁面に付着したホコリを静電界を発生させて内側壁面から除去するホコリ除去装置を容器の外部に配置したことを特徴とするレベルセンサ用ホコリ除去装置。
【請求項2】
請求項1記載のレベルセンサ用ホコリ除去装置において、容器の外部で、レベルセンサの光束の部分に光を透過させ静電界を発生させる透明電極を、または光束の周囲に静電界を発生させる電極を有し、容器の内側壁面に付着するホコリを静電界で飛散させ除去することを特徴とするレベルセンサ用ホコリ除去装置。
【請求項3】
請求項2記載のレベルセンサ用ホコリ除去装置において、電極に印加する電圧は+,−が交互に入れ替わる高電圧であることを特徴とするレベルセンサ用ホコリ除去装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載のレベルセンサ用ホコリ除去装置において、容器の内側壁面に付着したホコリを検知するホコリ検知器をさらに有し、ホコリを検知したときに動作することを特徴とするレベルセンサ用ホコリ除去装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載のレベルセンサ用ホコリ除去装置において、レベルセンサをホコリ検知器として利用し、ホコリを検知したときに動作するすることを特徴とするレベルセンサ用ホコリ除去装置。
【請求項6】
容器の内側にある内容物の水準を検知するレベルセンサにおいて、容器の内側壁面に付着したホコリを除去するように容器の外部に配置したレベルセンサ用ホコリ除去装置を有することを特徴とするレベルセンサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−298702(P2008−298702A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147570(P2007−147570)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(391038475)株式会社TRINC (35)
【Fターム(参考)】