説明

レポート作成装置およびそのプログラム

【課題】資料を作成する側の負担を軽減し,利用者が利用しやすい資料とするため,業務データから生成したグラフの管理における効率化を図る。
【解決手段】レポート作成手段10がグラフを生成した際に,レポート定義情報取得手段13はレポート作成手段10からグラフ情報を取得し,グラフタイトル分解手段14が,ユーザの指定したグラフタイトルを用語辞書125を用いて語句に分解し,分節種別判定手段15が,グラフ情報と種別判定基準記憶部122とを用いて分解された語句の種別を判定すると共に,グラフタイトルチェック手段16が命名規則基準記憶部123を参照して当該語句の種別ごとに命名の妥当性をチェックして,チェック結果によりユーザの指定したグラフタイトルを生成されたグラフに付与するか否かを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,蓄積される企業内の膨大な業務データを,分析,加工などして,経営者や社員が扱う情報をレポートとして作成する技術に関し,特に,レポート中のグラフを命名検査および分類するレポート作成装置およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業内において,計数管理部門では,企業内の企業活動における業務データ(売上データ,製品出荷・在庫データなど)を加工して,表にまとめたり,グラフ化したりなどして,その結果を各部門に提供している。その提供方法として,紙媒体に印刷,電子メールに電子データを添付,共通の文書管理サーバに格納など様々な形態が用いられている。近年においては,データベース(DB)に蓄積された膨大な業務データ(例えば商品別の売上データや店舗ごとの売上データ等)の分析,加工を行い,業務上の意思決定に活用する,いわゆるBI(Business Intelligence)ツールが製品化され販売されており,このようなレポート作成ツールを活用することで企業内の計数管理部門では必要とする表,グラフ等を作成している。
【0003】
なお,特許文献1では,複数のデータオブジェクト群にその内容に即して自動的に名称を付けるデータオブジェクト群自動命名方法において,当該データオブジェクト群に属するそれぞれのデータオブジェクトの内容,属性または名称からキーワードを抽出し,抽出された複数のキーワードをデータオブジェクト群のデータオブジェクト群名候補またはデータオブジェクト群を示す付加情報候補として表示し,表示した中から一つのキーワードを選択させ,選択されたキーワードをデータオブジェクト群のデータオブジェクト群名またはデータオブジェクト群を示す付加情報として登録する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−231505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
業務データから作成したグラフの登録では,人手による作業によりタイトルの命名,そのカテゴリの分類等を行うため,加工対象の業務データが同一グラフに対して異なるタイトル名を付して,タイトル名上では異なる資料,データが重複して存在することがある。また,業務データについて加工,分析の必要な対象データに対して,加工,分析のもれを生じることもあり,企業内の必要な部門に提供するデータ,資料などに提供もれが発生することがある。また,本来提供の必要のない部門にデータ,資料などを提供する場合もある。したがって,企業の計数管理部門では,これらの事態を防止するために,資料作成の作業とは別の作業として,以上のよう命名,カテゴリ分類などのチェック作業に相当な時間を費やしているのが現状である。
【0006】
また,このように計数管理部門によりチェックされた資料,データなどであっても,資料のタイトル名が不適切な場合に,受理した側でその資料のタイトル名から誤解して必要のない資料であると判断し,廃棄することも多々ある。さらに,提供した資料の管理は,受理した側の管理となるため,定期的に保守,管理マニュアルなどの仕組みがないと,見たい資料が直ぐに取り出せないなどの問題があった。
【0007】
また,利用者へのグラフの非公開,公開は,例えばグラフ作成者の判断で行われている。したがって,未公開にすべきグラフなどをグラフ作成者が誤って公開してしまう場合がある。例えば,未公開の対象とするグラフには,将来の事業に係る予測データを含むグラフである場合や,何らかの要因により通常データとは明らかに異なる異常データを含むグラフである場合などである。これらが公開されると,企業活動に不利益となる場合や,消費者などに誤った行動を誘発する要因となる場合があるためである。このようなグラフは,グラフ作成者が公開/非公開を判断するのではなく,これらの将来の予測データや,異常値を含むグラフの作成時には,グラフ作成者が判断するのは適当でなく,作成後に公開するかを企業の経営判断などに係わる管理責任者(役職者)が判断すべきものである。
【0008】
本発明は,以上の点に鑑み,資料を作成する側の負担を軽減し,利用者が利用しやすい資料とするため,業務データから生成したグラフの管理における自動化,効率化を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は,上記課題を解決するため,データベースの検索結果から生成されたグラフにグラフタイトルを付与し,レポートとして出力または保存するレポート作成装置であって,前記生成されたグラフごとに,少なくともグラフ種別および前記データベースに対する検索条件を含むグラフ情報項目とその項目の値とからなるグラフ情報を記憶するグラフ情報記憶手段と,グラフタイトルに用いられることがある複数の語句が格納された用語辞書の記憶手段と,グラフタイトルを構成する語句が前記グラフ情報項目およびその項目の値の中のどれに関連するかを示す種別の判定に用いる判定基準の情報が格納された種別判定基準記憶手段と,前記種別ごとに,前記グラフ情報項目およびその項目の値に対する命名規則を定める命名規則基準が格納された命名規則基準記憶手段と,生成されたグラフに対して,入力装置から入力されたグラフタイトルを取得する手段と,前記用語辞書中に格納された語句を参照して,前記取得したグラフタイトルを1または複数の語句に分解する手段と,前記分解された各語句について,前記種別判定基準記憶手段に格納された判定基準の情報を参照することにより種別を判定する手段と,前記判定された種別に該当する命名規則基準を,前記命名規則基準記憶手段から取得し,前記分解された各語句のいずれもが前記命名規則基準に従うか否かをチェックする手段と,前記チェック結果に応じて前記取得したグラフタイトルを前記生成されたグラフに付与するか否かを決定する手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
これによって,生成したグラフに対して利用者から入力されたグラフタイトルについて統一的,かつ,自動的にグラフタイトルの命名を検査することができ,業務データの解析,加工などを効率的に,短時間で行うことができる。
【0011】
また,本発明は,さらに前記発明において,前記グラフ情報項目におけるグラフ種別および前記データベースに対する検索条件の組み合わせに対して,グラフタイトルの命名に用いられる固定文字もしくは前記グラフ情報項目を指定する可変文字指定情報,またはそれらの組み合わせからなるグラフタイトルの書式情報が格納されたグラフタイトル書式辞書の記憶手段を備え,前記命名規則基準は,前記分解された語句が,前記判定された種別に対して指定された前記グラフタイトル書式辞書により決定される文字列と一致するかまたは該文字列に含まれるかを命名チェック条件とする命名規則を含むことを特徴とする。
【0012】
これによって,生成したグラフに付与するグラフタイトルについて,グラフ情報の項目およびその項目の値に応じて,固定文字もしくはグラフ情報における値取得の対象を指定する名称,またはそれらの組み合わせを予め用意した命名規則の基準を用いてチェックすることができるため,生成したグラフに付与するグラフタイトルがグラフ情報に関連する名称の命名であるかを自動的に判断することができる。
【0013】
また,本発明は,さらに前記発明において,1または複数の前記グラフ情報項目を分類条件とするカテゴライズ条件が格納された記憶手段と,前記分類条件に用いるグラフ情報項目と,その項目の値との組み合わせに対して,固定文字もしくは前記グラフ情報項目を指定する可変文字指定情報,またはそれらの組み合わせからなるカテゴリ名が格納されたカテゴリ名称辞書の記憶手段と,前記グラフ情報記憶手段に記憶されたグラフ情報におけるグラフ情報項目から,前記カテゴライズ条件における各分類条件に従ってグラフ情報の登録カテゴリを決定し,前記カテゴリ名称辞書を参照して,前記登録カテゴリに対するカテゴリ名を決定する手段を備えることを特徴とする。
【0014】
これによって,グラフ管理するためのカテゴリ分類を統一的,かつ,自動的に行うことができるため,グラフ作成者によってグラフ登録のカテゴリが統一されないということを回避することができる。特に,作成するグラフが多い場合には,人手によるとカテゴリ分類の作業が煩雑になるが,自動的に統一性を保ってカテゴリ分類されるため,グラフを閲覧するときに利用者側にとって扱いやすい。
【0015】
また,本発明は,さらに前記発明において,前記データベースの検索結果から生成されたグラフを保存するときに,同種のグラフが既に保存されているか否かを,前記グラフタイトルを決定する手段が決定したグラフタイトルの比較により行う重複チェック手段と,同種のグラフが既に保存されている場合に,新たなグラフの保存を抑制するか,または,グラフの作成対象となっているデータの期間を比較して,最新の期間を含むグラフにより他方のグラフを上書きして保存する手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
これによって,同一のグラフを重複して登録することを防止することができるため,重複登録による不要なデータの保存を回避し,これにより不要なデータによるディスクスペースなどの記憶装置の圧迫を抑えることができる。
【0017】
また,本発明は,さらに前記発明において,前記データベースの検索結果から生成されたグラフを保存するときに,当該グラフのデータが将来の予測値を含むか否かを判定する手段と,将来の予測値を含む場合に,当該グラフを特定の権限を有する者以外に非公開にする属性を付与して保存する,または,予め定められた特定の権限を有する者に公開にするか非公開にするかを問い合わせる手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
これによって,生成したグラフの中で,予測値を含むグラフを自動的に非公開に設定することができる。これにより,特定の権限を有する者以外にアクセスできないように非公開として,所定の権限の利用者にのみ公開するようにすることができる。
【0019】
また,本発明は,さらに前記発明において,前記データベースの検索結果から生成されたグラフを保存するときに,当該グラフのデータが所定の異常値判別方法に従って異常値を含むか否かを判定する手段と,異常値を含む場合に,当該グラフを特定の権限を有する者以外に非公開にする属性を付与して保存する,または,予め定められた特定の権限を有する者に公開にするか非公開にするかを問い合わせる手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
これによって,生成したグラフの中で,異常値を含むグラフを自動的に非公開に設定することができる。これにより,特定の権限を有する者以外にアクセスできないように非公開として,所定の権限を有する利用者にのみ公開するようにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果は以下のとおりである。
(1)生成したグラフに統一した方法によりグラフタイトルの命名をチェック(検査)することができる。これにより,グラフ作成者が異なっても,グラフ作成者の判断のみでグラフタイトルが命名されることはなく,予め定められた命名規則の基準をもとに統一的にグラフタイトルの命名を決定することができ,グラフタイトル付与時の入力ミスや,同一の内容のグラフに異なるグラフタイトルを付与して別グラフとして登録することを回避することができる。
(2)グラフ情報をもとにして,カテゴリ分類を行い,生成したグラフを自動的にカテゴリ分類に従って関連付けを行い,登録することができるため,登録したグラフを参照する利用者がカテゴリ分類をもとに効率的に登録されたグラフの検索,利用を行うことができる。
(3)登録するグラフは,既に登録されたグラフのグラフタイトルと同一のグラフタイトルが登録されていないか重複チェックする。重複していれば,新しいグラフの登録を抑制する(記録しない)。または,最新のデータを反映したグラフの登録を優先して登録する。これにより,重複したグラフの登録を排除することができるため,不要なデータによる記憶スペースの圧迫を抑えることができる。
(4)将来の予測値データ,異常値を含むグラフについては,自動的にグラフ非公開に設定してグラフを登録することができ,それ以外のグラフについては公開設定として登録することができるため,誤って重要な情報や混乱を招くような情報などを含むグラフを公開することを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の装置構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレポート作成装置の処理フローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係るレポート作成装置の処理フローチャートである。
【図4】グラフ情報テーブルの例を示す図である。
【図5】グラフタイトルチェックの処理フローチャートである。
【図6】種別判定基準テーブルおよび命名規則基準テーブルの例を示す図である。
【図7】グラフタイトル書式辞書の例を示す図である。
【図8】カテゴリ分類の処理フローチャートである。
【図9】カテゴライズの分類条件を説明する図である。
【図10】カテゴリ名称辞書およびカテゴライズ条件テーブルの例を示す図である。
【図11】重複チェックの処理フローチャートである。
【図12】重複チェックを説明する図である。
【図13】非公開/公開決定の処理フローチャートである。
【図14】予測値を含むグラフを説明する図である。
【図15】異常値を含むグラフを判定する方法を説明する図である。
【図16】異常値を含むグラフを判定する方法を説明する図である。
【図17】登録グラフの表示例を示す図である。
【図18】登録グラフの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下,図面を用いながら,本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお,以降においては,主にレポート作成装置1における命名チェック手段11の機能について説明する。
【0024】
図1は,本発明の概要を説明するための装置構成例を示す。図1において,1はCPUおよびハードディスクやメモリ等の記憶装置等から構成され,例えば売上データ,販売データなどである業務データを格納するデータベース(業務DB)の検索結果からグラフ,表などのレポートを作成するレポート作成装置,2は業務データが予め格納される業務DB(データベース),3は例えばキーボード,マウスなどの入力装置,4は例えば表示装置,印刷装置,外部の記憶装置などの出力装置である。
【0025】
図1に示す装置構成例において,利用者(グラフ作成者)は,業務DB2に蓄積されているデータについての検索対象とする部門,対象期間,項目などのDB検索条件や出力するグラフの形式などを記載したレポート定義情報を指定し,レポート作成装置1に対してレポート作成指示を入力する。
【0026】
レポート作成装置1のレポート作成手段10は,このレポート作成指示を受けると,レポート定義情報を用いて業務DB2から解析,加工するデータを検索,抽出し,抽出したデータをもとにレポート定義情報で指定されたグラフを作成する。レポート作成手段10によるグラフ作成処理の詳細については,周知の技術であるので説明を省略する。レポート作成手段10により提供されるレポートサービス機能には,例えばSQLなどのリレーショナルデータベース,その他データベースを扱うアプリケーションに搭載されるレポート作成,配信機能などである。
【0027】
レポート作成手段10が用いるレポート定義情報は,例えばRDL(レポート定義言語)で記述されたXML(Extensible Markup Language)ファイルなどである。RDLにより,グラフのレイアウトやクエリ情報などを記述する命令セットが記述される。RDLは,レポート定義の交換を可能にする共通スキーマをレポートに使用した通信の方法として定義することで,アプリケーション間のデータ交換(例えば商用レポート製品の相互運用)を行うことができる。
【0028】
レポート作成手段10によりグラフが生成されると,利用者は,例えばキーボード,マウスなどの入力装置3を介して,生成されたグラフのグラフタイトルを入力する。命名チェック手段11は,レポート作成手段10が生成したグラフおよび入力されたグラフタイトルについて,グラフタイトルが妥当であるかどうかの命名チェック(検査)を行うと共に,命名チェックを通過(OKとなった)したグラフについてカテゴリ分類,重複チェック,公開/非公開などのグラフ登録に関する情報や属性などの設定を行い,その設定した内容を登録するグラフと共に記憶手段に保存し,管理する。
【0029】
このために,命名チェック手段11は,グラフタイトルについての命名の条件を記憶する条件記憶手段12,レポート作成手段10から生成したグラフに関するグラフ情報を取得するレポート定義情報取得手段13,グラフタイトルを1または複数の分節(または単語でもよい。以下同様)に分解するグラフタイトル分解手段14,分解された分節ごとに種別判定基準をもとにして種別を判定する分節種別判定手段15,種別が判定された分節ごとに命名規則の基準をもとに命名チェック(検査)するグラフタイトルチェック手段16,生成されたグラフと決定されたグラフタイトルとを関連付けるレポート名付与手段17,生成されたグラフのカテゴリを分類するカテゴリ分類手段18,生成されたグラフと登録済みグラフとの重複の有無をチェックする重複チェック手段19,生成されたグラフを非公開の属性に登録するか否かを決定する非公開決定手段20,生成されたグラフの登録設定および格納を行う登録格納手段21,登録設定されたグラフおよびその関連する情報を記憶するレポート記憶手段22,出力装置4にグラフ出力を行うための出力手段23を備える。
【0030】
条件記憶手段12は,さらに,レポート作成手段10が用いたレポート定義情報から取得したグラフ情報を記憶するグラフ情報記憶部121と,グラフタイトルを構成する語句をグラフ情報に関連付ける種別を判定するための種別判定基準を記憶する種別判定基準記憶部122と,当該種別ごとにグラフ情報におけるグラフ情報項目およびその項目の値に対する命名条件を指定する命名規則の基準を記憶する命名規則基準記憶部123と,グラフタイトルに関する書式を記憶するグラフタイトル書式辞書124と,複数の語句およびその語句に対応する読みを記憶する用語辞書125と,を有する。
【0031】
図2および図3は,本発明の実施形態に係るレポート作成装置1の処理フローチャートである。図2および図3に従って,レポート作成装置1が実行する処理について具体的に説明する。
【0032】
レポート作成装置1のレポート作成手段10に,業務データに関するデータの解析,加工などのレポート作成指示が入力されると,本処理は開始される。
【0033】
レポート作成手段10はレポート作成指示を受けると,指定されたレポート定義情報に従って,業務DB2から当該レポート作成指示に関連する業務データを取得し,取得した業務データを用いてグラフを生成する。グラフ生成後,レポート作成手段10は,グラフの生成(完了)通知を命名チェック手段11に送信する。
【0034】
命名チェック手段11のレポート定義情報取得手段13は,レポート作成手段10が用いたレポート定義情報から,グラフの生成通知を受信する(ステップS1)。
【0035】
次に,レポート定義情報取得手段13は,レポート作成手段10が用いたレポート定義情報から,生成されたグラフに関するグラフ情報を取得する(ステップS2)。レポート定義情報取得手段13は,生成されたグラフについて取得したグラフ情報の項目ごとに,対応する値をグラフ情報テーブル1211に格納する(ステップS3)。
【0036】
ここで,グラフ情報とは,この生成されたグラフに関するグラフの種類(グラフ種別),グラフを生成するために業務DB2からデータを検索する際の検索条件(DB検索条件),データを取得した業務DB2のテーブル名(参照テーブル名),生成されたグラフの縦軸名称(縦軸名)および横軸の名称(横軸名)・・・などの情報(グラフ情報項目)とその情報に関連する情報(その項目の値)である。グラフ情報テーブル1211はグラフ情報記憶部121に構築され,生成されたグラフごとに,レポート定義情報から取得したグラフ情報について少なくともグラフ種別および業務DB2に対する検索条件を含むグラフ情報項目とその項目の値とを格納する。
【0037】
図4にグラフ情報テーブル1211の例を示す。図4に示す例では,グラフ情報テーブル1211に,グラフ種別「棒グラフ」,DB検索条件「売上月=200912,部門コードでグルーピング」,参照テーブル名「売上テーブル」,縦軸名「売上高」,横軸名「指定月」・・・などの項目ごとに値が格納される。なお,図4のグラフ情報テーブル1211に示すDB検索条件は,例えば補足説明1212に記載するように業務DB2からデータを検索した際の検索条件(SQL文のWhere句などに相当)であり,参照テーブル名は,業務DB2に設けられた一又は複数のテーブルの中のデータを参照したテーブル名である。また,縦軸名および横軸名は,生成されたグラフに関してのグラフの縦軸名称および横軸名称であり,それらを有しないグラフ(例えば円グラフ)などはそれに対応する部分の名称(固定文字)とされる。
【0038】
次に,グラフタイトル分解手段14は,入力されたグラフタイトルを取得する(ステップS4)。この取得されたグラフタイトルは,グラフタイトル分解手段14,分節種別判定手段15及びグラフタイトルチェック手段16によりチェックされる(ステップS5)。なお,図1に示すグラフタイトル入力は,例えば入力装置3を介してグラフ作成者から入力されるものとする。
【0039】
図5に,図2に示すステップS5の詳細なフローを示す。以下,図5に示すステップS21〜S27について説明する。なお,例えば「2009年12月度部門別売上高分析グラフ」とのグラフタイトルが取得されたとして説明する。
【0040】
はじめに,命名チェック手段11がグラフタイトルを取得すると,命名チェック手段11が備えるグラフタイトル分解手段14は,用語辞書125を用いて取得されたグラフタイトル(名)を分節ごとに分解する(ステップS21)。例えば,グラフタイトル分解手段14は,用語辞書125を検索して「2009年12月度」,「部門別」,「売上高」,「分析グラフ」の語句(又は用語)にヒットした場合,グラフタイトルをそれぞれのヒットした語句を分節として当該分節ごとに分解する。または,「2009年12月度」については,「2009年」と「12月度」とするような分節に分解される。
【0041】
なお,用語辞書125には,複数の「語句」とその語句に対応する「読み」とが予め対応付けられて格納される。語句は,例えば登録単語(予め準備される単語),学習単語(後から登録する単語)などであり,それらの単語には少なくとも業務データのグラフに関連する名詞,動詞,形容詞などの日本語(漢字,ひらがな,カタカナまたはそれらの組み合わせ),外来語,造語もしくはそれらの組み合わせを含む。用語辞書125は周知の形態要素解析に用いられる辞書等と同様なものでよく,条件記憶手段12に予め準備され,設けられる。
【0042】
続いて,分節種別判定手段15は,種別判定基準として種別判定基準テーブル1221を用いて分節ごとの種別を判定する(ステップS22)。
【0043】
図6に,種別判定基準テーブル1221の例を示す。例えば,図6に示すように,種別判定基準テーブル1221は,基準項目ごとに,当該基準項目に対応付けられた種別が予め準備され,種別判定基準記憶部122に予め格納される。ここで,基準項目とは,分節の語句がグラフ情報のいずれのグラフ情報項目およびその項目の値と関連するかを判定するための条件の要素である。また,種別は,グラフ作成に関連する業務DB2を解析,加工するための検索条件,グラフ種別,データベースに関連するグラフ情報項目などのグラフ情報に係わる分類で,グラフタイトルに用いられる要素として指定されるものである。この種別により,詳しくは後述するように,グラフタイトルに用いられている語句が,グラフ情報に係る固定文字もしくはグラフ情報における値取得の対象を指定する名称,またはそれらの組み合わせに基づくものであるかを検査するための,予め用意した命名規則の基準を用いて命名チェックすることができる。
【0044】
ここで,種別判定基準テーブル1221について具体的に説明すると,図6に示す種別判定基準テーブル1221の基準項目と種別との関係では,分節「2009年12月度」については基準項目aの「月度の場合」に該当するため,対応する種別が“検索条件「指定月度」”となる。なお,分節「2009年」と分節「12月度」とされる場合,分節種別判定手段15は,当該連続する分節について基準項目aの「月度の場合」に該当するとして,改めて1つの分節「2009年12月度」とする。即ち,用語辞書125により分節「2009年」及び「12月度」とされた場合でも,分節種別判定手段15が1つの分節「2009年12月度」として扱うことができる。また,当該処理において用語辞書125により分節「2009年」と分節「12月度」とされた場合でも,用語辞書125の学習機能を用いて,それ以降の処理において分節「2009年12月度」として登録することができる。
【0045】
また,分節「部門別」については種別判定基準テーブル1221における基準項目dの「テーブル名を含む場合(部門を含む)」に該当するため,対応する種別が“SQL取得テーブル”となる。また,例えば分節「売上高」には種別判定基準テーブル1221に該当する種別がないとした場合に,命名規則基準テーブル1231に該当するチェック基準はない(基準なし)とされる。分節「分析グラフ」については基準項目cが「「グラフ」で終わる場合」に該当するため,対応する種別が“グラフ種別”となる。
【0046】
以上説明したように,グラフタイトルチェック手段16がグラフタイトルの分節ごとに命名規則の基準に従うかのチェックを行うことに先立って,分節種別判定手段15は,種別判定基準テーブル1221を用いて命名規則の基準のいずれを用いて判断するかを定める種別を判定する。
【0047】
次に,グラフタイトルチェック手段16は,当該分節の種別をもとに命名規則基準テーブル1231からチェック基準を取得する(ステップS23)。
【0048】
図6に命名規則基準テーブル1231の例を示す。命名規則基準テーブル1231は命名規則の基準を定めるために予め設けられ,図6に示すように,種別判定基準テーブル1221をもとに判定される種別ごとに,チェック基準が予め対応付けられて準備され,命名規則基準記憶部123に予め格納される。ここで,命名規則基準テーブル1231に示す種別は,種別判定基準テーブル1221により判定される種別に対応したものであり,チェック基準は,その種別ごとにグラフ情報項目における値,またはグラフ情報項目における値取得の対象を指定する名称に一致するか,または,含まれるかなどのチェック内容である。
【0049】
ここで,グラフ情報項目における値とは,例えば図4に示す“棒グラフ”である。また,グラフ情報項目における値取得の対象を指定する名称とは,例えば図4に示すグラフ情報項目「DB検索条件」における値「売上月=200912」の場合には,月度指定の名称である。従って,この場合,グラフ情報項目における値取得の対象を指定する名称に一致するとは,分節の語句が‘2009年12月度’や‘平成21年12月’などである。また,グラフ情報項目における値に含まれるとは,例えば図4に示すグラフ情報項目「参照テーブル名」における値「売上テーブル」の場合には,分節の語句が‘売上’であるとすると,当該グラフ情報項目における値に含まれることとなる。なお,図6に示す命名規則基準テーブル1231には記載しないが,グラフ情報項目における値取得の対象を指定する名称に含まれる場合としては,例えばグラフ情報項目「DB検索条件」における値「売上月=200910〜200912」であるとすると,分節の語句が‘2009年12月度’や‘平成21年12月’などである。
【0050】
図6では,例えば基準項目aに対応する種別“検索条件「指定月度」”には,「グラフ情報のDB検索条件の月度指定と一致すること」となるチェック基準aが対応付けられる。その他(基準項目b,c,d,e,・・・に対応する種別)についても同様(チェック基準b,c,d,e,・・・)である。また,例えば分節「売上高」には種別判定基準テーブル1221に該当する種別がないとした場合に,命名規則基準テーブル1231に該当するチェック基準はない(基準なし)とされる。
【0051】
次に,グラフタイトルチェック手段16は,グラフタイトルの分節ごとに命名規則基準テーブル1231から取得したチェック基準をもとに,生成されたグラフのグラフ情報およびグラフタイトル書式辞書124を用いて命名チェックする(ステップS24)。即ち,グラフタイトルチェック手段16は,予め定められた命名規則の基準を用いて,取得したグラフタイトルの命名を検査(命名チェック)する。
【0052】
具体的には,グラフタイトルチェック手段16は,分節「2009年12月度」である場合(図6に示す基準項目a),図6に示すように,命名規則基準テーブル1231から種別“検索条件「指定月度」”のチェック基準aとして,「グラフ情報のDB検索条件の月度指定と一致すること」を取得する。この場合,グラフタイトルチェック手段16は,グラフ情報テーブル1211および用語辞書125を用いて,グラフ情報項目「DB検索条件」とその値「売上月=200912」から参照文字を“200912”として,その参照文字と分節「2009年12月度」とが一致すると判断する。分節「2009年12月度」のチェック基準aは満たすと判断される。なお,分節「2009年12月度」の語句と一致する用語として,例えば‘200912’,‘2009_12’,‘平成21年12月’などの指定月度に関連付けられる語句が用語辞書125に予め格納されるか又は学習機能で格納されても良い。この場合には,参照文字として,‘200912’,‘2009_12’,‘平成21年12月’も候補に選択される。なお,これらは,種別“検索条件「年月日」”についても同様である。
【0053】
また,図4に示すグラフ情報テーブル1211のグラフ情報項目「参照テーブル」の値に,例えば図示しない「部門年度売上テーブル」が格納されているとする。なお,「部門年度売上テーブル」における“部門”の名称には,例えば営業部,販売部などの部門名称が入り,「部門別」はそれらを代表して示す語句であるとする。グラフタイトルチェック手段16は,分節「部門別」である場合,図6に示すように,種別判別基準テーブル1221の基準項目dである「テーブル名を含む場合」,種別「SQL取得テーブル」に対応付けられたチェック基準d「グラフ情報のDB検索条件の参照テーブルに含まれること」を取得して判断する。この場合,グラフタイトルチェック手段16は,グラフ情報テーブル1211および用語辞書125を用いて,グラフ情報項目「参照テーブル名」とその値「部門年度売上テーブル」から,分節「部門別」が当該参照テーブル名(参照文字に該当)に含まれると判断する。従って,分節「部門別」のチェック基準dは満たすと判断される。
【0054】
また,分節「売上高」については,例えば図6に示す種別判定基準テーブル1221の基準項目a〜e・・・等に対応する該当種別がないとすると,基準なしとして検査(チェック)されない。
【0055】
また,グラフタイトルチェック手段16は,分節「分析グラフ」である場合,図6に示すように,命名規則基準テーブル1231から種別“グラフ種別”に対応付けられたチェック基準cを取得する。即ち,チェック基準c「グラフ情報のグラフ種別に対応する〔グラフタイトル書式辞書〕の書式に定義された文字列と一致すること」を取得する。この場合,グラフタイトルチェック手段16は,さらにグラフ情報テーブル1211におけるグラフ情報項目「グラフ種別」およびその値「円グラフ」について,グラフタイトル書式辞書124を参照する。ここで,グラフタイトル書式辞書124には,少なくとも,グラフ情報テーブル1211中のグラフ情報項目に用いられるグラフ種別および業務DB2に対する検索条件の組み合わせに対して,固定文字またはグラフ情報項目を指定する可変文字指定情報,もしくはそれらの組み合わせからなるグラフタイトルの書式情報(「書式」)が予め格納される。これにより,生成されたグラフのグラフ種別ごとに,グラフタイトルに用いられるグラフの基本名称(グラフタイトルのベースとなる名称)について,予め統一された基本名称(語句)をチェック基準として用いることができる。
【0056】
図7に,グラフタイトル書式辞書124の例を示す。グラフタイトル書式辞書124は,図7に示すように,グラフの分類と種別および条件との区分によってグラフタイトルの「書式」が予め定められ,条件記憶手段12に格納される。例えば,図7に示す(a)のように,グラフ情報の「分類」が「グラフ種別」で,その「種別」が「円グラフ」であり,かつ「条件」として検索対象に「売上テーブル」がある場合に,「書式」=〔検索条件〕+売上+比率グラフが定められている。グラフタイトルチェック手段16は,「書式」中に定義された文字列について,比較する分節の語句をチェックする。例えば,この場合には,“売上”および“比率グラフ”の固定文字が第1の候補群(優先度の高い候補)であり,〔検索条件〕に係る可変文字が第2の候補群とする。なお,図6に示すチェック基準c「グラフ情報のグラフ種別に対応する〔グラフタイトル書式辞書〕の書式に定義された文字列と一致すること」とは,この場合,第1候補群にある文字列を指す。従って,チェック基準cのグラフ種別に対応する文字列との条件一致から,第1の候補群から“比率グラフ”が参照文字として選択される。なお,図7に示す(b)の「棒グラフ」では,「書式」=部門別+〔縦軸名〕+推移グラフであり,その中の〔縦軸名〕が可変文字であり,“部門別”および“推移グラフ”が固定文字であることから,同様にチェック基準cの条件に従って“推移グラフ”が参照文字として選択される。以上説明したように,グラフタイトル書式辞書124を用いることにより,例えばグラフタイトルのベースとなる名称について,取得したグラフタイトルをチェックすることができる。
【0057】
従って,グラフタイトル書式辞書124から図7の(a)に示す「書式」=〔検索条件〕+売上+比率グラフを取得した場合,グラフタイトルチェック手段16は,分節「分析グラフ」について種別判定基準テーブル1221における基準項目cであることから,チェック基準cに従って取得した「書式」中の文字列“比率グラフ”(参照文字)と一致するかチェックする。
【0058】
続いて,グラフタイトルチェック手段16は,該当するすべてのチェック基準を満たすか否か判断し(ステップS25),グラフタイトルの分節ごとに取得したチェック基準をすべて満たす場合に,チェックOKとする(ステップS26)。一方,当該いずれかのチェック基準を満たさない場合に,グラフタイトルチェック手段16はチェックNGとする(ステップS27)。従って,前述の例では,グラフタイトルチェック手段16は,分節「分析グラフ」について,前述の「書式」における“比率グラフ”と一致しないと判断し,分節「分析グラフ」について命名規則の基準を満たさない(チェックNG)として,ステップS27によりチェックNGとして本グラフタイトルチェック処理フローを終了する。以上のステップS26またはS27の処理の終了で,図2に示すステップS5の処理は終了する。
【0059】
図2に示すステップS6の説明に戻ると,グラフタイトルのチェックがOKである場合に(ステップS6 Yes),グラフタイトルチェック手段16は,生成されたグラフにグラフタイトルを付与する(ステップS7)。そして,次のステップS9に処理を進める。
【0060】
一方,グラフタイトルのチェックがOKでない場合に(ステップS6 No),グラフタイトルチェック手段16は,出力手段23にグラフタイトルの命名違反を通知する(ステップS8)。このグラフタイトルの命名違反は出力手段23を介し出力装置4に出力されるため,この出力を通じて,グラフ作成者は入力したグラフタイトルについていずれの語句が命名違反であるかを知ることができる。この場合に,例えば出力装置4が表示装置であるとすると,分節「分析グラフ」が「書式」における“比率グラフ”と一致しないことの命名違反とする内容が表示される。
【0061】
続いて,ステップS4に処理を戻して,命名チェック手段11がグラフ作成者に当該命名違反に係る文字列について入力装置3を介して再入力させる(修正させる)ようにしても良い。前述の例の場合には,グラフタイトル「2009年12月度部門別売上高分析グラフ」を「2009年12月度部門別売上高比率グラフ」のように修正されて再入力される。この後,ステップS4以降を繰り返す。なお,グラフタイトルの命名違反に対して,グラフタイトルチェック手段16が命名違反とならない前述の「書式」における文字列(例えば“比率グラフ”)に置換し,修正しても良い。
【0062】
以上説明したように,生成されたグラフに付与するグラフタイトルについて,グラフ情報の項目およびその項目の値に応じて,固定文字もしくはグラフ情報における値取得の対象を指定する名称,またはそれらの組み合わせを,予め用意した命名規則の基準を用いてチェックすることができるため,生成したグラフに付与するグラフタイトルがグラフ情報に関連する名称の命名であるかを自動的に判断することができる。また,異なる利用者が,異なるタイプのグラフを作成しても,グラフ情報の項目に応じて,予め用意した命名規則の基準を用いて統一的な基準で命名チェックすることができる。この結果,生成されたグラフに対して利用者から入力されたグラフタイトルについて統一的,かつ,自動的にグラフタイトルの命名を検査することができ,業務データの解析,加工などを効率的に,短時間で行うことができる。
【0063】
次に,レポート名付与手段17は,レポート作成手段10から生成されたグラフとグラフタイトルチェック手段16から付与(決定)されたグラフタイトルとを受けて,これらを関連付ける(ステップS9)。即ち,生成されたグラフと,付与されたグラフタイトルに係る条件記憶手段12に格納されたグラフ情報テーブル1211,グラフタイトル書式辞書124,用語辞書125との関連付けが保たれ,これらの関連付けが以降の処理の際に用いられる。なお,ステップS10以降の処理の説明では,前述のグラフタイトル「2009年12月度部門別売上高比率グラフ」とする例に限定しないものとし,適宜,図に示す例などを用いて説明する。
【0064】
次に,カテゴリ分類手段18は,生成されたグラフおよび付与されたグラフタイトルについてカテゴリを分類する(ステップS10)。
【0065】
ここで,図8に,図3に示すステップS10の詳細なフローを示す。以下,図8に示すステップS31〜S35について説明する。
【0066】
カテゴリ分類手段18は,生成されたグラフについてグラフ情報テーブル1211に格納されたグラフ情報を取得する(ステップS31)。
【0067】
次に,カテゴリ分類手段18は,取得したグラフ情報からカテゴライズ条件テーブル182(図10(B)に示す)によるカテゴライズ条件に従って分類条件を設定する(ステップS32)。ここで,カテゴライズ条件とは,生成されたグラフを,例えばグラフを管理する業務部門ごと,売上の月度ごとなどのカテゴリ(目的別,対象別などの区分の属性)に分類して,レポート記憶手段22に保存するための条件である。カテゴリを分類(カテゴライズ)するために,カテゴライズ条件が予め定められる。
【0068】
図9は,カテゴライズ条件に用いられる分類条件の設定例を説明する図である。図9に示すように,分類条件の設定項目180として,例えばグラフ情報のDB検索条件から検索条件の項目を取得し分類する「検索条件」,グラフ登録するグラフ種別で分類を行う「グラフ種別」,グラフ情報のDB検索条件より参照テーブルを取得しテーブル別に分類する「参照テーブル」がある。また,グラフ登録処理を行った年月度別に分類する「作成年月度」があり,この他にも,例えばグラフ登録者のマスタ情報として登録されている公開対象部門別に分類する「公開対象部門」,同様に,公開対象者別に分類する「公開対象者」,所属部門別に分類する「作成者所属部門」,業務別に分類する「作成者業務種別」などがある。
【0069】
次に,カテゴリ分類手段18は,カテゴライズ条件テーブル182を用いて,分類条件ごとにカテゴリ名称辞書181(図10(A)に示す)を参照する(ステップS33)。続いて,カテゴリ分類手段18は,参照したカテゴリ名称辞書181から必要なカテゴリ名またはカテゴリ名の一部を取得し,生成されたグラフに対応するカテゴリ名を生成する(ステップS34)。
【0070】
ここで,図10(A)にカテゴリ名称辞書181の例を示し,図10(B)にカテゴライズ条件テーブル182の例および登録カテゴリ220(220A)の例を示す。カテゴライズ条件テーブル182は,図10(B)に示すように,生成されたグラフのカテゴリを分類するための一又は複数のグラフ情報項目を分類条件とする。分類条件には,例えば図9の分類条件の設定項目180に示す検索条件,グラフ種別,参照テーブル,作成年月度,公開対象部門,公開対象者などが用いられる。
【0071】
カテゴリ名称辞書181は,分類条件に用いるグラフ情報項目と,その項目の値との組み合わせに対して,固定文字もしくはグラフ情報項目を指定する可変文字指定情報,またはそれらの組み合わせからなるカテゴリ名が格納される。カテゴリ名称辞書181は,予め準備され,カテゴリ分類手段18の記憶部(図示省略)に記憶される。カテゴリ名称辞書181には,図10(A)に示すように,例えば分類条件(分類)の検索条件Aにカテゴリ名=〔部門名〕が関連付けられ,分類条件の検索条件Bにカテゴリ名=〔指定月名〕が関連付けられ,分類条件のグラフ種別Aにカテゴリ名=〔項目名〕+比率グラフ,同様に分類条件のグラフ種別Bにカテゴリ名=〔縦軸名〕+推移グラフが関連付けられるなどである。
【0072】
具体的には,カテゴリ分類手段18は,例えば図10に示すように,カテゴライズ条件テーブル182Aを用いて,分類条件#1にカテゴリ名=「部門名」,分類条件#2にカテゴリ名=〔指定月名〕,分類条件#3にグラフ種別(円グラフ)であるカテゴリ名=〔項目名〕+比率グラフを,カテゴリ名称辞書181から参照する。さらに,カテゴリ分類手段18は,グラフ情報テーブル1211を用いて,これらのグラフ情報項目を指定する可変文字指定情報(〔 〕で指定された部分)に対応する可変文字を抽出する。これにより,カテゴリ分類手段18は,固定文字もしくはグラフ情報項目を指定する可変文字指定情報,またはそれらの組み合わせからなるカテゴリ名を生成する。
【0073】
続いて,カテゴリ分類手段18は,生成したカテゴリ名をもとにグラフのカテゴリを分類する(ステップS35)。例えば,図10(B)に示す登録カテゴリ220Aのように(「○○部門/指定月名/グラフ種別」),生成されたグラフのカテゴリが分類されて,登録される。
【0074】
図10(B)に示すカテゴライズ条件テーブル182には,一又は複数の分類条件#1〜#nの分類条件ごとに,検索条件A,検索条件B,グラフ種別・・・などの設定項目のいずれかが格納される。これらの分類条件の設定項目180は,カテゴライズ条件テーブル182で予め設定される。その分類条件の組み合わせについては,設定者が予め定めたルールを決めて,決定したルールを反映するようにカテゴライズ条件テーブル182を定める。これにより,カテゴリ分類手段18は,生成されたグラフのカテゴリ分類をカテゴライズ条件テーブル182によるカテゴライズ条件に従って自動的に行うことができる。
【0075】
例えば,図10(B)に示すカテゴライズ条件テーブル182Aが分類条件#1〜#3からなるとすると,同図に登録カテゴリ220Aとして示すように,分類条件#1〜#3からなるカテゴライズ条件によってカテゴリが分類されることになる。また,カテゴライズ条件テーブル182Aと分類条件が異なるカテゴライズ条件テーブル182Bがあっても良い。図1に示す登録カテゴリ220Bは,例えばカテゴライズ条件テーブル182Bをもとに生成されたカテゴリとする。なお,図10(B)の例では,分類条件#1などの数値の小さい順にカテゴリの階層の上位への分類が行われるものとする。
【0076】
以上のような一又は複数のカテゴライズ条件テーブル182は,例えばグラフ作成者の部門別などのログ情報,ID情報等のアクセス条件によって,カテゴライズ条件テーブル182Aまたは182Bをカテゴリ分類手段18が選択可能である。
【0077】
以上のステップS31〜S35の処理が終了すると,図3に示すステップS10の処理が終了する。
【0078】
次に,図3に示す処理フローに戻ると,重複チェック手段19は,付与したグラフタイトルについてレポート記憶手段22のカテゴリ220A,220B,・・・に分類され,かつ,格納された他の登録グラフとの重複を調べる(ステップS11)。利用者のレポート作成指示により,レポート作成手段10は容易にグラフ生成を行うことができるため,重複チェック手段19は同じグラフを重複して登録することを回避する。なお,この重複チェックは,ステップS6の直後に実行してもよく,この場合には全カテゴリ中の登録済みグラフとの重複チェックを行う。
【0079】
図11に,図3に示すステップS11の詳細なフローを示す。以下,図11に示すステップS41〜S47について説明する。
【0080】
重複チェック手段19は,生成されたグラフおよび決定したグラフタイトルを取得する(ステップS41)。次に,重複チェック手段19は,グラフタイトルをもとにレポート記憶手段22(記憶部)の同じカテゴリに同じグラフタイトルがあるか否か検索する(ステップS42)。
【0081】
ステップS42において同じグラフタイトルがない場合に,重複チェック手段19は,グラフ登録を設定する(ステップS43)。設定後に,本重複チェック処理を終了する。一方,ステップS42において同じグラフタイトルがある場合に,重複チェック手段19は,すでに登録されているグラフと,生成されたグラフとのグラフ作成対象期間を比較する(ステップS44)。
【0082】
図12に,重複チェックを説明する図を示す。具体的には,図12において,レポート記憶手段22に格納された登録済みグラフ2201と,生成されたグラフ(登録チェックグラフ1901)とをグラフ作成対象期間について比較し,重複チェックする方法の例を示す。なお,登録チェックグラフ1901と登録済みグラフ2201とは,カテゴリ分類が〔カテゴリ〕「○○部門/2009年/売上推移カテゴリ」(例えば図1に示す登録カテゴリ220A)で同一であり,グラフタイトルが〔タイトル〕「○○サービス売上推移グラフ」で同一であるものとする。また,〔カテゴリ〕に記載の「/」はカテゴリの階層ごとのカテゴリ区分を示し,「○○部門」,「2009年」,「売上推移カテゴリ」などは階層ごとのカテゴリ区分のカテゴリ名であり,この例では左側の区分が上位階層とする。例えば,この場合のカテゴリの上位階層は,「○○部門」が上位である。
【0083】
図12に示すように,登録チェックグラフ1901と登録済みグラフ2201とは,〔カテゴリ〕および〔タイトル〕が同一であるため,重複チェック手段19はすでに登録されている登録済みグラフ2201と,登録チェックグラフ1901とのグラフ作成対象期間を比較する。具体的には,重複チェック手段19は,登録チェックグラフ1901のグラフ情報と登録済みグラフ2201のグラフ情報を参照して,登録チェックグラフ1901の横軸1911と,登録済みグラフ2201の横軸2211とがグラフ作成対象期間であると判断する。重複チェック手段19は,登録チェックグラフ1901の横軸1911のグラフ作成対象期間が「1月〜4月」であり,登録済みグラフ2201の横軸2211では「1月〜3月」であることから登録チェックグラフ1901の方が最新の期間を反映していると判断する。なお,取得されたグラフ情報は,生成されたグラフごとにグラフ情報テーブル1211に格納されるが,グラフ情報記憶部121には所定の期間の記録(例えば近々の登録日から1年以内の履歴など)が残っているものとする。
【0084】
続いて,ステップS45において生成されたグラフの方が最新の期間でない場合に,重複チェック手段19は,生成されたグラフのグラフ登録を抑制する(登録しない)ように設定する(ステップS46)。設定後に,本重複チェック処理を終了する。
【0085】
一方,ステップS45において生成されたグラフの方が最新の期間である場合に,重複チェック手段19は,生成されたグラフで上書きするようにグラフ登録を設定する(ステップS47)。例えば,図12の例では,登録チェックグラフ1901を登録済みグラフ2201に対して上書きするようにグラフ登録が設定されることになる。設定後に,本重複チェック処理を終了する。以上のステップS41〜S47の処理が終了すると,図3に示すステップS11の処理が終了する。
【0086】
なお,この例では最新の期間を含むグラフで登録済みグラフを上書きする例を説明したが,グラフタイトルが同じ場合,無条件に登録を抑制する,またはグラフ作成者に登録を問い合わせる実施も可能である。
【0087】
次に,図3に示す処理フローに戻ると,非公開決定手段20は,非公開/公開の設定を行う(ステップS12)。
【0088】
例えば,非公開決定手段20は,ステップS12の処理フローを以下の判断により行う。
(1)将来の予測値を含むグラフの判別
グラフの登録年月日と登録グラフのデータの最新年月日を比較し,将来(未来)のデータが含まれていたら予測値が含まれていると判断して,グラフを非公開とする。
(2)異常値を含むグラフの判別
(2−1)登録グラフと同種類の前月作成グラフを表示する。
(2−2)登録グラフと前月作成グラフの目盛(スケールの幅)を比較する。
(2−3)登録グラフと前月作成グラフの目盛が規定よりも大きく(小さく)変わっている場合に,異常値が含まれているグラフであると判断する。
(2−4)異常値が含まれているグラフの場合,例えば管理者に対して通知し,公開/非公開の判断を仰ぐ。
【0089】
図13に,図3に示すステップS12の詳細なフローを示す。以下,図13に示すステップS51〜S58について説明する。
【0090】
非公開決定手段20は,生成されたグラフおよび決定したグラフタイトルを取得する(ステップS51)。続いて,非公開決定手段20は,生成されたグラフのデータについて最新年月日を取得する(ステップS52)。
【0091】
図14に予測値を含むグラフを説明する図を示す。図14に示す棒グラフ2202において,登録年月日は2009年3月31日であり,最新年月日は2009年(図示省略)4月〜5月であり,また,グラフ作成対象期間の2009年1月〜3月の棒グラフは実際値に基づくものであり,2009年4月〜5月の棒グラフは予測値に基づくものである。なお,図14に示す例の場合,ステップS52において,非公開決定手段20は,作成された棒グラフ2202のグラフ情報から「売上月」である最新の年月日2009年4月〜5月を取得する。前述したように,例えばグラフ情報テーブル1211から「売上月」=「200904,200905」として取得される。
【0092】
次に,非公開決定手段20は,登録年月日と比較して,取得した最新年月日は将来のデータが含まれているか判断する(ステップS53)。例えば,図14に示す例の場合,棒グラフ2202の登録年月日が2009年3月31日であるとすると,非公開決定手段20は,横軸2212における2009年1月〜3月は実際の期間であり,2009年4月〜5月は予測の期間であるとし,縦軸2222における棒グラフデータには将来のデータ(予測値データ)が含まれていると判断する。
【0093】
取得した最新年月日に将来のデータが含まれていない場合には,処理をステップS55に進める。一方,取得した最新年月日に将来のデータが含まれている場合には,非公開決定手段20は,生成されたグラフを非公開に設定する(ステップS54)。例えば,図14に示す例の場合,非公開決定手段20は,棒グラフ2202を非公開に設定する。
【0094】
次に,非公開決定手段20は,生成されたグラフと同じ種類の登録済みグラフから前月作成グラフなどを検索する(ステップS55)。
【0095】
例えば,図15および図16に異常値の判定方法を説明する図を示す。なお,図15に示す棒グラフ2203は前月作成の登録済みグラフであり,図16に示す棒グラフ2204は登録対象のグラフであり,棒グラフ2203と棒グラフ2204とは同種類のグラフであるとする。この場合には,非公開決定手段20は,生成されたグラフ(棒グラフ2203)と同じ種類の登録済みグラフ(棒グラフ2204)を検索する。
【0096】
ここで,同種類のグラフとは,登録カテゴリ220において,例えばカテゴリの階層に係るカテゴリ名が一致するものを指す。非公開決定手段20は,これらの同種類のグラフであるかの判断条件についてカテゴライズ条件テーブル182の分類条件をもとに判断する。
【0097】
例えば,図10(B)に示すカテゴライズ条件テーブル182に基づくカテゴライズ条件である場合,分類条件#1(検索条件A)〜分類条件#3(グラフ種別)が同じであり,その中の分類条件#2(検索条件B)に係る「指定月名」のタイトル名が異なるものを同種類のグラフとして判断条件(図示省略)に予め設定される。図15および図16は,例えば図10(B)に示すカテゴライズ条件の検索条件A「部門名」,検索条件B「指定月名」,グラフ種別B「棒グラフ」(例えば商品構成比率グラフ)のカテゴリ分類における各階層のカテゴリ名が一致し,棒グラフ2203の指定月名(2009年3月)と棒グラフ2204の指定月名(2009年4月)とが異なる,即ち同種類のグラフである。
【0098】
次に,非公開決定手段20は,生成されたグラフと検索したグラフとを比較する(ステップS56)。
【0099】
以下では,例えば,非公開決定手段20が図15に示す棒グラフ2203(生成されたグラフ)と図16に示す棒グラフ2204(検索したグラフ)とを比較した場合で説明する。また,レポート作成手段10により生成されたグラフおよび登録済みのグラフが,所定の画像データ(例えばビットマップデータ)であるとして説明する。図15に示す棒グラフ2203の画像サイズは,例えばXP=640ドット,YP=480ドットであり,図16に示す棒グラフ2204の画像サイズも同様である。これらのグラフの画像サイズなどは,グラフ表示領域として予め定義され,また,グラフ表示領域中のスケール表示領域の頂点Point#1,頂点Point#2なども予め定義されているとする。
【0100】
非公開決定手段20は,同じ種類のグラフである,棒グラフ2203および棒グラフ2204からスケール表示領域の頂点Point#1(25,25),頂点Point#2(125,425)の枠内の画像データを,それぞれ取得する。即ち,図15に示すように棒グラフ2203から切り出し画像2223が取得され,図16に示すように棒グラフ2204から切り出し画像2224が取得される。
【0101】
非公開決定手段20は,切り出し画像2223から背景色(例えば白色)以外の「色」のドット数D#1を取得する。同様に,切り出し画像2224から背景色以外の「色」のドット数D#2を取得する。
【0102】
背景色以外のドット数D#1とD#2とが同じ場合,非公開決定手段20は,棒グラフ2203と棒グラフ2204との縦軸のスケールは同じであると判断する。背景色以外のドット数D#1がD#2より少ない場合,非公開決定手段20は,棒グラフ2204よりも棒グラフ2203の方が縦軸のスケールは大きい(又は小さい)と判断する。背景色以外のドット数D#1がD#2より多い場合,非公開決定手段20は,棒グラフ2204よりも棒グラフ2203の方が縦軸のスケールは小さい(又は大きい)と判断する。
【0103】
例えば,図15に示す切り出し画像2223のドット数D#1は,図16に示す切り出し画像2224のドット数D#2よりも多いため,非公開決定手段20は,棒グラフ2204(例えばスケール1000)よりも棒グラフ2203(例えばスケール100)の方が縦軸のスケールは小さいと判断する。即ち,スケールの変化の幅が大きいと判断される。
【0104】
以上の比較の結果から,非公開決定手段20は,生成されたグラフに異常値が含まれるか否か判断する(ステップS57)。具体的には,非公開決定手段20は,例えば生成されたグラフと検索したグラフとから切り出し画像におけるスケールの変化の幅をみて,グラフデータが急激な変化を生じていないかを判断する。
【0105】
例えば,前述の図15および図16に示す例では,図15に示す切り出し画像2223のドット数D#1が図16に示す切り出し画像2224のドット数D#2よりも多いため,非公開決定手段20は,棒グラフ2204(例えばスケール1000)よりも棒グラフ2203(例えばスケール100)の方が縦軸のスケールは小さい(又は大きい)と判断する。なお,非公開決定手段20には,ドット数の増減に応じて相対的にスケールが小さくなる又は大きくなるというスケール変化の幅の推定値が予め定められて,記憶部(図示省略)に保存される。この予め定められたスケール変化の幅の推定値が予め定める変化幅の基準を超える場合,非公開決定手段20は,生成されたグラフに異常値が含まれると判断する。
【0106】
なお,以上の説明においては,登録グラフがドット表現される画像データの例を示したが,縦軸,横軸などのスケール,棒グラフデータなどの数値を有するグラフデータであっても良い。この場合には,非公開決定手段20は,容易に当該数値を取得してグラフ間のスケールを比較することができる。
【0107】
ステップS57において生成されたグラフに異常値が含まれていない場合に,非公開決定手段20は,生成されたグラフを公開するように属性を与えて登録し,非公開決定処理を終了する。一方,異常値が含まれている場合に,非公開決定手段20は,生成されたグラフを非公開にするように属性を与えて設定し,設定後に,非公開決定手段20は,本非公開/公開決定処理を終了する(ステップS58)。以上のステップS51〜S58の処理が終了すると,図3に示すステップS12の処理が終了する。
【0108】
なお,非公開にするように属性を与える設定について,非公開決定手段20は,出力手段23を介して生成されたグラフを非公開に設定するか公開に設定するかを問い合わせる通知を行っても良い。さらに,この通知に対して,例えば管理者は当該グラフを特定の権限を有する者以外に非公開とするか,または,予め定められた特定の権限を有する者に公開にするか非公開にするかを行い,その設定が行われるまでは非公開決定手段20により当該グラフのグラフ登録は保留または非公開の属性に設定される。
【0109】
次に,図3に示す処理フローに戻ると,以上の設定内容について,登録格納手段21は,グラフ登録または登録の抑制を行う(ステップS13)。具体的には,生成されたグラフに対してグラフ登録を行う場合,登録格納手段21は生成されたグラフをカテゴリ分類に従ってレポート記憶手段22に保存すると共に,当該登録グラフのカテゴリ分類の情報,非公開または公開などの属性を含むグラフ登録情報を保存する。一方,生成されたグラフに対してグラフ登録を行わない場合,登録格納手段21は生成されたグラフをレポート記憶手段22に保存しない。
【0110】
以上の結果,命名チェック手段11は,レポート作成手段10によって生成されたグラフについてグラフタイトルを自動的に命名し,レポート記憶手段22へのそのグラフの登録または抑制を行う。
【0111】
図17および図18に,登録グラフの表示例を示す。図17に示す画面表示31Aには,カテゴリ表示311Aに示す〔カテゴリ〕「○○部門/2009年月度/」のカテゴリ分類が示され,その分類に対応した一覧ビュー表示312Aにおける棒グラフ3121(3月度),3122(4月度),3123(5月度),円グラフ3124(5月度)が表示される。
【0112】
図18に示す画面表示31Bには,カテゴリ表示311Bに示す〔カテゴリ〕「○○部門/2009年5月度/」のカテゴリ分類が示され,一覧ビュー表示312Bにおける棒グラフ3123(5月度),円グラフ3124(5月度)が表示される。なお,図17および図18において,登録グラフが非公開の属性である場合に,例えば一覧ビュー表312Aおよび312Bに表示されない。
【0113】
以上のような出力表示は,出力表示手段23によりレポート記憶手段22に記憶(登録)されたグラフ登録情報をもとに出力装置4(例えば表示装置)に出力された結果である。
【0114】
なお,出力手段23は,レポート記憶手段22に登録されたグラフについて画面表示,印刷表示するための出力インタフェースの一例を示したものである。図1に示す構成例では,レポート作成装置1がレポート記憶手段22を備える構成としたが,他のPC(サーバ)にレポート記憶手段22が備えられても良い。この場合には,例えばサーバがクライアントのアクセスに対して,登録グラフの公開/非公開の属性などのグラフ登録情報について,対象者(部門,役職など),パスワードなどの情報と共に用いて管理,制限しても良い。例えば,登録グラフを特定の権限を有する者以外に非公開にする属性を付与して保存する,または,予め定められた特定の権限を有する者に公開にするなどである。
【0115】
以上のレポート作成装置が行う処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによって実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【0116】
本発明の一実施態様によれば,レポート作成ツールにより生成したグラフに対して利用者から入力されたグラフタイトルについて統一的,かつ,自動的にグラフタイトルの命名を検査することができ,業務データの解析,加工などを効率的に,短時間で行うことができる。
【0117】
また,本発明の一実施態様によれば,グラフ管理するためのカテゴリ分類を統一的,かつ,自動的に行うことができるため,グラフ作成者によって登録カテゴリが統一されないということを回避することができる。特に,作成するグラフが多い場合には,人手によるとカテゴリ分類の作業が煩雑になるが,自動的に統一性を保ってカテゴリ分類されるため,グラフを閲覧するときに利用者側にとって扱いやすい。
【0118】
また,本発明の一実施態様によれば,同一のグラフを重複して登録することを防止することができるため,重複登録による不要なデータの保存を回避し,これにより不要なデータによるディスクスペースなどの記憶装置の圧迫を抑えることができる。
【0119】
また,本発明の一実施態様によれば,生成したグラフの中で,予測値を含むグラフ,異常値を含むグラフを自動的に非公開に設定することができる。これより,誰もがアクセスできないように非公開として,所定の権限の利用者にのみ公開するようにすることができる。
【符号の説明】
【0120】
1 レポート作成装置
2 業務DB(データベース)
3 入力装置
4 出力装置
10 レポート作成手段
11 命名チェック手段
12 条件記憶手段
13 レポート定義情報取得手段
14 グラフタイトル分解手段
15 分節種別判定手段
16 グラフタイトルチェック手段
17 レポート名付与手段
18 カテゴリ分類手段
19 重複チェック手段
20 非公開決定手段
21 登録格納手段
22 レポート記憶手段
23 出力手段
121 グラフ情報記憶部
122 種別判定基準記憶部
123 命名規則基準記憶部
124 グラフタイトル書式辞書
125 用語辞書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベースの検索結果から生成されたグラフにグラフタイトルを付与し,レポートとして出力または保存するレポート作成装置であって,
前記生成されたグラフごとに,少なくともグラフ種別および前記データベースに対する検索条件を含むグラフ情報項目とその項目の値とからなるグラフ情報を記憶するグラフ情報記憶手段と,
グラフタイトルに用いられることがある複数の語句が格納された用語辞書の記憶手段と,
グラフタイトルを構成する語句が前記グラフ情報項目およびその項目の値の中のどれに関連するかを示す種別の判定に用いる判定基準の情報が格納された種別判定基準記憶手段と,
前記種別ごとに,前記グラフ情報項目およびその項目の値に対する命名規則を定める命名規則基準が格納された命名規則基準記憶手段と,
生成されたグラフに対して,入力装置から入力されたグラフタイトルを取得する手段と,
前記用語辞書中に格納された語句を参照して,前記取得したグラフタイトルを1または複数の語句に分解する手段と,
前記分解された各語句について,前記種別判定基準記憶手段に格納された判定基準の情報を参照することにより種別を判定する手段と,
前記判定された種別に該当する命名規則基準を,前記命名規則基準記憶手段から取得し,前記分解された各語句のいずれもが前記命名規則基準に従うか否かをチェックする手段と,
前記チェック結果に応じて前記取得したグラフタイトルを前記生成されたグラフに付与するか否かを決定する手段とを備える
ことを特徴とするレポート作成装置。
【請求項2】
請求項1記載のレポート作成装置において,
前記グラフ情報項目におけるグラフ種別および前記データベースに対する検索条件の組み合わせに対して,グラフタイトルの命名に用いられる固定文字もしくは前記グラフ情報項目を指定する可変文字指定情報,またはそれらの組み合わせからなるグラフタイトルの書式情報が格納されたグラフタイトル書式辞書の記憶手段を備え,
前記命名規則基準は,前記分解された語句が,前記判定された種別に対して指定された前記グラフタイトル書式辞書により決定される文字列と一致するかまたは該文字列に含まれるかを命名チェック条件とする命名規則を含む
ことを特徴とするレポート作成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のレポート作成装置において,
1または複数の前記グラフ情報項目を分類条件とするカテゴライズ条件が格納された記憶手段と,
前記分類条件に用いるグラフ情報項目と,その項目の値との組み合わせに対して,固定文字もしくは前記グラフ情報項目を指定する可変文字指定情報,またはそれらの組み合わせからなるカテゴリ名が格納されたカテゴリ名称辞書の記憶手段と,
前記グラフ情報記憶手段に記憶されたグラフ情報におけるグラフ情報項目から,前記カテゴライズ条件における各分類条件に従ってグラフ情報の登録カテゴリを決定し,前記カテゴリ名称辞書を参照して,前記登録カテゴリに対するカテゴリ名を決定する手段を備える
ことを特徴とするレポート作成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレポート作成装置において,
前記データベースの検索結果から生成されたグラフを保存するときに,同種のグラフが既に保存されているか否かを,前記グラフタイトルを決定する手段が決定したグラフタイトルの比較により行う重複チェック手段と,
同種のグラフが既に保存されている場合に,新たなグラフの保存を抑制するか,または,グラフの作成対象となっているデータの期間を比較して,最新の期間を含むグラフにより他方のグラフを上書きして保存する手段とを備える
ことを特徴とするレポート作成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレポート作成装置において,
前記データベースの検索結果から生成されたグラフを保存するときに,当該グラフのデータが将来の予測値を含むか否かを判定する手段と,
将来の予測値を含む場合に,当該グラフを特定の権限を有する者以外に非公開にする属性を付与して保存する,または,予め定められた特定の権限を有する者に公開にするか非公開にするかを問い合わせる手段とを備える
ことを特徴とするレポート作成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のレポート作成装置において,
前記データベースの検索結果から生成されたグラフを保存するときに,当該グラフのデータが所定の異常値判別方法に従って異常値を含むか否かを判定する手段と,
異常値を含む場合に,当該グラフを特定の権限を有する者以外に非公開にする属性を付与して保存する,または,予め定められた特定の権限を有する者に公開にするか非公開にするかを問い合わせる手段とを備える
ことを特徴とするレポート作成装置。
【請求項7】
コンピュータを,請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のレポート作成装置が備える手段として機能させるためのレポート作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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