説明

レポート作成装置

【課題】重要な所見の有無及びその内容をリスト表示時に表示することで、所見を確認する確認者に重要所見の存在を報知し、当該確認者の診断及び患者の処置の遅れや、緊急に診断しなければならない患者の所見の読み忘れといった対応ミスを減少させる。
【解決手段】 医用画像に対して所見情報を含むレポート情報を作成するレポート情報作成手段を備えたレポート作成端末装置において、所見情報に含まれる文字情報について重要度を設定するレベル設定手段と、前記レポート情報に含まれる項目と前記重要度が設定された文字情報を示す識別手段を対応付けたリスト情報作成手段を備え、レポート確認装置からの確認情報に基づいて前記識別手段を変更し、前記レポート作成手段及び前記リスト情報作成手段及び前記変更手段により作成された情報を表示制御手段により表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置により収集された医用画像に対するレポート情報を作成するレポート作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人体内部の情報を収集し、この収集した情報に基づいて人体内部の構造や機能の状態を表す医用画像を生成して表示する医用画像診断装置が使用されている。この医用画像診断装置としては、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置(核磁気共鳴画像診断装置)、超音波画像診断装置、核医学診断装置等が知られている。また、これら医用画像診断装置により収集された医用画像を保管する医用画像保管装置(PACS)、医用画像に対して各種画像処理を施して表示する医用画像ビューア装置、医用画像に対する医学的な所見等を入力する医用レポート装置等の医用情報システムが知られている。
【0003】
一般に、医用画像診断装置により収集された医用画像は、ネットワークを介して医用画像保管装置に送られ磁気記憶装置や光ディスク等の記録媒体に記憶される。読影医は、医用画像ビューア装置を用いて収集された医用画像を表示し、その医用画像に対するレポート情報を医用レポート装置で作成する。各診療科(依頼科)の医師は、このレポート情報を診療科の端末で表示して診療を行なう。このような医用情報システムに関するものとして、例えば特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−290428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の医用レポート装置は、複数の医用画像と所見とを関連付けてレポート情報を作成することができるように構成されている。作成されたレポート情報は、読影済みのレポート情報として、患者毎又は検査毎に順次リスト情報表示される。
【0006】
しかしながら、リスト情報表示されたレポート情報は、「どの患者に対してどのような検査をし」、それに対して「正常」又は「異常」の何れかで判定したかといった情報に過ぎず、各レポート情報について読影医がどのような程度の「異常」と判断したかまでは確認できなかった(特許文献1の図3参照)。
【0007】
このように、レポート情報のリスト情報表示において、読影医の所見内容の重要度が不明な状況では、読影医が読影した結果、当該レポート情報(所見)の作成を読影医に依頼し、作成されたレポート情報を確認する担当医に対して、読影医が早急に再診断を仰ぎたい場合などの対策が講じられていなかったという問題があり、当該確認者の診断及び患者の処置の遅れや、緊急に診断しなければならない患者の所見の読み忘れといった対応ミスに繋がる原因となる虞がある。
【0008】
特に、集団検診等の大量の医用画像を読影する場合、1時間に100枚以上の読影を行なう必要があり、それだけの量のレポート情報がリスト情報表示されても、担当医が一つ一つ確認するのには限界があり、レポート情報に含まれる所見の内容を担当医が効率よく確認できるシステムが望まれていた。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、重要な所見の有無及びその内容をリスト情報表示時に表示することで、レポート情報を確認する確認者(例えば、担当医)に重要所見の存在を報知し、当該確認者の診断及び患者の処置の遅れや、緊急に診断しなければならない患者の所見の読み忘れといった対応ミスを減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための、請求項1記載の発明に係るレポート作成装置は、医用画像診断装置により取得された医用画像について、文字情報により構成された所見情報を含むレポート情報を作成するためのレポート作成手段と、前記レポート作成手段により作成された前記レポート情報に含まれる前記所見情報のうちの文字情報について重要度を設定するレベル設定手段と、前記レポート情報に含まれる項目と、前記レポート情報に含まれる前記重要度が設定された文字情報を示す識別情報とを対応付けたリスト情報を作成するリスト情報作成手段と、前記レポート情報の前記重要度が設定された文字情報についてレポート確認装置側から確認情報が送信された場合、当該確認情報に基づいて前記識別情報を変更する変更手段と、前記レポート作成手段、前記リスト情報作成手段および前記変更手段により作成される情報を表示手段に表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するための、請求項2記載の発明に係るレポート作成装置は、請求項1に記載のレポート作成装置において、前記識別情報は、前記レポート情報に含まれる前記重要度が設定された文字情報の数を示す情報であり、前記変更手段は、前記レポート確認装置側から送信された確認情報に対応する前記文字情報数を前記識別情報から減算することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するための、請求項3記載の発明に係るレポート作成装置は、請求項1又は2に記載のレポート作成装置において、前記表示制御手段は、前記識別情報に基づいて、前記リスト情報における前記識別情報に対応する列について識別表示するよう前記表示手段を制御することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するための、請求項4記載の発明に係るレポート作成装置は、請求項3に記載のレポート作成装置において、前記表示制御手段は、前記変更手段による前記識別情報の変更内容に基づいて、前記リスト情報における前記識別情報に対応する列についての識別表示を変更するよう前記表示手段を制御することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するための、請求項5記載の発明に係るレポート作成装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載のレポート作成装置において、前記レベル設定手段は、操作手段による指示により、文字情報について重要度を設定することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するための、請求項6記載の発明に係るレポート作成装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載のレポート作成装置において、前記レベル設定手段は、重要度のレベルと所見を示す文字情報とが関連付けられたテーブルを有し、当該テーブルに基づいて、前記所見情報のうちの文字情報について重要度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作成された各レポート情報について、そのレポート情報に含まれる所見情報にレベル設定がなされ、そのレベル設定の内容が担当医のレポート端末装置にてリスト情報表示されるので、作成者(読影医)が意図する所見を担当医に漏れなく確認させることができる。
【0017】
また、レベル設定されたレポート情報については、そのレポート情報を確認するまで通知するようにしたので、重要な(レベル設定された)レポート情報を確認者(担当医)に対して確実に確認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るレポート作成システムの一実施形態における構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係るレポート作成システムの一実施形態におけるレポート作成端末装置6及び医用画像ビューア装置7の構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係るレポート作成システムの一実施形態におけるレポート情報作成時の流れを示すシーケンス図。
【図4】本発明に係るレポート作成システムの一実施形態における所見情報の通知の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明に係るレポート作成システムの一実施形態におけるレポート作成端末装置6の所見入力画面例。
【図6】本発明に係るレポート作成システムの一実施形態におけるレポート確認端末装置の所見確認画面例。
【図7】本発明に係るレポート作成システムの一実施形態におけるレポート確認端末装置のリスト情報画面例。
【図8】本発明に係るレポート作成システムの他の実施形態におけるレポート確認端末装置のリスト情報画面例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0020】
図1は、実施形態に係るレポート作成システムの構成を示すブロック図である。図1は病院内に設けられたレポート作成システムを示しており、医用画像診断装置としてのX線CT装置1、磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)2及びX線診断装置3と、医用情報システムとしての画像保管通信装置4と、レポートサーバ5と、レポート作成端末装置6と、医用画像ビューア装置(医用画像観察装置)7と、レポート確認端末装置8とを有している。
【0021】
これらの装置は、病院内LAN(ローカルエリアネットワーク)9により接続され、相互に通信可能に構成されている。レポートサーバ5は、レポート情報を蓄積(保存)し、管理するレポート情報管理手段51と、そのレポート情報管理手段51に蓄積されたレポート情報を元にリスト情報を作成し、管理するリスト情報管理手段52とを有する。そして、リスト情報管理手段52は、リスト情報を作成するリスト情報作成手段511と、所定のリスト情報について後述するレポート確認端末装置8によって確認作業が行われたか否かを判定する判定手段512と、その判定手段512により全ての所見情報について確認が行われるまでレポート確認端末装置8に確認を促す通知手段513とを有している。
【0022】
レポート作成端末装置6と医用画像ビューア装置(医用画像観察装置)7は読影室に並べて設置され、作成者(読影医)が医用画像ビューア装置7の画面に表示されている医用画像を見てレポート作成端末装置6を操作してレポート情報を作成することができるようになっている。ここで、本発明における「レポート情報」とは、前記医用画像診断装置によって得られた医用画像に対して読影医が作成する文字情報であり、「所見情報」とは、前記「レポート情報」を構成する文字情報の少なくとも一部で、前記読影医の任意又は後述する「レベル設定手段」によって選択される文字情報である。
【0023】
また、レポート確認端末装置8は、診療科に設置され、患者の担当医(確認者)が必要に応じてレポート情報を閲覧するための端末装置である。これら装置の組合せ、または装置単体をレポート作成システムと呼ぶものとする。なお、前記「担当医」は、例えば、前記医用画像診断装置による検査を依頼し、前記読影医に医用画像の読影を依頼する立場にある医師である。また、レポート作成端末装置6及びレポート確認端末装置8は、レポート情報を作成する機能(本発明にいう「レポート作成手段」)が備えられているか否かの違いであり、レポート作成端末装置6及びレポート確認端末装置8双方には作成されたレポート情報を表示する機能が備わっている。すなわち、本実施形態では、レポート用端末装置として機能的にレポート作成端末装置6とレポート確認端末装置8とに分類しているに過ぎない。従って、レポート確認端末装置8をレポート作成端末装置6それぞれに前記レポート作成機能と前記レポート確認機能の両機能を持たせてもよい。
【0024】
図2は、レポート作成端末装置6及び医用画像ビューア装置7の構成を示すブロック図である。図2に示すように、レポート作成端末装置6及び医用画像ビューア装置7は、パーソナルコンピュータ、ワークステーションをベースとして構成されており、回路間のデータ伝送を行うためのバス10と、プログラムに従って処理を実行するマイクロプロセッサ(CPU)11と、マイクロプロセッサ11で処理するプログラム及びデータを記憶する半導体メモリ(RAM)12と、プログラム及びデータを記憶する大容量記憶手段としての磁気記憶装置(ハードディスクドライブ)13と、病院内LANに接続するための通信回路14と、画像を表示するモニタ15と、モニタ15に画像を表示させるための信号を生成する画像表示回路16と、文字入力を行うためのキーボード17と、ポインタの移動及びクリック操作を行うためのマウス18と、キーボード17及びマウス等の入力機器を接続するためのインターフェース回路19とを備えている。磁気記憶装置13は、レポート処理、画像参照処理、音声認識等を行うための制御プログラムや、画像やデータベース等の各種データを記憶しており、レポート作成端末装置6及び医用画像ビューア装置7はこれらの制御プログラム及びデータに基づいて動作する。また、モニタ15及び画像表示回路16が本発明にいう「表示手段」に該当する。
【0025】
次に、図3を用いて全体の作業の流れを説明する。図3は、医用画像保管通信装置4、医用画像ビューア装置7、読影室のレポート作成端末装置6、レポートサーバ5による作業及びデータの流れを表したシーケンス図である。
【0026】
(レポート情報の作成)
まず、作成者は、レポート作成端末装置6において利用者ID(識別情報)とパスワードを入力してログインを行う(ステップS1)。この利用者ID及びパスワードはレポートサーバ5に送られ、適正な利用者IDか否かが確認され、適正であれば医用画像ビューア装置7におけるレポート情報の参照及びレポート作成端末装置6における作成が可能になる。このとき、前記利用者IDと共に、当該作成者が病院内で所持する携帯端末のアドレス等を前記識別情報の一部として登録しておいてもよい。
【0027】
次に、レポートサーバ5は、その作成者の担当する案件の一覧を示すリスト情報をレポート作成端末装置6へ送信する。レポート作成端末装置6は、そのリスト情報を表示する(ステップS2)。作成者がマウス等を操作して検査リストの中の案件を選択すると、レポート作成端末装置6は、その検査案件に対応する医用画像の表示要求を医用画像ビューア装置7に送信する(ステップS3)。
【0028】
次にレポート作成端末装置6は、その検査のレポート情報を入力するための入力画面を表示する(ステップS4)。なお、過去に記録されたレポート情報がある場合は、必要に応じてそのレポート情報を表示するようにしてもよい。
【0029】
医用画像表示要求を受けると、医用画像ビューア装置7は、医用画像保管通信装置4に対して、その検査案件に対応する医用画像の転送要求を送信する。医用画像保管通信装置4は、その要求された医用画像の情報を検索して医用画像ビューア装置7へ転送する。医用画像ビューア装置7は、その検査案件に対応する医用画像の一覧をサムネイル等により表示する(ステップS5)。
【0030】
作成者は、レポート情報の所見入力欄への入力を行うため、この画像一覧の中から1つの画像を選択する。レポート作成端末装置6は、所見入力を行うためのモードに移行して、選択された医用画像を拡大して表示する(ステップS6)。
【0031】
(所見の入力)
図5は、本実施形態におけるレポート情報の作成過程においてレポート作成端末装置6のモニタ15に表示される画面の一例である。図5に示すように、ステップS6で選択された医用画像に関連して入力モードとなった所見入力画面は、例えば「病理所見」の入力画面100に、文字情報としての所見情報を入力する所見情報入力欄101a〜101cと、所見情報入力欄101に入力した語句の選択操作などに用いるポインタ102と、重要所見数を入力する欄104と、所見情報入力欄101(図中101a)の特定の語句(図中「△△細胞がん」)を、マウス18を用いて当該語句の範囲をポインタ102で選択し、クリックなどの特別な操作をすることでポップアップ表示されるレベル選択用サブ画面103とが表示される。
【0032】
所見の入力に際しては、まず、医用画像ビューア装置7に表示された医用画像を参照しながら、作成者がレポート作成端末装置6のマウス18を用いて、所見情報入力欄101a〜101cを順次記入する。そして、記入した所見情報に含まれる語句のうち、作成者(読影医)が確認者(当該検査を依頼した担当医)に確認して欲しい語句を、マウス18を用いて当該語句の範囲をポインタ102で選択し、選択範囲1010aとして特定し、その選択範囲1010aに対して例えば通常とは異なるクリックボタンによるクリックなどの特別な操作をすることでレベル選択用サブ画面103がポップアップ表示される。その後、レベル選択用サブ画面103内に表示されたレベル設定アイコン103a〜103cの何れか1つを選択し、通常のクリック操作を行うことで、選択されたレベルに応じた識別表示が選択範囲1010aに対して施される(ステップS7)。この「識別表示」は、例えば、レベルに応じて該当する選択範囲を特定の色で表示する色分け表示や、該当する選択範囲に下線が表示され、レベルに応じて下線の線種が異なる下線線種別表示などが採用される。本実施形態では、色分けによる識別表示を採用して説明する。
【0033】
なお、本発明では、前記選択範囲に該当する文字情報(文字列)に対して、少なくとも「重要所見」としての識別がなされ、より好ましくは、その重要度をレベル分けする形態で設定することをCPU11が行う「レベル設定手段」として定義する。なお、このレベル設定手段はプログラムの形態で記憶装置13に記憶されている。また、レベル分けの指標となる「Level1」、「Level2」及び「Level3」の表示は、数字が少ないほど重要度(忌避度)が高いものとして設定されているものとする。
【0034】
このようにして、複数の選択範囲に対して識別表示された画面が図6に示す図である。図6に示すように、例えば、入力した文字情報としての所見情報のうち、所見情報入力欄101aに入力された「△△細胞がん」について「Level1」が設定され、所見情報入力欄101bに入力された「再検×××」及び所見情報入力欄101cに入力された「△△がん」については、「Level3」が設定され、さらに、重要所見数入力欄104に識別表示の対象とした語句の数(この場合は「3」)を入力する。
【0035】
ここで、重要所見数入力欄104は、作成者がキーボード17を用いて入力してもよいが、前記「レベル設定手段」の機能として、当該レポート情報作成時に入力された所見情報のうち、前記選択範囲で特定された語句の数を算出して表示するようにしてもよい。これは、入力された所見情報に対して選択範囲として連続している範囲を特定すれば算出することができる。具体的には、作成者は、重要所見数入力欄104には入力せず、「入力終了」を選択すると、保存されたレポート情報のソースを参照して、当該レポート情報を構成する所見情報のうち、前記選択範囲が関連づけられ、かつ、前記選択範囲が連続して関連づけされた範囲を前記「レベル設定手段」が算出するのである。例えば、前記レポート情報がHTML(Hyper Text Markup Language)文書として作成された場合、選択範囲の始点と終点とを示すHTMLタグの数を前記「レベル設定手段」が算出して選択範囲に関連づけられた文字列の数を認定するのである。
【0036】
また、入力した所見情報のレベル設定は、上述したようなレベル選択用サブ画面103内のアイコンの選択によって選択範囲内の語句に関連づけられるものでなくてもよく、所見情報入力欄に入力された所見情報内の語句を、ただ単にドラッグ操作するなどして選択範囲を設定するだけでもよい(レベル設定アイコン103a〜103cを用いない)。これは、選択した所見情報にレベルを設定するのではなく、選択されなかった所見情報と選択された所見情報との間でレベル格差を生じさせることを意味する。このようにすることで、選択した語句を一律に注意喚起したい場合に有効であるし、構成としてシンプルとなる利点がある。
【0037】
本発明では、作成者がキーボード17やマウス18を用いて行う所見入力作業に対して、CPU11が行うこの支援動作をレポート情報作成手段として定義する。なお、このレポート情報作成手段はプログラムの形態で記憶装置13に記憶されている。
【0038】
その後、所見情報の入力が終わったことを契機に、レポート作成端末装置6はレポート情報の保存要求をレポートサーバ5へ送る(ステップS14)。このとき、画像選択された医用画像と各所見情報入力欄に入力された所見情報とがレポート情報として関連づけられてレポートサーバ5に送られる。ここで、所見情報の入力終了は、所見入力画面において「所見入力終了」(図示せず)などのボタンを表示させ、これが選択されたことによって確定されるなどすればよい。
【0039】
なお、レポート情報に関連づける医用画像は、読影時より高い解像度を要求されないことがあるため、レポート情報の保存時に画像解像度の低いものに非可逆圧縮してデータ量を削減するようにしてもよい。このようにデータ量を削減することにより、データベースの容量削減や、データ転送や処理に要する時間を短縮してレスポンスの向上を図ることができる。
【0040】
(リスト作成)
レポートサーバ5では、病院内LAN9に接続されている複数のレポート作成端末装置6から受信したレポート情報がレポート情報管理手段51によって順次データベース化して保存されると共に、リスト情報作成手段521が、各レポート情報について、患者IDと、患者名と、検査名と、所見情報を入力する過程において重要所見数入力欄104(図6参照)に入力した(又は算出された)数値とから構成されるリスト情報を作成する。
【0041】
図7は、本実施形態におけるリスト情報の表示画面を示す図である。図7に示すように、このリスト情報は、「患者ID」201a、「氏名(患者名)」201b、「検査(項目)」201c及び「重要所見数」201dといった各項目について、レポート作成端末6から送信されてきたレポート情報を蓄積したレポート情報管理手段51からそれぞれのレポート情報の内容を抽出して列挙表示されるものであり、本図のように検査項目毎に列挙表示されるデータベースとして、作成済みのレポート情報をリスト情報作成手段521が編集している。
【0042】
また、図7に示すリスト情報表示画面は、作成されたレポート情報が検査項目毎に列挙表示されたものであり、リスト情報作成手段521は、図7に示すような内容が表示されるようにリスト情報を作成する。例えば、重要所見数を構成する語句(重要所見)に応じて、検査項目毎に色分けされている。具体的には、前記レベル設定手段が、「Level1」を赤、「Level2」を黄色、「Level3」を緑、というように設定していた場合(重要所見として設定していない語句は、黒などの通常表示となる。)、それに応じて該当する検査項目の行を同色で表示するのである。また、構成される重要所見のレベルが複数であった場合、例えば、「病理検査」を構成する重要所見3つのうち、「Level1」が1つ、「Level3」が2つであった場合、レベルの高い方(この場合、「Level1」)の色で検査項目(病理所見)を構成する文字列(ハッチングで表示した部分の文字列)を色分け表示してもよい。このような表示をすることで、表示される「重要所見の数」だけではなく、どれ程高い重要所見が内在しているレポート情報なのかを一目瞭然で判断することができる。
【0043】
なお、リスト情報作成手段521は、リスト情報表示画面において、検査項目毎の重要所見数をマウス18でクリックすると、該当する所見が識別表示されたレポート情報が表示されるように、表示画面上でレポート情報とリンクさせてリスト情報を作成している。
【0044】
(レポート情報の参照)
レポート情報の参照は、図3に示すように、先ずレポート確認端末装置8において利用者ID(識別情報)とパスワードを入力してログインを行う(ステップS9)。次にリスト情報管理手段52から、その利用者の担当する案件のうち、レポート情報が作成された案件の一覧のリスト情報がレポート確認端末装置8へ送信され、レポート確認端末装置8はその検査リストを表示する(ステップS10)。なお、前述したステップS2において送信される検査リストは、患者のID等(担当医のIDも含む)に基づいて医用診断装置によって得られた患者又は検査項目毎の医用画像に関するリスト情報であり、当ステップS10のリスト情報は、得られた各医用画像に対してレポート情報が付加された患者又は検査項目毎のリスト情報である。
【0045】
次に、確認者が検査リストの中の案件を選択する(ステップS11)と、レポート確認端末装置8はレポートサーバ5に対してその案件のレポート情報の転送要求を出し、その転送要求に応じて転送されてきたレポート情報を画面に表示する(ステップS12)。具体的には、図7において、「検査項目」が「病理」のレポート情報の「重要所見数」をマウス18でクリックすると、図6に示すレポート情報の画面が表示されるのである。
【0046】
(所見情報の通知)
図4は、本実施形態における所見情報の通知の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、「重要所見数」をリスト情報の一部として表示し、早急に確認すべきレポート情報を担当医に認識させるだけでなく、所見情報を確認する毎にその所見情報が属するレポート情報の「重要所見数」を減算更新し、未確認の所見情報を含むレポート情報を、未確認が解消されるまで識別表示(この場合、色分け表示)を保つ機能をリスト情報管理手段52が有している。
【0047】
図4に示すように、まず、リスト情報管理手段52が、リスト情報作成手段521で作成したリスト情報を、レポート確認端末装置8からの要求に応じて送信することによって、当該リスト情報はレポート確認端末装置8の表示手段(図示せず)に表示される(ステップS21)。
【0048】
ここで、判定手段522は、レポート確認端末装置8の前記表示手段に表示されているレポート情報を構成する所見情報が、レポート確認端末装置8の表示手段の画面上で確認動作(例えば、マウス18によるクリック)された場合、その確認動作の対象たる所見情報を特定し、その所見情報について「確認がされた」ことを示す確認情報がレポート確認端末8から送信されるか否かによって確認の存否を認識する手段として機能する。
【0049】
また、この判定手段522は、レポート確認端末装置8から前記確認情報が送信された場合、その確認対象である所見情報のレベルを参照して、そのレベルに応じて色分け表示を変更するか否かを判定し、前記「重要所見数」の数値を減算する処理を当該リスト情報に対して行うようにリスト情報作成手段521に指示する。なお、前記色分け表示の判定は、例えば、前記確認情報の対象となる所見情報が、複数の所見情報の中で唯一高いレベルであった場合などにおいて、レポート情報の識別表示(色分け表示)が変更されるような場合に適用される。つまり、レポート確認端末装置8から確認情報が送信される度に、それによってリスト情報の表示内容がどのように変更されるのかを判定手段522が判定し、リスト情報作成手段521にリスト情報の上書きをするのである。
【0050】
従って、判定手段522はまず、リスト表示されているレポート情報に含まれる所見情報の中で未確認のものがあるか否かをリスト情報に含まれる「重要所見数」を参照して判定する(ステップS22)。
【0051】
リスト情報に含まれる「重要所見数」を参照して、未確認の所見情報があると判定され(ステップS22−Yes)、レポート確認端末装置8から確認情報が送信された場合(ステップS23−Yes)、判定手段522は、その確認対象である所見情報のレベルを参照して、そのレベルに応じて色分け表示を変更するか否かを判定し(ステップS24)、当該「重要所見数」の数値を減算する処理(ステップS25)を当該リスト情報に対して行うようにリスト情報作成手段521に指示する。
【0052】
その後、判定手段522は、リスト表示されているレポート情報に含まれる所見情報の中で未確認のものがあるか否かをリスト情報に含まれる「重要所見数」を参照して再び判定する(ステップS26)。この判定において、未確認の所見情報があれば(ステップS26−Yes)、レポート確認端末装置8から確認情報が送信されるステップ(ステップS23)へ移行し、未確認の所見情報がなくなった場合(ステップS26−No)には、このプロセスは終了する。
【0053】
なお、このように、未確認の所見情報がなくなるまでリスト情報の表示画面上でレポート情報を識別表示(色分け表示)する一連の動作を本発明では通知手段として定義しているが、前述したように、病院内で担当医が所持する携帯端末のアドレス等をレポート情報の一部としてPACSに予め登録しておくことにより、未確認の所見情報がなくなると判定手段が判定するまでは、担当医が所持する携帯端末のアドレス宛に「未確認の所見があります」等のメッセージを送信するプロセスを通知手段523として設定してもよい。
【0054】
以上述べた構成によれば、作成された各レポート情報について、含まれる所見情報にレベル設定がなされ、そのレベル設定の内容が担当医のレポート確認端末装置にてリスト情報表示されるので、読影医が意図する所見(情報)を担当医に漏れなく確認させることができる。
【0055】
また、レベル設定された所見情報を確認するまで担当医に通知するようにしたので、重要なレポート情報を担当医に対して確実に確認させることができる。
【0056】
(他の実施形態)
図8は、本発明に係るレポート作成システムの他の実施形態におけるレポート確認端末装置8のリスト情報画面例である。図8に示すように、このリスト情報画面は、前述の実施形態と同様、「患者ID」201a、「氏名(患者名)」201b、「検査(項目)」201c及び「重要所見数」201dといった各項目について、レポート作成端末6から送信されてきたレポート情報の内容から抽出して列挙表示したものであるが、「重要所見数」201dについて、レベル毎にその数を表示するようにレポートサーバ5が編集してもよい。このように作成し、表示することによって、表示される「重要所見の数」だけではなく、重要所見の内訳を一目瞭然で判断することができる。
【0057】
また、他の実施形態として、画面上に表示されたリスト情報に対してレポート情報を選択した際、表示されたレポート情報の識別表示部分(所見入力時における選択範囲)を確認者がマウス18でクリックすることで「確認された」と見なせることができ、それに応じてリスト情報に表示する「重要所見数」の数を減じていく警告手段が設けられてもよい。なお、「重要所見数」の数を減じていき、「0」になった場合には、「重要所見数」の表示を通常表示(例えば、色分け表示であれば黒)としてもよい。本発明では、CPU11が行うこの動作を警告手段として定義する。なお、この警告手段はプログラムの形態で記憶装置13に記憶されている。このような警告手段を設けることで、作成者がレポート作成時に設定した「重要所見」のうち、確認していないものについては、確認動作を行うまで識別表示をするので、「重要所見」の見落としがなくなる。また、この警告手段の他の機能として、「重要所見数」の数(又は、特定のレベルの重要所見の数)が「0」になるまで、当該レポート情報によって特定される担当医の携帯端末等に定期的に警告通知を送信するようにしてもよい。
【0058】
さらに、前述の実施形態におけるレベル設定手段は、「重要所見」として特定する語句にレベルを設定支援するための手段であったが、重要度のレベルと所見を示す文字データとが関連づけられたテーブルをレポート作成端末6の記憶装置13に備え、そのテーブルを参照して前記語句を構成する文字列から該当する所見情報に前記レベルの設定を割り当てるようにしてもよい。この割り当てに係る技術は、公知のいわゆる「テキストマイニング技術(例えば、特開2001−147937号公報に記載の検索方法。)」を利用することで達成できる。このようにすることで、「重要所見」として前記テーブルに予め設定された語句について、前記レベル設定手段が自動的に割り当てるので、作成者は、所見の入力に集中することができ、レポート情報の作成時の労力を軽減し、結果として当システムの作業効率を向上させることができる。
【0059】
加えて、「Level1」等の所見情報に付されるレベルを検索対象として入力すると、蓄積されたレポート情報の中から該当する所見情報が属するレポート情報を抽出する「重要所見検索」機能をレポート情報管理手段51に設けてもよい。
【0060】
上述の各実施形態は、本発明の一例であり、本発明は上記実施形態に限定されることはない。また、この他であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、上述の実施の形態では、レポート作成端末装置6を用いる読影医と、レポート確認端末装置8を用いる担当医との間で行われるレポート作成システムについて説明したが、交代時に看護士間で行われる「申し合わせ作業」に、本システムを適用しても有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 X線CT装置
2 MRI装置
3 X線診断装置
4 画像保管通信装置(画像DB)
5 レポートサーバ
6 レポート作成端末装置
7 医用画像ビューア装置
8 レポート確認端末装置
9 病院内LAN
51 レポート情報管理手段
52 リスト情報管理手段
521 リスト情報作成手段
522 判定手段
523 通知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像診断装置により取得された医用画像について、文字情報により構成された所見情報を含むレポート情報を作成するためのレポート作成手段と、
前記レポート作成手段により作成された前記レポート情報に含まれる前記所見情報のうちの文字情報について重要度を設定するレベル設定手段と、
前記レポート情報に含まれる項目と、前記レポート情報に含まれる前記重要度が設定された文字情報を示す識別情報とを対応付けたリスト情報を作成するリスト情報作成手段と、
前記レポート情報の前記重要度が設定された文字情報についてレポート確認装置側から確認情報が送信された場合、当該確認情報に基づいて前記識別情報を変更する変更手段と、
前記レポート作成手段、前記リスト情報作成手段および前記変更手段により作成される情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とするレポート作成装置。
【請求項2】
前記識別情報は、前記レポート情報に含まれる前記重要度が設定された文字情報の数を示す情報であり、
前記変更手段は、前記レポート確認装置側から送信された確認情報に対応する前記文字情報数を前記識別情報から減算すること
を特徴とする請求項1記載のレポート作成装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記識別情報に基づいて、前記リスト情報における前記識別情報に対応する列について識別表示するよう前記表示手段を制御すること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載のレポート作成装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記変更手段による前記識別情報の変更内容に基づいて、
前記リスト情報における前記識別情報に対応する列についての識別表示を変更するよう前記表示手段を制御することを
特徴とする請求項3記載のレポート作成装置。
【請求項5】
前記レベル設定手段は、操作手段による指示により、文字情報について重要度を設定すること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレポート作成装置。
【請求項6】
前記レベル設定手段は、重要度のレベルと所見を示す文字情報とが関連付けられたテーブルを有し、当該テーブルに基づいて、前記所見情報のうちの文字情報について重要度を設定すること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレポート作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−99124(P2012−99124A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−276205(P2011−276205)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【分割の表示】特願2005−222820(P2005−222820)の分割
【原出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】