説明

レモン果汁含有アルコール飲料

【課題】本発明は、香味にすぐれ、レモンフレーバーの劣化を抑えたレモン果汁含有アルコール飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は果汁由来のアミノ態窒素含量が3.5〜30mg/100mlであり、果汁由来の灰分含量が30〜300mg/100mlであることを特徴とするレモン果汁含有アルコール飲料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレモン果汁含有アルコール飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チューハイは、気軽に飲める低アルコール飲料として人気があり、近年市場を拡大している。チューハイは、元々、焼酎をレモン炭酸飲料で希釈して、飲みやすくしたものであるが、いまでは様々な果汁をアルコールで割ったものが数多く商品化されている。しかし、果汁本来の味や香りが商品に反映されたものは少なく、ほとんどの商品は、当該果汁のイメージの合成香料で香りづけを行い、本来果汁由来である、甘味や酸味や色は、果糖ブドウ糖液糖やクエン酸、着色料によって、代用し、安易にコストメリットを追及したものが多いのが現状である。また、アルコールも、廃糖蜜を発酵させ、高度に精製した、95%原料用アルコールを用いる場合がほとんどなので、画一的なアルコールの味となる。また、単一の果実の果汁だけを炭酸入りアルコールに加えたものもあるが、香り、甘味、酸味のバランスが取り難くなっている。また、最も市場の大きなレモンチューハイにおいても、レモンフレーバーの劣化を抑えるため、合成物であるクエン酸ナトリウムが一般に用いられており、自然素材だけで作るのは難しい現状である。その結果、チューハイとして、様々な商品が市販されているが、単純で深みの無い味に成りがちで、真に食通を満足させるものは少なく、洗練された酒類というイメージは少ない。そこで、香料や甘味料、酸味料、着色料などの添加物や合成添加物を用いず、果汁本来の香り、甘味、酸味、色合いで作った、従来にない自然の風味を生かしたチューハイが求められている。
特開平2005−192473号公報には、果汁(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、リンゴ、ブドウ、モモ、パイナップル、アセロラ、ウメ、ナシ)を2種以上含有する果汁含有アルコール飲料が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平2005−192473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クエン酸ナトリウムや重炭酸ナトリウムなどの合成物を添加しなくとも、香味にすぐれ、レモンフレーバーの劣化を抑えることができるレモン果汁含有アルコール飲料は開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は果汁由来のアミノ態窒素含量が3.5〜30mg/100mlであり、果汁由来の灰分含量が30〜300mg/100mlであることを特徴とするレモン果汁含有アルコール飲料を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、クエン酸ナトリウムや重炭酸ナトリウムなどの合成物を添加しなくとも、香味にすぐれ、レモンフレーバーの劣化を抑えることができるレモン果汁含有アルコール飲料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のレモン果汁含有アルコール飲料は、3.5〜30mg/100mlの果汁由来のアミノ態窒素及び30〜300mg/100mlの果汁由来の灰分を含有する。
本発明において、レモン果汁含有アルコール飲料とは、アルコール原料にレモン果汁を添加したアルコール飲料を意味し、必要に応じて水やその他の原料が加えられる。
本発明のレモン果汁含有アルコール飲料で用いるアルコール原料としては、特定のものに限定されるものではなく、醸造アルコール、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ類、リキュール類、焼酎、清酒、ワイン、ビールなどが挙げられる。これらのアルコール原料は、単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。好ましくは、本発明のレモン果汁含有アルコール飲料はぶどう発酵由来のアルコールを含む。
本発明のレモン果汁含有アルコール飲料で用いる果汁としては、特定の形態のものに限定されるものではなく、果実から搾汁したストレート果汁、濃縮果汁、透明果汁、混濁果汁、ピューレなどのいずれの形態であってもよい。また、果実の種類も特に限定されず、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、カシス、ストロベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、ライチ、アプリコット、梅、チェリー、キウイフルーツ、パッションフルーツ、パイナップル、ピーチ、マンゴー、なし、ぶどう、メロン、リンゴ、バナナなどを用いることができる。これらの果汁は、単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明のレモン果汁含有アルコール飲料における果汁由来のアミノ態窒素の含量は、3.5〜30mg/100mlであり、好ましくは4〜10mg/100mlであり、より好ましくは4〜7mg/100mlである。また、本発明のレモン果汁含有アルコール飲料における果汁由来の灰分含有は、30〜300mg/100mlであり、好ましくは40〜200mg/100mlであり、より好ましくは40〜100mg/100mlである。果汁由来のアミノ態窒素含量及び果汁由来の灰分含有が上記範囲となるように調節することにより、クエン酸ナトリウムなどを加えてpHを調整することなく、レモンの香りの劣化を抑えることができる。
【0008】
本発明のレモン果汁含有アルコール飲料は、好ましくはレモン果汁、なし果汁、ピーチ果汁及びぶどう果汁を含有する。前記レモン果汁含有アルコール飲料において、レモン果汁の含量は、好ましくは6〜30質量%であり、より好ましくは6〜10質量%である。前記レモン果汁含有アルコール飲料において、なし果汁の含量は、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは5〜10質量%である。前記レモン果汁含有アルコール飲料において、ピーチ果汁の含量は、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。前記レモン果汁含有アルコール飲料において、ぶどう果汁の含量は、好ましくは6〜50質量%であり、より好ましくは6〜10質量%である。
本発明のレモン果汁含有アルコール飲料のアルコール濃度としては、好ましくはエタノールが30容量%以下であり、より好ましくは4〜9容量%である。また、本発明のレモン果汁含有アルコール飲料は炭酸ガスを含んでいてもよい。炭酸ガスを含有させる方法としては、公知の方法が用いられる。炭酸ガスを含んでいる場合、炭酸ガスの濃度としては2〜2.8容量%が望ましい。
【0009】
本発明のレモン果汁含有アルコール飲料は、容器入り飲料としてもよい。使用する容器としては、例えば缶、瓶、ペットボトルなどが挙げられ、一般に使用されているものであればいずれのものでも使用できる。
容器入りレモン含有炭酸アルコール飲料を作る場合は、原料用アルコール、レモン果汁、ピーチ等のpH調整用の果汁、水を用い、アルコール5〜7容量%、エキス3〜4質量%、酸度0.3〜0.4のチューハイ原液を作る。これに、炭酸ガスを吹き込んで、炭酸ガス2〜2.3容量%にして、缶やPET容器に充填する。充填後65℃で15分間殺菌して製品とする。
【実施例】
【0010】
(6.5倍濃縮アロマレモン果汁の製造方法)
レモン搾汁工場において搾汁されたレモン果汁を6.5倍に減圧蒸留して6.5倍濃縮レモン果汁を得た。これに、レモン濃縮時に蒸発したレモンの香りを回収し、濃縮した香り及び搾汁時にレモンの皮から得られた香りを、濃縮果汁に対して、1%程度カットバックして6.5倍濃縮アロマレモン果汁を製造した。
【0011】
(実験例1 レモン飲料1L当たりのピーチクリアー果汁添加による効果)
10.7gの6.5倍濃縮アロマレモン果汁及び50gの55%果糖ブドウ糖液糖を含む1Lのレモン果汁含有アルコール飲料(アルコール濃度6容量%、アルコール原料:95%原料用アルコール)に0〜20gの7倍濃縮ピーチクリアー果汁(果香社製)を加えて、60℃で3日間放置し(20℃の常温で9ヶ月以上放置した場合の劣化に相当する条件)、レモンフレーバーの劣化を官能評価した。その結果を表1に示す。なお、○は良好な品質であり、△は普通の品質であり、×は問題のある劣った品質である。
【0012】
【表1】

【0013】
(実施例1)
7質量%のレモン果汁、6質量%のなし果汁、6質量%のピーチ果汁及び6質量%のぶどう果汁並びに50gの55%果糖ブドウ糖液糖を含む1Lのレモン果汁含有アルコール飲料(アルコール濃度6容量%、アルコール原料:ぶどうを発酵させて、蒸留して作った、88%のアルコール)を調製した。
【0014】
(実施例2)
7質量%のレモン果汁、5質量%のなし果汁、3質量%のピーチ果汁及び6質量%のぶどう果汁並びに50gの55%果糖ブドウ糖液糖を含む1Lのレモン果汁含有アルコール飲料(アルコール濃度6容量%、アルコール原料:ぶどうを発酵させて、蒸留して作った、88%のアルコール)を調製した。
【0015】
(比較例1)
7質量%のレモン果汁、1質量%のなし果汁、1質量%のピーチ果汁及び1質量%のぶどう果汁並びに50gの55%果糖ブドウ糖液糖を含む1Lのレモン果汁含有アルコール飲料(アルコール濃度6%、アルコール原料:ぶどうを発酵させて、蒸留して作った、88%のアルコール)を調製した。
【0016】
(比較例2)
7質量%のレモン果汁、0.5g/100mlのクエン酸ナトリウム及び50gの55%果糖ブドウ糖液糖を含む1Lのレモン果汁含有アルコール飲料(アルコール濃度6%、アルコール原料:ぶどうを発酵させて、蒸留して作った、88%のアルコール)を調製した。
【0017】
実施例1〜2及び比較例1〜2で調製したレモン果汁含有アルコール飲料を60℃で3日間放置し、レモンフレーバーの劣化を官能評価した。その結果を表2に示す。なお、調製直後の官能評価における、○は良好な品質であり、△は普通の品質であり、×は問題のある劣った品質である。また、60℃で3日間放置後の官能評価における、○は良好な品質であり、△は普通の品質であり、×は問題のある劣った品質である。
【0018】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
果汁由来のアミノ態窒素含量が3.5〜30mg/100mlであり、果汁由来の灰分含量が30〜300mg/100mlであることを特徴とするレモン果汁含有アルコール飲料。
【請求項2】
レモン果汁含量が6〜30質量%であり、なし果汁含量が5〜50質量%であり、ピーチ果汁含量が3〜50質量%であり、ぶどう果汁含量が6〜50質量%である、請求項1記載のレモン果汁含有アルコール飲料。
【請求項3】
ぶどう発酵由来のアルコールを含む請求項1又は2記載のレモン果汁含有アルコール飲料。

【公開番号】特開2009−153483(P2009−153483A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337346(P2007−337346)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】