説明

レリーズレバー遠隔操作装置

【課題】車外にいながらにして、ボンネット、トランクリッド等のレリーズレバーのロック状態を解除する装置の提供。
【解決手段】運転席B側下部に設けられたレリーズレバーC2に取り付けるアタッチメント10と、該アタッチメント10と連結した紐部材20と、該紐部材20と連結されるインナーワイヤーと、該インナーワイヤーが摺動自在に内挿され、且つ弾性部材で伸縮自在に構成されたスプリング部材と、スプリング部材と連設され、インナーワイヤーが摺動自在に内挿され、且つインナーワイヤーの挿通方向を90°以上に曲げ返す湾曲管と、湾曲管と連接されるアウターワイヤー50と、インナーワイヤーの他端に連結し、インナーワイヤーを牽引する引張手段60とを備えるレリーズレバー遠隔操作装置1において、湾曲管をヘッドレストb1に取り付ける着脱部材を該湾曲管の外周に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車外にいながらにして、運転席側下部に設けられた各種レリーズレバーのロック状態を解除する遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の板金、各種パーツの交換作業等において、自動車のボンネット及びフロントフェンダー等のパーツの設置位置の微調整作業(以下、「フロント周辺部品の位置微調整作業」と略す。)が必要である。該位置微調整作業において、自動車の外観上の美観及び車体の機械的強度を確保するとともに、隣接するパネルが相互に干渉するのを防止するため、多くの場合、前後差、左右差、高低差としてそれぞれ1mm以下の精度が要求される。しかし、調整ボルトがエンジンルーム内にもあるため、上記の自動車のパーツの微調整作業を行う毎にボンネットの開閉操作も行う必要がある。
【0003】
フロント周辺部品の位置微調整作業には、次の(1)〜(3)のボンネット開閉作業を伴わなければならない。
(1) ボンネットロック解除作業
まず、フロント周辺部品の位置微調整作業をする作業者(以下、単に「作業者」という。)が、自動車のボンネット前面からフロントドア側面まで移動し、次にフロントドアを開き、更に次いでボンネットのレリーズレバーを引いてボンネットロックを解除する。ここで、「レリーズレバー」とは、上記したボンネットのロック状態の解除や、トランクリッド、フューエルリッドのロック状態を解除するための操作ハンドルであって、通常、運転席側下部にそれぞれ設けられている。
(2) ボンネット開蓋作業
そして、安全を確保すべくフロントドアを閉め、ボンネット前面まで移動後、ボンネット開口部を持ち上げ、エンジンルーム内にあるフードサポートロッドによりボンネットを開蓋状態に固定する。ここで、「フードサポートロッド」とは、ボンネットを開蓋した後、その開蓋状態を維持するための補助棒である。
【0004】
上記(1)及び(2)の作業により、作業者はフロント周辺部品の位置微調整作業を行うことができる。そして、当該微調整作業を行った後、作業者は、設置位置を確認するため、次の作業を行う必要がある。すなわち、
(3) ボンネット閉錠及び閉蓋作業
フードサポートロッドを元の位置に戻し、ボンネットを閉じてロック状態にする。
【0005】
上記フロント周辺部品の位置微調整の精度が要求される範囲内に至るまで、当該位置微調整作業は数回乃至十数回まで繰り返される。そのため、作業者は、フロント周辺部品の位置微調整が完了するまで、フロント周辺部品の位置微調整作業と同回数以上、上記(1)〜(3)のボンネット開閉作業を行わなければならなかった。
【0006】
特開平9−123959には、自動車等の車両の組み立て工程で用いられるボンネットの開放装置として、ボンネット裏面と接離するパッドを一端に取り付けたシリンダと、このシリンダの基端側を揺動自由に支持する支持手段と、前記ボンネット裏面と対向可能な車体下方に配設可能なフレームと、フレームに配設されてこの支持手段を水平方向へ変位可能に支持する案内手段と、前記シリンダの側面から側方へ向けて突設された板状のガイド手段と、前記支持手段より上方でガイド手段を挟持する一対のローラと、フレーム側に配設されてこれらローラを揺動自由に支持する揺動部材と、前記支持手段を案内手段に沿って往復駆動するアクチュエータとを備えてなる車両のフード自動開放装置が開示されている。
【0007】
上記フード自動開放装置によれば、ボンネットの表面に接触することなく確実に開閉することができる。しかし、上記フード自動開放装置は、ボンネット裏面またはエンジンルーム内部へ所定部品の組み立てを行う車両の組み立て工程において、エンジンを搭載する以前の車体に予めヒンジ結合されて開閉自在な状態となっているボンネットに対して適用されるものである。そのため、上記フード自動開放装置は、完成後の車両の修理に対して適用することは困難である。
【0008】
【特許文献1】特開平9−123959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、車外にいながらにして、ボンネット、トランクリッド等のレリーズレバーのロック状態を解除する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した問題点を解消するために開発されたもので、遠隔操作でボンネット、トランクリッド等のロック状態を解除可能にする装置である。すなわち、請求項1に記載のレリーズレバー遠隔操作装置は、運転席側下部に設けられたレリーズレバーに取り付けるアタッチメントと、該アタッチメントと連結した紐部材と、該紐部材と連結されるインナーワイヤーと、該インナーワイヤーが摺動自在に内挿され、且つ弾性部材で伸縮自在に構成されたスプリング部材と、該スプリング部材と連設され、前記インナーワイヤーが摺動自在に内挿され、且つ該インナーワイヤーの挿通方向を90°以上に曲げるアウターと、前記インナーワイヤーの他端に連結し、該インナーワイヤーを牽引する引張手段とを備えるレリーズレバー遠隔操作装置において、上記アウターをヘッドレストに取り付ける着脱部材を該アウター外周に設けたことを特徴とする。
【0011】
上記紐部材は、アタッチメント或いはインナーワイヤーの端部と直接的に連結させた構成にすることができるが、適用するレリーズレバーの形状に対応してアタッチメントを適宜交換し、修理対象の車のサイズに併せて紐部材の長さを適宜調整できることが好ましい。そのため、ヨリモドシ等の回動可能な機能を有する連結金具や、金属製の円環を用いて連結した構成にすることが好ましい。また、レリーズレバーの形状に対応して、紐部材とアタッチメントとを一体的に構成することもできる。
【0012】
上記スプリング部材として、例えば、弾力性を有する合成ゴムから成型された蛇腹ゴムを使用することができるが、これ以外に、インナーワイヤーが内挿可能な内径を有するコイルスプリングを使用することができる。
【0013】
また、上記スプリング部材は、上記インナーワイヤーが上記紐部材と連結する端部から、アウターの端部までの長さ部分において伸縮自在な程度の長さに構成される。また、スプリング部材及びアウターとの連設部分に合成樹脂製のゴム管等の接合部材を外挿すれば、連設部分の間隙のインナーワイヤーを保護することができる。
【0014】
また、上記スプリング部材と連設するアウターは、内挿されるインナーワイヤーが挿通する方向を90°以上に曲げる部分と、それ以外の部分とで構成することができる。例えば、上記90°以上の湾曲部分としてU字状の金属製或いは硬質の樹脂製パイプで構成し、他の部分をフレキシブルなアウターワイヤーで構成することもできる。
【0015】
また、上記アウターをヘッドレストに取り付ける着脱部材として、面ファスナーを用いることができる。或いは、平面状のベルトと、該ベルト長さの一般的な調整手段、例えばバックル等とを併せて上記着脱部材として用いることができ、このような着脱部材は、上記90°以上の湾曲部分、或いはその直近の部分に装着することが好ましい。
【0016】
また、インナーワイヤーの他端に連結し、該インナーワイヤーを牽引する引張手段としては、手動等による人力操作を利用した牽引装置、又はステッピングモーター等の動力を利用したアクチュエータから構成することもできる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレリーズレバー遠隔操作装置において、前記アタッチメントが、一方向に湾曲した狭着部を先端側に有し且つ他端に把持部を有する一対の狭着板と、前記狭着部の湾曲方向を同一に揃えて対向させた状態において前記一対の狭着板を開閉可能に軸支する軸部と、前記一対の狭着板を閉方向に付勢するバネ部材から構成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、作業者は、引張手段を使用して紐部材及びインナーワイヤーを牽引することにより、車室内のインストルメンタルパネル下部に設けられたレリーズレバーを操作することができるので、車外からでも車のボンネットのロック状態の解除操作を極めて容易に行うことができる。また、スプリング部材が、インナーワイヤーが紐部材と連結する端部から、アウターの端部までの長さ部分の範囲において伸縮するので、紐部材及びインナーワイヤーが牽引された分の長さは、上記スプリング部材によって元の状態に復帰する。従って、作業者は、フロント周辺部品の位置微調整が完了するまで、ボンネット開閉作業を何度でも繰り返し行うことができる。
【0019】
請求項2の発明の構成によれば、アタッチメントを取り付ける際、上記一対の狭着板の狭着部及び把持部を上側に向けた状態で取り付けられるので、狭着部が湾曲状に成形されていない場合に比べて把持部をインストルメンタルパネルの奥まで入れる必要が無く、作業能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を添付した図面に従って説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1の全体の構成を示す概略説明図であり、図2は、レリーズレバー遠隔操作装置1が運転席に装着された部分を拡大した説明図である。
【0021】
第1実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1は、図1及び図2に示すように、アタッチメント10、該アタッチメント10と連結した紐部材20、該紐部材20と連結されるインナーワイヤー51が内挿されたスプリング部材30、上記インナーワイヤー51を略U字状に曲げ返す略U字形状を有する湾曲管40、前記インナーワイヤー51を車A外に導出するアウターワイヤー50、上記インナーワイヤー51を牽引する引張手段60を備えている。尚、レリーズレバーc2は、図3に示すように、運転ハンドルD等のパーツが設けられたインストルメンタルパネルCの下部c1に枢軸c3で回動可能に組み付けられている。
【0022】
この第1実施形態では、アタッチメント10として、図3に示すように、一対の狭着板11及び12と、当該一対の狭着板11及び12を開閉可能に軸支する軸部14と、当該一対の狭着板11及び12を閉方向に付勢するバネ部材15から構成されたクリップ型が用いられる。また、上記狭着板11及び12は、それぞれ、一方向に湾曲した狭着部11a、12aをそれぞれ先端側に有し、他端に把持部11b、12bをそれぞれ有している。上記クリップ型アタッチメント10は、把持部11b及び12bを片手に持ち、バネ部材15の付勢力に抗して狭着部11a及び12aを開き、当該狭着部11a及び12aを上記レリーズレバーc2に狭着することにより取り付けられる。
【0023】
また、上記アタッチメント10は、レリーズレバーc2に取り付けた際に、上記狭着板12が上側になるように構成され、該狭着板12には連結部13が設けられている。図2及び図3に示すように、紐部材20は、その一端が連結金具21を介して連結部13に固定されると共に、他端がストッパ部材22を介してインナーワイヤー51と連結されている。尚、上記連結金具21として、ヨリモドシが使用されている。
【0024】
スプリング部材30は、上記インナーワイヤー51が摺動自在に内挿され、且つ弾性部材で伸縮自在に構成されている。この第1実施形態では、当該スプリング部材30として、図4に示すように蛇腹ゴムが使用されている。また、スプリング部材30は、インナーワイヤー51が連結されるストッパ部材22から湾曲管40程度までの長さを有し、一端がストッパ部材22に当接して抜け止め防止がなされ、他端がチューブ状に成型されたワイヤーカバー43内に挿管されている。尚、上記インナーワイヤー51のテンションが適度になるように、ストッパ部材22において、上記インナーワイヤー51の端部51bの長さが調整され、ボルト22a、ナット22b及びワッシャ22cを用いて固定される。
【0025】
湾曲管40は、図2及び図4に示されるように、90°以上の曲げ角度でU字状に曲げ返され、内部でインナーワイヤー51が摺動自在になる程度の内径を有する管状に形成されている。湾曲管40は、その一端がワイヤーカバー43内に挿管されてスプリング部材30と接続される一方、他端がワイヤーカバー42内に挿管されてアウターワイヤー50と接続されている。これにより、インナーワイヤー51は、スプリング部材30から湾曲管40を経由し、アウターワイヤー50に内挿された状態で車A外に導出される。また、湾曲管40の外側には、該湾曲管40をヘッドレストに取り付ける着脱部材として、角リング41aで長さ調整が可能な面ファスナー41が設けられている。作業者は、図2に示すように、上記面ファスナー41を運転席Bのヘッドレストb1とシートb2の接合部b3に掛止してレリーズレバー遠隔操作装置1の取り付けを完了し、ボンネットFのロック解除操作を車Aの外側から行う。
【0026】
また、上記したようにワイヤーカバー42及び43を使用して、アウターワイヤー50及びスプリング部材30と接続することにより、インナーワイヤー51が外部に露出しない。そのため、インナーワイヤー51が車Aの窓枠e1及び窓e2、或いはシートb2と干渉することが無いので、作業者はボンネットFのロック解除操作を円滑に行うことができる。
【0027】
アウターワイヤー50は、図1及び図2に示されるように、ドアEの窓枠e1から車外に導出され、該アウターワイヤー50内に内挿されるインナーワイヤー51は、図5に示されるようにその端部であるタイコ端51aがレバー62に形成された取付座62aに嵌り込んだ状態で掛止している。尚、この第1実施形態において、アウターワイヤー50は、その両端部がアウターキャップ50a及び50bで保護されている。
【0028】
引張手段60は、図5に示されるように、レバー62を回動可能に軸支する支軸63cが設けられたブラケット63が、ボルト63a及びナット63bとでハンドル61に取り付けられている。
【0029】
第1実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1は、以上のように構成されているので、アタッチメント10をレリーズレバーc2に狭着して取り付け、着脱部材としての面ファスナー41を用いて、湾曲管40をヘッドレストに取り付けた状態において、作業者がレバー62を握って押し下げると、インナーワイヤー51が引張手段60側に引き込まれ、当該引き込まれた長さ分の紐部材20が引き上げられて、該紐部材20に接続されているアタッチメント10も上方に引き上げられるので、ボンネットFのロックが解除されるのである。よって、本実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1によれば、車外からであっても、引張手段60のレバー62を押し下げるだけでボンネットFのロック状態の解除操作が極めて容易に行えるものである。
【0030】
[第2実施形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1が運転席に装着された部分を拡大した説明図である。図6乃至図8に示す第2実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1も、紐部材20の先端にアタッチメント10を設けていない点を除き、第1実施形態と同様に、紐部材20、スプリング部材30、湾曲管40、アウターワイヤー50、引張手段60を備えている。
【0031】
第2実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1は、図6に示すように、紐部材20をループ状に構成したものである。図7に示すノブ型のレリーズレバーの場合、第2実施形態における紐部材は、紐部材20の先端部分をレリーズレバーc2の柄部c21にループ状に直接に掛着できるので、アタッチメントとしての機能をも有する。また、紐部材20はループ状であるので、ボンネットのレリーズレバーだけでなく、一般の乗用車であれば、トランクリッド、フューエルリッドのレリーズレバーにも容易に掛着することができる。このように、第2実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1は、車両のトランクリッド、フューエルリッドの周辺部品の位置微調整作業において、好適に使用される。
【0032】
また、第2実施形態に係る湾曲管40は、図6及び図8に示されるように略疑問符状に湾曲しており、内部でインナーワイヤー51が摺動自在になる程度の内径を有する管状に形成されている。上記湾曲管40は、第1実施形態と同様に、その一端がワイヤーカバー43内に挿管されてスプリング部材30と接続される一方、他端がワイヤーカバー42内に挿管されてアウターワイヤー50と接続される。第2実施形態に係るワイヤーカバー42は、車外方向へ曲げ返された曲線部42aを有しているので、アウターワイヤー50は比較的高い位置から車外へ向けられる。そのため、第2実施形態によれば、高さの低い運転席に対して好適に使用することができる。
【0033】
作業者は、第1実施形態と同様の手順により、図6に示すように第2実施形態のレリーズレバー遠隔操作装置1を取り付けた後、ボンネットFのロック解除操作、或いはトランクリッド、フューエルリッドのロック解除操作を引張手段60により車Aの外側前方又は外側後方から行う。
【0034】
[第3実施形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1が運転席に装着された部分を拡大した説明図である。
【0035】
図9乃至図11に示す第3実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1も、第2実施形態と同様に、ループ状の紐部材20、スプリング部材30、湾曲管40、アウターワイヤー50、上記インナーワイヤー51を牽引する引張手段60を備えている。
【0036】
また、第3実施形態に係る湾曲管40は、図9及び図10に示されるように約90°に湾曲しており、内部でインナーワイヤー51が摺動自在になる程度の内径を有する管状に形成されている。上記湾曲管40は、第1実施形態等と同様に、その一端がワイヤーカバー43内に挿管されてスプリング部材30と接続される一方、他端がワイヤーカバー42内に挿管されてアウターワイヤー50と接続される。
【0037】
また、図9及び図10に示すように、第3実施形態に係る湾曲管40は、その湾曲部分からやや下方の直線部分にホルダ45が装着されており、該ホルダ45を介して平面状ベルト44により運転席Bに取り付けられる。すなわち、第3実施形態において、着脱部材は、平面状ベルト44と、該平面状ベルト44の長さを調整可能なバックル44aと、該バックル44aに対して回動可能なフック44bと、湾曲管40の外周に固定可能なホルダ45とで構成されている。作業者は、図9に示すように、上記平面状ベルト44を運転席Bのヘッドレストb1の接合部b3に取り付け、バックル44aの先端に設けられたフック44bをホルダ45の係止穴45aに係止する。次いで、作業者は、紐部材20が作業上適度なテンションを有するように、バックル44aで平面状ベルト44の長さを固定する。
【0038】
作業者は、上記手順により、第3実施形態のレリーズレバー遠隔操作装置1を取り付けた後、ボンネットFやトランクリッド、フューエルリッドのロック解除操作を引張手段60により車Aの外側前方又は外側後方から行う。
【0039】
第3実施形態に係る引張手段60は、下記のような構成を有する。すなわち、図9に示されるように、アウターワイヤー50はドアEの窓枠e1から車外に導出され、該アウターワイヤー50内に内挿されるインナーワイヤー51は、図11に示されるようにその端部であるタイコ端51aがペダル66に形成された取付座66aに嵌り込んだ状態で掛止している。そして、ペダル66は支軸68の周りにベース部材65に対して回動可能に軸支されるとともに、ベース部材65に対して常に上側に回動する方向に復帰バネ67で付勢されている。
【0040】
第3実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1は、以上のように構成されているので、紐部材20の先端部分をボンネットやトランクリッド、フューエルリッドのレリーズレバーに取り付け、作業者がその足Gでペダル66踏み下げると、インナーワイヤー51が引張手段60側に引き込まれ、当該引き込まれた長さ分の紐部材20が引き上げられて、該紐部材20に掛着されたレリーズレバーも上方に引き上げられるので、ボンネット等のロック状態が解除されるのである。そして、ボンネット等を再度ロック状態にすれば、レリーズレバーも元の状態に復帰するので、レリーズレバー遠隔操作装置1によるロック解除操作を繰り返し行うことができる。
【0041】
よって、本実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1によれば、車外にいながらにして、ボンネット、トランクリッド等のレリーズレバーのロック状態を極めて容易に解除することができ、ボンネット、トランクリッド等の位置微調整作業の労力を著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1の全体の構成を示す概略説明図である。
【図2】図1に示すレリーズレバー遠隔操作装置1が運転席に装着された部分を拡大した説明図である。
【図3】図1に示すレリーズレバー遠隔操作装置1を構成するアタッチメント10をレリーズレバーc2に取り付けた状態の側面図である。
【図4】図1に示すレリーズレバー遠隔操作装置1を構成するスプリング部材30、湾曲管40の拡大断面図である。
【図5】図1に示すレリーズレバー遠隔操作装置1を構成する引張手段60のレバー62を引いた状態の側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1が運転席に装着された部分を拡大した説明図である。
【図7】図6に示すレリーズレバー遠隔操作装置1の紐部材20の先端部分をレリーズレバーc2の柄部c21に取り付けた状態の側面図である。
【図8】図6に示すレリーズレバー遠隔操作装置1を構成する湾曲管40の部分断面図及びワイヤーカバー42の拡大断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るレリーズレバー遠隔操作装置1が運転席に装着された部分を拡大した説明図である。
【図10】図9に示すレリーズレバー遠隔操作装置1を構成する着脱部材を湾曲管40に取り付けた部分を拡大した説明図である。
【図11】図9に示すレリーズレバー遠隔操作装置1を構成する引張手段60の拡大側面図である。
【0043】
1 レリーズレバー遠隔操作装置
10 クリップ型アタッチメント
11 狭着板
11a 狭着部
11b 把持部
12 狭着板
12a 狭着部
12b 把持部
13 連結部
15 バネ部材
20 紐部材
21 連結金具
22 ストッパ部材(蛇腹ゴム)
30 スプリング部材
40 湾曲管
41 面ファスナー
42 ワイヤーカバー
42a 曲線部
43 ワイヤーカバー
44 平面状ベルト
50 アウターワイヤー
51 インナーワイヤー
60 引張手段
A 車
B 運転席
b1 ヘッドレスト
b2 シート
b3 接合部
C インストルメンタルパネル
c1 インストルメンタルパネルCの下部
c2 レリーズレバー
F ボンネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席側下部に設けられたレリーズレバーに取り付けるアタッチメントと、
該アタッチメントと連結した紐部材と、該紐部材と連結されるインナーワイヤーと、
該インナーワイヤーが摺動自在に内挿され、且つ弾性部材で伸縮自在に構成されたスプリング部材と、
該スプリング部材と連設され、前記インナーワイヤーが摺動自在に内挿され、且つ該インナーワイヤーの挿通方向を90°以上に曲げるアウターと、
前記インナーワイヤーの他端に連結し、該インナーワイヤーを牽引する引張手段とを備えるレリーズレバー遠隔操作装置において、
上記アウターをヘッドレストに取り付ける着脱部材を該アウター外周に設けたことを特徴とする、
レリーズレバー遠隔操作装置。
【請求項2】
前記アタッチメントが、一方向に湾曲した狭着部を先端側に有し、他端に把持部を有する一対の狭着板と、
前記狭着部の湾曲方向を同一に揃えて対向させた状態において、前記一対の狭着板を開閉可能に軸支する軸部と、
前記一対の狭着板を閉方向に付勢するバネ部材から構成されることを特徴とする、請求項1に記載のレリーズレバー遠隔操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−113264(P2007−113264A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305382(P2005−305382)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(505391894)有限会社昭和オートリペア (2)
【Fターム(参考)】