説明

レンザプリド及びその中間体の調製方法

【課題】レンザプリド及びその中間体の調製方法
【解決手段】本発明は、[(±)−エンド]−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−アザビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)ベンズアミド塩酸塩
【化1】


及びその中間体の改良調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、[(±)−エンド]−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−アザビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)ベンズアミド塩酸塩及びその中間体の改良調製方法に関する。
【発明の開示】
【0002】
欧州特許出願公開第94742号明細書は、胃腸運動障害に関連する疾患(例えば、遅発性胃内容排出、消化不良、鼓張、食道逆流及び消化性潰瘍)の治療に有用なドーパミンアンタゴニスト活性を有する置換アザビシクロ化合物類を開示している。欧州特許出願公開第94742号明細書は更に、前記化合物の嘔吐、胃腸運動障害に関連する疾患または中枢神経系疾患の治療における使用を開示している。
【0003】
欧州特許出願公開第94742号明細書の実施例9は、一般名レンザプリドとして公知の化合物(±)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−アザビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)ベンズアミドを開示している。
【化15】

【0004】
上記したレンザプリドの塩酸塩(レンザプリド塩酸塩)は、安定性が高いので遊離塩基よりも好ましい。
【0005】
欧州特許出願公開第0239321号明細書は、結晶形態で存在し、レンザプリドの無水塩酸塩に比して優れた取扱い特性及び安定性を与えるレンザプリド塩酸塩の水和形態を開示している。
【0006】
欧州特許出願公開第94742号明細書は、式I:
【化16】

【0007】
を有する化合物を形成するための一般的方法を記載しており、この方法は、以下に示すように式(XVIII)を有する化合物と式(XIX)を有する化合物を
【化17】

【0008】
(式中、Qはハロゲンであり、QはNHであり、QはHである)
不活性非ヒドロキシル溶媒中、非極限温度で有機または無機塩基の存在下で反応させることを含む。(±)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(4’−[1’−アザビシクロ[3,3,1]−ノニル−ベンズアミドの調製が欧州特許出願公開第94742号明細書の実施例8及び9に記載されている。
【0009】
米国特許第4,857,647号明細書は、塩化チオニルを用いる対応の酸からの式(XIX)を有する酸クロリドの調製方法を開示している。
【0010】
米国特許第4,697,019号明細書は、N−(ヘテロ環置換)ベンズアミド及びその調製を開示している。米国特許第4,697,019号明細書は、まずヒドロキシルアミン塩酸塩を用いてケトン官能基をオキシムに転化することによるケトン官能基からのアミンの調製方法を開示している。次いで、オキシムをテトラヒドロフラン(THF)中の水素化アルミニウムリチウムまたは接触水素化を用いて還元する。
【0011】
本発明は、レンザプリド並びにその塩酸塩及び塩酸塩水和物の調製方法を提供する。本発明の方法により、レンザプリドを実験規模または工業規模で生産できる。従って、レンザプリドは治療及び/または実験用に適した量で提供され得る。具体的には、本発明の方法は、実験用に5kg以上のレベルで、工業または商業用に100kg以上のレベルでレンザプリドを提供できる。本発明は更に、レンザプリドの合成における重要な中間体の改良調製方法を提供する。
【0012】
本発明の第1態様は、化合物(8):
【化18】

【0013】
の調製方法を提供し、その方法は、
ジクロロメタン、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)またはテトラヒドロフラン(THF)から選択される溶媒中で、塩化オキサリルまたは塩化チオニルのような活性化剤を用いて酸(11)から酸クロリド(13)を調製し、
【化19】

【0014】
該酸クロリド(13)をトルエン中でアミン(14)と反応させ、
【化20】

【0015】
それから該生成物(8)を単離することを含む。
【0016】
好ましくは、酸(11)をTHFの存在下でDMF及び塩化チオニルと反応させることにより酸クロリド(13)を形成し、ここでDMFは塩化チオニルより先に酸に添加する。酸クロリド(13)を濾過により除去する。
【0017】
酸クロリド(13)の調製をTHF中で実施することが好ましい。この溶媒は、酸(11)を酸クロリド(13)にうまく転化させる(80%以上の転化率)。加えて、生じた酸クロリド(13)は反応混合物中に溶解せず、従って容易に、例えば濾過により単離され得る。好ましくは、より流動性のスラリーを確保し、撹拌の問題を防止するために、溶媒の容量は1〜10容量、好ましくは1〜6容量、より好ましくは2容量以上である。本発明において、用語「容量」は反応混合物の成分に添加される溶媒の量に関し、反応混合物の成分に関連して決定される。よって、10kgの量で存在する反応容器の成分を1.0重量と表すならば、5容量の溶媒とは反応容器に50Lの溶媒の添加を必要とする。
【0018】
塩化チオニルを添加する前にDMFを酸に添加すると、塩化チオニルが迅速に反応でき、温度がよりまくコントロールされる。DMFは、塩化チオニルを活性化するために触媒量(例えば、0.01重量%)添加する。
【0019】
酸クロリドを形成するための反応後、溶媒交換をトルエンを用いて実施することが好ましい。好ましくは、このトルエン溶媒交換を減圧下、30℃未満の内部温度で実施する。溶媒交換を用いると、塩化チオニル由来の酸性副生成物及びカップリング前の酸クロリド中の溶媒の量が減少する。
【0020】
カップリング反応をトルエン中で実施すると、酸クロリドを生成するステップとカップリング反応を実施するステップの2つのステップをテレスコーピング(入れ子)できる。
【0021】
本発明において、これらの反応ステップをテレスコーピングすると、逐次反応ステップを一緒に実施し、各反応ステップにより生成される化合物の単離が回避される。反応ステップをテレスコーピングすると、プラント時間をかなり短縮することができ、溶媒をかなり経済的に節約することができる。更に、この方法は、生成される化合物が危険であったり不安定であったりする場合または生成される化合物が固体でなく、単離しにくい場合に有利である。反応ステップをテレスコーピングすると、反応混合物を蒸発させて残渣にするような、規模が大きいと時間がかかり実際的でない手順が必要でなくなる。
【0022】
カップリングステップは、場合により無機または有機塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で実施してもよい。このカップリング反応は場合により室温で実施しても、または50℃以上に加熱してもよい。
【0023】
酸クロリド(13)のアミン(14)へのカップリングにより、レンザプリド構造が形成される。このカップリングステップを溶媒の選択及び試薬の添加順序により最適化すると、レンザプリドをより大量に提供できる。レンザプリドが大規模で提供されると、レンザプリドを治療に使用することができる。
【0024】
特に、酸クロリド形成ステップとカップリングステップをテレスコーピングすると、工業規模で使用できる方法が提供される。第1態様の方法により、酸クロリド(13)を単離する必要なくアミド(8)を生成することができる。このように簡略化された方法はレンザプリドの商業生産のためにより有用である。本発明において実験規模生産とは約0.1〜約10kgのレンザプリド塩酸塩水和物を合成することを意味し、工業規模生産は約100kg以上、好ましくは約10〜約200kgのレンザプリド塩酸塩水和物を提供する。
【0025】
第1態様の別の方法では、酸クロリドの形成及び縮合反応を、酸(11)をジメチルホルムアミド中に溶解し、トリエチルアミンを添加する1ステップで実施することができる。クロロギ酸エチルを溶液に添加して活性化アシルユニット(例えば、酸クロリド(13))を形成した後、トルエン及びアミン(14)のトルエン溶液を添加する。
【化21】

【0026】
本発明の第2態様は、酸(16)からその場で(in situ)活性化アシルユニット(例えば、酸クロリド)を生成し、その酸クロリドをアミン(14)と反応させることを含む化合物(9)の調製方法を提供する。
【化22】

【0027】
対応活性化アシルユニット(例えば、酸クロリド)をその場で生成した後、アミン(14)と縮合させる。酸(16)をジメチルホルムアミド中に溶解し、トリエチルアミンを添加する。クロロギ酸エチルを添加して活性化アシルユニット(例えば、酸クロリド)を形成した後、トルエン及びアミン(14)のトルエン溶液を添加する。生じたアミド(9)を反応混合物から沈殿させ、濾過により単離することができる。
【0028】
この“1スポット”合成により、アミン(14)及び酸(16)からレンザプリドが直接合成され、フェニルアミンを保護する必要がない。この合成により、レンザプリドをより少ない合成ステップで調製することができ、よって合成ルートを工業規模に拡大させることができる。
【0029】
本発明の第3態様は、化合物(8)を化合物NaOR(ここで、Rは水素、メチルまたはエチルであり、好ましくはメチルである)及びメタノールまたはエタノールと還流することにより化合物(8)から化合物(9)を生成することを含む化合物(8)からのレンザプリドの調製方法を提供する。
【化23】

【0030】
アシル保護アミンの塩基媒介加水分解は、エタノール/水混合物中の水酸化ナトリウムまたは還流下でメタノール性ナトリウムメトキシドを用いて実施され得る。エタノール/水中の水酸化ナトリウムのような条件はガラス内張り容器と適合しないことが判明しているので注意深く使用しなければならない。還流下でメタノール中ナトリウムメトキシドを使用することにより、脱保護アミンへ相対的に転化でき、ガラスと適合する反応条件が使用できる。前記した反応条件により、脱保護反応を一般的な反応容器を用いて実施することができ、スチールまたは合金容器を使用する必要なくこのステップの規模を拡大することができる。
【0031】
化合物(a)の塩酸塩の形成は、式(a)を有する化合物を適当な溶媒(好ましくは、エタノール)中に溶解し、塩酸を適当な溶媒(好ましくは、エタノール)中に含む溶液を添加して生成物を沈殿させる欧州特許出願公開第0239321号明細書に従って実施する。
【化24】

【0032】
レンザプリド塩酸塩の水和物は、欧州特許出願公開第0239321号明細書に記載されているように密閉容器中の水上のトレーにレンザプリド塩酸塩を36時間放置することにより形成され得る。
【0033】
塩を形成する前に、レンザプリドをエタノール中に含む溶液をフィルターを介して熱時清澄化することが好ましい。清澄化は、好ましくは40〜65℃、より好ましくは45〜60℃で実施すべきである。清澄化は一般的な媒体(例えば、セライト)を用いて実施され得るが、フィルターまたはガラスマイクロファイバー紙を用いる清澄化も十分であることが判明している。
【0034】
本発明の第4態様は、トルエン中で還流することにより化合物(7)の第3級アミンを脱複合体化して化合物(14)を生成し、その後溶液中の生成した化合物(14)を共沸乾燥することを含む化合物(7)からの化合物(14)の調製方法を提供する。
【化25】

【0035】
アミン(7)をトルエン中で還流することによりアミン(7)を脱複合体化する。脱複合体化のための溶媒容量は1〜10容量、好ましくは1〜6容量、より好ましくは2容量以上である。溶媒容量が多くなると、最初のスラリーの撹拌が改善される。
【0036】
脱複合体化アミン溶液を濾過すると、オキシムの形成及び還元に由来して存在する無機物質を除去できる。この濾過ステップにより、反応混合物から不純物が除去されることによりその後のカップリング反応の収率が向上する。更に、この濾過ステップにより、アミン複合体はトルエンに溶解しないので複合体化アミン(7)も除去される。
【0037】
アミン(14)はレンザプリドの形成における重要な中間体である。第4態様は、工業規模に拡大できるアミン(14)の改良合成方法を提供する。
【0038】
本発明の第5態様は、化合物(6)をナトリウムと反応させた後二酸化炭素と反応させることを含む式(7)を有する化合物の形成方法を提供し、
【化26】

【0039】
前記反応をブタノール中で実施することを特徴とする。
【0040】
n−ブタノールにナトリウムを添加することによりオキシム(6)は還元されて、アミン(7)を生成する。n−ブタノールを使用すると、反応発熱量をうまくコントロールできる。加えて、オキシムの形成とアミンを形成するためのオキシムの還元の両方をブタノール中で実施するので、形成ステップ及び還元ステップをテレスコーピングすることができる。よって、これらのステップをより効率的に実施できる。更に、溶媒としてn−ブタノールを使用すると、エタノールを用いて得られる収率(50〜60%)に比して収率は大きく向上する(すなわち、73〜96%)。
【0041】
複合体化アミンをブタノール中に含む溶液に水を添加することにより複合体化アミンは結晶化され得る。その後、結晶化した複合体化アミンは濾過により単離され得る。
【0042】
本発明の第6態様は、式(7)を有する化合物に関する。
【化27】

【0043】
本発明の第7態様は、化合物(5)をエタノールまたはブタノール中でヒドロキシルアミンと反応させることを含むオキシム(6)の形成方法に関する。
【化28】

【0044】
オキシム(6)は、ケトン(5)を溶媒中で固体ヒドロキシルアミン塩酸塩とインキュベートすることにより生成される。反応物に固体をコントロールしながら添加することは、特に発熱を伴う場合に困難であり、望ましくない。従って、本発明の第7態様はn−ブタノール中にヒドロキシルアミン塩酸塩を含むスラリーにケトン(5)の溶液を添加することを含む逆添加手順を用いることを含むことが好ましい。このプロセスにより、取扱いがより簡単且つより安全となり、固体のコントロール添加に関連する問題が避けられる。
【0045】
好ましくは、本発明は、第7態様の方法により式(5)を有する化合物を式(6)を有する化合物に転化し、第5態様の方法により式(6)を有する化合物を式(7)を有する化合物に転化し、第4態様の方法により式(7)を有する化合物を脱複合体化して式(14)を有する化合物を形成することを含む式(5)を有する化合物からの式(14)を有する化合物の形成方法を提供する。
【0046】
本発明の第8態様は、ニペコチン酸エチルをアクリル酸エチルと反応させることにより化合物(3)を生成し、
【化29】

【0047】
化合物(3)を塩基と還流することにより化合物(3)から化合物(4)を生成し、
【化30】

【0048】
化合物(4)を水性HClと反応させた後、水酸化ナトリウムと反応させることにより化合物(4)から化合物(5)を形成する
【化31】

【0049】
ことを含むニペコチン酸エチルからの化合物(5)の調製方法を提供する。
【0050】
ニペコチン酸エチルとアクリル酸エチルの反応をトルエン中で実施することが好ましい。トルエンを使用すると、生じる発熱反応をうまくコントロールできる。加えて、生成物(3)は溶液中で生成され、化合物(4)の生成に直接送ることができる。溶媒の使用及び反応生成物(3)を後続反応に送る能力により、化合物(3)の通常の後処理を省くことができ、収率または品質のロスがない。
【0051】
化合物(4)の生成もトルエン中で塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシド(tBu−OK)、より好ましくはtBu−OK)の存在下で実施することが好ましい。反応を水でクエンチし、濃塩酸を添加することにより水性相を酸性化してpHを約1にする。この酸性水溶液は化合物(5)を生成するための後続反応に直接使用され得る。ノルアダマンタノン(5)は、化合物(4)を含む酸性水溶液を還流し、その後生成物(5)をn−ブタノールで抽出することにより生成される。抽出溶媒としてn−ブタノールを使用することにより、溶液を本発明の第7態様で記載したオキシム(6)の形成に直接使用することができ、化合物(5)の合成及びその後のオキシム(6)の合成をより効率的にできる。
【0052】
本発明の第9態様は、化合物(10)を水中に含むスラリーに水性水酸化ナトリウムを添加した後、塩酸を添加して酸(11)を沈殿させることによる化合物(10)からの酸(11)の調製方法に関する。
【化32】

【0053】
本発明の第9態様は再結晶化手順を含む。この手順により、エステルを遊離酸に脱保護するときに形成されることがあるダイマー不純物をうまくコントロールすることができる。
【0054】
本発明の第10態様は、化合物(10)からの酸(16)の調製方法に関する。化合物(10)を水性水酸化カリウム及びエタノールとインキュベートした後、塩酸を添加すると酸(16)が生成する。この酸(16)は塩酸塩として提供され得る。
【化33】

【0055】
第11態様は、a)本発明の第8態様に記載されているようにケトン(5)を生成し、b)本発明の第7、第5及び第4態様に記載されているようにケトン(5)をアミン(14)に転化するステップを含むアミン(14)の調製方法を提供する。
【0056】
本発明の第4、第5、第7及び第8態様の好ましい要件はすべて第11態様にも関する。
【0057】
本発明の第12態様は、a)本発明の第11態様に記載されているようにアミン(14)を形成し、b)本発明の第1態様に記載されているようにアミン(14)を酸(11)と反応させることを含む化合物(8)の調製方法を提供する。
【0058】
本発明の第11及び第1態様の好ましい要件はすべて第12態様にも関する。
【0059】
本発明の第13態様は、a)本発明の第11態様に記載されているようにアミン(14)を形成し、b)第10態様に記載されているように酸(10)から酸(11)を形成し、c)本発明の第1態様に記載されているように酸(11)をアミン(14)と反応させることを含む化合物(8)の調製方法を提供する。
【0060】
本発明の第1、第10または第11態様の好ましい要件はすべて第13態様にも関する。
【0061】
本発明の第14態様は、本発明の第3態様に記載されているように第12または第13態様に従って調製した化合物(8)から化合物(9)を調製することを含む化合物(9)の調製方法を提供する。
【0062】
本発明の第3、第12または第13態様の好ましい要件はすべて第14態様にも当てはまる。
【0063】
本発明の第15態様は、本発明の第2態様に記載されているように第11態様により生成したアミン(14)を酸(16)と反応させることを含む化合物(9)の形成方法を提供する。
【0064】
本発明の第2及び第11態様の好ましい要件はすべて第15態様にも当てはまる。
【0065】
本発明の第16態様は、a)第10態様に記載されているように化合物(10)から酸(16)を形成し、b)第11態様に記載されているようにアミン(14)を形成し、c)本発明の第2態様に記載のようにアミン(14)を酸(16)と反応させることを含む化合物(9)の形成方法を提供する。
【0066】
本発明の第2、第10または第11態様の好ましい要件はすべて第13態様にも当てはまる。
【0067】
本発明の第17態様は、第14、第15または第16態様により生成した化合物(9)をエタノール性塩酸塩と反応させることを含む化合物(9)の塩酸塩の形成方法を提供する。
【0068】
本発明の第14、第15または第16態様の好ましい要件はすべて第17態様にも当てはまる。
【0069】
本発明の第18態様はレンザプリド塩酸塩の調製方法を提供し、その方法は、
・ニペコチン酸エチルをトルエン中でアクリル酸エチルと反応させ、
・生じた溶液をtBuOKと反応させ、生じた化合物を水に抽出し、水溶液を酸性化し、
・前記水溶液を塩酸と還流し、生じた生成物をブタノールに抽出し;
・ブタノール溶液をヒドロキシルアミン塩酸塩スラリーに逆添加して、オキシムを形成し;
・ブタノール中のオキシムをナトリウムと反応させた後、二酸化炭素と反応させて、複合体化アミンを形成し;
・トルエン中で還流することによりアミンを脱複合体化し;
・脱複合体化アミンを酸クロリド(13)と反応し、生成物を単離し;
・メタノール性ナトリウムメトキシドと還流させることによりアシル保護アミンを脱保護し、最後にエタノール性塩酸を添加することにより塩酸塩を生成することを含む。
【0070】
本発明の第19態様は、本発明の第1〜第18態様の方法により調製される化合物に関する。
【0071】
本発明の第20態様は、本発明の第1〜第19態様の方法により調製される式(9)を有する化合物またはその塩酸塩及び医薬用賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0072】
適当な担体及び/または希釈剤は当業界で公知であり、その中には医薬グレードのデンプン、マンニトール、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース(または、他の糖)、炭酸マグネシウム、ゼラチン、オイル、アルコール、洗剤、乳化剤または水(好ましくは、滅菌水)が含まれる。組成物は組成物の混合製剤であっても、同時、別個または逐次使用(投与を含む)するための配合製剤であってもよい。
【0073】
上記した適応症に使用するための本発明の化合物は便利な方法、例えば経口(吸入を含む)、非経口、粘膜(例えば、口腔内、舌下、経鼻)、経膣、経腸または経皮投与により投与され得、組成物はそれに応じて改造される。
【0074】
経口投与する場合、化合物は液体または固体として、例えば溶液剤、シロップ剤、懸濁液剤、乳濁液剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、乾燥散剤及び/または顆粒剤として製剤化され得る。
【0075】
液体製剤は、通常化合物または生理学的に許容され得る塩を適当な水性または非水性液体担体(例えば、水、エタノール、グリセロール、ポリエチレングリコールまたは油)中に含む懸濁液または溶液から構成されている。この製剤は懸濁剤、保存剤、着香料または着色料をも含み得る。
【0076】
錠剤形態の組成物は、固体製剤を作成するためにルーチンに使用されている適当な医薬用担体を用いて調製され得る。前記担体の例には、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロース及び結晶セルロースが含まれる。
【0077】
カプセル剤形態の組成物はルーチンのカプセル化法を用いて調製され得る。例えば、活性成分を含有する粉末、顆粒またはペレットを一般的担体を用いて調製した後、硬ゼラチンカプセルに充填することができる。或いは、分散液または懸濁液を適当な医薬用担体(例えば、水性ガム、セルロース、シリケートまたは油)を用いて調製した後、この分散液または懸濁液を軟ゼラチンカプセルに充填することができる。
【0078】
経口投与用組成物は、例えば錠剤またはカプセルの外側にコーティングを施すことにより消化管を通過するときに活性成分を分解から保護するように設計することができる。
【0079】
典型的な非経口組成物は、化合物または生理学的に許容され得る塩を滅菌の水性担体または非水性もしくは非経口的に許容され得る油(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油またはゴマ油)中に含む溶液または懸濁液から構成されている。或いは、溶液を凍結乾燥した後、投与直前に適当な溶媒を用いて再構成してもよい。
【0080】
経鼻または経口投与用組成物をエアゾール剤、滴剤、ゲル剤及び散剤として製剤化することが便利であり得る。エアゾール製剤は、通常活性物質を生理学的に許容され得る水性または非水性溶媒中に含む溶液または微細懸濁液からなり、通常密封容器中に1回量または複数回量を滅菌形態で含まれている。前記容器は霧化デバイスを用いて使用するためにカートリッジまたはレフィルの形態をとり得る。或いは、密封容器は一体成形分配デバイス、例えば容器の内容物が使い果たされたら廃棄される計量弁を取り付けたエアゾールディスペンサーまたは一回量鼻吸入器であってもよい。剤形がエアゾールディスペンサーを含む場合には、医薬的に許容され得る噴射剤を含有する。エアソール剤形はポンプアトマイザーの形態をも取り得る。
【0081】
口腔内または舌下投与に適した組成物には、活性成分を担体(例えば、糖、アカシア、トラガカントまたはゼラチン、及びグリセリン)と一緒に処方されている錠剤、トローチ剤及び香剤が含まれる。
【0082】
経腸または経膣投与用組成物が(カカオ脂のような一般的な座薬基剤を含有する)座剤、ペッサリー剤、膣錠、泡剤、浣腸剤の形態であるのが好都合である。
【0083】
経皮投与に適した組成物には、軟膏剤、ゲル剤、パッチ剤及び注射剤(粉末注射を含む)が含まれる。
【0084】
錠剤、カプセル剤またはアンプル剤のような1回量剤形の組成物が好都合である。
【0085】
組成物は、投与方法に応じて0.1〜99%(w/w)、好ましくは0.1〜60%(w/w)、より好ましくは0.2〜12重量%、最も好ましくは0.25〜8%(w/w)のレンザプリド、塩酸塩または塩酸塩水和物を含有し得る。
【0086】
特に、第17態様は経口投与のための医薬組成物に関する。この組成物は、好ましくは錠剤またはカプセル剤として提供され、好ましい賦形剤はデンプンである。
【0087】
本発明の第18態様は、治療を要する被験者に対して式(9)を有する化合物またはその塩酸塩を投与することを含む胃腸運動障害に関連する疾患の治療方法に関する。本発明において、胃腸は食道、胃、小腸及び(結腸及び直腸を含めた)大腸を含む。レンザプリンドは通常胃腸運動障害に関連する疾患の治療に使用され得る。これらの疾患には、過敏性腸症候群、遅滞性または遅延性胃内容排出、消化不良、食道逆流、消化性潰瘍、鼓張、便通障害、便秘、糖尿病性神経障害、機能性腹部膨満または腹痛の1つ以上が含まれる。また、レンザプリンドは、前記疾患に関連する腹痛及び/または不快感、腹部膨満、便の硬さの異常、排便回数の異常、不完全排便感、切迫感及び粘液の通過を含めた症状の治療にも使用され得る。レンザプリドは、嘔吐の治療及び/または中枢神経疾患(例えば、精神病)の治療にも使用され得る。レンザプリドは、好ましくは過敏性腸症候群、より好ましくは便秘を主症状とするまたは交代性(混合症状)過敏性腸症候群の治療に使用される。
【0088】
上記した疾患の治療に有効なレンザプリドの量は、治療しようとする疾患の種類及び重篤度並びに治療を要する患者の体重に依存する。しかしながら、体重70kgの成人に対する1回量は通常1日あたり0.01〜100mg(例えば、0.1〜50mg)、好ましくは0.5〜6mgの本発明化合物を含む。1回量を1日1回以上(例えば、2〜4回)、通常1日1〜3回、より好ましくは1日1〜2回投与され得る。1日総量は、約0.0001〜0.2mg/kg/日、より一般的には0.001〜0.1mg/kg/日、好ましくは0.01〜0.1mg/kg/日である。1回量がカプセル剤または錠剤の形態で与えられる。
【0089】
以下、本発明の非限定的実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0090】
スキームA
第1段階
反応容器にニペコチン酸エチル(1.0重量,0.99容量,1.0モル当量)及びトルエン(1.0容量,0.86重量)を順次充填する。次いで、生じた溶液の温度を18〜23℃に調節する。温度を45℃未満に維持しながら、アクリル酸エチル(1.03モル当量,0.71容量,0.66重量)を40〜50分間かけて充填する。次いで、トルエン(0.5容量,0.43重量)を15〜20分間かけて充填する。反応物をサンプリングした後、反応が完了するまで(GCによると出発物質が<2%)温度を48〜52℃に上昇させる。反応は12時間かかると予想される。しかしながら、反応物は少なくとも48時間安定である。反応が完了したら、アクリル酸エチルの残存量を調べるためにH NMR用サンプルを取り出す。
【0091】
次いで、反応混合物にトルエン(1.0容量,0.86重量)を充填する。トルエンはその後40〜52℃での真空蒸留により除去される。更にトルエン(1.0容量,0.86重量)を添加し、上記したように蒸留した後、反応混合物のサンプルをH NMR用に取り出す(アクリル酸エチルが<0.2%w/wで合格)。
【0092】
生じた黄色/緑色溶液は室温で少なくとも2週間保存することができるが、この溶液を第2段階に直接使用する。
【0093】
最終溶液濃度は、H NMRにより測定して約60%(w/w)と予想される。収率は160%(w/w)[理論値:97.6%]である。
【0094】
第2段階
反応容器にカリウムtert−ブトキシド(0.87重量,2.0モル当量)及びトルエン(10.8重量,12.5容量)を充填し、混合物を還流加熱(108〜111℃)する。内部温度を108〜111℃に維持しながら、第1段階生成物(1.00重量,1.0モル当量)をトルエン溶液(全部で約1.7容量)として反応容器に添加する。内部温度を108〜111℃に維持しながら、トルエン(1.3重量,1.5容量)のラインリンスを添加した後、反応がGCにより完了するまで(約2時間,GCによると出発物質が<0.03%(w/w))混合物を還流下で撹拌する。
【0095】
混合物を2〜3時間かけて5〜10℃に冷却した後、内部温度を≦15℃に維持しながら精製水(5.0容量)でクエンチする。混合物の温度を20〜25℃に調節し、相を分離する。水性相のpHをチェックし(予想では、14)、30〜60分間かけて5〜10℃に冷却する。内部温度を≦25℃に維持しながら、pHを濃塩酸(予想では、0.56〜0.62重量,0.47〜0.52容量)で8〜9に調節する。収率/純度を測定するために水溶液をサンプリングした後、内部温度を≦25℃に維持しながら更に濃塩酸(予想では、0.56〜0.62重量,0.47〜0.52容量)を添加することによりpH1に酸性化する。
【0096】
次いで、淡橙色水溶液を第3段階に進める。
【0097】
収率は62.2%(w/w)[理論値:64.5%]である。
【0098】
第3段階
反応容器に第2段階の酸性水溶液を充填する。温度を35℃以下に維持しながら、濃塩酸(第2段階生成物の含量に基づいて、3.76重量,3.13容量)を溶液に添加する。添加は30〜45分間かかると予想される。容器の内容物を90〜120分間かけて100〜105℃に加熱し、この間に揮発性不純物(約0.7〜0.8容量)を留去させる。温度を還流下(≧100℃)に維持し、反応をTLCにより監視する。第2段階生成物が参照標準物と比較したときに存在していないときに反応は完了したと見なされる。反応は12〜16時間かかると予想される。
【0099】
反応が完了したら、溶液を2〜3時間かけて5〜10℃に冷却し、内部温度を≦15℃に維持しながらpHを40%(w/v)水性NaOH溶液(約5.13容量)を用いて11.5〜12.5に調節する。pH範囲を超えていたら、水性HClを添加してその範囲に戻さなければならない。
【0100】
水性層を30〜35℃に調節し、n−ブタノール(4×5.27重量,4×6.5容量)で抽出し、有機層を合わせる。水性層をTLCにより生成物の存在についてチェックし、必要ならばn−ブタノールで再度抽出する。温度を40〜50℃に維持しながら、合わせた有機溶液を真空下で約4容量に濃縮する。有機相の含水量をカールフィッシャー水分測定方法(KF)により測定する。結果が>0.2%(w/w)ならば、更にn−ブタノール(4.05重量,5.0容量)を添加し、真空下40〜50℃で蒸留し、溶液を含水量について再分析する。
【0101】
第3段階の収率をGC(w/w)アッセイにより測定し、第3段階生成物をn−ブタノール中に含む溶液を第4段階反応に送る。
【0102】
収率は52.0%(w/w)[理論値:91.9%]である。
【0103】
第4段階
温度を50℃以下に維持しながら、第3段階生成物(1.0重量,1.0モル当量)をn−ブタノール(容量は変化させる)中に含む溶液を真空蒸留により約4容量に濃縮する。
【0104】
反応容器にヒドロキシルアミン塩酸塩(0.55重量,1.1モル当量)及びn−ブタノール(3.0容量,2.43重量)を充填する。温度を20〜30℃に維持しながら、第3段階の濃厚レンザプリド溶液をヒドロキシルアミン塩酸塩/n−ブタノール混合物に充填し(添加は0.5〜1時間かかると予想される)、その後n−ブタノール(1.0容量,0.81重量)のラインリンスを添加する。反応物を20〜25℃で撹拌し、GCにより監視する(出発物質が<%1面積で合格;最長12時間かかると予想される)。
【0105】
次いで、反応混合物を5〜10℃に冷却し、沈殿が完了したと判断されるまで少なくとも2時間エージングする。8時間後に沈殿が完了していないならば、反応混合物を0〜2℃に冷却し、沈殿が最大となるまで最長72時間撹拌する。
【0106】
次いで、固体を濾過により集め、フィルターケーキを冷(<10℃)n−ブタノール(1.62重量,2.0容量)で洗浄する。生成物は非常に吸湿性であるので、水分から保護することに留意されたい。
【0107】
次いで、フィルターケーキを真空オーブンに移し、重量が一定となるまで最高40℃で乾燥する(予想乾燥時間は18〜24時間)。
【0108】
収率は125.0%(w/w)[理論値:91.0%]である。
【0109】
第5段階
反応容器に第4段階生成物(1.0重量,1.0モル当量)及びn−ブタノール(11.34重量,14.0容量)を順次充填し、スラリーを撹拌しながら90〜95℃に加熱する。加熱を中止し、温度を90〜130℃に維持しながら金属ナトリウム(0.81重量,6.75モル当量)を固体添加ポートを介して少しずつ添加する。必要に応じて、反応温度が90℃以下に下がらないようにジャケットを調節すべきである。添加は1.5〜2.5時間かかると予想される。
【0110】
次いで、反応をGCにより監視する(出発物質が<2%面積で合格;ナトリウムの添加が終わると完了と予想される)。反応が完了していないならば、更にナトリウム(0.1重量)を添加する。
【0111】
温度を50〜130℃に維持しながら、精製水(6.0容量)を添加することにより反応混合物をクエンチする。添加は15〜30分間かかると予想される。次いで、反応物を20〜25℃に冷却する。2相を分離し、有機相を10%(w/v)ブライン溶液(2×2.0容量)で洗浄する。大気圧下で、約15容量の留出物を除去すると同時にn−ブタノール(8.1重量,10.0容量)を添加することにより、有機相を約9容量に濃縮する。
【0112】
反応物を20〜25℃に冷却した後、清澄化して無機物を除去し、フィルターをn−ブタノール(0.405重量,0.5容量)ですすぎ、合わせた有機溶液を秤量する。溶液を反応器に戻した後n−ブタノール(0.405重量,0.5容量)でラインリンスし、必要により精製水を添加することにより含水量を4.5〜4.9%(w/w)に調節する(溶液+ラインリンスの総重量に基づく重量)。
【0113】
温度を30〜35℃に調節し、温度を35〜45℃に維持しながら二酸化炭素ガスを溶液に通す。発熱が認められなくなるまでガス添加を継続し、更に30分間継続する。
【0114】
スラリーを0〜5℃に冷却し、この温度で2〜3時間エージングする。沈殿が完了したと判断されたら、固体を濾別し、TBME(1.48重量,2.0容量)で洗浄し、n−ブタノール含量が<1%w/wとなるまで最高40℃で乾燥する。
【0115】
収率は67.3%(w/w)[理論値:69.5%]である。
【0116】
第6段階
(反応/精製)
反応容器に精製水(5.0容量)を充填し、第5段階からのメトキシ安息香酸(1.00重量,1.0モル当量)を撹拌しながら添加する。混合物を15〜25℃で20〜30分間撹拌した後、内部温度を15〜25℃に維持しながら水酸化ナトリウム溶液(4.7重量の精製水中0.31重量)を添加する。pHをチェックし、pHは14でなければならない。次いで、完全に溶解するかまたはアミノ酸不純物量がHPLCにより2%に達するまで20〜25℃で撹拌する。
【0117】
混合物を5〜10℃に冷却し、濾過し、固体を精製水(2.0容量)で洗浄する。内部温度を≦25℃に維持しながら、反応が完了したらできるだけ直ぐに合わせた濾液に濃塩酸(1.14重量,0.95容量)を添加する。生じた混合物のpHは<1でなければならない。次いで、スラリーを1〜2時間かけて5〜10℃に冷却し、この温度で更に1〜2時間撹拌し、濾過する。水でスラリー化したときのフィルターケーキのpHが>4となるまでフィルターケーキを精製水(2.0容量)で洗浄する(全部で約4回の洗浄が必要である)。次いで、カールフィッシャー水分測定方法(KF)により含水量が<1%となるまで粗製生成物を真空下最高60℃で乾燥する。
【0118】
粗製生成物を篩にかけた後、反応容器に充填する。IPA(15.7重量,20.0容量)を添加し、混合物を還流加熱する。固体が溶解したら、混合物を60〜80℃で8.7容量まで濃縮する。次いで、溶液を1〜2時間かけて5〜10℃に冷却し、スラリーを2〜3時間エージングする。固体を濾過により集め、ケーキを予め5〜10℃に冷却したIPA(1.57重量,2.0容量)で洗浄する。次いで、IPAがH NMRにより<0.1%(w/w)となるまで固体を真空下最高60℃で乾燥する。
【0119】
(再生手順)
反応容器に精製水(3.0容量)を充填し、撹拌しながらメトキシ安息香酸(コードNT/0055,1.00重量,1.0モル当量)を添加する。混合物を5〜10℃に冷却し、内部温度を5〜10℃に維持しながら水酸化ナトリウム溶液(7.0重量の精製水中0.28重量,約6.15容量が必要である)を添加する。pHをチェックし、pHは14でなければならない。必要ならば、pH14とするために更に水酸化ナトリウム溶液を添加する。混合物は分解が生ずるので長時間放置してはならない。装入した物質のIPA含量に応じて完全溶解が起こることも起こらないこともある。
【0120】
内部温度を≦15℃に維持しながら、濃塩酸(0.87重量,0.74容量)を反応物に添加する。生じた混合物のpHは≦1でなければならない。必要ならば、pHを適正とするために更に塩酸を添加する。酸性化が進むにつれて混合物は粘稠なスラリーとなる。次いで、スラリーを5〜10℃に冷却し、この温度で60〜120分間撹拌する。固体を濾過し、水でスラリー化したときのフィルターケーキのpHが>4となるまでフィルターケーキを精製水(4×2.0容量)で洗浄する。必要に応じ、更に洗浄を実施してもよい。次いで、生成物をフィルター上で少なくとも2時間乾燥した後、含水量がKFにより<0.1%となるまで真空下最高50℃で乾燥する。
【0121】
(再生手順を含めた)収率は68.0%(w/w)[理論値:71.9%]である。
【0122】
第7段階
酸クロリド形成のために第6段階の酸を回分する前に有効アミンの量を測定することができるようにまずアミン脱複合体化を実施することが考えられる。脱複合体化アミンは、酸クロリドを形成している間二酸化炭素及び水を正確に排除しながら不活性雰囲気下に保持しなければならない。
【0123】
(第7B段階:アミン−二酸化炭素複合体の脱複合体化)
第5段階生成物(1.00重量,1.0モル当量)を共沸蒸留のために構成されている反応器に充填する。トルエン(8.65重量,10.0容量)を添加し、スラリーが得られるまで(予想では15〜30分)混合物を20〜25℃で撹拌する。次いで、反応混合物を30〜60分間還流加熱し、水を集めることなく還流下で60〜75分間維持する。
【0124】
次いで、反応混合物を水を除去することにより共沸乾燥させる。これは3〜4時間かかると予想される。この後、水の収集を中止しなければならない。還流下で3時間後おおよそ30分間隔で反応物をサンプリングして、含水量をKFにより測定する。反応混合物のKFが<0.1%(w/w)になったときに反応は完了である。更に、n−ブタノール含量をH NMRによりチェックし、アミン含量に対して>1.5%(w/w)ならばトルエン(0.865重量,1.0容量)を添加し、溶液を大気圧下で蒸留して、約1容量の留出物を除去する。必要により、n−ブタノール量をコントロールするためにこのトルエンの添加/除去シーケンスを繰り返す。KF結果が0.1%(w/w)以上ならば、水を除去しながらの共沸乾燥を更に1時間継続しなければならず、溶液を再びサンプリングしなければならない。反応容器の壁に無機物質のケーキングが起こる場合があるが、3時間後反応混合物はほぼ均質になる。プラント規模で、還流時間は1時間継続させ、この時点で凝縮物リターンに水は認められず、その後溶液をサンプリングのために冷却することが考えられる。こうすると、混合物を安全にサンプリングすることができる。
【0125】
反応が完了したら、ずっと窒素雰囲気を維持しながら混合物を20〜25℃に(通常、60〜75分間を要して)冷却し、1〜2時間エージングし、窒素下で適当な容器に濾過し、トルエン(0.865重量,1.0容量)ラインリンスする。濾液を秤量し、溶液中に存在する遊離アミンの含量%(w/w)(予想値は約4〜7%(w/w))を測定するために分析し、その後以下のステップに送る。アミンは非常に吸湿性であるので、常に水分及び二酸化炭素から保護しなければならない。
【0126】
(第7A段階:酸クロリドの形成)
装入量は利用し得る脱複合体化アミンの量に依存する。相対重量及び容量は第6段階の酸の装入量に関連する。反応を完了するために更に装入する必要がある場合には利用可能な脱複合体化アミンの約10%を保持することが推奨される。
【0127】
反応容器に第6段階生成物(1.00重量,1.0モル当量)及びTHF(5.33重量,6.0容量)を順次充填する。流動性スラリーが得られるまで混合物を十分に撹拌する。容器にDMF(0.01重量,0.01容量)を添加し、生じた混合物を10〜20分間撹拌する。次いで、内部温度を確実に20〜25℃に維持しながら塩化チオニル(0.608重量,0.373容量,1.22モル当量)を添加した後、THF(0.88重量,1.0容量)でラインリンスする。塩化チオニルの添加は20〜40分間かかると予想される。注意:反応物を全手順中均一に維持する。反応をIPCにより監視し、出発酸の量が<2%面積のときに完了とする。
【0128】
反応混合物をヘプタン(6.26重量,9.2容量)で希釈し、30〜60分間かけて5〜10℃に冷却し、1〜1.5時間エージングした後窒素下で濾過する。フィルターケーキをヘプタン(2×2.72重量,2×4.0容量)で洗浄した後、窒素ブランケット下フィルター上で30〜40分間乾燥する。生成物は湿度感受性であり、常に窒素雰囲気下に維持しなければならない。
【0129】
粗製生成物を反応容器に充填した後、トルエン(6.92重量,8.0容量)を充填する。反応器の内容物を約9容量に且つ内部温度を25〜30℃に維持しながらトルエン(約8容量)の減圧下での同時添加/蒸留除去を用いると、残留THF及びヘプタンが除去される。蒸留には約8〜11mmHgの圧力が必要である。蒸留の進行をIPCにより監視する。H NMRがTHF及びヘプタンの各々がトルエン重量に対して<1%(w/w)であることを示したときが合格である。次いで、生じたスラリーを次の第7段階カップリングに直接使用する。
【0130】
反応物の収率は、存在する酸/酸クロリドの量を測定すべく母液を分析することにより求め、残部はフィルターケーキ中の酸クロリドと見なされる。
【0131】
(第7C段階:第7段階生成物を形成するためのカップリング)
相対装入量は酸クロリド(第7A段階)の量に対する。
【0132】
上記反応からテレスコーピングされるトルエン中の酸クロリド(1.00重量,1.0モル当量)を窒素下20〜25℃で十分に撹拌する。次いで、脱複合体化アミンをトルエン中に含む溶液(約10〜15容量,測定%(w/w)に基づいて0.57重量,1.07モル当量)を内部温度がずっと20〜30℃に維持されるような速度で添加する。添加は30〜60分間かかると予想される。反応容器にトルエンラインリンス(1.73重量,2.0容量)を添加する。反応物は工程中ずっと均質を維持している。約3時間後、反応物をサンプリングし、反応の進行をHPLCにより監視する。IPCが反応の完了を示すまでほぼ1時間間隔で反応物をサンプリングする。ジエチルアミドが<1% HPLC面積のとき反応は完了であると見なされる。反応は4時間後完了すると予想される。
【0133】
次いで、反応物を濾過し、フィルターケーキをトルエン(2×4.32重量,2×5.0容量)及びヘプタン(2×3.4重量,2×5.0容量)で順次洗浄した後、フィルター上で30〜90分間乾燥する。フィルターケーキを真空オーブンに移し、ヘプタン及びトルエンの量がH NMRによりそれぞれ<1%(w/w)及び<2%(w/w)となるまで真空中最高45℃で乾燥する。
【0134】
第6段階の酸からの全収率は128.0%(w/w)[理論値:75.6%]である。
【0135】
第8段階
反応容器に第7C段階の塩(1.0重量,1.0モル当量)及びメタノール(3.16重量,4.0容量)を順次充填する。固体の大きな塊を壊すために、生じた懸濁液を20〜25℃で15〜30分間撹拌する。内部温度を20〜30℃に維持しながらナトリウムメトキシド(メタノール中25%(w/w)溶液,1.52重量,1.61容量,2.83モル当量)を添加する。添加は20〜30分間かかると予想される。反応混合物はずっと均質である。次いで、反応混合物にメタノール(0.5容量)のラインリンスを添加する。反応混合物を還流加熱し、反応が完了(HPLCにより報告して出発物質が<0.5%であれば合格とする)するまで還流下で維持する。反応は60分間かかると予想される。
【0136】
反応混合物を20〜25℃に冷却した後、内部温度を20〜30℃に維持しながら水(11.0容量)を添加する。水の添加は15〜30分間かかると予想される。生じた沈殿を20〜25℃で50〜70分間エージングした後、更に5〜10℃に冷却し、更に50〜70分間エージングし、濾過により単離する。フィルターケーキを冷水(5〜10℃,2×3.0容量)で洗浄し、固体のpHをチェックする(予想範囲7〜9)。pHが>9ならば、更に水洗浄液を添加する。固体を1〜2時間風乾させた後、真空オーブンに移し、含水量が<1%(w/w)まで最高50℃で乾燥する。
【0137】
乾燥した第8段階生成物の収率は69.6%(w/w)[理論値:85.7%]である。
【0138】
第9段階
第8段階生成物(1.0重量,1.0モル当量)を96%エタノールB(3.95重量,5.0容量)中に懸濁し、20〜25℃で撹拌して、流動性スラリーを得る(予想時間15〜30分)。反応物を還流加熱する。物質は45℃以下では溶液にならないと予想される。50〜70分間還流した後、溶液を60〜65℃に冷却し、予熱したインラインフィルターを介して加熱した移送ラインを用いて濾過して、不溶性物質を除去する。不溶物の予想される重量は<0.01重量である。第8段階の物質は最高40〜45℃のエタノールに溶解し得る。フィルター及びラインを熱エタノール(60〜65℃,0.79重量,1.0容量)を用いて洗浄する。
【0139】
生成物を含有する溶液を20〜25℃に冷却し、温度を20〜30℃に維持しながら濃塩酸(0.4重量,0.34容量)を添加する。添加は30〜45分間かかると予想される。約0.17〜0.26容量の酸を添加した後第9段階生成物が沈殿する。添加が完了したら、エタノール(0.79重量,1.0容量)のラインリンスを添加し、スラリーを20〜25℃で1〜2時間エージングする。スラリーを0〜5℃に冷却し、更に1〜2時間撹拌した後、濾過する。
【0140】
固体を冷エタノール(0〜5℃,0.79重量,1.0容量)で洗浄し、フィルター上で1〜2時間乾燥し、次いでエタノール含量がH NMRにより<0.1%(w/w)となるまで最高40℃で乾燥する。溶媒含量をGCヘッドスペースにより確認し、<0.1%(w/w)ならば含水量をKFにより調べる。含水量が<8%(w/w)ならば、含水量が8〜5%(w/w)まで生成物を再水和する。
【0141】
レンザプリド塩酸塩・HOの収率は73.9%(w/w)[理論値:66.4%]である。
【0142】
スキームB
代替合成方法
第1段階:3−[1−(3−カルボエトキシ)−ピペリジニル]プロピオン酸エチルの調製
ニペコチン酸エチルに水冷しながらアクリル酸エチルをゆっくり添加する。混合物を約55℃で数時間加熱して、反応を完了させる。過剰のアクリル酸エチルを真空中で留去すると、粗製生成物が残る。この生成物を直接次段階で使用する。
【0143】
収率は162.0%(w/w)である。
【0144】
第2段階:(±)−3−カルボエトキシ−1−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−4−オン塩酸塩の調製
窒素下でトルエンに水素化ナトリウムを注意深く添加し、混合物を撹拌しながら還流加熱する。トルエン中の第1段階のジエステルをゆっくり添加した後、反応混合物を数時間還流する。約5℃に冷却し、水を注意深く添加した後、相を分離する。濃塩酸を水性層にpH8.5まで添加し、その後ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機溶液に濃塩酸を添加し、全体を真空中で蒸発させて減量させる。ジクロロメタン溶液中で濃縮させた粗製生成物を直接第3段階で使用する。
【0145】
収率は90%(w/w)である。
【0146】
第3段階:(±)−1−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−4−オンの調製
粗製第2段階生成物を撹拌しながら希塩酸に添加し、残留ジクロロメタンを優しく加温して除去する。数時間後冷却する。濃水酸化ナトリウム溶液で塩基性とした後、混合物をジクロロメタンで数回抽出し、有機溶液を真空中で蒸発させて、粗製第3段階生成物を得る。この生成物を直接第4段階で使用する。
【0147】
収率は56.0%(w/w)である。
【0148】
第4段階:(±)−1−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−4−オンオキシム塩酸塩の調製
冷却し、撹拌しながら、エタノール中の粗製第3段階生成物をヒドロキシルアミン塩酸塩で徐々に処理する。混合物を室温で数時間撹拌し、結晶性物質を濾別し、エタノールで洗浄する。乾燥すると、第4段階生成物が明褐色結晶性固体として得られる。
【0149】
収率は75%(w/w)である。
【0150】
第5段階:[(±)−エンド]−1−アザビシクロ−[3.3.1]ノナン−4−アミン二酸化炭素複合体
窒素下、第4段階のオキシム塩酸塩をn−アミルアルコール中で撹拌し、加温する。還流を維持するためにナトリウムを素早く添加し、ナトリウムがすべて溶解したら混合物を冷却し、氷と水の混合物を添加する。アミルアルコール溶液を水性層から分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、固体二酸化炭素ペレットで処理する。数時間放置した後、第5段階生成物を濾別し、n−アミルアルコール及びエーテルで洗浄し、真空中で乾燥する。
【0151】
収率は65%(w/w)である。
【0152】
A段階:4−アセトアミド−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸の調製
完全に溶解するまで、4−アセトアミド−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸メチルを水性水酸化ナトリウムと撹拌する。濾過した後、濃塩酸を添加する。その時点で生成物が白色固体として析出し、この固体を濾別し、洗浄し、乾燥する。4−アセトアミド−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸をイソプロパノールから結晶化し、濾別し、洗浄し、乾燥する。
【0153】
収率は85%(w/w)である。
【0154】
B段階:4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸の調製
4−アセトアミド−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸メチルをエタノール中に溶解し、水性水酸化カリウムを添加する。溶液を短時間還流させ、冷却し、濃塩酸を添加する。生じた沈殿を濾別し、水で洗浄し、乾燥して、標記化合物を白色固体として得る。
【0155】
第6A段階:[(±)−エンド]−4−アセトアミド−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−アザビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−ベンズアミド塩酸塩の調製
4−アセトアミド−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸(A段階の生成物)をジクロロメタン中に含む懸濁液に塩化オキサリルを添加し、直後にジメチルホルムアミドを添加する。懸濁液を真空中で蒸留して、酸クロリドを淡黄色固体として得る。これをトルエンに溶解させる。
【0156】
或いは、塩化チオニルを4−アセトアミド−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸に添加し、混合物を室温で数分間撹拌する。生じた溶液をペトロリウムスピリットに注ぎ、酸クロリドを白色固体として沈殿させる。この固体を濾過し、ペトロリウムスピリットで洗浄し、トルエン中に溶解させる。
【0157】
その間、第5段階生成物をトルエン中に含む懸濁液を還流加熱し、熱溶液を濾過し、約50℃に冷却する。次いで、上記したように調製したト酸クロリドをルエン中に含む熱撹拌溶液に素早く添加する。この時点で、生成物が結晶化し始める。冷却しながらしばらく撹拌した後、第6A段階生成物を濾別し、トルエン及びエーテルで洗浄し、乾燥する。
【0158】
収率は99%(w/w)である。
【0159】
第6B段階:[(±)−エンド]−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−アザビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−ベンズアミド塩酸塩の調製
4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸(B段階の生成物)をジメチルホルムアミド中に溶解し、トリエチルアミンを添加する。冷却した後、撹拌溶液にクロロギ酸エチル、トルエン及び第6A段階で調製した第5段階のアミンをトルエン中に含む溶液を順次添加する。室温でしばらく放置した後、溶液を濾過すると、白色固体が生ずる。この固体をトルエンで洗浄し、真空中で乾燥する。この粗生成物を水性プロパン−1−オールを用いて2回結晶化し、真空中で乾燥して、第6B段階生成物を白色固体として得る。所望により、水蒸気飽和雰囲気中で数日間維持することにより水和させてもよい。
【0160】
ジメチルホルムアミド及びトルエンの代わりに、ジクロロメタンを溶媒として使用してもよい。
【0161】
第7段階:[(±)−エンド]−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−アザビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−ベンズアミドの調製
第6A段階生成物をエタノール中で撹拌し、水酸化カリウム水溶液を添加する。混合物を還流した後、室温まで冷却し、エタノールを真空中で除去すると、スラリーが残る。水を添加し、混合物をしばらく撹拌した後、第7段階の白色生成物を濾別し、水で洗浄し、真空中で乾燥する。
【0162】
収率は86%(w/w)である。
【0163】
第8段階:[(±)−エンド]−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−アザビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−ベンズアミド塩酸塩の調製
第7段階の遊離塩基を還流下でエタノール中に溶解し、セライトを介して濾過し、エタノール中の塩酸溶液で処理して、生成物を沈殿させる。撹拌しながら室温に冷却した後、第8段階生成物を濾別し、エタノールで洗浄し、真空中で乾燥する。所望により、水蒸気飽和雰囲気中で数日間維持することにより水和させてもよい。
【0164】
収率は78%(w/w)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(8)の調製方法であって、
【化1】

1)ジクロロメタン、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)またはテトラヒドロフラン(THF)中で、酸(11)を塩化オキサリルまたは塩化チオニルと反応させることにより、酸(11)から酸クロリド(13)を調製すること、
【化2】

2)トルエン中の該酸クロリド(13)をアミン(14)と反応させること、
【化3】

及び、それから生成物(8)を単離することを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記酸クロリドの調製が、酸(11)をTHFの存在下でDMF及び塩化チオニルと反応させることにより実施され、ここにおいて、DMFが該酸に塩化チオニルより前に添加され、酸クロリドとアミン(14)の反応の前に、トルエンで溶媒交換を行うことを特徴とする方法。
【請求項3】
酸(16)及びアミン(14)からのレンザプリドの製造方法であって、
【化4】

酸(16)をDMF、トリエチルアミン及びクロロギ酸エチルと反応させること、次いでインサイチューで該酸クロリドをトルエン中のアミン(14)と反応させることを含む方法。
【請求項4】
請求項1で定義された化合物(8)からのレンザプリドの調製方法であって、
【化5】

化合物(8)を化合物NaOR(式中、Rは水素、メチルまたはエチルである)及びメタノールまたはエタノールと還流することにより、化合物(8)から化合物(9)を調製することを含む方法。
【請求項5】
レンザプリド塩酸塩の製造方法であって、
【化6】

請求項4に記載の方法により調製された化合物(9)を、エタノール及びエタノール中の塩酸とインキュベートすること、及び、該生成物を沈殿させることを含む方法。
【請求項6】
前記化合物(9)の調製が、化合物(8)をメタノール性ナトリウムメトキシド中で還流することにより行われることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
化合物(7)からの化合物(14)の調製方法であって、
【化7】

トルエン中での還流による前記化合物(7)のアミンの脱複合体化、続いて、該生成された化合物(14)の共沸乾燥を含む方法。
【請求項8】
化合物(6)からの化合物(7)の調製方法であって、
【化8】

化合物(6)をナトリウムと反応させ、続いて、二酸化炭素と反応させることを含み、該化合物(6)とナトリウムの反応が、ブタノール中で行われることを特徴とする方法。
【請求項9】
式(7)の化合物:
【化9】

【請求項10】
化合物(5)からの化合物(6)の形成方法であって、
【化10】

ブタノール中の化合物(5)をヒドロキシルアミン塩酸塩のスラリーに逆添加することによる、化合物(5)からのオキシム(6)の形成を含む方法。
【請求項11】
ニペコチン酸エチルからの化合物(5)の調製方法であって、
1)ニペコチン酸エチルをアクリル酸エチルと反応させることによる、ニペコチン酸エチルからの化合物(3)の生成、
【化11】

2)化合物(3)を塩基と還流することによる、化合物(3)からの化合物(4)の生成、
【化12】

及び、
3)化合物(4)を水性HClと、続いて水酸化ナトリウムと反応させることによる、化合物(4)からの化合物(5)の形成、
【化13】

を含む方法。
【請求項12】
前記ニペコチン酸エチルとアクリル酸エチルの反応が、トルエン中で実施され、化合物(3)がtBuOKと反応される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
化合物(10)からの酸(11)の調製方法であって、
【化14】

水性水酸化ナトリウムを化合物(10)の水中スラリーへ添加すること、続いて、塩酸の添加によって酸(11)を沈殿することによる方法。
【請求項14】
水性水酸化カリウム及びエタノールと反応させ、続いて塩酸を添加することによる、化合物(10)からの酸(16)の調製方法。
【請求項15】
a)請求項11または12に記載されているような化合物(5)の形成、及びb)請求項7、8及び/または10に記載されているような化合物(5)のアミン(14)への転化、を含むニペコチン酸エチルからのアミン(14)の調製方法。
【請求項16】
a)請求項15に記載されているようにアミン(14)を形成すること、及びb)該アミン(14)を請求項1または2に記載されているように酸(11)と反応させることを含む、化合物(8)の調製方法。
【請求項17】
酸(11)を請求項13に記載されているように調製することを特徴とする、請求項16に記載の化合物(8)の調製方法。
【請求項18】
化合物(9)の塩酸塩の調製方法であって、請求項16または17に記載の方法により調製した化合物(8)を、請求項4または6に記載されているように化合物(9)に転化することを含む方法。
【請求項19】
化合物(9)の調製方法であって、a)請求項15に記載されているようにアミン(14)を形成すること、及び、b)アミン(14)を請求項3に記載されているように酸(16)と反応させることを含む方法。
【請求項20】
前記酸(16)が請求項14に記載の方法により調製されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
請求項1、2、16または17のいずれか1項に記載の方法により調製される、式(8)の化合物。
【請求項22】
請求項3、4、6、18、19または20のいずれか1項に記載の方法により調製される、式(9)の化合物。
【請求項23】
請求項7または15に記載の方法により調製される、式(14)の化合物。
【請求項24】
請求項11または12のいずれか1項に記載の方法により調製される、式(5)の化合物。
【請求項25】
請求項13に記載の方法により調製される式(11)の化合物。
【請求項26】
請求項14に記載の方法により調製される式(16)の化合物。
【請求項27】
請求項3、4、6、18、19または20に記載の方法により調製される、式(9)の化合物及び/またはその塩酸塩並びに医薬的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項28】
治療を要する被験者に対して、請求項3、4、6、18、19または20に記載の方法により調製される式(9)の化合物を投与することを含む、胃腸運動障害に関連する疾患の治療方法。
【請求項29】
前記疾患が、過敏性腸症候群、遅滞性または遅発性胃内容排出、消化不良、食道逆流、消化性潰瘍、鼓張、便通障害、便秘、糖尿病性神経障害、機能性腹部膨満または腹痛の一以上である、請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2007−505089(P2007−505089A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525881(P2006−525881)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003820
【国際公開番号】WO2005/023808
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(500087545)アリザイム セラピューティクス リミティッド (2)
【Fターム(参考)】