説明

レンズアレイ、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置、読取装置、レンズアレイ成型用型、及びレンズアレイ製造方法

【課題】解像度の低下を抑制することができる。
【解決手段】画像形成装置や読取装置に用いられるレンズアレイは、外側レンズ面13A,13Bが、内側レンズ面14A,14Bに対して所定の傾斜角度TXだけ傾斜して形成され、さらに、外側レンズ面13A,13Bが、内側レンズ面14A,14Bの光軸AXLと外側レンズ面13A,13Bの光軸AXOとが外側レンズ面13A,13B側で交差する方向に偏心距離EXだけ偏心して形成され、偏心距離EXは、外側レンズ面13A,13Bの傾斜による結像の位置ずれの距離と、外側レンズ面13A,13Bの偏心による結像の位置ずれの距離と、が略一致する距離である、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズが配列されるレンズアレイ、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置、読取装置、レンズアレイ成型用型、及びレンズアレイ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、又はプリンタ部とスキャナ部を備える複合機(MFP:Multi Function Printer)等がある。
読取装置としては、複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置、又はプリンタ部とスキャナ部を備える複合機等がある。
【0003】
また、複数のLED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)素子をアレイに配列したLEDヘッドを用いた電子写真方式の画像形成装置や、複数の受光素子をアレイに配列した受光部に原稿の像を結像させるスキャナ装置やファクシミリ装置等の読取装置は、物体の正立等倍像をライン状に形成する光学系が用いられている。
ここで、物体の正立等倍像を形成するために、対向する複数の両凸レンズ(マイクロレンズ)の組を略直線状に配置することで、LEDアレイの正立等倍像を高い解像度で形成する光学系を構成することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−92006号公報(段落0030〜0078)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の光学系(レンズアレイ)は、金型に樹脂を一方向から注入して形成するため、冷却時の内部応力により、レンズの光軸が傾斜することがあった。このため、従来の光学系(レンズアレイ)は、解像度が低下することがあった。したがって、従来の光学系(レンズアレイ)を用いた画像形成装置においては、印刷画像にスジや濃度ムラが発生するという問題があった。一方、従来の光学系(レンズアレイ)を用いた読取装置においては、原稿どおりの画像データを形成することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、解像度の低下を抑制することができる、レンズアレイ、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置、読取装置、レンズアレイ成型用型、及びレンズアレイ製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るレンズアレイは、第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイであって、前記第1のレンズ面が、前記第2のレンズ面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して形成され、さらに、前記第1のレンズ面が、前記第2のレンズ面の光軸と前記第1のレンズ面の光軸とが前記第1のレンズ面側で交差する方向に偏心距離だけ偏心して形成され、前記偏心距離は、前記第1のレンズ面の傾斜による結像の位置ずれの距離と、前記第1のレンズ面の偏心による結像の位置ずれの距離とが略一致する、ことを特徴とする。
それにより、前記第1のレンズ面の傾斜による結像の位置ずれの距離が、前記第1のレンズ面の偏心による結像の位置ずれの距離により相殺される。
【0008】
また、本発明に係るレンズユニットは、第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイを対向して配置するレンズユニットであって、物体側の前記レンズアレイを第1のレンズアレイ、結像側の前記レンズアレイを第2のレンズアレイとしたとき、前記第1のレンズアレイが物体の縮小倒立像を形成すると共に、第2のレンズアレイが前記縮小倒立像の拡大倒立像を形成することにより、前記物体の正立等倍像を形成し、前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して形成され、さらに、前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面の光軸と前記第1のレンズ面の光軸とが前記第1のレンズ面側で交差する方向に偏心距離だけ偏心して形成され、前記第1のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記縮小倒立像の位置ずれの距離と、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記縮小倒立像の位置ずれの距離とが略一致する距離であり、前記第2のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記正立等倍像の位置ずれの距離と、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記正立等倍像の位置ずれの距離とが略一致する距離である、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るLEDヘッド、露光装置、画像形成装置、及び読取装置は、前記記載のレンズユニットを搭載することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るレンズアレイ成型用型は、第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイを成型するレンズアレイ成型用型であって、前記第1のレンズ面の形状を転写する複数の第1の曲面と、前記第2のレンズ面の形状を転写する複数の第2の曲面と、素材の注入口としてのゲートと、を有し、右手系のXYZ座標において、前記複数の第1の曲面及び前記複数の第2の曲面の配列方向をY方向とし、+Y方向の端部に前記ゲートを配置し、前記複数の第1の曲面を前記複数の第2の曲面よりも−Z方向に配置したとき、各々の前記第1の曲面は対応する前記第2の曲面に対して+Y方向に偏心している、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るレンズアレイ製造方法は、前記記載のレンズアレイ成型用型に前記素材を注入する工程と、冷却途中で前記複数の第1の曲面、及び前記複数の第2の曲面を有する型と前記素材とを分離する工程と、前記分離された素材を常温まで冷却する工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るレンズアレイ製造方法は、第1のレンズ面を転写するための第1の型と、第2のレンズ面を転写するための第2の型と、前記第1の型と前記第2の型に素材を注入するゲートと、を有する金型を用いたレンズアレイ製造方法であって、前記第1のレンズ面と前記第2のレンズ面とを前記ゲートの方向に対してずらして、前記素材を成型することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、解像度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置の拡大縦断面図である。
【図3】第1実施形態に係る露光装置の側面図である。
【図4】第1実施形態に係る露光装置の縦断面図である。
【図5】第1実施形態に係るレンズユニットの外観斜視図である。
【図6】第1実施形態に係るレンズアレイの底面図である。
【図7】第1実施形態に係るマイクロレンズの概略断面図である。(a)は、第1のレンズ板に形成するマイクロレンズの配列方向(Y方向)における概略断面図である。(b)は、第1のレンズ板に形成するマイクロレンズの幅方向(X方向)における概略断面図である。(c)は、第2のレンズ板に形成するマイクロレンズの配列方向(Y方向)における概略断面図である。(d)は、第2のレンズ板に形成するマイクロレンズの幅方向(X方向)における概略断面図である。
【図8】第1実施形態に係る遮光板の上面図である。
【図9】第1実施形態に係るレンズユニットの幅方向(X方向)における縦断面図である。
【図10】第1実施形態に係るレンズユニットの長手方向(Y方向)における縦断面図である。
【図11】第1実施形態に係るマイクロレンズの動作を説明するための図である。図11(a)は、図7(a)に示す第1のマイクロレンズに偏心があって傾斜がない場合を想定した概略断面図である。図11(b)は、図7(a)に示す第1のマイクロレンズに傾斜があって偏心がない場合を想定した概略断面図である。図11(c)は、図7(c)に示す第2のマイクロレンズに偏心があって傾斜がない場合を想定した概略断面図である。図11(d)は、図7(c)に示す第2のマイクロレンズに傾斜があって偏心がない場合を想定した概略断面図である。
【図12】第2実施形態に係るレンズアレイの外観斜視図である。
【図13】第2実施形態に係るレンズアレイの縦断面図である。
【図14】第2実施形態に係るレンズアレイを成型する型の縦断面図である。
【図15】第2実施形態に係るレンズアレイを製造するためのフローチャートである。
【図16】第2実施形態に係る画像形成装置の印刷画像の評価を説明するための図である。
【図17】第3実施形態に係る読取装置の縦断面図である。
【図18】第3実施形態に係る読取ヘッドの縦断面図である。
【図19】第3実施形態に係る読取ヘッドの拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0016】
[第1実施形態]
≪画像形成装置の構成≫
最初に、図1を参照して、第1実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。なお、図1は、第1実施形態に係る画像形成装置100の縦断面図である。
【0017】
第1実施形態に係る画像形成装置100は、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置、又はプリンタ部とスキャナ部を備える複合機等である。ここでは、画像形成装置100としてカラー電子写真方式を用いたプリンタを想定して説明する。以下、画像形成装置100を「プリンタ100」と称する場合がある。
【0018】
プリンタ100は、印字媒体上に、色材としての顔料を含む樹脂からなるトナーを用いて入力された画像データに基づく画像を形成する。プリンタ100は、印字媒体としての用紙101を貯留する給紙カセット60を着脱可能に備える。また、プリンタ100は、用紙101を給紙カセット60から取り出す給紙ローラ61、及び用紙101を搬送する搬送ローラ62、63を備える。
【0019】
また、プリンタ100は、静電潜像担持体としての感光体ドラム41と、感光体ドラム41の表面に電荷を供給して帯電させる帯電ローラ42と、帯電された感光体ドラム41の表面に画像データ(印刷データ)に基づいて選択的に光線を発して静電潜像を形成する、露光装置としてのLEDヘッド3と、LEDヘッド3により感光体ドラム41に形成された静電潜像をトナーにより可視化することにより、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する現像器5と、現像器5にトナーを供給するトナーカートリッジ51と、感光体ドラム41に接触して配置され、感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード43と、で構成される画像形成部を備える。プリンタ100の画像形成部は、用紙101の搬送経路に沿って配置される。
【0020】
ここで、図2を参照して、現像器5の構成を説明する。図2は、第1実施形態に係る画像形成装置100の拡大縦断面図である。
現像器5は、負のバイアス電圧(例えば、−300V)が印加されることにより、トナーカートリッジ51内部の現像剤としてのトナーを帯電させ、負に帯電したトナーを現像ローラ96に供給する供給ローラ95と、現像ローラ96に供給されたトナーを薄層化し、現像ローラ96の表面に一様なトナー層を形成する現像ブレード94と、負のバイアス電圧(例えば、−200V)が印加されており、電界の作用により、負に帯電されたトナーを静電潜像の上に移動させる現像ローラ96とで構成される。
【0021】
図1に戻り、プリンタ100の構成の説明を続ける。プリンタ100は、用紙101を搬送する転写ベルト81と、感光体ドラム41上に形成されたトナー像を用紙101上に転写する転写ローラ80とを備える。転写ローラ80は、転写ベルト81を挟むように感光体ドラム41に対向して配置され、正の電圧に帯電される。
また、プリンタ100は、用紙101上に形成されたトナー像を熱及び圧力で定着する定着器9と、定着器9を通過した用紙101を搬送する搬送ローラ64と、画像が形成された用紙101を貯留する排出部7と、排出部7に用紙101を排出する排出ローラ65とを備える。
【0022】
また、プリンタ100は、感光体ドラム41、帯電ローラ42、転写ローラ80、転写ベルト81等のプリンタ100内部の装置を駆動させるために、これらの装置に所定の電圧を印加する電源99と、これらの装置の駆動を制御する制御部98と、外部装置から印刷データを受信する外部インタフェース97とを備える。
【0023】
<露光装置>
次に、図3及び図4を参照して、第1実施形態に係る露光装置3の構成を説明する。本実施形態では、露光装置3としてLEDヘッドを想定して説明する。以下、露光装置3を「LEDヘッド3」と称する場合がある。なお、図3は、第1実施形態に係るLEDヘッド3の側面図である。図4は、図3に示す第1実施形態に係るLEDヘッド3をA−A方向に切断した縦断面図である。
なお、図3及び図4では、LEDヘッド3の配置を説明するために、感光体ドラム41を同一図面上に記載している。また、説明の便宜上、LEDヘッド3と感光体ドラム41との位置関係を図1に示す位置関係とは上下逆さまに記載してある。符号AXRは、感光体ドラム41の回転軸を表している。回転軸AXRの方向は、Y方向(図3の横方向)である。
【0024】
図3に示すように、LEDヘッド3は、LEDアレイ300と、レンズユニット1とを備える。
(LEDアレイ)
LEDアレイ300は、発光部である複数のLED素子30が配線基板33上に略直線状に配列して構成される。LED素子30の配列方向は、感光体ドラム41の回転軸AXRと並行である。すなわち、LED素子30の配列方向は、感光体ドラム41の回転軸AXRと同じY方向(図3の横方向)である。LED素子30は、ワイヤ32によりドライバIC31に接続され(図4参照)、ドライバIC31の指示に従って任意の光量で発光する。LED素子30が発光した光は、レンズユニット1に入射する。
【0025】
(レンズユニット)
レンズユニット1は、長尺形状であり、レンズユニット1の長手方向が、LEDアレイ300におけるLED素子30の配列方向(Y方向)と平行になるように構成される。レンズユニット1は、ホルダ34により係る位置で固定されている。
また、レンズユニット1は、LEDアレイ300と対向する面に複数の第1のマイクロレンズ12Aを備え、また、第1のマイクロレンズ12Aが配置される面とは反対の面であり感光体ドラム41と対向する面に第1のマイクロレンズ12Aと同数の第2のマイクロレンズ12Bを備える。
【0026】
ここで、第1のマイクロレンズ12Aのうち、発光体であるLED素子30側のレンズ面を第1のレンズ面としての「外側レンズ面13A」と呼び、結像される感光体ドラム41側のレンズ面を第2のレンズ面としての「内側レンズ面14A」と呼ぶ。
また、第2のマイクロレンズ12Bのうち、結像側のレンズ面を第1のレンズ面としての「外側レンズ面13B」と呼び、発光体側のレンズ面を第2のレンズ面としての「内側レンズ面14B」と呼ぶ。
ここでは、レンズユニット1がプリンタ100のLEDヘッド3に用いられているため、レンズユニット1による投影対象の物体が発光体であるLED素子30となっている。以下、「発光体」と「物体」と呼ぶ場合がある。特に、投影対象の物体を、レンズユニット1によって投影された結像と対比して説明する場合に、その投影対象を単に「物体」と呼ぶものとする。なお、仮に、レンズユニット1が読取装置の光学系に用いられる場合に、レンズユニット1による投影対象は、読取装置の対象となる媒体の表面に形成された画像となる。
【0027】
第1のマイクロレンズ12A及び第2のマイクロレンズ12Bの詳細な構成は後記するが、外側レンズ面13Aと内側レンズ面14Aとは、光軸がずれているとともに、外側レンズ面13Aが内側レンズ面14Aに対して傾斜している。同様に、外側レンズ面13Bと内側レンズ面14Bとは、光軸がずれているとともに、外側レンズ面13Bが内側レンズ面14Bに対して傾斜している。なお、内側レンズ面14Aと内側レンズ面14Bとは、光軸が一致している。内側レンズ面14A及び内側レンズ面14Bの光軸は、Z方向(図面縦方向)となるようにレンズユニット1は構成される。
【0028】
また、レンズユニット1の長手方向(Y方向)とレンズユニット1のマイクロレンズ12A,12Bの内側レンズ面14A,14Bの光軸方向(Z方向)との両方に直交する方向をレンズユニット1の幅方向とした場合に、レンズユニット1は、レンズユニット1の幅方向がX方向(図4の横方向)となるように構成される。また、図4に示すように、レンズユニット1の幅方向(X方向)におけるレンズユニット1の中心を符号CLで表すと、符号CLの直線上にLED素子30及び感光体ドラム41の回転軸AXRが配置される。
【0029】
次に、図5を参照して、第1実施形態に係るレンズユニット1の構成について説明する。なお、図5は、第1実施形態に係るレンズユニット1の外観斜視図である。
レンズユニット1は、物体側(LEDアレイ300側)のレンズアレイとしての第1のレンズ板11Aと、結像側(感光体ドラム41側)のレンズアレイとしての第2のレンズ板11Bと、遮光板21とで構成される。第1のレンズ板11A、及び第2のレンズ板11Bは、遮光板21を挟んで対向して配置される。
【0030】
(レンズアレイ)
レンズアレイとしての第1のレンズ板11A及び第2のレンズ板11Bは、発光部としてのLED素子30(図4参照)からの光線を透過する素材でできていればよい。本実施形態では、第1のレンズ板11A及び第2のレンズ板11Bは、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名:ZEONEX(ゼオネックス)E48R)を素材として用いている。そして、第1のレンズ板11Aは、射出成型により複数の第1のマイクロレンズ12Aと一体に成型してあり、また、第2のレンズ板11Bは、射出成型により複数の第1のマイクロレンズ12Bと一体に成型してある。なお、第1のマイクロレンズ12A、及び第2のマイクロレンズ12Bは、略凸レンズ形状(略両凸レンズ形状)である。
【0031】
第1のマイクロレンズ12Aの内側レンズ面14A、及び第2のマイクロレンズ12Bの内側レンズ面14Bの光軸AXLは、Z方向(図面縦方向)となり、また、内側レンズ面14A及び内側レンズ面14B(図4参照)の光軸は一致する。そのため、第1のマイクロレンズ12A及び第2のマイクロレンズ12Bの配列間隔は同様となる。
【0032】
次に、図6を参照して、マイクロレンズ12A,12Bの配列について説明する。図6は、第1実施形態に係るレンズアレイとしてのマイクロレンズ12Aの底面図である。第1実施形態に係るレンズユニット1は、第1のレンズ板11A及び第2のレンズ板11Bという2つのレンズアレイを備えるが、第1のレンズ板11Aに形成する第1のマイクロレンズ12Aと、第2のレンズ板11Bに形成する第2のマイクロレンズ12Bの配列は同様なので、ここでは第1のレンズ板11Aについて説明し、第2のレンズ板11Bの詳細な説明は省略する。
【0033】
第1のマイクロレンズ12Aの配置は、図6に示すように、X方向に2列の千鳥配置が好ましい。第1のマイクロレンズ12Aを千鳥配置にすることで、最もレンズを緻密に配置することができる。ここで、第1のレンズ板11Aに配列された一方の第1のマイクロレンズ12Aの列を第1のレンズ列15Aと呼び、他方の第1のマイクロレンズ12Aの列を第2のレンズ列16Aと呼ぶことにする。第1のレンズ列15Aと第2のレンズ列16Aとの配列間隔はPXである。
【0034】
また、第1のレンズ列15A内の第1のマイクロレンズ12Aの配列方向は、第1のレンズ板11Aの長手方向(Y方向)で、配列間隔はPYであり、同様に、第2のレンズ列16A内の第1のマイクロレンズ12Aの配列方向は第1のレンズ板11Aの長手方向(Y方向)で、配列間隔はPYである。また、第1のレンズ列15A内の第1のマイクロレンズ12Aと第2のレンズ列16A内の隣接する第1のマイクロレンズ12Aとの配列間隔はPNである。
【0035】
第1のレンズ板11Aに形成される、ある第1のマイクロレンズ12Aの外側レンズ面13Aは、隣接する第1のマイクロレンズ12Aの外側レンズ面13Aと境界で接することで、隙間なく連続して配置され、その境界は鋸歯状に形成されている。そのため、外側レンズ面13Aの配列方向(Y方向)の半径LB1は、PY/2となる。また、第1のレンズ列15A内のある第1のマイクロレンズ12Aと第2のレンズ列16A内の隣接する第1のマイクロレンズ12Aとを結ぶ方向における外側レンズ面13Aの半径LB2は、PN/2となる。なお、外側レンズ面13Aの最大半径RLは、LB1及びLB2に対して大きな値である。
【0036】
次に、図7を参照して、第1のマイクロレンズ12A及び第2のマイクロレンズ12Bの詳細な構成を説明する。
図7は、第1実施形態に係るマイクロレンズ12A,12Bの概略断面図である。図7(a)は、第1のレンズ板11Aに形成する第1のマイクロレンズ12Aの配列方向(Y方向)における概略断面図である。図7(b)は、第1のレンズ板11Aに形成する第1のマイクロレンズ12Aの幅方向(X方向)における概略断面図である。図7(c)は、第2のレンズ板11Bに形成する第2のマイクロレンズ12Bの配列方向(Y方向)における概略断面図である。図7(d)は、第2のレンズ板11Bに形成する第2のマイクロレンズ12Bの幅方向(X方向)における概略断面図である。
【0037】
最初に、マイクロレンズ12A,12Bの曲面の構成について説明する。第1のマイクロレンズ12Aの外側レンズ面13A及び内側レンズ面14Aや、第2のマイクロレンズ12Bの外側レンズ面13B及び内側レンズ面14Bは、式1で表される回転対称高次非球面で構成することにより、高い解像度を得ることができる。
【0038】
【数1】

【0039】
式1の関数Z(r)は、第1のマイクロレンズ12Aの外側レンズ面13A及び内側レンズ面14Aや、第2のマイクロレンズ12Bの外側レンズ面13B及び内側レンズ面14Bの頂点を原点とし、レンズユニット1の物体面から結像面へ向かう方向を正の数で表す。rは、マイクロレンズ12A,12Bの光軸に平行な方向を軸とし、半径方向の回転座標系を示し、各図面に示したX方向、Y方向の各座標に対して式2の関係がある。CRは曲率半径を示し、Aは非球面係数4次の係数を示し、Bは非球面係数6次の係数を示し、Cは非球面係数8次の係数を示す。
【0040】
【数2】

【0041】
次に、マイクロレンズ12A,12Bの光軸の偏心及び傾斜について説明する。
図7(a)は、第1のマイクロレンズ12Aの断面構成を示している。図面横方向(Y方向)がマイクロレンズ12Aの配列方向であり、図面縦方向(Z方向)が結像側の内側レンズ面14Aの光軸AXLの方向である。第1のレンズ面としての外側レンズ面13Aは、第2のレンズ面としての内側レンズ面14Aの下に配置される。なお、図面下方向に物体としてのLED素子30(図4参照)が配置される。矢印EYは、結像側の内側レンズ面14Aの光軸AXLに対する物体側の外側レンズ面13Aの光軸AXOのY方向のずれ(偏心)を示す。矢印TYは、結像側の内側レンズ面14Aの光軸AXLに対する物体側の外側レンズ面13Aの光軸AXOのY方向の傾斜を示す。
【0042】
ここで、右手系のXYZ座標において、第1のマイクロレンズ12Aの配列方向をY方向、物体に対する結像の方向を+Z方向とし、+X方向を右回りに回転する方向をプラスの傾斜として+α(αは0以上の数)で表す。第1のマイクロレンズ12Aは、外側レンズ面13Aの傾斜TYが+α方向に発生している場合に、外側レンズ面13Aの偏心EYは−Y方向となるように構成される。一方、第1のマイクロレンズ12Aは、傾斜TYが−α方向に発生している場合に、偏心EYは+Y方向となるように構成される。
【0043】
図7(b)は、第1のマイクロレンズ12Aの断面構成を示している。図面横方向(X方向)がレンズユニット1の幅方向であり、図面縦方向(Z方向)が結像側の内側レンズ面14Aの光軸AXLの方向である。第1のレンズ面としての外側レンズ面13Aは、第2のレンズ面としての内側レンズ面14Aの下に配置される。なお、図面下方向に物体としてのLED素子30(図3参照)が配置される。矢印EXは、結像側の内側レンズ面14Aの光軸AXLに対する物体側の外側レンズ面13Aの光軸AXOのX方向のずれ(偏心)を示す。矢印TXは、結像側の内側レンズ面14Aの光軸AXLに対する物体側の外側レンズ面13Aの光軸のX方向の傾斜を示す。
【0044】
ここで、右手系のXYZ座標において、第1のマイクロレンズ12Aの配列方向をY方向、物体に対する結像の方向を+Z方向とし、+Y方向を右回りに回転する方向をプラスの傾斜として+β(βは0以上の数)で表す。第1のマイクロレンズ12Aは、外側レンズ面13Aの傾斜TXが+β方向に発生している場合に、外側レンズ面13Aの偏心EXは+X方向となるように構成される。一方、第1のマイクロレンズ12Aは、傾斜TXが−β方向に発生している場合に、偏心EXは−X方向となるように構成される。
【0045】
図7(c)は、第2のマイクロレンズ12Bの断面構成を示している。図面横方向(Y方向)がマイクロレンズの配列方向であり、図面縦方向(Z方向)が物体側の内側レンズ面14Bの光軸AXLの方向である。第1のレンズ面としての外側レンズ面13Bは、第2のレンズ面としての内側レンズ面14Bの上に配置される。なお、図面下方向に物体としてのLED素子30(図3参照)が配置される。矢印EYは、物体側の内側レンズ面14Bの光軸AXLに対する結像側の外側レンズ面13Bの光軸AXOのY方向のずれ(偏心)を示す。矢印TYは、物体側の内側レンズ面14Bの光軸AXLに対する結像側の外側レンズ面13Bの光軸AXOのY方向の傾斜を示す。
【0046】
第2のマイクロレンズ12Bは、外側レンズ面13Bの傾斜TYが+α方向に発生している場合に、外側レンズ面13Bの偏心EYは+Y方向となるように構成される。一方、第2のマイクロレンズ12Bは、傾斜TYが−α方向に発生している場合に、偏心EYは−Y方向となるように構成される。
【0047】
図7(d)は、第2のマイクロレンズ12Bの断面構成を示している。図面横方向(X方向)がレンズユニット1の幅方向であり、図面縦方向(Z方向)が物体側の内側レンズ面14Bの光軸AXLの方向である。第1のレンズ面としての外側レンズ面13Bは、第2のレンズ面としての内側レンズ面14Bの上に配置される。なお、図面下方向に物体としてのLED素子30(図3参照)が配置される。矢印EXは、物体側の内側レンズ面14Bの光軸AXLに対する結像側の外側レンズ面13Bの光軸AXOのX方向のずれ(偏心)を示す。矢印TXは、物体側の内側レンズ面14Bの光軸AXLに対する結像側の外側レンズ面13Bの光軸AXOのX方向の傾斜を示す。
【0048】
第2のマイクロレンズ12Bは、外側レンズ面13Bの傾斜TXが+β方向に発生している場合に、外側レンズ面13Bの偏心EXは−X方向となるように構成される。一方、第2のマイクロレンズ12Bは、傾斜TXが−β方向に発生している場合に、偏心EXは+X方向となるように構成される。
【0049】
(遮光板)
次に、図8を参照して、第1実施形態に係る遮光板の構成について説明する。なお、図8は、第1実施形態に係る遮光板21の上面図である。
遮光板21には、絞りとしての複数の開口部22が形成される。遮光板21に形成される開口部22の配列間隔は、第1のマイクロレンズ12A及び第2のマイクロレンズ12Bの配列間隔に一致する。そのため、遮光板21の開口部22の配置は、X方向に2列の千鳥配置となる。また、遮光板21は、TBの範囲内に形成された遮光壁23を有し、遮光壁23の厚さをTBとする。
【0050】
開口部22は、半径RAの円をレンズユニット1の幅方向(X方向)に平行で半径RAの円の中心から距離ABにある直線で切断し、また、マイクロレンズ12A,12Bの配列方向(Y方向)と平行で半径RAの円の中心から距離TB/2にある直線で切断した形状である。このとき、RA>ABとなっており、また、RA>TB/2となっている。内側レンズ面14A,14Bの光軸AXLの位置は、開口部22の一部である半径RAの円の中心と一致する。
【0051】
遮光板21は、発光部としてのLED素子30の光線を遮光する素材により形成される。本実施形態の遮光板21は、ポリカーボネートを用いて、射出成型法により作成してある。遮光板21は、物体であるLED素子30からの光線のうち、結像30C(図9参照)に寄与する光線を開口部22を介して通過させ、結像30Cに寄与しない光線を遮光する。
【0052】
次に、図9及び図10を参照して、レンズユニット1が行う結像について説明する。なお、図9は、第1実施形態に係るレンズユニット1の幅方向(X方向)における縦断面図である。具体的には、図6及び図8における直線A−Aの位置での断面図である。図10は、第1実施形態に係るレンズユニット1の長手方向(Y方向)における縦断面図である。具体的には、図6及び図8における直線B−Bの位置での断面図である。
【0053】
図9に示すように、物体30AとしてのLEDアレイ300は、物体面OPとレンズユニット1の幅方向(X方向)における中心線CLとが交差する位置に配置される。第1のマイクロレンズ12Aは、物体面OPから距離LOを隔てて配置される。第2のマイクロレンズ12Bは、第1のマイクロレンズ12Aの内側レンズ面14Aの光軸AXLと、第2のマイクロレンズ12Bの内側レンズ面14Bの光軸AXLとが一致し、第1のマイクロレンズ12Aから距離LSを離れた位置に第1のマイクロレンズ12Aと対向するように配置される。結像30Cは、第2のマイクロレンズ12Bから距離LIを離れた位置の結像面とレンズユニット1の幅方向(X方向)における中心線CLとが交差する位置に形成される。なお、第1のマイクロレンズ12Aの厚さは、LT1であり、第2のマイクロレンズ12Bの厚さはLT2である。
【0054】
ここで、右手系のXYZ座標において、マイクロレンズ12A,12Bの配列方向をY方向、物体30Aに対する結像30Cの方向を+Z方向とし、+Y方向を右回りに回転する方向をプラスの傾斜として+β(βは0以上の数)で表す。第1のマイクロレンズ12Aの外側レンズ面13Aの光軸AXOは、内側レンズ面14A,14Bの光軸AXLに対して+X方向に偏心EXし、+β方向へ傾斜TXしている。一方、第2のマイクロレンズ12Bの外側レンズ面13Bの光軸AXOは、内側レンズ面14A,14Bの光軸AXLに対して−X方向に偏心EXし、+β方向へ傾斜TXしている。すなわち、外側レンズ面13Aと外側レンズ面13Bとは、X方向において逆方向に偏心し、β方向において同一方向に傾斜している。
【0055】
また、図10に示すように、右手系のXYZ座標において、マイクロレンズ12A,12Bの配列方向をY方向、物体30Aに対する結像30Cの方向を+Z方向とし、+X方向を右回りに回転する方向をプラスの傾斜として+α(αは0以上の数)で表す。第1のマイクロレンズ12Aの外側レンズ面13Aの光軸AXOは、内側レンズ面14A,14Bの光軸AXLに対して+Y方向に偏心EYし、−α方向へ傾斜TYしている。一方、第2のマイクロレンズ12Bの外側レンズ面13Bの光軸AXOは、内側レンズ面14A,14Bの光軸AXLに対して+Y方向に偏心EYし、+α方向へ傾斜TYしている。すなわち、外側レンズ面13Aと外側レンズ面13Bとは、Y方向において同一方向に偏心し、α方向において逆方向に傾斜している。
【0056】
第1のマイクロレンズ12Aは、−Z方向に距離LO1を離れた位置にある物体30Aの縮小倒立像としての中間像30Bを、+Z方向に距離LI1を離れた位置である中間像面IMP上に形成する。一方、第2のマイクロレンズ12Bは、−Z方向に距離LO2を離れた位置にある中間像30Bの拡大倒立像30Cを、+Z方向に距離LI2を離れた結像面IP上に結像する。この結果、結像30Cは、物体30Aの正立等倍像になる。
【0057】
レンズユニット1の物体面OPから第1のマイクロレンズ12Aまでの距離LOは、距離LO1と等しく設定される。また、第1のマイクロレンズ12Aと第2のマイクロレンズ12Bの間隔LSは、LS=LI1+LO2に設定される。また、第2のマイクロレンズ12Bからレンズユニット1の結像面IPまでの距離LIは、LI2と等しく設定される。
【0058】
なお、第1のマイクロレンズ12Aと第2のマイクロレンズ12Bとを同じ構成のレンズとすることができる。このとき、第1のマイクロレンズ12Aと第2のマイクロレンズ12Bとは、ともに厚さがLT1である。また、第1のマイクロレンズ12Aの物体面側の曲面である外側レンズ面13Aと同じ形状の面が、第2のマイクロレンズ12Bの結像面側の曲面である外側レンズ面13Bとなるように対向して配置する。また、距離LO1と距離LI2とは等しく設定され、距離LOと距離LIとは等しく設定される。また、距離LO2と距離LI1とは等しく設定され、第1のマイクロレンズ12Aと第2のマイクロレンズ12Bとの間隔LSは、LS=2×LI1に設定される。
以上で、第1実施形態の画像形成装置の構成の説明を終了する。
【0059】
≪画像形成装置の動作≫
<画像形成装置の画像形成動作>
次に、図1を参照して、第1実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ100の画像形成動作の概要について説明する。
【0060】
最初に、電圧が印加された帯電ローラ42は、感光体ドラム41の表面を帯電する。続いて、感光体ドラム41が回転することで当該感光体ドラム41の帯電部がLEDヘッド3の付近に到達する。続いて、LEDヘッド3は、帯電された当該感光体ドラム41の表面を露光し、当該感光体ドラム41の表面に静電潜像を形成する。続いて、現像器5は、静電潜像を現像し、当該感光体ドラム41の表面にトナー像を形成する。なお、LEDヘッド3の露光動作の詳細については後記する。
【0061】
一方、給紙ローラ61は、給紙カセット60から用紙101を取り出す。続いて、搬送ローラ62,63は、給紙カセット60から取り出された用紙101を、転写ローラ80及び転写ベルト81の付近に搬送する。そして、現像によって得られた感光体ドラム41の表面上のトナー像は、感光体ドラム41が回転することによって転写ローラ80及び転写ベルト81の付近に到達する。それにより、電圧が印加されている転写ローラ80及び転写ベルト81は、感光体ドラム41の表面に形成されたトナー像を用紙101上に転写する。
【0062】
続いて、転写ベルト81は、回転することで、表面にトナー像が形成された用紙101を定着器9に搬送する。続いて、定着器9は、用紙101上に形成されたトナー像を加圧しながら過熱することで、トナーを溶融し、用紙101上にトナーを定着する。続いて、搬送ローラ64及び排出ローラ65は、用紙101を排出部7に排出する。これで、プリンタ100の画像形成動作の概要についての説明を終了する。
【0063】
<露光装置の露光動作>
次に、図4を参照して、第1実施形態に係る露光装置としてのLEDヘッド3の露光動作の概要について説明する。
制御部98(図1参照)は、外部インタフェース97を介して受信した画像データを基にして、LEDヘッド3に対して制御信号を出力する。続いて、LEDヘッド3のドライバIC31は、制御部98から出力された制御信号に基づき、任意の光量でLED素子30を発光する。LEDアレイ300の各々のLED素子30から出た光線は、レンズユニット1に入射し、感光体ドラム41の表面に結像する。これにより、結像された部分が露光され、露光されることで静電潜像が形成される。なお、レンズユニット1の結像動作の詳細については後記する。
【0064】
<レンズユニットの結像動作>
次に、図9及び図10を参照して、第1実施形態に係るレンズユニット1の結像動作について説明する。
図9に示すように、第1のマイクロレンズ12Aは、物体30Aの縮小倒立像を中間像面IMP上の中間像30Bとして形成する。次に、第2のマイクロレンズ12Bは、中間像30Bの拡大倒立像を結像面IP上の結像30Cとして形成する。結像30Cは、物体30Aの正立等倍像となっており、物体面OP上の矢印の方向(+X方向)は結像面IP上の矢印の方向(+X方向)となっている。また、第1のマイクロレンズ12Aと第2のマイクロレンズ12Bとの間では物体面OP上の各点からの主光線が平行である、いわゆるテレセントリックになっている。ここで、遮光板21は、物体30Aからの光線のうち、結像30Cに寄与しない光線を遮断する。
【0065】
また、図10に示すように、第1のマイクロレンズ12Aは、物体30Aの縮小倒立像を中間像面IMP上に中間像30Bとして形成する。次に、第2のマイクロレンズ12Bは、中間像30Bの拡大倒立像を結像面IP上に結像30Cとして形成する。結像30Cは、物体30Aの正立等倍像となっている。また、第1のマイクロレンズ12Aと第2のマイクロレンズ12Bとの間では物体面OP上の各点からの主光線が平行である、いわゆるテレセントリックになっている。ここで、遮光板21は、物体30Aからの光線のうち、結像30Cに寄与しない光線を遮断する。
【0066】
レンズユニット1は、複数の第1のマイクロレンズ12A、第2のマイクロレンズ12B、及び開口部22が同じ間隔で配列されているため、プリンタ100の感光体ドラム41にLEDアレイ300として略直線状に配置された物体30AとしてのLED素子30の全ての結像30Cを形成することができる。
【0067】
なお、第1のマイクロレンズ12Aと第2のマイクロレンズ12Bとを同じ構成のレンズとした場合にも、第1のマイクロレンズ12Aは物体30Aの縮小倒立像を中間像面IMP上に中間像30Bとして形成し、第2のマイクロレンズ12Bは中間像30Bの拡大倒立像を結像面IP上に結像30Cとして形成する。結像30Cは物体30Aの正立等倍像となっており、物体面OP上の矢印の方向(+X方向)は結像面IP上の矢印の方向(+X方向)となっている。また、第1のマイクロレンズ12Aと第2のマイクロレンズ12Bとの間では物体面上の各点からの主光線が平行である、いわゆるテレセントリックになる。
【0068】
<マイクロレンズの動作>
次に、図11を参照して、第1実施形態に係るマイクロレンズ12A,12Bの動作について説明する。
なお、図11は、マイクロレンズ12A,12Bの動作を説明するための図である。図11(a)は、図7(a)に示す第1のマイクロレンズ12Aに偏心EYがあって傾斜TYが無い場合を想定した概略断面図である。図11(b)は、図7(a)に示す第1のマイクロレンズ12Aに傾斜TYがあって偏心EYが無い場合を想定した概略断面図である。図11(c)は、図7(c)に示す第2のマイクロレンズ12Bに偏心EYがあって傾斜TYが無い場合を想定した概略断面図である。図11(d)は、図7(c)に示す第2のマイクロレンズ12Bに傾斜TYがあって偏心EYが無い場合を想定した概略断面図である。
【0069】
図11では、図7(a)及び図7(c)と同様に、右手系のXYZ座標において、マイクロレンズ12A,12Bの配列方向をY方向、物体に対する結像の方向を+Z方向とし、+X方向を右回りに回転する方向をプラスの傾斜として+α(αは0以上の数)で表す。
【0070】
図11(a)は、図7(a)に示す第1のマイクロレンズ12Aに偏心EYがあって傾斜TYがない場合を想定している。外側レンズ面13Aの光軸AXOに対して−Y方向へ距離GY離れた位置に物体30Aがあるとすると、中間像面IMP上では、内側レンズ面14Aの光軸AXLに対し+Y方向へ距離GYa離れた位置に中間像30Bが形成される。
【0071】
図11(b)は、図7(a)に示す第1のマイクロレンズ12Aに傾斜TYがあって偏心EYがない場合を想定している。外側レンズ面13Aの光軸AXOに対して+Y方向へ距離GY離れた位置に物体30Aがあるとすると、中間像面IMP上では、内側レンズ面14Aの光軸AXLに対し−Y方向へ距離GYa離れた位置に中間像30Bが形成される。
【0072】
図11(a)及び図11(b)より、本実施形態の第1のマイクロレンズ12Aは、偏心EYによる中間像30Bの位置のずれと、傾斜TYによる中間像30Bの位置のずれとが反対方向になるので、位置のずれが互いに相殺されることで中間像30Bの位置のずれが軽減される。
なお、図11(a)及び図11(b)では、レンズユニット1の長手方向(Y方向)を例にとりマイクロレンズ12Aの動作を説明したが、レンズユニット1の幅方向(X方向)においても長手方向(Y方向)と同様に位置のずれが互いに相殺されることで中間像30Bの位置のずれが軽減される。
【0073】
図11(c)は、図7(c)に示す第2のマイクロレンズ12Bに偏心EYがあって傾斜TYがない場合を想定している。結像面IPと外側レンズ面13Bの光軸AXOとの交点は、内側レンズ面14Bの光軸AXLに対して+Y方向へ距離GY離れた点に位置する。結像30Cは、内側レンズ面14Bの光軸AXLに対して+Y方向へ距離GYa離れた位置に形成される。
【0074】
図11(d)は、図7(c)に示す第2のマイクロレンズ12Bに傾斜TYがあって偏心EYがない場合を想定している。結像面IPと外側レンズ面13Bの光軸AXOとの交点は、内側レンズ面14Bの光軸AXLに対して−Y方向に距離GY離れた点に位置する。結像30Cは、内側レンズ面14Bの光軸AXLに対して−Y方向へ距離GYa離れた位置に形成される。
【0075】
図11(c)及び図11(d)より、本実施形態の第2のマイクロレンズ12Bは、偏心EYによる結像30Cの位置のずれと、傾斜TYによる結像30Cの位置のずれとが反対方向になるので、位置のずれが互いに相殺されることで結像30Cの位置のずれが軽減される。
なお、図11(c)及び図11(d)では、レンズユニット1の長手方向(Y方向)を例にとりマイクロレンズ12Bの動作を説明したが、レンズユニット1の幅方向(X方向)においても長手方向(Y方向)と同様に位置のずれが互いに相殺されることで結像30Cの位置のずれが軽減される。
以上で、第1実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作の説明を終了する。
【0076】
以上のように、第1実施形態に係るレンズアレイとしてのレンズ板11A,11Bは、第2のレンズ面に対する第1のレンズ面の傾斜により物体の結像が形成される位置のずれが、第2のレンズ面に対する第1のレンズ面の偏心によって相殺されるように構成されている。
【0077】
例えば、本実施形態のように右手系のXYZ座標において、マイクロレンズ12Aの配列方向がY方向で、第1のレンズ面が第2のレンズ面よりも−Z方向に配置され、+X方向を右回りに回転する傾斜を+α(αは0以上の数)として表す場合に、第1のレンズ面が第2のレンズ面に対して−αに傾斜しているとき、第1のレンズ面は第2のレンズ面に対して+Y方向に偏心していることによって、傾斜による物体の結像(中間像)が形成される位置のずれが、偏心によって相殺され解像度の低下が抑制される。
【0078】
また、本実施形態のように右手系のXYZ座標において、マイクロレンズ12Aの配列方向がY方向で、第1のレンズ面が第2のレンズ面よりも−Z方向に配置され、+Y方向を右回りに回転する傾斜を+β(βは0以上の数)として表す場合に、第1のレンズ面が第2のレンズ面に対して+βに傾斜しているとき、第1のレンズ面は第2のレンズ面に対して+X方向に偏心していることによって、傾斜による物体の結像(中間像)が形成される位置のずれが、偏心によって相殺され解像度の低下が抑制される。
【0079】
さらに、本実施形態の通りに構成することで、レンズユニット1においては、レンズ面の傾斜による結像が形成される位置のずれが軽減され、レンズユニット1の解像度の低下を抑制することができ、LEDヘッド3においては、コントラストの高い露光像を形成することができ、画像形成装置100においては、濃度ムラやスジのない鮮明な画像を形成することができる。その為、画像形成装置100においては、印刷画像の品質低下を抑制することができる。
【0080】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ1000は、レンズユニット110の構成が、第1実施形態に係るレンズユニット1と異なる。
【0081】
≪第2実施形態に係る画像形成装置の構成≫
(レンズユニット)
第2実施形態に係るレンズユニット110の構成を説明する。
第2実施形態に係るレンズユニット110は、第1実施形態に係るレンズユニット1(図5参照)と比較すると、第1のレンズ板11A及び第2のレンズ板11Bの構成が異なる点で相違している。以下、第2実施形態に係る第1のレンズ板11Aを「第1のレンズ板111A」と呼び、第2実施形態に係る第2のレンズ板11Bを「第2のレンズ板111B」と呼ぶ。第2実施形態に係るレンズユニット110は、第1のレンズ板111Aと第2のレンズ板111Bの構成が同様なので、ここでは第1のレンズ板111Aについて説明し、第2のレンズ板111Bの詳細な説明は省略する。
【0082】
(レンズアレイ)
図12及び図13を参照して、第2実施形態に係るレンズアレイとしての第1のレンズ板111Aの構成を説明する。なお、図12は、第2実施形態に係るレンズアレイとしての第1のレンズ板111Aの外観斜視図である。図13は、第2実施形態に係るレンズアレイとしての第1のレンズ板111Aの縦断面図である。
【0083】
第1のレンズ板111Aは、第2のレンズ板111Bに対して物体30AとしてのLED素子30側に配置される。第1のレンズ板111Aは、射出成型により複数の第1のマイクロレンズ112Aと一体に成型してある。第1のマイクロレンズ112Aの配置は、図12に示すように、X方向に2列の千鳥配置である。第1のマイクロレンズ112Aのうち、物体であるLED素子30側のレンズ面を第1のレンズ面としての外側レンズ面113Aと呼び、結像が形成される感光体ドラム41側のレンズ面を第2のレンズ面としての内側レンズ面114Aと呼ぶ(図13参照)。また、外側レンズ面113Aの光軸をAXOで表し、内側レンズ面114Aの光軸をAXLで表す。
【0084】
ここで、図13に示すように、右手系のXYZ座標において、第1のマイクロレンズ112Aの配列方向をY方向、物体30Aに対する結像の方向を+Z方向とし、+X方向を右回りに回転する方向をプラスの傾斜として+α(αは0以上の数)で表す。その場合、第1のマイクロレンズ112Aの内側レンズ面114Aの光軸AXLは、図面のZ方向(縦方向)で、第1のマイクロレンズ112Aの配列方向は、図面のY方向(横方向)である。
【0085】
外側レンズ面113Aの光軸AXOは、内側レンズ面114Aの光軸AXLに対して偏心しており、Y方向の偏心をEYで表す。また、外側レンズ面113Aの光軸AXOは、内側レンズ面114Aの光軸AXLに対して傾斜しており、Y方向の傾斜をTYで表す。偏心EYと傾斜TYとの方向の関係は、第1実施形態と同様である。
【0086】
また、第1のレンズ板111AのY方向における一方の端部には、第1のレンズ板111Aを射出成形する際にできるバリであるゲート痕117Aが形成されている。ゲート痕117Aを図面の+Y方向の端部に配置した場合、傾斜TYは、−αの方向で、偏心EYは+Y方向となっている。
以上で、第2実施形態に係る画像形成装置の構成の説明を終了する。
【0087】
≪レンズアレイ成型用型の構成≫
次に、第2実施形態に係るプリンタ1000を構成するレンズアレイとしての第1のレンズ板111Aを成型するための型について説明する。図14は、第2実施形態に係るレンズアレイとしての第1のレンズ板111Aや第2のレンズ板111Bを成型する金型700の縦断面図である。
【0088】
レンズアレイ成型用型としての金型700は、第1の型としての上型702と、第2の型としての下型701とで構成される。下型701は、第1のレンズ面としての外側レンズ面113A,113Bの形状に対応する外側曲面713が形成され、外側レンズ面113A,113Bの形状を転写する。上型702は、第2のレンズ面としての内側レンズ面114A,114Bの形状に対応する内側曲面714が形成され、内側レンズ面114A,114Bの形状を転写する。図14では、外側曲面713の配列方向が図面のY方向(横方向)となっている。
【0089】
金型700の外側曲面713は、外側レンズ面113A,113Bの配列に対応するように配置され、内側曲面714は、内側レンズ面114A,114Bの配列に対応するように配置されている。このとき、外側曲面713は、内側曲面714に対して距離MEYだけ偏心して(ずらして)形成される。偏心MEYの方向は、ゲート717が+Y方向に配置され、外側曲面713が内側曲面714の−Z方向(下側)に配置されている場合に+Y方向となる。
【0090】
ここで、第1の型としての上型702に形成される第2のレンズ面としての内側レンズ面114Aの曲率は、第2の型としての下型701に形成される第1のレンズ面としての外側レンズ面113Aの曲率よりも小さい。このようにすることで、第1のレンズ板111A(図13参照)の外側レンズ面113Aの光軸AXOは、内側レンズ面114Aの光軸AXLに対してゲート717が配置されている方向と反対側(−Y方向)に傾斜する。詳細は、レンズアレイの製造方法で説明する。
【0091】
また、金型700の図面Y方向(横方向)端部には、第1のレンズ板111Aの素材を注入するゲート717が形成されている。ゲート717は、内側曲面714が形成される第1の型としての上型702寄りに形成される。
以上で、第2実施形態に係るレンズアレイ成型用型の構成の説明を終了する。
【0092】
≪レンズアレイの製造方法≫
次に、第2実施形態に係るレンズアレイとしての第1のレンズ板111Aの製造方法について説明する。図15は、第2実施形態に係るレンズアレイとしての第1のレンズ板111Aや第2のレンズ板111Bを製造するためのフローチャートである。
【0093】
図14に示すレンズアレイ成型用型としての金型700は、下型701と上型702とが組み合わされることで、外側曲面713と内側曲面714との間に囲まれた空間を形成する。最初に、軟化された素材を成型機によりゲート717を介してこの空間に注入される(ステップS10)。このとき、注入された素材は、成型機により高い圧力が加えられる。この圧力の加えられる方向は、図14に示すゲート717から反対側の端部に向かう方向(−Y方向)である。そのため、外側曲面713内に流入した素材には、外側曲面713の頂点(外側レンズ面113Aの頂点)が圧力の方向に倒れるような内部応力が発生する。すなわち、第1のレンズ板111Aの外側レンズ面113Aの頂点には、図13の−α方向に内部応力が働く。
【0094】
次に、上型702と下型701とを分離して、射出成型された第1のレンズ板111Aを金型700から取り出す(ステップS20)。このとき、第1のレンズ板111Aの素材は、比較的高温であり硬化していない。そのため、第1のレンズ板111Aの外側レンズ面113Aの頂点に対して−α方向に働いている内部応力を解放するように、成型された第1のレンズ板111Aの外側レンズ面113Aは、−α方向へ傾斜し、冷却が進むにつれ外側レンズ面113Aは−α方向へ傾斜した状態で徐々に硬化してゆく(ステップS030)。
【0095】
なお、内側曲面714内に流入した素材には、外側レンズ面113Aと同様に、内側曲面714の頂点(内側レンズ面114A)が圧力の方向に倒れるような内部応力が発生する。すなわち、第1のレンズ板111Aの内側レンズ面114Aの頂点には、図13の+α方向に内部応力が働く。そして、上型702と下型701とが分離されるときに、第1のレンズ板111Aの素材は比較的高温であり硬化していないため、+α方向に働いている内部応力を解放するように、成型された第1のレンズ板111Aの内側レンズ面114Aは、+α方向へ傾斜し、冷却が進むにつれ傾斜した状態で徐々に硬化してゆく。
しかしながら、上述したように、第1の型としての上型702に形成される第2のレンズ面としての内側レンズ面114Aの曲率は第2の型としての下型701に形成される第1のレンズ面としての外側レンズ面113Aの曲率よりも小さいので、内側レンズ面114Aの傾斜は、無視することができる。
【0096】
この結果、第1のレンズ板111Aの外側レンズ面113Aには、内側レンズ面114Aを基準として−α方向の傾斜TYが形成される(図13参照)。また、金型700の外側曲面713は、内側曲面714に対して偏心MEYとなるように構成されているので、第1のレンズ板111Aの外側レンズ面113Aは、内側レンズ面114Aを基準として+Y方向に偏心EYされて形成される(図13参照)。そのため、第2実施形態に係るレンズアレイとしての第1のレンズ板111Aは、第1実施形態に係る第1のレンズ板11Aの構成(Y方向)と同様の偏心及び傾斜が形成される。
【0097】
第2実施形態に係るレンズユニットの効果を検証するために、第2実施形態に係るレンズアレイの製造方法を用いてレンズユニットとしての第1のレンズ板111A及び第2のレンズ板111Bを作成したので説明する。作成したレンズユニットの各部位の寸法は、表1に示す通りである。
【0098】
【表1】

【0099】
レンズユニットとしての第1のレンズ板111A及び第2のレンズ板111Bに用いる材料は、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名:ZEONEX(ゼオネックス)E48R)で、ガラス転移温度は139℃である。射出成型の前工程として、射出成型に用いる材料を100℃で4時間真空乾燥し、窒素ガス雰囲気下で常温に戻した。
【0100】
射出成型に用いた射出成型機は、スクリュー径が26mm、ノズル径が2.5mm、型締め力が1000KNである。射出成型においては、スクリュー回転数を80rpm、背圧を80kg/cmで計量を行った。
【0101】
過熱筒の温度は、ノズル、前部、中間部、後部でそれぞれ、275℃、280℃、280℃、260℃としたが、ノズル、前部、中間部において270〜300℃、後部で250〜280℃としてもよい。射出速度は、70mm/秒としたが、20〜200mm/秒としてもよい。保圧開始時圧力は、1200kg/cmで、保圧時間は7秒としたが、それぞれ1000〜1500kg/cm、3〜10秒としてもよい。成型サイクルは、90秒であった。
【0102】
躯出成型したレンズ板111Aの内側レンズ面114Aを基準とした外側レンズ面113Aの傾斜TYを測定したところ、図13の−α方向に傾斜TY=0.1°であった。傾斜TYの測定は、超高精度三次元測定機UA−3P(パナソニック社製)を用いた。
【0103】
本実施形態のレンズユニット110のレンズ板111A,111Bとして、金型700の偏心MEY=0.002mmとして、あらためて射出成型を行った。射出成型後のレンズ板111A,111Bの偏心EYを測定したところ、EY=0.002mmであった。偏心EYの測定は、超高精度三次元測定機UA−3P(パナソニック社製)を用いた。ここで、MEYがレンズ径RLの「0.1%〜0.8%」の範囲内であれば同様の効果が得られる。
【0104】
次に作成したレンズユニット110の性能を評価した結果について述べる。レンズユニット110の性能の評価においては、LED素子30の配列間隔がPD=0.042mmであるLEDヘッド3を用いた。これは、1インチ(凡そ25.4mm)に600個のLED素子30が配列されており、いわゆる解像度は600dpi(Dot per inch)である。
【0105】
まず、作成したレンズユニット110を実装したLEDヘッド3によって形成されたLEDの結像の解像度を示すMTF(振輻伝達関数:Modulation Transfer Function)を測定したところ「92%」であった。
MTFとは、LEDヘッド3の結像30Cのコントラストを示す。100%でコントラストが最も大きく、パーセンテージが小さいほどコントラストは小さくなる。MTFは、結像の輝度の最大値IMAX、隣り合う2つの結像30Cの間の輝度の最小値をIMINとしたとき、式3のように定義される。
【0106】
【数3】

【0107】
MTFの測定においては、LED素子30の配列間隔PD=0.042mmであるLEDヘッド3を用いて、LED素子30のうち1個を点灯し隣接する1個を非点灯とするパターンで点灯させ、CCDカメラにより結像面IP上の結像30Cを撮影し、輝度分布を解析した。
【0108】
さらに、作成したレンズユニット110を実装したプリンタ1000を用いて、印刷画像を評価したところ、第2実施形態に係るレンズユニット110では良好な画像が得られた。プリンタ1000の印刷画像の評価については、図16を用いて説明する。印刷画像の評価において、LED素子30の配列間隔がPD=0.042mmであるプリンタ100を用いた。印刷画像は、図16の印刷ドット801と空白領域802により構成される。印刷ドット801はトナー像であり、空白領域802はトナーが付着せず、印刷用紙の表面が露出する領域である。印刷ドットの間隔PP=0.084mmで、1つおきに印刷ドット801と空白領域802を形成した印刷画像を形成し評価した。
以上で、第2実施形態に係るレンズアレイの製造方法の説明を終了する。
【0109】
以上のように、第2実施形態に係るレンズアレイ製造方法は、レンズ面が傾斜してしまっても解像度の低下が抑制されるようにレンズアレイを形成することができる。
【0110】
[第3実施形態]
第1実施形態では、レンズアレイを画像形成装置に適用する場合を説明した。第3実施形態では、レンズアレイを読取装置に適用する場合を説明する。
【0111】
≪読取装置の構成≫
図17を参照して、第3実施形態に係る読取装置としてのスキャナ500の構成を説明する。図17は、第3実施形態に係る読取装置としてのスキャナ500の縦断面図である。
【0112】
読取装置としてのスキャナ500は、原稿600の電子データを生成する。読取ヘッド400は、原稿600の表面で反射した光線を取り込み電子データに変換する。読取ヘッド400は、レール503上に移動可能に配置される。原稿600は、原稿台502上に配置される。原稿台502は、可視光線を透過する素材で構成される。照明装置としてのランプ501は、発せられた光線が原稿600表面で反射し、読取ヘッド400内に取り込まれるように配置される。駆動ベルト505は、複数のローラ504により張架され、駆動ベルト505の一部は、読取ヘッド400の一部に接続する。モータ506は、駆動ベルト505を駆動し、読取ヘッド400を移動させる。
【0113】
次に、図18を参照して、第3実施形態に係る読取ヘッド400の構成を説明する。なお、図18は、第3実施形態に係る読取ヘッド400の縦断面図である。ここで、第3実施形態に係る読取ヘッド400を構成するレンズユニットの構成は、第1実施形態に係るレンズユニット1又は第2実施形態に係るレンズユニット110と同様であってよい。ここでは、レンズユニットの構成は、第1実施形態に係るレンズユニット1の構成と同様である場合を説明する。
【0114】
ミラー402は、原稿600で反射された光線の光路を折曲する。レンズユニット1は原稿600の像を結像する。ラインセンサ401は、複数の受光素子が略直線状に配置されており、原稿600の結像を電気信号に変換する。
【0115】
また、図19に第1実施形態に係るレンズユニット1を読取装置としてのスキャナ500に用いた場合の構成を示す。なお、図19は、第3実施形態に係る読取ヘッド400の拡大縦断面図である。本実施形態では、レンズユニット1の物体面OPが原稿600となるように、また、結像面IPがラインセンサ401となるように配置される。
【0116】
≪読取装置の動作≫
<読取装置の読取動作>
図17を参照して、第3実施形態に係る読取装置としてのスキャナ500の読取動作について説明する。
ランプ501が点灯すると、ランプ501から放射された光線は、原稿600の表面で反射する。一方、モータ506は、駆動ベルト505を駆動して読取ヘッド400とランプ501とを図面の平行方向に移動する。それにより、読取ヘッド400は、原稿全面から反射した光線を取り込む。
【0117】
<読取ヘッドの動作>
次に、図18を参照して、読取ヘッド400の動作を説明する。原稿600で反射された光線は、原稿台502を透過し、ミラー402を用いて光路が折り曲げられ、レンズユニット1に入射する。原稿600の結像は、レンズユニット1によりラインセンサ401上に形成される。ラインセンサ401は、原稿600の結像を電気信号に変換する。
以上で、第3実施形態に係る読取装置の動作の説明を終了する。
【0118】
以上のように、第3実施形態に係る読取装置としてのスキャナ400は、レンズ面の傾斜による解像度の低下が抑制され、原稿どおりの画像データを得ることができる。
【0119】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に示す。
【0120】
(第1のレンズ面、第2のレンズ面)
第1実施形態において、第1のマイクロレンズ12Aの第1のレンズ面としての外側レンズ面13A及び第2のレンズ面としての内側レンズ面14Aや、第2のマイクロレンズ12Bの第1のレンズ面としての外側レンズ面13B及び第2のレンズ面としての内側レンズ面14Bは、球面で形成してもよい。また、これらのレンズ面は、アナモフィック非球面、XY多項式、放物面、楕円面、双曲面、コーニック面等の曲面で形成してもよい。第2実施形態、及び第3実施形態についても同様である。
【0121】
(レンズアレイ)
第1実施形態において、レンズアレイとしての第1のレンズ板11A及び第2のレンズ板11Bは、金型成型により形成されているが、樹脂を型に用いた型成型法でもよく、また、切削加工により第1のレンズ板11A及び第2のレンズ板11Bを形成してもよい。さらに、第1実施形態においては、第1のレンズ板11A及び第2のレンズ板11Bの素材は樹脂を用いているが、ガラスを用いてもよい。第2実施形態、及び第3実施形態についても同様である。
【0122】
(遮光板)
第1実施形態において、遮光板21は、ポリカーボネートを用いて、射出成型法により作成したがこの限りではなく、切削加工により作成してもよく、また、金属をエッチングするなどして作成してもよい。第2実施形態、及び第3実施形態についても同様である。
【0123】
(露光装置)
第1実施形態において、露光装置3として発光部であるLED素子30を複数配置したLEDアレイ300を用いたが、他にも、例えば有機ELを発光部にしてもよく、レーザーを用いた露光装置でもよい。第2実施形態についても同様である。
【0124】
(金型)
第2実施形態において、金型700は、外側曲面713と内側曲面714とがゲート717の方向に対して偏心して形成されていたが、金型700自体は偏心させずに、金型700に素材を注入後、外側曲面713と内側曲面714とがゲート717の方向に対して偏心するように上型702と下型701とをずらすようにしてもよい。
【0125】
(読取装置)
第3実施形態においては、原稿600を電子データに変換する読取装置としてのスキャナ400を例に説明したが、読取装置は、光学的信号を電気的信号に変換するセンサやスイッチ、及びそれらを用いた入出力装置、生態認証装置、通信装置、寸法測定器等であってもよい。
【符号の説明】
【0126】
1,110 レンズユニット
3 LEDヘッド(露光装置)
5 現像器
11A,11B,111A,111B レンズアレイ(第1のレンズアレイ、第2のレンズアレイ)
12A,12B,112A,112B マイクロレンズ(第1のマイクロレンズ、第2のマイクロレンズ)
13A,13B,113A 外側レンズ面(第1のレンズ面)
14A,14B,114A 内側レンズ面(第2のレンズ面)
21 遮光板
22 開口部
30 LED素子(発光部)
30A 物体
30B 中間像
30C 結像
41 感光体ドラム(像担持体)
42 帯電ローラ
117A ゲート痕
300 LEDアレイ
400 読取ヘッド
500 スキャナ(読取装置)
700 金型(レンズアレイ成型用型)
701 下型(第2の型)
702 上型(第1の型)
713 外側曲面(第1の曲面)
714 内側曲面(第2の曲面)
717 ゲート
100,1000 プリンタ(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイであって、
前記第1のレンズ面の傾斜による結像の位置ずれの方向が、前記第1のレンズ面の偏心による結像の位置ずれの方向と反対方向である、
ことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項2】
第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイであって、
前記第1のレンズ面が、前記第2のレンズ面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して形成され、さらに、
前記第1のレンズ面が、前記第2のレンズ面の光軸と前記第1のレンズ面の光軸とが前記第1のレンズ面側で交差する方向に偏心距離だけ偏心して形成され、
前記偏心距離は、前記第1のレンズ面の傾斜による結像の位置ずれの距離と、前記第1のレンズ面の偏心による結像の位置ずれの距離とが略一致する、
ことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項3】
右手系のXYZ座標において、
前記複数のレンズの配列方向をY方向とし、
前記第1のレンズ面を前記第2のレンズ面よりも−Z方向に配置し、
+X方向を右回りに回転する方向を+α方向(αは0以上の数)とした場合に、
前記第1のレンズ面の傾斜の方向は前記第2のレンズ面に対して−α方向であり、前記第1のレンズ面は前記第2のレンズ面に対して+Y方向に偏心している、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズアレイ。
【請求項4】
右手系のXYZ座標において、
前記複数のレンズの配列方向をY方向とし、
前記第1のレンズ面を前記第2のレンズ面よりも−Z方向に配置し、
+Y方向を右回りに回転する方向を+β方向(βは0以上の数)とした場合に、
前記第1のレンズ面の傾斜の方向は前記第2のレンズ面に対して+β方向であり、前記第1のレンズ面は前記第2のレンズ面に対して+X方向に偏心している、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項5】
右手系のXYZ座標において、
前記複数のレンズの配列方向をY方向とし、
前記第1のレンズ面を前記第2のレンズ面よりも−Z方向に配置した場合に、
前記レンズアレイの素材の注入口の形状が転写されたゲート痕が+Y方向の端部に形成され、前記第1のレンズ面は前記第2のレンズ面に対して+Y方向に偏心している、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項6】
第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイを対向して配置するレンズユニットであって、
物体側の前記レンズアレイを第1のレンズアレイ、結像側の前記レンズアレイを第2のレンズとしたとき、前記第1のレンズアレイが物体の縮小倒立像を形成すると共に、前記第2のレンズアレイが前記縮小倒立像の拡大倒立像を形成することにより、前記物体の正立等倍像を形成し、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して形成され、さらに、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面の光軸と前記第1のレンズ面の光軸とが前記第1のレンズ面側で交差する方向に偏心距離だけ偏心して形成され、
前記第1のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記縮小倒立像の位置ずれの距離と、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記縮小倒立像の位置ずれの距離とが略一致し、
前記第2のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記正立等倍像の位置ずれの距離と、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記正立等倍像の位置ずれの距離とが略一致する、
ことを特徴とするレンズユニット。
【請求項7】
右手系のXYZ座標において、
前記レンズの配列方向をY方向とし、前記物体に対する前記正立等倍像の方向を+Z方向とし、
前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面を前記第2のレンズ面よりも−Z方向に配置し、
+X方向を右回りに回転する方向を+α方向(αは0以上の数)とした場合に、
前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜の方向が前記第2のレンズ面に対して−α方向であり、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面は前記第2のレンズ面に対して+Y方向に偏心している、
ことを特徴とする請求項6に記載のレンズユニット。
【請求項8】
右手系のXYZ座標において、
前記レンズの配列方向をY方向とし、前記物体に対する前記正立等倍像の方向を+Z方向とし、
前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面を前記第2のレンズ面よりも−Z方向に配置し、
+Y方向を右回りに回転する方向を+β方向(βは0以上の数)とした場合に、
前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜の方向は前記第2のレンズ面に対して+β方向であり、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面は前記第2のレンズ面に対して+X方向に偏心している、
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のレンズユニット。
【請求項9】
右手系のXYZ座標において、
前記レンズの配列方向をY方向とし、前記物体に対する前記正立等倍像の方向を+Z方向とし、
前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面を前記第2のレンズ面よりも+Z方向に配置し、
+X方向を右回りに回転する方向を+α方向(αは0以上の数)とした場合に、
前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜の方向は前記第2のレンズ面に対して+α方向であり、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面は前記第2のレンズ面に対して+Y方向に偏心している、
ことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項10】
右手系のXYZ座標において、
前記レンズの配列方向をY方向とし、前記物体に対する前記正立等倍像の方向を+Z方向とし、
前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面を前記第2のレンズ面よりも+Z方向に配置し、
+Y方向を右回りに回転する方向を+β方向(βは0以上の数)とした場合に、
前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜の方向は前記第2のレンズ面に対して−β方向であり、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面は前記第2のレンズ面に対して+X方向に偏心している、
ことを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項11】
第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイを対向して配置するレンズユニットを有するLEDヘッドであって、
前記レンズユニットの物体側の前記レンズアレイを第1のレンズアレイ、結像側の前記レンズアレイを第2のレンズとしたとき、前記第1のレンズアレイが物体の縮小倒立像を形成すると共に、前記第2のレンズアレイが前記縮小倒立像の拡大倒立像を形成することにより、前記物体の正立等倍像を形成し、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して形成され、さらに、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面の光軸と前記第1のレンズ面の光軸とが前記第1のレンズ面側で交差する方向に偏心距離だけ偏心して形成され、
前記第1のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記縮小倒立像の位置ずれの距離と、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記縮小倒立像の位置ずれの距離とが略一致し、
前記第2のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記正立等倍像の位置ずれの距離と、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記正立等倍像の位置ずれの距離とが略一致する、
ことを特徴とするLEDヘッド。
【請求項12】
第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイを対向して配置するレンズユニットを有する露光装置であって、
前記レンズユニットの物体側の前記レンズアレイを第1のレンズアレイ、結像側の前記レンズアレイを第2のレンズとしたとき、前記第1のレンズアレイが物体の縮小倒立像を形成すると共に、前記第2のレンズアレイが前記縮小倒立像の拡大倒立像を形成することにより、前記物体の正立等倍像を形成し、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して形成され、さらに、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面の光軸と前記第1のレンズ面の光軸とが前記第1のレンズ面側で交差する方向に偏心距離だけ偏心して形成され、
前記第1のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記縮小倒立像の位置ずれの距離と、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記縮小倒立像の位置ずれの距離とが略一致し、
前記第2のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記正立等倍像の位置ずれの距離と、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記正立等倍像の位置ずれの距離とが略一致する、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項13】
第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイを対向して配置するレンズユニットを有する画像形成装置であって、
前記レンズユニットの物体側の前記レンズアレイを第1のレンズアレイ、結像側の前記レンズアレイを第2のレンズとしたとき、前記第1のレンズアレイが物体の縮小倒立像を形成すると共に、前記第2のレンズアレイが前記縮小倒立像の拡大倒立像を形成することにより、前記物体の正立等倍像を形成し、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して形成され、さらに、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面の光軸と前記第1のレンズ面の光軸とが前記第1のレンズ面側で交差する方向に偏心距離だけ偏心して形成され、
前記第1のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記縮小倒立像の位置ずれの距離と、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記縮小倒立像の位置ずれの距離とが略一致し、
前記第2のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記正立等倍像の位置ずれの距離と、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記正立等倍像の位置ずれの距離とが略一致する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイを対向して配置するレンズユニットを有する読取装置であって、
前記レンズユニットの物体側の前記レンズアレイを第1のレンズアレイ、結像側の前記レンズアレイを第2のレンズとしたとき、前記第1のレンズアレイが物体の縮小倒立像を形成すると共に、前記第2のレンズアレイが前記縮小倒立像の拡大倒立像を形成することにより、前記物体の正立等倍像を形成し、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して形成され、さらに、
前記第1のレンズ面は、前記第2のレンズ面の光軸と前記第1のレンズ面の光軸とが前記第1のレンズ面側で交差する方向に偏心距離だけ偏心して形成され、
前記第1のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記縮小倒立像の位置ずれの距離と、前記第1のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記縮小倒立像の位置ずれの距離とが略一致し、
前記第2のレンズアレイの前記偏心距離は、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の傾斜による前記正立等倍像の位置ずれの距離と、前記第2のレンズアレイの前記第1のレンズ面の偏心による前記正立等倍像の位置ずれの距離とが略一致する、
ことを特徴とする読取装置。
【請求項15】
第1のレンズ面と第2のレンズ面とで構成される複数のレンズが、前記第2のレンズ面の光軸に対して直角の方向に略直線状に配列されたレンズアレイを成型するレンズアレイ成型用型であって、
前記第1のレンズ面の形状を転写する複数の第1の曲面と、
前記第2のレンズ面の形状を転写する複数の第2の曲面と、
素材の注入口としてのゲートと、を有し、
右手系のXYZ座標において、
前記複数の第1の曲面及び前記複数の第2の曲面の配列方向をY方向とし、+Y方向の端部に前記ゲートを配置し、前記複数の第1の曲面を前記複数の第2の曲面よりも−Z方向に配置したとき、各々の前記第1の曲面は対応する前記第2の曲面に対して+Y方向に偏心している、
ことを特徴とするレンズアレイ成型用型。
【請求項16】
請求項15に記載のレンズアレイ成型用型に前記素材を注入する工程と、
冷却途中で前記複数の第1の曲面、及び前記複数の第2の曲面を有する型と前記素材とを分離する工程と、
前記分離された素材を常温まで冷却する工程と、
を備えることを特徴とするレンズアレイ製造方法。
【請求項17】
第1のレンズ面を転写するための第1の型と、
第2のレンズ面を転写するための第2の型と、
前記第1の型と前記第2の型に素材を注入するゲートと、
を有する金型を用いたレンズアレイ製造方法であって、
前記第1のレンズ面と前記第2のレンズ面とを前記ゲートの方向に対してずらして、前記素材を成型することを特徴とするレンズアレイ製造方法。
【請求項18】
前記素材を成形する成形工程は、
前記金型に前記素材を注入する工程と、
冷却途中で前記複数の第1の曲面、及び前記複数の第2の曲面を有する金型と前記素材とを分離する工程と、
前記分離された素材を常温まで冷却する工程と、
を備えることを特徴とするレンズアレイ製造方法。
【請求項19】
前記第2のレンズ面の曲率は、前記第1のレンズ面の曲率よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項16乃至請求項18の何れか1項に記載のレンズアレイ製造方法。
【請求項20】
第1のレンズ面を転写するための第1の型と、
第2のレンズ面を転写するための第2の型と、
前記第1の型と前記第2の型に素材を注入するゲートと、
を有する金型を用いたレンズアレイ製造方法によって成型されたレンズアレイであって、
前記レンズアレイ製造方法は、
前記第1のレンズ面と前記第2のレンズ面とを前記ゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項21】
第1のレンズ面を転写するための第1の型と、
第2のレンズ面を転写するための第2の型と、
前記第1の型と前記第2の型に素材を注入するゲートと、
を有する金型を用いたレンズアレイ製造方法によって成型されたレンズアレイを有するLEDヘッドであって、
前記レンズアレイ製造方法は、
前記第1のレンズ面と前記第2のレンズ面とを前記ゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたことを特徴とするLEDヘッド。
【請求項22】
第1のレンズ面を転写するための第1の型と、
第2のレンズ面を転写するための第2の型と、
前記第1の型と前記第2の型に素材を注入するゲートと、
を有する金型を用いたレンズアレイ製造方法によって成型されたレンズアレイを有する画像形成装置であって、
前記レンズアレイ製造方法は、
前記第1のレンズ面と前記第2のレンズ面とを前記ゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
第1のレンズ面を転写するための第1の型と、
第2のレンズ面を転写するための第2の型と、
前記第1の型と前記第2の型に素材を注入するゲートと、
を有する金型を用いて成型されたレンズアレイであって、
前記第1のレンズ面と前記第2のレンズ面とを前記ゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項24】
第1のレンズ面を転写するための第1の型と、
第2のレンズ面を転写するための第2の型と、
前記第1の型と前記第2の型に素材を注入するゲートと、
を有する金型を用いて成型されたレンズアレイを有するLEDヘッドであって、
前記第1のレンズ面と前記第2のレンズ面とを前記ゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたことを特徴とするLEDヘッド。
【請求項25】
第1のレンズ面を転写するための第1の型と、
第2のレンズ面を転写するための第2の型と、
前記第1の型と前記第2の型に素材を注入するゲートと、
を有する金型を用いて成型されたレンズアレイを有する画像形成装置であって、
前記第1のレンズ面と前記第2のレンズ面とを前記ゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項26】
第1のレンズ面を転写する第1の型と第2のレンズ面を転写する第2の型とを素材を注入するゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項27】
第1のレンズ面を転写する第1の型と第2のレンズ面を転写する第2の型とを素材を注入するゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたレンズアレイを有することを特徴とするLEDヘッド。
【請求項28】
第1のレンズ面を転写する第1の型と第2のレンズ面を転写する第2の型とを素材を注入するゲートの方向に対してずらして、前記素材が成型されたレンズアレイを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−25110(P2013−25110A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160165(P2011−160165)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】