説明

レンズアレイ素子、および画像表示装置

【課題】画面を縦長の状態として用いるか横長の状態で用いるかに拘わらず3次元表示を可能にし、さらに、画面上に2次元表示モードの領域と3次元表示モードの領域とを同時に設ける。
【解決手段】同図Aの使用状態を実現するには、第1の電極群16に接続されているスイッチのXライン発生部31側をオンとし、接地側をオフとする。また、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側の2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域に対応するスイッチ33LXをオン、スイッチ33SXをオフとする。さらに、接地側の2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域に対応するスイッチ34LXをオフ、スイッチ34SXをオンとする。本発明は、小型ディスプレイを備えるスマートフォン等に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイ素子、および画像表示装置に関し、特に、3次元表示を実現するためのレンズ効果の発生を電気的に制御するようにしたレンズアレイ素子、および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観察者の左右の眼に視差を生じさせた視差画像を見せることにより立体視を実現する方法が知られており、観察者が立体視を実現するための専用のメガネを用いる必要がある方法と当該メガネを必要としない方法とが知られている。
【0003】
当該メガネを必要とする方法は、例えば、映画館における上映設備やテレビジョン受像機に適用されている。当該メガネを必要としない方法は、テレビジョン受像機の他、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ネットブックコンピュータなどのような携帯可能な電子機器のディスプレイに適用されることが想定される。
【0004】
当該メガネを必要としない方法の具体的な実現方法としては、液晶ディスプレイなどの2次元表示装置の画面上に、2次元表示装置からの表示画像光を複数の視野角方向に偏向させる3次元表示用の光学デバイスとを組み合わせたものを挙げることができる。
【0005】
3次元表示用の光学デバイスとしては、複数のシリンドリカルレンズ(円筒レンズ)を並列配置したレンズアレイが知られている。例えば2眼式の立体視の場合、左右の眼に異なる視差画像を見せることにより観察者の視覚に対して立体感が得られる。よって、これを実現するため、2次元表示装置の表示面に対して、縦方向に延在するシリンドリカルレンズを横方向に複数並列配置し、2次元表示装置からの表示画像光を左右方向に偏向させ、左右の視差画像が適切に観察者の左右の眼に到達するようになされている。
【0006】
シリンドリカルレンズの他には、液晶レンズによる切り替え式のレンズアレイ素子(以下、液晶レンズアレイ素子と称する)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この液晶レンズアレイ素子は、シリンドリカルレンズと同等のレンズ効果の有無を電気的に切り替えることができる。したがって、2次元表示装置の画面上に液晶レンズアレイ素子を設けることにより、レンズ効果無しの状態による2次元表示モードと、レンズ効果有りの状態による3次元表示モードの2つの表示モードを切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−9370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、液晶レンズアレイ素子を用いた3次元表示は、スマートフォン等の携帯可能な電子機器に適用することが想定されるが、その場合、以下の要望を実現することが望ましい。
【0010】
すなわち、当該電子機器のディスプレイは、その表示状態を、縦長の状態(画面の縦横比率が縦の方が大きい状態)と、横長の状態(画面の縦横比率が横の方が大きい状態)とに切り替えて使用可能なものが存在する。したがって、ディスプレイの状態に拘わらず、3次元表示を実現できるようにしたいという要望がある。
【0011】
それに加え、全画面を一括して2次元表示モードまたは3次元表示モードのいずれかに切り替えるだけでなく、画面上に2次元表示モードの領域と3次元表示モードの領域とを同時に設けられるようにすれば便利である。
【0012】
一般に、3次元表示は2次元表示に比べて解像度が落ちるため、高い解像度が要求される映像部分については2次元表示モードとし、その他の部分については3次元表示モードとすることが考えられる。また、3次元表示でなくとも良い部分を含む映像素材を表示する領域を、部分的に2次元表示モードにすることが考えられる。例えば、字幕付きの映画を3次元表示する場合に、字幕の部分については2次元表示にすることなどが考えられる。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、画面の向き(縦長の状態で用いるか、横長の状態で用いるか)に拘わらず、3次元表示を可能にし、且つ、画面上に2次元表示モードの領域と3次元表示モードの領域とを同時に設けられるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の側面であるレンズアレイ素子は、間隔を空けて互いに対向配置された第1および第2の基板と、前記第1の基板上における前記第2の基板に対向する側に形成され、第1の方向に延在する複数の電極が幅方向に間隔を空けて並列配置されて成る第1の電極群と、前記第1の電極群に対して電圧を印加する第1の電圧発生部と前記第1の電極群の各電極と接続する第1のスイッチ群と、前記第2の基板上における前記第1の基板に対向する側に形成され、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する複数の電極が幅方向に間隔を空けて並列配置されて成る第2の電極群と、前記第2の電極群に対して電圧を印加する第2の電圧発生部と前記第2の電極群の各電極と接続する第2のスイッチ群と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、屈折率異方性を有する液晶分子を含み、前記第1の電極群と前記第2の電極群とに印加される電圧に応じて前記液晶分子の配列方向が変化することでレンズ効果が発生する液晶層とを備え、前記第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、前記第1または第2の方向と平行な任意の線を境とし、前記液晶層のレンズ効果が変化する。
【0015】
前記液晶層は、前記第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、前記第1または第2の方向と平行な任意の線を境とし、前記第1の電極群と前記第2の電極群とに印加される電圧の状態に応じて、レンズ効果の無い状態、前記第1の方向に延在するような第1のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する第1のレンズ状態、または前記第2の方向に延在するような第2のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する第2のレンズ状態のいずれかの状態に電気的に切り替わるようにすることができる。
【0016】
前記液晶層は、前記第1の電極群を構成する複数の電極と前記第2の電極群を構成する複数の電極とが同電位であるとき、レンズ効果の無い状態となり、前記第1の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第2の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第2のシリンドリカルレンズのレンズピッチに相当する位置にある電極のみに選択的に駆動電圧を印加するとき、前記第2のレンズ状態になり、前記第2の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第1の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1のシリンドリカルレンズのレンズピッチに相当する位置にある電極のみに選択的に駆動電圧を印加するとき、前記第1のレンズ状態になるようにすることができる。
【0017】
前記第1の電極群は、第1の幅を有して前記第1の方向に延在する第1の電極と、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有して前記第1の方向に延在する第2の電極とをそれぞれ複数有し、前記第1の電極と前記第2の電極とが交互に並列配置されて構成され、前記第2の電極群は、第1の幅を有して前記第2の方向に延在する第1の電極と、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有して前記第2の方向に延在する第2の電極とをそれぞれ複数有し、前記第1の電極と前記第2の電極とが交互に並列配置されて構成されているようにすることができる。
【0018】
前記液晶層は、前記第1の電極群を構成する複数の電極と前記第2の電極群を構成する複数の電極とが同電位であるとき、レンズ効果の無い状態となり、前記第1の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第2の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に駆動電圧を印加するとき、前記第2のレンズ状態になり、前記第2の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第1の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に駆動電圧を印加するとき、前記第1のレンズ状態になるようにすることができる。
【0019】
前記液晶層は、前記第2の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に駆動電圧を印加し、かつ前記第2の電極を接地させたとき、前記第2のレンズ状態になり、前記第1の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に駆動電圧を印加し、かつ前記第2の電極を接地させたとき、前記第1のレンズ状態になるようにすることができる。
【0020】
前記液晶層は、前記第1の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第2の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に第2の駆動電圧を印加するとき、前記第2のレンズ状態になり、前記第2の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第1の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に第1の駆動電圧を印加するとき、前記第1のレンズ状態になり、前記第1の駆動電圧と前記第2の駆動電圧は、電圧振幅が同一の矩形波であって、かつ、互いの位相が180°異なっているようにすることができる。
【0021】
前記第1の電極群を構成する前記第1の電極は、前記第1のシリンドリカルレンズのレンズピッチに相当する間隔で配置され、前記第2の電極群を構成する前記第1の電極は、前記第2のシリンドリカルレンズのレンズピッチに相当する間隔で配置されているようにすることができる。
【0022】
前記第1の方向と前記第2の方向とは互いに直交する方向であり、前記液晶層は、前記第1の方向にレンズ効果のある状態または前記第2の方向にレンズ効果のある状態に電気的に切り替えられるようにすることができる。
【0023】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して(90°−θ)で交わる方向であり、前記液晶層は、前記第1の方向にレンズ効果のある状態または前記第2の方向にレンズ効果のある状態に電気的に切り替えられるようにすることができる。
【0024】
前記θは、tan−1θ=1/3を満たすようにすることができる。
【0025】
本発明の第1の側面であるレンズアレイ素子においては、第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、第1または第2の方向と平行な任意の線を境とし、液晶層のレンズ効果が変化される。
【0026】
本発明の第2の側面である画像表示装置は、画像表示を行う表示部と、前記表示部の表示面側に対向配置され、前記表示部からの光線の通過状態を選択的に変化させるレンズアレイ素子と、前記レンズアレイ素子が対向配置された前記表示パネルが使用される向きを検知する検知手段と、表示の境界を設定する設定手段と、スイッチを制御するスイッチ制御手段とを備え、前記レンズアレイ素子は、間隔を空けて互いに対向配置された第1および第2の基板と、前記第1の基板上における前記第2の基板に対向する側に形成され、第1の方向に延在する複数の電極が幅方向に間隔を空けて並列配置されて成る第1の電極群と、前記第1の電極群に対して電圧を印加する第1の電圧発生部と前記第1の電極群の各電極と接続する第1のスイッチ群と、前記第2の基板上における前記第1の基板に対向する側に形成され、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する複数の電極が幅方向に間隔を空けて並列配置されて成る第2の電極群と、前記第2の電極群に対して電圧を印加する第2の電圧発生部と前記第2の電極群の各電極と接続する第2のスイッチ群と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、屈折率異方性を有する液晶分子を含み、前記第1の電極群と前記第2の電極群とに印加される電圧に応じて前記液晶分子の配列方向が変化することでレンズ効果が発生する液晶層とを備え、前記スイッチ制御手段が、検知された前記表示パネルが使用される向き、または設定された前記表示の境界の少なくとも一方に基づき、前記第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、前記第1または第2の方向と平行な任意の線を境とし、前記液晶層のレンズ効果が変化する。
【0027】
前記液晶層は、前記第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、前記第1または第2の方向と平行な、前記境界を境とし、前記第1の電極群と前記第2の電極群とに印加される電圧の状態に応じて、レンズ効果の無い状態、前記第1の方向に延在するような第1のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する第1のレンズ状態、または前記第2の方向に延在するような第2のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する第2のレンズ状態のいずれかの状態に電気的に切り替わるようにすることができる。
【0028】
前記レンズアレイ素子において、前記レンズ効果の無い状態、または前記第1のレンズ状態若しくは前記第2のレンズ状態とを切り替えることにより、2次元表示または3次元表示とが電気的に切り替わるようにすることができる。
【0029】
前記レンズアレイ素子を、前記レンズ効果の無い状態として、前記表示パネルからの表示画像光を偏向させることなく透過させることで2次元表示を行い、前記第1のレンズ状態として、前記表示パネルからの表示画像光を前記第1の方向に直交する方向に偏向させることで、前記第1の方向に直交する方向に両眼を置いたときに立体感が得られる3次元表示を行い、前記第2のレンズ状態として、前記表示パネルからの表示画像光を前記第2の方向に直交する方向に偏向させることで、前記第2の方向に直交する方向に両眼を置いたときに立体感が得られる3次元表示を行うようにすることができる。
【0030】
本発明の第2の側面である画像表示装置においては、スイッチ制御手段により、検知された表示パネルが使用される向き、または設定された表示の境界の少なくとも一方に基づき、第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、第1または第2の方向と平行な任意の線を境とし、液晶層のレンズ効果が変化される。
【発明の効果】
【0031】
本発明の第1の側面によれば、画面の向きに拘わらず、3次元表示を可能にし、さらに、画面上に2次元表示モードの領域と3次元表示モードの領域とを同時に設けることが可能なレンズ効果を得ることができる。
【0032】
本発明の第2の側面によれば、画面の向きに拘わらず、3次元表示を可能にし、さらに、画面上に2次元表示モードの領域と3次元表示モードの領域とを同時に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を適用したスマートフォンの外観図である。
【図2】液晶レンズアレイ素子の構成例を示す断面図である。
【図3】液晶レンズアレイ素子の第1および第2の電極群を示す斜視図である。
【図4】液晶レンズアレイ素子の第1および第2の電極群を示す斜視図である。
【図5】液晶レンズアレイ素子を制御するための構成例を示すブロック図である。
【図6】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図7】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図8】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図9】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図10】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図11】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図12】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図13】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図14】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図15】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態を示す図である。
【図16】ディスプレイの利用状態に対応するスイッチの切り替え制御の状態をまとめた図である。
【図17】Xライン発生部およびYライン発生部における発生電圧の波形を示す図である。
【図18】表示パネルの一例を示す図である。
【図19】第1乃至第3の実施例に対応する第1の電極群と第2の電極群の角度を示す図である。
【図20】第4乃至第6の実施例に対応する第1の電極群と第2の電極群の角度を示す図である。
【図21】第1乃至第6の実施例におけるパラメータの値を示す図である。
【図22】3次元表示の評価方法を説明する図である。
【図23】第1乃至第6の実施例に対する評価を示す図である。
【図24】液晶レンズアレイ素子の電極構造の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
<1.実施の形態>
[スマートフォンの構成例]
図1は、本発明の実施の形態であるスマートフォンの外観を示している。このスマートフォン1には、縦横の長さが異なるディスプレイ2が設けられている。ディスプレイ2は、2次元表示装置である表示パネル20と、その画面上に設けられた液晶レンズアレイ素子10(いずれも図2)とにより構成される。
【0036】
このスマートフォン1は、本体を立てた状態、すなわち、ディスプレイ2を同図Aに示されるような縦長の状態で使用できる。また、本体を90度横に傾けた状態、すなわち、同図Cに示すような横長の状態でも使用することもできる。当然ながら、ディスプレイ2の表示内容の角度は、ディスプレイ2の傾きを打ち消す方向に調整される。したがって、スマートフォン1のユーザ(観察者)は、本体の傾きに拘わらず、表示される情報を不自然さなく見ることができる。
【0037】
また、同図Bに示すように、ディスプレイ2を縦長の状態とし、その上側の領域2−1を2次元表示モード、その下側の領域2−2を3次元表示モードとして使用することができる。これにより、例えば、ディスプレイ2の上側の領域2−1にカレンダや時計を2次元表示させることができ、それと同時に、その下側の領域2−2に写真などを3次元表示することができる。なお、上側の領域2−1と、下側の領域2−2の境界線は任意の位置に設けることができる。また、上側の領域2−1を3次元表示モード、下側の領域2−2を2次元表示モードとして使用することができる。
【0038】
さらに、同図Cに示すように、ディスプレイ2を横長の状態とし、その右側の領域2−3を2次元表示モード、その左側の領域2−4を3次元表示モードとして使用することができる。これにより、例えば、ディスプレイ2の右側の領域2−3に任意の文字情報を2次元表示させることができ、それと同時に、その左側の領域2−4にゲームなどの画面を3次元表示することができる。なお、右側の領域2−3と、左側の領域2−4の境界線は任意の位置に設けることができる。また、右側の領域2−3を3次元表示モード、左側の領域2−4を2次元表示モードとして使用することができる。
【0039】
[液晶レンズアレイ素子10の構成例]
図2は、ディスプレイ2を構成する液晶レンズアレイ素子10の断面図を示している。
【0040】
同図に示すように、液晶レンズアレイ素子10は、表示パネル20の表示面20A上に設けられる。
【0041】
液晶レンズアレイ素子10は、表示モードに応じてレンズ効果を制御することで、表示パネル20からの光線の通過状態を選択的に変化させる。表示パネル20は、例えば液晶表示ディスプレイ、有機ELなどで構成することができる。そして、表示パネル20は、2次元表示モードの領域には2次元画像データに基づく映像表示を行い、3次元表示モードの領域には3次元画像データに基づく映像表示を行う。なお、3次元画像データとは、例えば、3次元表示における複数の視野角方向に対応した複数の視差画像を含むデータであり、2眼式の3次元表示を行う場合、右眼表示用と左眼表示用の視差画像のデータを指す。
【0042】
液晶レンズアレイ素子10は、間隔dを空けて互いに対向配置された第1の基板14および第2の基板17、並びにそれらの間に配置された液晶層11を備えている。
【0043】
第1の基板14および第2の基板17は、例えば、ガラス材料または樹脂材料などより成る透明基板である。第1の基板14上における第2の基板17に対向する側には、第1の方向(同図のX軸方向)に延在する複数の透明電極が幅方向(同図のY軸方向)に間隔を空けて並列配置された第1の電極群16が形成されている。第1の基板14上にはまた、第1の電極群16を介して配向膜15が形成されている。
【0044】
同様に、第2の基板17上における第1の基板14に対向する側には、第1の方向とは異なる第2の方向(同図のY軸方向)に延在する複数の透明電極が幅方向(同図のX軸方向)に間隔を空けて並列配置されてなる第2の電極群19が形成されている。第2の基板17上にはまた、第2の電極群19を介して配向膜18が形成されている。
【0045】
液晶層11は、液晶分子13を含み、第1の電極群16と第2の電極群19とに印加される電圧に応じて液晶分子13の配列方向が変化することでレンズ効果が制御されるようになされている。また、液晶層11は、第1の電極群16と第2の電極群19とに印加される電圧の状態に応じて、液晶レンズアレイ素子10を領域毎に、レンズ効果の無い状態と、第1のレンズ状態と、第2のレンズ状態との3つの状態に電気的に切り替えることができる。
【0046】
液晶分子13は、屈折率異方性を有し、例えば長手方向と短手方向とで通過光線に対して屈折率の異なる屈折率楕円体の構造を有している。第1のレンズ状態は、第1の方向に延在するような第1のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する状態である。第2のレンズ状態は、第2の方向に延在するような第2のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する状態である。
【0047】
以下、本実施の形態では、上記第1の方向を図1のX方向(紙面の横方向)、上記第2の方向を図1のY方向(紙面に直交する方向)として説明する。X方向とY方向は、基板面内で互いに直交する方向である。ただし、X方向とY方向とが直行しない場合もある。その場合については、図20を参照して後述する。
【0048】
[液晶レンズアレイ素子10の電極構造]
図3および図4は、液晶レンズアレイ素子10の電極構造を示している。なお、図3は、図1および図4とは上下を逆にした状態、すなわち、第1の基板14を上側に、第2の基板17を下側にした状態を示している。
【0049】
第1の基板14に設けられた第1の電極群16は、複数の透明電極として、電極幅が異なる2種類の電極を交互に並列配置して構成されている。すなわち、第1の電極群16は、X方向第1電極(第1の電極16LY)と、X方向第2電極(第2の電極16SY)とをそれぞれ複数有し、第1の電極16LYと第2の電極16SYとが交互に並列配置されて構成される。
【0050】
第1の電極16LYは、第1の幅Lyを有して第1の方向(X方向)に延在している。第2の電極16SYは、第1の幅Lyよりも広い第2の幅Syを有して第1の方向に延在している。第1の電極16LYは、レンズ効果として発生する第1のシリンドリカルレンズのレンズピッチpに相当する周期間隔で、複数、並列配置されている。第1の電極16LYと第2の電極16SYは、間隔aの幅を空けて配置されている。
【0051】
そして、図4に示すように、第1の方向に延伸された第1の電極16LYの一端は、スイッチ33LYを介して、第1の電極群16に対して所定の電圧を印加するためのXライン発生部31に接続されており、他端はスイッチ34LYを介して接地されている。また、第2の電極16SYの一端も、スイッチ33SYを介してXライン発生部31に接続されており、他端はスイッチ34SYを介して接地されている。
【0052】
同様に、第2の電極群19も、複数の透明電極として、電極幅が異なる2種類の電極を交互に並列配置して構成されている。すなわち、第2の電極群19は、Y方向第1電極(第1の電極19LX)と、Y方向第2電極(第2の電極19SX)とをそれぞれ複数有し、第1の電極19LXと第2の電極19SXとが交互に並列配置されて構成される。
【0053】
第1の電極19LXは、第1の幅Lxを有して第2の方向(Y方向)に延在している。第2の電極22Yは、第1の幅Lxよりも広い第2の幅Sxを有して第2の方向に延在している。第1の電極19LXは、レンズ効果として発生する第2のシリンドリカルレンズのレンズピッチpに相当する周期間隔で、複数、並列配置されている。第2の電極21Yと第2の電極22Yは、間隔aの幅を空けて配置されている。
【0054】
そして、図4に示すように、第2の方向に延伸された第2の電極19LXの一端は、スイッチ33LXを介して、第2の電極群19に対して所定の電圧を印加するためのYライン発生部32に接続されており、他端はスイッチ34LXを介して接地されている。また、第2の電極19SXの一端も、スイッチ33SXを介してYライン発生部32に接続されており、他端はスイッチ34SXを介して接地されている。
【0055】
上述した構成において、Xライン発生部31およびYライン発生部32により所定の電圧を発生し、スイッチ33LYおよび34LY、スイッチ33SYおよび34SY、スイッチ33LXおよび34LX、並びにスイッチ33SXおよび34SXを適切に切り替えることにより、液晶レンズアレイ素子10の任意の領域を2次元表示モード、または3次元表示モードに設定することができる。
【0056】
なお、Xライン発生部31およびYライン発生部32により所定の電圧を発生しないことにより、すなわち、液晶レンズアレイ素子10に電力を供給しないことにより、液晶レンズアレイ素子10の全領域をその向きに拘わらず2次元表示モードに設定することができる。
【0057】
スマートフォン1の一般的な使用状況を考慮した場合、液晶レンズアレイ素子10の全領域を2次元表示モードに設定した状態が、使用時間のうちの最も長い時間を占めるものと想定される。したがって、液晶レンズアレイ素子10に常時電力を給電する場合に比較して、電力の消費を抑えることができる。
【0058】
[液晶レンズアレイ素子10の製造]
液晶レンズアレイ素子10の製造を行う場合には、ガラス材料などから成る第1の基板14および第2の基板17のそれぞれに、例えばITO(IndiumTin Oxide)膜などの透明導電膜を所定のパターンで形成して第1の電極群16および第2の電極群19を形成する。配向膜15および23は、ポリイミド等の高分子化合物を布で一方向に擦るラビング法や、SiO等の斜方蒸着法などにより形成する。これにより、液晶分子13の長軸を一方向に配向させることができる。
【0059】
配向膜15,23上には、第1の基板14と第2の基板17との間隔dを一様に保つために、シール材にガラス材料または樹脂材料からなるスペーサ12を分散配置させたものを印刷する。そして、第1の基板14と第2の基板17とを貼り合わせ、スペーサ入りのシール材を硬化させる。その後に、所定の液晶材料をシール材開口部から第1の基板14と第2の基板17との間に注入し、シール材開口部を封止する。そして、液晶組成物を等方相まで加熱してから、徐冷することにより、液晶レンズアレイ素子10を完成させる。
【0060】
なお、液晶レンズアレイ素子10においては、液晶分子13の屈折率異方性Δnが大きいほど、より大きいレンズ効果を得ることができるので、液晶材料をそのような内容組成にすることが好ましい。一方で、屈折率異方性Δnが大きい液晶組成物の場合、かえって液晶組成物の物性を損ね、粘性が増加してしまう。これにより、基板間への注入が困難となったり、低温では結晶に近い状態になったり、内部電界が増大し、液晶素子の駆動電圧が高くなってしまうことがある。このため、液晶材料の内容組成は、製造性とレンズ効果との双方を考慮して決定することが好ましい。液晶材料の具体的な内容組成については、後述する実施例において詳述する。
【0061】
[液晶レンズアレイ素子制御部40の構成例]
次に、図5は、液晶レンズアレイ素子10を制御するためにスマートフォン1の内部に設けられる液晶レンズアレイ素子制御部の構成例を示している。
【0062】
この液晶レンズアレイ素子制御部40は、傾きセンサ41、操作入力部42、統制部43、Xライン電圧制御部44、Yライン電圧制御部45、およびスイッチ制御部46から構成される。
【0063】
傾きセンサ41は、スマートフォン1の本体の傾きを検出し、その検出結果を統制部43に通知する。操作入力部42は、例えば、2次元表示モードまたは3次元表示モードを選択したり、各表示モードとする領域の境を指定したり、ディスプレイ2の表示方向を指定するなどのユーザの操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号を統制部43に出力する。
【0064】
統制部43は、傾きセンサ41の検出結果および操作入力部42からの操作信号に従い、ディスプレイ2の表示方向を決定するとともに、ディスプレイ2の画面上の2次元表示モードの領域と、3次元表示モードの領域を決定する。なお、ユーザの操作に基づく操作信号に依存せず、傾きセンサ41の検出結果と実行中のアプリケーションからの制御に従って、それらを決定することもできる。さらに、統制部43は、その決定に基づいて、Xライン電圧制御部44、Yライン電圧制御部45、およびスイッチ制御部46を制御する。
【0065】
Xライン電圧制御部44は、統制部43からの制御に従い、Xライン発生部31を制御して所定の電圧を発生させる。Yライン電圧制御部45は、統制部43からの制御に従い、Yライン発生部31を制御して所定の電圧を発生させる。スイッチ制御部46は、統制部43からの制御に従い、第1の電極群16および第2の電極群19に接続されているスイッチ33LYおよび34LY、スイッチ33SYおよび34SY、スイッチ33LXおよび34LX、並びにスイッチ33SXおよび34SXを切り替える。
【0066】
[ディプレイ2の状態と表示モードに対応するスイッチ制御]
次に、ディプレイ2の状態(縦長の状態で使用するか、または横長の状態で使用するか)と表示モード(2次元表示モード、または3次元表示モード)に対応するスイッチ33LYおよび34LY、スイッチ33SYおよび34SY、スイッチ33LXおよび34LX、並びにスイッチ33SXおよび34SXの状態について、図6乃至図16を参照して説明する。なお、図6乃至図15におけるXライン発生部31およびYライン発生部32は、それぞれ所定の電圧(図17を参照して後述)を発生しているものとする。
【0067】
図6Aに示すように、ディプレイ2を横長の状態で使用し、その全面を3次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されている全てのスイッチをオンとし、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側のスイッチ33SXと、接地側のスイッチ34LXをオフとし、その他をオンとする。
【0068】
図7Aに示すように、ディプレイ2を縦長の状態で使用し、その全面を3次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側のスイッチ33SYと、接地側のスイッチ34LYをオフとし、その他をオンとする。また、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側の全てのスイッチをオフとする。
【0069】
図8Aに示すように、ディプレイ2を横長の状態で使用し、その右側の領域を3次元表示モード、その左側の領域を2次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側の全てのスイッチをオンとし、接地側の全てのスイッチをオフとする。また、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側の2次元表示モードとする領域(同図Bで左斜め下側)に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域(同図Bで右斜め上側)に対応するスイッチ33LXをオン、スイッチ33SXをオフとする。さらに、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、接地側の2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域に対応するスイッチ34LXをオフ、スイッチ34SXをオンとする。
【0070】
図9Aに示すように、ディプレイ2を横長の状態で使用し、その右側の領域を2次元表示モード、その左側の領域を3次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側の全てのスイッチをオンとし、接地側の全てのスイッチをオフとする。また、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側の2次元表示モードとする領域(同図Bで右斜め上側)に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域(同図Bで左斜め下側)に対応するスイッチ33LXをオン、スイッチ33SXをオフとする。さらに、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、接地側の2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域に対応するスイッチ34LXをオフ、スイッチ34SXをオンとする。
【0071】
図10Aに示すように、ディプレイ2を横長の状態で使用し、その上側の領域を3次元表示モード、その下側の領域を2次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側のスイッチの3次元表示モードとする領域(同図Bで左斜め上側)に対応するものについてはオンとし、2次元表示モードとする領域(同図Bで右斜め下側)に対応するものについてはオフとする。また、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチの3次元表示モードとする領域に対応するものについてはオフとし、2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオンとする。さらに、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側のスイッチ33LXをオン、スイッチ33SXをオフとする。また、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチ34LXをオフ、スイッチ34SXをオンとする。
【0072】
図11Aに示すように、ディプレイ2を横長の状態で使用し、その上側の領域を2次元表示モード、その下側の領域を3次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側のスイッチの3次元表示モードとする領域(同図Bで右斜め下側)に対応するものについてはオンとし、2次元表示モードとする領域(同図Bで左斜め上側)に対応するものについてはオフとする。また、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチの3次元表示モードとする領域に対応するものについてはオフとし、2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオンとする。さらに、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側のスイッチ33LXをオン、スイッチ33SXをオフとする。また、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチ34LXをオフ、スイッチ34SXをオンとする。
【0073】
図12Aに示すように、ディプレイ2を縦長の状態で使用し、その上側の領域を2次元表示モード、その下側の領域を3次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側のスイッチ33LYをオン、スイッチ33SYをオフとする。また、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチ34LYをオフ、スイッチ34SYをオンとする。さらに、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側のスイッチの2次元表示モードとする領域(同図Bで右斜め上側)に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域(同図Bで左斜め下側)に対応するものについてはオンとする。また、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチの2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオンとし、3次元表示モードとする領域に対応するものについてはオフとする。
【0074】
図13Aに示すように、ディプレイ2を縦長の状態で使用し、その上側の領域を3次元表示モード、その下側の領域を2次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側のスイッチ33LYをオン、スイッチ33SYをオフとする。また、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチ34LYをオフ、スイッチ34SYをオンとする。さらに、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側のスイッチの2次元表示モードとする領域(同図Bで左斜め下側)に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域(同図Bで右斜め上側)に対応するものについてはオンとする。また、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチの2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオンとし、3次元表示モードとする領域に対応するものについてはオフとする。
【0075】
図14Aに示すように、ディプレイ2を縦長の状態で使用し、その右側の領域を2次元表示モード、その左側の領域を3次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側のスイッチの2次元表示モードとする領域(同図Bで右斜め下側)に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域(同図Bで左斜め上側)に対応するものについては、33LYをオン、スイッチ33SYをオフとする。また、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチの2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオンとし、3次元表示モードとする領域に対応するものについては、34LYをオフ、スイッチ34SYをオンとする。さらに、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側の全てのスイッチをオンとし、接地側の全てのスイッチをオフとする。
【0076】
図15Aに示すように、ディプレイ2を縦長の状態で使用し、その右側の領域を3次元表示モード、その左側の領域を2次元表示モードとする場合には、同図Bに示すように、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、Xライン発生部31側のスイッチの2次元表示モードとする領域(同図Bで左斜め上側)に対応するものについてはオフとし、3次元表示モードとする領域(同図Bで右斜め下側)に対応するものについては、33LYをオン、スイッチ33SYをオフとする。また、第1の電極群16に接続されているスイッチのうち、接地側のスイッチの2次元表示モードとする領域に対応するものについてはオンとし、3次元表示モードとする領域に対応するものについては、34LYをオフ、スイッチ34SYをオンとする。さらに、第2の電極群19に接続されているスイッチのうち、Yライン発生部32側の全てのスイッチをオンとし、接地側の全てのスイッチをオフとする。
【0077】
図16は、図6乃至図15に示された、液晶レンズアレイ素子10における各電極の電圧印加の状態と発生するレンズ効果との対応関係を示している。
【0078】
以上に説明したように、本実施の形態における液晶レンズアレイ素子10によれば、ディスプレイ2の状態(縦長または横長)に拘わらず3次元表示モードを実現するとともに、画面上を3次元表示モードの領域と2次元表示モードの領域とに分割して使用することができる。
【0079】
[Xライン発生部31およびYライン発生部32における発生電圧]
次に、Xライン発生部31およびYライン発生部32のそれぞれにおいて発生される電圧について、図17を参照して説明する。
【0080】
同図Aは、Xライン発生部31およびYライン発生部32が発生する電圧波形の一例を示している。同図Aに示されるように、Xライン発生部31は、例えば30Hz以上の矩形波の電圧を+Vx,−Vx,+Vx,−Vx,・・・の順に発生する。これに対して、Yライン発生部32は、同じ周期の矩形波の電圧を−Vy,+Vy,−Vy,+Vy,・・・の順に発生する。すなわち、Xライン発生部31とYライン発生部32は、振幅がほぼ等しい(Vx=Vy)電圧を、位相を180°ずらして発生する。
【0081】
同図Bは、図6Aに示された状態に対応する上下方向の電極間電位を示している。特に、同図Bの上段は、第2の電極群19の第1の電極19LXに対応する部分の電圧波形、同図Bの下段は、第2の電極19SXに対応する部分の電圧波形を示している。
【0082】
図6Aの状態を実現する場合には、液晶層11を挟む上下の透明電極間で、第2の電極群19の第1の電極19LXに対応する部分において、液晶分子13の配列に変化を生じさせることが可能となるような所定の電位差が生じるようにする。
【0083】
具体的には、第1の電極群16を構成する各電極のXライン発生部31側のスイッチを全てオンとして、共通の電圧(振幅Vx)を印加する。また、第2の電極群19を構成する複数の電極のうち、第1の電極19LXのみをYライン発生部32に接続し、選択的に電圧(振幅Vy)を印加する。かつ、第2の電極群19を構成する複数の電極のうち第2の電極19SXを接地する。
【0084】
ここで、Xライン発生部31とYライン発生部32が、同図Aに示されたように電圧を発生すると、第2の電極群19の第1の電極19LXと、その第1の電極19LXに対応する部分に存在する第1の電極群16との電極間には、同図Bの上段に示されるように、(Vx+Vy)の振幅電圧を有する矩形波が印加されることになる。一方、第2の電極群19の第2の電極19SXと、その第2の電極19SXに対応する部分に存在する第1の電極群16との電極間には、同図Bの下段に示されるように、Vx=Vy=(Vx+Vy)/2の振幅電圧を有する矩形波が印加されることになる。このとき、第2の電極19SXに対応する部分では、その振幅電圧が液晶の閾値電圧以下であれば、液晶分子13の動きが実際には起きないが、第2の電極19SXによる横電界によって初期の液晶分子13の配向分布、すなわち屈折率分布を引き起こすことができる。
【0085】
同図Cは、図7Aに示された状態に対応する上下方向の電極間電位を示している。特に、同図Cの上段は、第1の電極群16の第1の電極16LYに対応する部分の電圧波形、同図Cの下段は、第2の電極16SXに対応する部分の電圧波形を示している。
【0086】
図7Aの状態を実現する場合には、液晶層11を挟む上下の透明電極間で、第1の電極群16の第1の電極16LYに対応する部分において、液晶分子13の配列に変化を生じさせることが可能となるような所定の電位差が生じるようにする。
【0087】
具体的には、第2の電極群19を構成する各電極のYライン発生部32側のスイッチを全てオンとして、共通の電圧(振幅Vy)を印加する。また、第1の電極群16を構成する複数の電極のうち、第1の電極16LYのみをXライン発生部31に接続し、選択的に電圧(振幅Vx)を印加する。かつ、第1の電極群16を構成する複数の電極のうち、第2の電極16SYを接地する。
【0088】
ここで、Xライン発生部31とYライン発生部32が、同図Aに示されたように電圧を発生すると、第1の電極群16の第1の電極16LYと、その第1の電極16LYに対応する部分に存在する第2の電極群19との電極間には、同図Cの上段に示されるように、(Vx+Vy)の振幅電圧を有する矩形波が印加されることになる。一方、第1の電極群16の第2の電極16SYと、その第2の電極16SYに対応する部分に存在する第2の電極群19との電極間には、同図Cの下段に示されるように、Vx=Vy=(Vx+Vy)/2の振幅電圧を有する矩形波が印加されることになる。このとき、第2の電極16SYに対応する部分では、その振幅電圧が液晶の閾値電圧以下であれば、液晶分子13の動きが実際には起きないが、第2の電極16SYによる横電界によって初期の液晶分子13の配向分布、すなわち屈折率分布を引き起こすことができる。
【0089】
なお、液晶層3の全体ををレンズ効果の無い状態にする場合には、第1の電極群16を構成する複数の電極と第2の電極群19を構成する複数の透極とがすべて同電位(0V)となるような電圧状態とすればよい。すなわち、図4に示されたように、Xライン発生部31およびYライン発生部32の発生電圧を0Vとして各電極を接地する。この場合、液晶分子13が配向膜15,18によって規定される所定の方向に一様に配列されるので、レンズ効果の無い状態となる。
【実施例】
【0090】
次に、本実施の形態であるスマートフォン1の具体的な実施例について説明する。
【0091】
液晶レンズアレイ素子10については、上述したように、ガラス材料などからなる第1基板14と第2の基板17の間に、ITOからなる第1の電極群16と第2の電極群19を、周知のフォトリソ法とウェットエッチングまたはドライエッチングとにより形成させる。その電極上にポリイミドをそれぞれスピンコートして焼成することにより、配向膜15,18を形成する。
【0092】
材料の焼成後には、配向膜15,18の表面をラビング処理し、さらにはIPA等で洗浄し、加熱乾燥させる。冷却後、ラビング方向が向き合うように第1基板14と第2の基板17を約30乃至50μmの間隔で貼り合わせる。この間隔は、スペーサを全面に分散させることにより保持する。その後、シール材開口部から真空注入法によって、液晶材料を注入し、シール材開口部を封止する。そして、等方相まで液晶セルを加熱してから徐冷する。
【0093】
液晶層11に用いる液晶材料は代表的なネマティック液晶であるMBBA(p-methoxybenzylidene-p’-butylaniline)を用いる。なお、屈折率異方性Δnは、20℃で0.255である。
【化1】

【0094】
表示パネル20については、1画素の大きさが70.5μmのTFT-LCDパネルを用いた。この表示パネル20は、R,G,Bの各画素がマトリクス状に配置されている。また、液晶レンズアレイ素子10によって形成されるシリンドリカルレンズのピッチpに対して、表示パネル20の画素数がN(2以上の数)個となるようになされている。3次元表示モードの領域では、このN個分の光線数(視線数)を提示することになる。また、表示パネル20としては、3インチのWVGA(864×480画素)規格のものを用いた。
【0095】
図19は、後述する第1乃至第3の実施例に対応する液晶レンズアレイ素子10の電極構造を示しており、同図Aは第2の基板17側の電極構造、同図Bは第1の基板14側の電極構造を示している。同図に示すとおり、第1乃至第3の実施例では、第1の基板14の電極と第2の基板17の電極とが直交するように形成されている。
【0096】
同図に示すように、第1の基板14の電極と第2の基板17の電極とが直交している場合には、以下に説明する不都合が生じ得る。すなわち、図7等に示されたように、表示パネル20を縦長の状態で使用した場合、図18に示されたように、表示パネル20においてR,G,Bの画素がX方向に配置されていることに起因して、観察者が見る3次元表示にモアレが生じ易くなる。
【0097】
これを抑止するため、後述する第4乃至第6の実施例では、第1の基板14の電極と第2の基板17の電極とは直交せず、所定の角度を有するように形成されている。
【0098】
図20は、後述する第4乃至第6の実施例に対応する液晶レンズアレイ素子10の電極構造を示しており、同図Aは第2の基板17側の電極構造、同図Bは第1の基板14側の電極構造を示している。同図に示すとおり、第4乃至第6の実施例では、第1の基板14の電極と第2の基板17の電極とが(90−θ)の角度を有するように形成されている。ここで、θはtan−1θ=1/3である。
【0099】
図21は、第1乃至第6の実施例に対応する各種設計パラメータの値を示している。Nは表示パネル20のレンズピッチpに対する画素数であり、電極幅Lx,Sx,Ly,Sy、電極間隔a,基板間隔dは、図2に示されたとおりの部位の長さをμmの単位で示している。
【0100】
なお、Xライン発生部31およびYライン発生部32から供給する電力は、30Hz以上の矩形波を用い、その振幅電圧は5乃至10V程度として、レンズピッチpや基板間隔dに応じて調整するものとする。通常、基板間隔dが厚くなるほど、振幅電圧を高く設定する必要がある。
【0101】
次に、第1乃至第6の実施例に対する評価について説明する。なお、現状においては、3次元表示の良し悪しを判断するための明確な判断基準が一般化されていないため、ここでは、以下に示す簡略的な手法によって、3次元表示として認識できるか否かを判断基準とするようにした。
【0102】
図22は、第1乃至第6の実施例における3次元表示の見え方の評価の概念を示している。同図に示すように、液晶レンズアレイ素子10によって発生する1つのシリンドリカルレンズに対して、青色1画素、赤色1画素の計2画素分が対応している。同図に示されたように、表示パネル20に対して、右眼と左眼にそれぞれ青と赤の色が見えるように表示パターンを出力して表示させる。そして、左右の眼の位置に相当するところにカメラを配置して撮影し、それぞれ、赤と青に分離して見えるか否かを判断基準とした。なお、2次元表示モードの領域については、赤と青が混合して紫として見えることになる。
【0103】
駆動振幅電圧については、少しずつ上げるようにし、その電圧を上げてもほとんど視認性が変わらなくなる飽和直前の電圧値を駆動電圧とする。なお、各電極に印加する矩形波の電圧振幅VはV=2Vx=2Vyとした。また、0Vを印加することで、3次元表示モードから2次元表示モードへと変化するのときの時間(2D切替応答時間)も評価の対象として観測した。
【0104】
第1乃至第6の各実施例を、以下の7種類の使用状態に評価した結果は次のとおりである。
【0105】
使用状態1(全面を2次元表示モードとした場合)
第1乃至第6の実施例のいずれも、視感評価として、全面紫色となり、液晶レンズアレイ素子10を表示パネル20上に配置していない場合とほぼ同様の2次元表示が確認できる。
【0106】
使用状態2(図6に対応する。横長で全面を3次元表示モードとした場合)
第1乃至第6の実施例のいずれも、左眼位置では赤、右眼位置では青を観測することができる。すなわち、液晶レンズアレイ素子10により3次元表示モードが実現されていることが確認できる。
【0107】
使用状態3(図7に対応する。縦長で全面を3次元表示モードとした場合)
第1乃至第6の実施例のいずれも、左眼位置では赤、右眼位置では青を観測することができる。すなわち、液晶レンズアレイ素子10により3次元表示モードが実現されていることが確認できる。しかしながら、第1乃至第3の実施例では、全面を白色で表示した場合などにおいて、赤、青、緑の縞状のいわゆるモアレが観察され、視覚的な快適性が欠如している。
【0108】
使用状態4(図8または図9に対応する。横長で3次元表示モードの領域と2次元表示モードの領域とを左右に分けて設けた場合)
第1乃至第6の実施例のいずれも、3次元表示モードと2次元表示モードの境の位置に拘わらず、2次元表示モードの領域では紫色が観察される。一方、3次元表示モードの領域では、左眼位置では赤、右眼位置では青を観測することができる。すなわち、液晶レンズアレイ素子10により3次元表示モードが実現されていることが確認できる。
【0109】
使用状態5(図10または図11に対応する。横長で3次元表示モードの領域と2次元表示モードの領域とを上下に分けて設けた場合)
第1乃至第6の実施例のいずれも、3次元表示モードと2次元表示モードの境の位置に拘わらず、2次元表示モードの領域では紫色が観察される。一方、3次元表示モードの領域では、左眼位置では赤、右眼位置では青を観測することができる。すなわち、液晶レンズアレイ素子10により3次元表示モードが実現されていることが確認できる。
【0110】
使用状態6(図12または図13に対応する。縦長で3次元表示モードの領域と2次元表示モードの領域とを上下に分けて設けた場合)
第1乃至第6の実施例のいずれも、3次元表示モードと2次元表示モードの境の位置に拘わらず、2次元表示モードの領域では紫色が観察される。一方、3次元表示モードの領域では、左眼位置では赤、右眼位置では青を観測することができる。すなわち、液晶レンズアレイ素子10により3次元表示モードが実現されていることが確認できる。しかしながら、第1乃至第3の実施例では、全面を白色で表示した場合などにおいて、赤、青、緑の縞状のいわゆるモアレが観察され、視覚的な快適性が欠如している。
【0111】
使用状態7(図14または図15に対応する。縦長で3次元表示モードの領域と2次元表示モードの領域とを左右に分けて設けた場合)
第1乃至第6の実施例のいずれも、3次元表示モードと2次元表示モードの境の位置に拘わらず、2次元表示モードの領域では紫色が観察される。一方、3次元表示モードの領域では、左眼位置では赤、右眼位置では青を観測することができる。すなわち、液晶レンズアレイ素子10により3次元表示モードが実現されていることが確認できる。しかしながら、第1乃至第3の実施例では、全面を白色で表示した場合などにおいて、赤、青、緑の縞状のいわゆるモアレが観察され、視覚的な快適性が欠如している。
【0112】
図23は、上述した使用状態1乃至7における各評価をまとめて示している。同図においては、2次元表示および3次元表示の評価を、最も良い方から順に2重丸◎、1重丸○、三角△、バツ×として4段階で示している。2重丸◎は、赤と青に十分に分離して観察できたことを示す。三角△は、赤と青に分離する限界の状態のように観察されたことを示している。1重丸○は、2重丸◎と三角△の中間の見え方であったことを示している。
【0113】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、画面の長手方向の向き、すなわち、縦長の状態として用いるか、または横長の状態に拘わらず3次元表示を可能にし、且つ、画面上に2次元表示モードの領域と3次元表示モードの領域と任意の位置を境にとして同時に設けることができる。
【0114】
<その他の実施の形態>
なお、画面上の任意の位置を境として2次元表示モードの領域と3次元表示モードの領域と設けるのではなく、当該境を最も使用勝手がよいと想定される位置に固定してしまう場合には、例えば、図24に示されるように、第1の基板14における第1の電極群16の各電極を、当該境とする位置で分断するようにしてもよい。このような構成によっても、当該境界を任意に設定すること以外については、上述した実施の形態を同様の効果を得ることができる。
【0115】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 スマートフォン, 2 ディスプレイ, 10 液晶レンズアレイ素子, 14 第1の基板, 15 配向膜, 16 第1の電極群, 17 第2の基板, 18 配向膜, 19 第2の電極群, 20 表示パネル, 31 Xライン発生部, 32 Yライン発生部, 33 スイッチ, 34 スイッチ, 40 液晶レンズアレイ素子制御部, 41 傾きセンサ, 42 操作入力部, 43 統制部, 44 Xライン電圧制御部, 45 Yライン電圧制御部, 46 スイッチ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を空けて互いに対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板上における前記第2の基板に対向する側に形成され、第1の方向に延在する複数の電極が幅方向に間隔を空けて並列配置されて成る第1の電極群と、
前記第1の電極群に対して電圧を印加する第1の電圧発生部と前記第1の電極群の各電極と接続する第1のスイッチ群と、
前記第2の基板上における前記第1の基板に対向する側に形成され、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する複数の電極が幅方向に間隔を空けて並列配置されて成る第2の電極群と、
前記第2の電極群に対して電圧を印加する第2の電圧発生部と前記第2の電極群の各電極と接続する第2のスイッチ群と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、屈折率異方性を有する液晶分子を含み、前記第1の電極群と前記第2の電極群とに印加される電圧に応じて前記液晶分子の配列方向が変化することでレンズ効果が発生する液晶層と
を備え、
前記第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、前記第1または第2の方向と平行な任意の線を境とし、前記液晶層のレンズ効果が変化する
レンズアレイ素子。
【請求項2】
前記液晶層は、前記第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、前記第1または第2の方向と平行な任意の線を境とし、前記第1の電極群と前記第2の電極群とに印加される電圧の状態に応じて、レンズ効果の無い状態、前記第1の方向に延在するような第1のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する第1のレンズ状態、または前記第2の方向に延在するような第2のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する第2のレンズ状態のいずれかの状態に電気的に切り替わる
請求項1に記載のレンズアレイ素子。
【請求項3】
前記液晶層は、
前記第1の電極群を構成する複数の電極と前記第2の電極群を構成する複数の電極とが同電位であるとき、レンズ効果の無い状態となり、
前記第1の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第2の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第2のシリンドリカルレンズのレンズピッチに相当する位置にある電極のみに選択的に駆動電圧を印加するとき、前記第2のレンズ状態になり、
前記第2の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第1の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1のシリンドリカルレンズのレンズピッチに相当する位置にある電極のみに選択的に駆動電圧を印加するとき、前記第1のレンズ状態になる
請求項2に記載のレンズアレイ素子。
【請求項4】
前記第1の電極群は、第1の幅を有して前記第1の方向に延在する第1の電極と、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有して前記第1の方向に延在する第2の電極とをそれぞれ複数有し、前記第1の電極と前記第2の電極とが交互に並列配置されて構成され、
前記第2の電極群は、第1の幅を有して前記第2の方向に延在する第1の電極と、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有して前記第2の方向に延在する第2の電極とをそれぞれ複数有し、前記第1の電極と前記第2の電極とが交互に並列配置されて構成されている
請求項1乃至3に記載のレンズアレイ素子。
【請求項5】
前記液晶層は、
前記第1の電極群を構成する複数の電極と前記第2の電極群を構成する複数の電極とが同電位であるとき、レンズ効果の無い状態となり、
前記第1の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第2の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に駆動電圧を印加するとき、前記第2のレンズ状態になり、
前記第2の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第1の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に駆動電圧を印加するとき、前記第1のレンズ状態になる
請求項4に記載のレンズアレイ素子。
【請求項6】
前記液晶層は、
前記第2の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に駆動電圧を印加し、かつ前記第2の電極を接地させたとき、前記第2のレンズ状態になり、
前記第1の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に駆動電圧を印加し、かつ前記第2の電極を接地させたとき、前記第1のレンズ状態になる
請求項5に記載のレンズアレイ素子。
【請求項7】
前記液晶層は、
前記第1の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第2の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に第2の駆動電圧を印加するとき、前記第2のレンズ状態になり、
前記第2の電極群を構成する複数の電極のすべてに共通の電圧を印加するとともに、前記第1の電極群を構成する複数の電極のうち、前記第1の電極のみに選択的に第1の駆動電圧を印加するとき、前記第1のレンズ状態になり、
前記第1の駆動電圧と前記第2の駆動電圧は、電圧振幅が同一の矩形波であって、かつ、互いの位相が180°異なっている
請求項6に記載のレンズアレイ素子。
【請求項8】
前記第1の電極群を構成する前記第1の電極は、前記第1のシリンドリカルレンズのレンズピッチに相当する間隔で配置され、
前記第2の電極群を構成する前記第1の電極は、前記第2のシリンドリカルレンズのレンズピッチに相当する間隔で配置されている
請求項4に記載のレンズアレイ素子。
【請求項9】
前記第1の方向と前記第2の方向とは互いに直交する方向であり、
前記液晶層は、前記第1の方向にレンズ効果のある状態または前記第2の方向にレンズ効果のある状態に電気的に切り替えられる
請求項1乃至3に記載のレンズアレイ素子。
【請求項10】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して(90°−θ)で交わる方向であり、
前記液晶層は、前記第1の方向にレンズ効果のある状態または前記第2の方向にレンズ効果のある状態に電気的に切り替えられる
請求項1乃至3に記載のレンズアレイ素子。
【請求項11】
前記θは、
tan−1θ=1/3
を満たす
請求項10に記載のレンズアレイ素子。
【請求項12】
画像表示を行う表示部と、
前記表示部の表示面側に対向配置され、前記表示部からの光線の通過状態を選択的に変化させるレンズアレイ素子と、
前記レンズアレイ素子が対向配置された前記表示パネルが使用される向きを検知する検知手段と、
表示の境界を設定する設定手段と、
スイッチを制御するスイッチ制御手段と
を備え、
前記レンズアレイ素子は、
間隔を空けて互いに対向配置された第1および第2の基板と、
前記第1の基板上における前記第2の基板に対向する側に形成され、第1の方向に延在する複数の電極が幅方向に間隔を空けて並列配置されて成る第1の電極群と、
前記第1の電極群に対して電圧を印加する第1の電圧発生部と前記第1の電極群の各電極と接続する第1のスイッチ群と、
前記第2の基板上における前記第1の基板に対向する側に形成され、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する複数の電極が幅方向に間隔を空けて並列配置されて成る第2の電極群と、
前記第2の電極群に対して電圧を印加する第2の電圧発生部と前記第2の電極群の各電極と接続する第2のスイッチ群と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、屈折率異方性を有する液晶分子を含み、前記第1の電極群と前記第2の電極群とに印加される電圧に応じて前記液晶分子の配列方向が変化することでレンズ効果が発生する液晶層と
を備え、
前記スイッチ制御手段が、検知された前記表示パネルが使用される向き、または設定された前記表示の境界の少なくとも一方に基づき、前記第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、前記第1または第2の方向と平行な任意の線を境とし、前記液晶層のレンズ効果が変化する
画像表示装置。
【請求項13】
前記液晶層は、前記第1および第2のスイッチ群を切り替えることにより、前記第1または第2の方向と平行な、前記境界を境とし、前記第1の電極群と前記第2の電極群とに印加される電圧の状態に応じて、レンズ効果の無い状態、前記第1の方向に延在するような第1のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する第1のレンズ状態、または前記第2の方向に延在するような第2のシリンドリカルレンズ状のレンズ効果が発生する第2のレンズ状態のいずれかの状態に電気的に切り替わる
請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記レンズアレイ素子において、前記レンズ効果の無い状態、または前記第1のレンズ状態若しくは前記第2のレンズ状態とを切り替えることにより、2次元表示または3次元表示とが電気的に切り替わる
請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記レンズアレイ素子を、
前記レンズ効果の無い状態として、前記表示パネルからの表示画像光を偏向させることなく透過させることで2次元表示を行い、
前記第1のレンズ状態として、前記表示パネルからの表示画像光を前記第1の方向に直交する方向に偏向させることで、前記第1の方向に直交する方向に両眼を置いたときに立体感が得られる3次元表示を行い、
前記第2のレンズ状態として、前記表示パネルからの表示画像光を前記第2の方向に直交する方向に偏向させることで、前記第2の方向に直交する方向に両眼を置いたときに立体感が得られる3次元表示を行う
請求項14に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−13871(P2012−13871A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149206(P2010−149206)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】