レンズシート体およびレンズシート体の製造方法
【課題】表裏両面から見た場合でも印刷画像を良好に視認可能であり、レンチキュラーシートの間の位置決めを正確に行えるようにする。
【解決手段】第1の基材22の他方の面側の第1の凸レンズ21の各々に対応する位置に、視差画像等が形成されたレンズシート体10であり、他方の面側にも、光透過性を有する第2の基材22と第2の凸レンズ21を配置し、第2の凸レンズ21は、第1の凸レンズ21と同じレンズピッチに形成されていて、第2の凸レンズ21は、第1の凸レンズ21と同じ配列方向に沿って配置されていて、第2の凸レンズ21は、基材22の法線方向および配列方向に直交する直交方向において、第1の凸レンズ21に対応する位置に設けられていて、印刷画像は、視差画像等を形成するための画像形成用インクと、印刷範囲のうち画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着して形成されている。
【解決手段】第1の基材22の他方の面側の第1の凸レンズ21の各々に対応する位置に、視差画像等が形成されたレンズシート体10であり、他方の面側にも、光透過性を有する第2の基材22と第2の凸レンズ21を配置し、第2の凸レンズ21は、第1の凸レンズ21と同じレンズピッチに形成されていて、第2の凸レンズ21は、第1の凸レンズ21と同じ配列方向に沿って配置されていて、第2の凸レンズ21は、基材22の法線方向および配列方向に直交する直交方向において、第1の凸レンズ21に対応する位置に設けられていて、印刷画像は、視差画像等を形成するための画像形成用インクと、印刷範囲のうち画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着して形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズシート体およびレンズシート体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体の中には、多数のシリンドリカル凸レンズ(レンチキュラーレンズともいう;以下、凸レンズとする。)が並列配置されたレンチキュラーシートがある。このレンチキュラーシートには、凸レンズのピッチに対応させたストライプ状の細分化画像を、それぞれの凸レンズのピッチ内に多数並べて記録している。それにより、ユーザーが凸レンズを介して印刷された画像を視認すると、視認される画像が立体視されたり、見る角度を変えることで視認される画像を切り替える(指向性を有するものとする)ことが可能となる。
【0003】
このようなレンチキュラーシートにおいては、たとえば特許文献1および特許文献2に開示の内容のように、表裏の両面から印刷画像を視認するようにしたものがある。特許文献1には、互いに隣接する隣接部を挟んで対称な単位領域に印刷面を形成し、隣接部にてレンチキュラーシートを折り曲げて2つの印刷面を重ねるようにし、表側と裏側とで別々の立体画像を視認することができる、といった内容が開示されている。また、特許文献2には、片凸レンズの凸部分が外側を向くように、表裏で貼り合わせたものを用いて、視野角を広げるようにして、クロストークが生じるのを防止するようにした内容が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−334091号公報(要約、各図面および段落0047〜0049等参照)
【特許文献2】特開2010−122701号公報(要約、実施の形態2および図5参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示の技術内容によると、次のような問題がある。(1)すなわち、特許文献1に開示の技術内容によれば、表面と裏面とでは、別々の立体画像が視認される。そのため、印刷を2回行わなければならない、という点で手間がかかるものとなっている。(2)また、特許文献1に開示の技術内容によれば、表側と裏側とで2つの印刷面が重ねられるため、表側から見ても裏側の印刷画像が透けて見えるような事態が生じかねない。(3)また、特許文献1のようにレンチキュラーシートを折り曲げる場合には、折り曲げ後のサイズが小さくなる。それを防ぐためには、レンチキュラーシートのサイズが大きなものを準備すれば良い。しかしながら、プリンターが印刷可能なレンチキュラーシートの大きさには制約があるため、上述のようにレンチキュラーシートを折り曲げる場合には、折り曲げ後のサイズの小型化を避けることは困難である。
【0006】
以上のような問題を生じさせないためには、レンチキュラーシートを複数枚用いて、たとえば表面側に位置するレンチキュラーシートのみに印刷を行い、裏面側にレンチキュラーシートを貼り合わせ、表側から視認される画像と裏側から視認される画像とで、左右対称となるような状態とすれば良い。しかしながら、このようなレンチキュラーシートにおいては、たとえば机や写真立てのような載置面にレンチキュラーシートの裏面を接触させずに、表裏両面から視認できるように、レンチキュラーシートを立て掛けて、視認される場合が多いと推測される。その場合、たとえば表面から見た場合に、レンチキュラーシートの向こう側が見えてしまうと、印刷画像が目立たなくなり、せっかく印刷された印刷画像を引き立てることができず、視認性が良好とはならない。
【0007】
また、複数枚のレンチキュラーシートを貼り合わせるのに際して、その貼り合わせる位置を正確に位置決めすることは難しい。
【0008】
なお、特許文献2には、クロストークが生じるのを防止する観点から、片凸レンズの凸部分が外側を向くように、表裏で貼り合わせているため、上述のような印刷画像が目立たなくなるといった点、あるいはレンチキュラーシートの貼り合わせを正確に行うといった点とは関係がない。
【0009】
本発明は上述のような課題の少なくとも一つを解決するためになされたもので、表裏両面から見た場合でも印刷画像を良好に視認することが可能とすることと、レンチキュラーシートの間の位置決めを正確に行えることの少なくとも一つを達成することができるレンズシート体およびレンズシート体の製造方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のレンズシート体は、光透過性を有する第1の基材の一方の面側に、一方向を長手とする第1の凸レンズを配置し、第1の基材の他方の面側の第1の凸レンズの各々に対応する位置に、右目用と左目用の視差画像、または視認角度によって絵柄が切り替わるチェンジング画像が形成されたレンズシート体であって、他方の面側にも、光透過性を有する第2の基材と第2の凸レンズを配置し、第2の凸レンズは、第1の凸レンズと同じレンズピッチに形成されていて、平面視したときに、第2の凸レンズの長手は、第1の凸レンズの長手と同じ長手方向に沿うように配置されていると共に、第2の凸レンズは、第1の基材の法線方向および長手方向に直交する直交方向において、第1の凸レンズに対応する位置に設けられていて、印刷画像は、視差画像またはチェンジング画像を形成するための画像形成用インクと、印刷範囲のうち画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着することによって形成されているものである。
【0011】
このように構成する場合には、画像形成用インクが付着していない隙間部分に遮光用インクが付着して印刷画像が形成されるため、レンズシート体の表面側から印刷画像を見た場合に、レンズシート体の向こう側が見えてしまう、といった事態が生じるのを低減可能となる。そのため、印刷画像が目立つようになり、印刷された印刷画像を引き立てることが可能となり、その印刷画像の視認性を良好にすることが可能となる。また、このレンズシート体では、表側からも、裏側からも印刷画像を視認可能となるため、表裏の両面から左右対称な印刷画像を鑑賞することが可能となる。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、第1の基材および第2の基材の他方の面側のうち印刷範囲から外れる外縁側にはガイド部が設けられていて、このガイド部には、第1の基材および第1の凸レンズを有する第1のレンチキュラーシートと、第2の基材および第2の凸レンズを有する第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めを行うための位置決め部が設けられている、ことが好ましい。
【0013】
このように構成する場合には、ガイド部には位置決め部が設けられていて、この位置決め部によって、第1のレンチキュラーシートと、第2の基材および第2の凸レンズを有する第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めを正確に行うことが可能となる。それにより、第1のレンチキュラーシートと、第2のレンチキュラーシートとの間での貼り合わせは、位置ずれすることなく正確に行える。
【0014】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、ガイド部は、第1の基材および第2の基材の他方の面側から一方の面側に向かって窪む凹部と、第1の基材および第2の基材の他方の面側から離間する向きに向かって突出する凸部と、を有し、第1の基材における凹部および凸部と、第2の基材における凸部および凹部とが嵌合することによって、第1のレンチキュラーシートと、第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めがなされる、ことが好ましい。
【0015】
このように構成する場合には、第1の基材における凹部および凸部と、第2の基材における凸部および凹部とが嵌合することにより、第1のレンチキュラーシートと第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めを正確に行うことが可能となる。また、嵌合により位置決めがなされるため、位置決めの作業を効率化することが可能となる。
【0016】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、ガイド部は、第1の基材および第2の基材の他方の面に形成されるマーキングであり、このマーキングは、長手方向に沿う線状部を有し、この線状部は直交方向に沿って隙間を挟んで所定の間隔で配置されていて、第1の基材における線状部と、第2の基材における線状部とが重ねあわされることによって、第1のレンチキュラーシートと、第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めがなされる、ことが好ましい。
【0017】
このように構成する場合には、第1の基材における線状部と、第2の基材における線状部とが重ね合わせることにより、線状部の重なり部分の位置変化による太さの変化によって、第1のレンチキュラーシートと第2のレンチキュラーシートとの間の正確な位置決めを行うことが可能となる。
【0018】
さらに、本発明の他の側面は、光透過性を有する第1の基材の一方の面側に、一方向を長手とする第1の凸レンズを配置しているレンズシート体の製造方法であって、第1の基材の他方の面側の第1の凸レンズの各々に対応する位置に、右目用と左目用の視差画像、または視認角度によって絵柄が切り替わるチェンジング画像を形成する画像形成工程と、他方の面側に、第2の凸レンズを搭載すると共に光透過性を有する第2の基材を、当該第2の基材のうち第2の凸レンズが搭載されていない他方の面側が第1の基材の他方の面側と向き合う状態で貼り合わせる貼り合わせ工程と、を有し、第2の凸レンズは、第1の凸レンズと同じレンズピッチに形成されていて、平面視したときに、第2の凸レンズの長手は、第1の凸レンズの長手と同じ長手方向に沿うように配置されていると共に、画像形成工程によって形成される印刷画像は、視差画像またはチェンジング画像を形成するための画像形成用インクと、印刷範囲のうち画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着することによって形成されていて、貼り合わせ工程では、第2の凸レンズが第1の基材の法線方向および長手方向に直交する直交方向において、第1の凸レンズに対応する位置に設けられるように第1の基材の他方の面側と第2の基材の他方の面側とが貼り合わされる、ことが好ましい。
【0019】
このように構成する場合には、画像形成工程においては、画像形成用インクが付着していない隙間部分に遮光用インクが付着して印刷画像が形成されるため、レンズシート体の表面側から印刷画像を見た場合に、レンズシート体の向こう側が見えてしまう、といった事態が生じるのを低減可能となる。そのため、印刷画像が目立つようになり、印刷された印刷画像を引き立てることが可能となり、その印刷画像の視認性を良好にすることが可能となる。また、このレンズシート体では、表側からも、裏側からも印刷画像を視認可能となるため、表裏の両面から左右対称な印刷画像を鑑賞することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係るレンズシート体の製造方法を説明する図である。
【図2】レンチキュラーシートにおける刷のイメージを示す図である。
【図3】レンズシート体を視認するときの様子を示す図である。
【図4】印刷されたものが立体画像の場合に視認されるイメージを示す図である。
【図5】レンチキュラーレンズの構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】凹部と凸部を有するガイド部を拡大して示す部分的な斜視図である。
【図7】レンチキュラーシートのうちガイド部の位置を示す平面図である。
【図8】変形例に係るガイド部を示す平面図である。
【図9】線状部と隙間とを有するガイド部を拡大して示す部分的な斜視図である。
【図10】印刷システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【図11】ディザマスクを用いてドットを形成するイメージを示す図である。
【図12】遮光用インクを着弾させる部分を抽出するイメージを示す図である。
【図13】色変換テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態に係るレンズシート体10およびレンズシート体10の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、最初に発明の概要について説明する。
【0022】
<1.概要>
図1は、本発明のレンズシート体10の構成について、その製造方法と併せて説明する図である。なお、以下の説明においては、印刷ヘッド52を駆動させてインクの着弾により形成される絵柄を、印刷画像PIとする。
【0023】
まず、図1(A)に示すように、複数枚のレンチキュラーシート20を準備し、そのうちの2枚を取り出す。そして、図1(B)に示すように、2枚のうちの一方のレンチキュラーシート20のうち、凸レンズ21が存在しない側(以下、凸レンズ21が存在しない側を裏面側と称呼する。)に、右目用と左目用の視差画像(すなわち、立体視用の印刷画像であり、以下、立体画像とする。)または見る角度によって絵柄が切り替わる印刷画像(以下、チェンジング画像とする。)を印刷する。すなわち、印刷ヘッド52を駆動させて、一方のレンチキュラーシート20の裏面側に、立体画像またはチェンジング画像を印刷する。なお、以下の説明においては、立体画像とチェンジング画像を総称する場合には、単に印刷画像PIとする。
【0024】
図2は、図1(B)における印刷のイメージを示す図である。レンチキュラーシート20の裏面において印刷すべき範囲(以下、印刷範囲とする。)は、画像データおよび種々の設定に応じて予め決まっている。しかしながら、画像データに基づき、一般的に用いられている用紙に印刷を行う場合、図2(A)に示すように、印刷範囲内には、インクが付着する部分と全く付着しない部分とが生じる。これに対して、本実施の形態においては、図2(B)に示すように、印刷範囲内にインクが付着しない部分が存在しないようにしている。すなわち、一般的に用いられる用紙においてはインクが付着しない部分であっても、本実施の形態ではインクを付着させて、上述のようなインクが付着しない部分が発生しないようにしている。すなわち、図2(A)ではインクが付着しない隙間の部分に対し、そのまま隙間が残らないように当該隙間にインクを付着させて、隙間を埋めている。それによって、印刷範囲は、その全面にインクが塗布されて、表側と裏側との間で、光が大幅に遮られる状態となる。以下の説明においては、上述の隙間を埋めるためのインクを、遮光用インクSIと称呼する。なお、遮光用インクSIではなく、立体画像またはチェンジング画像を形成するためのインクは、請求項でいう画像形成用インクの一例に対応する。
【0025】
このとき、上述の遮光用インクSIは、白色または黒色といった、印刷画像PIを描画するためのインクではなく、隙間を埋める際に、印刷画像PIが目立つのを妨げない(さほど目立たない)色のインクとなっている。また、印刷範囲内の位置によって遮光用インクの色が変動することはなく、上述の白色または黒色といった、特定の色のインクが用いられる。なお、遮光用インクは、白色または黒色に限られるものではなく、灰色のインク他、その他の色のインクを用いることが可能である。
【0026】
上述の印刷の後に、図1(C)に示すように、一方のレンチキュラーシート20に対し、印刷が行われていない他方のレンチキュラーシート20を、たとえば糊や接着剤といった接着手段を用いて貼り合わせる。そして、糊や接着剤を硬化させて、レンズシート体10が完成する。なお、貼り合わせに際して用いられる糊や接着剤は、透明であって、レンチキュラーシート20と同等の屈折率となっていることが好ましい。また、糊や接着剤を一方のレンチキュラーシート20の裏面と他方のレンチキュラーシート20の裏面の少なくとも一方に塗布する場合、その裏面の全面に亘るように塗布するのではなく、部分的に塗布し、その塗布した部位が複数箇所になるようにすることが好ましい。
【0027】
なお、上述した一方のレンチキュラーシート20は、請求項でいう第1のレンチキュラーシートの一例に対応し、他方のレンチキュラーシート20は、請求項でいう第2のレンチキュラーシートの一例に対応する。ただし、他方のレンチキュラーシート20を、請求項でいう第1のレンチキュラーシートの一例に対応するものとし、一方のレンチキュラーシート20を、請求項でいう第2のレンチキュラーシートの一例に対応するものとしても良い。
【0028】
以上のような製造方法を経て形成されるレンズシート体10を視認するときの様子を図3に示す。図3に示すように、本実施の形態におけるレンズシート体10は、表面側と裏面側の両方に、凸レンズ21が多数配置されている。このとき、レンズシート体10を平面視すると、裏面側の凸レンズ21の長手は、表面側の凸レンズ21の長手と同じ方向に沿うように配置されている。また、裏面側の凸レンズ21は、基材22の法線方向および表面側の凸レンズ21の長手方向に直交する直交方向において、表面側の凸レンズ21に対応する位置(具体的には、平面視したときに重なる位置)に設けられている。そのため、レンズシート体10の表側から印刷画像PIを視認した場合でも、レンズシート体10の裏側から印刷画像PIを視認した場合でも、所望のイメージを視認できる。具体的には、レンズシート体10に印刷されたものが立体画像である場合、鑑賞者には立体画像に基づく立体的なイメージが視認される。また、レンズシート体10に印刷されたものがチェンジング画像である場合、鑑賞者にはチェンジング画像に基づいて、見る角度によって絵柄が切り替わるイメージが視認される。
【0029】
図4は、レンズシート体10に印刷されたものが立体画像である場合に、鑑賞者に視認されるイメージを示す図である。この図4に示すように、鑑賞者は、レンズシート体10の表面側から印刷画像PI(立体画像)を視認する場合と、レンズシート体10の裏面側から印刷画像PI(立体画像)を視認する場合とを比較すると、互いに鏡で映したような対称な(左右が反転している)イメージを認識することになる。ただし、左右が反転している以外、奥行き等の立体視の具合は同等となっている。また、左右の反転に関しては、チェンジング画像であっても同様である。
【0030】
ここで、通常の用紙のような白色または白色に近い色のものに印刷する場合、印刷していない部分から用紙の向こう側は見えにくいものとなっている。しかしながら、本実施の形態のような透明な(光透過性を有する)レンズシート体10の印刷範囲において、インクを付着させない部分が生じる場合、インクを付着させない部分からレンズシート体10の向こう側が見える状態となり、印刷画像PIの視認性が悪化してしまう。特に、本実施の形態におけるレンズシート体10は、通常の用紙のように、机等のような設置部位に置く状態で見ることを想定しておらず、表面側および裏面側のいずれからも、印刷画像PIを見ることを想定している。そのため、インクを付着させない透明な部分(隙間)があって、そこからレンズシート体10の向こう側が見える場合、印刷画像PIの視認性の悪化は、通常の用紙のように、机等のような設置部位に置く状態で見ることを想定しているものと比較して、顕著なものとなる。
【0031】
しかしながら、上述のように、画像形成用のインクが付着しない隙間の部分に対し、そのまま隙間が残らないように遮光用インクSIを付着させているため、視認性を向上させる状態となっている。以上が、本発明の概要である。
【0032】
<2.レンチキュラーシート20について>
続いて、上述した概要の中で、本実施の形態におけるレンズシート体10を構成するレンチキュラーシート20について説明する。
【0033】
(2−1)一般的なレンチキュラーシート20について
図5に示すように、レンチキュラーシート20は、凸レンズ21と、基材22と、インク吸収層23と、を有している。
【0034】
凸レンズ21は、一方向を長手とするシリンドリカル凸レンズ21である。図5に示すように、この凸レンズ21は、基材22上に一定のピッチで並列に配置されている。この凸レンズ21においては、それぞれの凸レンズ21を進行する光の焦点が、レンチキュラーシート20の裏面、または当該裏面に形成される印刷層に位置するように、凸レンズ21の曲率が形成されるのが好ましい。凸レンズ21は、PET(Polyethylene Terephtarate)、PETG(Polyethylene Terephtalate Glycol)、APET(Amorphous Polyethylene Terephthalate)、PP(Polypropylene)、PS(Polystyrene)、PVC(Polyvinyl Chloride)、アクリル、UV(Ultraviolet)樹脂等を材質として形成されている。
【0035】
また、基材22は、透明性を有する材料を薄板状に形成したものであり、例えばPET−G(Polyethylene Terephtalate Glycol)樹脂、PET(Polyethylene Terephtarate)樹脂等を用いることが可能である。
【0036】
なお、上述した一方のレンチキュラーシート20に存在する基材22は、請求項でいう第1の基材の一例に対応し、他方のレンチキュラーシート20に存在する基材22は、請求項でいう第2の基材の一例に対応する。また、一方のレンチキュラーシート20に存在する凸レンズ21は、請求項でいう第1の凸レンズの一例に対応し、他方のレンチキュラーシート20に存在する凸レンズ21は、請求項でいう第2の凸レンズの一例に対応する。ただし、他方のレンチキュラーシート20に存在する基材22を、請求項でいう第1の基材の一例に対応するものとし、一方のレンチキュラーシート20に存在する基材22を、請求項でいう第2の基材の一例に対応するものとしても良い。また、他方のレンチキュラーシート20に存在する凸レンズ21を、請求項でいう第1の凸レンズの一例に対応するものとし、一方のレンチキュラーシート20に存在する凸レンズ21を、請求項でいう第2の凸レンズの一例に対応するものとしても良い。
【0037】
また、表面側とは請求項でいう一方の面側の一例に対応し、裏面側とは請求項でいう他方の面側に対応する。ただし、裏面側を請求項でいう一方の面側の一例に対応するものとし、表面側を請求項でいう他方の面側に対応するものとしても良い。
【0038】
インク吸収層23は、インク透過層を透過したインクを吸収および/または固着させる部位である。このインク吸収層23は、たとえばPVA(ポリビニルアルコール)等の親水性ポリマー樹脂、カチオン化合物、シリカ等の微粒子等を材質として形成されている。
【0039】
なお、上述のレンチキュラーシート20においては、インク吸収層23よりも裏面側(基材22および凸レンズ21から離れる側)にインク透過層を設けるようにしても良い。この場合、インク透過層に付着したインクは、インク透過層を透過して、インク吸収層23に到達する。このようなインク透過層としては、透明性を有する材質であることが必要であり、たとえばガラスファイバー、プラスチックファイバー等を材質として形成することが可能である。
【0040】
(2−2)ガイド部24について
また、図6および図7に示すように、本実施の形態におけるレンチキュラーシート20には、ガイド部24が設けられている。ガイド部24は、一方のレンチキュラーシート20に印刷画像PIを形成した後に、一方のレンチキュラーシート20と他方のレンチキュラーシート20を貼り合わせる場合の位置合わせ(位置決め)のために用いられる。このガイド部24は、図6および図7に示すように、レンチキュラーシート20のうち印刷画像PIが形成される印刷領域よりも外縁側に設けられている。
【0041】
また、図6および図7に示すものでは、ガイド部24の一例として、凹部24aと凸部24bを有するものが示されている。図6および図7に示すものでは、凹部24aと凸部24bは、レンチキュラーシート20の印刷領域PR(この印刷領域は、印刷範囲を含み、最大限印刷がなされる領域をさす。)から外れた四隅に設けられている。また、この凹部24aと凸部24bとは、凸レンズ21の長手方向に並ぶように設けられていて、四隅におけるいずれの凹部24aと凸部24bも、短手方向において最も近い凸レンズ21までの距離が等しくなっている。そして、たとえばレンチキュラーシート20の長手の一端においては、近接する長手方向の外縁から長手の他端側に進むにつれて凹凸と並ぶようにし、長手の他端においては、近接する長手方向の外縁から長手の一端側に進むにつれて凸凹と並ぶようにする。このようにすれば、図7に示すレンチキュラーシート20同士を重ねる場合に、正確な位置決めが行える。また、図6および図7に示すものでは、凹部24aと凸部24bとが2つずつ存在するため、位置合わせが行いやすいものとなっている。
【0042】
ただし、凹凸形状のガイド部24は、図6および図7に示すものには限られない。たとえば、図8に示すように、レンチキュラーシート20の短手方向の一方側には凸部24bを設け、短手方向の他方側には凹部24aのみを設けるようにしても良い。また、レンチキュラーシート20のある対角線方向に凸部24bのみ存在し、それとは別の対角線方向に凹部24aのみが存在するものとしても良い。すなわち、凹凸の嵌合によって、2つのレンチキュラーシート20の位置合わせが性格に行えるものであれば、凹凸の配置は、どのようなものであっても良い。ここにおいては、凹部24aおよび凸部24bは、請求項でいう位置決め部の一例に対応する。
【0043】
また、ガイド部24の他の例としては、図9に示すようなものがある。図9には、レンチキュラーシート20の印刷領域PRから外れた外縁側(図7におけるガイド部24と同様の位置)に、位置合わせ用のマーキング240が設けられたものが示されている。図9に示すマーキング240は、凸レンズ21の長手方向に沿う線状の部分(線状部241)と、隣り合う線状部241の間に存在する隙間242とから構成されている。それぞれの線状部分241においては、短手方向において最も近い凸レンズ21までの距離は、ある値となるように正確に定められている。そして、かかるマーキング240は、印刷領域PR外に所定以上の間隔を空けて少なくとも2つ設けられている。このような2箇所以上のマーキング240の配置としては、たとえばレンチキュラーシート20の四隅のうち対角線方向に配置するものや、レンチキュラーシート20の四隅のうち短手方向または長手方向のいずれかに沿うように2つを配置するものがある。勿論、複数のマーキング240の配置はこれには限られるものではなく、種々の配置が可能である。
【0044】
なお、線状部241および隙間242は、請求項でいう位置決め部の一例に対応するが、線状部241のみを請求項でいう位置決め部の一例に対応するものとしても良く、マーキング240が位置決め部の一例に対応するものとしても良い。
【0045】
このようなマーキング240が形成されたレンチキュラーシート20を貼り合わせる場合の位置合わせは、以下のようにして行う。すなわち、2つのマーキング240を重ねて、それを表面側または裏面側の真上から見るようにする。このとき、複数の線状部241のいずれも、重ねられるレンチキュラーシート20に存在するマーキング240の線状部241と重ねられるようにする。その場合、重ねられる2つのマーキング240は、レンチキュラーシート20の厚み方向において、ほとんど同じ位置に位置する状態となる。このため、重ねられている2つのマーキング240の線状部241が少しでもずれると、太さが太くなるように視認される。そのため、重ねられている2つの線状部241の太さが最も細くなるようにレンチキュラーシート20の位置を微調整すれば、レンチキュラーシート20同士の位置合わせを正確に行うことが可能となる。
【0046】
以上のような手法により、マーキング240を形成した場合の位置合わせを行うことが可能であるが、マーキング240は図9に示すものには限られない。たとえば、一方のレンチキュラーシート20の四隅のいずれかに、円形リング状のマーキングを施し、他方のレンチキュラーシート20の四隅のうちリング状のマーキング(大径マーキング)と重ねられる部位に、当該リング状のマーキングの内部に位置する、より小径の円形のリング状または円形状のマーキング(小径マーキング)を設けるようにする。すると、一方のレンチキュラーシート20と他方のレンチキュラーシート20を重ね合わせると、大径マーキングと小径マーキングの間に、隙間が形成される。しかしながら、位置ずれが生じていると、その隙間においては、周方向のいずれかの位置が狭くなる。そのため、周方向のいずれの位置においても、大径マーキングと小径マーキングの間の隙間が均一になるように微調整すれば、レンチキュラーシート20同士の正確な位置合わせを行うことができる。
【0047】
すなわち、レンチキュラーシート20にマーキングを形成する場合には、マーキング同士を重ね合わせたときに、一方のマーキングに対して他方のマーキングの相対的な位置ずれが検出できるものであれば、どのようなマーキングを形成しても良い。
【0048】
(2−3)その他のレンチキュラーシート20について
レンチキュラーシート20は、図5に示すレンチキュラーシート20には限られない。たとえば、上述した図5に示すレンチキュラーシート20のうち、凸レンズ21と基材22のみを有するものとしても良い。ここで、凸レンズ21と基材22とは一体的である必要はなく、分離していても良い。この場合において、基材22に対して、複数の凸レンズ21をそれぞれ接着して、レンチキュラーシート20を形成するようにしても良い。
【0049】
また、図5に示すように凸レンズ21が連続している場合には凸レンズ21のみを有するものとしても良い。これらの場合、レンチキュラーシート20の裏面(凸レンズ21が位置するのとは反対側の面)にインクが付着するが、そのインクはレンチキュラーシート20には染み込まない。しかしながら、インク中に、たとえば熱を加えたり紫外線を照射する等により硬化する成分が入っているインクを用いることも可能である。そのようなインクを用いれば、インクを付着させた後に、熱を加えたり紫外線を照射する等によって、インクを硬化させることが可能であり、良好な印刷画像PIを得ることが可能である。なお、図5以外のレンチキュラーシート20について、上述したガイド部24が設けられる構成とすることは勿論可能である。
【0050】
<3.レンチキュラーシート20に印刷画像PIを形成するための印刷システム30およびデータ処理について>
続いて、レンチキュラーシート20に、上述したような印刷画像PIを形成するための印刷システム30およびデータ処理について説明する。
【0051】
(3−1)印刷システム30の構成について
図10は、本発明の一実施の形態に係る印刷システムの概略的な構成を示すブロック図である。この印刷システム30は、コンピューター40とプリンター50とを有していて、コンピューター40にプリンター50が接続されている。しかしながら、コンピューター40の各機能が、プリンター50内に組み込まれるものであっても良い。
【0052】
図10において、コンピューター40はCPU41とRAM42とROM43と外部記憶装置44と外部インターフェース45とビデオインターフェース46と入力インターフェース47とバス48とから構成されている。バス48は、コンピューター40を構成する各要素41〜47の間でのデータ通信を実現するものであり、図示しないチップセット等によって通信が制御されている。外部記憶装置44には、オペレーティングシステム(OS)を含む各種プログラムやデータが記憶されており、その中にはアプリケーションプログラム44aとプリンタードライバープログラム44bとが存在する。そして、HDDやフラッシュメモリーといった外部記憶装置44に記憶されているプログラムやデータをRAM12に展開しながらCPU41がプログラムやデータに準じた演算を実行する。
【0053】
外部インターフェース45は、プリンターやネットワーク等の外部装置に接続され、その外部装置からの印刷データや制御データの受け取ると共に、外部装置への各種データの通知を行う。そのような外部インターフェース45としては、例えばUSB規格に準じたものがある。ビデオインターフェース46はコンピューター40を外部のディスプレイ60に接続し、ディスプレイ60に画像を表示するためのインターフェースである。入力インターフェース47はコンピューター40を外部のキーボード70とマウス80等のような入力手段に接続し、それらの入力手段からの入力信号をコンピューター40が取得するためのインターフェースである。
【0054】
アプリケーションプログラム44aは、例えば、外部インターフェース45を通じて、図示外のスキャナー装置やデジタルカメラ等から画像データを入力する。本実施の形態におけるアプリケーションプログラム44aは、立体画像やチェンジング画像をレンチキュラーシート20に作成するために、複数の画像データを凸レンズ21のピッチに対応させて細分化し、その後細分化されたものを並べ替えた、立体視画像用またはチェンジング画像用の合成画像データを作成するためのプログラムである。このアプリケーションプログラム44aは、図示外のビデオドライバーを介して、合成画像データによって表される画像をディスプレイ60に表示させる。また、アプリケーションプログラム44aは、プリンタードライバープログラム44bを介して、合成画像データをプリンター50に出力する。
【0055】
上述のプリンタードライバープログラム44bは、画像取得モジュール441と、色変換モジュール442と、ハーフトーンモジュール443と、印刷データ出力モジュール444とを備え、その他、データとして、色変換テーブルLUTとディザマスクDを有している。画像取得モジュール441は、アプリケーションプログラム44aから、印刷の対象となる画像データ(合成画像データ)の取得を行う。色変換モジュール442は、予め用意された色変換テーブルLUTを参照して、画像データの色成分R,G,Bをプリンター50が表現可能な色成分(たとえばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色)に変換する。
【0056】
ハーフトーンモジュール443は、色変換後の画像データを、二値化または多値化されたドットの分布によって表すハーフトーン処理を行う。本実施例では、このハーフトーン処理として、ディザマスクDを用いた組織的ディザ法を行う。
【0057】
印刷データ出力モジュール444は、ハーフトーン処理によって得られた各色のドットの配置を表すデータを、プリンター50の印刷ヘッド52によるドットの形成順序に合わせて並び替え、印刷データとしてプリンター50に出力する。
【0058】
また、プリンター50には、制御回路51と印刷ヘッド52が設けられている。制御回路51は印刷データ出力モジュール444から受け取った印刷データに基づいて、印刷ヘッド52を駆動させるための駆動信号を作成する。そして、この駆動信号に基づいて印刷ヘッド52が制御駆動され、レンチキュラーシート20にインクを噴射して所望の印刷画像PIを形成することが可能となっている。なお、この印刷ヘッド52は、インク量の異なる複数種類(大、中、小)のインク滴を噴射することで、複数種類のサイズのドットを形成することを可能としても良い。
【0059】
また、印刷ヘッド52は、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)とを少なくとも噴射可能としている。ただし、これら以外の中間色のインクや、白色インクを噴射可能としていても良い。
【0060】
(3−2)データ処理について
続いて、図1、図2等に示すような印刷画像PIを形成するためのデータ処理(画像処理)について説明する。
【0061】
画像取得モジュール441がアプリケーションプログラム44aからRGB表色系の合成画像データを受け取ると、解像度変換等の所定の処理後に、色変換モジュール442によって、プリンター50で印刷可能な色成分(たとえばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色)に色変換する。
【0062】
その後に、ハーフトーンモジュール443は、後述するようにディザ処理により、CMYK表色系によって表された画像データを、色変換テーブルLUTを参照して、たとえば大、中、小の3種類のドットの組み合わせからなるビットマップデータに変換する。
【0063】
図11は、ディザマスクDを用いたディザ処理のイメージを示す。ハーフトーン処理においては、ディザマスクの各画素の数値(閾値)と、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)といった各色成分に変換された後の中間データの各色成分の階調値とを個別に比較する。この比較においては、ディザマスクの閾値が、各色成分の中間データの各画素の階調値よりも小さい場合に、ドットをオフとし(図11の斜線部分)、逆に上回っている場合にはドットをオンとする(図11の白抜き部分)状態となっている。このようにして、ハーフトーン処理では、ドットのオン/オフのみの、2値化された情報(2値化データ)が、各色毎に得られる。
【0064】
ところで、上述した遮光用インクSIを噴射させるためには、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)の各色成分のドットが形成されない箇所を把握する(抽出する)必要がある。そのため、本実施の形態では、図12に示すような処理を行っている。
【0065】
図12においては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)といった各色のそれぞれの2値化データにおいて、それぞれの画素に対応する部分が、全てドットのオフであるか否かを判定するようにしている。仮にドットのオフを「0」、ドットのオンを「1」とすると、それぞれの画素において全てドットのオフを表す「0」であると判断される場合には、その画素には、いずれの色成分のインクも付着せずに、隙間が形成されると判断され、その場合には、その画素に対応する印刷部位には遮光用インクSIを着弾させるようにする。すなわち、遮光用インクSIによるドット形成をオンとする。逆に、それぞれの画素において、いずれかの色成分において、ドットのオンを表す「1」が存在すると判断される場合には、その画素には、いずれの色成分のインクが付着することになり、隙間が形成されないと判断される。その場合には、その画素に対応する印刷部位には遮光用インクSIを着弾させないようにする。
【0066】
このようにして、印刷領域PR中の少なくとも印刷範囲の全てに亘り、インクが付着して、インクが付着しない隙間が発生しないこととなり、その印刷範囲の全面にインクが塗布されて、表側と裏側との間で、光が大幅に遮られる状態となる。
【0067】
また、本実施の形態では、色変換テーブルLUTは、それぞれの画素におけるインクの噴射量が多くなり、印刷範囲に付着するインク量を多くして遮光性を高めるように設定されている。図13においては、通常の用紙に印刷する色変換テーブルLUTが破線で示されていて、本実施の形態における遮光性を高めるための色変換テーブルLUTが実線で示されている。図13に実線で示される色変換テーブルLUTを参照すれば、通常の用紙へ印刷する場合(図13において破線で示されるもの)と同じ諧調の画素であっても、噴射されるインク量が多くなる確率が高くなる。
【0068】
その後、印刷データ出力モジュール444は、ハーフトーン処理がなされたビットマップデータから、印刷ヘッド52によるドットの形成順序に合わせて並び替えた印刷データを生成する。
【0069】
<4.本実施の形態における効果>
以上のような構成のレンズシート体10およびレンズシート体10の製造方法によれば、印刷画像PIを画像形成用インクが付着していない隙間部分に遮光用インクSIが付着して印刷画像PIが形成されるため、レンズシート体10の表面側から印刷画像PIを見た場合に、レンズシート体10の向こう側が見えてしまう、といった事態が生じるのを低減可能となる。そのため、印刷画像PIが目立つようになり、印刷された印刷画像PIを引き立てることが可能となり、その印刷画像PIの視認性を良好にすることが可能となる。また、レンズシート体10では、表側からも、裏側からも印刷画像PIを視認可能となるため、表裏の両面から左右対称な印刷画像PIを鑑賞することが可能となる。
【0070】
なお、本実施の形態における発明を用いて立体画像を形成する場合において、たとえばショーウィンドウ等で人物や品物だけを飛び出させ、文字等は凸レンズ21の範囲外に設けるようにする。このようにすれば、人物や品物と、文字等を別々に見せることができ、それによって通常の立体画像の表示よりも安価でありながらも、視認性に優れた画像表示が可能となる。なお、上述のような見せ方は、ショーウィンドウに限られるものではなく、たとえば建物の小窓や車窓等、種々の場所に本発明を適用して、同様の見せ方をさせることが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態においては、ガイド部24が存在することにより、一方のレンチキュラーシート20と、他方のレンチキュラーシート20との間の位置決めを正確に行うことが可能となる。それにより、一方のレンチキュラーシート20と、他方のレンチキュラーシート20との間での貼り合わせを、位置ずれすることなく正確に行える。
【0072】
さらに、図6〜図8に示すように、ガイド部24が、凹部24aと凸部24bとを有する場合、一方のレンチキュラーシート20における凹部24aおよび凸部24bと、他方のレンチキュラーシート20における凸部24bおよび凹部24aとを嵌合させることにより、一方のレンチキュラーシート20と他方のレンチキュラーシート20との間の位置決めを正確に行うことが可能となる。また、凹凸の嵌合により位置決めがなされるため、位置決めの作業を効率化することが可能となる。
【0073】
また、図9に示すように、ガイド部24がマーキング240である場合、一方のレンチキュラーシート20における線状部241と、他方のレンチキュラーシート20における線状部241とが重ね合わせる。それにより、線状部241の重なり部分の位置変化による太さの変化によって、一方のレンチキュラーシート20と他方のレンチキュラーシート20との間の正確な位置決めを行うことが可能となる。
【0074】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0075】
(5−1)変形例その1
上述の実施の形態では、一方のレンチキュラーシート20のみに印刷を行うようにしている。しかしながら、(1)一方(表側)のレンチキュラーシート20に印刷画像の半分を印刷し、(2)他方(裏側)のレンチキュラーシートに印刷画像の残りの半分を反転させたものを印刷し、(3)境界がきれいにつながるようにして、表裏のレンチキュラーシートを貼り合わせるようにしても良い。このようなレンズシート体であっても、上述の実施の形態におけるレンズシート体10と比較して視認性は同等であるため、上述したレンズシート体10と同様の効果を得ることが可能である。
【0076】
なお、貼り合わせることによって、レンズシート体10の内部に連続した状態の印刷画像が形成されるものであれば、印刷画像の形成領域は、一方(表側)のレンチキュラーシート20に印刷画像の半分、および他方(裏側)のレンチキュラーシートに印刷画像の残りの半分に限られるものではなく、印刷画像の一部(一箇所であっても複数箇所であっても良い。)を一方(表側)のレンチキュラーシート20に形成し、印刷画像から一部を除いた残りの部分を反転させたものを、他方(裏側)のレンチキュラーシートに形成するようにしても良い。
【0077】
(5−2)変形例その2
また、上述の実施の形態においては、ガイド部として、図6〜図9に示すようなものが示されている。しかしながら、ガイド部としては、このような図6〜図9に示すものには限られない。たとえば、2つのレンチキュラーシート20を重ねた状態で挟み込みような冶具を用いるようにしても良い。そのような冶具としては、たとえば、(1)2つのレンチキュラーシート20の裏側同士が当接する状態で軽く挟み込む挟み込み部、(2)表側からの捻じ込み等によって裏側に向けて移動させることが可能な先端が尖形状の位置決め部材、(3)裏側からの捻じ込み等によって表側に向けて移動させることが可能な先端が尖形状の位置決め部材、(4)それぞれの位置決め部材の先端同士は、突き合わせることが可能となっている、という要素を有するものがある。この冶具を用いる場合、表側および裏側の位置決め部材の尖形状の先端部分が、隣り合う凸レンズ21の谷間に位置するようにすれば、2つのレンチキュラーシート20の位置合わせを正確に行うとが可能である。
【0078】
(5−3)変形例その3
また、上述の実施の形態においては、印刷画像を一方のレンチキュラーシート20の裏面に形成するものとしている。しかしながら、たとえば透明なフィルム等のようなレンチキュラーシートとは別の印刷用部材に予め印刷画像を形成しておき、その印刷用部材の表側と裏側のそれぞれに、印刷画像に対してレンチキュラーシート20の位置合わせを行った後に貼り合わせるようにしても良い。このようにしても、上述の実施の形態におけるレンズシート体10と視認性は同等であるため、上述したレンズシート体10と同様の効果を得ることが可能である。
(5−4)変形例その4
【0079】
上述の実施の形態においては、印刷ヘッド52を有するプリンター50によって、印刷画像を形成するものとしている。しかしながら、印刷画像は、プリンター50によって形成されるものには限られず、たとえば複写機等のようなプリンター50とは異なる手段によって形成されるものであっても良い。
【0080】
(5−5)変形例その5
また、上述の実施の形態において、プリンター50の概念には、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したり噴射したりする流体噴射装置を含むようにすることもできる。そのようなものとしては、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する流体噴射装置等がある。
【0081】
(5−6)変形例その6
さらに、本発明のプリンター50の概念に含まれるものとしては、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置等がある。
【符号の説明】
【0082】
10…レンズシート体、20…レンチキュラーシート(第1のレンチキュラーシートの一例または第2のレンチキュラーシートの一例に対応)、21…凸レンズ(第1の凸レンズの一例または第2の凸レンズの一例に対応)、22…基材(第1の基材の一例または第2の基材の一例に対応)、23…インク吸収層、24…ガイド部、24a…凹部(位置決め部の一例に対応)、24b…凸部(位置決め部の一例に対応)、30…印刷システム、40…コンピューター、41…CPU、42…RAM、43…ROM、44a…アプリケーションプログラム、44b…プリンタードライバープログラム、44…外部記憶装置、45…外部インターフェース、46…ビデオインターフェース、47…入力インターフェース、48…バス、50…プリンター、51…制御回路、52…印刷ヘッド、60…ディスプレイ、70…キーボード、80…マウス、240…マーキング(位置決め部の一例に対応)、241…線状部(位置決め部の一例に対応)、242…隙間、(位置決め部の一例に対応)、441…画像取得モジュール、442…色変換モジュール、443…ハーフトーンモジュール、444…印刷データ出力モジュール、D…ディザマスク、LUT…色変換テーブル、PI…印刷画像、PR…印刷領域、SI…遮光用インク
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズシート体およびレンズシート体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体の中には、多数のシリンドリカル凸レンズ(レンチキュラーレンズともいう;以下、凸レンズとする。)が並列配置されたレンチキュラーシートがある。このレンチキュラーシートには、凸レンズのピッチに対応させたストライプ状の細分化画像を、それぞれの凸レンズのピッチ内に多数並べて記録している。それにより、ユーザーが凸レンズを介して印刷された画像を視認すると、視認される画像が立体視されたり、見る角度を変えることで視認される画像を切り替える(指向性を有するものとする)ことが可能となる。
【0003】
このようなレンチキュラーシートにおいては、たとえば特許文献1および特許文献2に開示の内容のように、表裏の両面から印刷画像を視認するようにしたものがある。特許文献1には、互いに隣接する隣接部を挟んで対称な単位領域に印刷面を形成し、隣接部にてレンチキュラーシートを折り曲げて2つの印刷面を重ねるようにし、表側と裏側とで別々の立体画像を視認することができる、といった内容が開示されている。また、特許文献2には、片凸レンズの凸部分が外側を向くように、表裏で貼り合わせたものを用いて、視野角を広げるようにして、クロストークが生じるのを防止するようにした内容が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−334091号公報(要約、各図面および段落0047〜0049等参照)
【特許文献2】特開2010−122701号公報(要約、実施の形態2および図5参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示の技術内容によると、次のような問題がある。(1)すなわち、特許文献1に開示の技術内容によれば、表面と裏面とでは、別々の立体画像が視認される。そのため、印刷を2回行わなければならない、という点で手間がかかるものとなっている。(2)また、特許文献1に開示の技術内容によれば、表側と裏側とで2つの印刷面が重ねられるため、表側から見ても裏側の印刷画像が透けて見えるような事態が生じかねない。(3)また、特許文献1のようにレンチキュラーシートを折り曲げる場合には、折り曲げ後のサイズが小さくなる。それを防ぐためには、レンチキュラーシートのサイズが大きなものを準備すれば良い。しかしながら、プリンターが印刷可能なレンチキュラーシートの大きさには制約があるため、上述のようにレンチキュラーシートを折り曲げる場合には、折り曲げ後のサイズの小型化を避けることは困難である。
【0006】
以上のような問題を生じさせないためには、レンチキュラーシートを複数枚用いて、たとえば表面側に位置するレンチキュラーシートのみに印刷を行い、裏面側にレンチキュラーシートを貼り合わせ、表側から視認される画像と裏側から視認される画像とで、左右対称となるような状態とすれば良い。しかしながら、このようなレンチキュラーシートにおいては、たとえば机や写真立てのような載置面にレンチキュラーシートの裏面を接触させずに、表裏両面から視認できるように、レンチキュラーシートを立て掛けて、視認される場合が多いと推測される。その場合、たとえば表面から見た場合に、レンチキュラーシートの向こう側が見えてしまうと、印刷画像が目立たなくなり、せっかく印刷された印刷画像を引き立てることができず、視認性が良好とはならない。
【0007】
また、複数枚のレンチキュラーシートを貼り合わせるのに際して、その貼り合わせる位置を正確に位置決めすることは難しい。
【0008】
なお、特許文献2には、クロストークが生じるのを防止する観点から、片凸レンズの凸部分が外側を向くように、表裏で貼り合わせているため、上述のような印刷画像が目立たなくなるといった点、あるいはレンチキュラーシートの貼り合わせを正確に行うといった点とは関係がない。
【0009】
本発明は上述のような課題の少なくとも一つを解決するためになされたもので、表裏両面から見た場合でも印刷画像を良好に視認することが可能とすることと、レンチキュラーシートの間の位置決めを正確に行えることの少なくとも一つを達成することができるレンズシート体およびレンズシート体の製造方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のレンズシート体は、光透過性を有する第1の基材の一方の面側に、一方向を長手とする第1の凸レンズを配置し、第1の基材の他方の面側の第1の凸レンズの各々に対応する位置に、右目用と左目用の視差画像、または視認角度によって絵柄が切り替わるチェンジング画像が形成されたレンズシート体であって、他方の面側にも、光透過性を有する第2の基材と第2の凸レンズを配置し、第2の凸レンズは、第1の凸レンズと同じレンズピッチに形成されていて、平面視したときに、第2の凸レンズの長手は、第1の凸レンズの長手と同じ長手方向に沿うように配置されていると共に、第2の凸レンズは、第1の基材の法線方向および長手方向に直交する直交方向において、第1の凸レンズに対応する位置に設けられていて、印刷画像は、視差画像またはチェンジング画像を形成するための画像形成用インクと、印刷範囲のうち画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着することによって形成されているものである。
【0011】
このように構成する場合には、画像形成用インクが付着していない隙間部分に遮光用インクが付着して印刷画像が形成されるため、レンズシート体の表面側から印刷画像を見た場合に、レンズシート体の向こう側が見えてしまう、といった事態が生じるのを低減可能となる。そのため、印刷画像が目立つようになり、印刷された印刷画像を引き立てることが可能となり、その印刷画像の視認性を良好にすることが可能となる。また、このレンズシート体では、表側からも、裏側からも印刷画像を視認可能となるため、表裏の両面から左右対称な印刷画像を鑑賞することが可能となる。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、第1の基材および第2の基材の他方の面側のうち印刷範囲から外れる外縁側にはガイド部が設けられていて、このガイド部には、第1の基材および第1の凸レンズを有する第1のレンチキュラーシートと、第2の基材および第2の凸レンズを有する第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めを行うための位置決め部が設けられている、ことが好ましい。
【0013】
このように構成する場合には、ガイド部には位置決め部が設けられていて、この位置決め部によって、第1のレンチキュラーシートと、第2の基材および第2の凸レンズを有する第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めを正確に行うことが可能となる。それにより、第1のレンチキュラーシートと、第2のレンチキュラーシートとの間での貼り合わせは、位置ずれすることなく正確に行える。
【0014】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、ガイド部は、第1の基材および第2の基材の他方の面側から一方の面側に向かって窪む凹部と、第1の基材および第2の基材の他方の面側から離間する向きに向かって突出する凸部と、を有し、第1の基材における凹部および凸部と、第2の基材における凸部および凹部とが嵌合することによって、第1のレンチキュラーシートと、第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めがなされる、ことが好ましい。
【0015】
このように構成する場合には、第1の基材における凹部および凸部と、第2の基材における凸部および凹部とが嵌合することにより、第1のレンチキュラーシートと第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めを正確に行うことが可能となる。また、嵌合により位置決めがなされるため、位置決めの作業を効率化することが可能となる。
【0016】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、ガイド部は、第1の基材および第2の基材の他方の面に形成されるマーキングであり、このマーキングは、長手方向に沿う線状部を有し、この線状部は直交方向に沿って隙間を挟んで所定の間隔で配置されていて、第1の基材における線状部と、第2の基材における線状部とが重ねあわされることによって、第1のレンチキュラーシートと、第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めがなされる、ことが好ましい。
【0017】
このように構成する場合には、第1の基材における線状部と、第2の基材における線状部とが重ね合わせることにより、線状部の重なり部分の位置変化による太さの変化によって、第1のレンチキュラーシートと第2のレンチキュラーシートとの間の正確な位置決めを行うことが可能となる。
【0018】
さらに、本発明の他の側面は、光透過性を有する第1の基材の一方の面側に、一方向を長手とする第1の凸レンズを配置しているレンズシート体の製造方法であって、第1の基材の他方の面側の第1の凸レンズの各々に対応する位置に、右目用と左目用の視差画像、または視認角度によって絵柄が切り替わるチェンジング画像を形成する画像形成工程と、他方の面側に、第2の凸レンズを搭載すると共に光透過性を有する第2の基材を、当該第2の基材のうち第2の凸レンズが搭載されていない他方の面側が第1の基材の他方の面側と向き合う状態で貼り合わせる貼り合わせ工程と、を有し、第2の凸レンズは、第1の凸レンズと同じレンズピッチに形成されていて、平面視したときに、第2の凸レンズの長手は、第1の凸レンズの長手と同じ長手方向に沿うように配置されていると共に、画像形成工程によって形成される印刷画像は、視差画像またはチェンジング画像を形成するための画像形成用インクと、印刷範囲のうち画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着することによって形成されていて、貼り合わせ工程では、第2の凸レンズが第1の基材の法線方向および長手方向に直交する直交方向において、第1の凸レンズに対応する位置に設けられるように第1の基材の他方の面側と第2の基材の他方の面側とが貼り合わされる、ことが好ましい。
【0019】
このように構成する場合には、画像形成工程においては、画像形成用インクが付着していない隙間部分に遮光用インクが付着して印刷画像が形成されるため、レンズシート体の表面側から印刷画像を見た場合に、レンズシート体の向こう側が見えてしまう、といった事態が生じるのを低減可能となる。そのため、印刷画像が目立つようになり、印刷された印刷画像を引き立てることが可能となり、その印刷画像の視認性を良好にすることが可能となる。また、このレンズシート体では、表側からも、裏側からも印刷画像を視認可能となるため、表裏の両面から左右対称な印刷画像を鑑賞することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係るレンズシート体の製造方法を説明する図である。
【図2】レンチキュラーシートにおける刷のイメージを示す図である。
【図3】レンズシート体を視認するときの様子を示す図である。
【図4】印刷されたものが立体画像の場合に視認されるイメージを示す図である。
【図5】レンチキュラーレンズの構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】凹部と凸部を有するガイド部を拡大して示す部分的な斜視図である。
【図7】レンチキュラーシートのうちガイド部の位置を示す平面図である。
【図8】変形例に係るガイド部を示す平面図である。
【図9】線状部と隙間とを有するガイド部を拡大して示す部分的な斜視図である。
【図10】印刷システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【図11】ディザマスクを用いてドットを形成するイメージを示す図である。
【図12】遮光用インクを着弾させる部分を抽出するイメージを示す図である。
【図13】色変換テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態に係るレンズシート体10およびレンズシート体10の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、最初に発明の概要について説明する。
【0022】
<1.概要>
図1は、本発明のレンズシート体10の構成について、その製造方法と併せて説明する図である。なお、以下の説明においては、印刷ヘッド52を駆動させてインクの着弾により形成される絵柄を、印刷画像PIとする。
【0023】
まず、図1(A)に示すように、複数枚のレンチキュラーシート20を準備し、そのうちの2枚を取り出す。そして、図1(B)に示すように、2枚のうちの一方のレンチキュラーシート20のうち、凸レンズ21が存在しない側(以下、凸レンズ21が存在しない側を裏面側と称呼する。)に、右目用と左目用の視差画像(すなわち、立体視用の印刷画像であり、以下、立体画像とする。)または見る角度によって絵柄が切り替わる印刷画像(以下、チェンジング画像とする。)を印刷する。すなわち、印刷ヘッド52を駆動させて、一方のレンチキュラーシート20の裏面側に、立体画像またはチェンジング画像を印刷する。なお、以下の説明においては、立体画像とチェンジング画像を総称する場合には、単に印刷画像PIとする。
【0024】
図2は、図1(B)における印刷のイメージを示す図である。レンチキュラーシート20の裏面において印刷すべき範囲(以下、印刷範囲とする。)は、画像データおよび種々の設定に応じて予め決まっている。しかしながら、画像データに基づき、一般的に用いられている用紙に印刷を行う場合、図2(A)に示すように、印刷範囲内には、インクが付着する部分と全く付着しない部分とが生じる。これに対して、本実施の形態においては、図2(B)に示すように、印刷範囲内にインクが付着しない部分が存在しないようにしている。すなわち、一般的に用いられる用紙においてはインクが付着しない部分であっても、本実施の形態ではインクを付着させて、上述のようなインクが付着しない部分が発生しないようにしている。すなわち、図2(A)ではインクが付着しない隙間の部分に対し、そのまま隙間が残らないように当該隙間にインクを付着させて、隙間を埋めている。それによって、印刷範囲は、その全面にインクが塗布されて、表側と裏側との間で、光が大幅に遮られる状態となる。以下の説明においては、上述の隙間を埋めるためのインクを、遮光用インクSIと称呼する。なお、遮光用インクSIではなく、立体画像またはチェンジング画像を形成するためのインクは、請求項でいう画像形成用インクの一例に対応する。
【0025】
このとき、上述の遮光用インクSIは、白色または黒色といった、印刷画像PIを描画するためのインクではなく、隙間を埋める際に、印刷画像PIが目立つのを妨げない(さほど目立たない)色のインクとなっている。また、印刷範囲内の位置によって遮光用インクの色が変動することはなく、上述の白色または黒色といった、特定の色のインクが用いられる。なお、遮光用インクは、白色または黒色に限られるものではなく、灰色のインク他、その他の色のインクを用いることが可能である。
【0026】
上述の印刷の後に、図1(C)に示すように、一方のレンチキュラーシート20に対し、印刷が行われていない他方のレンチキュラーシート20を、たとえば糊や接着剤といった接着手段を用いて貼り合わせる。そして、糊や接着剤を硬化させて、レンズシート体10が完成する。なお、貼り合わせに際して用いられる糊や接着剤は、透明であって、レンチキュラーシート20と同等の屈折率となっていることが好ましい。また、糊や接着剤を一方のレンチキュラーシート20の裏面と他方のレンチキュラーシート20の裏面の少なくとも一方に塗布する場合、その裏面の全面に亘るように塗布するのではなく、部分的に塗布し、その塗布した部位が複数箇所になるようにすることが好ましい。
【0027】
なお、上述した一方のレンチキュラーシート20は、請求項でいう第1のレンチキュラーシートの一例に対応し、他方のレンチキュラーシート20は、請求項でいう第2のレンチキュラーシートの一例に対応する。ただし、他方のレンチキュラーシート20を、請求項でいう第1のレンチキュラーシートの一例に対応するものとし、一方のレンチキュラーシート20を、請求項でいう第2のレンチキュラーシートの一例に対応するものとしても良い。
【0028】
以上のような製造方法を経て形成されるレンズシート体10を視認するときの様子を図3に示す。図3に示すように、本実施の形態におけるレンズシート体10は、表面側と裏面側の両方に、凸レンズ21が多数配置されている。このとき、レンズシート体10を平面視すると、裏面側の凸レンズ21の長手は、表面側の凸レンズ21の長手と同じ方向に沿うように配置されている。また、裏面側の凸レンズ21は、基材22の法線方向および表面側の凸レンズ21の長手方向に直交する直交方向において、表面側の凸レンズ21に対応する位置(具体的には、平面視したときに重なる位置)に設けられている。そのため、レンズシート体10の表側から印刷画像PIを視認した場合でも、レンズシート体10の裏側から印刷画像PIを視認した場合でも、所望のイメージを視認できる。具体的には、レンズシート体10に印刷されたものが立体画像である場合、鑑賞者には立体画像に基づく立体的なイメージが視認される。また、レンズシート体10に印刷されたものがチェンジング画像である場合、鑑賞者にはチェンジング画像に基づいて、見る角度によって絵柄が切り替わるイメージが視認される。
【0029】
図4は、レンズシート体10に印刷されたものが立体画像である場合に、鑑賞者に視認されるイメージを示す図である。この図4に示すように、鑑賞者は、レンズシート体10の表面側から印刷画像PI(立体画像)を視認する場合と、レンズシート体10の裏面側から印刷画像PI(立体画像)を視認する場合とを比較すると、互いに鏡で映したような対称な(左右が反転している)イメージを認識することになる。ただし、左右が反転している以外、奥行き等の立体視の具合は同等となっている。また、左右の反転に関しては、チェンジング画像であっても同様である。
【0030】
ここで、通常の用紙のような白色または白色に近い色のものに印刷する場合、印刷していない部分から用紙の向こう側は見えにくいものとなっている。しかしながら、本実施の形態のような透明な(光透過性を有する)レンズシート体10の印刷範囲において、インクを付着させない部分が生じる場合、インクを付着させない部分からレンズシート体10の向こう側が見える状態となり、印刷画像PIの視認性が悪化してしまう。特に、本実施の形態におけるレンズシート体10は、通常の用紙のように、机等のような設置部位に置く状態で見ることを想定しておらず、表面側および裏面側のいずれからも、印刷画像PIを見ることを想定している。そのため、インクを付着させない透明な部分(隙間)があって、そこからレンズシート体10の向こう側が見える場合、印刷画像PIの視認性の悪化は、通常の用紙のように、机等のような設置部位に置く状態で見ることを想定しているものと比較して、顕著なものとなる。
【0031】
しかしながら、上述のように、画像形成用のインクが付着しない隙間の部分に対し、そのまま隙間が残らないように遮光用インクSIを付着させているため、視認性を向上させる状態となっている。以上が、本発明の概要である。
【0032】
<2.レンチキュラーシート20について>
続いて、上述した概要の中で、本実施の形態におけるレンズシート体10を構成するレンチキュラーシート20について説明する。
【0033】
(2−1)一般的なレンチキュラーシート20について
図5に示すように、レンチキュラーシート20は、凸レンズ21と、基材22と、インク吸収層23と、を有している。
【0034】
凸レンズ21は、一方向を長手とするシリンドリカル凸レンズ21である。図5に示すように、この凸レンズ21は、基材22上に一定のピッチで並列に配置されている。この凸レンズ21においては、それぞれの凸レンズ21を進行する光の焦点が、レンチキュラーシート20の裏面、または当該裏面に形成される印刷層に位置するように、凸レンズ21の曲率が形成されるのが好ましい。凸レンズ21は、PET(Polyethylene Terephtarate)、PETG(Polyethylene Terephtalate Glycol)、APET(Amorphous Polyethylene Terephthalate)、PP(Polypropylene)、PS(Polystyrene)、PVC(Polyvinyl Chloride)、アクリル、UV(Ultraviolet)樹脂等を材質として形成されている。
【0035】
また、基材22は、透明性を有する材料を薄板状に形成したものであり、例えばPET−G(Polyethylene Terephtalate Glycol)樹脂、PET(Polyethylene Terephtarate)樹脂等を用いることが可能である。
【0036】
なお、上述した一方のレンチキュラーシート20に存在する基材22は、請求項でいう第1の基材の一例に対応し、他方のレンチキュラーシート20に存在する基材22は、請求項でいう第2の基材の一例に対応する。また、一方のレンチキュラーシート20に存在する凸レンズ21は、請求項でいう第1の凸レンズの一例に対応し、他方のレンチキュラーシート20に存在する凸レンズ21は、請求項でいう第2の凸レンズの一例に対応する。ただし、他方のレンチキュラーシート20に存在する基材22を、請求項でいう第1の基材の一例に対応するものとし、一方のレンチキュラーシート20に存在する基材22を、請求項でいう第2の基材の一例に対応するものとしても良い。また、他方のレンチキュラーシート20に存在する凸レンズ21を、請求項でいう第1の凸レンズの一例に対応するものとし、一方のレンチキュラーシート20に存在する凸レンズ21を、請求項でいう第2の凸レンズの一例に対応するものとしても良い。
【0037】
また、表面側とは請求項でいう一方の面側の一例に対応し、裏面側とは請求項でいう他方の面側に対応する。ただし、裏面側を請求項でいう一方の面側の一例に対応するものとし、表面側を請求項でいう他方の面側に対応するものとしても良い。
【0038】
インク吸収層23は、インク透過層を透過したインクを吸収および/または固着させる部位である。このインク吸収層23は、たとえばPVA(ポリビニルアルコール)等の親水性ポリマー樹脂、カチオン化合物、シリカ等の微粒子等を材質として形成されている。
【0039】
なお、上述のレンチキュラーシート20においては、インク吸収層23よりも裏面側(基材22および凸レンズ21から離れる側)にインク透過層を設けるようにしても良い。この場合、インク透過層に付着したインクは、インク透過層を透過して、インク吸収層23に到達する。このようなインク透過層としては、透明性を有する材質であることが必要であり、たとえばガラスファイバー、プラスチックファイバー等を材質として形成することが可能である。
【0040】
(2−2)ガイド部24について
また、図6および図7に示すように、本実施の形態におけるレンチキュラーシート20には、ガイド部24が設けられている。ガイド部24は、一方のレンチキュラーシート20に印刷画像PIを形成した後に、一方のレンチキュラーシート20と他方のレンチキュラーシート20を貼り合わせる場合の位置合わせ(位置決め)のために用いられる。このガイド部24は、図6および図7に示すように、レンチキュラーシート20のうち印刷画像PIが形成される印刷領域よりも外縁側に設けられている。
【0041】
また、図6および図7に示すものでは、ガイド部24の一例として、凹部24aと凸部24bを有するものが示されている。図6および図7に示すものでは、凹部24aと凸部24bは、レンチキュラーシート20の印刷領域PR(この印刷領域は、印刷範囲を含み、最大限印刷がなされる領域をさす。)から外れた四隅に設けられている。また、この凹部24aと凸部24bとは、凸レンズ21の長手方向に並ぶように設けられていて、四隅におけるいずれの凹部24aと凸部24bも、短手方向において最も近い凸レンズ21までの距離が等しくなっている。そして、たとえばレンチキュラーシート20の長手の一端においては、近接する長手方向の外縁から長手の他端側に進むにつれて凹凸と並ぶようにし、長手の他端においては、近接する長手方向の外縁から長手の一端側に進むにつれて凸凹と並ぶようにする。このようにすれば、図7に示すレンチキュラーシート20同士を重ねる場合に、正確な位置決めが行える。また、図6および図7に示すものでは、凹部24aと凸部24bとが2つずつ存在するため、位置合わせが行いやすいものとなっている。
【0042】
ただし、凹凸形状のガイド部24は、図6および図7に示すものには限られない。たとえば、図8に示すように、レンチキュラーシート20の短手方向の一方側には凸部24bを設け、短手方向の他方側には凹部24aのみを設けるようにしても良い。また、レンチキュラーシート20のある対角線方向に凸部24bのみ存在し、それとは別の対角線方向に凹部24aのみが存在するものとしても良い。すなわち、凹凸の嵌合によって、2つのレンチキュラーシート20の位置合わせが性格に行えるものであれば、凹凸の配置は、どのようなものであっても良い。ここにおいては、凹部24aおよび凸部24bは、請求項でいう位置決め部の一例に対応する。
【0043】
また、ガイド部24の他の例としては、図9に示すようなものがある。図9には、レンチキュラーシート20の印刷領域PRから外れた外縁側(図7におけるガイド部24と同様の位置)に、位置合わせ用のマーキング240が設けられたものが示されている。図9に示すマーキング240は、凸レンズ21の長手方向に沿う線状の部分(線状部241)と、隣り合う線状部241の間に存在する隙間242とから構成されている。それぞれの線状部分241においては、短手方向において最も近い凸レンズ21までの距離は、ある値となるように正確に定められている。そして、かかるマーキング240は、印刷領域PR外に所定以上の間隔を空けて少なくとも2つ設けられている。このような2箇所以上のマーキング240の配置としては、たとえばレンチキュラーシート20の四隅のうち対角線方向に配置するものや、レンチキュラーシート20の四隅のうち短手方向または長手方向のいずれかに沿うように2つを配置するものがある。勿論、複数のマーキング240の配置はこれには限られるものではなく、種々の配置が可能である。
【0044】
なお、線状部241および隙間242は、請求項でいう位置決め部の一例に対応するが、線状部241のみを請求項でいう位置決め部の一例に対応するものとしても良く、マーキング240が位置決め部の一例に対応するものとしても良い。
【0045】
このようなマーキング240が形成されたレンチキュラーシート20を貼り合わせる場合の位置合わせは、以下のようにして行う。すなわち、2つのマーキング240を重ねて、それを表面側または裏面側の真上から見るようにする。このとき、複数の線状部241のいずれも、重ねられるレンチキュラーシート20に存在するマーキング240の線状部241と重ねられるようにする。その場合、重ねられる2つのマーキング240は、レンチキュラーシート20の厚み方向において、ほとんど同じ位置に位置する状態となる。このため、重ねられている2つのマーキング240の線状部241が少しでもずれると、太さが太くなるように視認される。そのため、重ねられている2つの線状部241の太さが最も細くなるようにレンチキュラーシート20の位置を微調整すれば、レンチキュラーシート20同士の位置合わせを正確に行うことが可能となる。
【0046】
以上のような手法により、マーキング240を形成した場合の位置合わせを行うことが可能であるが、マーキング240は図9に示すものには限られない。たとえば、一方のレンチキュラーシート20の四隅のいずれかに、円形リング状のマーキングを施し、他方のレンチキュラーシート20の四隅のうちリング状のマーキング(大径マーキング)と重ねられる部位に、当該リング状のマーキングの内部に位置する、より小径の円形のリング状または円形状のマーキング(小径マーキング)を設けるようにする。すると、一方のレンチキュラーシート20と他方のレンチキュラーシート20を重ね合わせると、大径マーキングと小径マーキングの間に、隙間が形成される。しかしながら、位置ずれが生じていると、その隙間においては、周方向のいずれかの位置が狭くなる。そのため、周方向のいずれの位置においても、大径マーキングと小径マーキングの間の隙間が均一になるように微調整すれば、レンチキュラーシート20同士の正確な位置合わせを行うことができる。
【0047】
すなわち、レンチキュラーシート20にマーキングを形成する場合には、マーキング同士を重ね合わせたときに、一方のマーキングに対して他方のマーキングの相対的な位置ずれが検出できるものであれば、どのようなマーキングを形成しても良い。
【0048】
(2−3)その他のレンチキュラーシート20について
レンチキュラーシート20は、図5に示すレンチキュラーシート20には限られない。たとえば、上述した図5に示すレンチキュラーシート20のうち、凸レンズ21と基材22のみを有するものとしても良い。ここで、凸レンズ21と基材22とは一体的である必要はなく、分離していても良い。この場合において、基材22に対して、複数の凸レンズ21をそれぞれ接着して、レンチキュラーシート20を形成するようにしても良い。
【0049】
また、図5に示すように凸レンズ21が連続している場合には凸レンズ21のみを有するものとしても良い。これらの場合、レンチキュラーシート20の裏面(凸レンズ21が位置するのとは反対側の面)にインクが付着するが、そのインクはレンチキュラーシート20には染み込まない。しかしながら、インク中に、たとえば熱を加えたり紫外線を照射する等により硬化する成分が入っているインクを用いることも可能である。そのようなインクを用いれば、インクを付着させた後に、熱を加えたり紫外線を照射する等によって、インクを硬化させることが可能であり、良好な印刷画像PIを得ることが可能である。なお、図5以外のレンチキュラーシート20について、上述したガイド部24が設けられる構成とすることは勿論可能である。
【0050】
<3.レンチキュラーシート20に印刷画像PIを形成するための印刷システム30およびデータ処理について>
続いて、レンチキュラーシート20に、上述したような印刷画像PIを形成するための印刷システム30およびデータ処理について説明する。
【0051】
(3−1)印刷システム30の構成について
図10は、本発明の一実施の形態に係る印刷システムの概略的な構成を示すブロック図である。この印刷システム30は、コンピューター40とプリンター50とを有していて、コンピューター40にプリンター50が接続されている。しかしながら、コンピューター40の各機能が、プリンター50内に組み込まれるものであっても良い。
【0052】
図10において、コンピューター40はCPU41とRAM42とROM43と外部記憶装置44と外部インターフェース45とビデオインターフェース46と入力インターフェース47とバス48とから構成されている。バス48は、コンピューター40を構成する各要素41〜47の間でのデータ通信を実現するものであり、図示しないチップセット等によって通信が制御されている。外部記憶装置44には、オペレーティングシステム(OS)を含む各種プログラムやデータが記憶されており、その中にはアプリケーションプログラム44aとプリンタードライバープログラム44bとが存在する。そして、HDDやフラッシュメモリーといった外部記憶装置44に記憶されているプログラムやデータをRAM12に展開しながらCPU41がプログラムやデータに準じた演算を実行する。
【0053】
外部インターフェース45は、プリンターやネットワーク等の外部装置に接続され、その外部装置からの印刷データや制御データの受け取ると共に、外部装置への各種データの通知を行う。そのような外部インターフェース45としては、例えばUSB規格に準じたものがある。ビデオインターフェース46はコンピューター40を外部のディスプレイ60に接続し、ディスプレイ60に画像を表示するためのインターフェースである。入力インターフェース47はコンピューター40を外部のキーボード70とマウス80等のような入力手段に接続し、それらの入力手段からの入力信号をコンピューター40が取得するためのインターフェースである。
【0054】
アプリケーションプログラム44aは、例えば、外部インターフェース45を通じて、図示外のスキャナー装置やデジタルカメラ等から画像データを入力する。本実施の形態におけるアプリケーションプログラム44aは、立体画像やチェンジング画像をレンチキュラーシート20に作成するために、複数の画像データを凸レンズ21のピッチに対応させて細分化し、その後細分化されたものを並べ替えた、立体視画像用またはチェンジング画像用の合成画像データを作成するためのプログラムである。このアプリケーションプログラム44aは、図示外のビデオドライバーを介して、合成画像データによって表される画像をディスプレイ60に表示させる。また、アプリケーションプログラム44aは、プリンタードライバープログラム44bを介して、合成画像データをプリンター50に出力する。
【0055】
上述のプリンタードライバープログラム44bは、画像取得モジュール441と、色変換モジュール442と、ハーフトーンモジュール443と、印刷データ出力モジュール444とを備え、その他、データとして、色変換テーブルLUTとディザマスクDを有している。画像取得モジュール441は、アプリケーションプログラム44aから、印刷の対象となる画像データ(合成画像データ)の取得を行う。色変換モジュール442は、予め用意された色変換テーブルLUTを参照して、画像データの色成分R,G,Bをプリンター50が表現可能な色成分(たとえばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色)に変換する。
【0056】
ハーフトーンモジュール443は、色変換後の画像データを、二値化または多値化されたドットの分布によって表すハーフトーン処理を行う。本実施例では、このハーフトーン処理として、ディザマスクDを用いた組織的ディザ法を行う。
【0057】
印刷データ出力モジュール444は、ハーフトーン処理によって得られた各色のドットの配置を表すデータを、プリンター50の印刷ヘッド52によるドットの形成順序に合わせて並び替え、印刷データとしてプリンター50に出力する。
【0058】
また、プリンター50には、制御回路51と印刷ヘッド52が設けられている。制御回路51は印刷データ出力モジュール444から受け取った印刷データに基づいて、印刷ヘッド52を駆動させるための駆動信号を作成する。そして、この駆動信号に基づいて印刷ヘッド52が制御駆動され、レンチキュラーシート20にインクを噴射して所望の印刷画像PIを形成することが可能となっている。なお、この印刷ヘッド52は、インク量の異なる複数種類(大、中、小)のインク滴を噴射することで、複数種類のサイズのドットを形成することを可能としても良い。
【0059】
また、印刷ヘッド52は、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)とを少なくとも噴射可能としている。ただし、これら以外の中間色のインクや、白色インクを噴射可能としていても良い。
【0060】
(3−2)データ処理について
続いて、図1、図2等に示すような印刷画像PIを形成するためのデータ処理(画像処理)について説明する。
【0061】
画像取得モジュール441がアプリケーションプログラム44aからRGB表色系の合成画像データを受け取ると、解像度変換等の所定の処理後に、色変換モジュール442によって、プリンター50で印刷可能な色成分(たとえばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色)に色変換する。
【0062】
その後に、ハーフトーンモジュール443は、後述するようにディザ処理により、CMYK表色系によって表された画像データを、色変換テーブルLUTを参照して、たとえば大、中、小の3種類のドットの組み合わせからなるビットマップデータに変換する。
【0063】
図11は、ディザマスクDを用いたディザ処理のイメージを示す。ハーフトーン処理においては、ディザマスクの各画素の数値(閾値)と、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)といった各色成分に変換された後の中間データの各色成分の階調値とを個別に比較する。この比較においては、ディザマスクの閾値が、各色成分の中間データの各画素の階調値よりも小さい場合に、ドットをオフとし(図11の斜線部分)、逆に上回っている場合にはドットをオンとする(図11の白抜き部分)状態となっている。このようにして、ハーフトーン処理では、ドットのオン/オフのみの、2値化された情報(2値化データ)が、各色毎に得られる。
【0064】
ところで、上述した遮光用インクSIを噴射させるためには、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)の各色成分のドットが形成されない箇所を把握する(抽出する)必要がある。そのため、本実施の形態では、図12に示すような処理を行っている。
【0065】
図12においては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)といった各色のそれぞれの2値化データにおいて、それぞれの画素に対応する部分が、全てドットのオフであるか否かを判定するようにしている。仮にドットのオフを「0」、ドットのオンを「1」とすると、それぞれの画素において全てドットのオフを表す「0」であると判断される場合には、その画素には、いずれの色成分のインクも付着せずに、隙間が形成されると判断され、その場合には、その画素に対応する印刷部位には遮光用インクSIを着弾させるようにする。すなわち、遮光用インクSIによるドット形成をオンとする。逆に、それぞれの画素において、いずれかの色成分において、ドットのオンを表す「1」が存在すると判断される場合には、その画素には、いずれの色成分のインクが付着することになり、隙間が形成されないと判断される。その場合には、その画素に対応する印刷部位には遮光用インクSIを着弾させないようにする。
【0066】
このようにして、印刷領域PR中の少なくとも印刷範囲の全てに亘り、インクが付着して、インクが付着しない隙間が発生しないこととなり、その印刷範囲の全面にインクが塗布されて、表側と裏側との間で、光が大幅に遮られる状態となる。
【0067】
また、本実施の形態では、色変換テーブルLUTは、それぞれの画素におけるインクの噴射量が多くなり、印刷範囲に付着するインク量を多くして遮光性を高めるように設定されている。図13においては、通常の用紙に印刷する色変換テーブルLUTが破線で示されていて、本実施の形態における遮光性を高めるための色変換テーブルLUTが実線で示されている。図13に実線で示される色変換テーブルLUTを参照すれば、通常の用紙へ印刷する場合(図13において破線で示されるもの)と同じ諧調の画素であっても、噴射されるインク量が多くなる確率が高くなる。
【0068】
その後、印刷データ出力モジュール444は、ハーフトーン処理がなされたビットマップデータから、印刷ヘッド52によるドットの形成順序に合わせて並び替えた印刷データを生成する。
【0069】
<4.本実施の形態における効果>
以上のような構成のレンズシート体10およびレンズシート体10の製造方法によれば、印刷画像PIを画像形成用インクが付着していない隙間部分に遮光用インクSIが付着して印刷画像PIが形成されるため、レンズシート体10の表面側から印刷画像PIを見た場合に、レンズシート体10の向こう側が見えてしまう、といった事態が生じるのを低減可能となる。そのため、印刷画像PIが目立つようになり、印刷された印刷画像PIを引き立てることが可能となり、その印刷画像PIの視認性を良好にすることが可能となる。また、レンズシート体10では、表側からも、裏側からも印刷画像PIを視認可能となるため、表裏の両面から左右対称な印刷画像PIを鑑賞することが可能となる。
【0070】
なお、本実施の形態における発明を用いて立体画像を形成する場合において、たとえばショーウィンドウ等で人物や品物だけを飛び出させ、文字等は凸レンズ21の範囲外に設けるようにする。このようにすれば、人物や品物と、文字等を別々に見せることができ、それによって通常の立体画像の表示よりも安価でありながらも、視認性に優れた画像表示が可能となる。なお、上述のような見せ方は、ショーウィンドウに限られるものではなく、たとえば建物の小窓や車窓等、種々の場所に本発明を適用して、同様の見せ方をさせることが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態においては、ガイド部24が存在することにより、一方のレンチキュラーシート20と、他方のレンチキュラーシート20との間の位置決めを正確に行うことが可能となる。それにより、一方のレンチキュラーシート20と、他方のレンチキュラーシート20との間での貼り合わせを、位置ずれすることなく正確に行える。
【0072】
さらに、図6〜図8に示すように、ガイド部24が、凹部24aと凸部24bとを有する場合、一方のレンチキュラーシート20における凹部24aおよび凸部24bと、他方のレンチキュラーシート20における凸部24bおよび凹部24aとを嵌合させることにより、一方のレンチキュラーシート20と他方のレンチキュラーシート20との間の位置決めを正確に行うことが可能となる。また、凹凸の嵌合により位置決めがなされるため、位置決めの作業を効率化することが可能となる。
【0073】
また、図9に示すように、ガイド部24がマーキング240である場合、一方のレンチキュラーシート20における線状部241と、他方のレンチキュラーシート20における線状部241とが重ね合わせる。それにより、線状部241の重なり部分の位置変化による太さの変化によって、一方のレンチキュラーシート20と他方のレンチキュラーシート20との間の正確な位置決めを行うことが可能となる。
【0074】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0075】
(5−1)変形例その1
上述の実施の形態では、一方のレンチキュラーシート20のみに印刷を行うようにしている。しかしながら、(1)一方(表側)のレンチキュラーシート20に印刷画像の半分を印刷し、(2)他方(裏側)のレンチキュラーシートに印刷画像の残りの半分を反転させたものを印刷し、(3)境界がきれいにつながるようにして、表裏のレンチキュラーシートを貼り合わせるようにしても良い。このようなレンズシート体であっても、上述の実施の形態におけるレンズシート体10と比較して視認性は同等であるため、上述したレンズシート体10と同様の効果を得ることが可能である。
【0076】
なお、貼り合わせることによって、レンズシート体10の内部に連続した状態の印刷画像が形成されるものであれば、印刷画像の形成領域は、一方(表側)のレンチキュラーシート20に印刷画像の半分、および他方(裏側)のレンチキュラーシートに印刷画像の残りの半分に限られるものではなく、印刷画像の一部(一箇所であっても複数箇所であっても良い。)を一方(表側)のレンチキュラーシート20に形成し、印刷画像から一部を除いた残りの部分を反転させたものを、他方(裏側)のレンチキュラーシートに形成するようにしても良い。
【0077】
(5−2)変形例その2
また、上述の実施の形態においては、ガイド部として、図6〜図9に示すようなものが示されている。しかしながら、ガイド部としては、このような図6〜図9に示すものには限られない。たとえば、2つのレンチキュラーシート20を重ねた状態で挟み込みような冶具を用いるようにしても良い。そのような冶具としては、たとえば、(1)2つのレンチキュラーシート20の裏側同士が当接する状態で軽く挟み込む挟み込み部、(2)表側からの捻じ込み等によって裏側に向けて移動させることが可能な先端が尖形状の位置決め部材、(3)裏側からの捻じ込み等によって表側に向けて移動させることが可能な先端が尖形状の位置決め部材、(4)それぞれの位置決め部材の先端同士は、突き合わせることが可能となっている、という要素を有するものがある。この冶具を用いる場合、表側および裏側の位置決め部材の尖形状の先端部分が、隣り合う凸レンズ21の谷間に位置するようにすれば、2つのレンチキュラーシート20の位置合わせを正確に行うとが可能である。
【0078】
(5−3)変形例その3
また、上述の実施の形態においては、印刷画像を一方のレンチキュラーシート20の裏面に形成するものとしている。しかしながら、たとえば透明なフィルム等のようなレンチキュラーシートとは別の印刷用部材に予め印刷画像を形成しておき、その印刷用部材の表側と裏側のそれぞれに、印刷画像に対してレンチキュラーシート20の位置合わせを行った後に貼り合わせるようにしても良い。このようにしても、上述の実施の形態におけるレンズシート体10と視認性は同等であるため、上述したレンズシート体10と同様の効果を得ることが可能である。
(5−4)変形例その4
【0079】
上述の実施の形態においては、印刷ヘッド52を有するプリンター50によって、印刷画像を形成するものとしている。しかしながら、印刷画像は、プリンター50によって形成されるものには限られず、たとえば複写機等のようなプリンター50とは異なる手段によって形成されるものであっても良い。
【0080】
(5−5)変形例その5
また、上述の実施の形態において、プリンター50の概念には、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したり噴射したりする流体噴射装置を含むようにすることもできる。そのようなものとしては、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する流体噴射装置等がある。
【0081】
(5−6)変形例その6
さらに、本発明のプリンター50の概念に含まれるものとしては、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置等がある。
【符号の説明】
【0082】
10…レンズシート体、20…レンチキュラーシート(第1のレンチキュラーシートの一例または第2のレンチキュラーシートの一例に対応)、21…凸レンズ(第1の凸レンズの一例または第2の凸レンズの一例に対応)、22…基材(第1の基材の一例または第2の基材の一例に対応)、23…インク吸収層、24…ガイド部、24a…凹部(位置決め部の一例に対応)、24b…凸部(位置決め部の一例に対応)、30…印刷システム、40…コンピューター、41…CPU、42…RAM、43…ROM、44a…アプリケーションプログラム、44b…プリンタードライバープログラム、44…外部記憶装置、45…外部インターフェース、46…ビデオインターフェース、47…入力インターフェース、48…バス、50…プリンター、51…制御回路、52…印刷ヘッド、60…ディスプレイ、70…キーボード、80…マウス、240…マーキング(位置決め部の一例に対応)、241…線状部(位置決め部の一例に対応)、242…隙間、(位置決め部の一例に対応)、441…画像取得モジュール、442…色変換モジュール、443…ハーフトーンモジュール、444…印刷データ出力モジュール、D…ディザマスク、LUT…色変換テーブル、PI…印刷画像、PR…印刷領域、SI…遮光用インク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する第1の基材の一方の面側に、一方向を長手とする第1の凸レンズを配置し、前記第1の基材の他方の面側の前記第1の凸レンズの各々に対応する位置に、右目用と左目用の視差画像、または視認角度によって絵柄が切り替わるチェンジング画像が形成されたレンズシート体であって、
前記他方の面側にも、光透過性を有する第2の基材と第2の凸レンズを配置し、
前記第2の凸レンズは、前記第1の凸レンズと同じレンズピッチに形成されていて、
前記第2の凸レンズの長手は、前記第1の凸レンズの長手と同じ長手方向に沿うように配置されていると共に、
前記第2の凸レンズは、前記第1の基材の法線方向および前記長手方向に直交する直交方向において、前記第1の凸レンズに対応する位置に設けられていて、
前記印刷画像は、前記視差画像または前記チェンジング画像を形成する画像形成用インクと、印刷範囲のうち前記画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着することによって形成されている、
ことを特徴とするレンズシート体。
【請求項2】
請求項1記載のレンズシート体であって、
前記第1の基材および前記第2の基材の他方の面側のうち前記印刷範囲から外れる外縁側にはガイド部が設けられていて、このガイド部には、前記第1の基材および前記第1の凸レンズを有する第1のレンチキュラーシートと、前記第2の基材および前記第2の凸レンズを有する第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めを行う位置決め部が設けられている、
ことを特徴とするレンズシート体。
【請求項3】
請求項2記載のレンズシート体であって、
前記ガイド部は、前記第1の基材および前記第2の基材の他方の面側から一方の面側に向かって窪む凹部と、前記第1の基材および前記第2の基材の他方の面側から離間する向きに向かって突出する凸部と、
を有し、
前記第1の基材における凹部および凸部と、前記第2の基材における凸部および凹部とが嵌合することによって、前記第1のレンチキュラーシートと、前記第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めがなされる、
ことを特徴とするレンズシート体
【請求項4】
請求項2記載のレンズシート体であって、
前記ガイド部は、前記第1の基材および前記第2の基材の他方の面に形成されるマーキングであり、このマーキングは、前記長手方向に沿う線状部を有し、この線状部は前記直交方向に沿って隙間を挟んで所定の間隔で配置されていて、
前記第1の基材における前記線状部と、前記第2の基材における前記線状部とが重ねあわされることによって、前記第1のレンチキュラーシートと、前記第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めがなされる、
ことを特徴とするレンズシート体。
【請求項5】
光透過性を有する第1の基材の一方の面側に、一方向を長手とする第1の凸レンズを配置しているレンズシート体の製造方法であって、
前記第1の基材の他方の面側の前記第1の凸レンズの各々に対応する位置に、右目用と左目用の視差画像、または視認角度によって絵柄が切り替わるチェンジング画像を形成する画像形成工程と、
前記他方の面側に、第2の凸レンズを搭載すると共に光透過性を有する第2の基材を、当該第2の基材のうち前記第2の凸レンズが搭載されていない他方の面側が前記第1の基材の他方の面側と向き合う状態で貼り合わせる貼り合わせ工程と、
を有し、
前記第2の凸レンズは、前記第1の凸レンズと同じレンズピッチに形成されていて、
平面視したときに、前記第2の凸レンズの長手は、前記第1の凸レンズの長手と同じ長手方向に沿うように配置されていると共に、
前記画像形成工程によって形成される前記印刷画像は、前記視差画像または前記チェンジング画像を形成するための画像形成用インクと、印刷範囲のうち前記画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着することによって形成されていて、
前記貼り合わせ工程では、前記第2の凸レンズが前記第1の基材の法線方向および前記長手方向に直交する直交方向において、前記第1の凸レンズに対応する位置に設けられるように前記第1の基材の他方の面側と前記第2の基材の他方の面側とが貼り合わされる、
ことを特徴とするレンズシート体の製造方法。
【請求項1】
光透過性を有する第1の基材の一方の面側に、一方向を長手とする第1の凸レンズを配置し、前記第1の基材の他方の面側の前記第1の凸レンズの各々に対応する位置に、右目用と左目用の視差画像、または視認角度によって絵柄が切り替わるチェンジング画像が形成されたレンズシート体であって、
前記他方の面側にも、光透過性を有する第2の基材と第2の凸レンズを配置し、
前記第2の凸レンズは、前記第1の凸レンズと同じレンズピッチに形成されていて、
前記第2の凸レンズの長手は、前記第1の凸レンズの長手と同じ長手方向に沿うように配置されていると共に、
前記第2の凸レンズは、前記第1の基材の法線方向および前記長手方向に直交する直交方向において、前記第1の凸レンズに対応する位置に設けられていて、
前記印刷画像は、前記視差画像または前記チェンジング画像を形成する画像形成用インクと、印刷範囲のうち前記画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着することによって形成されている、
ことを特徴とするレンズシート体。
【請求項2】
請求項1記載のレンズシート体であって、
前記第1の基材および前記第2の基材の他方の面側のうち前記印刷範囲から外れる外縁側にはガイド部が設けられていて、このガイド部には、前記第1の基材および前記第1の凸レンズを有する第1のレンチキュラーシートと、前記第2の基材および前記第2の凸レンズを有する第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めを行う位置決め部が設けられている、
ことを特徴とするレンズシート体。
【請求項3】
請求項2記載のレンズシート体であって、
前記ガイド部は、前記第1の基材および前記第2の基材の他方の面側から一方の面側に向かって窪む凹部と、前記第1の基材および前記第2の基材の他方の面側から離間する向きに向かって突出する凸部と、
を有し、
前記第1の基材における凹部および凸部と、前記第2の基材における凸部および凹部とが嵌合することによって、前記第1のレンチキュラーシートと、前記第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めがなされる、
ことを特徴とするレンズシート体
【請求項4】
請求項2記載のレンズシート体であって、
前記ガイド部は、前記第1の基材および前記第2の基材の他方の面に形成されるマーキングであり、このマーキングは、前記長手方向に沿う線状部を有し、この線状部は前記直交方向に沿って隙間を挟んで所定の間隔で配置されていて、
前記第1の基材における前記線状部と、前記第2の基材における前記線状部とが重ねあわされることによって、前記第1のレンチキュラーシートと、前記第2のレンチキュラーシートとの間の位置決めがなされる、
ことを特徴とするレンズシート体。
【請求項5】
光透過性を有する第1の基材の一方の面側に、一方向を長手とする第1の凸レンズを配置しているレンズシート体の製造方法であって、
前記第1の基材の他方の面側の前記第1の凸レンズの各々に対応する位置に、右目用と左目用の視差画像、または視認角度によって絵柄が切り替わるチェンジング画像を形成する画像形成工程と、
前記他方の面側に、第2の凸レンズを搭載すると共に光透過性を有する第2の基材を、当該第2の基材のうち前記第2の凸レンズが搭載されていない他方の面側が前記第1の基材の他方の面側と向き合う状態で貼り合わせる貼り合わせ工程と、
を有し、
前記第2の凸レンズは、前記第1の凸レンズと同じレンズピッチに形成されていて、
平面視したときに、前記第2の凸レンズの長手は、前記第1の凸レンズの長手と同じ長手方向に沿うように配置されていると共に、
前記画像形成工程によって形成される前記印刷画像は、前記視差画像または前記チェンジング画像を形成するための画像形成用インクと、印刷範囲のうち前記画像形成用インクが付着していない部分に光の遮光を目的とする遮光用インクと、が付着することによって形成されていて、
前記貼り合わせ工程では、前記第2の凸レンズが前記第1の基材の法線方向および前記長手方向に直交する直交方向において、前記第1の凸レンズに対応する位置に設けられるように前記第1の基材の他方の面側と前記第2の基材の他方の面側とが貼り合わされる、
ことを特徴とするレンズシート体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−133274(P2012−133274A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287190(P2010−287190)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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