説明

レンズユニット、光学ユニット及び表示装置

【課題】レンズとレンズホルダとの勘合を確かなものとするとともに、レンズのレンズホルダからの離脱を防止することである。
【解決手段】レンズ10は、円形のレンズ本体11の対向する約1/4周面に縁部12a、12bを有し正面が長円形状に形成される。一方、レンズホルダ15は、レンズ10の長円形状に対応して長円形状に形成されるとともに、その長円形状の短径幅がレンズ10の短径幅とほぼ同じ長さに形成される。そして、レンズ10をレンズホルダ15に装着する際には、レンズ10の縁部12a、12bに形成された嵌合部13a、13b及びレンズホルダ15の長円形状の長径端部16a、16bに形成された嵌合部17a、17bにより、レンズ10及びレンズホルダ15を互いに交差させた状態から長円形状が重なる方向に回動させたときに互いに嵌合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてLED(発光ダイオード)を用いたレンズユニット、光学ユニット及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空港などに用いられる埋込形標識灯においては、ハロゲン電球などの光源に代えてLEDが用いられるようになっている。LEDを光源として埋込形標識灯に用いる場合に、複数のLEDをプラスチックで一体注型して光源ユニットとし取扱いを容易にしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
通常、LEDを光源とする光源ユニットは、LEDの配光を制御するレンズを設け、そのレンズをレンズホルダで保持するようにしている。レンズのレンズホルダへの取り付けは、嵌合部にて着脱自在に取り付けられている。
【特許文献1】特表平11−514136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来においては、レンズのレンズホルダへの取り付けは嵌合部の嵌合により取り付けているので、製作時の取り付けに不備があった場合や、振動等によりレンズとレンズホルダの勘合が外れた場合には、レンズとレンズホルダとの位置関係やLEDとレンズとの位置関係にずれが生じ、LEDの配光がずれることになる。特に、レンズがレンズホルダから離脱してしまった場合にはLEDの配光ができなくなる。
【0005】
例えば、埋込形標識灯に使用されている光学ユニットのレンズとレンズホルダが外れ、LEDの配光にずれが生じたり、配光ができなくなった場合には航空機への案内表示に支障をきたすことも考えられる。
【0006】
本発明の目的は、レンズとレンズホルダとの勘合を確かなものとするとともに、レンズのレンズホルダからの離脱を防止できるレンズユニット、光学ユニット及び表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係わるレンズユニットは、円形のレンズ本体の対向する約1/4周面に縁部を有し正面が長円形状に形成されLEDの配光を制御するレンズと;前記レンズの長円形状に対応して長円形状に形成されるとともにその長円形状の短径幅が前記レンズの短径幅とほぼ同じ長さに形成され前記レンズを装着するレンズホルダと;前記レンズの縁部及び前記レンズホルダの長円形状の長径端部に形成され、前記レンズ及び前記レンズホルダを互いに交差させた状態から長円形状が重なる方向に回動させたときに互いに嵌合する嵌合部と;を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は以下による。
【0009】
円形のレンズ本体の対向する約1/4周面とは、円形に形成されたレンズ本体の外周面のうちの任意の1/4周面と、円形の中心を点対称とした1/4周面であり、任意の1/4周面の反対側の1/4周面である。縁部とは円形の中心からフランジ状に突出して形成された部分を言う。従って、円形のレンズ本体に対して、1/4周ごとに縁部のある部分と縁部のない部分とが交互に形成され、正面から見た場合には長円形状となる。LEDの配光を制御するとは、LEDからの発光を所定の方向に出射させることを言う。
【0010】
レンズの長円形状に対応して長円形状に形成されるとは、長円形状の長径幅及び短径幅がレンズの長円形状に近似した形状であることをいい、短径幅はレンズの短径幅とほぼ同じ長さに形成される。
【0011】
レンズホルダの長円形状の長径端部とは長円形状の長径幅の端部をいう。レンズの縁部及びレンズホルダの長円形状の長径端部に形成される嵌合部は、例えば、凹凸形状の嵌合部であり、レンズの縁部に凹部の嵌合部が形成される場合にはレンズホルダの長径端部には凸部の嵌合部が形成される。
【0012】
レンズ及びレンズホルダを互いに交差させた状態とは、レンズの嵌合部とレンズホルダの嵌合部とが嵌合していない状態で、レンズ及びレンズホルダを円形のレンズ本体の中心で交差させることをいう。また、長円形状が重なる方向に回動させるとは、円形のレンズ本体の中心を回動点としてレンズの嵌合部とレンズホルダの嵌合部とが嵌合するようにレンズ及びレンズホルダを回動させることをいう。
【0013】
請求項2の発明に係わる光学ユニットは、複数個の請求項1のレンズユニットと;前記レンズユニットの長円形状の短径部を隣接して実装した基板と;を備えたことを特徴とする。
【0014】
レンズユニットの長円形状の短径部とは、レンズが装着されたときにレンズの縁部のない部分が位置する部分を言う。
【0015】
請求項3の発明に係わる表示装置は、請求項2の光学ユニットと;前記光学ユニットを収納する表示装置本体と;を備えたことを特徴とする。
【0016】
表示装置は、光学ユニットを光源とする照明装置や標識灯等であり、例えば、航空標識灯が含まれる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、レンズとレンズホルダは長円形状に形成され、短径部はほぼ同じ長さに形成されるので、レンズをレンズホルダに装着して形成されるレンズユニットは短径部がレンズホルダを切り欠いた形状と同等となり、小型化が図れる。また、レンズホルダは、レンズの縁部及びレンズホルダの長円形状の長径端部に形成された嵌合部でレンズを保持するので、レンズとレンズホルダとの勘合を確かなものとすることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、レンズユニットの短径部を隣り合わせて光学ユニットを形成するので、レンズの回転を防止できる。これにより、たとえレンズとレンズホルダとの勘合が外れてしまった場合でも、レンズはほとんど動けないため、脱落防止とレンズの回転による配光ずれを防止できる。
【0019】
請求項3の発明によれば、請求項2の効果を有する光学ユニットを備えているので、信頼性の高い表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明の実施の形態に係わるレンズユニットのレンズの説明図であり、図1(a)はレンズの正面図、図1(b)はレンズの断面図である。レンズ10のレンズ本体11は円形に形成され、その円形のレンズ本体11の対向する約1/4周面に縁部12a、12bを有している。図1(a)に示すように、レンズの縁部12aは、円形に形成されたレンズ本体11の外周面のうちの任意の1/4周面に形成され、図1(a)では図の上部に形成された場合を示している。そして、レンズの縁部12bは、レンズの縁部12aに対してレンズ本体11の円形の中心を点対称とした1/4周面に形成されている。
【0021】
また、レンズの縁部12a、12bは、レンズ本体11の円形の中心からフランジ状に突出して形成され、そのレンズの縁部12a、12bには嵌合部13a、13bが設けられている。図1では、嵌合部13a、13bとして凹部形状の嵌合部が形成された場合を示している。この嵌合部13a、13bは、後述のレンズホルダの嵌合部と嵌合してレンズをレンズホルダに保持するようになっている。
【0022】
レンズ本体11の背面側にはLEDを収納するLED収納部14が形成されており、このLED収納部14にLEDを配置する。これにより、LEDからの発光はレンズの配光特性に従って所定の方向に配光されて出射される。
【0023】
図2は本発明の実施の形態に係わるレンズユニットのレンズホルダの説明図であり、図2(a)はレンズホルダの正面図、図2(b)はレンズホルダの断面図である。レンズホルダ15はレンズ10の長円形状に対応して長円形状に形成され、その長円形状の短径幅がレンズ10の短径幅とほぼ同じ長さに形成されている。レンズ10の短径幅は縁部12a、12bが設けられていない部分である。
【0024】
一方、レンズホルダ15の長円形状の長径端部16a、16bには、レンズ10の嵌合部12a、12bと嵌合する凸形状の嵌合部17a、17bが設けられており、レンズ10の凹形状の嵌合部12a、12bと嵌合してレンズをレンズホルダに装着するようになっている。
【0025】
レンズホルダ15の背面には、レンズホルダ15を基板に取り付けるための突起部18a、18b及び取付部19a、19bが設けられている。また、レンズ10がレンズホルダ15に装着された状態で、レンズ10のLED収納部14にLEDを挿入して配置するための開口部20が設けられている。
【0026】
図3は、レンズ10をレンズホルダ15に装着する手順の説明図である。まず、図3(a)に示すように、レンズ10の長径部方向から矢印Aに沿ってレンズホルダ15の短径部の位置にスライドさせ、レンズ10及びレンズホルダ15を互いに交差させる。
【0027】
図3(b)はレンズ10及びレンズホルダ15を互いに交差させた状態を示している。この状態では、レンズ10の嵌合部13a、13bとレンズホルダ15の嵌合部17a、17bとが嵌合していない状態であり、レンズ10及びレンズホルダ15は円形のレンズ本体11の中心で交差している状態である。この状態から図3(b)の矢印Bに示す方向に、レンズ10の嵌合部13a、13bとレンズホルダ15の嵌合部17a、17bとが嵌合するまでレンズ10を回動させる。つまり、レンズ10及びレンズホルダ15を互いに交差させた状態から長円形状が重なる方向に回動させて嵌合させる。これにより、レンズユニットが形成される。
【0028】
このように、レンズ10とレンズホルダ15とを長円形状に形成し、レンズ10とレンズホルダ15の短径部をほぼ同じ長さに形成するので、レンズ10をレンズホルダ15に装着して形成されるレンズユニットは短径部がレンズホルダ10を切り欠いた形状と同等となり小型化が図れる。また、レンズホルダ15は、レンズの縁部12a、12bに形成された嵌合部13a、13b及びレンズホルダ15の長径端部16a、16bに形成された嵌合部17a、17bでレンズ10を保持するので、レンズ10とレンズホルダ15との勘合を確かなものとすることができる。
【0029】
図4は本発明の実施の形態に係わる光学ユニットの正面図、図5は光学ユニットの断面図である。光学ユニット21は、複数個のレンズユニット22の長円形状の短径部を隣接して基板23に実装して構成される。図4及び図5では3個のレンズユニット22を隣接して設けた場合を示している。
【0030】
図4及び図5に示すように、レンズユニット22は、レンズホルダ15にレンズ10が装着されたときにレンズの縁部12a、12bのない部分、つまり長円形状の短径部を互いに密着させて配置されている。従って、レンズユニット22に装着されたレンズ10は、隣り合うレンズユニット22のレンズ10により回転が阻止されるので、たとえレンズ10とレンズホルダ15との勘合が外れてしまった場合でも、レンズ10はほとんど動けない状態となる。これにより、レンズ10の脱落防止とレンズ10の回転による配光ずれを防止できる。
【0031】
図6は本発明の実施の形態に係わる表示装置の側面図である。図6では、表示装置として埋込型標識灯を示している。空港の滑走路や道路の路中に形成された基台24の上部に表示装置本体25が装着される。表示装置本体25内には本発明の光学ユニット21が内蔵されており、光学ユニット21からの光はプリズム26を通って滑走路や道路等に出射される。このように、本発明の光学ユニット21を備えた表示装置においては、光学ユニット21がレンズの脱落防止やレンズの回転による配光ずれを防止できる機能を有するので、信頼性の高い表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係わるレンズユニットのレンズの説明図。
【図2】本発明の実施の形態に係わるレンズユニットのレンズホルダの説明図。
【図3】本発明の実施の形態におけるレンズをレンズホルダに装着する手順の説明図。
【図4】本発明の実施の形態に係わる光学ユニットの正面図。
【図5】本発明の実施の形態に係わる光学ユニットの断面図。
【図6】本発明の実施の形態に係わる表示装置の側面図。
【符号の説明】
【0033】
10…レンズ、11…レンズ本体、12…縁部、13…嵌合部、14…LED収納部、15…レンズホルダ、16…長径端部、17…嵌合部、18…突起部、19…取付部、20…開口部、21…光学ユニット、22…レンズユニット、23…基板、24…基台、25…表示装置本体、26…プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形のレンズ本体の対向する約1/4周面に縁部を有し正面が長円形状に形成されLEDの配光を制御するレンズと;
前記レンズの長円形状に対応して長円形状に形成されるとともにその長円形状の短径幅が前記レンズの短径幅とほぼ同じ長さに形成され前記レンズを装着するレンズホルダと;
前記レンズの縁部及び前記レンズホルダの長円形状の長径端部に形成され、前記レンズ及び前記レンズホルダを互いに交差させた状態から長円形状が重なる方向に回動させたときに互いに嵌合する嵌合部と;
を備えたことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
複数個の請求項1のレンズユニットと;
前記レンズユニットの長円形状の短径部を隣接して実装した基板と;
を備えたことを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項2の光学ユニットと;
前記光学ユニットを収納する表示装置本体と;
を備えたことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−15220(P2008−15220A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186213(P2006−186213)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】