説明

レンズ積層のための二層接着剤

フィルムを光学物品上に積層させる方法、及び本方法に使用するための二層接着剤。二層接着剤は、フィルム上に順に配置され、乾燥させて、光学品質をもたらすために一貫して均一な薄さの固体層を形成するラテックス接着層又は特定のシラン接着剤とHMA層とを含む。光学機能を与える上で様々な種類のフィルムを使用することができる。任意的な予備処理段階に続いて、接着剤がフィルム上に被覆される。ホットプレス技術を用いて熱及び圧力を短時間にわたって供給し、高い接着強度を有する機能的に強化された光学物品が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二層接着剤を用いて光学基本要素に機能化層状構造を積層させる方法、及び得られる機能化光学要素に関する。
【背景技術】
【0002】
光学要素の性能を高めるために、様々なフィルム及びコーティングが光学要素と組み合わされる。偏光フィルムとプラスチックレンズの間の接着性は、産業界における積年の問題である。1つの接着剤の選択は、常に、使い勝手、機械的一体性、及び光学品質の間の妥協を意味する。
【0003】
WO2006/082105には、フィルム転写工程においてラテックス接着剤を使用する1つの手法が詳述されている。EP 1868798には、フィルム転写工程のためのHMA接着剤が説明されている。WO2002/096521では、感圧接着剤を用いて偏光フィルムが積層される。US2007/0195262に説明されている機械的な手法では、接着性を改善するために積層中に複合支持体を用いてフィルムが歪曲される。
【0004】
しかし、これまでに開示された技術は、主に低い接着性又は低い機械性能に起因するいくつかの欠点を有する。これらの欠陥を解決する試みは、接着強度を殆ど改善せず、光学品質の低下を伴っていた。従って、フィルムとレンズ面の異なる材料特性を補償して基本的な積層工程において高い接着強度を与える接着剤適用の方法を提供する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2006/082105
【特許文献2】EP 1868798
【特許文献3】WO2002/096521
【特許文献4】US2007/0195262
【特許文献5】WO2006/013250
【特許文献6】US 5,316,791
【特許文献7】米国特許第6,503,631号
【特許文献8】US 6,489,028
【特許文献9】US 6,562,466
【特許文献10】EP 1161512
【特許文献11】US 6,770,710
【特許文献12】US 6,740,699
【特許文献13】米国特許第5,128,388号
【特許文献14】EP 1917136
【特許文献15】WO2003/004255
【特許文献16】WO2006/105999
【特許文献17】WO2007/085910
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、積層機能化光学要素の機械的特性と光学特性の両方を改善することである。
【0007】
更に別の目的は、2つの異なる接着剤と、これを適用して様々な光学ホットプレス法において直ちに使用することができる二層接着剤を提供する方法とを呈示することである。
【0008】
別の目的は、異なる接着剤を光学品質で均一に薄い層を形成するような方式で適用することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による上記及び他の目的は、光学基本要素と、光学基本要素に直接接着されて機能化光学要素を形成する少なくとも1つの機能層を組み込む機能化層状構造とを含む機能化光学要素によって達成される。二層接着剤構造は、光学基本要素と機能化層状支持体の間に配置される。二層接着剤構造は、機能化層状構造の面上に配置されたラテックス接着剤の層と、ラテックス層と光学基本要素の間に配置されたホットメルト接着剤の層とを含み、機能化層状構造を光学基本要素上に永続的に保持すると同時に光学品質を維持する二層接着剤を形成する。二層接着剤構造は、機能化層状構造の面上に配置された特定のシラン接着剤、より具体的にはガンマ−アミノプロピルトリエトキシシランの層と、シラン接着層と光学基本要素の間に配置されたホットメルト接着剤の層とを含み、機能化層状構造を光学基本要素上に永続的に保持すると同時に光学品質をも維持する二層接着剤を形成することができる。
【0010】
ラテックス接着層は、アクリルラテックス、(メタ)アクリルラテックス、ポリウレタンラテックス、コア/シェルラテックス、及びこれらの組合せから構成される群から選択された材料を含む。ラテックス層は、光学品質をもたらすために一貫して均一な厚みの0.5ミクロン厚と10ミクロン厚の間の乾燥した固体層を含む。好ましい実施形態では、ラテックス層は、光学品質をもたらすために1.0ミクロン厚と5.0ミクロン厚の間で一貫して0.5ミクロン未満で変化する均一な厚みを有する。
【0011】
ホットメルト接着層は、UV硬化性HMA、UV硬化性モノマー、熱硬化性HMA、熱硬化性モノマー、ポリマーHMA、熱可塑性ポリマーHMA、及びコロイドのうちの1つ又はそれよりも多くを含む。好ましい実施形態では、HMAは、熱活性化可能ポリウレタン接着剤である。HMA層は、光学品質をもたらすために一貫して均一な厚みの1.0ミクロンと20ミクロンの間の乾燥した固体層を含む。好ましい実施形態では、HMA層は、光学品質をもたらすために1.5ミクロンと10ミクロンの間で一貫して0.5ミクロン未満で変化する均一な厚みを有する。
【0012】
様々な種類の機能化層状構造は、光学機能層、光学構造化層、フレネルレンズ構造、偏光層、光変色性層、硬質被覆層、保護膜層、結露防止層、汚濁防止層、反射防止層、及び帯電防止層から構成される群から選択される1つ又はそれよりも多くの層を含む。好ましい実施形態では、機能化層状構造は、偏光フィルム及びPET偏光フィルムの一方を含む。偏光フィルムは、特に、三酢酸セルロース(TAC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリカーボネート(PC)、及びポリウレタン(PU)から選択された材料から構成される2つの等しいか又は異なる層の間に挟まれたPVA層を含む。偏光フィルムの例として、TAC/PVA/TACは、より一般的な種類の1つを代表する。
【0013】
光学基本要素は、仕上げレンズ、半仕上げレンズ、PALレンズ、無限焦点レンズ、平面レンズ、単焦点レンズ、及び多焦点レンズから構成される群から選択される熱可塑性又は熱硬化性の光学基本要素である。
【0014】
好ましい集合体は、ポリカーボネートレンズを含む光学基本要素であり、ここで、機能化層状構造は、偏光フィルムを含み、ラテックス接着剤は、ポリウレタンラテックス接着剤であり、HMAは、熱活性化可能ポリウレタン接着剤であり、これらが集まって積層偏光眼科用レンズを形成する。
【0015】
別の好ましい集合体は、ポリイソシアネート及びポリチオールから形成されたポリウレタンポリマーを含む高屈折率レンズを含む光学基本要素であり、機能化層状構造は、偏光フィルムを含み、ラテックス接着剤は、ポリウレタン接着剤であり、HMAは、熱活性化可能ポリウレタン接着剤であり、これらが集まって積層偏光眼科用レンズを形成する。
【0016】
本発明の別の態様は、以下の段階を含む機能化光学要素を製造する方法を含む。光学基本要素と、少なくとも1つの機能層を含む機能化層状構造とが準備される。第1に、ラテックス接着剤の層が、機能化層状構造の1つの面上に被覆される。第2に、ホットメルト接着剤の層が、乾燥させたラテックス接着層上に被覆されて、光学品質を有する均一に薄い二層接着剤薄層が形成される。光学基本要素の面と接触状態にある第2のHMAコーティング層を有する光学基本要素に対して機能化層状構造がホットプレスされ、高い接着強度を有する機能化光学要素が形成される。
【0017】
積層の前に、機能化層状構造が、光学基本要素の基本曲面に近似する曲面に熱形成される。付加的な予備処理段階は、機能化層状構造をコロナ放電処理及び/又は苛性処理のような化学処理によって表面処理する段階を含むことができる。光学基本要素の材料によっては、任意的な予備処理段階も、光学基本要素上に実施することができる。そのような予備処理は、UV処理又はプラズマ処理とすることができるであろう。
【0018】
第1の被覆する段階は、液体ポリウレタンラテックス接着剤を0.5ミクロンと10ミクロンの間の最終乾燥厚みにスピンコートする段階を含む。第2の被覆する段階は、液体ポリウレタンHMAを1ミクロンと20ミクロンの間の最終乾燥厚みにスピンコートする段階を含む。積層機能化光学要素は、熱及びUV放射線に露出することができる。接着品質は、二重接着層が如何に形成されるかに非常に依存することを説明しておくことは重要である。次に、本発明者は、二重接着層を機能化層上に被覆し、次に、これを光学基本要素に対してホットプレスすることによって高い接着性が与えられることを明言しておかねばならない。それに反して、二重接着層が光学基本要素に適用され、次に、これが機能化層上にホットプレスされた場合には、接着性は非常に貧弱である。
【0019】
好ましい実施形態では、第1の被覆する段階は、液体ポリウレタンラテックス接着剤を1.0ミクロンと5.0ミクロンの間の最終乾燥厚みにスピンコートする段階を含み、第2の被覆する段階は、液体熱活性化可能ポリウレタン接着剤のHMAを1.5ミクロンと10ミクロンの間の最終乾燥厚みにスピンコートする段階を含み、面にわたって0.5ミクロン未満で変化する均一な厚みを有する光学品質の二層接着剤薄層が形成される。好ましい実施形態では、光学基本要素は、ポリカーボネートレンズであり、機能化層状構造は、偏光フィルムを含み、これらが集まって積層偏光眼科用レンズを形成する。
【0020】
本発明の利点、性質、及び様々な付加的な特徴は、添付図面に関連して以下に詳細に説明する例示的な実施形態を考察した上でより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による積層方法の実施形態による様々な段階を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
光学要素の製造及び特注生産では、多くの場合に機能化層状構造を光学基本要素の面上に積層させることにより、光学基本要素の特性が高められる。接着剤を利用する積層方法の部類では、熱硬化性接着剤、UV硬化性接着剤、ホットメルト接着剤(HMA)、又は感圧接着剤(PSA)の単層を含む様々な技術が提案されている。従来技術の全ては、接着剤層の不均等な厚み、良好な接着性の欠如、又は接着層の低い機械的特性に起因して光学性能又は機械性能のあらゆる問題を有する。
【0023】
本発明の原理は、レンズに積層させる前の過程で、機能化層状構造に適用される二層接着剤を使用することである。第1の接着層は、機能化層状構造に強力に接合することができるラテックスである。ラテックス接着剤の代わりに第1の接着層として特定のシラン接着剤であるガンマ−アミノプロピルトリエトキシシランを使用することができる。第2の接着層は、レンズに強く接合することができるホットメルト接着剤(HMA)である。これらの2つの層の組合せを使用することにより、機能化層状構造を様々な方法によって非常に短時間に強度に接合させることができる。光学品質を有する非常に肉薄で均一な厚みの接着層を得るために、ラテックス及びHMA層を例えばスピンコート又は浸漬コーティングによって機能化層状支持体に液体形態で適用することができる。ラテックスと機能化層状支持体の間の接着性を改善するために、コロナ処理又は苛性処理のような光学予備処理段階を実施することができる。機能化層状支持体は、光学基本要素の基本曲面に近似する形状に熱形成することができる。更に、機能化層状支持体の面には、コロナ放電処理又は化学処理、より具体的には苛性処理を適用することができる。そのような予備処理は、光学基本要素に適用することができる。
【0024】
二層接着剤は、熱可塑性又は熱硬化性の材料とすることができるプラスチックから作られた光学基本要素に積層させる段階において有利である。基本要素は、ポリウレタン、CR−39、及び例えば1.67という高い屈折率のポリウレタンを含むあらゆる適切な光学熱硬化性材料から作ることができる。プラスチックの例示的なリストは、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタレートとポリカーボネートとのコポリマー、ポリオレフィン、ジエチレングリコールビスのホモポリマー及びコポリマー(アリルカーボネート)、(メタ)アクリルモノマーのホモポリマー及びコポリマー、チオ(メタ)アクリルモノマーのホモポリマー及びコポリマー、ウレタンのホモポリマー及びコポリマー、チオウレタンのホモポリマー及びコポリマー、エポキシのホモポリマー及びコポリマー、並びにエピ硫化物のホモポリマー及びコポリマーを含む。好ましい実施形態では、光学基本要素は、例えば、ポリカーボネート、又はポリイソシアネート及びポリチオールから形成されたポリウレタンポリマーを含む熱硬化性材料の1.67という高屈折率材料の射出成形熱可塑性レンズを含む。
【0025】
二層接着剤は、光学基本要素、例えば、眼科用レンズの凸面又は凹面のいずれかに積層させる段階において有利である。レンズは、サングラス、平面レンズ、バイザー、又は処方箋(Rx)レンズとすることができる。そのようなレンズは、仕上げレンズ(F)、半仕上げレンズ(SF)、累進屈折力レンズ(PAL)、多焦点レンズ、単焦点レンズ、及び無限焦点レンズを含むことができる。光学基本要素は、透明、淡色、又は染色のものとすることができる。
【0026】
機能化層状支持体は、光学的又は性能的な機能を光学基本要素に寄与するフィルム又はコーティングを含むことができる。更に、機能化層状支持体は、少なくとも1つの光学的機能、少なくとも1つの性能的機能、又はこれらの組合せを寄与する多機能のフィルム又はコーティングを含むことができる。光学機能の例は、偏光光学要素及び光変色を可能にする光学要素を含む。そのような機能は、例えば、WO2006/013250に説明されている偏光フィルム、微細構造フィルムにより、更に光変色性フィルム及び光変色性コーティングによって達成される。偏光材料は、三酢酸セルロース(TAC)フィルム及びセルロースアセテートブチレート(CAB)フィルムという2つの主要な種類の2つのセルロースフィルム、又はポリカーボネート又はポリウレタンのフィルムのいずれかによって封入されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)又はポリビニルアセテートフィルム(PVA)として市販で入手可能である。他の機能化層フィルムは、反射防止コーティング、硬質被覆、又は帯電防止コーティング、結露防止又は汚濁防止のコーティング、及び偏光コーティング又は偏光層のようなあらゆる他の保護膜を支持するPETとすることができる。本発明の好ましい実施形態では、偏光レンズを形成するために偏光フィルムが光学基本要素に接着される。
【0027】
性能的機能の例は、硬質被覆、耐衝撃性、結露防止、帯電防止、汚濁防止、及び反射防止を含む。そのような機能は、保護膜フィルムによって覆われたいくつかの層を有する硬質多重被覆(HMC)フィルムの形態で達成される。
【0028】
機能化層要素は、光学基本要素との接触に対して指定された1つの面を有することになる。あらゆる任意的な予備処理段階に続いて、この接触面は、光学品質及び機能化層要素に対する良好な接合を得るために適用されるラテックス接着剤の層を受け取ることになる。以下に様々な適用工程をより詳細に説明する。適用段階は、肉薄で固体のラテックス層が残留するようにラテックス層を乾燥する段階を含む。乾燥させたラテックス層は、光学品質の眼科用レンズに見合うレベルで色、透過率、及び明瞭度を示すのに十分な純度のものになる。更に、ラテックス層は、その面にわたって均一な厚みを有することになる。均一な厚みは、0.01ミクロン未満から0.5ミクロンまでしか変化しない一貫した厚みを有する層を意味する。本発明によると、ラテックス層は、約0.5ミクロンと約10ミクロンの間の厚みで適用されることになる。好ましい実施形態では、ラテックス層は、1.0ミクロンから5.0ミクロンまでの間の厚みを有することになる。約0.5ミクロン厚の層では、厚み変化は0.1ミクロンよりも小さくなければならない。約5.0ミクロン厚の層では、厚み変化は、0.5ミクロンよりも小さくなければならない。
【0029】
本発明に対して使用することができるそのような要件を満たすラテックス材料は、ポリウレタンラテックス、アクリルラテックス、及びコア/シェルラテックスを含む。例えば、Zenecaによって「Acrylic latex A−639」という名称の下に市販のアクリルラテックスのような(メタ)アクリル、BaxendenによってW−213、W−240、及びW−234という名称の下に市販のラテックスのようなポリウレタンラテックス、又はこの市販の製品に基づくポリウレタンラテックスがある。好ましくは、本発明の実施においては、ポリウレタンラテックスが利用され、より具体的には、US 5,316,791に説明されているようなラテックスが利用される。他の好ましいラテックスは、米国特許第6,503,631号及びUS 6,489,028に説明されているもののようなコア/シェルラテックスである。他の好ましいラテックスは、ブチルアクリレート又はブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレートである。
【0030】
任意的に、ラテックス材料の流動学的、機械的、又は光学的特性を調節するために、ラテックス材料を添加物と配合することができる。例えば、US 6,562,466に説明されているように、機能化層状支持体に対する接着性を改善するために、結合剤をラテックス材料に添加することができる。ラテックス材料は、例えば、EP 1161512、US 6,770,710、及びUS 6,740,699に説明されているような化粧用又は光変色性の染料又は染色料、又は帯電防止材料のような機能材料を含むことができる。
【0031】
上述のように、ラテックスの代わりに、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシランによって代表される特定のシラン誘導体を接着剤として使用することができる。この化合物は、特に「Momentive Performance Material」によって「Silquest A−1100」という名称の下で市販されている。本発明では、6.25体積%のA−1100溶液を脱イオン水に添加することによって作成し、そのような溶液を機能化層上にスピンコートした。
【0032】
第2のHMA層。ラテックス層が乾燥して固体になり、安定した後に、ホットメルト接着剤(HMA)材料がラテックス層の上に光学品質を得る方式で適用される。下記では様々な適用工程をより詳細に説明する。適用段階は、肉薄で固体のHMA層が残留するようにHMAを乾燥する段階を含む。乾燥させたHMA層は、光学品質の眼科用レンズに見合うレベルで色、透過率、及び明瞭度を示すのに十分な純度のものになる。更に、HMA層は、その面にわたって均一な厚みを有することになる。均一な厚みは、0.01ミクロン未満から0.5ミクロンまでしか変化しない一貫した厚みを有する層を意味する。本発明によると、HMA層は、約1.0ミクロンと約30ミクロンの間の厚みで適用されることになる。好ましい実施形態では、ラテックス層は、1.5ミクロンから15ミクロンまでの間の厚みを有することになる。約1.5ミクロン厚の層では、厚み変化は0.5ミクロンよりも小さくなければならない。約10.0ミクロン厚の層では、厚み変化は1.0ミクロンよりも小さくなければならない。
【0033】
本発明に対して使用することができるそのような要件を満たすHMA材料は、ポリウレタンシステムの熱活性化可能接着剤材料を含む。これらの材料は、高分子量ポリウレタンの水性アニオン分散剤として特徴付けられる。上述の種類のHMAのうちの一種類は、Bayerから市販で入手可能であり、Dispercoll(登録商標)U42及びKA−8758と呼ばれている。また、「Bond Polymers International LLC」は、本発明で有利なBondthane(登録商標)UD−104及びBondthane(登録商標)UD−108という2つの水性ポリウレタン分散剤を商品化している。任意的に、HMA材料の流動学的、機械的、又は光学的特性を調節するために、HMA材料を添加物と配合することができる。例えば、架橋結合を容易にして硬度及び耐久性を改善するために、水、コロイドシリカ、又は界面活性剤をHMA調製剤に添加することができる。適切なコロイドは、LUDOX(登録商標)SM−30コロイドシリカ、30重量%のH2O懸濁液とすることができる。HMA内のコロイドの百分率は、1〜20重量%の範囲とすることができ、好ましい範囲は2〜10重量%である。本発明におけるHMA材料は、ホットメルト接着剤を調製するためのいずれか公知のポリマーとすることができるが、好ましくは、熱可塑性ポリマーである。従って、HMAポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレタン/尿素、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ(オキサゾリン)アクリルシステム、及びポリ(メタ)アクリルシステムの中から選択することができる。適切なポリオレフィンは、特に米国特許第5,128,388号に開示されている。好ましいポリオレフィンは、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、ポリイソプレンブロック、又はエチレン−ブチレンコポリマーブロックを含むブロックエラストマーのようなブロック熱可塑性エラストマーである。更に、本発明ではあらゆる種類のUV/熱硬化性HMA、又はUV/熱硬化性モノマー接着層を有するHMA組合せを第2の接着層として使用することができる。
【0034】
本発明による二層接着剤は、機能化層状構造と乾燥ポリウレタンHMA層の間に配置された乾燥ラテックス接着層を含む。熱、圧力、及び時間を与える様々な工程の下で、二層接着剤は、機能化層状構造を光学基本要素に接着させるように作用する。二層接着剤は、光学品質にある均一に薄い層を含む。この構成を薄層と呼び、薄層は、均一な厚みを有する2つの異なる接着剤から構成され、それによって光学品質を与える極めて薄い層を意味する。二層接着剤は、機能化層状構造と光学基本要素の間で異なる材料特性に対処する材料の独特の組合せを与える。一般的にラテックス層は、湿式コーティング中及び乾燥過程に対して機能化層状支持体又は光学基本要素の一方の面だけに対して良好な接着性を示す。しかし、TACフィルム上で乾燥した後に加熱及び圧力によって再活性化された時にレンズに対して貧弱な接着性しか持たない。それとは対照的に、HMA層は、乾燥後に再活性化された時にレンズに対して可変接着強度を有する。しかし、HMA層は、湿式及び乾燥過程中にラテックス層ほど良好なフィルムに対する接着性を持たない。より具体的には、HMAは、機能化層状構造の面に対して限られた接着強度しか持たない。驚いたことに、機能化層状支持体をラテックス接着剤又は特定のシラン層で処理すると、この時点でHMAは、レンズと機能フィルムの両方の上で高い接着強度を有することになることが分った。従って、ラテックス層とHMA層の組合せは、異なる材料に互いに接着し、機能化光学要素に光学品質と高い機械強度の両方を与えることに関連する問題を解消する。
【0035】
図1の流れ図で分るように、機能化光学要素の製造のための様々な段階が示されている。1つの任意的な予備処理段階を示しているが、本発明の特定的な実施形態では、2つ又はそれよりも多くの予備処理段階が含まれる場合がある。同様に、様々な過程において他の段階を導入することができ、特許請求する方法は、これらの段階を非限定的な方式で網羅するように意図している。
【0036】
段階10では、機能化層状構造が準備される。機能化層状構造は、1つよりも多くの層を有することができる。機能化層状支持体は、機能層と非機能層との組合せを含むことができる。機能層の種類及び分類に対しては、上記に非限定的な例示的リストにおいて説明した。同様に、光学基本要素が準備される。光学基本要素の種類及び分類に対しては、上記に非限定的な例示的リストにおいて説明した。
【0037】
段階13では、予備処理段階を使用することができる。機能化層状構造は、機能化層状構造に対するラテックス接着剤の接着性を改善するように予備処理することができる。例えば、対向する面をコロナ放電処理又は苛性処理に露出することができる。代替的又は追加的に、機能化層状構造を光学基本要素の対向する面の基本曲面と類似の曲面に熱形成することができる。熱形成が使用される場合には、機能化層状支持体は、光学基本要素の基本曲面の約1ジオプトリー以内の曲面に熱形成されることになる。熱形成及び接着性改善段階の両方は、あらゆる順序に実施することができる。
【0038】
段階16は、ラテックス材料を機能化層状構造上に堆積させるラテックス接着剤適用段階を含む。適用の前に、任意的な配合段階15を設けることができる。流動学的、機械的、又は光学的特性を高めるために、ラテックス材料を添加物と組み合わせることができる。例えば、機能化層状構造との接着性を改善するために、結合剤をラテックス材料と配合することができる。化粧用染料又は光変色性染料又は染色料をラテックス材料と配合することができる。2つ又はそれよりも多くの適合添加物を使用することができる。
【0039】
段階16aでは、ラテックス接着剤が、機能化層状構造の対向する面に液体形態で適用される。次に、ラテックスは、乾燥させ(16b)、光学品質にある肉薄で固体の層が形成される。肉薄で均一なコーティング層を設けるために、ラテックス接着剤は、光学系産業内で公知の様々な適用方法、例えば、スピンコート又は浸漬コーティングによって堆積させることができる。湿式ラテックス層は、熱の導入を含むことができる乾燥段階16bを受ける。乾燥は、清浄な乾燥空気を含む制御された雰囲気内で行うことができる。
【0040】
段階18は、乾燥させたラテックス層上にHMA材料を堆積させるHMA適用段階を含む。段階18aでは、HMAは、機能化層状構造の対向する面に対して、ラテックス層の上に液体で適用される。次に、HMAは、乾燥させ(18b)、光学品質にある均一に薄い固体層が形成される。肉薄で均一なコーティング層を設けるために、HMAは、光学系産業内で公知の様々な適用方法、例えば、スピンコート又は浸漬コーティングによって堆積させることができる。HMA層は、熱の導入を含むことができる乾燥段階18bを受ける。乾燥は、清浄な乾燥空気を含む制御された雰囲気内で行うことができる。
【0041】
次に、乾燥させた二重接着層は、光学基本要素の対向する面と接触状態に置かれ、積層段階20を受ける。一般的に、積層は、短時間にわたって印加される圧力と熱の組合せを含む。また、積層は、UV硬化性接着剤が存在する場合に、それを硬化させるために、ホットプレスされた集合体をUV放射線に露出する段階を含むことができる。光学系産業内では、光学面にわたって正確で均一な量の圧力を与える様々なシステム及び工程は公知である。本発明に対して使用することができる積層システムの例示的なリストは、以下のものを含む。積層において、いわゆる「ホットプレス」システム又は「ホットエア」システムを使用することができる。圧力を印加するために、レンズ支持体を有する蓄圧器デバイスを構成することができ、次に、この設定がオーブン内に置かれる。EP 1917136に説明されているFST(前面転写)工程を使用することができる。WO2003/004255に説明されているBST(裏面転写)工程も使用することができる。他のHMCフィルム積層システムも使用することができる。WO2006/105999に説明されている工程を熱の適用と共に使用することもできる。射出成形レンズは、レンズが保持された位置とは反対の開いたモールド内に機能化層状構造を置き、次に、モールドを閉じて熱及び圧力を印加することによってモールド内で積層することができる。本出願人は、射出後プレスコーティング(PIPC)(WO2007/085910に説明されている)を成形されたばかりのレンズ上にフィルムを積層させるのに射出モールドからの熱及び圧力を利用するモールド内積層システムとして定義する。基本的な積層工程は、10psiよりも高い圧力を印加し、少なくとも60℃に加熱し、少なくとも約2分から5分間保持する段階を含むことになる。全体の工程条件及び積層に導入される全エネルギ量に基づいて、これらのパラメータのうちのいずれか1つを高い方又は低い方に調節することができる。
【0042】
得られる機能化光学要素は、光学基本要素に対する機能化層状支持体の高い接着強度によって評価される良好な機械的特性を有する。得られる機能化光学要素のサンプルは、従来のレンズ処理及び厳しい接着性試験に剥離することなく耐えることができる。剥離力試験として公知であるそのような接着性試験を実施するために、積層フィルム内に25.4mm幅の帯が切り込まれる。レンズは、プラットフォームに堅固に取り付けられる。レンズからフィルムの帯を剥離するために、90度で力が印加される。剥離速度は2.54mm/分である。剥離速度を維持するのに必要とされる力が記録される。得られる機能化光学要素は、接着剤の選択及びその正確な適用方法に起因して良好な光学特性を有する。下記では、本発明の方法のいくつかの例を本発明の有利性を明らかにする比較例と共に提供することにする。
【0043】
[実施例1及び2]
TAC/PVA/TACフィルム上でのBaxendenからのW−234に基づくウレタンラテックスとHMA−U42の間の接着性比較試験。最初に、TACフィルムをコロナ処理し、次に、フィルムを450〜500rpmで3〜5秒及び1000〜1500rpmで8〜10秒というスピン条件下でウレタンラテックス溶液又はU42のいずれかでスピンコートし、次に、60℃で10〜30分乾燥した。乾燥及び冷却の後に、以下の表1内に示しているように、従来のクロスハッチテープ法によってTACフィルム上での接着性挙動を測定した。結果は、TACフィルム上で、ラテックスがHMAよりも優れた接着性評点を有することを示している。
【0044】
【表1】

【0045】
[実施例3]
最初に、Onbilt社からのTAC偏光フィルム(TAC/PVA/TAC)をポリカーボネートレンズの前面に近似する曲面に熱形成した。TACフィルムの凸側は、Tantec機器を用いてコロナ放電を受ける。BaxendenからのW−234に基づくウレタンラテックス接着剤が、処理されたフィルムの面上に被覆され、60℃で30分間乾燥させる。次に、Dispercoll(登録商標)U42のHMA溶液が、乾燥させたラテックス層の上にスピンコートされ、60℃で30分間乾燥させる。次に、レンズ支持体及び可膨張性のシリコン膜を有する蓄圧器を利用して、乾燥させた二重接着層をポリカーボネートレンズに対して固定した。フィルムとレンズの面にわたって完全な接触を得るために、圧力を30psiまで徐々に増加した。蓄圧器構成体を80℃のオーブン内に30分間置いた。
【0046】
積層の後に、偏光光学要素は、フィルムとレンズの間の非常に強い接着性を示している。厳しいRx下地塗り、研磨、及びエッジングの後でさえも、いかなる剥離も発生しなかった。積層フィルムとレンズの間の接着力をInstron機器によって測定し、90度の牽引試験は、2.45mm/分の牽引速度で1.01N/mmの測定値をもたらした。剥離試験では、2.54mm/分でフィルムを剥離するのに22.5Nを記録した。
【0047】
比較例A
TACフィルムを単一のラテックス接着層のみで被覆したことを除いて、実施例3を繰返した。得られた機能化光学要素は、フィルムとレンズの間の貧弱な接着性しか示さなかった。フィルムは、レンズから手で容易に剥離することができた。接着性は、剥離試験で記録するには低すぎた。
【0048】
比較例B
TACフィルムをU42の単一のHMA層のみで被覆したことを除いて、実施例3を繰返した。剥離試験では、2.54mm/分でフィルムを剥離するのに11.5Nを記録した。これは、例1に指定した接着力の50%に相関する。
【0049】
[実施例4]
積層段階を26psiの圧力の小型のホットプレスデバイスを用いて90℃で5分間加熱することによって実施した。得られた機能化光学要素は、機能化層状構造と光学基本要素の間の同じ良好な接着性を有した。剥離試験では、2.54mm/分でフィルムを剥離するのに20Nの力を記録した。
【0050】
[実施例5]
積層段階をレンズが射出成形された直後に射出後プレスコーティング工程(PIPC)によって実施したことを除いて、実施例4を繰返した。モールドを開き、レンズを一方の面の上に保持した。偏光フィルムを他方の面内の空の成形インサートに対して装填した。モールドをかなりの圧力で再挟着し、それによって残留モールド熱が、積層を1分から2分以内に完了することを可能にした。このモールド内積層工程では、成形圧力は約7トンであり、温度を140Cに設定した。得られた機能化光学要素は、機能化層状構造と光学基本要素の間の同じ良好な接着性を有した。剥離試験では、2.54mm/分でフィルムを剥離するのに65Nの力を記録した。この増大は、射出成形の非常に高い温度及び圧力からもたらされたより密な接合に帰するものである。
【0051】
[実施例6]
偏光TACフィルムが、透明な光学のためのPETによって置換され、レンズが、Essilorの高屈折率ポリウレタンレンズ材料(Thin&Light 1.6)であったことを除いて、実施例4を繰返した。得られたレンズは、ポリウレタンレンズとPETフィルムとの間で非常に良好な接着性を有し、接着剥離力は、2.54mm/分の速度で31Nであった。レンズは、エッジング及び研磨工程中にフィルムとレンズの間のいかなる剥離も示さなかった。
【0052】
[実施例7]
二層接着剤(BaxendenからのW−234に基づくウレタンラテックス及びDispercollのKA8758)は、保護膜及びAR&HCコーティング層をレンズ材料の裏面上に接着するのに使用することができる。最初に、保護膜及びAR&HCコーティング層が、US 6,562,466に説明されているポリカーボネート担体(7.0基本曲面)上に反転被覆された。次に、二層接着剤を実施例1に説明するように被覆した。その後に、被覆された担体を6.5という裏側曲面を有する−2.00Ormaレンズ上に30psiのバルーン圧及び80℃で4分間という積層条件下で積層した。冷却後、担体を除去して、Ormaレンズの裏面に転写された保護膜/AR及びHCコーティング層を得た。コーティング層とレンズの間の接着は、Essilor規格のクロスハッチテープ試験による0という接着性評点を有し、非常に良好である。
【0053】
比較例C
HMCと保護膜/AR/HC層との間でいかなるラテックス接着層も用いなかったことを除いて、実施例7と同じ例を繰返した。得られたレンズは、転写された良好なコーティング層を示すが、Essilor規格のクロスハッチテープ試験による良好な接着性評点は持たず(評点5)、これはコーティング接着不良であると考えられる。
【0054】
比較例D
いかなるHMA接着層も用いなかったことを除いて、実施例7と同じ例を繰返した。得られたレンズは、良好なコーティング転写を示さず、接着性評点は、Essilor規格のクロスハッチテープ試験による5であり、これはコーティング接着不良であると考えられる。
【0055】
[実施例8]
純粋なKA−8758HMA溶液をKA−8758溶液(93重量%)と、LUDOX(登録商標)SM−30コロイドシリカの30重量%H2O懸濁液(7重量%)との組合せで作られたコロイド含有KA−8758HMAによって置換したことを除いて、実施例7を繰返した。得られたレンズは、レンズ基板とAR&HC層の間の実施例7と同じ良好な接着性を有する。また、このレンズは、非常に良好な透明度を有する。シリカコロイドを添加することによる最も興味深い結果は、HMAの硬度が改善され、従って、実施例7と比較してレンズの面が極めて硬質であったことである。従って、レンズは、容易には指爪によるスクラッチを受けないことになる。
【0056】
[実施例9から11]
TACフィルム処理の例
異なる規格又は異なる供給者の偏光TACフィルム及び光学基本要素のための高屈折率のポリウレタン材料では、以下の実施例9から実施例11及び表2に示すように、良好な接着性をもたらす上で苛性予備処理が全じて有効であることが見出された。そのような例に使用される条件及びラテックスは実施例3と同じである。
【0057】
【表2】

【0058】
結果として、10%のNaOH溶液による苛性洗浄という有効な方法は、1.67フィルム積層製品のためのこの二層接着剤システムでは非常に良好であることが見出された。更に、優れた一貫した接着性に対して、フィルムと同様にレンズを苛性洗浄することができる。
【0059】
特定のシラン接着剤A−1100を用いて第1の接着層としてのラテックスを置換する例。A−1100を用いて第1の接着層を置換して実施例11を繰返した。24Nという優れた接着力が得られた。積層されたレンズは、コーティングの後処理及びRx下地塗り中にいかなる剥離も持たない。
【0060】
異なるHMA族を用いる例
「Bond Polymer International Inc.」という別のHMA供給者からのものであるUD104という異なるHMA材料を使用することにより、実施例11を繰返した。UD104によって優れた接着力が得られた。この実験では、全てのレンズ及び機能化層を苛性洗浄した。このような実施例に用いた条件及びラテックスは、実施例3と同じであり、その結果を表3に示している。
【0061】
【表3】

【0062】
以上の説明及び実施例は、機能的に改善した光学物品を製造するための接着剤材料及び方法を提案したものである。光学基本要素上に容易に積層させることができる様々な種類のフィルム及びコーティングを解説した。本発明は、圧着偏光フィルムを眼科用レンズ上に積層させる上で有利である。一般的に、これらのフィルム及びコーティングを機能化層状構造と呼び、機能化層状構造には、接着剤の適用の前に予備処理を適用することができる。接着剤は、2つの異なる種類の接着剤を含む二層接着剤構造を含む。ラテックス接着層は、機能化層状構造の面上に配置され、HMAは、ラテックス接着層と光学基本要素の間に配置される。接着層は、光学品質をもたらすために一貫して均一な薄さの乾燥した固体層を含む。接着剤の調製においては、様々な染料又は他の添加剤を含めることができる。
【0063】
本方法の一実施形態では、機能化層状支持体にコロナ放電表面処理及び/又は熱形成を適用することができる。接着層は、機能化層状支持体上に個々に被覆され、乾燥することが許され、それによって光学品質を有する均一に薄い二層接着剤薄層が形成される。コーティング技術としてスピンコートが有利に使用される。熱及び圧力を短時間にわたって供給して機能化層状構造を光学基本要素に積層させ、高い接着強度を有する機能化光学要素を形成するために、光学用途のための様々なホットプレス技術を使用することができる。
【0064】
レンズの製造、接着剤及びフィルムに対してそこに使用される材料、並びにこれらを処理する方法に対して好ましい実施形態を説明したが(例示的であり、限定的ではないように意図している)、当業者は、上述の教示を踏まえて修正及び変形を加えることができることに注意されたい。従って、特許請求の範囲によって略述する本発明の範囲及び精神の範囲にある開示する本発明の特定的な実施形態に変更を加えることができることは理解されるものとする。特許法によって必要とされる詳細内容及び特殊性を用いて上述のように説明したが、特許請求して特許状による保護を望むものは、特許請求の範囲に示している。
【符号の説明】
【0065】
10 機能化層状構造が準備される段階
13 予備処理段階を使用する段階
15 任意的な配合段階
16 ラテックス接着剤適用段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能化光学要素であって、
光学基本要素と、
前記光学基本要素に直接に接着されて機能化光学要素を形成する少なくとも1つの機能層を組み込む機能化層状構造と、
を含み、
前記機能化層状構造の面上に配置されたラテックス接着剤又はガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン接着剤の層と、該ラテックス層と前記光学基本要素の間に配置されたホットメルト接着剤の層とを含む二層接着剤構造を更に含んで、該機能化層状構造を該光学基本要素上に永続的に保持すると同時に光学品質を維持する二層接着剤を形成する、
ことを特徴とする機能化光学要素。
【請求項2】
前記ラテックス接着層は、アクリルラテックス、(メタ)アクリルラテックス、ポリウレタンラテックス、コア/シェルラテックス、及びこれらの組合せから構成される群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項3】
前記ラテックス層は、光学品質をもたらすために一貫して均一な厚みを有する0.5ミクロンと10ミクロン厚の間の乾燥した固体層を含むことを特徴とする請求項2に記載の機能化光学要素。
【請求項4】
前記ラテックス層は、光学品質をもたらすために一貫して0.5ミクロン未満で変化する均一な厚みを有する1.0ミクロンと5.0ミクロン厚の間の乾燥した固体層を含むことを特徴とする請求項2に記載の機能化光学要素。
【請求項5】
前記ホットメルト接着層は、UV硬化性HMA、UV硬化性モノマー、熱硬化性HMA、及び熱硬化性モノマーのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項6】
前記ホットメルト接着層は、ポリマーHMA、熱可塑性ポリマーHMA、及びコロイドのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項7】
前記ホットメルト接着層は、熱活性化可能ポリウレタン接着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項8】
前記HMA層は、光学品質をもたらすために一貫して均一な厚みを有する1.0ミクロンと20ミクロンの間の乾燥した固体層を含むことを特徴とする請求項7に記載の機能化光学要素。
【請求項9】
前記HMA層は、光学品質をもたらすために一貫して0.5ミクロン未満で変化する均一な厚みを有する1.5ミクロンと10ミクロンの間の乾燥した固体層を含むことを特徴とする請求項8に記載の機能化光学要素。
【請求項10】
前記機能化層状構造は、
光学機能層、
光学構造化層、
フレネルレンズ構造、
偏光層、
光変色性層、
硬質被覆層、
保護膜層、
結露防止層、
汚濁防止層、
反射防止層、及び
帯電防止層、
から構成される群から選択された1つ又はそれよりも多くの層を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項11】
前記機能化層状構造は、偏光フィルム、TAC/PVA/TAC偏光フィルム、及びPET偏光フィルムのうちの1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項12】
前記光学基本要素は、仕上げレンズ、半仕上げレンズ、PALレンズ、無限焦点レンズ、平面レンズ、単焦点レンズ、及び多焦点レンズから構成される群から選択された熱可塑性光学基本要素であることを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項13】
前記光学基本要素は、仕上げレンズ、半仕上げレンズ、PALレンズ、無限焦点レンズ、平面レンズ、単焦点レンズ、及び多焦点レンズから構成される群から選択された熱硬化性光学基本要素であることを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項14】
前記光学基本要素は、ポリカーボネートレンズであり、前記機能化層状構造は、偏光フィルムを含み、前記ラテックス接着剤は、ポリウレタンラテックス接着剤であり、前記HMAは、熱活性化可能ポリウレタン接着剤であり、これらが集まって積層偏光眼科用レンズを形成することを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項15】
前記光学基本要素は、ポリイソシアネート及びポリチオールから形成されたポリウレタンポリマーを含む高屈折率レンズであり、
前記機能化層状構造は、偏光フィルムを含み、前記ラテックス接着剤は、ポリウレタン接着剤であり、前記HMAは、熱活性化可能ポリウレタン接着剤であり、これらが集まって積層偏光眼科用レンズを形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の機能化光学要素。
【請求項16】
機能化光学要素を製造する方法であって、
光学基本要素を準備する段階と、
少なくとも1つの機能層を含む機能化層状構造を準備する段階と、
前記機能化層状構造の1つの面上にラテックス接着剤の層を第1に被覆する段階と、
光学品質の均一に薄い二層接着剤薄層を形成するために、乾燥させた前記ラテックス接着層上にホットメルト接着剤の層を第2に被覆する段階と、
高い接着強度を有する機能化光学要素を形成するために、前記第2のHMAコーティング層を前記光学基本要素の面と接触させて該光学基本要素に対して前記機能化層状構造をホットプレスする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記光学基本要素は、基本曲面を有し、前記第1に被覆する段階の前に、方法が、
前記機能化層状構造を前記基本曲面に近似する曲面に熱形成する段階、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1に被覆する段階の前に、
前記機能化層状構造をコロナ放電及び/又は苛性処理を用いて表面処理する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1に被覆する段階は、液体ポリウレタンラテックス接着剤を0.5ミクロンと10ミクロンの間の最終乾燥厚みまでスピンコートする段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第2に被覆する段階は、液体ポリウレタンHMAを1ミクロンと20ミクロンの間の最終乾燥厚みまでスピンコートする段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記機能化光学要素をUV放射線に露出する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記第1に被覆する段階は、液体ポリウレタンラテックス接着剤を1.0ミクロンと5.0ミクロンの間の最終乾燥厚みまでスピンコートする段階を含み、前記第2に被覆する段階は、液体ポリウレタンHMAを1.5ミクロンと10ミクロンの間の最終乾燥厚みまでスピンコートする段階を含み、前記面にわたって0.5ミクロン未満で変化する均一な厚みを有する光学品質で二層接着剤薄層を形成することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記機能化層状構造は、
光学機能層、
光学構造化層、
フレネルレンズ構造、
偏光層、
光変色性層、
硬質被覆層、
保護膜層、
結露防止層、
汚濁防止層、
反射防止層、及び
帯電防止層、
から構成される群から選択された1つ又はそれよりも多くの層を含む、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記機能化層状構造は、偏光フィルムを含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記光学基本要素は、仕上げレンズ、半仕上げレンズ、PALレンズ、無限焦点レンズ、平面レンズ、単焦点レンズ、及び多焦点レンズから構成される群から選択された熱可塑性光学基本要素であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記光学基本要素は、仕上げレンズ、半仕上げレンズ、PALレンズ、無限焦点レンズ、平面レンズ、単焦点レンズ、及び多焦点レンズから構成される群から選択された熱硬化性光学基本要素であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記光学基本要素は、ポリカーボネートレンズであり、前記機能化層状構造は、偏光フィルムを含み、これらが集まって積層偏光眼科用レンズを形成することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記光学基本要素は、ポリイソシアネート及びポリチオールから形成されたポリウレタンベースのポリマーを含む高屈折率レンズであり、前記機能化層状構造は、偏光フィルムを含み、これらが集まって積層偏光眼科用レンズを形成することを特徴とする請求項22に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−507755(P2012−507755A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534841(P2011−534841)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/062959
【国際公開番号】WO2010/053862
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(591019759)エシロール アンテルナショナル コムパニー ジェネラル ドプテイク (27)
【Fターム(参考)】