説明

レンズ鏡筒および光学機器

【課題】衝撃吸収が可能なレンズ鏡筒および光学機器を提供する。
【解決手段】第1部材210と、前記第1部材210よりも像面側に配置され、レンズを直接または間接的に保持する第2部材240と、第1突起222および第2突起224が形成され、前記第1部材210と前記第2部材240とに係合する第3部材220とを有し、前記第1突起222と前記第2突起224とは前記レンズの光軸方向において異なった位置に備えられ、前記第1突起222は、前記第1部材210に当接する第1面222aと、前記光軸方向において前記第2部材240と間隔αを隔てて備えられる第2面222bと、を有し、前記第2突起224は、前記光軸方向において前記第1部材210と間隔βを隔てて備えられる第3面224aと、前記第2部材240に当接する第4面224bと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ鏡筒に加わる衝撃を吸収する技術として、レンズ鏡筒の内部に、スプリングのような衝撃を吸収するための部材を追加する手段が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に示すような従来技術では、部品点数が増加してしまうという課題がある。さらに、スプリングのような部材は、レンズ鏡筒の外部に露出させることができないので、レンズ鏡筒の内部にスプリングを配置するためのスペースが必要であり設計上の制約がある。
【0003】
また、レンズ鏡筒に加わる衝撃を吸収する他の技術として、レンズ鏡筒を構成する筒状の部材に凹凸や穴などの加工を施す手段が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、このように加工が施された部分は、レンズ鏡筒の外部に露出させることができないので、加工を施した部材の外周側に化粧環を設けて、加工を施した部分が外部に露出しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−110454
【特許文献2】特開平9−211286
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、衝撃吸収が可能なレンズ鏡筒および光学機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のレンズ鏡筒は、
第1部材(210)と、
前記第1部材(210)よりも像面側に配置され、レンズ(264,268,272)を直接または間接的に保持する第2部材(240)と、
第1突起(222)および第2突起(224)が形成され、前記第1部材(210)と前記第2部材(240)とに係合する第3部材(220)とを有し、
前記第1突起(222)と前記第2突起(224)とは前記レンズの光軸方向において異なった位置に備えられ、
前記第1突起(222)は、前記第1部材(210)に当接する第1面(222a)と、前記光軸方向において前記第2部材(240)と間隔(α)を隔てて備えられる第2面(222b)と、を有し、
前記第2突起(224)は、前記光軸方向において前記第1部材(210)と間隔(β)を隔てて備えられる第3面(224a)と、前記第2部材(240)に当接する第4面(224b)と、を有する。
【0007】
このようにレンズ鏡筒を構成することで、第1部材(210)に加わる衝撃力は、第1部材(210)に当接する第1面(222a)から第1突起(222)に伝わる。ここで、第1突起(222)は、光軸方向において第2部材(240)と間隔(α)を隔てて備えられる第2面(222b)を有する。そのため、第1突起(222)に第1部材(210)から力が加わると、第1突起(222)が間隔(α)の範囲で撓んで力を吸収する。
【0008】
また、この時、同時に、第1突起(222)に加わる衝撃力は、第1突起(222)が形成してある第3部材にも伝わり、その衝撃力は、第2部材(240)に第4面(224b)で接触している第2突起(224)にも伝達され、第2突起(224)は間隔(β)内で撓み、衝撃力を吸収する。
【0009】
したがって、第1部材(210)から力が加わると、第1突起(222)および第2突起(224)が間隔(α,β)の範囲で撓んで衝撃力を吸収する。このようにして、レンズ鏡筒は、第1部材(210)から加わる衝撃を吸収することができる。すなわち、このレンズ鏡筒では、第1部材(210)よりも像面側に配置される第2部材(240)を保護することができる。そのため、第2部材(240)に、直接または間接的に保持されるレンズ(264,268,272)等の部材を、第1部材(210)側からの衝撃等によるダメージから保護することができる。
【0010】
前記第1突起(222)および前記第2突起(224)が前記第3部材(220)の内周側に形成してあっても良い。このように構成することで、第3部材(220)の外周側には突起を設ける必要がなくなる。
【0011】
前記第3部材(220)は、レンズ鏡筒(200)の外部に露出する外周面を主として有する外観部材であっても良い。第3部材(220)を、レンズ鏡筒(200)の外部に露出する外周面を主として有する外観部材と構成することで、第3部材(220)の外周側に、新たな構成を追加しなくてもよく、部品点数を削減できる。
【0012】
前記第2面(222b)は、前記光軸方向において前記第2部材(240)と第1間隔(α)を隔てて備えられても良く、前記第3面(224a)は、前記光軸方向において前記第1部材(210)と第2間隔(β)を隔てて備えられても良い。第1間隔(α)および第2間隔(β)は、同一でも異なっていても良く、好ましくは、2mm以下、さらに好ましくは1mm以下であり、いずれか一方の間隔(α)または(β)は0であっても良い。
【0013】
このように第2面(222b)および第2部材(240)の第1間隔(α)と、第3面(224a)および第1部材(210)の第2間隔(β)とを共に所定範囲とすることで、第1突起(222)および第2突起(224)の撓む範囲を限定することができる。その結果、第1突起(222)および第2突起(224)が撓みすぎることが無くなり、第1部材(210)から加わる衝撃力を効率的に吸収することができるとともに、レンズ鏡筒をコンパクトにすることができる。
【0014】
前記第1部材(210)には、光学フィルタ(262)が装着可能になっていても良い。第1部材(210)に、光学フィルタ(262)を装着することで、レンズ鏡筒の光学特性を変化させることができたり、第1部材(210)よりも像面側に配置される部材を、キズや汚れなどから有効に保護することができる。
【0015】
前記レンズ(264,268,272)を保持するレンズ保持枠(266,270,274)が、前記第2部材(240)に対して保持されても良い。レンズ(264,268,272)等の部材が第2部材(240)に保持されるので、レンズ(264,268,272)等の部材を第1部材(210)側からの衝撃によるダメージから有効に保護することができる。
【0016】
本発明に係る光学機器は、上記のレンズ鏡筒を含む光学機器であっても良い。
【0017】
なお、上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために、実施形態を示す図面の符号に対応付けて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成に代替させてもよい。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態に係る一眼レフカメラの概略断面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示すレンズ鏡筒の一部を示す具体的な一部断面斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1Aに示す固定筒の概略断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示す固定筒の具体的な一部断面斜視図であり、リングが取り付けられた状態を示す。
【図3A】図3Aは、図1Aに示すレンズ鏡筒の要部を示す概略断面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示すレンズ鏡筒の具体的な一部断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施形態
図1Aに示すように、本発明の1実施形態に係る一眼レフカメラ100は、レンズ鏡筒200と、カメラ本体300とを有する。レンズ鏡筒200は、被写体からの光をカメラ本体300に導く光学系を有し、カメラ本体300は、レンズ鏡筒200から導かれる被写体からの光を画像信号に変換する撮像素子302を有する。一眼レフカメラ100のカメラ本体300には、レンズ鏡筒200が着脱可能に装着される。
【0020】
まず、図1Aに基づき、カメラ本体300について説明する。撮像素子302は、CCDやCMOS等の固体撮像素子などで構成され、レンズ鏡筒200から導かれる被写体からの光を光電変換し、画像信号を出力する。
【0021】
クイックリターンミラー304は、撮影待機時は図1Aの実線の位置にある。撮影待機時には、レンズ鏡筒200からカメラ本体300に導かれる被写体からの光は、クイックリターンミラー304によって反射し、ファインダスクリーン306およびペンタプリズム308を通り、接眼レンズ310へ至る。撮影者は、接眼レンズ310を覗くことにより、ファインダスクリーンに写し出される被写体の像を観察することができる。
【0022】
また、クイックリターンミラー304は、撮影時には、図1Aに示す破線の位置に移動する。撮影時には、レンズ鏡筒200からカメラ本体300に導かれる被写体からの光は、撮像素子302に結像され撮影を行う事ができる。
【0023】
次に、図1Aおよび図1Bに基づき、レンズ鏡筒200について説明する。図1Aおよび図1Bに示すように、レンズ鏡筒200は、被写体からの光をカメラ本体300に導くレンズ等の構成を有する。レンズ鏡筒200には、第1レンズ群264、第2レンズ群268、第3レンズ群272、絞り部276が、光軸Zに沿ってこの順番に配置される。
【0024】
第1レンズ群264は、第1レンズ群保持部266により保持され、第1レンズ群保持部266は、レンズ保持筒240に保持され、不図示のカム機構により光軸に沿って移動可能となっている。たとえば、撮影者は、不図示のズーム操作環を操作して、第1レンズ群264を光軸Z方向に移動させ、ズーム操作を行なう。
【0025】
第2レンズ群268は、第2レンズ群保持部270により保持され、第2レンズ群保持部270は、レンズ保持筒240に保持され、不図示のカム機構により光軸Zに沿って移動可能である。たとえば、撮影者は、不図示のフォーカス操作環を操作して、第2レンズ群268を光軸Z方向に移動させ、フォーカシング操作を行なう。
【0026】
第3レンズ群272は、第3レンズ群保持部274を介して像面側レンズ保持筒250の内周に保持され、X軸方向およびY軸方向に沿って移動可能である。たとえば、第3レンズ群272は、不図示のVCMモータなどにより駆動されて、X軸方向およびY軸方向に移動し、ブレ補正を行う。
【0027】
絞り部276は、像面側レンズ保持筒250の内周に保持され、第3レンズ群272を通過した被写体光の光量を制御し、カメラ本体300に被写体光を導く。
【0028】
被写体からの光をカメラ本体300に導く第1レンズ群264、第2レンズ群268および第3レンズ群272などの光学系は、前述したように、レンズ保持筒240および像面側レンズ保持筒250等により保持される。
【0029】
レンズ保持筒240は、被写体側の端面で、レンズ保持筒端面242を有する。レンズ保持筒240のレンズ保持筒端面242は、固定筒220の第2突起224に当接し、ビス留め、あるいは接着により固定してある。レンズ保持筒240のカメラ本体300側端部は、たとえば像面側レンズ保持筒250に取り付けられる。
【0030】
像面側レンズ保持筒250は、カメラ本体300側で、レンズマウント筒230に取り付けられる。レンズ保持筒240および像面側レンズ保持筒250の外周側には、レンズ鏡筒200の外部に露出する外周面を有する固定筒220およびレンズマウント筒230等が配置される。
【0031】
固定筒220は、固定筒220の内周側に配置される部材を覆うように取り付けられる。固定筒220は、レンズ鏡筒200の外部に露出する外周面を主として有する外観部材である。レンズマウント筒230は、カメラ本体300側にマウント構造を有し、カメラ本体300と着脱可能である。
【0032】
筒状の固定筒220の被写体側先端の内周には、図2Aおよび図2Bに示すように、円周方向に沿って、第1突起222と第2突起224とが交互に半径方向の内周に突出して形成してある。第1突起222および第2突起224は、光軸Z方向において異なった位置に形成される。光軸Z方向の被写体側に備えられる突起が第1突起222であり、カメラ本体300側(像面側)に備えられる突起が第2突起224である。
【0033】
本実施形態では、第1突起222および第2突起224が、固定筒220の内周に形成してあるので、固定筒220の外周を突起を有さない形状に形成することができる。固定筒220は、好ましくは、弾性を有する樹脂材料で構成され、振動や衝撃を吸収可能である。
【0034】
第1突起222は、被写体側に第1面222aを有し、カメラ本体300側に第2面222bを有する。また、第2突起224は、被写体側に第3面224aを有し、カメラ本体300側に第4面224bを有する。
【0035】
図3Aに示すように、第1突起222の被写体側の第1面222aは、第2突起224の被写体側の第3面224aに対して、光軸Z方向に間隔βを隔てて被写体側にある。また、第1突起222の像面側(カメラ本体300側)の第2面222bは、第2突起224の像面側の第4面224bに対して、光軸Z方向に間隔αを隔てて被写体側にある。
【0036】
本実施形態では、図2Aに示すように、2つの第1突起222と1つの第2突起224とで構成される第1突起222と第2突起224との組み合わせが、固定筒220の内周面の周方向に沿って6組備えられる。なお、この第1突起222と第2突起224との組み合わせおよび組み合わせの数は、実施形態に合わせて適宜変更できる。
【0037】
図1Aおよび図1Bに示すように、固定筒220の被写体側端部内周には、リング210が取り付けられる。リング210の被写体側外周には、リングカバー212が取り付けられる。リング210の被写体側内周には、フィルタ部262を取り付けるためのアダプタ部214が形成され、像面側内周には、第1内周面216が形成される。第1内周面216は、第1レンズ群保持部266の外周を覆い、第1内周面216と第1レンズ群保持部266とが接触状態になった場合でも互いに滑るので、レンズ群保持部266は、リング210に対して独立して移動可能である。
【0038】
次に、図3Aおよび図3Bに基づき、本実施形態のレンズ鏡筒200について、具体的に説明する。リング210とレンズ保持筒240とは、固定筒220を介して配置される。リング210は、光軸Z方向において、固定筒220の第1突起222に当接し、第2突起224とは間隔βを隔てて配置される。また、レンズ保持筒240は、光軸Z方向において、固定筒220の第2突起224に当接し、第1突起222とは間隔αを隔てて配置される。
【0039】
すなわち、リング210の像面側端面であるリング端面218は、固定筒220の第1突起222の第1面222aと当接し、第2突起224の第4面224bとは間隔βを隔てて配置される。また、レンズ保持筒240のレンズ保持筒端面242は、固定筒220の第2突起224の第4面224bと当接し、第1突起222の第2面222bとは間隔αを隔てて配置される。
【0040】
つまり、第1突起222は、光軸Z方向に、リング210のリング端面218に当接する第1面222aと、レンズ保持筒240と間隔βを隔てて備えられる第2面222bとを有する。また、第2突起224は、光軸Z方向に、リング210と間隔αを隔てて備えられる第3面224aと、レンズ保持筒240に当接する第4面224bとを有する。
【0041】
このように、リング210は、光軸Z方向に、間隔αまたは間隔βを隔てて、レンズ保持筒240に取り付けられている。すなわち、リング210は、固定筒220を介して、レンズ保持筒240に取り付けられている。リング210のリング端面218は、固定筒220の第1突起222の第1面222aと当接する面と、第2突起224の第4面224aと間隔αを隔てる面を有する。リング端面218の第1面222aと当接した面は、第1突起222の第2面222b側で、レンズ保持筒240と間隔βを隔てて備えられる。
【0042】
本実施形態では、上記のように、リング210は、間隔αまたは間隔βを隔てて、レンズ保持筒240に取り付けられており、また、その他の全て部材とも間隔を有して配置されている。間隔αおよび間隔βは、同一でも異なっていても良く、好ましくは、2mm以下、さらに好ましくは1mm以下であり、いずれか一方の間隔αまたはβは0であっても良い。ただし、いずれか他方の間隔αまたはβは、その間隔の下限は、0.1mm以上であることが好ましく、さらに好ましくは、間隔αおよびβは、双方共に、0.1〜1mmの範囲にあることが好ましい。
【0043】
リング210は、たとえば金属あるいは硬質樹脂で構成してあり、リングカバー212および固定筒220は、リング210よりも柔軟性に優れた材質の合成樹脂で構成してあることが好ましい。特に、固定筒220の第1突起222および第2突起224は、固定筒220と一体成形され、弾性変形可能な材質で構成してあることが好ましい。レンズ保持筒240の材質に関しては、特に限定されず、光学系を保持できる程度の機械的強度があればよい。
【0044】
本実施形態に係るレンズ鏡筒200およびカメラ100によれば、たとえばレンズ鏡筒200の被写体側先端であるリング210が何らかの物体に衝突した場合に、リング210に加わる衝撃力は、リング210のリング端面218に当接する第1面222aから第1突起222に伝わる。ここで、第1突起222は、光軸方向においてレンズ保持筒240のレンズ保持筒端面242と間隔αを隔てて備えられる第2面222bを有する。そのため、第1突起222に第1部材210から力が加わると、第1突起222が間隔αの範囲で撓んで力を吸収する。
【0045】
また、この時、同時に、第1突起222に加わる衝撃力は、第1突起222が形成してある固定筒220にも伝わり、その衝撃力は、レンズ保持筒240に第4面224bで接触している第2突起224にも伝達され、第2突起224は間隔β内で撓み、衝撃力を吸収する。
【0046】
したがって、リング210から力が加わると、第1突起222および第2突起224が間隔α,βの範囲で撓んで衝撃力を吸収する。このようにして、レンズ鏡筒200は、リング210から加わる衝撃を吸収することができる。すなわち、このレンズ鏡筒200では、リング210よりも像面側に配置されるレンズ保持部材240を衝撃などから有効に保護することができる。そのため、レンズ保持部材240に、直接または間接的に保持されるレンズ264,268,272等の光学系を、リング210からの衝撃等によるダメージから有効に保護することができる。
【0047】
また、本実施形態では、第1突起222および第2突起224が固定筒220の内周側に形成してあるため、固定筒220の外周側には突起を設ける必要がなくなり、固定筒220は、レンズ鏡筒200の外部に露出する外周面を有する外観部材として好ましく用いることができる。固定筒220を、レンズ鏡筒200の外部に露出する外周面を主として有する外観部材とすることで、固定筒220の外周側に、新たな構成を追加しなくてもよく、部品点数を削減できる。
【0048】
本実施形態においては、第2面222bおよびレンズ保持部材240の間隔αと、第3面224aおよびリング210の第2間隔βとを共に所定範囲とすることで、第1突起222および第2突起224の撓む範囲を限定することができる。その結果、第1突起222および第2突起224が撓みすぎることが無くなり、リング210から加わる衝撃力を効率的に吸収することができるとともに、レンズ鏡筒200をコンパクトにすることができる。
第2実施形態
【0049】
本実施形態では、図1Aに示すように、レンズ鏡筒200の被写体側の先端に、二点鎖線部で示すフィルタ部262が取り付けられる。フィルタ部262が取り付けられること以外は、図1〜図3に示す第1実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。
【0050】
フィルタ部262は、リング210の内周側に形成されるアダプタ部214を介してリング210の内周側に着脱可能に取り付けられる。フィルタ部262は、たとえば、被写体の表面反射を取り除く偏光フィルタであり、レンズ鏡筒200の被写体側の先端に取り付けられる。本実施形態では、リング210に、フィルタ部262を装着しているので、レンズ鏡筒200の内部に配置される部材を、キズや汚れなどから保護することができる。また、リング210に、フィルタ部262を装着することで、レンズ鏡筒200の光学特性を変化させることもできる。
【0051】
フィルタ部262は、リング210のアダプタ部214を介して取り付けられているので、フィルタ部262およびリング210は、固定筒220を介して、レンズ保持筒240に取り付けられていることになる。したがって、フィルタ部262およびリング210から加わる衝撃力は、第1実施形態と同様にして、第1突起222および第2突起224が撓むことにより効率的に吸収することができる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。たとえばレンズ等の光学部材やその他の衝撃の影響を受けやすい部材は、リング210および固定筒220以外の部材であれば、レンズ保持筒240に限定されず、その他の部材に対して保持されても良い。
【0053】
また、カメラ本体300としては、クイックリターンミラー304、ファインダスクリーン306およびペンタプリズム308などがないタイプのカメラ本体300であっても良く、また、フィルムタイプのカメラ本体でも良い。
【0054】
さらに、本発明に係る光学機器は、一眼レフカメラのようなスチルカメラに限らず、たとえば、動画を対象としたビデオカメラや顕微鏡のような光学機器であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
210…リング
220…固定筒
222…第1突起
222a…第1面
222b…第2面
224…第2突起
224a…第3面
224b…第4面
240…レンズ保持筒
264…第1レンズ群
266…第1レンズ群保持部
268…第2レンズ群
270…第2レンズ群保持部
272…第3レンズ群
274…第3レンズ群保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材よりも像面側に配置され、レンズを直接または間接的に保持する第2部材と、
第1突起および第2突起が形成され、前記第1部材と前記第2部材とに係合する第3部材とを有するレンズ鏡筒であって、
前記第1突起と前記第2突起とは前記レンズの光軸方向において異なった位置に備えられ、
前記第1突起は、前記第1部材に当接する第1面と、前記光軸方向において前記第2部材と間隔を隔てて備えられる第2面と、を有し、
前記第2突起は、前記光軸方向において前記第1部材と間隔を隔てて備えられる第3面と、前記第2部材に当接する第4面と、を有することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記第1突起および前記第2突起が前記第3部材の内周側に形成してある請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記第3部材は、レンズ鏡筒の外部に露出する外周面を主として有する外観部材である請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記第2面は、前記光軸方向において前記第2部材と1mm以下の間隔を隔てて備えられ、前記第3面は、前記光軸方向において前記第1部材と1mm以下の間隔を隔てて備えられる請求項1から請求項3の何れか1つに記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記第1部材は、光学フィルタが装着可能になっている請求項1から請求項4の何れか1つに記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記レンズを保持するレンズ保持枠が、前記第2部材に対して保持される請求項1から請求項5の何れか1つに記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つに記載のレンズ鏡筒を含む光学機器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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