説明

レンズ鏡筒及びカメラ

【課題】別途スペースを設けることなく光量調節部材を移動可能なレンズ鏡筒及びカメラを提供する。
【解決手段】本発明は、撮影状態と、該撮影状態よりも短い収納状態との間で鏡筒長が可変なレンズ鏡筒(1,501)において、第1のレンズ(L2)と、前記撮影状態において前記第1のレンズ(L2)と第1の距離離間し、前記収納状態において前記第1のレンズ(L2)と前記第1の距離よりも近接する第2のレンズ(L3)と、マグネット(305,805)を有し、前記第1のレンズ(L2)を移動してブレ補正を行う防振ユニット(300,500)と、前記第1のレンズ(L2)と前記第2のレンズ(L3)との間に配置されるととともに、前記撮影状態において光路に進入して該光路を通過する光量を制限し、前記撮影状態から前記収納状態に移動する際に前記マグネット(305,805)の磁力により前記光路から退避するように移動される光量制限部材(201,701a)と、を備えること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒長が伸縮可能なレンズ鏡筒及びカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
繰り出し式のレンズ鏡筒を有するカメラにおいては、携帯性の面から、収納時のレンズ鏡筒長を短くすることが好ましい。一方、複数のレンズを有するレンズ鏡筒において、レンズ間にレンズシャッタや絞り等の光量調節部材が設けられているものがある。このようなレンズ鏡筒においては、レンズ鏡筒を収納する際に、その光量調節部材の口径を撮影時よりも広げ、光量調節部材の前後に存在するレンズ間の距離をさらに短縮可能としているものがある。従来、この光量調節部材の口径を広げるために、鏡筒長が短縮する際に光量調節部材と当接して光量調節部材を移動させる部材が設けられているカメラがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−347615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、光量調節部材の口径を広げるための部材を別途設ける場合、そのためのスペースが必要である。
【0005】
本発明は、別途スペースを設けることなく光量調節部材を移動可能なレンズ鏡筒及びカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、撮影状態と、該撮影状態よりも短い収納状態との間で鏡筒長が可変なレンズ鏡筒(1,501)において、第1のレンズ(L2)と、前記撮影状態において前記第1のレンズ(L2)と第1の距離離間し、前記収納状態において前記第1のレンズ(L2)と前記第1の距離よりも近接する第2のレンズ(L3)と、マグネット(305,805)を有し、前記第1のレンズ(L2)を移動してブレ補正を行う防振ユニット(300,500)と、前記第1のレンズ(L2)と前記第2のレンズ(L3)との間に配置されるととともに、前記撮影状態において光路に進入して該光路を通過する光量を制限し、前記撮影状態から前記収納状態に移動する際に前記マグネット(305,805)の磁力により前記光路から退避するように移動される光量制限部材(201,701a)と、を備えること、を特徴とするレンズ鏡筒(1,501)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレンズ鏡筒(1,501)であって、前記光量制限部材(201,701a)は、前記レンズ鏡筒(1,501)が前記撮影状態から前記収納状態に移動する際に、前記マグネット(305,805)が近づくことにより軸(204a,704a)を中心として回転する回転部材(204,704)を備えること、を特徴とするレンズ鏡筒(1,501)である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のレンズ鏡筒(501)であって、前記回転部材(704)は、磁性体で製造されていること、を特徴とするレンズ鏡筒(501)である。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のレンズ鏡筒(1)であって、前記回転部材(204)は、磁石で製造されていること、を特徴とするレンズ鏡筒(1)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒(1)であって、前記光量制限部材は、絞り部材(201)であること、を特徴とするレンズ鏡筒(1)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒(501)であって、前記光量制限部材は、シャッタ部材(701a)であること、を特徴とするレンズ鏡筒(501)である。
請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒(1,501)を備えるカメラ(10,510)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、別途スペースを設けることなく光量調節部材を移動可能なレンズ鏡筒及びカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態のレンズ鏡筒の撮影時における断面図である。
【図2】第1実施形態のレンズ鏡筒の収納時における断面図である。
【図3】絞り部材の移動の様子を示す図であり、(a)はレンズ鏡筒が撮影時の状態、(b)はレンズ鏡筒が収納時の状態である。
【図4】絞りユニットの移動軸の移動の様子を示す図であり、(a)は撮影時の状態、(b)は収納時の状態である。
【図5】第2実施形態のレンズ鏡筒の撮影時における断面図である。
【図6】第2実施形態のレンズ鏡筒の収納時における断面図である。
【図7】シャッタ羽根の移動の様子を示す図であり、(a)はレンズ鏡筒が撮影時の状態、(b)はレンズ鏡筒が収納時の状態、(c)はレリーズの際のシャッタ羽根が閉じた状態を示す。
【図8】シャッタユニットの移動軸の移動の様子を示す図であり、(a)は撮影時の状態、(b)は収納時の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸Aを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態のレンズ鏡筒1の断面図である。このレンズ鏡筒1は、例えばレンズ非交換式のデジタルスチルカメラ10の撮影用レンズ鏡筒として用いられる沈胴式のレンズ鏡筒1である。図1は、レンズ鏡筒1の撮影時(使用時)における状態を示す。図2は、レンズ鏡筒1の収納時(沈胴時)における状態を示す断面図である。
【0012】
レンズ鏡筒1は、撮像光学系として、第1レンズ群L1、第2レンズ群(防振(VR)レンズ群)L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4、ローパスフィルタ(LPF)10、撮像素子30を備える。また、レンズ鏡筒1は、第1群筒110、カム筒120、固定筒130、撮像素子固定部材150、絞りユニット200、VRユニット300を備えている。
【0013】
第1レンズ群L1は、対物レンズ群であって、第1レンズ群保持枠111を介して第1群筒110の対物側の先端部に固定されている。VRレンズ群L2は、第1レンズ群L1の射出側に配置され、VRユニット300によって光軸Iと直交する方向に変位(シフト)し、結像面における像ブレを低減するものである。第3レンズ群L3は、VRレンズ群L2の射出側に設けられ、第3レンズ群保持枠140によって光軸I方向に移動可能に支持されている。第4レンズ群L4は、第3レンズ群L3の射出側に設けられ、第4レンズ群保持枠135によって光軸I方向に移動可能に支持されている。
【0014】
LPF20は、第4レンズ群L4の射出側に設けられ、撮像素子30の出力画像における偽色の発生等を防止する光学式のローパスフィルタである。撮像素子30は、LPF20の像側に配置され、例えばCCD、CMOS等の光−電気変換素子を備え、その撮像面に結像される被写体像を取得するものである。撮像素子30は、パッケージ状に形成されて固定板151に取り付けられ、その固定板151は撮像素子固定部材150に固定されている。
【0015】
第1群筒110は、レンズ鏡筒1の鏡胴を構成する部材のうち撮影時に最も対物側に繰り出される筒体であって、第1レンズ群保持枠111と、レンズバリア112とを備えている。第1群筒110は、外周面部にカム筒120の内周面のカム溝に挿入される突起状のカムフォロワピン113を備え、後述する直進ガイド部材121によって光軸方向に平行移動可能に支持されている。第1レンズ群保持枠111は、その内径側に第1レンズ群L1が固定される枠体であって、第1群筒110の対物側の先端部に固定されている。レンズバリア112は、第1群筒110の対物側の端面部に備えられ、レンズ鏡筒1の収納時に第1レンズ群L1の対物側の面をカバーする遮蔽部材を備えている。
【0016】
カム筒120は、固定筒130の内径側に挿入され、固定筒130に対して光軸回りに回転可能でありかつ光軸方向に移動可能に支持される。また、その内径側に第1群筒110が挿入される筒体であって、内周側に設けられた直進ガイド部材121、外周側に設けられた雄ヘリコイド122を備える。
【0017】
雄ヘリコイド122には、ヘリコイドとともにギア歯形状が形成されており、図示しないズームモータの回転がギア歯に伝達されて、雄ヘリコイド122によりカム筒120が回転するようになっている。雄ヘリコイド122は、光軸方向に移動するとともに、第1群筒110及びVRユニット300をカム筒120に対して光軸方向に移動させるものである。
【0018】
VRレンズ群L2は、VRレンズ群保持枠123に固定されて、そのVRレンズ群保持枠123は、VR群筒124によって保持されている。VR群筒124は、外周面部にカム筒120の内周面部のカム溝に挿入される突起状のカムフォロワピン125を備えている。また、カム筒120は、第1群筒110のカムフォロワピン113及びVRユニット300のカムフォロワピン125が挿入されるカム溝がその内周面部に形成されている。
【0019】
直進ガイド部材121は、カム筒120の内径側に配置され、第1群筒110及び後述するVRレンズ群保持枠123を、固定筒130に対して光軸回りに回転しないように直進案内する。
【0020】
固定筒130は、カメラ10のカメラボディに固定された筒体である。第3レンズ群保持枠140は、その外周部にカムフォロアピン142を備える。カムフォロアピン142は、カム筒120に形成されたカム溝に挿入され、カム筒120の回転により光軸方向に移動する。撮像素子固定部材150は、固定筒130の光軸I方向像側の端部に備えられ、LPF20、撮像素子30を含むパッケージが固定されるものである。
【0021】
絞りユニット200は、絞り部材201と、絞り部材201を保持するユニット本体202とを備える。絞り部材201は、撮影時と収納時において光軸Iと垂直方向に移動する。図3は絞り部材201の移動の様子を示す図であり、(a)はレンズ鏡筒1が撮影時の状態、(b)はレンズ鏡筒1が収納時の状態である。図示するように、ユニット本体202は、円形の本体開口202aを備える。また、絞り部材201は、ユニット本体202の本体開口202aより小さい円形の絞り開口201aが設けられた円板部材において、その径方向の一部が湾曲して延びた腕部208を有する板状部材である。腕部208の端部には第1の穴209が設けられ、また第1の穴209よりも絞り開口201aの中心よりでの部分には、第2の穴(長穴)210が設けられている。
【0022】
絞りユニット200は、図4に示すように、回転用マグネット204と、回転用マグネット204の中心軸204aと、回転用マグネット204から延びるアーム部205と、アーム部205の先端から光軸Iに沿って延びる移動軸206とを備える。図4は絞りユニット200の移動軸206の移動の様子を示す図であり、(a)は撮影時の状態、(b)は収納時の状態である。回転用マグネット204は、時計回りにバネ付勢され、撮影状態において図4(a)に示す位置に保持され、収納時よりもN極が本体開口202aの中心側を向いている。また、後述するが、レンズ鏡筒が収納するに従い、回転用マグネット204は図4(a)の状態から磁力によって付勢力に抗して反時計回りに回転し、N極が撮影時よりもXマイナス側を向いた図4(b)の状態に移動する。
【0023】
また、図3に戻り、絞り部材201の中心軸204aは絞り部材201の第1の穴209に挿入され、移動軸206は、絞り部材201の第2の穴210に挿入されている。レンズ鏡筒1の収納状態への移動に伴い、回転用マグネット204は図4(a)の状態から反時計回りに回転して図4(b)の状態に移動する。したがって、撮影時において、図3(a)に示すように本体開口202aと絞り開口201aとが光軸方向において重なるようにして配置されていた絞り部材201は、収納時への移動に伴い、図3(b)に示すように絞り開口201aが本体開口202aから退避するように移動する。
【0024】
図1及び2に示すように、絞りユニット200は、ガイドバー211、バネ212を備える。ガイドバー211は、光軸Iと平行に延在し、絞りユニット200を光軸I方向に平行移動可能に支持するものである。ガイドバー211の光軸方向像側の端部は第3レンズ群保持枠140に固定され、光軸I方向対物側の端部は、絞り本体202から突き出し、突き出した部分には、絞りユニット200の移動範囲を規制するストッパリング213がはめ込まれている。
【0025】
絞り本体202は、バネ212により、第3レンズ群L3を保持する第3レンズ群保持枠140に対して、前方に付勢されている。収納時には、第2レンズ群筒124が絞り本体202に当接して光軸方向像側に押されることによりバネ212が縮み、絞り本体202は像側に移動する。
【0026】
絞り部材201は、撮影時において絞り開口201aが本体開口202aと同軸になるように位置している。したがって撮影時の光路の最大開口は、図3(a)に示すように絞り開口201aの開口径に制限されており、これにより撮影性能が維持されている。また、この絞り部材201は収納状態において、図3(b)に示すように、本体開口202aに重ならないように退避するので、収納時の開口径は、撮影時の開口径よりも広い本体開口202aの大きさとなる。
【0027】
図1及び図2に示すように、本体開口202aは第3レンズ群保持枠140のレンズ保持部の外形より大きい。そして、収納状態において絞り部材201は本体開口202aから退避する。したがって、この状態において、図2に示すように、絞りユニット200は第3レンズ群保持枠140のレンズ保持部の外周側に入り込むことが可能となり、絞りユニット200及び第3レンズ群L3を含む部分は、光軸方向において距離が短縮可能となる。
【0028】
VRユニット300は、VRレンズ群L2を光軸Iと直交する方向に変位させることによって、レンズ鏡筒1の振動に起因する被写体像の像ブレを低減するものである。VRユニット300は、VRレンズ群L2の位置を検出する位置検出センサ301を備える。位置検出センサ301は、VRレンズ群保持枠に固定された磁石302の磁界をホール素子303で検出することによりVRレンズ群の位置を検出するものである。
【0029】
またブレ補正ユニット300は、ブレ補正用アクチュエータ304を備える。ブレ補正用アクチュエータ304は、VR用マグネット305と、ブレ補正用コイル306とを備え、ブレ補正用コイル306への通電を制御することでVRレンズ群L2を光軸と垂直な方向へとシフト移動させるものである。VR用マグネット305は、図4に点線で示すように、矩形の磁石で、N極が本体開口202aの中心軸側に位置するように配置されている。
【0030】
以下、上述したレンズ鏡筒1が図1に示す撮影状態から図2に示す収納状態へ移動する際の絞りユニット200の動作について説明する。まず、図1の撮影状態において、絞りユニット200とブレ補正ユニット300とは、所定距離離間している。絞りユニット200は、バネ212によって、第3レンズ群保持枠140に対して被写体側へ付勢されている。すなわち、撮影状態において絞りユニット200は、ガイドバー止めリング213に当てつく位置に保持されている。
【0031】
また、回転用マグネット204は、図4(a)に示すように、そのN極が本体開口202aの中心を向く位置に保持されている。絞り部材201は、図3(a)に示すように、第1の穴209、第2の穴210の位置関係により、絞り開口201aが本体開口202aと重なるように保持されている。これにより、被写体光が通過する光路は、本体開口202aより小さい絞り開口201aの大きさとなっている。この状態においては、図4(a)に示すように、VR用マグネット305のN極と、回転用マグネット204のN極とは、光軸方向においてかなりの部分が重なっている。
【0032】
撮影状態から収納状態へ移動する際、カム筒120が雄ヘリコイド122に設けられたギアによって光軸I回りに回転駆動されると、第1群筒110、VRユニット300は、各カム機構によってそれぞれ光軸I方向の像側に移動する。
【0033】
VRユニット300が像側に移動すると、VR用マグネット305が回転用マグネット204に近づいてくる。この際、図4(a)に示すように、VR用マグネット305のN極と回転用マグネット204のN極、VR用マグネット305のS極と回転用マグネット204のS極との重なる部分が多いため、回転用マグネット204には反発力が加わる。この反発力により回転用マグネット204は付勢力に抗して半時計周りに回転し、図4(b)の状態となる。
【0034】
この回転用マグネット204の回転により、アーム部205も中心軸204aを中心として回転する。これにより絞り部材201も反時計回りに回転する。すなわち、絞り部材201は、図3(a)に示す絞り開口201aと本体開口202aとが同軸である状態から、図3(b)示すように絞り開口201aが本体開口202aからずれるように移動して絞り部材201は開口207から退避する。
【0035】
レンズ鏡筒1が撮影状態から収納状態に移行する際に、VR群筒124はユニット本体202に近づいて当接し、さらにユニット本体202を押圧する。この際、絞り部材201は開口207から退避しているので、絞り部材201は第3レンズ群保持枠140と衝突することなく、第3レンズ群保持枠140の被写体側端部よりもさらに像側に移動することができる。これにより、第2レンズ群L2、VRユニット300が像側に移動することができ、レンズ鏡筒1の鏡筒長の短縮が可能となる。
【0036】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)絞り部材201の移動を、VRユニット300のVR用マグネット305を利用して行う。したがって絞り部材201の移動用の部材を別途設ける必要がない。このため、部品点数を追加することなく、絞り部材201を、本体開口202aから退避させた状態に保持することができる。
(2)絞り部材201の移動に電気的な駆動力を使用しないので、電気供給機構を備える必要もない。
(3)絞り部材201の移動が、VRレンズ群L2と第3レンズ群L3との相対距離が変化することにより自動的に行われるため、制御が容易である。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態のレンズ鏡筒501の撮影時における断面図である。図6は、レンズ鏡筒501の収納時における断面図である。なお、第2実施形態と第1実施形態と同一又は類似の部分の説明は省略する。第2実施形態が第1実施形態と異なる主要な部分は、第2実施形態においては絞り部材ではなくシャッタユニット700に本発明を適用している点である。
【0038】
シャッタユニット700は、2枚のシャッタ羽根701aと、シャッタ羽根701aを保持するユニット本体702とを備える。図7はシャッタ羽根701aの移動の様子を示す図であり、(a)はレンズ鏡筒501が撮影時の状態、(b)はレンズ鏡筒501が収納時の状態、(c)はレリーズの際のシャッタ羽根701aが閉じた状態を示す。
【0039】
図8はシャッタユニット700を移動させる移動軸706の移動の様子を示す図であり、(a)は撮影時の状態、(b)は収納時の状態である。
【0040】
図7及び図8に示すように、ユニット本体702は、円形の本体開口702aを備える。シャッタ羽根701aは、互いに相似形の2枚の板状部からなる。シャッタ羽根701aの一端には、第1の穴709が設けられ、また第1の穴209と異なる部分には、第2の穴(長穴)710が設けられている。
【0041】
シャッタユニット700は、さらに、ヨーク703と、ヨーク703の開口に配置された回転部材704と、回転部材704の回転中心軸704aと、回転部材704から延びるアーム部705と、アーム部705の先端から光軸Iに沿って延びる移動軸706とを備える。なお、シャッタユニット700は、図8に示すように一方のシャッタ羽根701aを駆動させるための一つのヨーク703等によって駆動してもよく、また他方のシャッタ羽根701aを駆動させるためにもう一つのヨーク等を備えていてもよい。
【0042】
回転部材704は、時計回りに付勢され、撮影状態において図8(a)に示す、アーム部705の移動軸706が回転中心軸704aよりもやや本体開口702aの中心方向を向いた位置に保持されている。
【0043】
また、図7に示すように、回転中心軸704aにはシャッタ羽根701aの第1の穴709が挿入され、移動軸706には、シャッタ羽根701aの第7の穴710が挿入されている。このため、撮影時においては、図7(a)に示すように、2つのシャッタ羽根701aのそれぞれの一辺は本体開口702aの内部に保持されている。
【0044】
カメラの撮影状態では、図7(a)に示す撮影待機状態で、レリーズボタンを押すことによって、CCDにて露光開始し、適性露光になった時点で、シャッタ駆動コイル203aに通電される。通電によって発生した磁界がヨーク703に伝わり、この磁界と回転部材704の磁石NSとの引張反発力によって回転中心軸704aを中心に移動軸706が回転。この回転によって移動軸706が穴710を押して動き、移動軸709を回転中心として羽根が動き図7(c)の状態になる。なお、カメラ撮影状態ではシャッタユニット700とVRユニット500の距離が離れているため、VRマグネットのシャッタ作動への影響はない。
【0045】
レンズ鏡筒501が収納状態に移動していきVR用マグネット805が移動軸706に近づくと、図7(b)に示すように、VR用マグネット805の磁力によって移動軸706が引き付けられ、図8(a)の状態から反時計回りに回転して図8(b)の状態に移動する。これにより、2つのシャッタ羽根701aがそれぞれ本体開口702aから退避するように(本体開口702aを開くように)移動する。
【0046】
ブレ補正ユニット300は、第1実施形態と同様の構造を有する。第1実施形態と異なる点は、図4と図8を比較すると分かるように、VR用マグネット805が第1実施形態のVR用マグネット305よりもやや外径よりに設けられている点である。また、第2実施形態では、同極の反発力を利用せずに、マグネットが磁性体を引き付ける力を利用するので、VR用マグネット805のN極やS極の位置はいずれであってもよい。図8(a)の撮影状態では、移動軸706はVR用マグネット805と光軸方向で重ならない位置にある。一方、図8(b)の収納状態では、移動軸706はVR用マグネット805に引き寄せられて光軸方向で重なる位置に移動する。
【0047】
以下、上述したレンズ鏡筒501が図5に示す撮影状態から図6に示す収納状態へ移動する際のシャッタユニット700の動作について説明する。まず、撮影状態において、シャッタユニット700とブレ補正ユニット800とは、図5に示すように所定距離離間している。
【0048】
また、回転部材704は、図8(a)に示す位置に保持されている。シャッタ部材708は、図7(a)に示すように、第1の穴709、第7の穴710の位置関係により、シャッタ羽根701aのエッジ部分が本体開口702aを狭めている。これにより、被写体光が通過する光路断面は、本体開口702aより小さくなっている。
【0049】
撮影状態から収納状態へ移動する際、VR用マグネット805が回転部材704に近づいてくる。このとき、図8(b)に示すように、VR用マグネット805の磁力によって移動軸706が引き寄せられ、回転部材704は付勢力に抗して半時計周りに回転する。
【0050】
移動軸706が中心軸704aを中心として回転するため、シャッタ羽根701aは図7(a)に示す状態から図7(b)に示す状態に移動する。すなわち、本体開口702aからシャッタ羽根701aは退避する。
【0051】
したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、VRレンズ群保持枠123がユニット本体702に近づいて当接し、さらにユニット本体702を押圧していく際に、シャッタ羽根701aは本体開口702aから退避しているので、第3レンズ群保持枠140と衝突しない。ゆえにシャッタ羽根701aも第3レンズ群保持枠140の被写体側端部よりもさらに像側に移動することができる。これにより第2レンズ群L2、VRユニット500が像側に移動することができ、レンズ鏡筒501の鏡筒長の短縮が可能となる。
【0052】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態では絞りユニットに本発明を適用した例について説明した。しかし、これに限らず、第1実施形態はシャッタユニットに適用してもよい。またシャッタと絞りとを備えるシャッタ絞りユニットに適用してもよい。
(2)第1実施形態において、撮影状態から収納状態に移動する時、確実にピンを回転させるために、移動軸206をN極着磁させても良い。この場合、回転中心付近での力ではないため、モーメントによって回転が容易になり、絞り部材201が重い場合有利である。
(3)第2実施形態ではシャッタユニットに本発明を適用した例について説明した。しかし、これに限らず、第2実施形態は絞りユニットに適用してもよい。またシャッタと絞りとを備えるシャッタ絞りユニットに適用してもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0053】
1,501:レンズ鏡筒、10,510:カメラ、200,500:VRユニット、201:絞り部材、204:回転用マグネット、204a,704a:中心軸、300:絞りユニット、305:VR用マグネット,700:シャッタユニット、701a:シャッタ羽根、704:回転部材、805:VR用マグネット、L2:第2(VR)レンズ群、L3:第3レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影状態と、該撮影状態よりも短い収納状態との間で鏡筒長が可変なレンズ鏡筒において、
第1のレンズと、
前記撮影状態において前記第1のレンズと第1の距離離間し、前記収納状態において前記第1のレンズと前記第1の距離よりも近接する第2のレンズと、
マグネットを有し、前記第1のレンズを移動してブレ補正を行う防振ユニットと、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に配置されるとともに、前記撮影状態において光路に進入して該光路を通過する光量を制限し、前記撮影状態から前記収納状態に移動する際に前記マグネットの磁力により前記光路から退避するように移動される光量制限部材と、を備えること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ鏡筒であって、
前記光量制限部材は、前記レンズ鏡筒が前記撮影状態から前記収納状態に移動する際に、前記マグネットが近づくことにより軸を中心として回転する回転部材を備えること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項3】
請求項2に記載のレンズ鏡筒であって、
前記回転部材は、磁性体で製造されていること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項4】
請求項2に記載のレンズ鏡筒であって、
前記回転部材は、磁石で製造されていること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒であって、
前記光量制限部材は、絞り部材であること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒であって、
前記光量制限部材は、シャッタ部材であること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒を備えるカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−217314(P2010−217314A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61558(P2009−61558)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】