レンズ駆動装置
【課題】装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することができるレンズ駆動装置を提供すること。
【解決手段】レンズを保持するレンズホルダ6と、磁石11、コイル10及びヨーク12を有しレンズホルダ6を光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部と、イメージセンサ2が実装される基板3と、基板3上のイメージセンサ2を収納する収納部を有するベース部材5と、を具備するレンズ駆動装置1において、ベース部材5に形成された貫通孔5fに、レンズ駆動部のコイル10の接点部と基板3の接点部3bとを電気的に接続するスプリング5gを配設したことを特徴とする。
【解決手段】レンズを保持するレンズホルダ6と、磁石11、コイル10及びヨーク12を有しレンズホルダ6を光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部と、イメージセンサ2が実装される基板3と、基板3上のイメージセンサ2を収納する収納部を有するベース部材5と、を具備するレンズ駆動装置1において、ベース部材5に形成された貫通孔5fに、レンズ駆動部のコイル10の接点部と基板3の接点部3bとを電気的に接続するスプリング5gを配設したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置に関し、特に、デジタルカメラにおけるオートフォーカス機能や手ぶれ補正機能に好適なレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話に搭載されるレンズ駆動装置において、装置内における基板間の電気的接続に弾性体を使用し、基板間の確実な電気的接続を実現するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、近年、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話は小型化が進んでおり、これに伴って、カメラモジュールに用いられるレンズ駆動装置も小型化が要請されている。このようなレンズ駆動装置において、装置内における構成要素間の電気的接続のためのスペースにも小型化が要請される。
【特許文献1】特開2006−210036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のレンズ駆動装置においては、一定距離だけ離間した基板と基板との間に弾性体を配置し、この弾性体の表面に露出した配線を介して電気的接続を実現するものであるため、必然的に装置内に弾性体を収容するスペースを確保しなければならず、更なる装置本体の小型化の要請に対応することができないという問題がある。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することができるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のレンズ駆動装置は、レンズを保持するレンズホルダと、磁石、コイル及び磁性体を有し前記レンズホルダを光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部と、撮像素子が実装される基板と、前記基板上の撮像素子を収納する収納部を有するベース部材と、を具備し、前記ベース部材に形成された貫通孔に、前記レンズ駆動部のコイルの接点部と前記基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことを特徴とする。
【0006】
上記レンズ駆動装置によれば、ベース部材に形成された貫通孔に、レンズ駆動部のコイルの接点部と基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことから、装置内にレンズ駆動部と基板とを電気的に接続するためのスペースを設ける必要がなくなるので、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することが可能となる。
【0007】
上記レンズ駆動装置においては、前記基板の接点部を、当該基板の側面部近傍に設けることが好ましい。この場合には、接点部が側面部近傍に設けられることから、基板上における撮像素子を実装する領域を大きく確保することが可能となる。
【0008】
特に、上記レンズ駆動装置においては、前記基板の側面部に複数の外部接続部材を設ける一方、前記基板の接点部を前記複数の外部接続部材の間に配置することが好ましい。この場合には、複数の外部接続部材の間に基板の接点部が配置されることから、基板上における撮像素子を実装する領域を確保しつつ、基板自体が大きくなるのを防止することが可能となる。
【0009】
また、上記レンズ駆動装置においては、前記ベース部材における前記貫通孔と前記収納部との間に壁部を設けることが好ましい。この場合には、貫通孔と収納部との間が壁部により遮断されることから、収納部内に塵埃が入る事態を防止することが可能となる。
【0010】
さらに、上記レンズ駆動装置においては、前記撮像素子が有する4辺のうち3辺で前記基板と電気的に接続し、残りの1辺に対応する前記基板上の位置に前記基板の接点部を設けることが好ましい。この場合には、撮像素子と基板とが電気的に接続されていない基板上の位置に接点部が設けられることから、撮像素子と基板との接続部分の分だけ装置自体を小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板上の撮像素子を収納する収納部を有するベース部材に形成された貫通孔に、レンズ駆動部のコイルの接点部と基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことから、装置内にレンズ駆動装置と基板とを電気的に接続するためのスペースを設ける必要がなくなるので、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、撮像素子としてのイメージセンサ2が実装される基板3と、IRカットフィルタ4が装着されるベース部材(以下、単に「ベース」という)5と、レンズホルダ6が取り付けられ、このレンズホルダ6を介してレンズケース7が取り付けられるケース8と、取り付けられたレンズホルダ6の上方からケース8に被せられるカバー9と、レンズホルダ6に固定されるコイル10と、レンズホルダ6の上方に配設されるマグネット11及びヨーク12とを含んで構成される。
【0013】
図1に示すように、基板3は、上方側から見て正方形状に設けられている。基板3における各辺の側面には、外部との接続を行う外部接続部材3aが複数個設けられている。そのうち、特定の1辺の側面に設けられた外部接続部材3aの近傍には、1対の接点部3bが設けられている。イメージセンサ2は、基板3の中央位置に撮像領域2aが配置されるようにワイヤボンディングにより固定される。なお、図1においては、イメージセンサ2を基板3に固定するための端子部分のみ表示し、ワイヤ自体は省略している。
【0014】
ベース5は、基板3に対応する正方形状を有する板状部材で構成されている。ベース5の中央近傍には、撮像領域2aに対応する位置に長方形状を有する開口部5aが形成され、この開口部5aの周囲に開口部5aよりも僅かに大きい長方形状を有する凹部5bが形成されている。IRカットフィルタ4は、凹部5bに対応する長方形状を有し、凹部5bに装着される。ベース5の四隅には、上方に向けて突出する突出片5cが形成され、その近傍に同様に上方に向けて突出する突出片5dが形成されている。これらの突出片5c及び5dは、後述するヨーク12の脚部12bと接触してヨーク12の位置決めを行う。突出片5dの間には、後述するケース8の側面部8bの下面を収容する収容部5eが設けられている。ベース5における基板3に形成された接点部3bに対応する位置には、一対の貫通孔5fが形成されている。この貫通孔5fには、後述するレンズホルダ6の板ばねの接点部と、基板3の接点部3bとを電気的に接続する弾性接続部材としてのスプリング5gが配設される。スプリング5gは、金属等の導電性材料から形成され弾性を有している。なお、突出片5dが形成されていない辺の所定位置には、後述するケース8に形成された収容部8gに収容される一対の凸部5hが形成されている。
【0015】
ケース8は、概して基板3及びベース5に対応する正方形状を有し、その中央には円形状の開口部8aが形成されている。また、本レンズ駆動装置1の側面の一部を構成する側面部8b及び8cを有している。側面部8bは、その両端部が装置本体の内側に入り込んだ形状を有し、側面部8bの表面に後述するヨーク12の脚部12を位置決めする突起8dが形成されている。また、その中央部には、上方側に向けて開口した切り欠き部8eが形成されている。一方、側面部8cは、その中央部に上方側に向けて開口した切り欠き部8fが形成されると共に、ベース5の凸部5hを収容する収容部8gと、後述するカバー9の凸部9hを収容する溝部8hが形成されている。さらに、ケース8の四隅には、上方側に突出するピン8iが立設されている。
【0016】
レンズケース7は、小径部7aと大径部7bとを有し、これらの内部に形成される空間に複数のレンズを光軸方向に沿って保持する。小径部7aには、その上面に入光口として機能する開口部7cが形成されている。また、小径部7aの周面の上端部には、保持されるレンズ位置の微調整用の複数の凹部7dが形成されている。大径部7bの周面の上方側には、ねじ山7eが形成されている。ねじ山7eは、後述するレンズホルダ6の内周面に形成されたねじ山と係合し、レンズケース7自体の位置調整の際に利用される。
【0017】
レンズホルダ6は、複数の部品が組み合わせられて構成されている。複数の部品が組み合わされた状態において、その内部に形成される空間に上下に位置調整可能にレンズケース7を保持する。レンズホルダ6は、構成部品である板ばねの端部をケース8に固定し、その中央部分をケース8に対して上下に揺動可能に構成される。レンズホルダ6の上面には、円環形状を有するコイル10が固定される。例えば、コイル10は、レンズホルダ6の上面に接着固定される。なお、このレンズホルダ6の詳細な構成については後述する。
【0018】
カバー9は、ケース8の上面に対応した形状を有し、その中央に円形状の開口部9aが形成されている。また、ケース8の側面部8bに対応する一対の辺9bと、側面部8cに対応する一対の辺9cとを有している。辺9bには、下端部で側面部8bと係合する一方、上端部で後述するヨーク12のブラケット12aと係合する係合部9dが設けられている。係合部9dには、ケース8の切り欠き部8eと係合する凸部9eが形成されると共に、ヨーク12のブラケット12aの側面を保持する保持片9fが形成されている。一方、辺9cには、ケース8の切り欠き部8fと係合する凸部9gと、ケース8の溝部8hに入り込む凸部9hと、ケース8の収容部8gに入り込む凸部9iが形成されている。さらに、カバー9の四隅には、ケース8のピン8iが貫通する穴部9jが形成されている。
【0019】
マグネット11は、ヨーク12の内壁面に固定される。マグネット11は、上記コイル10よりも大径の円環形状を有する。ヨーク12に固定された状態において、レンズホルダ6の上面に固定されたコイル10の周囲を囲繞するように配設される。マグネット11の内周面は、一定距離だけ離間した状態でコイル10の外周面と対向している。なお、マグネット11の光軸方向の長さは、コイル10の上下移動に対応するために、コイル10の長さよりも長く構成されている。
【0020】
ヨーク12は、磁性体として機能し、図1に示す下方側に開口した形状を為す円環形状を有している。また、その下端部においてブラケット12aに固定されている。ブラケット12aは、その四隅にて下方側に屈曲されており、この屈曲された部分で脚部12bを構成している。脚部12bは、下方側に開口した切り欠き部12cを有している。切り欠き部12cは、ケース8の突起8dを収容する。ブラケット12aにおけるカバー9の辺9bに対応する端面には、カバー9の保持片9fと係合する係合部12dが形成されている。
【0021】
ここで、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の状態について説明する。図2は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の斜視図である。また、図3は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の断面図である。なお、図3においては、レンズケース7に保持されるレンズについては省略している。
【0022】
レンズ駆動装置1を組み立てた状態においては、図2及び図3に示すように、ベース5の上方にケース8が重ねられる。このとき、図2に示すように、ケース8の側面部8bの下面がベース5の収容部5eに収容されると共に、ベース5の凸部5hがケース8の収容部8gに収容される。これにより、ベース5上におけるケース8の位置決めが行われる。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、ケース8の上方にカバー9が重ねられる。このとき、図2に示すように、カバー9の凸部9eがケース8の切り欠き部8eに収容されると共に、凸部9g、凸部9h及び凸部9iがそれぞれ切り欠き部8f、溝部8h及び収容部8gに収容される。これにより、ケース8上におけるカバー9の位置決めが行われる。
【0024】
さらに、図2及び図3に示すように、カバー9の上方にヨーク12が重ねられる。このとき、図2に示すように、ヨーク12のブラケット12aの係合部12dがカバー9の保持片9fに保持される。ブラケット12aの脚部12bは、ベース5の突出片5c及び5dと、ケース8の側面部8cとで形成される空間に配置される。この場合において、ケース8の側面部8bに形成された突起8dは、脚部12bに形成された切り欠き部12c内に収容される。これにより、カバー9上におけるヨーク12の位置決めが行われる。
【0025】
ヨーク12は、図3に示すように、断面略U字状の形状を有し、その内部においては、その外側の内壁面にマグネット11が接着固定されている。そして、このマグネット11の内周面と、ヨーク12の内側の内壁面との間に、レンズホルダ6に固定されたコイル10が配置される。コイル10は、マグネット11の内周面と、ヨーク12の内側の内壁面とから一定距離だけ離間した位置に配置されている。
【0026】
なお、これらのコイル10、マグネット11及びヨーク12により、レンズホルダ6及びレンズケース7を移動させるレンズ駆動部が構成される。本実施の形態において、レンズ駆動部は、所謂ボイスコイルモータで構成される。特に、本実施の形態においては、コイル10への通電によりマグネット11に沿ってコイル10を移動させるムービングコイル形式のボイスコイルモータを適用した場合について示している。
【0027】
また、図3に示すように、ヨーク12の内側には、レンズケース7が配設されている。そして、レンズケース7に保持される複数のレンズに対応する下方位置にIRカットフィルタ4が配置されると共に、このIRカットフィルタ4の下方位置にイメージセンサ2の撮像領域2aが配置されている。
【0028】
以下、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1の特徴を有する構成部品について説明する。本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、基板3、ベース5、レンズホルダ6及びケース8の構成に特徴を有するため、以下においてはこれらの構成について説明するものとする。
【0029】
まず、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有する基板3の構成について説明する。図4は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有する基板3の上面図である。図4に示すように、基板3は、同図に示す左方側の1辺に複数(ここでは6個)の外部接続部材3aが設けられている。そして、この外部接続部材3aが設けられた1辺以外の3辺には、外縁部近傍にイメージセンサ2を電気的に接続するための複数の端子3cが設けられている。
【0030】
1対の接点部3bは、上述のように、外部接続部材3aの近傍に設けられている。特に、接点部3bは、それぞれ外部接続部材3aと外部接続部材3aとの間に配置されるように設けられている。このように外部接続部材3aと外部接続部材3aとの間に配置するように設けたのは、基板3上におけるイメージセンサ2を配置するスペースを確保するためである。また、詳細について後述するように、イメージセンサ2への埃等の侵入を防止するためにベース5の裏面側に形成される壁部を可能な限りベース5の外部側に形成するためである。
【0031】
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するベース5の構成について説明する。図5は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有する基板3とベース5との関係について説明するための斜視図である。図6は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するベース5の下面図である。なお、図5においては、基板3及びベース5のみを抜粋し、下方側から見た分解斜視図である。
【0032】
図5及び図6に示すように、ベース5の裏面には、基板3に固定されたイメージセンサ2を収納する収納部として機能する空間5iが形成されている。空間5i内には、イメージセンサ2を軽く付勢する複数の付勢片5jが設けられている。また、空間5iの周囲には、外縁部5kが設けられている。外縁部5kは、貫通孔5fに対応する位置においてベース5の内側に入り込んだ凹部5lを有している。この凹部5lの内壁は、貫通孔5fを介してイメージセンサ2に塵埃等が侵入するのを防止する壁部としての役割を果たす。
【0033】
このような構成を有する基板3とベース5とを組み立てた場合、スプリング5gは、図7に示すようにベース5に形成された貫通孔5fに配設される。この場合において、スプリング5gの下端部は、基板3に形成された接点部3bに接触している。一方、スプリング5gの上端部は、ベース5の上面部よりも僅かに上方側に突出している。
【0034】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、このように組み立てられたベース5の上方からケース8に固定されたレンズホルダ6が重ねられる。この場合、ベース5の貫通孔5fから僅かに突出するスプリング5gの上端部には、レンズホルダ6が有する板ばねの端部が接触する。図8は、レンズホルダ6が有する板ばねの端部がスプリング5gの上端部に接触する状態について説明するための斜視図である。なお、図8においては、説明の便宜上、レンズホルダ6が固定されるケース8を省略している。図8に示すように、レンズホルダ6は2枚の板ばねを有し、それぞれ異なる板ばねの端部(同図に示すA及びB)がそれぞれ異なるスプリング5gの上端部に接触している。
【0035】
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6の構成について説明する。図9は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6の分解斜視図であり、図10は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6を組み立てた場合の斜視図である。図11は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6を組み立てた場合の上面図である。なお、図9においては、説明の便宜上、レンズホルダ6に固定されるコイル10を表示している。
【0036】
図9及び図10に示すように、レンズホルダ6は、上面部61と、第1の板ばね62と、スペーサ63と、第2の板ばね64と、下面部65とが組み合わされて構成される。各構成部品の中央部分には開口部が形成されており、図10に示すように、各構成部品が組み合わされた状態において、レンズホルダ6の内部には、レンズケース7を収容する空間が形成される。このようなレンズホルダ6により保持された状態で、レンズケース7の小径部7aは、上面部61の開口部から図10に示す上方側に突出した状態となる。
【0037】
図9に示すように、上面部61は、その内壁面でレンズケース7の大径部7bの上面近傍を覆うカバー部61aと、カバー部61aの下端部から装置側方に突出形成された鍔部61bとを有する。カバー部61aの上面は、レンズホルダ6自体の上面として機能し、上述したコイル10が接着固定される。カバー部61aの所定位置には、1対の切り欠き部61cが形成されている。また、カバー部61aの内壁には、レンズケース7に形成されたねじ山7eと係合するねじ山61dが形成されている。鍔部61bの所定位置には、装置側方に突出形成された1対の突出部61eが形成されている。突出部61eには、後述するスペーサ63のピン63cが挿入される穴部61fが形成されている。また、鍔部61bにおける外周面の所定位置には、後述するスペーサ63の突起部63dが入り込む複数の切り欠き部61gが形成されている。さらに、鍔部61bにおける下面の内周側の所定位置には、後述するスペーサ63の切り欠き部63fに入り込む突起部61hが形成されている。
【0038】
第1の板ばね62は、例えば、リン青銅等の導電性材料で構成される。第1の板ばね62は、中央に開口部を有する円環状部62aと、この円環状部62aの所定位置から延在する複数の腕部62bと、各腕部62bの端部に設けられた固定部62cとを有する。特定の固定部62cには、ベース5の貫通孔5fに収容されたスプリング5gと接触する接点部62dが連結されている。接点部62dは、固定部62cから延在する部分を下方側に略垂直に折り曲げ、更にその先端を装置内側に略垂直に折り曲げることで形成される。接点部62dには、後述するケース8のピン8lが入り込む穴部62eが形成されている。円環状部62aの外周側において、上面部61の切り欠き部61gに対応する位置には、切り欠き部62fが形成されている。一方、円環状部62aの内周側において、上面部61の突起部61hに対応する位置には、切り欠き部62gが形成されている。さらに、円環状部62aの外周側の所定位置には、コイル10の端部(図10に示す10a)を挟持する挟持部62hが形成されている。
【0039】
スペーサ63は、中央に開口部を有する円環状部63aを有する。この円環状部63aにより第1の板ばね62と第2の板ばね64とを所定の間隔、すなわち円環状部63aの肉厚寸法に相当する間隔を離間してレンズホルダ6内に配置させるようになっている。円環状部63aの上面側の所定位置には、装置側方に突出形成された1対の突出部63bが形成されている。突出部63bには、上面部61の穴部61fに入り込むピン63cが設けられている。円環状部63aの外周側の所定位置には、上面部61の切り欠き部61gに入り込む突起部63dが形成されている。また、円環状部63aの下面の外周側の所定位置には、後述する下面部65の突起部65dが入り込む複数の切り欠き部63eが形成されている。一方、円環状部63aの内周側の所定位置には、上面部61の突起部61hに入り込む複数の切り欠き部63fが形成されている。さらに、円環状部63aの下面側の所定位置には、装置側方に突出形成された1対の突出部63gが形成されている。突出部63gには、後述する下面部65の穴部65cに入り込むピン63hが設けられている。
【0040】
第2の板ばね64は、第1の板ばね62と同様に、例えば、リン青銅等の導電性材料で構成される。第2の板ばね64は、中央に開口部を有する円環状部64aと、この円環状部64aの所定位置から延在する複数の腕部64bと、各腕部64bの端部に設けられた固定部64cとを有する。特定の固定部64cには、ベース5の貫通孔5fに収容されたスプリング5gと接触する接点部64dが連結されている。接点部64dは、固定部64cから延在する部分を下方側に略垂直に折り曲げ、更にその先端を装置内側に略垂直に折り曲げることで形成される。接点部64dには、後述するケース8のピン8lが入り込む穴部64eが形成されている。円環状部64aの外周側において、後述する下面部65の突起部65dに対応する位置には、切り欠き部64fが形成されている。一方、円環状部64aの内周側において、後述する下面部65の突起部65eに対応する位置には、切り欠き部64gが形成されている。さらに、円環状部64aの外周側の所定位置には、コイル10の端部(図10に示す10b)を挟持する挟持部64hが形成されている。
【0041】
下面部65は、中央に開口部を有する円環状部65aを有する。円環状部63aの所定位置には、装置側方に突出形成された1対の突出部65bが形成されている。突出部65bには、スペーサ63のピン63hが挿入される穴部65cが形成されている。円環状部65aにおける上面の外周側の所定位置には、スペーサ63の切り欠き部63eに入り込む突起部65dが形成されている。また、円環状部65aにおける上面の内周側の所定位置には、スペーサ63の切り欠き部63fに入り込む突起部65eが形成されている。
【0042】
レンズホルダ6は、図10に示すように、第1の板ばね62を挟んだ状態でスペーサ63に形成されたピン63cを上面部61の穴部61fに挿入する一方、第2の板ばね64を挟んだ状態でスペーサ63に形成されたピン63hを下面部65の穴部65cに挿入する。そして、例えば、スペーサ63に形成された突起部63d等と、上面部61に形成された切り欠き部61g等とを接着固定する一方、下面部65に形成された突起部65d等と、スペーサ63に形成された切り欠き部63e等とを接着固定することにより、これらの構成部品が一体化するように構成される。この場合において、図11に示すように、ケース8に対する第1の板ばね62の固定部62cが、第2の板ばね64の固定部64cと異なる位置に配置されるので、第1の板ばね62及び第2の板ばね64を一方向から組み込んでいくことができる。
【0043】
なお、ここでは、突起部と切り欠き部との接着固定によりレンズホルダ6を一体化する場合について示しているが、レンズホルダ6を一体化する構造については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。レンズホルダ6の一体化を実現できれば、いかなる手法を採用しても良い。例えば、上面部61、第1の板ばね62及びスペーサ63から成る部品をインモールド成形により形成する一方、第2の板ばね64及び下面部65から成る部品をインモールド成形により形成し、これらを接着固定するようにしても良い。或いは、上面部61から下面部65までの全ての部品をインモールド成形により形成するようにしても良い。
【0044】
このように組み立てられた場合、レンズホルダ6が有する第1の板ばね62と、第2の板ばね64とは、図10に示すように、レンズホルダ6における異なる高さの位置に配置される。また、第1の板ばね62の固定部62cと、第2の板ばね64の固定部64cとは、図11に示すように、レンズホルダ6における周方向の異なる位置で上方から見て重ならないように配置される。固定部62cと固定部64cとは、レンズホルダ6の四隅でそれぞれ近接して配置されている。固定部62c及び固定部64cには、図11に示すように、それぞれケース8に立設されたピン8iを受け入れる切り欠き部62i、切り欠き部64iが形成されている。これらの切り欠き部62i、切り欠き部64iは、上方から見た場合、円形状を有している。
【0045】
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するケース8の構成について説明する。図12は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するケース8の斜視図である。なお、図12において、図1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図12に示すように、ケース8の上面には、四隅にピン8iが立設されている。これらのピン8iの近傍は、レンズホルダ6が有する第1の板ばね62の固定部62c、並びに、第2の板ばね64の固定部64cの位置に応じた段差を有する形状に設けられている。この段差の寸法は、スペーサ63の円環状部63aの肉厚寸法に相当する寸法となっている。具体的には、第2の板ばね64の固定部64cの位置に応じた第1固定部8jと、第1固定部8jよりも高い位置に配置され、第1の板ばね62の固定部62cの位置に応じた第2固定部8kとが設けられている。
【0047】
ここで、ケース8と、第1の板ばね62の固定部62c及び第2の板ばね64の固定部64cとの関係について説明する。図13は、ケース8と第2の板ばね64の固定部64cとの関係について説明するための斜視図であり、図14は、ケース8と第1の板ばね62の固定部62cとの関係について説明するための斜視図である。
【0048】
図13に示すように、第2の板ばね64が有するそれぞれの固定部64cは、第1固定部8jに固定される。この場合において、固定部64cは、切り欠き部64iがピン8iを収容した状態で固定される。このように切り欠き64iにピン8iを収容した状態で固定することで、第2の板ばね64がケース8からずれるのを防止している。なお、この場合において、第2の板ばね64の円環形状部64aは、ケース8の開口部8aの内側に配置されている。
【0049】
一方、図14に示すように、第1の板ばね62が有するそれぞれの固定部62cは、第2固定部8kに固定される。この場合において、固定部62cは、切り欠き部62iがピン8iを収容した状態で固定される。このように切り欠き62iにピン8iを収容した状態で固定することで、第1の板ばね62がケース8からずれるのを防止している。なお、この場合において、第1の板ばね62の円環形状部62aは、ケース8の開口部8aの内側に配置されている。
【0050】
図15は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6とケース8との関係について説明するための斜視図である。上述したように、レンズホルダ6は、第1の板ばね62及び第2の板ばね64を上面部61、スペーサ63及び下面部65で挟んで一体化されており、これらの第1の板ばね62及び第2の板ばね64のみでケース8に対して固定されている。このため、レンズホルダ6は、第1の板ばね62及び第2の板ばね64が許容する一定の範囲で図15に示す上下方向に揺動可能に構成されている。第1の板ばね62と第2の板ばね64とは、スペーサ63により離間された間隔を保ったままケース8に取り付けられている。このため、レンズホルダ6がケース8に対して上下方向に揺動したとき、第1の板ばね62と第2の板ばね64は電気的に短絡することがないようになっている。
【0051】
なお、このようにケース8に固定された場合において、レンズホルダ6が有する第1の板ばね62及び第2の板ばね64の接点部62d及び接点部64dは、ケース8に形成された収容部8gを介してケース8の裏面側に回りこんでいる。図16は、図15に示すレンズホルダ6及びケース8を下面側から見た場合の斜視図である。図16に示すように、ケース8の裏面において、接点部62d及び接点部64dは、開口部8aに沿って側面部8b側に延在している。接点部62d及び接点部64dにそれぞれ形成された穴部62e及び穴部64eには、ケース8の下面に形成されたピン8lが係合している。これにより、接点部62d及び接点部64dがケース8の所定位置からずれるのを防止している。このようにケース8の裏面側に回りこんだ接点部62d及び接点部64dが、ベース5の貫通孔5fに収容されたスプリング5gの上端部と接触することとなる(図8参照)。
【0052】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、レンズケース7を上下移動させることで、これに保持されるレンズを駆動するものである。以下、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1において、レンズケース7を上下移動させる場合の制御について説明する。
【0053】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1において、レンズケース7を上下移動させる場合には、例えば、本レンズ駆動装置1を搭載する携帯電話やデジタルカメラの制御部からの駆動指示に応じてコイル10に電流が流される。このとき、本レンズ駆動装置1においては、第1の板ばね62及び第2の板ばね64をその通電手段として利用する。具体的には、基板3の接点部3bから、ベース5に埋め込まれたスプリング5g、第1の板ばね62における接点部62d、固定部62c、腕部62b、円環状部62a及び挟持部62hを介して電流がコイル10に送り込まれる。そして、コイル10を流れた電流は、第2の板ばね64における挟持部64h、円環状部64a、腕部64b、固定部64c、接点部64d及びベース5に埋め込まれたスプリング5gを介して基板3に送り出される。
【0054】
このようにコイル10に電流を流すと、コイル10に流れる電流がマグネット11から発生する磁界と作用することにより、コイル10を上下方向に移動させる推力が発生する。本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、コイル10に流す電流量を制御することによってこの推力を制御し、コイル10を上下移動させ、その位置決めを行う。これにより、コイル10が固定されるレンズホルダ6の位置決めを行うと共に、レンズホルダ6に取り付けられたレンズケース7内のレンズの位置決めを行うことが可能となる。
【0055】
このように本実施の形態に係るレンズ駆動装置1によれば、ベース5に形成された貫通孔5fに、レンズ駆動部のコイル10に接続される接点部62d及び64dと、基板3の接点部3bとを電気的に接続するスプリング5gを配設したことから、装置内にレンズ駆動部と基板3とを電気的に接続するためのスペースを設ける必要がなくなるので、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、基板3の接点部3bを、当該基板3の側面部近傍に設けるようにしたことから、基板3上におけるイメージセンサ2を実装する領域を大きく確保することが可能となる。
【0057】
特に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、基板3の側面部に複数の外部接続部材3aを設ける一方、基板3の接点部3bを複数の外部接続部材3aの間に配置するようにしたことから、基板3上におけるイメージセンサ2を実装する領域を確保しつつ、基板3自体が大きくなるのを防止することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、ベース5における貫通孔5fと、収納部5iとの間に壁部を設けるようにしたことから、貫通孔5fと収納部5iとの間を遮断することができるので、収納部5i内に塵埃が入る事態を防止することが可能となる。この結果、イメージセンサ2等の故障や誤作動を防止することが可能となる。
【0059】
さらに、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、イメージセンサ2が有する4辺のうち3辺で基板3と電気的に接続し、残りの1辺に対応する基板3上の位置に接点部3bを設けたことから、イメージセンサ2と基板3との接続部分の分だけ装置自体を小型化することが可能となる。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0061】
例えば、上記実施の形態においては、レンズホルダ6が2枚の板ばね(第1の板ばね62及び第2の板ばね64)を有する場合について示しているが、必ずしもレンズホルダ6がこれらを有する必要はない。上記実施の形態と同様に、2枚の板ばねが異なる高さの位置に配置されることを前提として、レンズホルダ6と2枚の板ばねとを別部品としても良い。また、板ばねの枚数は、2枚に限定されるものではなく、3枚以上に設定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置を組み立てた場合の斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置を組み立てた場合の断面図である。
【図4】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有する基板の上面図である。
【図5】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有する基板とベースとの関係について説明するための斜視図である。
【図6】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するベースの下面図である。
【図7】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有する基板とベースとを重ねた状態の斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダが有する板ばねがスプリングに接触する状態について説明するための斜視図である。
【図9】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダの分解斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダを組み立てた場合の斜視図である。
【図11】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダを組み立てた場合の上面図である。
【図12】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するケースの斜視図である。
【図13】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するケースと第2の板ばねの固定部との関係について説明するための斜視図である。
【図14】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するケースと第1の板ばねの固定部との関係について説明するための斜視図である。
【図15】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダとケースとの関係について説明するための斜視図である。
【図16】図15に示すレンズホルダ及びケースを下面側から見た場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 レンズ駆動装置
2 イメージセンサ
3 基板
3b 接点部
4 IRカットフィルタ
5 ベース部材(ベース)
6 レンズホルダ
61 上面部
62 第1の板ばね
62d 接点部
63 スペーサ
64 第2の板ばね
64d 接点部
65 下面部
7 レンズケース
8 ケース
9 カバー
10 コイル
11 マグネット
12 ヨーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置に関し、特に、デジタルカメラにおけるオートフォーカス機能や手ぶれ補正機能に好適なレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話に搭載されるレンズ駆動装置において、装置内における基板間の電気的接続に弾性体を使用し、基板間の確実な電気的接続を実現するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、近年、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話は小型化が進んでおり、これに伴って、カメラモジュールに用いられるレンズ駆動装置も小型化が要請されている。このようなレンズ駆動装置において、装置内における構成要素間の電気的接続のためのスペースにも小型化が要請される。
【特許文献1】特開2006−210036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のレンズ駆動装置においては、一定距離だけ離間した基板と基板との間に弾性体を配置し、この弾性体の表面に露出した配線を介して電気的接続を実現するものであるため、必然的に装置内に弾性体を収容するスペースを確保しなければならず、更なる装置本体の小型化の要請に対応することができないという問題がある。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することができるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のレンズ駆動装置は、レンズを保持するレンズホルダと、磁石、コイル及び磁性体を有し前記レンズホルダを光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部と、撮像素子が実装される基板と、前記基板上の撮像素子を収納する収納部を有するベース部材と、を具備し、前記ベース部材に形成された貫通孔に、前記レンズ駆動部のコイルの接点部と前記基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことを特徴とする。
【0006】
上記レンズ駆動装置によれば、ベース部材に形成された貫通孔に、レンズ駆動部のコイルの接点部と基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことから、装置内にレンズ駆動部と基板とを電気的に接続するためのスペースを設ける必要がなくなるので、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することが可能となる。
【0007】
上記レンズ駆動装置においては、前記基板の接点部を、当該基板の側面部近傍に設けることが好ましい。この場合には、接点部が側面部近傍に設けられることから、基板上における撮像素子を実装する領域を大きく確保することが可能となる。
【0008】
特に、上記レンズ駆動装置においては、前記基板の側面部に複数の外部接続部材を設ける一方、前記基板の接点部を前記複数の外部接続部材の間に配置することが好ましい。この場合には、複数の外部接続部材の間に基板の接点部が配置されることから、基板上における撮像素子を実装する領域を確保しつつ、基板自体が大きくなるのを防止することが可能となる。
【0009】
また、上記レンズ駆動装置においては、前記ベース部材における前記貫通孔と前記収納部との間に壁部を設けることが好ましい。この場合には、貫通孔と収納部との間が壁部により遮断されることから、収納部内に塵埃が入る事態を防止することが可能となる。
【0010】
さらに、上記レンズ駆動装置においては、前記撮像素子が有する4辺のうち3辺で前記基板と電気的に接続し、残りの1辺に対応する前記基板上の位置に前記基板の接点部を設けることが好ましい。この場合には、撮像素子と基板とが電気的に接続されていない基板上の位置に接点部が設けられることから、撮像素子と基板との接続部分の分だけ装置自体を小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板上の撮像素子を収納する収納部を有するベース部材に形成された貫通孔に、レンズ駆動部のコイルの接点部と基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことから、装置内にレンズ駆動装置と基板とを電気的に接続するためのスペースを設ける必要がなくなるので、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、撮像素子としてのイメージセンサ2が実装される基板3と、IRカットフィルタ4が装着されるベース部材(以下、単に「ベース」という)5と、レンズホルダ6が取り付けられ、このレンズホルダ6を介してレンズケース7が取り付けられるケース8と、取り付けられたレンズホルダ6の上方からケース8に被せられるカバー9と、レンズホルダ6に固定されるコイル10と、レンズホルダ6の上方に配設されるマグネット11及びヨーク12とを含んで構成される。
【0013】
図1に示すように、基板3は、上方側から見て正方形状に設けられている。基板3における各辺の側面には、外部との接続を行う外部接続部材3aが複数個設けられている。そのうち、特定の1辺の側面に設けられた外部接続部材3aの近傍には、1対の接点部3bが設けられている。イメージセンサ2は、基板3の中央位置に撮像領域2aが配置されるようにワイヤボンディングにより固定される。なお、図1においては、イメージセンサ2を基板3に固定するための端子部分のみ表示し、ワイヤ自体は省略している。
【0014】
ベース5は、基板3に対応する正方形状を有する板状部材で構成されている。ベース5の中央近傍には、撮像領域2aに対応する位置に長方形状を有する開口部5aが形成され、この開口部5aの周囲に開口部5aよりも僅かに大きい長方形状を有する凹部5bが形成されている。IRカットフィルタ4は、凹部5bに対応する長方形状を有し、凹部5bに装着される。ベース5の四隅には、上方に向けて突出する突出片5cが形成され、その近傍に同様に上方に向けて突出する突出片5dが形成されている。これらの突出片5c及び5dは、後述するヨーク12の脚部12bと接触してヨーク12の位置決めを行う。突出片5dの間には、後述するケース8の側面部8bの下面を収容する収容部5eが設けられている。ベース5における基板3に形成された接点部3bに対応する位置には、一対の貫通孔5fが形成されている。この貫通孔5fには、後述するレンズホルダ6の板ばねの接点部と、基板3の接点部3bとを電気的に接続する弾性接続部材としてのスプリング5gが配設される。スプリング5gは、金属等の導電性材料から形成され弾性を有している。なお、突出片5dが形成されていない辺の所定位置には、後述するケース8に形成された収容部8gに収容される一対の凸部5hが形成されている。
【0015】
ケース8は、概して基板3及びベース5に対応する正方形状を有し、その中央には円形状の開口部8aが形成されている。また、本レンズ駆動装置1の側面の一部を構成する側面部8b及び8cを有している。側面部8bは、その両端部が装置本体の内側に入り込んだ形状を有し、側面部8bの表面に後述するヨーク12の脚部12を位置決めする突起8dが形成されている。また、その中央部には、上方側に向けて開口した切り欠き部8eが形成されている。一方、側面部8cは、その中央部に上方側に向けて開口した切り欠き部8fが形成されると共に、ベース5の凸部5hを収容する収容部8gと、後述するカバー9の凸部9hを収容する溝部8hが形成されている。さらに、ケース8の四隅には、上方側に突出するピン8iが立設されている。
【0016】
レンズケース7は、小径部7aと大径部7bとを有し、これらの内部に形成される空間に複数のレンズを光軸方向に沿って保持する。小径部7aには、その上面に入光口として機能する開口部7cが形成されている。また、小径部7aの周面の上端部には、保持されるレンズ位置の微調整用の複数の凹部7dが形成されている。大径部7bの周面の上方側には、ねじ山7eが形成されている。ねじ山7eは、後述するレンズホルダ6の内周面に形成されたねじ山と係合し、レンズケース7自体の位置調整の際に利用される。
【0017】
レンズホルダ6は、複数の部品が組み合わせられて構成されている。複数の部品が組み合わされた状態において、その内部に形成される空間に上下に位置調整可能にレンズケース7を保持する。レンズホルダ6は、構成部品である板ばねの端部をケース8に固定し、その中央部分をケース8に対して上下に揺動可能に構成される。レンズホルダ6の上面には、円環形状を有するコイル10が固定される。例えば、コイル10は、レンズホルダ6の上面に接着固定される。なお、このレンズホルダ6の詳細な構成については後述する。
【0018】
カバー9は、ケース8の上面に対応した形状を有し、その中央に円形状の開口部9aが形成されている。また、ケース8の側面部8bに対応する一対の辺9bと、側面部8cに対応する一対の辺9cとを有している。辺9bには、下端部で側面部8bと係合する一方、上端部で後述するヨーク12のブラケット12aと係合する係合部9dが設けられている。係合部9dには、ケース8の切り欠き部8eと係合する凸部9eが形成されると共に、ヨーク12のブラケット12aの側面を保持する保持片9fが形成されている。一方、辺9cには、ケース8の切り欠き部8fと係合する凸部9gと、ケース8の溝部8hに入り込む凸部9hと、ケース8の収容部8gに入り込む凸部9iが形成されている。さらに、カバー9の四隅には、ケース8のピン8iが貫通する穴部9jが形成されている。
【0019】
マグネット11は、ヨーク12の内壁面に固定される。マグネット11は、上記コイル10よりも大径の円環形状を有する。ヨーク12に固定された状態において、レンズホルダ6の上面に固定されたコイル10の周囲を囲繞するように配設される。マグネット11の内周面は、一定距離だけ離間した状態でコイル10の外周面と対向している。なお、マグネット11の光軸方向の長さは、コイル10の上下移動に対応するために、コイル10の長さよりも長く構成されている。
【0020】
ヨーク12は、磁性体として機能し、図1に示す下方側に開口した形状を為す円環形状を有している。また、その下端部においてブラケット12aに固定されている。ブラケット12aは、その四隅にて下方側に屈曲されており、この屈曲された部分で脚部12bを構成している。脚部12bは、下方側に開口した切り欠き部12cを有している。切り欠き部12cは、ケース8の突起8dを収容する。ブラケット12aにおけるカバー9の辺9bに対応する端面には、カバー9の保持片9fと係合する係合部12dが形成されている。
【0021】
ここで、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の状態について説明する。図2は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の斜視図である。また、図3は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の断面図である。なお、図3においては、レンズケース7に保持されるレンズについては省略している。
【0022】
レンズ駆動装置1を組み立てた状態においては、図2及び図3に示すように、ベース5の上方にケース8が重ねられる。このとき、図2に示すように、ケース8の側面部8bの下面がベース5の収容部5eに収容されると共に、ベース5の凸部5hがケース8の収容部8gに収容される。これにより、ベース5上におけるケース8の位置決めが行われる。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、ケース8の上方にカバー9が重ねられる。このとき、図2に示すように、カバー9の凸部9eがケース8の切り欠き部8eに収容されると共に、凸部9g、凸部9h及び凸部9iがそれぞれ切り欠き部8f、溝部8h及び収容部8gに収容される。これにより、ケース8上におけるカバー9の位置決めが行われる。
【0024】
さらに、図2及び図3に示すように、カバー9の上方にヨーク12が重ねられる。このとき、図2に示すように、ヨーク12のブラケット12aの係合部12dがカバー9の保持片9fに保持される。ブラケット12aの脚部12bは、ベース5の突出片5c及び5dと、ケース8の側面部8cとで形成される空間に配置される。この場合において、ケース8の側面部8bに形成された突起8dは、脚部12bに形成された切り欠き部12c内に収容される。これにより、カバー9上におけるヨーク12の位置決めが行われる。
【0025】
ヨーク12は、図3に示すように、断面略U字状の形状を有し、その内部においては、その外側の内壁面にマグネット11が接着固定されている。そして、このマグネット11の内周面と、ヨーク12の内側の内壁面との間に、レンズホルダ6に固定されたコイル10が配置される。コイル10は、マグネット11の内周面と、ヨーク12の内側の内壁面とから一定距離だけ離間した位置に配置されている。
【0026】
なお、これらのコイル10、マグネット11及びヨーク12により、レンズホルダ6及びレンズケース7を移動させるレンズ駆動部が構成される。本実施の形態において、レンズ駆動部は、所謂ボイスコイルモータで構成される。特に、本実施の形態においては、コイル10への通電によりマグネット11に沿ってコイル10を移動させるムービングコイル形式のボイスコイルモータを適用した場合について示している。
【0027】
また、図3に示すように、ヨーク12の内側には、レンズケース7が配設されている。そして、レンズケース7に保持される複数のレンズに対応する下方位置にIRカットフィルタ4が配置されると共に、このIRカットフィルタ4の下方位置にイメージセンサ2の撮像領域2aが配置されている。
【0028】
以下、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1の特徴を有する構成部品について説明する。本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、基板3、ベース5、レンズホルダ6及びケース8の構成に特徴を有するため、以下においてはこれらの構成について説明するものとする。
【0029】
まず、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有する基板3の構成について説明する。図4は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有する基板3の上面図である。図4に示すように、基板3は、同図に示す左方側の1辺に複数(ここでは6個)の外部接続部材3aが設けられている。そして、この外部接続部材3aが設けられた1辺以外の3辺には、外縁部近傍にイメージセンサ2を電気的に接続するための複数の端子3cが設けられている。
【0030】
1対の接点部3bは、上述のように、外部接続部材3aの近傍に設けられている。特に、接点部3bは、それぞれ外部接続部材3aと外部接続部材3aとの間に配置されるように設けられている。このように外部接続部材3aと外部接続部材3aとの間に配置するように設けたのは、基板3上におけるイメージセンサ2を配置するスペースを確保するためである。また、詳細について後述するように、イメージセンサ2への埃等の侵入を防止するためにベース5の裏面側に形成される壁部を可能な限りベース5の外部側に形成するためである。
【0031】
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するベース5の構成について説明する。図5は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有する基板3とベース5との関係について説明するための斜視図である。図6は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するベース5の下面図である。なお、図5においては、基板3及びベース5のみを抜粋し、下方側から見た分解斜視図である。
【0032】
図5及び図6に示すように、ベース5の裏面には、基板3に固定されたイメージセンサ2を収納する収納部として機能する空間5iが形成されている。空間5i内には、イメージセンサ2を軽く付勢する複数の付勢片5jが設けられている。また、空間5iの周囲には、外縁部5kが設けられている。外縁部5kは、貫通孔5fに対応する位置においてベース5の内側に入り込んだ凹部5lを有している。この凹部5lの内壁は、貫通孔5fを介してイメージセンサ2に塵埃等が侵入するのを防止する壁部としての役割を果たす。
【0033】
このような構成を有する基板3とベース5とを組み立てた場合、スプリング5gは、図7に示すようにベース5に形成された貫通孔5fに配設される。この場合において、スプリング5gの下端部は、基板3に形成された接点部3bに接触している。一方、スプリング5gの上端部は、ベース5の上面部よりも僅かに上方側に突出している。
【0034】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、このように組み立てられたベース5の上方からケース8に固定されたレンズホルダ6が重ねられる。この場合、ベース5の貫通孔5fから僅かに突出するスプリング5gの上端部には、レンズホルダ6が有する板ばねの端部が接触する。図8は、レンズホルダ6が有する板ばねの端部がスプリング5gの上端部に接触する状態について説明するための斜視図である。なお、図8においては、説明の便宜上、レンズホルダ6が固定されるケース8を省略している。図8に示すように、レンズホルダ6は2枚の板ばねを有し、それぞれ異なる板ばねの端部(同図に示すA及びB)がそれぞれ異なるスプリング5gの上端部に接触している。
【0035】
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6の構成について説明する。図9は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6の分解斜視図であり、図10は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6を組み立てた場合の斜視図である。図11は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6を組み立てた場合の上面図である。なお、図9においては、説明の便宜上、レンズホルダ6に固定されるコイル10を表示している。
【0036】
図9及び図10に示すように、レンズホルダ6は、上面部61と、第1の板ばね62と、スペーサ63と、第2の板ばね64と、下面部65とが組み合わされて構成される。各構成部品の中央部分には開口部が形成されており、図10に示すように、各構成部品が組み合わされた状態において、レンズホルダ6の内部には、レンズケース7を収容する空間が形成される。このようなレンズホルダ6により保持された状態で、レンズケース7の小径部7aは、上面部61の開口部から図10に示す上方側に突出した状態となる。
【0037】
図9に示すように、上面部61は、その内壁面でレンズケース7の大径部7bの上面近傍を覆うカバー部61aと、カバー部61aの下端部から装置側方に突出形成された鍔部61bとを有する。カバー部61aの上面は、レンズホルダ6自体の上面として機能し、上述したコイル10が接着固定される。カバー部61aの所定位置には、1対の切り欠き部61cが形成されている。また、カバー部61aの内壁には、レンズケース7に形成されたねじ山7eと係合するねじ山61dが形成されている。鍔部61bの所定位置には、装置側方に突出形成された1対の突出部61eが形成されている。突出部61eには、後述するスペーサ63のピン63cが挿入される穴部61fが形成されている。また、鍔部61bにおける外周面の所定位置には、後述するスペーサ63の突起部63dが入り込む複数の切り欠き部61gが形成されている。さらに、鍔部61bにおける下面の内周側の所定位置には、後述するスペーサ63の切り欠き部63fに入り込む突起部61hが形成されている。
【0038】
第1の板ばね62は、例えば、リン青銅等の導電性材料で構成される。第1の板ばね62は、中央に開口部を有する円環状部62aと、この円環状部62aの所定位置から延在する複数の腕部62bと、各腕部62bの端部に設けられた固定部62cとを有する。特定の固定部62cには、ベース5の貫通孔5fに収容されたスプリング5gと接触する接点部62dが連結されている。接点部62dは、固定部62cから延在する部分を下方側に略垂直に折り曲げ、更にその先端を装置内側に略垂直に折り曲げることで形成される。接点部62dには、後述するケース8のピン8lが入り込む穴部62eが形成されている。円環状部62aの外周側において、上面部61の切り欠き部61gに対応する位置には、切り欠き部62fが形成されている。一方、円環状部62aの内周側において、上面部61の突起部61hに対応する位置には、切り欠き部62gが形成されている。さらに、円環状部62aの外周側の所定位置には、コイル10の端部(図10に示す10a)を挟持する挟持部62hが形成されている。
【0039】
スペーサ63は、中央に開口部を有する円環状部63aを有する。この円環状部63aにより第1の板ばね62と第2の板ばね64とを所定の間隔、すなわち円環状部63aの肉厚寸法に相当する間隔を離間してレンズホルダ6内に配置させるようになっている。円環状部63aの上面側の所定位置には、装置側方に突出形成された1対の突出部63bが形成されている。突出部63bには、上面部61の穴部61fに入り込むピン63cが設けられている。円環状部63aの外周側の所定位置には、上面部61の切り欠き部61gに入り込む突起部63dが形成されている。また、円環状部63aの下面の外周側の所定位置には、後述する下面部65の突起部65dが入り込む複数の切り欠き部63eが形成されている。一方、円環状部63aの内周側の所定位置には、上面部61の突起部61hに入り込む複数の切り欠き部63fが形成されている。さらに、円環状部63aの下面側の所定位置には、装置側方に突出形成された1対の突出部63gが形成されている。突出部63gには、後述する下面部65の穴部65cに入り込むピン63hが設けられている。
【0040】
第2の板ばね64は、第1の板ばね62と同様に、例えば、リン青銅等の導電性材料で構成される。第2の板ばね64は、中央に開口部を有する円環状部64aと、この円環状部64aの所定位置から延在する複数の腕部64bと、各腕部64bの端部に設けられた固定部64cとを有する。特定の固定部64cには、ベース5の貫通孔5fに収容されたスプリング5gと接触する接点部64dが連結されている。接点部64dは、固定部64cから延在する部分を下方側に略垂直に折り曲げ、更にその先端を装置内側に略垂直に折り曲げることで形成される。接点部64dには、後述するケース8のピン8lが入り込む穴部64eが形成されている。円環状部64aの外周側において、後述する下面部65の突起部65dに対応する位置には、切り欠き部64fが形成されている。一方、円環状部64aの内周側において、後述する下面部65の突起部65eに対応する位置には、切り欠き部64gが形成されている。さらに、円環状部64aの外周側の所定位置には、コイル10の端部(図10に示す10b)を挟持する挟持部64hが形成されている。
【0041】
下面部65は、中央に開口部を有する円環状部65aを有する。円環状部63aの所定位置には、装置側方に突出形成された1対の突出部65bが形成されている。突出部65bには、スペーサ63のピン63hが挿入される穴部65cが形成されている。円環状部65aにおける上面の外周側の所定位置には、スペーサ63の切り欠き部63eに入り込む突起部65dが形成されている。また、円環状部65aにおける上面の内周側の所定位置には、スペーサ63の切り欠き部63fに入り込む突起部65eが形成されている。
【0042】
レンズホルダ6は、図10に示すように、第1の板ばね62を挟んだ状態でスペーサ63に形成されたピン63cを上面部61の穴部61fに挿入する一方、第2の板ばね64を挟んだ状態でスペーサ63に形成されたピン63hを下面部65の穴部65cに挿入する。そして、例えば、スペーサ63に形成された突起部63d等と、上面部61に形成された切り欠き部61g等とを接着固定する一方、下面部65に形成された突起部65d等と、スペーサ63に形成された切り欠き部63e等とを接着固定することにより、これらの構成部品が一体化するように構成される。この場合において、図11に示すように、ケース8に対する第1の板ばね62の固定部62cが、第2の板ばね64の固定部64cと異なる位置に配置されるので、第1の板ばね62及び第2の板ばね64を一方向から組み込んでいくことができる。
【0043】
なお、ここでは、突起部と切り欠き部との接着固定によりレンズホルダ6を一体化する場合について示しているが、レンズホルダ6を一体化する構造については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。レンズホルダ6の一体化を実現できれば、いかなる手法を採用しても良い。例えば、上面部61、第1の板ばね62及びスペーサ63から成る部品をインモールド成形により形成する一方、第2の板ばね64及び下面部65から成る部品をインモールド成形により形成し、これらを接着固定するようにしても良い。或いは、上面部61から下面部65までの全ての部品をインモールド成形により形成するようにしても良い。
【0044】
このように組み立てられた場合、レンズホルダ6が有する第1の板ばね62と、第2の板ばね64とは、図10に示すように、レンズホルダ6における異なる高さの位置に配置される。また、第1の板ばね62の固定部62cと、第2の板ばね64の固定部64cとは、図11に示すように、レンズホルダ6における周方向の異なる位置で上方から見て重ならないように配置される。固定部62cと固定部64cとは、レンズホルダ6の四隅でそれぞれ近接して配置されている。固定部62c及び固定部64cには、図11に示すように、それぞれケース8に立設されたピン8iを受け入れる切り欠き部62i、切り欠き部64iが形成されている。これらの切り欠き部62i、切り欠き部64iは、上方から見た場合、円形状を有している。
【0045】
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するケース8の構成について説明する。図12は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するケース8の斜視図である。なお、図12において、図1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図12に示すように、ケース8の上面には、四隅にピン8iが立設されている。これらのピン8iの近傍は、レンズホルダ6が有する第1の板ばね62の固定部62c、並びに、第2の板ばね64の固定部64cの位置に応じた段差を有する形状に設けられている。この段差の寸法は、スペーサ63の円環状部63aの肉厚寸法に相当する寸法となっている。具体的には、第2の板ばね64の固定部64cの位置に応じた第1固定部8jと、第1固定部8jよりも高い位置に配置され、第1の板ばね62の固定部62cの位置に応じた第2固定部8kとが設けられている。
【0047】
ここで、ケース8と、第1の板ばね62の固定部62c及び第2の板ばね64の固定部64cとの関係について説明する。図13は、ケース8と第2の板ばね64の固定部64cとの関係について説明するための斜視図であり、図14は、ケース8と第1の板ばね62の固定部62cとの関係について説明するための斜視図である。
【0048】
図13に示すように、第2の板ばね64が有するそれぞれの固定部64cは、第1固定部8jに固定される。この場合において、固定部64cは、切り欠き部64iがピン8iを収容した状態で固定される。このように切り欠き64iにピン8iを収容した状態で固定することで、第2の板ばね64がケース8からずれるのを防止している。なお、この場合において、第2の板ばね64の円環形状部64aは、ケース8の開口部8aの内側に配置されている。
【0049】
一方、図14に示すように、第1の板ばね62が有するそれぞれの固定部62cは、第2固定部8kに固定される。この場合において、固定部62cは、切り欠き部62iがピン8iを収容した状態で固定される。このように切り欠き62iにピン8iを収容した状態で固定することで、第1の板ばね62がケース8からずれるのを防止している。なお、この場合において、第1の板ばね62の円環形状部62aは、ケース8の開口部8aの内側に配置されている。
【0050】
図15は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6とケース8との関係について説明するための斜視図である。上述したように、レンズホルダ6は、第1の板ばね62及び第2の板ばね64を上面部61、スペーサ63及び下面部65で挟んで一体化されており、これらの第1の板ばね62及び第2の板ばね64のみでケース8に対して固定されている。このため、レンズホルダ6は、第1の板ばね62及び第2の板ばね64が許容する一定の範囲で図15に示す上下方向に揺動可能に構成されている。第1の板ばね62と第2の板ばね64とは、スペーサ63により離間された間隔を保ったままケース8に取り付けられている。このため、レンズホルダ6がケース8に対して上下方向に揺動したとき、第1の板ばね62と第2の板ばね64は電気的に短絡することがないようになっている。
【0051】
なお、このようにケース8に固定された場合において、レンズホルダ6が有する第1の板ばね62及び第2の板ばね64の接点部62d及び接点部64dは、ケース8に形成された収容部8gを介してケース8の裏面側に回りこんでいる。図16は、図15に示すレンズホルダ6及びケース8を下面側から見た場合の斜視図である。図16に示すように、ケース8の裏面において、接点部62d及び接点部64dは、開口部8aに沿って側面部8b側に延在している。接点部62d及び接点部64dにそれぞれ形成された穴部62e及び穴部64eには、ケース8の下面に形成されたピン8lが係合している。これにより、接点部62d及び接点部64dがケース8の所定位置からずれるのを防止している。このようにケース8の裏面側に回りこんだ接点部62d及び接点部64dが、ベース5の貫通孔5fに収容されたスプリング5gの上端部と接触することとなる(図8参照)。
【0052】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、レンズケース7を上下移動させることで、これに保持されるレンズを駆動するものである。以下、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1において、レンズケース7を上下移動させる場合の制御について説明する。
【0053】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1において、レンズケース7を上下移動させる場合には、例えば、本レンズ駆動装置1を搭載する携帯電話やデジタルカメラの制御部からの駆動指示に応じてコイル10に電流が流される。このとき、本レンズ駆動装置1においては、第1の板ばね62及び第2の板ばね64をその通電手段として利用する。具体的には、基板3の接点部3bから、ベース5に埋め込まれたスプリング5g、第1の板ばね62における接点部62d、固定部62c、腕部62b、円環状部62a及び挟持部62hを介して電流がコイル10に送り込まれる。そして、コイル10を流れた電流は、第2の板ばね64における挟持部64h、円環状部64a、腕部64b、固定部64c、接点部64d及びベース5に埋め込まれたスプリング5gを介して基板3に送り出される。
【0054】
このようにコイル10に電流を流すと、コイル10に流れる電流がマグネット11から発生する磁界と作用することにより、コイル10を上下方向に移動させる推力が発生する。本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、コイル10に流す電流量を制御することによってこの推力を制御し、コイル10を上下移動させ、その位置決めを行う。これにより、コイル10が固定されるレンズホルダ6の位置決めを行うと共に、レンズホルダ6に取り付けられたレンズケース7内のレンズの位置決めを行うことが可能となる。
【0055】
このように本実施の形態に係るレンズ駆動装置1によれば、ベース5に形成された貫通孔5fに、レンズ駆動部のコイル10に接続される接点部62d及び64dと、基板3の接点部3bとを電気的に接続するスプリング5gを配設したことから、装置内にレンズ駆動部と基板3とを電気的に接続するためのスペースを設ける必要がなくなるので、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、基板3の接点部3bを、当該基板3の側面部近傍に設けるようにしたことから、基板3上におけるイメージセンサ2を実装する領域を大きく確保することが可能となる。
【0057】
特に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、基板3の側面部に複数の外部接続部材3aを設ける一方、基板3の接点部3bを複数の外部接続部材3aの間に配置するようにしたことから、基板3上におけるイメージセンサ2を実装する領域を確保しつつ、基板3自体が大きくなるのを防止することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、ベース5における貫通孔5fと、収納部5iとの間に壁部を設けるようにしたことから、貫通孔5fと収納部5iとの間を遮断することができるので、収納部5i内に塵埃が入る事態を防止することが可能となる。この結果、イメージセンサ2等の故障や誤作動を防止することが可能となる。
【0059】
さらに、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、イメージセンサ2が有する4辺のうち3辺で基板3と電気的に接続し、残りの1辺に対応する基板3上の位置に接点部3bを設けたことから、イメージセンサ2と基板3との接続部分の分だけ装置自体を小型化することが可能となる。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0061】
例えば、上記実施の形態においては、レンズホルダ6が2枚の板ばね(第1の板ばね62及び第2の板ばね64)を有する場合について示しているが、必ずしもレンズホルダ6がこれらを有する必要はない。上記実施の形態と同様に、2枚の板ばねが異なる高さの位置に配置されることを前提として、レンズホルダ6と2枚の板ばねとを別部品としても良い。また、板ばねの枚数は、2枚に限定されるものではなく、3枚以上に設定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置を組み立てた場合の斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置を組み立てた場合の断面図である。
【図4】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有する基板の上面図である。
【図5】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有する基板とベースとの関係について説明するための斜視図である。
【図6】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するベースの下面図である。
【図7】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有する基板とベースとを重ねた状態の斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダが有する板ばねがスプリングに接触する状態について説明するための斜視図である。
【図9】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダの分解斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダを組み立てた場合の斜視図である。
【図11】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダを組み立てた場合の上面図である。
【図12】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するケースの斜視図である。
【図13】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するケースと第2の板ばねの固定部との関係について説明するための斜視図である。
【図14】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するケースと第1の板ばねの固定部との関係について説明するための斜視図である。
【図15】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダとケースとの関係について説明するための斜視図である。
【図16】図15に示すレンズホルダ及びケースを下面側から見た場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 レンズ駆動装置
2 イメージセンサ
3 基板
3b 接点部
4 IRカットフィルタ
5 ベース部材(ベース)
6 レンズホルダ
61 上面部
62 第1の板ばね
62d 接点部
63 スペーサ
64 第2の板ばね
64d 接点部
65 下面部
7 レンズケース
8 ケース
9 カバー
10 コイル
11 マグネット
12 ヨーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するレンズホルダと、磁石、コイル及び磁性体を有し前記レンズホルダを光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部と、撮像素子が実装される基板と、前記基板上の撮像素子を収納する収納部を有するベース部材と、を具備し、
前記ベース部材に形成された貫通孔に、前記レンズ駆動部のコイルの接点部と前記基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記基板の接点部を、当該基板の側面部近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記基板の側面部に複数の外部接続部材を設ける一方、前記基板の接点部を前記複数の外部接続部材の間に配置したことを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記ベース部材における前記貫通孔と前記収納部との間に壁部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記撮像素子が有する4辺のうち3辺で前記基板と電気的に接続し、残りの1辺に対応する前記基板上の位置に前記基板の接点部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項1】
レンズを保持するレンズホルダと、磁石、コイル及び磁性体を有し前記レンズホルダを光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部と、撮像素子が実装される基板と、前記基板上の撮像素子を収納する収納部を有するベース部材と、を具備し、
前記ベース部材に形成された貫通孔に、前記レンズ駆動部のコイルの接点部と前記基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記基板の接点部を、当該基板の側面部近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記基板の側面部に複数の外部接続部材を設ける一方、前記基板の接点部を前記複数の外部接続部材の間に配置したことを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記ベース部材における前記貫通孔と前記収納部との間に壁部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記撮像素子が有する4辺のうち3辺で前記基板と電気的に接続し、残りの1辺に対応する前記基板上の位置に前記基板の接点部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−197312(P2008−197312A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31664(P2007−31664)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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