説明

レンチキュラシートの欠陥検査装置及び方法

【課題】レンチキュラシートの微細な欠陥までを検出する。
【解決手段】光源部15は、レンチキュラシート11に対して、直線偏光された照明光をレンチキュラシートの幅方向と平行な線状にして照射する。撮影装置21,22は、照明光の照射方向に対して所定の角度で傾けられた方向から第2偏光板23を介して照明光の照射領域Rを撮影する。第2偏光板23は、その偏光方向が照明光の偏光方向と直交するものとされている。欠陥は、正常部分よりも輝度が高い部分として検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンチキュラレンズが形成されたレンチキュラシートの欠陥の有無を検査する欠陥検査装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
断面が略半円形で線状に延びたレンチキュラレンズを多数並べたレンチキュラシートが知られている。レンチキュラシートは、プロジェクションスクリーンや、立体画像を観察することができる3D写真等に利用されている。レンチキュラシートは、一般的には透明なプラスチック樹脂で作製されている。
【0003】
レンチキュラシートの製造工程においては、レンズの形成不良、異物の混入、付着、キズなど欠陥がないように製造されるが、そのような欠陥が発生することは避けられない。欠陥部分はレンチキュラシートの所期の光学特性が得られないため、その欠陥部分を含むレンチキュラシートは不良品となる。このため、レンチキュラシートの欠陥を検査し、その欠陥部分を製品から除外するように後工程を制御したり、連続的に発生する欠陥については、不良品を作り続けることがないように速やかに製造を中断し、その原因を取り除く必要がある。
【0004】
レンチキュラシートの欠陥検査装置として、レンチキュラシートを搬送しながら、透過照明または反射暗視野照明にて照明を行い、レンチキュラシートからの垂直入射光のみをラインセンサカメラに入射させるように、ラインセンサカメラとレンチキュラシートとの間にフレネルレンズや凸レンズを配した構成が知られている(特許文献1参照)。また、この特許文献1には、上記のラインセンサカメラの他に、2台のラインセンサカメラによってレンチキュラシートを左右から直接にあおり撮影するようにされている。
【0005】
レンチキュラシートをライン状の光源で照明し、その透過光を幅方向の3方向から撮影することにより、異物の混入等によって透過率が低くなった黒欠陥を検出する欠陥検査装置が知られている(特許文献2参照)。この特許文献2の欠陥検査装置では、1台のラインセンサカメラがレンチキュラシートの正面から撮影を行い、このラインセンサカメラの幅方向両側にさらに2台のラインセンサカメラを配している。
【0006】
一方、レンチキュラシートではないが、プリズムを多数配列したプリズムシートの欠陥検査装置として、ライン状の照明光をプリズムの配列方向と平行な方向にしてプリズムシートに照射し、集光手段を介してラインセンサカメラでプリズムシートからの透過光を受光するようにしたものが知られている(特許文献3参照)。この特許文献3では、プリズムの主屈折角と集光手段の画角との関係を規定することにより、受光シートが受光するプリズムシートからの光の光量分布幅を狭くして、一定のしきい値を用いて欠陥を検出できるように構成されている。
【0007】
また、平坦な光学シートの欠陥検査装置であって、光学シートを挟むように偏光子と検光子を配し、偏光子を介して光学シートに照明光を照射し、光学シートを透過した光を検光子を介してテレビカメラで受光するものが知られている(特許文献4参照)。この特許文献4では、偏光子と検光子の各偏光方向とが互いに直交となる状態から検光子の偏光方向を±5度〜±20度の範囲でずらし、画像処理により内部異物,表面付着異物とを検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−159988号公報
【特許文献2】特開平7−159345号公報
【特許文献3】特開2010−38715号公報
【特許文献4】特開平9−189668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、微細な欠陥を検出する場合には、高分解能でレンチキュラシートを撮影する必要がある。一方で、レンチキュラシートには、その表面に多数のレンズが配列されているから、レンチキュラシートの透過光または反射光の光量は、レンズの配列方向で変化する。このため、特許文献1,2のように透過光または反射光を受光する構成で、撮影時の分解能を高くすると、撮影で得られる1ラインの受光信号上におけるレンズの配列に起因した信号変化が顕在化し、小さな欠陥と正常部分との判別が難しくなり、結果として大きなサイズの欠陥しか検出できなくなってしまう。また、レンズの配列に起因した信号変化を除去するには、複雑な画像処理が必要となってしまう。同様な問題は、特許文献4のように、検査対象のレンチキュラシートを偏光子と検光子との間に配して撮影を行った場合にも発生する。さらに、特許文献3は、プリズムシートを構成するプリズムの屈折角を利用した方法であるため、屈折角が一定ではないレンチキュラレンズを有するレンチキュラシートには適用ができない。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、レンズの配列に影響されることなく高分解能にレンチキュラシートを撮影して、微細な欠陥の有無までを検査することができるようにしたレンチキュラシートの欠陥検査装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、レンチキュラシートの幅方向と平行な線状の照明光をレンチキュラシートに照射する光源と、照明光の照射方向に対して所定の角度で傾けられた方向からレンチキュラシートの照明光の照射領域を臨み、レンチキュラシートを透過した照明光のうちの拡散透過光を観察する観察手段と、レンチキュラシートと前記観察手段との間に配され、照明光を特定方向に偏光する偏光子、及びレンチキュラシートと前記観察手段との間に配され、偏光方向が前記偏光子の偏光方向と直交する向きとされた検光子とからなる偏光ユニットとを備えるものである。
【0012】
また、請求項2記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、前記偏光ユニットは、検光子を介して観察手段に入射する透過光の光量が最も小さくなるように、レンチキュラシートに対する偏光方向が決められているものである。
【0013】
請求項3記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、前記レンチキュラシートに対する偏光方向を、レンチキュラレンズの長手方向に対して、10°〜45°の範囲内としたものである。
【0014】
請求項4記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、前記レンチキュラシートに対する偏光方向を、レンチキュラレンズの長手方向に対して、20°〜40°の範囲内としたものである。
【0015】
請求項5記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、前記観察手段を、撮影光軸が照明光の照射方向に対して前記所定の角度で傾けられて配され、検光子を介して拡散透過光を受光することにより、照明光の照射領域を撮影する撮影手段とし、この撮影手段から出力される光電信号に基づいて欠陥の有無を判定する判定手段を備えたものである。
【0016】
請求項6記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、前記撮影手段を、レンチキュラシートの幅方向に離して配し、それぞれが照射領域を撮影する第1及び第2の撮影装置としたものである。
【0017】
請求項7記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、前記判定手段を、第1及び第2の撮影装置のうちの少なくともいずれか一方からの光電信号に欠陥を示す信号成分が含まれるときに欠陥有りと判定するようにしたものである。
【0018】
請求項8記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、第1及び第2の撮影装置の各撮影光軸のなす開き角度を5°〜15°の範囲内としたものである。
【0019】
請求項9記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、前記判定手段を、所定のしきい値に対する光電信号の高低により、欠陥の有無を判定するようにしたものである。
【0020】
請求項10記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置では、前記偏光ユニットのクロスニコル状態を一時的に解除する解除手段を有し、前記判定手段は、前記解除手段によりクロスニコル状態を解除している間に、正常なレンチキュラシートに対して、前記光源からの照明光を照射し、撮影装置に入射する透過光量を一時的に上昇させた状態で1ライン分の光電信号を得て基準波形とし、この基準波形に基づいて、欠陥の有無を判定するため基準レベルと検査時に得られる光電信号との関係を1ライン内で相対的に変化させる検査感度補正手段を有するものである。
【0021】
請求項11記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、特定方向に偏光された照明光を、レンチキュラシートの幅方向と平行な線状にしてレンチキュラシートに照射し、照明光の照射方向に対して所定の角度で傾けられた方向から、照明光の偏光方向と直交する偏光方向の検光子を通してレンチキュラシートの照明光の照射領域を臨み、レンチキュラシートからの拡散透過光のうちの検光子を透過した光の光量に基づいてシートの欠陥の有無を判定するものである。
【0022】
請求項12記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、検光子を透過する拡散透過光の光量が最も小さくなるようにレンチキュラシートに対する照明光の偏光方向を決めたものである。
【0023】
請求項13記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、前記レンチキュラシートに対する偏光方向を、レンチキュラレンズの長手方向に対して、10°〜45°の範囲内としたものである。
【0024】
請求項14記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、前記レンチキュラシートに対する偏光方向を、レンチキュラレンズの長手方向に対して、20°〜40°の範囲内としたものである。
【0025】
請求項15記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、撮影光軸を照明光の照射方向に対して前記所定の角度で傾けて配した撮影手段によって照明光の照射領域を撮影し、前記撮影手段から出力される光電信号に基づいて欠陥の有無を判定するようにしたものである。
【0026】
請求項16記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、レンチキュラシートの幅方向に離して配され、それぞれが照射領域を撮影する第1及び第2の撮影装置を前記撮影手段として用いるものである。
【0027】
請求項17記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、第1及び第2の撮影装置のうちの少なくともいずれか一方からの光電信号に欠陥を示す信号成分が含まれるときに欠陥有りと判定するようにしたものである。
【0028】
請求項18記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、第1及び第2の撮影装置の各撮影光軸のなす開き角度を30°としたものである。
【0029】
請求項19記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、所定のしきい値に対する光電信号の高低により、欠陥の有無を判定するものである。
【0030】
請求項20記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法では、照明光の偏光方向と前記検光子の偏光方向とのクロスニコル状態を一時的に解除している間に、正常なレンチキュラシートに対して照明光を照射し、撮影装置に入射する透過光量を一時的に上昇させた状態で1ライン分の光電信号を得て基準波形とし、この基準波形に基づいて欠陥の有無を判定するため基準レベルと検査時に得られる光電信号との関係を1ライン内で相対的に変化させて1ライン中における検査感度を補正するものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、レンチキュラシートの幅方向と平行な線状にして、特定方向に偏光された照明光を照射し、その照明光の照射方向に対して所定の角度で傾けられた方向から照明光の偏光方向と直交する偏光方向の検光子を通して照射領域を観察し、その検光子を透過した光の光量に基づいてレンチキュラシートの欠陥の有無を判定するから、レンチキュラレンズに影響されることなく、微細な欠陥の有無までを精度よく検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を実施した欠陥検査装置の構成を示す斜視図である。
【図2】レンチキュラシートを示す斜視図である。
【図3】光源部による照明光の照射方向と、撮影装置の撮影方向との関係を示す説明する説明図である。
【図4】照明光の照射領域と、2台の撮影装置の位置関係とを説明する説明図である。
【図5】レンチキュラシートの正常部分の照射領域から得られる1ライン分の光電信号を示す説明図である。
【図6】レンチキュラシートの欠陥部分を含む照射領域から得られる1ライン分の光電信号を示す説明図である。
【図7】レンズシートの搬送方向に対する第1偏光板の偏光方向がなす角度θとコントラストの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施したレンチキュラシートの欠陥検査装置を図1に示す。欠陥検査装置10は、長尺なレンチキュラシート11を連続搬送している間に、そのレンチキュラシート11の内部や表面などにある欠陥を検査する。検査対象となるレンチキュラシート11は、その製造装置から欠陥検査装置10に供給される。なお、長尺なレンチキュラシート11を巻き取ったロールから欠陥検査装置10にレンチキュラシート11を供給するように構成してもよい。
【0034】
図2に示すように、レンチキュラシート11は、その表面側に多数のレンチキュラレンズ(以下、単にレンズという)12が配列され、背面側が平面になっている。各レンズ12は、断面が略半円形状で線状に延びており、それが延びる長手方向(矢線S方向)と直交する方向に光屈折作用を有する。レンチキュラシート11は、レンズ12の長手方向(以下、レンズ長手方向という)に長尺になっており、またレンズ12は、レンズ長手方向と直交する方向、すなわちレンチキュラシート11の幅方向(以下、シート幅方向という)に多数配列されている。1個のレンズ12のレンズ幅は、例えば約0.25mmであり、レンズ12の配列ピッチもそれと同じになっている。
【0035】
レンチキュラシート11は、PET等の透明なプラスチック製であり、例えば平坦なプラスチックフィルムに、多数のレンズ12を成形したプラスチックフィルムを貼り合わせることにより作製されている。このレンチキュラシート11は、その製造工程での延伸にともなう分子配向による複屈折特性を有し、複屈折特性による偏光作用を示す。なお、説明の便宜上、各図ではレンズ12を誇張して描いてある。
【0036】
図1において、搬送機構14は、搬送ローラやモータなどで構成されており、欠陥検査装置10内でレンチキュラシート11を連続搬送する。この搬送機構14によるレンチキュラシート11の搬送方向(矢線S方向)は、レンズ長手方向と平行になっている。したがって、シート幅方向は、搬送方向と直交する方向(矢線M方向)となっている。この例では、レンズ12側を上にした姿勢で水平方向にレンチキュラシート11を搬送するが、レンズ12側を下にした姿勢としたり、搬送方向を垂直方向としたりしてもよい。
【0037】
レンチキュラシート11の搬送路下方(背面側)に光源部15が配されている。光源部15は、特定方向に偏光したライン状の照明光をレンチキュラシート11に対して照射するものであり、LEDやハロゲンランプ等の光源16(図3)、この光源16を収容した筐体17、偏光子として第1偏光板18などで構成される。第1偏光板18は、照明光を直線偏光する直線偏光タイプのものが用いられている。
【0038】
レンチキュラシート11の搬送路上方(レンズ側)に、観察手段としての一対の撮影装置21,22が配されている。撮影装置21は、撮影レンズ21aと、ライン状に並べた多数の画素(受光素子)からなるラインセンサ21bなどで構成されたリニアアレイカメラとなっている。この撮影装置21は、照明光が照射されているレンチキュラシート11のライン状の照射領域Rを1ラインとして撮影して光電信号を出力する。
【0039】
撮影装置22も同様な構成であり、撮影レンズ22aとラインセンサ22bなどで構成されたリニアアレイカメラであり、照射領域Rを1ラインとして撮影し、光電信号を出力する。撮影装置21,22は、レンチキュラシート11が1ライン分搬送されるごとに、同じ照射領域Rを同時に撮影するように、図示しない制御装置により制御される。
【0040】
なお、レンチキュラシート11の搬送は、その搬送方向がレンズ長手方向と平行となるように調整されているが、種々の要因により平行とならず斜行してしまうことがある。そこで、欠陥検査装置10よりも上流側に、搬送方向に対するレンズ長手方向の角度を検出する検出装置を配し、この検出装置の検出結果に基づいて、ライン状の照明光がシート幅方向に正確に平行になるように、光源部15、撮影装置21,22などを搬送面に垂直な回転軸を中心に回転してもよい。
【0041】
後述するように、撮影装置21,22は、光源部15による照明が暗視野照明となるように、照射領域Rの真上から搬送方向の上流側にずらして配され、その位置から斜め下方向に照射領域Rを臨むようにされ、撮影光軸21c,22cを照明光の照射方向に対して傾けた姿勢とされている。また、撮影装置21,22は、その撮影光軸21c,22cの間に所定の開き角度φがつけられている。
【0042】
各撮影レンズ21a,22aの前面に、検光子としての第2偏光板23がそれぞれ配されており、各撮影装置21,22は、対応する第2偏光板23を通して照射領域Rの撮影を行う。第2偏光板23は、第1偏光板18と同じく直線偏光タイプのものとなっている。各第2偏光板23は、対応する撮影光軸21c,22cに垂直となるように配されている。これら第2偏光板23は、第1偏光板18とクロスニコルとなるように、その偏光方向が第1偏光板18の偏光方向に直交するようにしてある。すなわち、第1偏光板18によって直線偏光された照明光が第2偏光板2を透過しないように、各偏光板18,23の偏光方向を決めてある。
【0043】
光源部15からの直線偏光の照明光は、複屈折特性を有するレンチキュラシート11を透過することにより、その複屈折特性に応じた楕円偏光の透過光となる。第2偏光板23には、その楕円偏光の透過光のうちの拡散透過光の一部が入射する。このため、第1偏光板18と第2偏光板23とはクロスニコルの関係にあるが、第2偏光板23に入射した拡散透過光のうちの第2偏光板23の偏光方向と一致するする偏光成分が、第2偏光板23を透過して撮影装置21,22に受光される。
【0044】
なお、第2偏光板23を第1偏光板18と平行に配してもよい。また、第2偏光板23の位置は、撮影レンズ21a,22aの前面でなくてもよい。例えば、レンチキュラシート11の近傍で照射領域Rを覆うように1枚の第2偏光板23を配し、この第2偏光板23を通して各撮影装置21,22が撮影を行うように構成してもよい。
【0045】
各偏光板18,23は、上述にようにクロニコルの関係を維持しつつ、第1偏光板18で偏光された照明光をレンチキュラシート11の正常部分に照射したときに、その正常部分から第2偏光板23に入射して第2偏光板23を透過する透過光の光量が小さくなるように、レンチキュラシート11に対する偏光方向がレンチキュラシート11の複屈折特性に応じて調整されている。このように第2偏光板23の透過光量を小さくすることにより、正常部分と、この正常部分よりも明るい部分として観察される欠陥部分とのコントラストを高めて観察することができる。
【0046】
コントラストを最大にするために第2偏光板23の透過光量を最も小さく調整するのがよく、この例においてもそのようにしている。レンチキュラシート11を透過することにより楕円偏光の照明光に対して、第1偏光板18または第2偏光板の一方の偏光方向を、この楕円偏光の短軸方向に、また他方の偏光方向を長軸方向となるようにすることで透過光量を最も小さくことができる。楕円偏光の短軸方向、長軸方向は、レンチキュラシート11の複屈折特性を測定することにより特定することができる。
【0047】
位置検出部25は、レンチキュラシート11の搬送方向の位置情報を生成して、これを判定部26に送る。この位置検出部25は、レンチキュラシート11の搬送に従動回転するローラや、このローラが一定角度回転するごとにエンコードパルスを発生するエンコーダ、エンコーダパルスに基づいて搬送方向の位置情報を生成する回路などから構成されている。
【0048】
判定部26は、撮影装置21,22からの各光電信号に基づいて、欠陥の有無や欠陥のサイズなどを判定する。この判定処理としては、例えば光電信号によって示される輝度に対してしきい値を設定し、1ライン中の光電信号にしきい値よりも明るい輝度部分が含まれる場合に、撮影された照射領域Rに欠陥があるものとする。このときに、両方の撮影装置21,22からの各光電信号について、しきい値を超える輝度部分が含まれる場合には、比較的大きなキズもしくは内部異物と判断し、どちらか一方の撮影装置からの光電信号だけにしきい値を超える輝度部分が含まれる場合には、レンチキュラシート11の背面の微小なキズと判断する。
【0049】
判定部26は、欠陥を検出したときには、その欠陥を検出した位置を示す位置検出部25からの位置情報や判定した欠陥の種類、大きさなどを含む欠陥情報を生成して出力する。この欠陥情報は、レンチキュラシート11の欠陥部分が製品として使用しないための制御情報として用いられる。
【0050】
なお、欠陥の有無だけを判定してもよい、この場合には、両方またはいずれか一方の撮影装置からの光電信号にしきい値を超える輝度部分が含まれる場合に、欠陥有りと判定すればよい。また、順次に得られる光電信号から輝度の分布を二次元化して、しきい値を超える部分をひとかたまりとして、その部分の画素数を算出することにより欠陥の大きさ判定をしても良い。
【0051】
図3,図4に示すように、光源部15の筐体17は、シート幅方向に長く形成されており、その内部に光源16を内蔵している。この筐体17の上面に、光源16からの照明光を射出する射出口17aを形成してある。射出口17aは、搬送方向に狭くされ、レンチキュラシート11の幅方向に長く形成されており、これによりシート幅方向に平行なライン状の照明光をレンチキュラシート11の法線L1に沿って上方に照射する。この例では、このようにし照明光の照射方向がレンチキュラシート11の法線方向となっている。射出口17aは、レンチキュラシート11の幅と同じまたはそれ以上の長さにしてあり、レンチキュラシート11の全幅に照明光を照射する。なお、図3,図4では、レンズ12の図示を省略してある。
【0052】
射出口17aを覆うように、筐体17の上方に第1偏光板18が配されており、射出口17aから射出された照明光が、この第1偏光板18によって特定方向に直線偏光される。この例では、上記のように第1偏光板18をレンチキュラシート11と光源16との間に配置することで照明光を偏光しているが、他の手法により偏光された照明光を生成してレンチキュラシート11に照射してもよい。
【0053】
上述のように光源部15は、レンチキュラシート11の法線L1に沿って上方に照明光を射出する。これにより、照射領域Rからは、レンチキュラシート11を透過する透過光のうちの正透過光が、法線方向に沿って上方に射出される。
【0054】
撮影装置21,22は、照射領域Rの真上の位置から搬送路上流側に距離D1(D1≠0)だけ離した位置から照射領域Rを撮影するように、撮影光軸21c,22cが法線L1、すなわち照明光の照射方向に対して角度αで傾けられている。このように撮影装置21,22を配置することにより、撮影装置21,22に対して光源部15は、照明光の正透過光を入射させずに照射領域Rで散乱される拡散透過光が撮影装置21,22に入射するようにした、暗視野照明となっている。上述のように、角度αは、撮影装置21,22が正透過光を受光させず、拡散透過光だけを受光させるために設定される角度であり、搬送方向についての、撮影装置21,22の撮影範囲の広さ、照射領域Rの長さなどに基づいて決めることができる
【0055】
なお、光源部15,撮影装置21,22の配置は、照明光の照射方向(正透過光の透過方向)に対して撮影光軸が傾けられて光源部15が撮影装置21,22に対して暗視野照明となれば上記のものに限られない。例えば、撮影装置21,22を搬送路の下流側にずらして配置してもよい。また、光源部15がレンチキュラシート11に対して斜め上方に向けて照明光を照射し、その照射領域Rの真上から撮影装置が撮影するように構成してもよい。
【0056】
前述し、また図4に示されるように、ライン状の照明光をシート幅方向に平行にして、レンチキュラシート11に照射している。レンズ長手方向に直交する方向、すなわちシート幅方向にだけレンズ12は光屈折作用を有するものであるから、上記のようなシート幅方向に平行なライン状の照明光は、レンチキュラシート11から射出される際にシート幅方向に広がるだけであり、レンズ14の長手方向に広がることがない。このため、暗視野照明の状態を担保することができる。
【0057】
また、撮影装置21,22は、シート幅方向に距離D2(D2≠0)だけ離されて配置されており、図1に示されるように、それぞれの撮影光軸21c、22cが開き角度φで相互に開くようにしてある。なお、撮影装置21,22は、シート幅方向について、レンチキュラシート11の中心より等距離の位置に配され、撮影光軸21c,22cは、レンチキュラシート11上で交差するようにされている。
【0058】
レンチキュラシート11の背面にキズが存在する場合では、表面側からの観察方向によってはキズが拡大されることやキズが認識できなくなることがある。レンチキュラシート11を適当なサイズにカットしたカットシートの背面に画像を印刷し、表面側から観察することによって画像を立体視する場合では、カットシートの幅方向に離れた各位置から観察者の左眼、右眼で観察されることに着目し、この通常の使用態様に似た光学条件でキズ等の欠陥を検出するようにしている。
【0059】
通常の使用態様に似た光学条件とするために、開き角度φは、10°±5°とするのが適当である。カットシートの法線方向から両眼で距離400mmだけ離してカットシートを鑑賞するとした場合、両眼の間隔(瞳孔間隔)を70mmとすれば、カットシートから両眼を見込む角度は約10°(=2tan−1(35/400))である。シートと鑑賞者の両眼との距離が270mm〜800mm程度の範囲で変動すると想定した場合、カットシートから両眼を見込む角度は5°〜15°程度となるからである。
【0060】
図5に撮影装置21,22から得られる1ライン分の光電信号の例を示す。前述のように、第2偏光板23がレンチキュラシート11から入射した拡散透過光のうち、その偏光方向と一致する偏光成分を透過し、その偏光成分が撮影装置21,22によって受光される。このため、正常部分の1ラインの光電信号中の光電信号に示される輝度は「0」とはならない。しかし、上記のように第2偏光板23を透過する透過光量が最も小さくなるように、第1、第2偏光板18,23の偏光方向が調整されているので、輝度は小さな値となる。
【0061】
また、レンチキュラシート11には、複数のレンズ12が配列されており、それらレンズ12の屈折作用により、レンチキュラシート11の正透過の光量にはシート幅方向に強弱が生じるため、複数のレンズ12の配列に応じて1ライン分の輝度は変化する。しかし、本構成においては、拡散透過光のみを受光するように構成しているので、レンズ12の配列に応じた1ライン分の輝度変化は微小となる。これにより、複数のレンズ12の配列に影響されることなく、微細な欠陥の有無までを判定することができる。
【0062】
欠陥を判定する際に用いるしきい値は、レンチキュラシート11の正常部分を撮影しているときの光電信号よりも高い一定な値Thとされている。この値Thは、例えば正常部分を撮影しているときに得られる光電信号が取り得る最大値よりも高くなるように、光電信号を多数のライン分を実験的に調べることにより決定される。
【0063】
図6は欠陥部分を含む1ライン分の光電信号の例を示している。レンチキュラシート11に欠陥があるときには、その欠陥部分において局所的にレンチキュラシート11の複屈折特性が正常部分とは異なったものとなり、拡散透過光の偏光状態が正常部分のものとは異なる。この偏光状態の変化は、第2偏光板23を透過する偏光成分を増大させるので、1ラインの光電信号中の欠陥部分に対応する信号レベルが高くなる。これにより、判定部26は、光電信号がしきい値よりも高くなることで欠陥が有ると判定することができる。
【0064】
なお、この例では、一定な値のしきい値を用いているが、撮影装置21,22の撮影光軸21c、22cは、開き角度φをもって照射方向に対して傾けて配置されているので、1ラインの光電信号は原理的に幅方向に傾いているから、その光電信号の変化に基づいて1ライン中でしきい値を変化させてもよい。しかし、第1及び第2偏光板18,23をクロスニコルにした上で透過光量が最も小さくなるように調整し、さらに拡散透過光のみを受光するようにしてあるので、正常面の光電信号レベルは小さく、前述の1ラインの光電信号の幅方向の傾きを正確に反映させることは難しい。そこで、例えば、一時的に第1偏光板18、第2偏光板23を取り除くなどして、クロスニコルを解除した状態で得られる1ライン分の光電信号の波形を得、例えば、これを適当なカットオフ周波数をもつローパスフィルターに通すことにより高周波の地合成分や電気的なノイズを除去し、1ライン分の光電信号の傾きや大きなうねりのみを抽出するようにして生成したしきい値を用いても良い。このときに、光電信号の傾きや大きなうねりを1ライン分のしきい値の波形として抽出し、この1ライン分のしきい値の波形の信号レベルを全体的に上下することにより、欠陥の検出感度を調整することができる。
【0065】
あるいは、クロスニコルを解除した状態で得られる1ライン分の光電信号波形を基準波形として記憶し、検査時の光電信号波形に対して基準波形に基づく所定の倍率をかける等の所謂「シェーディング補正」を行っても良い。また、クロスニコルを解除する手段として偏光板を取り除く例で説明したが、どちらか片方もしくは両方の偏光板を回転させてようにしても良い。このように一時的にクロスニコルを解除して透過光量を増大し、その時の光電信号を用いてしきい値を決定・設定すれば、シート幅方向での検出感度を均一にでき、輝度上昇が僅かなより小さな欠陥までを検出することができる。
【0066】
レンズ12及びそのレンズ12の配列に応じて1ラインの光電信号が変化するから、その光電信号の変化に基づいて1ライン中でしきい値を変化させてもよい。例えば、第1偏光板18、第2偏光板23を取り除くなどして、クロスニコルを解除した状態で得られる1ライン分の光電信号の波形を反転させ、その反転させた波形のようにしきい値を1ライン中で上下させるものとしてもよい。このようにすれば、輝度上昇が僅かなより小さな欠陥までを検出することができる。
【0067】
上記欠陥検査装置の作用について説明する。検査すべきレンチキュラシート11が欠陥検査装置10に送り込まれ、連続的に搬送される。この搬送中には、光源部15からライン状の照明光が第1偏光板18を介してレンチキュラシート11に照射される。
【0068】
第1偏光板18によって直線偏光とされた照明光は、レンチキュラシート11の複屈折特性により楕円偏光となってレンチキュラシート11を透過する。そして、この楕円偏光となった透過光のうちの拡散透過光の一部が各第2偏光板23に入射する。さらに、第2偏光板23に入射した拡散透過光のうち、その第2偏光板23の偏光方向の偏光成分だけが透過して撮影装置21,22に入射し、この入射した光によって1ライン分の撮影が行われる。この撮影装置21,22による各1ラインの撮影は、レンチキュラシート11が1ライン分送られるごとに行われる。
【0069】
1ライン分の撮影を行うごとに撮影装置21,22からの1ライン分の各光電信号が順次に出力され、それらの各光電信号が判定部26に送られる。そして、判定部26によって各光電信号がしきい値とそれぞれ比較され、欠陥の有無や種類、サイズなどが判定される。この比較で、両方の光電信号にしきい値を超える部分がないときには、撮影された照射領域Rには欠陥が無いと判断される。一方、両方の光電信号にしきい値を超える輝度部分が含まれる場合には、比較的大きなキズもしくは内部異物の欠陥と判断され、どちらか一方の光電信号にだけしきい値を超える輝度部分が含まれる場合には、レンチキュラシート11の背面の微小なキズの欠陥と判断される。そして、その欠陥の種類やサイズとともに、位置検出部で検出されている欠陥の位置情報を含む欠陥情報が出力される。
【0070】
ところで、レンチキュラシート11の透過光は、それが透過する部分のレンチキュラシート11の複屈折特性により楕円偏光となり、その拡散透過光の一部が第2偏光板23に入射する。そして、この第2偏光板23を透過する直線偏光成分が撮影装置21,22に受光されるが、第2偏光板23を透過する直線偏光成分の光量は、拡散透過光の偏光状態に応じたものとなる。
【0071】
したがって、レンチキュラシート11の所期の複屈折特性を有する正常部分に照明光が照射されている場合には、所期の複屈折特性に応じた光量が受光される。このため、照射領域Rが正常部分であれば、撮影装置21,22からそれぞれ出力される1ライン分の各光電信号は、いずれもがしきい値Thよりも高くなることはなく、結果として、欠陥が無いと判定される。
【0072】
一方、照射領域Rの表面・背面にキズがあったり、レンチキュラシート11の内部に異物が存在したりして欠陥がある場合には、その欠陥部分ないしその周囲において局所的にレンチキュラシート11の複屈折特性が正常部分とは異なったものとなる。このため、透過光の偏光状態が正常部分を透過したものとは異なったものとなり、第2偏光板23を透過するする偏光成分が増大する。これにより、1ラインの光電信号中の欠陥部分に対応する信号レベル(輝度)がしきい値よりも高くなって、結果として欠陥が有ると判定される。レンチキュラシート11の内部にある異物が不透明であったり、かなり微細なものであっても、その周囲の複屈折特性が正常部分とは異なったものとなるので、同様に検出することができる。
【0073】
また、レンチキュラシート11の背面側に微小なキズがあるような場合では、レンズ12の屈折作用によって、観察する方向によっては観察されないことがある。しかしながら、上記のように開き角度φを持たせて撮影装置21,22を配してあるため、実際の使用状態で、観察されるようなキズに関しては、少なくとも撮影装置21,22のいずれか一方の光電信号から、そのキズを検出される。もちろん、観察方向に応じて拡大されるようなキズを検出できることはいうまでもない。
【0074】
上記のように各光電信号に基づいて判定を行うが、各光電信号には、多数のレンズ12がシート幅方向に配列されていること起因した信号レベルの変化は微小である。このため、その信号レベルの変化が欠陥の有無の影響されることがない。
【0075】
[実施例1]
実施例1では、上記のように構成される欠陥検査装置10を用いて、PETを主成分とするレンチキュラシート11を検査対象として、欠陥の検出を行った。撮影装置21,22は、7000画素のラインセンサ21b,22bを用いたものを使用し、レンチキュラシート11の表面のレンズ12の部分で分解能が0.05mmとなるように撮影レンズの焦点距離、及び撮影距離を設定した。また、撮影光軸21c,22cの開き角φが10°となるように設定した。
【0076】
この実施例1では、レンズ12の表面に直径が約0.2mmの円形のキズ(以下、表面キズという)を欠陥として形成し、レンチキュラシート11の搬送方向に対する第1偏光板18の偏光方向がなす角度θを変化させて、角度θごとのコントラストを求めた。コントラストは、図6に示すように、各撮影装置21,22からの光電信号における正常部分の平均輝度h1と欠陥部分の輝度h2を測定し、両者の比(=h1/h2)をコントラストとした。各角度θにおける平均輝度h1,輝度h2、及びコントラストを表1に示す。また、その結果をグラフとして図7に示す。なお、この実施例における表面キズの場合には、2台の撮影装置21,22の光電信号に大きな差は生じなかった。
【0077】
【表1】

【0078】
正常面での地合のバラツキやノイズによる信号を考慮すると、安定して欠陥を抽出するにはコントラストが2以上であることが好ましく、表1及び図7からコントラスト2以上の範囲として、概ね「10°≦θ≦45°」と読み取ることができ、この範囲内で表面キズの検出を好ましく行うことができるのがわかる。また、20°≦θ≦40°の範囲でコントラストがより高くなり、高感度に表面キズの検出を行うことができるのがわかる。
【0079】
[実施例2]
実施例2では、レンチキュラシート11の背面に、直径が約0.05mmの円形の打痕キズを複数個作成し、このレンチキュラシート11を撮影装置21,22で撮影し、各撮影装置21,22からの各光電信号を調べた。なお、開き角φを10°に固定している他は実施例1と同じ条件とした。
【0080】
この実施例2では、撮影装置21あるいは撮影装置22から得られる打痕キズに対応する輝度h2は、打痕キズの位置により大きくばらついたが、少なくとも一方の撮影装置からは、打痕キズに対応する輝度h2として検出に十分なものを得ることができた。この結果からレンズ12とキズの位置関係によって、各撮影装置の撮影方向にキズが拡大される場合と縮小される場合とが生じても、いずれか一方の撮影装置によってキズが拡大される方向で撮影できることがわかり、比較的小さいが観察方向によっては拡大されて実害が認められる背面側のキズをも検出できることがわかる。
【0081】
上記実施形態では、撮影手段として、2台の撮影装置を用いているが、1台、あるいは3台以上の撮影装置であってもよい。撮影装置としては、リニアアレイカメラに限らず、エリアセンサを用いたカメラであってもよい。また、観察手段として、撮影装置を用いた例について説明したが、観察手段としては、これに限られるものではなく、例えば、上記の例の各撮影装置の方向からレンチキュラシートを観察するように、肉眼による観察方向を規定する光学系などであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 欠陥検査装置
11 レンチキュラシート
12 レンチキュラレンズ
15 光源部
18,23 偏光板
21,22 撮影装置
26 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状に延びた複数のレンチキュラレンズが幅方向に配列されたレンチキュラシートの欠陥検査装置において、
レンチキュラシートの幅方向と平行な線状の照明光をレンチキュラシートに照射する光源と、
照明光の照射方向に対して所定の角度で傾けられた方向からレンチキュラシートの照明光の照射領域を臨み、レンチキュラシートを透過した照明光のうちの拡散透過光を観察する観察手段と、
レンチキュラシートと前記光源との間に配され、照明光を特定方向に偏光する偏光子、及びレンチキュラシートと前記観察手段との間に配され、偏光方向が前記偏光子の偏光方向と直交する向きとされた検光子とからなる偏光ユニットとを備えることを特徴とするレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項2】
前記偏光ユニットは、検光子を介して観察手段に入射する透過光の光量が最も小さくなるように、レンチキュラシートに対する偏光方向が決められていることを特徴とする請求項1記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項3】
前記レンチキュラシートに対する偏光方向は、レンチキュラレンズの長手方向に対して、10°〜45°の範囲内であることを特徴とする請求項2記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項4】
前記レンチキュラシートに対する偏光方向は、レンチキュラレンズの長手方向に対して、20°〜40°の範囲内であることを特徴とする請求項2記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項5】
前記観察手段は、撮影光軸が照明光の照射方向に対して前記所定の角度で傾けられて配され、検光子を介して拡散透過光を受光することにより、照明光の照射領域を撮影する撮影手段であり、
前記撮影手段から出力される光電信号に基づいて欠陥の有無を判定する判定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項6】
前記撮影手段は、レンチキュラシートの幅方向に離して配され、それぞれが照射領域を撮影する第1及び第2の撮影装置であることを特徴とする請求項5記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項7】
前記判定手段は、第1及び第2の撮影装置のうちの少なくともいずれか一方からの光電信号に欠陥を示す信号成分が含まれるときに欠陥有りと判定することを特徴とする請求項6記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項8】
第1及び第2の撮影装置の各撮影光軸のなす開き角度が5°〜15°の範囲内であることを特徴とする請求項6または7記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項9】
前記判定手段は、所定のしきい値に対する光電信号の高低により、欠陥の有無を判定することを特徴とする請求項5ないし8のいずれか1項に記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項10】
前記偏光ユニットのクロスニコル状態を一時的に解除する解除手段を有し、
前記判定手段は、前記解除手段によりクロスニコル状態を解除している間に、正常なレンチキュラシートに対して、前記光源からの照明光を照射し、撮影装置に入射する透過光量を一時的に上昇させた状態で1ライン分の光電信号を得て基準波形とし、この基準波形に基づいて、欠陥の有無を判定するため基準レベルと検査時に得られる光電信号との関係を1ライン内で相対的に変化させる検査感度補正手段を有することを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載のレンチキュラシートの欠陥検査装置。
【請求項11】
線状に延びた複数のレンチキュラレンズが幅方向に配列されたレンチキュラシートの欠陥検査方法において、
特定方向に偏光された照明光を、レンチキュラシートの幅方向と平行な線状にしてレンチキュラシートに照射し、
照明光の照射方向に対して所定の角度で傾けられた方向から、照明光の偏光方向と直交する偏光方向の検光子を通してレンチキュラシートの照明光の照射領域を臨み、レンチキュラシートからの拡散透過光のうちの検光子を透過した光の光量に基づいてシートの欠陥の有無を判定することを特徴とするレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項12】
検光子を透過する拡散透過光の光量が最も小さくなるようにレンチキュラレンズに対する照明光の偏光方向が決められていることを特徴とする請求項11記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項13】
前記レンチキュラシートに対する偏光方向は、レンチキュラレンズの長手方向に対して、10°〜45°の範囲内であることを特徴とする請求項12記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項14】
前記レンチキュラシートに対する偏光方向は、レンチキュラレンズの長手方向に対して、20°〜40°の範囲内であることを特徴とする請求項13記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項15】
照明光の照射方向に対して前記所定の角度で傾けられて配した撮影手段によって照明光の照射領域を撮影し、
前記撮影手段から出力される光電信号に基づいて欠陥の有無を判定することを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1項に記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項16】
レンチキュラシートの幅方向に離して配され、それぞれが照射領域を撮影する第1及び第2の撮影装置を前記撮影手段として用いることを特徴とする請求項15記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項17】
第1及び第2の撮影装置のうちの少なくともいずれか一方からの光電信号に欠陥を示す信号成分が含まれるときに欠陥有りと判定することを特徴とする請求項16記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項18】
第1及び第2の撮影装置の各撮影光軸のなす開き角度が5°〜15°の範囲内であることを特徴とする請求項16または17記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項19】
所定のしきい値に対する光電信号の高低により、欠陥の有無を判定することを特徴とする請求項15ないし18のいずれか1項に記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。
【請求項20】
照明光の偏光方向と前記検光子の偏光方向とのクロスニコル状態を一時的に解除している間に、正常なレンチキュラシートに対して照明光を照射し、撮影装置に入射する透過光量を一時的に上昇させた状態で1ライン分の光電信号を得て基準波形とし、この基準波形に基づいて欠陥の有無を判定するため基準レベルと検査時に得られる光電信号との関係を1ライン内で相対的に変化させて1ラインにおける検査感度を補正することを特徴とする請求項15ないし19のいずれか1項に記載のレンチキュラシートの欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−163533(P2012−163533A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26238(P2011−26238)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】