説明

レーザスペックル画像化システム及び方法

【課題】レーザスペックル画像化システム及び方法。
【解決手段】組織内の灌流を計測するための装置及び方法を提供する。本方法は、レーザ光下の組織の画像を記録し、組織の複数の画像から複数のコントラスト画像を計算し、複数のコントラスト画像から散乱光のパワースペクトルを決定し、パワースペクトルから灌流を決定するステップを含む。本装置は、デジタルビデオカメラと、レーザ光源と、カメラを種々の露光時間で複数の画像を生成するように動作させ、複数の画像をカメラから受け取り、画像を処理してパワースペクトルを決定し、パワースペクトルから灌流を決定するように構成されたプロセッサとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表層下解剖学的構造体を含む脈管内の微粒子及び生体組織内の生体分子の光学的画像化の方法及びシステムに関し、より具体的には、被検者及び患者体内の皮膚組織のような組織内の、拍動血液灌流を含んだ脈管内の微粒子及び実時間の血液流量を計測し定量化ためのレーザ光の使用を含むレーザスペックル画像化システム及び方法に関する。また、このような方法/システムの産業的用途並びに医療診断及び治療における種々の用途を提供する。
【背景技術】
【0002】
以下の記述は、本発明を理解する上で有用であり得る情報を含む。これは、本明細書で与えられる如何なる情報も、ここで説明若しくは請求される本発明に対して、従来技術であるか又は関連することを承認するものではなく、或いは、具体的に又は暗黙のうちに引用されるいずれの刊行物又はドキュメントも従来技術であることを承認するものではない。
【0003】
特に気体中の移動粒子の速度を計測するのにレーザ光を使用することは、ほとんどレーザ光の発明にまで遡る。移動粒子から検知器に向って後方散乱される光は、光源と検知器の間の位相経路の変化測度に等しいドップラーシフトを起す。例えば、微小検出器開口を用いて調べると、静止した皮膚から散乱されるレーザ光は、身体の皮膚層内の移動血液粒子の存在によるドップラーシフトを起すことが示されている。光の大部分は組織内の基本的に静止した散乱体から戻るが、一部分は、静止した散乱体が関与する多重散乱プロセスと、皮膚表面の1−2mm以内のループ状毛細血管の網状組織内を流れる1つ又はそれ以上の血液粒子による散乱とによって戻る。
【0004】
多重散乱体は、その計測値を生理学的に有用な仕方で定量化するのに必要な分析を複雑にする。しかしBonnerとNossall(非特許文献1)により、ドップラー信号のパワースペクトルの1次モーメントにより組織灌流が与えられ、この組織灌流は流速と移動散乱体の数の積として表せることが発見された。
【0005】
レーザドップラー画像化は、血流変化を評価するのに用いられる最新の光学技術である。装置の出力は2次元(2D)の流れに(灌流、速度、濃度)関連した、50×50cm2までの領域にわたるマップである。この技術は、物理的接触は何も必要としないので非侵襲的である。しかし、現在の市販のレーザドップラー画像化装置は医療用途により課せられる全ての要件を完全には満たさない。それらの動作は遅く、使用するのに特別な技能が必要であり、得られた結果の解釈は必ずしも客観的ではない。ドップラー法の別の問題は、灌流が一度に一か所でしか計測できないことである。ある領域にわたる灌流のマッピングは時間がかかり、急速な灌流変化を考慮に入れることができない。被検体内、例えば被検者の皮膚内の灌流又は血流の評価に関するドップラー画像化の別の問題は、被検体、例えば評価中の皮膚又は身体部分は静止している必要があることである。従って、市販のレーザドップラー画像化装置及び技術それ自体は主として医学研究プロジェクトに使用され、医療分野でのレーザドップラー画像化の多大な可能性にもかかわらず、臨床医療にはあまり用いられていない。現在のところ、血流のインビボのモニタリングのための2つの主要な光学技術は、レーザドップラー流量測定法及びレーザスペックル・コントラスト画像化法である。
【0006】
スペックルパターンは、一組の波面の相互干渉により生成されるランダムな強度パターンである。表面を光波で照射するとき、回折理論によれば、照射表面の各点は2次球面波の光源としてふるまう。散乱光場内の任意の点における光は、照射表面上の各点から散乱された波から構成される。表面が十分に粗く、一波長を超える光路差をもたらして2πより大きな位相差を引き起こす場合、合成された光の振幅従って強度はランダムに変化する。低コヒーレンスの(即ち、多くの波長で構成される)光を用いる場合には、スペックルは普通観測されないが、その理由は個々の波長によって生成されるスペックルパターンが異なる寸法を有し普通は互いに平均化されるからである。この現象は長年科学者により研究されてきたが、スペックルはレーザの発明以来注目され又様々な用途がある。よく知られている例は、レーザビームが粗表面で散乱されるとき生成されるランダムパターンである。スペックル効果は種々異なる位相を有する多くの波の干渉の結果であり、これらの波は互いに加わり合って振幅従って強度がランダムに変化する合成波を与える。各波をベクトルでモデル化すれば、ランダムな角度を有する多数のベクトルを加え合わせると、合成ベクトルの長さはゼロから個々のベクトルの長さの和までの任意の長さになり得ることが理解できる。
【0007】
レーザスペックルパターンは、試験物体をコヒーレント光で照射することにより生成される。スペックルは、微視的な表面粗さのためにランダムに異なる光路間の干渉により生成されるきめの粗い外観であり遠視野スペックル又は画像スペックルとなり得る。遠視野スペックルは、表面上に照射されるレーザスポットからある距離における照明のスペックル性を表し、画像スペックルは、カメラ又は人の目のようなある光学システムで画像化されるような、拡大レーザビームで照射される物体のスペックル外観を表す。レーザスペックル・コントラスト画像化法には画像スペックル効果が利用され、その場合均一表面の画像内の画素が白黒の分布強度を示す。試験物体が移動すると、スペックルパターンは移動又は変化し、任意の特定の点において計測強度は物体の移動に伴って揺らぐ。
【0008】
灌流評価のシステムでは、レーザスペックルを用いて相対運動の全視野画像が生成される。標的が生きている皮膚である場合に移動する血液粒子で散乱される光のために、ある点で見られるドップラーシフトに相当して、レーザスペックルパターンが間隙で「きらめく」。きらめきの速度が大きいほど、有限の時間にわたって記録される画像においてスペックルはより不鮮明になる。このきらめきは「バイオスペックル」と呼ばれることもあり、また不鮮明化は通常コントラストパラメータKで定量化され、ここでKは、光強度の標準偏差の平均強度に対する比、即ち、
【数1】

であり、式中、下付きsは空間変化を意味する。
【0009】
皮膚などの生きている生物組織のスペックル画像は、生きていない静止物体により生成される静的スペックルパターンとは対照的に、急速に変化するスペックルパターンを示す。このバイオスペックル効果は、組織のような固定した散乱体に対して血流中の赤血球のような移動する細胞からの散乱による。この揺らぎのスペクトルは移動粒子の個数及び速度によって決定される。
【0010】
揺らぎの速度は、ある適当な有限の露光時間において計測されたスペックル画像の小領域にわたるコントラストを計算することによって間接的に計測することができる。画像内のある特定の点における揺らぎの周期が露光時間に比べて十分に短い場合には、スペックルの揺らぎは不鮮明化されることになる。画像の低コントラスト領域は、高い揺らぎ速度、従って高速の細胞移動を示す。この現象はさまざまな類似のレーザスペックル画像化システムを製造するのに利用されている。これらのシステムは、組織内の血流細胞の速度と濃度の積に比例する血流の尺度である相対的組織灌流にたいして感度が高い。しかし、レーザスペックル技術の課題は、スペックル統計から灌流の定量的計測値を決定することである。スペックルコントラストの実時間での可視化に関連する機会にも拘らず、これまで実時間の定量分析は行われていない。
【0011】
以上のように、灌流、即ち組織内の血流は、レーザドップラー技術又はレーザスペックル・コントラスト画像化法により計測することができる。レーザドップラー及びレーザスペックル法は、本質的には同じ物理現象を計測するものであるが、異なる計測技術及び解釈を利用する。ドップラー法は組織の小領域から戻る光の揺らぎのパワースペクトルの1次モーメントから灌流を計測する(非特許文献2)ものであり、この1次モーメントは、計算及びインビトロ実験(非特許文献1)並びにモデル化(非特許文献3)によって血流に直線的に相関することが示されている。当初これは、レーザ光で照射した組織の小体積から戻るスペクトルを計測するプローブを用いた単一点計測であったが、計測点を走査することにより組織の一領域の画像を生成することができる。一方、レーザスペックル灌流計測法は、有限露光時間においてカメラで記録した揺らぎのレーザスペックルパターン(バイオスペックル)の空間的統計を用いて相対的灌流のマップを生成するものである。レーザスペックル灌流は本質的に領域計測であり、走査によって生成されるレーザドップラー画像と比べると、各露光毎に画像が生成される。上で注意したように、現在のレーザスペックル技術の課題は、スペックル統計から灌流の定量的計測値を決定することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Bonner and Nossal, “Model for laser Doppler measurements of blood flow in tissue” Applied Optics 20: 2097-2107 (1981).
【非特許文献2】Briers, J. D., “Laser Doppler, speckle and related techniques for blood perfusion mapping and imaging” Physiological Measurement 22: R35-R66 (2001).
【非特許文献3】Jentink, et al., “Monte Carlo simulations of laser Doppler blood flow measurements in tissue” Applied Optics 29: 2371-2381 (1990).
【非特許文献4】Goodman, J.W., “Statistical Optics”Wiley, New York (1985).
【非特許文献5】Stern, M. D., Nature 254, 56-58 (1975).
【非特許文献6】Forrester, et al.,“A Laser Speckle Imaging Technique for Measuring Tissue Perfusion” IEEE Transactions on Biomedical Engineering 51, 2074-2084 (2004).
【非特許文献7】Seemantini, K.他、“Characterization of Atherosclerotic Plaques by Laser Speckle Imaging”Circulation 112, 885-892 (2005).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、レーザドップラー及びレーザスペックル画像化は、生物組織内の血流の2次元マップを取得するのに用いられる2つの光学的非侵襲技術であり、またこれら既存技術の各々は血流を計測するのに利点と欠点を有することが理解されるであろう。レーザスペックル・コントラスト画像化は実時間の画像化技術とみなすことができるが、速度及び濃度のような流れパラメータの変化に対する応答の解釈には問題がある。対照的に、レーザドップラー画像化はより明確な生物学的解釈を有するが、実時間技術ではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態において、新規のレーザスペックル画像化システムは、多数の露光時間にわたりスペックルコントラスト計測値を取得し、スペックルコントラスト計測値から導出される時間的自己相関情報を用いて、レーザドップラー法で生成されるのと正確に等価なスペクトル情報及び灌流指数を与える。
【0015】
別の実施形態において、数値的に構成された自己相関データは、調整可能パラメータτcを有する数学的関数で近似される。スペックルコントラスト情報が複数の画像の各々から決定され、それらから複数のコントラスト画像が形成される。複数のコントラスト画像から、組織スペックルを表す時間的自己相関関数の1つ又はそれ以上のパラメータが導出される。媒質中を流れる流体の灌流値は1つ又はそれ以上のパラメータから決定される。
【0016】
本明細書で説明され請求される本発明の種々の実施形態は、レーザスペックル画像化の欠点を克服し、静止単一点で取得されたレーザドップラー画像と等価の、走査領域にわたる実時間の微粒子流及び速度画像を与える。
【0017】
概要
本明細書で説明及び/又は請求される本発明は、この概要において説明され、又は記述され、又は参照されるものを含むがそれらに限定されない多くの特性及び実施形態を有する。これは包括的であることを意図したものではなく、本明細書で説明及び/又は請求される本発明は、この概要で特定される特徴又は実施形態に限定されず又はそれらにより限定されず、この概要は限定のためではなく説明のためだけに含めたものである。
【0018】
本発明の目的は、脈管内の微粒子流及び速度を計測する改善された又は代替的な方法を提供することである。本発明は、例えば、皮膚を含む被検者の組織内の灌流又は血流を計測するのに用いることができる。
【0019】
一態様において、本発明の実施形態は、短い時間フレーム上で、種々の露光時間でレーザ光下の皮膚の複数の画像を記録し、複数の画像から散乱光のパワースペクトルを決定し、パワースペクトルから灌流を決定するステップを含む皮膚内の灌流又は血流を計測する方法を含む。
【0020】
一実施形態において露光時間は0.1ミリ秒(ms)と100msの間で変化する。好ましい実施形態においては、照射時間は1msと50msの間で変化する。
【0021】
好ましい一実施形態においては、露光の時間フレームは2秒未満である。別のより好ましい実施形態においては、露光の時間フレームは0.5秒未満である。
一実施形態において、レーザは熱電冷却型、50mW、658ナノメートル単一モードの、World Star Technologiesからのダイオードレーザである。
【0022】
一実施形態においてパワースペクトルは、関心ある点において露光時間でスペックル化された画像の空間的コントラストの変化から時間的自己相関関数を生成し、この時間的自己相関関数をそのパワースペクトルに変換することにより決定される。一実施形態において自己相関関数はウィーナー・キンチンの定理(Wiener Kintchine theorem)を用いてパワースペクトルに変換される。
【0023】
別の実施形態において、パワースペクトルから加重モーメントが計算される。パワースペクトルの1次モーメントは灌流に比例する尺度である。
【0024】
別の態様において、本発明の一実施形態は、デジタルビデオカメラ(例えば、白黒カメラ又は白黒モードで動作するカラーカメラとすることができる)、レーザ光源、及びプロセッサを備えた灌流を計測するための装置を含み、ここでプロセッサは、カメラに種々の露光時間で複数の画像を生成するように動作させ、カメラから複数の画像を受け取り、画像を処理して各点又は選択された点における画像から散乱光のパワースペクトルを決定し、パワースペクトルからその1次モーメントを計算することによって灌流を決定するように構成される。他の実施形態においてはカラーカメラを用いることができるが、スペックルコントラストの計算には信号のクロミナンス成分を用いない。
【0025】
好ましい一実施形態において、レーザは、スペックル内の最大コントラスト及び静止物体画像の一貫したコントラストを保証するように単一モードで動作させる。
【0026】
好ましい一実施形態において、コンピュータ又は他のプログラム装置がカメラの増幅率及び露光時間を制御し、データを受け取り処理して所望の出力を供給する。
【0027】
好ましい一実施形態において、カメラ及びレーザ光源は安定に取り付けて(例えば三脚又はスタンドに)振動運動を排除する。隋意に、カメラに画像安定化機能を与えてカメラの振動を補償することができる。さらに、画像化される被検体は安定化又は支持して被検体の動きを排除することができる。
【0028】
更に別の態様は、複数の異なる露光時間におけるスペックル画像を収集し、露光時間依存のコントラスト計測値から流れ情報を抽出するように装置を制御するための、コンピュータプログラム論理を記録したコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品に関する。かかるコンピュータプログラム論理は、カメラからデータを受け取り、複数の領域の各々から一組の時間的自己共分散データを決定するステップを含む一連の動作を実行するように構成されたコンピュータプログラムコード論理を含むことが好ましい。
【0029】
好ましい一実施形態において、関心のある各領域に対してスペックルコントラストKを露出時間値の各々について計算する。次いで露光時間TとK2の積を形成する。統計理論によれば、この量の露光時間Tに対する勾配がスペックル強度の時間的自己相関関数になる。次に、自己相関関数のフーリエ変換によりパワースペクトルを計算し、このスペクトルの1次モーメントから灌流を計算する。

Stepwise, following capture of a set of frames.
For each area of interest:
//calculate TK2 values
For i from 0 to number of exposures-1 do
Begin
Calculate K and TK2;
Record TK2;
End;
//calculate slopes
For i from 1 to number of exposures-1 do
Begin
Calculate slope between adjacent TK2 values;
End;
//calculate power spectrum
Calculate FFT of slope record;
//calculate perfusion index
Take first moment of absolute FFT results;
【0030】
別の好ましい実施形態が、自己相関関数は、単一時定数τcで表され、単一積分を有する解析関数によって近似できるという発見から生ずる。この積分を計測されたデータセットTK2にフィッティングしてτcを導出し、このτcが自己相関関数を定める。揺らぎのパワースペクトルはこの自己相関関数のFTにより取得すことができるが、灌流を表す1次モーメントは、予め計算された参照テーブル又は補間関数から導出すことができる。

Stepwise, following capture of a set of frames.
For each area of interest:
//calculate TK2 values
For i from 0 to number of exposures-1 do
Begin
Calculate K and TK2;
Record TK2;
End;
//find ・c representing the autocorrelation function.
Least squares fit autocorrelation function integral to TK2 values;
Compute best-fit ・c;
Compute power spectrum from autocorrelation function;
Extract perfusion value from look up table or interpolation routine;
【0031】
さらに他の態様において、本発明の実施形態は、被検者及び/又は彼らの状態を診断するのに用いる臨床用途を有する。一実施例として、本発明の幾つかの実施形態におけるレーザスペックル画像化装置及び方法は、皮質血管血流、脳血流、眼血流、網膜血流、血液灌流、及び皮膚など他の組織内の血流を含んだ血液灌流及び血流の計測に用いることができる。
【0032】
本発明の種々の実施形態はまた、血行動態及び/又は灌流パラメータの診断又はモニタリングにより患者の血管健康状態を診断する方法及び装置を提供する。本発明の実施形態によるレーザスペックル画像化装置及び方法は、例えば、急性又は慢性傷を含む傷、及び傷の状態を診断するのに用いることができる。それらはまた、糖尿病及び糖尿病状態の診断、並びに心臓血管及び脳血管疾患の診断に用いることができる。
【0033】
従って、別の態様において本発明の一実施形態は、モジュール式機能的脈管状態診断装置を提供し、この装置は、レーザ及びスペックル画像を取得し保存するのに適した画像キャプチャ機器を制御してそれと電気通信するCPUを備え、このCPUは、スペックル画像を処理して時間的自己相関関数を見出し、スペックル画像から散乱光のパワースペクトルを計算して灌流指数を取得することができる。
【0034】
一実施形態において、本装置内の画像キャプチャ機器は、100ミリ秒未満の種々の露光時間にわたって複数の画像を取り込むように制御することができる。別の実施形態において本装置はスペックル画像を観察するためのモニタを更に備える。
【0035】
更に別の実施形態において、本装置のCPUは脈管状態診断を実行するようにプログラムされる。脈管状態診断は、血行動態診断(血流を含む)、灌流指数及び/又は灌流マップ診断とすることができる。
【0036】
更に別の実施形態において、このCPUは、正常血行動態データ及び/又は正常灌流データの1つ又はそれ以上の組を備えることができ、正常血行動態データ及び/又は正常灌流データを取得された血行動態及び/又は灌流指数と比較するようにプログラムすることができる。
【0037】
他の実施形態において、本装置のCPUは、脈波形分析を実行し、及び/又は流速、脈波伝播速度、及び対側脈管応答を決定するようにプログラムする。
【0038】
別の態様において本発明の一実施形態は、上記及び本明細書の他箇所で説明する装置を用いて個人に対して実行される1つ又はそれ以上の脈管機能診断による結果を受け取り、機能診断の結果を当該個人に対応する計算データセット内に配置し、複数の疫学的リスク因子の各々に関する状態を受け取り、各疫学的リスク因子の状態を当該個人に対応する計算データセット内に配置し、当該個人に対応するデータセットから当該個人に関する機能的及び疫学的な組合せの相対的リスクを計算するステップを含んだ、心臓血管リスクを診断するための、コンピュータ実施の方法を提供する。この方法の特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の脈管機能診断は、灌流指数、灌流マップ、脈波形分析、脈管流速、脈管脈波伝播速度、及び対側脈管応答のうちの1つ又はそれ以上とすることができる。
【0039】
別の実施形態において、コンピュータ実施の方法は、当該個人に関する1つ又はそれ以上の構造的診断による結果を受け取り、1つ又はそれ以上の構造的診断の結果を当該個人に対応する計算データセット内に配置し、当該個人に対応するデータセットから、当該個人に関する、機能的、疫学的、及び構造的な組合せの相対的リスクを計算するステップを更に含む。構造的診断は、脈管内膜厚の増加、アテローム班形成及び少なくとも1つの血管床内でのカルシウム沈着のうちの1つ又はそれ以上を含む病理学的変化の決定を含む。
【0040】
別の実施形態において、コンピュータ実施の方法は、当該個人に関する血液酸素化又は血糖症の状態についての1つ又はそれ以上の血液学的検査による結果を受け取り、1つ又はそれ以上の血液学的検査の結果を当該個人に対応する計算データセット内に配置し、当該個人に対応するデータセットから、機能的、疫学的、及び血液学的な組合せの相対的リスクを計算するステップを更に含む。
【0041】
別の態様において本発明の一実施形態は、個人に関する神経血管状態を決定するためのコンピュータ実施の方法を提供し、この方法は上記及び本明細書の他箇所で説明する装置を用いて個人の試験部位における局部血流を診断するように個人に対して実行された1つ又はそれ以上の診断の結果を受け取り、試験部位における血流応答に基づく当該個人に関する神経血管の診断を確立するステップを含む。
【0042】
別の態様において本発明の一実施形態は、糖尿病の個人に関する微小循環状態を決定するためのコンピュータ実施の方法を提供し、この方法は上記及び本明細書の他箇所で説明する装置を用いて当該個人の試験部位における局部血流を診断し、試験部位における血流灌流に基づく当該個人に関する微小循環の診断を確立するステップを含む。
【0043】
別の態様において本発明の一実施形態は、塗料、エポキシ及び樹脂のような半透明材料内の凝固及び架橋プロセスの進行を、上述の装置を用いて散乱粒子のブラウン運動の減衰を計測することによりモニタリングするためのコンピュータ実施の方法を提供する。
【0044】
本発明のこれら及び他の態様は、この概要中の情報に限定されずまたそれらによって限定されないものであり、以下に与える。本発明の他の更に別の態様、特徴及び利点は、本発明の以下の説明、及び開示のために与えられた現在好ましい実施形態から明白となる。
【0045】
上に列挙した、並びに以下で明白となる、本発明の特定の実施形態の特徴、利点及び目的は、上で略述した本発明の幾つかの実施形態に関するより具体的な説明とともに、添付の図面を参照しながら更に良く理解することができる。これらの図面は本明細書の一部分を構成する。しかし、添付の図面は本発明の好ましい実施形態を示すものであり、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではないことに留意されたい。従って、本発明は実施例としてのみ、そして本発明を限定することを意図せずに、添付の図面を参照しながらさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】灌流計測システムの一実施例を示す。
【図2】本発明の実施形態において有用なコンピュータシステムの一実施例を示す。
【図3】媒質中の流体の灌流を決定する方法の一実施例のフロー図である。
【図4】コントラスト対露光時間のグラフ表示である。
【図5】バイオスペックルの時間的自己共分散のグラフ表示を与える。
【図6】バイオスペックル内の光電流のパワースペクトル密度S(f)を示す。
【図7】TK2対露光時間の形でプロットしたデータを示す。
【図8】紙で覆った輪がディフューザの下で回転する3重散乱スペックル実験を示す。
【図9】3重散乱スペックル実験による結果を示す。
【図10】画像スペックルの2つのフレーム間の共分散を示す。左側(LHS)はディフューザがない場合、右側(RHS)は軽くサンドブラストで仕上げられたプラスチックディフューザがある場合示す(標的はフレーム間で0.5mm移動され、X及びYはピクセル単位であり、共分散Cは任意の単位である)。
【図11】組織模型ゲルで満たされるべきペトリ皿内の流管から成る深さ効果試験モデルを示す。
【図12】深さ効果試験モデルによる典型的な画像を示し、左側は未処理の画像、右側はスペックルコントラスト画像である。
【図13】深さ効果試験結果の一例のグラフによる説明である。
【図14】多重散乱による不鮮明化の広がりのグラフによる説明である。
【図15】単一流管のコントラスト低下効果を半対数目盛で示す。
【図16】前腕上の穿通枝静脈を示す、コントラスト低下効果の拍動成分を示す。
【図17】温水誘起の血管拡張の後に計測されたK/T曲線の時系列からの例示的曲線のグラフである。
【図18】温水誘起の血管拡張の後の手背部における灌流指数及びスペックルコントラストの変化を示す。
【図19】脈拍を示す、コントラストの時系列計測を示す。
【図20】例示的なスペックルコントラスト・ビューアソフトウェアのスクリーンショットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
末梢血流の異常な変化は人体内の様々な健康障害の優れた指標となることが知られている。現在、血流速度の計測は、例えば糖尿病、血管狭窄症及び血栓症により代表される循環系内の疾患部分を検出又は診断するための、或いは治療薬及び薬剤の投与の結果起る生体反応を研究するための、将来性のある診断法となっている。
【0048】
本発明者は、レーザ光が貫入可能な血管内の微粒子の運動を実時間で画像化するのに使用できる改良されたレーザスペックル画像化システムを開発した。例えば、50の露光時間にわたるスペックルコントラスト計測値を用いて、本発明者は、時間的自己相関関数、並びに、ドップラー法により生成されるのと正確に等価なスペクトル情報及び灌流指数をスペックル計測値から導出できることを示した。
【0049】
本発明者はまた、自己相関データが特性時間τcをパラメータとする簡単な非指数関数で良く近似されることを発見した。灌流指数は、適切な露光時間における少数のスペックル計測値からτcを決定することにより見出すことができる。これは、誘起された灌流変化の後の灌流回復の計測による実施例において示す。本発明の実施形態のレーザスペックル画像化システムの使用法には、血流及び血液灌流計測並びに、特に、組織又は身体部分の画像化が含まれる。
【0050】
本発明の幾つかの実施形態において有用な装置は、レーザ光源、画像キャプチャ装置、データ記憶及び/又は操作のための装置、及びディスプレイを有し、図面を参照して説明することができる。一実施例において、658ナノメートル・レーザを光源として用いる。この光は組織に貫入し、例えば赤血球により良く散乱される。他の実施形態においては、種々異なるレーザ波長を用いて組織の検査体積を制御することができる。1つのレーザスペックル画像化システムを図1に示す。検査される物体はコヒーレント光により拡大レーザビームを用いて照射される。照射領域の画像はデジタルビデオカメラを用いて取り込まれ、コンピュータ又は他のプラグラム装置を用いて分析される。
【0051】
次に、媒質中を灌流する流体の灌流計測値を取得するための改良システム及び方法を説明する。図1は、灌流計測システム100の一実施例を示す。図1に示すように灌流計測システム100は、デジタルビデオカメラ102、照射用レーザ光源104、及びコンピュータ200を含む。
【0052】
カメラ102は電荷結合素子(「CCD」)カメラとすることができる。そのようなカメラの例には、それに限定されないが、ソニーエレクトロニクス社製のXCD−SX910がある。カメラ102は、コンピュータ200により制御できる可変電子増幅率及び露光時間を有することができる。幾つかの実施形態においてカメラ102は、1200×960画素の解像度を有することができ、10μsから17.5秒まで可変の露光時間を有することができる。カメラ102は白黒モードで動作するように構成することができる。幾つかの実施形態においてカメラ102は、レンズ及びフィルタを有するように構成することができる。そのようなレンズの一例は、それに限定されないが、75mmの焦点距離を有するレンズである。さらに、カメラの可変増幅率調整により、センサを飽和させずに固定口径において種々異なる露光時間長の画像の収集が可能になる。
【0053】
レーザ光源104は典型的には50mW出力のレーザとすることができ、媒質の大きな領域を照射するのに十分な光学出力を有するか又は短い露光時間で画像を取得するときに十分な光を得るフレキシビリティを与えるように可変出力のものであることが好ましい。モードホッピングを防止するために熱的に安定化された単一モードレーザを実現することができる。そのようなレーザの一例は、World Star Technologiesから入手可能なTECRLシリーズの、658nmにおいて50mWの出力を有するレーザである。一実施形態においてレーザ光源104は、赤色スペクトル内の波長、例えば約635nmから約690nmまでの波長を有するレーザ光を供給するが、他の波長を用いることもできる。
【0054】
一実施形態においてレーザ光源104及びカメラ102は、安定に取り付けて取得画像の振動による不鮮明化を除去することができる。レーザ光源104及びカメラ102は、患者の皮膚とすることができる媒質108の表面のある領域にカメラの焦点を合わせ、光源104からの入射光が媒質108の表面に接触するように取り付けることができる。
【0055】
上記のシステムは、媒質108を通して灌流する流体、例えば皮膚の毛細血管を通して流れる血液を、媒質表面上のレーザ光の複数の画像を取得することによって測定するのに用いることができる。露光時間の範囲の一例は、それに限定されないが、0.001msから1秒までである。0.1ms乃至100msの露光時間、より好ましくは1ms乃至20msの露光時間を用いて画像を取得することが好ましい。種々の露光時間は、媒質中のある点における流体の灌流による各画像のその点における種々のスペックルコントラストを生成する。
【0056】
画像スペックルにおけるスペックルサイズは次式で見積られる。

式中、Sはスペックルサイズであり、Mは画像化の倍率であり、λはレーザの波長であり、Fは画像化レンズのFストップナンバーである。一実施形態においてスペックル画像は、カメラの画素サイズと同程度又はそれより大きい一定のスペックルサイズを維持するように選択された固定レンズ口径で取得される。これは静止物体に対して高スペックルコントラストを保証する。画像がカメラ102の全ダイナミックレンジを使用することを確実にように可変露光による露光が望ましい場合には、カメラの増幅率は露光時間によって変化させることができる。幾つかの実施形態において、カメラ102の増幅率の変化は、レンズの前に種々の減衰フィルタを配置することで置き換える、或いは増大することができる。代替的に、レーザ光源104の出力を、例えばその内蔵回路により又は電気光学モジュレータ(Electro-Optic Modulator、EOM)(例えば、米国ニュージャージー州、ニュートン所在のThor Labs の製品)によって、露光時間が変化する際に調節することができる。
【0057】
より広い露光変化は、短い露光時間を有するカメラ102のダイナミックレンジの一部分を用いて達成することができる。これは、より弱い露光が適切にエンコードされることを確実にするように、より多くのグレースケール・ビットを有するカメラを使用することで達成される。
【0058】
使用に際して、装置は通常コンピュータ又はプログラム化メモリと結合される。幾つかの実施形態において、コンピュータは、スペックル計測の結果を受け取り、格納し、分析し、そして出力するように用いられる。幾つかの実施形態においてコンピュータはまた、レーザ及び/又はカメラの動作を、計測値を取得するように制御する。
【0059】
コンピュータ200は、中央処理ユニット(CPU)を有する任意の型のコンピュータ、例えばパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はメインフレームコンピュータなどとすることができる。さらにコンピュータ200は、それらに限定されないが、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)、Linux、Mac OS X、FreeBSD(登録商標)などを含んだ任意の型のオペレーティングシステムを実行するように構成することができる。コンピュータ200は、カメラ102及びレーザ104を接続することができる様々な周辺ポート、例えば、PS/2ポート、RS232又はシリアルポート、USBポート、IEEE1284又はパラレルポート、周辺コンポーネント相互接続(PCI)スロット、及びIEEE1394ポートのうちの1つ又はそれ以上を有するように構成することができる。
【0060】
図2に示すように、コンピュータ200は、1つ又はそれ以上のプロセッサ202を含むことができ、これらプロセッサは通信インフラストラクチャ206(例えば、通信バス、クロスオーバ・バー、又はネットワーク)に接続することができる。コンピュータ200は、ランダムアクセスメモリ(RAM)のような主メモリ204を含むことができ、さらに2次メモリ208を含むことができる。2次メモリ208は、例えば、ハードディスクドライブ210及び/又は取外し可能記憶ドライブ212を含むことができ、ここで後者はフロッピディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブなどを表す。取外し可能記憶ドライブ212は、取外し可能記憶ユニット216から読み出すこと及び/又はそれに書き込むことができる。取外し可能記憶ユニット216は、取外し可能記憶ドライブ212により書き込み及び読み出しを行うことができる、ソリッドステートドライブ、外付けハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスク、ZIP(登録商標)ドライブなどとすることができる。取外し可能記憶ユニット212は、コンピュータソフトウェア及び/又はデータを内部に格納したコンピュータ使用可能記憶媒体を含むことができる。
【0061】
幾つかの実施形態において、2次メモリ208は、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータ200にロードすることを可能にする他の類似のデバイスを含むことができる。かかるデバイスは、例えば取外し可能記憶ユニット218及びインタフェース218を含むことができる。そのようなデバイス及びソケットの例には、それに限定されないが、USBフラッシュドライブ及び関連ソケットが含まれる。ソフトウェア及びデータを取外し可能記憶ユニット218からコンピュータ200に転送することを可能にする他の取外し可能記憶ユニット218及びインタフェース214を用いることもできる。
【0062】
代替的な実施形態において、2次メモリ208は、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータ200にロードすることを可能にする他の類似の手段を含むことができる。かかる手段は、例えば取外し可能記憶ユニット216及びインタフェース214を含むことができる。その例には、プログラムカートリッジ及びカートリッジインタフェース(ビデオゲーム装置内に見出されるような)、取外し可能メモリチップ(EPROM又はPROMのような)及び関連ソケット、並びに、ソフトウェア及びデータを取外し記憶ユニットからコンピュータシステム200に転送することを可能にする他の取外し可能記憶ユニット218を挙げることができる。
【0063】
コンピュータ200はまた、データをコンピュータ200と例えばカメラ102及びレーザ104のような外部装置との間で転送するための通信インタフェース220を含むことができる。通信インタフェースの例には、モデム、ネットワークインタフェース(イーサネット(登録商標)カードなど)、通信ポート、PCメモリカード国際協会(PCMCIA)のスロット及びカードなどを挙げることができる。通信インタフェース220を介して転送されるソフトウェア及びデータは、通信インタフェース220により受信することができる電子的、電磁気的、光学的、及び他の信号とすることができる信号形態である。これらの信号は通信パス又はチャネルを介して通信インタフェースに供給される。信号を搬送するパス又はチャネルは、ワイア又はケーブル、光ファイバ、電話線、セルラー式リンク、無線周波数(RF)リンク及び他の通信チャネルを用いて実現することができる。
【0064】
本明細書において、用語「コンピュータプログラム媒体」及び「コンピュータ使用可能媒体」は、取外し可能記憶装置216のような機械可読記憶媒体を一般的に指すのに用いる。これらのコンピュータプログラム製品は、ソフトウェア又はプログラム命令をコンピュータシステム200に供給するための手段である。媒体216内に格納されたコンピュータプログラムコードがプロセッサ202により実行されるとき、プロセッサは、本明細書で説明した灌流及び他の診断及び計測の方法を実行する。従って、コンピュータプログラムコードを実行するプロセッサは、灌流計測及び他の動作を実行するための専用プロセッサとして機能する。
【0065】
別の実施形態において、それらの要素は、例えば、プログラム化アレイ論理(PAL)、特殊用途向け専用回路(ASIC)又は他のハードウェアコンポーネントのようなハードウェアコンポーネントを用いて、主としてハードウェアで実施される。本明細書で説明する機能を実行するためのハードウェア状態機械の実施は当業者には明白であろう。更に別の実施形態において、要素は、特殊用途向け専用ハードウェア及びソフトウェアを実行するように構成されたコンピュータプロセッサ機器の両方の組合せを用いて実施することができる。
【0066】
データ取得は、最大使用範囲を包含する種々の露光時間における一連のフレームを初期化し、各フレームに対するスペックルコントラストを普通の方法で計算し、次いで、各画素又は選択された画素に対して露光時間によるコントラストの変化をまとめるステップを含む。これは、各画素における自己相関関数が見出されてパワースペクトル又は灌流指数のような流れパラメータに変換されることになる情報を含む3Dマトリックスを生成する。
【0067】
図3は、典型的には、50mW、658nm単一モードのダイオードレーザのようなレーザ104であるコヒーレント光源を用いた図1のレーザスペックル画像化システムにおいて露光時間を調節し、時間的自己相関関数を当てはめてスペクトル情報を生成し、用途に応じて必要ならば、灌流指数又はスペックル画像データのパワースペクトル密度の1次モーメントの指標を生成することにより脈管内の粒子流を評価するための、コンピュータプログラム論理を記録したコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品の概要を示すフローチャート図である。
【0068】
図3は媒質中の流体の灌流を決定する方法300の一実施例のフロー図である。
図3に示すように、カメラ102及びレーザ104はブロック302で初期化される。
ブロック304において、無生物標的の基準ビデオフレームがカメラ102によって取得され、レーザが生成するスペックルコントラストの最大値を較正するために分析される。基準コントラスト値は無生物の基準表面を用いて得ることができ、その理由はかかる表面のコントラスト値が露光時間には依存しないからである。幾つかの実施形態において、基準値は予め計測したシステムの光学特性から推測することができる。これらの特性は、口径及び/又は標的の範囲に対する変化の効果を含むことができる。
【0069】
ブロック310において、ビデオフレームが第1の露光nにより取得される。
ブロック312において、ビデオフレームが分析されてコントラスト画像が生成される。
ブロック314において、コントラスト画像がコントラストバッファに格納される。
決定ブロック316において、全露光範囲がカバーされたか否かを判断するためにチェックが行われる。
全露光範囲がカバーされていない場合には、カメラの露光、増幅率、及びレーザ出力がブロック318において調整される。
【0070】
ブロック320において、一組の露光の中の次の露光n+1が開始され、これはブロック310及び312における画像取得及び分析を繰り返すステップを含む。
ブロック316において全露光範囲がカバーされている場合には、ブロック322においてパワースペクトル及び灌流指数値が計算される。
次にブロック324において計算された値がメモリ204、208の中に格納される。
ブロック326において、ひとたび値が格納されると、新しい組の露光を開始することができる、
【0071】
本明細書で説明するように、ドップラー計測の定量的な利点を有すると同時にスペックルコントラスト画像化の実時間画像生成能力を維持し、さらに同時にレーザドップラー法の不利点を避けた、レーザスペックル画像化の方法及び装置を発明した。これは、種々の露光時間にわたる一連のスペックルコントラスト計測値を取得し分析する方法によって達成される。抽出されたパワースペクトルの1次モーメントを計測して、ドップラー法で計測されるのと同一の灌流指数を計算する。
【0072】
本発明の一実施形態において、スペックル画像化システムには、CCDカメラ及びレーザが用いられる。好ましい一実施形態において、4.7μm平方の画素を有するソニー製CCDカメラをWorld Star Technologies製の冷却型50mW、658nm単一モードのダイオードレーザと共に用いた。75mmカメラレンズに対するFストップは、カメラの画素サイズと類似の特性スペックルサイズを生成するように、近似式 S = 1.2(1+M)λFを用いて設定したが、ここでSはスペックルサイズであり、Mは画像化波長であり、λはレーザ波長であり、Fは画像化レンズの口径である。実施例1で説明するように、組織内の多重散乱が偏光解消効果を有してコントラストを低下させるので、随意に偏光フィルタを用いて高いコントラスト値を回復させる。スペックルコントラストKを5×5画素平方に対して計算して各スペックルコントラスト画像を生成することができ、平均コントラスト値は、随意に飽和露光領域又は露光不足領域を除外して、画像の大きな領域にわたって取ることができる。本明細書で説明するソフトウェアを用いて、カメラの電子的増幅率及び露光時間を制御し、コントラスト計算を行うことができ、種々の露光時間において計測値を迅速に取得することができる。
【0073】
上記のように、組織内の灌流を決定するために、問題の組織の一連の画像が様々な露光時間で取得される。露光時間は0.001msから1秒までの範囲、典型的には、0.1msから100msまでの程度、理想的には1msから20msまでの程度とすることができる。露光時間は各画像内の点において、その点における灌流によるさまざまなスペックルコントラストを生成する。画像内の関心ある点において、露光時間による空間的コントラストの変化を用いて、光の時間的自己相関関数が生成される。次にパワースペクトルを自己相関関数からウィーナー・キンチンの定理を用いて計算することができる。次いでパワースペクトルから1次モーメントが計算される。1次モーメントは、等価なドップラー値を用いて生成されるのと等価なデータを生成する。このデータは非特許文献1の方法を用いて灌流を決定するのに用いることができる。
【0074】
移動する散乱体が関与するスペックルパターンは動的であるので、パターンの写真又は画像は、平均化時間又は露光時間が増加するとともに次第に不鮮明になる。手背部上の組織の画像の平均スペックルコントラストを、0.02msから490msまでの種々の露光時間にわたって計測した(図4)。計測値は約0.65のコントラストに漸近的に近づく。運動により不鮮明化されない、完全に発現した偏光スペックルは1のコントラストを有する。用いた口径がスペックル内に存在する最高空間周波数を設定するが、単一画素上には効果的に平均化又は不鮮明化される強度変化が残る。これはコントラストを低下させる。静止した多重散乱物体において同じコントラスト(0.65)が計測されたが、このコントラストはカメラ口径を小さくすること、従って、バイオスペックル計測に利用可能な露光範囲を狭めるという犠牲のもとで画素に相対的なスペックルサイズを大きくすることにより、1に向って増加し得ることを確認した。Kの1ではない値は、図3のフロー図のブロック304で見出されるコントラストの基準値Kmaxを用いて補正することができる。
【0075】
「フリーズ時間」、即ち、生きている組織により生成されるスペックルパターンを完全にフリーズする露光時間は非常に短く、典型的には、例えば50μs以下である。実際的な露光時間は何れもバイオスペックルパターンをある程度不鮮明にすることになる。図4のS字様のデータは、組織のスペックル画像化において最大感度を達成する適切な露光時間は約3msであり、これは手書き曲線の変曲点である。
【0076】
スペックル統計がエルゴード的であると仮定すると、露光時間Tで計測された空間分散σs2は一点における時間的変動と次式により関連付けられる。
【数2】

式中、Ci(τ)は非特許文献4に記載されている単一スペックルの時間的自己共分散である。従って、次式が得られる。
【数3】

空間コントラストKは計測可能であり、平均強度で規格化された標準偏差である。
【数4】

自己共分散関数はスペックル計測値から導くことができる。
【数5】

この関数は平均強度の2乗、定数及び事実上任意の因子でスケール調整される。しかし、本出願においては規格化型を用いることができ、Tが0に近づき且つKがKmaxに近づくとき値1を有するようにスケール調整された自己相関Ri(T)は次式で与えられる。
【数6】

【0077】
図5の離散的なデータは、図4に描かれたコントラストに対する滑らかなフィッティングにより再生した自己相関である。これらのデータのウィーナー・キンチン関係式によるフーリエ変換は、スペックルのパワースペクトルを与える。以前に知られている純ドップラー実験においては、パワースペクトルは、その時系列のフーリエ変換から直接に計算するか、或いは、ウィーナー・キンチン定理を用いて、時系列から導かれた自己相関関数のフーリエ変換から計算することができる。従って上記の方法はドップラー法と正確に同じスペクトル情報を再生する。それゆえに、パワースペクトルのモーメントを得ることができ、モーメントから灌流値を得ることができる。例えば、前記の非特許文献1を参照されたい。灌流値は画像の任意の所与の点に対して計算することができ、或いは全視野灌流画像を作成することができる。
【0078】
スペックル揺らぎのパワースペクトル密度S(f)を図5のデータのフーリエ変換から計算した。これを図6に、ドップラー計測値から導出されたオリジナルのスペクトルデータセット(非特許文献5)と共に示す。2つのデータベースの間の一致は本発明の方法が信頼できることを示す。
【0079】
レーザドップラー計測値は、スペックル画像では直ちに明らかではない、散乱粒子の運動の直接的な指標を与える。時間情報は、露光時間依存のコントラストを介してスペックルに再導入されている。他者は、単一スペックルの時間的自己共分散が次式の特性時間τcを有すると仮定して間接的に粒子速度を抽出するアプローチをとった。
【数7】

次に、等式(1)の積分を行うことができて次式が得られる。
【数8】

この式は特定のコントラストK及び露光時間Tからτcの値を得ることを可能にする。しかし、本発明者は、一定の流れに対して、この方法で見出されたτcの値は一義的ではなく露光時間に依存することを発見した。その理由は実験的に導出された自己相関関数(図5及び以下の等式(6))から明らかであり、この関数はここでは0.6msであるτcより短時間においてのみ近似的に指数関数となるからである。
【0080】
図7は、TK2の形に変換されたデータを示す。上記の分析法(方法1)に対しては、この関数の勾配が式5に用いられる。この関数は見て分かるように比較的簡単な形を有する。
【0081】
さらに、Ri(T)データは広い時間範囲にわたって次の関数で良好に近似される。

これは0.0006sに等しいτcを有する滑らかな線で図5に描いた。これら2つの観察結果から第2の分析法(方法2)が導かれる。
【0082】
単純化は、数値的に構成された自己相関データが調整可能パラメータを有する数学的関数で近似できるという事実に基づいたものである。特に、式(6)の形は1つの未知パラメータτcのみを有する。
式(6)の関数は、バイオスペックル試料を単一の時定数で記述し、さらに解析的に積分可能であるので魅力的である。これは、分析の初期段階で実験データを関数でフィッティングできることを意味する。実験データを微分するプロセスはノイズを導入する可能性があるので、分析の初期段階でデータを関数でフィッティングすることは魅力的である。
【0083】
式(6)の関数を用いると、計算されたコントラストの平方と露光時間の積、即ちTK2は積分された関数にフィッティングされて時定数τcが導出されることになる。
【数9】

式(6)とは異なる他の関数を用いることもできる。τcの値が得られると、パワースペクトルは式(6)のフーリエ変換により導出することができ、灌流はこの変換結果の1次モーメントから、或いは予め計算した参照テーブル又は補間関数を用いてτcから直接に得ることができる。
【0084】
関数(式(6)に与えられる)へのフィッティングにより得られたか或いはスケール調整されたデータ点から計算された、戻り光のパワースペクトル密度から、血流の計測値を通常のドップラー計測値と同じ方法で取得することができ、その計測値を灌流又は流れパラメータに変換することができる。
【0085】
第3の方法は多数の露光時間を必要とせず、多数の露光時間により得られた知見に基づく。上述のように、式(7)は、種々の露光時間で収集されたデータをこの関数に最小2乗フィッティングすることによりτcを得る優れた方法を与える。血管拡張の実施例(図17)においてこの方法を行った。τcの最良フィッティング値を得た。フィッティング結果は妥当なノイズ量を示す。この関数の選択は、フィッティングされた曲線が常にその形状を維持し、その勾配を変えずに左右に移動し得るのみであることを意味し、前の予測に基づく幾つかの束縛が赤血球の速度に課せられることを暗示することに留意されたい。
【0086】
このように、血液計測値にフィットし、数学的に唯一のフィットパラメータτcを有する式(6)で与えられるような曲線を定めると、灌流は単一の露光時間TとそのコントラストKとに基づいて、τcを計算して図17に描かれたような曲線を定めるように決定することができる。左又は右に移動させて単一点を通るように「フィッティング」させた曲線を有する該単一点が等価な「グラフ」になるとしても、この方法は、可能なノイズがある場合に上記の方法よりも好ましくない。それでもなお、この方法は、1つの露光時間のみを扱える装置を用いた灌流計測を可能にし、コントラスト値を適切な灌流推定値に変換することを可能にする。
【0087】
上記のように、種々異なる露光時間による複数の計測値が用いられる。計測中、灌流は可能な限り安定している必要がある。拍動流が問題でなければ、また多くの場合それらは問題にはならないが、計測は1秒又は2秒までの時間内に行うことができる。典型的な脈拍数における拍動流を計測するためには、計測を拍動に同期化するか、或いは拍動周期内で多数回サンプリングする必要がある。例えば、毎秒10回、又はより好ましくは毎秒30回の計測を行うことができる。
【0088】
比較的高い出力、例えば50mWのダイオードレーザを用いて計測値を取得することが容易であり、その理由は、このダイオードが大きな領域を照射するのに十分な、或いは最短の露光時間において十分な光を得るのに十分な、光学的出力を有するフレキシビィティを与えるからである。通常のスペックルコントラスト計測と比較すると、レーザが露光中にモードホッピングしないことが重要である。モードホッピングは見かけのコントラスト変化を生じることが見出されている。好ましい実施形態においては、モードホッピングを防ぐように熱的に安定化された単一モードレーザを用いる。そのようなレーザの一例は、World Star Technologies 製のTECRLシリーズのダイオードレーザである。
【0089】
コントラスト画像の生成
未処理のスペックル画像は普通あまり情報豊富ではないので、コントラストマップ又は灌流パラメータの形式に変換される。本発明の一実施形態による装置では、これは画像の各点におけるコントラスト又は移動速度を示すあるパラメータと共に表示される。通常のパラメータはスペックルコントラストKであり、これは平均強度に対する強度変化の標準偏差の比として定義される。
【数10】

スペックルコントラストCは画像の小領域、通常3×3又は5×5の画素平方にわたって計算され、その結果が画像としてプロットされる。スペックル画像及びそれから計算されたコントラストを表示するソフトウェアによるスクリーンショットを図20に示す。非特許文献6に記載されているような他の類似の分析法も可能である。
【0090】
種々の照射用ダイオードレーザをこのシステムの開発中に評価した。レーザスペックルは干渉効果であるので、単一モードで安定に動作して、スペックルパターンを生成する予想される光路長差より長いコヒーレンス長を与えるレーザを用いることが好ましい。一実施形態においては、WorldStarTechからの、658nmで50mWの出力を有する温度制御型モジュールを用いる。
【0091】
レーザ照射光は、モジュールと共に供給されたレンズを用いて拡大し、関心のある領域にわたって凡そ均一に照射するようにした。不均一な照射は、カメラのダイナミックレンジの上限又は下限のあまり近くで作業しない限り、分析において輝度が規格化されるので問題にはならない。
ソフトウェアを用いて、カメラからの画像を収集し分析する。図7は、プロトタイプの制御及び分析ソフトウェアによるスクリーンショットを示す。
【0092】
本発明の上記の種々の実施形態、態様、及び特徴は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せを用いて実現され、1つ又はそれ以上のプロセッサを有するコンピューティングシステムを用いて実施することができる。実際、一実施形態において、これらの要素は、それらに関して説明した機能を実行することができるプロセッサベースのシステムを用いて実施される。例示的なプロセッサベースのシステム200を図2に示す。図1に示すように、灌流計測システム100は、デジタルビデオカメラ102、照射用レーザ光源104、及びコンピュータ200を含む。コンピュータシステム200は、プロセッサ202のような1つ又はそれ以上のプロセッサを含む。プロセッサ202は通信バス222に接続される。種々のソフトウェアの実施形態をこの例示的なコンピュータシステムに関して説明する。本発明の上述の実施形態、特徴、及び機能は、特定のコンピュータシステム又はプロセッサアーキテクチャ、又は特定のオペレーティングシステムには依存しない。実際、簡単な説明が与えられると、当業者であれば、他のコンピュータ又はプロセッサシステム及び/又はアーキテクチャを用いて本発明をどのように実施するかは明白であろう。
【0093】
用途
本発明の実施形態のレーザスペックル画像化装置及び方法には多くの用途がある。
それらは、例えば、アテローム斑を特徴付けるのに用いることができる。非特許文献7を参照されたい。この文献の装置及び/又は方法は、本発明の実施形態のレーザスペックル画像化装置及び方法で置き換えられることになる。本発明の実施形態のレーザスペックル画像化装置及び方法はまた、皮質脈管血流の計測に用いることができ、そのパターンは大脳皮質における機能的応答に関連する。脈管血流パターンは、体性感覚中心の時空的活動の研究、及び限局性発作又は虚血の診断に用いることができる。本明細書で説明し請求する本発明の実施形態を用いると、脈管及び血流速度の両方を視覚化できる皮質脈管血流パターンの画像を取得することが可能になる。本発明の他の実施形態のレーザスペックル画像化装置及び方法はまた、局部的大脳血流の変化に伴うニューロン活動の変化を計測するのに用いることができる。本発明の実施形態のレーザスペックル画像化装置及び方法はまた、眼球内の特定の領域、特に網膜の中の眼血流を診断するのに用いることができる。特に有益な使用法は、加齢に関係する黄斑変性のような何らかの形の黄斑変性を有するか、又はそれになり易い、又はそうであることを疑われる被検者内の血流又は灌流の状態を診断するための使用を含む。
【0094】
本発明の幾つかの実施形態のレーザスペックル画像化装置及び方法はまた、創傷内又は周辺の血流を含む創傷の診断及び創傷床開存の診断に用いることができる。「創傷」により、例えば、急性、遅発性、又は治癒が困難な創傷、及び慢性創傷を含む、任意の組織の損傷を意味する。創傷の例は開放創及び閉鎖創を含むことができる。創傷は、例えば、火傷、切開、切除、裂傷、擦り傷、刺し傷又は穿通創、手術創傷、挫傷、血腫、圧坐損傷、及び潰瘍を含む。また、期待された速度で治癒しない創傷も含まれる。本発明の幾つかの実施形態によるレーザスペックル画像化装置及び方法を、慢性創傷又は遅発性若しくは治癒するのが困難な創傷内の血流を計測するのに用いることができる点で特に有用である。ある特定の実施形態において慢性創傷は、糖尿病性潰瘍、糖尿病性足潰瘍、静脈性潰瘍、静脈鬱血性潰瘍、褥瘡、褥瘡性潰瘍、脈管潰瘍、動脈性潰瘍、感染性潰瘍、熱傷潰瘍、外傷誘発潰瘍、壊疽性膿皮症に関連する潰瘍化、又は混合潰瘍である。
【0095】
組織、局部皮膚病変、又は熱傷範囲の研究において、皮膚の領域間の相対的コントラストは有用な灌流情報を与える。糖尿病の進行における血液循環の漸進的な減少を定量化するような用途は、本明細書で提供するようなより定量的な手法の恩恵を受けることになる。
一実施形態において被検者は糖尿病である。
一実施形態において被検者は心血管疾患又は病態を有する。
【実施例】
【0096】
以下の実施例は、スペックル法及び本発明の好ましい実施形態の実際を説明するために与えるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0097】
多重散乱の効果
散乱体相互の相対的移動は、移動する固体物体の場合、特に「3重散乱スペックル」又は「スペックル化スペックル」として知られる相対的移動状況において差異を生じる可能性がある。これらは、レーザ光が移動する物体から定常拡散スクリーンを通して画像化システムに戻る状況において生成されたスペックルパターンである。この移動及び固定散乱体が関与する多重散乱は、バイオスペックルにおける状況にほぼ等しい。
【0098】
図8に示した簡単な実験装置は、動的3重散乱スペックル用の一例である。サンドブラスト仕上げの透明プラスチックである軽度散乱板を、紙で覆った輪とスペックル画像化システムの間に挿入した。スペックルコントラストKは、0.5乃至30msの様々なカメラ露光時間において、散乱板(ディフューザ)を配置する場合と配置しない場合の両方で、そして輪を静止させるか、又は紙が画像化部位を約43mm/sで通過するように回転させて、計測した。図9にプロットしたコントラストの結果は、ディフューザの効果はスペックル揺らぎ速度、従って有限露光時間における不鮮明化効果を増加させることを示す。30ms以下の任意の特定の露光時間において輪が回転するとき、計測されたコントラストはディフューザがある場合に低下する。十分に長い露光において、両方の場合のコントラストは、露光時間が両パターンの揺らぎ時間を越えると、共通の最小レベルに近づく。
【0099】
輪試験中の未処理の画像を観察すると、スペックルパターンはディフューザがあるときにきらめき、ディフューザがないときに不鮮明になって線になる。この印象は、別の簡単な実験、即ちショット間に僅かに移動させた紙で覆った表面の静止画像を、上記の同じディフューザがある場合とない場合とで比較する実験により支持される。紙表面をディフューザが定位置にない状態で0.5mm移動させるとき、スペックルパターンは紙と共に移動する。このことは、図10に示すように適当にずれた明瞭なピークを示す、2つのフレーム間の共分散を計算することにより確認される。ディフューザが定位置にあると、スペックルパターンは紙が移動するときランダムに変化し、フレーム間の共分散にはピークはない。この結果は、動的スペックル化スペックルパターンには移動方向に関する情報はなにも残っていないことを示す。組織のレーザスペックル・コントラスト画像化に関連して、これらの観察は、移動方向に関する情報は何も残らず、揺らぎの速度は、移動する散乱体の速度に対する簡単な関係を有しないことを示す。このことがスペックル計測による赤血球の流れの計測を自明でないものにする。
【実施例2】
【0100】
スペックル法で調べられる体積
本発明の一実施形態によるレーザスペックル画像化システムを用いて深さ効果を評価するために、皮膚表面近くの毛細血管に対して、流管を取り巻く組織模型からなるモデルを用いた。2%の寒天溶液内で1:10に希釈した10%イントラリピッドからなる組織模型ゲルを、図11に示すように、流管ラダーを収容したペトリ皿の中にセットして、組織模型の表面が流管の外側にぴったり重なってラダーの最高位の横木を形成するようにした。ラダーの流管の横木は垂直方向に0.4mm、水平方向に5mm離した。用いたシリコーン配管は内径が1.02mm、壁厚が0.57mmである。
【0101】
重量濃度で1%に希釈された、水中の6.2μmラテックスビーズの懸濁液からなる血液類似物を用いたが、これは、流管の巨視的サイズを微視的な毛細血管と比較した補正を行うと、組織内の赤血球のサイズ及び濃度を近似する。この懸濁液は、シリンジポンプを用いて0.8mm/sの固定速度で流管に注入した。
【0102】
図12は、本発明一実施形態のレーザスペックル画像化システムを用いて計測された、このモデルの典型的なスペックル画像及び関連するスペックルコントラスト画像を示す。画像の中央部分の各画像カラムの平均を取って、図13のプロットを生成したが、これは、流れ誘起のスペックルコントラスト低下に対する組織模型の深さを増すことの効果を、谷の深さによって示す。このコントラスト低下効果は深さが増すにつれて減衰し、その結果このプロットにおいては深さ2mmの6番目の管は曲線の僅かな窪みとしてかろうじて検出できるのみである。
【0103】
このプロットはまた、ブラウン運動の効果を示す。即ち、流体を導入すると、管内に正味の流れがないときでもコントラストが低下する。特定の温度における粒子の平均運動エネルギー、従って二乗平均平方根速度は次式で与えられる。
【数11】

室温におけるブラウン運動によるラテックス粒子のrms速度は約0.3mm/sであり、検出可能なコントラスト低下効果が存在するはずの検出可能な流速と比較すると、十分に大きい。ブラウン運動は、スペックル法を用いると、架橋ポリマー、塗料及び樹脂のような粒子散乱体を含む流体内で明白であるが、ブラウン運動は、インビトロでの筋肉組織内には観測されなかった。
【0104】
管の位置の間のコントラストは、管内に流体が存在するか又は流れるとき、管の位置におけるコントラストに比例して低下し、これは、多重散乱効果が、移動散乱体の不鮮明化の影響を組織模型の拡張体積にまで広げることを示す。図14は、上記と同じ模型混合物中に模型表面の下1mmの深さに埋め込まれた単一流管のスペックルコントラスト画像を示す。流体移動のコントラスト低下効果は管壁を著しく超えて広がっている。
【0105】
流体が存在しないときの組織模型の平均コントラストと、不鮮明化画像のコントラストとの間の差をとると、移動に関連するコントラスト低下を決定することができる。図15にプロットしたこの値は、管からの距離により指数関数的に低下し、ここで目盛長λは模型の深さ及び模型の光学特性によって決定される。不鮮明化効果がその値の1/eに低下する距離λは、模型内の管の深さと共に増加し、そして模型内の散乱体の濃度と共に増加する。この距離は組織内において波長依存性であると予想され、本発明の実施形態を用いてサンプリングされる組織体積を制御する方法を与える。
【実施例3】
【0106】
パーフォレータ(Perforator)
皮膚に血液供給する毛細血管には、パーフォレータ、即ちより深部の血管から表面にくる細動脈により血液供給される。これらのパーフォレータの位置を見つけることは、様々な再建手術の手順を計画するのに重要であることが多い。現在これらは、一般に超音波ドップラー流量測定プローブを用いて位置決定される。これは単一点法であり、従って本発明のスペックルコントラスト画像化の一実施形態による全視野画像法を用いて改善することができる。
【0107】
この実施例において、動脈パーフォレータに最も近い毛細血管内で拍動がより顕著である拍動流の領域を見出すことによりパーフォレータを特定することに努力した。ライブのスペックルコントラスト表示を用いて前腕にそってサーチすると、コントラストが脈拍数で揺らぐので、パーフォレータの可能な候補点が与えられる。コントラスト画像の各点において時間領域フーリエ変換を行い、次いで脈拍数に対応するフーリエ成分の各点における振幅をプロットすると、図16のコントラスト低下効果の拍動成分の画像が得られた。前腕のパーフォレータの位置は、図16に示すようにはっきり現れる。この位置はドップラー超音波流量測定法を用いて確認した。
【実施例4】
【0108】
灌流変化の計測
上記の第2の分析方法の試験として、パラメトリック自己相関関数(式6)を用い、温水を用いて血管拡張を誘起した後の手背部について、時系列コントラスト対露光時間の曲線を計測した。図17はそのデータセットからの3つの例示的な曲線を示す。ベースライン曲線は初期状態であり、「Time = 0」の曲線は血管拡張誘起後できる限り速やかに計測したものである。
【0109】
方法1の分析では、曲線を視察によりフィッティングしてK対Tデータを滑らかにし、自己相関関数を表す微分曲線を導出し、これを解析関数で近似する。この関数で一般的に表せるデータが与えられると、方法2は解析関数(6)を積分することで数値的微分を避け、その結果を、計測されたデータセットである式(5)の積分と等しく置く、即ち、
【数12】

或いは、K/Kmaxについて解くと、
【数13】

となる。次にτcの値は最小2乗フィッティングにより見出すことができる。図17に示すように、3つの例示的な時系列に対して得られたフィッティング曲線は、データに十分にフィットし、関数の選択及びこの分析方法の正当性を示す。
【0110】
8つのコントラスト対露光時間曲線の各々から導出されたτc値を用いて、自己相関関数及びパワースペクトル密度を生成した。パワースペクトル密度の1次モーメントは灌流に比例し「灌流指数」と呼ばれるが、これを各計測時間において計算した結果を図18に示す。Hertz単位で計測された灌流は、トップラー装置の基礎理論によれば、組織1グラム当りの血液のミリリットルで計測した組織灌流に直接比例するが、浸漬後直ちに5倍上昇し、約10分間にわたってその処置前の値に回復する。
【0111】
この図はまた、この事象中の選択された露光時間におけるスッペクルコントラストの計算値を示す。任意の特定の時間において全てのそれらコントラスト情報を用いて灌流を計算する。普通行われるように1つの露光時間だけを用いる場合、灌流が通常値へ戻る相対的回復は、その露光時間におけるスペックルコントラストの変化した値から推定することができる。しかし、定量化は不可能である。例えば、0.5のスペックルコントラストには、3msの露光時間を用いると130秒後に達するが、10msの露光時間を用いると430秒まで達しない。これらの時間において、真の灌流は2倍異なる。単一露光時間におけるコントラスト値を用いたとすると較正が必要になる。しかし較正には、露光時間が変化した場合にコントラストはある量だけ変化すると暗に仮定する必要がある。これは、全ての被検者が同じ赤血球速度分布を有すると仮定することに等しい。本明細書で開示する方法には、この仮定を行う必要がない。灌流はコントラスト計測値に対して直線的関係を有しない。即ち、コントラスト計測値は浸漬後ほぼ一定の速度で上昇し、一方灌流指数な非線形曲線上を低下する。
【0112】
更に別の分析はないが、図18は殆どの個々のスペックル揺らぎ(及び暗にドップラー周期)は約0.3と30msの間にあることを示す。時間平均がコントラストの大部分の低下をもたらすのはこの範囲にわたってである。最大のコントラスト低下は、ここでのパワースペクトルの1次モーメントに近い値である500Hz周辺の周波数を除去することに対応する。簡単な解釈は、この周波数が、毛細血管内で予測される速度1mm/sよりも著しく低い僅か0.1mm/sの程度の散乱粒子速度に対応するということである。パワーの大部分は予測されるより低い周波数(30−500Hz)にシフトするが、その理由は、血球による散乱の角度依存性のため、高いドップラーシフトをもたらす衝突を受ける機会が低いからである。殆どの散乱事象は粒子速度の小さい成分のみをさえぎる。
【実施例5】
【0113】
皮膚拍動
実験は、スペックルコントラストの時系列計測値が、実施例3の局所パーフォレータ効果に加えて血流の揺らぎを示すことを明らかにしている。探す自然揺らぎは拍動であり、拍動によるコントラストの時間的低下は、手背部、手首内側、前腕上部、及び指先若しくは爪床を含む様々な領域で検出することができる。図19は爪床のスペックルコントラストの時系列計測値を示し、明瞭に拍動を示している。組織に固定した光吸収性標的(例えば、不透明テープ)は規則的揺らぎを示さないので、観察される拍動効果は毛細血管内の流れによるものであり、心拍による組織の全体的移動によるものではないことが確認された。他の実験(例えば、実施例2における実験)は、光は1乃至2mmの深さを超えて貫入することがないので、揺らぎはより深い血管には関係しないことを示す。
【0114】
図示した記録はスペックルコントラストであるが、実施例4で説明したように、かかる記録は本発明の一実施形態の方法で変換して、皮膚の毛細血管構造内の実際の灌流値にすることができる。
【0115】
本発明は、如何なる特定の好ましい実施形態によっても限定されない。当業者であれば、本発明の構想から逸脱せずに、開示した実施形態に種々の変更を施すことができることに思い至るであろう。全てのそのような変更は本発明の範囲内に入ることが意図されている。
【0116】
本明細書において参照又は言及した全ての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、及び他の書類又は資料は、本発明に関係する当業者の技術レベルを示すものであり、それら参照された書類及び資料は、その全体が個々に引用により組み入れられるか或いはその全体が本明細書で説明されたとした場合と同じ程度に、引用により本明細書に組み入れられる。出願人は、任意のそのような特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、電子的に入手可能な情報、及び他の参照資料又は書類からの任意及び全ての資料及び情報を物理的に本明細書に組み入れる権利を留保する。
【0117】
本発明の書面による明細部分は全ての請求項を含む。さらに、全てのオリジナル請求項並びに任意及び全ての優先権書類からの全ての請求項を含む全ての請求項は、引用によりその全体が、本明細書の書面による明細部分に組み入れられ、それゆえ本出願人は、任意及び全てのかかる請求項を本出願の書面により明細部分又は任意の他の部分に物理的に組み入れる権利を留保する。従って、例えば、如何なる状況においても、請求項の正確な語法が本発明の書面による明細部分においてこの言葉で(in haec verba)説明されていないとの主張により、請求項に関する書面による明細を与えていないと申し立てられるように本発明を解釈してはならない。
【0118】
請求項は特許法に従って解釈されることになる。しかし、任意の請求項又はその部分の解釈の容易さ又は困難さの申し立て又は認識にかかわらず、如何なる状況においても、本発明に繋がる本出願の遂行中における請求項又はその任意の部分の如何なる調整又は補正も、従来技術の部分を形成しない任意及び全ての等価物に対する如何なる権利をも喪失したことと解釈してはならない。
【0119】
本明細書において開示された特徴の全ては、任意の組合せに組み合せることができる。従って、別様に明白に言明されない限り、開示された各特徴は、等価物又は類似の特徴の一般的な一続きの一例にすぎない。
【0120】
本発明はその詳細な説明に関連して説明したが、前述の説明は例証を意図したものであり、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲の限定を意図したものではないことを理解されたい。従って、前述のことから、本明細書では例証を目的として特定の実施形態を説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに種々の変更を施すことができることを認識されたい。他の態様、利点、及び変更が添付の特許請求の範囲に入るので、本発明は、その全等価物が認められる添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0121】
本明細書で説明した特定の方法及び構成物は、特定の好ましい実施形態を表す例示的なものであり、本発明の範囲の限定を意図したものではない。当業者であれば、本明細書を考察することにより他の目的、態様、及び実施形態に想到することになり、これらは特許請求の範囲により定められる本発明の趣旨の範囲内に包含される。当業者であれば、本明細書で開示した本発明の実施形態に対して種々の置き換え及び変更を、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに行うことができることは容易に明らかとなるであろう。本明細書で例証的に説明した本発明は、本明細書で本質的なものとして具体的に開示されていない任意の要素又は限定がない場合に、適切に実施することができる。従って、例えば、いずれの場合にも、本発明の実施形態又は実施例において、「備える」、「含む」、「包含する」などの用語は、拡張的かつ非限定的に読まれるべきである。本明細書で例証的に説明した方法及びプロセスは種々の順序のステップで実施することができるので、本明細書又は特許請求の範囲で示されたステップの順序に必ずしも限定されない。
【0122】
使用した用語及び表現は、限定のためではなく説明の用語として用いたものであり、そのような用語及び表現を用いることは、図示し説明した特徴又はその部分の如何なる等価物をも除外することを意図したものではなく、特許請求された本発明の範囲内で様々な変更が可能であることを認識されたい。従って、本発明は種々の実施形態及び/又は好ましい実施形態及び随意的な特徴によって具体的に開示されたが、本明細書で開示され当業者が頼ることのできる構想の任意及び全ての変更及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内のものと見做される。
【0123】
本発明は、本明細書において広範かつ一般的に説明した。一般的な開示内に入る狭範囲の種及び亜属の集団はまた本発明の部分を形成する。これは、削除される材料が本明細書で具体的に挙げられているかどうかに関わらず、属から任意の被検体材料を除去する条件的又は消極的限定による、本発明の一般的な説明を含む。
【0124】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかに別様に規定しない限り、複数の言及を含み、用語「X及び/又はY」は「X」若しくは「Y」又は「X」及び「Y」を意味し、名詞に続く文字「s」はその名詞の複数形及び単数形の両方を示す。さらに、本発明の一実施形態の特徴又は態様がマーカッシュ群(Markush group)(請求項の代替)により説明される場合、本発明は、マーカッシュ群の任意の個々の構成部分又は構成部分の任意の部分群を包含し、またそれらによって説明されることが意図され、当業者であればこのことを認識することになるので、本出願人は、マーカッシュ群の任意の個々の構成部分又は構成部分の任意の部分群に具体的に言及して、本出願又は特許請求の範囲を修正する権利を留保する。
【0125】
他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれる。本特許は、本明細書において具体的及び/又は明白に開示された特定の実施例又は実施形態又は方法に限定されると解釈してはならない。如何なる状況においても、本特許は、特許及び商標局のいずれかの審査官又はいずれかの他の職員又は被雇用者によりなされるいずれかの言明によって、その言明が出願人による応答書面内に具体的かつ但し書き又は留保なしに明白に採用されない限り、限定されると解釈してはならない。
【符号の説明】
【0126】
100:灌流計測システム
102:デジタルビデオカメラ
104:レーザ光源
108:媒質
200:コンピュータ
202:プロセッサ
204:主メモリ
206:通信インフラストラクチャ
208:2次メモリ
210:ハードディスクドライブ
212:取外し可能記憶ドライブ
214:インタフェース
216、218:取外し可能記憶ユニット
220:通信インタフェース
222:通信バス
300:方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内の灌流を計測する方法であって、
種々の露光時間によりレーザ光下の前記組織の複数の画像を記録し、
前記組織の前記複数の画像から複数のコントラスト画像を計算し、
前記複数のコントラスト画像から散乱光のパワースペクトルを決定し、
前記パワースペクトルから灌流を判断する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記組織は皮膚であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組織は人の皮膚であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組織は糖尿病患者の皮膚であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
組織内の灌流を計測する方法であって、
種々の露光時間によりレーザ光下の前記組織の複数の画像を記録し、
前記組織の前記複数の画像からコントラスト画像データを計算し、
前記コントラスト画像データにフィットする時間的自己相関関数の1つ又はそれ以上のパラメータを決定し、
前記1つ又はそれ以上のパラメータから灌流を計算する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記組織は皮膚であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組織は人の皮膚であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記組織は糖尿病患者の皮膚であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
組織内の灌流を計測するための装置であって、
(a)デジタルビデオカメラと、
(b)レーザ光源と、
(c)前記カメラを種々の露光時間により複数の画像を生成するように動作させ、前記カメラから前記複数の画像を受け取り、前記画像を処理して前記画像から散乱光のパワースペクトルを決定し、前記パワースペクトルから灌流を判断するように構成されたプロセッサと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
組織内の灌流を計測するための装置であって、
(a)デジタルビデオカメラと、
(b)レーザ光源と、
(c)前記カメラを種々の露光時間により複数の画像を生成するように動作させ、前記カメラから前記複数の画像を受け取り、前記画像を、それからコントラスト画像データを計算することにより処理し、前記コントラスト画像データにフィットする時間的自己相関関数の1つ又はそれ以上のパラメータを決定し、前記1つ又はそれ以上のパラメータから前記灌流を計算するように構成されたプロセッサと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
脈管内の粒子流を確認する方法であって、
実質的に可視乃至近赤外スペクトル領域の波長又は波長帯域を有するコヒーレントな照射光を前記脈管内の粒子を照射するように方向付け、
画像キャプチャ装置内で種々の露光時間を用いて前記脈管内の前記照射された粒子の種々の光学的スペックルパターンを画像化し、
前記光学的スペックルパターン画像からのデータを処理して、前記画像から散乱光のパワースペクトルを決定し、
前記パワースペクトルに基づいて前記脈管内の粒子流を確認する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
脈管内の粒子流を確認する方法であって、
実質的に可視乃至近赤外スペクトル領域の波長又は波長帯域を有するコヒーレントな照射光を前記脈管内の粒子を照射するように方向付け、
画像キャプチャ装置内で種々の露光時間を用いて前記脈管内の前記照射された粒子の種々の光学的スペックルパターンを画像化し、
前記光学的スペックルパターン画像からのデータを、それからコントラスト画像データを計算することにより処理し、
前記コントラスト画像データにフィットする時間的自己相関関数の1つ又はそれ以上のパラメータを決定し、
前記1つ又はそれ以上のパラメータから前記脈管内の前記粒子流を計算する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記送出される照射光はレーザ光ビームであることを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像キャプチャ装置はカメラを含むことを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記脈管は被検者の身体部分内にあることを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記脈管は被検者の身体部分内の血管であることを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記身体部分は皮膚であることを特徴とする、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記脈管内の前記粒子流は血流の計測値をもたらすことを特徴とする、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記脈管内の前記粒子流は組織灌流の計測値をもたらすことを特徴とする、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記脈管内の前記粒子流は組織虚血の計測値をもたらすことを特徴とする、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記脈管内の前記粒子流は炎症の計測値をもたらすことを特徴とする、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記被検者は糖尿病であることを特徴とする、請求項1乃至20又は請求項21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記被検者の身体部分は熱傷した皮膚であることを特徴とする、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項24】
コンピュータプログラムコードを記録した機械可読記憶媒体を備え、
前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるとき、該プロセッサは組織内の灌流を計測する方法を実行し、
前記方法は、レーザ光下の組織の、互いに異なる露光時間を有する複数の画像を表すデータを記憶媒体内に格納し、前記組織の複数の画像からコントラスト画像を計算し、前記複数のコントラスト画像から散乱光のパワースペクトルを計算して前記パワースペクストルに基づいて灌流データを計算するか、或いは組織灌流から予測される自己相関関数に基づく関数を画像データにフィッティングすることにより前記灌流データを導出し、前記灌流データをコンピュータ出力装置に出力する、ステップを含む、
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
前記方法は、前記複数の画像を収集するように画像化装置を制御するステップを更に含むことを特徴とする、請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項26】
前記複数の露光時間は1ミリ秒から10ミリ秒まで変化することを特徴とする、請求項25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
前期方法は、前記組織の複数の領域にわたる平均コントラスト値を計算するステップを更に含むことを特徴とする、請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
モジュール式機能的脈管状態診断装置であって、
レーザ、及びスペックル画像を取得し格納するのに適した画像キャプチャ装置と電気通信し、それらを制御するCPUを備え、
前記CPUは前記スペックル画像を時間的自己相関関数により処理し、前記スペックル画像から散乱光のパワースペクトルを計算して灌流指数を取得することができる、
ことを特徴とする装置。
【請求項29】
前記画像キャプチャ装置は、100ミリ秒未満の種々の露光時間にわたる複数の画像を捕捉するように制御することができることを特徴とする、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記スペックル画像を視察するためのモニタを更に備えることを特徴とする、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記CPUは、脈管状態診断を実行するようにプログラムされることを特徴とする、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
脈管状態診断は灌流マップであることを特徴とする、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記CPUは、1つ又はそれ以上の正常灌流データの組を備え、該正常灌流データを前記取得された灌流指数と比較するようにプログラムされることを特徴とする、請求項28に記載の装置。
【請求項34】
前記CPUは脈波形分析を実行するようにプログラムされることを特徴とする、請求項28に記載の装置。
【請求項35】
前記CPUは流速及び/又は脈波伝播速度を決定するようにプログラムされることを特徴とする、請求項28に記載の装置。
【請求項36】
前記CPUは対側脈管の応答を決定するようにプログラムされることを特徴とする、請求項28に記載の装置。
【請求項37】
心血管リスクを診断するためのコンピュータ実施の方法であって、
請求項28乃至請求項36又は請求項9又は請求項10のいずれかに記載の装置を用いて個人に対して実施される1つ又はそれ以上の脈管機能診断からの結果を受け取り、
前記機能診断の結果を前記個人に対応する計算データセット内に配置し、
複数の疫学的リスク因子の各々に関する状態を受け取り、
前記各疫学的リスク因子の状態を前記個人に対応する計算データセット内に配置し、
前記個人に対応する前記データセットから前記個人に関する、機能的及び疫学的な組合せの相対的リスクを計算する、
ステップを含むことを特徴とするコンピュータ実施の方法。
【請求項38】
前記1つ又はそれ以上の脈管機能診断は、灌流指数、灌流マップ、脈波形分析、脈管流速、脈管脈波伝播速度、及び対側脈管応答のうちの1つ又はそれ以上を含むことを特徴とする、請求項37に記載のコンピュータ実施の方法。
【請求項39】
前記個人に関する1つ又はそれ以上の構造的診断からの結果を受け取り、
前記1つ又はそれ以上の構造的診断からの前記結果を前記個人に対応する前記計算データセット内に配置し、
前記個人に対応する前記データセットから前記個人に関する、機能的、疫学的及び構造的な組合せの相対的リスクを計算する、
ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項37に記載のコンピュータ実施の方法。
【請求項40】
前記構造的診断は、脈管内膜厚の増加、アテローム班形成及び少なくとも1つの血管床内でのカルシウム沈着、のうちの1つ又はそれ以上を含む病理学的変化の決定を含むことを特徴とする、請求項39に記載のコンピュータ実施の方法。
【請求項41】
前記個人に関する血液酸素化又は血糖症の状態の1つ又はそれ以上の血液学的検査からの結果を受け取り、
前記1つ又はそれ以上の血液学的検査の前記結果を前記個人に対応する前記計算データセット内に配置し、
前記個人に対応する前記データセットから前記個人に関する、機能的、疫学的及び血液学的な組合せの相対的リスクを計算する、
ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項39に記載のコンピュータ実施の方法。
【請求項42】
個人の神経血管状態を決定する方法であって、請求項28乃至請求項35又は請求項36に記載の装置を用いて前記個人の試験部位上の局部血流を評価し、前記試験部位における血流応答に基づいて前記個人に関する微小循環系の診断を確立するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
個人の微小循環系の状態を決定する方法であって、請求項28乃至請求項35又は請求項36に記載の装置を用いて前記個人の試験部位上の局部血流を評価し、前記試験部位における血流灌流に基づいて前記個人に関する微小循環系の診断を確立するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
レーザ光源と、
媒質の表面上の前記レーザ光の、種々の露光時間を有する複数のスペックル画像を取得するように構成されたカメラと、
前記複数のスペックル画像を受け取り、前記複数の画像から媒質中の流体の灌流値を決定するように構成されたプロセッサと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項45】
前記プロセッサは、前記複数の画像から散乱光のパワースペクトルを決定するように更に構成されることを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記プロセッサは、前記複数の画像から時間的自己相関関数のパラメータを決定するように更に構成されることを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記カメラは白黒モードで動作するように構成されたデジタルビデオカメラであることを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項48】
前記媒質は人体の一部分であり、前記流体は血液であることを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項49】
前記露光時間は、約0.001ミリ秒から約1秒まで変化することを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項50】
前記露光時間は、約0.1ミリ秒から約100ミリ秒までであることを特徴とする、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記プロセッサは、前記カメラの増幅率及び露光時間及び/又は前記レーザの出力を制御するように更に構成されることを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項52】
前記レーザは単一モードで動作するように構成されることを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項53】
前記プロセッサは、前記画像の空間的コントラストの変化から前記パワースペクトルを決定するように更に構成されることを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項54】
種々の露光時間で媒質の表面からの複数のレーザスペックル画像を取得し、
前記複数の画像から散乱光のパワースペクトルを決定し、
前記パワースペクトルから前記媒質中を移動する流体の灌流値を決定し、
前記灌流値を出力装置に出力する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
前記パワースペクトルを決定するステップは、
前記スペックル画像の空間的コントラストの変化から時間的自己相関関数を生成し、
前記時間的自己相関関数に基づいて前記パワースペクトルを計算する、
ステップを更に含むことを特徴とする、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記パワースペクトルから加重モーメントを計算するステップを更に含むことを特徴とする、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記露光時間は、約0.001ミリ秒から約1秒までであることを特徴とする、請求項54に記載のシステム。
【請求項58】
前記露光時間は、約0.1ミリ秒から約100ミリ秒までであることを特徴とする、請求項54に記載のシステム。
【請求項59】
種々の露光時間で媒質の表面からの複数のレーザスペックル画像を取得し、
前記複数の画像の各々からスペックルコントラスト情報を決定し、それから複数のコントラスト画像を形成し、
前記複数のコントラスト画像から、組織スペックルを表す時間的自己相関関数の1つ又はそれ以上のパラメータを導出し、
前記1つ又はそれ以上のパラメータから前記媒質中を移動する流体の灌流値を決定し、
前記灌流値を出力装置に出力する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項60】
前記露光時間は、約0.001ミリ秒から約1秒までであることを特徴とする、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記露光時間は、約0.1ミリ秒から約100ミリ秒までであることを特徴とする、請求項59に記載のシステム。
【請求項62】
プログラムコードでエンコードされた機械可読記憶媒体であって、前記プログラムコードがプロセッサにより実行されるとき、該プロセッサは、
種々の露光時間で媒質の表面からの複数のレーザスペックル画像を取得し、
前記複数の画像から散乱光のパワースペクトルを決定し、
前記パワースペクトルから前記媒質中を移動する流体の灌流値を決定する、
ステップを含む方法を実行する、
ことを特徴とする機械可読記憶媒体。
【請求項63】
前記方法は、前記スペックル画像の空間的コントラストの変化から時間的自己相関関数を生成し、前記時間的自己相関関数を前記パワースペクトルに変換するステップを含むことを特徴とする、請求項62に記載の機械可読記憶媒体。
【請求項64】
前記パワースペクトルから加重モーメントを計算することを更に含むことを特徴とする、請求項62に記載の機械可読記憶媒体。
【請求項65】
前記露光時間は、約0.001ミリ秒から約1秒までであることを特徴とする、請求項62に記載の機械可読記憶媒体。
【請求項66】
前記露光時間は、約0.1ミリ秒から約100ミリ秒までであることを特徴とする、請求項62に記載の機械可読記憶媒体。
【請求項67】
組織内の灌流を計測する方法であって、
レーザ光下の前記組織の画像を記録し、
前記組織の前記画像からコントラスト画像データを計算し、
前記コントラスト画像にフィットする時間的自己相関関数のパラメータを決定し、
前記パラメータから前記灌流を計算する、
ステップを含むことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図12】
image rotate

【図16】
image rotate

【図20】
image rotate


【公表番号】特表2010−532699(P2010−532699A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515995(P2010−515995)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/NZ2008/000161
【国際公開番号】WO2009/008745
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(506364927)インダストリアル リサーチ リミテッド (12)
【Fターム(参考)】