説明

レーザトリートメント装置

【課題】レーザ照射口の照射面に汚れが付着するとレーザ光の損失の原因となる。照射面を常にクリーンな状態に保ってレーザ光の損失を抑制し、トリートメント効率の劣化を防止する。
【解決手段】被照射部位Sのトリートメントに適合したレーザ光を出射する半導体レーザ3と、半導体レーザ3が出射したレーザ光を照射面7exから被照射部位Sへ照射する導光体7と、導光体7の照射面7exに対し風を吹き付ける送風ファン10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被照射部位に対してレーザ光を照射して、脱毛や発毛、痛み緩和などの各種トリートメントを施すレーザトリートメント装置の分野に係るものである。
【背景技術】
【0002】
このようなレーザトリートメント装置は例えば特許文献1に開示されている。このレーザトリートメント装置では、レーザダイオードから出射したレーザ光は、導光レンズにより導光されつつレーザ照射口から身体に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−278724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーザトリートメント装置は、レーザ照射口の照射面に汚れが付着するとレーザ光の損失の原因となり、トリートメント効率の劣化を招いてしまうという課題があった。
【0005】
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、照射面を常にクリーンな状態に保ってレーザ光の損失を抑制し、トリートメント効率の劣化を防止することが可能なレーザトリートメント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るレーザトリートメント装置は、被照射部位のトリートメントに適合したレーザ光を出射するレーザ光源手段と、レーザ光源手段が出射したレーザ光を照射面から被照射部位へ照射する導光体と、導光体の照射面に対し風を吹き付ける送風手段とを備えるようにしたものである。
【0007】
この発明に係るレーザトリートメント装置は、送風手段は、複数の羽を備えた回転体を回転させて風を発生させる送風ファンであるようにしたものである。
【0008】
この発明に係るレーザトリートメント装置は、送風手段は、手動または電動により空気を圧縮するとともに、この圧縮した空気を導光体の照射面に対して吹き付ける圧縮ポンプであるようにしたものである。
【0009】
この発明に係るレーザトリートメント装置は、レーザ光源手段で発生した熱を放射するための放熱板を備え、送風手段は、導光体の照射面および放熱板に対し同時にまたは交互に風を吹き付けるようにしたものである。
【0010】
この発明に係るレーザトリートメント装置は、ONされるとレーザ光源手段にレーザ光の出射を実行させ、OFFされるとレーザ光源手段にレーザ光の出射を停止させる出射制御手段を備え、送風手段は、出射制御手段のON/OFFに連動して風の吹き付けを実行/停止するようにしたものである。
【0011】
この発明に係るレーザトリートメント装置は、導光体の照射面の周りに設けられ、被照射部位との接触/非接触を検出するタッチセンサ手段を備え、送風手段は、タッチセンサ手段の接触/非接触に連動して風の吹き付けを実行/停止するようにしたものである。
【0012】
この発明に係るレーザトリートメント装置は、導光体の照射面の周りに設けられ、被照射部位との接触/非接触を検出するタッチセンサ手段を備え、このタッチセンサ手段は、送風手段からの風を照射面へ吹き付ける通風口が形成されるようにしたものである。
【0013】
この発明に係るレーザトリートメント装置は、導光体は、汚れが付きにくい加工が照射面に施されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明によれば、被照射部位のトリートメントに適合したレーザ光を出射するレーザ光源手段と、レーザ光源手段が出射したレーザ光を照射面から被照射部位へ照射する導光体と、導光体の照射面に対し風を吹き付ける送風手段とを備えるようにしたので、導光体の照射面に付着する汚れを風の吹き付けにより除去できるようになり、常にクリーンな状態に照射面を保ってレーザ光の損失を抑制し、トリートメント効率の劣化を防止できるという効果が得られる。また、照射面を冷却できるようになり、照射面の耐熱性を向上できるという効果が得られる。さらに、照射面と被照射部位とが接近している場合には、被照射部位も同時に冷却できるようになり、レーザ光の過剰照射により発生する火傷などを抑制できるという効果が得られる。
【0015】
この発明によれば、送風手段は、複数の羽を備えた回転体を回転させて風を発生させる送風ファンであるようにしたので、複数の羽を備えた回転体の回転により風を連続して発生させられるようになり、長い時間にわたって照射面をクリーンな状態に保つことができるという効果が得られる。
【0016】
この発明によれば、送風手段は、手動または電動により空気を圧縮するとともに、この圧縮した空気を導光体の照射面に対して吹き付ける圧縮ポンプであるようにしたので、空気の圧縮の度合いに応じて、より強い風を照射面に吹き付けられるようになり、照射面にしつこく付着した汚れをも容易に除去できるという効果が得られる。
【0017】
この発明によれば、レーザ光源手段で発生した熱を放射するための放熱板を備え、送風手段は、導光体の照射面および放熱板に対し同時にまたは交互に風を吹き付けるようにしたので、風の吹き付けにより放熱板が冷却されて放熱が促進されるようになり、レーザ光源手段の熱性能を向上できるという効果が得られる。
【0018】
この発明によれば、ONされるとレーザ光源手段にレーザ光の出射を実行させ、OFFされるとレーザ光源手段にレーザ光の出射を停止させる出射制御手段を備え、送風手段は、出射制御手段のON/OFFに連動して風の吹き付けを実行/停止するようにしたので、レーザトリートメント装置の使用者にとって送風手段の制御が理解しやすくなり、利便性を向上できるという効果が得られる。
【0019】
この発明によれば、導光体の照射面の周りに設けられ、被照射部位との接触/非接触を検出するタッチセンサ手段を備え、送風手段は、タッチセンサ手段の接触/非接触に連動して風の吹き付けを実行/停止するようにしたので、レーザトリートメント装置の使用者にとって送風手段の制御が理解しやすくなり、利便性を向上できるという効果が得られる。
【0020】
この発明によれば、導光体の照射面の周りに設けられ、被照射部位との接触/非接触を検出するタッチセンサ手段を備え、このタッチセンサ手段は、送風手段からの風を照射面へ吹き付ける通風口が形成されるようにしたので、通風口形成のための余分な外部構成を別途設ける必要がなくなり、レーザトリートメント装置の構成が簡単になるという効果が得られる。
【0021】
この発明によれば、導光体は、汚れが付きにくい加工が照射面に施されるようにしたので、導光体の照射面に汚れが付着しにくくなり、仮に照射面に汚れが付着しても汚れを容易に除去できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーザトリートメント装置の外観を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるレーザトリートメント装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるレーザトリートメント装置の構成を部分的に示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるレーザトリートメント装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図面では、同一の構成または相当する構成については同一の符号を付す。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーザトリートメント装置の外観を示す図、図2はこの発明の実施の形態1によるレーザトリートメント装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0024】
図1,図2において、Sはトリートメント対象となる被照射部位、1はレーザトリートメント装置、2はレーザトリートメント装置1を制御するCPU,3は被照射部位Sのトリートメントに適したレーザ光を出射する半導体レーザ、4は半導体レーザ3を駆動するレーザ駆動回路、5は半導体レーザ3で発生した熱を放射する放熱板、6は半導体レーザ3にレーザ光を出射させる出射制御手段としての出射ボタンである。
【0025】
また、7は半導体レーザ3が出射したレーザ光を受光すると照射面7exから被照射部位Sへ照射する導光体、8は照射面7exの周りに設けられ被照射部位Sとの接触/非接触を検出するタッチセンサ、9はタッチセンサ8の検出結果をCPU2に伝えるタッチセンサ処理回路、10はシロッコファンなどの送風ファン、11は送風ファン10を駆動する送風ファン駆動回路、12は送風ファン10に風を発生させる際に使用する送風ボタン、13は送風ファン10からの風を照射面7exに吹き付ける通風口である。
【0026】
CPU2,送風ファン10および送風ファン駆動回路11から送風手段が、半導体レーザ3およびレーザ駆動回路4からレーザ光源手段が、タッチセンサ8およびタッチセンサ処理回路9からタッチセンサ手段がそれぞれ構成されている。
【0027】
このレーザトリートメント装置1では、例えばトリートメントを行う直前に使用者が送風ボタン12を押すと、送風ファン駆動回路11により送風ファン10が駆動されて強い風が発生する。この風は、送風ファン10からタッチセンサ8に形成された通風口13を通って導光体7の照射面7exへ吹き付け、導光体7の照射面7exに付着した埃などの汚れを飛ばすようになっている。
【0028】
したがって、常にクリーンな状態に保たれた照射面7exからレーザ光を照射でき、照射面7exにおけるレーザ光の損失を抑制でき、トリートメント効率の劣化を防ぐことが可能となっている。同時に、照射面7exが冷却されるようになり、照射面7exの耐熱性を向上できる。
【0029】
なお、レーザトリートメント装置1が被照射部位Sに近接している状態、例えばトリートメント中やトリートメント直前・直後の状態で送風ファン10から照射面7exへ風を吹き付けるようにすれば、照射面7exに近接する被照射部位Sも同時に冷却できるようになり、レーザ光の過剰照射により発生する火傷などを抑制することも可能となる。
【0030】
また、導光体7の照射面7exにフッ素加工などの汚れが付きにくい加工を施すようにしても良い。このことにより、照射面7exに汚れが付着しにくくなり、仮に照射面7exに汚れが付着しても汚れを容易に除去できる。
【0031】
さらに、複数の羽を備えた回転体を回転させて風を発生させる送風ファン10を使用することにより、風を連続して発生させられるようになり、長い時間にわたって照射面7exをクリーンな状態に保つことができる。
【0032】
さらに、図示は省略するが、手動または電動により空気を圧縮するとともに、この圧縮空気を照射面7exに対して一気に吹き付ける圧縮ポンプを送風手段としても良い。空気の圧縮の度合いに応じて、より強い風を照射面7exに吹き付けられるようになり、照射面7exにしつこく付着した汚れをも容易に除去できる。
【0033】
さらに、通風口13は、タッチセンサ8以外の箇所に形成しても良いが、タッチセンサ8に形成することで、通風口13形成のための余分な外部構成を別途設ける必要がなくなり、レーザトリートメント装置1の構成が簡単になる。なお、通風口13を形成するタッチセンサ8は図1のように1個でも良いし、複数個のタッチセンサ8に通風口13を形成しても良い。
【0034】
さらに、例えば図3に示すように、レーザトリートメント装置1において、CPU2が制御可能な電動弁15を備えた分岐パイプ14を送風ファン10に設け、分岐パイプ14の分岐側14Xをタッチセンサ8の通風口13へ、分岐パイプ14の分岐側14Yを放熱板5へ向けておき、以下に示すような制御を行っても良い。
【0035】
図4はこの発明の実施の形態1によるレーザトリートメント装置の動作を示すフローチャートである。
図4において、レーザトリートメント装置1が起動されると、CPU2は、時間を計測するための変数tを初期化し(ステップST1)、電動弁15を制御して、送風ファン10で発生した風が分岐パイプ14の分岐側14Xを通って通風口13から照射面7exに吹き付けるようにする。送風ファン10からの風は、変数tが所定の時間Tairに達するまで導光体7の照射面7exへ吹き付けられる(ステップST2〜ST4)。
【0036】
時間Tairだけ風が吹き付けられると(ステップST4でNo)照射面7exはクリーンな状態になったものとして、CPU2は再び変数tを初期化し(ステップST5)、タッチセンサ8の接触/非接触、出射ボタン6のON/OFFを判断する(ステップST6)。タッチセンサ8の接触と出射ボタン6のONとの両条件が満たされない限り(ステップST6でNo)、安全性確保の観点からレーザ光は出射されず(ステップST7)、送風ファン10を停止し(ステップST8)、待ち受け状態となる(ステップST6〜ST9)。
【0037】
一方、タッチセンサ8の接触がタッチセンサ処理回路9で検出され、出射ボタン6がONされると(ステップST6でYes)、CPU2は、レーザ駆動回路4により半導体レーザ3を駆動し、半導体レーザ3のレーザ光を受光して照射面7exから被照射部位Sにするとともに(ステップST10)、送風ファン駆動回路11により送風ファン10を駆動し、電動弁15を制御して、送風ファン10の風が分岐パイプ14の分岐側14Yを通って放熱板5を吹き付けるようにする(ステップST11)。
【0038】
このように、送風ファン10で照射面7exをクリーンにした後は、送風ファン10の風を放熱板5に吹き付けるようにすることで、放熱板5が冷却されて半導体レーザ3で発生した熱の放射が促進されるようになり、半導体レーザ3の熱性能を向上することができる。
【0039】
CPU2は、変数tが時間Tmaxに達するまでは(ステップST12,ST13でYes)レーザ光の照射(ステップST10)と放熱板5への風の吹き付け(ステップST11)を続け、変数tが時間Tmaxに達すると(ステップST12,ST13でNo)、レーザ光の照射を停止する(ステップST14)。そしてCPU2は、例えば電源ボタンの長押しなどがされなければ他にまだ被照射部位Sがあるものとして(ステップST15でYes)再びステップST1に戻り、電源ボタンの長押しなどがされるともう被照射部位Sはないものとし(ステップST15でNo)、送風ファン10を停止して(ステップST16)一連の処理を終了する。
【0040】
なお、図4では、照射面7exおよび放熱板5への風の吹き付けを交互に行うようにしたが、送風ファン10の風量が十分であるならば、両者への風の吹き付けは同時に行っても良い。
【0041】
また、照射面7exおよび放熱板5への風の吹き付けは、分岐パイプ14を使った方法に限定されず、送風ファンの送風口の向きを可変に構成しておき、この送風口を照射面7exに向けたり、放熱板5に向けたりするようにしても良い。
【0042】
さらに、レーザトリートメント装置1の起動と同時に送風ファン10を駆動し、レーザトリートメント装置1の起動中は、照射面7exや放熱板5に対し送風ファン10から風を常に吹き付けるようにしても良い。
【0043】
さらに、送風ファン10の風の吹き付けも出射ボタン6のON/OFFやタッチセンサ8の接触/非接触に連動して実行/停止するようにすれば、レーザトリートメント装置1の使用者にとって送風ファン10の制御が理解しやすくなり、利便性を向上することができる。
【符号の説明】
【0044】
S 被照射部位、1 レーザトリートメント装置、2 CPU,3 半導体レーザ、4 レーザ駆動回路、5 放熱板、6 出射ボタン、7 導光体、7ex 照射面、8 タッチセンサ、9 タッチセンサ処理回路、10 送風ファン、11 送風ファン駆動回路、12 送風ボタン、13 通風口、14 分岐パイプ、15 電動弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射部位のトリートメントに適合したレーザ光を出射するレーザ光源手段と、
上記レーザ光源手段が出射したレーザ光を照射面から上記被照射部位へ照射する導光体と、
上記導光体の照射面に対し風を吹き付ける送風手段とを備えることを特徴とするレーザトリートメント装置。
【請求項2】
送風手段は、複数の羽を備えた回転体を回転させて風を発生させる送風ファンであることを特徴とする請求項1記載のレーザトリートメント装置。
【請求項3】
送風手段は、手動または電動により空気を圧縮するとともに、この圧縮した空気を導光体の照射面に対して吹き付ける圧縮ポンプであることを特徴とする請求項1記載のレーザトリートメント装置。
【請求項4】
レーザ光源手段で発生した熱を放射するための放熱板を備え、
送風手段は、導光体の照射面および上記放熱板に対し同時にまたは交互に風を吹き付けることを特徴とする請求項1記載のレーザトリートメント装置。
【請求項5】
ONされるとレーザ光源手段にレーザ光の出射を実行させ、OFFされるとレーザ光源手段にレーザ光の出射を停止させる出射制御手段を備え、
送風手段は、上記出射制御手段のON/OFFに連動して風の吹き付けを実行/停止することを特徴とする請求項1記載のレーザトリートメント装置。
【請求項6】
導光体の照射面の周りに設けられ、被照射部位との接触/非接触を検出するタッチセンサ手段を備え、
送風手段は、上記タッチセンサ手段の接触/非接触に連動して風の吹き付けを実行/停止することを特徴とする請求項1記載のレーザトリートメント装置。
【請求項7】
導光体の照射面の周りに設けられ、被照射部位との接触/非接触を検出するタッチセンサ手段を備え、
このタッチセンサ手段は、送風手段からの風を上記照射面へ吹き付ける通風口が形成されることを特徴とする請求項1記載のレーザトリートメント装置。
【請求項8】
導光体は、汚れが付きにくい加工が照射面に施されることを特徴とする請求項1記載のレーザトリートメント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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