説明

レーザ・アーク複合溶接法

【課題】レーザ光溶接および消耗電極式アーク溶接により一対の被溶接部材を溶接接合するに際して、被溶接部材間に大きなギャップが存在していても、裏当て材なしで良好な溶接継手を高速にて形成することのできるレーザ・アーク複合溶接法を提供する。
【解決手段】一対の被溶接部材を、レーザ光溶接および消耗電極式アーク溶接により複合接合するレーザ・アーク複合溶接法において、アーク溶接を先行させると共にレーザ溶接を後行させて、レーザ光照射とアーク放電を同一溶接線上に配置させながら溶接し、且つ溶接線を含み一方の被溶接部材表面と直交する面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と垂直線とのなす角度θ1が10〜40°であり、前記一方の被溶接部材の表面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と溶接線とのなす角度θ2を0〜60°であるように設定して操業する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接および消耗電極式アーク溶接により複合接合して一対の被溶接材を接合するためのレーザ・アーク複合溶接法に関し、特に一対の被溶接材間に大きな隙間が存在しても、溶接裏ビード性状を良好に維持しつつ裏当て材なしで溶接を実施することのできるレーザ・アーク複合溶接法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
切断後の加工履歴をうけた鋼板等の被溶接材では、溶接部分(例えば、突合せ溶接では鋼板の端面)全長に亘って隙間のない若しくは隙間が一定であるということは殆ど無く、2mm以下の大きな隙間(以下、「ギャップ」と呼ぶことがある)が存在するのが通常である。大きなギャップが存在する状態のままで溶接を行うと、溶湯垂れや溶湯垂れによる引け等により未溶着隙間となり、溶接欠陥の原因となる。こうしたことから、比較的大きなギャップが存在しても、溶接欠陥を発生させることなく特性の良好な溶接継手が得られるような(以下、このような特性を「耐ギャップ性に優れる」と称する)溶接方法が望まれているのが実情である。
【0003】
MIG(Inert−gas Metal−arc welding)溶接のような消耗電極式アーク溶接のみで、溶接ワイヤ径(例えば、φ1.2mm)よりも大きなギャップが存在する状態の溶接を行う際には、図1に示すように、裏当て材を溶接線全長に亘って取り付けると共に、複数回溶接(図1では4ビード、3層)する必要があり、コストや手間がかかると同時に生産性に支障を来すという問題がある。また、板厚が比較的薄い(例えば、厚さt:5mm以下)鋼板を被溶接部材として用いた場合には、アークによる熱影響によって、鋼板が変形するという問題がある。
【0004】
一方、レーザ溶接とアーク溶接とを組合せたレーザ・アーク複合溶接法は、エネルギー密度が相互に異なる2つの熱源を利用しているため、溶接速度の高速化、開先寸法精度の緩和、溶込み深さの向上、継手部の強度向上および溶接欠陥の抑制等の効果があることが知られている。また、溶接速度の高速化が達成されることによって、板厚が比較的薄い鋼板を被溶接部材として用いた場合であっても、熱量が小さくなることによるアークによる熱影響による鋼板変形も発生することがないという利点もある。
【0005】
図2は、2枚の鋼板(被溶接材)をレーザ・アーク複合溶接によって突合せ溶接するときの状況例を示す説明図であり、1a,1bは鋼板、2はレーザヘッド、3はレーザ光、4はアークトーチ、5は溶接ワイヤ、6は溶着金属、7は開先、8はルートギャップを夫々示している。溶接方向前方に、レーザヘッド2を、後方にアークトーチ4を夫々配置し、アーク溶接により鋼板1a,1bの溶接部に溶着金属6を生成させる前に、レーザ光3を開先7のルートギャップ8に照射して、そのルートフェイス面をレーザ光3によって溶融させた後、アーク溶接によって開先7間のルートギャップ8内に、溶接ワイヤ5の溶滴を流入させて溶着金属6を形成するものである。
【0006】
こうしたレーザ・アーク複合溶接では、上記した利点を有するものの、耐ギャップ性が依然として良好でない場合があることが指摘されている。即ち、上記の溶接方法は、レーザ溶接を先行させるものであるが、レーザ溶接機と被溶接部材との相対位置の変動によって、レーザ光の焦点位置が溶接過程で変動してしまい、溶込み深さの変動要因となり、こうしたことが比較的大きなギャップが存在しているときに対応できないという問題が生じる。
【0007】
こうした問題を解決するための技術として、例えば特許文献1に示されるようなレーザ・アーク複合溶接方法も提案されている。この技術では、レーザと消耗電極式アーク溶接とを併用するレーザとマグアークによる複合溶接方法において、アークを先行させ、レーザを後行させ、レーザとアークを同一溶接線上に配置させながら溶接するものである。
【0008】
この技術では、レーザ照射するに先立ち、消耗電極式アーク溶接によってシールドガス(イナートガス)をアークトーチから供給しつつ溶着金属を形成するものであり、レーザ光が確実に溶着金属に照射されることになってレーザ光の焦点位置に変動による影響が少なくなり、耐ギャップ性を良好にするものである。
【0009】
しかしながら、この方法では、異厚材の突合わせ溶接では、先に形成された溶着金属をレーザ照射する際に、レーザ光によって溶着金属が分断される(湯分かれ)原因となり、良好なビードが生成されにくいという問題がある。また、耐ギャップ性については、或る程度改良されることになるが、ギャップの大きさが2mm程度にもなると、依然として不十分である。尚、この技術では、耐ギャップ性を更に良好にするための手段として、アークトーチを揺動させることも示唆されているが、こうした手段を採用することは、線速(溶接速度)が落ちる等の影響があり、高速溶接には馴染まない。
【特許文献1】特開2006−224130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、レーザ溶接および消耗電極式アーク溶接により一対の被溶接部材を溶接接合(複合溶接)するに際して、被溶接部材間に大きなギャップが存在していても、裏当て材なしで良好な溶接継手を高速にて形成することのできるレーザ・アーク複合溶接法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成することのできた本発明のレーザ・アーク複合溶接法とは、一対の被溶接部材を、レーザ溶接および消耗電極式アーク溶接により複合接合するレーザ・アーク複合溶接法において、アーク溶接を先行させると共にレーザ溶接を後行させて、レーザとアークを同一溶接線上に配置させながら溶接し、且つ溶接線を含み一方の被溶接部材表面と直交する面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と垂直線とのなす角度θ1が10〜40°であり、前記一方の被溶接部材の表面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と溶接線とのなす角度θ2を0〜60°であるように設定して操業する点に要旨を有するものである。
【0012】
本発明のレーザ・アーク複合溶接法においては、先行させるアーク溶接を行う際に、被溶接材間のギャップを埋めるだけの溶湯供給量を確保するように制御すると共に、後行させるレーザ溶接の際にレーザ光の照射出力を調整して前記溶湯の溶融を制御しつつ操業することが良好なビード性状を確保しつつ耐ギャップ性を更に向上させる上で好ましい条件である。
【0013】
本発明方法を実施するに当たっては、下記の条件(a)〜(e)の少なくともいずれかの条件を満足させることが好ましい。
(a)角度θ1が溶接方向の反対側に開いた前進角であること、
(b)消耗電極式アーク溶接におけるアーク放電狙い位置と前記レーザ光の照射位置との間のアーク・レーザー間隔LAが3〜7mmであること、
(c)消耗電極式アーク溶接における溶接ワイヤの突出長が15〜30mmであること、
(d)消耗電極式アーク溶接がMAG溶接であって、シールドガスがArとCO2の混合ガスであること、
(e)シールドガスは、消耗電極式アーク溶接のアークトーチだけから噴出されたものであること。
【0014】
本発明方法は、開先を形成することなく、鋼板同士を突合せ溶接する場合を想定してものであり、こうした構成を採用することによって耐ギャップ性に優れたものとなるものであるが、ギャップが形成されない状態であっても本発明を実施しても良いことは勿論である。その他、本発明方法は、開先を形成することなく、鋼板同士を重合せ隅肉溶接またはT字型溶接する場合への技術的適用も可能であり、こうした溶接への適用に際しては、その構成上ギャップの存在の有無に拘わらず、良好な溶接継手を形成することができる。
【0015】
本発明のレーザ・アーク複合溶接方法では、先行させるアーク溶接を行う際に、上記のような角度θ12を設定してアーク放電線の方向を傾斜させることを特徴とするものであるが、必要によってレーザ照射線の方向も傾斜させるようにしてもよい。こうした傾斜を行う場合には、一方の被溶接部材表面に対する垂直線とレーザ光の照射線のなす角度θ3を0〜7°に設定することが好ましい。但し、レーザ光を傾斜させる場合には、垂直線の周方向の位置については問わない(垂直線の周方向に対してどの方向に傾斜させてもよい)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アーク溶接を先行させると共にレーザ溶接を後行させるレーザ・アーク複合溶接を実施するに際し、アーク放電線が所定の条件を満足するように傾斜させるようにしたので、被溶接部材間に大きなギャップが存在していても、良好な溶接継手を高速にて形成することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明者は、被溶接部材間に大きなギャップが存在していても、レーザ・アーク複合溶接によって良好な溶接継手を実現するべく、様々な角度から検討した。その結果、先行させるアーク溶接の際に、アーク放電線が上記の条件を満足するように傾斜させてやれば、上記目的に適う溶接継手が得られることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明方法を、図面を用いて説明する。
【0018】
図3[図3(a)は上面図、図3(b)は側面図]、本発明の溶接方法を説明するための図であり、その基本的な構成は開先7を形成しないこと以外は前記図2と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付してある。即ち、本発明方法は、アーク溶接を先行させると共にレーザ溶接を後行させて、レーザとアークを同一溶接線上に配置させながら溶接するものであるが、溶接線を含み一方の被溶接部材表面と直交する面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と垂直線とのなす角度θ1を10〜40°に設定すると共に、一方の被溶接部材の表面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と溶接線とのなす角度θ2を0〜60°に設定して操業するものである。尚、図3中、LAはアーク放電狙い位置とレーザ照射位置との間隔(アークレーザ間距離)を示し、10は溶接ワイヤ突出長を示している。
【0019】
溶接線を含み一方の被溶接部材表面と直交する面内でアーク放電線を傾斜させることは、従来からも行われていることであるのであるが(例えば、前記特許文献1)、この傾斜角度が適切でないと、良好なビードが形成されず、或いはアンダーカットやアンダーフィルが発生する原因となる。こうした観点から、前記角度θ1(以下、「トーチ角度θ1」と呼ぶことがある)は10〜40°の範囲に設定する必要がある。即ち、トーチ角度θ1が10°未満では、アンダーカットとなり、40°を超えるとアンダーフィルや扁平ビードとなる。
【0020】
一方、前記角度θ2(以下、「ベベル角度θ2」と呼ぶことがある)は、0〜60°の範囲に設定する必要がある。ベベル角度θ2が大きくなり過ぎると、溶着金属の溶込みが悪くなったり、スパッタ発生の原因となるので、60°以下とする必要がある。
【0021】
但し、このベベル角度θ2の好ましい範囲は、溶接条件によって異なるものとなる。例えば、通常の突合せ溶接(同厚材同志)の場合に[図3に示した場合]、アーク放電線が前進角[後記図4(a)参照]のときには、10〜40°程度とすることが好ましく、後進角[後記図4(a)参照]のときには、0〜40°程度とすることが好ましい。また、異厚材の突合せ溶接のとき、および重合せ隅肉溶接やT字型溶接のときには、前進角または後進角の如何に関わらず、ベベル角度θ2は10〜60°程度とすることが好ましい。このように溶接条件に応じて、ベベル角度θ2を制御することによって、アーク放電による溶着金属がギャップ間に充填されて(被溶接部材両方に溶着金属が接触して)、良好な耐ギャップ性を実現できることになる。特に、従来では異厚材の突合せ溶接のときに生じていた湯分かれも、本発明においては発生することもない。
【0022】
本発明方法では、上記のようなベベル角度θ2を形成することによって、耐ギャップ性に優れた溶接が実現できるのであるが、こうした効果をより良好に発揮させるために、先行させるアーク溶接を行う際に、被溶接材間のギャップを埋めるだけの溶湯供給量を確保するように制御すると共に、後行させるレーザ溶接の際にレーザ光の照射出力を調整して前記溶湯の溶融を制御しつつ操業することが好ましい。
【0023】
上記「被溶接材間のギャップを埋めるだけの溶湯供給量」とは、溶接の際に検知されたギャップを埋めるに十分な溶湯供給量(計算によって求められる)を意味し、こうした供給量を確保するために、(1)消耗電極式アーク溶接への溶接ワイヤ供給速度の増大、(2)アーク放電出力の増大、(3)アーク溶接速度の低減等を実行する。引き続き、後行させるレーザ溶接の際にレーザ光の照射出力を抑えることによって、熱エネルギーを溶湯に与えて溶湯を熱膨張させ、これによって溶湯を被溶接部材の接合面に吸着させることができる。またこのときの溶湯が半凝固状態となって更に急速に冷却されることになって、ギャップ間の裏ビードは表面張力(大気断熱層との差によるもの)や熱収縮によって、垂れのない溶接継手(特に突き合わせ溶接継手)が得られることになる。また、上記(2)の条件を考慮した場合には、消耗式アーク溶接を行う際の装置は、アーク電流をギャップ量に応じて調整できるもの(300A程度まで)であることが好ましい。
【0024】
ところで、前記トーチ角度θ1は、(a)溶接方向の反対側に開いた前進角、(b)溶接方向の開いた後退角のいずれも採用できるが(前記図3は、前進角を示している)、ビード形状良否、ガスシールド効果の有無、溶接線の追跡の容易性等からして前進角[上記(a)]とすることが好ましい。こうした状況を、図面を用いて説明する。
【0025】
図4は、前進角および後退角の状況を説明する図であり、図4(a)は前進角、図4(b)は後退角を夫々示している。即ち、前進角とは、トーチ角度θ1が溶接方向の反対側に開いた状態[図4(a)]を意味し、後退とはトーチ角度θ1が溶接方向に開いた状態[図4(b)]を意味する。このうち前進角を採用する場合には、後退角を用いる場合に比べて、浅溶け込みで広幅は扁平ビードとなり易いが(後退角の場合には深溶け込みの凸状ビード:後記図18参照)、こうした点はアーク溶接に続いて実施されるレーザ溶接によって補うことができる。
【0026】
消耗電極式アーク溶接のトーチ角度θ1を前進角とし、且つアーク溶接をレーザ溶接に先行させるためには、アークトーチをレーザヘッドよりも溶接方向後方に配置する必要があるが(前記図3参照)、このような場合には、アーク溶接の溶接ワイヤとレーザ照射との干渉を避ける必要がある。この点に関して、本発明の溶接方法においては、アーク放電線(即ち、アークトーチ)に上記のようなベベル角度θ2を形成するものであるので、容易に回避することができる。
【0027】
本発明のレーザ・アーク複合溶接方法においては、消耗電極式アーク溶接におけるアーク放電狙い位置(溶接点)と前記レーザ光の照射位置との間のアーク・レーザー間隔LA(前記図3参照)も適切に設定することも重要である。即ち、レーザ照射とアーク放電が干渉することなく、両者を併用することによる効果を有効に発揮させるためには、アーク・レーザー間隔LAを3mm以上とすることが好ましい。しかしながら、アーク・レーザー間隔LAが大きくなり過ぎると、後行させるレーザ照射による効果が発揮され難くなるので、7mm以下とすることが好ましい。
【0028】
消耗電極式アーク溶接を行うに当たっては、溶接ワイヤの突出長(前記図3参照)も適切に制御することは、溶接ワイヤ溶融量や電流安定性を良好に維持する上で、重要な要件である。こうした観点から、溶接ワイヤの突出長(以下、「ワイヤ突出長」と呼ぶことがある)は15〜30mm程度にすることが好ましく、こうした要件を満足させることによって、高速下で安定したビードを先行させて形成することができる。尚、本発明方法によれば、ギャップ量:0〜2mmで、溶接速度:0.5〜2m/min程度が確保できることになる。
【0029】
本発明で適用する消耗電極式アーク溶接法は、基本的に不活性ガス(例えば、Ar:100容量%)を用いるMIG溶接が代表的な方法として挙げられるが、こうした方法に限らず、シールドガスとして一部にCO2ガスを含んだ雰囲気で行うMAG(Metal active−gas shilded arc welding)溶接を適用することができる。また、こうしたMAG溶接を適用する際のシールドガスとしてはArとCO2の混合ガス(一般的には80%Ar+20%CO2:「%」は容量%を示す)が挙げられる。
【0030】
また、消耗電極式アーク溶接法に引き続いて行われるレーザ溶接の際にも、レーザ照射雰囲気は、できるだけ不活性雰囲気であることが好ましいが、上記のような混合ガス雰囲気であれば、そのまま使用することができる。即ち、本発明方法を実施するに当たっては、その雰囲気を形成するシールドガスは、消耗電極式アーク溶接のアークトーチだけから噴出されたものを使用すれば良く、レーザ溶接の際に改めてその雰囲気を調整する必要はない。
【0031】
本発明方法は、開先を形成することなく、鋼板同士を突合せ溶接する場合を想定したものであり(前記図2参照)、本発明の構成を採用することによって耐ギャップ性に優れたものとなるものであるが、ギャップが形成されない状態であっても本発明を実施しても良いことは勿論である。また本発明方法は、同厚さの鋼板同士を突合せ溶接する場合に限らず、板厚の異なる鋼板(異厚材)を突合せ溶接する場合にも適用できるものである。但し、開先を形成することなく、鋼板同士を重合せ隅肉溶接またはT字型溶接する場合への技術的に適用することも有用であり、こうした溶接への適用に際しては、その構成上ギャップの存在の有無に拘わらず、良好な溶接継手を形成することができる。
【0032】
図5は重合せ隅肉溶接を行う場合の概略を説明するための図であり、この場合は一対の鋼板1a,1b間の形成される肉盛り部分12にアーク放電とレーザ光照射を行うことになる(レーザ照射方向は鋼板1a,1b間方向)。こうした重合せ隅肉溶接を行う場合に、角度θ12を設定する基準となる被溶接部材表面は、肉盛りされる一方の鋼板1b側の端面1cとなる。図6はT字型溶接を行う場合の概略を説明するための図であり、この場合は一対の鋼板1a,1b間にアーク放電とレーザ光照射を行うことになる。こうしたT字型溶接を行う場合に、角度θ12を設定する基準となる被溶接部材表面は、T字型継手を構成する一方の鋼板1b側の表面1dとなる(板厚の異なる鋼板を突合せ溶接する場合には、図6に示した状態に準ずる)。
【0033】
本発明のレーザ・アーク複合溶接方法では、先行させるアーク溶接を行う際に、上記のような角度θ12を設定してアーク放電線の方向を傾斜させることを特徴とするものであるが、必要によってレーザ照射線の方向も傾斜させるようにしてもよい。こうした傾斜を行う場合には、一方の被溶接部材表面に対する垂直線とレーザ光の照射線のなす角度θ3を0〜7°に設定することが好ましい。但し、レーザ光の照射線のなす角度θ3は、溶接条件によってもその最適範囲が異なり、例えば突合せ溶接の場合には、θ3=0°にすること(即ち、傾斜しないこと)が好ましく、隅肉溶接やT字型溶接ではθ3=7°程度まで傾斜させることが好ましい。
【0034】
レーザ光を傾斜させる場合には、垂直線の周方向の位置については問わない(垂直線の周方向に対してどの方向に傾斜させてもよい)。しかしながら、レーザ光の照射線のなす角度θ3を0〜7°だけを傾斜させて、角度θ12を設定しない(即ち、アーク放電線の方向を傾斜させない)場合には、耐ギャップ性を良好にする上では不十分である(後記比較例2参照)。またレーザ光を傾斜させる場合には、アーク放電線と干渉が生じないように考慮する必要がある。
【0035】
本発明のレーザ・アーク複合溶接法で用いるレーザ光は、溶接される鋼板(被溶接部材)に対してエネルギーを与えることができるものであれば特に限定されず、例えばCO2レーザ、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、半導体レーザ、ファイバーレーザ等を用いることができるが、レーザ光の移送性を考慮すれば、YAGレーザやファイバーレーザを採用するのが好ましい。
【0036】
本発明方法で用いられる被溶接部材(金属板)の種類についても限定されず、上記した鋼板以外にも、例えばアルミ板等にも適用できるものである。また、こうした被溶接部材の厚さについても限定されず、板厚が3〜4mmの薄板であっても、変形を発生させることなく、溶接できるが、板厚が12mmまでの金属板についても(厚さの異同に拘わらず)適用できるものである。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0038】
[比較例1]
板厚が6mm(t6)と4.5mm(t4.5)の鋼板[鋼種:引張強度490MPa級鋼板(SM490A)]を用意し、MAGアーク溶接(溶接装置:HITACHI350II、アーク溶接については以下同じ)によって突合せ溶接を行った。また板厚が12mm(t12)と9mm(t9)の鋼板(鋼種:上記と同じ)をも用意し、MAGアーク溶接によって突合せ溶接を行った(溶接長:200mm)。このときの溶接条件を下記表1に示す。また、溶接ワイヤは、MG−50(直径:1.2mm)を使用し、溶接速度:0.4m/min(40cm/min)とし、80%Ar+20%CO2の混合ガスを噴射しつつ(ガス流量20〜30L/min)溶接を行った。尚、下記表1における層数3、パス数4とは、前記図1に示した状態(開先角度:60°、ギャップ:4mm)であることを意味する。
【0039】
【表1】

【0040】
MAG溶接だけで得られた溶接継手は、鋼板に変形が認められ、良好な溶接継手が得られないことが確認できた。また裏当て材も必要であった。図7は、このとき得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真であり、図7(a)は試験No.1の溶接継手(t6/t4.5)を示し、図7(b)は試験No.2の溶接継手(t12/t9)を示している。図7において、「熱影響部」と示した部分にて変形が生じていた。
【0041】
[比較例2]
板厚が6mm(t6)と4.5mm(t4.5)の鋼板[鋼種:引張強度490MPa級鋼板(SM490A)]を用意し、ファイバーレーザ溶接によって突合せ溶接を行った。また板厚が12mm(t12)と9mm(t9)の鋼板(鋼種:上記と同じ)を用意し、ファイバーレーザ溶接によって突合せ溶接を行った(溶接長:200mm)。このときの溶接条件を下記表2に示す。シールドガスとしてArガス(100%Ar)を噴射しつつ(ガス流量30L/min)溶接を行った。また、ファイバーレーザ溶接のレーザ光は、必要によって傾斜させた(前記角度θ3)。
【0042】
尚、下記表2中において、「焦点との差」とは、レーザ焦点が溶接点の位置からどれだけ離れているかを示したものであり、レーザ焦点が溶接点の位置より手前側(レーザ照射側)の場合を「+」、レーザ焦点が溶接点の位置より反対側(鋼板裏側)の場合を「−」で示している。このようにして、レーザ焦点を溶接点の位置からずらすことによって、溶接点における出力を調整するものである。また、必要によって、レーザ光の照射位置を厚板側にずらした状態(シフトした状態)とした(試験No.3:1mmシフト、試験No.4:1.5mmシフト、試験No.5:シフトなし、試験No.6:1.5mmシフト)。
【0043】
【表2】

【0044】
図8は、このとき得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観(表面、裏面)を示す図面代用写真であり、図8(a)は試験No.3の溶接継手(t6/t4.5:角度θ3=0°)を示し、図8(b)は試験No.4の溶接継手(t6/t4.5:角度θ3=18°)を示している。また図9は、このとき得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の他の外観(表面、裏面)を示す図面代用写真であり、図9(a)は試験No.5の溶接継手(t12/t9:角度θ3=0°)を示し、図9(b)は試験No.6の溶接継手(t12/t9:角度θ3=18°)を示している。尚、図8、9においては、鋼板相互のギャップ(図中、「Gap」と記する)を0〜2.5mmで変化させた状態を示している。
【0045】
この結果から、次のように考察できた。レーザ溶接だけで突合せ溶接した場合に、レーザ光を傾斜させないときには(角度θ3=0°)、ギャップが小さい状態でないと良好な溶接が実現できないのであるが[図8(a)でギャップが0.6mmまで、図9(a)でギャップが0.9mmまで]、レーザ光を傾斜させたときには(角度θ3=18°)、ギャップがある程度大きくなっても良好な溶接が実現できていることが分かる[図8(b)でギャップが1.0mmまで、図9(b)でギャップが1.5mmまで]。しかしながら、レーザ溶接だけで突き合わせ溶接した場合には、レーザ光を傾斜させた場合であっても、ギャップが1.5mmまでしか対応できない状況であった。
【0046】
[実施例1]
板厚が6mmの鋼板[鋼種:引張強度490MPa級鋼板(SM490A)]を一対用意し、MAGアーク溶接とファイバーレーザ溶接との複合溶接(アーク溶接先行、レーザ溶接後行)によって突合せ溶接を行った(溶接長:200mm)。このとき下記表3に示すように溶接条件を変えて溶接を行った。シールドガスとしては、80%Ar+20%CO2ガスを噴射しつつ(ガス流量30L/min)溶接を行った。また、ファイバーレーザ溶接のレーザ光は、傾斜させない状態とした(前記角度θ3=0°)。
【0047】
【表3】

【0048】
図10〜13は、このとき得られた溶接継手(突き合わせ溶接継手)の外観(表面、裏面)を示す図面代用写真であり、図10は試験No.7の溶接継手、図11は試験No.8の溶接継手、図12は試験No.9の溶接継手、図13は試験No.10の溶接継手、を夫々示している(図中、「前進角MAG先行HYB溶接」または「後退角MAG先行HYB溶接」と記す)。
【0049】
この結果から明らかなように、アーク放電の方向(トーチ角度θ1、ベベル角度θ2)を適切に設定しつつレーザ・アーク複合溶接を行った場合には、ギャップの大小に拘わらず良好な溶接が実現できていることが分かる。
【0050】
[実施例2]
板厚が6mmの鋼板[鋼種:引張強度490MPa級鋼板(SM490A)]を一対用意し、MAGアーク溶接とファイバーレーザ溶接との複合溶接(アーク溶接先行、レーザ溶接後行)によって突合せ溶接を行った(溶接長:200mm)。また板厚が4.5mmの鋼板(鋼種:上記と同じ)を一対用意し、MAGアーク溶接とファイバーレーザ溶接との複合溶接(アーク溶接先行、レーザ溶接後行)によって突合せ溶接を行った(溶接長:200mm)。このときの溶接条件を下記表4に示す。シールドガスとしては、80%Ar+20%CO2ガスを用いた(ガス流量30L/min)。また、ファイバーレーザ溶接のレーザ光は、傾斜させない状態とした(前記角度θ3=0°)。
【0051】
【表4】

【0052】
図14〜17は、このとき得られた溶接継手(突き合わせ溶接継手)の外観(表面、裏面)を示す図面代用写真であり、図14は試験No.11の溶接継手、図15は試験No.12の溶接継手、図16は試験No.13の溶接継手、図17は試験No.14の溶接継手、を夫々示している。
【0053】
この結果から明らかなように、アーク放電の方向(トーチ角度θ1、ベベル角度θ2)を適切に設定しつつレーザ・アーク複合溶接を行った場合には、良好な溶接が実現できていることが分かる。また、前進角MAG先行レーザ・アーク複合溶接(図中、「前進角MAG先行HYB溶接」と記す)では、比較的扁平なビードが形成され(図14、16)、後退角MAG先行レーザ・アーク複合溶接(図中、「後退角MAG先行HYB溶接」と記す)では、凸状のビードが形成されるが(図15、17)、いずれの場合であっても裏当て材をしなくても溶落ちが発生すことなく、良好な裏ビートが形成されていることが分かる。
【0054】
このときのビード形状を模式的に図18に示す。図18(a)は後退角MAG先行HYB溶接のときのビード形状を、図18(b)は前進角MAG先行HYB溶接のときのビード形状を夫々示している。本発明者が確認したところによれば、ビード形状の如何に拘わらず、溶込み量については、それほど変らない状況であった。また、いずれの場合であっても、ビード端部については、比較的滑らかに形成されており、この部分の応力集中は低減されていることが確認できた。
【0055】
[実施例3]
板厚が12mm(t12)と4.5mm(t4.5)の鋼板[鋼種:引張強度490MPa級鋼板(SM490A)]を用意し、MAGアーク溶接とファイバーレーザ溶接との複合溶接(アーク溶接先行、レーザ溶接後行)によってT文型溶接を行った(溶接長:200mm)。また板厚が6mm(t6)と4.5mm(t4.5)の鋼板(鋼種:上記と同じ)を用意し、MAGアーク溶接とファイバーレーザ溶接との複合溶接(アーク溶接先行、レーザ溶接後行)によってT字型溶接をも行った(溶接長:200mm)。このときの溶接条件を下記表5に示す。シールドガスとしては、80%Ar+20%CO2ガスを用いた(ガス流量30L/min)。また、ファイバーレーザ溶接のレーザ光照射はレーザ焦点を溶接点から3mm手前(焦点との差:+3mm)となるようにし、溶接点でのレーザ径を0.695mmとなるように設定した。尚、いずれの場合も、前記図6に示した鋼板1b側を板厚が薄い側とした。
【0056】
【表5】

【0057】
図19、20は、このとき得られた溶接継手(T字型溶接継手)の外観(表面、裏面)を示す図面代用写真であり、図19は試験No.15の溶接継手、図20は試験No.16の溶接継手、を夫々示している。
【0058】
この結果から明らかなように、アーク放電の方向(トーチ角度θ1、ベベル角度θ2)を適切に設定しつつレーザ・アーク複合溶接を行った場合には、T字型溶接を行う場合であっても良好な溶接が実現できていることが分かる。
【0059】
[実施例4]
板厚が9mmの鋼板[鋼種:引張強度490MPa級鋼板(SM490A)]を一対用意し、MAGアーク溶接とファイバーレーザ溶接との複合溶接(アーク溶接先行、レーザ溶接後行)によって重合わせ隅肉溶接を行った(溶接長:200mm)。このときの溶接条件を下記表6に示す。シールドガスとしては、80%Ar+20%CO2ガスを用いた(ガス流量30L/min)。また、ファイバーレーザ溶接のレーザ光照射はレーザ焦点を溶接点から3mm手前(焦点との差:+3mm)となるようにし、溶接点でのレーザ径を0.695mmとなるように設定した。
【0060】
【表6】

【0061】
図21は、このとき得られた溶接継手(重合わせ隅肉溶接継手)の外観(肉盛り付近)を示す図面代用写真である。この結果から明らかなように、アーク放電の方向(トーチ角度θ1、ベベル角度θ2)を適切に設定しつつレーザ・アーク複合溶接を行った場合には、重合わせ隅肉溶接を行う場合であっても良好な溶接が実現できていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】消耗電極式アーク溶接のみで、大きなギャップが存在する状態の溶接を行う場合の説明図である。
【図2】2枚の鋼板(被溶接材)をレーザ・アーク複合溶接によって突合せ溶接するときの状況例を示す説明図である。
【図3】本発明の溶接方法を説明するための図である。
【図4】前進角および後退角の状況を説明する図である。
【図5】本発明によって重合せ隅肉溶接を行う場合の概略を説明する図である。
【図6】本発明によってT字型溶接を行う場合の概略を説明する図である。
【図7】比較例1でアーク溶接だけで得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図8】比較例2でレーザ溶接だけで得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図9】比較例2でレーザ溶接だけで得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の他の外観を示す図面代用写真である。
【図10】実施例1の試験No.7で得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図11】実施例1の試験No.8で得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図12】実施例1の試験No.9で得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図13】実施例1の試験No.10で得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図14】実施例2の試験No.11で得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図15】実施例2の試験No.12で得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図16】実施例2の試験No.13で得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図17】実施例2の試験No.14で得られた溶接継手(突合せ溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図18】前進角または後退角がビード形状に与える影響を模式的に示した説明図である。
【図19】実施例3で得られた溶接継手(T字型溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【図20】実施例3で得られた溶接継手(T字溶接継手)の他の外観を示す図面代用写真である。
【図21】実施例4で得られた溶接継手(重合せ隅肉溶接継手)の外観を示す図面代用写真である。
【符号の説明】
【0063】
1a,1b 鋼板
2 レーザヘッド
3 レーザ光
4 アークトーチ
5 溶接ワイヤ
6 溶着金属
7 開先
8 ルートギャップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の被溶接部材を、レーザ溶接および消耗電極式アーク溶接により複合接合するレーザ・アーク複合溶接法において、アーク溶接を先行させると共にレーザ溶接を後行させて、レーザ光照射とアーク放電を同一溶接線上に配置させながら溶接し、且つ溶接線を含み一方の被溶接部材表面と直交する面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と垂直線とのなす角度θ1が10〜40°であり、前記一方の被溶接部材の表面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と溶接線とのなす角度θ2を0〜60°であるように設定して操業することを特徴とするレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項2】
先行させるアーク溶接を行う際に、被溶接材間の隙間を埋めるだけの溶湯供給量を確保するように制御すると共に、後行させるレーザ溶接の際にレーザ光の照射出力を調整して前記溶湯の溶融を制御しつつ操業する請求項1に記載のレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項3】
前記角度θ1が溶接方向の反対側に開いた前進角である請求項1または2に記載のレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項4】
消耗電極式アーク溶接におけるアーク放電狙い位置と前記レーザ光の照射位置との間のアーク・レーザー間隔LAが3〜7mmである請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項5】
消耗電極式アーク溶接における溶接ワイヤの突出長が15〜30mmである請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項6】
消耗電極式アーク溶接がMAG溶接であって、シールドガスがArとCO2の混合ガスである請求項1〜5のいずれかに記載のレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項7】
前記シールドガスは、消耗電極式アーク溶接のアークトーチだけから噴出されたものである請求項6に記載のレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項8】
開先を形成することなく、鋼板同士を突合せ溶接するものである請求項1〜7のいずれかに記載のレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項9】
開先を形成することなく、鋼板同士を重合せ隅肉溶接またはT字型溶接するものである請求項1〜7のいずれかに記載のレーザ・アーク複合溶接法。
【請求項10】
一方の被溶接材表面に対する垂直線とレーザ光の照射線のなす角度θ3を0〜7°に設定して操業する請求項1〜9のいずれかに記載のレーザ・アーク複合溶接法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図18】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−125512(P2010−125512A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305941(P2008−305941)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】