説明

レーザ・ビーム散乱用スピナ

【課題】レーザ・ビームを散乱するための対になっているオフセット・ファセットを備えるミラー付きスピナを提供する。
【解決手段】このミラー付きスピナは、第2の数の対のオフセット・ミラー付きファセットを含む第1の数のミラー付きファセットを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学スキャナに関し、特に、対になっているオフセット・ファセットを備えるミラー付きスピナに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なバーコード・スキャナは、入射レーザ・ビームを一連の光線ファン内に走査するためにミラー付きスピナを使用する。これらのファンは、平面上に投影された場合、一連のほぼまっすぐな曲線(走査線)を生成する。通常、ミラー付きスピナのいくつかのファセットは異なる角度で傾斜しているために、一組の間隔を置いた平行な線を生成する。これらの線の長さは、ファセット走査角の接線およびスピナと投影面との間の距離に比例する。従来のスピナは、正多角形で複数の組の等しい長さの走査線を生成する。
【0003】
垂直方向を向いているバーおよびスペースを走査するための平行な水平走査線および水平方向を向いているバーおよびスペースを走査するための平行な垂直走査線を生成するための従来のスピナを内蔵するスキャナの場合には、垂直走査線のうちのいくつかは冗長なものであり、無駄なものである。垂直線は、その長さで走査空間を満たし、そんなに反復をしなくてもすむ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、対になっているオフセット・ファセットを備えるミラー付きスピナを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、対になっているオフセット・ファセットを備えるミラー付きスピナを提供する。
【0006】
対になっているオフセット・ファセットを備えるミラー付きスピナは、レーザ・ビームを散乱するためのものである。ミラー付きスピナは第1の数のミラー付きファセットを含み、第1の数のミラー付きファセットは第2の数の対のオフセット・ミラー付きファセットを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照すると、例示としてのバーコード・スキャナ10は、レーザ12と、ミラー付きスピナ16と、パターン・ミラー18と、集光器20と、検出器22と、制御回路24とを含む。レーザ12はレーザ・ビームを発生する。
【0008】
ミラー付きスピナ16は、レーザ・ビームをパターン・ミラー18の方向に向ける。ミラー付きスピナ16は、さらに、アイテム30からの反射光を集光器20の方向に向ける。モータ28は、ミラー付きスピナ16を回転する。
【0009】
パターン・ミラー18は、アイテム30上のバーコードを走査するための走査光ビームを発生する。パターン・ミラー18は、さらに、アイテム30からの反射光を集光し、反射光をミラー付きスピナ16の方向に向ける。
【0010】
集光器20は、ミラー付きスピナ16からの反射光を集光する。
【0011】
検出器22は、反射光を反射光の輝度に基づいて電気信号に変換する。
【0012】
制御回路24は、レーザ12およびモータ28の動作を制御し、検出器22からの電気信号に含まれているバーコード情報を復号する。制御回路24は、復号されたバーコード情報を小売端末などのコンピュータ26に送る。
【0013】
図2を参照すると、この図は、例示としてのミラー付きスピナ16の詳細図である。例示としてのミラー付きスピナ16は、6つのミラー付きファセット40〜50を含む。4つ以上のミラー付きファセットが想定される。
【0014】
例示としてのミラー付きスピナ16は、2対のオフセット・ミラー付きファセット40、42および44、46を含む。この例の場合、ファセットのオフセットの状態は、6つの等しい側面を有する多角形スピナに対して画定される。ファセット40および44は、頂点60を通り、中心線62に垂直な線64から頂角θの方向を向いている。ファセット42および46は、頂点66を通り、中心線62に垂直な線68から頂角θの方向を向いている。
【0015】
異なる頂角θおよびθを形成するオフセットを決定する任意の方法を使用することができる。オフセットを決定する例示としての1つの方法は、オフセット角Δを定義し、それを1対のファセット角度から差し引き、それをもう1対のファセット角度に加算する方法である。
【0016】
例えば、6つの等しい側面を有する多角形スピナの場合には、6つすべての側面は同じ頂角30度を有する。頂角θは30度−Δに等しく、頂角θは30度+Δに等しい。図の例の場合には、オフセット角Δは約15度である。それ故、頂角θは約15度であり、頂角θは約45度である。
【0017】
ファセット48および50は、上記対のオフセット・ファセットを一緒にリンクしている。ファセット48は、ファセット40をファセット46にリンクしている。ファセット50はファセット44をファセット42にリンクしている。
【0018】
図3を参照すると、オフセット・ミラー付きファセット40、42および44、46は、一組の走査ビーム70を形成する。その走査ビームが基準線72から基準線74に延びる、実質的に等しいファセット角度を有する従来のミラー付きスピナが形成する走査ビームと比較すると、ミラー付きスピナ16は、それぞれ一方の端部で短くなっていて、対向端部上を延びる走査ビーム70を形成する。
【0019】
ミラー付きファセット40、46および50は、走査ビーム78の生成に寄与する。ミラー付きファセット42、44および48は、走査ビーム76の生成に寄与する。走査ビーム76および78は、飛び越し走査してもよいし、または飛び越し走査しなくてもよい。
【0020】
ミラー付きスピナは、走査線80を生成するために走査ビーム70の一部を使用するパターン・ミラー18の方向に走査ビーム70を向ける。この例の場合には、この走査ビームの一部は、基準線72、73、74および75により画定される。
【0021】
図4を参照すると、この図は、ミラー付きスピナ16の使用による例示としての走査パターン80を示す。パターン・ミラー18の任意の配置により、走査パターン80は、基準線72および74の間で走査ビーム70の一部からの6つの水平走査線82を含む。ミラー付きファセット40〜50は、すべて水平走査線82の生成に寄与する。
【0022】
走査パターン80は、さらに、3つの左の垂直走査線84と、3つの右の垂直走査線86とを含む。左の垂直走査線84は、基準線73の左の走査ビーム70の一部を使用する。ミラー付きファセット42、44および48は、左の垂直走査線84の生成に寄与する。
【0023】
右の垂直走査線86は、基準線75の右の走査ビーム70の一部を使用する。ミラー付きファセット40、46および50は、右の垂直走査線86の生成に寄与する。
【0024】
スピナ16を使用すると、各側面上の垂直走査線の数が、従来のスピナの場合の6つから3つに低減する。しかし、スピナ16は、左右の垂直走査線84および86の長さを、従来のスピナが生成する垂直走査線の長さよりも長くする。それ故、垂直走査線の数が少なくてすむ。
【0025】
都合の良いことに、スピナ16を使用すると、柔軟にパターン設計を行うことができる。多くのバーコード・スキャナ用途の場合、数は少ないが、長さの長い垂直走査線を生成し、走査パターンの中央に追加の走査線を生成すると、走査パターンが遥かに優れたものになる。この目的のために、そうでない場合、従来のスピナにより使用されるレーザ電力を、走査パターン80の中央に追加の走査線を生成する目的で、6つの左および6つの右の垂直走査線を生成するためだけに使用するために、追加のパターン・ミラー18を追加することができる。
【0026】
例示としての走査パターン80は、さらに、3つの左および3つの右の斜め走査線88および90を含む。スピナ16を使用すると、左右の斜め走査線88および90の長さが、従来のスピナが生成する斜め走査線より長くなる。
【0027】
左の斜め走査線80は、基準線72および73の間の走査ビーム70の一部を使用する。ミラー付きファセット42、44および48は、左の斜め走査線88の生成に寄与する。
【0028】
右の斜め走査線80は、基準線74および75の間の走査ビーム70の一部を使用する。ミラー付きファセット40、46および50は、右の斜め走査線90の生成に寄与する。
【0029】
いくつかの実施形態を特に参照してきたが、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなしに、種々の変更および修正を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】例示としての光学スキャナのブロック図である。
【図2】対になっているオフセット・ファセットを備える例示としてのミラー付きスピナの略図である。
【図3】従来の走査線と、例示としてのミラー付きスピナにより生成した例示としての走査線との間の違いを示す図である。
【図4】例示としてのミラー付きスピナにより生成した例示としての走査パターンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ・ビームを散乱するためのスピナであって、
第1の数のミラー付きファセットを備え、前記第1の数のミラー付きファセットが第2の数の対のオフセット・ミラー付きファセットを含むスピナ。
【請求項2】
前記第1の数が少なくとも4である、請求項1に記載のスピナ。
【請求項3】
前記第1の数が少なくとも6である、請求項1に記載のスピナ。
【請求項4】
前記第2の数が少なくとも2である、請求項1に記載のスピナ。
【請求項5】
前記オフセット・ミラー付きファセットが、多角形の頂角からオフセット角を加算および減算することにより決まる第1および第2の頂角を有する、請求項3に記載のスピナ。
【請求項6】
前記オフセット角が約15度である、請求項5に記載のスピナ。
【請求項7】
レーザ・ビームを散乱するためのスピナであって、
第1の頂角を有する第1の対の隣接するミラー付きファセットと、
前記第1の頂角とは異なる第2の頂角を有する第2の対の隣接するミラー付きファセットとを含む多数のミラー付きファセットを備えるスピナ。
【請求項8】
前記第1の頂角が、多角形の頂角へのオフセット角の加算により決まり、前記第2の頂角が、多角形の頂角への前記オフセット角の加算により決まる、請求項7に記載のスピナ。
【請求項9】
前記第1および第2の対の隣接するミラー付きファセットが、一方の端部のところで短くなり、対向端部上を延びる走査ビームを生成する、請求項7に記載のスピナ。
【請求項10】
第1のグループの1つ置きのミラー付きファセットが、右の端部上で短くなり、左の端部上を延びる第1の組の走査ビームを生成し、第2のグループの1つ置きのミラー付きファセットが、左の端部上で短くなり、右の端部上を延びる第2の組の走査ビームを生成する、請求項9に記載のスピナ。
【請求項11】
前記第1および第2の組の走査ビームが飛び越し走査する、請求項10に記載のスピナ。
【請求項12】
バーコード・スキャナであって、
レーザ・ビームを生成するためのレーザと、
前記レーザ・ビームから走査ビームを生成するためのスピナとを備え、前記スピナが、
第1の頂角を有する第1の対の隣接するミラー付きファセットと、
前記第1の頂角とは異なる第2の頂角を有する第2の対の隣接するミラー付きファセットとを含み、さらに、
走査ビームから走査線を生成するための複数のパターン・ミラーを備えるバーコード・スキャナ。
【請求項13】
前記走査ビームが、一方の端部上で短くなり、対向端部上を延びる、請求項12に記載のスキャナ。
【請求項14】
前記スピナが6つのミラー付きファセットを備える、請求項13に記載のスピナ。
【請求項15】
前記パターン・ミラーが、前記走査ビームを、6つの水平走査線、3つの左の垂直走査線、3つの右の走査線、3つの左の斜め走査線、および3つの右の斜め走査線に分割する、請求項14に記載のスピナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−9986(P2008−9986A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−168002(P2007−168002)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】