説明

レーザーイメージング

基材上にイメージを形成する方法であって、最初は非反応性であるが、活性化によって反応性となる活性化可能発色化合物を基材へ適用すること、イメージを形成すべき基材の領域内の前記発色化合物を活性化すること、および活性化された発色化合物を反応させてその発色形態とすることによってイメージを作製すること、を含む。本方法を用いてイメージ形成された基材も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化可能発色化合物を基材へ適用することを含む、基材上にイメージを形成する方法、およびそれによってイメージ形成された基材に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のジアセチレンは、光への曝露によって発色する能力を有することが知られている。10,12−ペンタコサジイン酸は、そのようなジアセチレンの例として本技術分野で公知である。この化合物は、その未反応状態において最初は無色であるが、UV光へ曝露すると、トポ化学重合反応を起こして青色のポリジアセチレンを生成し、続いてこれは、熱摂動(thermal perturbations)によって赤色の形態へと変換することができる。
【0003】
特許文献1には、10,12−ペンタコサジイン酸などのジアセチレンを、光酸発生種または光塩基発生種と組み合わせて、カラー印刷用途へ適用することが教示されている。10,12−ペンタコサジイン酸などの発色ジアセチレンは、通常、非常に反応性が高く、50mJcm-2という低いフルエンス値への曝露で最初の重合反応を起こすことができる。この高反応性のために、バックグラウンド放射線に対する安定性は低い。感光性ジアセチレンは、次第に、保存中に重合を起こし、青色へ変色する。このような化合物による無色のコーティングを作製するためには、通常、使用前にこれらを再結晶によって精製する必要があり、これは、時間を取られ、時間を浪費するものである。さらに、これらのジアセチレンを用いて作製されたコーティングはいずれも、バックグラウンド放射線への曝露によって次第に青色に変色してしまう。このことは、このコーティングを使用することができる用途の範囲を厳しく制限するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第06/018640号
【発明の概要】
【0005】
第一の局面では、本発明は、基材上にイメージを形成する方法を提供し、その方法は、最初は非反応性であるが、活性化によって反応性となる活性化可能発色化合物を基材へ適用すること、イメージを形成すべき基材の領域内の前記発色化合物を活性化すること、および活性化された発色化合物を反応させてその発色形態とすることによってイメージを作製すること、を含む。
【0006】
第二の局面では、本発明は、本発明の第一の局面の方法を用いてイメージ形成された基材を提供する。
【0007】
第三の局面では、本発明は、人および/または機械による読み取りが可能である情報を表示するための、本発明の第二の局面に従う基材の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、その最初の固体形態ではUV光に対して非反応性であり、この最初の形態では本質的に光誘発色変化反応を起こすことができない特定のジアセチレン化合物を観察した。しかし、前記ジアセチレン化合物は、溶融および再固化を例とするある方法で活性化された場合、UV光に対する反応性が高い固体形態に変換され、続いてこれは、以下のような光誘発色変化反応を起こす:無色から青色、マゼンタ色へ、赤色、オレンジ色、黄色へ、および緑色へ。
【0009】
驚くべきことに、本発明者らは、このような「活性化可能」ジアセチレン化合物を用いて、バックグラウンド放射線に対して本質的に安定であるコーティングを作り出した。このコーティングは、近赤外線(NIR)吸収剤と組み合わせて「活性化可能」ジアセチレンを適用することによって作製することができる。次に、NIRファイバーレーザーなどのNIR光源を用いて、コーティング内のイメージが必要とされる領域のみを加熱することができる。次に、殺菌ランプなどのUV光源を用いて、コーティングにUV光を照射する。しかし、このジアセチレン化合物は、最初にNIR光に曝露された領域でしかイメージを作り出す色変化反応を起こさない。NIR光に曝露されていないコーティング内の領域は、色変化反応をほとんど起こさず、本質的に無色の状態で維持され、バックグラウンド放射線に対して安定である。コーティング内のNIR光源で既に活性化された領域のみでのイメージ形成には、UVレーザーを用いることもできる。
【0010】
発色化合物
本発明は、「活性化可能」である、すなわち、光に対して比較的に非反応性である第一の固体形態を有するが、「活性化」によって、光に対して比較的に反応性であり、従って色変化反応を起こして視認可能なイメージを作り出す能力を持つ第二の形態に変換される、いかなる発色化合物をも含む。理論に制限されるものではないが、活性化は、再結晶、結晶形の修飾、共結晶の組み合わせ(co-crystal combination)、または溶融/再固化プロセスであり得る。好ましい活性化可能化合物は、ジアセチレン、トリアセチレン、およびテトラアセチレンなどのポリ−インである。ポリ−インは、2もしくは3つ以上の隣接する炭素−炭素三重結合基、
−C≡C−(−C≡C−)n
を含む化合物であり、ここで、nは、≧1の整数である。
【0011】
n=1であるジアセチレンが特に好ましい。ジアセチレンは、以下の基:
−C≡C−C≡C−
を含む化合物である。
【0012】
特に好ましいジアセチレンは、最初の活性化(例:溶融および再固化)の後は無色であるが、光、特にUV光への曝露によって青色となるものである。特に好ましいジアセチレン化合物は、以下の一般構造で表されるカルボン酸およびその誘導体であり:
Y−C≡C−C≡C−(CH2x−CO−Q−Z
ここで:
x=0から20
Q=NH、S、O、
Z=H、またはC=0から20である直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素アルキル鎖、または少なくとも1つの炭素原子を含むいずれかの基であり;Zは、所望される場合は、少なくとも1つの−CO−Q−、および/または−O−、もしくは−S−、−NR−の基(Rは、Hまたはアルキル)を含んでよく;ならびに、
Y=H、−(CH2x−CO−Q−Z(上記の通り)、C=0から20である直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素アルキル鎖、または少なくとも1つの炭素原子を含むいずれかの基である。
【0013】
本発明の一部を形成するジアセチレンカルボン酸化合物の例としては、これらに限定されないが:10,12−ドコサジイン二酸、9,11−エイコサジイン二酸、8,10−オクタデカジイン二酸、7,9−ヘキサデカジイン二酸、6,8−テトラデカジイン二酸、5,7−ドコサジイン二酸、4,6−デカジイン二酸、3,5−オクタジイン二酸、2,4−ヘキサジイン二酸、10,12−ペンタコサジイン酸、5,7−ドコサジイン二酸、5,7−ドデカジイン酸、4,6−ドデカジイン酸、5,7−エイコサジイン酸、5,
7−エイコサジイン−1−オール、6,8−ヘネイコサジイン酸、8,10−ヘネイコサジイン酸、12,14−へプタコサジイン酸、2,4−へプタデカジイン酸、4,6−へプタデカジイン酸、5,7−ヘキサデカジイン酸、10,12−ヘネイコサジイン酸、10,12−ノナコサジイン酸、10,12−へプタコサジイン酸、10,12−オクタデカジイン酸、10,12−ペンタコサジイン酸、10,12−トリコサジイン酸、6,8−ノナデカジイン酸、5,7−オクタデカジイン酸、10,12−オクタデカジイン酸、5,7−テトラデカジイン酸、14−ヒドロキシ−10,12−テトラデカジイン酸、10,12−ペンタコサジイン酸、および10,12−ドコサジイン二酸が挙げられ、これらの誘導体が特に好ましい。ジアセチレン化合物がジカルボン酸およびその誘導体である場合、それは、対称であっても非対称であってもよい。
【0014】
さらに特に好ましいのは、カルボン酸基がアミド、エステル、またはチオエステルへ官能化された誘導体である。これらは、ジアセチレンカルボン酸を塩化オキサリルなどの塩素化剤と反応させ、次にこのジアセチレン酸塩化物をアミン、アルコール、またはチオールなどの求核性化合物と反応させることにより、容易に作製することができる。アミド(−CONR−)がさらに特に好ましく、ここで、R=Hまたはアルキル基である。
【0015】
特に好ましいアミド系は、一級アミン(−CONH−)から誘導されるものである。一級アミンは、以下の一般構造を持つ化合物であり:
R−NH2
ここで、R=Hまたは少なくとも1つの炭素原子を含む有機化学で公知のいずれかの基である。
【0016】
特に好ましい一級アミン系は、Rが飽和アルキル鎖であるものである。これらは、ジアセチレンカルボン酸を塩化オキサリルなどの塩素化剤と反応させ、次にこのジアセチレン酸塩化物を、塩基の存在下にて飽和一級脂肪族アミンと反応させることにより、容易に作製することができる。特に好ましい種類の飽和アルキル鎖は、以下の式で表される飽和脂肪族炭化水素鎖であり:
n2n+1
ここで、nは、≦20の整数である。
【0017】
飽和脂肪族炭化水素鎖は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。直鎖が特に好ましい。0から20個の炭素原子を含む飽和脂肪族炭化水素鎖一級アミンの例としては:アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、およびオクタデシルアミン、ノナデシルアミン、およびエイコサミンが挙げられる。0から20までの範囲のnが特に好ましいものの、熱活性化を起こすその他の長鎖脂肪一級アミンもまた、本発明の一部を形成する。
【0018】
ジアセチレンカルボン酸化合物が2つ以上のカルボン酸基を含む場合、そのうちのいくつであってもアルキルアミドへ誘導体化することができる。例えば、10,12−ドコサジイン二酸は、2つのカルボン酸基を含み、そのうちの1または2つを誘導体化して、モノまたはビス−アルキルアミド化合物を生じさせることができる。飽和直鎖炭化水素脂肪族アミンから作製された10,12−ドコサジイン二酸−ビス−アルキルアミド化合物の場合、驚くべきことに、熱活性化が発生するためには、上記アルキル鎖の式中のnが6から20の範囲内に入る必要があることが見出された。n≦5の場合、熱活性化は発生せず、これらのアルキルアミド化合物は、形成された状態で光反応性であり、従って、本発明の一部を形成するものではない。特に好ましい10,12−ドコサジイン二酸−ビス−ア
ルキルアミドは、偶数の炭素原子を持つ、すなわち、n=6、8、10、12、14、16、18、および20である直鎖アルキル鎖から作製されるものである。
【0019】
本発明の一部を形成するジアセチレンカルボン酸アミドの作製に用いることができるその他のアミンとしては:エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、へプタノールアミン、オクタノールアミン、ノナノールアミン、デカノールアミン、ウンデカノールアミン、およびドデカノールアミンなどのアルコールアミンが挙げられ、アルコールアミン化合物は、3−アミノ−1,2−プロパンジオールおよびビス−ホモトリス(bis-homotris)など、2つ以上のOH基を含んでよい。さらに含まれるのは、アミノ−PEGおよび2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)などのエトキシル化アミンである。別の特に好ましい一級アミン系は、アミノカルボン酸である。これらは、アミノ基とカルボン酸基の両方を含む化合物である。例としては、グリシンおよびアラニンなどの天然に見られるアルファ−アミノ酸が挙げられるが、また、4−アミノブタン酸、5−アミノペンタン酸、6−アミノへキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、および12−アミノドデカン酸なども挙げられる。これらのアミノカルボン酸を、例えば2つのカルボン酸基を含むジアセチレンと反応させることにより、以下の一般式で表すことができるジアセチレン−ビス−アミドカルボン酸化合物が生じ:
【0020】
【化1】

ここで、x=0から20であり、y=0から20である。
【0021】
アミノカルボン酸化合物は、ジアセチレン酸塩化物と反応してジアセチレンアミド化合物を生じる能力を有し、これもまた、続いて、例えば一級アミンと反応させてさらに誘導体化し、複数のアミド基を持つジアセチレン化合物を生ずることができるカルボン酸基を含む。
【0022】
別の特に好ましい10,12−ドコサジイン二酸アミド誘導体は、少なくとも1つ、好ましくは両方のカルボン酸基がプロパルギルアミドへ変換されたプロパルギルアミドである:
【0023】
【化2】

10,12−ドコサジイン−ビス−プロパルギルアミド
【0024】
プロパルギルアミドは、カルボン酸をプパルギルアミンと反応させることで作製される。適切なアミドの作製に用いることができるその他の好ましいアミンとしては:ジプロパルギルアミンおよび1,1−ジメチルプロパルギルアミンが挙げられる。
【0025】
ジアセチレン化合物のさらなる例としては:2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、3,5−オクタジイン−1,8−ジオール、4,6−デカジイン−1,10−ジオール、5,7−ドデカジイン−1,12−ジオール、1,6−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−1,6−ジフェニル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール、1,1,1,8,8,8−ヘキサフェニル−オクタ−3,5−ジイン−2,7−ジオール、1,1,6,6−テトラキス−(3−メトキシ−フェニル)−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,6,6−テトラキス−ビフェニル−4−イル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,6,6−テトラフェニル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、2,4−へプタデカジイン−1−オール、10,12−ペンタコサジイン−オール、およびこれらの誘導体などのジアセチレンアルコールおよびジオールが挙げられる。化合物がジオールである場合、対称であってもまたは非対称であってもよい。2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールの好ましい誘導体は、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジイル−ビス(4−n−ヘキソキシベンゾエート)である。
【0026】
特に好ましいジアセチレンアルコールおよびジオール誘導体は、モノおよびビス−ウレタンである。ウレタンは、一般構造:
R−OCONH−R’
を有する。
【0027】
ウレタンは、ジアセチレンアルコールまたはジオール化合物をイソシアネート化合物(R’−NCO)と反応させることによって作製される。特に好ましいウレタンは、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールに基づくものである。本発明の一部を形成するウレタン化合物のさらなる例は、米国特許第4228126号および米国特許第4276190号に教示されている。
【0028】
さらなるジアセチレン誘導体は、エーテル(−O−)およびチオエーテル(−S−)を含む。
【0029】
本発明の一部を形成するその他の化合物としては、J. Org. Chem. 1994, 59, 1294-1301でZhou et al.によって教示される環状ジアセチレン化合物が挙げられ、これは、以下の一般式によって表すことができ:
【0030】
【化3】

ここで、Rは、H、またはC=1から12のアルキルもしくはアルコキシ鎖であり、n
=1から12、およびその混合である。
【0031】
特に好ましい化合物は、活性化後に2つ以上の色を発生させる能力を有するものである。適切なジアセチレンのさらなる例は、国際公開第2006/018640号および国際公開第2010/001171号に開示されている。
【0032】
活性化は、コヒーレントもしくは非コヒーレント、広帯域もしくは単波長NIR反応、または直接接触熱であってよい熱、溶融、再結晶、光、溶媒、化学物質、生物学的物質、圧力、および/または、放電、などの刺激を適用することによって起こすことができる。発色化合物の活性化は、「多形」として知られるプロセスを介して起こすことができる。「多形」とは、固体物質が2種類以上の形態または結晶構造で存在する能力として定義される。−NH−および−CO−基、特にアミド基およびウレタン基(−NHCO−および−OCONH−)を含有する化合物が、これによって分子内および分子間水素結合が可能となることから、多形を起こし得る。非活性化および活性化形態の間の可逆的多形が好ましい。10,12−DDA−PADAは、多形を起こすことができる、本発明での使用に適する化合物である。それは、最初は、アモルファス形態で、またはより高い可能性で、ジアセチレンの傾斜角およびスタッキング距離が発色トポ化学重合に対して最適ではない結晶形態で合成される(すなわち、45°、450pm)。しかし、この化合物を加熱すると、それは:i. 結晶形態の変化を起こす温度に到達し、および/または、ii. 最終的には融解し、非常に反応性の高い発色プロセスを起こすことができる傾斜角およびスタッキング距離である異なる結晶形態へ再凝固する。
【0033】
好ましくは、発色化合物は、可逆的に活性化可能である。これは、化合物が一度活性化された後に、それを非活性に切り替えることができるという発想である。以下の図式は、ジアセチレン化合物によるこのプロセスを示す:
【0034】
【化4】

【0035】
このような系により、発色のためにジアセチレンを活性化し、次に活性化された着色すべきではないいずれの領域も非活性に切り替えることが可能となる。これは、溶融プロセスによるプラスチックの着色において特に有利であり、この場合、ジアセチレン化合物は、溶融プロセスの過程で活性化されるが、次に、着色を必要としない背景領域では、これを非活性に切り替えて十分な耐光性を発現させることが可能であり、例えば、ボトルおよびキャップなどのFMCGプラスチック部品である。上記図式の刺激2は、単に刺激1を非作用性に切り替えるものであり得る。
【0036】
これの例としては、アゾベンゼンによって示されるシス−トランス光異性化などの光異性化の使用がある。
【0037】
活性化のその他の方法としては、以下のものが挙げられる:
【0038】
開環反応
例として、ジアセチレン部分を閉環系に結合させてよい。閉環の形態では、ジアセチレンは非活性状態である。しかし、環系を開環することにより、トポ化学重合反応の発生に
適切である傾斜角と距離でのジアセチレンのスタッキングが引き起こされる。その他の具体的な例としては、以下が挙げられる:
・ラクタム − カプロラクタムのナイロン6への熱重合
・ラクトン − カプロラクトン
・エンのROMP
・環状エーテル − カチオン性およびアニオン性
・アニオン性シクロアルカン、例:シクロプロパン、シクロファン
・ラジカル開環重合 − 例:ビニルシクロプロパン
・環状体の加水分解
・フルオランの開環
【0039】
カプロラクタムジアセチレンの開環の例を以下に示す:
【0040】
【化5】

【0041】
また、開環反応は、可逆的であること、すなわち、閉環反応によってジアセチレンをトポ化学重合反応に対して不活性とすることも可能である。
【0042】
電荷の発生/除去
発色化合物は、正電荷のためにはアンモニウム基、または負電荷のためにはカルボン酸基(−COOH)もしくはスルホン酸基(−SO3H)などのイオン化可能基を含んでよ
い。通常はプロトン化もしくは脱プロトン化によって行われる電荷の発生または除去により、発色化合物(例えばジアセチレン)の非活性状態から活性化状態への変換が引き起こされる。例えば、電荷の除去によって静電反発バリアを除去し、ジアセチレン分子を、トポ化学重合を起こすのに適する傾斜角/スタッキング距離に整列されることが可能となり得る。
【0043】
電荷の発生/除去によってジアセチレンを非活性および活性化の形態の間で切り替えることができる可逆的な電荷発生が好ましい。
【0044】
電荷の発生がプロトン化に起因して行われる場合、その系は、さらに光酸発生剤を含んでいてもよい。電荷の発生が脱プロトン化に起因して行われる場合、その系は、さらに光
塩基発生剤を含有してもよい。
【0045】
脱離基の開裂
発色化合物は、その存在が分子の「非活性化」を引き起こす少なくとも1つの基を含んでいてよい。しかし、その基は、結合の切断もしくは開裂反応を介して、主たる発色分子から容易に除去することができ、その除去により、残りの発色フラグメントが活性化された状態とされる。これは、以下の図式で示される:
【0046】
【化6】

【0047】
脱離基開裂の例としては:加水分解、脱カルボキシル化、脱エステル化、脱ハロゲン化水素、脱トシル化、光開裂、光分解、熱分解、酸および塩基開裂、が挙げられる。開裂反応およびその結果としてのジアセチレン活性化は、可逆的であることが好ましい。
【0048】
フォトクロミック分子
スピロオキサジンおよびナフトピランなどの分子は、可逆的フォトクロミック効果を示すことが知られている。UV光が存在しない状態では、これらは無色であるが、UV光へ曝露されると、発色する。しかし、UV源を除去すると、これらの分子は、通常は数分の間に無色に戻る。これらの化合物がUV光への曝露で発色するメカニズムは、ねじれ環メカニズム(twisting rings mechanism)である。未発色の間、分子は垂直または「閉じた」構造で存在するが、UVに曝露すると、平らな平面状の「開いた」構造に変換される。これにより、半分を成す2つの部分の相互作用が可能となり、可視光が吸収される結果となる。
【0049】
ジアセチレン部分などの発色化合物を、そのような系に結合させてよい。刺激(UV光)が存在しない場合は、ジアセチレン部分がトポ化学重合反応を起こすことができない、すなわち非活性である、垂直もしくは閉じた構造である。しかし、刺激に曝露されると、この構造は、ジアセチレン部分がトポ化学重合に適切である傾斜角/スタッキング距離を持つ、開いたもしくは平たい/平面状態となり、こうしてこれらは活性化される。
【0050】
キラル性
ここで、発色化合物、例えばジアセチレン分子は、キラル中心を持ち、2つの光学異性体またはエナンチオマーが存在し得る。トポ化学重合に対して、一方のエナンチオマーは「非活性」であり、他方は「活性」である。しかし、外部刺激によってそれが2つの間で可逆的に切り替え可能であることが好ましい。
【0051】
フルオロ化合物
ここで、結晶相発生のために、フッ化炭素鎖がジアセチレン分子を例とする発色化合物の一部である。
【0052】
活性化剤/非活性化剤の存在
好ましくはジアセチレン化合物である発色化合物と共に、その物理的存在がトポ化学重合反応に対してジアセチレンを非活性化させる種が存在していてよい。外部刺激がその種を除去し、それによって発色化合物が活性化される。しかし、活性化後、回復種(returning species)の添加によってその非活性化が引き起こされる。例としては、不純物およ
び可塑剤が挙げられる。
【0053】
水和の水
発色化合物(好ましくはジアセチレン化合物)は、結晶水を伴っており、その存在は、この化合物をトポ化学重合反応に対して非活性化または活性化する。しかし、この結晶水を除去することで、その活性化または非活性化が引き起こされ、これは可逆的プロセスである。
【0054】
共結晶
ジアセチレンを例とする発色化合物は、共結晶を形成していてよい。共結晶の形態において、化合物は、活性であっても非活性であってもよい。刺激により、共結晶の分解または形成を引き起こしてよい。このプロセスは可逆的である。
【0055】
ジアセチレン液晶
本発明者らは、液晶相を示す発色ジアセチレン化合物を作製することができることを見出した。特に好ましいのは、比較的に非反応性である相を有するが、比較的に反応性である相へ切り替えることができる化合物である。例としては:
【0056】
【化7】

ジアセチレンカルボン酸のナフチルメチルアンモニウム塩、例えば、
【0057】
【化8】

が挙げられる。
【0058】
その他の例としては、以下が挙げられ:
【0059】
【化9】

ここで、R=アルキル、X=アルキル、アルコキシ、シアノ、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチルなどである。
【0060】
【化10】

【0061】
金属錯体ジアセチレン
例えば、金属中心に結合したジアセチレン。
【0062】
界面活性ジアセチレン
これらは、例えば、顔料、ポリマー、またはNIR吸収粒子上に、自己集合単分子層として表面に整列するジアセチレンである。例えば、ナトリウム塩を例とする10,12−ペンタコサジイン酸金属塩であり、界面活性剤のように、親水性−疎水性部分が整列した単分子層として表面に堆積する。整列状態にある場合、整列前と比較して、その形態は比較的に反応性である。
【0063】
ポリマー側鎖中のジアセチレン
例えば、ポリマーの主鎖が、例えば液晶である。典型的な例は、その酸塩化物を介してポリ(アリルアミン)へグラフトされた10,12−ペンタコサジイン酸である。
【0064】
電気−ジアセチレン(Electro-diacetylenes)
電場の印加/除去により、活性化/非活性化のためにジアセチレンを配向/脱配向させる。ジアセチレン活性化のために空間電荷場をin situで発生させる。
【0065】
その他の効果
理論に束縛されるものではないが、ジアセチレンの発色メカニズムは、トポ化学重合により、共役した交互の二重および三重結合ネットワークを含むポリジアセチレンを得ることである:
−C=C−C≡C−C=C−
【0066】
ポリジアセチレンは、導電性を有することも知られている。本発明を用いて、光印刷可能エレクトロニクスを作製することもできる。活性化可能ジアセチレンを、薄いフレキシ
ブル基材へ適用することが特に好ましい。そのような基材は、回路基盤、エレクトロニクスディスプレイ、光起電装置、印刷センサー、スマートパッケージング、および布地の製造に用いることが可能である。
【0067】
ジアセチレンは、重合して、共役した二重結合および三重結合のネットワークを含むポリジアセチレンを与える。スペクトルの可視領域の吸収、その結果としての色を生じさせるのは、この共役である。共役した二重結合および三重結合のネットワークはまた、導電性も生じさせ、それによってポリジアセチレンは導電性ポリマーとなる。本発明のジアセチレンは、印刷エレクトロニクスの用途における導電性ポリジアセチレンの作製に特に適している。活性化されない限りはいかなる重合も起こさない活性化可能ジアセチレンの能力により、バックグラウンド放射線への曝露によって起こる不要な重合反応に起因する導電性の変化なしに環境へ曝露させることができる、安定な印刷エレクトロニクスデバイスの生産が可能となる。
【0068】
ポリジアセチレンの導電性は、ドーピングによって高めることができる。例えば、ポリジアセチレンの導電性の増加には、ヨウ素によるドーピングが本技術分野で公知である。しかし、活性化されたジアセチレンが重合を起こしてポリジアセチレンを与えるサンプル時間で活性化される光ドーピング剤を用いれば特に有利であろう。そのような光ドーピング剤の例としては、「オニウム」型の光酸発生剤であり、その適切な例は、Cyracure UVI−6974である。
【0069】
本発明の活性化可能ジアセチレンおよびそのポリジアセチレンは、以下の分野での印刷エレクトロニクスにおける使用に特に適している:超薄型ディスプレイ、ソーラーパネル、エレクトロニクス皮膚パッチ(electronic skin patches)、スマートパッケージング
。それらはまた、プラスチックおよび紙などの薄いフレキシブル基材上への適用にも特に適している。それらを用いて、電子ペーパー、LCD、およびOLEDなどのエレクトロニクスディスプレイに用いられるものなど、有機薄膜トランジスタを作製することができる。それらはまた、低コストの有機センサー、光起電装置、および集積回路における使用にも適している。
【0070】
NIR光吸収剤
NIR光吸収剤は、700から2500nmの波長範囲の光を吸収する化合物である。これらは、熱活性化可能である発色化合物と共に用いてよい。形態を本発明で用いてよいこの種類の化合物の具体的な例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
i. 有機NIR吸収剤
ii. NIR吸収「導電性」ポリマー
iii. 無機NIR吸収剤
iv. 非化学量論的無機NIR吸収剤
【0071】
特に好ましいNIR吸収剤は、スペクトルの可視領域(400から700nm)では本質的に吸収がなく、従って目には無色に見えるコーティングを生ずるものである。
【0072】
有機NIR吸収剤は、NIR染料/顔料として知られる。例としては、これらに限定されないが:メタロポルフィリン、メタロチオレンおよびポリチオレン、メタロフタロシアニン、これらのアザ変形体、これらのアニレート化(annellated)変形体、ピリリウム塩、スクアリリウム、クロコニウム、アミニウム、ジイモニウム、シアニン、およびインドレニンシアニンが挙げられる。
【0073】
本発明で用いることができる有機化合物の例は、米国特許第6911262号に教示されており、Developments in the Chemistry and Technology of Organic dyes, J Griffi
ths (ed), Oxford: Blackwell Scientific, 1984およびInfrared Absorbing Dyes, M Matsuoka (ed), New York: Plenum Press, 1990に記載されている。本発明のNIR染料または顔料のさらなる例は、エポリン(Epolin)、ニューアーク、ニュージャージー州、米国、から提供されるEpolight(商標)シリーズ;アメリカンダイソース社(American Dye Source Inc,)、ケベック、カナダ、から提供されるADSシリーズ;HWサンズ(HW Sands)、ジュピター、フロリダ州、米国、から提供されるSDAおよびSDBシリーズ;BASF、ドイツ、から提供されるLumogen(商標)シリーズ、特にLumogen(商標)IR765、IR788、およびIR1050;ならびに、フジフィルムイメージングカラランツ(FujiFilm Imaging Colorants)、ブラックレイ、マンチェスター、英国、から提供されるPro−Jet(商標)シリーズの染料、特にPro−Jet(商標)830NP、900NP、825LDI、および830LDIに見ることができる。さらなる例は、HWサンズおよびフューケミカルズ社(Few Chemicals GmbH)から販売されている。さらなる例は、国際公開第08/050153号に教示されている。
【0074】
NIR吸収「導電性」ポリマーの例としては、HCスターク(HC Starck)によって提
供されるCleviosシリーズの製品などのPEDOTが挙げられる。さらなる例は、国際公開第05/12442号に教示されている。
【0075】
無機NIR吸収剤の例としては、銅(II)塩が挙げられる。銅(II)ヒドロキシルホスフェート(CHP)が特に好ましい。さらなる例は、国際公開第05/068207号に教示されている。
【0076】
非化学量論的無機吸収剤の例としては、還元酸化スズインジウム、還元酸化スズアンチモン、および還元硝酸チタン、還元酸化亜鉛が挙げられる。さらなる例は、国際公開第05/095516号に教示されている。還元酸化スズインジウムは、1550nmから2500nmのレーザーと組み合わせて、特に好ましい。ドーピングした無機NIR吸収剤もまた、本発明の一部を形成する。
【0077】
NIR吸収剤の吸収プロファイルが、用いるNIR光源の1もしくは複数の発光波長とおおよそ適合する場合、特に好ましい。
【0078】
NIR吸収剤が好ましいが、しかし、本発明はこれらに限定されない。用いることができるその他の光吸収剤としては、UV光(200から400nm)、可視光(400から700nm)、および中赤外光(約10.6ミクロン)の吸収剤が挙げられる。例としては、染料/顔料、UV吸収剤、およびイリオジン(Iriodin)型の吸収剤が挙げられる。
【0079】
コーティング
発色化合物およびNIR吸収剤(存在する場合)は、通常、インク製剤によって基材に適用される。インク製剤は、水性ベースであっても、または非水性ベースであってもよい。これは、発色化合物およびNIR吸収剤の両方を含むインク製剤であってよい。または、2つの種のうちの一方を含む第一のコーティング層の上に他方を含む上層がある状態で、これらを別々に適用してもよい。1もしくは複数のインク製剤はまた、印刷の技術分野で公知の1もしくは複数のその他の添加剤を含んでもよく:通常はポリマーであり、アクリルポリマー、スチレンポリマーおよびその水素化生成物、ビニルポリマーおよびその誘導体、ポリオレフィンならびにその水素化およびエポキシ化生成物、アルデヒドポリマー、エポキシドポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、スルホンを主体とするポリマー、ならびにセルロースを主体とするバインダーなどの天然ポリマーおよびその誘導体、を含むバインダー、などである。バインダーはまた、ポリマーバインダーおよびコア−シェル系の混合物であってもよい。それは、コーティング後にUV照射下にて上記で列挙したポリマーバインダーの1つを形成する、液体モノマーおよび適切な光開始剤の
混合物であってもよい。適切なバインダー系の例としては、BASFによって提供される製品GlascolおよびJoncryl、パラケム(ParaChem)によって提供される製品Paranol、バキセンデンケミカルズ(Baxenden Chemicals)によって提供される製品Witcobond、スコット−ベイダー(Scott-Bader)によって提供される製品
Texicryl、およびDSMネオレジンズ+(DSM NeoResins+)によって提供される製品Neoが挙げられる。1もしくは複数のインク製剤のその他の添加剤としては:溶媒、界面活性剤、安定剤、増粘剤、ワックス、不透明化剤、TiO2などの白色化剤、発泡
防止剤、塩基、殺生物剤、着色剤、レオロジー改変剤(rheology modifier)、UV吸収
剤、酸化防止剤、HALS、湿潤剤、着色剤、防煙剤、およびタガントが挙げられる。
【0080】
活性化可能光反応性色変化化合物およびNIR吸収剤(存在する場合)を、1もしくは複数のコーティングを用いずに基材に適用することも可能である。これらは、基材中に直接埋設/混合してよく、通常は、基材に、その製造中に添加される。また、これらの成分の一方は基材に埋設/混合するが、他方はコーティングによって適用するということも可能である。
【0081】
その他の色変化化学物質
本発明のコーティングおよび基材はまた、光、特にレーザー光に対して直接の反応性を持つその他の「活性化可能ではない」色変化化学物質も含んでよい。例としては、メタルオキシアニオン、特にはモリブデートおよびボレート、より特にはオクタモリブデートおよびメタボレートが挙げられ、アンモニウムオクタモリブデートおよびナトリウムメタボレートが最も好ましい。
【0082】
コーティングおよび基材はまた、ポリサッカリド、炭水化物、および糖類などの炭化可能な剤(charrable agents)も含んでよく:セルロースおよびその誘導体、グルコース、サッカロース、スクロース、マルトデキストリン、ラクトース、デンプン、デキストロースおよびポリデキストロース、ならびにガム類が挙げられる。
【0083】
コーティングおよび基材はまた、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどの塩基発生剤などの金属塩も含んでよい。
【0084】
コーティングおよび基材はまた、ロイコ染料などの発色剤および電荷移動剤も含んでよい。これらは、光酸発生剤もしくは光塩基発生剤、または熱酸発生剤もしくは熱塩基発生剤と組み合わせて用いてよい。特に好ましい光酸発生剤としては、スルホニウムまたはヨードニウム塩などの「オニウム型」が挙げられる。光酸発生剤のさらなる例としては、ジノニルナフタレンジスルホン酸およびトシレートのアミン付加物などの芳香族スルホン酸のアミン付加物が挙げられる。その他の酸発生「オニウム」化合物としては、アンモニウムおよびアミン:硫酸塩、リン酸塩、水素リン酸塩、二水素リン酸塩、およびホウ酸塩が挙げられる。
【0085】
本発明と組み合わせて用いることができる化学物質のさらなる例は、国際公開第06/129086号、国際公開第07/045912号、国際公開第02/068205号、国際公開第06/129078号、国際公開第04/043704号、国際公開第02/074548号、国際公開第07/063339号、国際公開第6/051309号、および国際公開第09/010393号に教示されている。
【0086】
基材
基材は、印刷の技術分野で公知のいずれの基材であってもよく、例としては:紙、ボール紙、段ボール、ガラス、布地、金属、箔、木材、皮革、プラスチックフィルム、セルロースフィルム、食品、および医薬製剤が挙げられる。基材は、CDまたはDVDなどのデ
ータキャリアであってよい。活性化可能ジアセチレンは、インクもしくは表面コーティング製剤を用いて基材に適用してよく、または、例えばサイジング段階の過程での添加によって紙などの基材中に直接埋設させるか、もしくはプラスチックフィルムへ押出してもよい。基材は、ラミネート状であっても、または非ラミネート状のままであってもよい。
【0087】
基材は、プレフォーム、ボトル、およびキャップなどのプラスチック部品の作製に例えば用いられるLDPE、HDPE、PP、およびPETなどの溶融加工プラスチックであってよく、または、パッド、オムツ、および女性用衛生用品などに使用するための不織布の製造に例えば用いられる溶融紡糸繊維であってよい。
【0088】
活性化可能発色化合物は、プラスチックの全体の着色、または、レーザースキャンシステム、アレイシステム、もしくはランプ/マスク機構を用いての、イメージ、パターン、デバイス、機械読み取り用コード、およびテキストのプラスチック部品上への直接の印刷のために用いることができる。活性化可能ポリ−インは、固体または液体マスターバッチシステムによってプラスチックへ供給してよい。適切なプラスチックの例としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリル(PMMA)、セルロイド、酢酸セルロース、シクロオレフィンコポリマー(COC)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、フルオロプラスチック(FEP、PFA、CTFE、ECTFE、ETFEと並んで、PTFE)、イオノマー、アクリル/PVCアロイの商標であるKydex、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POMまたはアセタール)、ポリアクリレート(アクリル)、ポリアクリロニトリル(PANまたはアクリロニトリル)、ポリアミド(PAまたはナイロン)、ポリアミド−イミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEKまたはケトン)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカプロラクトン(PLC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート(PC)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリケトン(PK)、ポリエステル 低および高密度ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリエチレンクロリネート(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタラミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSU)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリウレタン(PU)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、およびスチレン−アクリロニトリル(SAN)などが挙げられる。「活性化可能」ポリ−イン化合物を含むプラスチックを用いて、いかなるプラスチック部品も作製することができ、例としては、プレフォーム、ボトル、およびキャップなどのリッジ付きプラスチックパッケージング(ridged plastic packaging)、またはパッド、オムツ、および女性用衛生用品などに使用するための不織布の製造に例えば用いられる溶融紡糸繊維が挙げられる。
【0089】
本発明の活性化可能ジアセチレンを含む基材は、印刷品の製造に用いることができ、例としては、一次および二次パッケージング、新聞、雑誌、リーフレット、パンフレットおよび本、ポスター、裏面の接着剤と組み合わせたラベル、銀行券、小切手、通貨、チケット、パスポート、およびライセンスなどなどのセキュリティ文書が挙げられ、それは、デスクトップ/家庭用印刷用途、商用ワイドウェブ印刷用途に用いることができる。基材はまた、回路基盤製造などのいずれの印刷エレクトロニクス用途にも用いることができる。基材は、テキスト、グラフィックス、およびバーコードなど、人による読み取り用および/または機械による読み取り用の情報の表示に用いることができる。
【0090】
光源
最初の活性化に用いられる光源は、好ましくは、最初は非反応性である発色ジアセチレンの溶融に用いることができるものである。それは、200nmから25ミクロンの範囲の波長であってよい。なおより好ましくは、それは、波長範囲が700から2500nmの近赤外光であり、さらになおより好ましくは、それは、用いられるNIR光吸収剤の吸収プロファイルにおおよそ対応する。光は、広帯域または単波長、非コヒーレントまたはレーザー放射線であってよい。好ましくは、光は、NIRレーザー放射線である。レーザーは、パルスもしくは連続波レーザー、ファイバーレーザーもしくはダイオードレーザー、またはダイオードアレイであってよい。約10.6ミクロンの波長で運転されるCO2
レーザーも好ましい。
【0091】
既に活性化された発色化合物の色変化反応の開始に用いられる光は、200nmから25ミクロンの波長範囲であってよい。より好ましくは、それは、200から400nmの波長範囲のUV光、または400から450nmの範囲の短波長可視光である。光は、広帯域または単波長、非コヒーレントまたはレーザー放射線であってよい。光は、ランプによって提供される非コヒーレント光であってよく、基材表面全体を単に光で照射するために用いられる。用いることができるUV光源の例としては、殺菌ランプおよび水銀アークランプが挙げられる。別の選択肢として、UVレーザーまたはUVダイオード光源を、特により正確な光の配置を要する場合に、用いてよい。ランプ/マスク機構も用いてよい。約10.6ミクロンの波長で運転されるCO2レーザーも、特にCO2レーザー光に対して反応性である化学物質も存在する場合、好ましい。レーザーシステムが用いられる場合、それは、パルスレーザーであっても、または連続波レーザーであってもよい。光ビームは、ミラーに基づく検流計型システムを用いて誘導しても、または光源のアレイから発光させてもよい。
【0092】
本発明はまた、ポリ−インを、それが活性化された後に、その固有の吸収よりも長い波長の光に対して感光性とするために、国際公開第06/018640号に教示されるものなどの光酸発生剤を用いることも含む。
【実施例】
【0093】
インク製剤
1. CHP水性インク
CHP(50g)をParanol T−6320(148g)およびDispelair CF49(2g)に添加した。この混合物を、50mlビーズミルで10分間粉砕した。
【0094】
2. CHP溶媒インク
CHP(50g)を、酢酸エチル中のElvacite 2028の15%溶液(150g)へ添加した。この混合物を、50mlビーズミルで10分間粉砕した。
【0095】
3. 10,12−ドコサジイン二酸ジプロパルギルアミド(10,12−DDA−PADA)水性インク
10,12−DDA−PADA(10g)をParanol T−6320(188g)およびDispelair CF49(2g)に添加した。この混合物を、50mlビーズミルで10分間粉砕した。
【0096】
4. 10,12−DDA−PADA溶媒インク
10,12−DDA−PADA(10g)を、酢酸エチル中のElvacite 2028の15%溶液(190g)へ添加した。この混合物を、50mlビーズミルで10分間粉砕した。
【0097】
5. 混合水性インク
10,12−DDA−PADA(10g)およびCHP(50g)を、Paranol
T−6320(138g)およびDispelair CF49(2g)に添加した。この混合物を、50mlビーズミルで10分間粉砕した。
【0098】
6. 混合溶媒インク
10,12−DDA−PADA(10g)およびCHP(50g)を、酢酸エチル中のElvacite 2028の15%溶液(140g)へ添加した。この混合物を、50mlビーズミルで10分間粉砕した。
【0099】
インク7から12は、インク1から6と同様に作製したが、CHP(50g)を2gのN,N,N’,N’−テトラキス(4−ジブチルアミノフェニル)−p−ベンゾキノンビス(イミニウムヘキサフルオロアンチモネート)、ADS社、カナダ、から購入した近赤外吸収剤ADS1065Aに置き換え、液体バインダーの量を増加し、それに応じて総量200gのインクを得た。
【0100】
インク5、6、11、および12は、K2バーを用いて50ミクロンの白色PETフィルム上に引き伸ばした。
【0101】
K−2バーを用い、以下の様に一方の層にCHPを、他方の層に10,12−DDA−PADAを含むように、インク1、2、3、および4による引き伸ばしを作製した。
i. 下層にインク1、上層にインク3
ii. 下層にインク1、上層にインク4
iii. 下層にインク3、上層にインク1
iv. 下層にインク4、上層にインク1
v. 下層にインク2、上層にインク3
vi. 下層にインク2、上層にインク4
vii. 下層にインク3、上層にインク2
viii. 下層にインク4、上層にインク2
【0102】
K−2バーを用い、以下の様に一方の層にCHPを、他方の層に10,12−DDA−PADAを含むように、インク7、8、9、および10による引き伸ばしを作製した。
ix. 下層にインク7、上層にインク9
x. 下層にインク7、上層にインク10
xi. 下層にインク9、上層にインク7
xii. 下層にインク10、上層にインク7
xiii. 下層にインク8、上層にインク9
xiv. 下層にインク8、上層にインク10
xv. 下層にインク9、上層にインク8
xvi. 下層にインク10、上層にインク8
【0103】
活性化
基材を、以下のレーザーを用いて活性化した:
1. 波長1070nmで運転され、測定出力18.6Wである連続波ファイバーレーザー
2. 30W Videojet CO2レーザー
【0104】
各々の場合において、テキスト、グラフィックス、ロゴ、および機械読み取り用コードをイメージ形成した。しかし、この段階では肉眼で視認可能なものはなかった。
【0105】
色変化反応
活性化基材上での色変化反応は、以下の光源からのUV光を用いて行った:
3. 殺菌ランプ、200から290nmで運転
4. 266nmで運転される3W UVレーザー
NIRレーザーまたはCO2レーザーで予め活性化された領域のみが青色に変わること
が観察された。非活性化領域は無色のままであった。
【0106】
基材上の青色領域の一部を、次に、1070nm、18.6Wのファイバーレーザーを用い、ヒートガンからのNIR光に再曝露させた。これにより、青色領域が赤色に変化した。
【0107】
アンモニウムオクタモリブデートと組み合わせての使用
アンモニウムオクタモリブデートをベースとするインクを以下のようにして作製した:
1. AOM(35%)を、酢酸エチル中のElvacite 2028の溶液(15%)へ分散させた。
【0108】
上記のAOMベースインクを、上記で作製したインク6と1:1で混合し、PETフィルム上にコーティングした。
【0109】
CO2レーザーを用いてブラックイメージを作製し、NIRレーザー/UVランプを用
いて青色および赤色のイメージを作製した。
【0110】
埋設型基材
10,12−ドコサジイン二酸(5%)および銅(II)ヒドロキシルホスフェート(10%)を含む紙を、両方共にサイジング段階で添加することで作製した。この紙は、上述のようにして青色および赤色のイメージを作り出すことが見出された。
【0111】
また、上記の組み合わせを用いて、導電性を有することが見出された回路基盤も作製した。
【0112】
実施例A − 可逆的活性化
10,12−ペンタコサジイン酸を(その酸塩化物を介して)、4,4’−ジアミノアゾベンゼンへカップリングさせ、以下を得た:
【0113】
【化11】

【0114】
この化合物は、比較的に非反応性の形態から比較的に反応性である形態へ、UV光への曝露によって切り替わる能力を有していた。
【0115】
実施例B − 開環反応
以下のカプロラクタムジアセチレンを作製した:
【0116】
【化12】

【0117】
閉環の形態では、この化合物は比較的に非反応性であったが、開環されると、比較的に反応性であることが見出された。
【0118】
実施例C − 電荷発生/除去
10,12−ドコサジイン二酸グリシジルジアミドを、10,12−ドコサジイン二酸を(その酸塩化物を介して)2モルのグリシンと反応させることで作製した。
【0119】
【化13】

【0120】
この化合物は、そのプロトン化された形態では、比較的に反応性である発色ジアセチレンであることが見出された。しかし、対応するアニオン性、ナトリウム塩型は、比較的に非反応性である発色ジアセチレンであることが見出された。この化合物は、その周囲のpHに応じてこの2つの形態の間で切り替わるように作製することが可能である。
【0121】
実施例D
10,12−ドコサジイン二酸アミノエチレンジアミドを、10,12−ドコサジイン二酸を(その酸塩化物を介して)大過剰モルのエチレンジアミンと反応させることで作製した。
【0122】
【化14】

【0123】
この化合物は、その非プロトン化の形態では、比較的に反応性である発色ジアセチレンであることが見出された。しかし、対応するカチオン性、プロトン化型は、比較的に非反応性である発色ジアセチレンであることが見出された。この化合物は、その周囲のpHに応じてこの2つの形態の間で切り替わるように作製することが可能である。
【0124】
実施例E − 脱離基の開裂
以下のジアセチレンエステル化合物を作製した。エステル基の加水分解の前は、化合物は比較的に非反応性であるが、加水分解により、比較的に反応性であるジアセチレン誘導体が得られることが見出された(すなわち、10,12−ペンタコサジイン酸が再生した)。
【0125】
【化15】

【0126】
実施例F − フォトクロミズム
以下のジアセチレン−スピロオキサジン化合物を作製した。
【0127】
【化16】

【0128】
この化合物は、「スピロ」の形態では、光に対して比較的に非反応性であることが見出されたが、「メソ」の形態では、光に対して比較的に反応性であった。その他の例としては、ジアセチレン−トリアリールメタン、スチルベン、アザスチルベン、ニトロン、フルギト、スピロピラン、ナフトピラン、スピロ−オキサジン、キノン、およびジアリールエテンが挙げられる。
【0129】
実施例G − キラル性
キラル炭素中心を含む以下のジアセチレン化合物を合成した。一方の特定のエナンチオマーは比較的に非反応性であるが、他方は比較的に反応性であることが見出された。
【0130】
【化17】

【0131】
実施例H − フルオロ化合物
10,12−ドコサジイン二酸の以下のフッ化炭素ジアミドを合成した
【0132】
【化18】

【0133】
この化合物は、一方は比較的に非反応性であり、他方は比較的に反応性である、2つの結晶形態として存在することが見出された。
【0134】
実施例I − 水和の水
湿潤剤として機能し、結晶水を引き付ける能力を有する基を含む、以下のジアセチレンを作製した。本例では、PEG鎖である。サンプルを加熱してこの付随する結晶水を除去することで、比較的に非反応性である形態から比較的に反応性である形態を形成することが見出された。
【0135】
【化19】

【0136】
実施例J − 共結晶
10,12−ドコサジイン二酸をグリシンのオキサラミドと共結晶化して、以下の共結晶を得た:
【0137】
【化20】

【0138】
実施例K − 金属錯体
10,12−ペンタコサジイン二酸を、そのカルボン酸基を介してCu2+イオンと配位結合させて、以下の化合物を得た:
【0139】
【化21】

【0140】
この化合物は、錯体形成していない10,12−ペンタコサジイン酸と比較して、比較的に非反応性であることが見出された。しかし、比較的に反応性である10,12−ペンタコサジイン酸を、加熱することによって錯体から遊離させることが可能である。
【0141】
実施例L − 電気−ジアセチレン
この双性イオンジアセチレンは、電場中で整列して、比較的に非反応性であった形態から比較的に反応性である形態を与える。
【0142】
【化22】

【0143】
実施例M − 熱活性化単一インク製剤
以下のインク製剤を作製した:
水性アクリルバインダー 58g
水 14.95g
発泡防止剤 0.1g
非イオン性界面活性剤 0.45g
還元(青色)ITO 2.5g
10,12−ドコサジイン−ビス−プロパルギルアミド 15.0g
イソプロパノール 4.0g
UV吸収剤 3g
HALS 2g
【0144】
この製剤を、50ml Eiger−Torranceビーズミルを用いて、<5ミクロンの粒子サイズが得られるまで粉砕した。
【0145】
次に、このインクを、10gsmのコーティング重量にて透明および白色の両方の50ミクロンOPP基材上へコーティングした。このインクはまた、10gsmにて白色のラベルストック紙上にもコーティングした。
【0146】
すべてIBM互換PCで制御された以下の4つのレーザーシステムのうちの1つを用いて活性化を行った:
i. 1070nmファイバーレーザー
ii. 1470nmファイバーレーザー
iii. 1550nmファイバーレーザー
iv. 10.6ミクロンCO2レーザー
【0147】
次に、無色から青色への色変化反応を、以下のうちの1つを用いて行った:
a. 広帯域UV(殺菌)ランプ
b. IBM互換PCで制御された266nmUVレーザー
【0148】
青色イメージは、最初にNIR/CO2で活性化された領域のみで形成された。青色イ
メージは、NIRまたはCO2放射線の照射により、マゼンタ色、赤色、オレンジ色、お
よび黄色に変化した。青色と黄色の混合を用いて緑色を作り出した。
【0149】
実施例N − 熱活性化単一インク製剤
以下のインク製剤を作製した:
水性アクリルバインダー 58g
水 14.95g
発泡防止剤 0.1g
非イオン性界面活性剤 0.45g
還元(青色)ITO 2.5g
10,12−ドコサジイン−ビス−オクタデシルアミド 15.0g
イソプロパノール 4.0g
UV吸収剤 3g
HALS 2g
【0150】
この製剤を、50ml Eiger−Torranceビーズミルを用いて、<5ミクロンの粒子サイズが得られるまで粉砕した。
【0151】
次に、このインクを、10gsmのコーティング重量にて透明および白色の両方の50ミクロンOPP基材上へコーティングした。このインクはまた、10gsmにて白色のラベルストック紙上にもコーティングした。
【0152】
すべてIBM互換PCで制御された以下の4つのレーザーシステムのうちの1つを用いて活性化を行った:
v. 1070nmファイバーレーザー
vi. 1470nmファイバーレーザー
vii. 1550nmファイバーレーザー
viii. 10.6ミクロンCO2レーザー
【0153】
次に、無色から青色への色変化反応を、以下のうちの1つを用いて行った:
c. 広帯域UV(殺菌)ランプ
d. IBM互換PCで制御された266nmUVレーザー
【0154】
青色イメージは、最初にNIR/CO2で活性化された領域のみで形成された。青色イ
メージは、NIRまたはCO2放射線の照射により、マゼンタ色、赤色、オレンジ色、お
よび黄色に変化した。青色と黄色の混合を用いて緑色を作り出した。
【0155】
実施例O: 印刷エレクトロニクス
1. 10,12−ドコサジイン二酸−ビス−プロパルギルアミドを、スピンコーティング技術を用いてスライドガラスへ適用した。層の厚さはおよそ250ミクロンであった。
2. 10,12−ドコサジイン二酸−ビス−プロパルギルアミドおよびCyracure UVI−6974(ジアセチレンの10重量%)を、スピンコーティング技術を用いてスライドガラスへ適用した。層の厚さはおよそ250ミクロンであった。
【0156】
活性化:
a. UVC殺菌ランプ(<280nm)を用いて両スライドガラスを活性化した。ジアセチレンは、最初は青色に変化したが、銅色の光沢となるまでランプ下に置いた。
b. IBM互換PCで制御された266nmUVレーザーを用い、コーティングしたスライドガラスの中央部に幅1cmのポリジアセチレンのラインを作製した。
【0157】
導電性測定:
導電性は、ポリジアセチレンでコーティングしたスライドガラスによって作り出される電圧および電流特性を測定することによって評価した。殺菌ランプによる活性化では、結果は、活性化の前と後とした。レーザーイメージのスライドでは、結果は、重合された幅1cmのゾーンをその左右いずれかの側の未重合部分と比較した。
【0158】
結果
導電性の結果
1. 殺菌ランプ活性化
未重合=ごく僅かな導電性
重合およびドーピングなし=導電性が1000倍増加
重合およびドーピングあり=導電性が100,000倍増加
2. UVレーザー活性化
未重合ゾーン=ごく僅かな導電性
重合およびドーピングなし=導電性が1000倍増加
重合およびドーピングあり=導電性が100,000倍増加

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にイメージを形成する方法であって、最初は非反応性であるが、活性化によって反応性となる活性化可能発色化合物を、前記基材へ適用すること、前記イメージを形成すべき前記基材の領域内の前記発色化合物を活性化すること、および前記活性化された発色化合物を反応させてその発色形態とすることによってイメージを作製すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記活性化可能発色化合物が、ポリ−インであり、好ましくはジアセチレン、最も好ましくはジアセチレンモノもしくはジ−カルボン酸、またはモノ−もしくはジ−オール、またはそれらの誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジアセチレンモノもしくはジカルボン酸化合物が、10,12−ペンタコサジイン酸、または10,12−ドコサジイン二酸、またはそれらの誘導体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記10,12−ペンタコサジイン酸または10,12−ドコサジイン二酸の誘導体が、そのアミン誘導部分が一級アミンであるアミド誘導体であり、好ましくは、6から20個の炭素原子、最も好ましくは6、8、10、12、14、16、18、または20個の炭素原子の鎖長を持つ飽和炭化水素鎖を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記一級アミンが、プロパルギルアミン、カルボン酸アミン、アルコールアミン、またはアミノ−PEGである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記活性化可能発色ジアセチレンが、モノまたはジ−オールの誘導体であり、好ましくは、ウレタン、エステル、またはエーテルである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ウレタン、エステル、またはエーテルが、2,4−ヘキサジイン−1,6ジオールのモノまたはビス誘導体である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ジアセチレンが、環状ジアセチレン化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
活性化が、熱、光、圧力、および放電の1もしくは2つ以上から選択される刺激に曝露することによるものである、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、熱活性化可能であり、好ましくは、光吸収剤が前記基材に適用され、該光吸収剤は、好ましくは、700から2500nmの波長範囲の光を吸収する近赤外線吸収剤である、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
700から2500nmの波長範囲の光を吸収する前記近赤外線吸収剤が:有機染料/顔料、導電性ポリマー、銅(II)ヒドロキシルホスフェートなどの無機銅(II)塩、または還元酸化スズインジウムなどの非化学量論的無機化合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記発色化合物が、可逆的に活性化可能である、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
活性化が、前記発色化合物の多形を含む、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
活性化が、開環反応、電荷の発生または除去、脱離基の開裂、フォトクロミズム、光学異性体またはエナンチオマー間の変換、結晶形態間の変換、活性化剤もしくは非活性化剤
の添加または除去、結晶水の添加または除去、共結晶化、液晶形成、金属錯体形成、界面活性化、または、電場の印加を含む、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記活性化可能発色化合物および光吸収剤(存在する場合)が、1つのコーティングとして前記基材に適用される、請求項9、またはそれに従属する場合の請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記活性化可能発色化合物および光吸収剤(存在する場合)が、別々のコーティングとして前記基材に適用される、請求項9、またはそれに従属する場合の請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記活性化可能発色化合物および/または前記光吸収剤(存在する場合)が、前記基材に埋設される、請求項9、またはそれに従属する場合の請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
好ましくは700から2500nmの波長範囲の近赤外線光である光を用いて前記発色化合物が活性化され、700から2500nmの波長範囲の前記近赤外線光が、レーザーによって供給される、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記活性化が、CO2レーザーによって供給される光を用いて行われる、請求項1から
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記活性化基材が、続いて200から450nmの波長範囲の光に曝露され、それによって前記基材の前記活性化部分に色変化反応を引き起こしてイメージを形成させ、好ましくは、前記光が、UVランプ、UVダイオード、またはUVレーザーなどのUV光源によって供給される、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記コーティングまたは基材が、直接光反応性色変化物質、好ましくは金属オキシアニオン化合物、炭化可能な剤(charrable agent)、ロイコ染料、または電荷移動剤をさら
に含む、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記金属オキシアニオン化合物が、アンモニウムオクタモリブデートまたはナトリウムメタボレートである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記炭化可能な剤が、ポリサッカリド、炭水化物、または糖類である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記炭化可能な剤が、金属塩またはアンモニウム塩と組み合わせて用いられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記イメージ形成された基材が、電気を伝導させる能力を有する、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記基材が、紙、プラスチックフィルム、プラスチック部品、布地、ガラス、金属、箔、食品、または医薬製剤である、前記いずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記いずれか一項に記載の方法を用いてイメージ形成された基材。
【請求項28】
人および/または機械による読み取り用の情報を表示するための、請求項27に記載の基材の使用

【公表番号】特表2012−523013(P2012−523013A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502811(P2012−502811)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050582
【国際公開番号】WO2010/112940
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(507055925)データレース リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】DATALASE LTD.
【Fターム(参考)】