説明

レーザーマーキング可能な防炎性成形組成物、ならびに前記成形組成物から得られるレーザーマーキング可能な製品およびレーザーマーキングされた製品

本発明は、向上したマーキング品質を有するレーザーマーキングされた成形物品を製造することを可能とする、新規なハロゲンフリーの防炎性熱可塑性プラスチック成形組成物に関する。この成形組成物は、少なくとも1種の熱可塑性プラスチック(A)と、少なくとも1種の塩性の感光性化合物であり、レーザー光に曝露されるとポリマーマトリックス内においてその色を変化させ、またはそのポリマーマトリックスにおける色変化を導く化合物(B1)、および/または少なくとも1種の感光性もしくは光増感性酸化物であり、レーザー光に曝露されるとポリマーマトリックス内においてその色を変化させ、またはそのポリマーマトリックスにおける色変化を導く酸化物(B2)と、少なくとも1種の無ハロゲン化合物または混合物であり、その成形組成物の可燃性、および燃焼性挙動に正の影響を及ぼす化合物または混合物(C)と、場合によって他の添加剤(D)とを含むことを特徴とする。本発明は、本発明のレーザーマーキング可能な防炎性成形組成物から製造される成形物品に、またそれらから製造されるレーザーマーキングされた成形物品に関する。本発明はまた、レーザーマーキングする方法にも、またレーザーマーキングされた成形物品を製造するためのレーザーマーキング可能な防炎性成形組成物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲンフリーの(ハロゲンを含まない)、難燃性を有しかつレーザーマーキング可能でもあるエンジニアリング熱可塑性プラスチックに基づく、新規な成形組成物に関する。本発明はまた、これらの成形組成物から製造される成形物にも関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性プラスチックは、長い使用の歴史を有する材料である。これらの材料について、レーザー光によるマーキング可能性などの機能性が、機械的、熱的、電気的および化学的性質と並んで、益々重要になっている。例として挙げることができる用途は、家庭分野における、キーボードにおける、また電子分野におけるものである。この用途では、レーザー刻印されたマーキングと、背景としてのポリマーマトリックスとの間の高コントラストが要求される。
【0003】
その上、市場ではハロゲンフリーの、難燃性を有する熱可塑性プラスチックに益々関心が持たれている。ここでは、ポリマーにおいて難燃性、最小の固有色、十分な熱安定性が組み込まれていること、かつUL94燃焼性試験での補強および未補強ポリマーにおける難燃剤の有効な難燃性にも、実質的な要求条件が課せられる。
【0004】
従来型の、ハロゲンを含有する難燃性ポリマーは、相乗剤としてアンチモン含有化合物、主として三酸化アンチモンを一般に含む。これらの成形組成物は、十分なレーザー刻印性を固有的に有する。
【0005】
ハロゲンフリーの難燃性を有する熱可塑性プラスチックは、アンチモンを含まない配合を一般に有する。これらの成形組成物に、十分なコントラストでレーザー刻印することはこれまで不可能であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術から出発して、本発明の目的は、成形組成物であって、エンジニアリング熱可塑性プラスチックを主成分とし、また従来のレーザーによりマーキングすることができ、かつハロゲンフリーの(ハロゲンを含まない)、難燃性を有する成形組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、適切な成形組成物であって、ハロゲンフリーの難燃剤および金属塩を含み、その金属塩が、導入されたエネルギーによるレーザー光の局所的照射に際してその色を変化させ、あるいは導入されたエネルギーによりその成形組成物における色変化が生じる成形組成物が見出された。
【0008】
適切な成形組成物は、ハロゲンフリーの難燃剤を少量の三酸化アンチモンと組み合せることによって、同様に見出されている。
本発明は、レーザーマーキング可能な成形組成物であって、ハロゲンフリーで、難燃性を有し、
(A)少なくとも1種の熱可塑性プラスチックと;
(B1)塩型の少なくとも1種の感光性化合物であり、レーザー光に曝露されると、ポリマーマトリックス内においてその色を変化させ、またはポリマーマトリックスの色の変化を導く化合物;および/または
(B2)少なくとも1種の感光性もしくは光増感性酸化物であり、レーザー光に曝露されると、ポリマーマトリックス内においてその色を変化させ、またはポリマーマトリックスの色の変化を導く酸化物と;
(C)少なくとも1種のハロゲンフリーの化合物であり、この成形組成物の可燃性、および燃焼性性能について正の効果(プラスの効果)を有する化合物と;
(D)適切な場合、他の従来の添加剤;
を含む成形組成物に関する。
【0009】
本発明において成形組成物は、ポリマー成分(A)として、1種または複数の熱可塑性プラスチックを含む。ポリマー成分の少なくとも1つが、半結晶性または液晶性熱可塑性プラスチックであることが好ましい。
【0010】
本発明では、材料をレーザー刻印可能にする成分として、塩型の感光性化合物(B1)、または感光性もしくは光増感性酸化物(B2)、あるいはこれらの混合物を使用しており、これらが成分(A)中に混合され、かつ照射がない場合には、本成形組成物の色に全く変化を生じないか、非常に僅かな変化が生じるか、または所望の色の変化が生じ、また本成形組成物に照射された後には、照射された部位で、その明度の変化を生じ、また適切な場合その色の変化をも生じる。
【0011】
本発明では、難燃性成分(C)として、燃焼性性能に対し有利な効果を有する、リン含有化合物(C1)、窒素含有化合物(C2)、ヒドロキシ含有化合物(C3)、およびまた無機合成化合物または鉱物製品(C4)、あるいはこれらの適切な混合物を使用する。
【0012】
本出願の目的のためのレーザー刻印可能な難燃性成形組成物の1つの特徴は、好ましくは従来のレーザー光源からの強い光の放射により、照射された部位で、照射されないマトリックスと比較して色変化が起こることである。この色変化は、輝度の局所的差として、例えばCIELabシステムにおける色度座標の局所的差として、またはRGB系における色度座標の局所的差として識別することができる。これらの効果は、種々の光源により生じさせることができる。
【0013】
本出願の目的のためのレーザー刻印可能な難燃性成形組成物の1つの特徴は、UL94垂直燃焼性試験において等級V−2、V−1、またはV−0を達成していることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の成形組成物は、通常20〜99.95重量%の熱可塑性ポリマー成分(A)を含む。
マトリックス中に使用することができるポリマーは、直鎖分子を有するものだけでなく、分岐したまたは幾分架橋したポリマーであることも可能である。本発明において使用することができる熱可塑性ポリマーの重合度は、どんな特定の制約をも受けることなく、また同等の光により刻印できない成形組成物の重合度と同一オーダーの大きさである。
【0015】
(A)において好ましく使用することができる熱可塑性プラスチックの例は、ポリアセタール(A1)、ポリカーボネートを含むポリエステル(A2)、ポリアミド(A3)、ポリアリーレンエーテルおよびポリアリーレンスルフィド(A4)、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホン(A5)、ポリアリールエーテルケトン(A6)、ポリオレフィン(A7)、液晶ポリマー(A8)、ならびにまた適切な場合ブレンドにおけるパートナーとしての他の熱可塑性ポリマー(AX)である。
【0016】
本明細書の目的のために、ポリアセタール(A1)は、その主反復単位がオキシメチレン基(−CH2O−)であるポリマーである。これらは、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンターポリマー、およびポリオキシメチレンブロックコポリマーを包含する。
【0017】
本明細書の目的のために、ポリエステル(A2)は、主鎖において反復エステル基を有する熱可塑性ポリマーである。例は、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらのカルボン酸の混合物、ならびに、エステル形成誘導体と二価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、および1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、オリゴ−もしくはポリエチレングリコール、オリゴ−もしくはポリプロピレングリコール、オリゴ−もしくはポリ(テトラメチレン)グリコール、これらのジオールの混合物)との重縮合物、および、また、それらのエステル形成誘導体とその他の可能なAA、BB、およびABコモノマーとの重縮合物である。本発明の目的のため、用語ポリエステルはポリカーボネートを含むことを意図しており、これらは芳香族ジヒドロキシ化合物、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン(ビスフェノールA)またはその誘導体の、例えばホスゲンとの重合により得ることが可能である。対応する製品は、それら自体知られ、かつ文献中に記載され、またそれらの多くは市販されてもいる。
【0018】
特に好ましいマトリックス成分(A)は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエーテルエステルブロックコポリマーである。
本明細書の目的のため、ポリアミド(A3)は、主鎖において反復アミド基を有する熱可塑性ポリマーである。それらは、アミノカルボン酸タイプのホモポリマーだけでなく、ジアミン−ジカルボン酸タイプのものも、また他の可能なAA、BB、およびABコモノマーによるコポリマーをも包含する。使用することができるポリアミドは知られており、例としてEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.11,pp.315〜489,John Wiley & Sons,Inc.1988中に記載される。
【0019】
ポリアミド(A3)の例は、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカンジアミド、ポリ−11−アミノウンデカナミド、およびビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカンジアミド、あるいはラクタムの開環により得られる生成物、例えばポリカプロラクタムまたはポリラウロラクタムである。他の適切なポリアミドは、酸成分としてテレフタルまたはイソフタル酸、かつ/またはジアミン成分としてトリメチルヘキサメチレンジアミンまたはビス(p−アミノシクロヘキシル)プロパンを主成分とするものであり、かつ2種以上の上述のポリマーまたはそれらの成分の共重合により調製される親ポリアミド樹脂でもある。これらについて挙げることのできる一例は、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、およびカプロラクタムから構成される共重縮合物である。
【0020】
本明細書の目的のため、ポリアリーレンスルフィド(A4)は、実質的な芳香族主鎖において反復硫黄基を有する熱可塑性ポリマーである。それらは、ホモポリマーだけでなくコポリマーをも包含する。
【0021】
本明細書の目的のため、液晶ポリマー(A8)は、特にp−ヒドロキシ安息香酸、および/または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸をベースとする液晶コポリエステルおよびコポリエステルアミドである。非常に特に有利に使用される液晶プラスチックは、一般に完全に芳香族のポリエステルであり、これらは異方性溶融物を形成し、また2000〜200000g/モル、好ましくは3500〜50000g/モル、特に4000〜30000g/モルの平均分子質量(Mw=重量平均)を有する。特に適切な液晶ポリマーは、例としてSaechtling,Kunststoff−Taschenbuch[Plastics Handbook],Hanser−Verlag,27th Editionの517〜521頁に記載される。
【0022】
本明細書の目的のため、ブレンドにおけるパートナー(AX)としての熱可塑性ポリマーは、任意の所望される他の半結晶性、液晶性、および非晶質ポリマーとすることができる。
【0023】
本明細書の目的のため、感光性化合物(B1)は塩型の有機もしくは無機化合物であり、これらの化合物はレーザー光源に曝露されるとそれらの色を変化させ、かつそれぞれ照射された部位でプラスチック内における色変化を導き、またこれらの化合物は、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Sn、Sb、La、Pr、Ta、W、Ceからなる群から選択される少なくとも1つのカチオンを含有する。
【0024】
化合物(B1)は、一定の化学量論の従来型の塩とすることができるが、それらは非化学量的組成の化合物を包含することもできる。
所与のアニオンの系について、イオン交換体としての機能性を生じることが、2つ以上の異なるカチオンを組み込んだこのタイプの錯体構造が形成されたことの証拠となり得る。
【0025】
本発明の可能な一実施形態において、少なくとも2つの異なるカチオンを有する混合塩が使用される。そのカチオンが、上述のカチオンを相補することができる元素は、主要族IIおよびIIIの第3〜第6周期、主要族IVの第5〜第6周期、あるいは遷移族III〜VIIIの第4〜第5周期の元素、またはランタノイドの元素であり、あるいは主要族Iの第2〜第5周期からの元素である。
【0026】
本発明の他の可能な実施形態において、加熱すると反応して、2つのカチオンを有する少なくとも1つの化合物を生じることができる塩の混合物が使用される。
それらにより上述のカチオンを有する化合物を構成することが可能であり、かつその化合物が光と相互作用することが可能である限り、成分(B1)のアニオンには原則として何の制約も設けられない。
【0027】
成分(B1)は、少なくとも2つの異なる元素を含有するアニオンを使用することが好ましい。
特に、好ましい成分(B1)は、アニオンとして、無機オキソアニオン、あるいは有機カルボン酸または炭酸のアニオンを有する。特に好ましい成分(B1)は、アニオンとしてリン含有オキソアニオンを有する。
【0028】
照射されていない化合物(B1)が、使用される光の波長領域内に吸収を有する組合せが好ましい。
さらに、照射されていない化合物(B1)の固有の色を、粒径および組成を変化させることにより、種々の散乱挙動および吸収挙動として調整することができる組合せが好ましい。
【0029】
本発明の組成物の好ましい一実施形態において、成分(B1)のアニオンは、
式Aao(OH)yz-
(式中、A=3もしくは5価のリン、4もしくは6価の硫黄、4価のモリブデン、または6価のタングステンであり;a、o、およびzは、互いに独立に値1〜20を有する整数であり;yは、値0〜10を有する整数である)を有する。
【0030】
本発明の組成物の好ましい一実施形態において、成分(B1)は、リン(V)酸の、および/またはリン(III)酸の、および/または硫黄(IV)の酸の、および/または硫黄(VI)の酸の、および/またはそれらの縮合物のアニオンを有する。他の好ましい実施形態において、成分(B1)は、カチオンとして、Cu、Sn、Fe、またはSb、あるいはそれらの混合物を含有する。適切な場合、水酸化物イオンおよび水が存在することもできる。
【0031】
本出願の目的のため、感光性酸化物(B2a)は、光に曝露するとそれらの色を変化させる無機粒状酸化物である。本出願の目的のための光増感性酸化物(B2b)は、光に曝露すると、周囲のポリマーマトリックス内における着色剤化合物の生成を促進する無機の粒状酸化物である。酸化物(B2)を有する配合物の色変化には、これらの酸化物の固有色の変化であるか、あるいは、それらの直ぐ付近に適切な吸収性化合物を生成する効果に触媒的に寄与することを含むか、そのいずれかの可能性がある。
【0032】
本出願の目的のため、酸化物という用語は、その中にヒドロキシ基の形でいくつかの酸素原子が存在する化合物を含む。この場合にも、化合物は化学量論的または非化学量論的組成とすることができる。
【0033】
成分(B2)の適切な無機酸化物は、主要族IIIおよびIVの第3〜第6周期、主要族Vの第5〜第6周期、あるいは遷移族III〜VIIIの第4〜第5周期の元素を、またはランタノイドを主成分とすることができる。
【0034】
これらの酸化物(B2)の例は、Al23、SiO2、ケイ酸塩またはアルミノケイ酸塩鉱物、ケイ酸塩ガラス、TiO2、ZnO、ZrO2、SnO2、Sb23、Sb25、Bi23、およびまた、適切な場合、他のドーピング元素を有するそれらの混合された酸化物である。アナターゼ型およびルチル型の、Sb23およびTiO2が、特に好ましい。
【0035】
成分(B1)および(B2)の粒径などの物理的パラメータは、化学組成と並んでレーザー刻印性の品質に決定的影響を及ぼす。その添加剤の散乱挙動が白色顔料として作用する原因になれば、明度座標値が高くなる。その上、その平均粒径は、良好な分散性がもたらされると達成することができる、最大の粒子−マトリックス界面の目安であり、したがって光に対する本成形組成物の感度に影響を及ぼしてもいる。
【0036】
10μm未満の平均粒子直径を有する成分(B1)および(B2)が適切であることが判っている。成分(B1)および(B2)は、5μm未満の平均粒子直径を有することが好ましい。
【0037】
本出願における定量的粒径データは、常に平均粒径(d50)に、また一次粒子の粒径に基づく。本発明の目的のため、粒径は、光散乱(適切な場合偏光による)、顕微鏡もしくは電子顕微鏡、またはナローギャップでのフロー計数法、沈降法などの従来の方法、あるいは他の市販の入手可能な方法により測定される。
【0038】
本発明の一実施形態において、照射されていない成分(B1)および/または(B2)は任意の所望の固有色を有し、また照射された成分(B1)および/または(B2)はそれと比較してできる限り著しい色変化を呈する。ここで使用される用語色差は、1つの色相から他の色相への、例えば黄色から赤色への変化を意味することができる。しかし、本発明の目的のため、この用語は、明度の変化、例えば白色から灰色へ、灰色から黒色へ、または淡褐色から暗褐色への変化を意味することをも意図している。用語色差は不透明度の変化、例えば透明から白色または黒色または褐色への変化を意味することをも意図している。
【0039】
色差は人間の眼により感知することができる。本発明は同様に、光学的測定装置により検知される色差、または人間の眼の感度範囲外の波長で検出器によって感知される色差を含むことを意図している。これについて挙げることができる一例は、NIR領域におけるダイオードレーザーを使用する読取器の使用である。
【0040】
可視光領域について、色差を表すためにCIELabシステムをわかりやすく使用することができる。ここで、高い色コントラストは、下記のdE*について高い値が現われることを意味し、但し:
【0041】
【数1】

【0042】
ここで添え字1は照射されていない成形組成物を表し、またここで添え字2は照射された成形組成物を表す。
CIELabシステムは、国際照明委員会により1976年に規定された色空間であり、L*=明度、a*=赤色−緑色の色データ、b*=黄色−青色データである。
【0043】
本発明の好ましい一実施形態において、照射されていない成分(B1)および/または(B2)は、最大の明度(すなわちCIELab色空間における最大の明度座標L*)および最小の固有色(すなわち黒色−白色軸からの最小の偏り:定量的に見て最小のa*、最小のb*)を有する。この場合に意図することは、照射された成分(B1)および/または(B2)が最小の明度(最小の明度座標L*)と、それにも拘らず最小の固有色(定量的に見て最小のa*、最小のb*)を有することである。
【0044】
本発明の他の好ましい実施形態において、照射されていない成分(B1)および/または(B2)は、最大の明度(すなわちCIELab色空間における最大の明度座標L*)および最小の固有色(すなわち黒色−白色軸からの最小の偏り:定量的に見て最小のa*、最小のb*)を有する。この場合に意図することは、照射された成分(B1)および/または(B2)の固有色が可能な限り著しい(最大のa*および/またはb*)ことである。
【0045】
使用されるレーザー光の波長範囲には原則として何の制約もない。適切なレーザーの波長は一般に157nm〜10.6μmの範囲にあり、好ましくは532nm〜10.6μmの範囲にある。
【0046】
例として、ここでCO2レーザー(10.6μm)、およびNd.YAGレーザー(1064nm)、またはパルスUVレーザーを挙げることができる。
典型的なエキシマレーザーの波長は次の通りである:F2エキシマレーザー(157nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、KrClエキシマレーザー(222nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、XeClエキシマレーザー(308nm)、XeFエキシマレーザー(351nm);波長532nm(周波数2倍)、波長355nm(周波数3倍)、または波長265nm(周波数4倍)の周波数増幅Nd:YAGレーザー。
【0047】
Nd:YAGレーザー(1064または532nm)、およびCO2レーザーを使用することが特に好ましい。
本発明において使用されるレーザーのエネルギー密度は、全体として0.3mJ/cm2〜50J/cm2、好ましくは0.3mJ/cm2〜10J/cm2の範囲にある。パルスレーザーが使用される場合、パルス周波数は、全体として1〜30kHzの範囲内にある。
【0048】
本発明の成形組成物は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%の成分(B1)を含む。より低い含量では、刻印コントラストが十分であるしきい値未満となる。より高い含量では不経済であり、マトリックスの色の状態を悪くする恐れがある。
【0049】
本発明の成形組成物は、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは0.8〜4重量%の成分(B2)を含む。より低い含量では、刻印コントラストが十分であるしきい値未満となり、より高い含量では成形組成物において所望される機械的性質を達成することが困難になる。
【0050】
本出願の目的のためのリン含有化合物(C1)は、リンの原子価が−3〜+5である、リンを含有する有機および無機化合物である。例は、芳香族ホスフィン、芳香族ジホスフィン、置換されたホスフィンオキシド、種々の形態の元素リン、塩型の次亜リン酸塩、または次亜リン酸の有機エステル、塩型の亜リン酸塩または亜リン酸の有機エステル、次二リン酸エステルまたは塩、塩型のリン酸塩またはリン酸の有機エステルである。欧州特許第0932643号は、適切なリン化合物の他の非限定的例を挙げている。
【0051】
本発明の好ましい一実施形態では、リン含有化合物(C1)として、式(I)のホスフィン酸の塩、または式(II)の二量体化もしくは重合されたホスフィン酸の塩、あるいはそれらの混合物を使用する。欧州特許第00892829号は、関連例を挙げている。
【0052】
使用される好ましいホスフィン酸塩は、式(I)の構造要素を有する化合物:
【0053】
【化1】

【0054】
(式中、R1およびR2は、互いに独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであり;Mはm価の金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオン、または元素周期表の第3主族の金属のイオンであり;mは1〜6の整数、好ましくは1〜3、特に2または3である)である。
【0055】
使用されるジホスフィン酸塩は、式(II)の構造要素を有する化合物:
【0056】
【化2】

【0057】
(式中、R1およびR2は、互いに独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであり;R3は、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、またはアラルキレンであり;Mはm価の金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオン、または元素周期律表の第3主要族の金属のイオンであり;nは1〜6の整数、好ましくは1〜3、特に2または3であり;xは1または2である)であることが好ましい。
【0058】
1および/またはR2がアルキルである場合、これらは一般に炭素原子1〜20個を有する飽和1価アルキル基である。アルキル基は直鎖または分岐基としてよい。炭素原子1〜6個を有する直鎖アルキル基が好ましい。メチルおよび/またはエチルが特に好ましい。
【0059】
1および/またはR2がシクロアルキルである場合、これらは一般に環状炭素原子5〜8個、好ましくは5または6個を有する飽和1価シクロアルキル基である。シクロペンチルまたはシクロヘキシルが好ましい。
【0060】
1および/またはR2がアリールである場合、これらは一般に芳香環1または2個を有する1価芳香族炭化水素基である。フェニルが好ましい。
1および/またはR2がアラルキルである場合、これらは一般に芳香環1または2個を有する1価芳香族炭化水素基であり、これらがさらにアルキレン鎖を有する。ベンジルが好ましい。
【0061】
3はアルキレン基とすることができる。これは通常は式−Cn2n−(式中、nは1〜10の整数、好ましくは2〜6である)の基である。これらは直鎖または分岐飽和2価炭化水素基とすることができる。これらの例は、エチレン、プロピレン、ブチレン、およびヘキシレンである。これらの基は、窒素、硫黄、または酸素などのヘテロ原子による中断を有することもできる。ここで例は、末端ヒドロキシ基を除去した後のジ−、トリ−、またはテトラエチレングリコールの2価の基である。
【0062】
3がシクロアルキレンである場合、これは一般に環状炭素原子5〜8個、好ましくは5または6個を有する飽和2価シクロアルキル基である。シクロペンチレンまたはシクロヘキシレンが好ましい。
【0063】
3がアリールである場合、これは一般に芳香環1または2個を有する2価芳香族炭化水素基である。フェニレンが好ましい。
3がアラルキレンである場合、これは一般に芳香環1または2個を有する2価芳香族炭化水素基であり、さらにアルキレン鎖を有する。ベンジレンが好ましい。
【0064】
上述の基R1〜R3は、さらに不活性置換基、例えば炭素原子1〜6個を有することが好ましいアルキルまたはアルコキシ基を担持することもでき、他の例は塩素などのハロゲン原子である。
【0065】
Mは、金属のカチオン、好ましくは元素周期律表の第1、第2、または第3主要族の金属のカチオンである。
Mの好ましい例は、リチウムの、ナトリウムの、カリウムの、マグネシウムの、カルシウムの、ストロンチウムの、バリウムの、またアルミニウムのカチオンである。カルシウムおよび/またはアルミニウムが特に好ましい。
【0066】
本発明の他の実施形態において、リン含有化合物(C1)としてレゾルシノールテトラフェニルジホスフェートなどの有機リン化合物が使用される。
本発明の他の好ましい実施形態において、リン含有化合物(C1)として、ホスフィン酸塩と、レゾルシノールテトラフェニルジホスフェートなどの有機リン化合物との混合物が使用される。
【0067】
本発明の成形組成物は、通常0〜40重量%、好ましくは5.0〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%のリン含有成分(C1)を含む。
本出願の目的のため、窒素含有化合物(C2)は、有機および無機窒素含有化合物である。適切な難燃性添加剤は主として、アミノ置換炭素原子に隣接するか、あるいはカルボニル基に隣接するかいずれかのヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を有する複素環式化合物である。これらの化合物の例は、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピロリドン、アミノピリジン、およびそれらに由来する化合物である。
【0068】
有利な化合物(C2)は、アミノピリジンまたはアミノトリアジン、およびそれらに由来する化合物、例えばメラミン、2,6−ジアミノピリジン、置換されたかつ二量体のアミノピリジン、ならびにこれらの化合物から調製された混合物である。
【0069】
さらに有利な化合物(C2)は、ポリアミドおよびジシアンジアミド、尿素およびその誘導体、およびまたピロリドン、ならびにそれらに由来する化合物である。適切なピロリドンの例は、イミダゾリジノン、およびそれらに由来する化合物、例えばヒダントイン、アラントイン、およびその誘導体である。
【0070】
さらに特に有利な化合物(C2)は、トリアミノ−1,3,5−トリアジン(メラミン)、およびその誘導体、例えばメラミン−ホルムアルデヒド縮合物およびメチロールメラミンである。
【0071】
メラミンシアヌレートは、成分(C2)として特に好ましく使用される。これは、好ましくは等モル量のメラミンと、シアヌル酸またはイソシアヌル酸との反応生成物である。例として、それは90〜100℃における出発化合物水溶液の反応により得られる。市販の製品は、1.5〜7μmの平均粒径d50を有する白色粉末である。
【0072】
さらに適切なメラミン誘導体(しばしば塩または付加物とも呼ばれる)は、メラミンの縮合物(メレム(二量体)、メラム(三量体)、またはより高級なオリゴマー)、メラミンボレートおよびオキサレート、第一級または第二級メラミンホスフェートおよび第二級メラミンピロホスフェート、メラミンネオペンチルグリコールボレート、ならびにまた重合メラミンホスフェート(CAS No.56386−64−2)である。
【0073】
さらに適切な窒素含有化合物(C2)は、グアニジン誘導体、例えば、シアノグアニジン、グアニジンカーボネート、グアニジンシアヌレート、第一級および第二級リン酸グアニジン、第一級および第二級硫酸グアニジン、グアニジンペンタエリトリトールボレート、グアニジンネオペンチルグリコールボレート、ならびにまたリン酸尿素、シアヌル酸尿素、アンメリンおよびアンメリドである。
【0074】
さらに適切な窒素含有化合物(C2)は、ベンゾグアナミンそれ自体およびその付加物、ならびにそれぞれ塩であり、及び、また窒素を置換されたその誘導体およびそれらの付加物、ならびにそれぞれ塩である。
【0075】
他の適切な化合物は、ベンゾグアナミン化合物、アラントイン化合物、またはグリコルリル、および特にリン酸、ホウ酸、および/またはピロリン酸とのそれらの付加物である。
【0076】
特に好ましい窒素含有化合物(C2)は、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、およびメラミンポリホスフェートである。
本発明の成形組成物は、通常0〜30重量%、好ましくは2.0〜20重量%、特に好ましくは3〜10重量%の窒素含有成分(C2)を含む。
【0077】
本出願の目的のため、ヒドロキシ基を含有する化合物(C3)は、難燃性添加剤または相乗剤として使用することのできるアルコール、および多価アルコール化合物である。例は、アルキレングリコールなどの脂肪族2価〜6価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールまたはブチレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコール;グリセロール、トリメチロールプロパン、エリトリトール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール;キシリトールなどのペンチトール;ソルビトールおよびズルシトールなどのヘキシトールである。これらと並んで、環状ポリヒドロキシ化合物、例えば単糖および/または二糖および/または、スクロースヘキサイソブチレートなどのこれらの誘導体を使用することも可能である。ポリヒドロキシ化合物の部分エステル化もしくはエトキシル化誘導体を使用することも可能である。これらの例は、グリセロールモノステアレートまたはソルビトールモノステアレート、エトキシル化ジメチロールプロパン、エトキシル化ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはジトリメチロールプロパン、およびまたソルビタンなどの炭水化物によるラウリル、ヘキサデシルまたはステアリルエステルである。他の例は、ヒドロキシ基を含有する有機ポリマー、例えばポリビニルアルコール(アルファオレフィン例えばエチレンなどの、それらと共重合可能な他のモノマーとのコポリマーを含めたもの)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、およびポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)(他の(メタ)アクリル酸エステルなどのそれらと共重合可能な他のモノマーとのコモノマーを含めたもの)、またはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂例えばノボラック、あるいはヒドロキシ基を含有するエポキシ樹脂、セルロースまたはデンプンなどの多糖、ならびにポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)などのヒドロキシ基を含有するコポリマーである。
【0078】
好ましい成分(C3)は、ポリビニルアルコール、ソルビトールモノステアレート、およびポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)である。
本発明の成形組成物は、通常0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%の、ヒドロキシ基を含有する成分(C3)を含む。
【0079】
本出願の目的のため、無機合成化合物または鉱物製品(C4)は、ケイ素の酸素化合物、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛の酸化物または塩、ならびにまたスズ酸塩およびホウ酸塩を包含する。
【0080】
ケイ素の酸素化合物の例は、オルトケイ酸の塩およびエステル、ならびにそれらの縮合物(ケイ酸塩またはケイ酸エステル)である。適切なケイ酸塩またはケイ酸エステルの概要は、例としてRiedel,Anorganische Chemie[Inorganic Chemistry],2nd Edn.,pp.490〜497,Walter de Gruyter,Berlin−New York 1990中に示される。ここで特に興味ある化合物は、タルク、カオリナイトおよび雲母などのフィロケイ酸塩、ならびにベントナイトおよびモンモリロナイトの群、ならびにまたテクトケイ酸塩、例えばゼオライトの群である。これらと並んで、微粒ケイ酸の形態にある二酸化ケイ素を使用することも可能である。
【0081】
ここでケイ酸は、熱分解方法により、または溶液化学方法により調製していることができる。上述のケイ酸塩またはケイ酸エステル、あるいはケイ酸は、いくつかの表面性状を達成するため、適切な場合有機改質剤を有していることができる。
【0082】
ケイ素の酸素化合物の他の例は、種々の組成のガラス粉末、ガラス−セラミック粉末、およびセラミック粉末、例えば「Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry」,5th Edition,Vol.A12(1989),pp.372〜387(ガラス)、またはpp.443〜448(ガラス−セラミック)中に記載されるものである。適切なセラミック材料は、Vol.6(1986)のpp.12〜18(商業用セラミック粘土)中に記載される。明確な融点を有するガラスおよび/またはセラミック、あるいは釉薬の製造向けに使用されるセラミックフリットなどの広い溶融範囲を有する製品混合物のいずれかを使用することが可能である。これらのフリットまたは2種以上のフリットの混合物は、ガラス繊維、玄武岩繊維、またはセラミック繊維を追加的に含むこともできる。このタイプの混合物は、例として欧州特許第0287293B1号中に記載される。
【0083】
適切な無機化合物(C4)の例は、水酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物、およびまた式Mg(1-a)Ala(OH)2Ana/2・pH2Oのハイドロタルサイト(式中、AnはアニオンSO42-またはCO32-であり;aは0を超え0.5以下であり;pはハイドロタルサイト中の水分子の数であり、0〜1の値である)である。
【0084】
AnがアニオンCO32-であり、0.2≦a≦0.4であるハイドロタルサイトが好ましい。ハイドロタルサイトは、適切な場合、適切な化学処理により改質されていてもよい、天然ハイドロタルサイト、あるいは合成製品のいずれかとすることができる。
【0085】
適切な無機化合物(C4)のさらなる例は、元素周期律表の第2主要族の金属の、金属炭酸塩、およびそれらの混合物である。適切な化合物は、式MgbCac(CO3b+c・qH2Oの炭酸マグネシウムカルシウム(式中、bおよびcは1〜5の数、b/c≧1であり、q≧0である)、およびまた式Mgd(CO3e(OH)2d-2e・rH2Oの塩基性炭酸マグネシウム(式中、dは1〜6の数であり、eは0を超え6未満の数であり、d/e>1であり、r≧0である)でもある。炭酸塩の混合物は、同様に適する。炭酸マグネシウムカルシウムおよび塩基性炭酸マグネシウムは、水和形態、あるいは無水形態のいずれかで、また表面処理しまたは無処理で使用することができる。これらのタイプの化合物の中では、ハンタイト(huntite)および水菱苦土石などの天然産出鉱物、およびこれらの混合物がある。
【0086】
適切な無機化合物(C4)のさらなる例は、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、および硫化亜鉛などの亜鉛化合物、ならびにまた式fZnO・gB23・hH2O(式中、f、g、およびhは0〜14の値である)のホウ酸亜鉛である。
【0087】
適切な無機化合物(C4)のさらなる例は、元素周期律表の第1、第2および第3主要族、ならびにまた第2遷移族の金属の、金属ホウ酸塩、およびそれらの混合物である。特に適切な化合物は、式iMgO・kCaO・lAl23・mZnO・nB23・oH2O(式中、i、k、l、m、n、およびoは0〜14の値である)のホウ酸マグネシウム、カルシウム、アルミニウムおよび亜鉛である。このホウ酸塩は水和形態、あるいは無水形態のいずれかで使用することができる。これらのタイプの化合物の中では、灰硼石(colemanite)などの天然産出鉱物、およびこれらの混合物がある。合成ホウ酸塩の混合物が同様に適切であり、これらに実質的に対応する鉱物配合物も適切である。
【0088】
本発明の成形組成物は、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%の無機化合物(C4)を含む。
本発明の成形組成物は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の少なくとも1種の難燃性成分(C1)〜(C4)を含む。より低い含量では、全体的に所望の難燃剤効果を発揮しない。より高い含量では、本成形組成物において所望される機械的性質が全体的に達成されない。
【0089】
他の従来の添加剤(D)は、本発明の熱可塑性成形組成物の任意選択の成分である。
これらの中では、例として耐光作用、耐UV放射線作用、および耐候性を向上させる安定剤(D1)、耐熱および耐熱酸化性を向上させる安定剤(D2)、耐加水分解性を向上させる安定剤(D3)、耐酸分解性を向上させる安定剤(D4)、滑剤(D5)、離型剤(D6)、着色剤添加剤(D7)、結晶化調節物質および成核剤(D8)、衝撃調整剤(D9)、充填剤(D10)、可塑剤(D11)、ならびに他の従来の添加剤(D12)がある。
【0090】
本発明の成形組成物中に存在させることができる、耐候ならびに耐光および耐UV放射線のための安定剤(D1)は、(D1A)ベンゾトリアゾール誘導体、(D1B)ベンゾフェノン誘導体、(D1C)オキサニリド誘導体、(D1D)サリチレートなどの芳香族ベンゾエート、(D1E)シアノアクリレート、(D1F)レゾルシノール誘導体、および(D1G)立体障害を有するアミン(sterically hindered amines)の群からの1種または複数の物質である。
【0091】
好ましい一実施形態において、本発明の成形組成物は、群(D1A)〜(D1F)の少なくとも1種の安定剤だけでなく、群(D1G)の立体障害を有するアミンをも含む。
特に好ましい一実施形態において、本発明の成形組成物は、立体障害を有するアミン(D1G)と一緒にベンゾトリアゾール誘導体(D1A)を含む。
【0092】
(D1A)ベンゾトリアゾール誘導体の例は、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチル−フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0093】
ベンゾフェノン誘導体(D1B)の例は、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノンである。
立体障害を有するアミン(D1G)の例は、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル化合物、例えばセバシン酸ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、またはコハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンとのポリマーである。
【0094】
上述の耐候安定剤(D1)の使用される割合は、成形組成物の全重量に対して0.01〜2.0重量%が有利である。安定剤D1A〜D1Gの少なくとも1つの含量0.02〜1.0重量%が特に好ましい。
【0095】
本発明の成形組成物は、耐熱および耐熱酸化性を向上させる安定剤(D2)として、酸化防止剤(D2)、例えば群(D2A)立体障害を有するフェノール、(D2B)フェノールエーテル、(D2C)有機もしくはリン含有酸のフェノールエステルからの1種または複数の物質を含むことができ、例は、ペンタエリトリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオノヒドラジド、ヘキサメチレングリコールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、(D2D)ヒドロキノン、および(D2E)芳香族第2級アミンである。
【0096】
ペンタエリトリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ヒドロキノン(D2D)、および芳香族第2級アミン(D2E)が好ましい。
【0097】
特に好ましい一実施形態では、リン化合物と共に立体障害を有するフェノール(D2B)を使用する。上述の酸化防止剤(D2)の使用される割合は、成形組成物の全重量に対して0.01〜10重量%とすることができる。2重量%までの含量が好ましい。
【0098】
Ciba Irganox(登録商標)1010の、Irgafos(登録商標)126との組合せが特に好ましい。
したがって、本発明の成形組成物は、耐加水分解性を向上させる安定剤(D3)として、(D3A)グリシジルエーテル、または(D3B)カルボジイミドの群からの1種または複数の無水物物質を含むことができる。例は、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、グリセロールのモノ−、ジ−、適切な場合、ポリグリシジルエーテル、およびトリメチロールプロパンのトリスグリシジルエーテルである。上述の安定剤(D3)の使用することができる量は、成形組成物の全重量に対して0〜3重量%とすることができる。1.0重量%までの含量が好ましい。ポリマーまたはモノマーのカルボジイミドは特に好ましい。
【0099】
したがって、本発明の成形組成物は、耐熱分解性を向上させる安定剤(D4)として、酸抽出性物質、すなわち窒素含有化合物(D4A)の、アルカリ土類金属化合物(D4B)の、または塩基(D4C)の群からの1種または複数の物質を含む。
【0100】
マトリックスがポリアセタール、または同様に酸反応活性であるポリマーを含む場合、好ましい一実施形態では、窒素含有化合物(D4A)だけでなく、アルカリ土類金属化合物(D4B)をも使用する。
【0101】
窒素含有化合物(D4A)の例は、メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド付加物、およびメチロールメラミンである。
アルカリ土類金属化合物(D4B)の例は、プロピオン酸カルシウム、クエン酸三カルシウム、およびステアリン酸マグネシウムである。
【0102】
塩基(D4C)の例は、Na2CO3、CaCO3、およびNaHCO3である。
上述の酸捕捉剤(D4)の好ましい使用される割合は、0.001〜1.0重量%である。混合物の形の酸捕捉剤を使用することもできる。
【0103】
本発明の成形組成物は、滑剤(D5)または離型剤(D6)として、ワックス、例えばポリエチレンワックスおよび/または酸化ポリエチレンワックス、それらのエステルおよびアミド、あるいは脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドを含むことができる。
【0104】
混合されたエチレンビス(脂肪酸アミド)およびモンタンろうグリセリドが好ましい。
滑剤(D5)および離型剤(D6)の好ましく使用される割合は、成形組成物の全重量に対して0.01〜10重量%である。0.05〜3重量%の含量が特に好ましい。滑剤は、一般に離型剤として作用することもでき、またその逆の場合も同様である。
【0105】
本発明の成形組成物は、着色剤添加剤(D7)として、着色剤物質を含むことができ、これらは着色剤として知られる。これらは有機もしくは無機顔料、あるいは染料、のいずれかとすることができる。
【0106】
顔料および染料について特定の制約は存在しない。しかし、本成形組成物中に均一に分散し、かつ界面でまたは個別の領域でそれらの濃度が増加せず、このようにして、優れた色の均一性、色のコンシステンシー、および機械的性質を具備することが可能になる顔料が使用されるべきである。
【0107】
例として、アントラキノン染料、およびカーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、インドリン顔料、二酸化チタン顔料、酸化鉄顔料、およびコバルト顔料などの種々の顔料を挙げることができる。着色剤物質の任意の所望の適切な組合せを、本発明の範囲内で使用することもできる。カーボンブラックが使用される場合、カーボンブラックは着色剤として作用するだけでなく、耐候性にも寄与することがしばしば見出されている。
【0108】
着色剤物質の全含量は、成形組成物の全重量に対して0.05〜10重量%、特に好ましくは5重量%までであることが好ましい。含量が低過ぎると、所望の色の深みがしばしば達成されない。より高い含量は大抵必要ではなく、また経済的に魅力がなく、時には本成形組成物の機械的性質などの他の性状を損なうことがある。
【0109】
本発明の成形組成物は、結晶化調節物質(D8)として、均一にまたは不均一に作用する成核剤、すなわち固体無機化合物、および架橋ポリマーの群からの1種または複数の物質を含むことができる。(D8)成核剤の例は、表面改質したまたは無改質のヒュームド二酸化ケイ素、フッ化カルシウム、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、微粒ポリテトラフルオロエチレン、アンチモン華(valentinite)、ピロフィライト、ドロマイト、メラミンシアヌレート、窒化ホウ素などのホウ素化合物、ケイ酸、モンモリロナイト、およびまた有機改質モンモリロナイト、有機または無機顔料、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、ならびにフィロケイ酸塩である。
【0110】
好ましい一実施形態において、本発明の成形組成物は、成核剤として、タルク、または分岐もしくは部分架橋したポリマーを含む。
成核剤の使用される割合は、成形組成物の全重量に対して0.0001〜5重量%であることが好ましい。0.001〜2.0重量%の含量が好ましい。
【0111】
本発明の成形組成物は、衝撃調整剤として、機械的性質に有利な効果を有する添加剤(D9)をさらに含むことができる。
本成形組成物の全重量に対して、0〜20重量%の全含量が好ましい。
【0112】
これらの添加剤の例は、しばしばエラストマーである、またはエラストマー成分を含む粒状ポリマーである。
好ましいタイプのこれらのエラストマーは、エチレン−プロピレン(EPM)ゴムまたはエチレン−プロプレン−ジエン(EPDM)ゴムとして知られるものである。EPMゴムは一般に残留二重結合をほとんど有しないが、EPDMゴムは、炭素原子100個毎に1〜20個の二重結合を有することができる。
【0113】
EPDMゴム向けのジエンモノマーについて挙げることができる例は、イソプレンおよびブタジエンなどの共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび1,4−オクタジエンなどの、炭素原子5〜25個を有する非共役ジエン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエンおよびジシクロペンタジエンなどの環状ジエン;ならびにまた5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、および2−イソプロペニル−5−ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネン、および3−メチル−トリシクロ[5.2.1.0.2.6]−3,8−デカジエンなどのトリシクロジエン;ならびにこれらの混合物である。
【0114】
1,5−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、およびジシクロペンタジエンが好ましい。
EPDMゴムのジエン含量は、ゴムの全重量に対して0.5〜50重量%、特に1〜8重量%が好ましい。
【0115】
EPMおよびEPDMゴムは、反応性カルボン酸を、またはそれらの誘導体をグラフトさせていることもできるのが好ましい。これらの例はアクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの誘導体、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、ならびにまた無水マレイン酸である。
【0116】
アクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはこれらの酸のエステルとの、エチレンのコポリマーは、他の群の好ましいゴムである。このゴムは、マレイン酸およびフマル酸などのジカルボン酸、またはこれらの酸の誘導体例えばエステルおよび酸無水物、ならびに/あるいはエポキシ基を含むモノマーを含むこともできる。ジカルボン酸誘導体を含む、またはエポキシ基を含むこれらのモノマーは、ジカルボン酸基および/またはエポキシ基を含むモノマーを、モノマー混合物に添加することにより、このゴムに組み込まれるのが好ましい。
【0117】
他の好ましいエラストマーは、その調製が、例えばBlackleyにより、単行書「Emulsion Polymerization」中に記述されるエマルションポリマーである。使用することができる乳化剤および触媒は、それ自体知られている。原則として、均質に構成されたエラストマー、あるいはシェル構造(shell structure)を有するエラストマーを使用することが可能である。シェル−タイプ(shell-type)構造は、個々のモノマーの添加順序によって決まる。ポリマーの形態はまた、この添加順序により影響を受ける。エラストマーのゴム部分の調製のため、ここで挙げることができるモノマーは、単に例として、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、対応するメタクリル酸エステル、ブタジエンおよびイソプレン、ならびにまたこれらの混合物である。これらのモノマーは、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテルなどの他のモノマーと、またメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、またはアクリル酸プロピルなどの他のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと共重合できる。エラストマーの軟質またはゴム相(0℃未満のガラス転移温度を有する)は、芯部、外側外被、または中間シェル(その構造が3つ以上のシェルを有するエラストマーの場合)とすることができる。2つ以上のシェルを有するエラストマーは、ゴム相から構成される2つ以上のシェルを有することもできる。エラストマーの構造内に、ゴム相のほかに1つ以上の硬質成分(20℃を超えるガラス転移温度を有する)を包含する場合、これらは、主モノマーとして、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、またはメタクリル酸メチルなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを重合させるステップにより一般に調製される。これらのほかに、比較的少ない割合の他のコモノマーを使用することも可能である。
【0118】
ゴム相の粒子は、架橋していることもできる。架橋モノマーの例は、1,3−ブタジエン、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、およびアクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル、およびまたEP−A−50265中に記載される化合物である。
【0119】
グラフト−結合モノマーとして知られるモノマー、すなわち重合の間に異なる速度で反応する、2つ以上の重合可能な二重結合を有するモノマーを使用することも可能である。少なくとも1つの反応性基が他のモノマーとおよそ同一の速度で重合するが、他の(複数の)反応性基が例えば著しく遅く重合する、このタイプの化合物を使用することが好ましい。異なる重合速度により、ゴム中にある割合の不飽和二重結合が生じる。次いでこのタイプのゴム上に他の相がグラフトされると、ゴム中に存在する少なくともいくつかの二重結合がグラフトモノマーと反応して、化学結合を形成する、すなわち、上にグラフトした相は、グラフト基質への少なくともある程度の化学結合を有する。
【0120】
このタイプのグラフト−結合モノマーの例は、アリル基を含むモノマー、特にエチレン性不飽和カルボン酸のアリルエステル、例えばアクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、およびイタコン酸ジアリル、ならびにこれらのジカルボン酸の対応するモノアリル化合物である。これらのほかに、広く様々な他の適切なグラフト−結合モノマーが存在する。
【0121】
その構造が2つ以上のシェルを有するグラフトポリマーの代わりに、均質なすなわち単一シェルのエラストマーであって、1,3−ブタジエン、イソプレン、およびアクリル酸n−ブチルから構成される、またはこれらのもののコポリマーで構成されるエラストマーを使用することも可能である。これらの製品もまた、架橋モノマーの、または反応性基を有するモノマーの併用によって調製できる。
【0122】
好ましいエマルションポリマーの例は、アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸コポリマー、アクリル酸n−ブチル−アクリル酸グリシジルまたはアクリル酸n−ブチル−メタクリル酸グリシジルコポリマー、アクリル酸n−ブチルから構成されるまたはブタジエンを主成分とする内側芯部を有し、また上述のコポリマーから構成される外側外被を有するグラフトポリマー、ならびに反応性基を供給するコモノマーとのエチレンのコポリマーである。
【0123】
記述したエラストマーは、他の従来の方法、例えば懸濁重合によって調製することもできる。
他の好ましいゴムは、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、およびシリコーンゴムである。
【0124】
もちろん上述のタイプのゴムの混合物を使用することも可能である。
本発明の熱可塑性成形組成物は、充填剤および補強剤(D10)として、繊維状、層板状、または粒状の充填剤および補強剤を含むことができる。
【0125】
例は、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ガラスビーズ、非晶質シリカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム(ワラストナイト)、ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、カオリン、白墨、石灰、大理石、粉末石英、雲母、バライト、長石、フィロケイ酸塩およびアルミノケイ酸塩、ベントナイト、モンモリロナイトである。
【0126】
充填剤は、有機成分またはシラン処理により改質していることができる。これらの充填剤の割合は、一般に50重量%まで、好ましくは35重量%までである。
本発明の成形組成物は、アモルファス相中の分子鎖の移動度に影響を及ぼす、またはガラス転移温度を低下させる、あるいは何らかの他の方法で可塑剤として作用する添加剤(D11)をさらに含むことができる。
【0127】
例は、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル、炭化水素油、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミド、ならびにo−およびp−トリルエチル−スルホンアミドである。
【0128】
本発明の成形組成物は、他の添加剤(D12)として、それぞれの従来技術において行ったように、本成形組成物の機能的性状(例えば、導電性および/または帯電防止性能)をもたらし、または向上させる添加剤を含むことができる。
【0129】
本発明の成形組成物、または適切な中間生成物の製造方法の一例は、全ての成分を高温度で、すなわちいくつかのマトリックスポリマー(A)の、または全マトリックスポリマー(A)の軟化点もしくは融点を超える温度で、良好な混合作用により、例えばブラベンダー、押出機、好ましくは二軸押出機内で、または混合ロール上で、集合状態において混合するステップである。
【0130】
他の調製方法は、成分を室温で混合し、その後マトリックスポリマーを押出機、好ましくは二軸押出機内で溶融させるステップである。
他の調製方法は、その構造を重縮合反応に由来するポリマーをマトリックス(A)が含む場合に可能であり、この場合、最終分子量が達成されるまで、分散性を向上させる添加剤を添加することができる。特にナノスケール添加剤について、この変形形態が有利である。マトリックスがポリエステルを含む場合、これらおよび他の成分は、エステル交換反応の終わりに、または重縮合反応の開始時に添加することができる。
【0131】
同様に成分を個々にまたは組み合せて最初に処理して、比較的高濃縮されたマスターバッチを作ることができ、次いでこれらを他の成分と共に処理して、本発明の混合物を作ることができる。
【0132】
本明細書の目的のため上述した添加剤は、任意の所望の適切なステップで添加することができる。成形物を製造する直前まで、個々の添加剤または2つ以上の添加剤の添加ステップを遅らせることによって、成形組成物の最終配合物を作ることもできる。他の適切な方法は、ペレットを添加剤ペーストと混合するステップ、あるいは2つ以上のタイプのペレットを混合するステップであり、この場合、少なくとも1つのペレットが本発明の成形組成物に対応し、あるいはそれらのペレットが最終的に合わさって本発明の組成となる。
【0133】
本発明の成形組成物は熱可塑性であり、したがって従来の加工方法を利用できる。
通常の加工方法はペレットを使用しており、これらのペレットは、知られている方法で、例えば押出し、射出成形、真空成形、ブロー成形、または発泡によりさらに加工されて成形物をもたらす。
【0134】
本発明の成形組成物は、半仕上げ製品を、また最終部品を製造する材料として適する。本発明はまた、照射されたおよび照射されていない形態の成形物であって、従来の加工技術によって、特に射出成形により本発明の成形組成物から製造される成形物をも提供する。
【0135】
本発明の成形物は、コンピュータ工業、電気工業、電子工業、家庭用品産業、および自動車産業において使用することができる。
本発明の成形組成物を含む本発明の成形物、例えばキーボード、ケーブル、線;加熱分野、換気分野および冷却分野における装飾ストリップまたは機能部品;あるいはスイッチ、プラグ、レバー、およびグリップにマーキングおよび刻印するために、レーザー光を使用することができる。
【0136】
本発明の成形物は、さらに包装体として使用することができる。
本発明はさらに、熱可塑性成形物のレーザーマーキング方法であって、
(i)上記において定義された、熱可塑性プラスチック(A)と、成分(B1)および/または成分(B2)と、成分(C)と、適切な場合、成分(D)とを含む成形組成物から成形物を製造すること;ならびに
(ii)その成形物の少なくとも1つの表面の所定の部分に、その照射された部位に外観の変化を生じさせるために、レーザー光を照射すること;
を含む方法を提供する。
【0137】
本発明は同様に、レーザーマーキングのための上記において定義された成分(B1)および/または成分(B2)の使用、ならびに成形物の難燃性のための上記において定義された成分(C)の使用を提供する。
【0138】
結果として得られるマーキングの1つの特徴は、それらが拭き取り(wiping)および掻き傷への抵抗性があり、その後の殺菌過程の間安定であり、衛生的に清浄な条件下でのマーキング方法に適用することができる点である。
【0139】
以下の実施例は本発明を例証する。結果として生じる限定を何ら意図するものではない。
【実施例】
【0140】
熱可塑性プラスチックとしてポリブチレンテレフタレート(PBT)を含む試験片を作製し、試験した。
使用されたマトリックス(A)は、Celanex(登録商標)2002(Ticona GmbH)を含み、合計100%になるようにした。物質の組成における百分率は、重量%を意味する。
【0141】
実施例が成分(B1)として添加成分Cuを有する場合、使用された感光性化合物は、Aldrich社から購入された水酸化リン酸銅0.2%を含んでいた。
実施例が成分(B1)として添加成分Sn/Cuを有する場合、使用された感光性化合物として、Chemische Fabrik Budenheim KGから購入された、第一スズカチオンおよび第二銅カチオンを両方含有する添加剤粉末を含んでいた。個々の塩(水酸化リン酸第二銅約20%と共にリン酸第一スズ約80%)の未反応混合物の形態で添加剤を使用して、本成形組成物を調製した。
【0142】
実施例が成分(B2)として添加成分Tiを有する場合、使用された光増感性酸化物として、Kronos社等級2078、2900、または2220などの0.3μmのルチル型の二酸化チタン1.0%を含んでいた。実施例が成分(B2)として添加成分Sbを有する場合、使用された感光性酸化物は、Riedel−de−HaenまたはCampine社からの三酸化アンチモン1.0%を含んでいた。
【0143】
実施例が成分(C1)として添加成分DEPALを有する場合、使用されたリン含有難燃性添加剤として、Clariant社からのジエチルホスフィン酸アルミニウム(Exolit OP 1230)13.3%を含んでいた。実施例が成分(C1)として添加成分RDPを有する場合、使用されたリン含有難燃性添加剤として、レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート5%を含んでいた。
【0144】
実施例が成分(C2)として添加成分MCを有する場合、使用された窒素含有難燃性添加剤として、メラミンシアヌレート6.7%を含んでいた。実施例が成分(C2)として添加成分MPPを有する場合、使用された窒素およびリン含有難燃性添加剤として、メラミンポリホスフェート5%を含んでいた。
【0145】
使用された従来の添加剤(D)は、酸化防止剤としてIrganox(登録商標)1010およびIrgafos(登録商標)126(それぞれCiba社)、成核剤としてタルク、流動助剤および離型剤としてLicolub(登録商標)FA1(Clariant GmbH)またはビスステアロイルエチレンジアミン、ならびに湿分除去剤としてStabaxol(登録商標)(Rheinchemie Rheinau GmbH)を含んでいた。
【0146】
本成形組成物は、2つの混練域を有するWerner & Pfleiderer ZSK25二軸押出機内で配合した。
本成形組成物は、二軸押出機において250〜280℃でブレンドし、水浴中に押出した。ペレット化し、乾燥した後、ISO7792−2に従い射出成形機を使用して、試験用試験片および1mmプラーク(飾り板;plaques)を作製した。
【0147】
使用した燃焼性試験は、0.79mm(1/32インチ)試験用試験片に関するUL94規格(Underwriters Laboratories)に適合していた。UL94燃焼性分類は、次の通りである:
V−0:残炎時間が決して10秒を超えない、火炎適用10回について残炎時間の合計が50秒以下、発炎燃焼落下(flaming drops)がない、試験片が完全に燃え尽きない、火炎適用を終わった後、試験片についての残じん時間(afterglow time)が決して30秒を超えない;
V−1:火炎適用を終わった後、残炎時間が決して30秒を超えない、火炎適用10回について残炎時間の合計が250秒以下、火炎適用を終わった後、試験片についての残じん時間が決して60秒を超えない、他の判定基準はV−0と同様;
V−2:発炎燃焼落下により木綿製指示体に点火される、他の判定基準はV−1と同様;
>V−2:燃焼性分類V−2に適合しない。
【0148】
燃焼性分類欄において、実施例が「良好」(+)と評価されている場合、その試験片は、UL94垂直燃焼性試験において分類V−2、V−1、またはV−0に達した。
燃焼性分類欄において、実施例が「不満足」(−)と評価されている場合、その試験片は、UL94垂直燃焼性試験において分類>V−2に達した。
【0149】
プラークにレーザー刻印するため、ACI Laser GmbH(Soemmerda、Thueringen)のDPL Magic Markerを使用し、また刻印パラメータは次のように変化させた:
ポンプ強度を40〜90%に、またパルス周波数を1〜6kHzに変化させた一方、水平前進速度および垂直線オフセットは、40、50、および75μm立体パターンを与えるように選択した。
【0150】
マトリックスおよびマーキングの光学的性質を測定するため、Olympus社のBX51顕微鏡に取り付けた、Soft Imaging System社のanalySIS Pro 画像評価ソフトウエアを有するColorview IIデジタルカメラを使用した。
【0151】
明度/暗度座標(黒色−白色L*軸に沿った)を決定するため、最大反射光を使用して顕微鏡写真を記録し、かつこれを濃淡階調画像に変換し、記録された領域にわたって平均した。この方法を使用して、「黒色」の0から「白色」の255までのデジタル定量データを得た。全ての試験片について記録された画像は、同一の照明条件下で作成した。それぞれの場合、マトリックスおよびレーザーマーキングを別々に記録し、評価した。
【0152】
色座標を決定するため、最大反射光を使用して顕微鏡写真を記録し、かつこれを、赤色、緑色、および青色成分を、記録された領域にわたって平均した。この方法を使用して、3原色の成分について0〜255のデジタル定量データを取った。全ての試験片について記録された画像は、同一の照明条件下で作成した。それぞれの場合マトリックスおよびレーザーマーキングを別々に記録し、評価した。
【0153】
これらの結果を、表中に整理した情報の基礎として使用している。
光感度欄において実施例が「良好」(+)と評価されている場合、50%以下のポンプ強度、および4kHzを超えるパルス周波数で、マーキング領域における強度比>2.5を有する適切なコントラストを達成するのに十分であった。
【0154】
光感度欄において実施例が「不満足」(−)と評価されている場合、50%以下のポンプ強度、および4kHzを超えるパルス周波数で、マーキング領域における強度比<2.5を有し、不十分なコントラストを示した。
【0155】
光感度欄において実施例が「中程度」(0)と評価されている場合、それらの結果は中間にあった。
表では、本発明の成形組成物は全く不満足な評価を有していないが、その一方で、全ての比較例が少なくとも1つの不満足と分類される判定基準を有することを示す。
【0156】
比較の実施例は「比較例」として示される。本発明の実施例は番号(1〜10)を付けられている。
【0157】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーマーキング可能な成形組成物であって、
(A)少なくとも1種の熱可塑性プラスチックと;
(B1)塩型または酸化物型の少なくとも1種の粒状感光性化合物であり、レーザー光に曝露されるとその色を変化させ、またはポリマーマトリックスの色の変化を導く化合物;および/または
(B2)少なくとも1種の感光性もしくは光増感性酸化物であり、レーザー光に曝露されると、ポリマーマトリックス内においてその色を変化させ、または前記ポリマーマトリックスの色の変化を導く酸化物と;
(C)少なくとも1種のハロゲンフリーの化合物であり、前記成形組成物の可燃性、および燃焼性性能について正の効果を有する化合物と;
(D)適切な場合、他の従来の添加剤;
を含む成形組成物。
【請求項2】
成分(A)の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、20〜99.95重量%である、請求項1に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項3】
成分(A)が、ポリアセタール、ポリカーボネートを含むポリエステル、ポリアミド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリールエーテルケトン、ポリオレフィン、液晶ポリマー、および1種または複数のこれらのポリマーによる組合せからなる群から選択される、請求項1または2に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項4】
成分(B)が、カチオンとして、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Sn、Sb、La、Pr、Ta、W、Ceから選択される少なくとも1個のカチオンを有する塩型の少なくとも1種の化合物を含む、請求項1から3の一項または複数項に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項5】
成分(B1)が、アニオンとして、無機オキソアニオン、有機カルボン酸のアニオン、または炭酸のアニオンを有する塩型の少なくとも1種の化合物を含む、請求項1から4のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項6】
成分(B1)が、アニオンとして、リン含有オキソアニオンを有する塩型の少なくとも1種の化合物を含む、請求項5に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項7】
成分(B1)が、リン(V)酸の、および/またはリン(III)酸のアニオンを有し、かつ、カチオンとして、Cu、Sn、Sb、またはFeから選択される少なくとも1個のカチオンを有する、塩型の少なくとも1種の化合物を含む、請求項6に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項8】
成分(B2)が、主要族IIIおよびIVの第3〜第6周期、主要族Vの第5〜第6周期、あるいは遷移族III〜VIIIの第4〜第5周期の少なくとも1種の元素、またはランタノイド、を主成分とする少なくとも1種の酸化物を含む、請求項1から3のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項9】
成分(B2)が、二酸化チタンおよび/または三酸化アンチモンを含む、請求項8に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項10】
成分(B1)および/または(B2)が10μm未満、好ましくは5μm未満の平均粒径を有する、請求項1から9のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項11】
成分(C)として少なくとも1種のリン含有化合物を含む、請求項1から10のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項12】
成分(C)として、ホスフィン酸、ジホスホン酸、および/またはそれらのポリマーの少なくとも1種の塩を含む、請求項11に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項13】
成分(C)として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または元素周期律表の主要族3の金属の金属カチオンとの、ホスフィン酸、ジホスホン酸および/またはそれらのポリマーの少なくとも1種の塩を含む、請求項12に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項14】
成分(C)として、ホスフィン酸、ジホスフィン酸および/またはそれらのポリマーの少なくとも1種のカルシウムおよび/またはアルミニウム塩を含む、請求項13に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項15】
成分(C)が、式(I)の構造単位を有する化合物を含む、請求項14に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物:
【化1】

(式中、R1およびR2は、互いに独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであり;Mはm価の金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオン、または元素周期律表の主要族3の金属のイオンであり;mは1〜6の整数、好ましくは1〜3、特に2または3である)。
【請求項16】
成分(C)が、式(II)の構造単位を有する化合物を含む、請求項14に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物:
【化2】

(式中、R1およびR2は、互いに独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであり;R3は、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、またはアラルキレンであり;Mはm価の金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオン、または元素周期律表の主要族3の金属のイオンであり;nは1〜6の整数、好ましくは1〜3、特に2または3であり;xは1または2である)。
【請求項17】
テトラフェニルレゾルシノールジスホスフェート、メラミンホスフェート、およびメラミンポリホスフェートから選択される少なくとも1種のリン含有化合物を含む、請求項11に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項18】
成分(C)として少なくとも1種の窒素含有化合物を含む、請求項1から10のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の窒素含有複素環式化合物を含む、請求項18に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項20】
メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、およびメラミンポリホスフェートから選択される少なくとも1種の窒素含有化合物を含む、請求項19に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項21】
成分(C)として、ヒドロキシ基を含有する少なくとも1種の化合物を含む、請求項1から10のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項22】
ポリビニルアルコール、ソルビトールモノステアレート、およびポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)から選択される、ヒドロキシ基を含有する少なくとも1種の化合物を含む、請求項21に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項23】
ペレット状メラミンシアヌレートを含み、それがさらに0.5〜1.5重量%のポリビニルアルコールを含む、請求項1から10のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項24】
成分(C)として少なくとも1種の無機化合物を含む、請求項1から10のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項25】
ケイ素の酸素化合物;マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、もしくは亜鉛の酸化物もしくは塩;またはスズ酸塩もしくはホウ酸塩;から選択される少なくとも1種の無機化合物を含む、請求項24に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項26】
元素周期律表の第1、第2および第3主要族または第2遷移族の金属の少なくとも1種の金属ホウ酸塩を含む、請求項25に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項27】
式IIIの少なくとも1種の金属ホウ酸塩を含む、請求項26に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物:
iMgO・kCaO・lAl23・mZnO・nB23・oH2O (III)
(式中、i、k、l、m、n、およびoは1〜14の数である)。
【請求項28】
成分(B1)の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%である、請求項1から27のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項29】
成分(B2)の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは0.8〜4重量%である、請求項1から27のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項30】
成分(C)の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である、請求項1から29のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項31】
リン含有成分の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、0〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である、請求項11に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項32】
窒素含有成分の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、0〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは3〜10重量%である、請求項18に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項33】
ヒドロキシ基を含有する成分の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%である、請求項21に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項34】
無機成分の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%である、請求項24に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項35】
式(I)のホスフィン酸塩:
【化3】

および/または式(II)のジホスホン酸塩:
【化4】

および/またはそれらのポリマーの重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、1〜40重量%である、請求項12に記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項36】
他の添加剤(D)の重量割合が、前記成形組成物の全重量に対して、50重量%を超えない、請求項1から35のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項37】
添加剤として、耐光作用、耐UV放射線作用、および耐候性を向上させる安定剤、耐熱および耐熱酸化性を向上させる安定剤、耐加水分解性を向上させる安定剤、耐酸分解性を向上させる安定剤、滑剤、離型剤、着色剤添加剤、結晶化調節物質、および成核剤、衝撃調整剤、充填剤、ならびに/または可塑剤の、少なくとも1種を含む、請求項1から36のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物。
【請求項38】
熱可塑性成形物のレーザーマーキング方法であって、
(i)請求項1から37のいずれかに記載の、少なくとも1種の半結晶性熱可塑性プラスチック(A)と、成分(B1)および/または成分(B2)と、また成分(C)と、適切な場合、成分(D)とを含む成形組成物から成形物を製造すること;ならびに
(ii)前記成形物の少なくとも1つの表面の所定の部分に、その照射された部位に外観の変化を生じさせるために、レーザー光を照射すること;
を包む方法。
【請求項39】
上記請求項1から37のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物の成形により得ることができる成形物。
【請求項40】
レーザー光を使用する、請求項1から37のいずれかに記載のレーザーマーキング可能な成形組成物から構成される成形物への照射により得ることができるレーザーマーキングされた成形物。
【請求項41】
請求項1から37のいずれかに記載の成形組成物の使用であって、レーザーマーキング可能な成形物を製造するための使用、および対応するレーザーマーキングされた成形物を製造するための使用。

【公表番号】特表2008−517082(P2008−517082A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536109(P2007−536109)
【出願日】平成17年10月15日(2005.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011099
【国際公開番号】WO2006/042715
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(598029656)ティコナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Ticona GmbH
【Fターム(参考)】