説明

レーザーマーキング用樹脂組成物

【課題】 レーザー光照射により、樹脂表面に鮮明なマーキングを呈することができ、成形加工性、耐衝撃性に優れたレーザーマーキング用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 (A)ABS樹脂などのビニル系重合体10〜99重量部、(B)他の熱可塑性樹脂90〜1重量部の合計量100重量部に対し、(C)着色剤0.01〜5重量部を配合してなるレーザーマーキング用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光を照射することで、樹脂表面に鮮明なマーキングが可能で、成形外観、耐衝撃性に優れるレーザーマーキング用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気製品・電子部品などのプラスチック成形品、半導体などの物品の表面に、文字・記号などをマーキングする際には、タンポ印刷、シルク印刷などが用いられている。しかしながら、これらの方法では、インクの飛散、型板が必要で、微細部品へのマーキングが困難などの問題がある。これらの問題点を解決するために、最近、レーザーマーキングが行われている。
【0003】レーザーマーキングとは、成形品表面に、レーザー光を照射することで、成形品表面の一部分を蒸発または熱分解により消失させることで、素地部分と照射部分(文字記号部分)とを区別する方法である。しかしながら、レーザーマーキングされる部品の材質、樹脂の種類などによっては、発色度、鮮明さが不充分であるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、ビニル系重合体に特定の熱可塑性樹脂を添加することで、ビニル系重合体本来の特徴である成形外観、耐衝撃性を損なうことなく、レーザー光照射で発色度および鮮明さに優れたマーキングが得られる、レーザーマーキング用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】本発明は、ゴム状重合体(a)の存在下または非存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸およびマレイミド化合物の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分(b)〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕を重合して得られる(A)ビニル系重合体10〜99重量部と、(B)他の熱可塑性樹脂90〜1重量部の合計量100重量部に対し、(C)着色剤0.001〜5重量部を配合してなるレーザーマーキング用樹脂組成物を提供するものである。
【0006】なお、本発明の組成物において、(A)ビニル系重合体中の(メタ)アクリル酸エステルの共重合量を20〜80重量%とし、かつ(B)他の熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシメチレンおよびポリアミドの群から選ばれた少なくとも1種を用いると、白色レーザーマーキング用として好ましい。
【0007】また、本発明の組成物において、(A)ビニル系重合体中のシアン化ビニル化合物の共重合量を10〜60重量%とし、かつ(B)他の熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ノボラック樹脂、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートの群から選ばれた少なくとも1種を用いると、黒色レーザーマーキング用として好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に使用される(A)ビニル系重合体は、ゴム強化樹脂(A−1)および/または重合体(A−2)から構成される。上記(A−1)成分は、ゴム状重合体(a)が好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは12〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸およびマレイミド化合物の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分(b)を好ましくは95〜30重量%、さらに好ましくは88〜40重量%、特に好ましくは85〜50重量%〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕を重合して得られるゴム強化樹脂である。また、上記(A−2)成分は、上記単量体成分(b)を重合して得られる重合体である。
【0009】上記ゴム状重合体(a)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン−1(非共役ジエン)共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、SEBSなどの水素添加ジエン系(ブロック、ランダム、およびホモ)重合体、ポリウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。これらのなかで、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、水素添加ジエン系重合体およびシリコーンゴムが好ましい。特に、ゴム状重合体(a)中にシリコーンゴムを好ましくは5重量%以上用いると、鮮明なレーザーマーキングが得られる。また、ゴム状重合体(a)として、シリコーンゴムを使用した場合には、摺動性にも優れるレーザーマーキング用樹脂組成物が得られる。
【0010】上記単量体成分(b)を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、α−エチルスチレン、メチル−α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのなかで、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0011】また、上記単量体成分(b)を構成するシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらのなかで、アクリロニトリルが好ましい。さらに、上記単量体成分(b)を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。これらのなかで、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルが好ましい。
【0012】さらに、上記単量体成分(b)を構成するマレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−カルボキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)マレイミド、トリブロモフェニルマレイミド、N−(4−クロルフェニル)マレイミドなどが挙げられる。これらのなかで、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。
【0013】上記ゴム強化樹脂(A−1)中のゴム状重合体(a)の含有率が5重量%未満の場合には、耐衝撃性が充分でなく、一方70重量%を超えると、グラフト率、樹脂の表面光沢および成形加工性が低下する。また、ゴム強化樹脂(A−1)のグラフト率は、5〜150重量%、好ましくは10〜150重量%、さらに好ましくは10〜120重量%である。グラフト率が5重量%未満では、ゴム成分の添加効果が充分発揮されず、例えば充分な耐衝撃性が得られない。一方、150重量%を超えると、成形加工性が劣る。ここで、グラフト率(%)は、(A−1)成分1g中のゴム成分量をx、(A−1)成分1g中のメチルエチルケトン不溶分量をyとすると、次式により求めた値である。
グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
【0014】一方、重合体(A−2)中の芳香族ビニル化合物の好ましい含有率は、60〜95重量%、さらに好ましくは65〜70重量%であり、上記の範囲内にあると、成形加工性の優れたレーザーマーキング用樹脂組成物が得られる。また、重合体(A−2)中のシアン化ビニル化合物の好ましい含有率は、10〜60重量%、さらに好ましくは20〜30重量%であり、上記範囲内であると、成形加工性およびレーザーマーキングに優れた組成物が得られる。さらに、重合体(A−2)中の(メタ)アクリル酸エステルの含有率は、好ましくは20〜100重量%、さらに好ましくは40〜100重量%であり、上記範囲内であると、鮮明なレーザーマーキングが得られる。
【0015】(A−1)成分および(A−2)成分における、好ましい単量体成分(b)の組み合わせは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステルの群から選ばれた少なくとも2種の組み合わせである。
【0016】本発明の(A)ビニル系重合体は、上記のように、ゴム強化樹脂(A−1)および/または重合体(A−2)から構成される。ここで、ゴム強化樹脂(A−1)と重合体(A−2)の配合割合は、ゴム強化樹脂(A−1)が、通常、1〜100重量%、好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは20〜60重量%、重合体(A−2)が、通常、99〜0重量%、好ましくは95〜5重量%、さらに好ましくは95〜30重量%、特に好ましくは80〜40重量%〔ただし、(A−1)+(A−2)=100重量%〕である。上記範囲内であると、耐衝撃性および成形加工性が一段と優れたレーザーマーキング用樹脂組成物が得られる。
【0017】なお、(A)ビニル系重合体中の(メタ)アクリル酸エステルの含有率が、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは35〜55重量%であると、特に鮮明性(コントラスト)の優れた白色レーザーマーキング用樹脂組成物が得られる。また、(A)ビニル系重合体中のシアン化ビニル化合物の含有率が、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%、特に好ましくは15〜40重量%であると、鮮明でコントラストの良い黒色レーザーマーキング用樹脂組成物が得られる。
【0018】(A)成分中のマトリックス樹脂の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.1〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gである。極限粘度〔η〕が0.1dl/g未満であると、衝撃強度が充分に発現されず、一方1.5dl/gを超えると、成形加工性が低下する。ここで、マトリックス樹脂とは、(A)成分中のグラフト化ゴム成分以外の樹脂成分のことであり、上記極限粘度〔η〕は、(A)成分のうち、メチルエチルケトン溶解分を常法に従って測定することによって求めた値である。
【0019】上記ゴム強化樹脂(A−1)は、例えば■ゴム状重合体(a)の存在下に、単量体成分(b)を重合する方法、■ゴム状重合体(a)の存在下に、単量体成分(b)の一部を重合し、残りの単量体成分(b)を別途重合し、これらをブレンドするグラフト・ブレンド法、などの製造方法によって得られる。また、上記重合体(A−2)は、例えば■上記■または■の方法において、ゴム状重合体(a)を使用しない製造方法、によって得られる。
【0020】(A)成分の好ましい組み合わせは、下記の組成が挙げられる。ただし、本発明の請求範囲は、下記の組成に制約されるものではない。
■ABS樹脂/AS樹脂■ABS樹脂/メチルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(MMA−ST−AN共重合体)
■ABS樹脂/シリコーンゴム変性樹脂/ポリメチルメタクリレート(PMMA)
■シリコーンゴム変性樹脂/MMA−ST−AN共重合体/PMMA■ABS樹脂(またはAES樹脂)
【0021】次に、(B)他の熱可塑性樹脂としては、例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイロン12などのポリアミド、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリエチレン、ポリプロピレン(ランダム、ホモ、ブロック型など)、ポリオキシメチレン(POM)などのポリアセタール、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエステルケトン(PEEK)、ポリアリレート、塩素系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ノボラック樹脂、および熱可塑性エラストマー群から選ばれた少なくとも1種である。これらの(B)成分は、公知のものを使用することができる。
【0022】本発明の特徴は、(A)ビニル系重合体に、(B)他の熱可塑性樹脂を配合することで、優れたレーザーマーキング性が得られることである。また、(A)成分中の共重合成分(単量体成分)と、(B)成分を適切に組み合わせることで、さらに優れたレーザーマーキング性が得られる。この(A)ビニル系重合体と(B)他の熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせは、下記のとおりである。
■(A)成分中の単量体成分;(メタ)アクリル酸エステル〔単量体成分(b)中の含有量は、上記のように好ましくは20〜80重量%〕
(B)成分;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシメチレンおよびポリアミドの群から選ばれた少なくとも1種■(A)成分中の単量体成分;シアン化ビニル化合物〔単量体成分(b)中の含有量は、上記のように好ましくは10〜60重量%〕
(B)成分;ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ノボラック樹脂、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートの群から選ばれた少なくとも1種
【0023】上記■の(A)成分と(B)成分との組み合わせでは、鮮明な白色レーザーマーキングが得られる。すなわち、レーザー光照射時に、樹脂組成物中のエステル結合、エーテル結合が分解し、発泡することで、白色マーキングが得られる。また、レーザーマーキングの推定機構から、白色発色用に使用することのできる(B)成分は、チッ素雰囲気下での熱重量分析において、400℃下で5重量%以上重量減少する重合体が好ましい。
【0024】上記■の組み合わせにおいて、ポリエチレンは、融点が好ましくは100〜140℃、ガラス転移温度が好ましくは−50〜−20℃である。また、■の組み合わせにおいて、ポリプロピレンは、ランダム型、ブロック型、ホモ型などを、自由に選定することができる。また、メタロセン触媒を用いて重合したポリプロピレンを使用することもできる。好ましいポリプロピレンの流動性(MFR)(230℃、2.16kg荷重)は、1〜70g/10minである。
【0025】さらに、■の組み合わせにおいて、ポリオキシメチレンの好ましい融点は、170〜180℃である。さらに、■の組み合わせにおいて、ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン4,6などを使用することができる。なかでも、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12が好ましい。ポリアミドの好ましい相対粘度(ポリマー1gを98重量%硫酸100mlに溶解し、25℃で測定)は、0.5〜0.8であり、特に好ましくは1.5〜6.0である。
【0026】一方、上記■の(A)成分と(B)成分との組み合わせでは、鮮明な黒色レーザーマーキングが得られる。すなわち、レーザー光照射時に、樹脂組成物中のシアン化ビニル化合物が環化し、炭素膜(チャー)を形成することで、黒色マーキングが得られ、また(B)成分中の芳香環がさらにチャー形成を促進するために、鮮明な黒色マーキングが得られる。
【0027】黒色マーキングの機構から、黒色発色用に用いることのできる(B)成分は、熱重量分析(チッ素雰囲気下)、500℃において、残渣(残炭率)が、好ましくは1重量%以上である樹脂が好ましい。上記■の組み合わせの(B)成分中、ポリカーボネートとしては、公知のものを使用することができるが、なかでも芳香族ポリカーボネート、特にビスフェノールAとホスゲンとの反応により得られるポリカーボネートが好ましい。このポリカーボネートの粘度平均分子量は、好ましくは10,000〜40,000、さらに好ましくは17,000〜35,000である。
【0028】また、上記■の組み合わせの(B)成分中、ポリフェニレンオキサイドは、公知のものを使用することができる。さらに、上記■の組み合わせの(B)成分中、ノボラック樹脂は、公知のものを使用することができる。好ましいノボラック樹脂は、石炭酸とホルムアルデヒドから重合されるものである。このノボラック樹脂の好ましい軟化点は、40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。1つのノボラック樹脂中の石炭酸の数は、好ましくは4〜40核体、さらに好ましくは6〜15核体である。
【0029】さらに、上記■の組み合わせの(B)成分中、ポリエチレンテレフタレートは、公知のものを使用することができる。このポリエチレンテレフタレートの好ましい融点は、250〜270℃である。さらに、■の組み合わせの(B)成分中、ポリブチレンテレフタレートも、公知のものを使用することができる。ポリブチレンテレフタレートの好ましい融点は、220〜230℃、好ましい流動性(MFR)(240℃、荷重10kg)は、1〜50g/10minである。
【0030】上記■あるいは■の組み合わせにおいて、上記範囲の(B)成分を使用すると、成形加工性、レーザーマーキング性に優れる本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物が得られる。
【0031】本発明の組成物において、(A)成分と(B)成分の配合割合は、(A)成分が10〜99重量部、好ましくは40〜98重量部、さらに好ましくは60〜97重量部、特に好ましくは70〜96重量部、(B)成分が90〜1重量部、好ましくは60〜2重量部、さらに好ましくは40〜3重量部、特に好ましくは30〜4重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕である。(A)成分が10重量部未満では、組成物の耐衝撃性、成形加工性が不充分であり、一方99重量部を超えると、鮮明なレーザーマーキングが得られない。
【0032】なお、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物の製造に際しては、重合体間の相溶性を向上させるために相溶化剤を用いることにより、耐衝撃性および成形品表面外観を向上させることができる。相溶化方法としては、混練り時に酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキサゾリン基、およびイミド基の群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する官能基含有不飽和化合物、および必要に応じて過酸化物を存在させる方法、上記官能基を有する他の重合体を用いる方法などがある。
【0033】官能基含有不飽和化合物は、(A)成分中に0.1〜10重量%程度共重合しておいても良い。上記官能基を有する重合体は、上記官能基を有する不飽和化合物と、これと共重合可能な他のビニル単量体とのランダム、ブロックおよびグラフト共重合体である。
【0034】相溶化剤の具体例としては、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体などの、スチレンと上記官能基含有不飽和化合物と必要に応じてこれらと共重合可能な単にビニル単量体の1種以上とを共重合した共重合体が挙げられる。また、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体などの、エチレンと上記官能基含有不飽和化合物と必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体の1種以上とを共重合した共重合体も挙げられる。これらの共重合体には、これらのエチレン共重合体上に他の重合体をグラフト反応させたものも含まれる。グラフト反応させる他の重合体としては、例えばポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体などのラジカル重合可能なビニル単量体を用いて重合された重合体が挙げられる。
【0035】相溶化剤は、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。上記範囲であると、成形加工性、耐衝撃性に優れる本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物が得られる。
【0036】次に、(C)着色剤は、本発明の組成物に配合することにより、レーザー光を樹脂表面に吸収し、さらに光エネルギーを熱エネルギーに変換することで、マーキングすることができる。この(C)着色剤としては、次の化合物が挙げられるが、本発明の請求範囲は、本発明の要旨を越えない限り、下記例示に限定されるものではない。すなわち、(C)着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料などが挙げられる。
【0037】このうち、有機顔料としては、例えばアゾ顔料;アセトアセトアリールイド系、ピラゾロン系、2,3−オキシナフトイルアリールアミド系、パルピツール酸系、チオパルピツール酸系、2,4,6−トリアミノ−1,3−ピリミジン系、3−シアノ−4−メチル−ピリドン系のモノアゾまたはジスアゾ化合物、ならびにアゾ化合物の金属塩からなる群から選択されるもの、ジアゾ顔料;アセトアセトアリールイド系、ピラゾロン系または2,3−オキシナフトイルアリールアミド系から選択されるもの、その他の有機顔料;銅フタロシアニン、塩素化鉛フタロシアニン、群青などが使用できる。
【0038】また、無機顔料としては、プルシアンブルー、クロム酸銅、スルホクロム酸鉛、チタンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、黒色酸化鉄、ベンガラ、白色チタンなどが挙げられる。さらに、染料としては、カーボンブラックを含有する黒色染料などが挙げられる。
【0039】上記(C)着色剤のうち、好ましくはチタンブラック、カーボンブラック、黒色酸化鉄、カーボンブラックを含有する染料などが挙げられる。また、(C)着色剤として、200〜2,000nmの波長を部分的にでも吸収する化合物でもよい。好ましくは、照射するレーザー光の波長に合った着色剤が好ましい。例えば、YAGレーザーの場合、1,000nm前後に吸収を持つ着色剤が有効に使用できる。また、800〜1,800nmの波長を吸収する化合物として、近赤外吸収剤も使用することができる。
【0040】(C)着色剤の配合量は、上記(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜4重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。(C)着色剤の配合量が、0.001重量部未満では鮮明なレーザーマーキングが得られず、一方5重量部を超えると、耐衝撃性が劣る。
【0041】さらに、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、シリコーンオイル、低分子量のポリエチレンなどの滑剤、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、金属フィラー、木粉などの充填剤、難燃剤、分散剤、発泡剤、抗菌剤などを添加することができる。
【0042】このうち、好ましい難燃剤としては、臭素系、リン系の化合物が挙げられる。特に、臭素系の難燃剤が好ましく、具体的にはテトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー(末端がエポキシ基または封止型)、臭素化ポリカーボネートオリゴマー、トリブロモフェノキシエタンなどが挙げられる。臭素化合物の好ましい軟化点(融点)は、80〜350℃であり、さらに好ましくは90〜280℃である。また、好ましいリン系化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェートのオリゴマーなどが挙げられる。これらの難燃剤の配合量は、上記(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは2〜25重量部である。また、難燃剤に、三酸化アンチモンなどの難燃助剤を併用することもできる。
【0043】本発明の組成物は、各種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどで、好ましくは160℃〜300℃の範囲で各成分を混練りすることによって得ることができる。混練りするに際しては、各成分を一括混練りしてもよく、また任意の成分を混練りしたのち、残りの成分を添加し混練りする多段分割混練り法を採用することもできる。好ましい混練り法は、押し出し機で行う方法であり、押し出し機としては、二軸同方向回転押出機が特に好ましい。本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、射出成形機、押し出し成形、圧縮成形などにより成形品を得て、この成形品の表面をレーザー光で照射することにより、マーキングを得る。
【0044】ここで、レーザー光の種類には、He−Neレーザー、Arレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、YAGレーザーなどの固体レーザー、半導体レーザー、色素レーザーなどがあり、レーザーマーキング用としては、CO2 レーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーなどが用いられる。本発明においては、YAGレーザー、エキシマレーザーが好ましい。エキシマレーザーを用いると、文字部分と素地部分で凹凸のないマーキングを得ることができ、特に好ましい。
【0045】本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、押し出し成形、射出成形、圧縮成形などにより成形することでき、得られる成形品は、耐衝撃性および実用成形性に優れており、表面外観も良好である。このため、家庭用品、電気用品、OA機器などの物品、自動車などの製品、および建築材料として極めて有用である。具体的な応用例としては、OA機器のスイッチボタン材料、パソコンのキートップ材料、電話機などの数字キー、バーコードなどが挙げられる。
【0046】本発明における好ましい実施態様は、次のとおりである。
■(A)ビニル系重合体中の(メタ)アクリル酸エステルの共重合量が20〜80重量%であり、かつ(B)他の熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシメチレンおよびポリアミドの群から選ばれた少なくとも1種を用いる、白色レーザーマーキング用樹脂組成物。
■(A)ビニル系重合体中のシアン化ビニル化合物の共重合量が10〜60重量%であり、かつ(B)他の熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ノボラック樹脂、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートの群から選ばれた少なくとも1種を用いる、黒色レーザーマーキング用樹脂組成物。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例中、部および%は特に断らないかぎり重量基準である。また、実施例中の各種の測定項目は、下記に従った。
【0048】グラフト率試料1gを精秤採取し、これにアセトン20ccを加え、10時間振とうさせ、その後、回転数20,000rpmの遠心分離機を用いて、可溶分と不溶分とに分離し、不溶分を真空乾燥機で乾燥し、不溶分(X)を得た。一方、重合組成と重合転化率から不溶分(X)中のゴム量(R)を算出し、次式よりグラフト率(%)を求めた。
グラフト率=〔(X)−(R)〕100/(R)
極限粘度〔η
上記可溶分を真空乾燥機を用いて乾燥し、溶媒であるメチルエチルケトンに溶解し、30℃の温度条件により、ウベローデ型粘度計で測定した。
【0049】マーキング性テストピースの色(素地色);目視により判断した。
マーク部の色;目視により判断した。
鮮明性;目視により判断した。
成形外観目視により判断した。
成形加工性射出成形時に目視により判断した。
【0050】アイゾット衝撃強度(IMP
ASTM D256に準拠し、肉厚1/4″、23℃、ノッチ付きの試験条件で測定した。単位は、kg・cm/cmである。
曲げモジュラスASTM D790に準拠して測定した。単位は、kg/cm2 である。
【0051】動摩擦係数鈴木式摺動試験機を使用し、相手材としてはスチール(S45C)を用いた。試験片は、外径25.6mm、内径20.0mmの中空円筒状のものを用い、相手材も同様の形状のものを用いた。動摩擦係数の測定条件は、室温23℃、湿度50%の雰囲気中で、荷重0.5kg、走行速度50cm/秒、走行距離3kmで測定し、動摩擦係数および摩耗量を測定した。動摩擦係数は、次式によって算出した。
μ=〔3×F×(r2 2 −r1 2 )〕/〔P×(r2 3 −r1 3 )〕
(式中、μは動摩擦係数、Fはロードセルに与える力、Pは荷重、Rはロードセルまでのアーム長、r1 は内径、r2 は外径を表す。)
損失係数厚み3.2mm、タテ195mm、幅10mmのサンプルを、片持ち型で測定した。損失係数は、半値幅法により求めた。
【0052】難燃性の測定方法難燃性の測定は、UL−94規格の垂直試験方法に基づき行った。NCは、規定外であることを示す。
試験片寸法;1×16″×1/2″×5″
【0053】実施例1〜11、比較例1〜3ゴム強化樹脂(A−1)の調製A−1−■〜■の調製;還流冷却器、温度計および攪拌機を備えたセパラブルフラスコに、ポリブタジエンゴムラテックスを固形分換算で40部、イオン交換水65部、ロジン酸セッケン0.3部、スチレン15部およびアクリロニトリル10部を加え、次にピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第1鉄7水和物0.01部およびブドウ糖0.4部をイオン交換水20部に溶解した溶液に加えた。
【0054】次いで、キュメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始し、1時間重合させたのち、さらにイオン交換水45部、ロジン酸セッケン0.7部、スチレン20部、アクリロニトリル15部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.01部を2時間かけて連続的に添加し、さらに1時間かけて重合させ反応を完結させた。得られたラテックスに硫酸を加え凝固し、水洗、乾燥してゴム強化樹脂A−1−■を得た。また、同様にして、表1に示す組成のA−1−■を得た。
【0055】
【表1】


【0056】A−1−■の調製;p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン1.5部とオクタメチルシクロテトラシラン98.5部を混合し、これをドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を溶解した蒸留水300部中に入れ、ホモミキサーにより3分間攪拌して乳化分散させた。この混合液を、コンデンサー、チッ素導入口および攪拌器を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌混合しながら90℃で6時間加熱し、5℃で24時間冷却することによって、縮合を完結させた。得られたポリオルガノシロキサン系重合体中のオクタメチルシクロテトラシロキサンの縮合率は、92.8%であった。
【0057】このポリオルガノシロキサン系重合体ラテックスを、炭酸ナトリウム水溶液でpH7に中和し、ポリオルガノシロキサン系重合体ラテックスを得た。次に、攪拌器を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、水酸化カリウム0.01部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、上記ポリオルガノシロキサン系重合体40部、スチレン15部、およびアクリロニトリル5部からなるバッチ重合成分を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45℃になった時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄7水和物0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート2水塩0.2部およびイオン交換水15部からなる活性剤水溶液、ならびにジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。
【0058】さらに、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、水酸化カリウム0.02部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.2部、スチレン25部およびアクリロニトリル15部からなるインクレメント重合成分の混合物を、3時間かけて連続的に滴下し、反応を続けた。添加終了後、さらに攪拌しながら、1時間、反応を続けたのち、2,2−メチレン−ビス−(4−エチレン−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物をフラスコより取り出した。次いで、塩化カリウム2部を用いて生成物を凝固させ、脱水、水洗、乾燥をおなって、粉末状のA−1−■を得た。特性を表2に示す。
【0059】
【表2】


【0060】A−1−■の調製;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔数平均分子量=100,000、スチレン結合量=20%、イソプレン結合量=80%〕
【0061】重合体(A−2)の調製A−2−■〜■の調製;還流冷却器、温度計および攪拌器を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水250部、ラウリル酸カリウム3.0部、スチレン70部、アクリロニトリル30部およびt−ドデシルメルカプタン0.1部を加え、次にエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.05部、硫酸第1鉄7水和物0.002部およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部をイオン交換水8部に溶解した溶液に加えた。次いで、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を加えて重合を開始し、約1時間重合して反応を完結させた。得られたラテックスに硫酸を加え、凝固し、水洗、乾燥して重合体A−2−■を得た。また、同様にして、表3に示す組成の重合体A−2−■を得た。
【0062】A−2−■〜■の調製;重合体A−2−■は、スチレン40部、アクリロニトリル15部、メタクリル酸メチル45部を用いる以外は、重合体A−2−■と同様の方法で重合を行い、反応を完結させて得た。また、A−2−■は、ポリメタクリル酸メチル〔呉羽化学工業(株)製、パラペットGF〕を用いた。さらに、重合体A−2−■は、スチレン54部、アクリロニトリル17部、N−フェニルマレイミド29部を乳化重合して得た。
【0063】
【表3】


【0064】(B)他の熱可塑性樹脂の調製(B)他の熱可塑性樹脂として、下記のものを用いた。
B−1;ポリエチレン〔エースポリマー(株)製、エースポリエチ HD 640VF〕
B−2;ポリプロピレン〔三菱ポリプロ(株)製、MA3〕
B−3;ポリオキシメチレン〔ポリプラスチック社製、ジュラコンM90〕
B−4;ポリアミド(ナイロン6)〔カネボウ(株)製、MC112〕
B−5;ポリカーボネート〔バイエル社製、マクロロン2807〕
B−6;ポリフェニレンオキサイド〔2,6キシレノールを臭化第2銅の存在下で重合。極限粘度〔η〕(30℃、クロロホルム溶液中で測定)=0.40dl/g〕
B−7;ポリブチレンテレフタレート〔カネボウ(株)製、PBT720〕
【0065】(C)着色剤の調製(C)着色剤として、チタンブラック、黒色含量、群青、白色チタン、ベンガラ、カーボンブラックを用いた。
相溶化剤の調製相溶化剤として、下記のものを用いた。
相溶化剤1;メタクリル酸−スチレン−アクリロニトリル共重合体(メタクリル酸/スチレン/アクリロニトリル=5/70/25%)
相溶化剤2;エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体にAS樹脂をグラフト重合した重合体相溶化剤3;ポリスチレン−ASブロック共重合体(PS/AS=70/30%)
相溶化剤4;ポリプロピレン/ASブロック重合体(PP/AS=50/50%)
【0066】難燃剤の調製難燃剤として、下記のものを用いた。
難燃剤1;テトラブロモビスフェノールAとエピクロルヒドリンからなる分子両末端エポキシ系オリゴマーの両末端を、トリブロモフェノールで封止したもので、分子量約2,000のものを用いた。なお、難燃助剤として、必要に応じて三酸化アンチモンを併用した。
【0067】レーザーマーキング用樹脂組成物の製造表4〜5に示す各成分を、内径50mmφの押し出し機で、温度190〜240℃の範囲で溶融混練りし、ペレットを作製した。このペレットを、5oz射出成形機を用い、成形温度200〜240℃の範囲で成形して、試験片を作製し、そのレーザーマーキング性を評価した。結果を表4〜5に示す。
【0068】表4〜5から明らかなように、実施例1〜11によると、本発明の目的とするレーザーマーキング用樹脂組成物が得られている。特に、実施例9に示したように、モジュラスの低い材料においても、レーザーマーキングは可能である。また、この実施例9から分かるように、(B)成分と(A)成分のMMAを併用することで、MMA含量が少なくても、鮮明なマーキングが得られる。
【0069】これに対し、比較例1では、(A)成分と(C)成分の配合割合が本発明の範囲外であり、鮮明なマーキングが得られず、耐衝撃性が劣る。比較例2は、(A)成分および(C)成分を使用しない例であり、レーザーマーキング性に劣る。比較例3は、(C)成分の配合量が本発明の範囲を超えており、レーザーマーキング性に劣る。比較例4は、(A)成分および(C)成分の配合量が本発明の範囲外であり、レーザーマーキング性、耐衝撃性が劣る。
【0070】
【表4】


【0071】
【表5】


【0072】
【発明の効果】本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物による成形品は、レーザー光により鮮明なマーキングを得ることができる。しかも、成形加工性、耐衝撃性に優れたレーザーマーキング用樹脂組成物である。従って、OA機器などの事務機器や電気機器への使用が可能で、実用上優れた材料であり、工業的価値が極めて高く、産業上重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゴム状重合体(a)の存在下または非存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸およびマレイミド化合物の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分(b)〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕を重合して得られる(A)ビニル系重合体10〜99重量部と、(B)他の熱可塑性樹脂90〜1重量部の合計量100重量部に対し、(C)着色剤0.001〜5重量部を配合してなるレーザーマーキング用樹脂組成物。