レーザー光線入射位置表示装置
【課題】製造コストを低減でき、小さなスペースでも、射撃訓練を実行することができるレーザー光線入射位置表示装置を提供する。
【解決手段】レーザー光線が入射するとともに、電圧が印加されることによってレーザー光線の入射位置を表示する液晶表示手段302と、液晶表示手段302に設けられ、液晶表示手段302に入射したレーザー光線を検知する光センサ302Dと、光センサ302Dによるレーザー光線の検知結果に基づいて液晶表示手段302におけるレーザー光線の入射位置を特定する位置特定手段304Aと、液晶表示手段302に対して電圧を印加することにより位置特定手段304Aで特定された入射位置を液晶表示手段302に表示させる表示制御手段304Cと、を有することを特徴とする。
【解決手段】レーザー光線が入射するとともに、電圧が印加されることによってレーザー光線の入射位置を表示する液晶表示手段302と、液晶表示手段302に設けられ、液晶表示手段302に入射したレーザー光線を検知する光センサ302Dと、光センサ302Dによるレーザー光線の検知結果に基づいて液晶表示手段302におけるレーザー光線の入射位置を特定する位置特定手段304Aと、液晶表示手段302に対して電圧を印加することにより位置特定手段304Aで特定された入射位置を液晶表示手段302に表示させる表示制御手段304Cと、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模擬銃から照射されたレーザー光線の入射位置を表示するレーザー光線入射位置表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な射撃シミュレーション装置(射撃訓練装置)が提案されている。特に、レーザー光線を利用した模擬銃は、プラスチック弾などの物体を利用することがないため、安全に射撃シミュレーションを実行することができる。
【0003】
ここで、射撃シミュレーション装置の一例として、一の訓練者(遊技者)が射撃に関するシミュレーション装置を装着し、この受光器に、他の訓練者(遊技者)が保持する模擬銃からのレーザー光線が入射することにより、一の訓練者(遊技者)に刺激電流が流れ、筋肉を弛緩させるものがある(従来技術1、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記従来技術1では、訓練者(遊技者)が複数人存在しないと、訓練することができなくなるため、単独で射撃訓練をすることはできない。
【0005】
そこで、スクリーンと、標的を含む画像を出力する画像出力手段(コンピュータなど)と、画像出力手段から出力された画像をスクリーンに対して投影する画像投影手段(プロジェクタ)と、可視光線除去フィルタを介して画像投影面を撮影し画像投影面に発生するビームポイントの画像データ取得する撮像手段(CCDカメラ、ビデオカメラ)と、を備えた射撃模擬装置が提案されている(従来技術2、下記特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2008−20114号公報
【特許文献2】特開2007−71403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来技術2の射撃模擬装置では、標的を含む画像を出力する画像出力手段(コンピュータなど)と、画像出力手段から出力された画像をスクリーンに対して投影する画像投影手段(プロジェクタ)と、可視光線除去フィルタを介して画像投影面を撮影し画像投影面に発生するビームポイントの画像データ取得する撮像手段(CCDカメラ、ビデオカメラ)と、が必要不可欠な構成部品であるため、部品点数が多くなり、また製造コストが大幅に増大する。また、これらの構成部品を配置するスペースがなければ、射撃シミュレーションを実行することができず、比較的狭い室内では、射撃訓練の実行が困難になる。
【0007】
そこで、本発明は、製造コストを低減でき、小さなスペースでも、射撃訓練を実行することができるレーザー光線入射位置表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願第1発明は、模擬銃から照射されたレーザー光線が入射した入射位置を表示するレーザー光線入射位置表示装置であって、前記レーザー光線が入射するとともに、電圧が印加されることによって前記レーザー光線の前記入射位置を表示する液晶表示手段と、前記液晶表示手段に設けられ、前記液晶表示手段に入射した前記レーザー光線を検知する光センサと、前記光センサによる前記レーザー光線の検知結果に基づいて前記液晶表示手段における前記レーザー光線の前記入射位置を特定する位置特定手段と、前記液晶表示手段に対して電圧を印加することにより前記位置特定手段で特定された前記入射位置を前記液晶表示手段に表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、模擬銃から照射されたレーザー光線は、液晶表示手段に入射して、光センサにより検知される。光センサによるレーザー光線の検知結果に基づいて、位置特定手段により液晶表示手段におけるレーザー光線の入射位置が特定される。そして、電圧印加手段により液晶表示手段に対して電圧が印加されることにより、位置特定手段で特定された入射位置が液晶表示手段上に表示される。この結果、液晶表示手段上に模擬銃からのレーザー光線痕を表示させることができる。このように、レーザー光線入射位置表示装置は、プロジェクタやビデオカメラ(CCDカメラ)などが不要になり、簡易な構成でかつ低コストで製造することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成でかつ、製造コストを低減でき、比較的小さなスペースでも、射撃訓練を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置について、図面を参照して説明する。なお、本明細書の「レーザー光線」とは、模擬銃から照射されるレーザービームを意味し、「光」とは、レーザー光線と区別されるものであり、例えば、太陽光(自然光)や蛍光灯などの光を意味する。
【0012】
先ず、図1に示すように、模擬銃12からのレーザー光線の照射原理について説明する。模擬銃12の内部に、光励起装置(図示省略)と、一対のミラー(図示省略)と、を収容し、レーザー媒質に外部からエネルギーを注入して光を励起させ、この光をミラーで往復させる。この結果、同じ位相の光が付加され、光がミラーを往復しているうちに増幅されていき、エネルギーの大きな指向性の絞られたレーザー光が生成される。この位相が揃い増幅されたレーザー光がレーザー光線としてミラーを透過して模擬銃12から外部に放出され、後述のレーザー光線入射位置表示装置10に向かって照射される。
【0013】
図1及び図2に示すように、レーザー光線入射位置表示装置10は、枠部材14を備えている。この枠部材14の一方側側面には、円孔16が形成されている。この円孔16には、レーザー光線の入射位置を表示する表示部材(表示手段)18が設けられている。また、枠部材14には、複数(本実施形態では2個)のスピーカ20が設けられている。なお、円孔16に限られず、四角形、三角形などの他の形状でもよく、また、人影、動物の影などの外形でもよい。
【0014】
また、枠部材14の内部であって表示部材18の背面側には、レーザー光線を検知するための複数のセンサ(例えば、光センサ)32(レーザー光検知手段、図3及び図4参照)が設けられている。センサ32は、表示部材18の全射撃領域にわたって均等となるように設けられている。具体的には、表示部材18には、同一平面上に複数の液晶層36(図4参照)が配置されており、各液晶層36の背面側に1つのセンサ32が対応(1対1の関係)するように配置されている。ここで、センサ32は、レーザー光線を検知する性質のものであり、光により導電率が変化するもの、光により起電力が発生するもの、光を熱として検知するもの、光電子変換するもの、などがある。このため、表示部材18の全射撃領域のいずれかにレーザー光線が入射した場合には、複数のセンサ32のうちレーザー光線の入射位置となる液晶層36に対応するセンサ32によりレーザー光線が検知される。
【0015】
具体的には、光センサとして、光導電型(光導電セル(素子:CdS、PbS、Se))、光起電型(光起電力センサ(素子:フォトダイオード、Pinフォトダイオード、太陽電池)、内部増幅センサ(素子:フォトトランジスタ、アバランシュフォトダイオード)、領域センサ(素子:フォトダイオードアレイ、CCDイメージセンサ、MOSイメージセンサ)、熱電効果型(素子:焦電センサ))などが挙げられる。
【0016】
例えば、光導電型の光導電素子は、光のエネルギーを受けて内部に自由に動き回る電子が発生する。光が当っていないときは抵抗が増大し、光が当っているときは抵抗が小さくなる基本回路を有している。この変化により、レーザー光線を検知して、検知信号を出力することができる。
【0017】
また、光起電型の光起電力素子は、光が照射したときに内部に電位差が発生する(光起電力効果)。フォトダイオードでは、pn接合部に光が照射されると電子と正孔の対が生じ、それぞれがn領域とp領域に集められ電極を通して光電流が取り出される。また、フォトトランジスタは、フォトダイオード構造をもつトランジスタで、増幅機能を有する素子である。また、アバランシュフォトダイオードは、光で生じた電子をpn接合の電界層中で加速して大きなエネルギーをもたせ次々と電子を放出させて倍増していくものである。これにより、微弱な光を検出することが可能となる。熱電効果型の焦電素子は、光のエネルギーをいったん熱に変えて検知するものである。このセンサ素子の内部には、プラスとマイナスの電荷が分極現象によってある方向に並んでおり誘電体としての特性を示すが、熱によってこの分極現象が変化し素子の両端に電荷が発生する(焦電効果)。焦電効果を示す素子として、単結晶のTGS、LiTaO3、高分子膜のPVDFなどが挙げられる。
【0018】
以上のように、光センサとして、従来から種々の型のものが存在し、いずれのセンサも光を検知し、これを検知信号(電気信号)として後述の制御装置22(図3参照)に対して出力する。
【0019】
また、図3に示すように、枠部材14の内部には、制御装置22が設けられている。制御装置22は、複数のセンサ32からの検知信号に基づいて表示部材18上のレーザー光線の入射位置を特定するCPU(あるいはCPU回路)24(位置特定手段)と、レーザー光線の入射位置となる表示部材18の液晶層36(詳細には、図4の電極50、52、(62、64)、(74、76))に対して所定の電圧を印加する電源回路26(電圧印加手段)と、スピーカ20から所定の効果音を出力させる音源回路28と、センサ32の検知信号と表示部材18の入射部位(液晶層36)との対応関係(テーブル)、及び効果音のデータを記憶するROM30と、で構成されている。なお、センサ32毎に異なる種類の検知信号を出力する構成では、ROM30には、センサ32毎に異なる種類の検知信号と表示部材18の入射部位(液晶層36)との対応関係(テーブル)を記憶させておいてもよい。
【0020】
CPU24は、複数のセンサ32からの検知信号に基づいて、表示部材18上のレーザー光線の入射位置を特定する。例えば、表示部材18の射撃領域の左側に配置されたセンサ32によりレーザー光線が受光された場合には、レーザー光線を受光したセンサ32から検知信号が制御装置22に対して出力される。そして、CPU24は、この検知信号を出力したセンサ32を認識して、ROM30に記憶したテーブルを参照し、表示部材18上のレーザー光線の入射位置(例えば、左側の液晶層36)を特定する。あるいは、CPU24は、検知信号の種類により、センサ32を特定し、これにより、表示部材18上のレーザー光線の入射位置を特定してもよい。
【0021】
電源回路26は、CPU24により特定された表示部材18上のレーザー光線の入射位置に対して所定の電圧を印加させるものである。具体的には、レーザー光線の入射位置となる液晶層36の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対して所定の電圧を印加する。この結果、レーザー光線が入射した表示部材18の入射部位の色が変化する。なお、電源回路26は、CPU24により制御される。
【0022】
音源回路28は、複数のセンサ32のうちいずれかのセンサでレーザー光線が検知されたと同時にROM30に記憶された効果音の音データに基づいてスピーカ20を介して所定の効果音を出力するものである。このため、遊技者は、レーザー光線が表示部材18の射撃領域に到達した瞬間に、効果音を聞くことになる。なお、音源回路28は、CPU24により制御される。また、音源回路28は、スピーカ20からの効果音の出力を制御する。
【0023】
次に、表示部材18の構成について詳細に説明する。
図4に示すように、表示部材18は、コレステリック液晶材料を備えた電子ペーパー34で構成されている。電子ペーパー34は、複数の液晶層36が同一平面上に所謂マトリックス状に並べられて構成されている。すなわち、一の液晶層36がセルとなっている。なお、同一平面上で隣接する液晶層36同士は、接着剤や両面テープなどの接着材料により固定されている。また、電子ペーパー34の前後両面側(複数の液晶層36の前後両面側)に、透明のシート部材(例えば、樹脂シート)を配置させ、全ての液晶層36を保持するようにしてもよい。
【0024】
各液晶層36は、青・緑・赤の3色のコレステリック液晶材料を厚み方向に重ねられて設けられている。具体的には、各液晶層36は、レーザー光線が透過する青色のコレステリック液晶材料層38と、レーザー光線が透過する緑色のコレステリック液晶材料層40と、レーザー光線が透過する赤色のコレステリック液晶材料層42と、が厚み方向に重ねられて構成されている。
【0025】
ここで、コレステリック液晶は、特定の波長(光)のみを反射する性質がある。太陽光や蛍光灯などの光が液晶に入射すると、青色、緑色、赤色の決められた波長を反射して、フルカラーで表示することができる。なお、青色、緑色、赤色の全ての色の光が反射した場合には、光の3原色となり、肉眼で白色に見える。
【0026】
青色のコレステリック液晶材料層38は、レーザー光線及び光が透過する1対の透明フィルム44、46と、各透明フィルム44、46の間に介在された青色のコレステリック液晶材料48と、1対の透明フィルム44、46の表面と青色のコレステリック液晶材料48との境界に設けられた透明電極50、52と、で構成されている。なお、各液晶層36の青色のコレステリック液晶材料48は、封止剤54により封入されている。
【0027】
緑色のコレステリック液晶材料層40は、レーザー光線及び光が透過する1対の透明フィルム56、58と、各透明フィルム56、58の間に介在された緑色のコレステリック液晶材料60と、1対の透明フィルム56、58の表面と緑色のコレステリック液晶材料60との境界に設けられた透明電極62、64と、で構成されている。なお、各液晶層36の緑色のコレステリック液晶材料60は、封止剤66により封入されている。
【0028】
赤色のコレステリック液晶材料層42は、レーザー光線及び光が透過する1対の透明フィルム68、70と、各透明フィルム68、70の間に介在された赤色のコレステリック液晶材料72と、1対の透明フィルム68、70の表面と赤色のコレステリック液晶材料との境界に設けられた透明電極74、76と、で構成されている。なお、各液晶層36の赤色のコレステリック液晶材料は、封止剤78により封入されている。
【0029】
以上のように、各液晶層36は、最も表面側に位置する青色のコレステリック液晶材料層38と、青色のコレステリック液晶材料層38の背面(裏面)側に位置する緑色のコレステリック液晶材料層38と、緑色のコレステリック液晶材料層40の背面(裏面)側に位置する赤色のコレステリック液晶材料層42と、がそれぞれ厚み方向に重なり合って構成されている。そして、表示部材18は、上記構成の複数の液晶層36が同一平面上に並べられて構成されている。
【0030】
次に、表示部材18における光の反射原理について説明する。
【0031】
図5及び図6に示すように、各液晶材料層38、40、42のコレステリック液晶材料の中には、複数の液晶分子Xがねじれたらせんのように並んでいる。通常は、複数の液晶分子Xが縦向きに並んでおり、太陽光や蛍光灯などの光を反射する状態になっている。
【0032】
そして、図5及び図7に示すように、レーザー光線、太陽光や蛍光灯などの光を通過させたい部分の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に低い電圧を印加して、らせん状の液晶分子Xを横向きにする。なお、この電圧の印加を停止しても(電源を切っても)、液晶分子Xは、横向きのまま安定している。これにより、太陽光や蛍光灯などの光は、各液晶材料層38、40、42を通過する。
【0033】
さらに、図5及び図8に示すように、レーザー光線、太陽光や蛍光灯などの光を反射させたい部分の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に高い電圧を印加して、らせん状の液晶分子Xを伸ばし、すぐに電圧の印加を停止する。これにより、液晶分子Xは、反発して縦向きのらせん状になって安定する。これにより、太陽光や蛍光灯などの光は、この部位で反射する。
【0034】
ここで、電圧の印加は、電源回路26により制御される。電源回路26から各透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対して電圧印加信号が出力され、これに基づいて電圧が印加される。
【0035】
このように、表示部材18に電子ペーパー34を利用することにより、偏光板、反射板、カラーフィルタ、バックライトが不要になる。このため、表示部材18の部品点数を削減でき、製造コストを低減することができる。また、電子ペーパー34を利用することにより、低電力で表示することができる。
【0036】
次に、本発明の第1実施形態におけるレーザー光線入射位置表示装置10におけるレーザー光線入射位置表示方法について説明する。本発明は、上記した表示部材である電子ペーパー34の反射原理を利用して、レーザー光線の入射位置を表示するものである。
【0037】
先ず、図4及び図5に示すように、表示部材18の初期状態として、全て液晶層36の全ての液晶材料層38、40、42の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)に比較的低い電圧が印加されている。これは、CPU24により制御された電源回路26によって、全ての液晶材料層38、40、42の各透明電極間50、52、(62、64)、(74、76)に対して所定の電圧を印加することにより実行できる。この表示部材18の初期状態では、液晶分子Xが図7に示す横向き状態になって安定し、レーザー光線、太陽光や蛍光灯などの光が、全ての液晶材料層38、40、42を通過する。このとき、遊技者は、黒色を視認する。
【0038】
次に、遊技者による遊技が開始される。遊技者の模擬銃12からレーザー光線が照射されて、表示部材18の射撃領域の一部に入射すると、レーザー光線は、全ての液晶材料層38、40、42を通過して、入射した一の液晶層36の裏面側に位置するセンサ32で受光される。そして、レーザー光線を受光したセンサ32から制御装置22に対して、レーザー光線の検知信号が出力される。CPU24は、この検知信号を受けて、レーザー光線を受光したセンサ32を特定し、また、そのセンサ32に対応する一の液晶層36を特定する。後述するように、この特定された一の液晶層36が、レーザー光線が入射した位置として変色する。
【0039】
次に、CPU24は、特定された液晶層36に配置されている透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対して比較的高い電圧を印加するための制御信号を電源回路26に出力する。このとき、電源回路26は、CPU24からの制御信号を受けて、特定された一の液晶層36の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対して比較的高い電極を印加する。
【0040】
これにより、電圧が印加された透明電極50、52、(62、64)、(74、76)に対応する液晶材料中の液晶分子Xは、上述した通り、図8に示す縦向き状態になって安定し、太陽光や蛍光灯などの光を反射する性質になる。なお、このときの透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対する電圧印加時間は僅かな時間であり、電圧を印加した後、すぐに電圧印加が停止される。
【0041】
この結果、電圧が印加された透明電極50、52、(62、64)、(74、76)を有する液晶層36では、太陽光や蛍光灯などの光を反射する性質に変化して、遊技者は、色の変化を認識する。具体的には、青色のコレステリック液晶材料層38の透明電極50、52間に高い電圧が印加された場合には、レーザー光線の入射位置が青色に表示され、遊技者は、青色の部位がレーザー光線の入射位置と認識する。また、緑色のコレステリック液晶材料層40の透明電極62、64間に高い電圧が印加された場合には、レーザー光線の入射位置が緑色に表示され、遊技者は、緑色の部位がレーザー光線の入射位置と認識する。赤色のコレステリック液晶材料層42の透明電極74、76間に高い電圧が印加された場合には、レーザー光線の入射位置が赤色に表示され、遊技者は、赤色の部位がレーザー光線の入射位置と認識する。
【0042】
より詳細には、レーザー光線の入射位置を青色に表示させる場合には、青色のコレステリック液晶材料層38の透明電極50、52間に高い電圧が印加され、緑色及び赤色のコレステリック液晶材料層40、42の透明電極62、64(74、76)間には電圧が印加されない。このため、青色のコレステリック液晶材料層38の液晶分子Xは、図8に示す縦向きの状態で安定するため光を反射し、緑色及び赤色のコレステリック液晶材料層40、42の液晶分子Xは、図7に示す横向きの状態で安定するため光を透過する。
【0043】
また、レーザー光線の入射位置を緑色に表示させる場合には、緑色のコレステリック液晶材料層40の透明電極62、64間に高い電圧が印加され、青色及び赤色のコレステリック液晶材料層38、42の透明電極50、52(74、76)間には電圧が印加されない。このため、緑色のコレステリック液晶材料層40の液晶分子Xは、図8に示す縦向きの状態で安定するため光を反射し、青色及び赤色のコレステリック液晶材料層38、42の液晶分子Xは、図7に示す横向きの状態で安定するため光を透過する。
【0044】
さらに、レーザー光線の入射位置を赤色に表示させる場合には、赤色のコレステリック液晶材料層42の透明電極74、76間に高い電圧が印加され、青色及び緑色のコレステリック液晶材料層38、40の透明電極50、52(62、64)間には電圧が印加されない。このため、赤色のコレステリック液晶材料層42の液晶分子Xは、図8に示す縦向きの状態で安定するため光を反射し、青色及び緑色のコレステリック液晶材料層38、40の液晶分子Xは、図7に示す横向きの状態で安定するため光を透過する。
【0045】
なお、レーザー光線の入射位置を青色、緑色及び赤色以外の色に表示させる場合には、各色のコレステリック液晶材料層38、40、42の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対する電圧印加のパターンを適宜変化させることにより対応できる。例えば、青色及び緑色のコレステリック液晶材料層38、40の透明電極50、52(62、64)間に高い電圧を印加し、赤色のコレステリック液晶材料層42の透明電極74、76間に電圧を印加しないことにより、青色と緑色の光を反射させることができ、レーザー光線の入射位置を青色と緑色とが混ざった色で表示できる。一方、青色及び赤色のコレステリック液晶材料層38、42の透明電極50、52(74、76)間に高い電圧を印加し、緑色のコレステリック液晶材料層40の透明電極62、64間に電圧を印加しないことにより、青色と赤色の光を反射させることができ、レーザー光線の入射位置を青色と赤色とが混ざった色で表示できる。また、緑色及び赤色のコレステリック液晶材料層40、42の透明電極62、64(74、76)間に高い電圧を印加し、青色のコレステリック液晶材料層38の透明電極50、52間に電圧を印加しないことにより、緑色と赤色の光を反射させることができ、レーザー光線の入射位置を緑色と赤色とが混ざった色で表示できる。さらに、青色、緑色及び赤色のコレステリック液晶材料層38、40、42の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)に高い電圧を印加することにより、青色と緑色と赤色の光を反射させることができ、レーザー光線の入射位置を青色と緑色と赤色とが混ざった色で表示できる。このように、各色のコレステリック液晶材料層38、40、42の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対する電圧の印加パターン(印加のオン/オフ)を適宜変えることにより、レーザー光線の入射位置を様々な色で表示することができ、さらに、所定の模様を表示することも可能になる。
【0046】
また、同時に、いずれかのセンサでレーザー光線が受光されると、CPU24は、所定の効果音を出力するための制御信号を音源回路28に出力する。このとき、音源回路28は、CPU24からの制御信号を受けて、ROM30に記憶された効果音のデータに基づいて、各スピーカ20を介して所定の効果音を出力する。なお、レーザー光線が入射した射撃領域の部位によって、効果音を変化させるようにしてもよい。例えば、射撃領域の中心にレーザー光線が入射した場合には、大きな効果音が出力され、射撃領域の中心から離れた部位にレーザー光線が入射した場合には、小さな効果音が出力されるように設定してもよい。
【0047】
以上のように、第1実施形態のレーザー光線入射位置表示装置10によれば、プロジェクタやビデオカメラ(CCDカメラ)などが不要になり、簡易な構成でかつ低コストで製造することができる。また、狭いスペースでも、レーザー光線入射位置表示装置10を設置して使用することができる。さらに、表示部材18として、電子ペーパー34を利用することにより、電子ペーパー34の柔軟性を利用して電子ペーパー34を組み付けることができるとともに、レーザー光線入射位置表示装置10を小型化かつ軽量化することができる。
【0048】
なお、表示部材18として、複数色(3色)のコレステリック液晶材料層38、40、42で構成した例を示したが、この構成に限られるものではなく、単色(例えば、赤色)のコレステリック液晶材料層のみで表示部材を構成してもよく、また、2色(青色と赤色)のコレステリック液晶材料層で表示部材を構成してもよい。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置について説明する。なお、第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の構成と重複する構成には同符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0050】
第2実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置は、第1実施形態と比較して、表示部材の構成が異なるものである。
【0051】
図9に示すように、表示部材18には、マイクロカプセル型電気泳動方式の電子ペーパー100が用いられる。電子ペーパー100は、複数の電子インク層102が同一平面上に所謂マトリックス状に並べられて構成されている。すなわち、一の電子インク層102がセルとなっている。なお、同一平面上で隣接する電子インク層102同士は、接着剤や両面テープなどの接着材料により固定されている。また、電子ペーパー100(電子インク層102)の前後両面側(複数の電子インク層102の前後両面側)に、透明のシート部材(例えば、樹脂シート)を配置させ、全ての電子インク層102を保持するようにしてもよい。
【0052】
すなわち、各電子インク層102は、表面側(遊技者側)に位置する透明の表面電極(透明電極)104と、背面(裏面)側に位置する透明の背面電極(透明電極)106と、表面電極104と背面電極106との間に介在される複数の透明なマイクロカプセル108と、で構成されている。電源回路26は、表面電極104と背面電極106との間に所定の電圧を印加する。レーザー光線は、表面電極104、マイクロカプセル108及び背面電極106を通過する。
【0053】
ここで、マイクロカプセル108の内部には、正に帯電した白い顔料110(粒子)と、負に帯電した黒い顔料112(粒子)と、が収容されている。正に帯電した白い顔料110は、負に帯びた電極側にひきつけられ、負に帯電した黒い顔料112は、正に帯びた電極側にひきつけられる。
【0054】
すなわち、図9(A)に示すように、背面電極106が正に帯電している場合には、背面電極106側に黒い顔料112が移動し、表面電極104側に白い顔料110が移動する。このため、遊技者は、白く認識する。また、図9(B)に示すように、背面電極106が負に帯電している場合には、背面電極106側に白い顔料110が移動し、表面電極104側に黒い顔料112が移動する。このため、遊技者は、黒く認識する。さらに、図9(C)に示すように、背面電極106が正と負に帯電している場合には、背面電極106側に黒い顔料112と白い顔料110が移動し、表面電極104側に白い顔料110と黒い顔料112が移動する。このため、遊技者は、黒と白の混色として認識する。
【0055】
上記マイクロカプセル108が射撃領域の全領域にわたって設けられている。また、各マイクロカプセル108の背面側には、各センサ32が各マイクロカプセル108と対応するように設けられている。このため、前方に位置するマイクロカプセル108をレーザー光線が透過すると、その背面側に位置するセンサ32がレーザー光線を受光する。センサ32がレーザー光線を受光すると、センサ32から検知信号が制御装置22に対して出力される。CPU24は、センサ32からの検知信号を受けて、レーザー光線が透過したマイクロカプセル108を特定し、その特定した電極104、106間に所定の電圧を印加するための制御信号を電源回路26に対して出力する。また同時に、CPU24は、音源回路28に対して所定の効果音を出力するための制御信号を出力する。
【0056】
ここで、図9(A)に示すように、レーザー光線が透過したマイクロカプセル108に対応する表面電極104と背面電極106との間に対して、背面電極106側が正(プラス)、表面電極104側が負(マイナス)になるように電圧を印加する。これにより、表面電極104と背面電極106との間に電界が発生する。この電界は、背面電極106側から表面電極104側に向かう。そして、背面電極106側が正(プラス)になり、表面電極104側が負(マイナス)になるため、正に帯電した白い顔料110は、表面電極104側に移動し、負に帯電した黒い顔料112は、背面電極106側に移動する。この結果、レーザー光線が入射した射撃領域が白く色表示され、遊技者は、射撃領域上のレーザー光線の入射位置を認識する。
【0057】
一方、図9(B)に示すように、レーザー光線が透過したマイクロカプセル108に対応する表面電極104と背面電極106との間に対して、表面電極104側が正(プラス)、背面電極106側が負(マイナス)になるように電圧を印加してもよい。これにより、表面電極104と背面電極106との間に電界が発生する。この電界は、表面電極104側から背面電極106側に向かう。このため、表面電極104側が正(プラス)になり、背面電極106側が負(マイナス)になるため、正に帯電した白い顔料110は、背面電極106側に移動し、負に帯電した黒い顔料112は、表面電極104側に移動する。この結果、レーザー光線が入射した射撃領域が黒く色表示され、遊技者は、射撃領域上のレーザー光線の入射位置を認識する。
【0058】
さらに、図9(C)に示すように、レーザー光線が透過したマイクロカプセル108に対応する表面電極104と背面電極106との間に対して、表面電極104側の一部と背面電極106側の一部が正(プラス)になるように電圧を印加してもよい。これにより、表面電極104と背面電極106との間に電界が発生する。この場合には、背面電極106側から表面電極104側に向かう電界と、表面電極104側から背面電極106側に向かう電界と、の2通りが存在する。このため、背面電極106側の一部が正(プラス)、一部が負(マイナス)になり、表面電極104側の一部が正(プラス)、一部が負(マイナス)になる。これにより、表面電極104側が正(プラス)と負(マイナス)になるため、正に帯電した白い顔料110の一部と負に帯電した黒い顔料112の一部は、表面電極104側に移動する。また同時に、背面電極106側も正(プラス)と負(マイナス)になるため、正に帯電した白い顔料110の一部と負に帯電した黒い顔料112の一部は、表面電極104側に移動する。この結果、この結果、レーザー光線が入射した射撃領域が黒と白の混色で表示され、遊技者は、射撃領域上のレーザー光線の入射位置を認識する。
【0059】
第2実施形態によれば、表示部材18として、マイクロカプセル型電気泳動方式(電子インク層102)の電子ペーパー100を用いた場合でも、レーザー光線の入射位置を容易に表示することができる。
【0060】
次に、本発明の第3実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置について説明する。なお、第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の構成と重複する構成には同符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0061】
第3実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置は、第1実施形態と比較して、表示部材の構成が異なるものである。
【0062】
図10に示すように、表示部材18には、有機ELディスプレイ200が用いられている。この有機ELディスプレイ200は、同一平面上に並べられた複数の有機EL層202で構成されている。すなわち、一の有機EL層202がセルとなっている。なお、同一平面上で隣接する有機EL層202同士は、接着剤や両面テープなどの接着材料により固定されている。また、有機ELディスプレイ200(有機EL層202)の前後両面側(複数の有機EL層202の前後両面側)に、透明のシート部材(例えば、樹脂シート)を配置させ、全ての有機EL層202を保持するようにしてもよい。
【0063】
各有機EL層202は、遊技者側に位置するガラス基板204と、透明の表面電極(透明電極)206と、透明の背面電極(透明電極)208と、表面電極206と背面電極208との間に位置して表面電極206に隣接する正電荷輸送層210と、表面電極206と背面電極208との間に位置して背面電極208に隣接する負電荷輸送層212と、正電荷輸送層210と負電荷輸送層212との間に介在する発光層214と、で構成されている。なお、電源回路26により、表面電極206と背面電極208との間に所定の電圧が印加されるようになっている。なお、各有機EL層202の背面側には、レーザー光線を検知する各センサ32が各有機EL層202と対応するように配置されている。
【0064】
第3実施形態によれば、レーザー光線を受光したセンサ32の前面側に位置する有機EL層202の表面電極206と背面電極208との間に、所定の電圧が印加される。表面電極206と背面電極208との間に所定の電圧が印加されると、正電荷輸送層210の正の電荷(正孔)と、負電荷輸送層212の負の電荷(電子)と、が発光層214に流れ込む。そして、正の電荷と負の電荷とが発光層214で再結合することにより、有機分子の励起状態を発生させ、それが安定な状態に戻るときに発光する。これにより、レーザー光線が入射した有機EL層202が発光して、遊技者はレーザー光線の入射位置を認識する。なお、レーザー光線が入射していない有機EL層202は、発光しないため、遊技者に認識されることはない。この結果、レーザー光線が入射した有機EL層202のみが発光するため、複数の有機EL層202が存在していても、レーザー光線が入射した有機EL(入射位置)が明確になる。
【0065】
以上のように、レーザー光線の入射位置を表示する表示部材18に、有機ELディスプレイ200を利用することにより、有機ELディスプレイ200の柔軟性を利用して有機ELディスプレイ200を組み付けることができるとともに、レーザー光線入射位置表示装置10を小型化かつ軽量化することができる。
【0066】
次に、本発明の第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置について説明する。
【0067】
図11に示すように、第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置300の表示部材として、光センサ302Dを内蔵する液晶ディスプレイ302が用いられている。すなわち、レーザー光線入射位置表示装置300は、主として、光センサ302Dを内蔵する液晶ディスプレイ302と、レーザー光線の入射位置を液晶ディスプレイ302上に表示させるための制御装置304と、を有している。なお、液晶ディスプレイ302及び制御装置304は、枠部材14(図1参照)に取り付けられている。
【0068】
図12に示すように、液晶ディスプレイ302は、表面側から裏面側に向って順に、偏光フィルタ(偏光板)302Aと、ガラス板302Bと、光センサ302Dを実装したセンサ回路302Cと、透明電極302Eと、液晶層302Fと、透明電極302Gと、ガラス板302Hと、偏光フィルタ(偏光板)302Iと、バックライト302Jと、で構成されている。なお、液晶ディスプレイ302が反射型液晶表示装置の場合には、バックライト302Jは不要となる。
【0069】
光センサ302Dは、各画素毎に、1個ずつマトリックス状に配置されている。なお、光センサ302Dは、上述した具体例のものを使用でき、例えば、フォトダイオードなどで構成されている。光センサ302Dは、レーザー光線を受光するものであるが、模擬銃12(図1参照)からのレーザー光線のような光量の大きな光を検知し、自然光などの光量の小さな光は検知しないように設定されている。光センサ302Dがレーザー光線を受光した場合には、制御装置304(CPU304A)に対してレーザー光線を受光した旨を示す検知信号を出力する。このような設定は、光センサ302Dの感知度を調整して実現することができ、また、CPU304Aにおいて所定の光量以下の検知信号を無視するように設定することにより、レーザー光線の受光の有無を判別することができる。なお、センサ回路302Cは、レーザー光線などの光を透過する透明の回路であることが好ましい。また、レーザー光線の受光のみを目的とするものであれば、検知信号を出力するための機能を設けた光センサ302Dのみを配置して、センサ回路302Cを省略することも可能である。
【0070】
透明電極302E、302Gは、レーザー光線や自然光が透過する電極であり、液晶に電圧を印加するものである。また、一対の透明電極302E、302Gは、各画素毎に分割して設けられており、各画素に対応する透明電極302E、302G毎に電圧を印加できるように構成されている。
【0071】
偏光フィルタ302Aと偏光フィルタ302Iの偏光方向は、相互に直交するように設定されている。このため、電圧が印加されている液晶の部分は、光が透過しないようになる。
【0072】
制御装置304は、CPU304Aと、ROM304Bと、電源回路304Cと、音源回路304Dと、を有している。
【0073】
CPU304Aは、各画素毎に配置された複数の光センサ302Dからの検知信号に基づいて、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置を特定する。例えば、液晶ディスプレイ302の射撃領域の左側に配置された光センサ302Dによりレーザー光線が受光された場合には、レーザー光線を受光した光センサ302Dから検知信号が制御装置304に対して出力される。そして、CPU304Aは、この検知信号を出力した光センサ302Dを認識して、ROM304Bに記憶したテーブルを参照し、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置(例えば、左側の液晶層302F)を特定する。あるいは、CPU304Aは、検知信号の内容又は種類により、光センサ302Dを特定し、これにより、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置を特定してもよい。また、CPU304Aは、電源回路304C及び音源回路304Dの駆動を制御する。
【0074】
ROM304Bには、光センサ302Dの検知信号と液晶ディスプレイ302の入射部位(液晶層302F)との対応関係(テーブル)、及び効果音のデータが記憶されている。なお、光センサ302D毎に異なる種類の検知信号を出力する構成では、ROM304Bには、光センサ302D毎に異なる種類の検知信号と液晶ディスプレイ302の入射部位(液晶層302F)との対応関係(テーブル)を記憶させておいてもよい。
【0075】
電源回路304Cは、CPU304Aからの駆動信号に基づいて、CPU304Aにより特定された液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置に対応する透明電極302E、302Gに対して所定の電圧を印加するものである。具体的には、レーザー光線の入射位置となる液晶層302Fの透明電極302E、302G間に対して所定の電圧を印加する。液晶層302Fに電圧が印加されると、その液晶層302Fの液晶分子の向き(配向)が変化する。この結果、レーザー光線が入射した液晶ディスプレイ302の入射部位に模様やパターンが表示される。
【0076】
音源回路304Dは、CPU304Aからの駆動信号に基づいて、スピーカ20(図1参照)の出力を制御する。これにより、スピーカ20は、ROM304Bに記憶された効果音の音データに基づいて所定の効果音を出力する。このため、遊技者は、レーザー光線が液晶ディスプレイ302の射撃領域に到達した瞬間に、効果音を聞くことになる。
【0077】
ここで、液晶ディスプレイ302での表示原理について概説する。
表示光源であるバックライト302Jは、様々な方向に振幅成分を有する光を発する。この光源からの光のうち、特定の方向の振幅成分を持つ光(偏光)のみが裏面側の偏光フィルタ302Iを通過することができる。この光は、通常は直線偏光となっており、液晶層302Fに入射される。直線偏光の入射光は、液晶層302Fを厚み方向に伝播しながら、液晶のもつ屈折率異方性(複屈折)に応じて偏光状態を変化させて行く。液晶を出射した光は、偏光のうち、表面側の偏光フィルタ302Aが透過させる偏光だけが表示光として出射される。この表面側の偏光フィルタ302Aが透過させる特定方向の振幅成分が多い場合には、表示は明るく、少ない場合には、表示は暗くなる。表示を変化させるためには、液晶配向を電圧で変化させて液晶配向を変化させる。すると、液晶配向の変化に合わせて、液晶層を伝播する光の光電場の各振動方向における屈折率が変化し、液晶を出射する時点での偏光状態が変化し、明るさ、すなわち、液晶層302Fを挟んでいる偏光フィルタ302A、302Iを含めた全体の透過率が変化する。このように、偏光フィルタ302A、302Iと組み合わされた液晶層302Fは、単なる光シャッタとして動作している。つまり、光を遮ったり、透過させたり、それらの中間調となるように一部透過させたり、というアナログ的な光の透過率制御を電圧値により行うように動作する。なお、液晶層302F自体は、偏光を変化させるが、エネルギー的に発光はせず、吸収は実質的にない。また、偏光フィルタ302A、302Iを通過した光の表示が遊技者の目に到達し、液晶ディスプレイ302から人間の目に届く光は直線偏光している。
【0078】
ここで、液晶ディスプレイ302上にレーザー光線の入射位置にカラー表示する場合には、図13に示すように、カラーフィルタ302Kを設けることが好ましい。カラーフィルタ302Kは、表面側のガラス板302Bと表面側の透明電極302Eとの間、すなわち、表面側のガラス板302Bとセンサ回路302Cとの間、あるいは、センサ回路302Cと透明電極302Eとの間に配置されている。カラーフィルタ302Kは、画素に対応させて、赤色(R)・緑色(G)・青色(B)の光を透過させる着色層を配置したフィルタである。このカラーフィルタ302Kにより、各画素の通過光をR、G、Bに着色することができるため、カラー表示が実現できる。各画素の電圧を制御することで、表示画素の領域上の任意の一点で任意の発色が可能になる(非発色=黒も可能)。
【0079】
第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置300によれば、遊技者が模擬銃12からレーザー光線を発射させると、液晶ディスプレイ302の所定の位置に入射する。レーザー光線は、液晶ディスプレイ302の内部の光センサ302Dで受光され、受光した光センサ302Dから検知信号が制御装置304のCPU304Aに対して出力される。CPU304Aは、検知信号を受光すると、どの光センサ302Dでレーザー光線が受光されたのかを判別し、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置を特定する。
【0080】
そして、CPU304Aは、電源回路304Cに対して、電圧印加の駆動信号を出力する。電源回路304Cは、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置となる画素に対応した透明電極302E、302Gに対して所定の電圧を印加する。これにより、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置に所定のマーク(模様、パターン、色表示)が表現される。このため、遊技者は、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置を認識することができる。
【0081】
また同時に、CPU304Aは、音源回路304Dに対して、効果音を出力するための駆動信号を出力する。これにより、スピーカ20は、ROM304Bに記憶された効果音の音データに基づいて所定の効果音を出力する。このため、遊技者は、レーザー光線が液晶ディスプレイ302の射撃領域に到達した瞬間に、効果音を聞くことになる。
【0082】
以上のように、第4実施形態のレーザー光線入射位置表示装置300によれば、プロジェクタやビデオカメラ(CCDカメラ)などが不要になり、簡易な構成でかつ低コストで製造することができる。また、狭いスペースでも、レーザー光線入射位置表示装置300を設置して使用することができる。さらに、表示部材18として、液晶ディスプレイ302を利用することにより、簡易な構成でレーザー光線入射位置表示装置300を実現することができるため、レーザー光線入射位置表示装置300を小型化かつ軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の制御システムを示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材(単一の液晶層)の内部構成を示した説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材(単一の液晶層)で光が反射する状態を示した説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材を構成する液晶材料に含まれる液晶分子の初期状態を示す概念図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材を構成する液晶材料に含まれる液晶分子が横向きで安定した状態を示す概念図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材を構成する液晶材料に含まれる液晶分子が縦向きで安定した状態を示す概念図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材(単一の電子インク層)の構成を示した説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材(単一の有機EL層)の構成を示した説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の構成を示した図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の液晶表示手段が分解した状態の構成図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の液晶表示手段の変形例が分解した状態の構成図である。
【符号の説明】
【0084】
300 レーザー光線入射位置表示装置
12 模擬銃
302 液晶ディスプレイ(液晶表示手段)
302D 光センサ
304A CPU(位置特定手段)
304C 電源回路(表示制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、模擬銃から照射されたレーザー光線の入射位置を表示するレーザー光線入射位置表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な射撃シミュレーション装置(射撃訓練装置)が提案されている。特に、レーザー光線を利用した模擬銃は、プラスチック弾などの物体を利用することがないため、安全に射撃シミュレーションを実行することができる。
【0003】
ここで、射撃シミュレーション装置の一例として、一の訓練者(遊技者)が射撃に関するシミュレーション装置を装着し、この受光器に、他の訓練者(遊技者)が保持する模擬銃からのレーザー光線が入射することにより、一の訓練者(遊技者)に刺激電流が流れ、筋肉を弛緩させるものがある(従来技術1、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記従来技術1では、訓練者(遊技者)が複数人存在しないと、訓練することができなくなるため、単独で射撃訓練をすることはできない。
【0005】
そこで、スクリーンと、標的を含む画像を出力する画像出力手段(コンピュータなど)と、画像出力手段から出力された画像をスクリーンに対して投影する画像投影手段(プロジェクタ)と、可視光線除去フィルタを介して画像投影面を撮影し画像投影面に発生するビームポイントの画像データ取得する撮像手段(CCDカメラ、ビデオカメラ)と、を備えた射撃模擬装置が提案されている(従来技術2、下記特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2008−20114号公報
【特許文献2】特開2007−71403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来技術2の射撃模擬装置では、標的を含む画像を出力する画像出力手段(コンピュータなど)と、画像出力手段から出力された画像をスクリーンに対して投影する画像投影手段(プロジェクタ)と、可視光線除去フィルタを介して画像投影面を撮影し画像投影面に発生するビームポイントの画像データ取得する撮像手段(CCDカメラ、ビデオカメラ)と、が必要不可欠な構成部品であるため、部品点数が多くなり、また製造コストが大幅に増大する。また、これらの構成部品を配置するスペースがなければ、射撃シミュレーションを実行することができず、比較的狭い室内では、射撃訓練の実行が困難になる。
【0007】
そこで、本発明は、製造コストを低減でき、小さなスペースでも、射撃訓練を実行することができるレーザー光線入射位置表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願第1発明は、模擬銃から照射されたレーザー光線が入射した入射位置を表示するレーザー光線入射位置表示装置であって、前記レーザー光線が入射するとともに、電圧が印加されることによって前記レーザー光線の前記入射位置を表示する液晶表示手段と、前記液晶表示手段に設けられ、前記液晶表示手段に入射した前記レーザー光線を検知する光センサと、前記光センサによる前記レーザー光線の検知結果に基づいて前記液晶表示手段における前記レーザー光線の前記入射位置を特定する位置特定手段と、前記液晶表示手段に対して電圧を印加することにより前記位置特定手段で特定された前記入射位置を前記液晶表示手段に表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、模擬銃から照射されたレーザー光線は、液晶表示手段に入射して、光センサにより検知される。光センサによるレーザー光線の検知結果に基づいて、位置特定手段により液晶表示手段におけるレーザー光線の入射位置が特定される。そして、電圧印加手段により液晶表示手段に対して電圧が印加されることにより、位置特定手段で特定された入射位置が液晶表示手段上に表示される。この結果、液晶表示手段上に模擬銃からのレーザー光線痕を表示させることができる。このように、レーザー光線入射位置表示装置は、プロジェクタやビデオカメラ(CCDカメラ)などが不要になり、簡易な構成でかつ低コストで製造することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成でかつ、製造コストを低減でき、比較的小さなスペースでも、射撃訓練を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置について、図面を参照して説明する。なお、本明細書の「レーザー光線」とは、模擬銃から照射されるレーザービームを意味し、「光」とは、レーザー光線と区別されるものであり、例えば、太陽光(自然光)や蛍光灯などの光を意味する。
【0012】
先ず、図1に示すように、模擬銃12からのレーザー光線の照射原理について説明する。模擬銃12の内部に、光励起装置(図示省略)と、一対のミラー(図示省略)と、を収容し、レーザー媒質に外部からエネルギーを注入して光を励起させ、この光をミラーで往復させる。この結果、同じ位相の光が付加され、光がミラーを往復しているうちに増幅されていき、エネルギーの大きな指向性の絞られたレーザー光が生成される。この位相が揃い増幅されたレーザー光がレーザー光線としてミラーを透過して模擬銃12から外部に放出され、後述のレーザー光線入射位置表示装置10に向かって照射される。
【0013】
図1及び図2に示すように、レーザー光線入射位置表示装置10は、枠部材14を備えている。この枠部材14の一方側側面には、円孔16が形成されている。この円孔16には、レーザー光線の入射位置を表示する表示部材(表示手段)18が設けられている。また、枠部材14には、複数(本実施形態では2個)のスピーカ20が設けられている。なお、円孔16に限られず、四角形、三角形などの他の形状でもよく、また、人影、動物の影などの外形でもよい。
【0014】
また、枠部材14の内部であって表示部材18の背面側には、レーザー光線を検知するための複数のセンサ(例えば、光センサ)32(レーザー光検知手段、図3及び図4参照)が設けられている。センサ32は、表示部材18の全射撃領域にわたって均等となるように設けられている。具体的には、表示部材18には、同一平面上に複数の液晶層36(図4参照)が配置されており、各液晶層36の背面側に1つのセンサ32が対応(1対1の関係)するように配置されている。ここで、センサ32は、レーザー光線を検知する性質のものであり、光により導電率が変化するもの、光により起電力が発生するもの、光を熱として検知するもの、光電子変換するもの、などがある。このため、表示部材18の全射撃領域のいずれかにレーザー光線が入射した場合には、複数のセンサ32のうちレーザー光線の入射位置となる液晶層36に対応するセンサ32によりレーザー光線が検知される。
【0015】
具体的には、光センサとして、光導電型(光導電セル(素子:CdS、PbS、Se))、光起電型(光起電力センサ(素子:フォトダイオード、Pinフォトダイオード、太陽電池)、内部増幅センサ(素子:フォトトランジスタ、アバランシュフォトダイオード)、領域センサ(素子:フォトダイオードアレイ、CCDイメージセンサ、MOSイメージセンサ)、熱電効果型(素子:焦電センサ))などが挙げられる。
【0016】
例えば、光導電型の光導電素子は、光のエネルギーを受けて内部に自由に動き回る電子が発生する。光が当っていないときは抵抗が増大し、光が当っているときは抵抗が小さくなる基本回路を有している。この変化により、レーザー光線を検知して、検知信号を出力することができる。
【0017】
また、光起電型の光起電力素子は、光が照射したときに内部に電位差が発生する(光起電力効果)。フォトダイオードでは、pn接合部に光が照射されると電子と正孔の対が生じ、それぞれがn領域とp領域に集められ電極を通して光電流が取り出される。また、フォトトランジスタは、フォトダイオード構造をもつトランジスタで、増幅機能を有する素子である。また、アバランシュフォトダイオードは、光で生じた電子をpn接合の電界層中で加速して大きなエネルギーをもたせ次々と電子を放出させて倍増していくものである。これにより、微弱な光を検出することが可能となる。熱電効果型の焦電素子は、光のエネルギーをいったん熱に変えて検知するものである。このセンサ素子の内部には、プラスとマイナスの電荷が分極現象によってある方向に並んでおり誘電体としての特性を示すが、熱によってこの分極現象が変化し素子の両端に電荷が発生する(焦電効果)。焦電効果を示す素子として、単結晶のTGS、LiTaO3、高分子膜のPVDFなどが挙げられる。
【0018】
以上のように、光センサとして、従来から種々の型のものが存在し、いずれのセンサも光を検知し、これを検知信号(電気信号)として後述の制御装置22(図3参照)に対して出力する。
【0019】
また、図3に示すように、枠部材14の内部には、制御装置22が設けられている。制御装置22は、複数のセンサ32からの検知信号に基づいて表示部材18上のレーザー光線の入射位置を特定するCPU(あるいはCPU回路)24(位置特定手段)と、レーザー光線の入射位置となる表示部材18の液晶層36(詳細には、図4の電極50、52、(62、64)、(74、76))に対して所定の電圧を印加する電源回路26(電圧印加手段)と、スピーカ20から所定の効果音を出力させる音源回路28と、センサ32の検知信号と表示部材18の入射部位(液晶層36)との対応関係(テーブル)、及び効果音のデータを記憶するROM30と、で構成されている。なお、センサ32毎に異なる種類の検知信号を出力する構成では、ROM30には、センサ32毎に異なる種類の検知信号と表示部材18の入射部位(液晶層36)との対応関係(テーブル)を記憶させておいてもよい。
【0020】
CPU24は、複数のセンサ32からの検知信号に基づいて、表示部材18上のレーザー光線の入射位置を特定する。例えば、表示部材18の射撃領域の左側に配置されたセンサ32によりレーザー光線が受光された場合には、レーザー光線を受光したセンサ32から検知信号が制御装置22に対して出力される。そして、CPU24は、この検知信号を出力したセンサ32を認識して、ROM30に記憶したテーブルを参照し、表示部材18上のレーザー光線の入射位置(例えば、左側の液晶層36)を特定する。あるいは、CPU24は、検知信号の種類により、センサ32を特定し、これにより、表示部材18上のレーザー光線の入射位置を特定してもよい。
【0021】
電源回路26は、CPU24により特定された表示部材18上のレーザー光線の入射位置に対して所定の電圧を印加させるものである。具体的には、レーザー光線の入射位置となる液晶層36の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対して所定の電圧を印加する。この結果、レーザー光線が入射した表示部材18の入射部位の色が変化する。なお、電源回路26は、CPU24により制御される。
【0022】
音源回路28は、複数のセンサ32のうちいずれかのセンサでレーザー光線が検知されたと同時にROM30に記憶された効果音の音データに基づいてスピーカ20を介して所定の効果音を出力するものである。このため、遊技者は、レーザー光線が表示部材18の射撃領域に到達した瞬間に、効果音を聞くことになる。なお、音源回路28は、CPU24により制御される。また、音源回路28は、スピーカ20からの効果音の出力を制御する。
【0023】
次に、表示部材18の構成について詳細に説明する。
図4に示すように、表示部材18は、コレステリック液晶材料を備えた電子ペーパー34で構成されている。電子ペーパー34は、複数の液晶層36が同一平面上に所謂マトリックス状に並べられて構成されている。すなわち、一の液晶層36がセルとなっている。なお、同一平面上で隣接する液晶層36同士は、接着剤や両面テープなどの接着材料により固定されている。また、電子ペーパー34の前後両面側(複数の液晶層36の前後両面側)に、透明のシート部材(例えば、樹脂シート)を配置させ、全ての液晶層36を保持するようにしてもよい。
【0024】
各液晶層36は、青・緑・赤の3色のコレステリック液晶材料を厚み方向に重ねられて設けられている。具体的には、各液晶層36は、レーザー光線が透過する青色のコレステリック液晶材料層38と、レーザー光線が透過する緑色のコレステリック液晶材料層40と、レーザー光線が透過する赤色のコレステリック液晶材料層42と、が厚み方向に重ねられて構成されている。
【0025】
ここで、コレステリック液晶は、特定の波長(光)のみを反射する性質がある。太陽光や蛍光灯などの光が液晶に入射すると、青色、緑色、赤色の決められた波長を反射して、フルカラーで表示することができる。なお、青色、緑色、赤色の全ての色の光が反射した場合には、光の3原色となり、肉眼で白色に見える。
【0026】
青色のコレステリック液晶材料層38は、レーザー光線及び光が透過する1対の透明フィルム44、46と、各透明フィルム44、46の間に介在された青色のコレステリック液晶材料48と、1対の透明フィルム44、46の表面と青色のコレステリック液晶材料48との境界に設けられた透明電極50、52と、で構成されている。なお、各液晶層36の青色のコレステリック液晶材料48は、封止剤54により封入されている。
【0027】
緑色のコレステリック液晶材料層40は、レーザー光線及び光が透過する1対の透明フィルム56、58と、各透明フィルム56、58の間に介在された緑色のコレステリック液晶材料60と、1対の透明フィルム56、58の表面と緑色のコレステリック液晶材料60との境界に設けられた透明電極62、64と、で構成されている。なお、各液晶層36の緑色のコレステリック液晶材料60は、封止剤66により封入されている。
【0028】
赤色のコレステリック液晶材料層42は、レーザー光線及び光が透過する1対の透明フィルム68、70と、各透明フィルム68、70の間に介在された赤色のコレステリック液晶材料72と、1対の透明フィルム68、70の表面と赤色のコレステリック液晶材料との境界に設けられた透明電極74、76と、で構成されている。なお、各液晶層36の赤色のコレステリック液晶材料は、封止剤78により封入されている。
【0029】
以上のように、各液晶層36は、最も表面側に位置する青色のコレステリック液晶材料層38と、青色のコレステリック液晶材料層38の背面(裏面)側に位置する緑色のコレステリック液晶材料層38と、緑色のコレステリック液晶材料層40の背面(裏面)側に位置する赤色のコレステリック液晶材料層42と、がそれぞれ厚み方向に重なり合って構成されている。そして、表示部材18は、上記構成の複数の液晶層36が同一平面上に並べられて構成されている。
【0030】
次に、表示部材18における光の反射原理について説明する。
【0031】
図5及び図6に示すように、各液晶材料層38、40、42のコレステリック液晶材料の中には、複数の液晶分子Xがねじれたらせんのように並んでいる。通常は、複数の液晶分子Xが縦向きに並んでおり、太陽光や蛍光灯などの光を反射する状態になっている。
【0032】
そして、図5及び図7に示すように、レーザー光線、太陽光や蛍光灯などの光を通過させたい部分の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に低い電圧を印加して、らせん状の液晶分子Xを横向きにする。なお、この電圧の印加を停止しても(電源を切っても)、液晶分子Xは、横向きのまま安定している。これにより、太陽光や蛍光灯などの光は、各液晶材料層38、40、42を通過する。
【0033】
さらに、図5及び図8に示すように、レーザー光線、太陽光や蛍光灯などの光を反射させたい部分の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に高い電圧を印加して、らせん状の液晶分子Xを伸ばし、すぐに電圧の印加を停止する。これにより、液晶分子Xは、反発して縦向きのらせん状になって安定する。これにより、太陽光や蛍光灯などの光は、この部位で反射する。
【0034】
ここで、電圧の印加は、電源回路26により制御される。電源回路26から各透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対して電圧印加信号が出力され、これに基づいて電圧が印加される。
【0035】
このように、表示部材18に電子ペーパー34を利用することにより、偏光板、反射板、カラーフィルタ、バックライトが不要になる。このため、表示部材18の部品点数を削減でき、製造コストを低減することができる。また、電子ペーパー34を利用することにより、低電力で表示することができる。
【0036】
次に、本発明の第1実施形態におけるレーザー光線入射位置表示装置10におけるレーザー光線入射位置表示方法について説明する。本発明は、上記した表示部材である電子ペーパー34の反射原理を利用して、レーザー光線の入射位置を表示するものである。
【0037】
先ず、図4及び図5に示すように、表示部材18の初期状態として、全て液晶層36の全ての液晶材料層38、40、42の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)に比較的低い電圧が印加されている。これは、CPU24により制御された電源回路26によって、全ての液晶材料層38、40、42の各透明電極間50、52、(62、64)、(74、76)に対して所定の電圧を印加することにより実行できる。この表示部材18の初期状態では、液晶分子Xが図7に示す横向き状態になって安定し、レーザー光線、太陽光や蛍光灯などの光が、全ての液晶材料層38、40、42を通過する。このとき、遊技者は、黒色を視認する。
【0038】
次に、遊技者による遊技が開始される。遊技者の模擬銃12からレーザー光線が照射されて、表示部材18の射撃領域の一部に入射すると、レーザー光線は、全ての液晶材料層38、40、42を通過して、入射した一の液晶層36の裏面側に位置するセンサ32で受光される。そして、レーザー光線を受光したセンサ32から制御装置22に対して、レーザー光線の検知信号が出力される。CPU24は、この検知信号を受けて、レーザー光線を受光したセンサ32を特定し、また、そのセンサ32に対応する一の液晶層36を特定する。後述するように、この特定された一の液晶層36が、レーザー光線が入射した位置として変色する。
【0039】
次に、CPU24は、特定された液晶層36に配置されている透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対して比較的高い電圧を印加するための制御信号を電源回路26に出力する。このとき、電源回路26は、CPU24からの制御信号を受けて、特定された一の液晶層36の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対して比較的高い電極を印加する。
【0040】
これにより、電圧が印加された透明電極50、52、(62、64)、(74、76)に対応する液晶材料中の液晶分子Xは、上述した通り、図8に示す縦向き状態になって安定し、太陽光や蛍光灯などの光を反射する性質になる。なお、このときの透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対する電圧印加時間は僅かな時間であり、電圧を印加した後、すぐに電圧印加が停止される。
【0041】
この結果、電圧が印加された透明電極50、52、(62、64)、(74、76)を有する液晶層36では、太陽光や蛍光灯などの光を反射する性質に変化して、遊技者は、色の変化を認識する。具体的には、青色のコレステリック液晶材料層38の透明電極50、52間に高い電圧が印加された場合には、レーザー光線の入射位置が青色に表示され、遊技者は、青色の部位がレーザー光線の入射位置と認識する。また、緑色のコレステリック液晶材料層40の透明電極62、64間に高い電圧が印加された場合には、レーザー光線の入射位置が緑色に表示され、遊技者は、緑色の部位がレーザー光線の入射位置と認識する。赤色のコレステリック液晶材料層42の透明電極74、76間に高い電圧が印加された場合には、レーザー光線の入射位置が赤色に表示され、遊技者は、赤色の部位がレーザー光線の入射位置と認識する。
【0042】
より詳細には、レーザー光線の入射位置を青色に表示させる場合には、青色のコレステリック液晶材料層38の透明電極50、52間に高い電圧が印加され、緑色及び赤色のコレステリック液晶材料層40、42の透明電極62、64(74、76)間には電圧が印加されない。このため、青色のコレステリック液晶材料層38の液晶分子Xは、図8に示す縦向きの状態で安定するため光を反射し、緑色及び赤色のコレステリック液晶材料層40、42の液晶分子Xは、図7に示す横向きの状態で安定するため光を透過する。
【0043】
また、レーザー光線の入射位置を緑色に表示させる場合には、緑色のコレステリック液晶材料層40の透明電極62、64間に高い電圧が印加され、青色及び赤色のコレステリック液晶材料層38、42の透明電極50、52(74、76)間には電圧が印加されない。このため、緑色のコレステリック液晶材料層40の液晶分子Xは、図8に示す縦向きの状態で安定するため光を反射し、青色及び赤色のコレステリック液晶材料層38、42の液晶分子Xは、図7に示す横向きの状態で安定するため光を透過する。
【0044】
さらに、レーザー光線の入射位置を赤色に表示させる場合には、赤色のコレステリック液晶材料層42の透明電極74、76間に高い電圧が印加され、青色及び緑色のコレステリック液晶材料層38、40の透明電極50、52(62、64)間には電圧が印加されない。このため、赤色のコレステリック液晶材料層42の液晶分子Xは、図8に示す縦向きの状態で安定するため光を反射し、青色及び緑色のコレステリック液晶材料層38、40の液晶分子Xは、図7に示す横向きの状態で安定するため光を透過する。
【0045】
なお、レーザー光線の入射位置を青色、緑色及び赤色以外の色に表示させる場合には、各色のコレステリック液晶材料層38、40、42の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対する電圧印加のパターンを適宜変化させることにより対応できる。例えば、青色及び緑色のコレステリック液晶材料層38、40の透明電極50、52(62、64)間に高い電圧を印加し、赤色のコレステリック液晶材料層42の透明電極74、76間に電圧を印加しないことにより、青色と緑色の光を反射させることができ、レーザー光線の入射位置を青色と緑色とが混ざった色で表示できる。一方、青色及び赤色のコレステリック液晶材料層38、42の透明電極50、52(74、76)間に高い電圧を印加し、緑色のコレステリック液晶材料層40の透明電極62、64間に電圧を印加しないことにより、青色と赤色の光を反射させることができ、レーザー光線の入射位置を青色と赤色とが混ざった色で表示できる。また、緑色及び赤色のコレステリック液晶材料層40、42の透明電極62、64(74、76)間に高い電圧を印加し、青色のコレステリック液晶材料層38の透明電極50、52間に電圧を印加しないことにより、緑色と赤色の光を反射させることができ、レーザー光線の入射位置を緑色と赤色とが混ざった色で表示できる。さらに、青色、緑色及び赤色のコレステリック液晶材料層38、40、42の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)に高い電圧を印加することにより、青色と緑色と赤色の光を反射させることができ、レーザー光線の入射位置を青色と緑色と赤色とが混ざった色で表示できる。このように、各色のコレステリック液晶材料層38、40、42の透明電極50、52、(62、64)、(74、76)間に対する電圧の印加パターン(印加のオン/オフ)を適宜変えることにより、レーザー光線の入射位置を様々な色で表示することができ、さらに、所定の模様を表示することも可能になる。
【0046】
また、同時に、いずれかのセンサでレーザー光線が受光されると、CPU24は、所定の効果音を出力するための制御信号を音源回路28に出力する。このとき、音源回路28は、CPU24からの制御信号を受けて、ROM30に記憶された効果音のデータに基づいて、各スピーカ20を介して所定の効果音を出力する。なお、レーザー光線が入射した射撃領域の部位によって、効果音を変化させるようにしてもよい。例えば、射撃領域の中心にレーザー光線が入射した場合には、大きな効果音が出力され、射撃領域の中心から離れた部位にレーザー光線が入射した場合には、小さな効果音が出力されるように設定してもよい。
【0047】
以上のように、第1実施形態のレーザー光線入射位置表示装置10によれば、プロジェクタやビデオカメラ(CCDカメラ)などが不要になり、簡易な構成でかつ低コストで製造することができる。また、狭いスペースでも、レーザー光線入射位置表示装置10を設置して使用することができる。さらに、表示部材18として、電子ペーパー34を利用することにより、電子ペーパー34の柔軟性を利用して電子ペーパー34を組み付けることができるとともに、レーザー光線入射位置表示装置10を小型化かつ軽量化することができる。
【0048】
なお、表示部材18として、複数色(3色)のコレステリック液晶材料層38、40、42で構成した例を示したが、この構成に限られるものではなく、単色(例えば、赤色)のコレステリック液晶材料層のみで表示部材を構成してもよく、また、2色(青色と赤色)のコレステリック液晶材料層で表示部材を構成してもよい。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置について説明する。なお、第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の構成と重複する構成には同符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0050】
第2実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置は、第1実施形態と比較して、表示部材の構成が異なるものである。
【0051】
図9に示すように、表示部材18には、マイクロカプセル型電気泳動方式の電子ペーパー100が用いられる。電子ペーパー100は、複数の電子インク層102が同一平面上に所謂マトリックス状に並べられて構成されている。すなわち、一の電子インク層102がセルとなっている。なお、同一平面上で隣接する電子インク層102同士は、接着剤や両面テープなどの接着材料により固定されている。また、電子ペーパー100(電子インク層102)の前後両面側(複数の電子インク層102の前後両面側)に、透明のシート部材(例えば、樹脂シート)を配置させ、全ての電子インク層102を保持するようにしてもよい。
【0052】
すなわち、各電子インク層102は、表面側(遊技者側)に位置する透明の表面電極(透明電極)104と、背面(裏面)側に位置する透明の背面電極(透明電極)106と、表面電極104と背面電極106との間に介在される複数の透明なマイクロカプセル108と、で構成されている。電源回路26は、表面電極104と背面電極106との間に所定の電圧を印加する。レーザー光線は、表面電極104、マイクロカプセル108及び背面電極106を通過する。
【0053】
ここで、マイクロカプセル108の内部には、正に帯電した白い顔料110(粒子)と、負に帯電した黒い顔料112(粒子)と、が収容されている。正に帯電した白い顔料110は、負に帯びた電極側にひきつけられ、負に帯電した黒い顔料112は、正に帯びた電極側にひきつけられる。
【0054】
すなわち、図9(A)に示すように、背面電極106が正に帯電している場合には、背面電極106側に黒い顔料112が移動し、表面電極104側に白い顔料110が移動する。このため、遊技者は、白く認識する。また、図9(B)に示すように、背面電極106が負に帯電している場合には、背面電極106側に白い顔料110が移動し、表面電極104側に黒い顔料112が移動する。このため、遊技者は、黒く認識する。さらに、図9(C)に示すように、背面電極106が正と負に帯電している場合には、背面電極106側に黒い顔料112と白い顔料110が移動し、表面電極104側に白い顔料110と黒い顔料112が移動する。このため、遊技者は、黒と白の混色として認識する。
【0055】
上記マイクロカプセル108が射撃領域の全領域にわたって設けられている。また、各マイクロカプセル108の背面側には、各センサ32が各マイクロカプセル108と対応するように設けられている。このため、前方に位置するマイクロカプセル108をレーザー光線が透過すると、その背面側に位置するセンサ32がレーザー光線を受光する。センサ32がレーザー光線を受光すると、センサ32から検知信号が制御装置22に対して出力される。CPU24は、センサ32からの検知信号を受けて、レーザー光線が透過したマイクロカプセル108を特定し、その特定した電極104、106間に所定の電圧を印加するための制御信号を電源回路26に対して出力する。また同時に、CPU24は、音源回路28に対して所定の効果音を出力するための制御信号を出力する。
【0056】
ここで、図9(A)に示すように、レーザー光線が透過したマイクロカプセル108に対応する表面電極104と背面電極106との間に対して、背面電極106側が正(プラス)、表面電極104側が負(マイナス)になるように電圧を印加する。これにより、表面電極104と背面電極106との間に電界が発生する。この電界は、背面電極106側から表面電極104側に向かう。そして、背面電極106側が正(プラス)になり、表面電極104側が負(マイナス)になるため、正に帯電した白い顔料110は、表面電極104側に移動し、負に帯電した黒い顔料112は、背面電極106側に移動する。この結果、レーザー光線が入射した射撃領域が白く色表示され、遊技者は、射撃領域上のレーザー光線の入射位置を認識する。
【0057】
一方、図9(B)に示すように、レーザー光線が透過したマイクロカプセル108に対応する表面電極104と背面電極106との間に対して、表面電極104側が正(プラス)、背面電極106側が負(マイナス)になるように電圧を印加してもよい。これにより、表面電極104と背面電極106との間に電界が発生する。この電界は、表面電極104側から背面電極106側に向かう。このため、表面電極104側が正(プラス)になり、背面電極106側が負(マイナス)になるため、正に帯電した白い顔料110は、背面電極106側に移動し、負に帯電した黒い顔料112は、表面電極104側に移動する。この結果、レーザー光線が入射した射撃領域が黒く色表示され、遊技者は、射撃領域上のレーザー光線の入射位置を認識する。
【0058】
さらに、図9(C)に示すように、レーザー光線が透過したマイクロカプセル108に対応する表面電極104と背面電極106との間に対して、表面電極104側の一部と背面電極106側の一部が正(プラス)になるように電圧を印加してもよい。これにより、表面電極104と背面電極106との間に電界が発生する。この場合には、背面電極106側から表面電極104側に向かう電界と、表面電極104側から背面電極106側に向かう電界と、の2通りが存在する。このため、背面電極106側の一部が正(プラス)、一部が負(マイナス)になり、表面電極104側の一部が正(プラス)、一部が負(マイナス)になる。これにより、表面電極104側が正(プラス)と負(マイナス)になるため、正に帯電した白い顔料110の一部と負に帯電した黒い顔料112の一部は、表面電極104側に移動する。また同時に、背面電極106側も正(プラス)と負(マイナス)になるため、正に帯電した白い顔料110の一部と負に帯電した黒い顔料112の一部は、表面電極104側に移動する。この結果、この結果、レーザー光線が入射した射撃領域が黒と白の混色で表示され、遊技者は、射撃領域上のレーザー光線の入射位置を認識する。
【0059】
第2実施形態によれば、表示部材18として、マイクロカプセル型電気泳動方式(電子インク層102)の電子ペーパー100を用いた場合でも、レーザー光線の入射位置を容易に表示することができる。
【0060】
次に、本発明の第3実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置について説明する。なお、第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の構成と重複する構成には同符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0061】
第3実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置は、第1実施形態と比較して、表示部材の構成が異なるものである。
【0062】
図10に示すように、表示部材18には、有機ELディスプレイ200が用いられている。この有機ELディスプレイ200は、同一平面上に並べられた複数の有機EL層202で構成されている。すなわち、一の有機EL層202がセルとなっている。なお、同一平面上で隣接する有機EL層202同士は、接着剤や両面テープなどの接着材料により固定されている。また、有機ELディスプレイ200(有機EL層202)の前後両面側(複数の有機EL層202の前後両面側)に、透明のシート部材(例えば、樹脂シート)を配置させ、全ての有機EL層202を保持するようにしてもよい。
【0063】
各有機EL層202は、遊技者側に位置するガラス基板204と、透明の表面電極(透明電極)206と、透明の背面電極(透明電極)208と、表面電極206と背面電極208との間に位置して表面電極206に隣接する正電荷輸送層210と、表面電極206と背面電極208との間に位置して背面電極208に隣接する負電荷輸送層212と、正電荷輸送層210と負電荷輸送層212との間に介在する発光層214と、で構成されている。なお、電源回路26により、表面電極206と背面電極208との間に所定の電圧が印加されるようになっている。なお、各有機EL層202の背面側には、レーザー光線を検知する各センサ32が各有機EL層202と対応するように配置されている。
【0064】
第3実施形態によれば、レーザー光線を受光したセンサ32の前面側に位置する有機EL層202の表面電極206と背面電極208との間に、所定の電圧が印加される。表面電極206と背面電極208との間に所定の電圧が印加されると、正電荷輸送層210の正の電荷(正孔)と、負電荷輸送層212の負の電荷(電子)と、が発光層214に流れ込む。そして、正の電荷と負の電荷とが発光層214で再結合することにより、有機分子の励起状態を発生させ、それが安定な状態に戻るときに発光する。これにより、レーザー光線が入射した有機EL層202が発光して、遊技者はレーザー光線の入射位置を認識する。なお、レーザー光線が入射していない有機EL層202は、発光しないため、遊技者に認識されることはない。この結果、レーザー光線が入射した有機EL層202のみが発光するため、複数の有機EL層202が存在していても、レーザー光線が入射した有機EL(入射位置)が明確になる。
【0065】
以上のように、レーザー光線の入射位置を表示する表示部材18に、有機ELディスプレイ200を利用することにより、有機ELディスプレイ200の柔軟性を利用して有機ELディスプレイ200を組み付けることができるとともに、レーザー光線入射位置表示装置10を小型化かつ軽量化することができる。
【0066】
次に、本発明の第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置について説明する。
【0067】
図11に示すように、第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置300の表示部材として、光センサ302Dを内蔵する液晶ディスプレイ302が用いられている。すなわち、レーザー光線入射位置表示装置300は、主として、光センサ302Dを内蔵する液晶ディスプレイ302と、レーザー光線の入射位置を液晶ディスプレイ302上に表示させるための制御装置304と、を有している。なお、液晶ディスプレイ302及び制御装置304は、枠部材14(図1参照)に取り付けられている。
【0068】
図12に示すように、液晶ディスプレイ302は、表面側から裏面側に向って順に、偏光フィルタ(偏光板)302Aと、ガラス板302Bと、光センサ302Dを実装したセンサ回路302Cと、透明電極302Eと、液晶層302Fと、透明電極302Gと、ガラス板302Hと、偏光フィルタ(偏光板)302Iと、バックライト302Jと、で構成されている。なお、液晶ディスプレイ302が反射型液晶表示装置の場合には、バックライト302Jは不要となる。
【0069】
光センサ302Dは、各画素毎に、1個ずつマトリックス状に配置されている。なお、光センサ302Dは、上述した具体例のものを使用でき、例えば、フォトダイオードなどで構成されている。光センサ302Dは、レーザー光線を受光するものであるが、模擬銃12(図1参照)からのレーザー光線のような光量の大きな光を検知し、自然光などの光量の小さな光は検知しないように設定されている。光センサ302Dがレーザー光線を受光した場合には、制御装置304(CPU304A)に対してレーザー光線を受光した旨を示す検知信号を出力する。このような設定は、光センサ302Dの感知度を調整して実現することができ、また、CPU304Aにおいて所定の光量以下の検知信号を無視するように設定することにより、レーザー光線の受光の有無を判別することができる。なお、センサ回路302Cは、レーザー光線などの光を透過する透明の回路であることが好ましい。また、レーザー光線の受光のみを目的とするものであれば、検知信号を出力するための機能を設けた光センサ302Dのみを配置して、センサ回路302Cを省略することも可能である。
【0070】
透明電極302E、302Gは、レーザー光線や自然光が透過する電極であり、液晶に電圧を印加するものである。また、一対の透明電極302E、302Gは、各画素毎に分割して設けられており、各画素に対応する透明電極302E、302G毎に電圧を印加できるように構成されている。
【0071】
偏光フィルタ302Aと偏光フィルタ302Iの偏光方向は、相互に直交するように設定されている。このため、電圧が印加されている液晶の部分は、光が透過しないようになる。
【0072】
制御装置304は、CPU304Aと、ROM304Bと、電源回路304Cと、音源回路304Dと、を有している。
【0073】
CPU304Aは、各画素毎に配置された複数の光センサ302Dからの検知信号に基づいて、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置を特定する。例えば、液晶ディスプレイ302の射撃領域の左側に配置された光センサ302Dによりレーザー光線が受光された場合には、レーザー光線を受光した光センサ302Dから検知信号が制御装置304に対して出力される。そして、CPU304Aは、この検知信号を出力した光センサ302Dを認識して、ROM304Bに記憶したテーブルを参照し、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置(例えば、左側の液晶層302F)を特定する。あるいは、CPU304Aは、検知信号の内容又は種類により、光センサ302Dを特定し、これにより、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置を特定してもよい。また、CPU304Aは、電源回路304C及び音源回路304Dの駆動を制御する。
【0074】
ROM304Bには、光センサ302Dの検知信号と液晶ディスプレイ302の入射部位(液晶層302F)との対応関係(テーブル)、及び効果音のデータが記憶されている。なお、光センサ302D毎に異なる種類の検知信号を出力する構成では、ROM304Bには、光センサ302D毎に異なる種類の検知信号と液晶ディスプレイ302の入射部位(液晶層302F)との対応関係(テーブル)を記憶させておいてもよい。
【0075】
電源回路304Cは、CPU304Aからの駆動信号に基づいて、CPU304Aにより特定された液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置に対応する透明電極302E、302Gに対して所定の電圧を印加するものである。具体的には、レーザー光線の入射位置となる液晶層302Fの透明電極302E、302G間に対して所定の電圧を印加する。液晶層302Fに電圧が印加されると、その液晶層302Fの液晶分子の向き(配向)が変化する。この結果、レーザー光線が入射した液晶ディスプレイ302の入射部位に模様やパターンが表示される。
【0076】
音源回路304Dは、CPU304Aからの駆動信号に基づいて、スピーカ20(図1参照)の出力を制御する。これにより、スピーカ20は、ROM304Bに記憶された効果音の音データに基づいて所定の効果音を出力する。このため、遊技者は、レーザー光線が液晶ディスプレイ302の射撃領域に到達した瞬間に、効果音を聞くことになる。
【0077】
ここで、液晶ディスプレイ302での表示原理について概説する。
表示光源であるバックライト302Jは、様々な方向に振幅成分を有する光を発する。この光源からの光のうち、特定の方向の振幅成分を持つ光(偏光)のみが裏面側の偏光フィルタ302Iを通過することができる。この光は、通常は直線偏光となっており、液晶層302Fに入射される。直線偏光の入射光は、液晶層302Fを厚み方向に伝播しながら、液晶のもつ屈折率異方性(複屈折)に応じて偏光状態を変化させて行く。液晶を出射した光は、偏光のうち、表面側の偏光フィルタ302Aが透過させる偏光だけが表示光として出射される。この表面側の偏光フィルタ302Aが透過させる特定方向の振幅成分が多い場合には、表示は明るく、少ない場合には、表示は暗くなる。表示を変化させるためには、液晶配向を電圧で変化させて液晶配向を変化させる。すると、液晶配向の変化に合わせて、液晶層を伝播する光の光電場の各振動方向における屈折率が変化し、液晶を出射する時点での偏光状態が変化し、明るさ、すなわち、液晶層302Fを挟んでいる偏光フィルタ302A、302Iを含めた全体の透過率が変化する。このように、偏光フィルタ302A、302Iと組み合わされた液晶層302Fは、単なる光シャッタとして動作している。つまり、光を遮ったり、透過させたり、それらの中間調となるように一部透過させたり、というアナログ的な光の透過率制御を電圧値により行うように動作する。なお、液晶層302F自体は、偏光を変化させるが、エネルギー的に発光はせず、吸収は実質的にない。また、偏光フィルタ302A、302Iを通過した光の表示が遊技者の目に到達し、液晶ディスプレイ302から人間の目に届く光は直線偏光している。
【0078】
ここで、液晶ディスプレイ302上にレーザー光線の入射位置にカラー表示する場合には、図13に示すように、カラーフィルタ302Kを設けることが好ましい。カラーフィルタ302Kは、表面側のガラス板302Bと表面側の透明電極302Eとの間、すなわち、表面側のガラス板302Bとセンサ回路302Cとの間、あるいは、センサ回路302Cと透明電極302Eとの間に配置されている。カラーフィルタ302Kは、画素に対応させて、赤色(R)・緑色(G)・青色(B)の光を透過させる着色層を配置したフィルタである。このカラーフィルタ302Kにより、各画素の通過光をR、G、Bに着色することができるため、カラー表示が実現できる。各画素の電圧を制御することで、表示画素の領域上の任意の一点で任意の発色が可能になる(非発色=黒も可能)。
【0079】
第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置300によれば、遊技者が模擬銃12からレーザー光線を発射させると、液晶ディスプレイ302の所定の位置に入射する。レーザー光線は、液晶ディスプレイ302の内部の光センサ302Dで受光され、受光した光センサ302Dから検知信号が制御装置304のCPU304Aに対して出力される。CPU304Aは、検知信号を受光すると、どの光センサ302Dでレーザー光線が受光されたのかを判別し、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置を特定する。
【0080】
そして、CPU304Aは、電源回路304Cに対して、電圧印加の駆動信号を出力する。電源回路304Cは、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置となる画素に対応した透明電極302E、302Gに対して所定の電圧を印加する。これにより、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置に所定のマーク(模様、パターン、色表示)が表現される。このため、遊技者は、液晶ディスプレイ302上のレーザー光線の入射位置を認識することができる。
【0081】
また同時に、CPU304Aは、音源回路304Dに対して、効果音を出力するための駆動信号を出力する。これにより、スピーカ20は、ROM304Bに記憶された効果音の音データに基づいて所定の効果音を出力する。このため、遊技者は、レーザー光線が液晶ディスプレイ302の射撃領域に到達した瞬間に、効果音を聞くことになる。
【0082】
以上のように、第4実施形態のレーザー光線入射位置表示装置300によれば、プロジェクタやビデオカメラ(CCDカメラ)などが不要になり、簡易な構成でかつ低コストで製造することができる。また、狭いスペースでも、レーザー光線入射位置表示装置300を設置して使用することができる。さらに、表示部材18として、液晶ディスプレイ302を利用することにより、簡易な構成でレーザー光線入射位置表示装置300を実現することができるため、レーザー光線入射位置表示装置300を小型化かつ軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の制御システムを示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材(単一の液晶層)の内部構成を示した説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材(単一の液晶層)で光が反射する状態を示した説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材を構成する液晶材料に含まれる液晶分子の初期状態を示す概念図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材を構成する液晶材料に含まれる液晶分子が横向きで安定した状態を示す概念図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材を構成する液晶材料に含まれる液晶分子が縦向きで安定した状態を示す概念図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材(単一の電子インク層)の構成を示した説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の表示部材(単一の有機EL層)の構成を示した説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の構成を示した図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の液晶表示手段が分解した状態の構成図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係るレーザー光線入射位置表示装置の液晶表示手段の変形例が分解した状態の構成図である。
【符号の説明】
【0084】
300 レーザー光線入射位置表示装置
12 模擬銃
302 液晶ディスプレイ(液晶表示手段)
302D 光センサ
304A CPU(位置特定手段)
304C 電源回路(表示制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模擬銃から照射されたレーザー光線が入射した入射位置を表示するレーザー光線入射位置表示装置であって、
前記レーザー光線が入射するとともに、電圧が印加されることによって前記レーザー光線の前記入射位置を表示する液晶表示手段と、
前記液晶表示手段に設けられ、前記液晶表示手段に入射した前記レーザー光線を検知する光センサと、
前記光センサによる前記レーザー光線の検知結果に基づいて前記液晶表示手段における前記レーザー光線の前記入射位置を特定する位置特定手段と、
前記液晶表示手段に対して電圧を印加することにより前記位置特定手段で特定された前記入射位置を前記液晶表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とするレーザー光線入射位置表示装置。
【請求項1】
模擬銃から照射されたレーザー光線が入射した入射位置を表示するレーザー光線入射位置表示装置であって、
前記レーザー光線が入射するとともに、電圧が印加されることによって前記レーザー光線の前記入射位置を表示する液晶表示手段と、
前記液晶表示手段に設けられ、前記液晶表示手段に入射した前記レーザー光線を検知する光センサと、
前記光センサによる前記レーザー光線の検知結果に基づいて前記液晶表示手段における前記レーザー光線の前記入射位置を特定する位置特定手段と、
前記液晶表示手段に対して電圧を印加することにより前記位置特定手段で特定された前記入射位置を前記液晶表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とするレーザー光線入射位置表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−156516(P2010−156516A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335772(P2008−335772)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(508296978)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(508296978)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]