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レーザー環境監視装置
説明

レーザー環境監視装置

【解決手段】レーザー監視装置を提供する。本発明の別の態様では、装置は、レーザーと、パルス整形器と、検出装置とを含む。本発明の別の態様は、フェムト秒レーザーと二位相パルス整形(BPS)とを採用する。本発明のさらに別の態様は、レーザービームパルスと、パルス整形器と、SHG結晶とを使用する。本発明のさらに別の態様では、多光子パルス内干渉位相走査(MIIPS)法を、フェムト秒レーザーパルスのスペクトル位相の特性を分析し、補正するために使用する。本発明の装置のさらなる態様は、毒素、爆発物質、病原物質を含む化学・生物物質を監視するために使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視装置に関し、より詳細にはレーザー環境監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固定レーザービームパルス波形と精製分子の単純な化学分析プロセスのためのコンピュータを使用したレーザー脱離質量分析が使用されている。レーザービームパルス波形は重要なパラメータであるとは見なされず、変更されていなかった。すなわち、製造者が紫外線レーザーのために設定した固定波形が試験に使用されていた。分子線における分子からの典型的なレーザー選択イオン形成に関する一般的な概念は非特許文献1に記載されている。学習アルゴリズムによるパルス整形プロセスは、非特許文献2に開示されている。しかし、Assionの論文では80フェムト秒のレーザーパルスの使用を開示し、分子線において分子を単離させることが必要であり、Judsonの論文は1ナノ秒のレーザーパルスの使用を開示し、実験結果を含まないために純粋に概念的である。
【0003】
商業的に実用化されたフェムト秒レーザーは最近まで入手することができなかった。例えば、10フェムト秒以下のレーザーパルス持続時間を生成することができるレーザーは、非常に高価で、(例えば冷却のために)非常に高い電気エネルギー消費を必要とし、毎月補充しなければならないレーザー色素を使用していたため、商業的に実用化できなかった。
【0004】
極短パルスは広い帯域幅を有するため、光学系を伝播する際または光学系から反射される際に位相歪を受ける傾向がある。これらの望ましくない位相歪の補正に関しては重要な進展があった。整形パルスはある種の化学反応の収率と多光子励起を向上させることが分かったため、近年は極短パルスの位相を整形する実験的な試みがなされている。ただし、観察された変化のメカニズムは多くの場合解明されていない。通常行われるように、マスクまたは変調器アレイによって分散光スペクトルに転写される空間パターンのフーリエ変換(FT)によって出力波形を決定する。液晶変調器アレイと音響光学(acousto−optic;A/O)変調器をFTパルス整形器に導入することにより、再プログラム時間は1ミリ秒から1マイクロ秒のコンピュータープログラマブルパルス整形が可能となり、この技術が広く採用されることになった。これらの整形パルスは非常に大きなデータセットを必要とし、多くの場合には、特定用途のためのパルス整形特性を決定するために複雑な学習演算を必要とする。特定用途のための最適パルスは事前には分からない。考えられるパルス波形のばらつきが大きいため、パラメータ空間全体を走査することは不可能であり、最適化されたパルス波形を理論的に予測することはできなかった。N画素を有するパルス整形器では、(P*A)個の整形パルスを生成することができる。PとAは画素がとることができる異なる位相と振幅の数である。それぞれが10の異なる振幅値と100の異なる位相値をとる100画素を考えると、異なるパルスの数は10300のオーダーである。このデータセットは非常に大きいため、原則として、所望のフォトニック変換または励起を達成するためのフィールドが存在し、大きな課題となっている。より小さなデータセットで極短パルスを制御することができ、特定用途に最適で、再現性の高い非常に複雑なパルス波形を生成することができる装置が望まれている。
【0005】
また、テロの脅威又は工業汚染からの爆発物を含む化学・生物物質について環境を監視することが、国家安全保障及び人々の健康という理由から必要になってきている。従来の装置は単一の既知の物質のみを検出するために使用するように設計されているか、精度に欠ける。従って、コストのかかる誤検知を回避するために、フェムト秒レーザー及び制御技術を環境監視に採用することが望ましい。
【非特許文献1】「フィードバック最適化位相整形フェムト秒レーザパルスによる化学反応の制御」(Assion等)、Science、282巻、919頁、(1998年10月30日)
【非特許文献2】「レーザーに分子を制御することを教えること」(Judson等)、Physical Review Letters、68巻、10号、1500頁(1992年3月9日)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、レーザー監視装置が提供される。本発明の別の態様では、装置は、レーザーと、パルス整形器と、検出装置とを含む。本発明の別の態様は、フェムト秒レーザーと二位相パルス整形(BPS)とを採用する。本発明のさらに別の態様は、レーザービームパルスと、パルス整形器と、SHG結晶とを使用する。本発明のさらに別の態様では、多光子パルス内干渉位相走査(multiphoton intrapulse interference phase scan;以下「MIIPS」という)法を、フェムト秒レーザーパルスのスペクトル位相の特性を分析し、補正するために使用する。本発明の装置のさらなる態様は、毒素、爆発物質、病原物質等を含む化学・生物物質を監視するために使用する。
【0007】
本発明は複雑な混合物における分子の自動分析と識別を可能とするため、本発明のレーザー環境監視装置は従来の構造に対して利点を有する。本発明は、高速(例えば1秒間)で、(例えば化学的に複雑な環境であっても)正確で、ロバスト(例えば、スタンドアローンかつ閉ループで携帯できる)で、再現性のある感知を行うことができる。動作的には、装置は、市販のフェムト秒パルスレーザー及び質量分析モジュールとインターフェース接続されるコンピュータ制御パルス整形モジュールを採用しており、費用効率がよい装置を使用している。装置は、整形レーザー場に基づき、遺伝的かつ展開的な学習検索法を使用した分子制御の原理で動作し、一連のレーザー場を選択して、電子・核構造に基づいて各化学又は生物物質を明白に特定する。物質の存在が特定された場合には、装置は、非常に高速でリアルタイムの分析・フィードバックを行うように物質の拡散を有利に最小化するか、物質を中和するために、自動的に司令センターに接触及び/又は建築物の加熱、換気、空調装置の状態を変更する。本発明のその他の利点及び特徴は、図面を参照してなされる以下の説明と添付した請求項から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
レーザー環境監視装置1は、所望の環境サンプル又は目標エリアにおける空中の化学・生物物質を監視するために設けられる。この装置は、感度が優れているために火災からの煙を感知するために使用することができる。図1を参照すると、本発明の第1の好適な実施形態に係る装置1は、相互接続回廊を備えた複数の翼を有し、各翼が加熱/換気/空調装置(heating/ventilating/air conditioning climate control unit)(以下、「HVAC」装置という)3等の別々の換気装置を有する高層建築物2を含む。レーザー検出装置21が、入口弁制御装置5を有する独立式(self−contained)装置4に収容されている。また、HVAC制御装置6と、防火扉/アラーム/スプリンクラー緊急制御装置7と、公安又は消防署8等の遠隔司令センター8とが設けられている。レーザー検出装置21は、以下に詳述するように、フェムト秒レーザーと、パルス整形光学系と、質量分析計と、コンピュータ制御装置37とを含む。コンピュータ制御装置37は、HVAC制御装置6、緊急制御装置7、司令センター8に電気的に接続されており、自動双方向通信を行うことができる。装置4のコンピュータ制御装置37は、環境監視を行う部屋、床及び/又は翼内の排気充填空間と結合された導管9、自在ホース又はその他の導管に連結されたマニホールドの弁設定を自動的に制御する。
【0009】
図2は、本発明の装置1を採用した第2の好適な実施形態に係る建築物である。本実施形態では、空気分析監視装置4が、図示する建築物の3つのフロアのそれぞれの排気導管内に直接連結されている。本実施形態は各建築物の翼又は分離された建築構造物に別々に採用され、複数の通信回線によって、各装置4のコンピュータ制御装置を主制御ステーションコンピューター等に必要に応じて接続することができる。
【0010】
図1、図2、図14を参照すると、上記好適な実施形態において、予め記憶された許容バックグラウンドデータ、非許容化学・生物物質データ、対応するパルス整形制御データのライブラリを製造施設において空気分析監視装置4に最初に設定する。次に、独立式装置4を設備又は建築物2に設置する。装置4は、レーザー検出コンピュータ制御装置37と共に弁制御装置5によって選択的に調節され、(HVAC導管・ゾーン構成に応じて)目標環境エリアから排出される空気を受ける「人工鼻」として機能する。設置・設定され、必要に応じて基地の安全条件の一定間隔を置いて、レーザー検出コンピュータ制御装置37は、酸素、二酸化炭素、塩素(プールに隣接する場合)、ベンゼン(バス停又は交通量の多い通りに隣接する場合)、ヘキサクロロベンゼン(建築物が病院である場合)等の空気中の許容バックグラウンド化学物質を感知又は監視する。これらの許容バックグラウンド化学物質はコンピュータ制御装置37のメモリーに自動的に保存され、既にデータのライブラリに保存されたパルス波形及び質量スペクトルと整合される。次に、アクティブ基線減算(active baseline subtraction)を通常の環境監視時に採用することによって、これらの環境に優しい化学物質とそれらの分解生成物は危険化合物の一部であると誤ってみなされることはなく、誤った検出及び警告を生じる危険性を減少させる。
【0011】
次に、監視分析装置4は1分間あたり約1回の繰返し率で各目標環境エリアから空気を自動的にサンプリングし、異常なバックグラウンド化学物質又は望ましくない物質が検出された場合には、繰返し率を1秒間あたり約1000回に上昇させる。バックグラウンド化学物質と定期的に監視される化学物質の分析は、その後に物質が検出された場合の自動及び/又は手動の比較のためにコンピュータのメモリに保存される。サンプリング速度を変化させることにより、メモリ及び履歴傾向情報が不要な結果によって埋没してしまうことを最小限とし、繰返し率を変化させることにより、レーザーの電力コストを削減し、レーザーの構成要素と検出装置の寿命を延ばすことができる。
【0012】
望ましくない有害な化学物質又は生物物質が感知された場合には、レーザー検出コンピュータ制御装置は、警告及びその他の計算された情報を司令センター8に伝達しながら、自動的にHVAC制御装置6及び/又は緊急制御装置7の動作を無効・指示する。そのような望ましくない物質の例としては、これらに限定されるものではないが、メタン、プロパン、マスタードガス、神経剤、ホスゲン、塩化ビニル、シアン化物、炭そ菌、その他の病原体及び病原物質が挙げられる。感知・算出された物質に応じて、コンピュータ制御装置は、さらなる分析を非常に高い速度で行いながら、感染した部屋と環境を隔離するためにHVAC換気調節装置または排気ドアを閉じるなどの低影響(low impact)対抗策を開始する。監視装置4は、自ら再較正し、複数の整形パルスを使用して、誤差の可能性を減少させ、望ましくない物質と許容化学物質との間で質量分析結果のオーバーラップが生じないようにする。また、装置は、以前に保存されたライブラリデータに基づいて特定された非許容物質と比較した試験結果の信頼度を計算する。信頼レベルが低いと決定した場合には、装置は初期の顕著な判断時内で環境に対する1以上のさらなる試験を迅速に行う。
【0013】
望ましくない物質について計算された信頼レベルが統計的に有意である場合には、レーザー検出コンピュータ制御装置37は、全てのHVAC装置の電源をオフにして隔離する
、防火扉を閉じる、及び/又は建築物から人々を避難させるためにアラームを送信するなどの重大な対抗策を実施する。また、レーザー検出コンピュータは、現在の計算値と履歴傾向を含む適切な警告と情報を司令センター及び消防署8に送る。また、監視装置4は、緊急職員が使用するための環境エリア間の移動と二重汚染を追跡するために建築物内の全ての環境エリアを感知し続ける。さらなる選択肢として、監視装置4のコンピュータ制御装置は、測定された物質に応じて、汚染物質を外部雰囲気に送り出すために建築物の外部排気口及び/又は窓を開くなどの中和動作を実施したり、建築物内のスプリンクラーを作動させたり、及び/又は物質を中和するためにHVAC装置の入口に解毒剤を導入するなどの直接対向策を実施する。
【0014】
監視装置4内のより詳細なレべルに関しては、最大感度などの動作パラメータを最初に得る。所与の分子に関して6つの所定の整形レーザーパルス(ライブラリに関して以下にさらに詳述する)がTLパルス(ライブラリに関して以下にさらに詳述する)と共に見出されると、装置は当該化学物質を明確に確認する準備ができる。実際には、異なるパルス波形で測定を行う度に、測定回数と共に精度は指数関数的に向上する。このような本発明の多次元解析によって、現在使用されている質量分析法装置を使用した場合よりも精度が100万倍向上すると考えられる。目標は、所与の化学物質又は生物的脅威物質(及びそれらの類似体)の最大のコントラストのために最適化された整形レーザーパルスから得られる多次元スペクトルのライブラリを構築することである。各分子はイオン化及びフラグメンテーションに対する感受性を決定する異なる電子・核構造を有するため、各分子のためにパルスを最適化することが重要である。ここで、展開学習プログラム検索は、好適な実施形態の装置を使用する分野では使用されず、実験室における設定に使用されるだけであることは注目に値する。
【0015】
本発明のパルス整形器による環境監視は以下のように行われる。装置は、TLパルスを使用して毎秒ごとに質量スペクトルを得る。このような条件下では、装置は最も高い感度を有する。質量スペクトルが化学物質の存在を示すと、装置は直ちに利用可能なTL質量スペクトルに基づく可能性リストを狭め、疑いのある化学物質のライブラリに定義されている最初の3つのフィールドで試験を行う。これらの試験は最大の繰返し率で実行される。数秒以内に、装置は疑いのある化学物質の存在を確認する。この時点で、装置は、レーザー、整形器、質量分析計が仕様内で動作していることを確認するためにキャリブレーション試験を実行する。装置は、最終的な決定のための最後の3つの整形レーザーパルスによって3回の追加測定を実行する。既知の脅威が明確に識別されると、装置は司令センターにコンタクトし、決定を下すために使用した実験データをアップリンクする。司令センターは、1分間の検出時間内で信頼できる情報に基づいて最も良い戦略的決定を行うために必要な情報を有する。司令センターから追加試験を要求することができ、各サイクルは完了するまでに1分間未満を要する。方法の速度と効率は、各分子あたり6つの最良の整形レーザーパルスを予め決定することによって達成される。ライブラリ内のパルス波形は、実験室設定において自動化された展開学習プログラムを使用することによって決定される。更新されたパルス波形ライブラリは、監視装置のコンピュータ制御装置に定期的にアップロードされる。
【0016】
本発明の装置と方法の利点の1つは、複雑な化学環境の存在下で動作するために十分にロバストであることである。例えば、監視する建築物環境が多くの自動車又はバス停に隣接している場合には、装置はディーセル、ガソリン、排気ガスを検出する。このような条件下では、本発明の多次元特性を利用することが必須である。TLパルスによって、多くの疑わしいイオン質量を有する質量スペクトルが得られる。しかし、さらなる分析を行うと、装置は非許容危険化学物質が存在していないと判断する。このような条件が持続する場合には、コンピュータは自動的に汚染物質のバックグラウンドレベルを定義し、それを差し引く。化学物質の混合物が存在している場合には、多次元解析は非常に貴重である。
本発明の装置は、このような不利な条件下においてもどの化学物質が存在しているかを決定することに全く問題はない。最後に、テロリスト集団によって新たな化学的脅威が開発された場合には、司令センターは、当該化合物の多次元レーザー分析によって得られる分光シグネチャーを含む新しいライブラリで当該分野における全ての装置を更新することができる。ライブラリへの追加は、実験室における生成に1日未満を要し、アップロード直後に監視装置で利用することができる。
【0017】
1つのレーザー検出装置がライブラリを作成する。その装置は実験室にあり、危険な化学物質を扱うことができる。他方の装置はコンパクトであり、自動化されており、第1の装置によって作成されたライブラリを使用する。第2の装置はコンパクトとすることができ、現場で持ち運ぶことができる。両方の装置は、fsレーザーと、整形器と、miipと、バイナリ整形器と、コンピュータ制御装置とを有する。唯一の相違点は、一方が実験室設定でライブラリを作成するために使用されるということである。他方の装置は完全に自動化され、現場に配置することができる。他方の装置は最低限のメンテナンスを必要とする閉ボックスとする。
【0018】
(パルス整形装置)
図3及び図4は、レーザー環境監視装置に使用するための本発明の制御装置21にかかる好適な実施形態を全体として示している。装置21は、フェムト秒レーザー23と、上流の回折格子25と、上流の凸面ミラー27と、空間光変調器29と、下流の凹面ミラー31と、下流の回折格子33と、検出装置35と、パーソナルコンピュータ37とを含む。パルス整形器は、回折格子から回折格子までの光学系全体である。以下に説明するように、回折格子はプリズムに取り替えることができ、空間光変調器は可変形ミラー、液晶空間光変調器又は微小電子機械装置(MEMS)であってもよい。パルス整形器は、透過性ではなく反射性であってもよい。また、パルス整形器は音響光学整形器(accousto optic shaper)であってもよい。
【0019】
パーソナルコンピュータ37は、マイクロプロセッサベースの電気制御装置と、メモリと、出力スクリーンと、データ記憶装置と、入力キーボードと、記憶ディスクとを有する。より具体的には、検出装置は質量分析計39である。さらなる評価、分析、比較、その後のパーソナルコンピュータ37による制御のための分光器39による検出・感知のために、レーザービーム43のバースト又はパルスがレーザー23から放射され、光学系25,27,31,33及び空間光変調器29を通過する。
【0020】
レーザーは、好ましくは高いピーク強度(1014ワット/cmを超える典型的なピーク)を有し、各パルスのバースト又はショットについて好ましくは100フェムト秒未満、より好ましくは50フェムト秒未満、環境監視用途においてはさらに好ましくは10フェムト秒の持続時間を有するレーザービームパルスを放射する超高速フェムト秒レーザーである。強い光パルスは、カー−レンズモードロックチタンサファイア発振器で形成される。そのようなレーザーは数百ナノメートルのコヒーレント帯域幅を生成することができるが、約50nmが通常は使用される。出力は、1kHzの再生チャープパルス増幅器で増幅される。出力パルスは通常100fsの長さであり、中心波長は800nmで、総パルスエネルギーは0.1〜1mJである。好ましいレーザーとしては、100MHzで15fs未満のパルスを生成するKapteyn−Murnaneフェムト秒レーザー発振器、ダイオード励起され、1パルスあたり0.8mJを供給し、1kHzで50fs以下のパルスを生成するSpectra Physics Inc.社製Hurricane、1パルスあたり1.3mJを供給し、1kHzで150fs以下のパルスを生成するClark−MXR Inc.社製CPA−2001+、1パルスあたり0.2mJを供給し、20fs以下のパルスを生成するClark−MXR Inc.社製の非共線パラメトリック増幅器(以下、「NOPA」という)が挙げられる。また、タングステン酸イ
ッテルビウムレーザーも望ましい。飛行時間型質量分析計(time of flight mass spectrometer;TOF−MS)及びコンパクトなOcean
Optics分光器が検出のために好ましい。装置全体は、好ましくは振動減衰光学テーブルに設置する。
【0021】
本実施形態に示す「透過」構造では、フーリエ面パルス整形器が本発明において好ましく使用される。超短レーザーパルスは1〜50の光学サイクルを含み、数フェムト秒のみ持続する。これは最新の電子工学よりもはるかに速く、高速時間ゲートによる整形は非常に困難である。一方、不確定性原理のために、光学スペクトルは数十から数百nmに及ぶ。そのような広い帯域幅は測定とフィルタリングが比較的容易であり、周波数領域のスペクトルを整形し、再圧縮による時間的パルスを整形するための技術がある。
【0022】
周波数領域とパルスを含む個々の周波数成分にアクセスするために、2つのバックトゥバック分光器を使用する幾何学配置を採用する。分光器は、正味時間的分散を導入しないように特に設計されている。すなわち、全ての色が同じ時間内に分光器を通過する。第1の分光器(回折格子25とミラー27を含む)は、分散関数y(α)に従う線に沿って非整形パルススペクトルを広げる。光はこの時点で空間振幅と位相マスク空間光変調器29を遮断する。次に、マスク出力は第2の分光器(回折格子33とミラー31を含む)への入口を形成し、第2の分光器は色を単一の整形パルスに再結合する。
【0023】
パルス整形器29の中心は、フーリエ面29に配置されたプログラマブル256画素液晶マスク(2つの重なり合う128画素液晶アレイからなる)である。本明細書で想定する用途では、マスクは各周波数の位相をシフトさせることができなければならない。別の実施形態のパルス整形器では、位相を制御することができる異なる電子プログラマブルマスクを示す。すなわち、液晶表示装置(以下「LCD」という)、音響光学変調器(以下「AOM」という)、可変形ミラー、永久変形ミラー(permanently deformed mirror)からなるマスクである。LCDパルス整形器はCRI社から入手することができ、変調器電子駆動部を有する。
【0024】
AOMは、反射防止コーティングされ、圧電トランスデューサが一端に接着された二酸化テルル(TeO)結晶からなる。音波の中心周波数はαc/2π=200MHzである。結晶中の音響速度vsは4.2km/秒であり、光パルスは結晶内に10ピコ秒未満滞在し、音波は結晶内の光場の遷移時に0.002λ未満の音を移動させる。音波は光パルスが結晶を通過する際に実質的にフリーズするため、y方向に結晶内を伝達される音波の複素振幅(A(t)cosαct=A(y/vs)cosαct)を、AOMを通過する際に光場E(α)にマッピングする。分散された光場の一部が弱い音波に遭遇すると、その周波数が減衰する。音波キャリアが位相角φでシフトすると、その位相シフトが光場に与えられる。このパルス整形器は、AOMの回折効率と回折格子の回折効率を含む約20%の総効率を有する。回折光を使用し、非回折「0次」ビームを遮断することにより、整形ビームの振幅と位相の両方を完全に変調させる。整形ビームは以下のように表される。
shaped(ω)=Einput(ω)xα(ω)xeiφ(ω)t
式中、a(ω)eiφ(ω)=A[y(ω)/υ]であり、αは周波数であり、eは定数である。
【0025】
チャープミラー又は永久エッチング反射マスク等の固定パルス整形光学系も採用することができる。パルス整形器にレーザーパルスを供給し、回折格子25が分散を生じさせる。曲面ミラー27は、スペクトルをフーリエ面29に集束させる。コンピュータによって示されたスペクトル成分の位相φの変化を、第2の曲面ミラー31と回折格子33による再構築の前にレーザーパルスを操作するために使用する。整形後、パルスのごく一部がM
IIPSを使用した評価及び較正のために分光器39に供給される。レーザーの大部分(例えば95%)は、監視のために質量分析計に向かって送られる。
【0026】
本実施形態では、パルス整形器の位相と振幅マスクはコンピュータによって制御され、レーザーパルス形状はダイナミックな役割を果たす。次に、パーソナルコンピュータ37内のマイクロプロセッサがレーザー23を制御し、分光器39からの実質的にリアルタイムのフィードバック入力信号を受け、演算、比較、評価、あるいは後続するパルス波形の自動変更を行う。これらの自動化された工程は、必要であれば、パーソナルコンピュータの出力に基づく手動のユーザー演算及び決定によって置き換えることができる。
【0027】
本明細書に記載する環境監視用途に適用されるように、蛋白質を含む大きな分子における一光子及び多光子プロセスの選択的制御を、広帯域幅を有する短パルスによって引き起こされる多光子パルス内干渉と電磁パルスの変動を最大限に利用することによる単純なパルス整形法を使用して行うことができる。結果は、ロバストでサンプルから独立した並はずれた制御レベルを示し、コントラスト比は2桁となる。そのような大きなコントラスト比によって、望ましくない光子やその他のレーザービーム特性のより正確な削除(除去)制御を行うことができ、各パルスによって誘発される非線形遷移を制御することができる。また、サンプル分子の選択的なフラグメンテーションを達成するためにfs−パルス整形器を使用することができ、この特性を識別に利用することができる。以下、基本的な技術の詳細について詳細に説明する。制御装置の記憶装置に予め記憶された位相関数を導入するために図5において使用されているLCD−SLMの代わりに、透明基板上に形成された異なる固定位相マスクを有するタレット等のパッシブ光学要素に位相関数を組み入れることができる。タレットは、ミラーの正面で固定位相マスクを切り換えることができる(図5を参照)。そのようなタレットを有する装置によって、コンピュータ制御LCD−SLMの複雑さとコストを低減させることができる。ただし、レーザーを確実に適切に動作させるためにMIIPS試験を実行する能力は貴重であるため、コンピュータ制御パルス整形器がこの用途では好ましい。
【0028】
(多光子パルス内干渉)
多光子パルス内干渉位相走査(multiphoton intrapulse interference phase scan;以下「MIIPS」という)装置及び方法を、フェムト秒レーザーパルスのスペクトル位相の特性を分析するために本発明の環境監視装置に好ましく採用する。超高速パルスのスペクトルの位相は、様々な形で多光子プロセスに影響を与え得る。位相はパルス長を増加させ、従ってパルスのピーク強度を減少させ、高強度励起下における通常の結果である飽和状態を防止する。また、位相は、電界の変化を分子内の波束力学と同期させるために使用することができる。最後に、位相は、複数の周波数が結合して多光子励起を達成するように干渉を引き起こすために使用することができる。このプロセスは多光子パルス内干渉(以下、「MII」という)として知られている
MII技術と多光子プロセスを制御するための応用は、最小数のパラメータを使用して特定のターゲットを達成するために必要な電界を合理的に設計することに基づくものである。方法は、n次電界の振幅を計算し、制御されている分子の吸収スペクトルと比較することに基づいている。これにより、制御プロセスの良好な物理的理解が得られ、展開学習(evolutionary learning)または同様の方法に基づくコンピュータプログラムによって電界を最適化する実験の解釈に非常に有用となり得る。環境監視に必要な強い電界光開裂とイオン化の場合には、そのような計算は不可能である。従って、各分子を特定するために最適なパルス形状は、学習法を使用して実験的に決定する。
【0029】
多光子パルス内干渉位相走査(multiphoton intrapulse interference phase scan)は、パルス特性分析と後続するパルスの
補償を行うことができる。数分以内にパルスが特性分析・補償され、サンプルにおいて変換制限(transform−limited;以下、「TL」という)またはユーザー特定整形パルスが得られる。本発明では、整形器とレーザーが仕様内で動作していることを確認するためにこの能力が重要である。
【0030】
MIIPSは、干渉計を必要としない単光束方法(single−beam method)である。MIIPSを使用してスペクトル位相の正確な測定を行うために、較正されたパルス整形器(pulse shaper)を使用してパルスを構成する周波数に公知の位相遅延を与える。パルス整形器121は、2つのバックトゥバック(back−to−back;背中合わせ)分光器として実質的に作用する。一実施形態では、図5に示すように、レーザー123から放出されたパルスを回折格子で分散させ、200mmの円柱ミラー133でコリメートする。全ての周波数が分離されるフーリエ面では、コンピュータ制御LCD空間光変調器(以下、「SLM」という)によってそれらの位相を操作する。SLMは入力パルスに基準位相関数を適用する。得られるパルスは時間領域に逆反射・再構成され、出力はミラー131によって反射される。SLMはパルス毎(現在は1kHzに制限されている)に更新することができる。LCDは250ミリ秒の応答時間を有し、原則として4kHzで更新することができる。出力ビームのごく一部は部分反射ミラー513で反射され、経路(通常は最適なパルスが必要な場所)において、二次高調波発生(second−harmonic generation;以下、「SHG」という)のための0.10mm厚のβ−ホウ酸バリウム結晶507に(レンズ515によって)集束させることによって分析する。第二高調波の使用は方法にとって重要である。平均SHG出力は、第2のレンズ515によってコリメートされ、分散分光器503に向けられ、検出器アレイ511によって検出される。コンピュータ制御SLMによって導入される各基準位相関数のために、異なるスペクトルをコンピュータ制御装置531に記録・保存する。ある意味で、パルスはSHG結晶において自己相関する。
【0031】
パルス特性分析は、Φ=∝cos(γΩ−δ)(式中、∝は位相遅延の大きさであり、γは周期性であり、Ωはパルスのキャリア周波数からの周波数離調であり、δはコサイン関数が1となるスペクトルにおける位置である)という基準位相変調関数を導入することを含む。基準位相関数(通常は∝=2πであり、γ=パルス持続時間である)をSLMにプログラムし、0〜2πの範囲でδを変化させて走査する。δの各値について、周波数2倍パルスのスペクトルが変化し、SLMが位相歪を補償するスペクトル領域において最大値が達成される。
【0032】
定量的に、斜めの特徴間の距離は線形チャープを決定し、特徴間の角度は二次チャープを決定する。積分によるスペクトル位相の完全な定量解析を得ることができる。MIIPS装置がパルスを特性分析し、パルスに固有の位相歪を検索すると、装置はその情報を使用して歪みを補償するようにSLMを動作させることができる。補償の第1の工程は、最初の走査から決定された位相を取り込み、歪みを除算するように負の符号とともにSLMにプログラムすることである。装置は新たな位相走査を行って、残りのスペクトル位相変調(通常は元の約10%)を決定する。通常、3回繰り返すことによって変換制限パルスが得られる。レーザーはパルス整形器に集束されないため、比較的エネルギーの高いパルスとともに方法を使用することができる。約10pJから約30mJの範囲でパルス持続時間が5fs未満から約500fsのパルスを使用することができる。パルスが補償(変換制限)されると、入力エネルギーに応じてレーザーを集束させて約1012〜約1018W/cmのピーク強度を得ることができる。
【0033】
この単光束方法は、反復または反転過程を必要とすることなく二次及び三次位相変調(すなわち、線形二次チャープ)の大きさと符号を直接検索することができる。MIIPSはチャープ極短パルスから位相を正確に検索する。MIIPでは、第二高調波スペクトル
がパルス内の全ての周波数の相対位相に依存するため、同期自己相関(synchronous autocorrelation)、ビーム分割、時間遅延は必要ではない。パルスの振幅は、通信受信器内の分光器から直接得られる。図5を参照すると、フェムト秒レーザー123からのパルスの全ての周波数成分の位相を正確に決定するために、後述するように、A.M.Weiner,「空間光変調器を使用するフェムト秒パルス整形(Femtosecond pulse shaping using spatial light modulators)」,Rev.Sci.Instrum.71,pp.1929〜1960頁(2000)に記載されているようなパルス整形器を使用して、上記情報を直接をもたらすように設計された基準位相関数を導入する。整形パルスは薄いSHG結晶507によって周波数が2倍にされ、出力は分光器503に供給される。
【0034】
MIIPS法は、第二高調波発生とその他の非線形光学プロセスがレーザーパルスのスペクトルにわたって位相関数φ(ω)に依存するという原則に基づいている。自己位相変調や二次位相成分などの高次位相歪は、最大SHG応答によって定義される線の曲率から得ることができる。MIIPSは、レーザーパルスの位相歪を積分によって直接見つけ出し、歪みを排除する補償位相関数を導入するようにプログラムすることができる。この動作モードは、任意の位相変形を見つけ出し、MIIPS走査ではπだけ分離された直線的な平行線に見える変換制限パルスを得るために使用することができる。
【0035】
本発明は、フェムト秒パルスのスペクトル位相の特性を分析するための装置と方法を提供する。この単光束方法は、高い分解能で線形二次チャープの大きさと符号を検索することができる。パルス検索は、反復または反転過程を行うことなく、位相歪をもたらす解析式に基づく。レーザービーム増幅器コンプレッサにおける回折格子間隔を機械的に調整することによって歪みを補正するために使用することができるノブ(knob)がレーザーに存在するため、線形二次チャープ値が重要であり、三次チャープ値もある程度重要である。方法は非常に短いパルスに使用することができる。調整は、コンピュータ制御ソフトウェアによって自動的に制御することができる。方法は非常に汎用的であり、低コストで容易に入手することができるSHG結晶が存在するあらゆる波長の高い強度パルスまたは非常に低い強度パルスに使用することができる。また、MIIPSはガスの第三高調波またはより高次の高調波に使用することができる。また、最大信号によって、方法はSHG結晶が利用できない波長領域におけるパルスの特性分析に有用となる。
【0036】
(粉体による第二高調波生成)
本発明のいくつかの変形では、透明な石英担体に付着した化学粉体を薄いSHG結晶の代わりに採用する。現在、粉体を使用する実施形態は、MIIPS、非線形光学特性分析、FROG分析などの高エネルギー(例えば、1ナノジュール以上)の用途におけるコストを大幅に削減するために好ましい。化学粉体は、好ましくはリン酸二水素カリウム(KDPまたはKDP)またはβ−ホウ酸バリウムであり、ガラスまたは顕微鏡スライドにシリコーンゴムまたはシアノアクリレート(CNO)接着剤を使用して接着する。タイプI位相整合を使用する。粉体の粒径は、焦点長さ、レーザーの強度、検出器の感度に応じて、好ましくは約0.5〜20μmである。また、粉体は、20fsよりも短いレーザーパルスに対して向上した平均結果が得られる広範囲のランダムな結晶方位を有するために有利である。
【0037】
(二位相整形)
レーザー制御は、初期・最終状態を接続する異なる非線形光学経路の干渉によって支配される。課題は、パルス内の各周波数について適切な位相を見出し、所望の経路において強め合う干渉を達成し、その他の場所では弱め合う干渉を達成することである。非常に近い近似のためには、フェムト秒パルスの異なる周波数成分の位相をπによって分離された2つの値に設定することで十分である。非常に近い近似を得るためには、フェムト秒パル
スの異なる周波数成分の位相をπによって分離された2つの値に設定することで十分である。異なる周波数の光子間の位相は、所与の経路を最大化または最小化するために好ましくは0またはπの2つの数値のみをとる。差がπであるあらゆる2つの数値が同様に機能する。この方法は二位相整形(binary phase shaping;以下、「BPS」という)と定義される。BPSは、好ましくは超短レーザーパルスによる選択的多光子励起の問題を解決するために使用される。3〜10の範囲の小さな位相数の使用は、我々の二値アプローチの些細な拡張と見なされる。
【0038】
フェムト秒レーザーの強い放射線下で分子の振る舞いを制御するために、パルスの帯域幅内で周波数の位相を調節することが重要である。ここに説明する本発明の場合では、これは、画素に対応する整形器内での離散領域を横断する各スペクトル構成要素の最適な二値を見出すことを含む。整形器によっては、画素は液晶のように離散的であったり、移動MEMS構成要素であったりする。他の場合には、画素はAO結晶又は可変形ミラーにおける領域として連続している。化学物質の識別に有用な特定の望ましい結果を生成する適切な位相は、図6のフローチャートに示す学習アルゴリズムを使用して見出す。
【0039】
本発明の別の変形では、時間領域における電界の特定の時間領域変動を生じさせるように設計された特定の位相関数を分析器にプログラムし、これらの特定の位相関数によって調べた場合に目的の化学物質の振る舞いを評価する。これらの関数は、エッチング又はその他の微小加工方法によって形成された固定光学系として導入するか、128画素のSLM又は256を超える画素を有するSLMにプログラムすることができる。
【0040】
Coherent Lasers社から入手でき、30fsという短いパルスを生成することができるチタンサファイア再生増幅レーザーを好ましくは採用する。パルスのスペクトル位相は、コンピュータ制御パルス整形器を使用して操作する。好ましくは、パルスの中心は約800nmである。また、1040nmを中心とするイッテルビウムレーザーを代わりに使用することもできる。各パルスのスペクトル位相は、位相歪を補償して変換制限(TL)パルスを得るMII位相走査(MIIPS)法を使用して補正する。二位相は、補償位相の追加として導入する。パルス当たりのエネルギーが〜0.003mJで繰返し率が1kHzの整形レーザーパルスの約1%を、100μmの薄いβ−ホウ酸バリウム(βBBO)タイプI SHG結晶上で、直径20μmのスポットサイズに集束させる。周波数2倍光は光ファイバーを使用して集め、好ましくはOcean Optics社から入手できるコンパクト分光器で分散させる。この設定は、レーザー装置とパルス整形器が適切に動作していることを確かめるのに一定の間隔で使用する。0.3mJ以下のエネルギーを有するレーザービームの強度の大部分はTOF−MSに向けられ、サンプリングされた空気と相互作用し、光開裂とイオン化を生じさせる。
【0041】
BPSの利点は演算冗長性が大きく減少するということである。BPSと128個の有効画素では、上述した任意の位相と振幅のパルス整形と比較して検索空間は数百桁減少する。得られる空間は十分に小さく、検索空間のさらに大きな割合を実験的に評価することができる。学習フィードバック法又は単純展開学習コンピュータプログラムは、非常に改善された解に向かって高速に収束することができる。BPSは、重要な技術的利点を有するものと予想されている。πに相当する遅延は簡単かつ高速に得、較正することができる。永久的にエッチングしたマスクを事前に作成し、特定用途のために使用することができる。
【0042】
(ライブラリ展開学習コンピュータプログラム)
最初に、パルス整形器を、コンピュータのメモリに記憶されたデータのライブラリの要件に基づいて環境監視のためにプログラムする。化学・生物物質についての高速で、正確で、再現性のある環境監視では、通常は現場において展開学習モードでパルス整形器を動
作させることはできない。ただし、そのような現場における使用も本発明の範囲に含まれる。その代わりに、はるかに効率的な動作モードを使用し、装置は変換制限(TL)パルスによって絶え間なく環境を監視する。このような状況では、装置は1秒の分数を使用して予備的ではあるが、非常に感度の高い測定を行う。疑わしい分子フラグメントイオンが検出された場合には、装置は予め記憶された疑わしい物質のライブラリ検索を起動し、一連の予めプログラムされた整形パルスを採用して絶対的な識別を行う。検索モードでは、装置は繰返し率を3〜6桁増加させ、可能な限り最も高速な分析を行う。装置は予めプログラムされた一連の整形パルスを使用するため、識別過程全体は1分足らずで完了することができる。
【0043】
図6Bのフローチャートに示し、実験室設定でパルスのライブラリを定義するために使用される展開学習プログラムは、パルス整形器における各画素の位相を指定する2進コードによってそれぞれが特徴付けられるパルス波形の初期の無作為なロードで開始する。各パルス波形には、適合性(fitness;予め選択されたターゲットに最も類似した結果を生成する能力)について試験を行う。以前のパルス波形の最善の要素を変更(変異)し、(交叉により)再結合することによってパルスパラメータの新しいセットを作成し、新しいパルス波形(最も適合性のあるものを残す)を作成する。この基礎的な一連のプロセスを繰り返し、適合性は「最良」の値に収束する。
【0044】
簡単に言えば、パルス整形器の役割は、レーザーパルス内においてπ倍で各周波数を進めるか、遅らせることである。例えば、TLパルス内では、全ての周波数がロックされ、正味ゼロの遅延を有する。この場合、スペクトル位相は平坦である。パルス整形器はTLパルスに使用し、ある周波数を他の周波数よりも前に到達させることができる。これらの一般的な表現では、パルス整形器は複数のパラメータによって定義することができる。すなわち、入力帯域幅、周波数分解能、最大遅延である。パルス整形器設定のスペクトル分解能は、パルスが周波数領域で分解されるフーリエ面で決定される。位相遅延は較正し、精度と再現性についてチェックしなければならない。この工程は、上述したようにMIIPSによって行われる。
【0045】
例えば、図5に示すパルス整形器は2f反射構成であり、分散回折格子、円柱ミラー、この場合には液晶空間光変調器(LC−SLM)である位相遅延装置、リトロリフレクターミラー(retro reflector mirror)と共に設けられている。SLM装置は整形器のフーリエ面に位置する。上述したように、フーリエ面ではパルスはそれらの周波数成分に分散され、それぞれを別々に遅延させることができる。実験的には、空間光変調器は、個々の液晶素子(画素)の数及びSLM上でスペクトルを分散する光学系によって決定される有限解像度を有する。液晶は複屈折であるため、入射する光の偏光に応じて、電圧によって位相遅延又は位相遅延と偏光回転の組み合わせを導入することができる。光学解像度を決定するための主要なパラメータは、レンズによってSLMに投写される焦点サイズである。光学設定では、有効な共焦点パラメータを考慮に入れなければならない。SLM装置は、十分に長い共焦点パラメータを有する設定がスペクトル分解能を保持するために必要となる約1cmの厚みを有する。
【0046】
上述したように、パルス整形器の周波数分解能はSLMの画素数によって決定される。周波数分解能は2つの異なる役割を果たす。第1に、時間領域における周波数分解能が挙げられる。スペクトル分解能と時間分解能のフーリエ変換関係のために、スペクトル分解能が高くなるほど、パルス整形器で生成することができるパルスは長くなり、サンプルにおいて狭い周波数共鳴を制御することができるフィネス(finesse)は高くなる。このことは、気相系などの狭い共鳴を有するサンプルの場合には特に重要である。有効画素数を、得られる整形パルスの総合的な複雑度に関連付けることができる。分子制御を実行し、イオン化とフラグメンテーションに影響を及ぼすためには、128有効画素が適切
である。
【0047】
液晶マスクの光軸が入射電界の偏光に対して45°の向きを有する場合には、遅延に加えて偏光回転を導入する。そのような2つのSLM装置が背中合わせの状態で重なり、回転の対角にあり、入出力偏光板の側面に配置されている場合には、透過光の位相と振幅を制御することができる。ダブルマスクSLM装置の動作を図9から図11に示す。図10を参照すると、左側から入射した光は偏光板を通過し、次に第1の液晶板を通過し、光の遅延と偏光回転が行われる。光が第2の液晶板に達すると、光は遅延され、偏光回転が逆方向に行われる。最後に、第2の偏光板が振幅制御に使用される。偏光が入射した水平方向から回転すると、偏光は第2の偏光板によって減衰される。90°回転させると、透過はゼロとなる。この偏光依存性は、パルス整形器の較正に非常に役立つ。液晶板の一方の電圧を、他方の液晶板を一定の電圧に維持しながら徐々に上昇させると、図11に示す透過関数が得られ、遅延の電圧に対する依存性を正確に較正するために使用することができる。総遅延φは、以下に示す透過率の変化を利用しながら実験的に決定する。
T=cos[π(R(V)−R(V))/λ]
式中、R(V)はSLMによって導入される電圧の関数である。Vを固定し、Vを走査することによって、T(V)が測定され、R(V)がコンピュータ(定数を除く)によって計算される。R(V)は、Vを一定に維持しながらT(V)を測定することによって得られる。R(V)及びR(V)は既知であるため、位相遅延φはφ=π(R(V)+R(V))/λ)のように計算される。上記式を使用して、振幅のみ又は位相のみのパルス整形を行うようにコンピュータを介してパルス整形器をプログラムすることができる。パルス整形器は、通常は数分間を必要とするプロセスである完全な較正を自動的に実行するようにプログラムすることができる。部材内のLCDが45°の向きを有していない場合には、ビームの偏光を回転させ、較正を行うために半波長板を使用することができる。
【0048】
整形装置の較正後、パルス整形器はフェムト秒レーザー装置の位相変形を補償しなければならない。理想的な状況下であっても、市販のフェムト秒レーザーは周波数領域において主に二次又は三次の位相変形を有するパルスを生成する。多光子パルス内干渉位相走査(MIIPS)は、自動的にスペクトル位相変形を決定し、それらを補償する。1分間以内に、位相歪みが排除され、TLパルスが得られる(図12を参照)。歪みパルスが示されており(補償前)、補償されたパルスがMIIPS後に得られる。TLパルスは、πによって分離された直線平行線を作成することによりMIIPSによって特定される。MIIPS法は、市販の代替となる方法よりも少なくとも1桁正確な方法であると考えられる。上述した整形器の較正は、MIIPSによる正確な特性分析と補償と共に、本発明の装置が求めるロバストネスと再現性を確実にすると考えられる重要な工程である。
【0049】
監視装置は、各化学又は生物化合物から異なる独自の識別可能なフィンガープリントを生成する特定の整形レーザー場の識別に依存する。これらの整形レーザー場の検索には、展開学習プログラムを使用した大きなパラメータ空間の検索が必要となる。BPSは検索空間を減少させ、再現性を大きく増加させる。各化学物質は焦点合わせされた整形レーザー場によって直角に要求される分子線に同伴される。イオン化とフラグメンテーションによる質量スペクトルを記録し、他の質量スペクトルと比較する。展開学習プログラムは検索対象を有し、対象に最も近い形状を決定する。
【0050】
分子のイオン化とフラグメンテーションに影響を及ぼす強い整形レーザー場の能力を、各分子のパルス形状を独自に特定するために利用する。レーザー分子制御は分子の電子及び核構造に依存するため、2つの化合物が同じ結果をもたらすことはない。図13を参照する。すなわち、最も大きな質量(a)を有するピークとそれに続く2つの最大ピーク(b),(c)をそれぞれ標識する。6つのターゲットを最適化する。最初の3つのターゲ
ットは、続くピークを谷の比率(a/b),(a/c),(b/c)に増加させる。最後の3つのレーザー波形は、同一の比率について最低値を生成する。方法の特定能力を最大化させるために、6つのパルスは6つの異なるパルス波形によって特定可能な異なる結果を生じさせることが必要であり、TLパルスによる励起によって得られるイオン化フラグメンテーションパターンに関して異なる。ライブラリに含まれるパルスを特定するために使用する方法としてこの方法を概説したが、その他の方法も考えられる。
【0051】
学習フィードバック法としても知られている展開学習プログラム(ELC)は、本発明の環境監視装置において望ましくない物質と許容できるバックグラウンド化学物質に関するライブラリを決定し、予め保存するために最初に採用される。パルス整形器の位相マスクは、コンピュータ37(図3を参照)及び531(図5を参照)によって制御される。適応レーザー源は、化学物質又は蛋白質を含むことができる荷電物質の収率最適化の成功に基づいてレーザーパルス波形を変更する学習フィードバック法又はELCの一部である。本願では、レーザーパルス波形はダイナミックな役割を果たす。パルスシーケンスを含むパルス波形が考えられ、シーケンスの各パルスは、例えば、溶融、励起、選択的フラグメンテーション、陽子移動、蒸発等の異なる役割を果たす。
【0052】
物理的プロセスは、インテリジェントループによるインテリジェント「フィードバック」方法によって進行する。学習法は、研究者又は装置のユーザーの最小の介入において、様々なパルス波形を試み、それらによる所望のターゲット励起の達成を評価し、その後のレーザーショットでパルス波形を向上させるために得られた知識を使用する。条件の変更は、学習法又はフィードバックループ内で自動的に補正される。
【0053】
ここで、図6〜8Bを参照する。フィードバックソフトウェアはパルス波形の初期の無作為母集団を使用して実施される。各パルス波形は、パルス内の各波長又は周波数におけるスペクトル位相と振幅を特定する一連の番号によって特徴付けられる。この特定のパルス波形パラメータ化はそれ自身で最適化され、アルゴリズムを適応することができるようになる。方法の最も重要な部分は、所与のパルス波形の適合性のための試験である。各パルス波形には、予め選択されたターゲットに最も類似した結果を生成する能力について試験を行う。例えば、プログラムは所望の蛋白質信号の振幅とバックグラウンドとの間で比率を計算する。相対的な成功が定量化されると、現世代からの最も適合するパルス波形対から振幅と位相情報の異なる部分を組み合わせることによって次世代のパルス波形を生成する。また、方法は成功したパルス波形におけるランダム変化又は変異の低い(15%)確率を定める。さらに、位相マスクの無作為部分をゼロに設定することによって新しいパルスセット(10%)を生成し、新しい位相マスクを生成する。各位相の新しいセットを生成すると、それらを実験的に評価する。この基礎的な一連のプロセスを適合性が「最良」の値に収束するまで繰り返す。
【0054】
フィードバック法による解決手段の収束性とロバストネスは、2つの異なる方法で測定することができる。まず、振幅と位相情報の分散を監視する。フィードバック法が解に収束すると、値は最も良い結果を生じさせる狭い範囲に収まる。多くの世代にわたって、いくつかのパラメータは非常に安定するようになり、適合性を決定する過程を行うためにスペクトル位相と振幅が特に重要であるということを示している。次に、異なる初期状態の情報を監視する。フィードバック法が行われている場合には、同様の結果に収束する。
【0055】
以前のパルス波形の要素を変更・結合することによってパラメータの新しいセットを作成し、新しいパルス波形を作成する。これは、パルス波形の位相と振幅に作用する統計演算子によって行う。使用することができる演算子としては、上述したように複数点交叉突然変異が挙げられる。
【0056】
適切に選択された演算子のセットにより、フィードバック法の性能が非常に高められ、さらなる物理的洞察が得られる。しかし、適切な選択は通常は明らかではないため、新しいパルス波形を生成するために所与の演算子を使用する頻度を選ばせることによって方法を順応させる。適応演算子を使用することにより収束が加速され、より重要なことには、制御機構を解明することに役立つ。例えば、初期パルス波形の情報を良好に混合させるため、最大の不確実性があるアルゴリズムの開始時には交叉はより効果的である。フィードバック法が最適解に収束すると、交叉は有効ではなくなる。その理由は、この時点ではパラメータの変化がはるかに少なく、情報を大きく変える必要がないためである。理想的には、学習プログラムは過去の誤りから学習し、現在は失敗すると分かっている可能性のあるパルス波形の試験を行わない。これにより、計算時間がかなり節約される。
【0057】
各パルス波形について複数のスペクトルが得られる。パルス波形毎に平均されるレーザーショット数は、統計的に有意なスペクトルの達成に依存する。パルス波形が無作為の位相と振幅の結果である場合には、より効率的なパルス波形を区別するために最大で1000回の繰り返しが必要であると考えられる。これは、1分間あたり1パルス波形となる。選択プロセスが進行すると、効率は大きく上昇すると予想できる。最適化の最終段階は、1分間あたり異なる100パルス波形という速度で行うことができる。目標は単一パルスのフェムトモル感度に達することである。第2の目標は、同一の化合物から異なるスペクトルを生成する一連のパルスを定義することである。最適化された各整形パルスに要求(interrogated)された場合に、化合物はポジティブな識別に使用される応答パターンを示すことは予測できる異なる性質である。化学的に複雑な環境が存在していても、際立った所与の応答がある。
【0058】
本実施の形態にかかる制御装置に採用される学習フィードバックソフトウェアを以下にさらに詳細に説明する。予備調査方法及び予備試験未知試料又はサンプルを分析するためのコンピュータソフトウェア工程を図7に示す。いかなる新しい装置の場合にも、試験は、装置を基本的に理解するために予め定義されたパルス波形で開始する。予め定義されたパルスのうち、最も短いパルスはサンプルの表面上で分解を最小化させながら分子をイオン化すると予想され、最も長いパルスは化学物質がかなりフラグメント化されるナノ秒実験を模擬すると予想される。次に、パーソナルコンピュータ37(図3及び図4を参照)内のマイクロプロセッサが工程Dに従ってレーザー23を制御し、工程Fに従って分光器39からの実質的にリアルタイムのフィードバック入力信号を受け、工程G,H,Iに従って演算、比較、評価を行う。これらの自動化された工程は、必要であれば、パーソナルコンピュータの出力に基づく手動のユーザー演算及び決定によって置き換えることができる。
【0059】
図6B,図8A,図8Bのソフトウェアルーチンの目的は、フィールド監視のためのライブラリの一部となる独自の識別整形パルスの選別を支援することである。任意の実施形態のサブルーチンは、固体ターゲットにナノ秒レーザービームパルスを放射し、固体層を蒸発させることを含む。次に、蒸発させた化合物を整形レーザーパルスによって分析する。約50フェムト秒の短パルスを整形し、フラグメンテーション探索とサンプル識別のために気体プリュームに集束させる。長短パルスの組み合わせはパルス整形に加えて使用することができ、パルス整形を使用せずに使用することもできる。制御系と制御装置は上述した通りである。この組み合わせは、胞子やその他の生物物質等の不揮発性化合物の研究の特に役立つ。別の変形は、空気中の粒子状物質が付着性マトリックスに堆積した場合に、粒子状物質を脱離するためにナノ秒のレーザーを使用し、胞子等の生物物質に関して粒子を分析するためにfsレーザーを使用する。これは、2つのパルスを使用し、一方がナノ秒又はフェムト秒パルスであり、脱離のみ使用される場合に関係する。第2のパルスは、調節可能な遅延時間後にフラグメンテーションとさらなるイオン化のために使用される。
【0060】
リアルタイム学習フィードバック法とコンピュータソフトウェアを以下にさらに詳細に説明する。この方法とソフトウェアは、分子的に複雑で未知の試料又はサンプルの反復識別を、高度に自動化され、比較的迅速な方法で統計的に最適化するために採用される。質量分析計で各レーザーパルスについて得られるデータは、パーソナルコンピュータのランダムアクセスメモリに保存される数字の2次元配列からなる。配列の第1の列は、飛行時間型質量分析計からデータを得た時のイオンの到着時間を含む。四重極又はイオンサイクロトロン分光器等の異なる質量分析法装置からも同等な数字を得ることができる。これらの数字は、イオン種の電荷を仮定する質量に変換できる。第2の数字は特定の質量スペクトルを引き起こした整形パルスを識別するものである。データ収集は、複雑な混合物の小さな割合であっても化学物質を明確に特定するデータセットを集めることを含む。
【0061】
各パルス波形は、パーソナルコンピュータのランダムアクセスメモリで保存されているか、読み取り専用でディスク等からパーソナルコンピュータがアクセスすることができる数字の1次元配列によって定義される。配列の長さは、レーザーパルスのスペクトルを変形する解像度を決定する。液体空間光変調器の場合には、画素数によってこの数字が通常決定される。数字の配列は各画素の位相遅延を決定する。位相の配列全体は出力パルスの最終的な波形を決定する。最も短いパルスはレーザー装置に可能な最小持続時間として予め定義され、最も長いパルスはパルス整形器で作成することができる最も長いパルスとして予め定義される。2つのパルスの組み合わせは、非整形パルスと整形パルスの組み合わせとして予め定義される。例えば、予め定義された400nm又は800nmの紫外線パルス又は赤外線パルスを使用することができる。
【0062】
工程Rでは、マイクロプロセッサが最高の成功値を有する最良のパルス波形を決定し、中央処理装置のランダムアクセスメモリに最適値として保存する。次に、コンピュータは最高の成功値に基づいて約10%の最良のパルス波形を選択し、破棄された値をリセットし、工程Vにおいて同一のサンプルにおけるその後の繰り返し試験のために新たなレーザーパルス波形を自動的に発生させる。フィードバック法の成功には、新たなシードパルスの生成が重要である。目標は、最小の繰り返し数で最適なパルスに達することであり、パラメータの範囲全体、グローバル最大値を検索したことを確実にすることである。「費用機能性」とは、単純化のために最適なパルス波形に配置される統計的な圧力を意味する。例えば、光学パルス波形又はその他の特性が見出されると、結果がそれぞれの振幅及び位相要素にどの程度影響されるかを決定することが重要な場合がある。恐らく、はるかに低い解像度でその結果が生じる可能性がある。パルスが単純になると、物理的概念に関して結果を再生・解釈することが容易になる。ある場合には、整形器を使用せずに形成できる程度に波形が単純であり、好ましいパルス整形の安価な代替手段を提供することができる。例えば、2つ又は3つの異なる800nmのパルスの組み合わせ又は赤外線パルスと紫外線パルスの組み合わせを変形又は最適化パルスとして採用することができる。パーソナルコンピュータによって統計的な収束が決定されると、対応する現在の後試験特定サンプル(post−test identified specimen)について(パルス波形、パルス持続時間又はその他のレーザービーム特性であるか否かに関係なく)最適なパルス特性を決定することによって試験が完了する。
【0063】
図6Cは、許容できるバックグラウンドアイテムと非許容物質の所望の位相形状を含めるためのコンピュータプログラムと方法を示している。化学物質を特定する10個の統計的に最良のパルス/位相整形解決手段を使用する。これらは、以前に保存された位相形状との認識可能な相違に基づいてコンピュータ制御装置によって自動的に格付けされる。次に、以前に保存された質量スペクトルデータとの相違に基づいて格付けされる。次に、制御装置は、メモリに保存するために、以前に保存されたデータと重複しない特定の化学物質についての新たな位相とパルス整形特性を自動的に選択する。この方法は、誤った識別
と判断の可能性を著しく減少させる。
【0064】
(別の用途)
図15は、本発明にかかるレーザー環境監視装置701の第1の代替実施形態における使用を示す。本実施形態では、フェムト秒レーザーと、パルス整形器と、質量分析計と、コンピュータとを有する監視装置703が流動的(fluidically)に金属検出セキュリティチェックポイント装置707の壁内部の各種入口705に連結されている。そのような装置は、空港、建築物の入口、駅またはその他の公共施設に設けられる。監視装置は、入口705に隣接して移動する人、荷物又はその他のアイテムに爆発物質又はその他の望ましくない化学物質が存在しているか否かを感知・判定するように設定される。望ましくない化学・生物(病原物質を含む)物質を感知すると、CRT出力画面709に投写され、警告灯又はアラームを作動させることができる。アクティブ基線減算とライブラリ比較を上述したように採用する。
【0065】
第2の代替実施形態を図16に示す。この実施形態では、環境監視装置731を、糖尿病、肝炎、SARS等の望ましくない病原又は病気物質を感知したり、麻薬及びアルコール試験のために採用する。人は、バルーン733に息を吹き込むか、入口チューブ735に直接息を吹き込む。バルーンを採用する場合には、バルーンを入口チューブ735に取り付け、吹き込まれた様々な化学物質を含む空気は監視装置731の中に含まれる質量分析計に送られる。フェムト秒レーザー、パルス整形器、コンピュータ、以前に保存されたデータのライブラリを上述したように使用することによって、出力表示装置737は望ましくない物質が存在しているか否かを自動的に表示する。
【0066】
各種実施形態を説明したが、本発明の装置と方法に含まれるその他の変形も行うことができることを理解されたい。例えば、説明したように機能する限り、他のレーザー、化学品、光学、コンピュータ制御装置、HVA装置を採用することができる。本発明の説明は単に例示を目的としたものであり、本発明の要旨から逸脱しない変形も本発明の範囲に含まれる。従って、そのような変形及び変更も本発明の範囲から逸脱するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のレーザー環境監視装置を採用した第1の好適な実施形態に係る建築物を示す斜視図である。
【図2】本発明の装置を採用した第2の好適な実施形態に係る建築物を示す側面図である。
【図3】好適な実施形態に係る装置を示す図である。
【図4】好適な実施形態に係る装置を示す図である。
【図5】MIIPSを採用した本発明の好ましい実施形態に係る装置を示す図である。
【図6A】展開学習ライブラリモードにおける好適な実施形態に係る装置の動作を示すフローチャートである。
【図6B】展開学習ライブラリモードにおける好適な実施形態に係る装置の動作を示すフローチャートである。
【図6C】展開学習ライブラリモードにおける好適な実施形態に係る装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】好適な実施形態に係る装置で使用される方法及びコンピュータソフトウェアの動作を示すフローチャートである。
【図8A】好適な実施形態に係る装置で使用される方法及びコンピュータソフトウェアの動作を示すフローチャートである。
【図8B】好適な実施形態に係る装置で使用される方法及びコンピュータソフトウェアの動作を示すフローチャートである。
【図9】好適な実施形態に係る装置の変形で採用するSLM−256(CRI Inc.)振幅/位相マスクの概略図である。
【図10】図9の好適な実施形態に係る装置で採用する2つの液晶マスクとは異なる電界回転の方向の概略図である。
【図11】本発明で採用することを提案する図9のSLMマスクの較正に使用する電圧の関数としての実験的に測定された透過率を示す。
【図12】位相特性分析とその後に行われる本発明の装置で採用することを提案する補償の実験的な証明を示す(FROGから検索された変換制限パルス幅は28fsであり、MIIPSトレースを左欄に示し、SHG−FROGトレースを右欄に示す)。
【図13】本発明の装置で採用することを提案するa,b,cと標識されたフラグメントイオンの強度比を最大化させるために遺伝学習プログラムによって最適化された3つの二位相マスクの略図を示す。
【図14】環境を監視する分野で使用される好適な実施形態に係る装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明にかかる第1の代替実施形態の装置を示す斜視図である。
【図16】本発明にかかる第2の代替実施形態の装置を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)レーザービームパルスを放出するために動作可能なレーザーと、
b)前記レーザービームパルスを整形するために動作可能なパルス整形器と、
c)前記整形パルスを受け、環境物質の特性を検出するために動作可能な検出器と、
d)前記検出器に接続され、前記物質が有害であるか否かを決定するために動作可能な制御装置と、
を含む装置。
【請求項2】
請求項1において、前記検出器に接続された建築物換気装置をさらに含む装置。
【請求項3】
請求項1において、前記検出器が前記建築物換気装置の複数のゾーンに接続され、前記制御装置が、前記ゾーンによって分離された各建築物エリアに前記有害物質の一種が存在しているか否かを自動的かつ選択的に決定する装置。
【請求項4】
請求項1において、前記物質を特定するために展開学習演算する装置。
【請求項5】
請求項1において、前記レーザービーム整形器がπだけ分離された2つの位相値を使用する装置。
【請求項6】
請求項1において、パルス特性分析と補償のために多光子パルス内干渉位相走査をする装置。
【請求項7】
請求項1において、前記レーザービームパルス整形器が、少なくとも1つのコリメート光学系と回折格子とを含む装置。
【請求項8】
請求項1において、前記レーザーの帯域幅が、前記パルス整形器の位相変調器の少なくとも大部分の画素にわたって分散されている装置。
【請求項9】
請求項1において、前記物質が化学分子である装置。
【請求項10】
請求項1において、前記物質が生物病原体である装置。
【請求項11】
請求項1において、
可動アイテムに隣接して配置されたセキュリティチェックポイント装置をさらに含み、
前記検出器は、前記チェックポイント装置に接続され、
前記検出器と前記制御装置は、望ましくない物質が前記可動アイテム上に存在するか否かを決定し、
前記物質は、爆発物質である、装置。
【請求項12】
請求項1において、前記物質が、人間が吸い込むことができる病原物質である装置。
【請求項13】
請求項1において、前記制御装置は、前記判定結果に応じて前記検出器のサンプリングレートを自動的に変化させる、装置。
【請求項14】
請求項1において、前記物質の存在が自動的に決定された場合に、前記有害物質の悪影響を減少させるために前記制御装置によって自動的に開始される対策手順をさらに含む装置。
【請求項15】
請求項1において、前記検出器が質量分析計であり、前記レーザーパルスが約50フェ
ムト秒未満の持続時間を有する装置。
【請求項16】
空気サンプルに約50フェムト秒未満の持続時間を有するレーザービームを放射するために動作可能なフェムト秒レーザーと、
前記レーザービームパルスを整形するために動作可能なパルス整形器と、
その後のレーザービーム放出のために前記パルス整形器のパルス整形性能を自動的に変化させる制御装置と、
を含む環境監視装置。
【請求項17】
請求項16において、前記パルス整形器がフーリエ面を含む装置。
【請求項18】
請求項17において、前記パルス整形器が、少なくとも1つのコリメート光学系と回折格子とをさらに含む装置。
【請求項19】
請求項16において、前記制御装置によって以前に保存された質量スペクトルデータとの比較のために前記空気サンプルの特性を検出する質量分析計をさらに含む装置。
【請求項20】
請求項19において、前記質量分析計に接続された建築物換気装置をさらに含む装置。
【請求項21】
請求項16において、前記制御装置が、実質的に無作為に採用されたパルス波形を使用した以前の質量分析結果に基づく最も望ましいレーザービームパルス波形である所定の位相関数のライブラリを使用する装置。
【請求項22】
請求項16において、前記パルス整形器が、前記レーザービームの(a)振幅及び(b)位相の少なくとも1つを制御するために動作可能な音響光学変調器を含む装置。
【請求項23】
請求項16において、前記パルス整形器が、前記レーザービームの(a)振幅及び(b)位相の少なくとも1つを制御するために動作可能な液晶表示装置を含む装置。
【請求項24】
請求項16において、前記パルス整形器が可変形ミラーを含む装置。
【請求項25】
請求項16において、前記フェムト秒レーザーが、21フェムト秒未満の持続時間を有するレーザービームパルスを送出する装置。
【請求項26】
請求項16において、前記制御装置が前記空気サンプルにおける多分子物質を特定する装置。
【請求項27】
請求項16において、前記制御装置が、許容できる化学物質が前記監視環境に存在するか否かを判断し、前記監視環境における新たな物質の存在を判断するために、自動反復サンプリング時に分析する新たな空気サンプルを保存された許容できる化学物質のデータと自動的に比較する装置。
【請求項28】
請求項16において、前記整形器がπだけ分離された2つの位相値を使用する装置。
【請求項29】
請求項16において、パルス特性分析と補償に使用される多光子パルス内干渉位相走査(multiphoton intrapulse interference phase scan)をさらに含む装置。
【請求項30】
請求項16において、前記物質を特定するために展開学習演算する装置。
【請求項31】
請求項16において、前記制御装置が、生物病原体が前記空気サンプルに存在するか否かを自動的に判断する装置。
【請求項32】
(a)換気装置を含む建築物と、
(b)前記換気装置に接続されたレーザー検出装置と、
(c)前記レーザー検出装置に接続され、前記レーザー検出装置を動作させる制御装置と、
を含み、
(d)前記レーザー検出装置が前記換気装置から空気サンプルを繰返し受け取り、前記制御装置が望ましくない物質が存在するか否かを判断し、
(e)前記制御装置が、前記建築物における前記望ましくない物質の有害性を減少させるために自動的に対抗策を実施する監視装置。
【請求項33】
請求項32において、前記制御装置が前記建築物内の複数の別々のエリアを自動的に監視する装置。
【請求項34】
請求項33において、前記制御装置が、前記物質が前記別々のエリア間を移動しているか否かを自動的に判断する装置。
【請求項35】
請求項33において、前記制御装置が前記換気装置の動作を自動的に変化させて前記別々のエリアの内の汚染されたエリアを隔離させる装置。
【請求項36】
請求項32において、前記対応策が前記建築物の外部の雰囲気に前記物質を自動的に放出させることをさらに含む装置。
【請求項37】
請求項32において、前記対応策が前記建築物内のドアを自動的に閉じることをさらに含む装置。
【請求項38】
請求項32において、前記対応策が前記建築物内に水を自動的に流入させることをさらに含む装置。
【請求項39】
請求項32において、前記対応策が、前記物質の中和剤及び解毒剤の少なくとも1つを前記建築物内に自動的に注入することをさらに含む装置。
【請求項40】
請求項32において、前記レーザー検出装置が、前記レーザーによって放出されるレーザービームパルスの特性を変化させるパルス整形器をさらに含む装置。
【請求項41】
請求項32において、前記レーザー検出装置が、前記物質の質量スペクトルを検出する質量分析計をさらに含む装置。
【請求項42】
請求項32において、前記レーザー検出装置が、前記物質が前記装置において監視される物質に約50フェムト秒未満のレーザービームパルスを放射するために動作可能なレーザーをさらに含む装置。
【請求項43】
(a)複数の可動サンプルに隣接して配置されたセキュリティチェックポイント装置と、
(b)前記サンプル上の物質の存在を感知するレーザー検出装置と、
(c)前記装置に接続され、前記装置が対象物質を特定したか否かを判断する制御装置と、
を含む装置。
【請求項44】
請求項43において、前記レーザー検出装置が、前記レーザーによって放出されるビームの特性を変化させるパルス整形器をさらに含む装置。
【請求項45】
請求項43において、前記レーザー検出装置が、前記物質の質量スペクトルを検出する質量分析計をさらに含む装置。
【請求項46】
請求項43において、前記レーザー検出装置が、約50フェムト秒未満のレーザービームパルスを放出するために動作可能なレーザーをさらに含む装置。
【請求項47】
請求項43において、前記制御装置が、許容できる化学物質が前記監視環境に存在するか否かを判断し、前記監視環境における新たな物質の存在を判断するために、自動反復サンプリング時に分析する新たな空気サンプルを保存された許容できる化学物質のデータと自動的に比較する装置。
【請求項48】
請求項43において、前記対象物質が爆発物質である装置。
【請求項49】
請求項43において、前記対象物質が病原体である装置。
【請求項50】
請求項43において、前記対象物質が危険化学物質である装置。
【請求項51】
請求項43において、前記対象物質が病原物質である装置。
【請求項52】
請求項43において、前記サンプルが人間である装置。
【請求項53】
請求項43において、前記サンプルが荷物である装置。
【請求項54】
請求項43において、前記装置及び前記制御装置が多光子干渉を使用する装置。
【請求項55】
請求項43において、前記装置が約21フェムト秒未満の持続時間を有するレーザービームパルスを整形するパルス整形器を含む装置。
【請求項56】
装置を動作させる方法であって、
(a)レーザービームパルスをサンプルに放射すること、
(b)前記レーザービームパルスの波形を変化させること、
(c)前記変化させた整形レーザービームパルスを使用して質量スペクトルを検出すること、
(d)前記工程(a)〜(c)の後に、異なる波形の複数の追加レーザービームパルスを自動的に生成すること、
(e)前記検出された質量スペクトルを自動的かつ電子的に分析し、目標値との近接度に基づいてそれらをランク付けすること、
(f)前記工程(a)〜(e)を繰り返し、検出された値を統計的に向上させること、
(g)前記レーザービームパルスを最も類似するものから最も異なるものへとランク付けすること、
を含む方法。
【請求項57】
請求項56において、前記レーザービームパルスが約50フェムト秒未満である方法。
【請求項58】
請求項56において、前記レーザービームパルスの少なくとも1つが約21フェムト秒未満である方法。
【請求項59】
請求項56において、前記サンプルが有害分子である方法。
【請求項60】
請求項56において、
(a)選択され、ランク付けされた前記質量スペクトルをメモリライブラリに保存すること、
(b)未知の化学物質の環境を監視すること、
(c)前記環境におけるどの化学物質が許容でき、どの化学物質が許容できないかを自動的に判断すること、
をさらに含む方法。
【請求項61】
エリアを監視する方法であって、
(a)前記エリアのサンプルを反復的に監視すること、
(b)整形レーザーパルスを前記サンプルに放射すること、
(c)少なくとも部分的に前記工程(b)で作成された質量スペクトルを、許容できるバックグラウンド化学物質の質量スペクトルと比較すること、
(d)前記質量スペクトルの比較に少なくとも部分的に基づいて有害なアイテムを自動的に特定すること、
を含む方法。
【請求項62】
請求項61において、通常の条件において約1分間以下の繰り返し間隔で前記エリアを監視することをさらに含む方法。
【請求項63】
請求項61において、疑わしいアイテムが特定された場合に1分間あたり少なくとも1000回の繰り返し間隔で前記エリアを監視することをさらに含む方法。
【請求項64】
請求項61において、前記監視工程、前記放射工程、前記分析工程、前記比較工程、前記特定工程が、コンピュータによって自動的に制御され、実施される方法。
【請求項65】
請求項61において、前記レーザーパルスが約50フェムト秒未満の持続時間を有する方法。
【請求項66】
請求項61において、前記レーザーパルスが約21フェムト秒未満の持続時間を有する方法。
【請求項67】
請求項61において、前記レーザーパルスに誘発された非線形光学プロセスを制御することをさらに含む方法。
【請求項68】
請求項61において、前記レーザーパルスを二値的に整形することをさらに含む方法。
【請求項69】
請求項61において、前記監視サンプルを建築物の換気装置から受け取ることをさらに含む方法。
【請求項70】
請求項61において、前記監視サンプルを人間又は動物の息から受け取ることをさらに含む方法。
【請求項71】
請求項61において、前記監視サンプルをセキュリティチェックポイントで受け取ることをさらに含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−505344(P2008−505344A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523578(P2007−523578)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023353
【国際公開番号】WO2007/001308
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(503119339)ボード オブ トラスティーズ オペレーティング ミシガン ステート ユニヴァーシティ (2)
【Fターム(参考)】